【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合16at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合16 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
07/05/31 20:24:16 PuYGi6CN
それにしても男キャラだけで見ると
熱血
クール
デブ
って何処のゲッターロボだよ、とは想う

101:名無しさん@ピンキー
07/05/31 20:25:45 PuYGi6CN
誤爆すまんこ

102:名無しさん@ピンキー
07/05/31 20:38:57 ckmSYFcV
熱血とクール担当の男キャラ誰だよ、って普通に悩んだ。

103:名無しさん@ピンキー
07/05/31 21:03:36 3w64l3d1
>>96
みんなが言ってるのって君望のことなのか?

104:名無しさん@ピンキー
07/05/31 22:39:56 qAU7GRYB
>>102
熱血→才人
クール→ギーシュ

だろ。ギーシュのクールは微妙だがな・・・・

>>103
俺が>>95で言ってるのはスクイズ。

105:名無しさん@ピンキー
07/05/31 22:40:43 bbHDfHOH
スクールデイズの事だよ。
清楚で可憐だけど恋愛面では非常に奥手な憧れの女の子と、
彼女との中を取り持ってくれた気の置ける活発快活な女の子との間で
揺れ動く主人公の心情を綴ったハートフルラブストーリーさ。
全編アニメーションであることと、意外なエンディングの数々で話題を呼んだ。

106:名無しさん@ピンキー
07/05/31 22:41:27 lshcWB74
school daysだろ 世界と名前も出てるし 平川大輔は伊藤誠役だし
>>96は君望だけど

107:名無しさん@ピンキー
07/05/31 23:11:11 ItprK40K
m(ryがあってるのが、さらに状況を困難にしているなwww

108:名無しさん@ピンキー
07/05/31 23:19:37 v9Akxhjg
正直そんなのどうでもいいからSS読みたい

109:名無しさん@ピンキー
07/05/31 23:23:26 qAU7GRYB
>>108
無理じゃね?最近は週初めの投下が多いからな

110:名無しさん@ピンキー
07/06/01 01:02:57 xyrSt6zi
>>105
嘘だぁぁ!!!!

111:名無しさん@ピンキー
07/06/01 03:02:52 2Io1SikM
>>105
>気の置ける
細かいことだけど、気が置けないの間違いだと思う。

112:名無しさん@ピンキー
07/06/01 03:11:49 eEvdOiwJ
「気の許せる」ってのと混同してるんだろうな

「気のおけない」ってのは「安心して付き合える」という意味



113:名無しさん@ピンキー
07/06/01 04:10:28 ZfYyJbBe
細かいが気「を」許せるな 

114:名無しさん@ピンキー
07/06/01 06:55:37 tftxW4iz
唐突に申し訳ないけど、

お兄ちゃんどいてそいつ殺せない

って何の奴だったっけ?
ど忘れしちまった。

115:名無しさん@ピンキー
07/06/01 08:05:26 gyTqDHEp
ラグナロクのやつだっけ?

116:名無しさん@ピンキー
07/06/01 08:29:27 Gmy8cfVu
何のスレか分からなくなってきてるなw

117:名無しさん@ピンキー
07/06/01 08:32:23 hbhM5IYM
だがそれが(ry

118:名無しさん@ピンキー
07/06/01 08:39:24 ofFoVyvM
ゼロ使のSSスレだ!!

119:名無しさん@ピンキー
07/06/01 08:48:27 oUXQYMmG
ちがうここはノボルスレだ!!!

過去には別作品のSSが投下されたこともあったんだぜ?

120:名無しさん@ピンキー
07/06/01 08:52:34 WDr2lFfG
新刊が出て、いろいろなフラグが解消されてしまって
いまいち醒めたのかな?

121:名無しさん@ピンキー
07/06/01 09:28:42 KzUkkJX1
なぜ一日二日投稿がないだけで過疎扱いになるのか

122:名無しさん@ピンキー
07/06/01 16:14:58 019JJCYw
でも以前はもっと色んな職人さんがいた気もする

今、安定供給してくれてるのはせんたいさんくらいだし

123:名無しさん@ピンキー
07/06/01 16:56:20 omEfVdX4
アニメ2期が始まったら、きっと…。

124:名無しさん@ピンキー
07/06/01 17:45:05 PZJvl6r/
1日中ヒマなニートならまだしも職人だってリアルに生活持ってるんだから
24時間を自由に執筆時間に使える奴は少ないはず。
投下まで時間がかかるのは仕方ないことなんだからおとなしく待とうぜ。

それでも待ちきれないと言う奴は自給自足すればイインダヨ。

125:名無しさん@ピンキー
07/06/01 18:16:47 gyTqDHEp
>>124
いい事言った。

126:名無しさん@ピンキー
07/06/01 18:49:03 JgRXhqEq
作文を書いたことのある人間なら分かるだろうが、
読むの数分書くの数時間とかね。

2~4ヶ月以上かけて書かれるラノベ読むのに数時間しかかからないのだから、
書き手はどれだけ私生活の時間を削っているのか。しかも無償で。
本当、GJな話だ。せんたいさんとか、神。

>>114
S県月宮とか言われたことがある。
嫉妬かキモ姉キモウトスレで聞くといい。
サイトどいてそのメイド殺せない、とかルイズに言ってみて欲しいな。
どちらかと言うと、
タバサどいてそこのサイト殺せない、
だが。

127:名無しさん@ピンキー
07/06/01 18:59:29 MFP0++N8
執筆スピードは個人差が大きいな
俺はtxt形式で1KB分書くのに、2~3時間はかかってる
遅せえ…

128:名無しさん@ピンキー
07/06/01 19:02:01 WGSkS6mo
一週間以上前からカトレアもの書いてるが、まだかかる。
10kb未満だと思うんだが。

129:名無しさん@ピンキー
07/06/01 20:19:09 E22kPDuv
>>122 職人さんが減ってるのは読んでる俺らにも責任あるだろ。
作品来た時の感想とか、あんまり無いし。
新しい人来るどころか前からいる人のモチベーションもあがる状態じゃない。

ま、言った所でどうなる問題でもないんだがな。

>>127-128 コッパゲに殺されないよーがんばれー

130:名無しさん@ピンキー
07/06/01 20:37:44 b6WVscOQ
>>126
ホントそうだよな。一生懸命書いてもらってて読むのはすぐだもんな。
書いてもらえてるだけいいと思う。せんたいさんとか全然多いほうなのに
質が落ちないし。これからもお世話になりますよ職人さん方々。

131:名無しさん@ピンキー
07/06/01 20:44:18 gyTqDHEp
一概に、書き手の側には問題ないとは言えないがな。
まぁ、俺の邪推であってほしいんだが、この意見は。



それと、もっとSSを読みたいって愚痴る奴。それなら、お前らソレ相応の態度は取るべきだ。
愚痴る奴等は一様に、んな行動はしてもいない、考えもしないだろうし、書き手側の心情を慮ることもしてないと
相場は決まってるし。
まぁ、ここまで書けば、言いたいこと分かるよな?

132:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:08:03 N1ZLXYmd
……?
俺の頭が悪いせいなんだろうが、普通に意味が分からない。
前半は、書き手の誰かが感想自演してるとか言いたいのか?
後半は、もっとSSが読みたいならもっと感想書けとか、そういう話?

133:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:09:48 gyTqDHEp
>>132
分かってるじゃん

134:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:11:37 zlqLnyy9
俺も何が言いたいのか理解できない
投稿するのも読むのも感想書くのも義務じゃないんだから好き勝手にやればいい

135:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:21:38 N1ZLXYmd
>>133
って、これで当たってるのかよ。
まあ、職人が感想もらうと嬉しいのも、読み手が感想書くのがいいことなのも事実だが、
経験則から言わせてもらうと「書け」って強制するのは大抵逆効果だぞ。

……感想自演って、ひょっとしてせんたいさんに対する住人のマンセー振りが怪しいとか、
そういうひねくれた物の見方をしてるんじゃないだろうな?

136:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:26:31 /svgxDCt
この程度で新作が無いってどういうことだよ。過疎ってるスレ行ってみれ
しかもこういう話って前にも上がったよね。不毛のループをまた立ち上げる気か?

137:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:27:08 daL1tuJl
ついにこの平和だったスレにも訳わかんない奴が沸き始めたな
ひとまず作品が投下されないことなんかよりもここのいい空気が壊されるほうが不快だ

138:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:27:48 CwOaOMj2
感想の絶対数が多い少ないではなく、SSの投下後よりも
こういう状況の方がスレが伸びるのが問題だという気も。
こんなに閲覧者がいるのに感想があれだけってことは
感想書くほど面白くないと思ってるROM以外がいっぱいいると解釈できる。


139:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:32:32 GfRTBMcn
「ふぁ…ぁぁああぁ……んっ……」


ティファニアを無事王都に送り届けてから数日。
ルイズ達一行は魔法学院で平和な日々を過ごしていた。

「でかい欠伸ね~。レディが大口開けるなんて、ヴァリエールの名が泣くわよ?」
「るさいわねー……」
キュルケは隣でぐったりしてる少女の反応に驚いた。
「ちょっとアナタ本当にどうしたの? いつもだったらもっと食ってかかるじゃない」
「あんたの相手をする程、ふぁぁ……暇じゃないのよぉ……」
ルイズは机に突っ伏したままである。
「ねぇ、キュルケぇ。次の授業、なんだっけぇ……?」
「我が愛しのジャンによる、系統別実践魔法学よ!!」
「あぁ……じゃあいいや……おやすみぃ……」
「ちょ、アナタ! ジャンの授業なのよ! コラ…って、もう寝てる…」
余程疲れてるのか、寝不足なのか。
「もう、なんなのよ、いったい」



 パリーンと厨房に何かが割れた音が響く。
「シエスタよぉ、本当に大丈夫なのかぁ?」
マルトーがやって来て、言う。今日三枚目であった。
「……はい」
「いや、大丈夫って面ァしてねーぜ。はっきり隈が出来てやがらぁ」
言われて水場の鏡を見れば、確かにひどい。
「その顔で貴族連中の前に出たら何言われるかわかったもんじゃねぇ、今日はもう休みな」
「……はい…すみません」
理由はわかってる。なぜならここ数日、ろくに寝てないんだから。


140:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:34:33 E22kPDuv
>>138 だよな。
投票とかの時の盛況と、雑談の人数見た職人が来なくなるのも無理は無いと思うぞ。
あと自演は無いと思う。
自演だとしたら虚しすぎて、逆にこの期間モチベーションもたないだろ。
そろそろ一年じゃないか?

と、また雑談してしまう俺を誰か止めてくれ。

141:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:35:08 GfRTBMcn
 話は、サイト達がティファニアを送り届け、帰ってきたその日の夜に遡る。
サイトのルイズに対する態度に違和感を覚えたが、ようやく落ち着いて川の字になって寝れる事にシエスタは喜んでいた。
どことなく、二人は一緒の寝具に入ることに抵抗があるような気がしたが、結局は川の字三人仲良く床についた。


 サイトが寝ついたのを見計らい、シエスタはサイトにベタベタしようと試みる。
「っ!!!!」
「ぁ!!!!」
すると、反対側からちょうど同じことをしようと接近中の桃色貴族とバッチリ目が合った。
「(ちょっとバカメイドっ! 私の犬に何しくさろうとしてんのよっ!!)」
「(ミス・ヴァリエールこそ一体何のつもりですか!? 貴族の女性ってのは寝込みを襲ってナンボなんですか!?)」
サイトを挟んで不毛すぎる争いをしていた二人は、同時に異変に気付いた。
「……ッ…ぅ……っく…」
「サイ……ト?」
「サイト…さん…?」
ゆっくり彼の顔を見上げる。
「うっく……ッ…ふ……ぅぅぁ……」
「「えっ?」」
声が重なる。
彼は、寝ながら涙を流していた。
「ちょっ…サイト! どうしたのよ!?」
「…ひっ……ぅうぁぁ……母っ…さん……」
「…――っ」
二人は、何も言うことが出来なかった。
それ以来毎夜、彼は彼の家族を想って泣いていた。
その声を、身を裂かれる思いで聞く二人は眠れるはずもなく、
かと言って本人にそれを告げるのははばかれるし、
何よりそんな彼を独りにしておくことなど、出来るはずがなかった。


142:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:37:20 GfRTBMcn
 そしてここ数日眠れぬ夜を過ごしていたルイズとシエスタ。二人は中庭のテーブルに二人して突っ伏していた。
「私、どうしたらいいのかしら……」
「ご家族、『この世界』にはいらっしゃらないんですよね……」
考えれば考えるほど、ルイズは自分が極悪人に思えてならなかった。
家族と引き離しただけじゃ飽きたらず、何度も危険な目に合わせ、あまつさえ一度は死なせてしまった。
しかも心を魔法で縛っていい気になって……あの時もしかしたらいの一番にサイトに殺されてしまっていたかもしれない。いや、死ぬべきだったのだ。

 シエスタは目の前の少女が、ガンガン絶望していくのがわかった。
そろそろ引き上げないと、また紐無しバンジーを結構しそうな勢いだったので、
『死ぬ気ならサイトさんを元の世界に返してから考えてください(はーと)』
と言おうとしたところで、ルイズの真後ろの人影に気付いた。

「策がある」
「わきゃあっ!!」
いきなり後ろから話しかけられ、椅子ごと後ろに豪快に倒れた。
まず見えたのは白いシルクのパンツ。さらに引っくり返ったまま視点を上げ(下げ)ると、水色の髪。
「ミス・タバサ……?」
「タバサっ!! あんたっ……え? 策!?」
タバサはこくりと頷き、


「ミソシルを作る」


「ミソシル?」
ルイズはキュルケにもらったちょっとアレな下着を、ま○ぐり返しの格好で惜しみ無く披露しつつ、聞き返したのだった。

143:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:40:25 GfRTBMcn
あれ……?サイト爆弾化の続きを書いてたはずなのに……

例によって先のこと考えてないから丸投げしようかな(ry


最初の欠伸でエロスを感じたら紐無しバンジー

144:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:42:28 OARAqGoU
この空気の中投下するお前の勇気に感動した。
GJ!

145:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:43:05 GfRTBMcn
投下前にチェックすべきだった……
空気をミスリードした、そんな恐怖

146:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:45:11 E22kPDuv
>>145 投下前にチェックすべきだったw

割り込んですまん。 以下自重す

147:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:46:00 7kFZXIQA
>>143
おまえさん、ネタが良いんだから何回も丸投げは勘弁して。
このままだとネタを無駄に潰すことになっちゃうよ?

148:名無しさん@ピンキー
07/06/01 22:10:04 wopXthWE
つまり>>143はここまで書いたから、gdgd言う暇があるならおまいらの脳内妄想能力発現させろって言ってるんだよ!!!

ひとりで
Ω ΩΩ<なっ(ry

149:名無しさん@ピンキー
07/06/01 22:33:06 zlqLnyy9
ちょっとバンジー行ってきますね

150:名無しさん@ピンキー
07/06/01 22:33:08 eW9CFhPG
GJ!
どんな味噌汁ができあがるかガクブルしてるw

>最初の欠伸でエロスを感じたら紐無しバンジー
ちょっとそこの窓から最高ダイブしてくるわ

151:名無しさん@ピンキー
07/06/01 23:06:43 Gmy8cfVu
お茶があるんだから味噌もあるのかねぇ?

とにかくGJ!

152:名無しさん@ピンキー
07/06/01 23:09:39 NcefY7DC
がんばれっ! みんなで味噌汁を作る方法を考えるんだ!

そして大豆を探す長い長い旅に出る一行

153:名無しさん@ピンキー
07/06/01 23:22:00 uznaqTKy
エロスな電波を受信した。
俺もちょっと屋上から飛んでくる。

154:名無しさん@ピンキー
07/06/01 23:25:21 019JJCYw
味噌汁って美味しいっていうのはシエスタくらいな気がする・・・・

タバサで「変わった味・・・」くらいでそれ以外の貴族は皆、全滅な気が・・・
そもそもアン様あたりが味噌汁を飲んでる姿は想像・・・(ry

155:名無しさん@ピンキー
07/06/01 23:43:58 NcefY7DC
よく考えたら味噌汁よりも先に米のご飯が食べたくなりそう。

156:名無しさん@ピンキー
07/06/01 23:59:08 9EPTvQ3Z
緑茶があるんだから味噌もあるのでは…?
いや、無いか

157:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:16:55 /T+Ovkxa
さて、空気読まずにこどもさいとルイズバージョン投下いきます。
前スレ読むと幸せになれるにょろ!(ぁ

158:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:17:56 /T+Ovkxa
目標の周辺の障害を排除。
そののち、目標を確保、保護。
そして気の済むまではぐはぐするのよ…!
未だ視線で火花を散らしあうタバサとシエスタを横目に、ルイズはこっそり詠唱を始めた。

「なにしてるの」
「横でこそこそ何やってんですか」

やっぱり気付かれた。

「あ、ああら何か御用しら」

ちょっと誤魔化してみたりなんぞするものの。
あっという間にシエスタに羽交い絞めにされ、タバサに隠していた杖を取り上げられてしまうルイズ。

「こっそり詠唱しようとしてもダメ」
「こそこそ魔法使おうとしても無駄ですよっ」

そして二人は気付く。
取り上げた杖に重さがないことに。
羽交い絞めしたルイズの腕に触感がないことに。

「…まさか」
「え、なんですかコレっ!?」

ナウシド・イサ・エイワーズ……

どこかで聞いた詠唱が、羽交い絞めにされたルイズとは別の空間から聞こえる。

「かかったわね」

そう、二人が見ていたのは『イリュージョン』によって作り出された虚像のルイズ。

「忘れてもらうわよ。ここ3時間ばかりの出来事」

そして、詠唱は完成し。
『忘却』の空気が、二人を包み込んだのだった。

159:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:18:41 /T+Ovkxa
そしてタバサは自分の部屋に読書に、シエスタは厨房にお手伝いに行ってしまいました♪
やった!私の一人勝ち!

「さーてそれじゃあ」

私は愛しい愛しいサイトがいる方を振り向く。

「さ・い・とぉ~♪」

そして目の前にいる小さなサイトを抱き締める。

「むぎゅ」

私の腕の中でうめき声をあげるサイト。
あーもうかわいいかわいいかわいいっ!
思わず手で頭をぐりぐりしてしまう。

「く、くるしい…」

あ、ちょっと力加減強かったかしら?

「あ、ごめんなさいね」

私は一旦サイトをはぐはぐするのをやめて、サイトの脇をかかえて持ち上げる。
私でも持ち上がるくらい、今のサイトは軽かった。
ちっちゃな手。ちっちゃい足。ちっちゃい身体。その上に乗っかってる、ふさふさの黒髪の、つぶらな瞳の、ちっちゃな頭。
それをこくん、とかしげてこっちを見てる…。
っっっっくぁーーーーーーーっ!
ん可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!

「おねえちゃんこわい…」
「ヨダレ出てんぞ嬢ちゃん」

はっ!?
いけないいけない私としたことがっ!
ついあまりの可愛さに我を忘れる所だったわ…!

「ご、ごめんねサイト」

私はとりあえずサイトを床に降ろす。
さて、これからどうしよっかな…。

160:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:20:55 /T+Ovkxa
とりあえず、ぶかぶかのTシャツでは風邪をひいてしまうだろうというデルフリンガーの指摘もあって。

「お着替えしましょうか?サイト?」
「おきがえするの?」

才人は言ってくるりと回る。
たしかに、このぶかぶかの服はいまいち動きにくい。
それに、なにより下半身がスースーして心許ないのだ。

「うん」

才人は素直に頷いた。
とりあえずこの名前も知らない桃色の髪のおねえさんのいう事は、聞いたほうがいい。
そんな気がしていた。
才人の肯定を受け、ルイズは部屋のクローゼットから今の才人の着れそうな物を捜す。
しかし、子供の、それも男の子のものなどあるはずもなく。

「どーしよ」

言いながら服を捜し続けるルイズ。
しばらくそうして捜し続けていると、あるものが目に入った。
それは、ルイズが学院に入学する少し前。
姉エレオノールから受け取った、小さな紙袋。

『ほらちびルイズ。これ持っていきなさい』
『これなに、姉さま?』
『あんたが小さい時の服。まだ着れるかもしれないじゃない?』
『あねさまああああああああああああ』
『あはははははははははははは』

その時は厭味たっぷりの姉の態度に真っ赤になって怒ったが、カトレアの『お姉様、あなたの小さい時の服、ずっと大事にしてたのよ』という言葉から、仕方なく受け取って、クローゼットの奥に仕舞い込んでいたのだが。
姉さま、今度ばっかりは感謝するわよ…!

「サイト、いい服があったわ♪」

紙袋を後ろ手に、ルイズはにっこりと振り向く。
そして才人は。
自分の身に訪れる危機も知らず、待ち疲れてふかふかのベッドで眠りこけていたのであった。

161:名無しさん@ピンキー
07/06/02 00:21:25 4gewqmff
アン様がみそ汁・・・・・・それもイイ!

しかし冒頭の欠伸をオレは喘g

162:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:22:23 /T+Ovkxa
こ、これわ…!
ちょ、ちょっと洒落になってないんじゃないかしら!

「うんやばいね確かにコレは」

ま、剣にコレの価値がわかるかどうかは別にして。
私は一度壁に掛けたボロ剣にやった視線をベッドに戻す。
そこには。
ふりふり満載の白いワンピースに身を包んだ、ちっちゃなサイトがいた。
で、調子に乗って大きめのリボンなんか付けてみたんだけど。
な、なにこの洒落にならないほど可愛いお人形さんっ!
は、は、は。
はぐはぐしたいいいいいいいいいいいい!
でも私はかろうじて思いとどまる。
せっかくこんな可愛い寝顔してるのに、起こしちゃったらもったいない。
で、でも見てるだけって、ガマンきかないかも…。
そ、そうだ。
隣で横になるだけなら。横になるだけならっ…!
私はなるべくサイトを起こさないようにそっと、ベッドの上に上がる。
そしてサイトの隣にぽすん、と横になる。
うわあ。間近で見ると…。
ほんとにかわいいいいいいいいいいいいいい!
特に赤と黒のコントラストがっ!赤と黒のコントラストがやばいのよぉぉぉぉぉ!
ま、まずいまずいまずい!!!
き、きききききききき。
キス、したくなってきちゃった…!
だ、大丈夫よね、ちょっとだけなら。
ちょっとだけなら…!
そして私は目を瞑ってサイトの唇を…。

「なにしてんのおねえちゃん」

奪おうとしたら起きた。
ちっ。
ま、いいかあ。
動き出したサイトもかーいいし!
サイトはむにゅむにゅ言いながら目を擦っている。
その動作がまた可愛いのよこれが!
でも、次の瞬間。

「わ、なんだこれ!」

サイトは服を見て驚いている。
そして、あろうことか。

163:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:23:32 /T+Ovkxa
「なんだよこれー。おんなのふくじゃないかあ!」
「あーだめだめ!脱いじゃだめ!」

服を脱ごうとするサイトを、私は必死に止める。
普段なら男の子の力になんてかないっこないんだけど、今は体格差がだいぶあるから簡単に抑え込める。

「なんだよ、はなせよー」

暴れるサイトを、私は必死に抑える。
だってもったいないじゃない?ねえ。

「はなせよ、ひんにゅう!」

なに?今なんだって?

「ないちち!せんたくいた!」

…アルェ?何を言ってるのかなこのおこちゃまは?
まー子供の喋るたわごとだし真に受けるのも

「ぼんちむね!」

ぴき。

「あーーーんーーーたーーわーーー!」

サイトの言葉を受けて、私の中で凶暴な力が渦巻く。
そして私の口から朗々と詠唱が流れて。
気づいた時には、私はサイトめがけて『虚無』をぶっぱなしていた。

164:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:24:23 /T+Ovkxa
「さすがにやりすぎじゃないかね嬢ちゃん」

なぜかもうもうと白煙が立ち上がった室内で、デルフリンガーはそう突っ込んだ。
その白煙の中心で。

「ご、ごめんサイト!大丈夫?」

ルイズは、虚無の直撃を食らって目を回した才人を抱き上げる。
ぱっと見、その身体に特に変化は見られない。
それどころか、服に傷もついていない。

「あ、あれ?」

しかし、才人は何故か気絶している。

「ちょ、ちょっと!」

ルイズがちょっと強めに才人を揺すると。

「う、うーん…」

才人はかるく唸って目を覚ました。
よかった、大丈夫みたい…。
しかし、ルイズの安堵もそこそこに。

「い、いたいよ…!」

才人は急に涙目になり、痛みを訴えだした。
まずい。どこか打ち所でも悪かったのかしら。
ルイズは慌てて才人を介抱しにかかる。

「ど、どこがいたいのっ?」

ルイズの言葉に、才人は涙目で応える。

「お、おちんちん…っ!」

言いながら、その小さな身体をくの字に折って、痛みを全身で表す。
ルイズの目が点になる。
ドユコト?ねえ、ドユコト?

「い、いたいよぉ…!」

それでも必死に痛みを訴える才人に、ルイズは。

「ちょ、ちょっと見せてみなさいっ!」

才人のワンピースのスカートをまくりあげる。

165:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:25:40 /T+Ovkxa
そして、そこでは。
小さな男性器が、限界以上にその容積を膨らませて、ピンク色の中身を外気に晒していた。
痛いはずである。この年齢のオトコノコというものは本来、皮に内茎を守られているものだ。
それが、何が原因なのか、急激に内部だけが膨張し、皮を剥き上げてその中身を晒している。
才人の訴える痛みもむべなるかな、である。

「いたいよぉ、おねえちゃん…」

小さな才人は、下半身を見られる羞恥など感じていなかった。
その股間から感じる痛みを消して欲しくて、目の前の年上の女性に訴えかける。
た、たぶんテキトーに放った『虚無』の力が、サイトの魔法を部分的に解いちゃったんだわ…!
ルイズはそう結論付ける。
それには根拠もあった。
才人の小さなおちんちんの先からは、その年齢からはありえない事に、先走りが溢れていたのだ。

「だ、大丈夫だから、ね?」

ルイズは言って、大きく膨らんだ、小さな才人の性器を指でつまむ。
ルイズは、一番単純な方法で、その痛みを抑えてあげることにした。
そう、晒された傷口を癒す、最も原始的な方法…。

ぺろ。

「ひゃうっ!?」

そう、舐めることである。
ルイズはスカートの下から才人を見上げ、頬を染めながら微笑む。

「お、おねえちゃんが痛いのないないしてあげるから、ね?
 足、開いて」
「う、うん…」

才人はルイズに言われるがまま、足を開く。
ルイズはそのまま、才人の小さなソレを、口に含む。
そして口の中に入った自分の親指ほどのソレを、丹念に舌で嘗め回し、吸い上げる。

ちゅぱっ。ちゅぱっ。

「お、おねえちゃんっ…!」

才人は、子供にはあるまじき感覚に背を逸らせ、その感覚に耐える。
その姿は、女の子の服装も相まって、ひどく背徳的に見えた。
ルイズは自分の唾液と才人の先走りの混合物で十分に才人を覆うと、顔を上げた。

「ねえサイト、もう痛くない…?」

その淫靡な視線とは目を合わさず、才人は震えながら必死に訴えた。

166:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:27:09 /T+Ovkxa
「痛くない、痛くないけどっ…。
 なんか、なんかヘンだよぉ…」

その表情に、ルイズの背筋にゾクゾクと背徳の悪寒が走りぬける。
もっと乱れさせたい。
もっと、乱れた声が聞きたい。

「うふふ…ヘンになっていいのよ?
 おねえちゃんが、ヘンにしてあげる…」

そして、淫靡に笑うと、ルイズは再び才人の小さな一物を口に含んだ。
更に丁寧に、更に丹念に、そして執拗に舌を絡ませ、吸い上げ、唇で才人を犯す。

ちゅぱっ、ちゅぱっ、ちゅぱっ。

唾液と唇の奏でる水音と。

「やぁっ、なにこれぇっ」

まるで女の子のような、幼い才人の悲鳴が、部屋にこだまする。

ちゅるるっ、ちゅぱっ、じゅるぅっ!

