【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合16at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合16 - 暇つぶし2ch300:名無しさん@ピンキー
07/06/07 05:46:41 ny2EXsUG
うッ!!

301:名無しさん@ピンキー
07/06/07 09:12:46 B1cVjh90
>291
ずっとシェス子のターン!!!

夜通しサイトを誘惑しちゃうんだな
期待大だぜ

302:名無しさん@ピンキー
07/06/07 12:17:38 aO1V5wTy
>>290
早く!早く続きを!

303:名無しさん@ピンキー
07/06/07 20:12:35 /I6Yr/WR
最後は、ルイズもでてきて3Pか?

304:名無しさん@ピンキー
07/06/07 20:41:40 01g5NdeN
キュルケも入って4Pじゃね?

305:名無しさん@ピンキー
07/06/07 20:58:43 fwuh5qdu
最近はルイズ・シエスタ・タバサ分は安定して配給されてるな。前に
ルイズ・シエスタ分が足りないとか言ってた奴が居たのが懐かしい。
逆にアン様、テファとかは激減傾向にある。

306:名無しさん@ピンキー
07/06/07 21:09:06 OmDZZyQT
アン様ネタでお勧めある?

307:名無しさん@ピンキー
07/06/07 21:12:00 2pHx9NeN
>>305
新刊の影響で、アン様は立ち位置が良く分からなくなったしなあ
テファは最近ちょっと影が薄い

>>306
黒アン様で、バラフライ伯爵夫人を実践してくれ

308:名無しさん@ピンキー
07/06/07 22:19:26 /1MnREuJ
マイナーキャラの話が好きなんだけどな
サイト×モンモンとかコルベールのとか
一番続き気になってるのはイザベラ慣らしです
続きお願いしますー

309:名無しさん@ピンキー
07/06/07 23:31:01 3ZXhTbp7
イザベラ慣らしかぁ。あれもいいとこで止まってるんだよなぁ。

310:名無しさん@ピンキー
07/06/08 10:31:38 pxJ15IVh
いつの間にかこんなにSSが

さすがせんたいさん、なんというカオス!
ソフMさん、王道ラブコメ待ってましたぁーっ!偉い・・・やっぱお前は偉いよサイト・・・だが真の試練はまだこれからのようでw続きwktk


311:名無しさん@ピンキー
07/06/08 12:51:40 9jpzpKdy
>>308
サイト×モンモンだとある意味NTR

312:名無しさん@ピンキー
07/06/08 12:57:27 t9QE/kkh
>>311
前にサイモンはあったけどNTRっぽくはなかったぞ

313:名無しさん@ピンキー
07/06/08 19:44:11 VtCayinq
ルイズ、シエスタ、アンリエッタ、タバサ等が
サイト以外のキャラと寝るとそれはNTRだが
サイトは英雄なので誰と寝ようがそれはNTRではない。
というわけでサイト×モンモン希望。

314:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:05:15 nYSMMN/n
ある意味寝取りだな

だが、それがいい

315:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:05:35 ArIHwTLE
誰か… テファを知らない俺に救いの手を…

316:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:19:59 uoYuFhdp
>>315
URLリンク(up.tseb.net)

317:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:29:16 JTJnFPTJ
テファを知らないってことは、アニメ派の人か?
それとも、前にもチラリと書き込んでた、「原作すら知らないけどこのスレにいる人」?
後者の方には、原作知らんのにここにいる理由と言うか経緯とかを聞いてみたい。
なんか、その辺スゲー興味がある。

318:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:33:03 XToO4rhE
エロ同人誌作者買いじゃねーの?
それくらいしかパターンが思いつかん

319:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:35:01 uoYuFhdp
微妙に話がずれるが、
その作品を実際に読んだり見たりしたことがないのに
ネットでの評判とか2chのスレとかAA・台詞ネタとかで
勝手に想像してたその作品の内容、って結構貴重だったりする。
実際に読んだり見たりすると二度と想像できないので。
で、本当の内容を知って全然違ってた過去の自分の想像に笑ったり

320:名無しさん@ピンキー
07/06/08 21:13:19 k1c/kRfF
>>316
改めてこの絵を見ると、テファの胸はほんとにはしゃぎすぎだなw
スイカでも入れてんじゃねーかと思うよ

321:名無しさん@ピンキー
07/06/08 21:30:09 H805gnal
テファの胸に入ってるのはオレ達の夢

322:名無しさん@ピンキー
07/06/08 21:48:28 DGX/7MI+
確かに巨乳に詰まってるのは俺たちの醜い欲望


真に乙女の夢が詰まってるのは平な乳だと思うんだがどうだね?

323:名無しさん@ピンキー
07/06/08 21:51:48 UMCn9iC0
>>319
その感じすごく分かる

とんでもない偏見持ってたりするよな

俺もゼロのタイトルだけみて
ゼロという男が使い魔(獣系)と旅する
熱い話だと思ってたからなw

324:名無しさん@ピンキー
07/06/08 22:22:50 ArIHwTLE
>>316
なんだろう 目から汗が…
ありがと

小説1巻購入→アニメ(ようつべ)→金無いから買えない→て…ふぁ…?

325:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:21:56 tH05Iyw+
すまん…今晩中にあげようと思ったんだが…
明日早番なのを忘れていたYO…
そういうわけで途中だけど投下しまっす

あ、>>267の続きね

326:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:22:38 tH05Iyw+
「と、とりあえず落ち着くのね。
 大きく深呼吸なのね」

シルフィードは自分に言い聞かせ、大きく深呼吸をする。
ベッドの上の二人は、そんなシルフィードをきょとんとした目で見つめる。
そんな二人の視線などお構いなしに、シルフィードはすぅはぁと数回深呼吸する。
よーし落ち着いた。
シルフィードは落ち着いて、目の前の謎の二人に質問する。

「パパとママはどこ行ったの?」

やっぱり落ち着いてないかもしれない。
ベッドの上の青い髪の少女と黒い髪の少年は、互いに顔を見合わせると、声を合わせて言った。

「「しらないー」」

二人の即座の返答に、シルフィードは頭を抱える。

「あの色ボケバカップルー!またどっかにシケこんでるのねー!」

その色ボケバカップルなら今目の前にいるのだが、シルフィードは完全にこの二人を才人とタバサの子供だと思い込んでいた。
そもそも、二人が出逢った時期を考えればこんな大きな子供がいるはずはないのだが、人間の常識を風韻竜に求めるのがそもそもの間違いといえるだろう。
それ以前に常識をシルフィードに求める事自体が間違いなのだが。
シルフィードはそのバカップルを探し出しに行こうと外に出ようと振り向く。
その背中に、二つの重低音が響いた。

ぐうぅ~っ。

これは。このよく身に覚えのある音は。

「おねえちゃん」
「おなかすいたー」

やはり。腹の虫。
シルフィードがその音と声に振り返ると、毛布に包まった二人が、期待に満ちた目でシルフィードを見つめている。
…う。

「おねえちゃーん」
「おなかすいたー」

きらきらと期待に満ちた目で、二人の子供はシルフィードを見つめる。
そ、そんな目で見られても困るのね…!

「お、おねえちゃん用事があるのね…!」

とりあえず嘘なんぞこいてみる。
しかし、二人は聞かなかった。

ぐうぅ。

「おなかすいたぁ」
「ごはんー」

シルフィードはぐぅ、と唸って、考える。

327:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:23:30 tH05Iyw+
そ、そうだ、棚にリンゴがとってあったのね!
そのリンゴは本来タバサのもので、食べたらお仕置きだから、と言い含められていたのだが。
背に腹は換えられないのね!ていうかおねえさまの子供にあげるんだから問題ないのね!
シルフィードは棚からリンゴを出すと、近くにあったナイフで不器用にリンゴをざく切りにした。
そして、そのへんにあった紙の上にのっけて、二人に差し出す。

「コレ食べて待ってるのね!おねえちゃんはパパとママを捜しにいくのね!きゅい!」

リンゴを受け取った二人を尻目に、シルフィードは部屋の外へと駆け出した。
子供ほっぽってどっかしけこむなんてお姉さまもヒジョーシキなのね!見つけたらオシオキなのね!
激しく勘違いなどをしながら。

部屋に残された二人は、あっというまにリンゴをたいらげてしまった。
お腹がすいていれば当然である。
そして、リンゴ一個では当然ものたりないわけで。

「おなかすいたねー」
「ねー」

言って二人はきょろきょろと部屋を見渡す。
他に食べ物はないか捜しているのだ。
才人は様式を含めてこの部屋は自分の全く知らないものだと思っていたが、タバサはなんとなく、この部屋を知っている気がしていた。

「サイトはここでまってて。たべものさがしてくる」

言ってタバサは毛布だけを体に巻きつけてベッドから降りる。
才人はそんなタバサを手を振って見送った。

「がんばってねー」

大人の才人なら自分から率先して食べ物を捜しに行くところだが、子供の才人はある意味ものすごく図々しかった。
さがしてくれるっていうなら、さがしてもらおうっと。
そして自分は、ふかふかのベッドの上で飛び跳ねてみたりなどしてみる。
才人がベッドの上で遊んでいる間に、タバサは先ほどシルフィードがリンゴを取り出した棚に目をつけた。
ここなら、何かあるかもしれない。
しかし、シルフィードが開けていた扉は高い位置にあり、自分の背では届かない。
仕方なく、一番下の開きの扉を開ける。
そこには、様々な形と色の、ガラス瓶が並んでいた。

「のみもの、かなあ」

しかし、中には黒いインクの入った壷や、銀色のどろりとした液体を満たしたものもある。
どうやら、飲んではいけないものもまじっているようだった。
どれがのめるんだろう、と考えながらタバサが飲めそうなものを捜していると。
一本の、小さなガラス瓶が目に留まった。
それには、小さな青いリボンが巻きつけられていて、そのリボンの先端に『とっておき』と書いてあった。

「これ、のめそうかも」

中には赤い液体が満たされている。
ぱっと見、飲んでも大丈夫そうだ。
タバサはこれを持っていく事にした。

328:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:24:30 tH05Iyw+
タバサがベッドに戻ってくると、才人がベッドで跳ねていた。

「なにしてるの!」

タバサがその歳に見合わない声を出す。
才人は思わずびくっ!として身体を縮こまらせる。
タバサはよっこらしょ、とベッドの上に登ると、才人の鼻先に指をつきつけた。

「ベッドのうえでとびはねたらだめって、おかあさんにいわれたでしょ!」

才人は憮然とその指を見つめて、言い返す。

「…ウチのおかあさんは『マットがこわれてなかったらはねていい』っていってたよ」

…どういう教育をしていたのだろうか。
しかし、その言葉にタバサはさらに反撃する。

「いうこときかないなら、のみものあげません」

言って、手にしたガラス瓶を抱き締める。

「えー」

才人は一度、不満そうにそう言ったが。

「しょうがないなー」

タバサのいう事を聞く事にした。
お腹もすいていたし、喉も渇いていたからだ。
今も昔も、才人は欲望に素直な性格だった。
才人がいう事を聞くというので、タバサは手にした瓶を才人に差し出した。

「これ、そこのたなでみつけた」
「なにこれ?」
「わかんない」

才人は受け取った瓶を傾けたりして、中身を確かめる。
赤い液体が、そのガラス瓶には満たされていた。
才人は自分の知識の中から、その中身を予想してみる。

「いちごじゅーす?」
「イチゴなのこれ?」

タバサの疑問に、才人は首をかしげる。
この中身がイチゴだという保証はどこにもない。
しかし、中身を確かめる方法はあった。

「のんでみる」

言って才人は、瓶の蓋を開ける。
くんくんと匂いをかいでみるが、これといった匂いはしない。
のんでもだいじょうぶそう?
とりあえず、飲んでみることにした。

329:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:25:10 tH05Iyw+
才人は瓶に口を付けると、その液体を一口、飲み込んだ。

「うえ」

まずい。変な味がする。

「これいちごじゃない~~」

眉をへの字にまげて、才人は顔全体でまずさを表す。
その顔が滑稽で。

「ぷ」

思わずタバサは笑ってしまう。
才人はあまりの後味の悪さに、まだ顔をしかめている。

「ねえ、そんなにまずい?」

子供は、とにかく好奇心が強い。
たとえそれが否定的なものだとしても、経験した事のないものには興味を示すものだ。
タバサはまずいまずいと言われるその飲み物を飲んでみたくなったのだった。
そして。

「なにこれ。まずい~」

口に含んで文句を言って。
二人で顔を見合わせて、大笑いしたのだった。

330:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:26:26 tH05Iyw+
以上。続きは明日。
さ、寝なきゃ寝なきゃノシ

331:名無しさん@ピンキー
07/06/09 02:12:22 +PNlwqVE
一番槍でGJと賛美を遅らせていただく

332:名無しさん@ピンキー
07/06/09 02:27:27 g8P1UJyH
せんたいさんGJ!
いつもながらいい仕事だぜ

333:名無しさん@ピンキー
07/06/09 02:43:20 NUO19Tn7
へんたいさんのネタの底無さには脱帽です。
どうなるんだろうwktk

334:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:52:40 HtY/wUpw
GJであります
ところで才人が記憶喪失になってそれをルイズが
献身的に看護し、才人も少しずつ心を開いてくという電波を受信した

335:名無しさん@ピンキー
07/06/09 05:40:10 mnbXx1q0
せんたいさん、GJ!
赤い液体ってまさか…

336:名無しさん@ピンキー
07/06/09 06:47:42 g8P1UJyH
>>334
どっかで聞いたことのある話だw
わかんねーけどね。
毎回毎回せんたいさんのSSのネタはどこからくるんだろう
って思う。続きまってます。

337:名無しさん@ピンキー
07/06/09 07:26:23 b4EHv+R6
においがしないイチゴジュースなんて飲んじゃいけませんGJ
続きもwktkして待ってる

338:痴女109号
07/06/09 19:32:37 kIHtn6WC
お久しぶりです。
お久しぶりすぎて、忘れられてるかもしれませんが、投稿します。
>>前スレ643の続きです。


339:契約(その6)
07/06/09 19:34:39 kIHtn6WC

「……!!」

 才人は絶句した。
 
(どういう事態なんだ……これは……!?)

