嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その36at EROPARO
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その36 - 暇つぶし2ch793:Why Can't this be Love?  ◆tVzTTTyvm.
07/07/18 22:37:06 RkxvaB6p


   X    X    X    X


 あの日、紅司クンと白波さんの間に幼馴染以上の感情があるのではないかという疑念が沸いて以来
私は白波さんは勿論、紅司クンにもまともに視線を合わせることも話すことも出来ずにいた。
 苦しかった。 寂しかった。
 本当は会って話したい気持で一杯だけど、でも出来なかった。
 疑念の気持を抱いたまま会うのが、話すのが怖かったから……。
 そして私は紅司クンを避け続けてた。

 そんな鬱とした気持のまま過ごす日々のある日の学校の休み時間。
「美嬉!」
「こ、紅司クン……?」
 私は紅司クンに呼び止められた。
「話があるんだ……」
 紅司クンは何時になく真剣な面持ちだった。
「ごめんなさい。 今、用事があるから……」
 でも私はそう応えその場を立ち去ろうとした。
 其の真剣な面持ちの口から語られるのが別れ話なのではと思うと怖くて。
 だけどそんな私の腕を掴み紅司クンは言葉を続けた。
「大事な話なんだ。 一緒に来てくれ」
「え……? ちょ、ちょっと待っ……」
 そして私は戸惑いを隠せないまま紅司クンに手を引かれ多少強引とも言える形で連れて行かれた。

794:Why Can't this be Love?  ◆tVzTTTyvm.
07/07/18 22:38:02 RkxvaB6p
 紅司クンに手を引かれ私が連れて来れれた場所。 それは屋上だった。
 屋上に付くと紅司クンは振り返り私の顔を真っ直ぐに見つめた。
 其の真剣な眼差しに私は思わず気圧されながら口を開く。
「紅司クン? あ、あの私……」
 そんな戸惑いを隠せずにいる私に向かい紅司クンは意を決したように口を開いた。
「美嬉、お前に話しておかなければいけない事があるんだ。 沢山有るけど、
だが一番大事なことから伝えるぞ。
俺にとって誰よりも一番大事なのはお前なんだ、美嬉」

 其の言葉に私は今までの不安を拭い去ってくれる想いと、そして安堵感を感じ……。
 でも直後正反対の気持が沸き起こる。
 紅司クンと白波さんの親しげに話していた姿が脳裏に浮かんでしまい……。
「紅司クン……。 嘘……言わなくったっていいよ。
紅司クンにとってお似合いなのは私じゃないって解ってるから……」
 そんな弱気な気持が気持とは裏腹な言葉を紡いでしまった。
「夕子のことを言ってるのか?」
 そして紅司クンの口から出てきた言葉は私の不安な気持を見透かしてるようなものだった。
 私が其の言葉に視線をそらしたまま頷くと紅司クンは私の肩を掴み正面から見据え言葉を続けた。
「やっぱり誤解してたか。 いや、まるっきり誤解って訳でもないが……。
確かにお前が思ってるように俺の夕子に対して抱いてた想いはお前が思ってた通り、だった。
幼馴染としてじゃなくて女として好き、だった。 でもそれらの気持は全部過去形だ。
今、俺が好きなのは……、いや今だけじゃなくこれから先も俺が好きな女はお前なんだ。
もう一度言うぞ。 俺が今、一番好きなのはお前だけだ!
この気持だけは偽り無い本当の気持なんだ! お前を失いたくないんだ!」

 涙が溢れ出してきた。
 紅司クンがこんなにも私の事を思っててくれたことに対する嬉しさ。
 それなのに私は信じてあげられず、それどころか勝手に疑って避けていた事に対する申し訳なさ。
 そんな気持で胸が一杯になってこみ上げる想いが涙を溢れさせていた。
「ほ、本当に私でいいの? 白波さんじゃなくて私なんかで……?
わ、私、紅司クンのこと信じ切れず、勝手に疑って避けてたのに……」
 私がそう言うと紅司クンは私の涙をそっと拭い優しく微笑んでくれた。
「気にしてないよ。って言うより疑われるような俺にも否があった。 済まなかった。
辛い想い抱かせてしまって……」
 紅司クンの言葉に私は首を振った。
「ううん。 謝らなきゃいけないのは私のほうなのに……」
「ありがとう。 これから先も俺の恋人で― 一番大切な人でいてくれるか?」
 優しい声で語りかけてくる紅司クンに私は想いの全てを込めて言葉を紡ぐ。

「ハイ。 私のほうこそコレから先も、ずっと、ずっと……、一緒にいてください!」

795:Why Can't this be Love?  ◆tVzTTTyvm.
07/07/18 22:40:49 RkxvaB6p


   X    X    X    X


 何でよ。 どうしてよ。 どうしてこんなことになっちゃったのよ。
 私と紅司は幼馴染で誰よりも深い仲で、しかも相思相愛同士だったのよ?!
 なのに何でこんな事になっちゃったのよぉ……!
 おかしいよ。 間違ってるよ……。
 そうよ、私を選ばないなんて紅司は間違ってる。

 どす黒い感情がお腹の底から沸き起こり心を塗りつぶしていく。

 私じゃなくて藤村さんを……藤村を選ぶだなんて紅司は間違ってる!
 藤村が、あの女が紅司に間違いを犯させた。
 許せない……! 私にこんな思いをさせた紅司もあの女も絶対に許せない!
 絶対……絶対に許さないんだから!!

 だから……二人には……報いを……

 受けさせてやる!




 離れた場所に二人で話をしている紅司と藤村の背中を見つめながら私は鞄に手を突っ込んだ。
 そして取り出すは一振りのナイフ。

(死ね……! 死ね……!! 死ね……!! 死ね……!!! 死んでしまえ!!!!
私を裏切った紅司も! 私から紅司を奪ったあの女も!! 二人とも死んでしまえ!!!)

 怒りと憎しみと妬みで胸のうちを支配されてた私は其の行動に疑問を抱く余地など無かった。
 そして私の存在に気付かぬ二人に向かって私は真っ直ぐ進む。
 二人揃ってでも、どちらか片方でも構わない。
 この手で引導を渡してやる!
 もう、ただ二人が一緒にいるそれだけで私の心は掻き乱され許せない思いだけで一杯だった。
 このナイフをあの二人に突き立てる、それしか私の頭に無かった。
 そしてあと数歩で二人にナイフが届く―、そう思ったときだった。

796:Why Can't this be Love?  ◆tVzTTTyvm.
07/07/18 22:42:24 RkxvaB6p
「何やってるんだ白波!」
 私は腕を掴む強い力と其の声に妨げられてしまった。
 其の掴んできた手と声の主は―
「先……輩……?」
 かって一時だけ―そう、紅司を忘れたいが為だけに偽りの交際をしてた相手―。

「こんな物持って! 白波! 一体何をするつもりだったんだ?!」
「何を……ですって? そんなの決まってるじゃないですか……。 報いを受けさせてやるんですよ。
紅司に私を裏切った事に対する―、そしてあの女に私から紅司を奪った事に対する!!!」
「バカヤロウ!! 本気で言ってるのか?!」
「えぇ、本気ですよ。 冗談でこんなこと言えるわけないじゃないですか。 だから退いて下さい。
退いてくれないなら先輩も……」
「俺も刺すって言うのか? いいぜ……」
 次の瞬間、先輩は私の手首を掴むと自分の方に向け……。
「せ、先輩何するんですか?!」
 先輩は私の手に握られたナイフをそのまま自分の腕に突き刺したのだった。
 手に伝わってくる肉を切り裂いた感触が、伝って流れてくる血の生温い温度に私は……。
「目を反らすな白波! コレがお前がしようとしてた事なんだぞ?!
こんな事をお前はしようとしてたんだぞ?! 分かっているのか?!」
 先輩の言葉が胸に突き刺さる。 ナイフから滴る血は私の手にも伝ってきて―。

「う、うわああぁぁぁぁぁ……………!」
 途端に恐ろしさが込み上げてくる。 人を傷つけてしまったと言う事の怖さ、
取り返しのつかないことをしてしまったという罪悪感―。
 指先から力が抜けナイフから手が離れると真っ赤に染まった掌が目に飛び込む。
 血塗られた掌に私はその場に崩れ落ちそうになり―。
「白波?! おい?! 大丈夫か白波?!」
 ―そんな崩れ落ちそうになった私の体を支えてくれたのは先輩の腕だった。



「ゴメンナサイ……ゴメンナサイ……ゴメンナサイ……」
「いや、俺の方こそ色々済まなかった……」
 あの後泣き崩れる私は先輩に連れられその場を離れ、そして先輩の腕の手当てもして今に到ってる。
「先輩……、腕の方は……」
「あぁ……もう血も止まってるし、ちゃんと指も動くし神経とかも大丈夫みたいだ」
 先輩の言葉に私は胸をなでおろした。 そしてホッとするとまた涙が溢れてきた。
 そんな私の涙を先輩は拭ってくれて心配そうに覗き込んできた。
 私を案じ顔を真っ直ぐに見つめてくる先輩の眼差しに私の荒んでた心は癒される思いだった。

「先輩……どうして、その、私なんかのためにココまでしてくれたんですか?」
 私がそう訊くと先輩は一瞬困惑したような表情を見せ、そして僅かに視線をそらし口を開く。
「その……お前の事が、まだ……好き、だから……」
「え……? そ、そんな……。 だ、だって私……」
 私は紅司を忘れられなくて、それが辛くて紛らわせたいと言う身勝手な思いで
その気も無いのに先輩と付き合った振りしてて……。
 それで先輩を傷つけたのに……。
「あ、別にまた付き合ってくれとかそんな事は言わないから……。 お前が吉田を諦められない事は、
惚れた相手を諦められない事ぐらい、そんな事この俺が誰よりよく知ってるから……。
でもな、振り向いてくれないからってそれでどうでもいいわけじゃないんだ。
例え振り向いてくれなくっても、報われない片思いでも、
それでも好きな相手が過ちを犯すのをみすみす黙ってなんて見てられなかったから……」
 其の言葉に再び涙が溢れ出してきた。
 先輩の気持に比べて私の紅司に対する気持の身勝手さに対し恥かしさがこみ上げてきた。
 気付けば私は先輩の胸に顔を埋め泣いていたのだった。

797:Why Can't this be Love?  ◆tVzTTTyvm.
07/07/18 22:44:06 RkxvaB6p




 ―あれから数ヵ月―
 とある休日の昼間。

「おまたせっ、先輩」
「いや、俺も少し前に来たばかりだから。 じゃぁ行こうか」

 あれから気付けば私と先輩はこうして過ごす機会が増えていた。
 これが恋愛感情なのか、と問われるとやっぱり違う気がする。
 失恋の傷も多少は癒えたけど、でもやっぱり未だ紅司に告げられた事が辛くて諦め切れなくて、
結局それを紛らわす為先輩を利用してるだけかもしれない。
 それが申し訳なくて先輩にそう伝えたりもした。
 それでも先輩は微笑んでくれた。
『それでお前の気持が紛れるなら幾らでも利用してくれればいい』と言ってくれた。
 そんな先輩の優しさに縋ってる自分が卑怯だと自己嫌悪に陥ったりもしたけど……、
それでも先輩は変わらない優しい笑顔を向けてくれた。
 
 そして、最近気付いた事が一つある。
 それは先輩の―

 このひとの笑顔が前よりも好きになってた事だった―。


END

798:名無しさん@ピンキー
07/07/18 22:45:58 RkxvaB6p
投下完了です
長らくお待たせしてしまって申し訳ありませんでした
では

799:名無しさん@ピンキー
07/07/18 22:58:57 pN1SlrY5
放置作品復活の季節がやってきたのか・・・?
何はともあれ超GJです!