唾液と先走りの量が徐々に増え、潤滑油の役割を果たし、ルイズの頭の動きが早くなる。

「やだぁっ、くるっ、なんかくるよぉっ!」

小さな腰をかくかくと痙攣させ、才人が限界を告げる。
そして、次の瞬間。

「うあ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

どぷっ!どぷどぷどぷっ!

才人の悲鳴と共に、まるで大人の才人が出すような量の精液が、ルイズの口内を、喉を、食道を満たす。
その熱い迸りと共に、ルイズは軽い絶頂を感じていた。
そして、才人はそのまま、気絶してしまったのだった。

167:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:28:08 /T+Ovkxa
目を覚ますと俺はルイズのベッドで寝ていた。
…んあー、ヘンな夢みちまったぞ…。
なんか、小さくなって、ルイズにさんざん可愛がられる夢。
しかも俺、女装してんの。
どーゆー趣味ですか俺。
なんて考えながら、何故か重い頭を振りながら俺は上半身を起こす。

「あ、サイト、目、覚めた?」

その声に振り向くと。
ベッドの脇に、ルイズがいた。屈みこんでなんかしてたみたいだけど。
俺は何かこっぱずかしくて、思わずルイズから目を逸らしてしまう。。
…だってなあ。あんな夢見た後だしなあ。

「あ、ああ。居眠りしてたみたいだな」

…ん?まてよ?
そういえば俺机で寝てたような?
さらに待て。
そう言えば寝ている時になんかされたような…?
いかん、何か大事なものが抜け落ちているカンジだ。

「まあ相棒、思い出さない方が幸せなこともあるって事だよ」

…なんか意味深だなデルフ。
まあいいや、とりあえず愛しのご主人様のご機嫌とらないとな。
きっと居眠りでほっとかれてご機嫌ナナメに…。

「ふんふ~ん、これがいいかしら♪
 それともこれかしら~♪」

…あら?鼻歌など歌って随分ご機嫌ですね?
俺はくるりとルイズの方を向く。
そちらを向くと。
ルイズがフリフリだらけの真っ赤なワンピースと、リボンまみれの真っ青なワンピースを手に、にっこにっこしながら立っている。

「どうしたんだそれ?また舞踏会かなんかあんの?」

どうやらルイズは、ベッド脇の緞子の中から、この服を選んでいたらしい。

168:ルイズと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:30:34 /T+Ovkxa
「サイトは、どっちが好き?」

変わらずにこにこ笑顔でルイズが尋ねてくる。
うーん、赤いのもカワイイけど、青いのもいいなあ。
俺は目の前の二着を、それぞれ想像の中のルイズに着せてみる。
…ん?何か違和感が…。

「ルイズ、それ大きくない?」
「当然でしょ。私が着るんじゃないもの」

笑顔を崩さないまま、ルイズはそう言うけど。
ん?じゃあ誰が着るんだろう?
そっか、シエスタか。シエスタに着せて…なんでルイズが喜ぶんだ?
俺の心の中の疑問符に、ルイズが応えた。

「アンタが着るのよ」

笑顔は崩さないまま。
エ。待ってルイズさん。冗談ですよねもちろん?

「残念ながら嬢ちゃんはマジだぜ相棒」

デルフの追い討ちが俺を絶望の淵へ追いやる。
まさか、アレ正夢ってヤツっすかーーーーーーーー!!
後ずさる俺に、ルイズは笑顔を全く崩さないまま、そしてワンピースを手放さないまま、にじり寄ってくる。

「ねえ」

満面の、そしてドス黒い笑顔が迫ってくる。
その笑顔に俺は、恐怖さえ覚えた。

「赤いのと青いの、どっちがいい?」

どうやら俺に、拒否権はないようである…。~fin

*追記*
この後シエスタに発見され、ついでにメイド服まで着せられたのはナイショの話。

169:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/02 00:33:34 /T+Ovkxa
はい終わりましたー。ショタモノテラムツカシス
なんか選択肢モノ好きじゃない人がいるみたい?なので、そろそろ自重しようかと考え中でございます。
荒れるのイヤだしね。
てかむしろ荒らしてるのが俺みたいな!
にゅう、難しいところですな。
それでは明日も仕事なのでこのへんでノシ

170:名無しさん@ピンキー
07/06/02 00:33:44 4gewqmff
ルイズエロス!

それはさておき、分断した詫びにちょっと首つりに行って来るorz

GJですた

171:名無しさん@ピンキー
07/06/02 00:34:10 CJA9e36O
この変態どもめwww 性倒錯バンザイなのですGJ!

172:名無しさん@ピンキー
07/06/02 00:36:41 p7y2Q1vC
なんという桃色空間
この世界にまともな人間はいないのか
GJなんだぜ

173:名無しさん@ピンキー
07/06/02 00:39:43 2Be+6IT/
結構長い事このスレに居るけどリアルタイムで見るのは初めてだ
せんたいさんGJです最高ですいつ俺の頭の中を見たんだ?

174:名無しさん@ピンキー
07/06/02 00:49:25 WNhf1I7w
>169
GJだぜへんたいさん!
ルイ子がヘンな趣味に目覚めましたなw

選択肢モノ好き好きー
もっとやって

175:どっかで聞いた話
07/06/02 01:01:27 tgshzPus

「うーん、うーん……」
「何唸ってんだルイズ、腹でも痛いのかよ?」
「違うわよ。学院の課題で、物語を書くことになったの」
「はぁ? なんだってまた」
「貴族たるもの表現力が重要だとかなんとか」
「変なことになったな」
「全くだわ。ああもう、なんだってわたしが話なんか作らなくちゃならないのよ」
「ははは、まあやってみろよ、書きあがったら俺も読んでやっからよ」
「何でよ」
「そりゃ、お前が頭の中でどんなこと考えてんのかとか、気になるからな」
「やな言い方! 他人事だと思って……! 見てなさい、超大作を書き上げてやるんだから!」
「へいへい、ま、せいぜい頑張れよな」

 一ヵ月後。
「で、俺に何か用スかコルベール先生」
「うむ。先日生徒諸君に物語を作るよう課題を出したのだがね」
「ってあれ先生だったんスか」
「学院長の指示なのだよ。いやあ参った、私はこういう、物語というのにはどうも疎くてね。
 それぞれに魅力があるように思えて、どうにも評価を下しづらいのだよ。
 何本も書いてきてくれている生徒もいてね、どうにもこうにも……」
「ま、先生理系ッスからね……で、俺にどうしろと?」
「評価を手伝って欲しい。もちろん、給金は出そう」
「いらないッスよ、先生にはいろいろと世話になってるし。それに」
「それに?」
「あの愉快な連中がどんな話を書いたんだか、かなり興味ありますしね」

「さて、っつー訳で皆の物語を読むことになった訳だ」
「楽しそうだね相棒」
「おうよ。ま、とりあえず知ってる奴のから見ていくとするか。
 まずは……お、こりゃギーシュだな。どれどれ……」
「……恋愛物かね、こりゃ」
「……いや、っつーかこれ、ずいぶん現実離れした話の運びだなあ」
「主人公が理由もなくモテまくってんね」
「多数の美少女に迫られて、一人と濡れ場まで行った挙句、ちょっとボコボコにされただけで
 また全員と元通りの関係に戻れる主人公、か……欲望に正直すぎだろ、ギーシュ」
「なんてーか、男に都合の良すぎる話だね」
「ま、言っちゃなんだがモテない男が喜びそうな話だわな……
 あー、でもさ、こういう感じの話、俺の世界でもあったわ」
「こんな都合のいい話がウケるのかね?」
「やり方次第じゃねえのかな。それに、女の子の行動と思考があんまり現実的じゃないと考えても、
 話の構成とか要所要所のギャグはなかなかイケてるぜ、これ。
 最後の落とし所も心得てるし、読んでて不快になる感じは全くないな。
 出版したら、かなり大衆受けするんじゃねえのかね、これは。
 それに、数もやたら多いし……スゲエな、書くの早すぎだよあいつ」
「なるほどねえ。さて、じゃ、次は……」

176:どっかで聞いた話
07/06/02 01:02:18 tgshzPus

「タバサだな、これは……おっ、さすが文学少女だ、語彙も知識も豊富な……」
「でも中身は恋愛物だね」
「うむ。あいつも最近女の子っぽくなってきてるしな……実に喜ばしいことだ」
「しかし、書き慣れてる感じがするね、この文章はさ」
「ああ。ひょっとしたらあいつ、結構ちょくちょく話書いてたりするのかもしれないな」
「……しかし、この話の中身……」
「異世界に召喚された主人公が、ふとしたきっかけで元の世界に戻れることになる、と。
 ところが、本人だけでなく、彼に思いを寄せる少女も同行する。
 さらに主人公の主人や他の友人達も追いかけてきて、元の世界で大騒ぎ、と……」
「……どっかで聞いた話だねえ」
「……ま、タバサにもいろいろと地球のこと話したしなあ」
「……ふむ。それはそれとして、かなり面白いねこりゃ」
「ああ。あいつ、本職の作家としてもやっていけるんじゃねえの?」
「違ぇねえや。さて、お次は、と」

「マリコルヌか。ま、どうせあの太っちょのことだ、ギーシュ以上に都合のいい小説に決まって……うわ」
「……相棒よ」
「……ああ。なんか、スゲードロドロした話書いてるな、あいつ」
「おう。男が身勝手な欲望のままに女を……だの、
 復讐を誓った少女が返り討ちにあって記憶を消されて、気づかずに仇敵を愛してしまう……だの。
 凄く暗めの話が多いね、どうも……」
「要所要所はギーシュと同じで、男に都合のいい展開なんだがなあ」
「あの坊ちゃんも、昔からいろいろ馬鹿にされてたみたいだしな……
 腹に一物溜め込んでるってのも、まあおかしなことじゃないやね」
「うーむ。人間、見かけにはよらんもんだな。
 あの、女さえ絡まなきゃ臆病で大人しい野朗が、こんな残酷なこと考えられるとはねえ」
「ま、人間なんだから、一面だけじゃ判断できねえのは当然っちゃ当然だわな」
「まあな。何にしても、話が面白いのは事実だし」
「そういうこと。さて、次は誰かね」

「お、いよいよお待ちかねのルイズか」
「おうおう、愛しのご主人様だね相棒」
「よせやい、あんな我が侭女、使い魔としての感情が消された今じゃ
 なんとも思ってねえッスよ。……ホントだぜ?」
「へいへい。さて、それじゃ中身の方を読んでみるとするか。
 どうするよ相棒、今まで以上にベタベタで、相棒に対する愛に溢れてる話が出てきたら」
「止めろよな! 照れるぜ全く」
「いやいや、あの嬢ちゃんもなかなか頭の方はメルヒェンでラブラブだからね。分からんよそれは」
「だからよせって……ん?」
「……相棒よ。何というか、至って真面目な話じゃないかい?」
「……ああ。あんま、恋愛とか絡んでこねえな。ごくごく真面目に物語を書こうとしてる感じだ」
「……ある意味、嬢ちゃんらしいっちゃ嬢ちゃんらしいね」
「……ま、一生懸命話考えてたみたいだしな」
「……実際、ガックリしてるだろ、相棒」
「うるせえや」

 数時間後
「さーて、これであらかた読み終わったな」
「そうだね。で、どれが一番だったよ?」
「一番ってのはねえけど、とりあえず印象に残ってるのは最初に読んだ四人のやつかねえ」
「ふむふむ」
「っつーか、勿体ねえなこれ。こんなに面白いんなら、皆にも読んでもらって……そうだ!」

177:どっかで聞いた話
07/06/02 01:03:14 tgshzPus

「……で、何だって掲示板にわたしたちの作品が張り出されてるのかしら?」
「これも授業の一環だろ、ルイズよぉ」
「うう……なんか、すっごい恥ずかしいんだけど」
「でも、皆は喜んでるみたいだぜ?」

「おいギーシュ! なんだこの素晴らしい物語は! もっと書いてくれよ」
「そうだ。このままではあふれ出るパッションがどうにもならんぞ!」
「ははは、そうかそうか、それじゃあこれからも僕の素晴らしき空想を披露してあげようじゃないか」
「……どっちかと言うと妄想っつった方がいいけどな」
「イカしてるぜ、この変態野朗!」

「……」
「あらタバサ、今日はずいぶん嬉しそうじゃない」
「……そう?」
「ええ。あなたの書いた話、評判いいみたいだものね」
「……そんなことない。ただ、いつも通りに書いただけ」
「あらまあ、まるで本業の作家みたいなこと言うのね」
「……」
「……まさか、本当にそうなの?」
「……そうと言えなくもない、かも」
「キャーッ! ちょっと皆、聞いてちょうだい、タバサったらね」

「……正直さ、俺、マリコルヌの話になんか惹かれるんだよな」
「ああ。こう、一見明るいように見えて根底には暗くドロドロしたものがあるというか」
「……あのね皆、僕は女子をドン引きさせるために話を書いた訳じゃないんだよ……」
「そう言うなよ。なんかいいんだよねお前の話」
「そうだよ。もっと書けよ、俺らは見てやるからさ」
「はあ、全く……仕方ないなあ、これからも気が向いたら書くよ。
 でも、しばらくはこの掲示板の管理でもしようかな。ギーシュの話とか、読んでて楽しいし。
 うん、そうしよう。どうせなら感想書く紙も備え付けて、何人読んだかも分かるようにして……」

「……しっかし、今回は慣れないことしたせいで本当に疲れたわ……」
「そか。ご苦労さんだな、ルイズ」
「……なによそのおざなりな……まあいいわ。で、どうだった、わたしの話?」
「……まあ、いいんじゃねえのかな。結構面白かったぜ」
「……そう。あのねサイト、実は、まだいろいろと書きたいものが浮かんできたんだけど」
「おう。じゃ、また書いたら俺に読ましてくれよ」
「し、仕方ないわね。そこまで言うなら読ませてあげるわよ」
「へいへい」

