07/05/27 20:32:14 jg1lYYKz
>>179>>180>>181>>182
| \
|Д´) ハゲシクドウイ オドッテヤル!!
|⊂
|
♪ Å
♪ / \ ランタ タン!
ヽ(`Д´#)ノ ランタ タン!
( へ) ランタ ランタ
く タン!!
♪ Å
♪ / \ ランタ ランタ
ヽ(#`Д´)ノ ランタ タン!
(へ ) ランタ タンタ
> タン!
184:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:36:47 oFUM+WMh
>>169
投稿GJ、そして乙
この手の話は自分も結構好きなので面白かった、終わり方も秀逸でGood。
185:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:40:00 iYNaffey
>>178-183
aアボーン推奨
186:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:43:02 KZWNZ0zf
>>185
うん、とりあえず荒らしに何度もアンカーつける馬鹿は氏んどけ。
削除依頼できんだろうがよ。
187:名無しさん@ピンキー
07/05/27 21:24:42 Y0wIQE7Z
アンカーつけてる奴も自演荒らしだから
188:名無しさん@ピンキー
07/05/27 21:32:33 iYNaffey
なるほど、すまんかった
半年ROMります
189:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:19:04 rZYDfJbp
>>188
このスレが平和になったら帰ってこい。
え?一生無い?希望は捨てちゃいかんのですよ。
190:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:21:30 Y48kyKlT
>>183
ワロタwww
191:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:23:42 scIihNPw
ったく、信者は何でも荒らし扱いするから困るわw
192:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:46:55 Y+Tn5okN
そして、荒らしは何でも信者扱いするから困るわw
せめてキモ姉・キモウトについて語ってから言え。
そんなオレは、妹も姉もいないキモウト派である。
193:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:54:49 qHzTfvr4
キモ姉>キモウトだろ…俺の趣味嗜好的に考えて…
194:名無しさん@ピンキー
07/05/27 23:12:35 P2ndORvI
キモウトに決まってるだろ
俺はピュアメールの妹だってOK
195:名無しさん@ピンキー
07/05/27 23:27:06 YEce7g1+
確かに鳩ねぇのキモアネっぷりがいいなw
主人公が寝てる時に「…レンちゃんはお姉ちゃんが一番…」とか洗脳してみたりw
「私はもう鳩ねぇだけを見つめて生きていきます」とか言わせてみたりw
196:名無しさん@ピンキー
07/05/27 23:35:12 Y+Tn5okN
「君と僕の壊れた世界」、の夜月ちゃんとかね。
「零崎双識の人間試験」の舞織ちゃんとかね。
兄がいないと生きていけない妹に、
鋏を口に銜えて武装する義モウト。
もうじき平日。
せめて、夢の中でキモウトに会いたいものだ。
197:名無しさん@ピンキー
07/05/28 00:46:21 6JOj/J5h
八雲立つ
羊の歌
王家の紋章
と、キモ姉が出ている漫画を買ってきた姉は
もしかして俺のことを誘っているのだろうか?
198:名無しさん@ピンキー
07/05/28 01:04:17 nlFNjMeC
そうだとしたら姉とどうなりたいの?
199:名無しさん@ピンキー
07/05/28 01:05:25 nlFNjMeC
あげちった。ごめん
200:名無しさん@ピンキー
07/05/28 01:31:54 YxDqRmi7
鳩姉のキモさは凄かった・・
もう、主人公がシスコンだと疑問を覚えて悩むようなシナリオだと思っていたが
その事に触れずに何の問題や傷害なくゴールイン。
全ては鳩姉の思惑通りに洗脳完了であったwwwww
というわけでそんなキモ姉をここでは期待しているw
201:197
07/05/28 02:06:23 6JOj/J5h
>>198
ないわー。
シャアも「でも乳が無い」って嘆いていた。
202:名無しさん@ピンキー
07/05/28 02:11:07 2WRAr705
>>197
その漫画をオマイに読むのを薦めて来るかどうかが、いい判断材料。
ってか、何で姉ちゃんが買ってきた漫画のタイトル知ってんだ?
203:名無しさん@ピンキー
07/05/28 02:18:18 2WRAr705
>>196
「きみとぼくの壊れた世界」は、病院坂の出番の多さ(ページ配分)が圧倒的で、レヴューとか呼んで
キモウト楽しみに買った人は、どう感じたことだろうw
少ない配分ながら夜月パートは、それなりに味わい深いものだったけどね。
204:名無しさん@ピンキー
07/05/28 08:35:39 pzpGYeeM
>>203
味わい深いと言うか、
例のあのシーン読んだ瞬間に他のこととか吹っ飛ぶだろ、このスレの住人的に。
つーか夜月可愛すぎ。
西尾、商業誌でアレはやり過ぎ。
205:名無しさん@ピンキー
07/05/28 16:31:04 CL6Yd0ei
話題の鳩姉について詳しく!
206:名無しさん@ピンキー
07/05/28 17:42:37 Is5/7msU
>>205
つgoogle
207:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:45:19 Ck9zC67l
いまだ完結させてないのって、私だけなんですよね。
ほかの職人様は筆はやいなぁ。普段なに食べてるんだろう?
籠の続きを投下します
208:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:47:15 Ck9zC67l
早朝。
僕は妹の部屋で目を覚ます。
傍に理理の姿は無い。おそらく台所にいるのだろう。
身体はまだ少しだるい。
終日意識無く妹を攻め立てていたせいだろう。酷く体力を消耗している。
“あんなこと”があったというのに、眠りこけていたのは僕自身の疲弊のためだ。
普段、理理は僕の部屋で一緒に寝たがる。
『お兄ちゃん』の匂いのする部屋で寝たいのだと云って。
けれど今の僕の部屋は、掃除が完了していない。
そうでなくとも、“あんなこと”があった場所だ。出来るなら―近づきたくはなかった。
それで、この部屋で同衾したのだ。
兄―
僕はもう、その資格すら失った。
護るべき、愛すべき妹の人生を、この手で奪い穢したのだ。
自らのおぞましさに吐き気と殺意を覚える。
いっそ・・・。
いっそ今すぐに死ねたら、どんなに楽だろうか。
不安も責任も放棄して、永遠の無の中に逃げ込めれば、どんなに良いだろうか。
けれど、それは出来ない。
「お兄ちゃん」
僕をそう呼んで、穏やかに笑っていた妹を、独りに出来るわけが無い。
理理は―
妹は怒っているだろうか。
悲しんでいるだろうか。
それとも蔑んでいるだろうか。
そのどれでも良い。
妹がどう思おうと、“傍で償え”と望む以上、僕のすべきことは唯一つだ。
月ヶ瀬真理の人生は総て。
月ヶ瀬理理の支えとして、贖罪を続けなければならないのだから。
悔恨と慙愧。
それだけが僕の中身になった。
けれど、妹を思えばそれがどうだというのだ。
最も懐いていた親族に穢された痛みは、僕などとは比べ物にならないだろう。
僕の罪は、果てしなく重い。
キッチンに入った。
支度をしていた妹はすぐに僕に気づいて、傍まで遣ってくる。
「おはよう、お兄ちゃん。今日は早いね」
ぎゅうっと。
理理は僕を抱きしめる。
「理理・・・」
なんと云えば良いだろうか。
かけるべき言葉が見つからない。
「お兄ちゃん、キスして?」
「え」
「キス。おはようの挨拶」
「でも・・・・」
「なにも考えちゃ駄目よ?これはお兄ちゃんに与えられた罰なの。私がそうしてって望むんだから、
お兄ちゃんがすべきことはひとつでしょう?」
「・・・・・・・」
兄妹どうしでキスをする。
そんなことはまともではない。
いや、それ以前に、乱暴を働かれた相手にそんなことをされて、満足なのだろうか?
見おろす小さな妹は、すでに瞳を閉じ、顔を上げていた。
(これは理理が望むこと・・・・)
仕方なく、妹の可憐な唇にキスをする。
「んぅ・・・」
吸い付くような感触。温かで柔らかい触覚。
妹の唇はこんなにも気持ちの良いものなのか。
209:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:49:05 Ck9zC67l
考えていると、
「ちゅっ・・・。ちゅぱ・・・」
理理は僕の首に腕を絡め、舌を口内に這わせ始める」
「ん・・・!!んん・・・」
慌てて離れようとすると、妹の腕に力が篭った。
逃げるな。
理理からはそんな気配が伝わってきた。
僕は力を抜き、されるがままなる。妹は僕の唾液をごくりごくりと嚥下し、その交換と云わん
ばかりに自らの唾液を兄に流し込んだ。
(気持ち悪い・・・・)
しかし吐き出すわけにもいかない。
口内にたまった妹の唾を体内に取り込んだ。
5分もそうしていただろうか。
妹が漸く唇を離す。と、
つう、と舌と舌の間に唾液の糸がかかった。
「あは。口のまわり、べたべたになっちゃたね」
理理は口端から銀糸を垂らしながら笑い、
「私が綺麗にしてあげるね」
僕の口まわりを丁寧に舐めあげた。
「お兄ちゃん、“これ”が、これからの朝の挨拶だよ。憶えておいてね?」
そう云って理理は笑う。
そこにあった笑顔は、もう僕の知るそれではなかった。
「往こう、お兄ちゃん」
家を出るなり、理理は腕を組む。
僕に寄り添うような腕のからめかた。
笑顔と同様、以前とはどこか違う密着のしかた。
まるで囚われたかのような。
そんな錯覚さえ受ける、妹の抱擁。
「理理・・・・流石に、まずくないか、これは・・・・」
「お兄ちゃん、“これ”は私が望むことだよ?まずいとか、まずくないとか、そんなことは考えなくて
良いの。お兄ちゃんが大切なのは誰?償うべきは、誰?まわりなんて気にしなくて良いんだよ?」
「・・・・・・」
そう云い切られると、もう僕は何も云えない。
黙って受け入れるしかない。
腕に頭を寄せる妹をそのままに、道を歩く。
突き刺さるのは、視線。
周囲は僕らをどう見ているのだろう。
兄と妹。
そう知っている人も多いのに。
学園が近づき、見知った顔が増える度に、皆は奇妙な顔をする。
それはそうだろう。僕らは兄妹。
こんなことをして歩く存在ではないのだ。
しかも互いの手には銀色のリングが嵌っている。
ヒソヒソと囁かれる声。
信じられないものを見るような視線。
穢されたはずなのに幸せそうな妹。
沈黙するだけの僕。
なにかが狂っているようだった。
いや。
狂っているのは―僕だ。
大切にしていた実の妹に襲い掛かったのだ。まともな人間ではない。
畜生。
そう呼ぶほうが相応しいだろう。
案の定、学校では腕を組んでの登校と、ペアのリングが話題になった。
僕は何も答えない。
何を云えるというのだ。
対して理理はそのことを尋ねられると、「愛しているから当然だ」と答えたらしい。
どういうことだろうか。
あんなことをされてもなお、僕を兄と思ってくれているのだろうか。
210:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:51:07 Ck9zC67l
休み時間に遣ってきた理理は、人目もはばからずに僕に抱きついた。
クラスメイトの視線など気にも留めない。
僕も振り払わない。
こんなことは妹のためにはならないだろう。
たとえ本人が望んでいても、よからぬ噂がたつようでは、将来は暗い。
だから兄として、叱ってやる必要がある。
けれど僕はもう兄ではない。
その資格を失った。
苦々しくても、理理の望むままにあるしかないのだ。
学校にいる間中、僕は涙をこらえて過ごした。
放課後。
校門前で理理を待つ。
今まで下校時間が異なるときは別々に帰宅していたが、今日からはそれも変わるらしい。
「お兄ちゃんは私の傍にいるべきなの。一緒に帰るのが当然だよ?」
理理にそう云われたのだ。従うしかない。
僕はなるべく指輪を見えないように気を使う。
テーピングは絶対に許さない。
妹はそう命じた。
勿論、外すことも儘ならない。
“これ”は僕が負った罪の証。
背負うべき十字架なのだ。
だから外せない。隠せない。
けれど―
僕は思う。
このままで良いのだろうか。
自立。
それが今までの僕の望みだった。
今はそんなことを口にする資格はないし、一生かけて償いをする覚悟はある。
妹を不幸にした莫迦者が云って良いことではないのだろうが。
このままでは、理理はもっと駄目になる気がする。
なんとかしてあげられないだろうか。
懊悩だけが時を持ち去ってゆく。
暫くそうしていると、門の外からざわめきが聞こえた。
僕は気にも留めない。
そんな余裕は無い。
だが、聞き取れた言葉に顔を上げた。
「迎えに来たよ、にいさん」
ざわめきの正体。
凄まじい美少女。
名門私立校の制服を着た、一人の少女。
心奪われるほどに綺麗な声をもった従妹がそこにいた。
「聖理・・・」
僕は左手で鞄を握る。指輪を不可視にするために。
「お前、どうしてここに?」
「どうして?やだなにいさん、今聖理が云ったでしょう?にいさんを迎えに来たんだって」
従妹は猫のように大きくて綺麗な瞳を細める。
笑顔・・・・そう呼んで良いものなのだろうか。
「む、迎え・・・?」
「うん。迎えに来たんだよ。にいさん、コトリを捨てて聖理のお家に来てくれるんでしょう?」
「・・・・それは無理だって、一昨日云ったろう?」
そして今はもっと無理だ。
理理から離れることは許されない。
「にいさん、まだコトリに縛られてるんだね。まあ、そのことはいいや。とにかく聖理のお家に来て」
従妹は僕の右腕にぎゅうっと抱きつく。引っ張るように腕を組むので、身体が傾いた。
