07/11/11 00:22:53 Yg0UCWL+
名もなきバードの語る物語
綺麗な月の夜、今宵は美しい心を持った姉弟の話をしましょう。
昔、エトリアにある姉弟がやって来ました。目的は、世界樹の迷宮の三階にある、姫リンゴという特別なリンゴでした。遠く離れた場所にある姉弟の村では、姫リンゴは薬の原料として珍重されていました。
姉弟は母親の病気を治すために、このリンゴを求めてわざわざエトリアまでやって来たのです。
姉弟は冒険者としてはまだまだひよっこでした。しかし、パラディンの姉が敵の攻撃から弟を守り、アルケミストである弟の術式でとどめを刺すコンビネーションによって襲いかかる敵を次々と倒します。
その姉弟の絆によって生まれる攻撃は、ベテランの冒険者もうならせるほどだったといいます。
まず、姉弟は仲間を集めて三階へ向かおうとしました。冒険者のギルドへ登録もします。
しかし、その夜に泊まった長鳴鶏の宿というところで、糸のように目の細い青年から法外な料金を請求されて、旅の費用が尽きてしまったのです。
それ以上、エトリアに滞在することができない姉弟は、酒場で情報を聞くこともなく、アリアドネの糸を買うこともなく、世界樹の迷宮へ挑みました。
一階で出会う敵は、姉弟の絶妙のコンビネーションによって、為す術もなく屍として森の肥やしになります。はさみカブトさえ相手になりません。