キモ姉&キモウト小説を書こう!Part2at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part2 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
07/05/26 05:47:04 Sy0okcXF
GJ!!
今回の綾もジツにいいキモウトでした。

101:名無しさん@ピンキー
07/05/26 07:54:59 TFKTfY+e
SATSUGAIキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
…やっぱキモウトにはそういうのがいいんだろうかw

102:名無しさん@ピンキー
07/05/26 07:58:30 rZ6b2/y1
いや、もうね。

言葉に出来ないこのGJ

103:名無しさん@ピンキー
07/05/26 08:00:24 +TfoCYH1
>>99
つまらんなぁ


104:名無しさん@ピンキー
07/05/26 09:13:47 5a4nIDKp
殺んデレキモウトはキモかわいい

105:名無し@ピンキー
07/05/26 09:15:58 Y8bFnEqT
相変わらず恐ろしい。
綾は通算で何人殺ってるんだろうw

106:名無しさん@ピンキー
07/05/26 09:17:36 eoPkEfyG
なんといういい妹。俺の妹と交換してくれよ。
22歳のくせして素っ裸で家をうろついてるんだぜ。
少しは恥じらいを持ってほしい。

107:名無しさん@ピンキー
07/05/26 10:55:51 kb50zs6l
>>綾
毎回いい仕事してくれるぜぃ!!!
GJ!!!!!!
アキラタン、色仕掛けしなければ多少は綾タンの同情も
引けたかもしれないのになぁw

>>106
うp!!!!!

108:名無しさん@ピンキー
07/05/26 11:18:26 qsADq7jw
もはやSATSUGAIのプロフェッショナルだな、綾
自慢の本能で綾の恐ろしさは見抜けなかったのがアキラの敗因か

ともあれGJ!

109:名無しさん@ピンキー
07/05/26 11:46:54 6jI6XGD/
GJとしか言い様がない!
小夜子タンがいつ殺されるのか、綾タンはいつ殺しに失敗して
タイーホされるのかを密かに期待しているw

110:名無しさん@ピンキー
07/05/26 12:23:07 XWqP9j2T
GJ!
いつか宇喜田さんの逆襲にwktk
>>106
交換の前にSAT(ry

111:名無しさん@ピンキー
07/05/26 12:49:40 63MKD1r/
GJだが、ここまでくると萌えよりガクガクブルブルだな。

>>106
ちょっと体育館裏来い。

112:名無しさん@ピンキー
07/05/26 13:57:05 1SAxUZ9J
>>106
高見盛似か朝青龍似のどっちだ?

113:名無しさん@ピンキー
07/05/26 14:49:43 zg8xC8XD
>>99
GJ
なんというSATUGAIのプロ
綾は間違いなく裏世界で通じる

>>112
琴欧州だろ





あれ・・・?ちょっといいかmアッー

114:名無しさん@ピンキー
07/05/26 16:06:01 Cs0VGEId
俺のイモウトは着替え止まり106がうらやましぃ
綾ちゃんGJ

115:名無しさん@ピンキー
07/05/26 16:38:10 7IMuMfHx
キモ姉まだかなぁ・・・

116:名無しさん@ピンキー
07/05/26 17:44:41 Y8bFnEqT
妹姫投下。休み中で最後まで書き上げました。
とりあえずそのうちの半分。

117:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/26 17:46:11 Y8bFnEqT
国主の信輝が勝利を祝って乾杯の音頭をとって無礼講の宴が始まった。
本当の出自を知らせていないため、清治は下級のものから妬まれても
いたが、この戦でその雰囲気も改められ、次々と杯を交わしている。
隣には舞姫が緊張した面持ちで座り、杯に酒を注いだりしていた。

「それにしても清治の手腕は見事であった。」
「恐れ入ります。ですが叔父上方、歴戦の士がいてこそ出来たことです。
 それに作戦そのものも一人で考えたことではありません。」
「ふむ、誰じゃ?」
「九条殿の娘、雪殿です。戦の前触れの察知から作戦の立案、地図の用意と
 多大な協力を得ました。自分だけの手柄ではありませぬ。」
雪の名前を聞いた瞬間、舞姫は自らの心に暗い炎が灯ったのを感じた。
(いや…)

「噂以上のようだな。清治は一人身、雪殿を嫁に貰ってはどうか。
 仲人はわしがしてやろう。同時に大上を名乗ればよい」
(いや…私から……)
「は、ありがとうございます。落ち着きましたら宜しくお願いいたします。」
(兄上様を離さないで!いやいや嫌!絶対そんなことはさせない!渡さない!
 どんな人でも絶対に!兄上様は私だけを…わたしだけを…!!)

「皆様方、戦での勝利お祝い申し上げます。」
そこに現れたのは、小柄な着物の女──雪だった。彼女は無表情に
皆に頭を下げ、清治の反対側の隣に座った。

「雪、どうしてここへ。」
「我が生きて帰ってきてくれた君にすぐに会いに来ない道理があるまい。
 芳之助に送ってきてもらった。」
「雪殿、此度の戦での働き、この信輝からもお礼申し上げる。」
「女は影で支えるもの…、手柄は全て清治殿に。」
余裕で応対していく雪を舞姫は、嫉妬と怒りを込めた気持ちで見つめていた。
それに気づきながら雪は清治の無事の祝いを述べ、改めて舞姫の隣に座った。
(この人が…兄上様を奪おうとする一番の敵…)

「お初にお目にかかります。舞姫様。九条春尚の娘、雪でございます。」
「…舞でございます。このたびの働き、お見事でございました。」
「愛するもののためなれば。」
「…」
「舞姫様、少々外に涼みにいきませぬか?」
「おい、雪!」
雪の言葉に清治はあわてて止めようとしたが、

「大丈夫、芳之助も一緒だ。清治殿、舞姫様は借りて行くぞ。」
「わかりました。参りましょう…。」
清治は、何事も起きないことを祈るほかに無かった。


118:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/26 17:47:48 Y8bFnEqT
城門近くの先穂之桜は、ゆるい風にゆっくりと花びらを散らせながら
月明かりを浴びて春の最後の輝きを見せている。
桜の下では三人女がいて、そのうち二人が向かい合っていた。
片方は綺麗な髪の長い、か弱い雰囲気の美しい少女。
片方は短めの髪の小さいが、瞳に強い輝きを持つ女。

「さて、舞姫様は我に何かおっしゃいたいことがおありの様にお見受けしましたが…。」
「はい。兄上様に近づかないでください。」
「ふむ…。しかし、婚約者に近づくなとはどういう了見かな。」
「兄上様は、貴女を好いてはおりませぬ。」
「我は好いておる。それに清治殿も嫌ってはおるまい。何か問題が?」
舞姫は顔を怒りに歪め、雪は涼しい顔で受け流している。

「兄上様を束縛しないでください。」
「束縛したというのは心外だな。我が清治殿と結ばれるように状況を用意したのは
 否定はせぬが。好いたもののため、努力するのは当然であろう。」
「望みもせぬ地位に着き、好いてもいない人を娶る…そんなことを兄上様には
 させたくない。だから、貴女には渡すわけには行かない。」
「舞姫様は誤解しているな。清治殿は為政者として生まれた自分の人生を自らの
 意思で受け入れたのだ。我はそれを補佐しているだけに過ぎない。彼がもし、
 そうでない人生を選んだとしても我は彼と共にあったろう。それに清治殿が
 我を好いておらぬと何故決め付ける?」
「そ、それは…兄上様が貴女を好いてるはずがないんです!」
「我は毎夜清治殿と逢瀬を重ねておるのだ。昔からな。お互いの知らぬことは殆どない。」
「なっ!!」
「他に話がなければ今晩は失礼させていただこう。芳之助、行こう。」
(兄上様…どうして…どうして…)

二人が去った後も、舞姫は暫く呆然と月を見上げていた。

119:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/26 17:48:35 Y8bFnEqT
数刻の後、清治は宴を抜け出してあてがわれている客間へと戻った。
元来それほど酒には強くはなく、今も尚続いている酒豪たちの宴会を
思うとため息しか出てこない。

部屋の窓から月を見ながら、外へと出て行った女性達を思う。
雪の性格は知っている。口論になれば妹に勝機はまずない。

「菓子でも用意しておくか…」
と、立ち上がろうとしたときスルスルと扉が開いた。
入ってきた舞は薄暗く照らされた明かりで、まるで生気の無い幽鬼のような
表情で佇んでいる。

「舞。どうした?今菓子を用意させるから少し待て。」
「そのようなものはいりませぬ。」
「顔色が悪いぞ。今日はもう休んだほうがいいぞ。」
「兄上様…雪殿を抱いたというのは本当でございますか…?」
「雪から聞いたのか…。事実だ。」
「兄上様…兄上様は嘘つきです!嘘つき!好きではないとおっしゃったではありませんか!」
「好きでなくとも男は抱けるのだ。それに雪は俺を好いてくれている。友情という
 形でだが好意もある。俺と雪の間には愛し合う上で何の障害も無いのだ。」
そこまでいい終えたとき、ぱさっと軽い音を立てて夜着が落ちた。
舞姫の白い裸身が、普段の姫としての清楚さとは違う妖艶さを帯びて、
薄暗い光に照らされ夜の客間に浮かび上がる。肌は羞恥で赤く火照り、
男を誘う香りを放つ──一人の女がいた。

「舞…お前何を…。服を着ろ!」
「兄上様…好きでなくても抱けるのであれば、私を抱いてください…。」
「馬鹿者!やめるんだ!」
「私には魅力がございませんか?」
舞姫は制止を聞かず、清治に体を擦り付ける。

「俺達は兄妹なんだぞ!」
「関係ありません…。一人の女として…見てください。」
「今お前を抱けばそこに待っているのは破滅だけだ。家は混乱し、国は滅ぶ。」
「そんなことはどうでもいいのです。兄上様さえ…兄上様さえ私を…
 私だけを想うて下されば、他は何も…。」
「俺は次期当主としての責任がある。」
「もしかして…お嫌いなのですか…お嫌いならそうといってください。兄上様に
 嫌われた私など生きている価値もないのです。死にますから…兄上様に愛されなければ…」
「舞…お前…。」
「何故!!私は雪殿が憎い!兄上様と何の問題もなくずっと一緒にいられるあの人が!
 兄上様の力になる才能を持つあの人が!私は兄妹というだけで抱いてすらもらえないというのに!!」
狂乱しながら彼女は清治の首を絞める。もう、離さないという気持ちを込めて。
清治は必死にもがく。


120:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/26 17:49:29 Y8bFnEqT
「ごほっ…舞……やめ……」
「あ……私…兄上様を……傷つけ…いや…いやああ!!」
「舞っ!俺は大丈夫だ!お前を嫌いなんてならない!!」
清治は抱きしめる。力強く。そして、舞姫から力が抜けた。
同時に、舞姫の繊細な指先が清治の股間に触れる。

「これが兄上様のモノ…。私はもう我慢できないのです。…んっ…」
舞姫は清治を押し倒し彼のモノを子猫が舐めるように舐め、咥え、
美味しそうにじゃぶりはじめた。

「お前どこでこんな…。」
「……っ…以前………芳之助様に……殿方の喜ばし方を…伺い…っ…ました…」
「くっあの馬鹿……舞!口を離せ……」
「んんっ!!……苦い…これが子種…」
妹にされている背徳感と慣れぬ拙い攻めに逆に劣情を抱かされ、
普段にない快感を味わう。

「兄上様に否定されても…例え国を敵に回しても…今日だけは…
 兄上様は私だけのものです。私だけの…愛する人です。逃がしません…。」
「よせ…まだ間に合う…」
「動かないで兄上様!ここで逃げれば…私は自害します。兄上様の本心をお聞かせください。」
舞姫の目は真剣なのを清治は一瞬で悟った。逃げようとすれば死ぬ…。

「十余年も離れていたのだ。俺も…俺も女としてしかお前を見ておらぬ。
 だが、それでも兄妹なのだ。どれ程想っていても愛し合うのは不幸になるだけだ。」
「私は…私は今、幸福です。ですから…無理やりでも…兄上様…私を死なせたくなければ
 お願いですから抱いてください。抱いてくださらねば私は…。」
「舞は卑怯だ。」
「謀とはそういうものだそうです。」
艶っぽく笑うその表情は少女のものではなく今までに無い色気を出している。
清治は覚悟を決め、自分の夜着を脱いで下にひいた。

「初めは痛いぞ。」
「覚悟は…しております。お願いします。」
「…抱いている間は兄ではなく名で呼べ。」
「はい兄…清治様…………っ…!」
清治は舞姫の口元に自分の手を差し出す。

「噛め。」
「…いっ……んんんんんっ!!!」
「もう少しで全部入る。」
「…くぅ…あああっ…んんっ!!!!」
「舞…全部入った…これでお前も女だ。」
舞姫は痛みで涙を流しながらも、ゆっくりと噛んでいる手から口を離し微笑む。
清治の夜着には、初めての証がついていた。

「はぁ…想像以上に痛うございました…。でも、清治様…それ以上に幸せです。」
「動くぞ。」
そういうと再び手を噛ませてゆっくりと動き始める。
舞姫の表情は初めは痛みだけであったが徐々に快感の色も混じる。


121:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/26 17:50:46 Y8bFnEqT
「…んっ……んっ………」
「舞…お前の中は気持ちいい。相性がいいのか吸い付くようだ。」
「やだ……清治…様…恥ずかしい…こと…いわない…で…」
「もう少し激しく行くぞ。」
今まで労わるように腰を動かしていたが徐々に、激しく腰を打ち付け初める。

「あっ…清治様!私は…私は…もう……」
「舞っ……だすぞっ!」
「あああああっ!!もっと愛して…!!清治様…中にください!!」
最後に腰を一突きし、清治は舞姫の中に精を放つ。同時に、彼のモノを
締め上げるように舞姫の全身が震えた。