「来てくれれば、多分総てが上手くいくよ」
211:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:53:05 Ck9zC67l
どこか自信に溢れた様子で聖理は笑う。
ぐいぐい。
むにむに。
気のせいか。
いつもよりも柔らかなものが腕に当たる気がする。
「本当は昨日迎えに来ようと思ってたんだけど、色々準備してたから・・・」
「準備?」
「にいさんをもてなす準備。来ればわかるよ。さ、いこ?」
聖理は僕を引っ張る。
刹那。
「どこにいくのかな、お兄ちゃん?」
背後から響くコントラルト。
僕と従妹は門の中に振り返る。
「なんだ、いたの?」
聖理はつまらないものを見たかのように呟き、
「いこ、にいさん」
僕を引っ張ろうとする。
「お兄ちゃん」
傾いた体を凍結させる妹の声。
僕の体が動かなくなる。
もともと小柄な聖理には、僕を引っ張るだけの力は無い。従兄が移動をやめると、聖理は再び門の中に
振り返る。
「コトリ、にいさんは私と帰るの。邪魔しないで」
「私、さとりちゃんになんて話しかけてないよ?帰るなら独りでどうぞ」
理理は薄笑いを浮かべて歩き、僕の腕を取った。
「私のにいさんに馴れ馴れしく触らないで」
「私のにいさん?何云ってるのかな?さとりちゃんには“お兄ちゃん”はいないじゃない。この人は
“私の”お兄ちゃんだよ?」
理理は嘲笑する。
聖理は僕を掴む腕に力を込めて妹を睨め上げる。
「コトリ、貴女、私に喧嘩を売ってるの?」
「そんなつもりはないよ?私、争いごと嫌いだもの。さとりちゃんにはお兄ちゃんなんかいない。
唯、その事実を述べているだけ。外様に外様。他人に他人。偽者に偽者って云って、何が悪いの?」
「―!!」
聖理の表情が憤怒に塗り変わる。
それに気づいた僕は、従妹が飛び掛るより早く妹を窘めた。
「理理!そういう云い方をするんじゃない。聖理も大事な妹だ。他人じゃないだろう」
「お兄ちゃん・・・」
理理は僕を見上げる。
「私、そんな云い方されると、“また傷ついちゃう”よ?」
「・・・・」
傷つく。
その言葉に僕は沈黙する。
(そうだ、俺は―)
この妹を、傷つけたのだ。
「ねえ、お兄ちゃん。どうするの?私を叱るの?」
「・・・・・・」
「出来ないよね、そんなこと。お兄ちゃんは私を傷つけるわけにはいかないもんね。癒し続けるんだ
もんね。一生かけて」
押し黙る僕を見て、妹は「ふふっ」と笑った。
「・・・コトリ」
「なぁに?さとりちゃん」
「貴女が私をどう見てようと、そんなことは関係ないの。にいさんは私を愛してる。私の許に
来たがってるの。それだけが事実なの」
「寝言は寝て語ってね。それとも、黄色い救急車を呼んでほしいの?」
やれやれと肩をすくめる妹。対して従妹は鋭い目つきで理理を見ている。
「寝言じゃない。だってにいさんは、家を出て往こうとしてたでしょう?」
212:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:55:06 Ck9zC67l
「!!」
「にいさんは貴女から離れたがってるの。いい歳をして、いつまでも付きまとう、キモチワルイ妹に
迷惑してるのよ!」
「―そう」
理理の顔から、笑みが消える。
「お兄ちゃんが出て往こうとしたのって、やっぱりさとり・・・ちゃんのせいだったんだ」
「半分はそうよ。でももう半分はコトリがウザイからよ?だからにいさんは私の許に来るの。
“本物のくせに”離れようとしない、コトリが嫌だから、愛する私の許に来るの」
「離れようとしない?」
へら、と理理は笑う。
「私から離れたくないのは、お兄ちゃんのほうだよ?私、お兄ちゃんが距離をとるなら、応援するって
云ったもの。でもお兄ちゃんは“永遠に”私の傍にいるって誓ったの。だから私はそれを受け入れた。
それだけのことだよ。ね。お兄ちゃん?」
「・・・・・・」
見上げる妹から目をそらすように僕は俯いた。
「なに云ってるの?にいさんはコトリが兄離れしなくて困るって云ってたのよ?永遠に傍にいるなんて
そんな莫迦なこと、云うわけ無いでしょう?」
「ふふ・・・」
理理は仕方ないなぁ、と呟いた。
「お兄ちゃん、見せてあげて?私達の“永遠”を」
歪み。
理理はまた、僕の知らない歪んだ笑みをみせる。
僕は逆らえない。
逆らえずに、隠していた左手を持ち上げた。
「―嘘・・・」
きらきらと陽光に反射する銀円。
永遠の咎がそこにある。
「にいさん、どうして・・・・この間、外してあげたのに・・・・叩きつけてあげたのに・・・・」
よろよろと従妹はあとずさった。
「ふぅん。指輪を外したのもさとりちゃんの仕業だったんだ。本当にろくなことしないんだね、さとり
ちゃんは。でもまあ、良いかな。もうこれは外せないから。お兄ちゃんが望んだ永遠だから。
私達本物の兄妹の約束なの。さとりちゃんの入れない、二人だけの世界なんだよ?」
理理も左手を上げる。
まったく同じデザインの円環が、銀色に光る。
「これ、お兄ちゃんが嵌めてくれたんだ。お兄ちゃんのは、私が嵌めたんだよ。わかったでしょう?
お兄ちゃんは家を出ない。永遠に私の傍にいるの。永遠に私だけを愛でて、私だけを甘やかすの。
そうだよね、お兄ちゃん?」
「・・・・・」
僕はなにも喋れない。
その資格が無い。
唯黙って頷くだけだ。
罪。
永遠の罪。
一生をかけての償い。
それだけが事実。
「にい、さん・・・」
聖理は震える瞳で僕を見上げる。
「家を出るって、云ったでしょう?聖理のこと、愛してるって云ったじゃない・・・。なのに、
なん、で?」
「・・・・・・」
沈黙。
どちらにも。
どちらの妹にも、語るべき言葉が無い。
「そっか・・・・」
聖理はポツリと呟く。
「籠だ。―にいさんは、籠の中にいるんだね」
「聖理?」
「わかったよ。にいさんは必ず、聖理が助けてあげる」
哀れむような瞳。
213:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:57:12 Ck9zC67l
おおきなツリ目が僕を見て。
「コトリ。必ず後悔させてあげる」
踵を返して立ち去った。
「お、おい。聖理」
「お兄ちゃん。駄目だよ」
ぎゅうっと妹は僕を抱きしめる。
「さとりちゃんなんかに構っちゃ駄目。お兄ちゃんが見るべき相手は、私一人でしょう?」
「・・・・・・」
従妹の背中に伸ばした手をおろし、ギュッと握る。
理理も。
聖理も。
そして僕も。
どこか『狂った』。
そう感じ、その予感に何か―とても嫌なものを覚えた。
深夜―否、早朝の四時。
僕はいまだ眠れずにいた。
自室。
その布団の中に、兄と妹はある。
理理はすやすやと寝息を立てている。
『この場所』で眠るのは嫌だ。
僕はそう云った。
罪を犯したその場で、罪に犯された妹と眠るなんて、考えるだけでもおぞましい。
けれど理理は云う。
『この場所』だから良いのだと。
「お兄ちゃんが理理のものだって自覚できるこの部屋だから良いんだよ。ねえ、思い出して、
お兄ちゃん。あの日のこと。私を無理やり“女”に変えた昨日のこと。こんな思い出の場所だから、
私達二人が眠るのには丁度良いんだよ」
罪を自覚しろと云うことか。
それならば断れるはずもない。
受け入れるしかない。
そして、ここで眠る。
僕が罪を犯してから、理理の様子は更に変わった。
今日の夕食は、僕は『手』を出していない。
「はい、お兄ちゃん。あ~ん」
食べる順番も。
「お水。私の口から飲んで?」
水分をとる時も。
「咀嚼もしてあげたほうが良いかな?」
決定権は妹にあった。
「二日続けてあの『隠し味』は危険だから、今日は我慢しなきゃ。私の身体もまだ痛いし」
そうしてお休みのキスをねだる。
朝よりも更にねちっこい接吻。
永遠。
これからもずっと、こんなことが続くのだろうか。
心が痛い。
傷つけたのは僕のほうなのに。
自分のほうが先に潰れてしまうのではないか。
無責任にも、そう考えてしまう。
朝からずっと胃が痛い。
安らかな寝息を立てる理理とその横で苦悶する己。
(一日目でこれか)
一生なんて、もつのだろうか。
そう悩んでいると、
「あれ?」
チカチカと机の上が明滅していた。
「ケータイ?」
着信だ。
214:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:59:51 Ck9zC67l
こんな時間に?
僕はそろそろと布団から這い出て、空き部屋のベランダに出た。
「・・・・にいさん・・・・」
メゾソプラノ。
聞き覚えのある美声がした。
「聖理?どうしたんだ、こんな時間に」
「助けて、にいさん・・・・苦しいの・・・・」
「苦しい?どうした?何かあったのか!?」
いつもとは違う、弱弱しい声。
「助けて、にいさん・・・。聖理を、助けに来て・・・・」
「聖理、しっかりしろ?どうしたんだ!?」
「来て・・・・聖理の・・・お家に。にいさん・・・早く・・・」
電話はそこで切れた。
「聖理っ」
僕は部屋に駆け込む。
理理に出掛ける旨を伝えなければ。
(いや)
そこで動きを止める。
昼間。
聖理が去った後、理理はこう云ったのだ。
「お兄ちゃん。さとりちゃんとはもう逢わないで。それがどんな理由であっても、絶対に逢わないで。
命に係わるような理由でも、絶対に逢っちゃ駄目」
理理は聖理に逢いに往くといって、それを許可するだろうか。
電話での聖理の様子はただ事ではなかった。
けれど僕が向こうへ往くことを認めるだろうか。
暗い予想が頭をよぎる。
「・・・・・・」
妹はいまだ寝息を立てている。ならば今のうちに様子を見に行ったら良いのではないか。
大したことが無いならすぐに帰ってくれば良い。重大事なら、そこで説明しよう。理理ならきっと
わかってくれるはずだ。
そう決断し、妹を起こさないように着替え、財布とケータイだけ持って家を出た。
念のため書置きをしておく。
「急がないと」
タクシーを呼び出し、僕はそれに飛び乗った。
215:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 20:01:08 Ck9zC67l
道路が空いていたこと。運転手に急いで貰ったこと。
そんな理由で、思ったよりも早く聖理の家に着く。あれから着信は無い。
「聖理」
大きな玄関の呼び鈴を鳴らす。
すると、その瞬間に扉は開いた。
「にいさん」
小柄な身体が僕に抱きつく。
「聖理」
良かった。とりあえず無事のようだ。
「やっぱり来てくれたんだね、にいさん。嬉しいよぉ」
「当たり前だろう、そんなこと。それで、一体どうしたんだ?」
「うん・・・」
従妹は頷く。
「聖理のお部屋に来て?大変なの・・・・」
「お前の、部屋?」
首を傾げつつも、引っ張られるままに後をついて往く。
「入って」
導かれて入った部屋は、酷く薄暗い。
ぼんやりと見える室内に、いつもとの差異は見出せない。
「聖理、電気をつけてくれないか?暗くてよくわからない」
「電気?電気をつければ良いんだね?」
僕は頷きながら振り向く。
―刹那、
バチバチバチバチ、と云う音が聞こえた。
そして、激痛。
「なっ・・・・?」
何だ?
ショックで意識が遠くなる。
「―これも“電気”だよ。にいさん」
「ス、タン・・・ガン・・・・?」
笑う聖理。
崩れていく身体。
僕の意識はそこで途切れた。
216:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 20:02:13 Ck9zC67l
投下ここまでです。
結局今回ではまだ終わりませんでした。
217:名無しさん@ピンキー
07/05/28 20:06:51 V/XY9efn
大岡裁き、二人でひっぱったら手がちぎれました。
みたいな勢いだw
おつ、そしてGJ!
218:名無しさん@ピンキー
07/05/28 20:07:02 wQbicuhv
>>216
リアルタイム更新キタコレ!!GJ!!!!
さとり・・・恐ろしい子!!!!
219:名無しさん@ピンキー
07/05/28 20:08:43 pzpGYeeM
ご苦労様です。
やはり、そうそう上手くことは進まないものですね。
監禁確定・・・彼の精神はこれ以上壊れても大丈夫なのでしょうか。
二人の嫉妬の前に主人公が発狂して死にそう・・・。
この何とも言えない雰囲気に溢れんばかりのGJを!
あと、水木さんちシリーズや宇宙人妹、綾タソの話等も(おそらく)未完結ですしお気になさらず、
どうかマイペースな投下を。
乙でした。
220:名無しさん@ピンキー
07/05/28 20:44:36 zfWWABEa
>>216
GJ
真理はどうなってしまうのか・・・
221:名無しさん@ピンキー
07/05/28 21:06:18 INMsB4fZ
>>216
つまらん、お前の半紙は詰まらん
222:名無しさん@ピンキー
07/05/28 21:45:17 LeKqilxX
>>216
GJ!!!
なんか聖理のターンktkr!!
キモかろうが何だろうが俺はこれを待っていたぁぁぁ!
ゆっくり頑張ってください、自分はいつでもwktkして待っておりますので。
223:名無しさん@ピンキー
07/05/28 21:46:43 tNHcCeEV
>>221
半紙は詰まらん、って何だよwww
224:名無しさん@ピンキー
07/05/28 21:48:36 xQs4nyDE
>>221
日本語大丈夫でちゅか? さっさと働いたらどうですか?
いい加減に部屋に閉じこもるのは辞めたら? 親も定年を迎えるのに
いつまで閉じこもっているんだ? 甘えてるんじゃないぞ
225:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:01:00 Zc2iKmzy
>>216
無形氏渾身のGJ!!!
続きwktkしながら待ってましたぁぁぁ!!!ついに聖理のターンですな監禁ktkr次回も
楽しみにしてます!!本当にGJ!!
226:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:04:16 q8sAHpry
>>216
激しくGJ!!
真理カワイソス(´・ω・`)
227:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:18:30 SlzZijWz
>>207
食べ物でSS執筆速度にどんな影響があるのかkwsk!!
そして、毎度のことながらGJ!!
