【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合16at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合16 - 暇つぶし2ch250:名無しさん@ピンキー
07/06/04 11:27:29 bCRF+bwm
Wikiの作者別ページのコメント欄に書き込むという手もあるのだぜ
しばらく凍結してるSSにはこっちのほうがいいかも

251:名無しさん@ピンキー
07/06/04 23:21:55 I7JJAu2b
11巻のサイトをカトレアが慰めるシーンはエロゲーだと確実にセクロスシーンにつながる

神様書いて1!!!

252:名無しさん@ピンキー
07/06/05 00:34:38 FkW/XjmS
恐れ多くて汚せない

253:純愛センター
07/06/05 00:50:59 YT0Rn6oc
どうやら自分なんかのSS

254:純愛センター
07/06/05 00:53:09 YT0Rn6oc
投稿ミスった(汗

どうやら自分なんかのSSを楽しみにしていてくれた人がいるみたいで…本当に嬉しいです。

それでは続きが行き詰まってた長編物の続き投下します!

255:名無しさん@ピンキー
07/06/05 00:58:07 YT0Rn6oc
寺院の中はほとんど変わってはいなかった。
夕日に照らされたステンドグラス、荘厳な雰囲気をかもし出している祭壇、そして最奥に二人を歓迎するかのように立つ始祖の像。
だが変わっているものも見つかった。
少しだけ埃を被ったイス、旅人が訪れでもしたのだろうか、ロウが溶けきってしまったロウソク、そして落ちている二つのグラス。
「ここ…」
私はしっかりと覚えている。戦場から味方を逃がす、そのために敵軍に特攻する直前、最後に来た場所。最後にいようとした大切な場所。
なぜ自分はこんなところを最後の場所になどしようとしたのだろうか。
なんのためにこんなところに来たのだろうか。
わからないその理由。わからないからわかる。
ここは私とあの背中の人最後にいた場所なのだと。

寺院奥、祭壇近くまで進む。
「ここはね、私の一番大事な場所なの」
町から連れてきた平民に、ただの気まぐれで声をかけた。
「なんで…一番大事な場所なんだ」
男も寺院の奥にまで歩いてきた。
私は始祖の像を見上げながら質問に答えてやる。
「ここが最後に会った場所だから」
「そんな場所にオレなんかを連れてきてよかったのかよ」
バカ
「あんたは私のことを守るんでしょうが!離れてちゃ意味ないじゃない!」

256:名無しさん@ピンキー
07/06/05 01:00:14 YT0Rn6oc
「そうだな」
後悔が心で渦巻く。
もしあの時に記憶を消していなかったら。
そんな思いを無理やり頭の中から追い出す。
ルイズの記憶を戻したい。でもそれをすればガンダールヴでない自分は必ず死ぬ。また自分が死んでルイズを泣かせるような真似はできないし、もとより自分が決めたことだから。
オレは強くならなきゃならない。ガンダールヴじゃなくてもルイズを守れるくらいに。
わかってる。理解している。
―そんなことは不可能だ―
これまでルイズを守ることができたのは虚無の力、ガンダールヴの力があったからである。
『平賀才斗』なんかになにができよう。どんなに修行しようと、どんなに時間をかけようと不可能は不可能、せいぜいそこいらの兵士一人を相手にするのが精一杯である。
できることと言えば次のルイズを守る者、次のガンダールヴが現れるまで命を賭けてルイズを守ることくらい。
それでも…なにかの拍子で、いつの日かルイズを守ることができる力が手に入るかもしれない…そうして記憶を戻せばまた前みたいに…
そんなくだらない希望、妄想に心が縋りつこうとする。
「お前方向音痴っぽそうだしじゃじゃ馬っぽいし、近くにいてやらないとどこ行くかわかったもんじゃないしな」
「あんですってぇ!?」
「ここに来る時もさんざん迷って迷ってだったしな」
「ああああああやって来るのが一番の近道だったのよ!」
怒ってる。
「へいへい、わかりやしたよ貴族様」
「なんか感じ悪いわねぇ」
むくれてる。
やっぱ無理。
「ちょ!!!ああああああああんたなにすんのよ!!!」
気づいたら腕の中にルイズがいた。


257:名無しさん@ピンキー
07/06/05 01:04:58 YT0Rn6oc
「悪い…悪い…」
耐えられるわけがない…我慢など出来ようはずがない。
半年。半年一緒にいて、寝て、食べて、歩いて、生きた好きな人がそこにいるんだ。そこからいなくなっちゃうかもしれないんだ。いらないと言われるかもしれないんだ。
会った瞬間は我慢したんだ。二人っきりになっても我慢したんだ。
だから、許されないかもしれないけど。
でも…それでも…
「今だけ、もうしないしお前にも半径十メートル以内には近づかない!雑用だろうが奴隷だろうが犬だろうがなんだってするから…」
気づいたら泣いていた。
「許してくれ…」
その懇願はどこに向けたものなのだろうか。
今自分を抱きしめていること?
それとも全く違うこと?
男は滝のように涙を流し自分を抱きしめる。
不思議と嫌悪感はなかった。平民にだきしめられているのに、男のだれにも抱きしめられたことなんてなかったのに。
さらには心地良さまで感じてしまう。安心感という名の。
だから
「うん、許したげるわ」
男の肩がビクンと震えたが気にせず続ける。
「その変わり!あんたはこれから一生私を守りなさい!わかった!?」
男は驚いた顔をして
「オレで…いいのか?」
とかきいてきた。
聞かれてからなぜかのすごく恥ずかしくなってきた。
一生ってなんかプロポーズみたいじゃない!!ダメダメ!!ダメなんだから!
貴族が平民なんかと結婚できるわけがないんだから!!
「べべべべ別にあんた以外のやつでもいいんだけど探すの面倒だし、高貴な物のなかに一つくらいは汚い物があったっていいじゃない!」
「ルイズ…」
「そそそそそれに家に一匹くらいペットがいたっていいじゃない!よかったわねぇ、私がまだペットを飼ってなくって」
「ルイズ!」
男の顔には涙の跡など微塵もない。あるのは…
「オレ、守るから…」
揺るぎのない覚悟だけ。
「お前を一生…命を賭けて」



そうして数分、二人の間に会話が生まれなかった。


瞬間


その静寂を破る者が現れた。
「あら、もう茶番は終わり?」
冷たい女の声と無数のガーゴイルの群。


258:純愛センター
07/06/05 01:07:15 YT0Rn6oc
とりあえずここまでです。

とりあえず一時間くらいで書いちゃったので文章がおかしいところがあるかもです…

ありましたら脳内保管して頂けると幸いです

ではでは…

259:名無しさん@ピンキー
07/06/05 01:23:02 5XYTErdU
ねんがんの続きが来てたぞ。
恋愛センター氏GJ!
でもこの展開なんか嫌な予感が・・・

260:名無しさん@ピンキー
07/06/05 04:10:43 B9vRONiK
ふっかつキター
GJ!
クライマックスwkwk

261:名無しさん@ピンキー
07/06/05 08:22:01 5puDnwWx
どれの続きですか?

262:名無しさん@ピンキー
07/06/05 08:33:53 kJDD5aej
つ7-532
たぶんこれかと。

263:名無しさん@ピンキー
07/06/06 00:26:30 7dA1e7oo
GJ
続き期待してます。

そしてせんたいさん。
ぜひともタバサを!
選択肢大好きです。

264:名無しさん@ピンキー
07/06/06 01:20:12 fFi4u20r
続きktkr!!!
GJですよ、はい。
しかしこの話の流れだと・・・w

265:純愛センター
07/06/06 02:12:22 8lNQYXUY
あっちとは違うようにするのでそちらは気にしなくても大丈夫です

自分の考える構想に持っていくにはああするしかなかったので(汗

続きは週末に…

266:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/06 11:22:07 8KiNDfP4
さて夜勤前に投下。
こどもさいとタバサ編、いくよー

267:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/06 11:22:49 8KiNDfP4
三人の魔女が視線で火花を散らす中、子供になった才人は怯えていた。
なんかこわい。
それが自分を巡っての事だとは露ほども思わず、才人は三人の脇でただ、怯えていた。
そして。
自分と最も近い、背の低い少女の背中に、隠れた。
青い髪の、眼鏡の少女の背中に。
タバサは驚いて、思わず背中にしがみついてきた才人を振り返る。
その顔に、優しい微笑みが浮かんだのを、才人は見逃さなかった。

「ちょ、なにしてんのよアンタ!」
「そうですよ独り占めなんてズルいですっ!」

ハブにされた二人は物凄い剣幕でタバサに詰め寄る。
その剣幕に、才人は怯え、タバサのマントをきゅっときつく握る。
その感触に、タバサの中に熱い何かが点った。
この子は、私が守る。

「…サイトが怯えてる」

詰め寄る二人に、タバサはずいっ、と杖を差し出す。
その視線は心の奥底までも凍りつかせそうなほど冷たく、二人の動きを止めるのには十分過ぎた。

「な、なによ」
「凄んだって無駄、ですよ」

しかし言葉とは裏腹に、二人は突き出された杖より前に進む事ができない。
タバサから感じる異様なプレッシャーに、足が前に進まないのだ。
タバサはそのまま、無表情に杖を振る。
すると。
二人の周囲の水分が一瞬で凍りつき、二人の身体を氷の衣が固めてしまう。
タバサは、二人から見えないように呪文を詠唱していたのだった。
文句を言う口も完全に塞がれた二人を置いて、タバサは才人に優しい笑顔を向ける。

「行こ」

そして、才人に手を差し伸べる。
才人はその手を握り、タバサに手を引かれてルイズの部屋を出て行ったのだった。


268:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/06 11:24:05 8KiNDfP4
「おしっこ」
「え」

私の部屋に向かう途中、サイトが急にもじもじしだしたと思ったら、そんなことを言ってきた。
え。

「もれるぅ~~~」
「ちょ、ちょっとまって」

この寮の共同トイレは一階だ。
私の部屋は三階で、今いるのは三階の階段の踊り場。
ま、まずい、間に合わない!
私はサイトを抱きかかえると、フライの魔法を使って、丁度開いていた廊下の窓から飛び出して…。

「うわっ!」

サイトの驚いた声と。

じょぼろろろろろろ~

液体の零れる音が同時に響いた。
私は空中で、サイトのおしっこを下半身に思いっきり浴びてしまった…。

「もれちゃった…」

申し訳なさそうに私の腕の中でサイトはそう言うけど。
…うわぁ、生暖かい…。
私は思わず顔をしかめてしまう。

「ごめんなさい…」

でも、しょんぼりと謝る小さなサイトを見ると、そんな粗相も許せてしまう。
…この暖かいキモチが、母性ってやつなのかな…。
私は一旦踊り場に戻ると、サイトを床に降ろした。
そして、そっとサイトの頭に手を差し伸べる。
サイトの身体がびくん!と震える。たぶん、怒られると思ったんだろう。
私はそんなサイトの頭を、くしゃくしゃと撫でた。
サイトは驚いた顔で、私を見上げる。
そんなサイトに、私は。

「ごめんなさいね、驚かせちゃって」

できるだけ優しい笑顔で、応えたのだった。

269:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/06 11:24:54 8KiNDfP4
部屋に戻ると、タバサは服を脱いだ。
才人のおしっこはタバサのワイシャツからスカート、果てはその下のショーツにまで被害を及ぼしており、全部脱いで着替えるしか方法はなかった。
才人はといえば、タバサのベッドですやすやと眠っている。おしっこを出してすっきりしたせいだろう。
全裸になったタバサはそんな才人を見て優しく微笑む。
…可愛い。
昔のサイトって、こんなに可愛かったんだ。
そこまで考え、ふとある事に思い至る。
…昔の私が昔のサイトに逢ったら、どうなるんだろう。
やっぱり、今と同じように、彼の事を好きになるんだろうか。
そして、タバサの目に、机の上に置いたあの本が目に入る。
『形態変化』の術式を集めた書籍。『若返り』の術式を載せた、あの書籍。
…試してみよう…。
そしてタバサは、マントだけを羽織ると、本を手に術式の準備に入った。
家具を退け、魔法陣を描くスペースを確保する。
半時間ほどかけて魔法陣を完成させる。
魔法陣の周囲へ、増幅装置となる燭台の設置。呪文の確認。
ささやき、いのり、詠唱…ねんじろ!
そして術式は完成し、橙色の光が部屋を包む。
魔法陣の中心には、三歳くらいの、青い髪の少女が、ほけっと立っていた。

「…なーにー?」

それから少しして。術式の音と光に、眠っていた才人が目を覚ます。
その目の前に、青い髪の小さな女の子が、全裸で、才人の顔を覗き込んでいた。

「だーれ?」
「だーれ?」

二人は同時に同じ言葉を漏らす。

「ぼくはさいと。ひらがさいと」
「わたし、シャルロットっていうの」

二人はお互いに紹介しあった。
そしてシャルロットが才人に尋ねる。

「ねえ、ここどこ?」
「しらないー」

言って才人も首をかしげる。
二人で首をかしげていると、扉が開いて事情を知っていそうな大人がやってきた。

「おねえさまー!おなかすいたのねー!」

青い長い髪を揺らしながら、扉を開けてシルフィードが現れた。
そしてその目が点になる。

「あ、おとなのひとだ」
「おねえちゃん、ここどこー?」

シルフィードは完全に固まった。
誰コレ。どこの子。
そしてシルフィードのおつむは、最も可能性の高い答えを導き出した。

「いつのまに生んだのねおねえさまーっ!?」

確かに目の前にいる二人は、タバサと才人にそっくりだった。

270:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/06 11:25:38 8KiNDfP4
しかしここで続くなのです。ゴメンネ
続きは夜勤から帰ってきてからな!

んじゃ寝ますノシ

271:名無しさん@ピンキー
07/06/06 11:30:38 cjo0Y0Y0
仕事中にリアルタイムktkr!
っていうか、まったくもって想像もしなかった展開にwktkが止まらぬっ!

272:名無しさん@ピンキー
07/06/06 11:38:28 8qQOpMPd
ショタ路線ぶっちぎっていくのかと思いきや小1にして体験済みという究極のシチュ……
生暖かく見守るぜ……!

