【DS】世界樹の迷宮でエロパロ B4Fat EROPARO
【DS】世界樹の迷宮でエロパロ B4F - 暇つぶし2ch183:16
07/06/25 13:28:40 5nVupAhA
「おー……ねーねー、なんかこの先にいるよー」
「へ?」
 遠目の利くレ子が、遥か先を指さして、叫んだ。
「何か、って何か、判る?」
「んー……もやもやぁ。FOEかなぁ? ……やっぱ判んないやー、あっははー♪」
 実は乱視なので、遠目が利くだけで、それが何かは判らないのであった。
「それが判らなきゃ、意味ないよな……レ子って、やっぱりレンジャー向いてないんじゃ
ないか……?」
「なにか言ったー?」
「いいや、なにも。しかたない、近づいてみようか」
 デイは、しれっと話を元に戻した。
 おそらくはFOEだろう。このあたりの階層のFOEは軒並み先輩たちが駆逐したはずだが、
いまは月に一度も来ないのだ。復活したFOEがうろうろしている可能性は、高い。それをど
うにか出来るぐらいのレベルには達しているし、治療薬だけではなく、その、いろいろな
薬を用意してあるのだ。対処は出来る。
 そう考えて、デイは近づこう、といったのだが。
 レ子は、すでに駆け足で『もやもや』に突っ込んでいっていた。
「あ……ありえない!」
 いつもこうだ、こうなのだ。
 思慮が浅く直情的で!
「ま、待ってよ、レ子!」
 デイもあわてて駆けだした。革鞄と棍棒のせいで、フラフラする。

「やっぱりFOE! さーあ、狩りの時間だよぉ!」
 レ子が見た『もやもや』は、やはりFOEだった。
「あ、あれってもしかしてコロトラングル!? なんでこんなところまで!」
 ふよふよと浮いているマンタのような生き物は、しきりに威嚇の吠え声を上げている。
「きゅくるるー!」
「……な、なんかかわいい鳴き声だけど……」
「稚魚だよ! 軟らかくっておいしいんだよ!」
「聞いたことないっ! むしろ防御力高いし! っていうか、食べたことあるの!?」
「ないっ!」
「また口から出任せを!」
「人類最初のコロトラングル・イーターを目指すのもいいと思うよっ!」
「いつもに金鹿のお姉さんに言われてるじゃないか! ホラは一日3回までって!」
「今日はまだ2回目だもーん♪」
 そんな掛け合いをしている間にも、レ子は矢をつがえ、デイは逃げるか戦うか一瞬迷っ
て、革鞄の中に手を突っ込んだ。
「きゅくるるるーるーるーるー!」
 戦闘の気配を感じ取ったのか、小さなコロトラングルはさらに吠える。
 とってもかわいい。
「おー、やる気満々だねー! 刺身と塩焼き、好きな方を選ばせてあげるよー!」
「それどっちも選びたくないよ、きっと」
「じゃあ煮付けでけってーい!」
 ヨダレまじりの、その叫びが開戦の合図となった。
「ああ、やっぱり逃げるって選択肢はないんだね、レ子……」
 デイがぽそりと呟いたが、残念ながら誰も聞いてはいなかった。

184:16
07/06/25 13:30:42 5nVupAhA
「先制攻撃っ! エイミングフットー!」
 相手の足を封じる弓技。相手に足があれば、大変有効な封じ技である。
 足があれば。
「サカナに足があるかーっ!」
 デイの悲鳴のようなツッコミ。
 当然、コロトラングルに足はない。
 初手の攻撃としては最悪である。
 しかも。
 レ子の放った矢は。
 天高く、飛んでいった。
「どこが足(フット)だーっ!?」
 デイの絶叫のようなツッコミ。いや、ごもっとも。
 仕方なく、彼は革鞄の中で握っていた薬瓶を取り出し、あたりにぶちまける。
 耐氷ミスト。コロトラングルのアイスブレスを警戒しての防御アイテムである。
 そして、コロトラングルは、デイの狙い通り、ブレスを吐いた。
「ぶ、ぶぱー!」
 ……
「……か、かき氷出てきたー!?」
「デザート用意するなんて、覚悟は出来たよーだねーっ!」
 あまりのありえなさっぷりに、愕然とするデイ。こんなの、聞いたことない。
 一方のコロトラングルは、一仕事終えた充実感からか、ふひーと息をついていた。
「よーしっ! 今度こそ当てるよー! エイミングフットー!」
「だから足ないって!」
 レ子が次の矢をつがえたとき。
 遠くからすごい勢いで走り込んでくる人影が見えた。
「こらあああああああああ! コロちゃんいぢめるなあああああああ!」
「FOEの乱入!?」
 人影はあっという間にエンカウントし、小さなコロトラングルをかばうように、ばっと
両腕を広げた。
「コロちゃんいぢめるやつは、わたしが相手だあああああ!」
「モ、モリビト!?」
 そう。乱入してきたのはコロちゃんの友達、モリビトのモーちゃんである。
 鼻息荒く、コロちゃんをかばうモーちゃん。
 デイは躊躇した。
 執政院から、新たにモリビトが見つかった場合には、速やかに報告するように通達が出
ている。生死を問わず(DEAD OR ALIVE)ではあるが、殺さずにすむならそうした方がいい
とは、先輩たちの言葉である。もちろん、それはモリビトたちの高い戦闘力を踏まえての
セリフだ。一般にモリビトはすさまじい攻撃力、強力な術式を誇っている。先輩たちとい
えども、モリビトと戦うには犠牲なしには済まないのだ。


185:16
07/06/25 13:32:05 5nVupAhA
 だが。
 レ子は全く空気読めない子であった。
「足があるならエイミングフットーっ!」
 今度の矢は、さっきほど見当違いの方向には飛ばなかった。
 モリビトのおでこめがけて、一直線。
「ぴきゃああくぁwせdrftgyふじこlp!?」
 すごい悲鳴(?)と共に、モーちゃんとコロちゃんは辛うじて避ける。
「ちっ、おしいっ!」
 (>▽<)な顔して、レ子は舌打ちした。
「惜しくない。全然違うよ、いまのは!」
「いっ……いまっ! いまおまえっ! 足(フット)って言ったっ! 言ってただ
ろっ!」
 デイとモーちゃんが、同時にツッこむ。
「頭に当てちゃえば、あしもとまるよ! とまるよ!」
「二度言わなくていいよ……」
「だいいち! お前らニンゲンには、ちゅーちょって言葉がないのかあっ! トモダチを
かばうところを見たら、ふつーちゅーちょするだろおっ!」
「……そんな計算があって、立ちはだかったの……?」
 おもわず生暖かい目になってしまうデイ。この幼いモリビトも、なかなか『侮れない』
ようである。
「ふふふ。ボクの辞書に『躊躇』って言葉はないよ! 漢字難しいから!」
 思いっきり胸を張って、レ子は3発目の矢をつがえた。さっきからヨダレが止まってい
ない。
「今日の晩ご飯は煮付けとサラダだよ……!」
「あっちのモリビトも食べるの!?」
 生死問わず(DEAR OR ALIVE)とは言われているが、食後(EAT UP)ってのはアリなんだ
ろうか、とデイはちょっと考え込んだ。
 その仕草がモーちゃんには『ドレッシングはサウザンアイランドとごま醤油、どっちが
いいだろうか』に見えた。
「ぴきゃああくぁwせdrftgyふじこlp!?」
 絶叫。もはやガクガク震えて神様にお祈りするしかない。ああ、せめてマヨネーズにし
て。
 そのとき。
 一本目の矢が、落ちてきた。

 サジタリウスの矢。
 ご存じ、最強クラスの弓技である。

 ちゅっどー……ん……

186:16
07/06/25 13:33:17 5nVupAhA
「ん……んあ……?」
 モーちゃんが目を覚ましたとき、あたりはすでに暗くなっていた。
 近くで、ぱきぱきと何かが爆ぜる音がする。
「……火!?」
 掛けられていた毛布をはね除けて、がばっと起き上がる。モリビトに火は禁物である。
お肌が乾燥しているときに火に近づいたりしたら、全身発火である。
「あ。起きたね。大丈夫? 痛くない?」
 聞き慣れない声。あたりを見渡すと、若いニンゲンがいた。デイである。
「いちおう、傷の消毒と痛み止めをしたんだけど……モリビトの体って、よくわかんな
くって」
「ぴよっ!?」
 自分の体を見ると、あちこちに木綿が巻き付けられている。包帯、というものだとモー
ちゃんはあとで知った。
 まあ、それはいいのだが。
 着ていた服は!?
「ふっ、服!?」
「あ、ごめん。応急処置のために、その、ちょっと、脱がせちゃった」
「な、なななななな!?」
「ごっ、ごめんっ! いや、見てないっ! 見てないからっ!」
 必死に頭を下げる、デイ。
「ゆ、ゆるさない! やっぱりニンゲンは敵だっ!」
 顔を真っ赤にして、モーちゃんは立ち上がり、臨戦態勢をとる。
 かろうじて引っかかっていた毛布が、ずるんと、落ちる。

「あ」
「ぴきくぁwせdrftgyふじこlp!?」
 いまこそ、デイは見た。ばっちりと。

 見られたモーちゃんの頭に、一気に血が上る。
「わたしがサラダなら、お前らはハンバーグにしてやるう!」
 と叫んだとき。
 くらっ、ときた。
「ひょ?」
 ぐるん、と視界がまわる。
「ぴ?」
 かくん、と膝をついてしまう。
「な……なん、れ……?」
 舌も回らない。
 しまった。毒を盛られたのか。
「え!? ど、どうしたの!? って、顔真っ赤……もしかして、消毒のアルコールで、
酔っぱらったの!?」
 アルコールとは、なんという毒なのか。
 目がぐるぐるして、体がぽわーっとして、頭の中がふわふわする。
「ふ……ふにゃらあ……」
「あ、あぶないっ」
 そのまま顔面からべたんと倒れそうになるのを、デイはなんとか受け止め
……ようとして、筋力が足りず、一緒に倒れてしまう。

 むにゅ。

187:16
07/06/25 13:34:03 5nVupAhA
「ふえ、ええ……ニンゲン……毒盛っら、にゃあああ……?」
「毒って、そんな! まさか消毒で酔っちゃうなんて思わなくて!」
 モリビトは、ニンゲンとは違う生物である。体の構造は、どちらかといえば植物に近
い。であるからして、アルコールを分解するための器官を持っていない。
 体のあちこちの傷を消毒するために塗られたアルコールが、体に吸収されて、そのまま
神経系に作用しているのだ。
「モリビトってお酒に弱いんだ……って、感心してる場合じゃない、何とかしないと」

 むにゅ。

 何か使える薬はないか革鞄の中を探そう。そう思って少女の体をとりあえずは横たえよ
うとしたところ……デイは手のひらの感触に、息を呑んだ。
 な、なんだろう、この、すっごく柔らかいの、は……

 むにゅ。

 デイの手のひらは、ちょうどモーちゃんの胸のあたりにあった。
「ふ、にゃ、あ……」
 柔らかさが手のひらいっぱいに広がるたびに、モリビトの少女の口から、舌の回らない
吐息が漏れる。
「ひ、ひいい……」
 デイは戦慄した。こういう場合、ビンタが飛んでくるのだ。少なくとも、彼が執務院や
施薬院の図書館で見た文献には、こういう場合にはそうなるのが必然と書いてあった。
 しかし、いつまでたってもビンタは飛んでこない。
 かわりに聞こえるのは
「にゃふ……にい……」
 相変わらずの、少女の吐息。アルコールで火照ってしまった身体から吐き出される息
は、人間よりも体温が低いとされるモリビトなのに、ねっとりと、暖かい。
「う、わ……」
 なんとか少女を押しのけようと手に力を入れると、柔らかくも弾力のある胸がその手を
押し返してくる。その感触で、少年メディックの腕から力が抜けてしまい、また少女に押
しつぶされそうになる。
 デイが仰向けに寝て、その上にモーちゃんがのし掛かるようになっていた。
 なんとか、この子をどけないと……そう思って行動しようとすればするほど、手のひら
の感触が、デイの身体から力を奪っていく。
「や……やわらかくって……あったか、い……」
 思わず、正直な感想が口から出てしまう。
「ひにゃ……まふ……」
 何かを言い返しているのだろうか。モーちゃんの口がもこもこと動く。
 その拍子に、半開きになっていた口から、とろーっとした液体が垂れ落ちてきた。
「ちょ、ヨダレ……?」
 つつつー、とその液体は垂れてきて、ゆっくりと、デイの口に近づいてくる。
「わ、わ、わ、わっ!?」
 とろり。
 焚き火の明かりできらめきながら、モリビトの少女と人間の少年の口と口が、液体で繋
がれる。

188:16
07/06/25 13:36:07 5nVupAhA
「あ……んく……」
 とろとろと液体がデイの口の中に広がっていく。シロップのように、甘く感じる。唾液
というよりは、樹液のようなものなのかも知れない。
 甘みがだんだん強く感じられて、頭の中がぼんやりとしてくる。
「あま……ん……」
 こくん、と喉が鳴って、飲み込んでしまう。すると口の中が物足りなくなった。
 もう少し、この甘いの、飲みたい。
 一度そう思ってしまうと、もう、デイは自分で自分が抑えられなくなった。
 腕の力を抜ききる。
 少女の口が近づいてくる。
 軽く息を吐いて、全身の力を抜いた。すると、少女の口が、自分の口のすぐそばに来
る。
「ん……」
 今度は首に、少しだけ力を入れる。
 それだけで、くちびる同士が、密着した。
「んく……んぅ……っ」
 半開きのくちびるから、液体が少年の口の中に垂れ流れてくる。さっきの甘みが、また
舌に絡みついてくる。
 だけれども、もう、それだけではがまんできない。
 ゆっくりと、舌を伸ばす。ぷるんとした少女のくちびるに触れて、少し甘みが強くなっ
た。
「はん……む……」
 さっきよりも、もう少し性急に、舌を伸ばしていく。くちびるから、粘膜へ。そして、
そっと、くちびるを押し広げる。
 そうすると、少年の舌を伝って、液体が流れ込んできた。

 ぺちゃ……ちゅ……ちゅく……

 つながりあったくちびるとくちびるの間から、舌を動かすたびに、ぬめった音が漏れ
る。
 甘い味覚と聴覚に、デイの脊髄がぴりぴりと震えた。

 どうしよう。これ、止められない……レ子が近くで、寝てるのに……

「にゃむにゃむ……もう食べられないよ……」

 レ子の寝言は耳に入らなかった。
 もう、自分とモリビトの少女のくちびるから紡がれる、この音しか聞こえない。

 ちゅぷ……じゅ……るく……

 もっと。
 もっと、ほしい。
 これじゃ、全然足りない。

 でも、じゃあ、このあと、どうしたらいいのかな……?
 もっとほしい、のに……

189:16
07/06/25 13:37:38 5nVupAhA
ここで一旦、お話は止まります。
誰かこのヘタレメディックに、このあとどうしたらいいのか教えてやってください。
おながいします。

190:名無しさん@ピンキー
07/06/25 13:43:47 1QXlVjPw
>>173
相変わらずガチ鬼畜ですな!ゾクゾク感と罪悪感の板ばさみですよ!
このモリビトさん最後は幸せになれると・・・いいなぁw

>>181
コッチはライトな感じで初初しさが何とも・・・スゴクイイ!
えーと知識が薄いっぽいんで、お互いに気持ち良い所を手探りで探していくなんてどうでしょ?