だが、なんというか……仕方がないとは思うのだが、真理くんが
いい人過ぎるんだよなぁー。
これぐらいいい人じゃないとこの手の話の主人公は務まらんのかも
しれないがw
228:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:22:48 faBNn+Im
>念のため書置きをしておく。
>念のため書置きをしておく。
>念のため書置きをしておく。
どう考えても逆効果です、本当にありがとうございました。
しかしまあ二人とも業が深いな・・・深すぎる
だがそれがいい。キモウト最高
229:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:23:14 MpIATfqz
うっは。GJです。
みなさんに触発されて、はじめまして&一本投下。
お嬢様言葉って書いたことなくて、おかしい文章あるかもです。指摘いただけると今後の糧にします。
まだエロなしですが、続きの構想でエロに突入する予定です。
230:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:24:43 faBNn+Im
すまん
ageてしまった・・・許してくれ。
231:聖のお兄様1 1/4
07/05/28 22:24:48 MpIATfqz
「おはようございます」
すれ違う全ての生徒が私たちの方を見て挨拶をくれる。
「あぁ。おはよう」
「おはようございます」
私もお兄様も挨拶を返す。
生徒会長のお兄様と書記の私。
なによりも礼節を重んじる学園が育てた、上品な生徒たち。
そして、学園で絶対と言っていいほどの権力を持つ生徒会長。
誰しもがお兄様を慕い、お兄様を尊敬し、お兄様を敬愛する。
あぁ、私も妹として、お兄様と一生を共にする所存です。
「おはようございます。冬也さん。聖さん」
「おはよう」
「おはようございます。如月先輩」
副会長の如月海先輩。
あぁ。如月先輩のは本当にお綺麗な方です。
お兄様と並んで歩いておられると、本当にお似合いですわ。
尊敬いたします。
「聖さん」
「はい、なんでしょう」
「冬也さんの、好きな食べ物を教えていただけないかしら」
「えぇ。よろしいですけど、理由をお聞きしてよろしいでしょうか」
「あの・・・冬也さんに、お弁当を」
・・・あぁ。この女もお兄様に発情したただのメス豚でしたか。
尊敬して損しましたわ
「お兄様のお弁当を作るのは私の楽しみの一つですわ。いくら如月先輩と言えどもこれは譲れませんわ」
誰が貴方が作った豚の餌のような弁当をお兄様に食べさせるものですか。
「あら、残念。でも、そう考えると聖さんが少しうらやましいですわ」
「でしたら、一つお教えしておいてあげます。お兄様の大好物はピーマンですわ」
「あら。そうですの?では、家庭科の時間に作ってみます。ありがとう、聖さん」
ははっ。お兄様がたった一つ、本当に唯一の弱点がピーマンだとも知らずに。
見るのも嫌で、匂いを嗅いだらぶち切れるってのに。それで、うちの女中も何人辞めさせられたことか。
お兄様がこのメス豚を突き放す瞬間、早く見てみたいものですわ。
232:聖のお兄様1 2/4
07/05/28 22:25:31 MpIATfqz
「出て行け!!!」
生徒会室から如月・・・もとい、メス豚23号が飛び出してきて走って行ってしまった。
今朝の今でもう実行したんですの?
油断して決定的瞬間を見逃してしまいましたわ。
「お兄様。どうしました?」
生徒会室に入ると、お兄様は青い顔を私の方に向ける。
「どうもこうもない。如月が・・・ピ・・・言葉にするのもおこがましい緑色の物体をこの部屋に持ち込みやがったんだ」
「あら。お兄様。地が出てますわよ」
「・・・今はお前と二人だからいいんだよ」
優等生の生徒会長の仮面を脱ぎ捨てたお兄様は、年相応の男の子。
私にだけ見せてくれる特別な・・・ううん、本当のお兄様。
「では、このクッキーでお口直しでも」
「お。いただきます。ん・・・んぅ。うまい」
「ありがとうございます」
私は紅茶を淹れ、お兄様の前に差し出す。
「ふぅ。やっと落ち着いた。ありがとうな」
「いいえ。お兄様の笑顔が見れるなら、なんでもしますわ」
「ホント、俺の妹とは思えないくらい真面目でいい子だよな。お前は。あ、褒めてるんだぞ」
「えぇ。わかってます。お兄様、ありがとうございます」
他人を蹴落とし、お兄様に最高の賛辞を得る。
あぁ、この瞬間は何事にも変えがたい至福の一時ですわ。
「失礼します」
生徒会室のドアが開き、他の生徒会役員が入ってくる。
メス豚23号の姿は・・・さすがに無いですわね。
233:聖のお兄様1 3/4
07/05/28 22:26:16 MpIATfqz
「如月先輩。何がご用ですか?」
ある日の放課後、私はメス豚23号から呼び出された。
場所は屋上。放課後は人が居なくなるため、色々なことをするには都合のいい場所。
「あなた・・・どうして、どうしてウソを言ったの!」
「ウソ?あの、それは」
「ピーマンのことです。冬也さんの好きなものはピーマンだと」
はぁ。この方本当に馬鹿ですわね。それくらい察しなさい。
・・・けど、頭まで豚レベルの女には無理な話ですわね。
「さぁ。何故です!言いなさい!!」
メス豚が私をフェンスに追いやる。
「ふふ」
「何がおかしいです?」
これから始まる、面白い事を考えると自然と笑みが浮かんでしまいました。
「聖さん・・・さぁ!!」
「ん?どうした?」
「え?」
屋上の扉が開き、校舎から誰かが出てくる。
お兄様だ。もちろん、私がちょっと仕掛けをして、お兄様がこの時間にこの場所に来るように仕向けましたのよ。
さぁ。ショータイムだぜ。
「如月さん・・・貴方何を」
「お兄様!!」
私は突然のことに呆気に取られているメス豚の腕を跳ね除けて、お兄様の胸の飛び込む。
「如月さんが、先日・・・あのピーマンを持って行ったのは私がウソを言ったって事にしろって」
「なに?」
「そうしないと、私のこと・・・あの・・・後輩を使って・・・お・・・犯す・・・って」
私がそこまで言って、メス豚はハッとなって、私を見る。
「な、何を!私は」
「如月さん・・・いや、如月海」
メス豚から守るように私を抱き締めてくれる。
あぁ、お兄様の温もり。気持ちがいい。
「本日付で生徒会副会長の席を降りてもらう。あと、この件は学長に報告しますので」
「そんな。冬也さん。私はそんな事は言ってませんわ。全部デタラメです」
「お兄様」
私とメス豚がお兄様を見る。
234:聖のお兄様1 4/4
07/05/28 22:27:04 MpIATfqz
「如月。俺が温厚でいるうちに、俺の前から消えうせろ」
あら、お兄様ったら・・・完全に地ですわね。
「ひっ」
メス豚はその場に立ち竦んでしまう。
情け無い。
それにしても、たかだか2年ほど同じクラスだったメス豚が、長年一緒に生活してきた私よりも信じてもらえると思ってたのかしら。
滑稽ね。
「ふぅ。いくぞ、聖」
「はい。お兄様」
私はお兄様の腕に抱かれたまま、校舎内に入っていく。
ふふ。あぁ、面白かった。
お兄様。生徒会長のお兄様はみんなのお兄様。けど、本当のお兄様は私だけのもの。
だから、この線より先には誰も踏み込ませませんわ。
「聖」
「はい?」
「ごめんな。怖かったろ」
「いいえ。お兄様が助けに来てくださると信じてましたから」
「そうか」
お兄様が私に微笑みかけてくれる。
この心のこもった笑顔を見る事が出来るのも、仮面を脱ぎ捨てたお兄様を見る事が出来るのも、私だけ。
「そこまで信用されてると、ちょっとむずかゆいな」
「嫌ですか?」
「いいや。兄として嬉しい限りだ」
「ふふ。お兄様。頼りにしてますわ」
「おう」
ふふ。お兄様。
線の内側に入ろうとする輩はすべて私が消してご覧に入れますわ。
だから・・・お兄様は私だけを見ていてください。
-続く
235:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:40:51 LeKqilxX
>>234
投稿終わりかな?なんにせよGJです
しかし兄・・・ピーマンだけでここまで豹変するとは思わなかったw
そして聖がとても策士でかわいくてキモくてハァハァした。
236:名無しさん@ピンキー
07/05/28 23:06:02 wQbicuhv
>>234
GJ!!おつかれさまです。
>さぁ。ショータイムだぜ。
にワラタw
聖・・・恐ろしい子!!!!
237:名無しさん@ピンキー
07/05/28 23:48:05 pzpGYeeM
>>234
まだ1スレが立ってから一月ちょい、
2スレ目も前半だってのに新人と新作がわんさか沸いて来やがる。
兄への好意を隠さないのはキモウトだ。
兄への好意を隠すのは訓練されたキモウトだ。
本当にここは良スレだぜ、フゥーハハハァー!!
なAAを張りたい程にマシンガンGJ!
238:名無しさん@ピンキー
07/05/28 23:54:04 V/XY9efn
キモウトもあれだが、兄がそれ以上にキモイw
どんだけピーマン嫌いなんだ。
239:名無しさん@ピンキー
07/05/29 00:25:22 6cI3Z6yW
ピーマンでブチ切れワロス
240:名無しさん@ピンキー
07/05/29 00:32:03 Qz2Mqo/7
キ
241:名無しさん@ピンキー
07/05/29 00:37:14 ixIlzv4z
きっと昔近所に住んでた女の子に尻の穴にピーマン入れられたんだな。
それを見ていた聖がご自慢の策士っぷりでその子を世間から抹殺…
あれ?何書いてんだ?俺。
242:名無しさん@ピンキー
07/05/29 00:56:50 6JkzVCMh
>>241
随分とマニアックなプレイだなw
243:名無しさん@ピンキー
07/05/29 01:28:03 wydXDfrH
>>216
ちょw兄壊れていっとるww大丈夫かwww
>>234
お兄様って読んでくれる妹はいい(*´Д`)
244:名無しさん@ピンキー
07/05/29 01:37:58 ziribODc
>>234
これはキモい!
つーか、ひどい!
つーか、お兄様どんだけピーマン嫌いなんだよww
でもやっぱりGJです。続き期待しとります。
245:名無しさん@ピンキー
07/05/29 02:13:30 sMWKPDRW
超期待作に神GJ!!
いや~キ モ い
だ が そ れ が い い!
なぜこんなに嫌いなのかネタ的な外伝でも書いて欲しい位のクオリティーだな。
おそらくキモ姉に尿道にピーマンをry
246:名無しさん@ピンキー
07/05/29 03:51:17 wzjPK7Lv
>>245お兄ちゃん…
あの姉という仮面を被った年増豚なんかに入れて欲しいみたい。
あの雌豚が私程お兄ちゃんを愛してる訳ないのにありえないわ。
年を食った豚はなおさら処分ね
と書いてある妹の日記を発見し、
最近姿を消した姉を>>245が探していると背後から忍び寄る影が……
247:名無しさん@ピンキー
07/05/29 05:41:40 8LTtZATL
なんというキモウト
むしろ兄に萌えてしまった
このスレの職人は正しく(´神`)
惜しむらくは姉分が最近不足していることか
248:名無しさん@ピンキー
07/05/29 06:12:56 5JpW/NKq
>>216
命に関わるキモ可愛さだな。
249:名無しさん@ピンキー
07/05/29 06:18:45 5Jrs/tgc
_,,, -―- 、
__,,,,,_ /、,:.-‐:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
/:::::::: :::::` 、 'ノ:.`‐-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:__ |
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ _i:._:., - ‐‐::::':::::::: ̄:::: ̄:::::` 、
,':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l , -‐ '::::::_:: -ー''" ̄ ̄ ̄ヾ;;;;;;;;!:::::::::::::::::::::)
|:::::::::::::_ ,==ニニニ_=_=(::::::::::::::::_r¬、( ̄~il ̄ ̄ ̄; ̄`i::::__;;, '"
( `丶、 _,!-‐'";;;;/′ ___,,- ,,/.  ̄ ̄ ヾ/__,`''‐" ! )ノ ´ >>234と全ての神職人にありったけのGJを
ヽ、 ヽ、 `ヾ;;{_ ,_ゝ ヽ___、 `l´
_ヽ__ ` ‐-、/i\` ==/ _ l〈ノヽ | _)ヾ` 、
.(____(__; ̄ ̄ヽ| ` 、__ __i: : `゙ 、 )___,, -‐''''' " /: : \`: : '' ―-
ヽ,______) ̄ l /: : : : : : : : : `ヽ、 __, '"ヽ: :\ , ': : : : : :ヽ: : : : : :
.ヽ__ノヾ 彡ヽ /: : : : : : : : : :, -'´: : : : : : /: : : :\ /: : , -‐ '"`: : : : :
`' 、__ 丿ヽ、/: : : : : : : :_ /: : ::、: : !: : : :\: : : : \ / /´: : : : : : : : : : :
`‐--'" \: : _ _,'__: `ヽ、: : ヽ,|', l二二 ヽ、: : /'": : l二二二: : : : : :
\ ゙`ヽ\: : : `ヽ: : : : : : : : : : : : : : :ヽl: : : : : : : : : : : :
250:名無しさん@ピンキー
07/05/29 10:54:56 ttHcWPds
>>231-234
GJ!!
兄ピーマン嫌いすぎバロスwwwww
もしかしたら連作短編?
wktkー!
251:名無しさん@ピンキー
07/05/29 12:35:06 OIVhUc6A
ところで、あれだ。初めのほうの
真理が誰に告られても振っていた
っていう伏線はこれから活きてくるんだろうか。
それとも本当に好きな人が今までいなかっただけなのだろうか
252:名無しさん@ピンキー
07/05/29 14:19:36 0Zrlz6Eg
うはw
キモすぎww
253:名無しさん@ピンキー
07/05/29 17:05:59 stgwBhXo
どうあれ理理が幸せだといいなあ
あ、お兄ちゃんを一生束縛してうふふふふふふふってのも幸せに入るんだぜ
254:名無しさん@ピンキー
07/05/29 17:57:35 gVBguGS5
兄が別の意味で妹以上にキモイなw
255:名無しさん@ピンキー
07/05/29 18:41:20 1e2Gbfy+
そう言えば、ここで言う妹は実妹限定なのか、「妹」なので義妹も入るのか。
256:名無しさん@ピンキー
07/05/29 18:58:58 Irj7Xn4b
どっちでもいいんじゃないか?