273:名無しさん@ピンキー
07/06/06 11:39:11 ULeuqssp
タバサは大きいままでサイト食っちゃえばいいのに!


でもちびシャル子もかわええのう
この後の展開に期待

274:名無しさん@ピンキー
07/06/06 11:58:50 +0oNroyU
なんというカオス

275:名無しさん@ピンキー
07/06/06 12:30:20 hHzUW7c6
ふはははは、やはりせんたいさんは素晴らしき書き手。カオスの権化だ!
もっと、もっと見せてくれ私に!あなたの主観に満ちたSSを!!

276:名無しさん@ピンキー
07/06/06 12:41:51 JHuW+3iZ
タバサ編はもうちょっと続くのか。
純愛センターさんの続きも来てたし
文句なしのGJ!

277:名無しさん@ピンキー
07/06/06 13:06:09 afuHrpwa
>>270
さすがせんたいさん、俺達ができないことを平然と(ry


>>275
ジョージ乙

278:名無しさん@ピンキー
07/06/06 13:25:12 gMwhaoT1
何という想像の斜め上……これぞ正にカオス。
間違いなくせんたいさんはへんたいさん。

279:名無しさん@ピンキー
07/06/06 13:38:16 VI6FY5Vt
まさかここでお預けをくらうとは…


280:名無しさん@ピンキー
07/06/06 15:34:18 cWJ3XyeT
*ささやき えいしょう いのり ねんじろ!*

サイトは灰になった

281:名無しさん@ピンキー
07/06/06 19:23:37 dwNdYUle
おまえらせんたいさんが来るだけで盛り上がりすぎだろwレス速度が一気に
加速したw

へんたいさん・・・・。じらしは勘弁wwタバサ終わったらショタ
才人でアン様、カトレア姉さまverたn(ry

282:Soft-M ◆hjATC4NMLY
07/06/06 23:28:10 +0oNroyU
『ゼロの飼い犬』 5回目です。
前回までの話は>>203から見られます。

283:メイドの温もり 1/8
07/06/06 23:28:58 +0oNroyU
 昼休みの開始を告げるチャイムが鳴り響き、静かだった校内に生徒の喧噪が聞こえ始めた。
 校舎の裏で壁に寄りかかり、膝に顔を埋めて座り込んでいた俺は、何時間かぶりに顔を上げる。
陰鬱な俺の気分とは裏腹の、抜けるような青い空から照らす日差しが眩しい。
 
 昨晩、夜中にルイズの部屋から飛び出した俺は、人が来なさそうな場所まで逃げてきて
ここでずっと時間を過ごしていた。ルイズがどうしているのか、ちゃんと授業には出ているのか、
俺にはわからない。
 
 これから、どうしよう。昨日の、ルイズの涙が脳裏に鮮明に蘇る。
 俺は、使い魔失格どころか、人間としてやってはいけないことをしかけてしまった。
未遂だったとか、そんなつもりはなかったなんて言い訳はできない。
 ルイズを、傷つけたんだ。この世界に来たばかりの時よりも俺を信頼してくれて、
人間扱いしてくれて、一緒のベッドに寝かせてくれるようになったり、テーブルで学院の生徒と
同じ食事を食べさせてくれるようになったルイズを、俺は裏切って……傷つけた。
 あいつを守ってやろうって、決意したばかりだったのに。その決意を、俺自身がぶち壊した。
 
 ルイズは、俺をどう思ったんだろう。
 怒っているのか。悲しんでいるのか。
 罵倒したいと思ってるのか、もう二度と会いたくないと思っているのか。
 わからない。あの後、ちゃんと起きて学校に行けたのかどうかも、今の俺にはわからない。
 
 でも、ひとつだけはっきりしていることがある。左手に刻まれたルーンを見て思う。
 このまま、ルイズの元から逃げ出すわけにはいかないということ。あいつが、昨日の俺の行動を
どう思い、今後俺をどうするつもりなのか……聞かなきゃいけないということ。
 
 今は、ちょうど昼休みだ。ルイズが授業に出ているなら、昼食をとっているはず。
そうでなかったとしても、部屋に行けばいるはず。会うんだったら、今しかない。
 俺は、体を持ち上げると、重い足を無理矢理動かして校舎の中へ入っていった。
 
 
 テーブルが並べられた広場まで来た。ルイズはここで昼食をとることが多い。
 早く見つけたいような、見つけたくないような、複雑な気分で辺りを見回す。料理の皿が置かれた
テーブルのひとつの側に、目立つ桃色のブロンドの姿をみつけて、俺の心臓が跳ねる。
 テーブルには、これまた目立つ容姿のキュルケが座っていた。どうやら、ルイズはキュルケと
何か話しているらしい。
 意を決して、そこに近付いていく。どんな言葉をかけられるのか、どんな目で見られるのか、
不安で仕方ない。でも、ここでそれを避けるわけにはいかない……。
 
 だが、その直後。まだ背を向けていて、俺には気付いていないルイズがキュルケとの会話で
放った一言は、俺が想像していたどんな罵倒や恨み言よりも、俺の心を射抜くものだった。
 
「………アイツは使い魔なんだから、飼い犬同然なの! それでいいの!」
 
 
                        ∞ ∞ ∞
 

284:メイドの温もり 2/8
07/06/06 23:29:40 +0oNroyU
「サイト! どこ行ったのよ、サイトーっ!!」
 お日様が真上に輝くお昼休み。あたしが広場のテーブルについて優雅に昼食を楽しんでいると、
ゼロのルイズが年甲斐もなく大声を張り上げる声が聞こえてきた。
 
「騒々しいわねぇ、みんな食事をしているんだから、ちょっとは場所柄をわきまえなさいな」
 声のした方へ目を向けて、ピンク髪のちんちくりんにそう声をかける。
あたしの姿を確認したルイズは、つかつかとあたしのテーブルの横まで早足に歩いてきた。
 
「キュルケ! あんた、サイトを見なかった?」
 文句のひとつでも言い返してくるのかと思ったら、ルイズはいつになく真剣な表情でそう聞いてくる。
「今日は見てないわよー。そういえば、いつも一緒に授業受けてるのにいなかったわね。どうしたの?」
「……昨日の夜から帰ってこないのよ、アイツ」
 ルイズはちょっと思案してから、そう言った。たぶん、使い魔がいなくなってしまった不名誉を隠すよりも、
早く見つけ出すことを優先したのだろう。
 心細そうなルイズの声に、あたしは思わず吹き出しそうになった。
 
「何よ、なにがおかしいの?」
「いや、ゴメンね。なんかあなたの口ぶりが、男に逃げられた女っていうよりも、
飼い犬が行方不明になって不安がる子供みたいだったから」
 ふくれっ面をした彼女にそう言うと、ルイズの頬がみるみる紅潮する。
 
「なっ、なな何よ男に逃げられたって! アイツは使い魔なんだから、飼い犬同然なの! それでいいの!」
 あたしが笑ったのは”子供みたい”ってところだったんだけど、ルイズは別のところに反応した。
ルイズは未だにサイトをただの使い魔だなんだって主張するけど、信じられると思ってるのかしら。
 
「ちょっと、それはさすがにひどいんじゃない?」
「知らないわよ! 勝手にいなくなる使い魔なんて、犬と一緒なんだから!」
 ルイズは口をへの字にして両手を組む。やれやれと思った所で、ルイズの後ろに、
当の彼女が探している黒髪の使い魔さんが立っていることに気付いた。
 
「……っていうかルイズ。サイトだけど、そこにいるわよ」
 あたしが顎でそちらを指すと、ルイズは「えっ?」と振り向いた。そこにいた自分の使い魔の姿を目にして、
一瞬、ルイズは固まる。
「サっ、サササイト! 今までどこをほっつき歩いてたのよ!」
「あ、あぁ……ちょっと……」
 ルイズの剣幕に、たじろぐサイト。
「まったく、随分探したんだから。ご主人様の手を煩わせるんじゃないわよ、もう」
 ため息をつくルイズ。サイトは、なぜか心ここにあらずといった様子で、そんなルイズを見ていた。
 
「あ、あの……ルイズ。昨晩のことだけど……」
 サイトがそう言うと、ルイズはぎくっと身をすくませた。
「え、あ、それ。それだけどね。あの……あれは、何て言うか、気の迷いだから!
ちょっと興味があっただけなんだから。たっ、ただの気まぐれで、深い意味があったワケじゃなくて、
わたしはあんたに何か許したわけじゃないんだから。勘違いしないでよね!」
 ルイズは、慌てたように早口でべらべらとまくしたてた。何だか言ってることが抽象的で
よくわからないけど、サイトの方には伝わっているのかしら。
 
「え……そ、それだけ?」
「な、なによ、それだけ? って。重要なことよ。わたしは主人で、あんたは使い魔。
そこんとこ、はっきり理解しておきなさい。ヘンな誤解したら、許さないんだから」
 頬をりんごみたいに赤くして、サイトの方から顔を逸らすルイズ。
 あらあら、そんな態度とったら、ただのご主人様と使い魔じゃありませんって
告白してるようなもんなのに。思わず苦笑が漏れる。

285:メイドの温もり 3/8
07/06/06 23:30:22 +0oNroyU
 ―けど、次の瞬間。サイトの様子を見たあたしの背筋に、冷たい物が走った。
 
 その黒い瞳は、虚ろだった。怒ってるとか、不満だとか、逆にルイズの真意を見透かして
面白がってるとか、そんな目じゃない。
 大げさかもしれないけど……絶望の目。今までそうだと信じていたことを、根底から覆された。そんな目。
 
「……あぁ、そっか。使い魔だもんな。ごめん、勝手にいなくなったりして」
「? ……あ、うん、わかればいいのよ、わかれば」
 サイトは、その目とは釣り合わない、ごく自然な言葉を口にした。ルイズも、一瞬怪訝そうな顔をした後、
素直に自分の非を認めた使い魔に偉そうな返事をする。
 
「……じゃ、今日サボっちゃったぶん、部屋の掃除してくるから。じゃあな」
「え? あ、ちょっと!」
 サイトはルイズに微笑みかけると、踵を返して学生寮の方へ走っていった。
呼び止めようとしたルイズだったが、表面上は特に不自然なことを言ったわけではないサイトを、
無理に引き留めることはしなかった。
 
「……なんか、ヘンだった? 今のサイト」
 首をかしげるルイズ。
 そんな彼女に、あたしは……今までからかっていた時とは違う、本物の嫌悪を感じた。
 唇を噛む。どうして止められなかったのかしら。いずれこんなことになるのは、想像できたはずなのに。
 
「……ルイズ。あなた、何よりも得難いものを失ったかもしれないわよ」
 そう声をかけると、ルイズはきょとんとした顔であたしを振り向いた。
その顔。自分が間違っているなんて、少しも考えていない顔。
悪気がないっていうのは、この上なく手に負えないことなのかも。
 
「何よそれ。どういうこと?」
「……あなた、貴族に差別される平民の気持ち、考えたことある?」
 聞くと、ルイズは困惑の表情を浮かべたまま黙ってしまった。
「あたしも、あんたと同じで差別”する”側の人間だから、理解できてるとは思わない。
……でも、なるべく考えるようにはしてる」
 
「……何が言いたいのよ、キュルケ」
 察しの悪いこの子なりに、何かうすら寒いものを感じたのか、少し焦った口調でルイズは聞いてくる。
 でも、ここであたしが説明したって、解決にはならない。だからもう黙る。
 
 サイトの目。最後にルイズに笑いかけ、ここから去った時の目。
 ―それは、見慣れた目だった。あたしが、サイトに感じていた魅力が、失われつつある目。
 サイトは、ルイズを”平民が貴族を見る目”で見た。絶対的な目上の者を見る目。
住む世界が違う人間を見る目。相手が、自分を見下していることを前提にした目。
 それは、この学院にいる全ての平民が、あたし自身や、級友や、先生を見る目。
そして、サイトだけが。ルイズが召還した、あの少年だけが、平民であるのにその目をしていないはずだった。
 
 それを……恐らくこの主人が。生粋の貴族であるヴァリエール家のルイズが、奪った。
自覚を無しに、悪いことをしたと露とも思わずに。
 でも、このルイズだけを責められるわけじゃないのかもしれない。言うなれば、それはあたしたち貴族全ての
責任で……そして、サイトの件だけに罪悪感や喪失感を抱くこと自体、ただの偽善なのかもしれないのだから。
 
 
                           ∞ ∞ ∞

286:メイドの温もり 4/8
07/06/06 23:31:03 +0oNroyU
 部屋の掃除をし終わった俺は、ルイズが帰ってくる前に部屋を出て、ヴェストリ広場にやってきた。
 俺が作った風呂が置かれているあたりで、今日の昼まで校舎裏でそうしていたように、
建物の壁に背を預けて座り込む。心にぽっかり穴が開いたような気分だった。
 
『アイツは使い魔なんだから、飼い犬同然なの!』 
 昼間の、ルイズの言葉がまだ耳に残っている。はは、犬だってさ。飼い犬。
 今までにも、何度も犬呼ばわりされた。メイジとそれ以外は違う人間だって言い草も、何度も聞いた。
 けど、俺は、何て言うか……本気にしてなかったんだ。俺が、日本で暮らしていたからなのかもしれない。
 基本的に、人間は平等で。あんなことを言うルイズだって、心の底ではそう思っているはずだと考えてた。
 
 ここへ来たばかりの頃は確かに酷い扱いをされてたけど、最近は待遇を良くして貰えるようになった。
 それは、ルイズが俺をようやく人間扱いしてくれるようになったからだと思っていた。
使い魔ではあるけど、人間でもある。それを、ルイズの方でも認めてくれたのだと信じていた。
 
 けど、さっきのルイズの様子を見て、気付いてしまった。
 逆だった。俺の考えていたこととは、全くの逆だったのだ。
 ルイズは、俺を、使い魔であると認めたから、ベッドに寝かせてくれるようになったのだ。
 