 いま、この部屋には、シエスタを含めて三人の女性がいる。
 タバサ。シルフィード。そして、この淫靡なイベントの主催者であるシエスタ。
―いや、何も知らない者が見れば、女性の人数は四人に見えたに違いない。そこに女装を強制された才人を加えたならば。


 いつもの通り、ノックもなしにイキナリ部屋に入ってきたシエスタに、当然のように突き出された、下ろしたてのメイド服。それと、ウィッグを含む数々の化粧用品。
「こ、このあたしを、お姉様の“いもうと”に戻して頂いて、有難うございます……」
 才人はそんなシエスタに、ぎこちない感謝の辞を述べ、彼女に為されるがままに着付けとメイキャップを施されてゆく。
 当然、ただ着替えるだけではすまない。
 才人の言葉に、鷹揚にうなづき、淫らな微笑を返しつつ、彼女はいつもの行動に移る。
 唇、ペニス、アナル、乳首、耳朶、うなじ、脇の下といった、才人の全身の性感帯を撫でまわし、存分に彼の悲鳴を堪能しながら、それでもシエスタは手際よく、才人を変身させてゆく。

 股間からペニスを生やした、とても残念な生き物……シエスタの“いもうと”に。


340:契約(その6)
07/06/09 19:36:32 kIHtn6WC

 はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、……。

 メイクが完了した頃には、才人はいつものように肌を紅潮させ、息も絶え絶えになっていた。
 そんな彼を見下ろし、シエスタは言う。

「喜んでくださいサイトさん。今日はね、特別ゲストがいらしてるんですよ」
「え?」
「どうぞ、準備は出来ましたのでお入りください。―ミス・タバサ」
「なっ!?」

―いま、いま何と言いやがった!? たばさ? タバサと言ったのか!?

 その言葉に才人が愕然となる暇すらなかった。
 扉が開いて現れたのは、まさしく、彼が知る寡黙な少女、タバサその人であった。

 さらにその後ろから、
「きゅいきゅい、待ちくたびれちゃったのね!」
 という、いかにも無邪気な声とともに入室してきた、もう一人の女性。
 タバサと同じく、青く美しい髪を背まで伸ばした、二十歳前後の綺麗な女性。
「―しっ、シルフィ……!?」

「あっ、サイトっ!? どうしたのね? 何かいつもと違う格好してるのね」
「あ、いや、その、これは―」

―ばたんっっ!!

 必死に言い訳しようとする才人の口は、重い音と共にシエスタに閉じられた部屋の扉によって、遮られた。
「……しえすた?」
 とっさに、幼児のように救いを求める視線を、シエスタに投げかける才人。

 しかし、シエスタは、まるで彼の逃げ場を塞ぐかのように扉の前に仁王立ちになり、さらに彼を追い詰める。

「さあ、サイトさん、この方々に説明してあげてくださいな。―いまの自分が、一体どういう事になっているのか」
「そっ、そんなっ!?」
「逆らうんですか?」
「……!」


341:契約(その6)
07/06/09 19:38:25 kIHtn6WC

―ここまで、ここまでするのか、シエスタ……。

 何度も味わった、この絶望。
 絶望の淵に叩き落されていたはずの自分が、さらに深く、暗い闇の底まで引きずり落とされてゆく感覚。
 逆レイプに始まり、射精管理、飲尿行為、アナル開発、野外プレイ、さらには男性用貞操帯と授業中の道具責め。そして現在の強制女装からのレズセックス。
 シエスタの口が開くたびに、そこから紡ぎだされる新たな命令に才人は、いつもこの感覚を味合わされていた。すでにして希望を捨てている彼をして、更なる絶望の暗闇に叩き落す、彼女の恐るべき嗜虐性。

―何を言ってるんですかサイトさん。まだまだ、これからなんですよ。

 そして今もシエスタは、そう言わんばかりに両手を腰に当て、ねっとりとした視線を才人に送っている。

「きゅいきゅい、早く説明してサイトっ。一体なんでこんな格好してるのっ?」
「そうですよ、サイトさん。ゲストの方々をお待たせするのは、メイドとしてはとても恥ずべきことなのですよ。私は“姉”として、あなたをそんな“いもうと”に躾たつもりはありませんよ。ふふふ……」

 無邪気なシルフィード。その尻馬をあおるシエスタ。
 才人は、その迷える視線を、おそるおそる第三の少女……タバサに向けてみる。

 タバサの、常に自己の感情を窺わせない青い瞳。
 その美しい碧眼が、わずかに興奮の色合いをにじませつつ才人を射抜き、言う。

「早く」

 彼は、その一言を聞いた瞬間、まるで下半身が泥になったように、その場に崩れ落ちた。


342:契約(その6)
07/06/09 19:41:27 kIHtn6WC

 この、絶望的なまでに無残な姿を晒している自分を見て、あのタバサが、僅かにであるが頬を紅潮させ、目を潤ませ、笑みすら浮かべている。それも、シエスタと同質の淫靡な微笑を。


(もうダメだ)
「……あ、あたしは……」
(ダメだよルイズ……)
「あたしは、―シッ、シエスタお姉様の“いもうと”で」
(もう……限界だ……!!)
「ドジで間抜けで、いつもお姉様にご迷惑をかけて、お仕置きをして頂いている、サイトっていうメイドです」
(俺、もう、何か、壊れちまったよ……)
 才人は、全身を震わせながらひざまずき、
「ミス・タバサ、それにミス・シルフィード。こんな哀れなあたしを、ど、どうか、お姉様と三人で、……お、お仕置きして下さい……!」


 そう言って才人は、三人の靴にキスをした。


343:痴女109
07/06/09 19:44:26 kIHtn6WC
異常です。もとい以上です。
今週は何とか週末が空いたので、今晩中か、もしくは明日にも続きを投稿したいと思います。

344:名無しさん@ピンキー
07/06/09 20:20:59 ookqYXbs
>>343
うぉぉ、GJ!
相変わらず何と言うか凄まじいモノを…。
まぁ、嫌いじゃないっていうかむしろ好きだけどね。

345:名無しさん@ピンキー
07/06/09 23:57:56 mcnLGIu8
どこまで堕としていくんだシエスタ……
果てしない彼女の暴走の結末に期待wktk

346:名無しさん@ピンキー
07/06/10 00:48:33 oynfKjnL
>>291
>>330
>>343
GJ!!
あああ、このスレやべぇぇぇぇぇぇぇ
ちょっと高速行ってぬあわ遊びしてくる

347:痴女109号
07/06/10 03:43:27 V7ARRJ95
>>338-343の続きです。
もうやばいです。シエシエが恐ろしい勢いで壊れつつあります。
苦手な方は容赦なくスルーして下さる事を推奨します。

348:痴女109号
07/06/10 03:44:54 V7ARRJ95

 元来、この部屋はルイズの個室だった。

 そこに、使い魔として召喚された才人が同居し、さらに才人の“御付きメイド”となったシエスタが押しかけてきて、いつの間にやら三人部屋になったのだが、それでも、この部屋の家具や、クローゼットの衣装などはほとんどがルイズの私物である。
 つまり、この部屋の中には当然の事ながら、ルイズの体臭こそが一番染み付いている。
 ベッドにも、シーツにも、枕にも、布団にもである。
 そんなルイズの匂いにまみれた夜具の中で、彼女の夫になるべき男を蹂躙する。
 
―シエスタの優越感をこれ以上ないほどに刺激するこのシチュエーション。
 
 そして、肝心の“寝取られ男”は今、彼女―シエスタにスカートをまくりあげられ、四つん這いになって剥き出しの尻をさらし、シエスタにアナルを舐められていた。
 その連日の荒淫ですっかり黒ずんだ彼の菊門はパックリと口を開き、そこから伸びた黒い細紐の先には、金属製のリングが鈍く光っている。

―シエスタのアナルパールの紐であった。


349:契約(その7)
07/06/10 03:47:26 V7ARRJ95

「きゅいきゅい、すごい! シルフィ、とっても気持ちいいのねん!!」

 ワンワンスタイルになった才人の頭部は、シルフィードの細く長い両足に挟まれ、拘束されている。
 いくら人間の姿をとったところで、元はドラゴンである。恐らく彼は、かつて経験した事のないパワーで頭蓋を圧迫され、必死になってシルフィードの恥部に舌を振るっているはずだ。

「きゅいきゅい!! こんなのっ!! こんなの初めてなのねんっ!!」
 いまシルフィードの神経を、どれだけの快楽電流が迸っているかは、そのムダ毛一本生えていない白い美脚が、真っ赤に紅潮している事でも予想はつく。

「きゅい~~~~~~~~~!!!」

 二十歳前後の容貌に似合わぬ甲高い声を発し、シルフィードの全身から、一気に力が抜けた。
 首の骨を捻り折られる前に、どうやら才人が、この竜の幼生を頂上に追いやったようだ。
 イったシルフィードも、イカせた才人も、互いに肩で荒い息をしながら、ベッドに突っ伏した。


(当たり前よね)
 シエスタは、余韻に酔いしれるシルフィードを見て、むしろ自慢気に鼻を鳴らした。
 この“いもうと”は、シエスタが都合数十時間の連続調教の果てに、女性を(と言うか自分を)悦ばせるためのあらゆる手練手管を叩き込んだ、いわばシエスタ自慢の『作品』でさえある。
 いかに伝説の風韻竜といえど、いかに妙齢の美女に変身していたとしても、所詮は幼竜一匹、“いもうと”の手にかかれば物の数ではない。


350:契約(その7)
07/06/10 03:52:07 V7ARRJ95

「んふふふふ……サイトさんったら、ホント学習しない人ですねえ」

 そんな上機嫌とは裏腹に、シエスタは尻肉に、がぶりと歯を立てる。
「~~~~~っっ!!」
「私はサイトさんに『お尻を差し出しなさい』と言ったんですよ」
 彼の臀部に歯型を生産しながら、シエスタは言葉を続ける。
「誰が休んでいいと言ったんです? あなたがこのベッドでお休みになれるのは、ここにいる全員が、あなたを罰し終えてからなんですよ。まだそんな事も分かりませんか?」
「すっ、すびばせんっ! お姉様っ!!」

 そう言われて才人が、満面の恐怖を浮かべながらシエスタを振り返る。
 が、当然シエスタは彼を許すつもりはない。

「さあ、どういうお仕置きがいいでしょうか、ミス・タバサ?」
 そう言いながら、シエスタは視線をタバサに移す……が、その時になって、彼女の姿が自分の視界にないことに気が付いた。


「このリングは何?」

―っっっ!!?
 肩越しにかけられた冷静な声音に、シエスタは驚きの余り、体勢を崩して振り返る。
(いっ、いつの間に私の後ろにっ?)
 そこには、碧眼碧髪の眼鏡っ娘が、まるで理科の実験でも観察するような冷静な眼差しで、シエスタを見つめていた。

「それに、サイトの肛門が完全に口を開いてしまってる」

 いや、彼女が見つめていたのはシエスタではない。
「何をしたらこうなるの?」

 タバサの眼中にあるのは、あくまでも才人一人なのだ。
「この、お尻のリングが関係してるの?」


351:契約(その7)
07/06/10 03:55:49 V7ARRJ95

 タバサは、シエスタの隣―丁度、才人のアナルを最もいい角度で覗ける場所に移動してくると、そこで初めてシエスタを振り向いた。
「引っ張っていい?」

 どうやら、タバサは才人のアナルから生えたリングに御執心らしい。
「その必要はありませんわ」

 シエスタは、さっきの驚きはどこへやら、逆に誇らしげに答える。
 彼女としても、才人の調教状態をタバサに示せる事が嬉しくてたまらないらしい。
「ミス・タバサのお手を煩わせるまでもありません。―サイトさん」
 シエスタは、歯型をぺろりと一舐めすると、闇に沁み入るような声で命じた。


「『産卵』のお時間ですよ」


「こっ、ここでですかっ!?」
「私に恥をかかせるおつもりですか、サイトさん?」

 その一言で才人の口答えは終焉を告げた。
「あ、いや、その、申し訳有りません、お姉様……」

 生半可な反抗が、どれほどの“罰”となって我が身に帰ってくるか、彼はもう、骨の髄まで承知しているのだろう。タバサには、そんな才人がとても新鮮に見えた。


352:名無しさん@ピンキー
07/06/10 03:59:31 1TheSjWo
ドMの俺にはあなたのSSは貴重な
栄養分です。黒すぎるwww

353:契約(その7)
07/06/10 04:01:08 V7ARRJ95

「ひっ、ひっ、―ふぅぅぅぅうううううう!!!」

 才人が、半ば悲鳴のような声を上げながら、全身の力を振り絞っていきみだす。
 すると、やがて才人のアナルから出現したのは、リングから伸びる紐に結ばれた直径3センチほどの球体だった。
「んっ、んっ、んっ、んっ、んんんんんんっ!!!」
 才人の全身が、電気椅子で処刑された死刑囚のように痙攣する。


「すごい……!!」


 思わずタバサが呟いた。
 才人のアナルから出現した球体は、なんと一個だけではなかったのだ。
 二つ、三つ、四つ、……。
―まだ、まだある? まだ入るの!?
 なるほど、『産卵』とはよく言ったものだ。しかし彼女たちの眼前で全身を震わせ、球体をひり出し続ける才人の姿には、ウミガメの出産のごとき荘厳さはカケラもない。

 タバサは、滅多に感情を表さぬその容貌を、驚きと悦びに染めながら、ひたすら球体を排出し続ける彼のアナルを、食い入るように見つめ、そんなタバサを、シエスタはこれ以上ないほどの優越感と誇りを持って見下ろしていた。

「お姉様ぁっ、お姉様ぁっ、もう、もう!!」
 そう叫ぶ才人の肛門からは、数珠繋ぎに結ばれた“卵”が四個ぶら下がり、しかも四つ目の“卵”からは、まだ紐が彼のアナルまで続いている。
「だらしないですねぇ、サイトさん」
 そう言うと、シエスタは、そこで初めてリングに指をかけ、
「御自分の異物を、排泄する事さえ出来ないのですか?」
 一気に引き抜いた。

 ずぶりっっ!!