191:名無しさん@ピンキー
07/06/27 22:30:51 08SqQSZp
ロリ系もいいけどオネーサン系も見てみたいんだぜ
金鹿の女将さんとかメディ姉にやさしく教えられたい

192:名無しさん@ピンキー
07/06/27 23:33:53 9aInzggZ
流れを読まずに投下。
主要登場人物はダークハンターとメディック。

注意
一部に暴力的と取れる表現があります。
NTRを思わせる部分があるため、苦手な方はご注意ください。
また、登場人物の性格等はあくまで「オレのギルドの」メンバー準拠のため
キャラスレ、パロスレでの一般的なものと違う部分があります。

193:名無しさん@ピンキー
07/06/27 23:34:28 9aInzggZ
ギルド長の記録
ギルド名:Eternity
構成:リーダー パラディン
   初期構成員 レンジャー ダークハンター バード メディック
備考:エトリアでの冒険者としての技量は未知数。 何らかの事情のある者同士が
   集合したらしいが詳細不明



襤褸襤褸、としか言い様が無かった。
装備を代えたことによる慢心か、似たような景色の中慣れぬ移動手段への戸惑いか等と
いう原因探しは本来ならば肩の上で昏睡している騎士の得意とするところだが。
「畜生」
悪態をついたところで、常に交ぜっ返す野伏も、野郎三人の会話を面白がって
きゃらきゃらとよく笑い声を上げる歌姫静かなものだ。ま、こいつらも昏睡している
から仕方ないといったところだ。
後から付いて来る、歌姫を背負った衛生士に「糸、持って来たな?」と確認すると、
いつもよりたっぷり三拍遅れて「ええ」という返事が返ってきた。荷物と金の管理を
これまで滞りなくすすめてきたあいつにしては珍しいと思ったものの、ただ単に
疲れているのだろうと思った俺は、いつまでも騎士と野伏の二人を担がせられるのは
ごめんだとばかりに糸玉に籠められた力を発動させた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
施薬院に昏睡している三人を放り込むと、いつもの宿へ向かう。
常ならば色黒のネェチャン…と言ったら「お前が言うな」と異口同音に返された…の
店に戦利品を置いてくるところだが、戦利品を手に入れる前に逃げ帰って来た今回は
寄る必要も無い。とにかく一休みしてからだ、と思っていたところを衛生士から声を
かけられた。
「すみませんが、施薬院からこれを受け取ってきていただけますか?」
渡されたのは処方箋。「メディカ」等の誰にでも使える品ではなく、おそらくは
「キュア」や「リフレッシュ」に使う薬品の名が書いてあるのだろう。
さっさと休みたかった俺は思わず自分で取りに行かないのかと声を荒げかけたが、
済ませておかなくてはいけないことがあるからと押し切られ、しぶしぶ施薬院へと
引き返した。

院長に処方箋を渡すと、暫く時間がかかると言われたので治療を終えたらしい三人の
様子を見に行く。
「起きられるか?おっさん、チビに探索屋」
「その適当な呼び方は止せと言っているのだがな」
「あたしは大丈夫。パラ男さんもレン男さんも起きられるみたいよ」
「中々ひどい目にあったな。 ん?メディ姉は一緒じゃないのか?」
うるせぇ、そうかそうか、あいつは何か用があるとか言って俺に使いを頼んだぞ、
と答えていくと、連中がおやという表情に変わった。
「珍しいこともあるものだな。そこまで急ぐ用とは何だか聞いていないのか?」
「酒場から依頼を受けていたわけでもないし… あれ?そういえばここの治療費って?
確かメディ姉さんはこの間『装備を変えたら次は宿代がぎりぎりですね。無駄使いは
できませんわ』と言ってたような?」
「今回は戦利品無しで戻ってきたよな?」
「さすれば、施薬院に払う費用は手持ちの金からでは不足するということか」
「ええ?それじゃどうしたの?」
「余所のパーティにいる冒険者から聞いたことがあるな。長鳴鶏の宿では、
ある『仕事』で金を用立てることができる、と」
「メディ姉さんはその話を知っていたと思う。『赤字になるようなことがあれば、
……の顔をきちんと見られなくなりそうですわ』って…」
何がどうなっているのかおおよそ理解できた。
と同時に腹が立った。
畜生、無表情糸目野郎。俺の… 俺の?
呼び止める声を背中に聞いたが知らぬ振りで宿への道を引き返した。

194:名無しさん@ピンキー
07/06/27 23:35:03 9aInzggZ
「いらしゃいませ。『Eternity』さんのお部屋はこちらに…」
「あいつ、じゃネェ メディ姉は!?」
ルームキーを人数分まとめて差し出そうとしている糸目から自分の分のキーを
引ったくりながら怒鳴るように聞く。
「はい。先様とのお約束の時間からすればまもなく戻られるはずです。」
あまりにも事務的に、まるで夕食の時間や出立の時間を告げるように言われたものだから
つい毒気を抜かれてそのままあいつが戻るであろう宿の部屋の前で待つことにした。
何度も泊まっている宿とはいえ、いつも閉じられている扉、おそらくは関係者用だろうと
見当をつけていた扉が見える位置だな、と見るともなしに見ていると、少し肩を落とした
様子のあいつが出てくるのが目に入った。

近づき呼び止めると、目を合わせずに踵を返して去ろうとする様子を見せるが、その時
髪で隠れていた首筋にうす赤い痣を見つけた。
それを目にした瞬間、自分でも説明できない衝動に突き動かされ、そう、丁度樹海で
取れる植物を元にして作った香水を使った時のような……そんな力と速度で彼女を
俺にあてがわれていた部屋へ引きずり込み、襟元に巻いているスカーフを毟り取った。
雪原に咲く赤い小さい花。
それがどういう状況でできる痣かを知らない訳でも無い。ケフトでの話の端々や状況
からの予感が当たってしまったことを確かめた形になった俺の次の感情は怒りだった。
  何故、相談してくれなかったのか
  何故、一人で背負い込んでいたのか

「ダク男さん、ちょっと落ち着い… ぁあっ!」
抵抗する間もあらばこそ、寝台に押し倒して白衣に手を掛ける。肩から滑らせた白衣が
彼女の腕の動きを封じたあたりで、胸元の痕に順に指先を這わせながら耳元で囁いた。
「……宿代と、治療費の肩代わり、か……?」
逸らした視線と、腕の中でぴくりと反応した身体が言葉以上の返事だった。
下着に覆われた柔らかな感触としっとりとした肌の感触を楽しみながら、更に追い討ち
をかけるように言葉を続ける。
「誰と、だ……?」
せつなそうな吐息だけが返ってきた。俺の片手は下着の上からもわかる突起を弄びつつ、もう片手は短めのスカートとその下の下着へと伸ばす。
「答えたくない、か?」
今度は耳元に顔を寄せて聞いてみる。湯浴みした後なのだろうか、少し湿り気の残った
髪の感触が俺の頬に残った。
「そ……んなこと、聞かない、で」
樹海の中ではまず聞くことは出来ないであろう甘い声。その声をおそらく『誰か』が
聞いていたのだろうと思うと、なぜか無性に彼女を苛めてみたい思いにとらわれた。
片手には余り過ぎる大きさの膨らみを今度は下着の上からではなく直接、手の中で自由
に形を変えながらも心地よい弾力が返ってくるのが楽しい。半端に剥かれた白衣や
スカートが手枷足枷となっているのが苦しいのか、それとも快楽から漏れ出る声を
こらえているのかはわからないが、少し苦しげな表情が不思議と樹海探索での疲れも
忘れさせるような気がした。

195:名無しさん@ピンキー
07/06/27 23:35:36 9aInzggZ
「他には?自分からは何かやったのか?」
彼女の手が俺の下半身に伸びてきて服を剥いだかと思うと、そのまま口に咥え始めた。
ヤバい、結構…いや、かなり上手い。
今の職業上人体の構造を熟知しているのか、それともエトリアに来る前に何かあった
のか。なんてことを詮索している余裕は無かった。
立てないように唇を被せた歯で茎を刺激され、舌に敏感な部分をくすぐられ、おまけに
両手で袋やその周囲を刺激され。
「くっ、口でイカせたのか?」
「ひひへ(いいえ)」
不規則な刺激に暴発した。飲み込む音が小さく聞こえ、口の中で掃除されているうちに
再度臨戦体勢が整ってきた。
頭を軽く押して口を離させ、そのまま俺の上に跨らせると、もう十二分に潤っていた
そこは易々と俺自身を受け入れた。
「……やっ、こ、んな、いきな…り、奥、に……」
甘い声とともに俺に身を預けてくる。二人の間で乳房が潰れた。
尻に手を添えてまずは揺らすように静かに動かし始める。、彼女の手が俺の背中を撫で
ていく。その手がふと止まった。
「古傷だ。気にするな」
「で……も、大きいし、それにダク男さんは無茶な闘い方ばかりで…ひぁっ……
し、ん配」
「お前がいるから安心して闘える。だからお前は俺の後びいてくれ。きっとお前を
守るから、メディ姉」
言ってしまった後、思わずそれを誤魔化すかのように腰を引き寄せ強く突き上げる。
「ああんっ、そんなに激しくされたら……、」
「されたら?」
「あぁっ、もう、イキそう……」
「もう?」
背に回された腕がぎゅっとしがみついてくる。
「だ、だって…… ダク男さん、だから……」
その言葉に思わず愛おしさがこみ上げ、そっと彼女を抱きしめた。
「そういうこと言われると、俺も」
「イ……くなら、一緒に……」
最後の高みに向けて互いの動きが激しくなる。繋がっている部分からの水音と
吐息混じりの甘い喘ぎ声に煽られるように突き上げは大きく速くなり、そして。
一際高い声と反った背中、中の締め付けに誘われるように俺も欲望を吐き出した。
快感の余韻に浸るかのように力を抜いて俺に身を預けてくる彼女の温もりがとても
心地よかった。

196:名無しさん@ピンキー
07/06/27 23:36:07 9aInzggZ
湯を使い終え、身支度をしようとしていた彼女を、少し話がしたいと引きとめたはいい
がいざ口を開こうとしても今度は言葉が中々出てこない。そうこうしているううちに
二の腕に心地よい重みを覚え、小さな寝息が聞こえてきた。やれやれ、これでは明日
武器を取るには軽いしびれが残りそうだし、何よりこいつに触れたくとも下手に腕を
動かしたら起こしてしまいそうだ。
腕を枕の代わりにされているのは心外だが、安心しきったような寝顔のこいつを起こす
にはしのびない。まあ、いいさ。話をする時間はこれからいくらでも取れるはずだし、
起きている相手には照れくさくて言えない言葉も今なら言える。
その言葉をごくごく小さな声で囁くと、寝顔が少し微笑んだ気がした。
眠りに引き込まれながらそういえば、と思い出す。
こいつは本来は歌姫と同室の筈だし、この部屋も野伏と相部屋だった筈だ、と。
まあいいさ。石頭のリーダーの騎士が何か考えてくれるだろう。


翌朝のちょっとした騒動はともかくとして、その後俺達のパーティは打たれ弱い前衛と
後方支援の要が少し慎重になった。

197:名無しさん@ピンキー
07/06/27 23:38:55 9aInzggZ

以上です。

発想そのものは前スレでの「宿代が無い」あたりから。
120で白衣の下を聞いたくせに結局上手く取り入れられなかったorz

イマジネーションをくださったスレの皆様、ありがとうございました。

198:名無しさん@ピンキー
07/06/28 00:29:46 v70+aFaC
ちょっと来られなかった内に、また投下ラッシュだな!

>>178
宙吊りエロ! これはよいフルコースディナー。
何気に前段のキュリオシテの動きとかも気になる。

>>189
ロリビトに萌えつつ、ちびコロトラングルが妙にツボった。
メディックは本能のまま突き進めばいんじゃね?

>>197
「仕事」帰りのメディ姉(;´Д`)ハァハァ
NTRからラブにもっていくとはたまらないツボ展開。GJ!