 だって、考えてみれば、人間の……異性に、一緒のベッドで寝ることを許可するだろうか?
恋人でも何でもない男を相手にして、そんなこと有り得ない。
 けれど、使い魔……いや、ルイズが言ったように、飼い犬だったらどうか。人によっては、許すだろう。
ベッドに上がってくることや、一緒に寝ることを許す飼い主は、それなりにいる。
 
 つまり、ルイズは、最初から俺を同じ人間だなんて思ってなかったんだ。寝込みを襲われることとか、
本気で心配してはいなかった。危機感があまりにも薄かった。だって、完全に住む世界が違うものなんだから。
 フーケの事件の後、俺がカンチガイして、ルイズの寝込みを襲ってしまったことがあった。
あの後ルイズはどうしたか……俺に鎖をつけて、犬扱いしたんだ。人間ではなく、見境のない犬だって。
 
 アルビオンに行く前、ルイズが何度もマッサージをねだってきたことにも説明がつく。
 男の前でベッドに横になって、体を触らせて、しまいにはそのまま寝てしまったりしたルイズ。
どうしてそんなに無防備だったのか。それは、俺を人間で、男だと思ってなかったから。
 常識で考えたらそれで何もされない保証なんて無いんだけど、貴族の中でも最上級の家で育てられた
ルイズには、そんなことわからなかったんだろう。
 
 だから、だから……ついさっき広場で話したルイズは、昨晩、俺に組み敷かれたのに、
大してショックを受けた様子が無かった。
 そして、一緒に寝るのを許したのも、ただの気まぐれだなんて言ってきた……。
 
 涙が出そうになってきた。何だよ、なんでだよ。俺は、ルイズのことを、認めていた。
そりゃ、性格は酷いし、不器用だし、見た目が可愛い以外どうしようもないやつだと最初は思ってたけど、
あいつが本当は強い誇りと信念を持っていて。死にゆく人のために悲しめる心を持っていて。
 その小さくて、メイジの拠り所である魔法も満足に使えない体で頑張っていることを知って、
立派な人間だって認めてたんだ。尊敬できる部分もあると思った。側にいて、守ってやりたいと思ってたんだ。
 
 なのに。あいつの方は、俺を人間だとすら思っていなかった。ただの使い魔、飼い犬同然だって。
 そう思って、俺に接していたんだ。
 
 でも。それは、ルイズが悪いんじゃない。言わば、この世界のルールのせい。地球にだって、
差別はいっぱいあるという話だ。日本だって、平等だ、民主主義だなんてなったのはつい最近のこと。
 世界がそういう風にできている以上、仕方ない。どうしようもないこと。
 でも……それは、ルイズと俺の間には、個人の気持ちとかだけでどうにかできるわけではない壁が
存在することでもある。
 俺は、大きくため息をつく。悲しみとか絶望とかじゃなくて。言いようの無い空しさが体を包んでいた。

287:メイドの温もり 5/8
07/06/06 23:31:44 +0oNroyU
「あー、もう! 考えるな!」
 だったら、もうこれ以上悩んだって何にもならない。どうしようもないものはどうしようもない。
 今まで通り、使い魔としてルイズの世話をしてればいい。少なくとも、言いつけられた仕事をしているうちは
美味い食事を食わせてくれるんだし、寝るとこはあてがってくれる。それでいいじゃんか。
 
「まぁでも、そう簡単に割り切れるもんじゃねーよなぁ……」
 薄暗くなってきた空の下で、一人ごちる。少なくとも、今すぐにルイズの部屋に帰って、
あいつと顔を合わせる気にはなれなかった。もう、今までと同じ目でルイズを見ることができない。
 でも、いつまでも外で座ってるわけにもいかないし。夜は寒いし。
 そんなことを考えていたら、腹の虫がぎゅるると鳴いた。落ち込んでいても腹は減る。
ルイズの部屋を飛び出してから何も食べていないので、仕方ないといえば仕方ないのだが。
 
「……サイトさん?」
 そんな時、傷心だし帰る気にもなれないし空腹だしで惨めの極みみたいな気分になっていた俺を、
朗らかな声が呼んだ。ボロボロの心に染み入るような声の方へ、顔を向ける。
 
「どうされたんですか? こんなところで」
 そこにいたのは、学院のメイドであるシエスタ。俺がこの世界に来たばかりのころから、
何かと気遣ってくれる女の子。シエスタは、壁際に縮こまって座り込んでいる俺に
心配そうな表情を見せてくれた。
 
「いや、別に、何でも」
 俺を立派な人だとか、憧れだとか言ってくれるシエスタに、こんな姿を見られたくない。
作り笑いを浮かべて安心させようとしたところで、再び俺の腹の虫が盛大に鳴いた。
 シエスタはその音を聞いて目を丸くした後、可愛く苦笑する。
 
「ひょっとして、またミス・ヴァリエールにご飯を抜かれてしまったんですか?」
「いや、えーと、その……なんていうか」
 恥ずかしさに慌てて手を振ると、シエスタは小走りで隣まで来て、俺の顔を覗き込んだ。
「遠慮することなんてありませんよ。今ならまだ夕食の準備で忙しくなるまでに時間がありますから、
厨房で何かご馳走させてあげられます。来てください、ね?」
 
 微笑んで、シエスタは座り込んだ俺に手を伸ばす。思わずそれの手をとって立ち上がってしまうと、
鼻の奥がツンと痛くなった。シエスタの優しさが、人懐っこそうな笑みが、温かい手が、あまりにも染みた。
 それはまるで、くたくたに疲れた全身を、熱い湯船の中に沈めた時のように。
 
 
 
「どうですか? サイトさん。ありあわせのもので、申し訳ないんですけど…」
「いや、十分すぎるよ。美味い。滅茶苦茶美味い」
 厨房のテーブルで、シエスタが残り物を組み合わせて作ってくれた料理を、ガツガツと頬張る。
マジで泣けるくらい美味しい。お腹が空いてたっていうのもあるし、もともとの料理がよく出来てるって
いうのもある。けど、今の俺には、シエスタのかけてくれた気遣いが何よりの調味料になっていた。
 
「そんな、褒めすぎですよ。でも、お世辞でも嬉しいです」
「いや、お世辞じゃな……もごっ」
「あ、もう。ほら、そんなに急いで食べなくても、料理は逃げませんよ」
 がっついて食べながら話していたので喉に詰まらせてしまった俺に、シエスタは水の入ったコップを
差し出して、背中をトントン叩いてくれた。
 
「ぷはっ、ふぅ……ありがとう、シエスタ」
「いえ、いいんですよ、このくらい」
 あっという間に食べ終わり、シエスタの方をじっと見つめて礼を言うと、シエスタは頬を染めて、
照れくさそうに笑った。メイドらしい、控えめな態度。けど、その笑顔は仕事上の作った顔ではなく、
シエスタの本性から来るものなのだろう。愛嬌があって、見る人を安心させる魅力的な笑み。

288:メイドの温もり 6/8
07/06/06 23:32:29 +0oNroyU
「……サイトさん、何かあったんですか?」
 しばらく食休みをしていると、シエスタは俺にそんな言葉をかけてきた。
「え……何かって、何が?」
 ぎくっとしてとぼけると、シエスタは真剣な表情で俺に詰め寄る。
「サイトさん、落ち込んでるように見えます。
何かあったのでしょう。 ミス・ヴァリエールに酷いことをされたとか」
 鋭い。なんという洞察力。これが女のカンというやつなんだろうか。
 その黒い瞳に見つめられて、これ以上嘘をつくことができない気分になってしまう。
 
「うん……実は、ちょっとルイズと顔合わせにくい事情ができちゃって」
 照れ隠しに頭を掻きながら、そう白状する。シエスタは、そんなことだろうと思った、
という風に深いため息をついた。
「また、無茶なことをされたのですね。いくら平民だからって、貴族の方に何でも好き勝手されて
いいなんて法はありませんのに……」
「いや、今回は俺に非があるんだけどね」
 シエスタは、少しだけ考え込む様子を見せてから、何かひらめいたという顔をした。
 なぜか、その瞳がちょっとだけ怪しい色に輝く。
 
「……サイトさん、今日の夜、お風呂をご一緒してもいいですか?」
 頬を染めて、お盆で口元を隠しながら、シエスタはおずおずとそう聞いてきた。
「え、お風呂!?」
 急な提案に、驚く。確かに、何日か前、ひょんなことから俺が作った五右衛門風呂に
シエスタを入れてあげることになってしまった。
 その時は、シエスタの服が濡れてしまったハプニングのせいだと思っていたのだけど。
 
「えーと、あの風呂に入りたいなら、俺と一緒じゃなくても」
「でも、わたし、一人でああいうお風呂に入ったことないから、ちょっと不安で……」
 シエスタはもじもじと体を揺する。そのメイド服の下に隠れた、着やせする脱いだら凄い肢体を
思い出してしまい、頭が一気に熱くなる。
 シエスタとお風呂。シエスタの体。それに、あの時風呂から上がったシエスタに言われた、
『一番素敵なのは、あなたかも』なんて台詞。
 それらが鮮明に蘇る。そそ、それは。そのお誘いは。ただ”お風呂に入りたい”というお願いではなく、
”俺と一緒にお風呂に入りたい”というお願いなのではないでしょうか。
 
「あ、あああ、その……うん、わかった。シエスタの仕事が終わるころ、用意して待ってるから」
 頭で考える前に、口がそんな言葉を勝手に喋る。シエスタは、ぱあっと顔を輝かせた。
「は、はいっ! 楽しみにしてます! ……それじゃ、そろそろお夕飯の仕事があるから」
 さよなら、と言ってシエスタは足早に立ち去った。後に残された俺は、マルトー親父さんたちが
夕食の準備に厨房に入ってくるまで、その場にぼけーっと座り込んでいたのだった。
 
 
「お待たせしました、サイトさん」
 その日の夜。結局、俺はルイズの部屋に戻ることなく時間を潰し、頃合いを見計らって風呂の準備をした。
 ちょうど、釜の中のお湯が温まったあたりで、月明かりと薪の火が照らすヴェストリ広場に
シエスタがやってきた。
 
「あ、ちょうど良かった。今入れるようになったばっかりだから」
「そうですか。良かったです」
 既に部屋に戻って着替えてきたのか、シエスタの格好はいつものメイド服ではなく、薄手の寝巻きに
毛糸の温かそうな上着を羽織った姿だった。
 見慣れない……そして、メイドではなく、一人の女の子であることを嫌でも意識してしまういでたちに、
ついドキドキしてしまう。今までにルイズやキュルケの寝巻き姿も見たことはあるけど、シエスタの容姿は
俺にとって馴染み深い日本人の女の子に雰囲気が似ていて、生々しい雰囲気を放っている。
 
「えっと……それじゃ、入ろうか」
 妙に落ち着いた声でそう言う俺に、はにかんで頷くシエスタ。考えてみれば、なんかおかしくないか?
女の子と一緒にお風呂入るんだぞ? ただ事じゃないぞ? なんで、”そんなに大したことじゃない”
みたいな演技してるんだ?
 でも、冷静に考えて常識的な判断をしたら、一緒にお風呂に入れなくなる。
だから、俺は……きっとシエスタも、このよくわからない演技を続ける。

289:メイドの温もり 7/8
07/06/06 23:33:17 +0oNroyU
「はぁ……やっぱり、気持ちいいです」
 シエスタのうっとりとした声が背後から聞こえ、湯の中で温まった体がさらに熱くなる。
 二人で背中を向け合って服を脱ぎ、体を洗って、風呂に入った。一日中外にいて汚れていた
体がさっぱりしたのはいいのだが、ぜんぜんリラックスできる状況じゃない。
 だって、すぐ後ろには、脱いだらすごいシエスタが裸でいるのだから。
 
 先日も一緒に入ったシエスタの肢体が思い出される。湯気に湿ってしっとりした髪。
濡れて上気し、艶めかしい雰囲気を放つ肌。恥ずかしげな表情を浮かべる、可愛らしい顔。
 ああ、見たい。また見たい。あの時みたいに、こっち向いても良いですよ、
なんて言ってくれないだろうか。そんな、人としてちょっと終わってることを考える。
 
「月が綺麗ですね、サイトさん」
 そんな煩悩満載のところへ聞こえてきたシエスタの言葉につられて、空を見上げる。
ふたつの月の輝きも綺麗だったが、それより、星が無数に散らばる夜空に嘆息が漏れた。
電気による灯りのせいで、夜でも星があまり見えない日本の空とはまったくの別物。
 見惚れるほど綺麗ではあったけど、自分は異世界にいるんだなという事を再認識してしまう。
 
「お風呂に入りながら夜空が見られるなんて、貴族の方でもそうそうできない経験ですよね」
「ああ、そうかもな」
「えーと……あ、あれがグリフォン座ですね。となりがフクロウ座。わたしの星座はどこだったかな」
 星を見ているらしいシエスタが、聞き覚えのない星座の名前を呼ぶ。元々星に詳しいわけじゃない
俺にはよくわからないけど、見える星の並びや、星座の名前も地球とは全然違うのだろう。
 
「あ、あれがイーヴァルディ座ですよ。今日はすごく良く見えます」
「え、どれ?」
 確か、この世界で童話とかになってる勇者の名前だっけ。どんな格好なのか気になって、聞いてみる。
「赤い月の横です。剣と槍を構えているように見える」
「んー、よくわかんないな」
「ほら、あれですよ」
 俺が星空を見渡してきょろきょろしていると、シエスタの声が間近で聞こえた。 
「え?」
 シエスタの手が俺の顎に当たって、角度を調節してくる。当のシエスタの顔は、俺のすぐ隣にあった。
 星座の位置を教えてくれてるんだろうけど、そんなことより、俺の体に当たっている感触に意識が奪われる。
 シエスタ、俺の背中に寄り添うみたいな格好になってる。顔、近い。いやいやそれより、
背中になんかやわらかいの当たってる。ナニコレ。やーらかい。あったかい。脳溶けそう。
 
「シっ、シシシシシシシエシエ?」
 歯をかちかち鳴らしながら、やっとのことでそう言う。シエスタは俺の顔を空に向けさせるのをやめて、
吐息が聞こえるくらい近くへ顔を寄せてきた。
「……サイトさん……」
 耳元で、囁かれる。ぞくぞくぞくっ、と背筋が縮み上がる。甘えるような、ねだるような、微かな声。
「な、なに?」
 聞くと、シエスタはそのまま顎を俺の首筋へ乗せてきた。思わず叫び声を上げそうになる。
「……わたしの体、魅力ありませんか?」
 寂しそうな、シエスタの声。何ですかそれ。これだけえっちぃ体を押し付けておいて魅力ないですかって。
そんなん、拳銃を突きつけておいて『怖いですか?』って聞くみたいなものじゃんか。
 
「あっ、あああるあるよ。何言ってんの。シエスタは可愛いし、魅力的だし、脱いだら凄いし……」
 最後のはちょっとまずかったか。だけど、シエスタはそれを聞いて、俺の背中へさらに体を押し付けてくる。
「じゃあ……どうして、見てくれないんですか?」
「ど、どうしてって、そんなの……」
「そんなの?」
 俺の首に顎を押し付けたまま、小さく首をかしげるシエスタ。さらりとした黒髪が、俺の肩を撫ぜる。
 
「わ、わかるだろ? 男が、魅力的な女の子の裸なんてじろじろ見ちゃったら、どんな気分になるか……」
「……わかります。わかってて、サイトさんと一緒にお風呂に入りたいなんて言ったんです」
 シエスタの言葉が、すぐには理解できなかった。頭が煮えすぎてて、思考力が低下してる。
「サイトさんとだけですよ? こんなことして平気なの」
 シエスタは、泣きそうな声でそう言った。それって。それって。それって。うわぁ、なにそれ。
おかしい。なんかおかしい。これも夢なんじゃないの?