「はぁ…はぁ…。清治様…私の中に清治様の子種が…」
「あ、お、俺は…なんてことを…」
「私は…兄上様に犯されました。もう嫁にはいけませぬ。もう兄上様だけのもの…」
舞姫は妖艶に微笑む。人倫を踏み外したことを後悔する所か誇るように。
清治の隣で添いながら囁く。

「兄上様は私だけの兄上様でいてください…。」
「俺には国を守る責務がある。」
「それでは、私を…お捨てになりますか?」
「…舞。お前は姫としての自分を捨てることはできるか?」
「兄上様と共にいられるのでしたら…。」
「雪と仲良くすることはできるか?」
「………兄上様が愛してくださるなら我慢します。」
「ならば俺が当主になるのを待て。そうしたらお前を死んだことにして
 姫としてでなく、一人の女として手元に置く。それでも良いか?」
舞姫は笑顔を見せた。先ほどまでの美しい女としての妖艶なものではなく、
いつもの少し子供っぽい妹としての笑顔だった。

「わかりました。お待ちしております…一つしたいこと忘れてました。」
「何でもいってみろ。」
「口付けを交わしておりませぬ。」
「それは…全て上手く行ったときの楽しみにしよう。」
「はい、楽しみにしております。」
舞姫は眠りながら嬉し涙を流し続けていた。この先のことを少しも想像することが出来ずに…。


122:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/26 17:54:02 Y8bFnEqT
明日でラストです。
もう少しだけお付き合いお願いします。

123:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:15:35 H9WTia8x
>>122
つまらん


124:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:16:34 6ER6DWw9
>>122
糞だな

125:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:17:33 xVKvYhe7
>>122
これはないw


126:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:18:16 zdZB7kV/
>>122
嫌っても投下すんだろwwwww


127:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:19:16 kKErQZ1a
>>123>>124>>125>>126
まさに禿同


128:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:25:27 k4fGXjSa
>>127
荒らし死ね


129:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:28:36 Ciq3w1Cx
>>122
乙!
さて、ハッピーエンドになるかバッドエンドになるか・・・・・・

130:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:29:35 5a4nIDKp
期待してる
ハッピーとバッドどっちにも転びそうで展開が楽しみだ

131:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:47:11 FIV1TXk+
>>128-130
作者自演乙w


132:名無しさん@ピンキー
07/05/26 18:47:58 WOy3dmv0
これは……。
何か、破滅の香りがする……。


だが、GJ!

133:名無しさん@ピンキー
07/05/26 19:17:31 Cs0VGEId
GJ!

134:名無しさん@ピンキー
07/05/26 19:53:53 RjUUasya
>>99
綾シリーズキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n’∀’)n゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
毎回楽しみにしてるんだよ今回も最高のキモウトだぜ!!
では渾身のGJ!!

>>122
ついにこえてはいけない一線を・・・だがそれがいい
次回も楽しみにしてますなにはともあれGJ!!

135:名無しさん@ピンキー
07/05/26 19:56:58 rZ6b2/y1
レスの流れを見るに、余程の良作だな。
スレ住人の嫉妬を買っている。

しかし、何かどんでん返しがありそうだが・・・。
舞姫可愛いからよし!

136:名無しさん@ピンキー
07/05/26 20:22:17 HJGRkw3d
    //: : : /: : : :/,: : : : : : : : ,: : : /: : : : : : : : : : ::``ー-,‐
   //: : : :/: : : :/ /: : : : : : : /__/: : : : : : : : : : : : : <
 ∠-/: : : :/ : : : / /:/: :、-‐= ̄__ ノ: :|: : : | : : : : : : : : ヽ
   /|: : : /: /: :/ /| |: : : :了 ̄ // /}: 人: : :| : : : : 、: : \|
  //|: ://|: :/|/ {|: : : :/ |: :/ / ///| : |\{: : : : : `丶、\
  l| |: |: :{ |/冫==|: : /___|/-/ノ≠ニ弌: :`: : : :|_: : : : l`ーヽ
    ヽ{| ||: : |{ 仁ヽ|: /  ̄`__..-=≠ヽ.  |: : : : : / |: : : /        神を叩くなんて間違ってる
     `ヽ\ ',└┴lヾ    ´_{‐-'::::} ミ |: : : :ノ } l: : /         そんなに変えたきゃ、作品を投稿して神になって
        `、|  /       ̄`¨ ̄ /: :/ /:/          内部から変えていけばいいのに
         `、ヽ.         /-‐'´∠´: : /
          ヽ `_          ノ / /レ
           \ `二‐ 、    , '   '/ノ}
            \    _ -    ィ戈 彳
   ___ -‐== ̄r≧≦二_-─=彡冖 : : ト、
  / :/: : : : : : : : : : |: : : : : : :| | ̄∧: : : : : : :l: : ヽ
. /: : /: : : : : : : : : : : : :V: : : : : :| |.,-ヘ/‐、: : : /: : : :`丶
/: : /: : : : : : : : : : : : :/ V : : : : | /⌒)乢⌒:/: : : : : : : : : \


137:名無しさん@ピンキー
07/05/26 20:30:33 iSCePeIq
いっつもギアスのAA投稿してるやつなんなの?

138:名無しさん@ピンキー
07/05/26 20:35:39 03bsG/AK
スルーするー。

139:名無しさん@ピンキー
07/05/26 20:42:58 HJGRkw3d
スルーせずにレスを返したら・・一発やるぜ

140:名無しさん@ピンキー
07/05/26 21:23:02 pppRpWVT
>>122
糞作品乙!!!!!!!!!


141:名無しさん@ピンキー
07/05/26 21:24:57 XmeNfIBe
>>122
つまんないな

それにしても単発自演GJが多いNE☆



142:名無しさん@ピンキー
07/05/26 21:29:27 GbVTOFZG
>>140>>141
荒らしとして語彙がそれだけしかないのは致命的・・・

143:名無しさん@ピンキー
07/05/26 21:30:15 GbVTOFZG
あ、日本人じゃなかったんですか。すいません^^;

144:名無しさん@ピンキー
07/05/26 21:43:31 J+1ERq2H
すっかりこのスレにも荒らしが住み着いてしまった

145:名無しさん@ピンキー
07/05/26 21:49:36 rZ6b2/y1
嫉妬スレから流れてきてんだろうな。
あっちは、もうすっかり作品へのレスも減ったし。
だが大丈夫。

キモ姉は永遠だ。
キモウトは不滅だ。

そのうち、
兄・弟を防衛するために荒らしの背中を刺しに来るキモ姉・キモウト(神作品)が降臨するに違いない。


146:名無しさん@ピンキー
07/05/26 22:29:34 Rdz/OC9G
>>145
え?キモ姉キモウトに刺されるのって男の最大欲求だろ?
荒らしなんぞにするには勿体ない、
本当のキショ姉キショウトに逆レイプされるべきだ。

147:名無しさん@ピンキー
07/05/26 22:55:48 kb50zs6l
>>122
前作が初SSということで、文章そのものがぎこちなかったり、
話の展開や場面の切り替わり、登場人物の心境の描写など、
いろいろとアラが見えてしまうのが惜しい。
が、だからこそ、期待。
GJ!!

148:名無しさん@ピンキー
07/05/26 23:11:32 SXSs70g4
上から目線w

149:名無しさん@ピンキー
07/05/26 23:21:49 kW1fD+6w
アキラの死体の外傷にスタンガンの後を見つける女警部
浮浪者がスタンガンなんて上等な物を持ち合わせてるだろうか?
女警部は陽一に接近する……

って妄想した

150:名無しさん@ピンキー
07/05/26 23:23:33 eoPkEfyG
>>122
なんという乙。続きを楽しみに待ってるぜ。

151:名無しさん@ピンキー
07/05/27 08:51:49 +tmtGuNE
荒らしとイ言者の自演対決がうぜーな


152:名無しさん@ピンキー
07/05/27 09:05:46 byjIQ4Rj
信仰の自由

153:名無しさん@ピンキー
07/05/27 09:12:08 iYNaffey
>>151
君も荒らし

154:名無しさん@ピンキー
07/05/27 09:13:14 ZlkGa5Ks
落ち着け
ここはスルーしようぜ

155:名無しさん@ピンキー
07/05/27 09:14:54 yTDNQCYo
信者や作者はもっと謙虚になれよ
2chなんだから色々な意見が集まってきて当然
それが嫌ならmixiなりなんなり仲間内で勝手にやっとけ


156:名無しさん@ピンキー
07/05/27 09:44:43 Y+Tn5okN
まあ、皆さんスルーしましょう。

たかが一荒らしの嫉妬如き、
我らがキモ姉・キモウトの愛の前では無力!

ところで。
包丁以外に、
キモ姉・キモウトが装備するのに相応しい武器ってなにがありますかね?

157:名無しさん@ピンキー
07/05/27 09:46:44 zWlVYFRv
アイスピック

158:名無しさん@ピンキー
07/05/27 10:11:02 aTlvWVGt
あんぱn(ry

159:名無しさん@ピンキー
07/05/27 10:12:00 b5atL+vA
鋏以外に考えられない

160:名無しさん@ピンキー
07/05/27 10:29:42 LMP8VPxt
フライパン

161:名無しさん@ピンキー
07/05/27 10:30:24 zWlVYFRv
文鎮

162:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/27 10:33:34 xwjdmc75
妹姫最終回、エピローグもまとめていきます。
長編は中盤が一番辛い;

では投下。

163:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/27 10:34:46 xwjdmc75
二日後の夕刻、日課になっている文を書き終えて芳之助に渡した後、舞姫は
叔父である信輝に呼び出された。

「叔父上様、何か御用でございましょうか。」
「ふむ、舞…お主には隣国の後穂之国へ嫁いでもらうことになる。」
舞姫の顔から血の気が引いていく。
(どうして…どうして…)

「後穂之国は先穂之国とは元々親しい仲。何ゆえでございましょうか。」
「先の勝利でわが国は日羽之国を使えるようになった。そこでお主に執心しておる
 後穂之国との結びつきを強くし、近隣の国を先穂之国の支配下に置くのだ。」
「戦が終わったばかりで…」
(いや…嫁ぐのは絶対に…)

「こちらは被害は少ない。それに清治や雪は相手を越える戦力を整えれば必ずや
 勝利していくだろう。先穂之国はかつてない強国となる。」
(雪…!また雪!!どこまでも…どこまでも私の邪魔を!!これももしかして…!)

「それに、あまり清治の下にいては後で別れが辛かろう。兄妹いつまでも共に
 いることができるものではない。これはいい機会だ。清治や雪の前途のためにも
 我慢してくれ。後穂之国の国主も悪い男ではない。」
(叔父上様も……私の幸せの邪魔を……私は兄上様がいれば何もいらないのに!邪魔するものは…)
「わかりました。」
(兄上様だけがいればいいんだ…。)
舞姫は深々と頭を下げた…その眼には狂気の炎が猛り狂っていた。

その夜、国主信輝の部屋に女の影があった。
女は短刀を振り上げると、躊躇なく信輝の首に刃を差し込んだ…。

夜の街に夜着を赤く染めた女が月明かりを浴びながら歩く。さながら
その姿は死霊のごとく生気はない。
(兄上様…兄上様……今、参ります…。私たちの間を邪魔する叔父上様は
 死にました…後は雪を殺せば…私たちは二人になれます。二人で…)

舞姫は血を滴らせながら清治の屋敷へと入っていき、清治の部屋に近づいていく。
中を確認すると一組の男女が裸で絡み合っている。
(雪…兄上様を縛るのも今日が最…え…嘘…)

男は清治…女は芳之助だった。舞姫にとって兄以外で唯一まともに話した人…
姉と思えた人…助言を貰い助けてくれた人。

(芳之助様…嘘…裏切って…いや元々…からかって…?何故…いや…)
「いや…いやあああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
もう、舞姫は何も考えられずその場に居れず、雪を殺すことも忘れて
走り去った。清治は声に気づく、

「何故舞がここに!」
「清治殿、考えるのは後!着替えてすぐに追いかけてくだされ。某も雪と共に
 探しに行きますゆえ。」
「わかった。任せた。俺は城へ行く。」


164:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/27 10:35:54 xwjdmc75
「これはどういうことだ。」
「信輝様が何者かに刺殺されて…。」
「すぐ行く。重臣は国主の間へと集まっておけと大上清治の名で伝えよ。」
信輝の部屋に入ると血の匂いが充満していた。その死を確認し、慌てる家臣たちへ
命令を出していく。

一方その頃、先穂之桜の前では宴のときと同じように三人の女性が集まっていた。
三人を禍々しく赤く輝いた月が照らす。舞姫は夜空の月を静かに眺めている…。
赤く染まった夜着をきた彼女が赤い輝きで照らされるその姿は幻想的で酷く儚く、
雪と芳之助はその姿に魅入っている。

「舞姫様、これは一体どういうことだ。我に説明してもらえぬか?」
「ああ…叔父上様でしたら…兄上様との仲を裂こうとしたので死んでいただきました…。」
「なんてことを…。」
「だって、嫁げだなんていうのですもの。どれだけ私が兄上様を愛しているかも知らずに。」
「舞姫様はご自分が何をしたかわかっておいでか!」
舞姫は笑う。歪んだ血塗られた顔で。

「判ってますとも。兄上様との仲を邪魔するものを殺した。後は雪殿と…
 そして、私を裏切っていた芳之助様も…邪魔するなら消えてもらいます…。
 特に雪殿は…叔父上様を唆したのでしょう?貴女は…貴女だけは。」
「我はそのようなことはしておらぬ。初耳じゃ。」
「もうどうでもいいのですよ…そのようなこと…」
舞姫は短刀を抜いた。

「私は雪殿が憎いのです。何の障害も無く兄上殿と結ばれる貴女が…。
 愛されるあなたが…。力になれる貴女が…。」
短刀が月明かりを受けて不気味に輝きを放つ。雪は驚いたものの
恐怖はしていなかった。芳之助なら素人の舞姫を取り押さえることは難しくない。