まあ俺は実妹派だが
257:名無しさん@ピンキー
07/05/29 19:14:32 ttHcWPds
>>255
既出のSSには従妹もいるし義姉もいるぞ。
258:名無しさん@ピンキー
07/05/29 20:03:19 LyFYaTUE
幼馴染だけど「お兄ちゃん」って読んでるのはナシか
舞‐HiMEの詩帆みたいな娘
あれはいいキモウト属性だった
259:名無しさん@ピンキー
07/05/29 20:37:49 fTQ0BC4+
幼馴染みスレあるし
260:名無しさん@ピンキー
07/05/29 20:54:19 1e2Gbfy+
義理かどうかは問題でないのな。
いや、余所スレで二話まで書いた奴があるんだが、
もういっそ少しだけ変えてここで投下しようかとも思ったもんで。
(まあやらんだろうが)書くかはともかく、参考になった。
ちゃんと答えてもらえるこのスレが好きだ。
261:名無しさん@ピンキー
07/05/29 22:15:03 ggzysMOs
>>260
ちゃんと答えるがそれはそこのスレで投下しとけ
262:名無しさん@ピンキー
07/05/30 00:50:28 arjFQ750
幼馴染スレを見る限りでは保管庫の状態が見るに耐えないね・・
ちゃんと整理されていなくて読みづらい・・
263:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:05:50 haT2qlmy
このスレって嫉妬スレ住人の立てた荒らし用ゴミ箱だったんだな。かなり萎えた
264:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:47:01 YSIrsxX9
立った経緯は関係ない。
大切なのはここが良スレという事実のみ。
265:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:50:46 +6FXrhgT
残り物には福がある。
現に、ここの伸びの速さは嫉妬・ヤンデレスレより上なんだぜ?
彼らは嫉妬スレの現状を維持するために、
キモ姉・キモウトという素晴らしい未来の可能性を放棄したんだ。
キモ姉は嫉妬を内燃し、
キモウトはヤンデレを内包する。
籠も綾タソの話もここがなければ生まれなかったんだしな。
被造物(このスレ)は創造主(スレ立て人)の手を放れるもの。
萌え尽きるにはまだ早いぜ!
266:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:56:04 OtWbzcES
切り出して純化したればこそ産まれた物の気もするけどな、まあ結果論的にうまくいってるんだから文句無し。
多分嫉妬スレに残ってたら発展はなかっただろうし双方に良かったんでないか?
267:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:59:17 2QP3LuSo
>>265
>キモ姉は嫉妬を内燃し、
>キモウトはヤンデレを内包する。
……だから重複だってスレ立った時に揉めたんじゃないか
結局区分けできてないじゃん
268:名無しさん@ピンキー
07/05/30 14:25:13 +6FXrhgT
>>267
まあ今んとこそういうのが多いと言うだけで、今のところこのスレでは
嫉妬
ヤンデレ
は必須ではないぞ?
議論と言うか、特に嫉妬に関しては話は出た。異常に兄・弟を愛していればいいわけだからな。
それに、嫉妬やヤンデレの前にキモ姉・キモウトでなければならないから。
嫉妬・ヤンデレは結果の一つで前提ではない。
メインにもなればサブにもなれば、全く出ない事も(これから)あり得る。
細かいこと言うなら、弟は見た!とかみたいに嫉妬(の対象になるキャラ)が出ないのもありだし、
兄・弟の意中の女を調教して差し出す、という嫉妬のない忠誠みたいな尽くすタイプもここはあり。
必ず女が二人以上居て、必ずもう一人への嫉妬が起こる嫉妬スレとはそこが違う。
ヤンデレも、
病んで行く様を描くんじゃなくて、初めから病んでる(兄・弟に末期的異常性愛)キャラが出るのが多いしな。
部分的には同じだが、別のものをメインにより純化・特化したのがここ。
似て非なるものであり、求められるものも違う。
まあ、オレも書き方が悪かったな。スマソorz
269:名無しさん@ピンキー
07/05/30 14:42:15 KPLix4rL
姉は褌、尻フェチ
弟は大人しい小学生
こんなの読みたい
270:名無しさん@ピンキー
07/05/30 16:37:55 FYDTDLfj
>>265
>彼らは嫉妬スレの現状を維持するために、
>キモ姉・キウトという素晴らしい未来の可能性を放棄したんだ。
いや、放棄はしてないと思うぞ。
あっちは嫉妬や修羅場があればどんなヒロインでもOKというオールラウンダーとすると、
こっちはキモ姉・キモウトに特化したスペシャリスト
271:名無しさん@ピンキー
07/05/30 17:39:36 UaiYitAT
お久し振りです。
およそ一週間ぶりの宇宙妹投下させて貰います。
272:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:44:18 UaiYitAT
山を登る理由を問われた時、ある登山家はこう答えた。『そこに山があるから』と。
では、俺が兄である理由はなんだろう。『そこに妹がいるから』か? いや、違うな。
俺がここにいるからだ。
運命の赤い超紐理論
第1話 妹はいるか?
273:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:47:17 UaiYitAT
梅雨に入る直前の空気は、何処か生暖かく、それでいて肌寒い。
夜の空気には不思議が溢れている。そんな事を、不思議な妹を連れて思うのだ。何故こんな事になったのか……
「ああ……ずっと兄さんの家に上がってみたかったの。いつも狭そうにしてたよね」
余計なお世話だ。一人暮らしの男の部屋の、何がそんな嬉しいのかわからないね。
家に来るのも俺は渋ったのだが、有ろう事か泊まるつもりだったらしい。そこから交渉に交渉を重ね、ようやっと家に上げるだけに落ち着いた。
我ながら自分の交渉術には恐れ入るよ……
「あれ、お兄ちゃんそんなの食べるの?」
視線は幸せに比例した重量を内包するビニールに向けられている。
ああそりゃもうバリバリ食べるね!
「そーゆーの、体に良くないって父さん言ってたよ。せっかくだから私が作ったげるね」
ほう……手料理か。そりゃ作ってくれるのは嬉しい。
だが美味いのか、その前に食えるのかも怪しい。
変な宇宙生物何か食いたくないし、兄に愛を語る変態妹だ。何か混入しないとも限らない。
……よし、明日の朝、俺が見てる所でのみ許可する。
「ほんと? 楽しみにしててね。それじゃ、私今日先寝るから、添寝したかったらいつでも」
何が楽しいのか分からんが、微笑みなんぞ浮かべて余ってるスペースに布団を敷く。
……何か忘れてる気もするが、さっさと食って俺も寝よう。
274:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:48:39 UaiYitAT
しまった、俺はヤツを泊める気は無かった筈だ!
思い至っても時既に遅し、時計の針は七時を指している。……いいや、朝食作って貰おう。ほれ、起きろ。
「ん……んーぁ。おはよ、兄さん」
おはよ。とりあえず顔洗って来るなりして朝食を作ってくれ。
「……うん、待ってて~」
フラフラしてて多少危なっかしい。危なっかしいが……これはもしや、便利な家政婦として役立つんじゃないか?
一家に一人宇宙人の妹!
……料理の監視しなきゃな。
意外にも、料理の腕前は語る所も無く、出て来た料理にも語る所は無かった。強いて言うとするなら昼食が大量に用意されたな。
「どうかな? いっしょーけんめいに作ったんだけど……」
ふつー。食えるよ。
「そうじゃなくて、他に何か言う事とか……」
そうだなー、朝は和食のが良いや。
「そう……」
ご馳走さまでした、と。さて、ちょっと早いが学校へ向かうか……言って置くがな、
「行ってらっしゃい、兄さん。はいお弁当」
……そうだよな。ついてくるなんて、普通は言わないよな。
髪と目の色がちょっと違うだけで、後は頭弱い意外は普通の妹だもんな。
見た目はデカいけど、中身はまだ子供なんだ……兄として、妹の見本になるようにしなきゃな。行って来るよ。
275:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:49:51 UaiYitAT
学校。そこにはドラマが有る。
青春をそれと知らず謳歌できる瞬間が詰まっている。
例えばそれは夢だったり、例えばそれは恋だったり、或いは
「転入してきた片岡エリです。皆さんよろしくお願いします」
宇宙人の妹が転入して来る、なんてのもそうかもしれない。
「じゃあ、片岡さんは片岡君の隣の席に着いてね」
俺の方へ歩いて来る妹に、当然視線が集中する。
日本人離れした容姿は、やはり日本だと目立つ。そう言えば先生も、
「よろしくね、兄さん」
近い、近いよ。小学校じゃないんだから机をくっつけんな。そして兄妹で有る事を隠さなくて言いのか。
「ふふん。宇宙の英知ー。私達が兄妹なのも、こうして机をくっつけるのも当たり前の事として認識してるの。だから、仲の良い人が隣同士なら皆当たり前に机をくっつけるよ」
なるほど、宇宙すげぇ。
276:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:50:44 UaiYitAT
そんなすげぇ宇宙の技術だが、転入生に休み時間になる度に質問攻めするのは当たり前の事らしく、縋るように俺へ視線を向けて来る。
それくらい想定して置け。無論転入生の兄としてそこそこ注目を集める俺には助けるなど不可能だがな!
「やっと昼休みだねぇ。お弁当出して。一緒に食べよ」
おいおい、そんな事言っても、どうせ人に囲まれて……ない。
「やっぱり、兄妹でお弁当食べるのは常識だよね」
おまえはホントにどっかおかしいよな。
「はい、あーん」
ところで、八十年三食三十分だったとして、時間にすると2563200分に及ぶ。
確かにゆっくりと食事を取る事も大事だろう。だが、人生は食事だけが全てじゃない。如何に早く食事を終わらせるかも重要じゃないだろうか。
ってな訳でご馳走さまでした。
「……口早く動かすの、ヒャザーみたいで、兄さん可愛い……」
この日はもう特別な事は何も起きなかった。精々知らない人間が妹の事でやたらと馴々しくするのを煩しく思った程度で、結局二人で帰って二人で同じ家で寝る。それだけだ。
277:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:51:46 UaiYitAT
結局二人で登校する事となった二日目。てきとーな話題を相槌も打たずに聞いて歩くのが最近のマイブーム。主に昨日の帰りから。
一応ちゃんと聞いてはいるんだ。頭に入らないだけ。自己弁護終了。良心も納得してる。
新たな当たり前にクラスメイトが添うように、俺も新たな当たり前に慣れつつ有るのかもしれない。
当たり前に下駄箱を開ける。と、封筒? ……悪戯か。一応後で確認しとこう。
「どうかした? 何か有ったの、兄さん」
何もねーよ。何か有ったら真先に頼るから。
「そ、そう? 約束だからね。私も何も無くても兄さんに頼るからね?」
迷惑だ……いや、こいつがどうしようも無い事を俺がどうにかできるとは思えない。……なるほど、案外正しいな。
まぁいい。御不浄に行くとしよう。そこ以外で封筒を開けるのは面倒だ。
「一緒に行って良い?」
278:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:53:02 UaiYitAT
『ずっと見てました。ほうか後、体育かんうらで待ってます』
以上が手紙の内容だ。差出人不明な時点で行く気が無くなる。
その上呼び出す場所が人目に付かない場所なのは、やましい事をすると表しているも同然。
字が丸っこいのは女性っぽい雰囲気あるが、使っている漢字量からは知能の低さが滲み出ている。
それになにより、俺は小学生の時、これに酷似した物をラブレターみたいなハッピーアイテムと勘違いしてクラスの笑いものにされた事も有る。
あれ以来手紙の類いの誘いは6つ全て無視して来た。今さら行く理由も無いだろう。
「あ、兄さん。遅かったね……何か合わないの有った?」
いや、十分食えるの出して貰ってるよ。気にするな。
「そう……じゃあ、えっと、トイレに確認しにいって良い?」
その日結局俺は体育館裏に向かわなかった。
それで終わったと思ってたんだ……
279:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:55:31 UaiYitAT
『昨日来てくれないなんて、お兄ちゃんひどい~!今日も同じ所で待ってるからね!約束だよ!』
下駄箱で見付けた物だ。どうやらこの程度の漢字なら楽に書けるらしい。
俺にはお兄ちゃんと呼んでくれる妹はいないんだが、一応聞いて見るか。
手紙とか最近出したか?
「伝えたい事は体と口で伝えるから、あまり使わないなぁ」
なるほど……昨日ホントに体育館裏に誰かいたのか?
……いや、妹と帰る所を見られただけかもしれない。
そうだ、差出人はきっと妹狙いなんだ。
だから俺を体育館裏に呼び出し、妹が一人になった所に声を掛ける……と。
これなら妹を見張っていれば俺が来たかどうか判断できるから、わざわざ体育館裏で待つ必要もない。
そうと判れば怖い物は無い。今日も行かずに帰るとしよう。
「そうだ兄さんは知ってる? 死体って精液を入れたら復活するかもしれないんだって。
兄さんになら、生きてる内にされても良いよ……」
280:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:56:40 UaiYitAT
『どうして来てくれないの?わたしはお兄ちゃんの事大好きなのに……今日も待ってるからね、絶対来てね?』
ふむ……今日もか。
こいつも懲りないヤツだ。
昨日一昨日と普通に帰ったからな……今日は変則的な何かが必要かもしれない。
「ねぇねぇ兄さん。こんにゃくを固めた物が喉に詰まると大変なんだってね……。
それで、他意は無いけど買ってみたんだ。兄さんが喉に詰まったら吸出してあげるから、兄さんもしてくれるよね」
そうだ、今日暇か? ならちょっと二人で学校残らないか?
「ひ、暇……だけど。ま、まま、まさか、人口呼吸の練習?
それだったら歯磨かないと……昼休みの内に歯ブラシとガム買って来よ。
あ、兄さんはそーゆーのしなくて良いから。私が綺麗にして上げるから、どれだけ汚れてても……でも他の女の汚れは付けないでね?」
281:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:58:28 UaiYitAT
『待ってたのに~……今日も待ってるからねっ!来なかったら明日絶対ふき出させてやるんだから!少しでもふき出したらかならず来る事!』
昨日帰ったのは七時……宇宙パワーも炸裂してたから、ホントに俺を待ってた可能性も出てきた。
そこまで俺を憎むヤツに心当りなんざ無いが、こーゆーのはいつだってやられた側の方が覚えてるもんだしな。
しかし不気味だな……こうやって毎度毎度手紙を出されて、それに返事もしないだなんて。
自分が酷く不義理なヤツに思えてくる。
それに、この手紙にも、下手なりに想いが込められている。こんな出会いでなければ、友と呼べたかもしれない……惜しいヤツだ。
「ネット上にデータを保存するサービスは全て著作権侵害で違法になるみたいだよ。
これに倣って、兄さんを脅かす存在は全部兄権侵害で違法にしたらどうかな。
まず、学校はノイズが多すぎるから廃止でしょ。担任の─」
エリ、今日の夜は美味いのが食いたいな。先に帰ってさ、最高に美味いの用意しててくれるよな?