290:メイドの温もり 8/8
07/06/06 23:34:03 +0oNroyU
「サイトさん……わたし、こんなにどきどきしてるんです……倒れちゃいそうなくらい。
これ以上……恥をかかせないでください。嫌なら嫌って、言ってください」
 俺の胸に両手が回され、ぎゅっと抱きしめてくる。背中に、柔らかいふたつの膨らみが押し付けられて
形を変え、その奥から言葉どおりに早鐘を打つ鼓動が伝わってくる。
 夢なはずがない。そして、嘘や冗談なわけもない。この温もり。シエスタの言葉。紛れもない現実。
 
 シエスタは、俺を慕ってくれてる。信頼してくれてる。ここでどうにかされることを
許してくれると言ってる。
 人として、友人として、異性として。メイジに召還された使い魔としてではなく、
ヒラガサイトである自分を。それは、同情でも愛想でもなく、俺が俺だから、してくれること。 
 優しいシエスタ。いつも笑顔を見せてくれるシエスタ。ときどき、妙に積極的になるシエスタ。
 俺の中で、シエスタへの愛しさがどんどん膨らんでいく。ついさっきまで、可愛らしい外見や、
実はいやらしい体つきなんかばっかり意識してたけど、それよりも─いや、背中に当たってる
甘美な感触はそれはそれで意識しっぱなしなんだけど─シエスタという少女そのものへ向いた気持ちが、
自分でも驚くくらいに大きくなってくる。
 
「シエスタっ!」
「あっ……!」
 俺はシエスタの方を振り向いた。すぐ目の前にいる彼女は、俺を潤んだ瞳と上気した頬で見上げている。
「シエスタ、俺……」
 もう一度名前を呼ぶと、シエスタは小さく微笑んで、目を閉じた。卑怯だと文句をつけたくなるくらい、
可愛らしくて、男の情欲に火をつけるしぐさ。
 俺は、その顔に自分の顔を寄せて……寄せて、頬に口付けた。
 
「……え……?」
 シエスタは不思議そうな声を上げて、目を開けて俺を見る。嬉しいけど、期待と違う。そんな様子。
 俺も、よく自分で自制できたと思う。でも、やっぱり、ここでシエスタの唇を奪うわけにはいかなかった。
 
 だって、それは、逃避のような気がしたから。ルイズの事で傷つけられて、落ち込んでいるところを
シエスタが癒してくれて。だから、今までよりも強くシエスタを意識してしまっているのかもしれない。
 シエスタは可愛い。いい子だと思う。日本にいたときに、こんな子に好かれたりしたら、間違いなく
ふたつ返事で恋人になっていると思う。 
 でも、今の俺がシエスタをどうにかしてしまったら……それは、ルイズが駄目だったから彼女を。
そんなことにならないだろうか。俺の気持ちに、そんな要素が一切無いと言い切れるだろうか。
 いけない。そんな気持ちを疑ってしまっているうちは、できない。
 
「ごめん……俺、シエスタは凄く魅力的だし、このままどうにかしちゃいたくてたまらないくらいだけど……
でも、今、勢いでそんなことするわけにはいかない」
 言ってる途中に、首筋がピクピクいった。体の方は完全に今すぐこの子に思いをぶつけろと要求してる。
 でも、これだけはゆずるわけにはいかない。それこそ、俺が犬なんかじゃなく、人間だという証明だから。
 
「サイトさん……」
「でっ、でも、それは俺がシエスタを大事にしたいって、こういうのはきちんとしないと駄目だって
思ってるからで! だからこそ必死で我慢してるっていうか、いや我慢ってのも下品だけど……」
 俺がしどろもどろになってわけのわからないことをのたまっていると、シエスタはくすりと笑った。
 
「……ありがとう、サイトさん。嬉しいです。ひょっとしたら、ここで愛していただけるのと同じくらい」
「シエスタ……」
「わたし、待ってます。いつでも。……でも、あんまり待たせたら、またわたしの方から
迫っちゃうかもしれませんよ?」
 シエスタは悪戯っぽくウインクした。そして、「ちょっとのぼせちゃいました」なんて言いながら、
湯船から上がる。その姿を見ないように慌ててまた背中を向けて、俺も風呂から上がった。
 
 体を拭いて、お互い服を着直す。そこで、はたと気付いた。風呂で温まることができたのはいいけど、
これからルイズの部屋に帰らなければならないのだろうか。今の今までシエスタとしてたことを考えると、
風呂に入る前よりもずっと帰りにくい。
 どうしようと頭を抱えかけたところで、シエスタが、まるで今まで隠していた切り札を出すように口を開いた。
 
「あの……厨房でミス・ヴァリエールと顔を合わせにくいって聞いて、あの後、今夜だけ同室の子に
他の部屋に移ってもらったんです。……もし、良かったら……わ、わたしの部屋に、来ませんか?」

291:Soft-M ◆hjATC4NMLY
07/06/06 23:34:59 +0oNroyU
勘違いしていませんか? まだわたしのバトルフェイズは終了していませんよ?
次回、ゼロの飼い犬 『サイトの理性はとっくにゼロ』

続きます。

292:名無しさん@ピンキー
07/06/06 23:42:56 e6dmaHx4
>>291
うわあああああ、GJ!
なんだかラブコメの王道を突っ走ってる感じが良い。
もともとゼロの使い魔自体がベタにベタを重ねてベタベタな作品だから
こういう王道的なストーリーがばっちり嵌るのかな。

293:名無しさん@ピンキー
07/06/06 23:43:05 sXnIaza1
エロパロでやれ、と言いたいところだが
続けてくれ

294:名無しさん@ピンキー
07/06/06 23:43:08 SJuyueIG
うあー、もうなんてコメントしたらいいかわからんよ、ほんと
なにはともあれ、Soft-Mさん、GJ!

295:名無しさん@ピンキー
07/06/06 23:44:24 e6dmaHx4
>>293
君が何を言ってるのか分からない。
こっちが混乱しちゃったじゃないかw

296:名無しさん@ピンキー
07/06/06 23:47:15 sXnIaza1
ノボルスレと混同してしまった…


とにかくGJ!
無礼をお許しいただきたい

297:名無しさん@ピンキー
07/06/06 23:48:12 EL/bYgch
>>291
いやもうずっとバトルフェイズでもww
続きwktk!

298:名無しさん@ピンキー
07/06/06 23:51:20 JHuW+3iZ
ずっとソフトMのターン!!
いやもうGJ!まだまだあなたのターンを続けてください。

299:名無しさん@ピンキー
07/06/07 01:27:34 uXYZ3Y8y
うわぁ、目茶苦茶間が悪いルイズに目茶苦茶間がいいシエスタw
色んな意味で続き気になり過ぎ。GJ!

300:名無しさん@ピンキー
07/06/07 05:46:41 ny2EXsUG
うッ!!

301:名無しさん@ピンキー
07/06/07 09:12:46 B1cVjh90
>291
ずっとシェス子のターン!!!

夜通しサイトを誘惑しちゃうんだな
期待大だぜ

302:名無しさん@ピンキー
07/06/07 12:17:38 aO1V5wTy
>>290
早く!早く続きを!

303:名無しさん@ピンキー
07/06/07 20:12:35 /I6Yr/WR
最後は、ルイズもでてきて3Pか?

304:名無しさん@ピンキー
07/06/07 20:41:40 01g5NdeN
キュルケも入って4Pじゃね?

305:名無しさん@ピンキー
07/06/07 20:58:43 fwuh5qdu
最近はルイズ・シエスタ・タバサ分は安定して配給されてるな。前に
ルイズ・シエスタ分が足りないとか言ってた奴が居たのが懐かしい。
逆にアン様、テファとかは激減傾向にある。

306:名無しさん@ピンキー
07/06/07 21:09:06 OmDZZyQT
アン様ネタでお勧めある?

307:名無しさん@ピンキー
07/06/07 21:12:00 2pHx9NeN
>>305
新刊の影響で、アン様は立ち位置が良く分からなくなったしなあ
テファは最近ちょっと影が薄い

>>306
黒アン様で、バラフライ伯爵夫人を実践してくれ

308:名無しさん@ピンキー
07/06/07 22:19:26 /1MnREuJ
マイナーキャラの話が好きなんだけどな
サイト×モンモンとかコルベールのとか
一番続き気になってるのはイザベラ慣らしです
続きお願いしますー

309:名無しさん@ピンキー
07/06/07 23:31:01 3ZXhTbp7
イザベラ慣らしかぁ。あれもいいとこで止まってるんだよなぁ。

310:名無しさん@ピンキー
07/06/08 10:31:38 pxJ15IVh
いつの間にかこんなにSSが

さすがせんたいさん、なんというカオス!
ソフMさん、王道ラブコメ待ってましたぁーっ!偉い・・・やっぱお前は偉いよサイト・・・だが真の試練はまだこれからのようでw続きwktk


311:名無しさん@ピンキー
07/06/08 12:51:40 9jpzpKdy
>>308
サイト×モンモンだとある意味NTR

312:名無しさん@ピンキー
07/06/08 12:57:27 t9QE/kkh
>>311
前にサイモンはあったけどNTRっぽくはなかったぞ

313:名無しさん@ピンキー
07/06/08 19:44:11 VtCayinq
ルイズ、シエスタ、アンリエッタ、タバサ等が
サイト以外のキャラと寝るとそれはNTRだが
サイトは英雄なので誰と寝ようがそれはNTRではない。
というわけでサイト×モンモン希望。

314:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:05:15 nYSMMN/n
ある意味寝取りだな

だが、それがいい

315:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:05:35 ArIHwTLE
誰か… テファを知らない俺に救いの手を…

316:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:19:59 uoYuFhdp
>>315
URLリンク(up.tseb.net)

317:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:29:16 JTJnFPTJ
テファを知らないってことは、アニメ派の人か?
それとも、前にもチラリと書き込んでた、「原作すら知らないけどこのスレにいる人」?
後者の方には、原作知らんのにここにいる理由と言うか経緯とかを聞いてみたい。
なんか、その辺スゲー興味がある。

318:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:33:03 XToO4rhE
エロ同人誌作者買いじゃねーの?
それくらいしかパターンが思いつかん

319:名無しさん@ピンキー
07/06/08 20:35:01 uoYuFhdp
微妙に話がずれるが、
その作品を実際に読んだり見たりしたことがないのに
ネットでの評判とか2chのスレとかAA・台詞ネタとかで
勝手に想像してたその作品の内容、って結構貴重だったりする。
実際に読んだり見たりすると二度と想像できないので。
で、本当の内容を知って全然違ってた過去の自分の想像に笑ったり

320:名無しさん@ピンキー
07/06/08 21:13:19 k1c/kRfF
>>316
改めてこの絵を見ると、テファの胸はほんとにはしゃぎすぎだなw
スイカでも入れてんじゃねーかと思うよ

321:名無しさん@ピンキー
07/06/08 21:30:09 H805gnal
テファの胸に入ってるのはオレ達の夢

322:名無しさん@ピンキー
07/06/08 21:48:28 DGX/7MI+
確かに巨乳に詰まってるのは俺たちの醜い欲望


真に乙女の夢が詰まってるのは平な乳だと思うんだがどうだね?

323:名無しさん@ピンキー
07/06/08 21:51:48 UMCn9iC0
>>319
その感じすごく分かる

とんでもない偏見持ってたりするよな

俺もゼロのタイトルだけみて
ゼロという男が使い魔(獣系)と旅する
熱い話だと思ってたからなw

324:名無しさん@ピンキー
07/06/08 22:22:50 ArIHwTLE
>>316
なんだろう 目から汗が…
ありがと

小説1巻購入→アニメ(ようつべ)→金無いから買えない→て…ふぁ…?

325:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:21:56 tH05Iyw+
すまん…今晩中にあげようと思ったんだが…
明日早番なのを忘れていたYO…
そういうわけで途中だけど投下しまっす

あ、>>267の続きね

326:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:22:38 tH05Iyw+
「と、とりあえず落ち着くのね。
 大きく深呼吸なのね」

シルフィードは自分に言い聞かせ、大きく深呼吸をする。
ベッドの上の二人は、そんなシルフィードをきょとんとした目で見つめる。
そんな二人の視線などお構いなしに、シルフィードはすぅはぁと数回深呼吸する。
よーし落ち着いた。
シルフィードは落ち着いて、目の前の謎の二人に質問する。

「パパとママはどこ行ったの?」

やっぱり落ち着いてないかもしれない。
ベッドの上の青い髪の少女と黒い髪の少年は、互いに顔を見合わせると、声を合わせて言った。

「「しらないー」」

二人の即座の返答に、シルフィードは頭を抱える。

「あの色ボケバカップルー!またどっかにシケこんでるのねー!」

その色ボケバカップルなら今目の前にいるのだが、シルフィードは完全にこの二人を才人とタバサの子供だと思い込んでいた。
そもそも、二人が出逢った時期を考えればこんな大きな子供がいるはずはないのだが、人間の常識を風韻竜に求めるのがそもそもの間違いといえるだろう。
それ以前に常識をシルフィードに求める事自体が間違いなのだが。
シルフィードはそのバカップルを探し出しに行こうと外に出ようと振り向く。
その背中に、二つの重低音が響いた。

ぐうぅ~っ。

これは。このよく身に覚えのある音は。

「おねえちゃん」
「おなかすいたー」

やはり。腹の虫。
シルフィードがその音と声に振り返ると、毛布に包まった二人が、期待に満ちた目でシルフィードを見つめている。
…う。

「おねえちゃーん」
「おなかすいたー」

きらきらと期待に満ちた目で、二人の子供はシルフィードを見つめる。
そ、そんな目で見られても困るのね…!

「お、おねえちゃん用事があるのね…!」

とりあえず嘘なんぞこいてみる。
しかし、二人は聞かなかった。

ぐうぅ。

「おなかすいたぁ」
「ごはんー」

シルフィードはぐぅ、と唸って、考える。

327:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:23:30 tH05Iyw+
そ、そうだ、棚にリンゴがとってあったのね!
そのリンゴは本来タバサのもので、食べたらお仕置きだから、と言い含められていたのだが。
背に腹は換えられないのね!ていうかおねえさまの子供にあげるんだから問題ないのね!
シルフィードは棚からリンゴを出すと、近くにあったナイフで不器用にリンゴをざく切りにした。
そして、そのへんにあった紙の上にのっけて、二人に差し出す。

「コレ食べて待ってるのね!おねえちゃんはパパとママを捜しにいくのね!きゅい!」

リンゴを受け取った二人を尻目に、シルフィードは部屋の外へと駆け出した。
子供ほっぽってどっかしけこむなんてお姉さまもヒジョーシキなのね!見つけたらオシオキなのね!
激しく勘違いなどをしながら。

部屋に残された二人は、あっというまにリンゴをたいらげてしまった。
お腹がすいていれば当然である。
そして、リンゴ一個では当然ものたりないわけで。

「おなかすいたねー」
「ねー」

言って二人はきょろきょろと部屋を見渡す。
他に食べ物はないか捜しているのだ。
才人は様式を含めてこの部屋は自分の全く知らないものだと思っていたが、タバサはなんとなく、この部屋を知っている気がしていた。

「サイトはここでまってて。たべものさがしてくる」

言ってタバサは毛布だけを体に巻きつけてベッドから降りる。
才人はそんなタバサを手を振って見送った。

「がんばってねー」

大人の才人なら自分から率先して食べ物を捜しに行くところだが、子供の才人はある意味ものすごく図々しかった。
さがしてくれるっていうなら、さがしてもらおうっと。
そして自分は、ふかふかのベッドの上で飛び跳ねてみたりなどしてみる。
才人がベッドの上で遊んでいる間に、タバサは先ほどシルフィードがリンゴを取り出した棚に目をつけた。
ここなら、何かあるかもしれない。
しかし、シルフィードが開けていた扉は高い位置にあり、自分の背では届かない。
仕方なく、一番下の開きの扉を開ける。
そこには、様々な形と色の、ガラス瓶が並んでいた。

「のみもの、かなあ」

しかし、中には黒いインクの入った壷や、銀色のどろりとした液体を満たしたものもある。
どうやら、飲んではいけないものもまじっているようだった。
どれがのめるんだろう、と考えながらタバサが飲めそうなものを捜していると。
一本の、小さなガラス瓶が目に留まった。
それには、小さな青いリボンが巻きつけられていて、そのリボンの先端に『とっておき』と書いてあった。

「これ、のめそうかも」

中には赤い液体が満たされている。
ぱっと見、飲んでも大丈夫そうだ。
タバサはこれを持っていく事にした。

328:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:24:30 tH05Iyw+
タバサがベッドに戻ってくると、才人がベッドで跳ねていた。

「なにしてるの!」

タバサがその歳に見合わない声を出す。
才人は思わずびくっ!として身体を縮こまらせる。
タバサはよっこらしょ、とベッドの上に登ると、才人の鼻先に指をつきつけた。

「ベッドのうえでとびはねたらだめって、おかあさんにいわれたでしょ!」

才人は憮然とその指を見つめて、言い返す。

「…ウチのおかあさんは『マットがこわれてなかったらはねていい』っていってたよ」

…どういう教育をしていたのだろうか。
しかし、その言葉にタバサはさらに反撃する。

「いうこときかないなら、のみものあげません」

言って、手にしたガラス瓶を抱き締める。

「えー」

才人は一度、不満そうにそう言ったが。

「しょうがないなー」

タバサのいう事を聞く事にした。
お腹もすいていたし、喉も渇いていたからだ。
今も昔も、才人は欲望に素直な性格だった。
才人がいう事を聞くというので、タバサは手にした瓶を才人に差し出した。

「これ、そこのたなでみつけた」
「なにこれ?」
「わかんない」

才人は受け取った瓶を傾けたりして、中身を確かめる。
赤い液体が、そのガラス瓶には満たされていた。
才人は自分の知識の中から、その中身を予想してみる。

「いちごじゅーす?」
「イチゴなのこれ?」

タバサの疑問に、才人は首をかしげる。
この中身がイチゴだという保証はどこにもない。
しかし、中身を確かめる方法はあった。

「のんでみる」

言って才人は、瓶の蓋を開ける。
くんくんと匂いをかいでみるが、これといった匂いはしない。
のんでもだいじょうぶそう?
とりあえず、飲んでみることにした。

329:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:25:10 tH05Iyw+
才人は瓶に口を付けると、その液体を一口、飲み込んだ。

「うえ」

まずい。変な味がする。

「これいちごじゃない~~」

眉をへの字にまげて、才人は顔全体でまずさを表す。
その顔が滑稽で。

「ぷ」

思わずタバサは笑ってしまう。
才人はあまりの後味の悪さに、まだ顔をしかめている。

「ねえ、そんなにまずい?」

子供は、とにかく好奇心が強い。
たとえそれが否定的なものだとしても、経験した事のないものには興味を示すものだ。
タバサはまずいまずいと言われるその飲み物を飲んでみたくなったのだった。
そして。

「なにこれ。まずい~」

口に含んで文句を言って。
二人で顔を見合わせて、大笑いしたのだった。

330:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/09 01:26:26 tH05Iyw+
以上。続きは明日。
さ、寝なきゃ寝なきゃノシ

331:名無しさん@ピンキー
07/06/09 02:12:22 +PNlwqVE
一番槍でGJと賛美を遅らせていただく

332:名無しさん@ピンキー
07/06/09 02:27:27 g8P1UJyH
せんたいさんGJ!
いつもながらいい仕事だぜ

333:名無しさん@ピンキー
07/06/09 02:43:20 NUO19Tn7
へんたいさんのネタの底無さには脱帽です。
どうなるんだろうwktk

334:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:52:40 HtY/wUpw
GJであります
ところで才人が記憶喪失になってそれをルイズが
献身的に看護し、才人も少しずつ心を開いてくという電波を受信した

335:名無しさん@ピンキー
07/06/09 05:40:10 mnbXx1q0
せんたいさん、GJ!
赤い液体ってまさか…

336:名無しさん@ピンキー
07/06/09 06:47:42 g8P1UJyH
>>334
どっかで聞いたことのある話だw
わかんねーけどね。
毎回毎回せんたいさんのSSのネタはどこからくるんだろう
って思う。続きまってます。

337:名無しさん@ピンキー
07/06/09 07:26:23 b4EHv+R6
においがしないイチゴジュースなんて飲んじゃいけませんGJ
続きもwktkして待ってる

338:痴女109号
07/06/09 19:32:37 kIHtn6WC
お久しぶりです。
お久しぶりすぎて、忘れられてるかもしれませんが、投稿します。
>>前スレ643の続きです。


339:契約(その6)
07/06/09 19:34:39 kIHtn6WC

「……!!」

 才人は絶句した。
 
(どういう事態なんだ……これは……!?)

 いま、この部屋には、シエスタを含めて三人の女性がいる。
 タバサ。シルフィード。そして、この淫靡なイベントの主催者であるシエスタ。
―いや、何も知らない者が見れば、女性の人数は四人に見えたに違いない。そこに女装を強制された才人を加えたならば。


 いつもの通り、ノックもなしにイキナリ部屋に入ってきたシエスタに、当然のように突き出された、下ろしたてのメイド服。それと、ウィッグを含む数々の化粧用品。
「こ、このあたしを、お姉様の“いもうと”に戻して頂いて、有難うございます……」
 才人はそんなシエスタに、ぎこちない感謝の辞を述べ、彼女に為されるがままに着付けとメイキャップを施されてゆく。
 当然、ただ着替えるだけではすまない。
 才人の言葉に、鷹揚にうなづき、淫らな微笑を返しつつ、彼女はいつもの行動に移る。
 唇、ペニス、アナル、乳首、耳朶、うなじ、脇の下といった、才人の全身の性感帯を撫でまわし、存分に彼の悲鳴を堪能しながら、それでもシエスタは手際よく、才人を変身させてゆく。

 股間からペニスを生やした、とても残念な生き物……シエスタの“いもうと”に。


340:契約(その6)
07/06/09 19:36:32 kIHtn6WC

 はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、……。

 メイクが完了した頃には、才人はいつものように肌を紅潮させ、息も絶え絶えになっていた。
 そんな彼を見下ろし、シエスタは言う。

「喜んでくださいサイトさん。今日はね、特別ゲストがいらしてるんですよ」
「え?」
「どうぞ、準備は出来ましたのでお入りください。―ミス・タバサ」
「なっ!?」

―いま、いま何と言いやがった!? たばさ? タバサと言ったのか!?

 その言葉に才人が愕然となる暇すらなかった。
 扉が開いて現れたのは、まさしく、彼が知る寡黙な少女、タバサその人であった。

 さらにその後ろから、
「きゅいきゅい、待ちくたびれちゃったのね!」
 という、いかにも無邪気な声とともに入室してきた、もう一人の女性。
 タバサと同じく、青く美しい髪を背まで伸ばした、二十歳前後の綺麗な女性。
「―しっ、シルフィ……!?」

「あっ、サイトっ!? どうしたのね? 何かいつもと違う格好してるのね」
「あ、いや、その、これは―」

―ばたんっっ!!

 必死に言い訳しようとする才人の口は、重い音と共にシエスタに閉じられた部屋の扉によって、遮られた。
「……しえすた?」
 とっさに、幼児のように救いを求める視線を、シエスタに投げかける才人。

 しかし、シエスタは、まるで彼の逃げ場を塞ぐかのように扉の前に仁王立ちになり、さらに彼を追い詰める。

「さあ、サイトさん、この方々に説明してあげてくださいな。―いまの自分が、一体どういう事になっているのか」
「そっ、そんなっ!?」
「逆らうんですか?」
「……!」


341:契約(その6)
07/06/09 19:38:25 kIHtn6WC

―ここまで、ここまでするのか、シエスタ……。

 何度も味わった、この絶望。
 絶望の淵に叩き落されていたはずの自分が、さらに深く、暗い闇の底まで引きずり落とされてゆく感覚。
 逆レイプに始まり、射精管理、飲尿行為、アナル開発、野外プレイ、さらには男性用貞操帯と授業中の道具責め。そして現在の強制女装からのレズセックス。
 シエスタの口が開くたびに、そこから紡ぎだされる新たな命令に才人は、いつもこの感覚を味合わされていた。すでにして希望を捨てている彼をして、更なる絶望の暗闇に叩き落す、彼女の恐るべき嗜虐性。

―何を言ってるんですかサイトさん。まだまだ、これからなんですよ。

 そして今もシエスタは、そう言わんばかりに両手を腰に当て、ねっとりとした視線を才人に送っている。

「きゅいきゅい、早く説明してサイトっ。一体なんでこんな格好してるのっ?」
「そうですよ、サイトさん。ゲストの方々をお待たせするのは、メイドとしてはとても恥ずべきことなのですよ。私は“姉”として、あなたをそんな“いもうと”に躾たつもりはありませんよ。ふふふ……」

 無邪気なシルフィード。その尻馬をあおるシエスタ。
 才人は、その迷える視線を、おそるおそる第三の少女……タバサに向けてみる。

 タバサの、常に自己の感情を窺わせない青い瞳。
 その美しい碧眼が、わずかに興奮の色合いをにじませつつ才人を射抜き、言う。

「早く」

 彼は、その一言を聞いた瞬間、まるで下半身が泥になったように、その場に崩れ落ちた。


342:契約(その6)
07/06/09 19:41:27 kIHtn6WC

 この、絶望的なまでに無残な姿を晒している自分を見て、あのタバサが、僅かにであるが頬を紅潮させ、目を潤ませ、笑みすら浮かべている。それも、シエスタと同質の淫靡な微笑を。


(もうダメだ)
「……あ、あたしは……」
(ダメだよルイズ……)
「あたしは、―シッ、シエスタお姉様の“いもうと”で」
(もう……限界だ……!!)
「ドジで間抜けで、いつもお姉様にご迷惑をかけて、お仕置きをして頂いている、サイトっていうメイドです」
(俺、もう、何か、壊れちまったよ……)
 才人は、全身を震わせながらひざまずき、
「ミス・タバサ、それにミス・シルフィード。こんな哀れなあたしを、ど、どうか、お姉様と三人で、……お、お仕置きして下さい……!」


 そう言って才人は、三人の靴にキスをした。


343:痴女109
07/06/09 19:44:26 kIHtn6WC
異常です。もとい以上です。
今週は何とか週末が空いたので、今晩中か、もしくは明日にも続きを投稿したいと思います。