199:名無しさん@ピンキー
07/06/28 21:38:30 xTpzr6lG
>>197
良いな、ラブいな
好きでもない男に抱かれて帰って来たメディ姉を、慰めてあげるというか清めてあげるというか
アバウトですまんが、ともかくそういう感じが、凄ぇツボった

200:名無しさん@ピンキー
07/06/29 20:16:12 gdRZUr0z
>>189
モリビト×デイの隣でコロちゃん×レ子
ぐっちょんぐっちょんな展開を希望します。

>>197
GJ。これはエロい。


あと遅レスだが、
>>157
>時折、この街 には栄光と同数の悲劇があるのではないかと思う。帰らざる恋人。独り生き残った男。

>ひたすら木を伐り鉱石を掘りつづけるだけの奴隷。

ちょwwシリアス台無しwww

201:名無しさん@ピンキー
07/06/30 13:00:21 SLuLB0Wl
いや、ある意味ホラーだと思うwww

202:SC
07/06/30 19:45:06 LM0OWvRp
>>154
■第3話

「ふわぁ……」
 と、ユエは口をぽかーんと開ける。あくびをしているわけではなく、千年の蒼樹
海の幻想的な光景に見入っているのである。
「どうだ。前に一度連れて行った第1階層もいいが、ここも美しいだろう。
 ああ、穴に落ちるといけないから、必ず俺の後についてこい。いいか、俺から離
れてくれるな。最悪でも矢の届く範囲からは絶対に出ないように」
 と、シトナが街の中から繰り返している注意も聞いていない。
「……ユエ?」
「すごい、すごい、すごい! きれい!」
 ぴょんぴょん跳ねながらも小声で叫ぶのは、一応、騒々しさの似合わない光景を
考慮しているのだろうか。
「うん。では、まずはカエルとアリを見に行こう」
 と、シトナは言った。
「おっきい?」
「ユエより大きい」
「かぁいい?」
「多分キモカワイイ。カエルは。アリはうっとおしい。ああ、ミミズもいたな。あ
れも大きい」
 いちいち律儀に答えるシトナ。彼は、礼を弁えない大人を除いて、誰にも等しく
敬意を払うというルールをもっているので、子供を子供扱いしない。同年代の友達
がおらず、愛情たっぷりに育ってきたとは言いがたいユエにとっては、自分の話を
いつでも真剣に聞いてくれ、応えてくれる相手というのは彼がはじめてで、だから
ユエはシトナが誰より大好きだ。

「まずは後ろで見ていればいい。位置取りだけは気をつけて動け。慣れてきたら弓
を射ってもらうから」
 では狩りをはじめよう、とシトナは言った。


 戦闘の流れに慣れて援護を任され、それにも慣れてきた頃。
「かーえーるーのがっしょうはー」
「……それはメダカの学校の節では」
「えへへー」
 ユエの変な歌に誘われているわけではないだろうが、カエルが次々と集まってく
る。あまり動きが速くなく、適度に大きく、皮膚も厚くない、理想的な練習相手だった。
「ほら、左手に力を入れるな。指は弓を落とさないように添えるだけ。触れる面積
は最小限」
 シトナは指導を続けながら、カエルの体当たりをかわし、時折自分に当たりそう
になユエの矢を叩き落とす。
「弓力は骨で受ける。肩と肩のラインに真っ直ぐに左腕をつなぎ、人差し指と親指
の間のポイント一点で押し伸ばせ。
 どんなに動いても、崩した体勢で射っても、その基礎だけは崩すな」
 ある程度倒したら、シトナが残りの敵を一掃して小休止。彼が壊れてない矢や戦
利品を回収している間、ユエは休んだり、型の確認をしたりする。
 余裕そうだが、シトナの服は血でまだらに染まっている。返り血ではなく彼自ら
の出血だ。ケフト施薬院謹製の治療薬の薬効はあらたかだが、ユエは怖くてたまら
なかった。実を言えば、多少慣れてきた今でも帰りたいくらいには怖い。
 だが師の冷静さがそれを許さない。泣き言を言えば失望されるだろうと思うと、
震えて力の入らない腕で、これまでの練習を思い出しながら、弦を引き続けるしか
ない。捨てられたくない、という想いは、泣きすがるユエを置いて出て行った父親
の記憶とともに、ほとんど脅迫観念として彼女の根底に根付いている。


203:SC
07/06/30 19:49:57 LM0OWvRp

 そうこうしているうちに、戦闘の恐怖を飼いならすこともできるようになってき
た。感情を丸い珠にして胸の中に転がし、身体は訓練の動きをリプレイさせ、その
両者を自分の意識がながめているようなイメージ。視点は広く、そして意識に近接
させて。言語化することはできても、実感によってしか理解しえないその微妙な感
覚。ユエはシトナのもとで急速に成長していた。舞人は戦士よりも身体操法に優れ
ていることも多い。もともとの身体的なセンスを背景に実戦的な技を練り上げ、そ
れを制御し活かす精神をも手に入れつつあった。

「そろそろ次に行くか。カメを見に行こう」
「せんせーが前に言ってた、水をかける人?」
「…………もしかしてカスメか。変にひねったボケはやめてくれ」
「かっめさん、かっめさんー」
 モンキータンブリンをしゃんしゃん鳴らしながらついてくるユエ。
 シトナは、こいつ本当にバードだったっけかと疑問を感じ始める。
「さて、いま曲がり角の向こうにある気配が、目標だ。多分アリじゃなくてカメだ
ったと思うが、間違っていたら許してくれ。
 うまくいけば不意をつけるだろう。一本試しに甲羅に射ってみて、硬さを確かめ
たら逃げるぞ」
「かめさん狩らないの?」
「硬いから狩らない。さ、行こう」
 一歩踏み出す。狙い通り不意打ちになった。百年以上を生きていると言われる巨
亀が反応してくるまでに、一手は行動できるだろう。
 シトナは逃走経路をイメージ―した直後に、ユエに服を引かれ、身をかがめさ
せられた。
 精一杯背伸びしたユエが、シトナの耳元に唇を寄せ、ささやいたのは、氷の力を
感じる歌。


 ―そっとからだを満たす
    水に映る言葉

    消え残る真昼の淡い微熱
    とじこめれば凍る砂に変わる


 氷劇の序曲。攻撃に対し魔術的ともいえる力を付与する歌唱スキルである。
「せんせー、元気、出た?」
「……バカ」
 頭をひとつなでて、前に出る。戦わないと言ったので弱気になっているとでも思
ったらしい。
「一射後に予定通り撤退」
 命じ、自らも弓を放つ。倒すつもりがないので甲殻を狙う。突き刺さった。
 続いてユエの射撃。こちらは甲殻の曲面に弾かれて飛んでいった。
 1挙動を無駄にしてしまったので、反撃を受ける。巨亀が口を開き、鋭く凍える
ような息吹を噴き出す。シトナにとっては、耐えられないものではないが―
「ユエ、生きてるな?」
「はい!」
 声で位置のあたりをつけて、タックルするようにユエを抱える。抱えて走る。
「きゃぁぁぁぁぁぁ」
「やかましい、黙れ」

204:SC
07/06/30 19:52:31 LM0OWvRp

 装備込み35kg以下の重量は、ちょっとした荷物にしか感じない。ついでだっ
たので、そのまま階段まで走って、さらに1階、下へと降りる。
 肩にかついで、軽く走っているので、飛んでいるように感じるのだろう、さすが
に騒いで敵を寄せたりはしないが、ユエはひどく楽しそうに無言ではしゃいでいる。
「……興を殺いで悪いが、また少し講義しておこう。樹海には戦いづらい相手がい
る。どんなモンスターか分かるか?」
「えっと……。強いくておっきい敵さん?」
 サイズか? と少し疑問に思いつつも、そこは流して、
「それもある。が、その時のパーティによっても変わる」
「戦いには相性がある!」
 と、ユエが叫んだのは、錬金術師のクドゥをはじめ“カヴン”のメンバーがたま
に口にする言葉。
「お、よく覚えてたな。えらいえらい」
「えへへー」
「例えば、上のカエルはおおむね戦いやすい相手だ。ワームも、弓や剣がよく通る
から、俺たちにとってはやりやすい。さっきのカメは、甲羅が硬いから、攻めるな
ら術式が欲しい。そういう意味では、序曲というのはいいセンスだ」
 えらいぞーと頭をなでて続ける。属性の予想の問題まで話すと面倒なので、そこ
は飛ばすことにする。
「あとは強さにかかわらず、バステを使う相手はやりにくいことが多いな。
 基本的に、そういう戦いづらい相手は避けて、やりやすいところで戦う」
 担がれたままユエが手を挙げる。
「はい、せんせー」
「ん」
「でも、先に進むには、やりにくい相手にも勝たないとダメじゃないの?」
「ああ、いま言ったのは、修練や狩りのときの話。探索はまた別」
「りょーかい」
「ん。敵だな。このまま駆け抜ける。ユエ、守護舞曲開始」


 何度か出会ったアリは無視し、細い抜け道まで来た。ユエを下ろす。彼女は残念
そうな顔になるが、シトナが先に狭いトンネルをくぐって、向こうから手招きする
と、すぐに機嫌を直す。
 このまま歩かせようと思っていたが、戦闘はそろそろ切り上げるか、とシトナは
方針を変え、再びユエを持ち上げて、肩にのせる。今度は担がずに肩車だ。
「落ちないようにつかまってろよ」
「うぃ」
「こら、目はよせ」
 暖かく湿った小さな手のひらを払いのけ、自分の帽子を脱いでユエにかぶせて、
いざとなったら髪をつかむように言う。痛そうだが落ちられるよりは良い。
 試しに身体を斜めに曲げてみる。落ちそうになったユエが黄色い声を上げるが、
掴まっていられそうだ。走るときは彼女の足を持ってれば、最低、死にはしないだ
ろう。
「しかし、くすぐったいな、これ」
 ユエの脚を包んでいる薄物が頬に当たるのだった。ユエは面白がって脚を動かす。
 遊ぶな、と言ってもやめないので、太股をマッサージするように指先で押す。
「ひゃうん!」
 とユエが鳴いて、ぽかぽかシトナの頭を叩いた。それよりも胸甲冑の方が後頭部
に当たって痛い。

 女王の宮殿を抜けて奥の階段へ向かう。
「次はちょっと飛ばそう。いいって言うまで目をつぶっていて」
「どうして?」
「いいから」
「はーい」

 獣避けの鈴を鳴らしながら、水路の脇を通って、さらに1階、下へと降りる。シ
トナの肩の上で揺られながら、ユエの耳は地響きのような音を聞いていた。

205:SC(第3話終わり)
07/06/30 19:54:48 LM0OWvRp

 やがてシトナが、「もういいよ」と声をかけた。
 ユエはゆっくりと目を開く。
「うわー……」
 そこに広がっていた光景は、広大な地下空洞を満たす大量の水。そして地底湖に
は、小さな島々が点在している。
「水! 水! たっくさん! 海? これって海!?」
 上階から柱となって流れ落ちてくる水の轟音に負けないように、ユエが叫ぶ。ば
たばた手足を振るので、シトナは彼女を落とさないように地味に必死だ。弓二張り
は結構かさばるので、うまく腕が使えない。
「いや海では……。むしろ湖だな。
 そうか、海、見たことないか」
 わざわざ上の階を飛ばしたのは、インパクトを強くしてさらに感動してもらうた
めだった。頭上で叫ばれて顔をしかめながらも、狙い通りにいったので、シトナは
満足して頷く。そのうち“カヴン”の皆で、エトリアの外にも出てみるか、と考え
る。骨休めも必要だ。
 しゃがんでユエを下ろす。帽子も返してもらおうとするが、やー、とユエが逃げ
るので、あっさり諦めてそのままかぶせておく。
「ユエは甲殻類は嫌いだったか?」
「こー……?」
「すまない。カニとかエビとか」
「ちょっときらーい」
「じゃあカニは無しだな」
 こっち、とユエの手を引き、
「でっかいお花ー」
 湖に浮かぶ花の前まで行って、シトナは上に飛び乗る。
「うわ! 乗れるの!?」
「6人くらいは、いけるかもしれん。ほら、ジャンプ」
 と、呼ばれても、陸から花まで少し距離があって、なかなかすぐに飛べるもので
はない。
 ユエはちょっと困ったように、子供特有のはにかみを浮かべ、
「こわい……」
 と小声でつぶやく。当然その声は水音に消されて聞こえなかったが、シトナは一
度陸まで戻って、ユエと手をつないだ。
「よし、せーの、で行くぞ」
「えー、やだやだやだ、怖い!」
 後ろに下がって逃げようとする。腰が引けている。そういえばこの子はシャンプ
ーも嫌いだとか言ってたなぁ、とシトナは思い出す。もうちょっと水に慣れてほし
い。やはり海は連れて行っておくか。
「しょうがないな。じゃあ、だっこしたら大丈夫?」
「……うん」
「俺はこっちの方が怖い気がするが……」
 言いながら、抱き上げて、こともなげに花に飛び乗る。勢いを得て湖の上をすべ
るように流れはじめる。ユエがまた歓声を上げる。お花の船だよ、とシトナが言った。


 花から島へ、島から花へと乗り継いで、しばらく遊んだ。ユエもひとりで跳べる
ようになり、手をつないで花に乗る。
 水に揺られ、周囲を警戒しつつ風景を愛でる。この地に足を踏み入れる力を持っ
た者だけに許される贅沢。

206:名無しさん@ピンキー
07/06/30 20:08:22 LM0OWvRp
えっち前のあれこれは次回4話までかかる見込みです。

というかベッドシーン(野外ですが)をどうしようか悩み中。
ユエの性知識はほとんど無し、の方向で想定していますが、シトナっちの態度が決まらなーいー。
子供相手の葛藤は前回ぐだぐだにやってしまいましたから、かぶっちゃうのです。
かといってノープロブレムで幼女レイプな人なのだろうか。ロリはむずかしい。

>>200-201
気づいてくれてありがとう!

207:名無しさん@ピンキー
07/06/30 23:29:33 cGAyg889
>206
なんていうか第3話は凄く子供の描写、とても丁寧に子供の描写、そんなイメージ
ロリは好きですがペドは嫌いなんですけど、続き期待してます

悩んでるようなのでネタふりで引っかき回してみますね
1.お父さんのように包み込んであげよう
2.大人の女性として見てあげよう
3.幼女ばっちこーい
4.つい、妹のつもりでアッー!!


