【DS】世界樹の迷宮でエロパロ B4Fat EROPARO
【DS】世界樹の迷宮でエロパロ B4F - 暇つぶし2ch157:SC
07/06/23 01:01:21 Lky5XovY

 おおよそそのような内容のことを、シトナは目を伏せて聞いてた。時折、この街
には栄光と同数の悲劇があるのではないかと思う。帰らざる恋人。独り生き残った
男。ひたすら木を伐り鉱石を掘りつづけるだけの奴隷。
 彼は手を上げかけ、一度下ろし、もう一度持ち上げて、窓をノックした。
 女の子がこちらに顔を向ける。顔色がよくない。衰弱しかけている。
「だれ……?」
「君が会った、長い髪のお姉さんの友達です」
 できるだけ優しい声をつくる。
「入ってもいいかな?」
 女の子は黙って彼を見ている。
 シトナは窓を開けて家の中へと入った。ベッドの方を手で示し、
「きみのママ?」
 と聞くと、女の子はこくんと頷いた。
「パパは?」
「いない」
「そう」
 シトナは、儀礼的な動作で死者の唇にネクタルを流し込み、しばし待った。
 予想通りではあったが、何も反応は起きない。蘇生薬にも限界はある。
 彼女のまぶたを閉じてやり、ひざをついて、その魂の安らかならんことを祈る。

「ママ、もう起きないの?」
 いつの間にか隣に来ていた女の子が聞く。シトナは頭をなでてやった。亡骸に話
しかけながらも、母が目覚めないことは分かっていたのだろう。
「そろそろ天国につく頃でしょう」
 シトナは女の子を抱き上げた。羽のように軽いのが哀れだった。
「葬儀をしなければ。……お葬式は分かりますか」
 シトナはあくまで優しく穏やかに聞く。うん、と女の子はうなずく。
「一回、隣のおじいちゃんのときに、いったことあるよ」
 その時に食べた、おいしかった食べ物のことをしゃべり出す。
「そう。ええと、ユエちゃんでよかったのかな。何か好きな料理はありますか? 
宿に行ったら一緒に夕食を。それから、今夜はゆっくり眠って、休んで」
「…………ママは?」
「すぐに迎えにきます。先にユエちゃんを。ママは俺ひとりでは運べないからね」
「ユエも手伝うよ!」
「ありがとう。でも大丈夫。うちには力持ちがいますから」

 それからシトナは宿に戻って、彼女に甘い飲み物と暖かい食事を出し、“カヴン”
の何人かに協力を求めた。
 施薬院と提携している業者に僧侶と墓地を手配させ、執政院にしかるべき届を提
出した。遺体には適切な処置を施させた。近所の者の聞き込みと執政院の記録から
親類縁者を探したが、そちらは係累見つからずという結果だった。


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