「~~~~~~~~~~~っっっ!!!」

 鈍い音がして、さらに二つ、都合六個の“卵”が、異臭にまみれてベッドに落ちる。才人自身も、それと時を同じくして、再びベッドに崩れ落ちる。

 その数珠繋ぎのアナルパールを携え、ひょいと才人の枕元に移動したシエスタは、刹那、タバサに勝ち誇った眼差しを向け、戦慄すべき新たな指令を、愛する男に下した。


「さあ、サイトさん。御自分で汚したモノは、御自分で綺麗にして下さい。メイドの基本ですよ」


 糞臭匂うアナルパールを、才人の口元に突きつけながら下したこの言葉は、眼前の才人にのみ向けられたものではない。つまり、
(私が命じて、サイトさんに出来ない事など、もはや存在しない。貴方と私の、今の差を思い知らせてあげますわ、ミス・タバサ……!!)


354:痴女109号
07/06/10 04:03:13 V7ARRJ95
すんません、今晩はここまでです。
明日また、投下します。

355:名無しさん@ピンキー
07/06/10 07:56:01 KEwkj7Hg
GJとしか言えない

356:名無しさん@ピンキー
07/06/10 08:25:47 1TheSjWo
途中できってしまったみたいだぜ。スマソ
どんだけシエスタ黒いんだw

357:名無しさん@ピンキー
07/06/10 09:58:01 53+/KD88
保管庫一通り読んできたけど
せんたいさんのオリジナルのアニエスにいたずらされちゃった
かわいそうな金髪少女フェリスがサイトに会ったらどうなるのか知りたい!

358:名無しさん@ピンキー
07/06/10 10:10:05 WZ+YVmQg
テファってなんか一番襲われそうだな

359:名無しさん@ピンキー
07/06/10 11:34:30 FCKX+iWM
>>354
もう鬼畜の域だなぁ・・・。才人崩壊END??

360:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:49:06 DumVqh2V
はいおまたー。買い物前に投下いくよん

361:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:52:10 DumVqh2V
二人はその後、なんとなく眠たくなって、ふかふかのベッドに二人で潜り込んだ。
さすがに裸に近い格好では、夏が近いとはいえ、寒気を感じずには居られない。
二人でシーツに潜り込むと、お互いの体温で布の中はぽかぽかと暖かかった。

「あったかいねー」
「だねー」

二人は向き合って、裸のまま見つめあう。
もう少し歳を取っていたなら恥ずかしがるような場面だが、性というものに無頓着な年齢の二人は、そんな事は気にも留めていなかった。
そうして少しすると、タバサがぶるっと震えた。
何故か、寒気がしたのだ。

「さむいの?」

震えるタバサに、才人が語りかける。
才人の質問に、タバサは頷く。

「うん。…そっちいってもいい?」

才人は目の前で震える少女を可哀想に思い、頷く。

「いいよ。くっついてたほうがあったかいし」

その言葉と共に、才人もタバサの方へにじり寄る。
お互いに寄り添った結果、二人は向き合う格好になった。
お互いの顔が正面に立ち塞がり、吐息がお互いの顔にかかる。

「あったかいね」
「…うん…」

異変に気付いたのは才人が先だった。
タバサのカンジがおかしい。
吐く息が荒く、頬は真っ赤に上気し、目がとろんとして潤んでいる。

「どうしたの?」
「なんか…へん…」

そう言って、タバサはゆっくりと手を才人の方へと伸ばしてきた。
どくん。
才人の心臓が一回、異常に大きく脈打った。
それは痛みさえ伴い、才人の動きを完全に止める。
その隙に、タバサの伸びてきた小さな手が才人の顔を挟む。
熱っぽい視線で才人を見つめ、タバサは言った。

「キス…してもいい?」

そしてそのまま返事も待たず、タバサは才人の唇を奪った。

362:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:53:03 DumVqh2V
キスの意味すらわからない幼い才人は、タバサの行為にされるがままになる。
タバサは己が内でうねる熱い何かに促されるまま、才人の唇を吸い、そして舌でその唇を舐めまわす。
最初は抵抗しようと思った才人だったが、タバサのキスが気持ちよくて、その意思はすぐに鳴りを潜めた。

ちゅぱ…ちゅぱ…

シーツの中に、幼い子供が立てるとは思えない、淫靡な水音が鳴り響く。
その音と、湿った空気と、タバサの牝の温もりが、才人の鼓動を早める。
そして才人の中にも、異変が起こり始めていた。
下腹部が熱い。尿意を堪えている時のそれに近いが、今彼の膀胱はからっぽだった。
キスを貪るタバサの下腹部が、才人の下半身に密着する。

びくん!

その瞬間、才人の背筋に恐ろしいまでの電流が走り、彼は仰け反った。

「うあっ!」

才人の反応に思わず手を離し、タバサは心配そうに尋ねた。

「だいじょうぶ?」
「う、うあ、うあっ…」

しかし才人は応えられない。
猛烈な尿意に似た『何か』が、彼の下半身を襲っていた。
才人はその感覚に恐怖を覚えていた。
だしたい。でも、だしちゃだめ。
彼の中で、二つの意思が必死に戦っていた。
それは三歳の少年にはけして起こりえない生理現象であった。
射精である。
彼の陰茎は三歳にはありえないほどに勃起し、先端からピンク色の中身と先走りを露にしていた。
彼の中の自然と、彼の中に芽生えた異変が、その行為を否定し、肯定していた。
そしてその均衡は、タバサの行為によって崩れ去る。

にゅる。

タバサはなんと、濡れた股間を、才人のソレに押し当てたのだ。
タバサの体にもまた、異常が起きていた。
キスによって高められた彼女の牝は、ありえないことにそこに牡を受け入れるための、潤滑油を分泌していたのだった。

「うあっ、うあぁぁぁぁぁーっ!」

才人の堰は容易く崩れた。
幼い身体をがくがくと痙攣させ、ありえないほどの精液がシーツの中に飛び散る。
その飛沫の大半はタバサの下半身から胸の付近までを白く汚していった。
そしてタバサもまた。
びくびくと射精を続ける間も固さを失わない才人の肉棒に己自身を擦りつけ、そして精液の熱さに酔いしれながら。

「ふぁっ…あぁぁぁぁぁぁっ…!」

脳髄を焼くありえない感覚に身体を震わせていた。
そして二人は抱き合い、泥のように眠ったのだった。

363:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:54:20 DumVqh2V
目が醒めると。
裸のサイトの腕の中にいた。
ぼやけた視界の中で、術式を行ってからの記憶がないことに気付いた。
…結局あのあと、どうなったんだろう…。
この状況を見てみると、けっこう仲良くしてたみたいだけど。
たんにシーツの中でじゃらってただけって可能性も…。

どくん。

あれ…なんだろ…この匂い…。
急に脈打った心臓も気になったけど、私はこの嗅ぎなれた匂いの方が気になっていた。
サイトの…におい…。
シーツの中をあらためると。
シーツの中と…私のおなかの部分に…白いのがいっぱい…。
え?え?なんで?
三歳くらいになってたはずなのに…。

どくん…どくん…。

やけに大きく脈打つ心臓の音が気になる。
そしてそれよりも。
目の前で眠る…サイトの事が…。
ま、まさか、これって…。
私は必死に理性を振り絞って、サイトから目を逸らしてベッドの周囲をあらためる。
そして、ベッドの脇に、開いた小瓶を見つけた。
あれ…!こないだ買ってきた『オーガの血』…!
まさか…。子供になった私とサイトが…飲んじゃった?それで…。
そこまで考えるのが精一杯だった。

「ん…ん?シャルロット?」

目覚めた彼の言葉を聴いて、私の中の牝が完全に目覚めた。
私は、起きたばかりのサイトの唇を乱暴に奪うと、そのまま彼を押し倒した…。

364:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:55:40 DumVqh2V
シルフィードが二人を捜して、あっちこっちもののたとえではなく本当に飛び回って、ヘトヘトになってタバサの部屋に帰りついたのは、夕方のことだった。

「なんなのねもう!あの色ボケバカップル!もうしらないのね!」

憤慨しながら扉を開けて部屋の中に入る。

「もういいのね!子供達はシルフィが立派に育ててみせるのね!」

妙な決意に燃えながら、シルフィードが部屋の中に入ると。

「ぐえ」

部屋の中はものすごい異臭がしていた。
ていうか、この臭い。
シルフィードはつかつかとベッドの上で盛り上がっているシーツに近寄ると。
がばぁっ!と勢いよくシーツを捲り上げた。
そこには。
すやすやと満足そうに眠る、どうみてもヤっちゃった後の才人とタバサがいた。

ぷっちん。

シルフィードの中で何かが切れた。

「こらこの色ボケ夫婦ー!子供ほっぽってナニしてるのねー!?」
「うわっ、なんだよシルフィードかっ?」
「…五月蝿い」
「うるさいじゃないのねー!子供おいといてさんざん交尾!?何人作れば気が済むのね!?」
「な、なんだよ子供って?」
「…煩い」
「サカるのもたいがいにしないとおばかになるのねー!セックスは週に三度までなのねー!」
「う る さ い」

暴走して意味不明なことを喚き散らし、暴れまわるシルフィードを止めたのは、結局タバサの杖の一撃だった。~fin

*追記*
シルフィードの誤解はしばらく解けず、説明に三時間を要したという。

365:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:58:40 DumVqh2V
第一部>>267第二部>>326
ごめん、マジで遅くなった。
なんか予想してたラスと微妙に違うものになってしまったけど…まあいいか。

んじゃ買い物いってきますノシ

366:名無しさん@ピンキー
07/06/10 14:13:24 J1RxjgR3
一番槍GJ
さすがへんたいさんだぜ
ロリショタ(;´Д`)ハァハァ

367:名無しさん@ピンキー
07/06/10 14:34:46 Xd2BZ9+A
超GJなんだが
ちょっと性描写があっさりしすぎでは?とも思った

368:名無しさん@ピンキー
07/06/10 14:47:15 FCKX+iWM
>>367
バーロー。せんたいさんはいかにタバサで萌えさすかに特化してるんだよw

369:名無しさん@ピンキー
07/06/10 15:31:29 2Am0H5Ao
なんたって僕はオンディーヌ家の一族だからね!!

370:名無しさん@ピンキー
07/06/10 20:32:52 ATSU8DKb
ちょwwwテラナツカシスwwwww

371:名無しさん@ピンキー
07/06/10 20:45:35 U52rKzZI
「ご主人様の夜の相手をつとめる使い魔なんて始めて見たぜ。」

なんか頭の中に聞こえてきた

372:名無しさん@ピンキー
07/06/10 20:58:01 ATSU8DKb
舞踏会のデルフかww

373:名無しさん@ピンキー
07/06/10 21:37:36 wcd2HFi4
ここみたいなSSスレって他板にもある?

374:名無しさん@ピンキー
07/06/10 21:56:54 NrQqrvkl
>>373
ノボルスレはここだけかな。
あとは個人サイト巡り。

375:名無しさん@ピンキー
07/06/10 21:59:24 wcd2HFi4
おお、ありがと
ちょっくら探してみるか

376:名無しさん@ピンキー
07/06/10 22:00:52 FK2iaNLX
>>375
ステキなシェスタSSを見かけたら教えてくれよ

377:名無しさん@ピンキー
07/06/10 22:40:43 l+eazEhc
ラノベ板本スレとかアニメ系のスレとかこことかで
シエスタをシェスタと書いてる奴は同一人物なのか?

378:名無しさん@ピンキー
07/06/11 14:55:23 TQTmlVG6
普通に何人もいるんじゃない?
そんなどうでもいい話で決め付けとか他板の話とかやめてくれ

379:名無しさん@ピンキー
07/06/11 15:40:57 MLWOJu07
お昼寝はシエスタだっけシェスタだっけ

まあどっちにせよシエス子可愛いよシエス子

380:名無しさん@ピンキー
07/06/11 16:03:01 sMwB/uKk
うほ。せんたいさんきてた。
GJGJGJ!タバサ好きな俺にはタマラン

381:284 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:30:02 uHH+G4ua
 ∧_∧        
 (ヘ´Д`)       
 (  つ□つ  粗品ですが。       
 と_)_)    


タバサもの、エロ薄です。

382:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:31:15 uHH+G4ua
 …コンコン。
 ルイズもシエスタもいない少々寂しくも感じられる部屋で、才人がぼっとしていると
急に部屋の木製のドアがノックされた。
「はいはい、開いてるよっと」
 なんだろうと思い声をかけてみるが、ノックされたきり全く反応が無い。
「……………?」
 流石に才人も不振に思ったのか訝しげな顔をして、ゆっくりとドアに近づく。
 が、すぐに向こうにいる相手が分かった。
「…わたし」
「あぁ、なんだタバサか」
 才人は顔から険の表情を消すと、すぐにドアを開けてやる。
 すると、やはり廊下には才人の口元まで届くかどうか、というほどの身長しかない女の
子、タバサが立っていた。
 相変わらずのスッとした身体のラインとさらさらの青い髪、そしてふわっとした女の子
独特の香りに才人は少しドキッとする。
 何より、先日の出来事が才人の中のタバサのイメージを少なからず変化させていた。

「どうしたんだ? 今はルイズもシエスタもいないけど…」
 才人が何気なさを装い、問いかけるとタバサはマントの中から数冊の本を取りだした。
「これ」
「ん? 本?」
「この前の続き」
 それだけを言うとタバサはスタスタとルイズの部屋へと入っていく。
 そして、手に持っていた本を机の上に置くと、いすに座って才人の方を向いた。
「座って」
「いやでも、俺も結構読めるように…」
「だめ、まだ半分ぐらいしか教えてない」
 才人は何かを言おうと口を開いたが、有無を言わせないタバサの圧力を感じて二の句を
継げないでいた。
 あ~。 と何かを言おうとする才人と黙って才人を見つめるタバサとの間にシン、とした
空気が流れる。
「……わかったよ」
 好意で来てくれてるんだしな。 と才人はいつも通りにタバサの横に座る。
「それじゃあ、まずはこれ」
 座ったのを確認すると、タバサは一番上にあった薄めの本を開いた。
 そうして、タバサの授業が始まった。


383:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:32:07 uHH+G4ua

 …。
 ……。
 ………。
「…によるものである。 っとこんな感じか?」
「うん、これはもう大丈夫」
 一時間半ほどをかけて二人は二冊を読破していた。
 以前に比べて明らかに才人の読むペースは速くなっている。
「じゃあ、これ」
「へいへい… えっと?『女主人のいけな…』」
 バタンッ。
 才人がタイトルを読もうとすると、タバサがバッと本をひったくってページを開く。
「ここから読む」
「あ、でもその前にタイトルを…」
「必要ない」
 それきり黙りこむと、タバサはずいっと本を才人の方へと押しやる。
「早く…読む」


384:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:33:08 uHH+G4ua
「…………………………」
 え? なに? なんですかこれ?
 才人は広げられた本を前にして硬直していた。
「……えっと…」
「――っ!!」
 どういうことかタバサに尋ねようとしたら、タバサはビクッと身体を震わせる。
 タバサは先ほどからうつむいたまま顔を上げようとしない。
 よくよく顔を覗き込んでみると、いつもの白い顔とはうって変わって真っ赤になってい
た。
 やっぱり、これは…『アレ』だよなぁ…。
 才人の前には一部で大人気の女主人シリーズの一冊が開かれていた。
 ある程度、文字が読めるようになっている才人はその内容がはっきりと分かっている。
 これをどうしろというのだ。と才人は半ばパニックのまま固まっているのだった。
「……づき」
「…え?」
 独り言のような小ささで呟かれた言葉に、思わず才人は聞き返した。
 そして、この時、聞き取ろうと顔を寄せたのがいけなかった。
「この前の…続き…」
「―――!?」
 タバサが才人の唇に自分のそれを重ね合わせたのだ。
 それはぎゅっと押し付けてすぐに離すだけの軽いキス。
 実際には数秒だったのだが、才人には何分、何時間もの長さに感じられた。
「お願いが…ある…」


385:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:33:52 uHH+G4ua
 タバサが出してきた『お願い』とは、「女主人ごっこ」だった。
「サイトがそれを読む…で、私が…」
「わたしが?」
「…その通りに行動する」
 そう言うとタバサは机の下に潜り込んでしまう。
「ちょ、タバサ?!」
 才人は、落ち着け。と反論しようとしたが、タバサの潤んだ瞳に見つめられて、何も言
えなくなってしまった。
「…いや?」
「え?」
 じっと見つめ上げていたタバサが、もぞもぞと机の下から才人の方へと這い出してきた。
「サイトは、こういうの…いや?」
 嫌なわけが、あぁありまっっせぇぇええんん!!!
 ですが! 友達同士でこういう事するのはアレなワケでしてっ。
 本の内容って言ったら当然ナニをするわけでありましてっ。
 そもそもご主人様が帰ってきたら…。
 と、才人が脳みそをフル回転させていると、タバサがぎゅっと抱きついてきた。
「私は…サイトと、こういう事…したい」
 才人の頭の中で、今何かが切れた…。

 と、いうわけで…
「んっ…サイト…おっき…ん、じゅぷ、ちゅっ…ふあ」
「お、女主人、はっ、くうっ…み、みだ、みだ、淫らに舌でっ、おうっ」
 才人がいすに座って本を読み、タバサが下に潜って才人の竿竹を口に含んでいる。
 才人は実際に与えられる刺激と、朗読する、という五感に直接働きかける行為のせいで、
既に限界ギリギリまで達しかけていた。
 只、はたから見るとエロ本を朗読するただのへんたいにしか見えないのだが…。
 既に才人にはそこまで考えられる余裕は無くなっていた。
「ご、ごめっ、タバサ…そろそろ、ヤバイ」
「れほう?」
 タバサは才人のモノおを咥えたままもごもごと喋る。
 それが更なる刺激となり、才人はこくこくと頷くことしかできなくなる。
 それを見つめていたタバサも頷くと本を無視してペースを速めた。

「んっ、ちゅっ、じゃあ…出して、いい」
 止めとばかりにタバサは才人を強く吸い込む。
「う、うああぁああ!! ご、ごめん、も、もうっ!」
 才人はおもむろにタバサの頭を掴むと、ぎゅっと腰に押し付けた。
 そして、電気が通ったように痙攣すると、タバサの小さい空洞にどくどくと白濁液を放
出していった。


386:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:34:36 uHH+G4ua

「―っ! …っはぁっ、はぁっ…タ、タバサ、大丈夫か?」
 タバサはしばらく才人を咥えていたが、やがてゆっくりと口から引き抜いていった。
 完全に離れるとタバサの口と才人の先端にてらてらとした白い橋がかかった。
「…んんっ…ん、こくっ、んんっ…ふうっ……大丈夫」
 ぐしぐしとタバサは自分のマントで口を拭う。
 拭き終わるとするすると机の下から出て才人の上に馬乗りになるように座った。
 それはちょうど向かい合うような向きになった。
 タバサは才人をぎゅっと抱きしめるとぼそぼそと耳打ちする。
「もっと…サイトと…いろいろ…してみたい…」
 それを聞くと、才人はタバサをお姫様抱っこしてベッドへと瞬間移動した。
「タ、タバサっ!」
「サイト…」
 こうして、タバサの指導は第二ラウンドに入った…

 ただ二人ともここがルイズの部屋だってこと忘れてるわけで…。
 出かけてるだけってことは、帰ってくるわけで…。
 そんな中で二人でベッドの中に裸でいるって言うのは…
「ご、ごごご、ご、ご、ご主人様のベッドの上で…な、なな、何してんのよバカ犬ぅぅぅ
うう!!」
「ま、待てルイズっ!! こ、これは…」
「 問 答 無 用ぉ~~~!!!」
「ぐへぁあああやyうぇうふぁいpbヴぁっっ……あ」
 …こうなるわけで…。

「…サイト…可哀想」
 あれ? タバサさん?
                            <おしまい>


387:284 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:35:21 uHH+G4ua
新刊読んで電波受信。
かなり竜頭蛇尾になってしまった。

それでは、また。おじゃましました。

388:名無しさん@ピンキー
07/06/11 17:39:55 V/0FNXiv
>379
まえ見た旅行のパンフではシェスタってのが多かったと思うんだけど、
ATOKのジーニアスでひいてみたらシエスタになってたw
まあどっちでもシエシエはお昼寝中に悪戯される運命なんだよキッと

389:名無しさん@ピンキー
07/06/11 17:50:34 f4kohbP4
受信したそのまま出しちゃダメぢゃないですか w

タバサものというと、「豊富な知識で超絶テク」って展開が多いですけど、
知識は豊富なんだけど実践がともなってなくて→才人に主導権
ってのもアリな気がします。

んで、才人が夢中になってあんなことやこんなことしてるとルイズ乱入
といういつものオチに行きやすいですし www

390:名無しさん@ピンキー
07/06/11 17:51:19 V/0FNXiv
>387
GJ!
外国語覚えるのはポルノ読むのが一番早道って昔っからいうよねえ
けど羞恥責めはおんにゃの娘に読ませる方が萌えると思いますw
あとタイトルが何気にエロくってグッド。

391:名無しさん@ピンキー
07/06/11 18:47:25 rxVLLWxx
>>387
GJ!!
羞恥責めされるサイトww

392:名無しさん@ピンキー
07/06/11 23:58:52 dPl3u3Mq
ええと?グリーングリーンの人

393:名無しさん@ピンキー
07/06/12 21:28:55 XoLeiLfQ
サイトみたいに地球からやってきた男の名前
>>395

使い魔 小さい女の名前
>>400

394:名無しさん@ピンキー
07/06/12 22:04:42 O9tcnHJP
ダンディズム山根

395:名無しさん@ピンキー
07/06/12 22:11:45 xleETs27
海馬瀬戸

396:名無しさん@ピンキー
07/06/12 23:35:47 TAYhXM6l
社長かよ!

397:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:02:22 6cTOcsmM
ならば使い魔はブルーアイズホワイトドラゴンの一択だな

398:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:10:27 kADySSNe
名前はモクバかキサラだな

399:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:12:01 /MDkC6GK
と見せかけてアテム

400:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:23:32 A89WPrqX
雷電娘々

401:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:26:01 dKoeGTSA
>>400
柳沢がQBKしたときのようなため息が漏れた。

402:名無しさん@ピンキー
07/06/13 02:55:18 hWMGAr+U
もう末期な流れだな・・・

403:名無しさん@ピンキー
07/06/13 07:51:57 0xNaYk1Z
急にタバサが来たので

404:名無しさん@ピンキー
07/06/13 13:39:22 DnHHwxae
>>403
シエスタもサイトと一緒に勉強する事にした。

405:名無しさん@ピンキー
07/06/13 15:17:33 U3UROCHz
タバサはふたりをみて、わずかに表情を変えたが

406:名無しさん@ピンキー
07/06/13 16:32:04 R8W9gNQI
>>395 >>400把握
書いてみる アナザーストーリね

407:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:10:00 DnHHwxae
友達の少ないタバサは、これはこれでチャンスと思い、
シエスタにも文字を教える事にした

408:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:20:36 U3UROCHz
シエスタは、しまったと思った。彼女にしてみれば

409:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:22:12 5pHhvgAs
>>407
シエスタは学院での奉公決まってから寺院で文字勉強したでしょ

410:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:51:24 bWJt/X6S
>>409という訳なので正直、お節介でしかないからだ

411:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:52:42 DnHHwxae
勉強はサイトと一緒にいる口実でしかなかったのに、何故か自分まで文字が読めないと思われてしまった。
今更読めるとも言えない。タバサのみならず、サイトの気分まで害するのではないか?と思えてしまうのだ。

>>409
とりあえずすまん。

412:名無しさん@ピンキー
07/06/13 22:40:20 WgPJ2pvG
10巻読んでて思ったのだが、韻竜にも処女膜はあるのだろうかw

413:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:00:38 uOpx3DzP
何言ってんだ?あるに決まってるだろう?

414:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:17:18 wxicQMQ7
人間以外にも処女膜ってあんのか

415:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:30:39 VELtLjN1
有名なのはモグラかな

416:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:36:41 R8W9gNQI
ギーシュ「あぁいいよ 我が愛しのry

417:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:39:02 CfYx6wfh
本来の姿ではないだろうけど、人化したらどうなんだろうね

418:名無しさん@ピンキー
07/06/14 00:00:20 VgMPtWM4
>>415
逆に言えば人間とモグラだけだがな

419:名無しさん@ピンキー
07/06/14 00:13:56 nLmOkdA3
>>418
てきとーに調べた感じだとそれは古い説で、クジラとかジュゴンの水中に住んでる生物とか、他にも膜持ってるのはいるみたいよ

420:名無しさん@ピンキー
07/06/14 00:35:25 zUEZ2OU2
そこで以前ここに投下されてた
ヴェルダンデ擬人化ネタが生きてくるわけだ

421:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/14 01:51:15 ve8irWsG
さて、突発で思いついたアン様もの投下。
でも続きは明日以降のヨカン。すまんね

422:ケイコとマナブ ◆mQKcT9WQPM
07/06/14 01:52:35 ve8irWsG
「はっ…はぁ…あぁ…」

深夜のトリステイン王宮。
そこの最も奥まった部屋では、夜陰に紛れて女性の喘ぎ声と、水音が響いていた。
それは、魔法の結界によってけして外に漏れることなく、部屋の主の耳にだけ届いていた。

ぷちゅ…ちゅく…。

「あっ…はっ…さ、サイトさま…」

簡素なベッドの上で、シーツに包まれた肢体が熱い吐息と言葉を漏らす。
そのシルエットは厚いカーテンの隙間から零れた月明かりによって薄く闇から浮かび上がり、淫靡な律動を繰り返していた。

くちゅ、くちゅ、くちゅ。

水音がだんだん早くなる。それと共に、甘い声もだんだんそのトーンを上げていく。

「ふぁ、ふぁ、あぁ、いいの、そこ、もっとぉ、サイトさまぁ」

声の主はシーツの中で丸まって自慰をするだけでは我慢できなくなったのか、シーツを跳ね除けると淫らに膝を立て、自らを中空に持ち上げ、そこを白磁の指で犯し始めた。
薄青い月明かりに照らし出されたのは、この国の女王。アンリエッタ。
妖精に例えられる白い肢体をベッドの上で淫らに割り開き、女陰を白磁の指で自ら犯すその様は、酷く現実味を欠いていた。
やがてアンリエッタ女王の腰が激しく痙攣しはじめる。

「あ、だめ、だめ、いく、いくのぉ、いっちゃうのぉ!」

一際大きな嬌声を上げ、アンリエッタの身体がかくかくと震える。
それと同時に、透明な噴水が、桜色の裂け目から飛び散る。
最大まで反り返った身体が、その放出を境にくたり、とベッドに崩れ落ちる。

「あ、は、はぁ、はぁ、はぁ…」

荒い息をつき、女王は自らを犯していた掌を自分の前に持ってくる。
そこには、べっとりと女王の牝がこびりついていた。
…また、しちゃった…。
最近、アンリエッタには一つ悩みがあった。
三日に一度は自慰をしないと、身体の疼きが収まらないのだ。
その原因は分かっていた。才人を、牡を知ってから、こうなってしまったのだ。
それ以来、アンリエッタは体が疼くと、部屋にサイレンスの魔法をかけ、自慰に耽るようになってしまった。
でも。
それも、明日までの辛抱。
なぜなら、明日は、自分とアニエスの休みがちょうど重なる日。
そして、才人には王命でトリスタニアへの召還命令を出してある。

「いよいよ明日は『お稽古』の日ですわね、サイト様…」

双つの月に己と想い人を重ねながら、アンリエッタは明日の宴に思いを馳せて、眠りについたのだった。

423:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/14 01:53:35 ve8irWsG
短っ。
ごめんしてね、本編はちょっと待ってorz

あ、事前にURLリンク(wikiwiki.jp)を読んでおくと幸せになれます

それじゃ明日も仕事なのでノシ

424:名無しさん@ピンキー
07/06/14 01:55:16 DRPsDVvn
リアルタイムwktk

425:名無しさん@ピンキー
07/06/14 02:12:54 lEGCV46G
短いのにすげえ期待が出来る!