「─うん! 約束する。残さず食べてね。それと、デザートは私だから!」
282:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:59:44 UaiYitAT
決戦の時、だな。
この手に持った封筒一つ。掴み取るのは栄光かはたまた……
昨日の様子から察するに、さぞかし面白いネタが書いてあるんだろう。
そして、わざわざ妹を先に返したにも関わらずこの手紙が有るって事は、狙いはどうやら俺一人みたいだ。
いざ、勝負!
『月刊爪切り』
月刊と名乗るからには月に一度は刊行しているのは間違いない。
しかし爪切りの雑誌をそんなハイペースで出して一体誰が買うって言うんだ。
なにより、こんなくだらないネタで身構え過ぎてた俺が噴出してしまった事が何より憎い。
冷静に考えるまでも無く、つまらない。
だが、笑っては行けないと思わせた時点で、この勝負の決着はついていたのか……。
完敗だ、チクショー。約束通り、放課後の体育館裏に行ってやるさ。
「社長は下の者に猥褻な行為をしても良いらしいよ。妹は兄と対等だけど、やっぱり兄の方が立場としては上だよね。
お嫁さんに採用してあげるって言いながら猥褻な行為を働かれたら、私きっと逆らえないな……」
283:運命の赤い超紐理論
07/05/30 18:01:01 UaiYitAT
妹を撒くのに一時間程掛かったが、傷の一つも無く無事体育館裏に到着した。
さて、鬼が出るか妹が出るか。
「お兄ちゃーー…………ん!」
どうやら出たのは妹のようだ。
弟である可能性も0じゃないが、俺には弟はいない。
いや、妹もついこないだまでいなかったんだから、弟が出て来てもおかしくはないか。
「あわわ、お兄ちゃん? 大丈夫? 何処見てるかわかる?」
何を見てるってグラサン掛けたお昼の顔の人が脱皮する所を……
「お兄ちゃんしっかりして、グラサンは学校にないよ」
鼓膜に響く渇いた音と、頬に残る熱が夢心地から残酷なまでの現実へと引戻してくれる。
ついでに頭から突込まれた腹が痛く、鈍痛の上には俺を『お兄ちゃん』と呼称する女の子がいた。
俺をお兄ちゃんと呼ぶからには妹に近い存在なんだろうが、兄と呼ばれる程親しい知り合いは俺にはいない。
飽きずに手紙を送って来る変態だ。観察しない訳にはいかんな。
まず気になるのが体重……馬乗りになられても重くないな。
当然それに合わせて身長も低い。
推定年齢11歳? 服は体のラインがわかる大胆なスーツ。……未来系の。
全体的なカラーはオレンジやイエローで、頭には犬みたいな耳が生えている……なるほど、確かにこれくらい変人なら、俺の妹を名乗っても良いかもしれない。
284:運命の赤い超紐理論
07/05/30 18:02:14 UaiYitAT
で……コマだっけ?
義妹で良いの?
「うん。わたしね、お兄ちゃんに会いに来たの」
そっか。じゃあ目的達成だな。それじゃもう良い?
「ううん。ダメ。お兄ちゃんと、子供作るの」
あ、足は肉球付いてそうだ。触りたいなぁ。靴とか履けなさそうだ、犬みたいな足だし。
「お兄ちゃん、おねがい……」
お願いされてもな……そもそも、妹な訳だろ?
それに、そんな体ちっちゃいんじゃ……
「妹だけど、お兄ちゃんの妹の妹だから、お兄ちゃんとは血が繋がってないよ」
……あぁ、十二の義妹の一人か。そんな話覚えちゃねぇよ。
「それにね、わたしはもうせい体だから、これより大きくならないんだ。」
成体……? ……因みに年齢は?
「14才」
血は繋がってない、体は大人。一見問題は無い……が、14の子供に手を出す訳にはいかんよな。
そも、俺で有る必要は有るのか……
「後ね、わたしたちをにんしんさせるには、とくしゅないでんしがひつよーなの。もちろん、お兄ちゃんはそれを持ってるよ」
へぇ、妹の親……つまり親父がそうだったからか。運が言いのか悪いのか。
285:運命の赤い超紐理論
07/05/30 18:03:27 UaiYitAT
残る問題は恋愛感情か。
外見には問題無し。愛くるしい顔や仕草が保護欲を刺激する。
更に何年経とうと成長しないとの事だ。
つまり、五年もしたら……だ。
五年だ。五年経ったら前向きに考えるよ!
「それって……」
皆まで言うな! さぁ、お兄ちゃんの胸に飛び込んでおいで!
「お兄ちゃあーん」
左右で結んだ髪が一歩ごとにピコピコ揺れ、同様に耳も上下する。その全てが可愛らしい。
横から滑り込み、母親が同じ妹を蹴り飛ばす妹にも見習って欲しいものだ。
「あうぅ……痛いよ」
あ~、よしよし。大丈夫かコマ。
「兄さんの挙動が不審だったから来てみれば……何なのこれは」
……なんだろうかこの状況は。
コマが妹に怯えるのは、まあわかる。いきなり跳び蹴りかますようなヤツに怯えるなと言うのも無理が有る。
しかし妹は、何故にこんな不機嫌なんだろう。……独占欲か。なるほど。
それが解った所で、俺には理解できない言語で会話している二人に割り込む勇気は無いがな!
286:運命の赤い超紐理論
07/05/30 18:05:17 UaiYitAT
意味不明な会話が終わる。何を話してたのか気になる所だが、コマが名残惜しそうに振り返りつつ帰った所を見ると、妹の勝ちのようだ。
……五年後が楽しみだ。
「何考えてるの、に・い・さ・ん?」
いや、ちょっと五月晴れについて考えていた。
「五月晴れ……? 五月に晴れる事?」
ああ、多分そうだ。五月の晴れの日が、俺は好きなんだ。
「ふーん。じゃあ、私も好きになるね」
何か言いそうにしていたが、大した事は言われずにその日は終わりを迎えた。
それよりも、次の日にも手紙を出された事の方が驚きだね。
『五月晴れは、梅雨の合間に晴れる事で、今は五月かんけいないんだよ。
べんきょうになって良かったね、お兄ちゃん』
妹のいない時に俺に手紙を手渡し、照れたように走り去る。
それを後ろから眺めていると、どうしても目を惹くのはピコピコ動く耳と髪。
妹ができて一週間が経とうとして、俺には一人、妹が増えた。
287:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:08:29 UaiYitAT
以上です。
これがキモウトなのかわかりませんが、これからも多分キモウトVS義妹で話を作っていくと思います。
では、義妹が見付かり次第、第二話「あなたに、妹を…」に取掛かる事にします。
それまでさようなら……
288:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:16:46 qTey/gLv
>>287
つまんないから投下しなくていいよ
289:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:20:05 BYbvb36h
>>288
禿同
これはつまらん
290:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:24:30 BYbvb36h
>>289
禿同
これはつまらん
291:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:34:07 OkL8TIRY
>>287
短編ならいいが長編となると主人公の脳内活動が多くなる。
つまり、主人公台詞に
「」つけないと後に見づらくなるかもしれない。
作者の自由だが付ける事を奨める。
あと若干描写不足な点があるから気をつけた方がいい。
今後に期待する。頑張ってくれ。
292:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:43:58 n1+EO+8q
>>290
www
293:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:52:07 x3D4hVVt
>>290
wwww
294:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:56:00 VlPQ1Rhu
>>287
宇宙妹クオリティ高えw コマだから犬系か……
ちと咀嚼せんとわかりにくい文章だがおもしろい
295:名無しさん@ピンキー
07/05/30 19:57:59 Zi7ZPtjp
>>287
GJ!
普通に良かった。続きに期待してます。
296:名無しさん@ピンキー
07/05/30 20:00:23 OaZHQZvA
>>294
>ちと咀嚼せんとわかりにくい文章だがおもしろい
普通に文章が駄目、と指摘してやれよw
297:名無しさん@ピンキー
07/05/30 20:49:12 ZNqcPVD8
自演ピエロ
298:名無しさん@ピンキー
07/05/30 20:56:52 0xJpXnv8
VIPPERうぜえなあ
299:名無しさん@ピンキー
07/05/30 22:19:17 ClSVapF5
なんでもかんでもVIPPERのせいにするな
300:名無しさん@ピンキー
07/05/30 22:19:44 jGqPvOfG
スルースルー
301:名無しさん@ピンキー
07/05/30 22:48:41 +6FXrhgT
やれやれ。
皆、まだ分かっていないようだな。
一連の荒らしレスは、
スレ住人の意識をキモ姉・キモウトから引き離し、
その隙にキモ姉・キモウトを排除しようと嫉妬、
あわよくば神職人を監禁して独占しようとする泥棒猫の策略だったんだよ!
んなことより>>287にGJしよーぜ!
302:229 ◆49or6cS0q.
07/05/30 22:58:15 S/f4KJvn
聖のお兄様の第二回目です。
GJしてくれたみなさん。ありがとうございます。
けど、ピーマンにあんなに食いつかれるとは思わなかった。
機会があれば、何か書きます。
今回もまだ完結しません。もう、2・3回続くのでお付き合いお願いします。
303:聖のお兄様2 1/5 ◆49or6cS0q.
07/05/30 22:59:07 S/f4KJvn
「冬也さん。聖さん。学園の方はいかがですか?」
お母様が聞いてくる。
今日は珍しくお父様とお母様とお兄様の四人そろっての夕食です。
普段はお兄様と二人きりなので、家族全員がそろうと嬉しいものがあります。
「えぇ。生徒会に部活に、毎日が充実しています」
「私も、お友達も大勢出来ましたし、学業も運動もおろそかにしていませんわ」
お父様とお母様が嬉しそうに頷く。
私はお父様とお母様が好き。お父様とお母様とお兄様が居ればそれで十分。
「ところで冬也。そろそろ浮いた話の一つでも出て来ないのか?」
「そうですね。実は・・・と言いたいのですが。まだです。少し理想が高すぎるせいかもしれませんが」
「あら。学園の女生徒でも冬也さんのお眼鏡に適わないなんて、随分と高い理想を持っているのですね」
お母様の言葉にお兄様が微笑む。
「僕の理想は、長い黒髪と透き通るような白い肌。慎ましやかで優しい、和服の似合う子ですから」
「ほう。それにしても、なんだかひ・・・聖のことを言っているみたいだな」
「え・・・えぇ。そうですね。確かに聖は僕の理想にぴったりです。というより、聖と一緒だったから理想が高くなってしまったのかもしれませんけど」
そう言って、お兄様とお父様が声を上げて笑い出す。
お兄様・・・
テーブルの下で握り締めた左手から流れる血が、カーペットの染みになってた。
「くっ!」
私の投げた枕は、壁に当たって弾け、中の綿をそこいら中に撒き散らしていた。
憎い。居なくなって尚、お兄様の心を縛るあの女が。
『長い黒髪と透き通るような白い肌。慎ましやかで優しい、和服の似合う子』
お兄様の言葉が頭をよぎる。
これは私のことではない。
私のような紛い物のことではない。
「イラつく。頭にくる。腸が煮えくり返る」
はぁはぁはぁ・・・少し、地が出てしまった。
落ち着け・・・落ち着くのよ。
けど。結局、私はあの女に負けているだけ。あの女に勝った例が無い。
いつまで。いつまで私はあの女の亡霊に悩まされなければならないのだろう。
304:聖のお兄様2 2/5 ◆49or6cS0q.
07/05/30 23:00:33 S/f4KJvn
「ありがとう。美味しかったよ」
「えへへ。そう言ってもらえるとすごく嬉しい。じゃあ、また来るね」
「あぁ。今日はありがとう」
私とすれ違いに見た事の無い女子生徒が生徒会室から出て行く。
「何かあったんですか?」
「ん?あぁ。これを貰ったんだ」
お兄様の机の上には、子瓶に入った黄色い・・・プリンが並べられていた。
「今日の調理実習で作ったのを持って来てくれたんだ」
お兄様は笑顔で中身の詰まったプリンにスプーンを突き刺す。
見ていると、自分の心臓まで突き刺されているようで、すごく苦しい。
「先ほどの方のお名前。教えていただけますか?」
「え。なぜだい?」
「いえ。お兄様の代わりに私から何かお礼をと」
「いや、それは俺がちゃんと」
「ちゃんと出来る人は、妹の誕生日を二回連続で忘れたりはしませんわ」
お兄様が言葉に詰まる。
「・・・2年の同じクラスの五十嵐ひとみさんだ」
「五十嵐・・・ひとみ?」
「あぁ。別に珍しい名前でもないだろ」
お兄様が珍しく苦笑する。
「そうですわね」
お兄様は本当に美味しそうに食べている。
私に言ってくれればすぐにもっと美味しいものを作るのに。
「聖もどうだい?」
「いいえ結構です。一日の食事量は決めてますから」
「そうか?美味いんだけどな」
腹が立つ。
ひょっとして、お兄様が甘いものを好きだと知っての行動かしら。
ふふ。
どっちでもいいわ。彼女・・・もうお兄様に会えないのですから。
305:聖のお兄様2 3/5 ◆49or6cS0q.