ざすっ!!
肉に刺さる嫌な音が夜の桜の下に響いた。

「くっ…舞姫様、そのようなところを刺しても人は死にませぬ。」
「芳之助様…何故…」
「芳之助!!」
肩に刺さった短刀の痛みに芳之助はその端正な顔を歪める。

「某が黙っていたことを謝ろうと思いましてな…あの方には…昔、仇に
 汚された我が身を忘れさせてもらうために清めていただいていたのだ。某の我侭じゃ。」
「芳之助様…」
「某は舞姫様には好いた人と添うて欲しかった…。そこに偽りは無い。
 清治殿に抱いてもらったのだろ…女らしくなった。」
芳之助は呆然とする舞姫に対して優しく微笑む。

「文を交換したり、二人で出かけたり…。体だけでなく心も通じ合ったろう?」
「………はい……」
芳之助は舞姫の頭を撫で、今度は雪に振り返る。
雪は相変わらず無表情ではあったが、眼は悲しみで満ちていた。


165:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/27 10:37:20 xwjdmc75
「雪…清治殿の性格を考えればこれからどうなるか分かるな?」
「ああ…。」
「ならば、清治殿には神として使えと伝えよ。」
「芳之助…お前何をする気だ…」
「舞姫様、恩に着せるわけではござらぬが某の命に免じて雪のことはお許しくだされ。
 奴も我が友人にして恩人なのだ。」
そこまでいうと肩に刺さった短刀を引き抜き、舞姫の手に戻し、芳之助は
自らの心臓に短刀を突き刺した。体から血が噴出し、舞姫と先穂之桜の根元を
赤く…紅く染めていった。

「え、芳之助…様…わ、私は何を…」
「正気に…戻られました…か。舞姫様は…可愛い…まるで妹のよう……」
「芳之助!おい!芳之助!我の許可なしに勝手に死ぬな!!約束が違うぞ!芳之助!!」
呆然としている舞姫を気にせず、雪は芳之助の頭を抱え泣き叫んだ。
そこにいつもの冷静さは微塵も無い。

「雪…ありがとう…」
「うわああああああああ!芳之助!!なんと馬鹿なことを!!!」
暫く放心したように舞姫は月を見上げ、雪の泣き声がただ響く…

そして、指示を終えた清治もついに先穂之桜の下へと現れた。
紅い月が二人を照らし、春の嵐のような強い風を受けながら向かい合う。

「これは…。」
「兄上様…お待ちしておりました。」
「お前がやったんだな…本当に。」
「嫁ぎたくなどなかったのです。兄上殿以外に抱かれるなど…。」
「俺を頼ればよかったのだ。」
「我慢が出来なかったのです…。兄上殿を私だけのものにしたかった。
 結局は叔父上様を理由にしただけなのかもしれません…。」
強い風に煽られて紅く照らされた血のように赤い桜の花びらが二人の間を
通り過ぎてゆく。

「俺のせいだな…。」
「違います。私の我侭なのです。そのせいで姉のようによくしてくれた芳之助様をも…。」
清治は強く、痛いくらいに力強く舞姫を抱きしめた。

「辛いなら泣け!」
「うう……うっ…兄上様…どうして私たちは祝福されないのですか…っ…。」
「舞…」
「私はっ…私は…ただ兄上様といたいだけなのに!!!」
「舞…辛かったか?」
「はい…。」
清治は、抱きしめていた手を緩める。そして右手は自らの腰へと伸びる。
左手で舞姫を抱きしめ口付けを交わす。

「俺は…八神清治はお前を…誰がなんと言おうとも、誰も認めずともお前を愛している。」
「ありがとうございます。兄上様…。」
舞姫との初めての口付けは、錆びた鉄の味がした。

「辛うございましたが…………幸せで……たのしゅうございまし…た……。」
清治は右手を離し、体を全身震わせながら冷えていく舞姫の体を抱きしめ続ける。
彼女の心臓には……短刀が刺さっていた。

166:妹姫  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/27 10:38:28 xwjdmc75
「雪……芳之助は何か言っていたか?」
「……神として使えと。」
「雪すまない。お前と外を出歩く約束は叶えられそうに無い。」
「魂は輪廻するそうだ。来世に期待しよう。」
雪は冷静さを取り戻し、表情を消してそう答えた。

「雪、重臣たちに伝えてくれ。逆臣八神清治は舞姫との不貞の末、国主を
 殺害し逃走しようとしたが、次期当主であるこの大上清治が討ち取ったと。」
「桜が…赤いな。血を吸いすぎて…。」
赤い月に照らされた桜は、多くの死を悼むように花吹雪を散らせていた。


その後、芳之助の遺体は八神清治として舞姫と共に火葬され、その骨は
国主となった大上清治の命により、一緒に先穂之桜の下に埋められた。
二人の事件は恋の悲劇として伝えられ、後に賢君とうたわれた清治の
悲劇の妹姫として、先穂之国で語り継がれる。


清治は叔父の名前から一字取り、大上信治を名乗る。正室には雪を向かえ、
二人で先穂之国を治めた。二人の治世により先穂之国は戦国時代の強国と
なり、時流に上手く乗ることにより天下が一つになるまで戦火を免れた。


信治は愛妻家としてもしられ、雪のほかに側室を置かずに生涯愛し合ったと
伝えられている。そして、五百年のときが流れた。


167:妹姫エピローグ  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/27 10:40:05 xwjdmc75
私──大上舞雪(おおがみまゆき)は来年高校生になる。今、春休みに
今年二十歳になる兄の清仁(きよひと)と共に大昔にご先祖様が治めていた地を訪れてた。
腕を組んでるんるん気分で目的地に向かって歩いている。

兄は一流大学に在籍する歴史オタクで、我が家の倉庫から発見した古文書から
面白い文献を見つけたので事実を究明しに行くんだという。

「やっぱ、歴史は熱いね。歴史家たるもの謎があれば解明しなければっ!!」
「でもさー。清仁兄さん。妹姫の伝説って調べると祟られるって代々言われてるじゃない?」

兄は、特別格好いいわけじゃないけど優しいし子供っぽくて可愛い。
時々理知的で格好よくもある。彼女はいない…作らせはしないけどね。
今日の私はそんな兄のお目付け役。大好きだけど…先祖代々うちの女はちみっこくて
女としてはちょっと悲しい。胸も小さいし…うう…。

「呪いが怖くて歴史を学べるものか。それより舞雪は伝説はどのくらい知ってる?」
「んー。確か八神って武将と舞姫が恋愛して、謀反起こそうとして失敗するんだよね。」
私が知ってるのはその程度。我が家に代々伝えられている昔話だ。

「ああ。だが、見つけた信治の日記に妹との思い出を先穂之桜の下に埋めるって文が
 あったんだ。もし、それが見つかれば実際のことが分かるかもしれない。」
「なるほどねー。恋物語の発掘かー。清仁兄さんもたまには面白そうなこと考えるね。」
先穂之桜を見つけるのは簡単だった。地元では有名な大きな桜で、城跡にあるのだという。
ここ十年花をつけなかったらしいが、今年は綺麗に桜の花を咲かせているらしい。

「綺麗ね…。すごい桜。」
「ご先祖様も愛する奥さんとよくここで昼寝してたんだそうだ。」
「由緒正しき昼寝どころだね。」
「とりあえず、掘ろう。場所は夕日で陰になる方向に一歩の場所だ。」
私はだめだろうなって思ってた。でもお兄ちゃんが楽しそうだしいっかと
思って一緒に掘った。一時間ほど経った頃、私のスコップに硬い音が鳴った。

「嘘…。」
「おおおおおおおおお!ナイスだ舞雪!!!!!!!ぐっじょぶ!!!!!」
桜の下から出てきたのは、土の下でも腐らないように加工された綺麗な
小さな箱だった。空けてでてきたのは…


168:妹姫エピローグ  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/27 10:41:40 xwjdmc75
「なんだろう。二つの巾着に入ってるのは骨?櫛と……それと刀の先…?」
「この紙は、八神清治と舞姫の手紙だな。何故、こんなとこに。」
二人は満開に咲く大きな先穂之桜に腰掛けて五百年前の手紙に眼を
通し始めた。

「清仁兄さん~読めた?読めたっ?」
「嘘だろ……。」
「何が?」
「舞姫から清治にあてた手紙には…あ、兄上様へ─って書いてるんだ。」
私にその言葉の意味が届くまで十秒くらいかかった。

「えええええ!じゃあの伝説って!!」
「最後の手紙の内容から考えて、兄を慕ったばかりに何らかの事件が起こり
 亡くなることになったと考えるのが妥当だな。これ以上は調べないとどうとも。」
「じゃあさ…手紙ってどんな内容なの?」
ひょっとしたら…これが見つかったのは偶然じゃ…ない?

「ああ、二人でこっそり城抜け出してデートして櫛を買ってもらったこととか。」
「これってそんないわくの櫛なんだ…。」
「舞姫が清治に情熱的な手紙を送って、清治はそれに困って妹へ手紙を返してる。」
「ふむふむ。」
「どんどん、舞姫に押されていってついに…」
そこで清仁兄さんが真っ赤になって言いよどむ。

「…まさか、やったの?」
「馬鹿!そんな言い方するな。最後の手紙とかはもう恥ずかしくてとても
 読み返せないような内容だ。」
「なるほどね。妹姫様の伝説…そんな話だったんだね。本当は。」
私はわかった。舞姫様はきっと私を応援してくれたんだろう。私は唯一の自慢の
長くて綺麗な黒髪を預かった櫛で少し梳いた後、清仁兄さんに抱きついた。

「ご先祖様は悲劇になっちゃったけど…。私たちは幸せになろうね。好きだよ。兄さん。」
「俺も好きだ。きっとこれは俺たちが見つけるべきだったんだな。一生やってく
腹は決まった。迷いはもう無い。」
「ふふ…ご先祖の供養にもなるね。」

清仁兄さんと綺麗で雄大な先穂之桜の下で優しく抱きしめあい、キスをする。
信治からの最後の手紙は、愛する妹と我が友にして舞姫の姉芳野へ─と宛てられていた。


169:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/27 10:44:15 xwjdmc75
応援いただきありがとうございました。
そういうわけで完結です。


170:名無しさん@ピンキー
07/05/27 11:21:50 pW3PhxUq
キモウト伝説GJ

171:名無しさん@ピンキー
07/05/27 11:24:16 Y+Tn5okN
これはっ・・・!

賛否両論ありそうなエンド。
しかし、ここまで書いた作者氏に決して策士じゃなかった芳之助、
多分死ぬまで一抹の後悔を引きずっただろう雪、
キモウトとなって散った舞姫に腕が震える程のGJを贈らせてもらうぜ。

職人様、乙!

172:名無しさん@ピンキー
07/05/27 12:49:05 rZYDfJbp
ほほぅ、長編物になりそうな物を…
中途半端にならず終わらせるとは。いやはやお見事、

173:名無しさん@ピンキー
07/05/27 12:50:52 WGh+peYp
>>156
一部で有名なアルミ製特殊警棒はどうか

>>169
GJ!!
Vシネあたりで見たいな、これ

174:名無しさん@ピンキー
07/05/27 12:58:50 9CBS+UGi
前スレ>>918GJ!
姉ちゃんこぇえええええええええええ

でもなぜか子供相談室のあれを思い出した

175:名無しさん@ピンキー
07/05/27 13:00:01 gevMTCpn
GJです。連載お疲れ様でした。
そして次回作に期待w

176:名無しさん@ピンキー
07/05/27 13:22:24 l4it3lhr
>>前スレ917,918
こええええええええええ!!!!!!!
GJ!!!!!!!

てか、最近の若者はインターネットをインタネって略すのか?



>>169
おい、このEDはずるいだろ!!
俺がこの手の話を大好きだと知ってのことか!!!
GJだぜこんちくしょう!!!!!

177:名無しさん@ピンキー
07/05/27 19:50:45 LJQZT2EI
>>169
キモウト伝説楽しかった!!最高に萌えた!!なにはともあれ乙&GJ!

178:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:17:58 yTDNQCYo
自演GJUZEEEEえええええ
>>169
つまらん


179:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:24:23 PUDBs6xu
>>178
つ枯れ木も山の賑わい
こんなんでも投下されてないよりはマシ


180:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:26:36 OB+KVrWm
>>169
もうつまんね,飽きてきた

181:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:27:39 4j0pPTi0
>>169
妹姫つまんねw

182:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:28:54 a3QOa0GR
>>169
完結乙



もう投下すんなよ、いや本気で


183:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:32:14 jg1lYYKz
>>179>>180>>181>>182

   | \
   |Д´)   ハゲシクドウイ オドッテヤル!!
   |⊂
   |


     ♪  Å
   ♪   / \   ランタ タン!
       ヽ(`Д´#)ノ   ランタ タン!
         (  へ)    ランタ ランタ
          く       タン!!



   ♪    Å
     ♪ / \   ランタ ランタ
      ヽ(#`Д´)ノ  ランタ タン!
         (へ  )    ランタ タンタ
             >    タン!



184:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:36:47 oFUM+WMh
>>169
投稿GJ、そして乙
この手の話は自分も結構好きなので面白かった、終わり方も秀逸でGood。

185:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:40:00 iYNaffey
>>178-183
aアボーン推奨


186:名無しさん@ピンキー
07/05/27 20:43:02 KZWNZ0zf
>>185
うん、とりあえず荒らしに何度もアンカーつける馬鹿は氏んどけ。

削除依頼できんだろうがよ。

187:名無しさん@ピンキー
07/05/27 21:24:42 Y0wIQE7Z
アンカーつけてる奴も自演荒らしだから

188:名無しさん@ピンキー
07/05/27 21:32:33 iYNaffey
なるほど、すまんかった
半年ROMります

189:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:19:04 rZYDfJbp
>>188
このスレが平和になったら帰ってこい。
え?一生無い?希望は捨てちゃいかんのですよ。

190:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:21:30 Y48kyKlT
>>183
ワロタwww


191:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:23:42 scIihNPw
ったく、信者は何でも荒らし扱いするから困るわw


192:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:46:55 Y+Tn5okN
そして、荒らしは何でも信者扱いするから困るわw

せめてキモ姉・キモウトについて語ってから言え。
そんなオレは、妹も姉もいないキモウト派である。

193:名無しさん@ピンキー
07/05/27 22:54:49 qHzTfvr4
キモ姉>キモウトだろ…俺の趣味嗜好的に考えて…

194:名無しさん@ピンキー
07/05/27 23:12:35 P2ndORvI
キモウトに決まってるだろ
俺はピュアメールの妹だってOK

195:名無しさん@ピンキー
07/05/27 23:27:06 YEce7g1+
確かに鳩ねぇのキモアネっぷりがいいなw
主人公が寝てる時に「…レンちゃんはお姉ちゃんが一番…」とか洗脳してみたりw
「私はもう鳩ねぇだけを見つめて生きていきます」とか言わせてみたりw

196:名無しさん@ピンキー
07/05/27 23:35:12 Y+Tn5okN
「君と僕の壊れた世界」、の夜月ちゃんとかね。
「零崎双識の人間試験」の舞織ちゃんとかね。

兄がいないと生きていけない妹に、
鋏を口に銜えて武装する義モウト。


もうじき平日。
せめて、夢の中でキモウトに会いたいものだ。

197:名無しさん@ピンキー
07/05/28 00:46:21 6JOj/J5h
八雲立つ
羊の歌
王家の紋章

と、キモ姉が出ている漫画を買ってきた姉は
もしかして俺のことを誘っているのだろうか?

198:名無しさん@ピンキー
07/05/28 01:04:17 nlFNjMeC
そうだとしたら姉とどうなりたいの?

199:名無しさん@ピンキー
07/05/28 01:05:25 nlFNjMeC
あげちった。ごめん

200:名無しさん@ピンキー
07/05/28 01:31:54 YxDqRmi7
鳩姉のキモさは凄かった・・
もう、主人公がシスコンだと疑問を覚えて悩むようなシナリオだと思っていたが
その事に触れずに何の問題や傷害なくゴールイン。
全ては鳩姉の思惑通りに洗脳完了であったwwwww

というわけでそんなキモ姉をここでは期待しているw

201:197
07/05/28 02:06:23 6JOj/J5h
>>198
ないわー。
シャアも「でも乳が無い」って嘆いていた。

202:名無しさん@ピンキー
07/05/28 02:11:07 2WRAr705
>>197
その漫画をオマイに読むのを薦めて来るかどうかが、いい判断材料。
ってか、何で姉ちゃんが買ってきた漫画のタイトル知ってんだ?

203:名無しさん@ピンキー
07/05/28 02:18:18 2WRAr705
>>196
「きみとぼくの壊れた世界」は、病院坂の出番の多さ(ページ配分)が圧倒的で、レヴューとか呼んで
キモウト楽しみに買った人は、どう感じたことだろうw

少ない配分ながら夜月パートは、それなりに味わい深いものだったけどね。

204:名無しさん@ピンキー
07/05/28 08:35:39 pzpGYeeM
>>203
味わい深いと言うか、
例のあのシーン読んだ瞬間に他のこととか吹っ飛ぶだろ、このスレの住人的に。

つーか夜月可愛すぎ。
西尾、商業誌でアレはやり過ぎ。

205:名無しさん@ピンキー
07/05/28 16:31:04 CL6Yd0ei
話題の鳩姉について詳しく!

206:名無しさん@ピンキー
07/05/28 17:42:37 Is5/7msU
>>205
つgoogle


207:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:45:19 Ck9zC67l
いまだ完結させてないのって、私だけなんですよね。
ほかの職人様は筆はやいなぁ。普段なに食べてるんだろう?
籠の続きを投下します

208:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:47:15 Ck9zC67l
早朝。
僕は妹の部屋で目を覚ます。
傍に理理の姿は無い。おそらく台所にいるのだろう。
身体はまだ少しだるい。
終日意識無く妹を攻め立てていたせいだろう。酷く体力を消耗している。
“あんなこと”があったというのに、眠りこけていたのは僕自身の疲弊のためだ。
普段、理理は僕の部屋で一緒に寝たがる。
『お兄ちゃん』の匂いのする部屋で寝たいのだと云って。
けれど今の僕の部屋は、掃除が完了していない。
そうでなくとも、“あんなこと”があった場所だ。出来るなら―近づきたくはなかった。
それで、この部屋で同衾したのだ。
兄―
僕はもう、その資格すら失った。
護るべき、愛すべき妹の人生を、この手で奪い穢したのだ。
自らのおぞましさに吐き気と殺意を覚える。
いっそ・・・。
いっそ今すぐに死ねたら、どんなに楽だろうか。
不安も責任も放棄して、永遠の無の中に逃げ込めれば、どんなに良いだろうか。
けれど、それは出来ない。
「お兄ちゃん」
僕をそう呼んで、穏やかに笑っていた妹を、独りに出来るわけが無い。
理理は―
妹は怒っているだろうか。
悲しんでいるだろうか。
それとも蔑んでいるだろうか。
そのどれでも良い。
妹がどう思おうと、“傍で償え”と望む以上、僕のすべきことは唯一つだ。
月ヶ瀬真理の人生は総て。
月ヶ瀬理理の支えとして、贖罪を続けなければならないのだから。
悔恨と慙愧。
それだけが僕の中身になった。
けれど、妹を思えばそれがどうだというのだ。
最も懐いていた親族に穢された痛みは、僕などとは比べ物にならないだろう。
僕の罪は、果てしなく重い。

キッチンに入った。
支度をしていた妹はすぐに僕に気づいて、傍まで遣ってくる。
「おはよう、お兄ちゃん。今日は早いね」
ぎゅうっと。
理理は僕を抱きしめる。
「理理・・・」
なんと云えば良いだろうか。
かけるべき言葉が見つからない。
「お兄ちゃん、キスして?」
「え」
「キス。おはようの挨拶」
「でも・・・・」
「なにも考えちゃ駄目よ?これはお兄ちゃんに与えられた罰なの。私がそうしてって望むんだから、
お兄ちゃんがすべきことはひとつでしょう?」
「・・・・・・・」
兄妹どうしでキスをする。
そんなことはまともではない。
いや、それ以前に、乱暴を働かれた相手にそんなことをされて、満足なのだろうか?
見おろす小さな妹は、すでに瞳を閉じ、顔を上げていた。
(これは理理が望むこと・・・・)
仕方なく、妹の可憐な唇にキスをする。
「んぅ・・・」
吸い付くような感触。温かで柔らかい触覚。
妹の唇はこんなにも気持ちの良いものなのか。

209:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:49:05 Ck9zC67l
考えていると、
「ちゅっ・・・。ちゅぱ・・・」
理理は僕の首に腕を絡め、舌を口内に這わせ始める」
「ん・・・!!んん・・・」
慌てて離れようとすると、妹の腕に力が篭った。
逃げるな。
理理からはそんな気配が伝わってきた。
僕は力を抜き、されるがままなる。妹は僕の唾液をごくりごくりと嚥下し、その交換と云わん
ばかりに自らの唾液を兄に流し込んだ。
(気持ち悪い・・・・)
しかし吐き出すわけにもいかない。
口内にたまった妹の唾を体内に取り込んだ。
5分もそうしていただろうか。
妹が漸く唇を離す。と、
つう、と舌と舌の間に唾液の糸がかかった。
「あは。口のまわり、べたべたになっちゃたね」
理理は口端から銀糸を垂らしながら笑い、
「私が綺麗にしてあげるね」
僕の口まわりを丁寧に舐めあげた。
「お兄ちゃん、“これ”が、これからの朝の挨拶だよ。憶えておいてね?」
そう云って理理は笑う。
そこにあった笑顔は、もう僕の知るそれではなかった。

「往こう、お兄ちゃん」
家を出るなり、理理は腕を組む。
僕に寄り添うような腕のからめかた。
笑顔と同様、以前とはどこか違う密着のしかた。
まるで囚われたかのような。
そんな錯覚さえ受ける、妹の抱擁。
「理理・・・・流石に、まずくないか、これは・・・・」
「お兄ちゃん、“これ”は私が望むことだよ?まずいとか、まずくないとか、そんなことは考えなくて
良いの。お兄ちゃんが大切なのは誰?償うべきは、誰?まわりなんて気にしなくて良いんだよ?」
「・・・・・・」
そう云い切られると、もう僕は何も云えない。
黙って受け入れるしかない。
腕に頭を寄せる妹をそのままに、道を歩く。
突き刺さるのは、視線。
周囲は僕らをどう見ているのだろう。
兄と妹。
そう知っている人も多いのに。
学園が近づき、見知った顔が増える度に、皆は奇妙な顔をする。
それはそうだろう。僕らは兄妹。
こんなことをして歩く存在ではないのだ。
しかも互いの手には銀色のリングが嵌っている。
ヒソヒソと囁かれる声。
信じられないものを見るような視線。
穢されたはずなのに幸せそうな妹。
沈黙するだけの僕。
なにかが狂っているようだった。
いや。
狂っているのは―僕だ。
大切にしていた実の妹に襲い掛かったのだ。まともな人間ではない。
畜生。
そう呼ぶほうが相応しいだろう。
案の定、学校では腕を組んでの登校と、ペアのリングが話題になった。
僕は何も答えない。
何を云えるというのだ。
対して理理はそのことを尋ねられると、「愛しているから当然だ」と答えたらしい。
どういうことだろうか。
あんなことをされてもなお、僕を兄と思ってくれているのだろうか。

210:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:51:07 Ck9zC67l
休み時間に遣ってきた理理は、人目もはばからずに僕に抱きついた。
クラスメイトの視線など気にも留めない。
僕も振り払わない。
こんなことは妹のためにはならないだろう。
たとえ本人が望んでいても、よからぬ噂がたつようでは、将来は暗い。
だから兄として、叱ってやる必要がある。
けれど僕はもう兄ではない。
その資格を失った。
苦々しくても、理理の望むままにあるしかないのだ。
学校にいる間中、僕は涙をこらえて過ごした。

放課後。
校門前で理理を待つ。
今まで下校時間が異なるときは別々に帰宅していたが、今日からはそれも変わるらしい。
「お兄ちゃんは私の傍にいるべきなの。一緒に帰るのが当然だよ?」
理理にそう云われたのだ。従うしかない。
僕はなるべく指輪を見えないように気を使う。
テーピングは絶対に許さない。
妹はそう命じた。
勿論、外すことも儘ならない。
“これ”は僕が負った罪の証。
背負うべき十字架なのだ。
だから外せない。隠せない。
けれど―
僕は思う。
このままで良いのだろうか。
自立。
それが今までの僕の望みだった。
今はそんなことを口にする資格はないし、一生かけて償いをする覚悟はある。
妹を不幸にした莫迦者が云って良いことではないのだろうが。
このままでは、理理はもっと駄目になる気がする。
なんとかしてあげられないだろうか。
懊悩だけが時を持ち去ってゆく。
暫くそうしていると、門の外からざわめきが聞こえた。
僕は気にも留めない。
そんな余裕は無い。
だが、聞き取れた言葉に顔を上げた。

「迎えに来たよ、にいさん」

ざわめきの正体。
凄まじい美少女。
名門私立校の制服を着た、一人の少女。
心奪われるほどに綺麗な声をもった従妹がそこにいた。
「聖理・・・」
僕は左手で鞄を握る。指輪を不可視にするために。
「お前、どうしてここに?」
「どうして?やだなにいさん、今聖理が云ったでしょう?にいさんを迎えに来たんだって」
従妹は猫のように大きくて綺麗な瞳を細める。
笑顔・・・・そう呼んで良いものなのだろうか。
「む、迎え・・・?」
「うん。迎えに来たんだよ。にいさん、コトリを捨てて聖理のお家に来てくれるんでしょう?」
「・・・・それは無理だって、一昨日云ったろう?」
そして今はもっと無理だ。
理理から離れることは許されない。
「にいさん、まだコトリに縛られてるんだね。まあ、そのことはいいや。とにかく聖理のお家に来て」
従妹は僕の右腕にぎゅうっと抱きつく。引っ張るように腕を組むので、身体が傾いた。
「来てくれれば、多分総てが上手くいくよ」

211:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:53:05 Ck9zC67l
どこか自信に溢れた様子で聖理は笑う。
ぐいぐい。
むにむに。
気のせいか。
いつもよりも柔らかなものが腕に当たる気がする。
「本当は昨日迎えに来ようと思ってたんだけど、色々準備してたから・・・」
「準備?」
「にいさんをもてなす準備。来ればわかるよ。さ、いこ?」
聖理は僕を引っ張る。
刹那。