つ・・・続き投下しないとGJなんていってあげないんだからね/////!!

426:名無しさん@ピンキー
07/06/14 10:05:56 Y5QgZwug
うほ、短いけどせんたいさんきてる


427:名無しさん@ピンキー
07/06/14 11:53:02 2I5aZxwB
末期な状況ですべてを吹き飛ばすせんたいさんのSSキタ━━(゚∀゚)━━!!
しかもこの所、絶望的だったアン様SSwwwwwwwww

428:名無しさん@ピンキー
07/06/14 12:57:00 2My3YCz4
おお、せんたいさん来ましたか。
ところで>>243のリンク先の

>陛下を狙う不貞の輩が、まだ残っているというのか…。

を見る度に「妻子がいるのにアンリエッタを狙う貴族のオッサン連中」を
想像して噴出してしまうんですが、このままですか。

429:名無しさん@ピンキー
07/06/14 15:04:56 1PdAjNcw
本来ならそこは不貞ではなく不逞なんだろうがな
各自脳内で置き換えればいいんじゃね

430:名無しさん@ピンキー
07/06/14 19:42:24 uxh6DHay
アニエスってどなた?

431:名無しさん@ピンキー
07/06/14 19:56:48 IXoxS7Wh
オンザ眉毛の美女隊長

432:名無しさん@ピンキー
07/06/14 20:11:50 H4tnTBcg
オレオレ、俺だよ

433:Soft-M ◆hjATC4NMLY
07/06/14 20:57:07 BkmvB3BE
『ゼロの飼い犬』 6回目です。
前回までの話は>>203から見られます。

434:黒い瞳の彼 1/13
07/06/14 20:57:55 BkmvB3BE
「ごめんなさい、狭いし、あんまり立派な部屋じゃないんですけど」
 他の部屋の子に聞こえないように、そっとドアを開いて、小声でサイトさんに言います。
 サイトさんは、「お邪魔します」なんて言いながら、わたしの後ろについて室内に入ってきました。
 
 二段ベッドと、古い机やタンスなんかが二人分。小さな窓にこれまた古いカーテン。
 ミス・ヴァリエールの部屋に住んでいるサイトさんを招くのは、ちょっとためらわれてしまうわたしの部屋。
一応、サイトさんのお風呂に行く前に、軽くお掃除しておいたのだけれど。
 
「いや、俺の部屋もこんな感じだったし、むしろ落ち着くかな」
「そうなんですか?」
「いや、広さがね。俺の部屋はもっと散らかってたけど」
 サイトさんは、冗談めかして笑いました。サイトさんはこことは全然違う国から
来たって言ってたけど、どんなお部屋に住んでたのでしょう。
 
「えっと……それで、俺はどこに寝たらいいのかな」
 サイトさんの、遠慮がちな質問に、どきっとします。そう、わたしはサイトさんを
この部屋に泊めるためにお呼びして……そして、サイトさんはこの部屋に泊まるつもりで
わたしについてきたのです。
 そのことを今更思い出して、先程のお風呂での体の火照りがずっと続いていることに気付きます。
 
「それじゃ、二段ベッドの下で構いませんか? わたしの使ってるベッドですけど」
「シエスタの使ってるベッドに!?」
「だって、もうひとつはわたしと同室の子のベッドですし」
「う、そういえばそうなるのか」
 
 わたしのベッドを使うようにサイトさんに言うと、サイトさんは慌てた様子を見せました。
わたしも、男の人に自分のベッドで寝てもらうなんて、今までだったら考えもしなかったでしょう。
 でも、サイトさんだったら構いません。そのつもりでここへお招きしたのですから。
 
「じゃあ、シエスタが上のベッドを使うっていうこと?」
「……わたしがどこで寝たらいいか、サイトさんがお決めになってくださってもいいですよ?」
 サイトさんの顔をのぞき込んで、ちょっと意地悪な台詞。
「え、あ、う、えっと……うん、シエスタは上でお願い」
「わかりました」
 サイトさんはわたしの意地悪に気付いたのか、面白いくらいにしどろもどろになって、そう答えました。
わたしも、それ以上は何も言いません。二段ベッドのハシゴに足をかけて、上に登ります。
 
 ―そこで、上の段のベッドを見て、わたしの体が固まりました。
 だって、そこには、掛け布団が無くなっていたのだから。
 
「シエスタ、どうしたんだ?」
「えと……その、掛け布団、持って行かれちゃったみたいです……」
 またどきんどきん鳴り出した心臓を持て余しながら、なるべく平静を装って、そう答えます。
「え!? それ、どういう……」
「なんていうか、その、よその部屋に移ってもらった子に、気を使われちゃったといいますか…」
 照れ笑いをしながらサイトさんの方を見ましたが、きっとわたし、顔が真っ赤になってると思います。
 
 でもでも、これはある意味チャンスというか、むしろ天が『今夜、一気に決めてしまいなさいシエスタ!』
なんて言ってるということなのかもしれないわ。そう、きっとそう。だって、わたしはさっきお風呂で
サイトさんに捧げてしまうつもりだったのだから。
 
「……わたしのベッドで、二人で寝るしかないみたいです……」
 ゆっくりハシゴから降りて、震える声を抑えながら、サイトさんにそう言います。
「それはちょっとまずいって! 俺は布団無しでもいいから!」
「駄目です、それじゃあ風邪ひいちゃいます……ダメです」
 わたしは強くそう続けて、サイトさんの服をぎゅっと掴みました。

435:黒い瞳の彼 2/13
07/06/14 20:58:35 BkmvB3BE
「……寒くないですか? お布団からはみ出したりしてませんか?」
「だ、だいじょぶ」
「ほんとですか、もうちょっと近付いた方が……」
「いやほんと、十分あったかいから」
 
 背中の方から、サイトさんの声。ベッドの中に、わたし以外の人の体温。
 結局、わたしとサイトさんは、同じ布団で寝ることになりました。
というか、わたしが強引に一緒に寝るように説得したのだけれど。
 
 サイトさんには寒いかどうか聞いたけど……でも、小さな布団の中に二人入っているのに、
本当はちっとも寒くなんかない。
 すぐ近くにあるサイトさんの体はすごく温かいし……それに、体がずっとのぼせたように
火照ったままだから。むしろ、汗が滲み出てきてしまうくらい。 
 サイトさんが、すぐ側に。振り向けば、その背中に触れることができるところに。
―わたしと一緒に、ベッドの中に。
 頭の中まで、沸騰したヤカンみたいに熱くなってぐらぐらする。この状況が信じられなくて、
夢みたいで、まるで他人のことのように思えてきて。
 でも、これは、わたしが望んで……サイトさんに求めて、つくった状況。紛れもない現実。
 
 そもそもの始まりは、ヴェストリの広場で座り込んでいたサイトさんを見つけたとき。
 サイトさんは、ミス・ヴァリエールと何かあって、落ち込んでいるようでした。
 そして、その落ち込み方は、今までに一度も見たことがないもので……何か、してあげないと。
誰かが支えてあげないと、サイトさんは本当に深く傷ついてしまいそうな気がしたのです。
 
 背中の、サイトさんの温もりを感じながら考える。
 何が、サイトさんをそんなに落ち込ませたのでしょう。サイトさんがそんなに落ち込むことって、何でしょう。
 わたしの知っているサイトさんは、凄く強い人です。貴族の方にへつらうのではなく、
言いたいことをはっきり言って、悠然と立ち向かえる人。まるで対等であるように接することができる人。
 それは、わたしが今まで一度も見たことがないもの。今まで考えていた世界が、ひっくり返るようなこと。
 
 サイトさんの強さは、目にも止まらない速さで剣が振れるとか、メイジにも負けないというだけではなく、
平民は貴族よりも劣るものであるという常識を壊すことができる強さです。
 心が、魂が強い人……だから、わたしは惹かれたのです。わたしたちに無いもの。
わたしたちが得られるはずがないと思っていたものを持っている、サイトさんに。
 
 だから、一人で校舎の壁を背にして座り込むサイトさんを見て、居ても立っても居られなくなったのです。
こんなに強いサイトさんを、本気で打ちのめすこと。それは並大抵のことじゃないはずです。
 わたしは、それを癒してあげたかった。忘れさせてあげたかった。
 わたしが恋してしまっている、彼を……助けてあげたかった。
 
 でも、サイトさんは、わたしに落ち込んでいる理由をはっきりとは言ってくれませんでした。
 きっと、話したくないことなのでしょう。言葉にしたら、もっと傷つくことだってあります。
 それでわたしは、サイトさんを助けてあげる方法に……。
 
 ぎゅうっ、と胸の奥が痛くなる。そう、わたしは、綺麗じゃない……汚い方法をとりました。
 サイトさんにわたしの体を差し出して、それで慰めになったらって思って。
 そう思って、サイトさんとまたお風呂を一緒したいなんて言って、その……迫ったのです。
 
 胸の痛みが大きくなる。思わず、体を丸めてしまう。
 それは、本当にサイトさんを慰めるため? わたしの中の何かが、そう聞いてくる。
 サイトさんのためじゃなくて、自分のためなんじゃないの?
 落ち込んでいるところにつけ込んで、優しくして、ご飯なんか食べさせてあげて、
あげくに体で釣って……彼に、自分のことを見てくれるようにしむけるつもりだったんじゃないの?
 
 耳を塞ぐ。実際に、誰かが自分に語りかけているわけじゃないのに。
 そう。わたしは怖かった。サイトさんがミス・ヴァリエールといつも一緒にいるのを見て。
ミス・ツェルプストーにあからさまな誘惑をされているのを見て。
 結局、サイトさんも、貴族の方のものになってしまって……その気持ちも、貴族の方に向いてしまうの
ではないかって、怖かった。ただのメイドなんかより、お金持ちで名誉も気品もある貴族の女性の方が
どう考えても魅力があることがわかっていて……それが怖かった。

436:黒い瞳の彼 3/13
07/06/14 20:59:24 BkmvB3BE
 だから、わたしは―サイトさんに、”手を付けようとした”のです。
 母が言っていたことを思い出す。『シエスタや、男の人が傷ついて落ち込んでる時こそ、
惚れさせるチャンスなんだよ。そういう時に一気に攻めなさい』と言っていました。
 たぶん、その言葉は正しい。正しいけど……時に、凄く汚らわしい手になります。
 
 涙が零れそうになってくる。この、サイトさんと一緒に寝ているという状況が、
すごく不安になってくる。サイトさんは、どう思ったのかしら。一緒にお風呂に入ろうだなんて言って、
あんなふうに迫って……最後には、部屋に呼んで一緒のベッドで寝ることになった女を。
 はしたない、と思ったかもしれない。汚いと思ったかもしれない。
 ―所詮、平民女なんてこんな軽いやつなんだ、なんて思ったかもしれない。
 わたしを大事にしてるって、魅力的だって言ってくれたサイトさんの言葉が、信じられなくなる。
 
「………うっ……!」
 つい、しゃくり上げて、嗚咽が漏れてしまいました。慌てて口を塞ぐけど、遅かったみたい。
「……シエスタ? どうしたの?」
「なんでもありません、なんでもっ……」
 弁解するけど、声が完全に震えてしまっている。サイトさんに信じてもらえるわけがありません。
「シエスタ……泣いてる?」
 サイトさんはわたしの方へ体を向けて、顔をのぞき込んできました。
 暗い部屋の中だけど、サイトさんの表情はわかった。わたしを、本気で心配している目。
純粋に、気遣っている目。
 わたしの好きな―わたしと一緒の、黒い瞳。
 
 その目を見て、今までサイトさんがわたしを汚いと思っているかもしれない、なんて
疑っていたことが恥ずかしくなる。サイトさんを信じていなかった自分を忌々しく思う。
 サイトさんは、貴族に物怖じしたり、へつらったりしない。そして同時に、平民を見下したりも
するはずがない。だから―。
 
「サイトさんっ……!」
「え!?」
 わたしは、サイトさんにすがりつく。サイトさんはわたしに下から抱きつかれて、
まるでわたしに覆い被さっているような格好になって、困惑の声を上げました。
 
「な、なな何なのシエスタ!?」
「…………好き」
 
 わたしは、まだ言っていなかった言葉を、サイトさんの胸に顔を埋めながら言いました。
 
「え……」
「好き。好きなんです。サイトさんのことが好きです。こんなに強い気持ちになったの、初めてなんです」
 
 言葉にしたら、今までぐちゃぐちゃになっていた胸の奥が、どんどんすっきりしていく。
 そうだ。わたし、サイトさんのことが好き。だったら、理屈なんてどうだっていい。
 綺麗でも汚くても、なんでも良い。サイトさんにしてあげたいことがあって、
サイトさんにしてもらいたいことがあって、それを求めて……それだけでいいじゃない。
 
「シエスタ……」
「好きだから、サイトさんが落ち込んでるところを見たくないんです。何か、してあげたいんです。
わたしが、サイトさんを、慰めてあげたいんです。わたし、サイトさんに何がしてあげられますか?
どうしたら、サイトさんは喜んでくれるんですか? 教えてください、サイトさん……」
 
 感情が溢れて、涙も零れて、サイトさんの服を濡らして……まるで、逆にこっちが
サイトさんにすがって慰めてもらっているみたいな状態で、必死に聞く。
 ああ、やっぱり、わたしは弱い人間で……何もできない平民でしかない。でも、それでも、
この気持ちだけは弱くなんて無い。嘘でも偽りでもない。誰にも負けない!