344:名無しさん@ピンキー
07/06/09 20:20:59 ookqYXbs
>>343
うぉぉ、GJ!
相変わらず何と言うか凄まじいモノを…。
まぁ、嫌いじゃないっていうかむしろ好きだけどね。

345:名無しさん@ピンキー
07/06/09 23:57:56 mcnLGIu8
どこまで堕としていくんだシエスタ……
果てしない彼女の暴走の結末に期待wktk

346:名無しさん@ピンキー
07/06/10 00:48:33 oynfKjnL
>>291
>>330
>>343
GJ!!
あああ、このスレやべぇぇぇぇぇぇぇ
ちょっと高速行ってぬあわ遊びしてくる

347:痴女109号
07/06/10 03:43:27 V7ARRJ95
>>338-343の続きです。
もうやばいです。シエシエが恐ろしい勢いで壊れつつあります。
苦手な方は容赦なくスルーして下さる事を推奨します。

348:痴女109号
07/06/10 03:44:54 V7ARRJ95

 元来、この部屋はルイズの個室だった。

 そこに、使い魔として召喚された才人が同居し、さらに才人の“御付きメイド”となったシエスタが押しかけてきて、いつの間にやら三人部屋になったのだが、それでも、この部屋の家具や、クローゼットの衣装などはほとんどがルイズの私物である。
 つまり、この部屋の中には当然の事ながら、ルイズの体臭こそが一番染み付いている。
 ベッドにも、シーツにも、枕にも、布団にもである。
 そんなルイズの匂いにまみれた夜具の中で、彼女の夫になるべき男を蹂躙する。
 
―シエスタの優越感をこれ以上ないほどに刺激するこのシチュエーション。
 
 そして、肝心の“寝取られ男”は今、彼女―シエスタにスカートをまくりあげられ、四つん這いになって剥き出しの尻をさらし、シエスタにアナルを舐められていた。
 その連日の荒淫ですっかり黒ずんだ彼の菊門はパックリと口を開き、そこから伸びた黒い細紐の先には、金属製のリングが鈍く光っている。

―シエスタのアナルパールの紐であった。


349:契約(その7)
07/06/10 03:47:26 V7ARRJ95

「きゅいきゅい、すごい! シルフィ、とっても気持ちいいのねん!!」

 ワンワンスタイルになった才人の頭部は、シルフィードの細く長い両足に挟まれ、拘束されている。
 いくら人間の姿をとったところで、元はドラゴンである。恐らく彼は、かつて経験した事のないパワーで頭蓋を圧迫され、必死になってシルフィードの恥部に舌を振るっているはずだ。

「きゅいきゅい!! こんなのっ!! こんなの初めてなのねんっ!!」
 いまシルフィードの神経を、どれだけの快楽電流が迸っているかは、そのムダ毛一本生えていない白い美脚が、真っ赤に紅潮している事でも予想はつく。

「きゅい~~~~~~~~~!!!」

 二十歳前後の容貌に似合わぬ甲高い声を発し、シルフィードの全身から、一気に力が抜けた。
 首の骨を捻り折られる前に、どうやら才人が、この竜の幼生を頂上に追いやったようだ。
 イったシルフィードも、イカせた才人も、互いに肩で荒い息をしながら、ベッドに突っ伏した。


(当たり前よね)
 シエスタは、余韻に酔いしれるシルフィードを見て、むしろ自慢気に鼻を鳴らした。
 この“いもうと”は、シエスタが都合数十時間の連続調教の果てに、女性を(と言うか自分を)悦ばせるためのあらゆる手練手管を叩き込んだ、いわばシエスタ自慢の『作品』でさえある。
 いかに伝説の風韻竜といえど、いかに妙齢の美女に変身していたとしても、所詮は幼竜一匹、“いもうと”の手にかかれば物の数ではない。


350:契約(その7)
07/06/10 03:52:07 V7ARRJ95

「んふふふふ……サイトさんったら、ホント学習しない人ですねえ」

 そんな上機嫌とは裏腹に、シエスタは尻肉に、がぶりと歯を立てる。
「~~~~~っっ!!」
「私はサイトさんに『お尻を差し出しなさい』と言ったんですよ」
 彼の臀部に歯型を生産しながら、シエスタは言葉を続ける。
「誰が休んでいいと言ったんです? あなたがこのベッドでお休みになれるのは、ここにいる全員が、あなたを罰し終えてからなんですよ。まだそんな事も分かりませんか?」
「すっ、すびばせんっ! お姉様っ!!」

 そう言われて才人が、満面の恐怖を浮かべながらシエスタを振り返る。
 が、当然シエスタは彼を許すつもりはない。

「さあ、どういうお仕置きがいいでしょうか、ミス・タバサ?」
 そう言いながら、シエスタは視線をタバサに移す……が、その時になって、彼女の姿が自分の視界にないことに気が付いた。


「このリングは何?」

―っっっ!!?
 肩越しにかけられた冷静な声音に、シエスタは驚きの余り、体勢を崩して振り返る。
(いっ、いつの間に私の後ろにっ?)
 そこには、碧眼碧髪の眼鏡っ娘が、まるで理科の実験でも観察するような冷静な眼差しで、シエスタを見つめていた。

「それに、サイトの肛門が完全に口を開いてしまってる」

 いや、彼女が見つめていたのはシエスタではない。
「何をしたらこうなるの?」

 タバサの眼中にあるのは、あくまでも才人一人なのだ。
「この、お尻のリングが関係してるの?」


351:契約(その7)
07/06/10 03:55:49 V7ARRJ95

 タバサは、シエスタの隣―丁度、才人のアナルを最もいい角度で覗ける場所に移動してくると、そこで初めてシエスタを振り向いた。
「引っ張っていい?」

 どうやら、タバサは才人のアナルから生えたリングに御執心らしい。
「その必要はありませんわ」

 シエスタは、さっきの驚きはどこへやら、逆に誇らしげに答える。
 彼女としても、才人の調教状態をタバサに示せる事が嬉しくてたまらないらしい。
「ミス・タバサのお手を煩わせるまでもありません。―サイトさん」
 シエスタは、歯型をぺろりと一舐めすると、闇に沁み入るような声で命じた。


「『産卵』のお時間ですよ」


「こっ、ここでですかっ!?」
「私に恥をかかせるおつもりですか、サイトさん?」

 その一言で才人の口答えは終焉を告げた。
「あ、いや、その、申し訳有りません、お姉様……」

 生半可な反抗が、どれほどの“罰”となって我が身に帰ってくるか、彼はもう、骨の髄まで承知しているのだろう。タバサには、そんな才人がとても新鮮に見えた。


352:名無しさん@ピンキー
07/06/10 03:59:31 1TheSjWo
ドMの俺にはあなたのSSは貴重な
栄養分です。黒すぎるwww

353:契約(その7)
07/06/10 04:01:08 V7ARRJ95

「ひっ、ひっ、―ふぅぅぅぅうううううう!!!」

 才人が、半ば悲鳴のような声を上げながら、全身の力を振り絞っていきみだす。
 すると、やがて才人のアナルから出現したのは、リングから伸びる紐に結ばれた直径3センチほどの球体だった。
「んっ、んっ、んっ、んっ、んんんんんんっ!!!」
 才人の全身が、電気椅子で処刑された死刑囚のように痙攣する。


「すごい……!!」


 思わずタバサが呟いた。
 才人のアナルから出現した球体は、なんと一個だけではなかったのだ。
 二つ、三つ、四つ、……。
―まだ、まだある? まだ入るの!?
 なるほど、『産卵』とはよく言ったものだ。しかし彼女たちの眼前で全身を震わせ、球体をひり出し続ける才人の姿には、ウミガメの出産のごとき荘厳さはカケラもない。

 タバサは、滅多に感情を表さぬその容貌を、驚きと悦びに染めながら、ひたすら球体を排出し続ける彼のアナルを、食い入るように見つめ、そんなタバサを、シエスタはこれ以上ないほどの優越感と誇りを持って見下ろしていた。

「お姉様ぁっ、お姉様ぁっ、もう、もう!!」
 そう叫ぶ才人の肛門からは、数珠繋ぎに結ばれた“卵”が四個ぶら下がり、しかも四つ目の“卵”からは、まだ紐が彼のアナルまで続いている。
「だらしないですねぇ、サイトさん」
 そう言うと、シエスタは、そこで初めてリングに指をかけ、
「御自分の異物を、排泄する事さえ出来ないのですか?」
 一気に引き抜いた。

 ずぶりっっ!!

「~~~~~~~~~~~っっっ!!!」

 鈍い音がして、さらに二つ、都合六個の“卵”が、異臭にまみれてベッドに落ちる。才人自身も、それと時を同じくして、再びベッドに崩れ落ちる。

 その数珠繋ぎのアナルパールを携え、ひょいと才人の枕元に移動したシエスタは、刹那、タバサに勝ち誇った眼差しを向け、戦慄すべき新たな指令を、愛する男に下した。


「さあ、サイトさん。御自分で汚したモノは、御自分で綺麗にして下さい。メイドの基本ですよ」


 糞臭匂うアナルパールを、才人の口元に突きつけながら下したこの言葉は、眼前の才人にのみ向けられたものではない。つまり、
(私が命じて、サイトさんに出来ない事など、もはや存在しない。貴方と私の、今の差を思い知らせてあげますわ、ミス・タバサ……!!)


354:痴女109号
07/06/10 04:03:13 V7ARRJ95
すんません、今晩はここまでです。
明日また、投下します。

355:名無しさん@ピンキー
07/06/10 07:56:01 KEwkj7Hg
GJとしか言えない

356:名無しさん@ピンキー
07/06/10 08:25:47 1TheSjWo
途中できってしまったみたいだぜ。スマソ
どんだけシエスタ黒いんだw

357:名無しさん@ピンキー
07/06/10 09:58:01 53+/KD88
保管庫一通り読んできたけど
せんたいさんのオリジナルのアニエスにいたずらされちゃった
かわいそうな金髪少女フェリスがサイトに会ったらどうなるのか知りたい!

358:名無しさん@ピンキー
07/06/10 10:10:05 WZ+YVmQg
テファってなんか一番襲われそうだな

359:名無しさん@ピンキー
07/06/10 11:34:30 FCKX+iWM
>>354
もう鬼畜の域だなぁ・・・。才人崩壊END??

360:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:49:06 DumVqh2V
はいおまたー。買い物前に投下いくよん

361:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:52:10 DumVqh2V
二人はその後、なんとなく眠たくなって、ふかふかのベッドに二人で潜り込んだ。
さすがに裸に近い格好では、夏が近いとはいえ、寒気を感じずには居られない。
二人でシーツに潜り込むと、お互いの体温で布の中はぽかぽかと暖かかった。

「あったかいねー」
「だねー」

二人は向き合って、裸のまま見つめあう。
もう少し歳を取っていたなら恥ずかしがるような場面だが、性というものに無頓着な年齢の二人は、そんな事は気にも留めていなかった。
そうして少しすると、タバサがぶるっと震えた。
何故か、寒気がしたのだ。

「さむいの?」

震えるタバサに、才人が語りかける。
才人の質問に、タバサは頷く。

「うん。…そっちいってもいい?」

才人は目の前で震える少女を可哀想に思い、頷く。

「いいよ。くっついてたほうがあったかいし」

その言葉と共に、才人もタバサの方へにじり寄る。
お互いに寄り添った結果、二人は向き合う格好になった。
お互いの顔が正面に立ち塞がり、吐息がお互いの顔にかかる。

「あったかいね」
「…うん…」

異変に気付いたのは才人が先だった。
タバサのカンジがおかしい。
吐く息が荒く、頬は真っ赤に上気し、目がとろんとして潤んでいる。

「どうしたの?」
「なんか…へん…」

そう言って、タバサはゆっくりと手を才人の方へと伸ばしてきた。
どくん。
才人の心臓が一回、異常に大きく脈打った。
それは痛みさえ伴い、才人の動きを完全に止める。
その隙に、タバサの伸びてきた小さな手が才人の顔を挟む。
熱っぽい視線で才人を見つめ、タバサは言った。

「キス…してもいい?」

そしてそのまま返事も待たず、タバサは才人の唇を奪った。

362:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:53:03 DumVqh2V
キスの意味すらわからない幼い才人は、タバサの行為にされるがままになる。
タバサは己が内でうねる熱い何かに促されるまま、才人の唇を吸い、そして舌でその唇を舐めまわす。
最初は抵抗しようと思った才人だったが、タバサのキスが気持ちよくて、その意思はすぐに鳴りを潜めた。

ちゅぱ…ちゅぱ…

シーツの中に、幼い子供が立てるとは思えない、淫靡な水音が鳴り響く。
その音と、湿った空気と、タバサの牝の温もりが、才人の鼓動を早める。
そして才人の中にも、異変が起こり始めていた。
下腹部が熱い。尿意を堪えている時のそれに近いが、今彼の膀胱はからっぽだった。
キスを貪るタバサの下腹部が、才人の下半身に密着する。

びくん!