800:名無しさん@ピンキー
07/07/18 23:04:49 R1Hd+sAW
スレ進んでるから来てみたらまたトライデントの糞作品だった。
ということが最近多い

801:名無しさん@ピンキー
07/07/18 23:12:11 WFRduOVs
>>798
お疲れ様です。そしてGJ!
諦めかけてた作品が次々と復帰するとは、潜伏し続けた甲斐があったよ。
完結した話が読みたいけど、できるだけ長く続いて欲しいから完結して欲しくないもあって複雑な気持ちだよ。
勝手に夕子ルートを脳内で補完するしかないか…。

802:名無しさん@ピンキー
07/07/18 23:54:03 lcrPgvES
>>798
GJ!
脳内補完していた作品の続編が読めるほどうれしいことは無い
やっぱり脳内より作者様が書く方がレベルが段違いだぜ(*´д`*)

803:名無しさん@ピンキー
07/07/19 00:12:03 YnxRWI9v
復活祭キタ!!
そして先輩カッコヨスwww

804:名無しさん@ピンキー
07/07/19 00:17:50 +i3VZ17c
GJ!
だけどなんか尻切れトンボみたいな感じに感じるのは俺だけかな…肝心の美嬉の嫉妬描写が薄いまま終わっちゃったし
でもありがとう、復活してくれて…

805:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:35:27 ULiaD+XJ
>>800
確かにトライデントの糞作品のおかげでスレが汚れたのは事実だ
彼のおかげで嫉妬スレに荒らしが集まり、他の作家の投稿意欲を失わせた罪は
大きいであろう。てか、ブログやっているんだからそっちでやれよって感じだよな

俺はトライデントがこのスレから追放することを望むぞ!!



806:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:39:02 ULiaD+XJ
◆tVzTTTyvmも長い間待たせたというのに
くだらない作品を書きやがって・・これだったら完結させない方が良かったな
お前も追放リストに入れてやるよ

807:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:44:31 ULiaD+XJ
つまらない作品を書く奴がスレから追放される。それは
当たり前の事だろうに・・このスレを見捨てた阿修羅の管理人を始め、
多くの神々は自分達の文章力のなさに絶望して逃げたし・・

ダメだな。このスレはwwwwwwwwwwwwwwww

808:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:47:38 1aHmYBA6
>>798
乙です。まさか続きを読むことができるとは。
やはり嫉妬するおにゃの子は最高だな。

809:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:50:05 ULiaD+XJ
>>808
脳内大丈夫か?
こんなつまらない作品にGJとか言っているから
アホな作者が調子に乗って投稿するんだよ
お前のやっていることはどれだけ愚かなことかわからないの?

810:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:53:29 Lv03r3F8
一部の携帯だけだったら悪いんだけど、保管庫の『君という華』の幼なじみが絶望に打ちひしがれるところと幼なじみがキラと出会うシーンが抜けてないかな?

811:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:54:18 ULiaD+XJ
やれやれ・・トライデントや赤いパパみたいなアホが調子に乗って投稿するから
アホなスレ住人までいい作品とつまらない作品の区別が付かなかった
>>800の言う通りにトライデントの糞作品を読まされる読者の身になれってんだ!!

812:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:57:45 ULiaD+XJ
>>810
はいはい これでしょ

 昼休み。学生にとって心休まる時間。
仲の良い友達とする食事は、楽しく、普段よりも料理を美味しく食べる事が出来る。
  そう。社会人になれば取り戻す事の出来ない、貴重な時間。それが昼休み。なのに、だ。
「ほら、亮君。から揚げ好きでしょ? はい、あーん」
「高木先輩、手作りミニハンバーグです。ちょっと奮発して、松坂牛をミンチにしてみました。
  その、あ、あーん」
「……あら、何か小さい生物がいると思ったら、椎名ちゃんだったの。ごめんね気付けなくて。
それとここは二年生の教室だよ? 自分の教室も分からないのかな?」
「そんな訳ないですよ。それを言うなら、水田先輩だってクラス、隣ですよ?
  胸にばかり栄養回さないで、少しは脳の活性化に役立ててみてはいかがでしょう?」
「ご忠告有り難う。椎名ちゃんは屁理屈ばっかり言う脳鍛えるのもいいけど、
もう少し身長と胸に栄養回そうね。それじゃあ小学生だよ? あははっ。椎名ちゃんは可愛いね」
「ふふっ。水田先輩は美人で羨ましいです。せいぜいその美貌で男子生徒のオナペットにでも
なっておいて下さい。あははっ。雌牛にはぴったりですね」
「なら雌猫風情な椎名ちゃんは特別な趣味をお持ちなお兄ちゃん達に拉致られてバラしてもらえば?
  あははっ。良かったね、椎名ちゃん。きっとテレビとかに出れるんじゃない?
  死体だけど。あははっ」
「……あのー、二人とも、さ」
「ん? なあに亮君? この雌猫がうざいのかな? かな?
  待っててね、後で二度と近づかないように言っておくから」
「何言っているんですか。水田先輩が乳臭いから勘弁して欲しいんですよね?
  本当、体臭って自分では気付きませんからね」
「いや、じゃなくて。から揚げとハンバーグが俺の顔に密着してるんだけど……」
  二人は慌てておかずを自分の弁当へと戻すと、今度はどっちが顔を拭くかで睨み合い。
俺の昼休みはいつもこうだ。休まるどころか神経が磨り減って磨り減って血反吐を吐き出しそうだ。
  この二人、水田 祥子と葵 椎名は事あるごとに俺の周りに出現する。最近チョット怖い。
  祥子とは小学生からの付き合いだ。セミロングの髪に、スラリと伸びた肢体。
今や男子学生の九割は告白していると言う人気ぶりだが、本人はあまり恋愛に興味が無いのだろうか。
誰とも付き合った事がないらしい。
  俺はよく友達に羨ましがられるが、俺も祥子も、一緒にいた時間が長すぎてもう
お互いをそう言う対象で見ていない。気がする。
大事な存在だが、恋人、と言う言葉の響きはどうにもピンと来ない。
  椎名ちゃんは、俺の後輩だ。腰辺りまで伸びた黒髪のストレートヘヤー。
くりっとした瞳に、透き通るような白い肌。
祥子とは小学生からの付き合いだ。セミロングの髪に、スラリと伸びた肢体。
今や男子学生の九割は告白していると言う人気ぶりだが、本人はあまり恋愛に興味が無いのだろうか。
誰とも付き合った事がないらしい。
  俺はよく友達に羨ましがられるが、俺も祥子も、一緒にいた時間が長すぎてもう
お互いをそう言う対象で見ていない。気がする。
大事な存在だが、恋人、と言う言葉の響きはどうにもピンと来ない。
  椎名ちゃんは、俺の後輩だ。腰辺りまで伸びた黒髪のストレートヘヤー。
くりっとした瞳に、透き通るような白い肌。
どこか、人形チックな風体に、初めて会った時は驚いたものだ。
  しかも、何故かは分からないが俺は椎名ちゃんに気に入られたらしい。
さらに、何故か最近のエンカウント率は尋常ではない。気が付くと隣にいる、みたいな。
  でもまあこんな可愛い後輩に慕われるのも悪くない。
そう言うといつも祥子は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
  祥子の前で、椎名ちゃんの話題はNGなのだ。椎名ちゃんの前で祥子の話題がNGであるように。



 さて。話を戻そう。そんな感じのいつもの殺伐とした昼時間を送っていると、
不意に二人とも異変に気が付いてくれたようだ。
  そう。俺は今日、弁当を忘れてしまったのだ。というか、いつも弁当を作ってくれて、
さらにカバンに入れてくれているはずの姉ちゃんが、どうも今日に限って忘れたらしい。


813:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:59:08 orRJMrOi
叩くな叩くな。気に入らんなら徹底的にスルー汁。
だがそんな俺も>>809の三行目以降には大賛成。
神気取りなアホ作者が中途半端に下らん長編書いて未完にしてるようじゃ
保管庫もスレも大変なことになっちまうからな。

別に◆tVzTTTyvm氏ピンポイント爆撃ではないことを追記しておく。

814:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:01:07 JPlL8IVK
兄さん兄さん、書き手にネガキャンやる時はね、けなしたら逆効果なの。
むしろ褒めちぎりなさい。そして、投下量を増やさせて質を落とさせるの。

糞だとか言ってるとそのうちテメエが書きやがれと住人からブーイングよ?

それともご本人じきじきに降臨して自分叩きして同情を希(こいねが)うパターン?

815:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:01:20 KlYP06n8
今の嫉妬スレは糞だな
その調子でもっと荒らせ荒らせー

816:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:03:40 USA+3VRI
相変わらずの自演
私怨パワーもここまで来ると感動すら覚える

817:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:06:09 ULiaD+XJ
>>813
同意だな
管理人の阿修羅様にそんな仕事を増やすのはよくないってことだ
神気取りのアホを叩くことはこのスレの活性化に繋がるってわけだよ
寝取られ大好きな俺はここで存在すら否定されたからな・・怨恨の線は全くないが
この未完と投稿している作品の詰らなさにいい加減に嫌気がさしているんだよ


特にロボと緑猫とRIG2と黒ングヘアーとトライデントと赤いパパはいい加減に消えるべき
こういう大物扱いされている連中がいるから新規が全く増えないんだよ
いい加減に投稿するな・・自分のサイトに引っ込んでろ・・

特にトライデント・・お前、いい加減に調子に乗りすぎ・・ブログがあるんだから
そこで書け・・いいな・・。


818:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:06:10 +i3VZ17c
>>816
IDがUSA、オメ

819:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:09:07 KlYP06n8
>>817
同意だな
管理人の阿修羅様にそんな仕事を増やすのはよくないってことだ
神気取りのアホを叩くことはこのスレの活性化に繋がるってわけだよ
寝取られ大好きな俺はここで存在すら否定されたからな・・怨恨の線は全くないが
この未完と投稿している作品の詰らなさにいい加減に嫌気がさしているんだよ


特にロボと緑猫とRIG2と黒ングヘアーとトライデントと赤いパパはいい加減に消えるべき
こういう大物扱いされている連中がいるから新規が全く増えないんだよ
いい加減に投稿するな・・自分のサイトに引っ込んでろ・・

特にトライデント・・お前、いい加減に調子に乗りすぎ・・ブログがあるんだから
そこで書け・・いいな・・。

820:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:11:39 ULiaD+XJ
ってか、トライデントのブログ・・おかしいおかしすぎるだろう
何でアクセス数1日で2400以上来ているんだあん?
その次の日になったら、600-400-200って

どう見ても、自分でF5連打しすぎだろww 
そこまで自作自演でアクセス数増やしたいんですかwwwwww

後、Φなる・あぷろーちとダブルキャストを無断に著作権侵害しているし
ネタも古すぎだろ・・誰か荒らせよもう

後は痛いのはRIG2もそうだよな・・

821:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:13:06 KlYP06n8
>>820
同意だな
ってか、トライデントのブログ・・おかしいおかしすぎるだろう
何でアクセス数1日で2400以上来ているんだあん?
その次の日になったら、600-400-200って

どう見ても、自分でF5連打しすぎだろww 
そこまで自作自演でアクセス数増やしたいんですかwwwwww

後、Φなる・あぷろーちとダブルキャストを無断に著作権侵害しているし
ネタも古すぎだろ・・誰か荒らせよもう

後は痛いのはRIG2もそうだよな・・

822:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:18:30 ULiaD+XJ
とりあえず、言いたいことはそれだけだ
これを荒らしという奴は中越沖地震の報道を見て、
亡くなっている人や家を亡くしたお年寄りや住人達が
体育館で暮らしている姿に笑っている心のない奴らだ・・

俺はきちんと5万ぐらい今回の地震の被災者に寄付しましたし
心の豊かではない人間は何でもかんでも荒らしと決めつけすぎ

では。もう、寝る

中越沖地震で亡くなった方々のご冥福をお祈りします
1日でも早く村が復興することを祈って。



823:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:20:17 YAFTNCHF
素直にあぼーんすればいいんじゃね?
>>821
同じことコピペしらくていいから。

824:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:20:24 svKvmB9Z
ID:ULiaD+XJさん
いい人すぎだろ・・5万も寄付なんかできないわ

825:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:20:38 KlYP06n8
>>822
同意だな
とりあえず、言いたいことはそれだけだ
これを荒らしという奴は中越沖地震の報道を見て、
亡くなっている人や家を亡くしたお年寄りや住人達が
体育館で暮らしている姿に笑っている心のない奴らだ・・

俺はきちんと5万ぐらい今回の地震の被災者に寄付しましたし
心の豊かではない人間は何でもかんでも荒らしと決めつけすぎ

では。もう、寝る

中越沖地震で亡くなった方々のご冥福をお祈りします
1日でも早く村が復興することを祈って。

826:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:22:25 KlYP06n8
>>824
同意だな
ID:ULiaD+XJさん
いい人すぎだろ・・5万も寄付なんかできないわ

827:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:22:53 YAFTNCHF
>>822
どうやったら寄付=嵐じゃないっていう式が成り立つの?
別にどうでもよくね?

828:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:24:43 YAFTNCHF
>>826
コイツなにがしたいの?


829:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:46:16 8So2+65s
いつもどーりニートの暇潰しでございます

830:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:56:17 VgT7NAHE
>>798完結お疲れ様です。
先輩はオイシいとこ持っていったなぁ。

831:sage
07/07/19 03:43:32 y+V0/BYg
このスレたまに阿呆と言うか暇人というか明らかに自作自演やって
頭の悪い文章書く奴が来るのが玉に瑕。
>>798GJ なんだが後1ひねりぐらいほしかった気もする

832:名無しさん@ピンキー
07/07/19 04:40:27 +VD1+yWi
>>798
完結お疲れ様です。
先輩かっこいーなおい……

……もう夏、か。

833:名無しさん@ピンキー
07/07/19 08:01:54 IWuJg6MI
>>798
完結GJでした!!

そしてス○ーしますた

834:名無しさん@ピンキー
07/07/19 09:05:07 Fx0Rbuxh
だが、トライデントの糞作者以外の神はGJなんだけどね・・
いい加減にスレの住人に見放されている現実を理解して欲しいよ

835:名無しさん@ピンキー
07/07/19 09:09:38 vknAnOzF
お前もな。

836:名無しさん@ピンキー
07/07/19 09:17:17 Fx0Rbuxh
問題にするべきはトライデントのブログのアクセス数偽造疑惑だと思うぞ
1日で2000も来るか? あの痴呆作者の文章なんて数秒で吐き気と悪寒がしましたけど

837:名無しさん@ピンキー
07/07/19 09:53:07 fHD/uv0N
>>776
>>798
キタ━━(゚∀゚)━━ !!!!!
ずっと待ってましたよ!先輩いいですね!!
トラ氏もGJです!

838:名無しさん@ピンキー
07/07/19 10:01:44 adAtEqST
なんだ、自粛するようになって少しは成長したかと思ってたらまた園児の癇癪レベルに逆戻りか
卒業するんだもん!とか言ってたのにな、それを覆した結果更にブザマ

839:名無しさん@ピンキー
07/07/19 10:01:51 8So2+65s
>>836
なんかもう飽きたよお前

批判したいならもう少し凝った文章を書いてくれ

840:名無しさん@ピンキー
07/07/19 12:20:39 ySG7xA7l
>>839
はいはいワロスww

841:名無しさん@ピンキー
07/07/19 13:01:34 8So2+65s
>>840
IDもわざわざ変えなくていいぞ―どうせ誰も引っ掛からないんだからさ
お前もいちいち面倒だろ?

842:名無しさん@ピンキー
07/07/19 13:03:49 adAtEqST
はいジャンガジャンガジャンガジャンガ

843:名無しさん@ピンキー
07/07/19 15:18:19 pjsuBqst
>>798
(*^ー゚)b グッジョブ!!
まとめサイトがあるから期間が開いても話が繋がるから大丈夫なんだぜ

それにしてももう夏か・・・
まぁ、荒らしてるニートには夏休みも関係ないだろうがな
スレ荒しが趣味とか空し過ぎる人生だな・・・ (´・ω・`)

844:名無しさん@ピンキー
07/07/19 15:25:42 MKqkXBHm
>>843
昼間から嫉妬スレで書き込んでいる方が空し過ぎる人生だと思うんですけどね

845:名無しさん@ピンキー
07/07/19 15:58:13 MKqkXBHm
トライデントのアクセス捏造疑惑はどうなったんだ?
誰も追及しないの?

846:名無しさん@ピンキー
07/07/19 16:16:07 m3YEI0zC
もうお前ら分かったから黙って待ってろ。

847:名無しさん@ピンキー
07/07/19 16:38:04 MKqkXBHm
どうして、そんな都合の悪い話題になると黙るんですか?
もしかして、私の非難や嫌がらせは全てトライデント氏の自作自演だったというわけか
これはついにトライデント氏の化けの皮が外れたかもしれんな

848:名無しさん@ピンキー
07/07/19 16:43:14 fHD/uv0N
>>843
夏って何か修羅場イベントあったっけ?

849:名無しさん@ピンキー
07/07/19 16:51:52 Lv03r3F8
>>848
どこかの夏祭りや花火大会では、自分が一緒に祭りを回るはずだった愛するお兄ちゃんや幼なじみを泥棒猫が奪って行く事件が多発しているのを知らないのか?

850:名無しさん@ピンキー
07/07/19 17:02:47 fHD/uv0N
>>849
(´゚ω゚):;*.ブッ
いいなあ、それ

851:名無しさん@ピンキー
07/07/19 17:33:58 1aHmYBA6
>>849
そしてその後、血で血を洗う争いが始まる訳だな。
素敵すぎるぜ。

852:名無しさん@ピンキー
07/07/19 17:40:06 QAqi6f3T
>>843
  俺的には、泥棒猫が、愛する弟をいきなり海に誘い出して
 セクシー水着で誘惑して、抱きつき攻撃などをかましてロマンスが盛り上がっている最中に、

  姉は買ってきた水着を見せびらかそうとして帰ってくるのをwktkして待っているのに一票。

853:名無しさん@ピンキー
07/07/19 18:22:01 hsuvbxpV
これはトライデント氏の自作自演キタァー(゜∀゜)ーー!!!!
だよな・・アクセス数偽造疑惑の件に触れない住人達はおかしい
それに俺は荒らしと言っている人間は被災地のために寄付とかしたのかよ

854:ボランティア(新潟)
07/07/19 18:26:29 y5iPeZzv
俺被災地に寄付したんだぜ~とかいって善人ぶっている偽善者がいるスレはここですか
じゃあお前ら被災地行ってボランティアしてるのかよ、と言いたい

855:名無しさん@ピンキー
07/07/19 18:40:05 Lv03r3F8
>>852
それは作者さんによってギャグかシリアスか別れる。山本君の作者さんが書くか、姉妹日記の作者さんが書くかで大きく違う。その両方を読みたいのは俺だけじゃないはず。
どちらにしてもそんなシチュエーションを思い付いた>>852は天才だよ。

856:名無しさん@ピンキー
07/07/19 18:45:44 fHD/uv0N
>>852
個人的には、普段大人しいorクールな姉が水着を買ってくるという設定を付け加えると
一気に俺の臨界点を突破するな

857:名無しさん@ピンキー
07/07/19 19:07:51 ZGBl4HDg
その妄想を文字で表現してみよう

858:名無しさん@ピンキー
07/07/19 19:37:36 N/ySb4ri
>>853
てか、トライデント氏のアクセス数偽造疑惑って何?
はっきり言うと単にトライデント氏のブログの繁盛ぶりに
荒らしが嫉妬しているだけでは? 

さすがは嫉妬スレだよな・・趣旨とか全然違うが

859:名無しさん@ピンキー
07/07/19 19:42:11 fHD/uv0N
>>857
高校以来文章なんか書いたことないから無理だ・・・
それにしても>>852の設定をそのままにするのも勿体無いな

860:名無しさん@ピンキー
07/07/19 19:43:29 JUjuq56S
>>856
普段大人しい姉が弟のためにゴスロリの服を着るというのはどうだ?
恥ずかしいけど、弟君のためなら頑張るって展開はどうよ

861:名無しさん@ピンキー
07/07/19 19:48:15 flcCc0B6
>>860
それだと「夏」のテーマから外れてしまうな
まあ、水着以外にも浴衣とかあるけどさ…
個人的には女性のタンクトップはめっちゃ萌える

862:名無しさん@ピンキー
07/07/19 19:50:31 JUjuq56S
夏のテーマとかあったのか・・
だったら、可愛い弟のために暑さを我慢して誰に見せたくて着ているのよ
って感じにスカート裾を摘み上げて、うちわで暑さを防いでいるのは・・

夏とか関係ないがこれは俺のツボに入るw

863:名無しさん@ピンキー
07/07/19 20:49:55 adAtEqST
「・・」←これ

864:名無しさん@ピンキー
07/07/19 20:51:32 adAtEqST
文章癖全部一緒でわかりやすいわかりやすすぎる
頭悪いほんとに頭悪い

865:名無しさん@ピンキー
07/07/19 20:52:55 EzfV12al
「・・・」はよく使われてるんだぜ。

なぜか、指摘すると逆切れされる率が高いんだよなー。

866:名無しさん@ピンキー
07/07/19 20:54:50 2i4Nobu5
またまた荒らしか

867:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:03:15 adAtEqST
>>865
違う違う
「・・」
↑いつも必ず二個なんだよ、彼は

868:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:09:23 9M0CJPfp
あー、そうね本当ね。
でも君もあんまり刺激しないようにね。
避難所でやろうね。ね。

869:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:23:34 a3s7Xg1G
トライデント氏が来なければ荒れないのに

870:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:24:16 2i4Nobu5
別に荒らしているわけじゃないのに煽ってどうするんだよ
バカじゃないの? 特にID:adAtEqST
そうやって、いちいち難癖を付けて構うから荒れるんでしょ
放っておけばいいのにさ。
ようやく、荒らしも落ち着いてネタを振ってきたというのに
これじゃあ、またまた荒れるよ。どうやって、責任を取るんですか?

871:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:29:25 pjsuBqst
>>849>>852の設定がステキ過ぎるぜ・・・
特に>>852の姉の姿を想像するだけで・・・(*´д`*)

872:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:32:07 fHD/uv0N
>>870
まあ落ち着こうぜ?本人も悪気はなかったかもしれないしさ
みんな疑心暗鬼になってるんだよ

とりあえず嫉妬するなら普段からつんつんしてるよりはクールなお姉さんに限るわw

873:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:45:29 UJAPASWe
>>861
夏にゴスロリとゆーと某ビッグサイト?

874:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:47:22 78ctDqmg
ビジュアル系バンドのファンかもしれん

875:名無しさん@ピンキー
07/07/19 23:16:44 1aHmYBA6
>>874
そんな姉はいやだww
実は美人なんだけど弟以外の男避けのために
普段はおさげ、眼鏡な地味な格好をしている姉とかがいいな。
んで泥棒猫の登場で大変身します。

876:名無しさん@ピンキー
07/07/19 23:41:33 fHD/uv0N
どこからか現れた正体不明のビジュアル系バンド
弟は一発でそこのボーカルのファンになってしまう
しかしそのバンドは、実は最近構ってくれない弟に注目してもらうために姉が作ったのだった・・・
ところが、彗星のごとく現れた違うバンドに弟は惹かれていく
そして弟を取られまいとする姉の葛藤が始まる・・・

>>674を読んでこんな電波を受信した。責任、取ってくれるよね♪

877:名無しさん@ピンキー
07/07/20 01:33:14 MTzLRiev
>>871
>>852は「山姉」で読みたいな。
従姉妹が連れ出してお姉ちゃんが待っていると。
連れ出した先に同級生がいたとかなら最強。

878:名無しさん@ピンキー
07/07/20 02:09:20 RDeK2/dR
何がどうなったら>>674を読んで>>876に繋がったのか俺にはわからない

879:名無しさん@ピンキー
07/07/20 03:11:32 PS5+44Wa
それならストレスが溜まるとデスメタルの魔王と化し、
泥棒猫をSATSUGAIしながら「弟をレイプ」を歌う姉の方が。

880:名無しさん@ピンキー
07/07/20 06:12:52 0SP94Rd3
>>879
面白いかもしれないけど歌ってる場面に出くわしたくは無いなwww

881:名無しさん@ピンキー
07/07/20 07:29:56 qV4aDIME
>>877
携帯は着替えと共にロッカーの中だから、再びループというわけか。
そして、帰れば梓や藤原さんの匂いがまとわりついてるから前回以上の修羅場になると。

882:名無しさん@ピンキー
07/07/20 13:04:17 Iddrqdo8
スレリンク(dqnplus板)
SHIT!

883:プロット王者
07/07/20 15:16:23 8pKlAu6a
低迷する日本のボクシング界。しかし、それを吹き飛ばすニュースが来た。
日本人初のヘビー級王者の誕生。彼は一夜にして国民的ヒーローとなった。
デビュー戦の時から彼を取材し、苦しい時も取材してくれた女性記者とともに
喜びを分かち合った。これを機に、彼の周りが一変する。アメリカの大手企業の
女社長が彼の人気ぶりに目をつけ、日本進出の足がかりにしようと、スポンサーになった。
そして、今や世界の主流であり、NO.1のキックボクシングの女プロデューサーが、
彼を引き抜こうとする。さらに、妹も世界王者を機に、彼に引退を迫り、二人きりの生活を、
実現しようとする。彼の人生は、どうなってしまうのだろう。



884:名無しさん@ピンキー
07/07/20 15:43:40 0M5LFYwe
36スレが現れたのが6/7
35スレ最後のレスが7/13
で、35スレが落ちたのが最近か?
これだけ長い間生き残るとは流石嫉妬スレ、恐ろしい子……!