 という経緯により、学院の掲示板に学院生の書いた物語が掲載されることとなった。
 公式に管理人となったマリコルヌは、その後も続々と寄せられた作品を熱心に管理し、
 学生達は気軽に友人達の話を楽しめるようになったのである。
 こうして掲示板には大量の作品が寄せられることとなった。
 が、大抵の生徒は一作ニ作書き上げるだけで飽きるか、
 人気のある生徒の作品に比べて自分の作品に対する評価が低いためにやる気を失い、
 その後もう二度と作品を書かないかのどちらかであった。
 そうして、十週間ほどの時が経過した頃になると、未だに新作を書き続けている生徒はごく少数となっていった。
 その中でも特に目立って賞賛を浴びていたのは、ギーシュとタバサとマリコルヌとルイズの四人である。
 ギーシュはこの中でも特にたくさんの作品を書き上げ、
 その軽妙な筆遣いと理由もなく女にモテる主人公により、モテない男達にウケまくった。
 タバサの方は淡々と作品を書き上げて、多少地味ながらも堅実な評価を受けていた。
 マリコルヌの方はどちらかと言えば管理を中心に活動していたが、
 作品の方も相変わらずドロドロとしたテイストを基本として書き上げ、その点を評価されていた。
 ルイズの方はやる気と執筆のペースにムラがあり、そのときそのときの気分によって
 様々な色合いの作品を唐突に書いては、周囲を感心させると同時に困惑させもした。
 このように、魔法学院掲示板の四人組は、それぞれの魅力を最大限に発揮していたのである。

178:どっかで聞いた話
07/06/02 01:03:55 tgshzPus

 ところが、その頃になって事件が起きた。
「クソッ、気に入らないぞあのチビッ子め」
 問題は、ド・ロレーヌが起こした。元からタバサが気に入らなかった彼ではあるが、
 今回のことでますます彼女が評価を上げることを妬み始めたのである。
 彼はタバサの人気を下げるために、様々な妨害工作を展開し始めた。
「見ろ、あのタバサの傲慢振りを。多少人気が高いのをいいことに、まるで作家気取りじゃあないか。
 聞けば、質問に対して思わせぶりな発言をして持ち上げられて、悦に浸っているという。
 こんな浅ましい女に、この掲示板を利用させておいていいのか!」
 そんな風に息巻いたものの、ド・ロレーヌの発言にはほとんど誰も耳を貸さなかった。
 それどころか、静かで誠実な対応を返したタバサに対してますます人気が上がる結果となったのである。
「クソッ、クソッ、クソッ! 見ていろあのチビっ子め、どうなることか……!」
 ド・ロレーヌは強硬手段に出た。なんと、姿を消すアイテムなど、ありとあらゆる手段を駆使して、
 掲示板に貼り付けられていたタバサの作品を破り捨てるという暴挙に出たのである。
「けしからん! どうしてこんなひどいことをするんだ!」
 その頃管理人としての立場がすっかり板についていたマリコルヌは、この許されざる犯罪に怒り狂い、
 タバサの作品を直しながら、犯人に対して散々警告を発した。しかしド・ロレーヌの方は少しも耳を貸さなかった。
「どうせ、あんな大人しい奴に何かが出来るわけもないだろう」
 と、調子に乗って、直る端からタバサの作品を破り捨てまくったのである。
「そうかそうか、そっちがその気ならこっちにも考えがあるぞ……!」
 ついに怒りが頂点に達したマリコルヌは、自分の持てる知識を総動員して犯人の捜査に当たった。
 油断していたド・ロレーヌは、あっさりと自分の犯罪を見抜かれることとなったのである。
「この腐れ(ピー)め、お前の赤裸々な私生活をバラされたくなかった、もう二度とこんなことはしないと誓え」
 普段舐めきっていたマリコルヌのド迫力に、ド・ロレーヌは震え上がって土下座した。
「許してくれマリコルヌ、あのチビっ子の作家気取りが気に入らなかったんだよ!
 反省してるから、先生に届けるのだけは勘弁してくれ!」
「……全然反省してるようには見えないが、まあいいだろう。次にやったら本気で通報するからな!」
 だが、残念ながら問題はこれで終わらなかった。
 タバサが、このような騒動になったことに責任を感じて、掲示板から自分の作品を取り下げるよう申し出たのである。
「そんな、別に君のせいでは」
「……わたしにも、責任の一端はある」
 という訳で、タバサの作品は惜しまれながらも掲示板から姿を消すこととなった。
 彼女はその後も物語を書き続けているという噂だったが、
 残念ながらそれらが学院生たちの目に触れることは、二度となかったのである。


179:どっかで聞いた話
07/06/02 01:04:35 tgshzPus

 こうして、四人組は三人組となった。
 ギーシュは相変わらずイケイケであり、マリコルヌもタバサの件で気落ちしたものの、その内また前のように作品を書き始めた。
 が、次の問題はルイズが起こした。
「駄目よ、駄目だわ、こんなものでは……!」
 真面目な性格の彼女は、やはり作品を書くときでもクソがつくほどに真面目だった。
 気楽に書いて気楽に読ませていればよかったのに、いつの間にやら
 「少しでもいい作品を書かなければ」という怨念めいた思い込みに縛られ始めていたのだ。
 彼女が潜在的に持つ自虐傾向が、悪い方向に働き始めたのである。
「皆は面白いって言ってくれるけど、本当は違う。こんな穴だらけな作品が面白い訳ないわ!
 きっと、わたしのこと哀れんでお世辞を言っているのよ!
 それに、わたしもいつの間にか賞賛の言葉に安住して、いい作品を書くという志を失いつつある!
 駄目、こんな腐りきった心のままじゃ、素晴らしい作品なんて書けるはずがない!」
 周りから見れば深刻になりすぎだったのだが、元々思い込みの激しいルイズ、こういうときの暴走は止まらない。
「これは駄目だわ、何とかしなくては!」
 彼女は早速マリコルヌのところへ赴くと、こう提案した。
「作品の悪いところをけなすためのコーナーを設けましょう!」
「ええ、そんなルイズ、これはあくまでも遊びだよ。別に人生が賭かってる訳じゃないんだし」
「いいえ、駄目よ! 芸術に妥協は許されないわ。さあやるのよ! 早くしなさい、この豚!」
「あひぃ! ……わ、分かった、とりあえず試しにやってみるよ」
 という訳で、掲示板に新たに「文句を言うコーナー」が新設されることとなった。
 多くの生徒はこれに困惑し、作者の心情を慮ってなかなか文句を言わなかった。
 で、ルイズはますます怒った。
「何よ、わたしの書いた話には文句をつける価値もないって言うわけ!?」
「落ち着けよルイズ、お前段々意味不明になってきてるぞ」
「お黙りなさい!」
 と、才人の助言にも耳を貸さず暴走するルイズを見かねて、マリコルヌが口を出した。
「分かった、じゃ、僕から見て気になったことを言うよ、ルイズ」
「よし、きなさい!」
「まずね、こことここ文章がおかしいし、ここも設定的に矛盾が……」
「馬鹿な、こんな簡単なことに気づかなかっただなんて!
 ああ、やっぱりわたしは駄目な子なんだわ! 褒められていい気になってただけなのよ!」
「……いや、別にそこまで深刻にならなくても。
 ほら、それでも皆が楽しんでるってことは、そういう欠点を補って余りある魅力がだね」
「マリコルヌ!」
「な、なに?」
「掲示板に載ってるわたしの作品、全部剥がして!」
「えぇ!? や、やだよそんなの、君の作品にだってファンが多いんだ、皆ガッカリするよ。
 それに、僕が文句言った途端にそんなことしたら、僕の方にも責めがくるかもしれないし……」
「いいから! こんな中途半端なものを、これ以上世に出しておくわけにはいかないわ!」
「そんなあ……」
 とは言え、結局のところ本人の自由ではある。マリコルヌは泣く泣くルイズの作品を剥がしてしまった。
 こうして、雰囲気が読めずに暴走したルイズは、結局暴走したまま引っ込むこととなったのである。
 この一連の騒ぎを横で見ていた才人は、こうコメントしている。
「いやあ、あいつなりに悩んではいるんだろうけど、正直何を考えてこういうことしてるんだかよく分かんないね」
 ルイズはその後もあれこれと試行錯誤しているようだが、未だにその作風は安定せず、変わらず周囲を困惑させているようである。

180:どっかで聞いた話
07/06/02 01:05:40 tgshzPus

 そうした一連の騒動の中、やはりギーシュはイケイケであった。
 その人気は留まるところを知らず、他の有力作家が諸々の事情で衰退した今となっては、ほとんど学生達の人気を一手に集めていたのである。
「はははは、声援ありがとう皆、一緒に話を盛り上げていこうではないか!」
 元々調子に乗りやすい性格のギーシュだったが、その性格が今回はプラスの方向に働いたらしい。
 彼は休むことなく作品を書き続け、またその作風も初期の軽いものからいい意味で変わらなかったために、
 学生達の支持も留まるところを知らなかった。
 が、やはり困ったちゃんというのはいるものである。
「おのれ、ギーシュの奴め、この僕を差し置いて」
 と再び憤ったのは、件のド・ロレーヌであった。
 ギーシュの人気に嫉妬した彼は、あらぬ噂を立て始めた。
「ギーシュの奴の話、見てみろよ。ずいぶんと低俗じゃないか。
 こんなくだらない話がウケてるだなんて、僕には信じられないね。
 きっと、奴が自分で筆跡を誤魔化して、多数の感想を自作自演しているに違いない。
 ま、僕の邪推でなければいいけどね……」
 前回に引き続き、今回も彼の策謀はうまくいかなかった。理由はいくつかある。
 その中傷の中身があまりにも馬鹿馬鹿しすぎたことが一つ。
 読んでいる人間のほとんどが、話の内容が低俗だとかを気にしない程度に寛容で、「面白けりゃいいじゃん」という思考だったことが一つ。
 ギーシュ自身がノリノリだったので、そんな中傷など大して気にせず作品を書き続けたのが一つ。
 そして何より、結局のところ彼の書く作品が非常に面白かった、というのが一つである。
 こうして、いつも通り気に病んでいるのはマリコルヌ一人だけとなった訳で。
「……ギーシュ、君はいいよな、いろいろと……」
「ん? どうしたんだい管理人殿。ははは、暗い顔してないで、新作でも読んでくれたまえよ」
「おおう、これは素晴らしい! いいなあ、僕も子供に戻ったら女の子に優しくしてもらってデヘヘヘヘ……」
「ははは、僕の空想は百八式どころでは留まらないぞ!」

 とまあ、あれこれと変な事件を巻き起こしつつ、トリステイン魔法学院の物語掲示板は未だ賑わいを見せているのである。

「ねえねえサイトさん、これ見てください」
「あん、なんだシエスタ、この紙束……おっ、こりゃ物語だな?」
「はい、わたしも書いてみたんです」
「へえ、シエスタが書いた話ならきっと優しい感じの……あの、シエスタ?」
「なんですか、サイトさん?」
「……この話、俺がシエスタに散々犯されるっていうとんでもねえ内容なんスけど……」
「フフフフフ……」
「ちょ、シエスタ、なんで後ろ手に鍵しめてんの!?」
「さあサイトさん、わたしと共にめくるめく甘美な世界に旅立ちましょう!」
「いやぁぁぁぁぁぁっ! 誰か助けてっ、ここに痴女が、痴女がぁぁぁぁぁぁぁっ!」

了。

※ この作品は二次創作です。現実とは一切関係がありません。
  何ていうか、笑って流してくれると信じてる。

181:マリコルヌ
07/06/02 01:26:15 tGzrXQVA
笑った。
他の人のコメント付くのまとうかとも思いましtが、自分から行ったほうが良さそうですので。
続いてゆきます。

ってか、掲示板の管理が最近おざなりなのを反省した。

あ、ちなみに自分の分は笑って流せる人ですので、良いのですが、
ルイズの扱いがちょっと……
イメージ的には苦笑してそうですが。ルイズさん。

誤字まである
>>14-19 の続き参ります。


182:1/5
07/06/02 01:27:13 tGzrXQVA
 失敗したかもしれませんな……
 コルベールは頭を抱えていた。

「さあっ、今日こそ手伝ってもらうからな」

 アニエスは今日も元気だ。
 水精霊騎士隊の訓練の前後、毎日顔を出してはコルベールを引っ張り出そうとしていた。

「折角のチャンスを棒に振ったのはお前だ、わたしはわたしの好きなようにやらせてもらうぞ」
「……そ、それはですな?」

 早まったかもしれない、毎日押しかけられると流石に挫けそうになる。
 のらりくらりと逃げるのも限界に近く、いっそ力づくで来てくれた方が楽だった。
 とはいえ、最早負けても納得してくれない相手をどうするか、

「こまりましたな……」
「何を困る事があるっ!」

 深々と溜息を付いたコルベールに、今こそ攻め時とばかりにアニエスは詰め寄った。

「こんな事なら、別の事を頼んで置けばよかったですな」

 ポソリとこぼした台詞は、コルベールの考えもしない効果を生んで、

「なぁっ、なっ、何を言っているっ、何をさせるつもりだっ」

 胸の辺りを手で押さえたアニエスは、その姿勢のまま壁際まで逃げ出した。
 わざとか偶然かまでは分からないが、出口とは真逆の方向で、必然的にアニエスに逃げ場は無い。

「あー、あのですな、シュヴァリエ・アニエス」
「ひっ……、よ、寄るなぁっ、寄るんじゃないっ」

 ……彼女の頭の中で、自分はどんな存在なんだ?
 聞かされたら凹みそうな問いを抱えて、コルベールはちょっと泣きそうだった。

183:2/5
07/06/02 01:28:03 tGzrXQVA
「こら、コルベール」

 『まるで覗いていた』様なタイミングで学院長が現れて、
 コルベールの気が逸れた隙にアニエスは廊下へ飛び出した。

「……で、おぬし、何をした?」
「……何もしてませぬ、学院長」

 嘘偽りは一切無いのに、アニエスの行動のせいで信憑性まで一切無かった。
 
「婦女暴行は重犯罪じゃ、学院長私的法廷では去勢の上『アッー』の刑じゃ」

 ……どんな刑だ? 疑問には思ったが、深く踏み込まない方が良さそうだった。

「学院長、どうせ何処かでご覧に成っていたのではないですかな?
 ……『遠見の鏡』とか……」
「む……」
「因みに先週、女子更衣室に防護魔法をかけたのはわたしで……」
「なんじゃとぉぉぉぉぉっ」