208:名無しさん@ピンキー
07/07/01 01:20:42 UJZQZ6/a
>206
萌えというのとはちょっと違うかも知れませんがすげぇかわいいです、はい。超癒され~。
さて私もネタ出しで引っ掻き回し

5.迫られて折れる
6.薬盛られて迫られる

・・・そんなに幼女攻めが好きか俺

209:名無しさん@ピンキー
07/07/01 03:22:48 YniKFgvo
7・正しい性教育を行なわねば、と・・・・・。いや、なんでもない

それにしてもユエ可愛いよユエ

210:名無しさん@ピンキー
07/07/01 04:26:59 yqXUtPfz
それが最終的な目的だろうしな

211:名無しさん@ピンキー
07/07/01 04:29:19 yqXUtPfz
すまない、誤爆した

212:名無しさん@ピンキー
07/07/01 14:23:42 u6zWsN8j
>>211
全く誤爆に見えないんだがw

213:名無しさん@ピンキー
07/07/01 15:56:11 UHNPZHYY
Hurricane P○n○○

214:192-197
07/07/01 22:04:12 dkyYsOrv
感想を下さった皆様ありがとうございます。
他人様から見てエロく見える文章になっていたようなのでほっとしました。

>202-の作者様のような「物語」をきちんと書きたいとは思いつつも
結局筆力不足で肝心のエロシーンも含めて「読者様の想像にお任せします」
が大きくなってしまったようにも思えます。
職業らしくスキル取り入れて書こうとしたものの、頭封じの手段が思いつかなかった
上にうちのダクハンは剣特化なのでエクスタシー取得しておらず諦め。
そして、タイトル付け忘れていました。
『宵闇の物語』でひとつ。
パラとアルケでスキル連想できるエロってどういう形になるか悩みつつ
また何か書けたら投下させていただきかもしれません。

>保管庫管理人様
投稿時、場面区切り記号を入れ忘れてしまいました。
お手数ですが
>193
最初の6行(詳細不明)のあとに
////////////////////////////////////////

>193と>194の間に
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
を入れていただければ嬉しいです。

215:名無しさん@ピンキー
07/07/03 02:46:35 zw6CdZ9k
投下します。
金髪バド男×赤髪ソド子。

少し長いので、途中で投下中断したら、さるさる規制にかかったと思って
マターリお待ちくださると幸いです。

216:よろこびの歌 1/11
07/07/03 02:48:06 zw6CdZ9k

 お人形よりも剣が、おままごとよりも冒険家ごっこの方が、小さい頃から好きだった。
 身体を動かして暴れていれば、ただそれだけでしあわせ。
 女の子らしいことはどうにも苦手だし、第一、ガラじゃない。わかってる。
 だから。

「……あ……っ、や、ちょっと、待って、よ……っ、ん!」
「ごめんね。でも……もう、待てないから……」
 甘い囁きと共に、麦藁色の髪が覆いかぶさって来て、裸の肩に口づける。
 近く側に触れる温度に、目を合わせているのも恥ずかしく―赤い髪を細かに震わせながら、女ソードマンは瞳を閉じた。

 ―だから、『こんな』のは、困るんだ。

     *

『―ガァァァァァ!』

 通路に立ち塞がった骨竜が、首を掲げて咆哮した。剥き出しの頭蓋骨が音を立てて噛み合わされ、研いだような牙が光る。
 杖を構えかけていたメディックの少女が、ひっと足を竦ませる。すかさず踏み込んだ隻眼のレンジャーが、数本の矢を竜の足元に打ち込み牽制しつつ叫ぶ。
「火炎攻撃で一気に落とす! メディックは防御、バードは補強! 行くぞ!」
 明確な返答はなく、だが全員が一斉に、それぞれの動作を開始する。
 赤毛の女ソードマンも、抜き放った剣を構えた。ブシドー式に言うなら「青眼」―やや低めに切っ先を下げて爪先を踏みしめ、いつでも前へ飛び出せる姿勢。
 イメージする。身を屈めて獲物を狙い、跳躍する寸前の山猫―
 集中し高まる闘志を煽るように、背後で弦の響きが沸き起こる。
 キタラを弾く、詩人の指。
「……!」
 流れ出した前奏のメロディ、そのほんの数フレーズだけでもう、背中の産毛が総毛立つ。産毛どころか、髪の毛まで躍り出すんじゃないかという昂揚感。
 ぞくぞくする。無意識に舌が唇を湿す。
「―術式起動!」
 赤眼のアルケミストが、ガントレットを高々と掲げた。リンと硫黄とマグネシウムが反応する匂いを振り撒きながら、鋭く腕を一閃する。
 轟、と火炎が撃ち放たれた。
 宙に伸びる灼熱のライン。追ってソードマンも地を蹴った。豊かな赤毛が空に舞い、更なる炎のように巨体に襲いかかる。
 『火炎の術式』から『チェイスファイア』に至る連携。
「たああああ―ッ!」
 火炎が着弾し、骨竜の頭部は一瞬にして炎に包まれた。
 身を焼く真紅の波に、竜がのたうち首を振る。のけぞって晒された骨の喉へ、ソードマンの剣が深々斬り込んだ。
『グガァ! ガウッ、ガアアア!』
 割られた顎を空しく開閉させつつ、咆哮する竜。炎にまみれて悶えるその巨体へ、ソードマンはすかさず追撃を放つ。
 またイメージする。今度は猛禽。翼を立て、目にも止まらぬ速さで降下し、獲物を切り裂く鉤爪―
 骨の横面を叩き割り、降り落ちて来た牙を砕く。跳び退って更に、今度は脚。体勢のよろめいたところへ、もう一撃。
「やあッ! はッ! たああッ!」
 もう理屈ではなく、本能だけで身体が動いている。血が沸き立つ感覚に、あかがねの瞳が煌々と光る。
 極限まで集中し、斬り、かわす感覚に没頭した世界に、遠く。
 ―歌声が聴こえてくる。

“歓喜よ、美しき神々の煌めきよ! エリジウムから来た娘よ!
 我らは炎のような情熱に酔って、天空の彼方、貴方の聖地に踏み入る!”

 猛き戦いの舞曲。
 麦藁色の髪をしたバードの青年が、キタラを抱えて高らかに歌う。剣戟の音、憤怒の咆哮―戦場の騒音を貫いて、絶えることなく続く歌。
 ぞくぞくとまた、背中が総毛立つのをソードマンは感じる。
 魂の底から、力が湧き上がってくる。
「はあああぁぁッ!」
 メロディに乗り、リズムに合わせるように、ソードマンは剣を払い、地を蹴った。
 身体が軽い。握った剣の重みなど、まるで感じない。


217:よろこびの歌 2/11
07/07/03 02:51:13 zw6CdZ9k

(みえる)

 吼えて襲いかかる竜の動きが、ひどくのろのろとして見えた。余裕でかわし、刃を叩き込む。深々と斬り下げる。
 わきあがる、強烈な歓喜。

(ああ。あたし、いま、生きてる)

 響き続ける、やわらかいテノール。
 その歌声が血に溶けて、燃える。戦う悦びをいやがおうにも高めて、絶頂にも似た悦楽を身体の隅々にまで運んでいく。
 声に酔い、ただ陶然と、ソードマンは剣を振るい続ける。
 このまま、いつまでも戦っていたい。
 思考も感情もふっ切れた、真っ白な瞬間の中で。
 あの歌声だけ聞きながら、ずっと―

『―ガアァァァァ……!』
 かすれた咆哮を残して、骨竜の巨体が大きくよろめき、くずおれた。
 轟音と共に地に沈む身体を退さってかわすと、ソードマンはしばし立ち尽くす。
 滴る汗も拭わず、息を荒らげたまま、息絶えた亡骸を無言で睨んだ。

「……あっけなかったね。意外と」
「もう! ソードちゃんが強すぎるんだよー」
 はしゃいだ声をあげて、メディックの少女が抱きついてきた。さりげなく取り出したガーゼで汗を拭ってくれつつ、
「最後の方、凄かったよ。あのおっきな竜が、まるで手も足も出なかったもん」
「またレベルを上げたようだな。研鑽を絶やさないのはいいことだ」
 隻眼のレンジャーも満足げに頷く。
 まだどこかぼんやりとしたまま、ソードマンは剣を掴んだ己が手を見つめた。
 昂揚はもう霧散して、剣は剣らしく、ずっしりとした金属の重みを指に伝えて来る。
 戦場に響いていた歌は、当然のごとく止んでおり―代わりに、弦をつま弾く音と共に、軽薄な声がくすりと笑う。
「そうそう。独りでズバズバ斬りまくっちゃって、アルケなんて手の出しようなくて、おろおろ突っ立ってるし。何ていうか、オウガかデモンかソードマンか!って感じ?」
 ぴくり、とソードマンの肩が揺れた。
 自省するように一度大きく息を吐くと、のろのろと振り返る。
「……バード」
「ん? 何だい?」
「仮にも仲間に向かって、その言い草はないだろ。あんたらに被害が行く前に、あいつを倒そうと頑張ったあたしに、もっと言うことはないの?」
「またまたぁ。ソードは単に、ぶった斬るのが大好きなだけだろ?」
 あはは、と明るく笑うバード。
 ソードマンは掴んでいた剣を、無言のまま振り上げた。メディックとアルケミストが、慌てて左右から押し止どめる。
「そ、ソードちゃん、だめっ!」
「落ち着け、ソード。同士討ちは樹海を出てからにしてくれよ」
「……えと、それもどうかと思うんだけど、アルケくん……」
 ソードマンは嘆息と共に、剣を鞘に収めた。ぶすりとした表情のまま、メディックから受け取ったガーゼで更に汗を拭う。
 懲りない笑顔を変わらず浮かべ、バードが歩み寄って来た。
「ごめんごめん、ソード。でも僕も、頑張って『猛き戦いの舞曲』を練習しまくったんだよ? 大好きな君のために」
「―!」

 どくん、と鼓動がはねる。

「……な、なに、言って―」
 一瞬で耳まで真っ赤に染まった顔をガーゼに隠し、問い返すソード。懸命にとりつくろった声は、語尾がかすれて震えていた。
 そのさまに気づいているのかどうか―バードはにっこりと笑みを深めて、頷いた。

「ぶった斬るの大好きな君の為にね。もっといっぱい、ぶった斬れるようにって」

 ソードマンは無言で再び、剣を抜いた。
 ひえぇ、と緊張感のない悲鳴をあげて逃げるバードと、追い回すソードマンのさまに、メディックがおろおろと拳を握り、アルケミストとレンジャーは深くため息をついた。

     *


218:よろこびの歌 3/11
07/07/03 02:52:04 zw6CdZ9k

 もやもやする時は、身体を動かすのが一番だ。
 月光の差す地下一階、翠緑の樹海の木々の間で、ソードマンは黙々と基礎練習に励んでいた。
 涼やかな森の夜気を、刀身が鋭く裂く。
 踏み込み、払い、撃ち下ろす。ステップを踏んで回り込み、横へ薙いで、また正面に戻る。
 完璧に身体に叩き込まれた型と動きを、繰り返し続ける内に―余計な思考はかき消えて、純粋に身体を動かす悦びだけが残る。
 延々と剣を振るい続ける頭上、樹海の梢に覗く月が、ゆっくりと位置を変えて行く。

「……っはぁ……、はぁ……、はぁ……」

 やがて呼吸もあがり、さすがに切っ先が重く鈍って来て、ソードマンは動きを止めた。
 剣先を地に突き立てると、胴を覆う鎧を外し、これも地面に投げ捨てる。
 汗で濡れそぼった襟足をかき上げ、傍らの茂みを振り返った。樹海の小道の行き止まり、岩陰から湧き出た清水が、月光に煌めいている。
 膝をついて、ソードマンは水を掌に掬った。まずは冷たい清水で思うさま喉を潤し、それから浸したタオルで襟を拭う。
「―あぁ……」
 心地よさに、思わず声がもれる。
 汗は首筋どころか、胸元や腹にまでびっしょりとたまっている。一瞬だけ逡巡して―ソードマンはすぐに、鎧の下に着けていた胴着も脱ぎ始めた。
 深夜の樹海。どうせ見ているのは、森ネズミかモグラぐらいのものだ。
 一度脱いでしまえば、ためらいはなかった。飾り気のない下着をもすべて外し、完全に生まれたままの姿になったソードマンは、濡らしたタオルで身体を拭い始めた。
 しなやかに筋肉のついた腕、ひきしまった背筋と腰。ほどよく張ったももと尻。
 汗の玉を浮かせた、白い乳房。
 日頃、鎧で押さえ付けられているにもかかわらず、双丘はふくよかに形よく、ボリュームも全く損なわれてはいなかった。
 清水をしみ込ませたタオルで、ソードマンは丁寧に胸元を拭った。火照った肌に、水の冷たさがこの上なく気持ちいい。
「…………」
 タオルを右手に握ったまま、ふと自分の乳房に触れる。
 ふんわりとした感触が、指に伝わる。軽く押すと、しっかりした弾力が跳ね返って来た。
 仲間たちや街の人々を横目に眺める限り―大きさも形も、さほど悪い方ではないように思う。『金鹿の酒場』の女将までとはいかなくても、胸の空いた今風のドレスを着て、髪をアップに結い上げたりしたら、少しは自分も―

(……なんて、ガラじゃない、か)

 何しろ、仲間にまで「オウガかデビルか」と言われる始末なのだ。
 昼間のことを思い出し、ソードマンは改めて腹が立って来た。濡れたタオルで、茂みをぴしゃりと叩く。
 あの男は、いつもそうなのだ。
 ソードマンのことをからかって、剣術バカ扱いして―

(そりゃ……あたしは実際、女の子らしくなんてないけどさ)

 化粧やおしゃれは苦手だし、女の子らしい趣味やアイテムとも、とんと縁がない。「ぶった斬るの大好き」と言われても、事実だから反論のしようもない。
 けれど最近―少しだけ。そう言われて笑われると、胸が痛む自分がいる。
 ぴしゃり、とまた茂みを叩く。知らず、ため息が唇をこぼれた。

(けど……あいつだって、悪いんだ。あいつの、あの『声』が……)

 普段はからかいの言葉しかこぼさない唇が、歌う時だけは真剣に、極上の響きを放つのだ。戦う彼女の背を押して、血を沸き立たせ、鼓動を合わせて鳴り響くのだ。
 何度も聴いたフレーズなのに、何度でも胸が熱くなる。
 いつまでだって、聴いていたい。
 あの歌さえあれば、他の何にもいらないなんて、思うようになったのはいつからだろう―

「バード……」

 呟いた時、背後の茂みが音を立てて揺れた。
 ―殺気。
 考える間もなく身体が動き、地に突き立てた剣を掴んだ。振り向きざまに打ち払い、牽制の一撃を放ちながら―あかがねの瞳が、大きく見開かれる。

「『魂の裁断者』……ッ!?」

 どうせネズミかモグラだろうと顧みた視線が捉えたのは、青灰色の毛並みを月に震わす、巨大な熊の魔物だった。
「どうしてこんな奴が、この階層に……!」


219:よろこびの歌 4/11
07/07/03 02:53:55 zw6CdZ9k

 返答は猛々しい咆哮と、刃の如き爪の一閃。
 間一髪、ソードマンは飛びのいた。
 横薙ぎに払われた魔物の爪は、側の立ち木を紙のように引き裂いた。一抱えはある幹が、中ほどからあっけなく砕けて折れ―ソードマンの真上へ倒れかかって来る。
「ッ!」
 慌てて再度、背後へ跳んだが、濡れた踵が草に滑り、着地の体勢が大きく崩れた。
 その一瞬の隙に、魔物は折れた幹を蹴散らし詰め寄って来た。剣を握って跳ね起きる彼女の頭上へ、煌めく爪を振り下ろす―

 ばすっ! ばすんっ!

『グアァァァ―!?』
 苦鳴と共に、魔物が大きくのけ反った。
 腕を掲げて覆った顔面には、二本の矢が突き立っている。
 茫然と顔を上げたソードマンの背後から、鋭い声が響き渡った。

「今だ! 行け、ソード!」

 澄んだテノール。
 茂みの間に仁王立ちに立ったバードが、矢筒から新たな矢を抜いた。ギリギリと引き絞りつつ―息を止めて顧みたあかがねの瞳へ、強く頷いて見せる。
「僕が援護する! 大丈夫、行け!」
 声と共に、弓弦を放す。
 風を切って飛ぶ矢が、またも魔物の額に突き立ち、派手な悲鳴がわきあがる。
『グアアッ!? ガウッ、ガアアッ!』
「……ッ!」
 ソードマンは剣を掴み、地を蹴った。
 迷いも怯えもすべて消えた。ただ彼の声の命じるまま、真正面から目の前の敵へ、全力を叩き込む。
「たああぁぁぁ―ッ!」
 苦悶する魔物が、気配に気づいた。振り払われた腕が周囲の木々を引き裂き、葉を掻いて、彼女の上にも襲いかかる。
 剣をはねあげ、ソードマンは爪を弾いた。すぐに身を引いてステップ、横手に回り込み、腕が伸びてがらあきになった魔物の腹へ、鋭く切っ先を突き通す。
 重い手ごたえと、凄まじい咆哮。
 内臓まで深々と刺し貫いた剣を引き抜こうとして―ソードマンの表情が刹那、凍る。

(しまった! 剣が―)

 深い刺傷に収縮した筋肉が、刃をがっちりと挟み込んでしまっている。
 抜けぬ剣を相手に焦る彼女の頭上、苦悶の咆哮が断続的に響く。魔物が激痛にもがきながらも、脇腹にとりつく敵を振り払おうと爪を伸ばす。

“喜ばしきかな! 太陽が壮大なる天の計画に従って飛ぶが如く!
 兄弟たちが己が道を駆け抜ける、勝利に向かう英雄のように喜ばしく!”