885:名無しさん@ピンキー
07/07/20 16:36:18 lveAiLey
>>884
彼女、やっと力尽きたんですね・・・
これで名無し君と私の間には何の邪魔者もいなくなりました
クスクス・・・

886:名無しさん@ピンキー
07/07/20 19:09:13 LqA81MIE
■新スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その37
スレリンク(eroparo板)

887:名無しさん@ピンキー
07/07/20 19:12:05 UzhoeIlr
( ゚д゚ )

888:名無しさん@ピンキー
07/07/20 19:17:52 2pRf10gg
ん?おかしい・・・35スレがまだ残ってる
この間見かけたとき500kbだったのにまだ残ってる
・・・おかしい、だってそうでしょう!?
最後のレスが7/13なんだ、残ってるはずないんだ、ありえないんだそんこと
途端にアタシあぁあぁぁぁーっ!!! って叫んで腰抜かした!
35スレがね、そこにポツーンと立ってたんですよ、えぇ

889:名無しさん@ピンキー
07/07/21 11:11:18 bkC/SHbf
え、何……!?
やっとあの忌々しい35スレが消えたのに今度は新しい子に手を出すっていうの!?

890:名無しさん@ピンキー
07/07/21 11:24:01 xMSbj4Gu
僕がすきなのは37スレ先輩だけですよ
え、いつも一緒に36スレちゃんがいる?
やだなぁ、先輩、幼馴染の腐れ縁ですよ
いつも好きだって言い合ってるって?
それも挨拶みたいなものですよ
あいつももう大人だしそのぐらい分かってると思いますよ
先輩が気にしてるなら今度言っておきますよ
もう纏わり付かないでくれって

891:名無しさん@ピンキー
07/07/21 13:02:38 Tiw6YRMt
世に泥棒猫の種は尽きまじ
猫は年中発情期だからいつでも妊娠可能なの
だから泥棒「猫」

892:名無しさん@ピンキー
07/07/21 13:21:03 4NtZw0ld
発情したメス猫ほど恐いものがない
後ろを振り返ると奴が居るぜ

893:名無しさん@ピンキー
07/07/21 19:46:27 iPnFnM1z
彼と彼女と泥棒猫の暑い夏が今…

始まる

894:名無しさん@ピンキー
07/07/21 19:58:50 9pqxhuYE
修羅場先生の次回作にご期待ください!

895:名無しさん@ピンキー
07/07/21 20:09:20 Uou9hs7g
修羅場スレに絶望したーーーー!!


896:名無しさん@ピンキー
07/07/21 20:16:08 WrkT8jgw
楽よね、修羅場キャラって。

897:名無しさん@ピンキー
07/07/21 20:35:24 GScwrZdT
修羅場スレにようこそ

898:名無しさん@ピンキー
07/07/21 23:29:42 XHnbhmY1
>>896
まじで!?

899:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:19:30 Su1iLB7F
嫉妬

900:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:20:52 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬

901:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:21:41 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬

902:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:22:46 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬

903:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:23:51 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬

904:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:26:37 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬

905:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:27:23 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬

906:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:28:21 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬

907:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:29:35 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬

908:名無しさん@ピンキー
07/07/22 18:30:07 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬

909:名無しさん@ピンキー
07/07/22 19:32:58 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬



910:名無しさん@ピンキー
07/07/22 19:34:45 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬

911:名無しさん@ピンキー
07/07/22 19:35:34 Su1iLB7F
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬


912:名無しさん@ピンキー
07/07/22 19:37:50 leMc7mFf
つまらん


913:名無しさん@ピンキー
07/07/22 20:17:46 rIMx2/WM
埋めネタを考えている人もいるかもしれないから、雑談等以外で無駄に容量を使うのはやめにしないか?

914:名無しさん@ピンキー
07/07/22 20:29:18 RLrw8Czs
何よ、それ……。
なによッ、それェ!
『今まで支えてくれてありがとう』
ですってぇ!?
ふ ざ け る な。
七梨はアタシのだッ! ずっと、ずっと昔からアタシだけの物だッ!!
あんなポッと出の雌豚なんかに七梨はやらない。いいやっ、他のどんなヤツにもやるもんか。




殺してやる。
美奈子。アタシから七梨を奪おうとする雌豚。アンタもあの御子神の泥棒猫とおんなじところに送ってやるっ!!!!!


35の語呂合わせが難しかった。

915:名無しさん@ピンキー
07/07/23 00:17:28 QIh1L4XH
「ナナシくんはえらいわね~」
そう言って、せんせいはアタマを撫でてくれた。

ミロクせんせいは、とっても美人で、すっごく優しい。
ボクはそんなせんせいが大好きだから、一番キレイなお花を摘んできてプレゼントした。
「ありがとね、ナナシくん」
ちゅ、って音とちょっとの温かいがほっぺに当たる。
家族以外のチューは大人な感じがして照れくさかった。

「ナナシくん、ここにいらっしゃい」
ご本を読む時間になると、せんせいはボクをヒザの上にのせてくれる。せんせいの吐く息が耳にあたってくすぐったかった。
気付いたらボクは、せんせいの腕の中で寝ていた。
「ナナシくん、わたしのうで掴んだまま離してくれないんだもん」
そう言ったせんせいの顔は、なんでかはわからないけど嬉しそうだった。
まわりを見てみると、みんなお昼寝していたからもう一回ねむることにした。せんせいの手を外そうとしたら動かなかった。ねむくなったから寝ちゃった。

お昼寝の時間が終わると、みんなはまたお外で遊ぶ。せんせいは、みんなが使っていたタオルを片付けてた。
「ナナシ、おままごとしよ」
そう声をかけてきたのは、保育園に入る前からの仲良しのミナちゃんだった。
保育園

916:名無しさん@ピンキー
07/07/23 01:29:32 RC9U2y28
wktk

917:名無しさん@ピンキー
07/07/23 18:22:52 kRO7wWk0
>>915
おまwなにその焦らしプレイw





続き期待してますm( __ __ )m

918:名無しさん@ピンキー
07/07/23 23:31:20 7VyEk7s6
前スレの梅ネタの三姉妹物は面白かった
今回も梅ネタとして書いてくれんだろか?

いや、新スレで本格連載でも一向に構わないのだが

919:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:18:33 9Tpdamjy
>>918
おk。投下します。

920:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:19:56 9Tpdamjy
 吉村一男という男は高校生のくせに、朝5時には起きるような生活を送っている。
 新聞配達をしているわけでも、牛乳配達をしているわけでも、食事の用意をするために早起きしているわけでもない。
 この男が早起きする、いや、早起きするようになった理由。
 それは。

「……今日こそ、一男の唇を……私のものに……」

 モデル級のスタイルと長い黒髪と妖艶な笑みを浮かべる女が、何故か早朝から部屋に忍び込んでいるからだ。
 この女、名前を倉子という。
 一男の幼馴染であり、一男より3つ年上で、一男にとっては姉的存在だ。
 職業は大学生。成績優秀、容姿端麗という女性として非の打ち所のない特徴を持つ。
 しかし彼女の場合、性格に難がある。

「一男の朝の匂い……今日は誰にも…………組子にも恵子にも嗅がれていない、匂い……」

 ああ! とうめきながら、一男の体の上で背中を仰け反らせる。
 このように、年下の男の部屋に勝手に忍び込んだうえ、悦に浸るのだ。
 倉子のこんな表情を見たら、いつも倉子を遠巻きに見ている大学の男達も引いてしまうだろう。

「まだ起きていないようだな……ふふ。昨日は夜の一時まで起きていたようだし、当たり前か……」
「…………」

 ちなみに、一男はとっくに目を覚ましている。
 倉子が自分の体の上に乗っていることを知っている。
 それどころか、部屋のドアの鍵を無理矢理こじ開けて、部屋に忍び込んだ光景まで目撃している。
 起きているのに、倉子に何も言わないのは、まだ眠いからだった。
 それと、もうひとつ。

「今から恵子が起こしに来るまで、2時間。それだけあれば……アレもコレも、嗚呼、よりどりみどり……」

 1人で変態のような独白を続ける倉子の表情が、見ものだからだ。
 昼のうちは凛々しい表情をしている倉子も、今ばかりは頬を緩ませている。ひどく緩ませている。
 ぜひとも写真に収めておきたい表情だ。
 倉子にアイドル的な憧れを向けている一男の友人連中に高く売れるかもしれない。

「夏休み初日から、私は運がいい……一男、さあ、一緒にワンダーランドへと旅立とう」

 倉子の両手が、一男の頭を掴んだ。
 そして、一男の唇を奪わんと、顔を接近させてくる―が。


921:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:21:12 9Tpdamjy
「む! ……ち……目を覚ましていたか……大人しくしていればいいいものを」
「おはよう、倉子さん」

 倉子の唇と一男の唇が触れ合うことはなかった。
 一男の右手が、倉子の喉元を掴んで止めていたのだ。

「おはよう、一男。ところで、その右手をもっといいことに使ってみる気はないか?」
「その、いいこと、の内容次第ですね」
「一男、女に恥をかかせるな。何をするかなんて……よくわかっているだろう? とっくに私で経験済みのくせに」
「倉子さんと一緒に過ごした経験はたくさんありますけど、そういう意味での経験はないです」
「ふふ……そのそら惚けた感じが、またそそる……」

 倉子が一男の後頭部で、両手を組み合わせた。
 サバおりの要領で、獲物を狙う目をした倉子が一男に顔を近づけていく。
 しかし一男とて負けてはいない。
 右手をそのままに、空いた左手を使って倉子の額を押し返す。

「倉子さん。いつも通り諦めてください」
「だが、断らせていただこう」
「何度やったって結果は同じですよ」
「遠い昔を生きた日本人は、いい言葉を残した」
「?」
「勝てば官軍、と」

 倉子の言葉に、一男は一瞬気をとられた。
 それが、致命的な隙になった。
 突然体を離した倉子が、一男の股間の上に―膝を叩き込んだ。
 一男の脳が、停止した。
 だが次の瞬間、痛みが脳を再起動させた。

 すまん、親父。母さん。俺……子供を作れなくなっちゃったよ。

 と、一男は思った。
 それほどのすさまじい一撃。
 うめき声は漏れない。そもそも息が吐き出せない。息の代わりに内臓を吐き出しそう。
 例えようのない痛みだ。
 男にしか、この痛みはわからない。
 その証拠に、倉子は悶絶している一男とは対照的に笑みをこぼしていた。

「ようやく大人しくなったな。さあ、早速……む? どうした、おい。一男? かーずーおー?」

 死にそうになっている一男とは対照的に、倉子の声は呑気だった。

 こうやって、一男の夏休み第一日目の朝は幕を開けた。
 もしかしたら、俺の今年の夏休みはこんなんばっかか?
 と、一男は不安にならざるを得なかった。


922:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:22:55 9Tpdamjy
*****

 朝の7時。
 どうにか体を蝕む最悪の痛みから回復を遂げた一男は、近所の公園に来ていた。
 なぜ一男がこんな朝早くから公園に集まっているのかというと。

「手足の運動! イッチ、ニ、サン、シ……」

 早朝から、小学生の夏休みの定番、ラジオ体操をしに来ているからだった。
 ちなみに、一男は高校二年生。小学校からはすでに卒業している。
 それなのに、なぜ朝から元気よく体操をする小学生達に混じっているのか。
 もちろん、それにも理由がある。

 一男は首を左に向けた。
 目線の先には、一男の胸元ぐらいまでしか身長のない、小学生にしか見えない少女がいた。
 少女は朝から眠そうな顔も見せず、明るい笑顔でラジオ体操を踊っている。
 この少女、名前を恵子と言う。
 一男の幼馴染であり、倉子の妹であり、一男にとって妹的存在である女の子だ。
 公園に集まっている小学生に混じっても、恵子は違和感がない。
 しかし、恵子は小学生ではない。卒業してから、すでに2年以上が経っている。
 恵子は中学校3年生。高校受験を控えている、受験生だ。