 やはり使用頻度は随分高いらしい。
 冷たい目で学院長を見ていると、決まり悪そうに咳払いをしてからおもむろに話し始めた。

「いや、しかしコルベール、あのシュヴァリエとはどこまでいっとるんじゃ?」
「どこまで……とは? 先日裏庭で決闘しましたが、なにか?」

 かみ合わない会話だった。

「……そうではなく、コルベールよ、あのシュヴァリエ美人じゃろ?」
「そうですな、可愛らしいですな」

 生徒が通りかかったのか、廊下で何かが小さな音がした。
 学院長は何かを悟ったように笑ったが、コルベールはそのまま話し続ける。

「元気が良くて愛らしい」
(……老眼が始まる歳じゃないはずだが)

 学院長は自分の認識とのギャップに悩んでいたが、コルベールが一言喋るたびに廊下から何かが倒れたり、
 崩れたり、壊れたりする音が響いていた。

「……で、コルベール、どこまで行ったのじゃ?」
「ですから、裏庭までですが?」

 怪訝な顔をしているコルベールに向かって、
 悪魔の顔をしている学院長は、再度問いかけた。

「で、シュヴァリエの事はどう思っておるんじゃ?」

 この日破壊された廊下の備品は、じつに数十点にものぼった。

184:3/5
07/06/02 01:28:47 tGzrXQVA
 レイナールは首を傾げる。

「っかしーな、なぁ、マリコルヌ」
「……アニエスたん、はぁはぁ」

 ……会話の通じない状態の相手に話しかける辺り、彼もまた混乱していた。

「なーんか、今日の訓練ぬるいよな?」

 学院の廊下の備品が随分減った翌日、騎士隊の訓練は何時もに比べて非常に楽だった。

「もっと……もっと、僕を苛めてくれぇぇぇぇえ」
「いや、楽なのは良いんだけどさ……」

 あらぬ方を向いて、幸せそうに笑うシュヴァリエ・アニエス。

 ……可愛いけど、ちょっと怖い。

「なーにがあったんだろうな?」
「可愛いアニエスたん、萌えー」

 昨日までは、『アニエス様、苛めてください』だったのに、
 マリコルヌの切り替えは早い。

「ん? あぁ、ランニング終わったのか……」
「はっ、ランニング、全員終了いたしましたっ」
「…………え……と……そうだな……」

 何時もは事前にトレニーングメニューを決めている、アニエスには考えられない事態。

「その……、あの……」

 もじもじするアニエスを見て、

『……かわぇぇ』

 こうして、密かに騎士隊内にアニエス親派が増えていった。

185:4/5
07/06/02 01:29:29 tGzrXQVA
 世界が柔らかい光で満ちて、仄かな炎が身体を中から暖め続けている。
 そんな錯覚を覚えるほど、アニエスは幸せな気分だった。

 しかし……

「一度報告に戻らないとならないとは……」

 その所為で、昨日はあの男に会えなかった。

「って、違うっ」

 陛下に報告に戻るのだから、これは当然の仕事で、
 会えないのなんて……当然……で……

 ……もし……昨日会えて……『可愛い』って言ってくれたのはどんなつもりだったのか……
 それを聞いていたら、何かが変わっていただろうか?

 そんな事を考えていると、胸がドキドキする。
 こんな事は始めてだ。

 謁見の順番を待つ間も、仕事以外の事で頭の中が一杯で、
 自分が自分で無くなったようで……

『くっ……陛下の前で、きちんと報告できるのかが不安など……』

 恥さらしも良い所だ。
 いつもとは違った緊張に包まれて、アンリエッタの前にでる。
 他の者と違い、アンリエッタが手を振るだけで一斉に皆退室する。

 『陛下の特別』アニエスや、サイト、ルイズにのみ許される特別扱い。

「ルイズはまだ戻りません」
「はっ」

 もう少し学院に居る事が出来る。
 本来ならば、ほんの少し前のアニエスならアンリエッタの側に居られない事に対して、
 苛立ちを隠せないはずだったが、今の彼女にとって、一番大切な事が変わりつつあった。

「もう少し、サイトさんの代わりを勤めてもらえますか? アニエス」
「はっ、陛下、御心のままに」

 伏した姿勢も、緩みそうになる表情を隠す役に立つ。
 目を閉じて、感情を押し殺しているアニエスに向かって、
 アンリエッタは爆弾を投げつけた。


「恋を……していますね? アニエス」

186:5/5
07/06/02 01:30:15 tGzrXQVA
「なっ……そんな事はっ」
「ほんの暫く会わないだけで、随分綺麗に成りましたもの……
 貴方に思われる、幸せな方はどなたかしら?」

 ぱくぱくと口が開閉する。
 獲物を見つけたアンリエッタは、嬉々としてアニエスを問い詰めた。

「どんな方? 学院ですものね、年下かしら?」

 ……いえ……かなり上です。
 何も言えないまま、アンリエッタは想像の中でアニエスの相手を構築して行き、
 どうやって付き合ったら良いのかまで指南してくれる。

「……というところかしら、アニエス……頑張ってくださいましね」
「……はぁ」

 頑張って、ナニをしろと言うんだろう、陛下は。
 自分の想像に頬を染めながら、陛下の話を聞く。

「でも、アニエス、わたくし少し心配です」
「は?」
「貴方って、免疫無さそうですから、『可愛い』とか言われて、
 悪い男の方に、ころっと騙されそうで、心配ですわ」

 ……チクリと胸の奥で何かが騒ぐ。

「貴方は綺麗で、格好良いですけど……」

 陛下の声が、段々遠くで聞こえる。

『騙されているのか? わたしは…… ダマサレテイルノ?』

 考えるべきでは無いのに、自分の心が冷たい方へと流されてゆく。
 陛下の前を下がっても、疑念は蜜の様にわたしに絡みつく。

「なぁ……」

 久々に戻った親衛隊の控え室で、手近な部下を捕まえて聞いてみる。

「わたしを見て、どんな感想を持つ?」
「はっ、アニエス隊長は、聡明で美しく……」

 ……数人がわたしを誉める。
 並べられる美辞麗句。

 どれだけ経っても、欲しい言葉は与えられない。

 誰も……そんな風に私を見ていない。
 あの人も……きっと、お世辞で言ったんだ。

 そんな疑念がどうしても心から離れなくて……

 凍った心は、小さな音を立てながら罅割れを広げて行った。


187:名無しさん@ピンキー
07/06/02 01:32:34 tGzrXQVA
二日夜更かししただけで、仕事するのが精一杯になった体力の無い261です。

……それ以外もそれなりに書いてるつもりなのですが、いつまで経っても自分のイメージは黒いのね。
と、涙しつつ……

直後の投下がこれじゃ言い訳もできねぇ……

ではっ、近いうちに(保管庫の更新も含めて)

188:名無しさん@ピンキー
07/06/02 01:34:29 99QFtsXf
ナニ、この唐突な投下ラッシュ。

皆、大儀であるぞヽ(゚∀゚)ノ

189:名無しさん@ピンキー
07/06/02 03:06:56 9zmJDG6k
>>157>>175>>181
ちょwwwwwこんな時間に連続投下wwwGJwwww

あとせんたいさん。ディスプレイの前で土下座しますので選択肢モノは気にせず続けて下さいお願いします。
_| ̄|○

190:名無しさん@ピンキー
07/06/02 04:09:04 /ljD+4tT
つうかご飯じゃなくて味噌汁なのか・・・
3日に1回はお米食わないと死んでしまう

191:名無しさん@ピンキー
07/06/02 05:17:22 oXfbUehX
やっぱり週末は賑わうね

192:名無しさん@ピンキー
07/06/02 05:59:20 wvRaqodS
某所でエロチップレースが行われてた
妖精亭の店長の娘のマンコやアナルに金貨を…

193:名無しさん@ピンキー
07/06/02 06:12:34 WNhf1I7w
>>187
続き♪続き♪


>>192
二次元キャラを牧場で飼い慣らす妄想スレ 第2牧場
スレリンク(eroparo板)

194:名無しさん@ピンキー
07/06/02 08:52:02 G8SqnNw4
休日はいいなあ。見てみれば新作三つもきてる。
正直サイトいい思いしすぎてると思うんだ。
GJ!

195:名無しさん@ピンキー
07/06/02 09:11:12 oN9Dw8oc
>>187
久々に長編の予感。楽しみにしとります。

…自分の中では黒いイメージはあんまりなく、純情タバサの人って印象が強いすね。

196:名無しさん@ピンキー
07/06/02 09:32:12 bSDaz/ll
ギーシュはラノベ作家だったのかw

197:名無しさん@ピンキー
07/06/02 11:41:05 27kQTPmz
せんたいさん=ギーシュ 205氏=ルイズ
261氏=マリコルヌ ものかき氏=タバサ
痴女109号さん=シエスタでおk?

198:名無しさん@ピンキー
07/06/02 12:03:13 C/qfVIIK
>>197
※ この作品は二次創作です。現実とは一切関係がありません。

199:名無しさん@ピンキー
07/06/02 13:28:32 CJA9e36O
そういう興ざめな事わざわざ書かせないために

※ この作品は二次創作です。現実とは一切関係がありません。
  何ていうか、笑って流してくれると信じてる。

ってつけたんだろうに…

200:名無しさん@ピンキー
07/06/02 13:32:54 p7y2Q1vC
ここまで典型的なゆとりは久々に見た

201:名無しさん@ピンキー
07/06/02 14:05:02 CebACf5I
ゆとり、自演、(笑)
この辺をNGにするとスッキリする

202:名無しさん@ピンキー
07/06/02 15:55:59 poAIznPg
知っててやったんだろ、荒らしたくて
エロパロに空気嫁ない厨房が来るわけないからな

203:Soft-M ◆hjATC4NMLY
07/06/02 19:50:01 66UVJman
『ゼロの飼い犬』の4回目投下します。
今回は、ちょっと時期が進んで原作では3巻の中盤の頃の話になってます。
3回目までの話は前スレか↓にあります。
URLリンク(wikiwiki.jp)

204:口付けの理由 1/7
07/06/02 19:50:50 66UVJman
 部屋の灯りを消して床につき、夜もふけたころ。
 わたしは寝たふりをしていた瞼を開き、ゆっくり体を起こした。 
 僅かな月の光だけが照らすベッドの上で、隣に聞こえている寝息の方へ目を向ける。
そこには、わたしの使い魔……ヒラガサイトが、幸せそうに眠りこけている姿。
 
「寝てる、よね?」
 少しだけ彼の方に顔を寄せ、小声でつぶやく。サイトは、相変わらず気持ちよさそうな
寝息を立てていた。サイトの眠りが深いのは、ここ数日のことでよく知っている。
 
 とくん、と胸の奥が熱くなる。はやくはやく、と心ではなく体が急かす。
わたしは、サイトの寝顔へそっと顔を寄せると─その唇に口付けた。
 柔らかくて、あったかい。他の物に例えようがない、不思議な感触。
 
「……はぁ……」
 すぐに顔を離す。そして、体を再び寝かせる。唇が熱を持ち、そこから体中に
甘い感覚がじわじわ溶け出す。心地よい気だるさの中で、また目を閉じる。
 
 ふわふわと、体が浮いてるみたいな感じ。とくんとくん、と自分の心臓の鼓動が聞こえる。
 体が熱くなって、ちょっと苦しいくらいなのに、嫌じゃない。
 わたしは薄く目を開けると、今度は寝たままサイトの方に体をよじって、また、キスする。 
 体の中のふわふわがもっと膨らんで、熱くなって、切なくなる。
 どうしたらいいのか……自分がどうしたいのかもわからないまま、またキス。
 
 気持ちいいモヤモヤが溜まってきて、それが開放されなくて辛い状態のまま、
サイトの腕を枕にして、横になる。そうしてるだけで、またキスしたい気分になってくる。
 
 もう、何なのかしら、これ。自分でも嫌なのに、癖になっちゃってる。
 例えるなら─そうね、好きなお菓子をビン詰めで買って、少しだけと思っていくつか食べて、
残りはとっておいて蓋をするんだけど、やっぱりもうちょっとだけ、とまた手が伸びてしまう。
 そんな感覚に似てる。
 
 じゃあ、こいつとのキスはわたしにとって美味しいお菓子と一緒ってこと? 冗談じゃないわ。
 そう思うんだけど、わたしはついまた顔を寄せて、キスしてしまう。頭がとろんとしてくる。
 お菓子よりタチが悪いわ。お菓子と違って無くならないし、お腹が一杯になって
満足することもないんだから。
 
 わたしにこんなクセがついちゃったのは、あの時から。
 アルビオンでの任務の帰り。風竜の上でサイトに抱かれながら、キスされた時から。
 
「なんで、あんなことしたのよ」
 また、したらわかるかな、と思って、もう一度唇を重ねる。当然だけど、わかるはずなかった。
 ただ、わたしの中に熱い何かが膨らんでいくだけ。
 
 以前みたいにマッサージをしてくれたら、たぶんこの気持ちをどうにかしてくれるのに。
 そう思うのだけれど、アルビオンから帰ってきて、わたしを何度も助けてくれたサイトを
ベッドに寝かせてあげるようになったり、食事をまともにしてあげるようになってからは、
なんとなく、マッサージして欲しいって言い出せなくなってしまった。
 
 あのキスのせい? それとも、その前から?
 サイトに体に触れられたり、体を見られたりするのが恥ずかしくなった。
 初めてサイトをベッドに寝かせてあげた晩。サイトがわたしにキスしてきた理由が気になって、
寝ているサイトにキスしてみた。それ以来。こんなことを、毎晩のようにしてしまうようになったのは。
 
 それに……。何だから知らないけど、アルビオンから帰ってきて以来、サイトはわたしに対して
妙に遠慮がちというか、距離を置くようになった。どうしてよ。余計に気になっちゃうじゃない。
 ぜんぶ、こいつのせい。こんな事しちゃうのもこいつのせい。
 そんな風に心の中で八つ当たりしながら、わたしはまた、サイトにキスした。

205:口付けの理由 2/7
07/06/02 19:51:36 66UVJman
 サイトがわたしにキスした理由も気になる。でも、それと同じくらい、気になることがある。
 サイトが、わたしを助けてくれる理由。サイト自身も、何度も死にそうな目に遭っているのに。
 以前キュルケに言われた言葉が蘇る。わたしは、使い魔の主人として足りてないって。
 考えたら、そうなのだ。わたしは、サイトに酷いことばっかりしてる。
 
 サイトは、フーケと戦った時に必死でわたしを助けてくれた。
 ワルドに殺されそうになった時も、救い出してくれた。
 
 どうして? わたし、使い魔にこんなに尽くして貰えるほど、立派な主人だった?
 サイトをぶったり蹴ったり踏んだり鞭で叩いたりした光景が浮かぶ。
 犬呼ばわりして、首輪をつけて引きずり回したことを思い出す。
 ……落ち込んでいるサイトの前で、『ワルドと結婚するわ』って言い放った時の事を考える。
 思い返せば思い返すほど、わたしは使い魔に尽くされるに足る主人じゃないと知ってしまう。
 
 どうしてよ。どうしてわたしを助けてくれるの?
 どうして、勝手に呼び出して故郷に帰れなくしたわたしを恨まないの?
 ―どうして、キスしたの?
 