「どこにいくのかな、お兄ちゃん?」

背後から響くコントラルト。
僕と従妹は門の中に振り返る。
「なんだ、いたの?」
聖理はつまらないものを見たかのように呟き、
「いこ、にいさん」
僕を引っ張ろうとする。
「お兄ちゃん」
傾いた体を凍結させる妹の声。
僕の体が動かなくなる。
もともと小柄な聖理には、僕を引っ張るだけの力は無い。従兄が移動をやめると、聖理は再び門の中に
振り返る。
「コトリ、にいさんは私と帰るの。邪魔しないで」
「私、さとりちゃんになんて話しかけてないよ?帰るなら独りでどうぞ」
理理は薄笑いを浮かべて歩き、僕の腕を取った。
「私のにいさんに馴れ馴れしく触らないで」
「私のにいさん?何云ってるのかな?さとりちゃんには“お兄ちゃん”はいないじゃない。この人は
“私の”お兄ちゃんだよ?」
理理は嘲笑する。
聖理は僕を掴む腕に力を込めて妹を睨め上げる。
「コトリ、貴女、私に喧嘩を売ってるの?」
「そんなつもりはないよ?私、争いごと嫌いだもの。さとりちゃんにはお兄ちゃんなんかいない。
唯、その事実を述べているだけ。外様に外様。他人に他人。偽者に偽者って云って、何が悪いの?」
「―!!」
聖理の表情が憤怒に塗り変わる。
それに気づいた僕は、従妹が飛び掛るより早く妹を窘めた。
「理理!そういう云い方をするんじゃない。聖理も大事な妹だ。他人じゃないだろう」
「お兄ちゃん・・・」
理理は僕を見上げる。
「私、そんな云い方されると、“また傷ついちゃう”よ?」
「・・・・」
傷つく。
その言葉に僕は沈黙する。
(そうだ、俺は―)
この妹を、傷つけたのだ。
「ねえ、お兄ちゃん。どうするの?私を叱るの?」
「・・・・・・」
「出来ないよね、そんなこと。お兄ちゃんは私を傷つけるわけにはいかないもんね。癒し続けるんだ
もんね。一生かけて」
押し黙る僕を見て、妹は「ふふっ」と笑った。
「・・・コトリ」
「なぁに?さとりちゃん」
「貴女が私をどう見てようと、そんなことは関係ないの。にいさんは私を愛してる。私の許に
来たがってるの。それだけが事実なの」
「寝言は寝て語ってね。それとも、黄色い救急車を呼んでほしいの?」
やれやれと肩をすくめる妹。対して従妹は鋭い目つきで理理を見ている。
「寝言じゃない。だってにいさんは、家を出て往こうとしてたでしょう?」

212:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:55:06 Ck9zC67l
「!!」
「にいさんは貴女から離れたがってるの。いい歳をして、いつまでも付きまとう、キモチワルイ妹に
迷惑してるのよ!」
「―そう」
理理の顔から、笑みが消える。
「お兄ちゃんが出て往こうとしたのって、やっぱりさとり・・・ちゃんのせいだったんだ」
「半分はそうよ。でももう半分はコトリがウザイからよ?だからにいさんは私の許に来るの。
“本物のくせに”離れようとしない、コトリが嫌だから、愛する私の許に来るの」
「離れようとしない?」
へら、と理理は笑う。
「私から離れたくないのは、お兄ちゃんのほうだよ?私、お兄ちゃんが距離をとるなら、応援するって
云ったもの。でもお兄ちゃんは“永遠に”私の傍にいるって誓ったの。だから私はそれを受け入れた。
それだけのことだよ。ね。お兄ちゃん?」
「・・・・・・」
見上げる妹から目をそらすように僕は俯いた。
「なに云ってるの?にいさんはコトリが兄離れしなくて困るって云ってたのよ?永遠に傍にいるなんて
そんな莫迦なこと、云うわけ無いでしょう?」
「ふふ・・・」
理理は仕方ないなぁ、と呟いた。
「お兄ちゃん、見せてあげて?私達の“永遠”を」
歪み。
理理はまた、僕の知らない歪んだ笑みをみせる。
僕は逆らえない。
逆らえずに、隠していた左手を持ち上げた。
「―嘘・・・」
きらきらと陽光に反射する銀円。
永遠の咎がそこにある。
「にいさん、どうして・・・・この間、外してあげたのに・・・・叩きつけてあげたのに・・・・」
よろよろと従妹はあとずさった。
「ふぅん。指輪を外したのもさとりちゃんの仕業だったんだ。本当にろくなことしないんだね、さとり
ちゃんは。でもまあ、良いかな。もうこれは外せないから。お兄ちゃんが望んだ永遠だから。
私達本物の兄妹の約束なの。さとりちゃんの入れない、二人だけの世界なんだよ?」
理理も左手を上げる。
まったく同じデザインの円環が、銀色に光る。
「これ、お兄ちゃんが嵌めてくれたんだ。お兄ちゃんのは、私が嵌めたんだよ。わかったでしょう?
お兄ちゃんは家を出ない。永遠に私の傍にいるの。永遠に私だけを愛でて、私だけを甘やかすの。
そうだよね、お兄ちゃん?」
「・・・・・」
僕はなにも喋れない。
その資格が無い。
唯黙って頷くだけだ。
罪。
永遠の罪。
一生をかけての償い。
それだけが事実。
「にい、さん・・・」
聖理は震える瞳で僕を見上げる。
「家を出るって、云ったでしょう?聖理のこと、愛してるって云ったじゃない・・・。なのに、
なん、で?」
「・・・・・・」
沈黙。
どちらにも。
どちらの妹にも、語るべき言葉が無い。
「そっか・・・・」
聖理はポツリと呟く。
「籠だ。―にいさんは、籠の中にいるんだね」
「聖理?」
「わかったよ。にいさんは必ず、聖理が助けてあげる」
哀れむような瞳。

213:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:57:12 Ck9zC67l
おおきなツリ目が僕を見て。
「コトリ。必ず後悔させてあげる」
踵を返して立ち去った。
「お、おい。聖理」
「お兄ちゃん。駄目だよ」
ぎゅうっと妹は僕を抱きしめる。
「さとりちゃんなんかに構っちゃ駄目。お兄ちゃんが見るべき相手は、私一人でしょう?」
「・・・・・・」
従妹の背中に伸ばした手をおろし、ギュッと握る。
理理も。
聖理も。
そして僕も。
どこか『狂った』。
そう感じ、その予感に何か―とても嫌なものを覚えた。

深夜―否、早朝の四時。
僕はいまだ眠れずにいた。
自室。
その布団の中に、兄と妹はある。
理理はすやすやと寝息を立てている。
『この場所』で眠るのは嫌だ。
僕はそう云った。
罪を犯したその場で、罪に犯された妹と眠るなんて、考えるだけでもおぞましい。
けれど理理は云う。
『この場所』だから良いのだと。
「お兄ちゃんが理理のものだって自覚できるこの部屋だから良いんだよ。ねえ、思い出して、
お兄ちゃん。あの日のこと。私を無理やり“女”に変えた昨日のこと。こんな思い出の場所だから、
私達二人が眠るのには丁度良いんだよ」
罪を自覚しろと云うことか。
それならば断れるはずもない。
受け入れるしかない。
そして、ここで眠る。

僕が罪を犯してから、理理の様子は更に変わった。
今日の夕食は、僕は『手』を出していない。
「はい、お兄ちゃん。あ~ん」
食べる順番も。
「お水。私の口から飲んで?」
水分をとる時も。
「咀嚼もしてあげたほうが良いかな?」
決定権は妹にあった。
「二日続けてあの『隠し味』は危険だから、今日は我慢しなきゃ。私の身体もまだ痛いし」
そうしてお休みのキスをねだる。
朝よりも更にねちっこい接吻。
永遠。
これからもずっと、こんなことが続くのだろうか。
心が痛い。
傷つけたのは僕のほうなのに。
自分のほうが先に潰れてしまうのではないか。
無責任にも、そう考えてしまう。
朝からずっと胃が痛い。
安らかな寝息を立てる理理とその横で苦悶する己。
(一日目でこれか)
一生なんて、もつのだろうか。
そう悩んでいると、
「あれ?」
チカチカと机の上が明滅していた。
「ケータイ?」
着信だ。

214:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 19:59:51 Ck9zC67l
こんな時間に?
僕はそろそろと布団から這い出て、空き部屋のベランダに出た。
「・・・・にいさん・・・・」
メゾソプラノ。
聞き覚えのある美声がした。
「聖理?どうしたんだ、こんな時間に」
「助けて、にいさん・・・・苦しいの・・・・」
「苦しい?どうした?何かあったのか!?」
いつもとは違う、弱弱しい声。
「助けて、にいさん・・・。聖理を、助けに来て・・・・」
「聖理、しっかりしろ?どうしたんだ!?」
「来て・・・・聖理の・・・お家に。にいさん・・・早く・・・」
電話はそこで切れた。
「聖理っ」
僕は部屋に駆け込む。
理理に出掛ける旨を伝えなければ。
(いや)
そこで動きを止める。
昼間。
聖理が去った後、理理はこう云ったのだ。
「お兄ちゃん。さとりちゃんとはもう逢わないで。それがどんな理由であっても、絶対に逢わないで。
命に係わるような理由でも、絶対に逢っちゃ駄目」
理理は聖理に逢いに往くといって、それを許可するだろうか。
電話での聖理の様子はただ事ではなかった。
けれど僕が向こうへ往くことを認めるだろうか。
暗い予想が頭をよぎる。
「・・・・・・」
妹はいまだ寝息を立てている。ならば今のうちに様子を見に行ったら良いのではないか。
大したことが無いならすぐに帰ってくれば良い。重大事なら、そこで説明しよう。理理ならきっと
わかってくれるはずだ。
そう決断し、妹を起こさないように着替え、財布とケータイだけ持って家を出た。
念のため書置きをしておく。
「急がないと」
タクシーを呼び出し、僕はそれに飛び乗った。

215:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 20:01:08 Ck9zC67l

道路が空いていたこと。運転手に急いで貰ったこと。
そんな理由で、思ったよりも早く聖理の家に着く。あれから着信は無い。
「聖理」
大きな玄関の呼び鈴を鳴らす。
すると、その瞬間に扉は開いた。
「にいさん」
小柄な身体が僕に抱きつく。
「聖理」
良かった。とりあえず無事のようだ。
「やっぱり来てくれたんだね、にいさん。嬉しいよぉ」
「当たり前だろう、そんなこと。それで、一体どうしたんだ?」
「うん・・・」
従妹は頷く。
「聖理のお部屋に来て?大変なの・・・・」
「お前の、部屋?」
首を傾げつつも、引っ張られるままに後をついて往く。
「入って」
導かれて入った部屋は、酷く薄暗い。
ぼんやりと見える室内に、いつもとの差異は見出せない。
「聖理、電気をつけてくれないか?暗くてよくわからない」
「電気?電気をつければ良いんだね?」
僕は頷きながら振り向く。
―刹那、

バチバチバチバチ、と云う音が聞こえた。

そして、激痛。
「なっ・・・・?」
何だ?
ショックで意識が遠くなる。
「―これも“電気”だよ。にいさん」
「ス、タン・・・ガン・・・・?」
笑う聖理。

崩れていく身体。

僕の意識はそこで途切れた。

216:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/05/28 20:02:13 Ck9zC67l
投下ここまでです。
結局今回ではまだ終わりませんでした。

217:名無しさん@ピンキー
07/05/28 20:06:51 V/XY9efn
大岡裁き、二人でひっぱったら手がちぎれました。
みたいな勢いだw

おつ、そしてGJ!

218:名無しさん@ピンキー
07/05/28 20:07:02 wQbicuhv
>>216
リアルタイム更新キタコレ!!GJ!!!!
さとり・・・恐ろしい子!!!!

219:名無しさん@ピンキー
07/05/28 20:08:43 pzpGYeeM
ご苦労様です。
やはり、そうそう上手くことは進まないものですね。
監禁確定・・・彼の精神はこれ以上壊れても大丈夫なのでしょうか。
二人の嫉妬の前に主人公が発狂して死にそう・・・。
この何とも言えない雰囲気に溢れんばかりのGJを!

あと、水木さんちシリーズや宇宙人妹、綾タソの話等も(おそらく)未完結ですしお気になさらず、
どうかマイペースな投下を。

乙でした。

220:名無しさん@ピンキー
07/05/28 20:44:36 zfWWABEa
>>216
GJ
真理はどうなってしまうのか・・・

221:名無しさん@ピンキー
07/05/28 21:06:18 INMsB4fZ
>>216
つまらん、お前の半紙は詰まらん

222:名無しさん@ピンキー
07/05/28 21:45:17 LeKqilxX
>>216
GJ!!!
なんか聖理のターンktkr!!
キモかろうが何だろうが俺はこれを待っていたぁぁぁ!
ゆっくり頑張ってください、自分はいつでもwktkして待っておりますので。

223:名無しさん@ピンキー
07/05/28 21:46:43 tNHcCeEV
>>221
半紙は詰まらん、って何だよwww

224:名無しさん@ピンキー
07/05/28 21:48:36 xQs4nyDE
>>221
日本語大丈夫でちゅか? さっさと働いたらどうですか?
いい加減に部屋に閉じこもるのは辞めたら? 親も定年を迎えるのに
いつまで閉じこもっているんだ? 甘えてるんじゃないぞ


225:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:01:00 Zc2iKmzy
>>216
無形氏渾身のGJ!!!
続きwktkしながら待ってましたぁぁぁ!!!ついに聖理のターンですな監禁ktkr次回も
楽しみにしてます!!本当にGJ!!

226:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:04:16 q8sAHpry
>>216
激しくGJ!!
真理カワイソス(´・ω・`)

227:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:18:30 SlzZijWz
>>207
食べ物でSS執筆速度にどんな影響があるのかkwsk!!