 一男は、恵子に誘われてラジオ体操に来ているのだ。
 当然、一男は乗り気ではない。今すぐにでも眠れるぐらい、睡魔に侵されている。
 それなのに恵子の誘いを断りきれないのは、一男が恵子に対して甘いからだ。
 しかし、それも無理はないかもしれない。
 胸の前で祈るように両手を組まれ、目に涙を溜めて頬を震わせ今にも泣きそうにな顔を見せられては、断れるはずもない。
 というわけで、一男は公園に来ているのだった。

 ラジオから流れる音楽が止まった。ラジオ体操第一番が終わったのだ。
 本来は第二番まであるのだが、小学生は第一番までしかやらない。
 町内会の当番で子供たちの面倒を見に来た青年も同様だ。
 ラジオ体操第二番の音楽を流しだしたところで、ラジオの電源は切られた。

 子供たちは、皆首にカードを垂らしている。
 小学校の先生達から渡された、ラジオ体操のハンコを押すためのカードだ。
 子供たちは一斉にハンコを持った青年の前に列をつくった。自分のカードにハンコを押してもらうためだ。
 恵子も周りの小学生と同様、列に並んだ。首に垂らしているのは、自作のカード。
 毎年ラジオ体操にでかけている恵子は、準備を欠かさない。

 一男は小学生の列から離れて、恵子の後頭部をなんとなく見つめた。
 なんで恵子はわざわざ俺まで誘うんだろうか。一人で行けばいいのに。
 その答えは、いまだ謎のままだった。
 恵子に聞いても、笑顔ではぐらかされるばかりで一度も答えてもらったことがない。
 嫌がらせだろうか?とは思わない。
 純粋な恵子がそんなことをするはずがないと一男は信じているからだ。


923:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:24:39 9Tpdamjy
「お兄ちゃーーん!」

 と叫びながら、一男に接近してくる小さな女の子が1人いた。
 女の子は細い手足を精一杯振り回しながら、短い距離を全力疾走する。
 一男の前につくと、罪を犯していないのに見に覚えの無い罪を認めてしまいたくなるような、穢れのない笑みを少女が見せた。
 少女の背は一男に比べてとても低かった。が、恵子よりもさらに小さかった。
 駆け寄ってきた女の子は、恵子ではなかった。

「見てみて! これ!」
「ん」
「夏休み第1回目のラジオ体操のハンコ!」
「あ……ああ、そっか」

 と、女の子の勢いに押されて一男は締まらない返事をした。
 途端に女の子の表情が曇る。

「どうしたの、お兄ちゃん。……元気、無いの?」
「いや、そんなことはないけど」

 女の子の悲しそうな瞳が、一男の胸を締め付ける。
 まずい。なんだか、今にも泣きそうだ。
 一男は焦った。こんなときどうすればいいのか、わからない。

「どうしたの? ……もしかして、お兄ちゃん考え事してた? 美加、邪魔だった……?」
「いやっ! いやいや、そんなことないよ。美加ちゃん。よかったね、ハンコ、もらえて」

 一男は中腰になって、美加と目線の高さを合わせると、柔らかい艶やかな黒髪を撫でた。
 どこから来たのかわからない罪悪感に苛まれながら、精一杯の笑顔を見せる。
 しばらく撫でているうちに、美加の顔に輝きが戻っていく。

「うん! お兄ちゃん、明日も、来てくれるよね! ここに!」
「え? えっと……」
「え……来て、くれないの……やっぱり、お兄ちゃん、怒って………………っふぇ……ぇっく……」
「もちろん来るに決まってるじゃないか! 俺はラジオ体操大好きだから!」
「え? ホントに……? よかったぁ……えへへ」
「はっはっはっはっは……ははは」
「あ、もう行かなきゃ! じゃあ、お兄ちゃん! またねー!!!」

 美加は一男から離れると、手を振りながら去っていった。
 一男は中腰のまま、美加に向けて小さく手を振った。
 美加に負けた気分だった。女の子、しかも小学生に負けた。
 これから、夏休みの間は毎日ラジオ体操にでかけなくてはならない。
 朝から、散々だ。


924:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:26:54 9Tpdamjy
「お兄ちゃん」

 一男の目の前に、恵子があらわれた。
 中腰のままだったので、ちょうど目線の高さが同じになっている。
 このときの恵子の顔は、ムクれていた。

「……むー」
「どうしたんだ、恵子」
「……むー、むー!」
「何だ? むーって」
「むー、むー、むー!」

 むーむー言いながら、恵子は一男に頭を近づけた。むー、と言うたびに頭が少し前に出る。
 一男は恵子が何も言わないので、その奇妙な動きを見続けていた。
 すると、こんどは恵子が自分の頭に人差し指を向けた。

「さっきの! やって!」
「さっきの、って……美加ちゃんの頭を撫でたやつか?」
「そう! やって!」

 撫でるのは別に構わなかった。それぐらいならお安い御用だ。
 だが、なぜ恵子が頭を撫でてくれ、と催促してくるのか一男にはわからなかった。

「お前、子供扱いされるの嫌じゃなかったっけ」
「い……いいの! 早く撫でて!」
「わかんないやつだな、お前も……」

 一男は美加と同じように、頭を撫でた。
 そうすると、つい恵子と美加の髪の柔らかさを比べてしまう。
 髪の柔らかさは……同じぐらいだな。
 けどなんていうか、撫で心地?は美加ちゃんのほうがいいかも。
 と思ったのがいけなかったのだろう。
 いきなり、恵子が一男の頬をつまんだ。続けて、力強く引っ張った。

「いててててて! 何すんだ、恵子!」
「今、美加ちゃんのこと考えてたでしょ!」
「か……考えてないぞ。………………本当に」
「嘘つき! 今絶対に美加ちゃんのこと考えてた! やっぱりお兄ちゃん、年下の女の子が好きなんだ!」
「な……何てことを言うんだお前は! 失礼な!」
「馬鹿馬鹿馬鹿ぁ! お兄ちゃんの馬鹿ぁ!」
「あだだだだだだ! さらに力を込めるな! 腫れる! 千切れる! 潰れるって!」
「お兄ちゃんの、小児性愛の意味でのロリータコンプレックスーーーーー!!!」


925:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:28:27 9Tpdamjy
*****

「―で、今現在頬が赤くなっているからガーゼを貼っている、ってわけね」

 セミの鳴き声と夏らしい日差しと暑さを紛らわしてくれる風の吹く、学校へ向かう道。
 その道を、左頬にガーゼを貼ったままの一男と、スポーツバッグを肩にかけた組子が歩いている。
 一男は学校指定の制服を着ている。
 理由は、補習を受ける人は授業を受けるときと同じ格好をしなければならない、と先生に言われたから。
 一男は夏休み前の期末テストで、5教科中3教科赤点をとった。
 赤点だった教科は現国・英語・現代社会。
 ちなみに、残りの数学と理科は高得点だった。
 これほど顕著に自分の長所と短所がはっきりすると、むしろ自慢したくなる。
 もちろん、自虐的な気分で。

「恵子もしょうがないわね。まだまだ子供で」
「おう。まったく、お前と倉子さんはどんな風に恵子をしつけたんだ? あれじゃ将来、困った大人になるぞ」
「そうね。どこかの理系バカみたいになったりしたら困るわね」
「だな。どっかの暴力バカ女みたいになったりしたら、俺の身が持たないな」

 組子は一瞬顔を歪めたが、すぐに平静な表情をつくった。
 いや、むしろ嬉しそうにも見える。

「ま、もしラジオ体操に行きたくなかったら私に言いなさい。ラジオ体操の代わりに、
 私が朝のロードワークに連れてってあげるから」
「それはいいな。自転車に乗りながらお前の後を追走するんなら、トレーニングにもなるし」
「あんたも走るのよ」
「ならやめだ。恵子とラジオ体操に言ってるほうがいい」
「軟弱者」
「うるせえ」

 組子は高校の陸上部に所属している。大会では長距離を走る。
 陸上部の中では、特別成績がいいほうではない。
 同じ部の中には、組子より速い人間がたくさんいる。
 それでも勝つことを組子は諦めなかった。組子は努力家で、さらに負けず嫌いだった。
 朝に行う自主的なジョギングを欠かさないのも、その性格ゆえのことだ。

「そういや、陸上部って練習でどれぐらい走ってるんだ?」
「そうね……ウォーミングアップで軽く10kmぐらい走って、それからシャトルランを20本やって……」
「あー、いや、いいや。聞いてるだけで吐きそうになってきた」
「慣れれば簡単よ。あんただってできるわ」
「慣れる前に体を壊しそうなんだよ。いや、壊されそうだな」

 組子、お前にな。

「ん? 今、なんか言わなかった?」
「んにゃ。何にも言ってねえよ」


926:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:30:16 9Tpdamjy
 会話をしているうちに、2人は高校の正門をくぐっていた。
 これから、一男は自分の教室で補習を受ける。そう考えると、どうしても足が止まる。
 一男は空を見た。空は青かった。まるでプールのようだ。
 今日は夏休み初日だっていうのに、俺的には記録的な猛暑だ。
 プールに入って泳いだら、気持ちいいだろうな。
 ああ、そうだ。

「組子、練習は何時に終わるんだ?」
「9時から始まるから、練習が終わって、シャワーを浴びて……12時前ぐらいかしら」
「俺も同じぐらいの時間に終わるんだ」
「そうなんだ。で、それがどうかしたの?」
「ああ、もしその後予定が無いんなら、プールでも行かないか?」
「……プール?」
「今日暑いだろ? なんだかプールにでも行きたい気分なんだよ」

 組子は歩みを止め、一男を見た。

「あ、あのさ……それって、2人っきりで、だよね」
「別に誰か連れてきてもいいぞ。人が多いほうが色々遊べるかもしれないし」
「いっ、行かない行かない! 誰も連れてなんか行かない!」

 組子はショートヘアを激しく振り乱しながら、首を振った。
 次に、組子は首を前へ倒した。そうすると、自然と目は下を向く。
 組子の目は、自分の体へと向けられていた。腕はせわしなく動いていた。
 シャツの胸元を引っ張り、腕を伸ばしたり、シャツごと腹をつまんだり、両手で太腿を掴んだりする。

「体脂肪は……今朝はいい感じだった。この間測ったとき胸は……センチだったし、ウエストもオッケー。あとは……」
「組子?」
「えっ、ああ、いや、そのあの、あはははは。……なに?」
「行きたくないか? なら俺1人で行くからいいけど」
「なっ―!」

 次の瞬間、一男は胸倉を捕まれていた。組子の手によって。

「行かないなんて言ってないでしょ? 連れていきなさい」
「あ、ああ。わかった。だけど何で俺の制服の襟を掴んでるんだ、お前」
「気にしないで。ものの弾みよ」

 そう言うと、組子は一男を解放した。
 肩にかけたスポーツバッグの位置を整え、歩き出す。一男も慌ててそれについて行く。

「じゃあ、昼飯を食ったら近くの町民プールで待ち合わせな」
「ええ。あんた、誘ったんだから絶対に来なさいよ」
「わかってるよ。じゃあ、また後でな」

 その言葉を残して、一男は校舎の中へと入っていった。
 残された組子は、一男の前では決して見せることの無い極上のスマイルを浮かべていた。
 その目がギラギラと光を放っているのは、どういう意味なのか。
 ―全ては、組子のみぞ知る。

927:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:31:50 9Tpdamjy

*****

 夏休みの教室は蒸し暑く、また寂しかった。
 なにせ、学期中には大量にいるクラスメイトが、今は一男と同級生の女の子の2人だけしかいないのだ。

「ねー、吉村くん」
「んー? なんだ、神川」
「暑い」
「俺だって暑い」
「……いっこだけ、聞いてもいい?」
「ああ」
「なんで私達だけしかいないの? 他にも何人かいたじゃん」
「皆適当な理由つけて休んでるみたいだぞ。
 森園は風邪、慶太は入院、大島はおばあちゃんの三回忌、田中は太陽が燃えているから。
 馬鹿だよな。補習に一日でも来ない日があったりしたら二学期中ずっとボランティア活動だってのに」

