07/06/23 22:23:28 RvioHSMF
「ヒカリ!サトシ!」
二人の耳に、聞き覚えがある声が飛び込んできた。
「あ・・・」
二人の目に映った、これまた二人の人物。
一人がヒカリに近づく。
「もう、大丈夫だよ・・・」
彼女はヒカリに毛布をかけてやると、そのまま、
そっととヒカリを抱きしめた。
「ノゾミ・・・」
ヒカリはかすれるような声で言う。
「よかった・・・もう安心・・・だから」
その目には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「・・・」
ヒカリは何も言えず、ノゾミの顔をただ見ることしかできなかった。
もう一人は、サトシの手錠をはずし、ガムテープを取り除いた。
「タケシ・・・ありがとう」
「ああ。大丈夫か?」
「うん・・・まあ」
サトシは暗い顔で、ヒカリのほうを見た。
「ヒカリ・・・」
ヒカリはその言葉でサトシのほうを見る。
「サ・・・トシ」
サトシはヒカリのそばに歩いていく。
「ごめんな、ヒカリ・・・本当に・・・ごめん」
サトシの目から大粒の涙が零れ落ちた。
次の瞬間、ヒカリはサトシに抱きついていた。
「ぐずっ・・・うぐううう、怖かったよぉ・・・」
ヒカリも稚い子供のように泣いていた。
「オレがふがいないばっかりに・・・オレ、何にもできなくて・・・」
「ダメ!」
ヒカリが声を荒げた。
「サトシは全然悪くないよ!だから・・・だからもう自分を責めないで」
ヒカリは嗚咽の声を漏らしながら言う。
そのまま二人は泣きじゃくりながらしばらく抱き合っていた。