 朗々と、歌声が月に響いた。
 ソードマンはカッと瞳を見開いた。渾身の力をこめて、柄を握りしめる。
 魂に、火がつく。
 身体が燃える。そうとしか表現できない感覚に、堪え切れず喉が叫ぶ。

「うああぁぁぁ―!!」

 絶叫と共に、剣を引き抜いた。
 大きく跳び退り、刃を払って血を振るう。構え直した剣を握り、暴れる魔物へ再び斬りかかった。

“歓喜は我らに口づけと葡萄、そして死の試練にある一人の友を与えた!”

 夜空を仰いで、バードは歌う。
 高らかに澄み渡り、雄々しく、けれどこの上もなく美しい声。
 その歌声に従って、ソードマンは剣を振るう。
 リズムが揃う。彼がブレスを取る、その同じタイミングで彼女も息を吸う。
 呼吸が重なる。


220:よろこびの歌 5/11
07/07/03 02:56:33 zw6CdZ9k

“官能の快楽は虫けらにも与えられ、そしてケルブは神の御前に立つ!”

 彼は歌い、彼女は剣を翻し、舞う。
 猛き戦いの舞曲。
 同じひとつの旋律に、ふたりの鼓動が同化する。それぞれ別の働きをしながら、同じひとつの瞬間へ向けて駆け登っていく。

“貴方の御力により、時の流れで容赦なく分け隔てられたものは―”

 青白い月光に浮かぶ裸身と、冴え冴えと煌めく刃。
 彼の歌が敵を裂き、彼女の剣が歌う。
 指と腕と、喉と呼吸と、ふたつが区分なく溶け合い、混ざり合って吼え―

“―再び、一つとなる!”

 振り抜かれた切っ先が、月を弾いた。
 一瞬の間をおいて、魔物の頸動脈から噴出した熱い血が、音を立てて草を打つ。
 凄まじいまでの噴出を、ソードマンは鳥のように宙にかわした。汗に煌めく真白の裸身は、一滴の返り血も浴びてはいない。
 ゆっくりと倒れ打つ魔物には目もくれず、背後のバードを振り返り―
 はたと、我に返る。

「きゃああああ!」
 真っ赤になったソードマンは、全裸の我が身を両腕で抱え、側の茂みに飛び込んだ。懸命に身体を隠しながら、八つ当たりに怒鳴りつける。
「こ、こっち見てんなばか! や、その前におまえ、何でこんな所にいるんだ!?」
 弓を下ろしたバードは、別段焦る風もなく、ただ飄々と肩を竦めた。心外そうに眉をひそめつつ、いつも通りの暢気な声で言う。
「ごあいさつだなあ。僕がいたから、怪我もしないで助かったんじゃないか。この場合、最初は『ありがとう』じゃないの、やっぱ」
「答えになってない! ていうか、見るなって言ってるだろ!」
 手近の蔓草をちぎって、投げつけるソードマン。だが、細い蔓は彼女の期待したようには飛ばず、ひょろひょろと彼の足元に落下する。
 ううう、と悔しげに唸るさまに、バードの方が苦笑して折れた。
「最近、下層の魔物が上層に出て来てるって噂があったからね。君ならたいていの魔物は大丈夫だろうとは思ったけど、万が一ってこともあるし……やっぱ、心配だし? 来て良かったよ、ほんと」
「様子……見に来た、のか?」
 帰りが遅いと心配されるほど、ぐずぐずしていたつもりはなかったのだが―
 意外そうに目を瞠ったソードマンに、今度はバードの方が驚いた表情になった。弓を背中にはねあげて、茂みの側にしゃがみこむ。
「気づいて、なかったの?」
「え?」
「まさか、君ほどの剣士が。おかしいなあ、そこまで気配消してたつもり、ないんだけど」
「え? え……?」
 ぱちくりと瞬いて、その言葉を反芻するソードマン。混乱する頭をどうにか励まし、意味をたどる。
「そ……それって、つまり……ずっと、いたのか? 最初から!?」
「何事もなければ、邪魔しないで帰るつもりだったけどね」
 バードはあっけらかんと頷いた。細めた瞳に、ふと笑みが浮かび―枝葉の間に見え隠れする彼女の裸身を、遠慮なく眺め始める。
「いきなり服、脱ぎ出すからさ。誘ってくれてるのかと思って期待したのに。なぁんだ、ただ気づいてなかっただけなのか。残念」
「さ、誘うっ、て……っ、ば、ばか!」
 あからさまに鑑賞しにかかっているバードを、ソードマンは力任せにぶっ飛ばした。
 容赦のない一撃に、彼の身体はあっけなく吹っ飛び、岩清水が作った小さな流れに頭から突っ込んだ。
「ぶはあっ! げほ、ごほ! ひっど、命の恩人にこれはないだろ、げほごほ!」
 むせて水を吐きつつ訴えるバードに、ソードマンはふんと背中を向けた。
 そうして彼から顔を隠し、必死に呼吸を整える。ばくばくと搏つ胸を押さえて、熱い頬を鎮めようとするが―考えれば考えるほど、頭が真っ白になっていく。

(見てた? 最初から? ついて来て、様子を―心配、だから? あたしが?)

「……ほんとに、気づかなかったんだ」
 確認するような声。
 ソードマンはますます身を縮め、こくりと頷いた。―声が、出ない。
 バードの頬に、穏やかな笑みが浮かぶ。


221:よろこびの歌 6/11
07/07/03 02:58:16 zw6CdZ9k

「嬉しいな」
「な……なに、が……?」
「だってそれって、僕の気配に違和感を感じなかったってことでしょ? 側にいても、全然苦にならないくらい、当たり前に」
「……んだ、それ。何言って……」
 いつものように言い返してやりたいのに、声がどうしても震えてしまう。
 バードは水場の端に座り直した。背を向けた彼女を見つめていたが、やがてついと視線を逸らす。
 水の下に、タオルが落ちていた。それを拾い上げながら、ぽつりと問う。

「どうして、僕の名前、呼んだの?」
「え……?」
「魔物が出る直前。君、呟いたよ。僕の名前」

 ソードマンは今度こそ、呼吸が止まった。
 かあっと頭に血が上る。目の前がくらくらと歪み、茂みの中に倒れそうになった。
 まさか、聞かれていたなんて。よりによって、想いを馳せていたその当人に―

「……気のせい、だろ。あたし、別に―」
「悪いけど、これでもバードの端くれなんだ。耳には自信があるよ」

 取り繕う言葉は、あっさりと却下される。
 バードは濡れたタオルを絞った。滴る雫が水面に波紋を描き、細く流れ落ちる清水の下に消えていく。

「ねえ。どうして?」

 繰り返される声は優しく、だがもう、ふざける様子もからかう色もなかった。
 絶句したまま、竦むソードマン。
 清水の流れる音だけが、さらさらと沈黙を満たして続き―

「あんたが、ばかだからに決まってるだろ!」

 ぽかんと振り返ったバードへ、ソードマンは大股に歩み寄った。
 力いっぱいその襟首を掴み、目の前まで引き上げる。
 ちょ、とか、え、とか、意味をなさない声をあげてもがくバード。絞ったタオルが指をこぼれ、草の上へ転がっていく。
 ソードマンは構わず、掴んだ指に力をこめ、バードの身体を揺さぶった。

「あんたがばかだから! こっちの気も知らないで、いっつもばかなことばっか言って、からかって! あんたが―!」

 恥ずかしさも戸惑いも、自分が素裸ということさえ、全部吹っ飛んだ。
 止めようもなくこぼれるのは―自分でも正体のわからない、熱い叫び。

「ばかで、意地悪で、ふざけてばっかで―なのに、あの歌は。あの歌を歌う時だけは、あたしとぴったり何もかも合わせて!」

 魂を震わす、彼の声。

「あたしは、あれのせいで……熱くて、熱くて真っ白になって、どうしようもなくて……もう、訳がわかんないんだ! あんたのせいなんだよ、わかる!?」
「ちょっ……ソード、待っ、て……」
「どうしていいのかわかんないよ! こんなの、全部、あんたのせいなんだからね!」

 襟を絞められ、苦しげに呻くバード。ソードマンは構わず更に力をこめ、彼の顔に顔を寄せた。
 彼が薄目を開けて、こちらを見やる。

「……嫌い、なのかい? 僕の、歌……」
「ばか! 何でそうなるんだよ!」
「じゃあ、好き……?」
「だからさっきから、そう言ってるだろ!」


222:よろこびの歌 7/11
07/07/03 02:59:41 zw6CdZ9k

 喉いっぱいに、ソードマンは叫んだ。
 バードは苦しげに呻きながら、絶え絶えの息で、更に問うた。

「じゃあ……、僕のこと、は……?」

 一刹那、間があったろうか。
 ソードマンの頬が、一瞬にして真っ赤に染まる。指の力が抜け、膝まで砕けて、へなへなと草の上にへたり込んでしまう。
 が、今度はバードの方が、それを許さなかった。くずれかかる身体に腕をかけ、引き寄せる。
 びくりと慌てて振り返った唇に、唇が重ねられた。

「……っ!?」

 赤面したまま硬直したソードマンは、瞼を閉じることさえ忘れ、ただただその感触を受け止める。
 触れるだけの口づけを、長く残して―やがてバードが唇を離した。凝然と見開いたままのあかがねの瞳を見返し、苦笑めいた息を吐く。

「……ほんと、素直じゃないんだから」
「……う……るさい……」
「君がいい加減鈍いから、僕、途方に暮れてたんだからね。あーんな一生懸命アピールしてたのに、ことごとくスルーされてさぁ、参っちゃうよ」
「……待て。そんなの、ほんとに心当たりないんだけど」

 オウガだのデモンだの、貶められた記憶は山とあるが。
 じとりと睨む視線を前に、バードはいつも通りあっけらかんと、肩を竦めてみせた。

「ええ? いつも言ってたじゃない。僕は『大好きな君のために』歌ってるって」

 ぽかんとひとつ、瞬いて―
 更に頬を染め上げながら、ソードマンは心の底から叫び返す。

「判るか、そんなん! アピールっていうんなら、もっとちゃんと真面目にやれ! あんな冗談ばっかの、誰が本気にする!?」
「あははは。つい、さぁ……いじめたくなっちゃうんだよね」
「子供か! 素直じゃないのはどっちだ!」

 怒鳴る彼女を、再び彼が抱き寄せた。
 一瞬でびくりと硬直してしまう身体を、両腕でかき抱きつつ、小さく囁く。

「でも、嬉しいな。僕の歌、ちゃんと届いてたんだ……」
「あ……」

 再び、重ねられる唇。
 包み込むような口づけを、今度は彼女もようやく、瞼を閉じて受け止めた。

     *

 月の落ちる樹海の葉陰、横たえられた裸身が、びくりと身じろいだ。
 這う指の感触に身をよじり、頬を染めて俯いたまま、絞り出すよう訴える。

「……あ……っ、や、ちょっと、待って、よ……」

 下肢の間へと伸ばされた指が、ゆっくりと蠢いている。
 閉ざされた膣の入口をかき分けて、内部へと忍び込み、奥の襞を擦りあげる。

「―っ、ん!」
「ごめんね。でも……もう、待てないから……」


223:よろこびの歌 8/11
07/07/03 03:01:25 zw6CdZ9k

 覆いかぶさったバードが薄く笑み、空いた左手で乳房をこね回す。
 胸元から、先端へ。つんと尖った色の薄い乳首に、唇が寄せられた。
 遠く響く清水の音に、ちゅくちゅくと吸い上げる淫靡な音色が混じる。ゆるゆると動いて下る舌の軌跡が、梢を透かす月明かりに青白く光った。
 あまりの恥ずかしさに耐えかねて、ソードマンはひたすら目を閉じていた。無意識に閉じかかる膝を、彼が掴み―更に深く、指が入り込んで来る。

「やっ……、ったい、痛いってば……」
「ん……、でも、ちょっとでも慣らしとかないと、あとがもっと痛いと思うけど」

 さらりと返って来た言葉に、ソードマンの表情が思わずひきつる。

「そういうこと、言うか……?」
「怖い?」
「だっ、誰が、怖いなんて……!」

 挑むように問われると、習慣でつい、挑み返してしまう。
 言ってしまってから、しまったと口をつぐむソードマンのさまに、バードの笑みが更に深まる。

「じゃあ、僕も遠慮なく―」
「あああっ、ちょっと、待って―っ、やっ、あ! な、何、して……ッ」

 裏返った悲鳴は、秘所へと落とされた唇のせい。
 両手でももを割り開かれ、晒された場所を舌先で思うさま嬲られる。

「あぁあ……、やだ、そんっ、な……。こんな、の……、はずかし、いって……、ねぇ、もう!」

 誰にも見せたことのないその場所を、さらすだけでもたまらなく恥ずかしいのに―更に、それを。
 全身朱に染め身じろぐ彼女に、バードは声すら返さず、ただ舌を動かす。わざと派手に音を立て、ぐちゅぐちゅと唾液を絡めて、襞を執拗にねぶる。
 あたたかく湿ったその愛撫に、ソードマンはかたく目を閉じ、懸命に耐えた。
 激しく搏つ胸が苦しくて苦しくて、心臓が壊れてしまいそうだ。

「やあぁ……、んっ、うぁ……、もう、やめてったら……ぁ……」
「……でも、濡れて来たよ?」

 そんなことだけ、報告してくる。
 顔を上げ、睨もうとするソードマン。バードはくすくすと笑いながら、桃色の秘肉に滲んで来た雫を舌先に掬い、クリトリスの包皮になすりつけて転がし始める。
 起こしかけていた彼女の身体が、びくりと大きくのけ反った。

「ああぁぁ……!? やだあ……っ、な、に、これ……ッ!」

 鋭く貫くようなのに、一瞬のちにはただ甘く、全身を疼かせる痺れ。
 感じたこともない感覚に、身体が勝手に震える。無意識にはねあがろうとする脚を、力ずくに押さえつけられる。
 逃げる腰を抱えられ、その一番気持ちいいところをぐりぐりとしつこくしゃぶりあげられて、身体から力が溶けていく。

「はっ……ぁ、あぁっ……、やだ、これ……ヘン、だって、こんな、の……」
「ヘンじゃないヘンじゃない。こーゆーもんだから、さ」
「だっ……て、やぁだぁ、も、う……」

 快楽と、羞恥と。
 ひどく混乱し、涙すらこぼし始めた彼女を、バードが覗き込む。乱れた髪をかきあげて、額に口づけが落とされた。

「可愛い。大好き。ソード……」

 耳元に響く甘い声に、ぞくりと震える。
 ばくばくと搏ちっ放しの心臓。胸元にぎゅっと抱え込むように腕を押し付け、ソードマンはバードの顔を仰ぐ。
 その頬をくるんで口づけると、バードは身を起こし、手早く衣服を寛げ始めた。
 あらわになる彼の身体をぼんやり見上げ―やがて現れた光景に、ソードマンは思わず声を失う。


224:よろこびの歌 9/11
07/07/03 03:03:25 zw6CdZ9k

「あ、うぁ―そ、れ……!?」

 既に準備の整った彼のペニスは、くっきりと筋を浮かせて勃ち上がっている。
 初めて見るその大きさと、予想以上の猛々しさに、思わず血の気が引いた。

(あんなのが、入る、の……!?)