 だが、一男も休んでいる連中と同じように補習をサボりたかった。
 今でも県内一周旅行への情熱は心の中でくすぶっている。
 旅行に行きたいと考えると、その炎はあっというまに一男の心のガソリンに火をつけた。
 炎が、一男の脳の妄想スイッチを入れる。
 ああ、今すぐ自習課題のプリントを紙飛行機にしてやりたい。
 そして風に流されるまま、飛行機に乗って、あの雲の彼方へと、誰も知らない地へと飛んでいきたい。
 おお、あの雲は倉子さんのおっぱいみたいじゃないか。
 あそこでかくれんぼしている子供なんか恵子そっくり。
 あれ?組子?なんでお前俺の背中に乗ってるんだ?
 なに?今からプールに行きましょう?
 そうだったな。これが終わったら、大衆的地上の楽園、町民プールへ行こう。

「プール……行きてえなあ」
「いいよねー、プール。私も水泳部に入ってればよかったな。
 そしたら練習にかこつけてプールで泳ぎ放題遊び放題なのに」
「俺は天井がある町民プールの方が好きだな。
 学校のプールは水に浸かってるときはいいけどプールの横の通路なんか焼け石じゃねえか」
「そだねー……町民プールか」

 一男は窓側の席から、グラウンドを見下ろした。
 グラウンドでは、サッカー部、ラグビー部、野球部、陸上部、その他の面々が太陽の下で運動をしていた。
 あれに比べたら、直射日光が当たらない分、教室の方が快適かもしれない。
 しかし、運動部の連中を見ていると本当はあそこの方が過ごしやすいのではないかとも思える。
 実際は、運動部のメンバーは暑さにやられそうになりながら練習に取り組んでいる。
 少し考えればわかりそうなものだが、シャツを不快に湿らせる暑さをプレゼントする教室で補習を受けている一男には、
そんな判断もつかなかった。


928:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/25 00:32:45 9Tpdamjy
 だからだろうか。
 こんなことを言ってしまったのは。

「神川。今日暇か?」
「午後からは暇だよ。デートのお誘い? おごりならついていくよ」
「別にデートに誘ってるわけじゃねえよ。暇だったら午後からプールにでも行かないか、って言おうとしただけだ」
「……それ、デートに誘ってるのと同じだよ」
「そうだっけ? まあどっちでもいいや。俺は午後から町民プールに行く。
 そしてトロピカルバナナサンデーを堪能しながら夕方になって涼しくなるまでプールの中で過ごす。邪魔はするな」
「何言ってるかわかんないよ。……でもいいね、プールかあ……」

 神川は、椅子の背もたれにもたれながらつぶやいた。

「去年の水着、どこにしまったかな……?」

 時刻は11時を差していた。
 太陽は地上を歩く人々に恨みを抱いているかのごとく、己の身を焦がし続ける。
 この勢いはこれから一ヶ月、いや二ヶ月は続くだろう。
 太陽が燃え盛っている間、ずっとプールに浸かっていたい、と一男は思った。
 心の底から、そう思った。



929:名無しさん@ピンキー
07/07/25 00:35:20 9Tpdamjy
次回へ続きます。




930:名無しさん@ピンキー
07/07/25 01:45:59 6bWimWEq
GJぃ!
これは危険な香りだなぁ
修羅場フラグ立てまくりじゃないかww

931:名無しさん@ピンキー
07/07/25 01:47:30 Fgx4gmeU
相変わらず埋めで終らせるにはもったいない出来ですGJ。でもヘタに本編出して流血沙汰も困るから、コレはコレでいいのかな。
続き楽しみにしてます。

932:名無しさん@ピンキー
07/07/25 03:27:37 wcy+zVjU
918です
いや、言ってみるものだなぁ お陰でこんな素晴らしい作品が読めたGJ!!
恵子可愛いよ恵子
新キャラ増えてるし主人公わざわざ修羅場フラグ立ててるしwww
梅に拘らず出来上がったらジャンジャン投下してください
期待して待ってますから

933:名無しさん@ピンキー
07/07/25 08:43:41 JroYDK3c
>>929
(*^ー゚)b グッジョブ!!

埋めにはもったいないが
スレ終盤になればこれが読めるとなると
スレ消費が激しくなるからいいかも
まぁ、無駄に消費されても困るが (´・ω・`)

934:名無しさん@ピンキー
07/07/25 23:40:14 yHEe5Ptq
GJ

935:名無しさん@ピンキー
07/07/26 08:28:13 0xdk/svH
ヤベェ、普通に面白いから埋めには勿体ないぜマジで


936:名無しさん@ピンキー
07/07/26 21:12:17 e/NPawqk
このスレもまた35スレのように何週間も未練と呪詛を残し落ちていくのだろうか

937:名無しさん@ピンキー
07/07/27 10:54:27 lgz9whHk
要望があってから書いたわけじゃなく、予め書いてあったのを
張りつけたんだろうな。時間的に。

自演じゃね?って疑ってる訳ではなく、要は書き溜めしてるように
感じたって事だが。

938:名無しさん@ピンキー
07/07/27 11:53:34 wXgmZxS0
書き溜めは大切だよ


939:名無しさん@ピンキー
07/07/27 13:28:43 KXABaYz+
予め書いておいて次スレが建った頃を見計らって投下してるんだろうな
捨てられるスレの最期の一撃みたいでいいじゃないか

940:名無しさん@ピンキー
07/07/27 17:43:26 lLhvyjKV
このスレの住人は職人に限らず怖い例えを考える天才でつね。

941:名無しさん@ピンキー
07/07/28 01:29:52 7wYtae0h
つまり言葉様投身の図というわけか?

942:名無しさん@ピンキー
07/07/28 13:50:00 WP/XH5w2
賭けないか?
1000いくのが先か500kbいくのが先か・・・


943:名無しさん@ピンキー
07/07/28 23:42:31 QmyHmjyn
943

944:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 19:24:15 btxwkjdG
*****

 一男は、学校で午前中一杯補習を受けたあと、自宅への帰路についた。
 帰宅の手段は、徒歩。自転車通学をするほど学校から遠い場所に住んでいるわけではない。
 もう少し離れた場所に家が建っていたならば、と一男は何度か思ったことがある。
 一男の趣味は自転車に乗ること、そして自転車で旅行に行くこと。
 今年の夏休みは自転車旅行に行くつもりだった。
 期末テストの前日までに、旅行の計画はほぼ完成していた。
 どこに行って、どこに宿をとって、どこで写真をとって、と行ったところまで考えていた。
 あとは旅行に行って計画を実行するだけ、だったのだが。

 結果的に旅行に行くことはかなわなかった。
 こうなったのは誰のせいなのか? もちろん一男だ。
 一男が普段からテスト勉強を行っていればよかったのだ。
 勉強に向ける時間をアルバイトやら筋力トレーニングやらに費やしてきたのが悪い。
 しかし、一男を責めるのも酷かもしれない。
 17歳の男子高校生は、遊びたい盛りなのだ。

 時々、一男は思うのだった。
 期末テスト前、倉子・組子・恵子の三人に勉強を頼んだときのことを。
 組子1人に頼んでいれば、何もかもが上手くいっていたかもしれない。
 組子の成績は、一男にとって頭が上がらないほどのもの。2人の差は歴然としている。
 数学と理科は一男も張り合えるレベルではあるが、それ以外の教科でどうしても差がつく。
 それ以外、つまり現国・現代社会・英語の三教科。
 だから、組子に苦手教科を全て教えてもらっていれば補習は免れたかもしれなかったのだ。

 もしくは倉子に頼むか、だ。
 倉子が高校に行っているころ、一男はまだ中学生だったので、倉子がどれほどの成績を誇っていたのかはわからない。
 しかし、どうせ学年トップだったんだろうな、と予想はできる。
 昔から倉子は賢かった。
 一男が何を聞いても答えてくれたし、わからないことを聞かれても後になって教えてくれた。
 道路を挟んで向かい側に住んでいるので、倉子が学校へ行く姿は毎日見られた。
 小、中、高。毎日、倉子は学校へ通っていた。雨が降ろうと雪が降ろうと、必ず一男の家にやってくる。
 そして一男を引っ張って学校へ通学するのだ。そのため、一男は病気以外で休んだことが一度も無い。
 成績優秀、品行方正。絵に描いたような優等生だ。
 性格に難はあるものの、そんなものは深く付き合わなければわからないものであり、倉子はどこまでも優秀な女子生徒だった。

 勉強を教えてくれる相手が優秀であれば、一男にとっては組子でも倉子でも、どちらでも良かった。
 少しばかり頼りないが、見た目小学校高学年、実際は中学3年生の恵子に頼んでも良かった。
 補習から逃れられるのであれば、どんな手段でもかまわなかった。たとえ最良の手段ではなくても。

 一男はここまできても、気づいていなかった。
 10年以上幼馴染の三姉妹と過ごしてきているのに、未だに彼女達が自分に向けている好意に気づいていなかった。
 その好意ゆえに彼女達が、誰が一男に勉強を教えるかで揉めに揉めて揉めまくったということにも気づいていなかった。

 もちろん、先刻に自分が神川をプールに誘ったことが、一体どんな事態をもたらすのかという心配はしなかった。
 さらに悪いことに―自分が組子をデートに誘ったという自覚すら、一男にはなかった。


945:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 19:25:37 btxwkjdG
 一男は自宅の玄関前に立つと、かばんの中から家の鍵を取り出した。
 ドアの鍵穴に鍵を突っ込み、右に捻る。なぜか、手ごたえがない。
 一男の家の玄関は、右に回せば開錠される仕組みになっている。
 それなのに、右に回しても手ごたえがなかった。
 つまり、帰り着く以前から、ドアの鍵が開いていたということだ。
 しかし、一男はあまり不安を覚えなかった。
 なぜなら、こんなことは日常茶飯事に発生する事態だったからだ。
 いちいち反応していては一男の身がもたない、というくらいにありふれたこと。
 
 簡単に言ってしまえば、知り合いが一男の家に入り込んでいるのだった。無断で。
 そんなはた迷惑なことをする人間に、一男は1人しか心当たりがない。
 心の中で三点リーダを読む。点、点、点。玄関を開ける。
 途端に香ばしいカレーの匂いが一男の鼻腔をくすぐった。
 日本の家庭であれば、帰ってきたときにカレーの匂いがするというのは珍しくない。
 しかし一男の母親は出張に出かけている。そのため家の中で料理をしているはずがない。
 父親についても同様であるし、そもそも父親は料理が得意ではない。一男についても以下略。

 読破済みの漫画を読み返す、淡々とした心地で台所に向かう。
 茶色のすだれを右手で避けて、台所の入り口から中を覗く。
 そこに居たのは、予想通り長い黒髪をリボンで結って、これまた予想通りにエプロンを着こなして料理をしている倉子だった。
 倉子は、聖火を掲げるように、小瓶を頭上に持ち上げていた。

「倉子さん」
「ふふ……あとは、これを入れれば……一男は……」
「ただいま、倉子さん!」
「―むっ!」

 突然一男の顔目掛けて、スプーンが飛んできた。反射的にかばんで受け止める。
 スプーンは床に落ちて、しまりの無い音を立てた。
 そして、静寂。2人はしばし睨みあう。
 先に口を開いたのは、投擲後の姿勢を崩さないままの倉子だった。

「……一男か。お帰り」
「ただいま。ところで……今の攻撃の意図はなんですか?」
「すまない。弾みでやってしまった。今は反省している」
「何の弾みですか。もしかして、なんかやばいことでもしようとしてたんじゃ……」
「はっはっは。時々一男はするど……面白いことを言うな。私がそんなことをするはずがないだろう」

 それはどうだろう、とかずおは 思った。
 そもそも、勝手に人の家に入り込んで料理を作っている人の言葉を信じろ、というのに無理がある。
 勝手に忍び込んでも倉子が何もしないということは信じているが、未だに真意は図れない。
 
「その小瓶、なんですか? 香辛料じゃなさそうな感じですけど」
「一男。世の中には気にしなくていいことというものがある」
「……はい」
「この小瓶を気にするのなんて、でたらめな知識で小説を書く小説家の、知識の真偽を気にかけるようなものだ」
「……つまり?」
「細かいことは気にするな。終わり良ければ全てよし、ということだ」


946:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 19:27:09 btxwkjdG
 そこまで言うと、倉子は一男に背を向け、ガスコンロの火を止めた。