 サイトに覆い被さるようにして、強く唇を押しつける。わたしの体の中は、
ただ暖かくて気持ちいいだけじゃない、もっと重くて、切ない何かでいっぱいになっていた。
 
 
                      ∞ ∞ ∞
 
 
 気がついたら、俺はふわふわしたよくわからない場所に寝ころんでいた。
 暖かくて、心地よい。ここはどこだっけと思って辺りを見回そうとするが、よく見えない。
 
 これだけ居心地が良いってことは、ここは俺の寝床である藁束の上ではないはず。
 そこまで考えて、思い出した。確か、最近は、ルイズがベッドで寝ることを許可してくれたんだった。
 それまで使っていた藁束はもちろんのこと、日本にいたころのせんべい布団と比較しても
泣けるくらい寝心地の良いルイズのベッドで、ぬくぬくと眠れるようになったのだった。
 
 俺は一回寝たら朝まで起きないタイプだから、目が覚めたってことは、もう朝なのかな。
 だったら、ルイズの朝の支度をしてやらないと。最近はルイズ自身で色々やるようになったとはいえ、
着替えを用意したり洗顔の水を汲んでくるのは俺の仕事だし……。
 寝起きのせいか、ぼやけた頭でそう思ったとき。寝ている俺の体の上に、何かが覆い被さってきた。
 
「ん……何だ? 誰?」
 まだ、よく見えない。どうやら人らしい。いわゆるマウントポジションをとった相手に、聞いてみる。
 
「サイト……」
「ルイズ?」
 俺の耳に入ってきたのは、やや舌っ足らずな可愛らしい声。隣で寝ているはずの、ルイズの声だった。
 俺より先に起きてるなんて、珍しい。それはいいとして、何で俺の上にのし掛かってるんだろう。
「あ、悪い。今起きて準備するから…」
「いいの、起きなくて」
 どいてくれ、と言おうとした所で、ルイズに遮られてしまった。
 
「え、なんで? 今日休みだっけ?」
「サイトは、わたしより、学校の方が気になるの?」
 やっと周囲の様子が見えるようなって、俺の上にいるルイズの顔が目に入った。その端正な顔は、
寂しげな表情を浮かべている。心なしか、その頬が赤く上気しているようにも見える。
 
「気になるも何も、勝手に休んじゃまずいだろ。風邪でもひいたのか?」
「心配してくれるの? じゃあ、確かめて」
 ルイズは上体を倒して、顔を俺の方に近づけてきた。止める間もなく、その額が俺の額に
押しつけられる。まるで、キスしてるみたいな格好で。

206:口付けの理由 3/7
07/06/02 19:52:19 66UVJman
「どう? 熱い?」
「え、あっ、そ、そうだな、熱はない……かな?」
 ルイズの吐息が唇に当たる。鳶色の綺麗な瞳がすぐ目の前にある。ふわふわの桃色の髪が
顔や首筋に当たって、くすぐったいけどいい匂いがする。ルイズの細くて軽い体が、洋服越しとはいえ
俺に密着してる。
 ああ、やわらかい、ちっちゃい、かるい、かわいい。ルイズの人が変わったみたいな行動に、
心臓がばっくんばっくん鳴り響く。
 
「ほんとに? よく確かめて」
 目を閉じて、さらに強く頭を押しつけてくるルイズ。ああ、何だよこれ。ホントに熱でもあるんじゃないの。
 
「ない、ないから! だから起きて学校いかないと! ね?」
「うそ……。だって、こんなに熱いのに」
 必死で主張すると、ルイズは俺の手をとって、その指を……自らの唇へ持って行った。
 
 熱い。最初に感じたのは、ルイズの言葉通りの感触。
次いで、とろけそうな程の柔らかさが指に伝わる。
「ル、ルイズ?」
「あのね、あのね。サイトにキスされてからね、この唇が……ずっと熱いの」
 俺の指を唇に当てながら、ルイズは囁く。熱くて柔らかい唇が
ふるふる震える感触が伝わって、ぞくぞくする。
 
「て、てか、なに? 知ってたの? 起きてたの? 俺がキスしたとき」
 驚愕の新事実。あの時もしルイズが起きてたなら、その場で突き飛ばされて風竜の上から
真っ逆さまだったろうと予想した(まぁ、遅かれ早かれ落とされるわけだが)。なのに、全部知ってたって。
 
「うん、起きてた。気付いてた」
「じゃ、なんで止めなかったの……?」
「……ったから」
 ルイズの答えは、小さすぎて聞こえなかった。
 
「今、なんて言った?」
「……嫌じゃ、なかったから」
 顔を真っ赤にして、はにかみながら、ルイズはそう言った。頭の中が真っ白になる。ナニソレ。嫌じゃない。
キスされても嫌じゃない。キスされてもOK。むしろキスして。普通キスなんて好きな人にしか許さないから、
つまりこれは好きだからキスしても好きずきキス好きスキスキス……。
 
「えっと、それ、どういう……」
 混乱してきたので、ルイズにさらなる説明を求める。すると、ルイズは
ちょっとだけ怒った風な顔をして、唇に当てていた俺の指を、口に含んだ。
「うわっ! あ……!?」
 唇と同じくらい、いや、それ以上? ルイズの口の中は熱かった。
火傷するんじゃないかと思えるくらい。それに、唇と違って、湿った粘膜の中で唾液が絡んでくる。
怪我した時とかに自分で舐めるのとも違う、今までに感じたことがない異質な感覚。
 
「んむっ……ちゅる、ちゅぷっ……ん……」
 熱い口の中で、小さい舌が指を舐め上げる。背筋を電流が駆け上がり、
体が跳ねそうになってしまう。銜えられているのは指一本だけなのに、
まるで体全体をルイズに支配されてしまったように翻弄され、身を震わせていることしかできない。
「ぷはっ……はぁ……」
 しばらくしてから、ルイズはその指を口から放した。唾液に濡れた指が外気に晒され、ただ冷たいと
感じたいう以上の、大きな喪失感が俺を襲う。
 
「……嫌いじゃないの。サイトに触られるのも。触るのも」
 僅かに零れた唾液で口元を光らせながら、ルイズは両手で俺の手を包み込み。
「キスされるのも、するのも。……ううん、嫌いじゃないっていうのは嘘……」
 目を閉じて。
「好きなの」
 そう言って、俺の唇に唇を重ねてきた。今までで一番、熱い感触。体どころか、頭までとかされてしまうほど。
 ルイズの突然の行動を、俺はただ受け入れることしかできなかった。

207:口付けの理由 4/7
07/06/02 19:53:02 66UVJman
「あの、ルイズ、それって……」
 長いキスをして、ようやく唇を離してくれたルイズに言葉をかける。今の言葉は、その、つまり。
”俺のことが好き”って解釈していいってことなんだよな?
 ルイズは、俺の上に乗っかったまま、熱っぽい視線を俺に向けている。
 
 ルイズは答えない。恥ずかしがってるのかもしれないけど、いきなりこんな大胆なことをしてきたのだ。
今更、好きだという一言が言えないはずもあるまい。
 
「ルイズ、お前、俺のこと」
 そう言うと、ルイズは少しだけ目を伏せた。なに、何なのその反応。急に不安になる。
もし、俺のことが好きだって今はっきり言ってくれたら、すぐにでも抱きしめて逆に押し倒してしまうのに。
 
 そこまで聞いても、ルイズは何も言わない。じゃあ何? 今までのは何? 俺が好きだから、
こんなことしてきたんじゃないのか?
 それまで火がついていた衝動が、少しずつ冷えていく。何だろう。
ルイズが俺を好きと言えない理由って、一体何なんだろう。 
 そうして、思い出した。つい先日の、アルビオン遠征での出来事。
その時感じた、屈辱と、無力感と、劣等感と……それに、嫉妬。

「……まさか、まだ、ワルドのこと」
 自分でもあまり言いたくなかったが、つい、口に出して聞いてしまった。ルイズを傷つけるかもしれないのに。
「そんなっ! それは違うの! わたし、ワルドには幼い頃憧れてただけで!」
 取り乱し、必死に否定するルイズ。けれど、今の俺にはその慌て方が怪しく見えてしまった。
 
「ほんとに? もし、アイツが裏切り者じゃなかったら……敵じゃなかったら、あのまま結婚してたんだろ?」
「違うっ! ちがうの! わたし、しなかった! ワルドが敵だってわかる前に、式をやめたの!」
 ルイズはそう言うが、いまいち信用できない。あれだけ信頼してたワルドと式をあげることになって、
急に止めますなんて言い出すだろうか。もし止めたくなったとしても、ドタキャンできる空気じゃない。
 
「そんなこと、口で言われたって、信用できねーよ」
 言ってしまった。自分でも、なぜこんなに酷い台詞が口から出てくるのかわからない。
ルイズが俺を好きと言ってくれないのが、すごく不満で、不安だったからなのかもしれない。
 だから、この言葉は、『証明のかわりに、好きって言ってくれよ』という意味もあったのだけど。
 その言葉を引き金にして、俺をみつめるルイズの目から光る物が溢れ、頬をつたって落ちた。
 
「どうして……?」
 ルイズは、涙を拭こうともしないで、震える弱々しい声で呟く。
「どうしてそんな意地悪言うの……?」
 整った、綺麗な顔が、悲しみに歪む。それを見てようやく、俺がどれだけ残酷な事を
言ってしまったのかを理解した。
 
「あっ、ごごごごめんっ! 言い過ぎた! 俺が悪かった!」
 慌てふためいて、ルイズの肩を抱こうとする。けど、なぜか起きあがることも、手を上げることもできない。
「いいの。わかってる。わたし、サイトにひどいことばっかりしてたもん。意地悪いっぱいしたもん。
だから、サイトを責められないの……わかってるの」
 ルイズは、子供みたいに泣きじゃくり、子供みたいな口調で、俺に弁明する。泣かしたのは俺なのに。
悪いのは、絶対的に俺のはずなのに。
 
「サイト……どうしたらゆるしてくれる? どうしたら、わたしのこと信じてくれるの?」
 俺の顔をのぞき込んだルイズの涙が、頬に落ちる。俺の事なんていい。
俺の方が、この涙を止められる方法を聞きたい。
 
 ルイズは、涙ながらに、何かを決意したようだった。その瞳に、今までになかった光が宿る。
 その顔が俺の耳元に寄せられ、ルイズは内緒話をするように囁いた。
 
「なんでも、してあげる。なんでも、していいよ。…………それで、許してくれる?」

208:口付けの理由 5/7
07/06/02 19:53:45 66UVJman
 ボンっ、と爆発したみたいに、頭の中が沸騰する。な、ななななな、何でもって。なんでもって。
 そのルイズの声には、強い決意が込められていて、嘘だとも冗談だとも思えない。
 そして、言った後、恥ずかしそうに俺の服をぎゅっと握りしめ、顔を合わせるのを避けるために
俺の胸元に顔を押しつけた様子は、『なんでも』が、つまりその、”そういうこと”を想定してる事を示す。
 
 うそ、うそ、うそ、本当に? ホントにいいの? 犬いいの? いやいやいやいや、違う。
 俺はもともとルイズを恨んでなんかいないし、ルイズに悪意があって酷いことを言ったわけじゃない。
だから、ここでルイズが俺に贖罪する必要はなく、この提案は無効。無意味なのです。
 
 でも、ルイズはそうは思ってないですよ? 俺の中の悪魔がそう囁く。彼女は、勇気と覚悟を振り絞って
今の言葉を紡ぎ出したんですよ? 応えてあげるのが誠意ってものなんじゃないのかなぁ?
 