「……む、無理むり! ぜ、ぜったいそんな、無理だって、や―あっ、待っ!」
「大丈夫だいじょーぶ。こういうもんだからさ、ね?」

 すさって逃げようとした身体は、あっけなく彼の手に引き戻された。
 怯えてひきつる身体を抱き込んで、バードは楽しげに挑発の声をあげる。

「どうしたのさ。怖くないって、言ってたじゃない?」
「……怖い……よ……」

 うっ、とソードマンがしゃくりあげた。
 虚勢すら張れなくなった様子に、バードがさすがに困った顔になる。それでも退くつもりはないらしく、ひらかせた脚の間に身体を割り込ませ、挿入の体勢に移る。
 入口に触れる、硬い感触。
 ソードマンの顔がいっそう青ざめ、唇がふるふると震え始めた。
 その表情を見下ろして、ふとバードが息を吐いた。小さくブレスを取ると、唇に旋律を紡ぎ始める。

“―眠れよ吾子、汝を巡りて、美しの花咲けば“

 穏やかなテノール。
 びくりとソードマンは息を呑んだ。
 聞こえて来たメロディは、彼女もよく耳に馴染んで知っている。
 安らぎの子守歌。

“眠れ、今はいと安けく、あした窓に、訪いくるまで……”

 歌いかけられる声の魔力に、彼女の魂は抵抗のすべをもたない。
 かすかな囁きめいたその声だけでもう、緊張が溶けていった。静かに優しいメロディは、鼓動のリズムを穏やかに緩め、全身を巡り、あたたかく流れ出す。
 わずかに表情の緩んだ彼女を見下ろし、彼も微笑む。甘い歌を口ずさみながら、膝をついて身を屈め―
 ぐ、と先端を秘所に潜り込ませる。

「―う、あ!」

 痛みに、ぎくりと竦む身体。
 反射的にこわばる身体を、彼が抱きしめる。狭い入口を切っ先で抉り、少しずつ侵入を深めつつ、唇はなおも歌い続ける。

“眠れよ吾子、汝が夢路を、天つ使い、護りたれば”

 熱く硬い楔が、ぎりぎりと胎内を裂く。
 拡げられ、埋められていく、その鮮烈な痛みと圧迫感。もがいてものけ反っても退くことなく、着実に奥へと潜り込んで来る。

「く……は……ッ、うぁ……あ……!」

 声にならぬ吐息をこぼしながら、彼女は必死に彼の声に縋った。
 耳に歌声が届くたび―痛みがほんの少しだけ和らいで、呼吸を継ぐ余裕が生まれる。
 暖かい腕の中に、しっかりと包まれていることを思い出させてくれる。

“眠れ、今はいと楽しく、夢の園に、ほほえみつつ―“

 ぶつん、という鈍い衝撃と共に、ペニスが処女地を突き破り、最奥まで貫いた。
 ゆるやかに伝う鮮血が、結合の箇所から滴り落ちる。
 目を閉じて震える彼女を抱いて、バードが深々と息をつく。途切れた旋律の代わりに、唇に浮かぶのは薄い自嘲。


225:よろこびの歌 10/11
07/07/03 03:05:01 zw6CdZ9k

「……ごめん。これ以上、歌うのは……さすがに、もう無理、かも」
「え……?」

 苦しげに見上げた彼女に、彼も幾分つらそうに、耐える様子で目を細めた。
 腕を回して彼女の腰を抱き寄せ―ゆっくりとながら、動き出す。

「言った、ろ? 僕……もう、待てないんだ、って……」
「……あ……ッ! くっ、あ! うあぁ……はっ、あ!」

 始まった律動に、ソードマンは声をあげてのけ反った。
 生まれて初めて他人を受け止めた膣内は、往復の動きのたびに強烈な痛みを訴える。押し上げられる衝撃に息が詰まり、無意識に動きから逃げようと身体がずり上がる。
 けれど、そのたびに彼の腕が絡んで引き寄せ、中を深く穿っていく。

「痛、いって……っ、ああ! も、やぁ……、……うぐっ、うぅ、あぁぁ!」
「……ご、めん。けど、も……止まら、な……」

 きつく狭い彼女の膣が、無意識にペニスをしめつける。その感触に眉をしかめながらも、彼は身体を動かし続けた。
 両手が乳房を掴んで揉み立てる。唇が乳首や鎖骨や首筋や、あらゆる箇所に降り注ぎ、肌に鬱血の痕を刻んでいく。
 痛みから意識を逸らそうと、ソードマンは懸命にその感触に縋った。荒く降って来る呼吸に呼吸を合わせ、彼の肩にしがみつく。

「ッ……! うくッ、あっ……いっ、た……あ……んっ、く……!」
「……っ、は、あぁ……! ッ……!」

 興奮と悦楽に弾む、彼の吐息。
 夢中になって彼女の身体を抱き、快楽に溺れる彼のさまを見上げていると―ソードマンの胸にも、たまらない愛しさがこみあげてきた。

(あたしが……こんな顔、させてるんだ……。こんな必死に、きもちよさそうに……あたし、が……)

 痛みはまだ、身体の中に残っている。
 けれど、彼と吐息を合わせ、動きを追い続ける内に、少しずつ違う感覚がわきあがってくる。

「……んっ、は……ぁ、あ……」

 ぬるりと中を擦られる、熱い感触。
 寄せられ合わさった肌のぬくみと、陶然とこぼれおちる喘ぎと、荒い呼吸。
 伝う指からもたらされる、どこかもどかしい、ぞくぞくするような感じ―
 揺さぶられる動きに、世界も揺らいでほどける。熱くて、真っ白になって、何もかもわからなくなっていく。

(同じ……だ……。“歌”のなかに、いる時と……)

 呼吸と呼吸が繋がり、血が熱く猛り、鼓動が同じひとつのリズムを刻む。
 唇にメロディが聞こえなくても、全身がその歌を聴いている。

「あ……あ……、はっ……あ、つ……ぅ、あッ! んあ、ぁ……!」

 痛みとも、快楽ともつかず―ただ、熱い。
 ひとつに溶けあわされていく、真っ白なその熱に、どうしようもなく酔わされる。
 ほかの何もかもが、いらないと思えるほど―

「あぁぁ……ッ! は、んっ、あ……ッ!」
「……っ、くあッ! ご、め……、も、イクよ……ッ!」

 がくがくと腰を震わせて突き上げ、バードが悦楽の呻きと共に、背をのけ反らせた。
 膣内からペニスを引き抜くと、彼女の腹の上に、欲望の証をぶちまける。
 苦しい呼吸と混乱した世界の中で、確かに肌を流れる温かい感触。濡れて伝うその上に、彼女はうっとりと指を這わせた。
 陰茎にまとわりついた鮮血と、白濁の液が混じり合って、滑らかな腹の上を伝い落ちていった。


226:よろこびの歌 11/11
07/07/03 03:06:22 zw6CdZ9k

     *

「―あ、のさ……。や、やっぱ、これ……は、ずかし……んだけど……」
 伏せ目がちに視線を逸らし、おずおずと呟くソードマン。
 エトリアの街へと続く街道―夜明け近い空の下を、横抱きに彼女を抱えて歩くバードは、くすりとその顔を覗き込んだ。
「だってまだ、歩くのツラいでしょ? 無理しない方がいいって」
「……れは、そう、だけど……」
「大丈夫だいじょーぶ、君、軽いしね」
 何でもなさげに言ってはいるが、その実、バードの歩みはややおぼつかない。一応前衛に立てるぐらいの体力はあるというものの―詩人の腕に人ひとりの重さは、やはり少し余るらしい。
 胸元に自分の剣を抱きかかえて、ソードマンはぼそりと唸る。
「ホント、素直じゃない……」
「あ、本気で言ってるんだよ? 可愛い彼女のひとりぐらい、抱えて歩けないで何が冒険者かっていうの」
「……か、わ……ッ!」
 さらりと添えられた修辞に、ソードマンは絶句した。
 もうこれ以上、赤面する余地なんて残っていないと思ったのに、頬はなお際限なく熱く燃え上がる。
 完全に俯いてしまった彼女のさまを、バードが面白そうな顔で見下ろしている。
「そんないちいち、照れなくても」
「し、仕方ないだろ! そんなん、言われたこと、ないんだから……」
「あれ? そう?」
 意外そうに首を傾げるバード。
 きょとんとしたそのさまに、ソードマンは思わず呆れた声をあげる。
「あんたが一番、めちゃくちゃ言ってたんじゃないか! オウガだのデモンだの、ぶった斬るの大好き、だの!」
「うーん、でもね……」
 口元に笑みを浮かべて、抱いた彼女の耳元へ、バードは甘く囁きかける。

「『可愛くない』なんて言ったことも、一度もないはずだけど?」

 あかがねの瞳が、大きく見開かれて―
 ぼん、と今度こそ爆発する。

「下りるぅ! 下ろせぇ、もう、やだぁ、はずかしいよこいつ! うああぁ!」
「あはははは」
 笑いながらに腕に力をこめたバードは、真っ赤になって暴れる彼女をなだめるように、小さく口ずさみ始める。

“―眠れよ吾子、汝を巡りて、美しの花咲けば
 眠れ、今はいと安けく、あした窓に、訪いくるまで……”

 ささやかな抵抗の悲鳴と穏やかな子守歌は、楽しげに混ざり合い、傾いた月の空へと溶けていった。


227:名無しさん@ピンキー
07/07/03 03:08:14 zw6CdZ9k
以上です。規制かからなくて一安心。

途中出て来た歌詞ですが、「猛き戦いの舞曲」の方は、タイトル通りの
ベートーベン『第九』歓喜の歌。
「安らぎの子守歌」は、『ブラームスの子守歌』です。
こういう「歌」を使っても微妙に成立するかも知れない?ところが、
世界樹の設定のオイシイところかなと思ったり。

今回は最初から、エロより萌え重視の予定ではあったんですが、
半端に長くてすみません。

228:名無しさん@ピンキー
07/07/03 03:58:13 UztRPd5s
>>227
GJ!萌えた!
ソードかわいいよソード

229:名無しさん@ピンキー
07/07/03 03:58:55 UztRPd5s
上げてしまった、スマソ…

230:名無しさん@ピンキー
07/07/03 05:49:09 28vceWUA
>>227
GJ!!!
バードの歌になんも違和感が感じられなくて感動した

男勝りなソード娘さん(*´д`)ハァハァ

231:名無しさん@ピンキー
07/07/03 07:46:36 yEIYDofg
>>227
大作GJ!

232:名無しさん@ピンキー
07/07/03 16:27:51 drIjdR4b
GJ!
2人のやりとり萌えたw

233:名無しさん@ピンキー
07/07/04 00:15:42 2lbyRd6P
>>227
かつてないほど萌えた
つーか、歌すげー。雰囲気ぴったりだ
GJ!

234:名無しさん@ピンキー
07/07/04 01:15:31 lbPI6c70
>>227
なんかもう、感動を禁じえない
そして男勝りだけど恋愛はからっきし、という王道を行くソド子にビックリするくらい萌えた
愛が溢れてて大好きです、結婚してくれ

235:名無しさん@ピンキー
07/07/04 19:25:39 YgX1z/Ek
>>227
赤目アルケ×メディといい
この二人といい、
あなたの描く物語が大好きだ!
素敵な物語をありがとう!