07/05/30 23:01:30 S/f4KJvn
もう何年も前に廃屋となった雑居ビルの一室。
「んっ・・・ぁぁっ・・・ゃっ・・・はぁっ」
私の目の前で醜女が3人の男に輪姦されている。
口に秘部にお尻。
太い男根をくわえ込んでよだれをたらして。
「どう?」
「あぁ。なかなかいい具合だな・・・んっ。出すぞ」
「ふ、ふがぁっ・・・げほ・・・が・・・えほっ」
口に咥えさせていた男が、口の奥深くまで男根を突き入れ、中で精液を吐き出す。
溢れ出た精液が、口の端から漏れてくるのが見えた。
「う・・・げほっ・・・えほ・・・えほ・・・あ、あ、あぁぁぁっっ」
後ろの男たちも果てたのか、二人の男たちも女から離れる。
あぁ。すごい量の精液。
鼻が曲がりそうな匂いね。
「無様ね」
私はうな垂れた女の髪を掴み、顔を持ち上げる。
五十嵐ひとみ。
そう、数時間前にお兄様に取り入ろうとした女だ。
「うぅ・・・ぁ・・・聖・・・さん?」
「はじめまして。五十嵐先輩・・・そして、さようなら」
そのまま後頭部を掴み、地面へと顔面をたたきつける。
「うがっ」
グシャリという音と共に、アスファルトに赤い染みが広がる。
「あぁあ。聖。こいつ何したんだ?そこまでやる必要あるのかよ」
「さぁ。でも、これくらいやらないと気がすまないのよ」
私は心の中に湧き出した黒い感情に身も心も委ねる。
「さて。あんた等はもう気が済んだでしょ。後は、私の時間よ」
そう言って、私は立ち上がると、女の脇腹らを力いっぱい蹴り上げる。
「ひぐっぅ」
あぁ・・・久しぶりだ。この感触。
人を壊す感触。気持ちがいい。
「・・・ど、どうして」
顔面を真っ赤にしながら女は顔を上げる。
なかなかタフだな。
306:聖のお兄様2 4/5 ◆49or6cS0q.
07/05/30 23:02:15 S/f4KJvn
「どうして?はっ、決まってるだろ、名前だよ名前。私はその『ひとみ』って名前が大嫌いなんだよ!!」
今度は後頭部目掛けて足をまっすぐと振り下ろす。
先ほどよりももっと、醜くて鈍い音。
あぁ・・・壊れた。
私の体をゾクゾクとする、快感が駆け抜ける。
「はぁ・・・さ、これで最後。おい、そいつをそこの椅子に座らせろ」
男の一人が、醜女を椅子に座らせ、大きく足を開かせる。
顔はぐちゃぐちゃにつぶれてるけど、息はあるな。
「・・・うぅ・・・」
よしよし、死んでもらっちゃ困るんだよ。少なくとも、最後の瞬間まではな。
私は、カバンから電球を取り出す。
そして、それを女の開ききった膣に押し込んだ。
「ぐっ」
「おい、そこのバット貸せ」
「聖。そいつはさすがにやりすぎじゃ」
「いいから貸せって言ってんだろ!!」
私は男に渡されたバットを持つ。
先端で下腹部を軽くたたくと、硬い電球の感触がわかる。
「・・・や・・・め・・・・・・やぁ」
私はちょうど女の後ろに鏡が立っているのに気づいた。
鏡に映る目つきの悪い女。もちろん私だ。
そこに映る私は、普段の私ではない。
長い黒髪は跳ね、口元には悪魔にも似た笑みを浮かべていた。
「死ね」
私はバットを女の下腹部目掛けて振り下ろした。
307:聖のお兄様2 5/5 ◆49or6cS0q.
07/05/30 23:03:26 S/f4KJvn
「聖。今日は遅かったな」
「えぇ。少しわからない問題があって、先生に教えていただいていたので」
「そうか。うんうん。聖は勉強熱心だな」
今日は私とお兄様二人だけの食事。
ううん、今日はではない。今日もだ。昨日が珍しく四人だったというだけだ。
そう四人。
私とお兄様とお父様とお母様。
四人でいい。三人でも五人でもだめだ。四人。
「どうした?疲れでもでたか?」
「え?えぇ。そうですわね・・・今日は早めに休むことにします」
「あぁ。それがいい。お前に風邪でもひかれたら生徒会が成り立たん」
「あら。お兄様一人で十分でしょうに」
私とお兄様が笑う。
私の前で仮面をはずすお兄様とお兄様の前で仮面を被る私。
仮面はとてもとても窮屈だ。
けれど、それを我慢すればお兄様が私に微笑みかけてくれる。私を見てくれる。
「冬也さま。聖さま。旦那さまからお電話です」
家のお手伝いさんが、息を切らせながらダイニングに駆け込んでくる。
その様子にお兄様が電話を奪うように取る。
「もしもし、父さん?何かあった・・・え?」
「どうしましたの?まさかお父様とお母様に何か?」
「本当なの!?・・・うん・・・うん・・・わかった」
お兄様の顔が見る間に笑顔へと変わる。
杞憂でしたね。何か嬉しいしらせのようです。
お兄様は電話をテーブルに置き、私の方を見る。
「それで、お兄様。何がありましたの?」
私もお兄様の笑顔につられて笑顔になる。
しかし・・・お兄様の言葉を聞いて、心が・・・凍りついた。
「え?・・・あの、お兄様」
「だから・・・瞳姉さんが目を覚ましたんだ!!」
続く-
308:名無しさん@ピンキー
07/05/30 23:12:43 +6FXrhgT
こ、怖い怖い怖い怖い怖い怖いこわ・・・・・・コワ可愛い!
つか妹豹変しすぎワロスw
>四人でいい。三人でも五人でもだめだ。四人。
ジョジョ?
しかし、次回で姉妹対決、その次で流血の悪寒。
兄も、最後まで姉をかばう方向に行ったら流血エンドか・・・?
とにかくGJ!
309:名無しさん@ピンキー
07/05/30 23:25:36 6Mc5L0Pr
>>307
GJ
キモウト怖い・・・そして目覚める瞳姉がキモ姉であることを激しく期待する!!
310:名無しさん@ピンキー
07/05/30 23:31:38 sb7/20YC
>>307
激しくGJ!
凄い豹変だ、姉を前にしたときの行動がどうなるのか凄く期待してます。
311:名無しさん@ピンキー
07/05/30 23:33:16 6lzKQ28V
このスレの職人に喚起されてネタが浮かんだ。
(キモウトリング)
すっかり行き慣れた繁華街でも、いつもと違う路地裏に入るだけで意外な店を見つけ
ることがある。といってもそれは今の俺のことだが……。
色褪せた外壁にくすんだガラス、中からは黄色がかった蛍光灯の光が漏れている。
懐古的な雰囲気に魅かれた俺は、その店に入ってみることにした。
「いらっしゃいませ、『キモウトツヨシ』へようこそ」
すかさず女性の店員が挨拶をしてくる。中年というにはまだ早い貫禄のある女性。
店内は雑貨やアクセサリー、家具など色々なものが陳列されている。
骨董品や中古品を扱う店だろうか。
足下には鈍器や工具といったものまで置かれている。
俺は金属製の細長い棒のようなものを手にとってみた……ずっしりと重く、先は黒く汚れている。これは売り物なのか?
「ライクアバールをお求めですか」
「え?」
いつの間にか女性がすぐ傍に立っていた。気配を感じる間もなく。
「これはとある女性が雌豚を屠り潰したものです。これを持った女性は、好きな男性に近付く者をことごとく殴らずにはいられないといわれています」
「は……はあ、そうですか」
なんだか物騒な話だな。これは早めに退散した方が良さそうだ。でも出口の通路に女性が立って塞いでいる。
間をもたせるために俺は棚に並べられている指輪をとってみた。鈍い光を放っている……安物なら買っていこうかな?
「そのプラチナキモウトリングは、肉親の妹が嵌めるとたちどころにお兄ちゃんを偏執的に溺愛してしまうという優れ物です。今ならお安くしておきますよ」
「え? これでプラチナ? それは高そうですね」
「いえ、お客様でしたら千円で結構です」
「千円? でもこれ、プラチナでしょう? レプリカ?」
「当店は材質で値段を決めておりません。お客様を見て決めるのです。不服でしたらさらにその半額でいかがでしょうか?」
これで五百円かあ……偽物だとしても損ではないな。
あいつにあげたら少しは機嫌をとれるかもしれないし。
「じゃあ、これ買います」
「お買い上げありがとうございます。商品を包装して参りますので、しばらくお待ちください」
女性は隙のない動きで指輪を取り、奥のレジへといってしまった。
しばらくして紙袋に梱包されたものを俺に差し出し、代金を受け取ると再び奥へ引っ込んだのだった。
店を出ると、途端にコンクリートの饐えた臭いが鼻についた。
同時に照り返しの眩しさに目を細める。
急に夢から覚めて現実感を取り戻したようだった。
俺はポケットに先ほど買った物の感触を確かめてから、その場を去った。
「ただいま」
「げっ、あんた。もう帰ってきたの」
帰宅してまず目にしたのは、休日だからといってだらしない格好をして俺に不躾な視線をおくる妹の姿だった。
この春に高校生になったばかりの生意気盛り。お兄ちゃんお兄ちゃんと懐いてきたのも今は昔。
最近は汚物扱いして俺の所有物に触れるのすら嫌がっている。
「俺がいつ帰ろうが勝手だ。ほら、これやる」
先ほどの紙袋を取り出して妹の目の前に差し出す。
「はぁ!? なんのつもり?」
「別に大した意味はないよ。たまたま見つけた店で買っただけだ」
「貰ってもいいけど、あとからとやかく言っても知らないからね」
「誰もお前なんかあてにしてねえよ」
俺は無理矢理、紙袋を妹に押し付けてさっさと自室に引っ込んだ。
反抗期の妹にも困ったもんである。
……文章力ないからこれ以上かけねえ。
312:名無しさん@ピンキー
07/05/30 23:38:35 +6FXrhgT
キモウトである、のではなく、キモウトになる、か。
ここではどうなのかな?
とりあえず、ネタ投下GJ。
313:名無しさん@ピンキー
07/05/31 00:10:30 f5H/pDQr
>>307
SATSUGAI…じゃねえけどこええええええええええええええええええ
つーか前科有りだなこのキモウト……
>>311
急にデレるのも怖いなぁ…
314:名無しさん@ピンキー
07/05/31 01:14:59 s1u4pSnL
ライクアバール吹いたwwww
315:名無しさん@ピンキー
07/05/31 01:15:45 s1u4pSnL
なんというsage進行。吊ってくる。
316:名無しさん@ピンキー
07/05/31 01:38:42 dK+AA5R2
瞳姉が最初の被害者臭いな
317:名無しさん@ピンキー
07/05/31 01:41:37 cJYgcBrC
ピーマンネタを継続してほしかった。
それだけ残念。
318:名無しさん@ピンキー
07/05/31 02:49:55 6P1HnEFV
なるほど。
瞳姉がピーマン尻穴に詰めまくってた訳か。
だから聖にやられたのね。
…すまない、作者殿
319:名無しさん@ピンキー
07/05/31 09:29:14 g9djrSXk
>>307
GJ!
起きた姉がなにをするのかwktk
>>310
続き読みたいな。
320:名無しさん@ピンキー
07/05/31 12:28:22 xyOD0oU+
>>311
物を使ってキモウトになるって設定がかなり微妙だ
正直そんなキモウトにはなんの魅力も感じない
321:名無しさん@ピンキー
07/05/31 12:37:30 V3vAy3gB
>>320
逆に考えるんだ
すべては妹の陰謀なんだと
実はその不思議アイテム屋は妹のさしがね、もちろんアイテムはインチキで何の効果もないんだぜ
アイテム(とお兄ちゃん)にぜんぶ行動責任を負わせられるから、
妹はこれまで「こんなことしたらお兄ちゃんに避けられるかも」
と我慢してたことが全部、正々堂々できるんだぜ
322:名無しさん@ピンキー
07/05/31 13:21:48 sYFCqrkv
317に激しく同意する
毎回出す必要はないと思うが、あそこまで変質的なピーマン嫌いになった話を是非とも読みたい
323:名無しさん@ピンキー
07/05/31 13:29:28 Vi3lGLUS
>>321
ぜひこのネタで書いて欲しい
324:名無しさん@ピンキー
07/06/01 10:13:16 gJKsIY4a
そんなインチキアイテム屋を用意できる妹の経済力なり人脈なりの根拠が気になってしまう
325:名無しさん@ピンキー
07/06/01 10:25:03 JgRXhqEq
兄の帰宅路とか遊ぶルート調べ、
途中で露天とかで変装してボイスチェンジャー使って声を変えて、
待ち伏せして売りつけるか押しつけるかすればおk
「ワガママで苦労させられてばかりの妹を素直にするアイテム」
とかで自宅に兄宛てで送りつけるとかな
326:名無しさん@ピンキー
07/06/01 12:26:39 63/iTGJ1
前にそんなネタの成人漫画があったな……。
最後に男が後悔して店長にアイテムを返すんだけれど、
実はその店長と彼女はグルで、アイテム自体には何の効果もなかったとか……。
327:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:05:06 eeXIrlg2
>>326
その漫画のタイトルkwsk
328:名無しさん@ピンキー
07/06/02 03:44:42 5wops/Ra
保守アゲ
329:名無しさん@ピンキー
07/06/02 08:44:06 XPWdKBCq
>>327
スマソ忘れた。
とりあえず、俺の大学時代だからもう4,5年は前だと思うけれど……。
330:名無しさん@ピンキー
07/06/02 11:55:26 o2gosOWt
このスレキモウトは充実してるがキモ姉分が薄い…キモ姉も読みたいぜ
331:名無しさん@ピンキー
07/06/02 13:36:47 N1LxxkRj
たまたま見かけて笑えたw
URLリンク(thumb2.uploda.org)
332:名無しさん@ピンキー
07/06/02 13:40:52 r0HQLI36
どっかで見たような…誰だっけ?