そして、毎度のことながらGJ!!
だが、なんというか……仕方がないとは思うのだが、真理くんが
いい人過ぎるんだよなぁー。
これぐらいいい人じゃないとこの手の話の主人公は務まらんのかも
しれないがw

228:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:22:48 faBNn+Im
>念のため書置きをしておく。
>念のため書置きをしておく。
>念のため書置きをしておく。

どう考えても逆効果です、本当にありがとうございました。
しかしまあ二人とも業が深いな・・・深すぎる

だがそれがいい。キモウト最高

229:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:23:14 MpIATfqz
うっは。GJです。

みなさんに触発されて、はじめまして&一本投下。
お嬢様言葉って書いたことなくて、おかしい文章あるかもです。指摘いただけると今後の糧にします。
まだエロなしですが、続きの構想でエロに突入する予定です。

230:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:24:43 faBNn+Im
すまん
ageてしまった・・・許してくれ。

231:聖のお兄様1 1/4
07/05/28 22:24:48 MpIATfqz
「おはようございます」
 すれ違う全ての生徒が私たちの方を見て挨拶をくれる。
「あぁ。おはよう」
「おはようございます」
 私もお兄様も挨拶を返す。
 生徒会長のお兄様と書記の私。
 なによりも礼節を重んじる学園が育てた、上品な生徒たち。
 そして、学園で絶対と言っていいほどの権力を持つ生徒会長。
 誰しもがお兄様を慕い、お兄様を尊敬し、お兄様を敬愛する。
 あぁ、私も妹として、お兄様と一生を共にする所存です。
「おはようございます。冬也さん。聖さん」
「おはよう」
「おはようございます。如月先輩」
 副会長の如月海先輩。
 あぁ。如月先輩のは本当にお綺麗な方です。
 お兄様と並んで歩いておられると、本当にお似合いですわ。
 尊敬いたします。
「聖さん」
「はい、なんでしょう」
「冬也さんの、好きな食べ物を教えていただけないかしら」
「えぇ。よろしいですけど、理由をお聞きしてよろしいでしょうか」
「あの・・・冬也さんに、お弁当を」
 ・・・あぁ。この女もお兄様に発情したただのメス豚でしたか。
 尊敬して損しましたわ
「お兄様のお弁当を作るのは私の楽しみの一つですわ。いくら如月先輩と言えどもこれは譲れませんわ」
 誰が貴方が作った豚の餌のような弁当をお兄様に食べさせるものですか。
「あら、残念。でも、そう考えると聖さんが少しうらやましいですわ」
「でしたら、一つお教えしておいてあげます。お兄様の大好物はピーマンですわ」
「あら。そうですの?では、家庭科の時間に作ってみます。ありがとう、聖さん」
 ははっ。お兄様がたった一つ、本当に唯一の弱点がピーマンだとも知らずに。
 見るのも嫌で、匂いを嗅いだらぶち切れるってのに。それで、うちの女中も何人辞めさせられたことか。
 お兄様がこのメス豚を突き放す瞬間、早く見てみたいものですわ。

232:聖のお兄様1 2/4
07/05/28 22:25:31 MpIATfqz
「出て行け!!!」
 生徒会室から如月・・・もとい、メス豚23号が飛び出してきて走って行ってしまった。
 今朝の今でもう実行したんですの?
 油断して決定的瞬間を見逃してしまいましたわ。
「お兄様。どうしました?」
 生徒会室に入ると、お兄様は青い顔を私の方に向ける。
「どうもこうもない。如月が・・・ピ・・・言葉にするのもおこがましい緑色の物体をこの部屋に持ち込みやがったんだ」
「あら。お兄様。地が出てますわよ」
「・・・今はお前と二人だからいいんだよ」
 優等生の生徒会長の仮面を脱ぎ捨てたお兄様は、年相応の男の子。
 私にだけ見せてくれる特別な・・・ううん、本当のお兄様。
「では、このクッキーでお口直しでも」
「お。いただきます。ん・・・んぅ。うまい」
「ありがとうございます」
 私は紅茶を淹れ、お兄様の前に差し出す。
「ふぅ。やっと落ち着いた。ありがとうな」
「いいえ。お兄様の笑顔が見れるなら、なんでもしますわ」
「ホント、俺の妹とは思えないくらい真面目でいい子だよな。お前は。あ、褒めてるんだぞ」
「えぇ。わかってます。お兄様、ありがとうございます」
 他人を蹴落とし、お兄様に最高の賛辞を得る。
 あぁ、この瞬間は何事にも変えがたい至福の一時ですわ。
「失礼します」
 生徒会室のドアが開き、他の生徒会役員が入ってくる。
 メス豚23号の姿は・・・さすがに無いですわね。

233:聖のお兄様1 3/4
07/05/28 22:26:16 MpIATfqz
「如月先輩。何がご用ですか?」
 ある日の放課後、私はメス豚23号から呼び出された。
 場所は屋上。放課後は人が居なくなるため、色々なことをするには都合のいい場所。
「あなた・・・どうして、どうしてウソを言ったの!」
「ウソ?あの、それは」
「ピーマンのことです。冬也さんの好きなものはピーマンだと」
 はぁ。この方本当に馬鹿ですわね。それくらい察しなさい。
 ・・・けど、頭まで豚レベルの女には無理な話ですわね。
「さぁ。何故です!言いなさい!!」
 メス豚が私をフェンスに追いやる。
「ふふ」
「何がおかしいです?」
 これから始まる、面白い事を考えると自然と笑みが浮かんでしまいました。
「聖さん・・・さぁ!!」
「ん?どうした?」
「え?」
 屋上の扉が開き、校舎から誰かが出てくる。
 お兄様だ。もちろん、私がちょっと仕掛けをして、お兄様がこの時間にこの場所に来るように仕向けましたのよ。
 さぁ。ショータイムだぜ。
「如月さん・・・貴方何を」
「お兄様!!」
 私は突然のことに呆気に取られているメス豚の腕を跳ね除けて、お兄様の胸の飛び込む。
「如月さんが、先日・・・あのピーマンを持って行ったのは私がウソを言ったって事にしろって」
「なに?」
「そうしないと、私のこと・・・あの・・・後輩を使って・・・お・・・犯す・・・って」
 私がそこまで言って、メス豚はハッとなって、私を見る。
「な、何を!私は」
「如月さん・・・いや、如月海」
 メス豚から守るように私を抱き締めてくれる。
 あぁ、お兄様の温もり。気持ちがいい。
「本日付で生徒会副会長の席を降りてもらう。あと、この件は学長に報告しますので」
「そんな。冬也さん。私はそんな事は言ってませんわ。全部デタラメです」
「お兄様」
 私とメス豚がお兄様を見る。

234:聖のお兄様1 4/4
07/05/28 22:27:04 MpIATfqz
「如月。俺が温厚でいるうちに、俺の前から消えうせろ」
 あら、お兄様ったら・・・完全に地ですわね。
「ひっ」
 メス豚はその場に立ち竦んでしまう。
 情け無い。
 それにしても、たかだか2年ほど同じクラスだったメス豚が、長年一緒に生活してきた私よりも信じてもらえると思ってたのかしら。
 滑稽ね。
「ふぅ。いくぞ、聖」
「はい。お兄様」
 私はお兄様の腕に抱かれたまま、校舎内に入っていく。
 ふふ。あぁ、面白かった。
 お兄様。生徒会長のお兄様はみんなのお兄様。けど、本当のお兄様は私だけのもの。
 だから、この線より先には誰も踏み込ませませんわ。
「聖」
「はい?」
「ごめんな。怖かったろ」
「いいえ。お兄様が助けに来てくださると信じてましたから」
「そうか」
 お兄様が私に微笑みかけてくれる。
 この心のこもった笑顔を見る事が出来るのも、仮面を脱ぎ捨てたお兄様を見る事が出来るのも、私だけ。
「そこまで信用されてると、ちょっとむずかゆいな」
「嫌ですか?」
「いいや。兄として嬉しい限りだ」
「ふふ。お兄様。頼りにしてますわ」
「おう」
 ふふ。お兄様。
 線の内側に入ろうとする輩はすべて私が消してご覧に入れますわ。
 だから・・・お兄様は私だけを見ていてください。

-続く

235:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:40:51 LeKqilxX
>>234
投稿終わりかな?なんにせよGJです
しかし兄・・・ピーマンだけでここまで豹変するとは思わなかったw
そして聖がとても策士でかわいくてキモくてハァハァした。

236:名無しさん@ピンキー
07/05/28 23:06:02 wQbicuhv
>>234
GJ!!おつかれさまです。
>さぁ。ショータイムだぜ。
にワラタw
聖・・・恐ろしい子!!!!


237:名無しさん@ピンキー
07/05/28 23:48:05 pzpGYeeM
>>234

まだ1スレが立ってから一月ちょい、
2スレ目も前半だってのに新人と新作がわんさか沸いて来やがる。

兄への好意を隠さないのはキモウトだ。
兄への好意を隠すのは訓練されたキモウトだ。

本当にここは良スレだぜ、フゥーハハハァー!!


なAAを張りたい程にマシンガンGJ!

238:名無しさん@ピンキー
07/05/28 23:54:04 V/XY9efn
キモウトもあれだが、兄がそれ以上にキモイw
どんだけピーマン嫌いなんだ。

239:名無しさん@ピンキー
07/05/29 00:25:22 6cI3Z6yW
ピーマンでブチ切れワロス

240:名無しさん@ピンキー
07/05/29 00:32:03 Qz2Mqo/7


241:名無しさん@ピンキー
07/05/29 00:37:14 ixIlzv4z
きっと昔近所に住んでた女の子に尻の穴にピーマン入れられたんだな。
それを見ていた聖がご自慢の策士っぷりでその子を世間から抹殺…
あれ?何書いてんだ?俺。

242:名無しさん@ピンキー
07/05/29 00:56:50 6JkzVCMh
>>241
随分とマニアックなプレイだなw

243:名無しさん@ピンキー
07/05/29 01:28:03 wydXDfrH
>>216
ちょw兄壊れていっとるww大丈夫かwww
>>234
お兄様って読んでくれる妹はいい(*´Д`)

244:名無しさん@ピンキー
07/05/29 01:37:58 ziribODc
>>234
これはキモい!
つーか、ひどい!
つーか、お兄様どんだけピーマン嫌いなんだよww


でもやっぱりGJです。続き期待しとります。

245:名無しさん@ピンキー
07/05/29 02:13:30 sMWKPDRW
超期待作に神GJ!!
いや~キ モ い

だ が そ れ が い い!
なぜこんなに嫌いなのかネタ的な外伝でも書いて欲しい位のクオリティーだな。

おそらくキモ姉に尿道にピーマンをry

246:名無しさん@ピンキー
07/05/29 03:51:17 wzjPK7Lv
>>245お兄ちゃん…
あの姉という仮面を被った年増豚なんかに入れて欲しいみたい。
あの雌豚が私程お兄ちゃんを愛してる訳ないのにありえないわ。
年を食った豚はなおさら処分ね


と書いてある妹の日記を発見し、
最近姿を消した姉を>>245が探していると背後から忍び寄る影が……

247:名無しさん@ピンキー
07/05/29 05:41:40 8LTtZATL
なんというキモウト
むしろ兄に萌えてしまった
このスレの職人は正しく(´神`)

惜しむらくは姉分が最近不足していることか

248:名無しさん@ピンキー
07/05/29 06:12:56 5JpW/NKq
>>216
命に関わるキモ可愛さだな。

249:名無しさん@ピンキー
07/05/29 06:18:45 5Jrs/tgc

                           _,,, -―-  、
              __,,,,,_           /、,:.-‐:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
            /::::::::  :::::`  、       'ノ:.`‐-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:__ |
         /:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ      _i:._:.,   - ‐‐::::':::::::: ̄:::: ̄:::::` 、
         ,':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l , -‐ '::::::_:: -ー''" ̄ ̄ ̄ヾ;;;;;;;;!:::::::::::::::::::::)
         |:::::::::::::_ ,==ニニニ_=_=(::::::::::::::::_r¬、( ̄~il ̄ ̄ ̄; ̄`i::::__;;,   '"
 ( `丶、    _,!-‐'";;;;/′ ___,,- ,,/.  ̄ ̄ ヾ/__,`''‐"     ! )ノ ´   >>234と全ての神職人にありったけのGJを
  ヽ、 ヽ、   `ヾ;;{_         ,_ゝ        ヽ___、       `l´     
   _ヽ__ ` ‐-、/i\`    ==/ _         l〈ノヽ |      _)ヾ` 、    
  .(____(__; ̄ ̄ヽ|  ` 、__ __i: : `゙ 、         )___,, -‐''''' "  /: : \`: : '' ―-
  ヽ,______) ̄   l      /: : : : : : : : : `ヽ、 __, '"ヽ: :\     , ': : : : : :ヽ: : : : : :
   .ヽ__ノヾ 彡ヽ   /: : : : : : : : : :, -'´: : : : : : /: : : :\   /: : , -‐ '"`: : : : :
     `' 、__   丿ヽ、/: : : : : : : :_ /: : ::、: : !: : : :\: : : : \ / /´: : : : : : : : : : :
         `‐--'"    \: : _ _,'__: `ヽ、: : ヽ,|', l二二 ヽ、: : /'": : l二二二: : : : : :
          \        ゙`ヽ\: : : `ヽ: : : : : : : : : : : : : : :ヽl: : : : : : : : : : : :

250:名無しさん@ピンキー
07/05/29 10:54:56 ttHcWPds
>>231-234
GJ!!
兄ピーマン嫌いすぎバロスwwwww
もしかしたら連作短編?
wktkー!

251:名無しさん@ピンキー
07/05/29 12:35:06 OIVhUc6A
ところで、あれだ。初めのほうの
真理が誰に告られても振っていた
っていう伏線はこれから活きてくるんだろうか。
それとも本当に好きな人が今までいなかっただけなのだろうか

252:名無しさん@ピンキー
07/05/29 14:19:36 0Zrlz6Eg
うはw
キモすぎww

253:名無しさん@ピンキー
07/05/29 17:05:59 stgwBhXo
どうあれ理理が幸せだといいなあ
あ、お兄ちゃんを一生束縛してうふふふふふふふってのも幸せに入るんだぜ

254:名無しさん@ピンキー
07/05/29 17:57:35 gVBguGS5
兄が別の意味で妹以上にキモイなw

255:名無しさん@ピンキー
07/05/29 18:41:20 1e2Gbfy+
そう言えば、ここで言う妹は実妹限定なのか、「妹」なので義妹も入るのか。

256:名無しさん@ピンキー
07/05/29 18:58:58 Irj7Xn4b
どっちでもいいんじゃないか?