437:黒い瞳の彼 4/13
07/06/14 21:00:07 BkmvB3BE
 しばらくの間、サイトさんは、その大きな手で、わたしの髪を撫でてくれました。
お互い向かい合うように横になって寝て、ゆっくり、優しく、何度もわたしの頭を撫でてくれました。
 
「……俺は、今日だけじゃなくて、このせか……じゃなくて、国に来たときから、何度もシエスタには
助けられてる。回りが俺を平民だって見下す連中ばっかりだし、ご主人様もあんなだしで
滅入っていたところを、シエスタがいてくれたおかげで何度も気が楽になってた。
もちろん、厨房でご飯をご馳走してくれたことも、ものすごく感謝してるけど、それだけじゃない。
気持ちの面でも、シエスタがいなかったら今の俺はなかったかもしれない」
 
 サイトさんはわたしの頭を撫でながら、子供に言い聞かせるように。そして、自分で自分の気持ちを
整理するように、言葉を紡ぎ出します。
 
「特別、何かしてくれなくても……シエスタが俺に言葉をかけてくれて。笑顔を見せてくれるだけで……
どれだけ感謝してもしたりないくらい、俺は救われてた。助けられてた。
だから、シエスタは今のままでいいんだよ。……ありがとう、シエスタ」
 
 サイトさんの言葉で、わたしの胸に、今までとは違う温かさの火が灯ります。
 涙はもう止まっていたけど、今度は別の種類の涙が溢れそうで。
 そして、サイトさんへの愛しさも溢れて、こぼれ落ちそうで……もう、胸がいっぱいになっています。
 
「それに……」
「え?」
 サイトさんは、それまでわたしの頭を撫でていた手を止めて、体を少し離し、わたしの顔を
のぞき込みました。きっと、泣いた後でみっともなくなっているわたしの顔。
 
「やだ、こんな時の顔っ!」
「見せて」
 サイトさんは微笑んで、わたしの目をじっと見つめます。どきん、と一際大きく胸が高鳴る。
 
「それに、シエスタの目を見てると、なんか安心するんだ。懐かしいっていうか、そんな感じ。
俺と同じ……俺のいた所の人と同じ色の目だからかな」
 それ、わたしも同じです。サイトさんの目、好きです。目だけじゃなくて、髪の色も、顔かたちも、
肌の色も、しぐさも……何だか、”一緒”の人を見つけたような、そんな気になってしまうんです。
 言おうと思ったけど、口がうまく開きません。ただ、暗闇の中でももっと黒く輝くサイトさんの瞳に
魅入られたみたいになってしまって……その目を、もっと近くで見たくなって……。
 
 もしかしたら、サイトさんもそう思ったのでしょうか。そんなところも”一緒”なのね、なんて嬉しく
なりながら。わたしとサイトさんは……唇を重ねました。
 
 初めての他人の唇の感触は、すごく熱くて、甘くて、どきどきして。すごく、すごくすごく、素敵でした。
 
 その顔を離して、サイトさんは、照れくさそうに笑いました。わたしは……もう、体中いっぱいに
サイトさんへの気持ちが詰まっているような感じで、どうしようもなくなってしまいます。
 
「サイトさんっ…!」
 また、その背中に腕を回します。好きな人の温もりを肌で感じられるのって、信じられないくらいに
気持ちが良い。満たされる。満たされるのに、もっと欲しくなる。わたしにこんな気持ちを教えてしまって、
ひどいですサイトさん。せっ、責任とってもらわないと困ります。
 
「シっ、シシシエスタ、まずいって、そんなにくっつかれたら……」
「いやですか……?」
「嫌じゃないけど、むしろ嬉しいけど、駄目だって。今はまだ、シエスタにそういうことするわけには」
「……それでいいです」
 サイトさんの匂い―まだ残ってる、お風呂と石鹸の匂い―を感じながら、わたしは答えます。
「それでいいって……」
「サイトさんは、わたしに何かしてくれなくてもいいです」
「それなら頼むから離れて……」
「いやです。離れません」
「ああもう! だから、シエスタにこんなことされたら、俺……」
「わたしが、サイトさんに、”そういうこと”します」

438:黒い瞳の彼 5/13
07/06/14 21:00:48 BkmvB3BE
 サイトさんの顔を見つめながらわたしがそう言うと、サイトさんは表情を強ばらせました。
 何を言ってるのかよくわからない。そんな様子。
「はい?」
「サイトさん、わたしを大事にしたいから我慢してるって言ってくれましたよね」
「あ、あぁ、言ったけど……」
「……わたしは、サイトさんよりこらえ性が無いから……もう我慢できません。
サイトさんにしてあげたいこと。わたしがしたいこと。この気持ち、抑えられません」
 そう言って、今度は首筋に唇を当てました。サイトさんの温かい肌の中に、
熱い血が流れている様まで感じられます。
 
「あの、その、シエスタ、それって……」
「お嫌でしたら逃げてください。わたしにヘンな事されるのが不愉快なら、はね除けて下さい。
わたし、今からサイトさんを……お、おおお、襲っちゃいます……」
 そんなことを言われて、サイトさんが逃げられる人じゃないことを知っていて、
わざと意地悪な言葉をかける。そして、それこそ男性の精気を吸う淫魔みたいに、サイトさんの
首筋に当てた唇を開いて、軽く歯を立てる。
 サイトさんは、言葉を詰まらせて背中をぞくぞくと振るわせました。
 
「だ、だだ、駄目だシエスタ、そんなのよくないって!」
「はい、よくないです。わたし、いけない子です。でも、いけないのはわたしだけで……サイトさんは
何もしていませんから。わたしが、勝手にしているだけですから」
 開き直って耳元で囁くと、サイトさんは言い返す言葉が見つからずに、深いため息をつきました。
 
「ああ……シエスタ……」
「サイトさん、我慢……してるんですよね。わたしだって、経験は無いけど知ってはいます。
男性はそういう時、すっごくつらいんだって」
 同室の子に、ちょっといやらしい本を借りて読んでみたりして、それくらいは知ってます。
 それに……男性だけじゃなくて、女性だって、好きな人と側にいて、肌に触れて、
それだけで終わるのはもどかしくて堪らないことだってあります。―今の、わたしみたいに。
 
「サイトさんがつらい思いをしてるのは、わたしもつらいです」
 そもそも、そんな”つらい思い”をさせてる原因は誰なのか、なんていう本末転倒な疑問を無視して、
わたしは右手をそろそろと、サイトさんの腰の方へ持って行きます。
 
「シエスタ、やめっ…!」
 わたしがどこを触ろうとしているのか気付いたみたいでしたけど、もう遅いです。
わたしの手は、サイトさんのズボンの前に、触れてしまいました。
 
「あっ……!」「え……?」
 サイトさんがびくんと体を揺らしたのと同時に、わたしも驚きます。わたしが触れたところ……
まるで、ズボンの中に何か固いものでも入れてるみたいな感触だったから。
 
「あっ、えっと、これ……男の人の……こ、こんなに固いんですか?」
「だめっ、だめだってば!」
「ごめんなさい! あの、痛かったですか!?」
 恥ずかしいとか、いやらしい気分になるとかそれ以前に、本当にそれが”わたしの想像してるもの”
なのかどうか疑問に思えてしまうような感触で、思わず撫で回してしまいました。
サイトさんは、つらそうな声を上げて身をよじります。
 
「痛くはないけどっ、その……」
「苦しいですか? 苦しいですよね、こんなにパンパンになってて、生地を持ち上げてて……」
 それは、本当にそう思ったこと。もともとサイトさんのズボンの生地は硬めで、わりと足にぴったりした
形をしています。その中でこんなに固いのを押し込むみたいになってたら、きっと苦しいはず。
 わたしが心配して声をかけたら、サイトさんはただ苦しいだけなのとは違う表情で、わたしを見ました。

439:黒い瞳の彼 6/13
07/06/14 21:01:30 BkmvB3BE
「……サイトさん、恥ずかしいですか?」
「そりゃ、恥ずかしいよ! シエスタにそんなとこ触られて、そんなこと言われたら」
「わたしも、恥ずかしくて気絶しちゃいそうです。一緒ですね」
「なら止めて!」
「やめません……嫌だったらサイトさんの方で逃げて下さいって、言いました」
 なぜだろう。サイトさんが、わたしのすることで、慌てたり恥ずかしがったりするのが、嬉しい。
 本当は、わたしのすることを嫌がってないって……むしろ喜んでくれているのかもしれないって
思えるのが、すごく満たされる。こんなことをして楽しんでいるなんて、やっぱりわたし、おかしいのかも。
 
「このズボン……どうやって脱ぐんですか?」
「お、俺の口からは説明できません」
「じゃあ、勝手にいじっちゃいます」
 たぶん、ここら辺で着られている服とは、構造が違うサイトさんのお召し物。金属のホックところを
当てずっぽうに動かしてみたら、天が味方してくれたのか、偶然にも簡単に前が開いてしまいました。
 
「嘘!?」
 サイトさんは、簡単には開けられないと思っていたのでしょう。愕然とした声を上げました。
 でも、それだけじゃまだ下ろせないみたい。まだ金属の部分が残ってます。
 そこで、またしても天啓か、わたしはひらめいてしまいました。サイトさんが普段来ている厚手の上着。
あの上着は、前の合わせ目についているツマミを下げると前が開いて、上げると閉じる不思議な仕掛けに
なっているのを見せてもらったことがあります。
 ひょっとしたら、ズボンの方もそれと同じで……。
 
 ジジー。
 
「なんで!?」
「あっ、あああ開いちゃいました……!」
 サイトさんと一緒に、わたしも驚きます。いつのまにかただの好奇心みたいな感じでサイトさんのズボンを
いじってましたけど、よく考えたら、とんでもない事をしちゃったような。
 でも、よく考えるまでもなくわたしはとんでもないことしようとしてたわけで、今更引くのも何だし、
勢いでここまで来ちゃった以上もう突っ走るしかないというか、ああもうわけがわかりません。
 
 頭の中は煮え切ってしまっているのに、手の方は何かに誘われるように勝手に動く。
サイトさんのズボンの前が開いたらどうなるのか、気になってそこら辺を探ってみたら―触れました。
それまでよりもずっとずっと薄い布地越しに、すごく固くて……熱いもの。
 
「うぁ……!」
 観念したようなサイトさんの声。きっと逃げられないのではなく、逃げたくないって、
思ってしまっているのでしょう。これが、サイトさんの。
「サイトさん……これって、わたしがいるから……わたしと一緒に寝てるから、
こんなになってしまってるんだって、考えてもいいんですよね……?」
 聞くと、サイトさんは目を逸らしました。そうだ、って意味だと思います。思っちゃいます。
 
「あと、あと……我慢、してるんですよね? サイトさん、そう言いましたよね?」
 わたしは、また意地の悪い質問をする。この期に及んで、これはサイトさんのためだ、なんて
必死にアピールしてる。わたしが、汚くて、いやらしい子なんだってことくらい、きっとサイトさんからも
もうわかってるのに。それでも、わたしは、無意味に近い取り繕いをする。
 本当は、わたしが、これに触ってみたくて……してあげてみたくて、我慢できなくなっているのに。 
 でも、サイトさんだって、本気で抵抗していないんだから。きっと、わたしのすることに
期待しているんですから。”一緒”だから……いい。構わないんです。
 
「触りますよ……?」
 自分の喉から出たということが信じられないくらい、はしたない声。媚びた声。
 鏡を見たら目を覆いたくなるほどいやらしい顔をしているだろうわたしは、サイトさんの
下着の中へ手を差し入れました。
 
 すぐに、触れる。驚くほど熱くて、固いもの。
固いのに、表面は人肌の柔らかさを持ってる。びくんびくん、小刻みに震えてる。
 それに……何だか、ぬるぬる湿ってる。
 見たこともないのに、触ってしまった。サイトさんの……大切なもの。

440:黒い瞳の彼 7/13
07/06/14 21:02:14 BkmvB3BE
「あっ……!」
 その感触と、それに触れたときのサイトさんの声でを聞いて、わたしの体の奥が
きゅううっ、と締め付けられる。きっと、派手に滲み出てしまった。今まででも足の間が
少しずつじっとりして気持ち悪いくらいだったけど、今ので、本格的に。
 
 感じちゃってる。ほとんど、自分で触っても、サイトさんに触って貰ってもいないのに。
サイトさんに、触れているだけで。
 
「サイトさん、熱くて、それに……濡れてます」
「シエスタっ、そんなこと……!」
 わたし自身のことを言ったのか、サイトさんの事を言ったのか、自分でもわからない。
でも、どっちでもいい。わたしの手の中で、サイトさんのものは、もの凄い熱気を放っていて、
そしてべとべとに濡れているのだから。
 
「サイトさん、この湿ってるのって、サイトさんの……?」
「ちが、それは……くぅっ……!」
 
 本で多少読んだ程度の知識はあったけど、確証が持てなかったので、サイトさんに聞く。
 サイトさんはわたしがみなまで言わなくても、なんとなくわたしが言いたいことを察したみたい。
 それを聞いて、またわたしの体が反応する。これはきっと、女の人と一緒で、男の人が
感じているという証し。それに、今までずっとわたしを前にして”我慢”していたという証し。
 
 そして、このまま続けていたら、『その先』があるということ。
 わたしは、サイトさんのそれを、軽く握りしめるようにして、少しずつ動かしてみる。
 
「サイトさん、痛くないですか? つらくないですか?」
「そんなことないけど……でも、あっ、くぅ……!」
 サイトさんは息を荒くして、シーツを握りしめる。その顔が、声が、ものすごく……色っぽく見える。
胸が一杯になって、そのサイトさんの反応をもっと知りたいと思う。もっとしてあげたいと思う。
 くちゅくちゅと、わたしの指とサイトさんが擦れあう音が、布団の中から微かに聞こえてくる。
 
 肝心なところはお互い見ることができなくて、ただ一つ確かなのはその触感だけで。
本当にいやらしいことをしているのかどうか、ふとわからなくなる。
 もし、明るいところで、サイトさんのそれを間近に見ながらだったら、恥ずかしくてこんなこと
できなかったかもしれない。
 
「あ、あっ……はぁ……く……!」
 必死で、荒げた息と声を漏らさないようにしているサイトさん。
でも、それはわたしにとってはあまり嬉しくない。
「はぁ、はぁっ……サイトさん、声、聞かせてください。サイトさんの声、聞きたいですっ……」
「ふぅ……ぐ……シエスタ、そんなの……!」
「それ、それです。名前、呼んでください。シエスタって、呼んでください」
 わたしは、手を動かす速さを上げる。サイトさんから滲み出たもので、わたしの手はもう
完全に濡れてしまっている。
 
「くぁ……シエスタ、シエスタ……!」
「サイトさん、サイトさん……!」
 名前を呼ばれるのが、嬉しい。サイトさんをこんなにしているのがわたしだって、確認できる。
わたしの手で気持ちよくなっているのがサイトさんだって、はっきりとわかる。
 
 だんだん感極まっていくサイトさんの声。それと一緒に、わたしの方もどんどん気持ちが
高ぶっていく。
 サイトさんの腰が引けてきた。その声と表情に混じる、切なそうな色が濃くなっていく。
あ、きっと。直感的にわかった。それがわかったことも、嬉しい。
 
「シエスタっ、だめ、やめて……!」
「いいです、そのまま……いいですから」
 サイトさんの懇願を、わたしは否定する。そして、それに対してサイトさんが言い返す前に……
わたしは、先程のように、サイトさんの唇に吸い付く。

441:黒い瞳の彼 8/13
07/06/14 21:02:56 BkmvB3BE
「んっ……んむっ……!!」
 不意をつかれて、気持ちが緩んだのか……あるいは、キスが気持ちよかったのか。
 サイトさんは、わたしの体を抱き留めて。
 
 びゅっ、びゅくっ、びゅるぅっ!
 