333:名無しさん@ピンキー
07/06/02 14:38:47 B8TOBVcf
DCの白河ことり、何が笑えるのかと思ったらアニメの声優が堀江由衣かw
>>327
北河トウタの「リモ魂」だとオモ
334:名無しさん@ピンキー
07/06/02 21:55:55 AaYI+6LH
双子の話も見てみたいかも
男、双子1、双子2じゃなくて、男と女が双子って設定
335:名無しさん@ピンキー
07/06/02 22:21:28 0VSFpvxr
>>329>>333
情報㌧クス。
336:名無しさん@ピンキー
07/06/02 22:34:58 pEEanHbR
蛍ちゃんと僕は双子だ
なので同じ学年だ
僕らは仲がいい
いつも一緒に寝てるし、学校に登下校してるし、お風呂も入ってる
最近恥ずかしくなったから辞めて欲しいけど、それをいったら首を絞められた
「私が嫌いになったの?」って泣き笑いの顔で
あわてて否定したら泣き止んでくれた
蛍ちゃんの泣き顔は見たくないのでもう言わない事にする
とにかく、それくらい仲がいいせいか、いつも同じクラスになる
そしていつも隣の席になる
だからいつも一緒に昼食を食べる
あーん、とかもする
蛍ちゃんの髪の毛入りのから揚げとか、僕の唾液入りのスープとか
汚いとか言うのはすでに無い
10年、6歳のときからやってれば、否が応でもなれる
互いのトイレについてくるとか、一緒の場所で着替えるとかも、なれる
いつも一緒の僕ら
双子だから、一緒の僕ら
これを書いてるときも、そばにいる
僕らは一対の翼
僕らは永遠の離れなれない
「ねぇ、祐樹」
「なに?」
「今度、体を一緒にしよっか」
「いいよ」
永遠に
>>334
こんなの?
337:名無しさん@ピンキー
07/06/02 23:00:13 AaYI+6LH
>>336
すげぇwwホントに書いてくれたww
GJ!!ありがとうw
338:名無しさん@ピンキー
07/06/03 00:25:58 sieKQt3d
賑wwわwwっwwてwwきwwたwwぜww
>>330
短編でもいくらか、長編もみゃー姉がいるじゃないか。
籠や妹姫、綾・水木さんちシリーズとか、長いのはまあキモウトが多いが。
宇宙妹とかもな。
保管庫を目に焼き付けるほど読むべし。
まあ、少し違うかも知れないがオレが書いてるから待ってろ。
今日中には投下するから。
ここ数日ちょこっとだけ過疎化してたし頑張るぜ。
>>336
GJ!
これは新しい属性。この分量で纏められるのは凄い。
それにしても、ここは願い(妄想)が叶ういいスレだぜ。
そうだろ? みんな。
339:名無しさん@ピンキー
07/06/03 00:38:25 RXA5qHJW
双子のキモアネとかキモウトって超ツボだよ!
執着心が桁違いに強そうなのがいい…双子の兄or弟さえいれば他は何もいらないってレベルの
340:名無しさん@ピンキー
07/06/03 00:58:53 2OnznVfM
>>336さんの新しいところは、兄or弟の方もキモなところですか。
端から見ると不気味極まるけど、本人たちは幸せカップルなのかな
341:名無しさん@ピンキー
07/06/03 01:06:40 Dn9Q/n0q
>>336
GJ!!!!!
男の名前が自分と全く同じ!!!
と言う訳で、今から一人で風呂入って来ます。
342:>>336
07/06/03 01:27:47 3gZLergW
正直言うなら、これ、弟の作品なんだぜ
ヤンデレ、特にキモ姉好きの弟は高校の文化祭の部誌でキモ姉を書くぐらいだ
まぁ、本人がキモウトだけど
343:名無しさん@ピンキー
07/06/03 02:56:49 3Vidgcyi
確かにキモウトだなwwww
おまいの弟が美少年ならそれはそれでいける俺
344:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
07/06/03 03:45:04 sieKQt3d
人間、余り口調とか変えるものではありませんよね。
さておき、>>338の投下いきます。
キモ姉を書くのは苦手です。
345:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2
07/06/03 03:49:34 sieKQt3d
今思い返せば姉さんは変わった、
より率直に僕の心情を吐露するのならおかしな人だった。
姉木 想火(あねき そうか)。
優秀で優麗。
誰よりも賢く誰よりも強く誰よりも美しく誰よりも僕を愛してくれた姉さん。
どんな時でも僕の傍にいた姉さん。
いつも僕を傍に置いていた姉さん。
朝起きれば傍らに、食事の時は前に、道を歩けば隣に、帰り道は横に。
対等な時は僕の腕を取り僕の手を握り僕と指を絡め僕の顔を見詰め僕の歩幅で歩き、
甘える時は僕の頭を抱き僕の背を撫で僕の胸に触れ僕の首筋を吸い僕の頬に口付け、
ある時には僕の喜びを共に喜び僕の怒りを共に怒り僕の哀しみで共に哀しみ僕の楽しみで共に楽しんだ、
僕よりも僕に詳しく、
僕よりも僕に真剣で、
僕よりも僕を愛する、姉さん。
何処にいても何時であっても何をしていてもどんな事情があっても、
半身のように影さながらに僕の傍にいた姉さん。
その、常に傍らにあった姿を疎ましく、いつも注がれる愛情を煩わしく思い始めたのはいつだったか。
「ふーっ。取り敢えずはこれで一段落、かな」
少ない荷物を開封し終えて、一息付く。
狭っ苦しい、だけど余分な物が何一つ存在しないボロアパートの一室。
僕は受験を期に引越して来た、今日から我が家となる場所で伸びをした。
家を出ようと思ったきっかけは両親の一言だった。
受験を期に自立しろ、と。
ただそれはきっかけであって直接の原因ではない。
姉さん。
実の姉から離れること。それが目的で、長年考えてきたことだった。
両親の言葉は、その時期を早めた程度のものでしかない。
むしろ有り難いくらいだった。
或いは、両親も姉さんのことに頭を悩まさせ、
姉さんから僕を引き離そうとしたのかもしれない。
姉さんは完璧だ。
何でも出来る。何でもこなせる。
家族と比較すれば鳶が鷹をどころかミジンコが人間を生む。
そう言えるほどに優秀で、かつ非の打ち所のない人格者。
ただ、そこに僕と言う要素が絡まりさえしなければ。
姉さんはブラコンだ。それも過分に過大、過度で重度の行き過ぎた。
僕が何処に行くにも付いてくるし、僕が何をしていても横に居る。
僕を叱ることこそあるが基本的にはだだ甘で、
べったりどころか離れている時間の方が少ない。
それでいて勉強も運動も社交も何もかもあっさりと完璧にしてしまう。
僕が幼い頃はそれでも良かった。
だが、弟はいつまでも弟だとしても子供で在り続ける訳ではない。
人間、成長すれば物の見方も変わってくる。
傍に居るという心強さは煩わしさへ。有り難かった愛情は耐え難い重さへ。
どうしようもなく変化していく。
姉さんが嫌いなのではない。
しかし、姉さんが僕に向ける想いは大きく、そして重い。劣等感もある。
自分より賢く、強く、美しく、優しく、人に好かれ、何一つ欠点のない人間が居れば、
それも絶えず傍に居続ければ、自分と比較せずにはいられない。
劣等感。
誰もが姉さんと僕を比べて首を傾げるし、でなくても僕自身が比較してしまう。
本当に姉弟か、と。
同時に、姉さんの青春を時間を才能を可能性を、僕如きのために浪費させるのも良くないと思うのだ。
僕に構う時間を他の事に使えば、姉さんは直にでも偉業の一つでも打ち立ててしまえるだろう。
それが勿体なく、申し訳ない。
自分がひどく罪深いことをしている人間のような気分になる。姉さんは否定するだろうけど。
346:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2
07/06/03 03:50:36 sieKQt3d
「少し休む・・・ついでに夕飯も食べて来ようか」
だからこそ、僕は家を出た。
理由を問い質す姉さんに答え、
引き止める姉さんに決意を語り、
それを許さない姉さんを説き伏せ、
わあわあ泣きじゃくる姉さんを宥め、
腕に縋りついてくる姉さんを振り払い、
抜け殻のようになった姉さんの姿を背に、
僕は後ろ髪を引かれながら姉さんと別れた。
それから一週間程。
僕は新学期を前に、残り少ない春休みの一日を部屋の整理に当てている。
と言ってももともとかなり荷物が少なく、朝から取り掛かっているおかげでもう粗方済んだ。
時刻は既に夕刻。
休憩がてら早めの夕飯をとったとして、夜には終わるだろう。
そう思い、数歩の距離にある古びたドアへ足を向ける。
ぴんぽーん、とどこか間の抜けた音が鳴った。
「・・・・・・あれ?」
誰、いや何だろうか。
僕は引っ越したばかり、荷物も届いたのは今朝だ。
個人情報の保護が叫ばれる昨今、まさかこの早さで新聞の勧誘やテレビの集金もないだろう。
どちらにせよ前者は取る積もりも余裕もないし、後者は設置さえしていない。
此処は住人も少ないのでお隣さんもいない。
友人知人が訪ねて来る可能性も、その他色々な事情から皆無と断言出来る。
両親以外で、僕の引越し先を知っている人間はいないのだ。
新学期もまだで、新しい友人も作っていない。
「管理人さんかな?」
妥当なのはそれか。
払うものは払ったので可能性は低いが。
言い忘れた注意でもあるのかも。
そう判断してドアへ向かう。
ガチャリと、かけた鍵の開く音がした。
「え?」
ばん、とドアが開かれる。
差し込む夕日を背に、細めた目に浮かぶ輪郭。
見覚えのあるそれは。
「蒼河(そうか)ちゃんっ!」
女性特有の、そして特に聞き慣れた高音で名を呼ばれた。
決して男らしくはない名前。
姉さんが強行に主張して名付けたと言う僕の、姉さんと同じ名前。
僕に対してその呼び方をするのは一人しかいない。
「え!? 姉さ────」
「蒼河ちゃん蒼河ちゃん蒼河ちゃんっ!」
タックル。
跳び込んで来た姉さんに押し倒され、強かに後頭部を打つ。
347:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2
07/06/03 03:52:23 sieKQt3d
「ああ・・・蒼河ちゃんだ。本当に蒼河ちゃんだ。
蒼河ちゃんの肌、蒼河ちゃんの体温、蒼河ちゃんの匂い。
蒼河ちゃんの──汗」
「っつぅ・・・姉さん? 一体、どうして此処に・・・ぅうっ!?」
冷房のない部屋の中の作業、首筋に滲んだ汗を舐め取られる。
犬猫のそれと違ってゆっくりと丁寧に、撫でるように擦り付けるように舐め上げられた。
堪らず声が出る。
くっ、と反射的に上向いた背と首が戻ると、嬉しそうな姉さんの瞳と目が合った。
「久し振り蒼河ちゃん。本当に久し振り、蒼河ちゃん。
どうして一週間もお姉ちゃんの傍からいなくなったの?
蒼河ちゃんの姿が見えなくて声が聞けなくて肌に触れられなくて匂いを嗅げなくてキスが出来なくて、
お姉ちゃん死ぬかと──ううん、死んだかと思っちゃった」
「ね、姉さん、それは説明・・・いやそれよりどうして此処に?
いやそもそもどうやって鍵を?」
「うふふ。だって家族だもの。お姉ちゃんは蒼河ちゃんのお姉ちゃんだもの。
合鍵を借りるくらい簡単だよ。
それに、知ってるでしょ?
物理的だろうと電子的だろうと、お姉ちゃんの前には鍵なんて飾りです。
住所も、一週間あればテロ組織の拠点まで見つけられるよ」
背中から倒れた状態のままの僕に抱きつき、
胸板に顔を擦りつけながら上目で姉さんは言った。
確かに過去、姉さんにはありとあらゆる自室の鍵を無力化されている。
ついでに、回答を一つ先回りされた。
姉さんに、此処の住所は教えていない。
両親に口止めもしていたが、無駄だったようだ。
姉さんは呆れるほど優秀で、怖ろしいほど完璧で、信じられないほど完全だが、
僕に関係することでは特にその能力を発揮する。
説得にばかり意識を裂いて、後のことを失念していた。
他の事には万事において大した関心を向けない姉さんだが、
僕の事にだけは親のように過保護で、家族のように心配性で、恋人のように盲目的で、
決して諦めたまま終わる人ではなかったのだ。
「蒼河ちゃんが何処に居ても一緒、何をしても一緒、どんなことあっても一緒。
それがお姉ちゃんだもの。
誰にも邪魔はさせない。
誰の邪魔でも許さない。
誰が邪魔でも関係ない。
それが、お姉ちゃんだもの。でも・・・・・・今度のは、ちょっと辛かったなぁ。
ねえ蒼河ちゃん。ねえねえ蒼河ちゃん。
何がいけなかったのかな?
何が足りなかったのかな?
何が、行き過ぎたのかな? ねえ教えてよ、蒼河ちゃん。
お姉ちゃん、あれから考えたんだ。蒼河ちゃんがお姉ちゃんから離れようとしたのは何でかなって。
でもね。考えても答えは出なかったの。ダメだよね?
天才とか色々言われていても、お姉ちゃん、蒼河ちゃんの事が関わると何も分からなくなっちゃうの。
だから、ね。蒼河ちゃんが教えてくれないかな?
駄目な所は直すから。直せない部分は切り捨てるから。
たとえそれが何であろうと、お姉ちゃんは蒼河ちゃんのためなら──」
「ストップ! 姉さんそこまでっ!
とりあえず一旦体を退かせて欲しい。
ドアが開いたままだし万一見られでもしたら・・・うん?」
348:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2
07/06/03 03:54:47 sieKQt3d
姉さんの細い肩に手をかけて引き剥がす。
姉さんの技量なら難なく僕の抵抗を無にできるはずだが、
言葉を切ってあっさりと退いてくれた。
こういう所は本当に優しいというか押しが弱い。
唯一、僕から距離を取る事だけは絶対に了承してくれないけど。
「ねえ、姉さん。アレは何かな・・・?」
姉さんが体を退かせてくれたお陰で見えるようになった視界の中に、妙な物がある。
旅行用のキャリーケースだ。それもかなり大きい。
「ああ、アレ? アレは私の荷物だよ蒼河ちゃん」
「え・・・荷物? ちょ、ちょっと姉さんどういう事!?