まあ俺は実妹派だが

257:名無しさん@ピンキー
07/05/29 19:14:32 ttHcWPds
>>255
既出のSSには従妹もいるし義姉もいるぞ。

258:名無しさん@ピンキー
07/05/29 20:03:19 LyFYaTUE
幼馴染だけど「お兄ちゃん」って読んでるのはナシか
舞‐HiMEの詩帆みたいな娘
あれはいいキモウト属性だった

259:名無しさん@ピンキー
07/05/29 20:37:49 fTQ0BC4+
幼馴染みスレあるし

260:名無しさん@ピンキー
07/05/29 20:54:19 1e2Gbfy+
義理かどうかは問題でないのな。

いや、余所スレで二話まで書いた奴があるんだが、
もういっそ少しだけ変えてここで投下しようかとも思ったもんで。

(まあやらんだろうが)書くかはともかく、参考になった。
ちゃんと答えてもらえるこのスレが好きだ。

261:名無しさん@ピンキー
07/05/29 22:15:03 ggzysMOs
>>260
ちゃんと答えるがそれはそこのスレで投下しとけ


262:名無しさん@ピンキー
07/05/30 00:50:28 arjFQ750
幼馴染スレを見る限りでは保管庫の状態が見るに耐えないね・・
ちゃんと整理されていなくて読みづらい・・



263:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:05:50 haT2qlmy
このスレって嫉妬スレ住人の立てた荒らし用ゴミ箱だったんだな。かなり萎えた

264:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:47:01 YSIrsxX9
立った経緯は関係ない。
大切なのはここが良スレという事実のみ。

265:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:50:46 +6FXrhgT
残り物には福がある。
現に、ここの伸びの速さは嫉妬・ヤンデレスレより上なんだぜ?

彼らは嫉妬スレの現状を維持するために、
キモ姉・キモウトという素晴らしい未来の可能性を放棄したんだ。

キモ姉は嫉妬を内燃し、
キモウトはヤンデレを内包する。

籠も綾タソの話もここがなければ生まれなかったんだしな。
被造物(このスレ)は創造主(スレ立て人)の手を放れるもの。

萌え尽きるにはまだ早いぜ!

266:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:56:04 OtWbzcES
切り出して純化したればこそ産まれた物の気もするけどな、まあ結果論的にうまくいってるんだから文句無し。
多分嫉妬スレに残ってたら発展はなかっただろうし双方に良かったんでないか?

267:名無しさん@ピンキー
07/05/30 13:59:17 2QP3LuSo
>>265
>キモ姉は嫉妬を内燃し、
>キモウトはヤンデレを内包する。

……だから重複だってスレ立った時に揉めたんじゃないか
結局区分けできてないじゃん

268:名無しさん@ピンキー
07/05/30 14:25:13 +6FXrhgT
>>267
まあ今んとこそういうのが多いと言うだけで、今のところこのスレでは

嫉妬
ヤンデレ

は必須ではないぞ?
議論と言うか、特に嫉妬に関しては話は出た。異常に兄・弟を愛していればいいわけだからな。

それに、嫉妬やヤンデレの前にキモ姉・キモウトでなければならないから。
嫉妬・ヤンデレは結果の一つで前提ではない。
メインにもなればサブにもなれば、全く出ない事も(これから)あり得る。
細かいこと言うなら、弟は見た!とかみたいに嫉妬(の対象になるキャラ)が出ないのもありだし、
兄・弟の意中の女を調教して差し出す、という嫉妬のない忠誠みたいな尽くすタイプもここはあり。
必ず女が二人以上居て、必ずもう一人への嫉妬が起こる嫉妬スレとはそこが違う。
ヤンデレも、
病んで行く様を描くんじゃなくて、初めから病んでる(兄・弟に末期的異常性愛)キャラが出るのが多いしな。

部分的には同じだが、別のものをメインにより純化・特化したのがここ。
似て非なるものであり、求められるものも違う。


まあ、オレも書き方が悪かったな。スマソorz



269:名無しさん@ピンキー
07/05/30 14:42:15 KPLix4rL
姉は褌、尻フェチ
弟は大人しい小学生
こんなの読みたい

270:名無しさん@ピンキー
07/05/30 16:37:55 FYDTDLfj
>>265
>彼らは嫉妬スレの現状を維持するために、
>キモ姉・キウトという素晴らしい未来の可能性を放棄したんだ。
いや、放棄はしてないと思うぞ。
あっちは嫉妬や修羅場があればどんなヒロインでもOKというオールラウンダーとすると、
こっちはキモ姉・キモウトに特化したスペシャリスト

271:名無しさん@ピンキー
07/05/30 17:39:36 UaiYitAT
お久し振りです。
およそ一週間ぶりの宇宙妹投下させて貰います。

272:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:44:18 UaiYitAT
山を登る理由を問われた時、ある登山家はこう答えた。『そこに山があるから』と。
では、俺が兄である理由はなんだろう。『そこに妹がいるから』か? いや、違うな。
俺がここにいるからだ。


運命の赤い超紐理論
 第1話 妹はいるか?

273:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:47:17 UaiYitAT
梅雨に入る直前の空気は、何処か生暖かく、それでいて肌寒い。
夜の空気には不思議が溢れている。そんな事を、不思議な妹を連れて思うのだ。何故こんな事になったのか……
「ああ……ずっと兄さんの家に上がってみたかったの。いつも狭そうにしてたよね」
余計なお世話だ。一人暮らしの男の部屋の、何がそんな嬉しいのかわからないね。
家に来るのも俺は渋ったのだが、有ろう事か泊まるつもりだったらしい。そこから交渉に交渉を重ね、ようやっと家に上げるだけに落ち着いた。
我ながら自分の交渉術には恐れ入るよ……
「あれ、お兄ちゃんそんなの食べるの?」
視線は幸せに比例した重量を内包するビニールに向けられている。
ああそりゃもうバリバリ食べるね!
「そーゆーの、体に良くないって父さん言ってたよ。せっかくだから私が作ったげるね」
ほう……手料理か。そりゃ作ってくれるのは嬉しい。
だが美味いのか、その前に食えるのかも怪しい。
変な宇宙生物何か食いたくないし、兄に愛を語る変態妹だ。何か混入しないとも限らない。
……よし、明日の朝、俺が見てる所でのみ許可する。
「ほんと? 楽しみにしててね。それじゃ、私今日先寝るから、添寝したかったらいつでも」

何が楽しいのか分からんが、微笑みなんぞ浮かべて余ってるスペースに布団を敷く。
……何か忘れてる気もするが、さっさと食って俺も寝よう。

274:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:48:39 UaiYitAT
しまった、俺はヤツを泊める気は無かった筈だ!
思い至っても時既に遅し、時計の針は七時を指している。……いいや、朝食作って貰おう。ほれ、起きろ。
「ん……んーぁ。おはよ、兄さん」
おはよ。とりあえず顔洗って来るなりして朝食を作ってくれ。
「……うん、待ってて~」
フラフラしてて多少危なっかしい。危なっかしいが……これはもしや、便利な家政婦として役立つんじゃないか?
一家に一人宇宙人の妹!
……料理の監視しなきゃな。
意外にも、料理の腕前は語る所も無く、出て来た料理にも語る所は無かった。強いて言うとするなら昼食が大量に用意されたな。
「どうかな? いっしょーけんめいに作ったんだけど……」
ふつー。食えるよ。
「そうじゃなくて、他に何か言う事とか……」
そうだなー、朝は和食のが良いや。
「そう……」

ご馳走さまでした、と。さて、ちょっと早いが学校へ向かうか……言って置くがな、
「行ってらっしゃい、兄さん。はいお弁当」
……そうだよな。ついてくるなんて、普通は言わないよな。
髪と目の色がちょっと違うだけで、後は頭弱い意外は普通の妹だもんな。
見た目はデカいけど、中身はまだ子供なんだ……兄として、妹の見本になるようにしなきゃな。行って来るよ。

275:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:49:51 UaiYitAT
学校。そこにはドラマが有る。
青春をそれと知らず謳歌できる瞬間が詰まっている。
例えばそれは夢だったり、例えばそれは恋だったり、或いは
「転入してきた片岡エリです。皆さんよろしくお願いします」
宇宙人の妹が転入して来る、なんてのもそうかもしれない。
「じゃあ、片岡さんは片岡君の隣の席に着いてね」
俺の方へ歩いて来る妹に、当然視線が集中する。
日本人離れした容姿は、やはり日本だと目立つ。そう言えば先生も、
「よろしくね、兄さん」
近い、近いよ。小学校じゃないんだから机をくっつけんな。そして兄妹で有る事を隠さなくて言いのか。
「ふふん。宇宙の英知ー。私達が兄妹なのも、こうして机をくっつけるのも当たり前の事として認識してるの。だから、仲の良い人が隣同士なら皆当たり前に机をくっつけるよ」
なるほど、宇宙すげぇ。

276:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:50:44 UaiYitAT
そんなすげぇ宇宙の技術だが、転入生に休み時間になる度に質問攻めするのは当たり前の事らしく、縋るように俺へ視線を向けて来る。
それくらい想定して置け。無論転入生の兄としてそこそこ注目を集める俺には助けるなど不可能だがな!

「やっと昼休みだねぇ。お弁当出して。一緒に食べよ」
おいおい、そんな事言っても、どうせ人に囲まれて……ない。
「やっぱり、兄妹でお弁当食べるのは常識だよね」
おまえはホントにどっかおかしいよな。
「はい、あーん」
ところで、八十年三食三十分だったとして、時間にすると2563200分に及ぶ。
確かにゆっくりと食事を取る事も大事だろう。だが、人生は食事だけが全てじゃない。如何に早く食事を終わらせるかも重要じゃないだろうか。
ってな訳でご馳走さまでした。
「……口早く動かすの、ヒャザーみたいで、兄さん可愛い……」

この日はもう特別な事は何も起きなかった。精々知らない人間が妹の事でやたらと馴々しくするのを煩しく思った程度で、結局二人で帰って二人で同じ家で寝る。それだけだ。

277:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:51:46 UaiYitAT
結局二人で登校する事となった二日目。てきとーな話題を相槌も打たずに聞いて歩くのが最近のマイブーム。主に昨日の帰りから。
一応ちゃんと聞いてはいるんだ。頭に入らないだけ。自己弁護終了。良心も納得してる。
新たな当たり前にクラスメイトが添うように、俺も新たな当たり前に慣れつつ有るのかもしれない。
当たり前に下駄箱を開ける。と、封筒? ……悪戯か。一応後で確認しとこう。
「どうかした? 何か有ったの、兄さん」
何もねーよ。何か有ったら真先に頼るから。
「そ、そう? 約束だからね。私も何も無くても兄さんに頼るからね?」
迷惑だ……いや、こいつがどうしようも無い事を俺がどうにかできるとは思えない。……なるほど、案外正しいな。
まぁいい。御不浄に行くとしよう。そこ以外で封筒を開けるのは面倒だ。
「一緒に行って良い?」

278:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:53:02 UaiYitAT
『ずっと見てました。ほうか後、体育かんうらで待ってます』
以上が手紙の内容だ。差出人不明な時点で行く気が無くなる。
その上呼び出す場所が人目に付かない場所なのは、やましい事をすると表しているも同然。
字が丸っこいのは女性っぽい雰囲気あるが、使っている漢字量からは知能の低さが滲み出ている。
それになにより、俺は小学生の時、これに酷似した物をラブレターみたいなハッピーアイテムと勘違いしてクラスの笑いものにされた事も有る。
あれ以来手紙の類いの誘いは6つ全て無視して来た。今さら行く理由も無いだろう。

「あ、兄さん。遅かったね……何か合わないの有った?」
いや、十分食えるの出して貰ってるよ。気にするな。
「そう……じゃあ、えっと、トイレに確認しにいって良い?」

その日結局俺は体育館裏に向かわなかった。
それで終わったと思ってたんだ……

279:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:55:31 UaiYitAT
『昨日来てくれないなんて、お兄ちゃんひどい~!今日も同じ所で待ってるからね!約束だよ!』
下駄箱で見付けた物だ。どうやらこの程度の漢字なら楽に書けるらしい。
俺にはお兄ちゃんと呼んでくれる妹はいないんだが、一応聞いて見るか。
手紙とか最近出したか?
「伝えたい事は体と口で伝えるから、あまり使わないなぁ」
なるほど……昨日ホントに体育館裏に誰かいたのか?
……いや、妹と帰る所を見られただけかもしれない。
そうだ、差出人はきっと妹狙いなんだ。
だから俺を体育館裏に呼び出し、妹が一人になった所に声を掛ける……と。
これなら妹を見張っていれば俺が来たかどうか判断できるから、わざわざ体育館裏で待つ必要もない。
そうと判れば怖い物は無い。今日も行かずに帰るとしよう。
「そうだ兄さんは知ってる? 死体って精液を入れたら復活するかもしれないんだって。
 兄さんになら、生きてる内にされても良いよ……」

280:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:56:40 UaiYitAT
『どうして来てくれないの?わたしはお兄ちゃんの事大好きなのに……今日も待ってるからね、絶対来てね?』
ふむ……今日もか。
こいつも懲りないヤツだ。
昨日一昨日と普通に帰ったからな……今日は変則的な何かが必要かもしれない。
「ねぇねぇ兄さん。こんにゃくを固めた物が喉に詰まると大変なんだってね……。
 それで、他意は無いけど買ってみたんだ。兄さんが喉に詰まったら吸出してあげるから、兄さんもしてくれるよね」
そうだ、今日暇か? ならちょっと二人で学校残らないか?
「ひ、暇……だけど。ま、まま、まさか、人口呼吸の練習?
 それだったら歯磨かないと……昼休みの内に歯ブラシとガム買って来よ。
 あ、兄さんはそーゆーのしなくて良いから。私が綺麗にして上げるから、どれだけ汚れてても……でも他の女の汚れは付けないでね?」

281:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:58:28 UaiYitAT
『待ってたのに~……今日も待ってるからねっ!来なかったら明日絶対ふき出させてやるんだから!少しでもふき出したらかならず来る事!』
昨日帰ったのは七時……宇宙パワーも炸裂してたから、ホントに俺を待ってた可能性も出てきた。
そこまで俺を憎むヤツに心当りなんざ無いが、こーゆーのはいつだってやられた側の方が覚えてるもんだしな。
しかし不気味だな……こうやって毎度毎度手紙を出されて、それに返事もしないだなんて。
自分が酷く不義理なヤツに思えてくる。
それに、この手紙にも、下手なりに想いが込められている。こんな出会いでなければ、友と呼べたかもしれない……惜しいヤツだ。
「ネット上にデータを保存するサービスは全て著作権侵害で違法になるみたいだよ。
 これに倣って、兄さんを脅かす存在は全部兄権侵害で違法にしたらどうかな。
 まず、学校はノイズが多すぎるから廃止でしょ。担任の─」
エリ、今日の夜は美味いのが食いたいな。先に帰ってさ、最高に美味いの用意しててくれるよな?
「─うん! 約束する。残さず食べてね。それと、デザートは私だから!」

282:運命の赤い超紐理論
07/05/30 17:59:44 UaiYitAT
決戦の時、だな。
この手に持った封筒一つ。掴み取るのは栄光かはたまた……
昨日の様子から察するに、さぞかし面白いネタが書いてあるんだろう。
そして、わざわざ妹を先に返したにも関わらずこの手紙が有るって事は、狙いはどうやら俺一人みたいだ。
いざ、勝負!