 わたしの手の中に、体温より、お風呂のお湯よりも熱く感じるものが溢れました。
 サイトさんのそれは、どくどくと痙攣するように震えて、その度にわたしの手のひらに
熱いものがぶつかります。
 
 こんなに、多くて、熱くて、ねっとりしてる……それまでわたしの手を濡らしていたものとは
まったく別の感触に、わたしは呆然としている他なくて。サイトさんの震えが収まるまで、
ずっとサイトさんと唇を重ねたままでいました。
 
「……っはぁ、はぁ、はぁっ……!」
 わたしとサイトさんは、ゆっくりと顔を離しました。サイトさんの瞳は潤んで、その顔は心地よさに
とろけているのが見て取れて、わたしの方も何だか満たされてしまいます。
 
「……よかった、ですか?」
 囁くと、サイトさんは、恥ずかしそうに視線を逸らしながら、小さく頷きました。
 また、きゅうっ、と体の奥が締め付けられる。あぁ、可愛い。サイトさん可愛いです。
 わたしで、わたしの手で、こんな……!
 
 ゆっくり、慎重に、わたしは右手を布団の中から出しました。そのまま、零さないように
上半身をベッドの上に起こします。
 
「シエスタ?」
 不思議そうな声を上げるサイトさんを尻目に、わたしは右手の手のひらの上に
溜まったものを、眺めます。暗いから色はよくわかりませんでしたが。
 でも、これが、サイトさんの。これをもし、わたしがお腹の中に頂いたら……。
 そんなことを考えたら、わたしの手の中で外気に晒されて、だんだんと冷えていくそれが
ものすごく愛おしくなって、勿体なくなって。
 
 わたしは手の平に唇をつけて、それをすすりました。
 
「なっ……!? シエスタ、そんなのっ!!」
 サイトさんは信じられないといった声を上げて、わたしと同じように体を起こしました。
でも、もう遅いです。ほとんどそれはわたしの口の中に流し込まれてしまっています。
 
 ごくり、と喉を鳴らして飲み込みました。ちょっと、生臭くてしょっぱい。
喉に引っかかる感じもします。でも、全然イヤな味だとは思わなくて、むしろ……。
「はぁ………」
 飲み込んだ後に出た、自分自身の吐息に、驚きました。心の方は、まだ戸惑っているのに。
体は、明らかに―明らかに、悦んでいるみたいなのです。それがわかってしまう、とろけた息。
 
 わたしは、それが当然であるかのように、まだ手にこびりついている名残に舌を這わせました。
 
「シエスタっ、そんなことしなくていいから!」
 違いますよ。わたしがしたくてしているんです。
「わたしの、一番大事なところへはいただけませんでしたから。
せめて、口からでも、受け止めさせてください……ね?」
 最後の一滴を舌先で舐め取って、わたしはサイトさんに笑いかけました。
 
 
 この後、わたしたちは汚れてしまったところを綺麗にして、背中合わせにして眠りました。
 このまま、サイトさんに最後まで求めることも出来たはずだったのに、この時のわたしは
それをしませんでした。
 だって、そんな余裕が無いほど、頭の中が今の出来事の事でいっぱいになっていたから。
 そして、そんな自分の気持ちを整理しようと努力するので精一杯だったから。
 ―思い返せば、この時のことが、”今”のわたしに繋がる、はじまりだったのかもしれません。

442:黒い瞳の彼 9/13
07/06/14 21:03:48 BkmvB3BE
 
 
                     ∞ ∞ ∞
 
 
 窓から差し込む日差しの眩しさで、目が覚めた。鳥のさえずりを聞きながら体を起こす。
そのまま、まだ眠気が覚めない頭で、しばらくぼーっとベッドに座り込んでいた。
 何か、足りない。いつもと違う。それが何なのか気付いて、わたしは横を向いて口を開いた。
 
「ちょっと、サイト。顔洗うから水持ってきなさい」
 サイトに起こされたわけじゃないってことは、まだアイツ寝てるのかもしれない。
もしそうならお仕置きだかんね。ベッドの隣に目をやると……そこにサイトはいなかった。
 あれ? と思って、今度は部屋の隅の藁束を見る。そこにも誰もいなかった。
 そこで、ようやく頭が冴え、思い出す。昨日の朝もそうだった。サイトが、一昨日の夜から
部屋に帰ってこないのだ。
 
「何なのよ、もう」
 いらいらしながら、ベッドから降りる。壁に立てかけてある剣に八つ当たり気味に声をかけた。
「ねぇ、本当にサイトがどこに行ったか知らないの?」
「知らんよ。昨日、昼ごろに帰ってきて掃除してったがね。
俺をここに置いてってるってことは、そんなに遠くまでは行ってねえだろ」
 サイトに買ってあげた剣は、かちゃかちゃ金具を鳴らしながらそう答えた。
 ため息をつく。昨日、学校が終わった後にも、同じことを聞いて同じ答えをもらったのだった。
 
 確かに、サイトの仕事である部屋の掃除はちゃんとしてあった。でも、昨日の昼以来、
サイトとは顔を合わせていない。まるで、わたしに会うのを避けられてるみたい。
 
 どうしてよ。思い当たることと言えば、一昨日の夜、サイトがわたしに覆い被さってきたこと。
たぶんサイトはわたしが寝てるあいつにキスしたのをヘンな勘違いしたんだと思うけど、
わたしが嫌がったら逃げてしまった。
 ひょっとしたら、また前みたいに首輪つけられて「わん」とか言わされると思ってるのかも。
 
「ま、まぁ、あれは誤解されても仕方ない事したわたしにも責任あるから、そこまではしないわよ」
「何一人でぶつぶつ言ってるんだ?」
「うるさいわねっ!」
 考えてた事が口に出てしまい、デルフに聞かれて、頬が熱くなった。そういば、あいつが来てから、
毎日毎日、しょっちゅうこんなくだらない言い争いをしていた。
 それまで一人でこの部屋に住んでいたのが寂しかったとは思わないけど、今となっては
サイトがいないとなんか張り合いがない。
 
 早いうちに見つけて、連れ戻してやらないと。そう考えながら寝間着の裾に手をかけたところで
授業開始前の予鈴が聞こえ、わたしは顔から血の気が引くのがわかった。
 
 
 

443:黒い瞳の彼 10/13
07/06/14 21:04:29 BkmvB3BE
「珍しいわね、あなたが遅刻なんて」
 結局最初の授業には遅れてしまった。一時限目が終わって肩を落としながら教材を
整理していると、後ろの席からキュルケの声が聞こえた。
 
「あれからサイトとはどうなったの?」
 続けて、キュルケは少し真面目な声でそう聞いてくる。ここにいないんだから、わざわざ聞かなくても
大体は想像できるでしょうに。 
「……あれから、見てない。ホント、何が何だかわかんないわ」
「帰ってないの? あなたの部屋にも?」
 そうよ、と応えると、キュルケは黙ってしまった。どうしたのかと思って振り向くと、
彼女はいつになく真剣な顔つきで眉を寄せ、考え事をしている様子だった。
 
「あによ。サイトが何で帰ってこないのか、わかるの?」
「まぁ、推測だけど、大体はね。
……諦めて普通にしてるんじゃなく、帰ってこないのなら、まだどうにかできるかもね……」
 キュルケは独り言のようにぶつぶつ何か言っていたけど、しばらくして考えがまとまったのか、
顔を上げてわたしを見た。

「このあたしがヴァリエールの女に助け船出すのは癪だけど、あなたのためじゃなくて
サイトのためだから。心して聞きなさい」
 キュルケは何だか恩着せがましいことを言ってわたしの方へ身を乗り出してきた。そういえば、
こいつ、昨日もわたしとサイトの様子を見て自分だけ事態をわかってるような事を言ってた。
 
「偉そうに。なんであんたの助けなんか」
「いいから聞きなさいな。……ルイズ、サイトはあなたにとって何?」
 キュルケは強い口調でそう質問してきた。何で今更そんなこと聞いてくるのかしら。
「何って……使い魔よ。あんただってよく知ってるでしょ」
「そう、使い魔。でもね、彼はあたしのフレイムちゃんや、タバサの風竜とは違う。それはわかってる?」

 当たり前でしょ。あいつは普通の使い魔と違って人間で、わたしの言うことを素直に聞かない。
「わかってるわよ、それくらい」
 
「ううん、わかってないわ。いいこと? 人間の使い魔を召還してしまったメイジなんて、聞いたことがない。
ということは、一般的な『使い魔との接し方』はあなたの場合通用しないの。
でも、あなたは自分が考えている”使い魔はこうあるべき”という常識を
そのままサイトに押しつけてる。どうするのが正解かなんてあたしにはわからないけど、
少なくともあなたはサイトに間違った接し方をしてるのよ」
 
 キュルケの理路整然とした言葉に、言い返すことができない。何よこいつ。何で他人のことなのに、
ここまで考えてるのかしら。
 
「ねぇ、いくら平民でも、『無給で何でも主人の言うことを聞いてくれる使用人』なんているかしら?」
「いるわけないでしょ、そんなの」
 主人の言うことを何でも聞く使用人ならいるだろうけど、無給で、となったら別だ。
どんな優秀な使用人だって、相応のお給金を貰えるから主人に尽くしてくれる。
 ……そこまで考えて、わたしはようやく気付いた。
 
「そう。あなたは、サイトにそれを求めてるのよ? どれだけ我が侭で一方的かわかるかしら。
なのに、サイトはあれだけあなたにぞんざいに扱われてるのに、ちゃんとあなたの言いつけた仕事をしてる。
それどころか、あなたの命を救ったりまでしてくれてるわね。どうしてだと思う?」
 キュルケは、わたしが何度も自問していた事と同じことを聞いてきた。
心の中を見透かされたみたいで、ぞっとする。
 
「あ、あいつが……使い魔だから?」
「ノー。使い魔だからなんて理由で、そこまでしてくれるはずないわ。使い魔はきちんと愛でてあげて、
誠意を持って接して、お互いに信頼関係を作ってこそ、主人に尽くしてくれるの。あなたの普段の
行動からじゃ、とてもじゃないけど使い魔があなたを尽くすに足る主人だと思ってくれるはずないわ」

444:黒い瞳の彼 11/13
07/06/14 21:05:11 BkmvB3BE
「じゃあ、なんでよ!」
 思わず荒くなってしまった口調で聞くと、キュルケは大きくため息をついた。
「……ほんっとに。これだけ察しが悪くて、身勝手で性格も悪くてプライドだけ高くて、
しかもちんちくりんな女のどこがいいのかしら。あたしだったらお金貰っても相手したくないけどね」
「馬鹿にしてるの?」
「してないわよ。むしろ誉めてるの。それだけあなたって酷い女なのに、サイトに好かれてるんだから」
 
 呆れたように笑いながら言ってきたキュルケの言葉に、わたしは固まる。
 え? なに? なによそれ。サイトに、好かれてる? 誰が?
 
「な、ななな、何言ってるのよ、そんなの……」
「それ以外考えられないでしょ。ご主人様としては落第点。見た目だってそんなんだから、
カラダ目当てって事も有り得ないわね。だったら、好かれてるとまではいかないかもしれないけど、
サイトはあなたに情が移っちゃったから世話焼いてくれるんでしょうよ」
 
 カラダ目当て、というキュルケの言葉にぎくっとする。
 そうだ。ベッドの上で、サイトに二度ものし掛かられた。
 でも、よく考えたら、自分で言うのも情けないけど、わたしなんて胸もないし、やせっぽちだし、
背も低いしで、はっきり言って女として魅力があるとは思えない。
 それに、女の子とその、なんていうか……なんていうか、なことがしたいなら、
キュルケとそういうことができたはずなのだ。でも、サイトは、わたしにヘンなことしようとしてきた。
 それでも、わたしが嫌がったら、すぐにやめてくれた。
 あと、あと……キス、してきた。アルビオンでの帰り……わたしを助けてくれた後に。
 それって、それって……サイトが、わたしのことを……好き、だから?
 