その瞬間、才人の背筋に恐ろしいまでの電流が走り、彼は仰け反った。

「うあっ!」

才人の反応に思わず手を離し、タバサは心配そうに尋ねた。

「だいじょうぶ?」
「う、うあ、うあっ…」

しかし才人は応えられない。
猛烈な尿意に似た『何か』が、彼の下半身を襲っていた。
才人はその感覚に恐怖を覚えていた。
だしたい。でも、だしちゃだめ。
彼の中で、二つの意思が必死に戦っていた。
それは三歳の少年にはけして起こりえない生理現象であった。
射精である。
彼の陰茎は三歳にはありえないほどに勃起し、先端からピンク色の中身と先走りを露にしていた。
彼の中の自然と、彼の中に芽生えた異変が、その行為を否定し、肯定していた。
そしてその均衡は、タバサの行為によって崩れ去る。

にゅる。

タバサはなんと、濡れた股間を、才人のソレに押し当てたのだ。
タバサの体にもまた、異常が起きていた。
キスによって高められた彼女の牝は、ありえないことにそこに牡を受け入れるための、潤滑油を分泌していたのだった。

「うあっ、うあぁぁぁぁぁーっ!」

才人の堰は容易く崩れた。
幼い身体をがくがくと痙攣させ、ありえないほどの精液がシーツの中に飛び散る。
その飛沫の大半はタバサの下半身から胸の付近までを白く汚していった。
そしてタバサもまた。
びくびくと射精を続ける間も固さを失わない才人の肉棒に己自身を擦りつけ、そして精液の熱さに酔いしれながら。

「ふぁっ…あぁぁぁぁぁぁっ…!」

脳髄を焼くありえない感覚に身体を震わせていた。
そして二人は抱き合い、泥のように眠ったのだった。

363:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:54:20 DumVqh2V
目が醒めると。
裸のサイトの腕の中にいた。
ぼやけた視界の中で、術式を行ってからの記憶がないことに気付いた。
…結局あのあと、どうなったんだろう…。
この状況を見てみると、けっこう仲良くしてたみたいだけど。
たんにシーツの中でじゃらってただけって可能性も…。

どくん。

あれ…なんだろ…この匂い…。
急に脈打った心臓も気になったけど、私はこの嗅ぎなれた匂いの方が気になっていた。
サイトの…におい…。
シーツの中をあらためると。
シーツの中と…私のおなかの部分に…白いのがいっぱい…。
え?え?なんで?
三歳くらいになってたはずなのに…。

どくん…どくん…。

やけに大きく脈打つ心臓の音が気になる。
そしてそれよりも。
目の前で眠る…サイトの事が…。
ま、まさか、これって…。
私は必死に理性を振り絞って、サイトから目を逸らしてベッドの周囲をあらためる。
そして、ベッドの脇に、開いた小瓶を見つけた。
あれ…!こないだ買ってきた『オーガの血』…!
まさか…。子供になった私とサイトが…飲んじゃった?それで…。
そこまで考えるのが精一杯だった。

「ん…ん?シャルロット?」

目覚めた彼の言葉を聴いて、私の中の牝が完全に目覚めた。
私は、起きたばかりのサイトの唇を乱暴に奪うと、そのまま彼を押し倒した…。

364:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:55:40 DumVqh2V
シルフィードが二人を捜して、あっちこっちもののたとえではなく本当に飛び回って、ヘトヘトになってタバサの部屋に帰りついたのは、夕方のことだった。

「なんなのねもう!あの色ボケバカップル!もうしらないのね!」

憤慨しながら扉を開けて部屋の中に入る。

「もういいのね!子供達はシルフィが立派に育ててみせるのね!」

妙な決意に燃えながら、シルフィードが部屋の中に入ると。

「ぐえ」

部屋の中はものすごい異臭がしていた。
ていうか、この臭い。
シルフィードはつかつかとベッドの上で盛り上がっているシーツに近寄ると。
がばぁっ!と勢いよくシーツを捲り上げた。
そこには。
すやすやと満足そうに眠る、どうみてもヤっちゃった後の才人とタバサがいた。

ぷっちん。

シルフィードの中で何かが切れた。

「こらこの色ボケ夫婦ー!子供ほっぽってナニしてるのねー!?」
「うわっ、なんだよシルフィードかっ?」
「…五月蝿い」
「うるさいじゃないのねー!子供おいといてさんざん交尾!?何人作れば気が済むのね!?」
「な、なんだよ子供って?」
「…煩い」
「サカるのもたいがいにしないとおばかになるのねー!セックスは週に三度までなのねー!」
「う る さ い」

暴走して意味不明なことを喚き散らし、暴れまわるシルフィードを止めたのは、結局タバサの杖の一撃だった。~fin

*追記*
シルフィードの誤解はしばらく解けず、説明に三時間を要したという。

365:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/10 13:58:40 DumVqh2V
第一部>>267第二部>>326
ごめん、マジで遅くなった。
なんか予想してたラスと微妙に違うものになってしまったけど…まあいいか。

んじゃ買い物いってきますノシ

366:名無しさん@ピンキー
07/06/10 14:13:24 J1RxjgR3
一番槍GJ
さすがへんたいさんだぜ
ロリショタ(;´Д`)ハァハァ

367:名無しさん@ピンキー
07/06/10 14:34:46 Xd2BZ9+A
超GJなんだが
ちょっと性描写があっさりしすぎでは?とも思った

368:名無しさん@ピンキー
07/06/10 14:47:15 FCKX+iWM
>>367
バーロー。せんたいさんはいかにタバサで萌えさすかに特化してるんだよw

369:名無しさん@ピンキー
07/06/10 15:31:29 2Am0H5Ao
なんたって僕はオンディーヌ家の一族だからね!!

370:名無しさん@ピンキー
07/06/10 20:32:52 ATSU8DKb
ちょwwwテラナツカシスwwwww

371:名無しさん@ピンキー
07/06/10 20:45:35 U52rKzZI
「ご主人様の夜の相手をつとめる使い魔なんて始めて見たぜ。」

なんか頭の中に聞こえてきた

372:名無しさん@ピンキー
07/06/10 20:58:01 ATSU8DKb
舞踏会のデルフかww

373:名無しさん@ピンキー
07/06/10 21:37:36 wcd2HFi4
ここみたいなSSスレって他板にもある?

374:名無しさん@ピンキー
07/06/10 21:56:54 NrQqrvkl
>>373
ノボルスレはここだけかな。
あとは個人サイト巡り。

375:名無しさん@ピンキー
07/06/10 21:59:24 wcd2HFi4
おお、ありがと
ちょっくら探してみるか

376:名無しさん@ピンキー
07/06/10 22:00:52 FK2iaNLX
>>375
ステキなシェスタSSを見かけたら教えてくれよ

377:名無しさん@ピンキー
07/06/10 22:40:43 l+eazEhc
ラノベ板本スレとかアニメ系のスレとかこことかで
シエスタをシェスタと書いてる奴は同一人物なのか?

378:名無しさん@ピンキー
07/06/11 14:55:23 TQTmlVG6
普通に何人もいるんじゃない?
そんなどうでもいい話で決め付けとか他板の話とかやめてくれ

379:名無しさん@ピンキー
07/06/11 15:40:57 MLWOJu07
お昼寝はシエスタだっけシェスタだっけ

まあどっちにせよシエス子可愛いよシエス子

380:名無しさん@ピンキー
07/06/11 16:03:01 sMwB/uKk
うほ。せんたいさんきてた。
GJGJGJ!タバサ好きな俺にはタマラン

381:284 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:30:02 uHH+G4ua
 ∧_∧        
 (ヘ´Д`)       
 (  つ□つ  粗品ですが。       
 と_)_)    


タバサもの、エロ薄です。

382:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:31:15 uHH+G4ua
 …コンコン。
 ルイズもシエスタもいない少々寂しくも感じられる部屋で、才人がぼっとしていると
急に部屋の木製のドアがノックされた。
「はいはい、開いてるよっと」
 なんだろうと思い声をかけてみるが、ノックされたきり全く反応が無い。
「……………?」
 流石に才人も不振に思ったのか訝しげな顔をして、ゆっくりとドアに近づく。
 が、すぐに向こうにいる相手が分かった。
「…わたし」
「あぁ、なんだタバサか」
 才人は顔から険の表情を消すと、すぐにドアを開けてやる。
 すると、やはり廊下には才人の口元まで届くかどうか、というほどの身長しかない女の
子、タバサが立っていた。
 相変わらずのスッとした身体のラインとさらさらの青い髪、そしてふわっとした女の子
独特の香りに才人は少しドキッとする。
 何より、先日の出来事が才人の中のタバサのイメージを少なからず変化させていた。

「どうしたんだ? 今はルイズもシエスタもいないけど…」
 才人が何気なさを装い、問いかけるとタバサはマントの中から数冊の本を取りだした。
「これ」
「ん? 本?」
「この前の続き」
 それだけを言うとタバサはスタスタとルイズの部屋へと入っていく。
 そして、手に持っていた本を机の上に置くと、いすに座って才人の方を向いた。
「座って」
「いやでも、俺も結構読めるように…」
「だめ、まだ半分ぐらいしか教えてない」
 才人は何かを言おうと口を開いたが、有無を言わせないタバサの圧力を感じて二の句を
継げないでいた。
 あ~。 と何かを言おうとする才人と黙って才人を見つめるタバサとの間にシン、とした
空気が流れる。
「……わかったよ」
 好意で来てくれてるんだしな。 と才人はいつも通りにタバサの横に座る。
「それじゃあ、まずはこれ」
 座ったのを確認すると、タバサは一番上にあった薄めの本を開いた。
 そうして、タバサの授業が始まった。


383:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:32:07 uHH+G4ua

 …。
 ……。
 ………。
「…によるものである。 っとこんな感じか?」
「うん、これはもう大丈夫」
 一時間半ほどをかけて二人は二冊を読破していた。
 以前に比べて明らかに才人の読むペースは速くなっている。
「じゃあ、これ」
「へいへい… えっと?『女主人のいけな…』」
 バタンッ。
 才人がタイトルを読もうとすると、タバサがバッと本をひったくってページを開く。
「ここから読む」
「あ、でもその前にタイトルを…」
「必要ない」
 それきり黙りこむと、タバサはずいっと本を才人の方へと押しやる。
「早く…読む」


384:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:33:08 uHH+G4ua
「…………………………」
 え? なに? なんですかこれ?
 才人は広げられた本を前にして硬直していた。
「……えっと…」
「――っ!!」
 どういうことかタバサに尋ねようとしたら、タバサはビクッと身体を震わせる。
 タバサは先ほどからうつむいたまま顔を上げようとしない。
 よくよく顔を覗き込んでみると、いつもの白い顔とはうって変わって真っ赤になってい
た。
 やっぱり、これは…『アレ』だよなぁ…。
 才人の前には一部で大人気の女主人シリーズの一冊が開かれていた。
 ある程度、文字が読めるようになっている才人はその内容がはっきりと分かっている。
 これをどうしろというのだ。と才人は半ばパニックのまま固まっているのだった。
「……づき」
「…え?」
 独り言のような小ささで呟かれた言葉に、思わず才人は聞き返した。
 そして、この時、聞き取ろうと顔を寄せたのがいけなかった。
「この前の…続き…」
「―――!?」
 タバサが才人の唇に自分のそれを重ね合わせたのだ。
 それはぎゅっと押し付けてすぐに離すだけの軽いキス。
 実際には数秒だったのだが、才人には何分、何時間もの長さに感じられた。
「お願いが…ある…」


385:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:33:52 uHH+G4ua
 タバサが出してきた『お願い』とは、「女主人ごっこ」だった。
「サイトがそれを読む…で、私が…」
「わたしが?」
「…その通りに行動する」
 そう言うとタバサは机の下に潜り込んでしまう。
「ちょ、タバサ?!」
 才人は、落ち着け。と反論しようとしたが、タバサの潤んだ瞳に見つめられて、何も言
えなくなってしまった。
「…いや?」
「え?」
 じっと見つめ上げていたタバサが、もぞもぞと机の下から才人の方へと這い出してきた。
「サイトは、こういうの…いや?」
 嫌なわけが、あぁありまっっせぇぇええんん!!!
 ですが! 友達同士でこういう事するのはアレなワケでしてっ。
 本の内容って言ったら当然ナニをするわけでありましてっ。
 そもそもご主人様が帰ってきたら…。
 と、才人が脳みそをフル回転させていると、タバサがぎゅっと抱きついてきた。
「私は…サイトと、こういう事…したい」
 才人の頭の中で、今何かが切れた…。

 と、いうわけで…
「んっ…サイト…おっき…ん、じゅぷ、ちゅっ…ふあ」
「お、女主人、はっ、くうっ…み、みだ、みだ、淫らに舌でっ、おうっ」
 才人がいすに座って本を読み、タバサが下に潜って才人の竿竹を口に含んでいる。
 才人は実際に与えられる刺激と、朗読する、という五感に直接働きかける行為のせいで、
既に限界ギリギリまで達しかけていた。
 只、はたから見るとエロ本を朗読するただのへんたいにしか見えないのだが…。
 既に才人にはそこまで考えられる余裕は無くなっていた。
「ご、ごめっ、タバサ…そろそろ、ヤバイ」
「れほう?」
 タバサは才人のモノおを咥えたままもごもごと喋る。
 それが更なる刺激となり、才人はこくこくと頷くことしかできなくなる。
 それを見つめていたタバサも頷くと本を無視してペースを速めた。

「んっ、ちゅっ、じゃあ…出して、いい」
 止めとばかりにタバサは才人を強く吸い込む。
「う、うああぁああ!! ご、ごめん、も、もうっ!」
 才人はおもむろにタバサの頭を掴むと、ぎゅっと腰に押し付けた。
 そして、電気が通ったように痙攣すると、タバサの小さい空洞にどくどくと白濁液を放
出していった。


386:室内留学 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:34:36 uHH+G4ua

「―っ! …っはぁっ、はぁっ…タ、タバサ、大丈夫か?」
 タバサはしばらく才人を咥えていたが、やがてゆっくりと口から引き抜いていった。
 完全に離れるとタバサの口と才人の先端にてらてらとした白い橋がかかった。
「…んんっ…ん、こくっ、んんっ…ふうっ……大丈夫」
 ぐしぐしとタバサは自分のマントで口を拭う。
 拭き終わるとするすると机の下から出て才人の上に馬乗りになるように座った。
 それはちょうど向かい合うような向きになった。
 タバサは才人をぎゅっと抱きしめるとぼそぼそと耳打ちする。
「もっと…サイトと…いろいろ…してみたい…」
 それを聞くと、才人はタバサをお姫様抱っこしてベッドへと瞬間移動した。
「タ、タバサっ!」
「サイト…」
 こうして、タバサの指導は第二ラウンドに入った…

 ただ二人ともここがルイズの部屋だってこと忘れてるわけで…。
 出かけてるだけってことは、帰ってくるわけで…。
 そんな中で二人でベッドの中に裸でいるって言うのは…
「ご、ごごご、ご、ご、ご主人様のベッドの上で…な、なな、何してんのよバカ犬ぅぅぅ
うう!!」
「ま、待てルイズっ!! こ、これは…」
「 問 答 無 用ぉ~~~!!!」
「ぐへぁあああやyうぇうふぁいpbヴぁっっ……あ」
 …こうなるわけで…。