236:名無しさん@ピンキー
07/07/04 22:11:58 tmGf9UDC
>227の人気に嫉妬。
ていうか赤目の作者さんだったのかー。私もあなたが大好きだ!
骨太かつまとまった素晴らしいSSです。グッジョブすぎ。

あえて1点だけ
>「だってそれって、僕の気配に違和感を感じなかったってことでしょ? 側にいても、全然苦にならないくらい、当たり前に」
がちょっと気になた。家族だろうが恋人だろうが気配は気配で感じるかなーという気がする。


世界樹以外のも読みたいなぁ。サイト持ってたらメ欄とかでこっそりさらしてほしぃ。
とか言うのはあまり2ch的ではないですが。

237:名無しさん@ピンキー
07/07/04 23:27:05 oo+Nv34B
>>236
すんません。「気配」は感じますね、確かに。
要は「他人」じゃない、恋人とか家族みたく、空気のように「いるという違和感を感じさせない」
当然の存在として受け入れてもらった……と。
ちょい簡単に説明流しすぎましたね。

サイトとかは、すみません……晒せるほどのものは、何も。
SSは、ここでしか今は書いてないですし、というか二次創作自体が、かなり久しぶりで。
紙媒体が主だった時代の人です。

レス下さった皆様、ありがとうございます! 萌えて頂いて感謝です(エロ少ねーのに)
いずれ、また。

238:名無しさん@ピンキー
07/07/05 20:34:07 7YCtUwMY
エロ自体にはそれほど興味がないけど、
赤目シリーズにやられて読みに来ている人がここに。

239:名無しさん@ピンキー
07/07/06 18:14:14 KMfOBHDs
ここにも一人。
ここの職人はエロもストーリーもレベル高いから困る。

240:SC
07/07/06 22:58:57 +QqULRzk
賞賛と感想は名無しで送りつつ。

「Spoilt Child」第4話を投下します。
警告と属性を確認するなら >>154 へ進め。

241:SC
07/07/06 23:03:47 +QqULRzk
■第4話

 しばらく船遊びを楽しんだ後、二人は帰還した。
 ユエが帰りたがらないのではと心配したが杞憂になった。ユエは聞き分けがいい。
(シトナ的には、もう少しわがままであってもらっても全然歓迎であるのだが。)

 蒼樹海は綺麗ではあるが、あまりにも異界的で、滞在が長くなると何とはなしに
精神的に消耗する。土を踏みしめ、緑を―樹海の不可思議な樹木ではない、普通
の緑を目にし、ユエは、ほふーと大きく息をついた。
「疲れたか? よくがんばったな」
「うぃー」
「ちょっと休んでから戻るか」
 と、彼女の口にメディカのアンプルをくわえさせて、鎧を解除してやる。弓の弦
も外し、手早く自分の荷物と一緒にまとめなおす。
「はいせんせい!」
 ぴしっとユエが手を上げる。
「ん」
「おべんとがあります!」
「……帰れるんだから、何もわざわざ不味い保存食を食べなくても」
「ちがうよー。マリスお姉ちゃんがおべんと作ってくれたの」
 背嚢から、大小二つのバスケットを取り出す。
「急だったのによく用意できたな……。
 分かった。では食事をしてから帰ろう。残していくと後が怖い」
 どうせなら暖かいものが食べたいが、と未練がましく言いながらもそう決める。

 迷宮の入り口付近はたまに冒険者が通りがかるため、少し道をそれたところで、
やわらかい草の上に鰐皮のマントをシートがわりに広げた。
 バスケットの中身はサンドイッチだった。かなり振り回したので少し形が崩れて
いる。厚く切った鹿肉のハムと数種類の野菜。バターを塗ったやわらかい白パン。
 日持ちはしなさそうだが、今回は半日程度の滞在予定だったので、特に問題はな
い。それでも、なんとなく変な味がするような気がするのは、樹海の空気がまだ喉
に残っているのだろうか。シトナは水筒の水で口内をゆすいだ。

242:SC
07/07/06 23:05:53 +QqULRzk

「せんせーせんせー」
 と、ユエが先ほどまでと違うトーンで呼びかける。戦闘モード、師弟モード、探
索モードと真面目さが減っていって、いまは日常モードのさらに一つ下だ。換言す
れば甘えマックスである。
「ん?」
 もちろんシトナはそれを許す。
「あのね、あのね!」
 食べるサンドイッチの百倍くらいの勢いで、ユエは冒険の感想をしゃべりだした。
シトナは相槌をはさみながら聞く。子供は何でも親や先生に話したがるものだ。彼
はあまり聞き上手ではないが、耳を傾けているという点ではまったく人後に落ちない。
「せんせー、好きな人って6人?」
 ―とはいえ、話題転換が唐突すぎるとついていけない。
「6人?」
 鸚鵡返しに聞き返す。詳しく聞くと、イサナと占い遊びをしてそんな結果が出た
らしい。
「ふむ。イサナが恋占いとはまた意外な」
「イサナせんせー、失恋したことあるんだってー!」
「それは……。ううむ、さらに意外な」
 シトナは内心、非常に驚きながら言う。失恋したことにではなくて、あのミズ・
アイスガードに恋愛話があったことに。失礼な話である。
「6人ってだれとだれとだれとだれとだれー?」
「1人足りなくないか?」
 だれとだれとと、ユエは指を折りながら変な節をつけて再び数えだす。
「そうだな。まず、ユエと、マリスと……。イサナと……。ユエと」
「ユエはもう言ったよー」
「じゃあ……ユエと、」
「言ったってばー!」
 などと下らないおしゃべりをしながら、だらだら食事をする。


 ユエにとって、シトナに遊んでもらう時間は貴重だ。パーティ構成上の理由から、
“カヴン”の平均的な探索時間は比較的短く、街にいる時間は長い。
 彼らは自身の喜びと教育上の要求から、ユエと遊んであげる時間を意識して確保
しているが、それはメンバー複数人が一緒に、ということがほとんどだ。ユエがシ
トナを独り占めできる機会はあまりない。
(ただし、これはシトナが、自分だけを相手にしているより、あしらい上手な他の
面子と一緒の方が楽しいだろうと誤解しているせいでもあった。)

243:名無しさん@ピンキー
07/07/06 23:08:20 +QqULRzk

 そんなわけで、お弁当の片づけを今まさに終えた瞬間、ユエはかがんでいるシト
ナの背中に飛びついた。彼のレベル1先制ブロックでは対抗できず、約20キログ
ラム×9.8メートル・毎秒毎秒の力を受けて、うぉぅ、と声を上げた。

「だっこー♪」
「おんぶじゃないのか」
「おんぶー」
 と、ユエが言い直す。シトナはわざとらしくため息をついた。
「……カメだぞー」
 先ほど戦ってきた永劫の玄王の通常攻撃(踏み潰し)の動きを真似てゆらすと、
ユエは楽しそうに悲鳴を上げた。
「うしさん! 牛さんもやって!」
 リクエストに応え、今度は暴れ野牛風に大暴れを真似する。

 なんというか、“カヴン”のメンバーが見たら「寡黙で冷静沈着なギルドマスタ
ー」の立場が危うくなりそうな光景だった。というか実際に目撃されており、特に
新規メンバーへの影響が深刻で、延べ30夜以上の悪夢をもたらした。
 今は「寡黙で冷静沈着で子供に病的に甘いギルドマスター(ロリコン疑惑)」の
存在がようやく受け入れられてきているが、絶対に部外者には見せるなと固く固く
釘を刺されている。最も彼に忠実なダークハンターに至っては、目撃者が出た場合
は俺が消しますと言い出す始末だった。

 そんなこともあって、シトナも周りに人がいるときや外に出ているときは、シグ
レス菓子店のチョコレートムースのように甘さ控えめを心がけているのだが、この
時はなぜかまったくそんな気になれず、二人の世界に入ってしまっていた。
「カエルさん!」
「む……」
 仲間を呼ぶってどうやるんだ、とシトナは少し悩んだ後、違う違う、と、うさぎ
飛びの要領でぴょんぴょん跳ねた。
 ユエは笑い声を上げながら落とされないようにしっかりと彼の首にしがみつく。
少し苦しいので、後ろで手を組んでお尻を支える。
「アリさーん♪」
「どうしろと」
「ねばねばのぎさん」
「出せるか。無茶言うな」
 というか蟻酸って何か分かってるのだろうか。

244:名無しさん@ピンキー
07/07/06 23:11:11 +QqULRzk
「あははははは、回って、回って!」
 シトナに支えてもらっているので、片手を離してぺちぺちと肩を叩く。
「ん」
 シトナは右足を前に出し、左足を軽く折って重心を落とす。嫌な予感がしたユエ
はぎゅーっとシトナの首に抱きつく。
 そして彼は言語道断にも、とんぼ返りを打った。割と本気で悲鳴が上がる。
「よし、もう一回転」
「きゃーーー!! 下ろして下ろして! こわい!」
 シトナが笑いながら手を離すと、ユエも腕を解いてすべり下りた。
「なんでたてに回るのせんせーのばかー!」
 ユエは精一杯目の前の背中を突き飛ばそうとし、まったく倒れそうにないので、
脇腹にフック―したつもりが、ちょうどシトナが振り返りかけたところだった。
「ぐお! み、みぞおちに……」
 彼はうずくまるが、微妙に骨を殴ったのでユエもげんこつを押さえて涙目になっている。

 それから、「あぁもう、降参。ギブアップ。体力がない」という声をシトナが上
げるまで、およそ1時間ほど。
 高い高いをしたり、手をつかんでくるくる振り回したり、森ネズミと兵隊ごっこ
をしたり、女王と騎士遊びを二人でやったりしていた。
 ほとんどユエの言いなりに付き合っているあたり、根っからの下僕体質である。
 ユエも相当疲れているはずだが、子供に体力配分という概念はない。
「まだ」
 と一言のもとに却下して、座り込んだシトナに正面から抱きつく。
「困ったなぁ」
 言いつつ、彼の手はユエの脇へ。こちょこちょくすぐる。黄色い声を上げてユエが
逃げる。丈の短い草のじゅうたんに転がる彼女をシトナが追って、さらにくすぐる。
踊り子の柔軟性で彼の頭にユエキック。シトナは手を止めない。ユエも手を伸ばして
反撃、脇は届かないので太股をくすぐり返す。笑い転げながら攻防を繰り返す。

 息が続かなくなった頃には、彼は草の上に伸びており、ユエがその胸の上に馬乗
りになっていた。基本的に無愛想なこの男にしては珍しく、楽しそうに微笑みを浮
かべている。帽子はユエの装備と一緒にまとめてしまったし、マフラーはじゃれあ
っているうちにどこかに行って、シトナは素顔をそのままさらしている。
 せんせーはやっぱりかっこいいなぁ、とユエは思っているが、これは多少の補正が
入っていて、男女の別もよく分からないほど特徴のない顔が、端正に見えているだけだ。
 彼の方でも、彼女のことは可愛くて可愛くて仕方がない。子供ってみんなこんな
に可愛いっけ、という自問には、違うな、ユエだから可愛いんだという結論が出る
くらいののろけっぷりというか親バカぶりである。

 シトナは手を伸ばして、ちょん、とユエの左側のしっぽを引っ張る。
「髪がぐちゃぐちゃになってしまったな」
「ほんとだー」
 ずれた髪留めを直すのも面倒で、ユエは左右ともほどいた。少しくせがついた髪
が、はらりと肩甲骨のあたりまで垂れた。髪を下ろしたユエは、活発な女の子風の
雰囲気から、異国のお姫様風に変わる。

245:SC(第4話終わり)
07/07/06 23:18:41 +QqULRzk
第4話 了です。
次回からえろパートに入る予定ですので、もう少々お付き合いください。

名前欄入れ忘れと、240でタイトル間違えてました。ごめんなさい。

246:名無しさん@ピンキー
07/07/07 00:08:28 WkfplvbI
GJ!!!
2人の動きが出てるんで
読んでてほんとその場に息づいてる感じがする

くすぐってのじゃれあい(*´д`)ハァハァ

247:モリビト少女その後~六話~
07/07/07 18:59:28 k7FODLp1
モリビト六話目が出来たので投下します。
とはいっても、今回はエロ無しなので直接ロダに貼り付けました。

URLリンク(w3.abcoroti.com)

今回は出てこない人物もいますが、作中の登場人物は以下の通りです。

モリビト少女:私

レンジャー:アンスタン  ダークハンター:デジール   メディック:キュリオジテ
アルケミスト:ピール    ブシドー:ゴウ


248:名無しさん@ピンキー
07/07/07 19:09:46 GquK4qPA
>>247
読んだよー
こう、ギュって感じがいいな!

249:名無しさん@ピンキー
07/07/07 21:51:55 6PspLdfq
>>245
和んだ。そしてこちょこちょにそこはかとないエロスを感じた。
次回から、遂にですか………wktkが止まりません。

>>247
ちょっと救われた感じがした。
自分の気持ちに戸惑うモリビトが可愛くて仕方ありません。あとゴウがカッコ良い。

250:名無しさん@ピンキー
07/07/08 08:57:27 lMdOMZ3E
>>247
なんかエロ分関係なしに続きが気になるぜ!
キャラ作りってか、個性付けが上手だよなあ

251:名無しさん@ピンキー
07/07/08 14:52:24 kVwwDSIG
>>245
せんせーせんせーお弁当食べないでメディ子にお仕置きされてるせんせーも見てみたいです
しかし相変わらずロリ娘の描写に愛を感じます、続き楽しみにしてます
ところでその鹿肉、変な味がしたのはまさかアッー!!

>>247
某も、恐るべき精神攻撃と云ふものをしてみたいと思いまして候
真、少女の笑顔と云ふものには心が洗われる次第、是非かの少女に幸あらん事を


252:名無しさん@ピンキー
07/07/10 11:19:53 i/qJDJVg
>>247
ここで和み展開とは……超GJ!
モリビトたんの心理描写が、すげー萌え。ゴウ頑張れ。

>>245
次回wktk!
なにげに「ねばねばのぎさん」にエロスを感じた。

253:名無しさん@ピンキー
07/07/10 20:42:02 3ls01Eqv
今明かされる衝撃の真実。

>モリビト少女:私

254:名無しさん@ピンキー
07/07/10 20:48:46 3ls01Eqv
前回も書いてあったorz

255:名無しさん@ピンキー
07/07/11 00:17:45 RLOoxc1N
それを見て素で「筆者がいじめられるドリーム小説か、斬新だな」と思ったのは俺だけでいい

256:247
07/07/11 00:52:08 clpI9Exv
すいません、表記が悪かったですね
私がモリビトではなくて、作中で「私」という人物はモリビトです、という意味です。

そんな趣味は無いですよアッー!

257:名無しさん@ピンキー
07/07/11 00:55:39 NkCU8/ii
モリビト少女が五階層から拾ってきたタイプライターをぽちぽち打って、
オウガ辺りに「何やってんだ?」とか聞かれて慌てて隠しながら
「な、なんでもない! 向こう行け!」って騒いでるある日の風景

を想像すると二度美味しい。
病院行ってくる。

258:名無しさん@ピンキー
07/07/11 18:44:45 P7Uffr8n
すぅぷ屋

259:名無しさん@ピンキー
07/07/11 23:16:35 ak2IS9xf
>>257
じゃぁ俺も一緒に逝く

260:名無しさん@ピンキー
07/07/12 01:03:17 TI1BOzMp
>>259
お前らばっかりにいいカッコさせてたまるか、俺も行くぞ

261:名無しさん@ピンキー
07/07/13 02:12:44 b+JA5W1F
~施薬院にて~
「院長。急患が大勢来院されました。指示を」
「U0126でも投与しておきなさい」

「そんな、薬効が未確認の薬剤なんて危険すぎます!」
「冗談だよ」
「ここは一つ、私が『記憶を以前の状態に戻す薬』を……」
「ままま、待ちなさい!」

262:名無しさん@ピンキー
07/07/15 00:44:14 DanHwA2/
>>261
まさか「休養」は、そうやって覚えたスキルを忘れるシステムだったりするのか。
副作用でレベルも下がる。

いやしかしスレ的には、記憶を飛ばすんならもっとエロい方法がいいよな……

263:バド缶
07/07/15 03:05:22 1Msomtyj
>>262さん
エロくということは、つまり・・・


「休養?冗談じゃありません!私はこの『挑発+パリング』に人生をかけているんです!休養なんてしませんからね!」

↓(中略)↓

「やめてぇっ!もう、注ぎ込まな・・うっ、また・・・出されて、る・・・」

↓(中略)↓

「もう、頭の中真っ白で・・何もわからない・・よ・・・」

・・・こうですか?