『月刊爪切り』

月刊と名乗るからには月に一度は刊行しているのは間違いない。
しかし爪切りの雑誌をそんなハイペースで出して一体誰が買うって言うんだ。
なにより、こんなくだらないネタで身構え過ぎてた俺が噴出してしまった事が何より憎い。
冷静に考えるまでも無く、つまらない。
だが、笑っては行けないと思わせた時点で、この勝負の決着はついていたのか……。
完敗だ、チクショー。約束通り、放課後の体育館裏に行ってやるさ。
「社長は下の者に猥褻な行為をしても良いらしいよ。妹は兄と対等だけど、やっぱり兄の方が立場としては上だよね。
 お嫁さんに採用してあげるって言いながら猥褻な行為を働かれたら、私きっと逆らえないな……」

283:運命の赤い超紐理論
07/05/30 18:01:01 UaiYitAT
妹を撒くのに一時間程掛かったが、傷の一つも無く無事体育館裏に到着した。
さて、鬼が出るか妹が出るか。
「お兄ちゃーー…………ん!」
どうやら出たのは妹のようだ。
弟である可能性も0じゃないが、俺には弟はいない。
いや、妹もついこないだまでいなかったんだから、弟が出て来てもおかしくはないか。
「あわわ、お兄ちゃん? 大丈夫? 何処見てるかわかる?」
何を見てるってグラサン掛けたお昼の顔の人が脱皮する所を……
「お兄ちゃんしっかりして、グラサンは学校にないよ」
鼓膜に響く渇いた音と、頬に残る熱が夢心地から残酷なまでの現実へと引戻してくれる。
ついでに頭から突込まれた腹が痛く、鈍痛の上には俺を『お兄ちゃん』と呼称する女の子がいた。
俺をお兄ちゃんと呼ぶからには妹に近い存在なんだろうが、兄と呼ばれる程親しい知り合いは俺にはいない。
飽きずに手紙を送って来る変態だ。観察しない訳にはいかんな。
まず気になるのが体重……馬乗りになられても重くないな。
当然それに合わせて身長も低い。
推定年齢11歳? 服は体のラインがわかる大胆なスーツ。……未来系の。
全体的なカラーはオレンジやイエローで、頭には犬みたいな耳が生えている……なるほど、確かにこれくらい変人なら、俺の妹を名乗っても良いかもしれない。

284:運命の赤い超紐理論
07/05/30 18:02:14 UaiYitAT
で……コマだっけ?
義妹で良いの?
「うん。わたしね、お兄ちゃんに会いに来たの」
そっか。じゃあ目的達成だな。それじゃもう良い?
「ううん。ダメ。お兄ちゃんと、子供作るの」


あ、足は肉球付いてそうだ。触りたいなぁ。靴とか履けなさそうだ、犬みたいな足だし。
「お兄ちゃん、おねがい……」
お願いされてもな……そもそも、妹な訳だろ?
それに、そんな体ちっちゃいんじゃ……
「妹だけど、お兄ちゃんの妹の妹だから、お兄ちゃんとは血が繋がってないよ」
……あぁ、十二の義妹の一人か。そんな話覚えちゃねぇよ。
「それにね、わたしはもうせい体だから、これより大きくならないんだ。」
成体……? ……因みに年齢は?
「14才」
血は繋がってない、体は大人。一見問題は無い……が、14の子供に手を出す訳にはいかんよな。
そも、俺で有る必要は有るのか……
「後ね、わたしたちをにんしんさせるには、とくしゅないでんしがひつよーなの。もちろん、お兄ちゃんはそれを持ってるよ」
へぇ、妹の親……つまり親父がそうだったからか。運が言いのか悪いのか。

285:運命の赤い超紐理論
07/05/30 18:03:27 UaiYitAT
残る問題は恋愛感情か。
外見には問題無し。愛くるしい顔や仕草が保護欲を刺激する。
更に何年経とうと成長しないとの事だ。
つまり、五年もしたら……だ。
五年だ。五年経ったら前向きに考えるよ!
「それって……」
皆まで言うな! さぁ、お兄ちゃんの胸に飛び込んでおいで!
「お兄ちゃあーん」
左右で結んだ髪が一歩ごとにピコピコ揺れ、同様に耳も上下する。その全てが可愛らしい。
横から滑り込み、母親が同じ妹を蹴り飛ばす妹にも見習って欲しいものだ。
「あうぅ……痛いよ」
あ~、よしよし。大丈夫かコマ。
「兄さんの挙動が不審だったから来てみれば……何なのこれは」
……なんだろうかこの状況は。
コマが妹に怯えるのは、まあわかる。いきなり跳び蹴りかますようなヤツに怯えるなと言うのも無理が有る。
しかし妹は、何故にこんな不機嫌なんだろう。……独占欲か。なるほど。
それが解った所で、俺には理解できない言語で会話している二人に割り込む勇気は無いがな!

286:運命の赤い超紐理論
07/05/30 18:05:17 UaiYitAT
意味不明な会話が終わる。何を話してたのか気になる所だが、コマが名残惜しそうに振り返りつつ帰った所を見ると、妹の勝ちのようだ。
……五年後が楽しみだ。
「何考えてるの、に・い・さ・ん?」
いや、ちょっと五月晴れについて考えていた。
「五月晴れ……? 五月に晴れる事?」
ああ、多分そうだ。五月の晴れの日が、俺は好きなんだ。
「ふーん。じゃあ、私も好きになるね」


何か言いそうにしていたが、大した事は言われずにその日は終わりを迎えた。
それよりも、次の日にも手紙を出された事の方が驚きだね。
『五月晴れは、梅雨の合間に晴れる事で、今は五月かんけいないんだよ。
 べんきょうになって良かったね、お兄ちゃん』
妹のいない時に俺に手紙を手渡し、照れたように走り去る。
それを後ろから眺めていると、どうしても目を惹くのはピコピコ動く耳と髪。
妹ができて一週間が経とうとして、俺には一人、妹が増えた。

287:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:08:29 UaiYitAT
以上です。
これがキモウトなのかわかりませんが、これからも多分キモウトVS義妹で話を作っていくと思います。
では、義妹が見付かり次第、第二話「あなたに、妹を…」に取掛かる事にします。
それまでさようなら……

288:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:16:46 qTey/gLv
>>287
つまんないから投下しなくていいよ


289:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:20:05 BYbvb36h
>>288
禿同
これはつまらん


290:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:24:30 BYbvb36h
>>289
禿同
これはつまらん


291:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:34:07 OkL8TIRY
>>287
短編ならいいが長編となると主人公の脳内活動が多くなる。
つまり、主人公台詞に
「」つけないと後に見づらくなるかもしれない。
作者の自由だが付ける事を奨める。
あと若干描写不足な点があるから気をつけた方がいい。
今後に期待する。頑張ってくれ。

292:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:43:58 n1+EO+8q
>>290
www


293:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:52:07 x3D4hVVt
>>290
wwww

294:名無しさん@ピンキー
07/05/30 18:56:00 VlPQ1Rhu
>>287
宇宙妹クオリティ高えw コマだから犬系か……
ちと咀嚼せんとわかりにくい文章だがおもしろい

295:名無しさん@ピンキー
07/05/30 19:57:59 Zi7ZPtjp
>>287
GJ!
普通に良かった。続きに期待してます。

296:名無しさん@ピンキー
07/05/30 20:00:23 OaZHQZvA
>>294
>ちと咀嚼せんとわかりにくい文章だがおもしろい

普通に文章が駄目、と指摘してやれよw


297:名無しさん@ピンキー
07/05/30 20:49:12 ZNqcPVD8
自演ピエロ

298:名無しさん@ピンキー
07/05/30 20:56:52 0xJpXnv8
VIPPERうぜえなあ

299:名無しさん@ピンキー
07/05/30 22:19:17 ClSVapF5
なんでもかんでもVIPPERのせいにするな

300:名無しさん@ピンキー
07/05/30 22:19:44 jGqPvOfG
スルースルー

301:名無しさん@ピンキー
07/05/30 22:48:41 +6FXrhgT
やれやれ。
皆、まだ分かっていないようだな。

一連の荒らしレスは、
スレ住人の意識をキモ姉・キモウトから引き離し、
その隙にキモ姉・キモウトを排除しようと嫉妬、
あわよくば神職人を監禁して独占しようとする泥棒猫の策略だったんだよ!



んなことより>>287にGJしよーぜ!

302:229 ◆49or6cS0q.
07/05/30 22:58:15 S/f4KJvn
聖のお兄様の第二回目です。

GJしてくれたみなさん。ありがとうございます。
けど、ピーマンにあんなに食いつかれるとは思わなかった。
機会があれば、何か書きます。

今回もまだ完結しません。もう、2・3回続くのでお付き合いお願いします。

303:聖のお兄様2 1/5 ◆49or6cS0q.
07/05/30 22:59:07 S/f4KJvn
「冬也さん。聖さん。学園の方はいかがですか?」
 お母様が聞いてくる。
 今日は珍しくお父様とお母様とお兄様の四人そろっての夕食です。
 普段はお兄様と二人きりなので、家族全員がそろうと嬉しいものがあります。
「えぇ。生徒会に部活に、毎日が充実しています」
「私も、お友達も大勢出来ましたし、学業も運動もおろそかにしていませんわ」
 お父様とお母様が嬉しそうに頷く。
 私はお父様とお母様が好き。お父様とお母様とお兄様が居ればそれで十分。
「ところで冬也。そろそろ浮いた話の一つでも出て来ないのか?」
「そうですね。実は・・・と言いたいのですが。まだです。少し理想が高すぎるせいかもしれませんが」
「あら。学園の女生徒でも冬也さんのお眼鏡に適わないなんて、随分と高い理想を持っているのですね」
 お母様の言葉にお兄様が微笑む。
「僕の理想は、長い黒髪と透き通るような白い肌。慎ましやかで優しい、和服の似合う子ですから」
「ほう。それにしても、なんだかひ・・・聖のことを言っているみたいだな」
「え・・・えぇ。そうですね。確かに聖は僕の理想にぴったりです。というより、聖と一緒だったから理想が高くなってしまったのかもしれませんけど」
 そう言って、お兄様とお父様が声を上げて笑い出す。
 お兄様・・・
 テーブルの下で握り締めた左手から流れる血が、カーペットの染みになってた。

「くっ!」
 私の投げた枕は、壁に当たって弾け、中の綿をそこいら中に撒き散らしていた。
 憎い。居なくなって尚、お兄様の心を縛るあの女が。
『長い黒髪と透き通るような白い肌。慎ましやかで優しい、和服の似合う子』
 お兄様の言葉が頭をよぎる。
 これは私のことではない。
 私のような紛い物のことではない。
「イラつく。頭にくる。腸が煮えくり返る」
 はぁはぁはぁ・・・少し、地が出てしまった。
 落ち着け・・・落ち着くのよ。
 けど。結局、私はあの女に負けているだけ。あの女に勝った例が無い。
 いつまで。いつまで私はあの女の亡霊に悩まされなければならないのだろう。

304:聖のお兄様2 2/5 ◆49or6cS0q.
07/05/30 23:00:33 S/f4KJvn
「ありがとう。美味しかったよ」
「えへへ。そう言ってもらえるとすごく嬉しい。じゃあ、また来るね」
「あぁ。今日はありがとう」
 私とすれ違いに見た事の無い女子生徒が生徒会室から出て行く。
「何かあったんですか?」
「ん?あぁ。これを貰ったんだ」
 お兄様の机の上には、子瓶に入った黄色い・・・プリンが並べられていた。
「今日の調理実習で作ったのを持って来てくれたんだ」
 お兄様は笑顔で中身の詰まったプリンにスプーンを突き刺す。
 見ていると、自分の心臓まで突き刺されているようで、すごく苦しい。
「先ほどの方のお名前。教えていただけますか?」
「え。なぜだい?」
「いえ。お兄様の代わりに私から何かお礼をと」
「いや、それは俺がちゃんと」
「ちゃんと出来る人は、妹の誕生日を二回連続で忘れたりはしませんわ」
 お兄様が言葉に詰まる。
「・・・2年の同じクラスの五十嵐ひとみさんだ」
「五十嵐・・・ひとみ?」
「あぁ。別に珍しい名前でもないだろ」
 お兄様が珍しく苦笑する。
「そうですわね」
 お兄様は本当に美味しそうに食べている。
 私に言ってくれればすぐにもっと美味しいものを作るのに。
「聖もどうだい?」
「いいえ結構です。一日の食事量は決めてますから」
「そうか?美味いんだけどな」
 腹が立つ。
 ひょっとして、お兄様が甘いものを好きだと知っての行動かしら。
 ふふ。
 どっちでもいいわ。彼女・・・もうお兄様に会えないのですから。


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