「…サイト…可哀想」
 あれ? タバサさん?
                            <おしまい>


387:284 ◆yJjGBLHXE6
07/06/11 17:35:21 uHH+G4ua
新刊読んで電波受信。
かなり竜頭蛇尾になってしまった。

それでは、また。おじゃましました。

388:名無しさん@ピンキー
07/06/11 17:39:55 V/0FNXiv
>379
まえ見た旅行のパンフではシェスタってのが多かったと思うんだけど、
ATOKのジーニアスでひいてみたらシエスタになってたw
まあどっちでもシエシエはお昼寝中に悪戯される運命なんだよキッと

389:名無しさん@ピンキー
07/06/11 17:50:34 f4kohbP4
受信したそのまま出しちゃダメぢゃないですか w

タバサものというと、「豊富な知識で超絶テク」って展開が多いですけど、
知識は豊富なんだけど実践がともなってなくて→才人に主導権
ってのもアリな気がします。

んで、才人が夢中になってあんなことやこんなことしてるとルイズ乱入
といういつものオチに行きやすいですし www

390:名無しさん@ピンキー
07/06/11 17:51:19 V/0FNXiv
>387
GJ!
外国語覚えるのはポルノ読むのが一番早道って昔っからいうよねえ
けど羞恥責めはおんにゃの娘に読ませる方が萌えると思いますw
あとタイトルが何気にエロくってグッド。

391:名無しさん@ピンキー
07/06/11 18:47:25 rxVLLWxx
>>387
GJ!!
羞恥責めされるサイトww

392:名無しさん@ピンキー
07/06/11 23:58:52 dPl3u3Mq
ええと?グリーングリーンの人

393:名無しさん@ピンキー
07/06/12 21:28:55 XoLeiLfQ
サイトみたいに地球からやってきた男の名前
>>395

使い魔 小さい女の名前
>>400

394:名無しさん@ピンキー
07/06/12 22:04:42 O9tcnHJP
ダンディズム山根

395:名無しさん@ピンキー
07/06/12 22:11:45 xleETs27
海馬瀬戸

396:名無しさん@ピンキー
07/06/12 23:35:47 TAYhXM6l
社長かよ!

397:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:02:22 6cTOcsmM
ならば使い魔はブルーアイズホワイトドラゴンの一択だな

398:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:10:27 kADySSNe
名前はモクバかキサラだな

399:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:12:01 /MDkC6GK
と見せかけてアテム

400:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:23:32 A89WPrqX
雷電娘々

401:名無しさん@ピンキー
07/06/13 00:26:01 dKoeGTSA
>>400
柳沢がQBKしたときのようなため息が漏れた。

402:名無しさん@ピンキー
07/06/13 02:55:18 hWMGAr+U
もう末期な流れだな・・・

403:名無しさん@ピンキー
07/06/13 07:51:57 0xNaYk1Z
急にタバサが来たので

404:名無しさん@ピンキー
07/06/13 13:39:22 DnHHwxae
>>403
シエスタもサイトと一緒に勉強する事にした。

405:名無しさん@ピンキー
07/06/13 15:17:33 U3UROCHz
タバサはふたりをみて、わずかに表情を変えたが

406:名無しさん@ピンキー
07/06/13 16:32:04 R8W9gNQI
>>395 >>400把握
書いてみる アナザーストーリね

407:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:10:00 DnHHwxae
友達の少ないタバサは、これはこれでチャンスと思い、
シエスタにも文字を教える事にした

408:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:20:36 U3UROCHz
シエスタは、しまったと思った。彼女にしてみれば

409:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:22:12 5pHhvgAs
>>407
シエスタは学院での奉公決まってから寺院で文字勉強したでしょ

410:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:51:24 bWJt/X6S
>>409という訳なので正直、お節介でしかないからだ

411:名無しさん@ピンキー
07/06/13 17:52:42 DnHHwxae
勉強はサイトと一緒にいる口実でしかなかったのに、何故か自分まで文字が読めないと思われてしまった。
今更読めるとも言えない。タバサのみならず、サイトの気分まで害するのではないか?と思えてしまうのだ。

>>409
とりあえずすまん。

412:名無しさん@ピンキー
07/06/13 22:40:20 WgPJ2pvG
10巻読んでて思ったのだが、韻竜にも処女膜はあるのだろうかw

413:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:00:38 uOpx3DzP
何言ってんだ?あるに決まってるだろう?

414:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:17:18 wxicQMQ7
人間以外にも処女膜ってあんのか

415:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:30:39 VELtLjN1
有名なのはモグラかな

416:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:36:41 R8W9gNQI
ギーシュ「あぁいいよ 我が愛しのry

417:名無しさん@ピンキー
07/06/13 23:39:02 CfYx6wfh
本来の姿ではないだろうけど、人化したらどうなんだろうね

418:名無しさん@ピンキー
07/06/14 00:00:20 VgMPtWM4
>>415
逆に言えば人間とモグラだけだがな

419:名無しさん@ピンキー
07/06/14 00:13:56 nLmOkdA3
>>418
てきとーに調べた感じだとそれは古い説で、クジラとかジュゴンの水中に住んでる生物とか、他にも膜持ってるのはいるみたいよ

420:名無しさん@ピンキー
07/06/14 00:35:25 zUEZ2OU2
そこで以前ここに投下されてた
ヴェルダンデ擬人化ネタが生きてくるわけだ

421:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/14 01:51:15 ve8irWsG
さて、突発で思いついたアン様もの投下。
でも続きは明日以降のヨカン。すまんね

422:ケイコとマナブ ◆mQKcT9WQPM
07/06/14 01:52:35 ve8irWsG
「はっ…はぁ…あぁ…」

深夜のトリステイン王宮。
そこの最も奥まった部屋では、夜陰に紛れて女性の喘ぎ声と、水音が響いていた。
それは、魔法の結界によってけして外に漏れることなく、部屋の主の耳にだけ届いていた。

ぷちゅ…ちゅく…。

「あっ…はっ…さ、サイトさま…」

簡素なベッドの上で、シーツに包まれた肢体が熱い吐息と言葉を漏らす。
そのシルエットは厚いカーテンの隙間から零れた月明かりによって薄く闇から浮かび上がり、淫靡な律動を繰り返していた。

くちゅ、くちゅ、くちゅ。

水音がだんだん早くなる。それと共に、甘い声もだんだんそのトーンを上げていく。

「ふぁ、ふぁ、あぁ、いいの、そこ、もっとぉ、サイトさまぁ」

声の主はシーツの中で丸まって自慰をするだけでは我慢できなくなったのか、シーツを跳ね除けると淫らに膝を立て、自らを中空に持ち上げ、そこを白磁の指で犯し始めた。
薄青い月明かりに照らし出されたのは、この国の女王。アンリエッタ。
妖精に例えられる白い肢体をベッドの上で淫らに割り開き、女陰を白磁の指で自ら犯すその様は、酷く現実味を欠いていた。
やがてアンリエッタ女王の腰が激しく痙攣しはじめる。

「あ、だめ、だめ、いく、いくのぉ、いっちゃうのぉ!」

一際大きな嬌声を上げ、アンリエッタの身体がかくかくと震える。
それと同時に、透明な噴水が、桜色の裂け目から飛び散る。
最大まで反り返った身体が、その放出を境にくたり、とベッドに崩れ落ちる。

「あ、は、はぁ、はぁ、はぁ…」

荒い息をつき、女王は自らを犯していた掌を自分の前に持ってくる。
そこには、べっとりと女王の牝がこびりついていた。
…また、しちゃった…。
最近、アンリエッタには一つ悩みがあった。
三日に一度は自慰をしないと、身体の疼きが収まらないのだ。
その原因は分かっていた。才人を、牡を知ってから、こうなってしまったのだ。
それ以来、アンリエッタは体が疼くと、部屋にサイレンスの魔法をかけ、自慰に耽るようになってしまった。
でも。
それも、明日までの辛抱。
なぜなら、明日は、自分とアニエスの休みがちょうど重なる日。
そして、才人には王命でトリスタニアへの召還命令を出してある。

「いよいよ明日は『お稽古』の日ですわね、サイト様…」

双つの月に己と想い人を重ねながら、アンリエッタは明日の宴に思いを馳せて、眠りについたのだった。

423:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/14 01:53:35 ve8irWsG
短っ。
ごめんしてね、本編はちょっと待ってorz

あ、事前にURLリンク(wikiwiki.jp)を読んでおくと幸せになれます

それじゃ明日も仕事なのでノシ

424:名無しさん@ピンキー
07/06/14 01:55:16 DRPsDVvn
リアルタイムwktk

425:名無しさん@ピンキー
07/06/14 02:12:54 lEGCV46G
短いのにすげえ期待が出来る!

つ・・・続き投下しないとGJなんていってあげないんだからね/////!!

426:名無しさん@ピンキー
07/06/14 10:05:56 Y5QgZwug
うほ、短いけどせんたいさんきてる


427:名無しさん@ピンキー
07/06/14 11:53:02 2I5aZxwB
末期な状況ですべてを吹き飛ばすせんたいさんのSSキタ━━(゚∀゚)━━!!
しかもこの所、絶望的だったアン様SSwwwwwwwww

428:名無しさん@ピンキー
07/06/14 12:57:00 2My3YCz4
おお、せんたいさん来ましたか。
ところで>>243のリンク先の

>陛下を狙う不貞の輩が、まだ残っているというのか…。

を見る度に「妻子がいるのにアンリエッタを狙う貴族のオッサン連中」を
想像して噴出してしまうんですが、このままですか。

429:名無しさん@ピンキー
07/06/14 15:04:56 1PdAjNcw
本来ならそこは不貞ではなく不逞なんだろうがな
各自脳内で置き換えればいいんじゃね

430:名無しさん@ピンキー
07/06/14 19:42:24 uxh6DHay
アニエスってどなた?

431:名無しさん@ピンキー
07/06/14 19:56:48 IXoxS7Wh
オンザ眉毛の美女隊長

432:名無しさん@ピンキー
07/06/14 20:11:50 H4tnTBcg
オレオレ、俺だよ

433:Soft-M ◆hjATC4NMLY
07/06/14 20:57:07 BkmvB3BE
『ゼロの飼い犬』 6回目です。
前回までの話は>>203から見られます。

434:黒い瞳の彼 1/13
07/06/14 20:57:55 BkmvB3BE
「ごめんなさい、狭いし、あんまり立派な部屋じゃないんですけど」
 他の部屋の子に聞こえないように、そっとドアを開いて、小声でサイトさんに言います。
 サイトさんは、「お邪魔します」なんて言いながら、わたしの後ろについて室内に入ってきました。
 
 二段ベッドと、古い机やタンスなんかが二人分。小さな窓にこれまた古いカーテン。
 ミス・ヴァリエールの部屋に住んでいるサイトさんを招くのは、ちょっとためらわれてしまうわたしの部屋。
一応、サイトさんのお風呂に行く前に、軽くお掃除しておいたのだけれど。
 
「いや、俺の部屋もこんな感じだったし、むしろ落ち着くかな」
「そうなんですか?」
「いや、広さがね。俺の部屋はもっと散らかってたけど」
 サイトさんは、冗談めかして笑いました。サイトさんはこことは全然違う国から
来たって言ってたけど、どんなお部屋に住んでたのでしょう。
 
「えっと……それで、俺はどこに寝たらいいのかな」
 サイトさんの、遠慮がちな質問に、どきっとします。そう、わたしはサイトさんを
この部屋に泊めるためにお呼びして……そして、サイトさんはこの部屋に泊まるつもりで
わたしについてきたのです。
 そのことを今更思い出して、先程のお風呂での体の火照りがずっと続いていることに気付きます。
 
「それじゃ、二段ベッドの下で構いませんか? わたしの使ってるベッドですけど」
「シエスタの使ってるベッドに!?」
「だって、もうひとつはわたしと同室の子のベッドですし」
「う、そういえばそうなるのか」
 
 わたしのベッドを使うようにサイトさんに言うと、サイトさんは慌てた様子を見せました。
わたしも、男の人に自分のベッドで寝てもらうなんて、今までだったら考えもしなかったでしょう。
 でも、サイトさんだったら構いません。そのつもりでここへお招きしたのですから。
 
「じゃあ、シエスタが上のベッドを使うっていうこと?」
「……わたしがどこで寝たらいいか、サイトさんがお決めになってくださってもいいですよ?」
 サイトさんの顔をのぞき込んで、ちょっと意地悪な台詞。
「え、あ、う、えっと……うん、シエスタは上でお願い」
「わかりました」
 サイトさんはわたしの意地悪に気付いたのか、面白いくらいにしどろもどろになって、そう答えました。
わたしも、それ以上は何も言いません。二段ベッドのハシゴに足をかけて、上に登ります。
 
 ―そこで、上の段のベッドを見て、わたしの体が固まりました。
 だって、そこには、掛け布団が無くなっていたのだから。
 
「シエスタ、どうしたんだ?」
「えと……その、掛け布団、持って行かれちゃったみたいです……」
 またどきんどきん鳴り出した心臓を持て余しながら、なるべく平静を装って、そう答えます。
「え!? それ、どういう……」
「なんていうか、その、よその部屋に移ってもらった子に、気を使われちゃったといいますか…」
 照れ笑いをしながらサイトさんの方を見ましたが、きっとわたし、顔が真っ赤になってると思います。
 
 でもでも、これはある意味チャンスというか、むしろ天が『今夜、一気に決めてしまいなさいシエスタ!』
なんて言ってるということなのかもしれないわ。そう、きっとそう。だって、わたしはさっきお風呂で
サイトさんに捧げてしまうつもりだったのだから。
 
「……わたしのベッドで、二人で寝るしかないみたいです……」
 ゆっくりハシゴから降りて、震える声を抑えながら、サイトさんにそう言います。
「それはちょっとまずいって! 俺は布団無しでもいいから!」
「駄目です、それじゃあ風邪ひいちゃいます……ダメです」
 わたしは強くそう続けて、サイトさんの服をぎゅっと掴みました。


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