 あー! やめろー! 悪魔がっ、俺の中の暗黒面がっ!!
 俺は必死になって自らの中の誘惑を斬り捨てる。だめだ。だめなんだ。ルイズは可愛い。
可愛いし、綺麗だし、愛しいし、良い匂いするし、良い感触するけど、だからこそ駄目なんだ。
今、俺が彼女にしてあげるべきことは、そんなんじゃない。そんなんじゃないんだよう……。
 
「……じゃ、じゃあ、このお願い、聞いてくれるか?」
 俺は、震えて歯がかちかち鳴り始めたのを必死で止めながら、胸の上のルイズに言う。
 ルイズは、少しだけ顔を上げて俺を見て……口元は俺の胸に埋めながら、恥ずかしげに小首を傾げた。
 ああ、かわいい。俺は馬鹿だ。揃えれば何でも願いが叶えられるボールを集めておいて、
ギャルのパンティーを願ってしまう豚くらい馬鹿だ。
 
「俺は、ルイズが酷いご主人様だなんて思ってないし、ワルドとのことももう何もないって思ってる。
だから、それを信じて……もう、泣くのやめてくれ。な?」
 
 自分でも言っててクサいと思ったけど、本心。ルイズをこのままどうにかしてしまいたいと思うのと
同じくらい強く願ってること。こいつの泣き顔なんて、見たくないから。
 ルイズは、驚いた顔をした。そのまま、少しの間困惑の表情を浮かべ……
それから、照れくさそうに、微笑んだ。
 まだ、一回しか見たことがないルイズの笑み。それだけで、誘惑を振り切った甲斐があったと思えた。
 ああ、良かった。俺は間違ってない。
 
「嬉しい……サイト、やさしい……♪」
 ルイズは、嬉しそうに体をすり寄せ、俺に甘えてきた。その感触に、やっぱり誘惑に負けてた方が
良かったかなぁなんて速攻の前言撤回をしかけたところで、ルイズはまた俺の耳元へ口を寄せた。
 
「あのね、サイト」
「な、なんでしょう?」
「なんでもしてあげるし、していいって言ったの……ひとつだけじゃ、ないのよ?」
 そう言って、また口付けをしてきた。その頬の涙は、もう乾いている。
 
 K.O! カーンカーンカーン!
 
 俺の中で先程の悪魔が高らかに両手を上げてガッツポーズを取る。
腰にはチャンピオンベルトなんて巻いていやがる。
 だめだ。だめ。ルイズずるい。こんなのずるい。よくわかんないけど卑怯。才人、星になります。
今から空に向かいます。地球の青さと宇宙の広大さを知ります。この一歩は人類にとっては
極めてどうでもいい一歩だけれど、俺にとってはとっても大事な一歩です。
 
「ルイズ、ルイズ、ルイズっ!」
「ひゃっ!?」
 たまらなくなって、俺の体の上のルイズを抱きしめる。今まではなぜか腕が上がらなかったのに、
今になったら簡単にできた。細くて軽い体が、俺の手の中にすっぽり収まる。
 こんな可憐な子を。乱暴にしたら壊れてしまいそうな芸術品みたいな少女を。
でも、でも、優しくするから。俺を優しいって言ってくれたルイズを、幻滅させたりなんてしないから……!

209:口付けの理由 6/7
07/06/02 19:54:27 66UVJman
 
 
 
 抱きしめたルイズの体を横に下ろして、今度は俺がルイズに覆い被さる体勢になる。
 気付けば、まだ辺りは暗かった。自分の下にいるルイズの表情も、よくわからない。
 あれ、さっきまでは、普通にルイズの顔も体もよく見えてたのに。何か変だな、と思う。
 けど、その時の俺は、深く考える余裕もないほど興奮してしまっていた。
 
「えっ……なに、どうしたの、サイト?」
 ルイズの慌てた声が聞こえる。さっきまであんなに積極的だったのに。やっぱりいざとなると、
緊張してしまうものなのだろう。
 
「ごめん、なるべく怖がらせないようにするから……」
「何よそれ……ちょっと、やめて!」
 ネグリジェに手をかける俺の下で、ルイズはじたばたと暴れた。ちょっと、あそこまでやっておいて、
ここまで抵抗するのはあんまりじゃないだろうか。それとも、何か俺間違えてる?
 
「おい、あんま動くなよ、やりにくいだろ?」
「嘘、どうして!? やめてよ! こんなのやだっ! やだぁ……!!」
 その言葉の最後で、ルイズはしゃくりあげた。さっき、もう泣かないでくれってお願いを
聞いてもらったばかりなのに。
 
 さすがにおかしい。そう思って手を止めたとき、雲間に隠れていたらしい月が顔を出して、
窓明かりがベッドの上を微かに照らした。
 そこには、当然ながらルイズが横になっていて。困惑に怯える目元からは、
今にも零れそうな涙が光っていた。頬にはまだ涙の跡はなく、”今日初めて溢れそうな涙”が。
 
「あ…………」
 頭をハンマーでガツンと殴られたような衝撃。自分が、何をしようとしていたのか、気付く。
夢。今までのは、夢。俺は勝手な夢を見て、ルイズを抱きそうになって……それで、目を覚まして、
そのまま夢の続きを実行するみたいに、現実のルイズを押し倒した。
 寝ぼけた、なんて言い訳が通用する筈が無い。これは、これは、これは……。
 
「ごめ……!!」
 弾かれるようにルイズから離れ、ベッドから駆け下りる。そして、謝ろうとして、その舌が止まる。
謝って済む問題じゃない。許されるわけない……!
 ルイズは上体を起こし、その細い肩を自ら抱いて、小さく震えていた。顔はこちらを見ているけど、
窓とは逆方向で、その表情がわからない。きっと、俺を軽蔑の目で見ている。
いや、それどころじゃない。恐怖や、憎悪や、絶望の目を向けているのかもしれない。
 
 俺はそのまま、そろそろと後じさって、部屋のドアの近くまで行った。慌てたら、ルイズを
怯えさせてしまうと思ったから。
 ドアノブに手をかけたとき、ルイズが何か言おうと口を開いたのがわかって……。
 
 それを聞く前に、俺はルイズの部屋から飛び出し、廊下を走り抜けた。
 ひょっとしたら、もうここには、帰ってこないのかもしれない、なんて思いながら。

210:口付けの理由 7/7
07/06/02 19:55:10 66UVJman
 
 
                      ∞ ∞ ∞
 
 
 サイトが飛び出していったドアの方を呆然と見つめながら、わたしはベッドの上に座ったままでいた。
 まだ、心臓がばくんばくん言ってる。何が起きたのか、完全には飲み込めていなかった。
 
 最近のクセになってしまった、寝ているサイトへのキスを何度か繰り返して。
今日は、いつもより熱が入っちゃって。ひょっとしたらサイト、起きるかな? なんて思うくらい、
強くキスしちゃってたんだけど。
 
 何度目かわからないキスの途中に、急にサイトはわたしを抱きしめてきて、お互いの位置を
ひっくり返すみたいにわたしを組み敷いてきた。
 
 どくん、とまた心臓が跳ねる。あれって、あれって、もちろん、それよね。
 わたしを、その……どうにかしちゃうつもりだったのよね。
 かあっと頬が熱くなる。前……確か、フリッグの舞踏会の後も、サイトってば寝ているわたしに
のし掛かってきた。その時は、それまで見てた夢のこともあって、怒りだけが爆発したんだけど。
 
 今は、違う。そりゃ、びっくりしたし、怖かったけど……あの時とは、違う。
 だって、だって、急にあんなことしてきたってことは。まさか、わたしが寝ているあいつに
キスしてたことに、気付かれてたってことじゃないの?
 考えてみれば、寝てる時に何度もキスされるなんてことに気付いたら、そりゃ、
なんていうか、許してる、って誤解しても仕方ないわよね。……あくまで誤解だから。誤解なんだから。
 
 まくらを持って、ぎゅっと抱きしめる。気付いてた? わたしが何度もキスしてたことに、気付いてた?
 気付いてて、知らないフリしてたの? わたしの気付かないとこで、ニヤニヤ笑ったりしてたわけ?
 
「あああぁぁぁぁ~~~~~~!」
 
 ごろごろごろごろ。まくらを抱えたまま、ベッドの上をのたうち回る。屈辱だわ。恥ずかしすぎる。
もしそうだったら、死ぬしかない。名誉のためにこの命を絶つしかないわ。
 
「はぁ、はぁ、はぁ……」
 荒くなった息を整えながら、考える。っていうか、違うわ。今問題なのはそこじゃない。
サイトが、わたしがその、許してるって誤解して、わたしにのし掛かってきたってこと。
 ナメられてるじゃない。そんな誤解、解かないとまずいじゃない。名誉の問題もあるし、
今後あんなことされないためにも必要だわ。
 
 だって、わたしが許すわけないじゃないの。あいつは平民だし、使い魔だし。
それどころかこの世界の人間ですらないし。ヴァリエール公爵家のわたしが許すわけないでしょ。
それくらい常識でわかりなさいよ。
 それに、まぁ有り得ない仮定だけど、もしも身分の差が無かったとしても、サイトなんかに
わたしが許すわけ……。何度も、命をかけてわたしを救ってくれたサイトに……。いざとなると、
結構格好いいわたしの使い魔に……。
 
 …………。
 
 あーもう! 有り得ない仮定の話はどーでもいいの! 考えても無駄!
 と、とにかく。あいつは何だか知らないけど逃げちゃったけど、帰ってきたらこの誤解はちゃんと
解いておかないと。あいつは使い魔で、わたしは主人。そのことはハッキリさせておかないとね。うん。
 
 
 
 この時のわたしは、サイトとの間で大きな気持ちの隔たりがあることにまだ気付いていなかった。
 それから、もうひとつ。サイトに許すわけがないとか、誤解されたら困るとかは考えていたのだけれど、
サイトにああいうことをされたのが”嫌”だとは感じていない自分がいることにも、気付いていなかったのだった。
 
つづく

211:Soft-M ◆hjATC4NMLY
07/06/02 19:56:44 66UVJman
続きます。次回はちょっと趣向が変わってシエスタの話になります。
では。

212:名無しさん@ピンキー
07/06/02 20:04:22 3sMhPH38
せつねーーーーーーーー!!!!!
胸がぎゅ~~ってなるぜ……
超GJ




保管庫でサイトがテファの使い魔重複するヤツを見付けてしまった……
これはやはり自分のをちゃんと書き上げるしかないか……


ところでハルケギニアには塩は問題ないとして、麹はあるんだろうか?

213:名無しさん@ピンキー
07/06/02 20:15:32 heCXHGEn
これはいい純愛。GJなのですよ!

214:名無しさん@ピンキー
07/06/02 20:25:24 p7y2Q1vC
おお、夢オチを有効活用してる。
まさにラブコメ、GJなんだぜ

215:名無しさん@ピンキー
07/06/02 20:38:44 ntEUgTEW
サイトがルイズではなく、テファの使い魔としてハルケギニアに召喚されたという電波を受信して書こうと思うんだが、
ルーンはどうするべきだろうか?

サイトと言ったらガンダールヴって感じもするが、テファの使い魔ならやっぱ最後の使い魔だろうし……
どうすっかなぁ~やっぱ神の巨根しかないか?


216:名無しさん@ピンキー
07/06/02 20:46:27 Sc9ngbiS
>>215
ルーンは胸に出たけど、名前も効果も分からないままってのは?
多分使い魔だと思うけど、あなた人間よね? 変なの…、と
そのほうがラブコメに専念できるし

217:名無しさん@ピンキー
07/06/02 20:55:52 ntEUgTEW
>>216
名前や効果もわからないってのはストーリー的にちょっとなぁ。
テファは森に住んでるから名前は調べようがないで済ませるけど、やっぱなにか効果があったほうがいいと思うわけですよ。
真面目なのなら他の使い魔のルーンの能力を全部使用できるとか、ドロドロのエロ展開にもってくなら洗脳とか

218:名無しさん@ピンキー
07/06/02 21:19:26 rwJNL1qi
>>211 GJ!
サイト、お前は悪くない決して悪くないぞ!
しかし、この話のルイズは悪気がない分タチが悪いなw

219:名無しさん@ピンキー
07/06/02 21:21:33 Ob/cgvzB
いや、マジで神の心臓だと思うぞ。ルーンの出る位置と通り名は一致している。
胸に出る以上、心臓でなけりゃ、神のおっぱいしかない。

220:名無しさん@ピンキー
07/06/02 21:38:44 5tY0/Pbt
>>215
デルフ曰く再契約の時にどっちになるか分からないなら
テファの使い魔でガンダールブでも問題ないんだZE☆

221:名無しさん@ピンキー
07/06/02 22:00:43 N9UgNBIO
>>220
てことはルイズの使い魔だったのに途中からテファの使い魔になっちゃう可能性もありなのか
なんて寝取りフラグだ(*´д`*)

222:名無しさん@ピンキー
07/06/02 23:54:29 TR25WZH0
神の心臓=主人の身代わり

ということを妄想してしまた

223:名無しさん@ピンキー
07/06/03 00:07:08 UJVCZ9Vu
最初はブリミル復活の時の器だと思ったんだけど、それだと当時の使い魔の意味がなくなるから断念した

224:名無しさん@ピンキー
07/06/03 00:31:49 ZTaoQy4g
生死を共にする存在、かなぁ。
ブリミルと愛し合っていたとかね。
うーむ……これもいまいちか…召喚したては初対面だし。
ブリミルの補佐として魔法使えたりして。

心臓の役割ってなんだろねぇ。
なくてはならないものだってのは、わかるけど。

225:名無しさん@ピンキー
07/06/03 00:48:52 6aJlVTDq
>>211
GJ!
いつもながら面白い
読んでて思わず身もだえしてしまったw
続き期待してます

226:名無しさん@ピンキー
07/06/03 00:50:51 uYl41wwq
胸の内ってことで、他人の思考を読み取れるとか

コンパクト!

227:名無しさん@ピンキー
07/06/03 01:11:30 M7S/y9UE
>>211
あなたの書くルイズはいつもかわいい。
次も期待する。

228:名無しさん@ピンキー
07/06/03 01:33:06 PclTS6tA
>>211
うわ
すげーな、なんてすれ違いだ
ノボル仕事しろw

229:名無しさん@ピンキー
07/06/03 03:24:44 4e5aeLRJ
>>211
GJです!!
この3歩進んで2歩下がるような展開がたまんねぇ
次回投下心待ちにしてます

230:名無しさん@ピンキー
07/06/03 07:27:31 OUdq6LT7

 次回 下心 待ち……



231:名無しさん@ピンキー
07/06/03 10:05:11 xErbHetL
これはよいエロルイズ

232:名無しさん@ピンキー
07/06/03 12:23:23 H7sqtw25
あの声優事務所前で枕投げオフ
URLリンク(blog107.fc2.com)
URLリンク(makura528.blog107.fc2.com)
URLリンク(www.nicovideo.jp)


233:名無しさん@ピンキー
07/06/03 14:41:27 v8p3l7eU
ソフトMさんの書く純愛もの
いいね。シエスタに期待

234:名無しさん@ピンキー
07/06/03 21:29:21 uuuFFE58
そういえば戻ってくる宣言しておいてまだ戻ってきてない職人はどうしてるのだろうか?
純愛センターさんとか…

235:名無しさん@ピンキー
07/06/03 22:47:30 K2Rc5gsM
最近になって保管庫を見つけました
これで当分生きれる…

236:名無しさん@ピンキー
07/06/03 22:49:09 GHOgDqZ5
ちょ、おま、>>1もよく見てなかったのかよw
……それとも、全く別の保管庫の話とか?