「さ、もうできたぞ。この私特製のカレーだ。一緒に食べよう」
「はい。……ご飯、用意してもらってすいません。勝手に忍び込んだ人に言うのも変ですけど」
「何を言うんだ。ここは一男の家。ということは私の家でもある」
「遠慮しないんですね」
「これでも遠慮しているんだぞ。本当なら夜もこの家で眠りたいんだが、妹2人がうるさくてな」
「ああ、あの2人ってまだ倉子さんにべったりなんだ。なんだかんだ言いつつも倉子さんがいないと寂しいんですね」
「え……いや、そういう意味ではないが……」

 はっ、としたように、倉子は目を見開いた。
 台所の熱のせいで額にあらわれていた汗が、頬を伝っていく。
 次に倉子は、床を見つめるように下を向いて、両腕を組んだ。
 まさか、いやさすがにそれは、いやいや、という声が一男の耳に届く。
 倉子は顔を上げると、一男の目を見た。

「一男」
「はい」
「私がなんでこんなことをしているのか、そしてそこにどんな真意があるのか、気づいているか?」

 今度は一男が腕を組む番だった。天井を見つめて、思案する。
 答えはすぐに見つかった。

「……えーっと、俺のことが好きだから?」
「おお! それだそれ! やっぱり気づいていたのか!」
「そりゃ、気づきますよ。10年ぐらいの付き合いですから」
「正確に言うと、17年だ。私は一男が0歳のときから好きだったんだぞ」

 一男は感動した。目に涙が浮かびそうだった。
 倉子さん、そこまで俺のことを弟として大事に思ってくれていたなんて。
 しかも好きだ、とまで言ってくれるなんて。本当に倉子さんはいい人だ。
 と、一男は思った。自分の答えを疑うようなことはしなかった。
 一男は、倉子は自分のことを弟として好きなのだ、と本気で思っているのだ。
 だから、自分の気持ちを伝えた。

「俺も、倉子さんのこと好きですよ」

 もちろん姉として。
 心の中で一男はそう付け加えたが、それが倉子に伝わるわけがない。
 一男の台詞を聞いた倉子は、口を大きく開けて、声にならない叫び声を上げた。

「―一男! じゃんじゃん食え! 6人前くらいはあるが、全部食べてしまっていいぞ!」
「6人分は無理でしょ。って、倉子さんも食べてください」
「私は今の言葉だけで、パラソル一本で空を飛ぶことも可能とするエネルギーが補充された!腹一杯だ! だから一男が1人で食え!」
「はあ……じゃあ、そうします」
「ああ、ああ……ああ! もう、駄目だ!」

 倉子はそう言うと一男に向かって突進した。
 押し倒される?! と一男が思ったのも束の間。倉子は一男の脇を過ぎて家を飛び出していった。
 また、倉子の叫びが聞こえた。家の中からではなく、外から。
 ご近所からの苦情が倉子の家に殺到するのではないか、と一男は思った。

947:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 19:28:34 btxwkjdG

*****

 倉子の作ってくれたカレーを一杯だけ食べたあと、一男は町民プールへ向かった。
 町民プールは一男の住む町の役場に隣接する位置に建っている。
 一男の家から町民プールまでは、車で約20分ほど。
 プールへ向かう20分ほどの道を、一男は自転車で走っていた。

 先日購入したばかりの自転車はロードタイプのため、並みの自転車以上のスピードがでる。
 ゆっくり走っている50ccのバイクであれば、あっさりと追い抜いてしまう。
 そして今、一男は普段の自分のペースより速いスピードで車道を走っていた。
 それこそ車を全て追い越さんばかりの勢いで。
 なぜか? 理由は2つ。

 まず一つが、現時刻が一時を過ぎているということ。
 家をでる前に組子を迎えに、向かいの家のチャイムを鳴らしたのだが、留守だった。
 恵子はどこかに行っていてもおかしくないが、倉子すらいないというのは不思議に思えた。
 留守だということは、すでに町民プールへ向かっているということ。
 おそらく部活動の帰りにそのまま向かったのだろう。
 遅れてはまずい、ということで急いでいるのだった。
 これが理由の一つ。

 もう一つは、一男の後ろをついてくる自転車の存在だった。
 一度停止して先に行かせようとしたが、自転車は一男の後ろで停まったままで、先に行こうとしない。
 ならば振り切ろうと思い、あえて混んだ道を走ったり、全力で置き去りにしようとした。
 しかし、後方にいる自転車はいつまで経ってもつかず離れずの位置をキープしたまま追走してくる。

 始めのうちこそ不気味ではあったが、今、一男は楽しんでいた。
 一男の住んでいる町では、ロードバイクが街中を走っていることが少ない。
 時々目にはするものの、一男が自転車に乗っているときに遭遇する確率というとほぼゼロだった。
 なぜロードバイクに遭遇したいのかというと、答えは一つ。勝負したかったから。
 とはいえ実際に遭遇したところでレースまがいのことなどできるはずもない。
 そう思い、ほぼ諦めかけていた一男の前、いや後ろに現れた白いドロップハンドルのロードバイク。
 後ろを一瞬振り返ったとき、乗っている人間はサングラスをかけていた。
 車体の色はわかったものの、それ以外の特徴はつかめなかった。男か女かそれすらもわからない。
 だがどうでもいいことだった。自転車でスピード勝負ができるなら、それでよかった。

 道路が下り坂に差し掛かった。この坂の中腹に、町民プールはある。
 一男は、最後のスパートをかけた。ギアをトップに入れペダルを踏み、下りの慣性を利用してさらに速度を上げる。
 後ろから音は聞こえてこない。それはそうだ。ロードバイクの走行音はほとんどしない。
 ましてや必死に走っているときに走行音が聞こえるはずもない。
 しかし、背中に言いようのないプレッシャーは感じられる。追走者はまだ、諦めていない。

 100メートル前方の右手にわき道がある。あそこから町民プールの駐車場へ入ることができる。 
 それはつまり、この勝負も終わりだということだった。
 駐車場の入り口が目前に迫る。一男は残念に思いつつ、ブレーキをかけた。
 ありがとう、楽しかったよ。そう思いながら。
 追走していたロードバイクは、さきほどの勢いのまま坂道を下っていった。

 その時、どこからともなく、一男ー! という叫び声が聞こえてきた。
 なんとなく倉子の声に似ていた気がしたが、一男は深く考えずに駐輪場へ向かった。


948:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 19:29:25 btxwkjdG
 一男は駐輪場に自転車を停め、ワイヤーロックを屋根の支柱と車体と前輪のホイールに通して、
施錠すると、町民プールの入り口前へ早足で向かった。
 プールの受付前には、やはり組子がいた。
 シャツと短パン、そして肩にはスポーツバッグ。家には帰らず、そのまま町民プールまでやってきたようだった。
 一男が駆け寄ってくると、組子は片手を挙げた。

「ここ、ここ」
「おう、悪い。遅くなって。待ったか?」
「待ったわよ。まったく今までなにやってたのよ、おかげでこっちは汗でびしょびしょ……じゃなかった。
 待ってないわ。ついさっき来たところよ」
「……なんで今、わざわざ言いなおした?」
「男が細かいこと気にしないの」

 そういい残すと、組子は受付へ向かった。一男もそれについていく。
 このプールの受付は外から見えるようになっていて、払わないと中へ通してもらえない仕組みになっている。
 受付口の中にいる係員に2人分の利用料金を払えば、プールを利用できる。
 一男は高校生1人分の料金を払った。
 そして、中へ向かおうとしたのだが、料金を払っていない組子までついてきた。

「組子?」
「ん?」
「お金、払わないのか?」
「あんた、払ってないの? なんで?」
「なんでって……お前はどこのお姫様だ。自分の分くらい自分で払え」
「は? 今日はあんたが払うんじゃないの? あんたがここに誘ったんじゃない」
「行かないかとは言ったけど、おごるとは言ってないぞ」
「……あんた今日、デートに誘ったじゃない」

 デート? 何を言っているんだこの女。

「悪いけどな、デートに誘ったわけじゃないぞ。俺が行くついでにお前を誘っただけで―」
「払いなさい」
「おい、人の話を」
「払いなさい」
「……怒るぞ」
「これで最後。……は、ら、い、な、さ、い」

 組子の喋り方が変貌していた。
 一男の脅しなど気にした様子も無く、顔も見ずに、料金を払うことを強要してくる。
 一男はこのまま1人だけで中に入ってしまおうかとも思ったが、それを思い直した。
 まったく、金が無いんなら、かっこつけずにそう言えよな。

「わかったよ。仕方のないやつだ」
「そう、それでいいのよ。……初デートくらい、おごってよね」

 一男は疑わしい目つきで見つめてくる係員に組子の分の料金を払った。


949:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 19:31:45 btxwkjdG
 男子更衣室で着替えを終えた一男は、早速プールへと向かった。
 町民プールの中は、2種類にわかれている。
 一つが大人用。深さは中学校のプールくらいで、縦に25メートル、横は10レーン分の長さがある。
 一男が泳ぐのはもちろんこちら側だ。
 もう一つは、子供用。高校生の一男の膝ぐらいまでしか深さがない。

 今日は夏休みということもあって、子供の姿が多かった。中には高校生らしき一団もある。
 一男は壁際に立って、準備運動を始めた。
 屈伸、伸脚、前屈、上体反らし、といった感じで黙々と体を動かす。
 さきほどまで謎の自転車乗りとレースを繰り広げてきた体はすでに温まっていて、準備運動だけで汗が浮かんでくる。

 ふと、周りの視線が自分に向けられていることに、一男は気づいた。
 年齢や容姿、性別に関わらず、一男の前を通るとき、チラチラと一男の体を見る。
 無理も無い。一男の体はぱっと見、マッチョなのだ。
 筋肉量は平凡であるものの、脂肪量の少なさのせいで筋肉の形がはっきりわかるようになっている。
 腹筋は綺麗に六つに分かれているし、背中にも深い溝が見える。
 すべては、自転車馬鹿である一男のトレーニングの賜物だ。
 プールに来ている人たちはある人は羨ましげに、ある人は奇異の視線で一男を見る。
 学校の水泳の時間で同級生のさまざまな視線にさらされてきた一男は、視線を受け流しつつ準備運動を続けた。

「一男」

 声をかけられ、一男は振り向いた。そこにいたのは。

「組子……か?」
「うん」
「…………」
「なによ、その目」

 普段一男が目にしている、体育の水泳の授業でワンピース型のスクール水着を着たよく知る組子ではなく、
上下に別れたピンクのビキニを着た初めて見る組子だった。
 少しくせのあるショートの髪はそのまま。
 プールに入る際に被る水泳用のキャップを手に持っている。
 首から始まり、肩へと流れていくなだらかなカーブは、ほっそりとした組子の腕へ。
 ビキニに包まれた胸は大きさを主張しない程度の大きさだ。
 しかし、組子の最大の武器は、機能美を思わせる美しさにある。
 具体的には、バスとからウエスト、そしてウエストからヒップへ続くラインの美しさ。
 痩せすぎてもおらず、かといって余分なものもついていない。
 ヒップから太腿へ下るラインなど人類が目指す理想の極地。
 本当、今日は組子をプールに誘っておいてよかった。
 今さらながらに一男は自分のやったことを褒めるのだった。


950:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 19:32:57 btxwkjdG
「組子。いえ……組子さん」
「何よ、いきなりさん付けで呼んだりして」
「ありがとう……本当にありがとう。お前が幼馴染で、本当によかった」
「……はーん。なるほど、あんた今頃私のよさに気づいた、ってわけね」
「ああ」

 本当に、今さらだった。
 同じ学校に通って、さらに同じクラスで、あまつさえ幼馴染だというのになぜ組子のスタイルの良さ、
レベルの高さに一男が今さら気づいたのか。
 それはおそらく、組子が一男の前で女の子らしい格好をしなかったからだろう。
 ただでさえ一男は男女の機微に疎い。そのうえ自転車馬鹿。
 同級生で幼馴染であっても、女らしさのアピールをしなければ一男の印象を変えられるはずがないのだ。
 組子は一男の前では露出の低い格好しかしない。髪型や化粧でおしゃれをしたりもしない。
 さらに生来の気の強さで一男に対して弱い面を見せようとしない。
 その点、組子は反省すべきだろう。

 組子には今、チャンスが訪れている。
 初デートで、人の目がある町民プールだというのに、一男は組子の体に釘付けになっている。
 組子が登場してから今まで、一男は組子のウエストと脚ばかり見つめている。
 この状況で密着して、誘いの言葉でも囁き続ければ一男はいとも容易く組子の手に落ちるだろう。
 一男は、17歳の男子高校生が抱く程度の性欲は持ち合わせていたからだ。