まさか此処に住む積もり?」
「うん、そうだよ」
頷き、当たり前じゃないそんな事お姉ちゃんは蒼河ちゃんの傍に居るんだから何があってもずっと、
と姉さんは言うが冗談じゃない。
これじゃあ本末転倒以前の問題だ。
住み慣れた家を出てわざわざ引越しやその他色々な苦労や金を使ってまで姉さんから離れたのに。
「ね、姉さん。でも悪いけど此処は姉さんと二人で住めるほど広くはないし」
「お姉ちゃんは蒼河ちゃんが傍に居るなら住む場所なんて何処でもいいよ」
一蹴された。
「御飯は今まで通りに全部お姉ちゃんが作るし、蒼河ちゃんがいれば娯楽なんて要らない。
布団は蒼河ちゃんに抱き締めて貰うから別にいいし、此処の広さでも二人は並べるから。
住所と一緒に此処がどんな部屋のかも調査済み。お姉ちゃんは一向に構わないよ」
「う・・・あう・・・」
まずい。
完全に姉さんのペースだ。このままでは引越しも終わらない内に事が終わってしてしまう。
そう思った時。
「それに、いざとなったら引っ越せばいいし」
「いや、それは無理だよ姉さん。
僕はもうお金がないし、幾らか出して貰ったばかりだから父さん達ももう協力してくれないよ」
「ふふ・・・そっか。蒼河ちゃんは知らないよね。知っているはずがないよね?」
そう言って、身を起こすとぱっとキャリーケースの下へ歩く。
「お姉ちゃん、ちょっと訂正するね。
これは蒼河ちゃんとお姉ちゃん、二人の荷物だったよ」
告げて、笑みと共に開かれたそれから。
ボトボトと、札束が落ちた。
「お金なら沢山あるの。
蒼河ちゃんと買い物に行ったりするのはいいけど、毎回お金を下ろすのも面倒だしその時間が勿体ないから、
そのまま持って来ちゃった。お姉ちゃん、カードは持ってなかいし」
厚みから言って、テープで纏められたそれは一束辺り百万円。
せいぜいがテレビでしか見たことのない代物だ。
349:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2
07/06/03 03:56:54 sieKQt3d
「姉、さん。どうしたの? そのお金」
まさか姉さんが偽札に手を出したはずもない。
稼ごうと思えば、姉さんならゼロから始めても幾らでも稼げるだろう。
だが、それにしても額が大き過ぎる。
はちきれたようにケースの圧力から開放された札束は幾つかが安いアパートの床に転がり、
ケースの内部には落ちた分の何十倍という数が詰め込まれている。
姉さんがわざわざ所得を僕に隠していたはずもない。
そもそも、能力はあっても僕と要る時間を減らさないために姉さんはろくに働いていなかった。
それでも人並みには稼いでいたとは言え、この一週間足らずでどうやって。
「保険金」
姉さんはどうでもいい事のように呟いた。
「これはお父さんとお母さんが死んだから貰った保険金なの。
教えたら蒼河ちゃんは泣いちゃうと思ったから、直ぐには教えなかったけど。
蒼河ちゃんがお家を出て行った二日後くらいかな。
お父さん達が落ち込んでるお姉ちゃんを見て気分転換させるために連れ出したドライブ先で、
二人とも死んじゃった。
体を縦に引き裂かれたみたいになって。
お父さん達が、蒼河ちゃんとお姉ちゃんの間を引き裂こうとしたみたいに」
「・・・・・・ぇ」
多分、上手く声は出なかったと思う。
姉さんは僕に嘘は言わない。真実を語らない事はあっても、嘘だけはつかない。
だけど、僕は姉さんの甘い声で語られる情報を認識出来なくて。
「あ、やっぱり悲しい? そうだよね。
お姉ちゃんも、蒼河ちゃんを産んでくれたお母さんとお父さんには感謝してるし。
でも・・・その死を悲しんでばかりもいられないんだよ?」
姉さん。
姉さんは、僕に何を言っているんだ。
「これから、蒼河ちゃんとお姉ちゃんは二人で生きて行かなくちゃいけないの。
このお金はそのために、
蒼河ちゃんとお姉ちゃんの生活のためにお父さん達が残してくれたんだから。
だからお姉ちゃんも、直ぐに手に入るように手配したし。
あ、でも蒼河ちゃんは気にせず使っていいからね?
お姉ちゃんが適当に増やすから。株なり何なりで。
蒼河ちゃんが欲しい物を買うためだったら、お姉ちゃんいくらでも頑張っちゃう。
・・・・・・でもね、蒼河ちゃん。その前に一つだけ言っておきたい事があるの。
聞いてくれる?」
350:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2
07/06/03 03:59:27 sieKQt3d
「・・・・・・」
僕は、反応、出来たのかどうか分からない。
だが姉さんは僕の瞳を嬉しそうにしばらく見詰めた後、笑うように唇を開いた。
「お父さん達が死んじゃって、蒼河ちゃんとお姉ちゃんは二人だけ。
たった二人だけ残された家族なの。
ねえ、分かる? この意味が。
残された家族は、身を寄せ合って生きて行かないといけないの。
もう二度と引き裂かれたりしないように。もっともっとお互いを大事にするために。
だから。だからね、蒼河ちゃん?」
姉さんが喋っている。
姉さんの話を信じるなら、もう僕に唯一人だけ残された家族である姉さんが。
「お姉ちゃんともっと仲良くなろう?
居なくなった人間の分だけより強く、より深く、より太く、家族の、姉弟の絆を作ろう?
そうしてお姉ちゃんと蒼河ちゃんだけでずっと、ずぅっといつまでも寄り添って生きて行こう?
だって──」
最後、ふわりと歩き出したかと思うと姉さんは僕の前に屈んで。
「お姉ちゃんと蒼河ちゃんは血の繋がった姉弟だもの」
僕と唇を合わせて、微笑んだ。
351:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
07/06/03 04:04:28 sieKQt3d
投下終了。
眠気と戦いながら急いで書いたので、あちこちおかしいかもしれません。
余りキモくなかったような気も。一応、両親は殺っているんですが。
やはり私はまだしもキモウトの方が向いているようですね。技量の低さは許してください。
双子は大好きですが、いつか>>342の方の弟のようなキモウトスレが立つのか。
GJです。
352:名無しさん@ピンキー
07/06/03 04:07:27 oPTVdHkS
>>351
GJ!!
この時間帯でみwwなwwぎwwっwwてwwきwwたww
353:名無しさん@ピンキー
07/06/03 04:07:47 rOuwsfeX
最速のゲロキモ姉神GJ!!
こ れ は キ モ す ぎ ま す よ!
354:名無しさん@ピンキー
07/06/03 04:13:45 IntF3Zs6
この時間に先客がいるなんて・・・悔しい・・・!(ビクビクッ
>>351
GJ!!姉貴恐ろしす・・・
355:名無しさん@ピンキー
07/06/03 04:25:37 9BVqGjS8
( ゚д゚)
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_ 殺人予告…
\/ /
 ̄ ̄ ̄
( ゚д゚ ) マジ!?
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
こいつ2chで殺人予告しやがった…おまいらもなんか言ってやってくれないか?
殺人予告
スレリンク(gamespo板)l50
―――――――――――――――――――
1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/06/02(土) 14:47:17 jULcOF96
明日秋葉原で1人を殺す
2 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/06/02(土) 14:49:16 P1Ty9CQM
通報しますた
356:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
07/06/03 04:32:02 sieKQt3d
皆様、何というレスの早さ。
この流れなら言える。
上のSSを書いてる間に双子キモ姉・キモウトの発想に刺激され、
実は先に双子(でも兄+キモ双子妹)を書いたので投下。
2レス分。余りキモくありません。何ならあぼーんで。
357:妹-I-妹 ◆lnx8.6adM2
07/06/03 04:33:08 sieKQt3d
僕にはちょっと危ない双子の妹がいる。
深高 射空(みたか いそら)と深高 断海(みたか たつみ)。
二人は本当にそっくりで、僕にしか見分けがつかない。
そして二人は、兄の僕を軸としていつも対象に並んでいる。
358:妹-I-妹 ◆lnx8.6adM2
07/06/03 04:35:36 sieKQt3d
「ねえ、兄様」
「ねえ、兄様」
「うん? 何だい、二人とも?」
「どちらが射空?」
「どちらが断海?」
「うーん。僕から見て右が射空だな。逆が断海」
「見事に正解、右が射空です。兄様」
「見事に正答、左が断海です。兄様」
「うん、よかった」
「所で、兄様。聞きたい事があります」
「時に、兄様。言いたい事があります」
「ん?」
「この間、帰り道で兄様と一緒にいた女は誰ですか?
射空と断海が傍にいない間に」
「その間、帰る道で兄様と一緒にいた女は誰でした?
断海と射空が傍にいない間に」
「ああ・・・彼女はクラスメイトだよ。委員長さんなんだ。
提出物関係でちょっとお小言を貰ってね。途中まで道が同じだって言うから、帰りながら」
「あの女、兄様の敵? 射ち殺してもいいですか?」
「その女、兄様の敵? 斬り殺してもいいですか?」
「ダメだって。そもそも敵じゃありません。
まったく、二人ともそうやってすぐに物騒なことを言わないって約束しただろ?
・・・・・・怒るよ?」
「そ、それは困ります! 射空は兄様に嫌われるのは、怖い」
「そ、それは困ります! 断海は兄様に怒られるのは、恐い」
「じゃあ、これからは気をつけること。
あと間違ってもこの間みたいに僕の友達にボウガンとナイフで襲い掛かったりしないこと。
問題にならないように土下座して謝り倒して、あの時は本当に苦労したんだから」
「しかし・・・兄様に近付く敵は」
「けれど・・・兄様に近寄る女は」
「言い訳しないっ!」
「はい。射空は了解しました、兄様」
「はい。断海は了承しました、兄様」
「分かればよろしい」
「では兄様、今日も夕飯の買出しに行きましょう。普段通りに手を繋いで」
「では兄様、今日も夕飯の買出しに行きましょう。言葉通りに手を繋いで」
「ん、そうしようか。今日は何がいいかな?」
「射空は兄様の作るハンバーグを希望します。ソースは断海が」
「断海は兄様の作るハンバーグを希求します。ソースは射空で」
「はいはい。本当、二人ともどんな料理でもソースやドレッシングだけは手作りだよね。
あれは美味しいからいいけど」
「はい。楽しみにしていて下さい。
断海、今日も兄様の口に美味しいソースを運びましょう? 美味しい水で」
「はい。楽しみに待ってて下さい。
射空、今日も兄様の口に美味しいソースを運びましょう? 美味しい蜜で」
「じゃあ、行こうか。射空が右手、断海が左手ね」
「はい、兄様」
「はい、兄様」
概ねこのように。線対称で、左右対称の妹達に僕は挟まれている。
「ですが、兄様に近付く者を射空は許しません。必ずや鉄槌をその身に」
「だけど、兄様に近寄る女を断海は逃しません。必ずや鉄塊をその身に」
「下します」
「落します」
「兄様は離さない」
「兄様は渡さない」
僕はいつも妹達に挟まれていて、不思議とその間に誰かが入ることはない。
僕の左右は二人の定位置である。そして二人の間は僕の定位置なのだった。
359:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
07/06/03 04:36:39 sieKQt3d
投下終了。
イメージ元は某十三階段殺し屋分家双子とラグーンの兄様姉様殺戮双子です。
ああいう喋り方する双子は好きです。キモウトならなおよし。
スレ汚しにならねばいいのですが。
360:名無しさん@ピンキー
07/06/03 04:56:01 zt56FYmX
あんた達、こんな明け方になんちゅうモノを見せてくれるんや。
GJ
361:名無しさん@ピンキー
07/06/03 05:27:44 2SBYPw2z
最近よく眠れないんだよな・・・だいぶ朝早く起きちまったよ・・・と
思ったら凄い投下キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n’∀’)n゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
変名氏GJ!!次回も期待してまつ!!
362:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
07/06/03 07:12:54 sieKQt3d
彼方より来た姉がたまたま皆様のツボに入っただけで、
私の平均の技量は期待して頂く程の物でもないのですが。
有り難いお言葉に、謝意を込めてもう一本贈らせて頂きます。
投下
363:意図操る妹 ◆lnx8.6adM2
07/06/03 07:14:26 sieKQt3d
さて。
仮に極めて一般的な感覚で以って其処を見た者が居たとして。
彼または彼女はどのような感想へと至るだろうか。
先ずは、赤い。これだろう。
生命より流れ出たばかりの鮮血。
命の象徴たるそれは暗闇の中で徐々に熱を失って行き、
生の温もりと死の冷気を混在させる。
次は臭い、か。
血の臭気など常人が耐え得るものでない以上は当然だ。
経過した時間によっては腐臭さえ帯びる。
否。
己が吐瀉物のすえた臭いが先かもしれない。
そこには渇ききらぬ血と、死体となった肉があった。
「これはまた、随分と派手にやりましたね」
暗闇に足音が響く。
律動のように一定で、高く、鋭い。
女性の履物の音が闇を裂くように鳴る。
「臭い」
廃工場が、朽ちた倉庫か。
闇夜の降りる刻限、彼女はそんな場所にいた。
月光を浴びるのでもなければ星見のためでもない。
思考に浸りながらの散歩とも違う。
それは観察だった。
見届ける、と言う方が適切だろうか。
「本当、似合いの末路」
微かな月明かりに照らされる空間に辿り着いた彼女の前には、流血と亡骸があった。
双方共にまだ新しい。死んでるのは明白だが、警察が調べた後でないのも同様だ。
しかし、彼女の見た目がまだ成人にも満たない事実に反して、
死体を見ても表情には些かの揺らぎもなく、か細い喉は悲鳴の兆候さえ見せない。
何故なら、それは彼女がなした事の結果だからだ。
彼女が直接人間を亡骸に変えた訳ではない。
が、無関係かと言えば全く異なる。
二つの亡骸は、どちらもある学園の生徒。
着ている制服の柄から先輩後輩の間柄だ。
その死肉の有様は凄惨を極めている。
肉を抉り骨を斬り砕き眼球を抉り顔面を削ぎ皮膚を裂き臓腑を引き出す。
とても当人同士で殺しあった結果には見えないだろう。
凶器は鉈に鋸にと、その凶行を生んだ狂気は何だったのか。
プロにしては効率が悪過ぎ、素人にしては凶状が過ぎる。
まるで異教徒同士か近代以前の殺し合いだ。
死体に慣れている人間でもそう正視には堪えないだろう。
それを見て、彼女は笑っていた。