264:名無しさん@ピンキー
07/07/15 03:24:40 2Rr5mp3k
野郎はどうするよ野郎はw
パラはパラでもおっさんとか悲惨だ

265:名無しさん@ピンキー
07/07/15 04:38:30 AN9sGgLZ
>>264
「休養? 冗談であろう。我輩はこの『挑発+パリング』に人生をかけているのだ。休養など断じてするまい」

↓(中略)↓

「ななな何をしておる! 早く服を着るが良い! わ、我輩が色に迷うと思うたかッ!」

↓(中略)↓

「今日もロリピコたんとちゅっちゅしたいよー」

266:名無しさん@ピンキー
07/07/15 05:51:22 Q/rON+0V
2回目の中略で何が起きたんだw

267:名無しさん@ピンキー
07/07/15 07:20:17 9Qv+y5u2
しょうがねぇな。もちっと詳しく解説してやるよ。



「休養? 冗談であろう。我輩はこの『挑発+パリング』に人生をかけているのだ。休養など断じてするまい」

↓(中略)↓

「ななな何をしておる! 早く服を着るが良い! わ、我輩が色に迷うと思うたかッ!」

↓(中略)↓

「ふふふ、こやつめ誘っておるな。尻の穴が物ほしそうにひくひくしておるぞ」

↓(中略)↓

「アルルーナ様ぁ・・・何なりとご命令を!」

↓(中略)↓

「今日もロリピコたんとちゅっちゅしたいよー」

268:名無しさん@ピンキー
07/07/15 15:14:18 +e5ooUnF
たぶん真っ暗な何もない部屋で目隠しで椅子にくくりつけられたおっさんパラディンをゴスロリ衣装を纏ったアルルーナがその周囲をぐるぐる周りながら
「キモイ、キモイ!、キモイ…、キモイッ、キモイ☆、キモイ?、キモイ(ハート)」
とかって様々な口調で罵倒して堕としちゃうんだな



レベル的な意味で

269:名無しさん@ピンキー
07/07/15 16:27:32 ZTvHgD9t
なんでギルドメンバーの休養にモリビトが協力してんだ
という野暮なツッコミは止めておこう

270:名無しさん@ピンキー
07/07/15 17:18:36 AN9sGgLZ
ロリピコたんはアホの子だからな。
冒険者の弱体化を手伝ってくれる人募集、とか言われて尻尾振って参加したんだよ。

271:名無しさん@ピンキー
07/07/15 20:32:48 dcyPollu
>>270
全俺が萌えた

272:名無しさん@ピンキー
07/07/15 22:56:08 jTtVKsLg
っ1時間1ぺろりんキャンデー

273:名無しさん@ピンキー
07/07/16 13:44:21 ihjhA2Pe
ロリピコみたいなのが育って姫だの婦人だのアルルーナだのになるのか。飼ってみたいな。
・・・オーガやデモンにはならないと信じたいが。

274:名無しさん@ピンキー
07/07/16 13:48:31 EevT4anV
飼うとかそういうのじゃない
同棲したい

275:名無しさん@ピンキー
07/07/16 13:50:18 ihjhA2Pe
むしろ飼われてみたい。

276:名無しさん@ピンキー
07/07/16 14:19:05 B3jHl5fZ
これだろ?!
URLリンク(jggj.net)
URLリンク(jggj.net)
URLリンク(jggj.net)

277:名無しさん@ピンキー
07/07/16 20:28:32 +KquK3lP
業者広告爆撃久しぶりに見た気がする

278:名無しさん@ピンキー
07/07/16 20:55:05 y7hmM2eO
投下させてもらいます。
5レス分なのでロダではなく直で。
自慰ものです。
失禁ありなので駄目な人はスルーしてください。
では↓

279:1/5
07/07/16 20:56:14 y7hmM2eO
第1層
空より降り注ぐ光のもと、迷宮の外にあるものとなんら変わらぬ草木。
迷宮の第一関門として数多の冒険者たちを受け入れ踏破され、しかしてそれだけ多くの屍も転がる森…の4階。

 この階のそこかしこを徘徊し、周囲を見回せば必ず1体は目にする白い影…フォレストウルフ。
鹿や牛をどうにか退ける力をつけ、カマキリの動きを読みきり、徘徊する敵にそろそろ慣れだした冒険者たち。
しかしながら、通常単体で行動してはいるものの、殺気を感じればたちどころに寄り集まってくるその習性によって、
途切れぬ狼の襲撃に収拾が着かなくなったまま最後を迎えた者は数知れず。

そんな森の一角、入り組んだ道の行き止まり。そこに一人の女がいた。
長い金髪、傍らの大きなカバンとハンマー、そして身にまとう白衣からメディックと知れる。

そんな彼女は、カバンから大きめのビンを取りだした。
中には何やらやひどく赤い色をしたものが詰まっており、
蓋を開けたとたんに周囲は甘ったるい匂いに包まれる。

匂いの元、それは彼女が調合した生殖誘引剤――要するに媚薬。
ロサカニナのエキスから催淫成分を抽出・精製し、ウーズの粘液を利用してまとめた物だった。
彼女なりの自信作であり、ゼリー自体はもちろん、匂いだけでも吸いこめばたちどころにサカリが付く、
という代物である。

そしてその女メディックは、ゼリーの放つ匂いを大きく吸い込み、そして一息に呷った。


280:2/5
07/07/16 20:57:07 y7hmM2eO
(んくっ、んくっ、んくっ、んくっ……)
 彼女がビンの中身をかなり苦しげに嚥下していく。
実際、このゼリーのドロドロ加減はもはや固体寸前であり、
その辺の飲み物の様にゴクゴクと飲み込めるシロモノではなかった。
それでも、何とか大半を飲みきった所で彼女は口を離した。

「…うっく、これは、んん、粘性を、ぅぅ、上げすぎたかしらね、っく…はぁ。
飲み辛いったらないわよ、コレ。次回作の改善点ね。」
白衣の懐から手帳を取り出し、折り目の付いたページを開く。
どうやらゼリーのレシピらしく、そこに何事か書き加える。
「あんまり硬くし過ぎない様に、と。
でもあんまり緩くすると成分が分離しちゃうのよねぇ。
いっそ思い切り濃縮して一口ゼリービーンズみたいに…すると今度は急性ショックとか怖いしなぁ。
どうしようかし…………ら?…らら?」
 唐突に、ペンが手から離れて落ちる。直後に思考にモヤがかかり、視界がぼやけだす。
呆けた状態の体から力が抜けてその場に膝を着いてしまう。
視界が90度回るのを見ながら、彼女は薬の効果が出た事を知った。


281:3/5
07/07/16 20:57:58 y7hmM2eO
 この感じって熱を出したときに似てるなー、などとぽーっとした頭で考えながら、
横倒しの景色を眺めること数秒。
今度は体中―特に下腹部―が火照りだす。

(っはぁぁぁぁ………ふぁぁ、効いてきたぁ…)
頬に赤みが差し、吐息に熱が混じる。
肌が敏感になって、身をよじると服がこすれてもどかしい。
下着に到ってはまるで肌にグリグリと食い込んでいるようだ。

「ダメ、ブラがきっつい…乳首も勃っちゃって、こすれてちゃってるぅっ…」
―ブチブチブチッ
ボタンを弾け飛ばしながらシャツがはだけられる。
その下から現れた、けして小さくない膨らみを彼女は両手で鷲づかみにした。
そのままブラの布地をこすり付けるように揉みあげる。

「ふぅぅぅ、はぁぁぁぁ、ひぅんっ、…あんっ、いいよぉ、おっぱい気持ちいい…。
紐が食い込んできて、レースがざらざらしてて、
柔らかくてあったかいおっぱいと、おっきくなった乳首にこすれて、すっごく気持ちいいのぉ。」

仰向けのエビ反り状態のまま、彼女はただ一心に胸を揉み続けている。
ブラの肩紐はとうに外れてかぶさっているだけとなり、
その下に潜り込んだ両手は柔らかな乳房をひたすらに犯していた。

「んっ、うんっ、あうっ、あっ、くるっ、くる、きちゃうっ。」
仕上げとばかりに四指が乳房を握り締め、残る一指が乳首に爪をたてる。
反射的に腰が跳ね上がり、尻周りを締めるストッキングと濡れきったショーツが秘裂に食い込んだ。
その瞬間、
「うぁっ……んあああああああああああああぁっ」
全身を震わせながら、彼女は一際大きな鳴き声をあげた。


282:4/5
07/07/16 20:58:52 y7hmM2eO
ドサッ…

脱力し、浮いていた腰が草の上に落ちる。
快感の波の残滓が通り抜けるたび、彼女の体は空を見上げたままヒクヒクと揺れていた。
それでも荒い呼吸を繰り返す内に、若干ながら思考が戻ってくる。

(っはぁ……、胸だけでこんなにイッちゃった…。
本番はこれからだって言うのに、今からこれじゃ帰るときがキツいわね、…って、あぁ!?)

―ぷしゃぁぁぁぁぁぁ

湿って股間に張り付いたショーツが生温く濡れていく。
(ちょ、待っ、駄目っ、ふぁぁぁぁ…。)
だが、止めようとする努力も虚しく、一息ついて緩んでしまった体は彼女の言うことをまるで聞かない。

―しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

(……あーあ、この歳になっておもらしか。
ま、いいわ。どうせ恥ずかしいコトしに来たんだし。
このまま全部出しちゃえ。)

彼女自身が止めるのを放棄し、むしろ成り行きに任せてしまう。

―しゃぁぁ・・・

「ふぅぅぅぅぅ…………んんっ、んっ。……あぁ、気持ちよかったー。」
失禁が止み、彼女の腰が震える。
ショーツは勿論スカートまでびっしょりと濡れていた。
それでも、その事を気にした風もなく、彼女は空を見上げていた。


283:5/5
07/07/16 20:59:44 y7hmM2eO
 森の奥、装備を放り出したメディックが地面の上で転がっている。
頬は再び紅潮し、荒い吐息には熱がこもり、胸元は露わに、しかも失禁している。
傍目にも尋常ではない姿。
だがしかし、ここは選り分けられた者しか来れない緑の迷宮。
この場に人目は、無い。


「あははははは、青空の下で、寝ころがって、おもいっきりイって、おもいきりおもらしして、
すっごく開放的で、気持ちよくって、んー、生きてるっていいなぁ…。」

 そのまま大きく伸びをすると、彼女は勢いをつけて起き上がった。
紐の外れたブラがずり落ち、足を踏み出すたびに豊かな乳房が揺れ動く。

「さぁて、薬の効き目はまだまだ続きます。というわけで、次は何をしようかしら、と。」

とりあえず周囲を見渡した彼女の目に映ったのは、ペンに手帳、カバン、
そして少し中身の残っているビン、後は愛用のハンマー。

「そう、ね。これにしましょうか。」
そう言うと、彼女は次のおもちゃに手を伸ばした。


284:278
07/07/16 21:01:16 y7hmM2eO
↑以上です。
お邪魔しました。

285:名無しさん@ピンキー
07/07/16 21:48:34 s5GnCDyz
次は!?次はなんなの!?次は何を使う気かおっしゃい!
いけない娘!あなたはとてもいけないメディックだわ!


286:名無しさん@ピンキー
07/07/16 23:22:45 t0qduLq2
>>278
わっふるわっふ(ry
開放的なメディ姉かわいいよメディ姉

287:名無しさん@ピンキー
07/07/19 23:02:56 ZOsg8FKg
>>278
GJ!
あの明るい樹海の真っ只中でこんなこと、メディ姉エロいよメディ姉

288:名無しさん@ピンキー
07/07/21 20:19:57 DwuV6C9j
次なるおもちゃに手を伸ばすメディ姉。
だがその背後に迫る影……
そう、ここは第一層。うろつくfo.e.は当然、みんな大好き……

鹿アッー!

……な展開キボン。

289:名無しさん@ピンキー
07/07/21 21:17:01 KyTf2nOI
あれ、メディ姉・・・男?

290:名無しさん@ピンキー
07/07/21 22:05:17 +BYFwp9d
何の疑いも無くハンマーの柄をおもちゃにしたのだろうと納得して読んでいたw

291:名無しさん@ピンキー
07/07/21 22:26:16 H9SFiQbE
鹿がアッーなのかw

292:名無しさん@ピンキー
07/07/22 00:54:02 ZbqSo7ks
癒愚離冥泥駆【なぐりめでぃっく】
通常、メディックは仲間の冒険者の傷を癒すことを専門にしているが、
一部ギルドには「傷の癒しなど愚の骨頂、その一般論から離れ、敵を冥府の泥沼へ送るため駆けるのが真の癒し」
と主張する派閥があり、彼らは癒愚離冥泥駆と呼ばれている。
彼らに伝わる秘奥義「経毘夷主虎威駆」【へヴィストライク】は
迷宮の深層に棲む大亀の甲羅すら一撃で砕くという。
なお、エトリアでは驕れるものが意外な相手に倒される様を
「蟷螂もあるけば棒に当たる」というが、
これは強大な蟷螂の魔物も、癒愚離冥泥駆の棒術の前には無力であることに由来する。

タミアキ書房刊「世界樹の怪拳・奇拳」より

よって、このメディ姉も癒愚離冥泥駆なら、鹿や狼やゴーレムくらい余裕で倒せるよ。

293:名無しさん@ピンキー
07/07/22 02:33:24 0ep0mPy8
つまりこういうことか。

『樹海ハード』
遊撃の為に樹海第一層を巡回する(ry
だが、それは(ry

「貴方のプライドは 私に崩される為に築いてきたんですものね」
(いつものパーティがいれば…こんな単体ユニットなんかに…!)
「よかったじゃない 仲間のせいにできて」
「んんんんんんんっ!」

「生狼様の生鋭牙を頂いてもよろしいかしら?」
(こんな奴に…くやしい…! でも…感じちゃう!)
「おっと、本体に当たってしまったわ。甘いダメージがいつまでもとれないわよね?」

294:名無しさん@ピンキー
07/07/24 12:34:25 1hkxA14b
 金 鳥 た ん に フ ル ー ト 挿 入 

295:名無しさん@ピンキー
07/07/24 12:39:35 d+jjiYU6
黙れ犬笛

296:名無しさん@ピンキー
07/07/24 23:36:13 CRFKPVKM
>>294の犬笛にむせび泣く男、スパイダーマッ!

297:名無しさん@ピンキー
07/07/26 15:24:02 Nhnzkj7X
>>295
リコーダーですら無ぇw


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