237:名無しさん@ピンキー
07/06/03 22:56:55 F8O7RbF3
たびたび>>1以外でもリンクは貼られてるのに。
>>203で気付いたとか?

ここでもアリだが保管庫で作者さんにコメントレスつければ
つづき書く励みになるかもしれない。

238:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:18:51 xJaKYpg4
正直、途中で終わってるSSに続きが読みたいのが多すぎる…

それだけ放置の量も多いというわけだが…

ものかきさんしかり、純愛センターさんしかり

239:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:28:52 6XtgcUfZ
ちょっとログ漁ってて気がついた
作者の皆様おつかれさまです!*大量
(正直具体的なコメントできなくてすげーしか言えないもので 毎回おんなじ事言ってもしょうがないのかな?
みたいな感じで最近お礼かいてませんでしたorz)

こ こんな人ってあんまり・・・・いないかw

240:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:29:13 dDoLsfgx
>238
自分は205さんの「その名はイーヴァルディ」の続きが読みたい

241:名無しさん@ピンキー
07/06/04 00:14:51 +ROuJolf
神の心臓どうこうと味噌汁の作者同じだよな?

アレはどうにかならんのかと小一時(ry

242:名無しさん@ピンキー
07/06/04 01:04:13 3WZ2lCcd
ここほど恵まれてるスレも他に無いと思うがな。
ネタかぶりやキャラ偏重もほとんど無いし。

243:名無しさん@ピンキー
07/06/04 03:30:56 J0UlbVCz
二次創作である以上、使えるネタが無限にあるわけじゃないんだから
ある程度のネタ重複くらいなら、そんなに気にならないな。

書き手が他の職人とのネタ被りを気にして書きたいものを書けなくなるより、
書き手の書きたい数だけSSがあったっていいと思うんだ。
(そう言っても、さすがに盗作レベルの重複まで行くとマズイとも思うが)

その最低条件というか書き手として守るべきマナーというか、
書きたいものを書くのはいいが、投下を始めたSSを未完のまま
放置してほしくないってのは当然あるけどな。

244:名無しさん@ピンキー
07/06/04 07:58:18 VuZVh4/Y
>>243
んでも、誰もなにも反応無かったら、放置になんね?

せめて、・・・待ってるくらいは書き込まないと。
一方的に~~~だからマナーがってのも見苦しい。

245:名無しさん@ピンキー
07/06/04 08:07:45 3pTql3a2
てか極端なこと言っちゃうと書き手なんてボランティアなんだから
放置だろうが何だろうが読み手が文句言う筋合ないだろ

246:名無しさん@ピンキー
07/06/04 09:20:04 ThWIN0XY
今書いてくれてる人やSSをさておいて
長期間放置されてる過去のSSの話するのもどうかと思うがな。
何かしら理由があって続きが書けなくなったんだろうものを
書くのが義務だ書かないのは不誠実だみたいに続き希望するのも何か違うと思う

247:名無しさん@ピンキー
07/06/04 10:45:03 +ROuJolf
なら俺は激待ちだということを表明するッ!!>心臓&味噌汁

表明するだけですが


黒シエ&黒タバも気になるし、子供化サイトverタバサだって続きwktk
コルベールとアニエスが中心の話もガン待ちだ!!
すれちがうサイトとルイズの話も続きが知りたい!!


今思い出せなかった作品の作者には失礼かもだけど、待ってるから!!




スーパークレクレだと気付き、頭が痛い

248:名無しさん@ピンキー
07/06/04 11:07:29 2Zsah1/y

それにしてもこの>>247、ノリノリである。



しかしオレもwktkなのさ!
子供サイトのタバサVerなんて想像しただけでハァハァ

249:名無しさん@ピンキー
07/06/04 11:22:58 VuZVh4/Y
俺も待ってる~

上に加えて、イーヴァルティの続きと、
(この職人、以前かきたときに書くうーてたにで、
クレクレ言いにくいが)

かなーりまえだが、裏タバサの職人の予告した百合話
(荒れたらかかねって宣告されてた希ガス)

純愛センターさんの・・・
(異動したぽいカキコあったなぁ・・)



待ってる・・・・
くじけそうになりつつ



250:名無しさん@ピンキー
07/06/04 11:27:29 bCRF+bwm
Wikiの作者別ページのコメント欄に書き込むという手もあるのだぜ
しばらく凍結してるSSにはこっちのほうがいいかも

251:名無しさん@ピンキー
07/06/04 23:21:55 I7JJAu2b
11巻のサイトをカトレアが慰めるシーンはエロゲーだと確実にセクロスシーンにつながる

神様書いて1!!!

252:名無しさん@ピンキー
07/06/05 00:34:38 FkW/XjmS
恐れ多くて汚せない

253:純愛センター
07/06/05 00:50:59 YT0Rn6oc
どうやら自分なんかのSS

254:純愛センター
07/06/05 00:53:09 YT0Rn6oc
投稿ミスった(汗

どうやら自分なんかのSSを楽しみにしていてくれた人がいるみたいで…本当に嬉しいです。

それでは続きが行き詰まってた長編物の続き投下します!

255:名無しさん@ピンキー
07/06/05 00:58:07 YT0Rn6oc
寺院の中はほとんど変わってはいなかった。
夕日に照らされたステンドグラス、荘厳な雰囲気をかもし出している祭壇、そして最奥に二人を歓迎するかのように立つ始祖の像。
だが変わっているものも見つかった。
少しだけ埃を被ったイス、旅人が訪れでもしたのだろうか、ロウが溶けきってしまったロウソク、そして落ちている二つのグラス。
「ここ…」
私はしっかりと覚えている。戦場から味方を逃がす、そのために敵軍に特攻する直前、最後に来た場所。最後にいようとした大切な場所。
なぜ自分はこんなところを最後の場所になどしようとしたのだろうか。
なんのためにこんなところに来たのだろうか。
わからないその理由。わからないからわかる。
ここは私とあの背中の人最後にいた場所なのだと。

寺院奥、祭壇近くまで進む。
「ここはね、私の一番大事な場所なの」
町から連れてきた平民に、ただの気まぐれで声をかけた。
「なんで…一番大事な場所なんだ」
男も寺院の奥にまで歩いてきた。
私は始祖の像を見上げながら質問に答えてやる。
「ここが最後に会った場所だから」
「そんな場所にオレなんかを連れてきてよかったのかよ」
バカ
「あんたは私のことを守るんでしょうが!離れてちゃ意味ないじゃない!」

256:名無しさん@ピンキー
07/06/05 01:00:14 YT0Rn6oc
「そうだな」
後悔が心で渦巻く。
もしあの時に記憶を消していなかったら。
そんな思いを無理やり頭の中から追い出す。
ルイズの記憶を戻したい。でもそれをすればガンダールヴでない自分は必ず死ぬ。また自分が死んでルイズを泣かせるような真似はできないし、もとより自分が決めたことだから。
オレは強くならなきゃならない。ガンダールヴじゃなくてもルイズを守れるくらいに。
わかってる。理解している。
―そんなことは不可能だ―
これまでルイズを守ることができたのは虚無の力、ガンダールヴの力があったからである。
『平賀才斗』なんかになにができよう。どんなに修行しようと、どんなに時間をかけようと不可能は不可能、せいぜいそこいらの兵士一人を相手にするのが精一杯である。
できることと言えば次のルイズを守る者、次のガンダールヴが現れるまで命を賭けてルイズを守ることくらい。
それでも…なにかの拍子で、いつの日かルイズを守ることができる力が手に入るかもしれない…そうして記憶を戻せばまた前みたいに…
そんなくだらない希望、妄想に心が縋りつこうとする。
「お前方向音痴っぽそうだしじゃじゃ馬っぽいし、近くにいてやらないとどこ行くかわかったもんじゃないしな」
「あんですってぇ!?」
「ここに来る時もさんざん迷って迷ってだったしな」
「ああああああやって来るのが一番の近道だったのよ!」
怒ってる。
「へいへい、わかりやしたよ貴族様」
「なんか感じ悪いわねぇ」
むくれてる。
やっぱ無理。
「ちょ!!!ああああああああんたなにすんのよ!!!」
気づいたら腕の中にルイズがいた。


257:名無しさん@ピンキー
07/06/05 01:04:58 YT0Rn6oc
「悪い…悪い…」
耐えられるわけがない…我慢など出来ようはずがない。
半年。半年一緒にいて、寝て、食べて、歩いて、生きた好きな人がそこにいるんだ。そこからいなくなっちゃうかもしれないんだ。いらないと言われるかもしれないんだ。
会った瞬間は我慢したんだ。二人っきりになっても我慢したんだ。
だから、許されないかもしれないけど。
でも…それでも…
「今だけ、もうしないしお前にも半径十メートル以内には近づかない!雑用だろうが奴隷だろうが犬だろうがなんだってするから…」
気づいたら泣いていた。
「許してくれ…」
その懇願はどこに向けたものなのだろうか。
今自分を抱きしめていること?
それとも全く違うこと?
男は滝のように涙を流し自分を抱きしめる。
不思議と嫌悪感はなかった。平民にだきしめられているのに、男のだれにも抱きしめられたことなんてなかったのに。
さらには心地良さまで感じてしまう。安心感という名の。
だから
「うん、許したげるわ」
男の肩がビクンと震えたが気にせず続ける。
「その変わり!あんたはこれから一生私を守りなさい!わかった!?」
男は驚いた顔をして
「オレで…いいのか?」
とかきいてきた。
聞かれてからなぜかのすごく恥ずかしくなってきた。
一生ってなんかプロポーズみたいじゃない!!ダメダメ!!ダメなんだから!
貴族が平民なんかと結婚できるわけがないんだから!!
「べべべべ別にあんた以外のやつでもいいんだけど探すの面倒だし、高貴な物のなかに一つくらいは汚い物があったっていいじゃない!」
「ルイズ…」
「そそそそそれに家に一匹くらいペットがいたっていいじゃない!よかったわねぇ、私がまだペットを飼ってなくって」
「ルイズ!」
男の顔には涙の跡など微塵もない。あるのは…
「オレ、守るから…」
揺るぎのない覚悟だけ。
「お前を一生…命を賭けて」



そうして数分、二人の間に会話が生まれなかった。


瞬間


その静寂を破る者が現れた。
「あら、もう茶番は終わり?」
冷たい女の声と無数のガーゴイルの群。


258:純愛センター
07/06/05 01:07:15 YT0Rn6oc
とりあえずここまでです。

とりあえず一時間くらいで書いちゃったので文章がおかしいところがあるかもです…

ありましたら脳内保管して頂けると幸いです

ではでは…

259:名無しさん@ピンキー
07/06/05 01:23:02 5XYTErdU
ねんがんの続きが来てたぞ。
恋愛センター氏GJ!
でもこの展開なんか嫌な予感が・・・

260:名無しさん@ピンキー
07/06/05 04:10:43 B9vRONiK
ふっかつキター
GJ!
クライマックスwkwk

261:名無しさん@ピンキー
07/06/05 08:22:01 5puDnwWx
どれの続きですか?

262:名無しさん@ピンキー
07/06/05 08:33:53 kJDD5aej
つ7-532
たぶんこれかと。

263:名無しさん@ピンキー
07/06/06 00:26:30 7dA1e7oo
GJ
続き期待してます。

そしてせんたいさん。
ぜひともタバサを!
選択肢大好きです。

264:名無しさん@ピンキー
07/06/06 01:20:12 fFi4u20r
続きktkr!!!
GJですよ、はい。
しかしこの話の流れだと・・・w

265:純愛センター
07/06/06 02:12:22 8lNQYXUY
あっちとは違うようにするのでそちらは気にしなくても大丈夫です

自分の考える構想に持っていくにはああするしかなかったので(汗

続きは週末に…

266:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/06/06 11:22:07 8KiNDfP4
さて夜勤前に投下。
こどもさいとタバサ編、いくよー

267:タバサと小さな才人 ◆mQKcT9WQPM
07/06/06 11:22:49 8KiNDfP4
三人の魔女が視線で火花を散らす中、子供になった才人は怯えていた。
なんかこわい。
それが自分を巡っての事だとは露ほども思わず、才人は三人の脇でただ、怯えていた。
そして。
自分と最も近い、背の低い少女の背中に、隠れた。
青い髪の、眼鏡の少女の背中に。
タバサは驚いて、思わず背中にしがみついてきた才人を振り返る。
その顔に、優しい微笑みが浮かんだのを、才人は見逃さなかった。

「ちょ、なにしてんのよアンタ!」
「そうですよ独り占めなんてズルいですっ!」

ハブにされた二人は物凄い剣幕でタバサに詰め寄る。
その剣幕に、才人は怯え、タバサのマントをきゅっときつく握る。
その感触に、タバサの中に熱い何かが点った。
この子は、私が守る。

「…サイトが怯えてる」

詰め寄る二人に、タバサはずいっ、と杖を差し出す。
その視線は心の奥底までも凍りつかせそうなほど冷たく、二人の動きを止めるのには十分過ぎた。

「な、なによ」
「凄んだって無駄、ですよ」

しかし言葉とは裏腹に、二人は突き出された杖より前に進む事ができない。
タバサから感じる異様なプレッシャーに、足が前に進まないのだ。
タバサはそのまま、無表情に杖を振る。
すると。
二人の周囲の水分が一瞬で凍りつき、二人の身体を氷の衣が固めてしまう。
タバサは、二人から見えないように呪文を詠唱していたのだった。
文句を言う口も完全に塞がれた二人を置いて、タバサは才人に優しい笑顔を向ける。

「行こ」

そして、才人に手を差し伸べる。
才人はその手を握り、タバサに手を引かれてルイズの部屋を出て行ったのだった。



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