「好きな相手に、犬だ馬鹿だって何度も言われたらどうかしら? ただの使い魔でそれだけだなんて
断言されたらどう感じるかしら? それくらいは想像できるわね、ゼロのルイズ」
 
 のぼせ上がって混乱してたところに、冷水を浴びせられた。
 わたし、自分のことばっかりで、サイトの気持ちを全然考えてなかった……。
 
「わたし……サイトを傷つけた?」
 背筋が冷たくなる。声が震えてる。今までに覚えのない感覚が湧き上がってくる。
「さぁね。何が決定的な原因になったのかはわからないわ。でも、このまま何もしなかったら……
サイトは、今までと同じようにあなたに尽くしてはくれなくなるでしょうね」
 
 わたしは、弾かれるように席を立った。そこで二時限目の時間を告げるチャイムが鳴ったけど、
今はそれどころじゃない。走って教室を出る。入り口の所で次の授業のために入ってきた
シュブルーズ先生とぶつかりそうになって何か言われたけど、耳に入らなかった。
 
                     ∞ ∞ ∞
 
「―全く。あたしから見たら、あの子の方が気位だけ高くててんで子供っぽいペットだわ」
「血統書付き」
「あら聞いてたの。結構上手いこと言うわね、タバサ」
 
                     ∞ ∞ ∞
 
 

445:黒い瞳の彼 12/13
07/06/14 21:05:54 BkmvB3BE
 教室のあった塔から飛び出して、学生寮まで走る。サイトがどこにいるのかは知らないけど、
とにかく何とかして探し出すつもりだった。まずはわたしの部屋から。
 
「何よ、好きって、好きって、そんなの……!」
 頭の中がぐちゃぐちゃになってる。サイトはわたしのことが好き。わたしのことが。
 えっと、えっと、落ち着きなさいルイズ。よく考えなさい。
 サイトが、わたしのことを好きだったとして。そう仮定して、今までのことを整理してみる。
 
 ええと、サイトがわたしの部屋から出て行って帰ってこなくなったのは、一昨日の晩。
 その時に何があったかというと、わたしが寝てるサイトにキスしてたら、急にサイトが目を覚まして
わたしを組み敷いてきた。それで、わたしが抵抗したら、サイトは逃げていった。
 サイトがわたしのことを好きだったとして……あの時、サイトがわたしのキスに気付いてたとする。
 そうしたら、サイトにとってあの状況は、『好きな相手が寝ている自分に何度もキスしてる』
となるわけで。そんな状況だったら、あいつはわたしの方もサイトのことが好き……だなんて思って、
あんなことしちゃったわけね。わたしのことが、すっ、すすす、好きだから。
 もちろん、誤解なんだけど。そんなこと許すわけ無いんだけど。
 
 それでもわたしが嫌がったから、サイトはびっくりして逃げた。それで、昨日の昼に
わたしの機嫌を伺いに来たんだけど、わたしは確か……『あんたに何か許したわけじゃない』って
はっきり言ってやったわね。それ以後、サイトはわたしに顔を合わせようとしない。
 
 それって……。もしかして、サイトはわたしにフラれたと思った、とか?
 キュルケが言っていたように、サイトはわたしに犬だとかただの使い魔だとか言われて、
傷ついてたのかもしれない。でも、わたしの所へ帰ってこなくなったのは、あの時から。
 サイトが、わたしのこと好きだったって考えれば……納得できる、かも。
 
 寮の入り口まで着いて、足が止まった。心臓がばくばく言ってる。走ったからというだけじゃない。
 こ、ここ、困るわよ、そんなの。勝手にわたしのこと好きになって、勝手にフラれたとか思うなんて。
あんたは使い魔なんだから。れっ、恋愛とか、そういうのの対象になる相手じゃないんだから。
 だから、だから……。
 
 そこまで考えて、頭を抱える。ホントに困るわよう。どうしたら、帰ってきてくれるのかしら。
 んー、えっと、サイトは、すぐわたしを怒らせることするけど、使い魔としては立派すぎるほど
仕事をしてくれてる。わたしを助けてくれてる。
 だから、その、恋とかじゃなくて、使い魔としてなら、す、す……き、嫌いじゃない、わよ?
 むしろ、それなりに感謝してる。ちょっと癪だけど、なるべく側に居て欲しいの……側にいなさい。
 
 サイトに会ったら言おうと思うことを、頭の中で整理する。でも、こんな言葉で
あいつが帰ってきてくれるかどうか、わからない。
 そういえば、あいつにちょっとはご褒美らしいものをあげようかななんて思って、
セーターを編んでる最中だった。あれを見せたら、喜んでくれるかしら。
喜ぶわよね。好きな相手からのプレゼントだもの。こっちは別に好きじゃないけど。
 
 あと、それから……マッサージ、してあげようかな。今度は踏んだりしないで、ちゃんと手で。
うん、わたしはサイトにマッサージされるの気持ちいいし、何か嬉しくなるし……いいよね。
 きっと、わたしのとこに居たくなるに違いない。間違いない。
 
 一人で頷くと、一気に寮の階段を駆け上がった。
 
  
                          ∞ ∞ ∞
 
 

446:黒い瞳の彼 13/13
07/06/14 21:06:36 BkmvB3BE
「いいの? 本当に手伝ってもらっちゃって」
「いいんですよ。もともと、こういう仕事はわたしの方が慣れてますし」
 
 朝の仕事が終わったシエスタと一緒に、ルイズの部屋の戸を開けた。この時間は
授業中だから、ルイズが帰ってくる心配は無い。
 昨日の昼に掃除しに来たばかりなのに、妙に久しぶりな気がする部屋の中から、洗濯物を探し出す。
 
「えっと、これとこれと……ここ何日かサボっちゃったから、結構あるな」
「でも、ミス・ヴァリエールお一人の分ですから、大したことありませんよ。すぐに洗ってしまいましょう」
 カゴの中にルイズの洗濯物を入れているうちに、シエスタがルイズのベッドを直してくれていた。
さっきの言葉通りに手慣れた様子で、感心してしまう。
 
「……おぉ、誰かと思ったら相棒じゃねーか。昨日からどうしたんだ? 貴族の娘っ子が探してたぞ」
 そんな時に聞こえてきた声に、ぎくっとする。この部屋に置きっぱなしだった、デルフの声だ。
「ルイズが探してた?」
「おおよ。寂しがってたぞ。昨日はどこで寝たんだね? まさか野宿したってわけじゃあるめ」
 寂しがってた、というデルフの言葉に、胸がちくりと痛んだ。でも、ルイズのそれはいつも近くにいた
使い魔がいなくなったからの寂しさ。飼い犬がどこかへ居なくなってしまったからの寂しさなんだよな……。
 
「えっと、昨日はこのシエスタの部屋に泊めてもらったんだけど、流石に何度もそんなことできないから。
今晩はたぶんここに帰ってくるよ。……あ、これルイズには内緒な」
 剣が喋る姿に目を丸くしていたシエスタを指して言う。デルフは柄をかちゃかちゃ鳴らした。

「おう、主人を放っておいてメイドの部屋にしけこんだんか。相棒もやるねぇ。
そりゃ、あの娘っ子に知られたら大変だぁな」
「そんな、しけ込んだだなんて……」
 シエスタは頬を赤くして体をもじもじさせた。俺も、そんな様子を見て顔が熱くなる。
確かに、ただ泊まっただけじゃなく、しけ込んだと言われても間違いじゃないことをしちゃったわけだし。 
「ま、まぁとにかく、ルイズには秘密で頼むぞ、デルフ」
 変な空気になってしまいそうだったので、慌てて洗濯物カゴを抱えて出口に向かう。
シエスタも俺を後をぱたぱたついてきて、俺が廊下へのドアを開けると―。
 
 そこに、ルイズが立っていた。
 
「え……」
「ミス・ヴァリエール?」
 一瞬、思考が停止して、何も考えられなくなった。
 そこにいたルイズの顔は、こちらが気圧されてしまうくらい、冷たい……無表情だったから。
 ルイズは、静かに顔を上げて俺を見た。ぞっとするような、何の感情も読み取れない顔。
その唇が、ゆっくりと開かれる。
 
「……メイドの部屋に、泊まってたの?」
 やっぱり、聞かれてた。ドアの外で立ち聞きしていたらしい。いっその事、怒って飛び込んできて
くれた方がまだよかったのに。どう答えて良いのかわからない。
 
「―間違えたんだ。寝ぼけるか何かして、間違えたのね。わたしを、あのメイドだと思って……。
それで、わたしだと気付いたから、慌てて逃げた。そう。そういうこと……」

 俺が返答に詰まっていると、ルイズはうつむき、ぼそぼそと消え入りそうな声で何か言った。
よく聞こえない。ルイズも、俺に聞かせる気は無いようだった。 
「ル、ルイズ?」
 その肩に手を伸ばすと、驚くような勢いではね除けられた。
俺の手を払ったルイズの手のひらが握りしめられ、ぶるぶると震える。

「……出て行って」
 絞り出すように、ルイズはそう言った。俺の顔を見ようとしないまま。
「え?」
「聞こえなかったの。もう二度とこの部屋に帰ってこないで。……クビよ」
 淡々とした声。その声に震えが混じり、ルイズの足下にぽたりと雫が落ちた。

447:Soft-M ◆hjATC4NMLY
07/06/14 21:07:52 BkmvB3BE
続きます。次回、宝探し編。意外かもしれませんがタバサの話になります。
では。

448:名無しさん@ピンキー
07/06/14 21:40:07 2I5aZxwB
久しぶりの長編ktkr

449:名無しさん@ピンキー
07/06/14 21:40:08 yoJYB+it
一番槍。
GJっす、期待してますよ。

450:名無しさん@ピンキー
07/06/14 22:22:04 8SmEW21j
>>447
GJ!!!!いろんなキャラがいい感じで味を出してて良かったです。
ついでにシエスタと同室の子にもGJをww

451:名無しさん@ピンキー
07/06/14 22:22:22 WrBDrnrL
SoftMさんキテタ──(・∀・)──!!!!

しかしすっげえ修羅場……ルイズが一体どう出るのかすげー気になるww
王道恋愛まじGJ!

452:名無しさん@ピンキー
07/06/14 22:38:30 ZQ2U/MgV
期待どうりの展開だ~

そしてGJ!!

453:名無しさん@ピンキー
07/06/14 23:11:17 zVULyPae
修羅場いやっほおおおおおうううううううう

454:名無しさん@ピンキー
07/06/14 23:19:07 yhPVgcit
今夜はSoftMさんのせいで徹夜だな。

続きが気になって眠れねぇww

455:名無しさん@ピンキー
07/06/14 23:20:49 LVF11xjb
Soft-Mさん、GJ!!

>意外かもしれませんがタバサの話になります

なんと! タバサがこの話で絡んで来るのか
タバサファンとしてはどんな感じの話になるのか期待大!

456:名無しさん@ピンキー
07/06/15 00:05:07 KXRyf6EW
Soft-Mさんのキャラ毎の丁寧な心理描写が原作のイメージとジャストフィットで!
シエスタは俺の嫁!!って叫んだの銀の降臨祭以来で!
フッたフラれた程度のレヴェルの話じゃないぜルイズ!って感じの、2人の倒錯具合もまたたまらんわけで!

とにかく超GGGGGGGGJJJJJJJJJJJ!!!!!待て続編・タバサ編!!待てるか!!

457:名無しさん@ピンキー
07/06/15 01:56:00 sLfu6AP2
本編より面白いと思ったのヲレだけ?

458:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/15 11:19:19 b5JisBwB
ああダメだ結局勤務開始までに間に合わなかったorz
ダメなオイラを許してくれえ
>>422の続きです

459:名無しさん@ピンキー
07/06/15 11:20:41 020dpNv1
たまたま見たらリアルタイムktkr!

460:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/15 11:21:48 b5JisBwB
今日はルイズはお出かけ、シエスタはジェシカんとこの手伝い。タバサはなんか本買いに行くとかで居ない。
だってのに。
俺は王都に呼び出されていた。
…まったく、姫さまの戯れにも困ったもんだよなあ…。
俺は手元の書状を眺めてそう思う。
その書状には、今日一人でトリスタニアの王宮まで出向くように書いてある。
ちなみにルイズには言ってない。言ったら魔法でフルボッコ確定だからだ。
俺はお城に着くと、門衛のひとに書状を見せ、通してもらう。
えーっと、東の塔の門で待つんだっけか、確か。
俺は東にそびえ立つ塔のふもとまで歩いていく。
すると、そこには見慣れた金髪が居た。

「待て、何故逃げるサイト」

…いやだって…そんな獲物を待ち受ける肉食獣の目で待ってられたら…。
ねえアニエスさん?

「…なんだその目は」
「いやなんでもないです!
 と、ところでなんでアニエスさんがここに?」

なんか嫌な予感がする。

「いや、私は今日非番なんだよ」

言って視線を逸らしながら頬をぽりぽりと掻くアニエスさん。
…まさか。

「…またなんか企んでますね?」
「まーな。そしてお前に拒否権はない」

言った瞬間に俺は百八十度反転して。

がしっ。

「ぐえ」

襟元をアニエスさんにひっつかまれて、塔の中に引きずり込まれたのだった…。

461:ケイコとマナブ ◆mQKcT9WQPM
07/06/15 11:22:51 b5JisBwB
塔の中は窓が少なくて薄暗く、そこが王城であることを忘れさせるような造りだった。
そんな中を、アニエスは才人を引きずって階段を下へ、下へと歩く。

「ここはな、昔捉えた敵兵を収監する場所だったんだよ」

では今は違うのだろうか?
その疑問を才人が口にする前に、アニエスは続ける。

「今は、戦争もないから、犯罪の容疑者を一時的に収監したりする程度にしか使われん。
 それでだな」

アニエスが足を止める。
そこは大きく頑丈な扉で行き止まりになっており、地下の暗さと湿気も相まって、奇妙な威圧感を感じさせた。

「この先はだな。その昔、敵兵を拷問するのに使われた場所なんだよ」
「…そんなとこに俺を連れ込んでどうする気ですか」

やっぱアレっすか、SMっすか、などと不埒な事を考えた才人だったが。

「いや。スポンサーのたっての願いでな、今日はここで『お稽古』だそうだ」

その言葉と同時に、アニエスが扉のノブを引くと、その扉はその重厚さに似合わぬ軽快さで、開いていった。
その奥には。
テーブルや椅子、箪笥などの調度品と、その奥に簡素なベッド。
そしてその中央には。

「お待ちしておりました、サイト様」

まるで地下牢のようなその部屋とは全く不釣合いな、白い妖精がそこにいた。
真っ白な肌、薄手の真っ白なネグリジェ、そしてその頭に戴くは白金の王冠。
そこにいたのは、トリステイン女王、アンリエッタその人だった。

「姫さま…」

そこまで言って才人は思いとどまる。
突っ込んでいいんだろうか。非常に突っ込みたい。
アンリエッタは言葉を飲み込んだ才人を見て、促した。

「どうぞ、サイト様の思ったとおりにおっしゃってくださいな」
「なにやってんすか姫さまーッ!?」
「無礼だぞサイト」

ごつん、と思わず突っ込んだ才人の後頭部に、アニエスの拳骨がめり込む。
いやだって、と反論する才人に、アニエスがうるさい、ともう一度拳骨を食らわせる。
そんな二人のやりとりを見て、女王は。

「…無視しないでください…」


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