 しかし、それは組子も同じことだった。
 性欲はもちろん、異性の体についても。
 学校の授業で見る一男の体と、初デートの場所で見る一男の体では、後者の方がはるかに貴重だった。
 そのうえ、一男が組子に向けている眩しそうな視線。
 そろそろ、組子も限界に近づいていた。
 具体的には、いろいろ我慢できなくなってきた。

「……一男。プール、出ない?」
「へ……? いや、何言ってるんだ。今日はここに泳ぎに来たんだぞ、俺は」
「あら、そう……。ごめん、ちょっと……すぐ戻ってくるから、先に泳いでていいよ」
「? わかった。そんじゃ、お先」

 一男はプールサイドに立つと、人のいない水面へ向かって飛び込んだ。
 周りで泳ぐ人々も同様に、頭から飛び込んだり腹から飛び込んだりする。
 その光景に背中を向け、組子は歩き出した。
 着替えて帰るわけではない。トイレへ向かっているのだ。
 具体的に何をするのかは言わない。

 ただ、組子の後で女子トイレに入った女性は、色っぽく男の名前を呼ぶ声を聞いた、とだけ言っておこう。


951:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 19:35:48 btxwkjdG
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952:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 20:53:34 btxwkjdG
*****

 ひとしきり泳いだ一男は、プールから上がって空いたベンチに座っていた。
 壁に貼りついている時計を見る。2時30分。泳ぎ始めてから1時間以上経過している。
 まだ一男は帰ろうとは思わなかった。まだ泳ぎ足りないし、組子がさっきから戻ってきていないからだ。
 帰ってしまったのだろう、と一男は思っていた。そして、その方がいい、とも思っていた。

 一男は、組子の水着姿に戸惑っていた。
 正確に言えば、はまりすぎている組子の水着姿を見て思考を停止させる自分に戸惑っていた。
 組子を見ていて、一男がこんな反応を示すことは今まで全くなかったのだから、無理は無いだろう。
 一男はもう一度、組子の水着姿を思い浮かべた。
 直接的に性欲の対象になる体つきではない。だが、そのできすぎたバランスに芸術性を見出してしまうほど、組子の体は綺麗だった。
 
 一男は、いけない方向に思考が働きそうだったので、もう一度水の中に入ることを決めた。
 ベンチから腰を浮かし、背筋を伸ばそうとしたところで―頭に固いものがぶつかった。
 痛みはないが、突然のことで不意をつかれてしまった。
 不機嫌そうに眉をしかめ、周囲を見渡す。何者の仕業かを見分けるために。
 すぐ傍に居た。右に見知ったクラスメイトが。ジュースの缶を持って。

「神川か」
「お待たせ。ごめんねー、水着がなかなか見つかんなくってさ」

 神川が着ていたのは、ワンピースタイプの水着だった。
 学校指定の水着と異なる点と言えば、脇の下から脚の付け根までラインが入っているところと、
水着が背中で×を描くようになっているところだった。首の下から腰の辺りまで、ほぼ丸見えになっている。
 いわゆる競泳用の水着だった。

「実は私ね、中学校まで水泳部だったんだ。去年まではジムで泳いでたりもしたんだけど、今年に入って水泳はやめちゃった」
「そうだったのか」
「で、どう? 似合う?」
「うーむ」

 一男は、目の前の神川の姿とビキニを着た組子の姿を比較した。
 色っぽさといった点では組子に軍配があがる。しかし、神川の主張しない色っぽさもいい。
 なにより、胴の部分を見せていないところに慎ましさを感じる。
 具体的には脱がす楽しみ、想像する楽しみがある。
 以上を踏まえて出した結論。

「似合う。いや、似合いすぎてこれ以外に神川にふさわしい水着などないのではないかとも思えるな」
「言いすぎだよ。でも嬉しいな、この水着、お気に入りなんだ」
「それ、どうやって着るんだ? スクール水着もそうだけど、その手のやつって着るときに無理したらやばそうじゃないか?」
「それは女の子の秘密だよ。それより、はいこれ。ジュースあげる」
「お、サンキュ。気が利くな」
「トロピカルバナナサンデーじゃないけどね」

 一男は神川の差し出したスポーツドリンク入りの缶を受け取った。
 プルタブを開け、一気にあおる。250ml入りの缶は、あっという間に空になった。


953:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 20:54:09 btxwkjdG
「さて、それじゃあ泳ごっか」
「おう」

 くずかごの中に空き缶を捨て、一男と神川がプールサイドへ向かったとき。

「一男」

 突然、名前を呼ばれて一男は後ろを振り向いた。
 そこにいたのは、潤んだ瞳を無理矢理に尖らせている組子だった。
 着ている水着はビキニのまま。シャワーでも浴びたのか、全身が濡れている。

「組子、遅かった……じゃない。一緒に泳がないか?」
「その前に、こっちの質問に答えなさい。その子、誰?」
「え、私?」

 組子の指に差され、それに流されるように神川は自分を指差した。

「やだなー、組ちゃん。私だよ、私。神川」
「神、川さん?」
「水泳用のキャップ被ってるからわかんない? これでわかるかな?」

 神川は被っていたキャップを脱いだ。押し込められていた髪の毛が重力に従い下りて行く。
 神川は学校では髪を短い三つ編みにしている。
 今日のように泳ぐときは三つ編みを解いているため、素の髪型があらわになっている。
 黒のショート。組子よりも少し長め。

「どう?」
「神川さんだっていうのはわかったけど……私が問題に思っているのは、それじゃないわ。一男」

 突然話を振られ、一男はプールサイドに座って体に水を浴びせている手を止めて振り向いた。

「なんだ?」
「どうして、あんたと神川さんが一緒にいるの?」
「どうして、と言われてもな。俺が神川をプールに行かないかって誘ったから神川がここにいるわけだが。
 なんか悪いことしたか?」
「それって何よ、つまり……デートに誘ったってこと?」
「そんなつもりはなかったぞ。たまたま暑かったからそんな話の流れになってしまっただけだ」
「たまたま? 暑かった? それに、デートに誘ったつもりはなかった、ですって?
 あんたね、女の子にプールに一緒に行かないか、って誘うのはデートに誘ってるのと一緒なのよ。
 私をプールに誘ったうえ、神川さんまで誘うなんて……あんた、わざと私を怒らせようとしてない?」
「馬鹿を言うな。俺はそんなことはしねえ」

 組子を怒らせたら怖い、ということを知っている一男が、わざわざ組子を怒らせようとするはずもない。
 しかし、怒らせるつもりはなかったとしても、怒らせてしまうことはある。
 例えば今のように。


954:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 20:55:16 btxwkjdG
「でも、あんたを見てるとどうもねえ……私を怒らせようとしているようにしか思えないのよ」
「それはお前の目に変なフィルターがはまっているからだ。本当の俺は、嘘一つつくことのない真面目な人間だぞ」
「たった今嘘ついてるじゃない。……ああ、やっぱりあんた、私を怒らせたいのね?」
「いや待て。すでに今お前は怒っているわけで、それ以上怒りを濃くしたらさらに酷いことに……」
「見られない顔になるって? へええ、誰のせいでそうなっていると思っているのかしらねえ。一男は」

 事実、組子の表情はすごいことになっていた。
 眉間に眉が寄りそこが皺を浮かべ、綺麗な二重まぶたが奥に沈み一重まぶたに。
 右側の頬は筋肉が痙攣していて、右目尻をひくひくと動かしている。
 さらに濡れた髪が額や頬に貼りつき、水に関わるホラー映画的な形相を作り出している。

「別に私は怒ってないわよ? いつもどおりよ、いつもどおり」

 いつもどおりの表情の記憶を塗り替えてしまいそうな顔で、組子は笑う。
 その顔と整いすぎたボディラインの組み合わせのせいで、首と、首から下が違う生物であるように見えてくる。
 まるで何かの仮面でも被っているかのようだ。

「ね?」
「ね、じゃねえだろう。ま、いいや。機嫌が直ったんなら、泳ごう」
「ええ、そうね。と言いたいとこだけど……なんで、神川さんをここに誘ったの?」
「またそれかよ。さっきも言っただろ、なんとなくだよ」
「本当に? それ以外に目的があったんじゃないの?」
「ねえよ。なあ、お前なんかおかしいぞ。神川をプールに誘ったら悪いのか?」
「悪いに決まってんでしょ! だいたいあんた私の…………あ」

 組子が言葉を止めた。先ほどから神川を放っておいたことに、今さら気づいたのだ。
 焦った顔をして、神川に弁解をする。

「あ、あのね? 神川さんが来たらいけないってわけじゃなくって、これはいろいろな理由があってね?」

 組子の苦しい言い訳の言葉を聞いても、神川は怒らなかった。
 むしろ、笑顔を浮かべた。面白い玩具を見つけた子供のような笑顔だった。

「えっと……だから、悪いのは一男であって、神川さんは悪くないの」
「うん。わかってるわかってる。組ちゃんは悪くなんかないよね。悪いのは、組ちゃんの気持ちに気づかない人」
「えっ?」
「私を先に誘ったくせに、他の女の子を誘うなんて! って感じでしょ?」

 神川が喋るたびに組子の顔は赤くなり、同時に驚愕の色を濃くしていく。

「わ……わかっちゃった?」
「わかんない人の方がどうかしてるよ。組ちゃん、露骨すぎ」
「あ、ああ……あぅ」
「んふふー。どう、しよ、っかな」
「んー! んんー!」


955:姉妹夏休みネタ ◆Z.OmhTbrSo
07/07/29 20:56:15 btxwkjdG
 腕を組んで組子を見つめながらにやにや笑う神川。
 さるぐつわをされているわけでもないのに、口を封じられたようにうめき声をだしながら首を横に振る組子。
 傍で見ていた一男は、2人の様子が変だということには気づいていたが、その理由までは察していない。
 だから、不思議そうな顔をして首を傾げるしかできない。
 そんな一男に声をかけたのは、組子の肩に手を回して笑顔をつくる神川だった。

「吉村君、ちょっと待っててね」
「ん、話終わったのか?」
「いやいや、たった今から乙女同士の戦略会議をするのですよ」

 ぐふふふ、と神川は笑う。

「会議? よくはわからんが……先に泳いでてもいいか?」
「ああ、だめだめ。吉村君はプールサイドで待ってて。予想外の行動をとられたら困るから」
「いいけどさ、早めに済ましてくれよ」
「はいはい。そんじゃ、ちょこっと待ってておくれ」

 神川が組子の肩に手を回したまま更衣室へと歩き出した。
 2人は、「どこまでやる? イクとこまで?」「ええっ! そこまではさすがに。せめて告白を……」という感じで
話をしながら、奥へと消えていった。

 残された一男は、泳ぐな、という神川の言葉を忠実に守って、プールサイドに座り込んでいた。
 プールの中では、水着を着た大小さまざまな男女が各々に水泳を楽しんでいた。
 ビーチボールで遊ぶもの、水をかけ合うもの、助走をつけて飛び込み台からプールに飛び込むもの。
 その光景を見ていると、一人でプールサイドにちょこんと座っている自分が寂しい人間に思えてきた。
 いっそのこと神川の言葉を無視してやろうか、とも思ったが、結局一男はプールに入らなかった。
 一男は文句を言いながらも人の言葉を無視しない、律儀な男だった。

 まもなく時刻は3時になろうとしている。
 一男はプールサイドに座ったまま、プールの外側を囲む鉄柵の向こう側を見た。
 プールの天井は日差しを避けられるようになっているが、プールの外は直射日光が当たっていてまだまだ暑そうだ。
 涼しくなり始める夕方まで、まだ時間はある。
 夕方まではプールの中にいようと、一男は誓うのだった。

----- 
長くなりそうなので、残りは37スレの終盤、埋めネタとして投下します。


956:名無しさん@ピンキー
07/07/30 09:11:28 VFFuIrxK
|∀・)イイヨイイヨー

957:名無しさん@ピンキー
07/07/30 09:31:13 /VyOUtzc
埋めネタにしておくには惜しいですな

958:名無しさん@ピンキー
07/07/30 11:54:33 0rc14Ltz
全裸でまってる

959:名無しさん@ピンキー
07/07/30 12:00:15 +BZo/4CK
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|
   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
   丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ――
  /    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ

960:名無しさん@ピンキー
07/07/30 15:21:04 +o1M1jnm
さよならを言えたならと鬼ごっこを全裸で待つ、信じて待つ


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