【DS】世界樹の迷宮でエロパロ B4Fat EROPARO
【DS】世界樹の迷宮でエロパロ B4F - 暇つぶし2ch584:名無しさん@ピンキー
07/10/15 23:47:17 A63/LETT
 カースメーカーの術は邪法である。
 エトリアに初めて呪言が伝わってからの共通認識であったが、そう呼ばれる理由は二つあった。
 ひとつは、その術が自由であるべき身体と精神を縛り崩し、その操作を儘ならぬようにしてしまう呪いに類するもののためである。
 そしてもうひとつは、その習得方法による。
 カースメーカーにとって異郷であるエトリアにおいて、正しい修練法が伝わる以前には、呪言の力を手にするために様々な試みがあった。
 運の悪いことに幾多の試行錯誤の果てに呪言の力を手にしたのは、呪言の名に相応しい呪われた修練法だった。
 精神と肉体を限界まで苛み、己の苦痛によって呪いを生み出すそれは、もはや修練などではなかった。
 下層階級から無理矢理連れてこられる修練生のほとんどは、ただ一瞬の安らぎすら与えられない拷問に生き残ることはできず、
 生き残ったとしても術は完全ではなく、傷ついた心身は長くはなかった。
 カースメーカーの正統な修練法が伝えられた今でも、その「もっともらしさ」から、誤った修練法が深く根を張ってしまっている。

 ある冒険者ギルドが町はずれで見つけた行き倒れは、そんな地獄から運よく逃げ出してきたカースメーカーの卵だった。

 彼女は、ずっと死んでしまいたいと思っていた。
 カースメーカーの修練では、死こそがただひとつ与えられた安らぎである。
 だが明かりすら満足にない冷たく暗い地下では、不具の苦痛を呪いとするために両手足は鎖で縛められ、
 舌を噛む口さえも猿轡に遮られ、彼女はただ拷問によって衰弱し死んでいく「隣の誰か」を、羨望の眼差しで目に映すに過ぎなかった。
 自分がカースメーカーになれるなどとは露ほども思わなかった。ただ自分も弱り果てて終焉が訪れることを願っていた矢先、千載一遇の好機が降って湧いた。
 どうしてうまくいったかはわからない。
 たまたま彼女の足の鎖が外れていて、たまたま扉の鍵が緩んでいて、たまたま彼女を咎める者が誰もいなかった、ただそれだけのことである。
 ともかく、彼女は地獄から逃げ出した。そして行き着いた先は、苦痛を与えられることはなくとも、今までと変わらず絶望がたゆたう世界だった。


 カースメーカーを拾ったのは、ギルドで一番の新参である若いブシドーだった。
 ブシドー本国の生まれであるらしい彼は、エトリア人のブシドーと何かが違っていた。
 何が違うのかは彼の生来の無口もあって語られることはなかったが、戦の場で彼と武技を競うソードマンの娘が、ある時言ったことがある。
 あいつは自分の命を何とも思ってない、と。
 その言葉を裏付けるかのように、彼は鎧すら纏わず平然と蟷螂の腕に潜り込み、猛る猪の頭に突きを見舞う。
 一旦剣を抜けば、必ず敵を殺す。叶わぬ場合は、躊躇の間もなく死ぬ。剣技などではなく、生き様として四肢に染みついているようだった。
 捨て身はあくまで剣の駆け引きでのことと割り切っているエトリアのブシドーには、ついに追いつけない境地であろう。
 だがそれ以上に周囲の肝を冷やさせるのは、命を賭け金に、己の剣を試すかのようなところだった。
 冷気と尾によって深手を負いながらもコロトラングルの背に飛び乗って頭部を刺し貫き、敵の絶命と同時に昏倒した。
 その時はどう考えても弓と術式に任せる場面であったにも関わらず、彼は真先に剣を抜いた。
 そして、落ち込んだ死の淵から、またも帰ってきた。
 必ず敵を殺し、己は決して死なず、平素は全くの無口であるがゆえに、彼の存在は底知れないものとして怖れられていた。
 町中であろうとも、絡んできた酔客や暴漢を、何の感慨も見せず等しく一太刀で絶命させる彼に対して、
 本国で百人を斬り殺したがために故郷を追われたのだという噂が流れていた。

 だから、カースメーカーが己の死刑執行人に恩人を選ぶのは、当然の発想だったのかもしれない。


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