【友達≦】幼馴染み萌えスレ12章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ12章【<恋人】 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
07/05/13 11:35:05 MgQz1FGW
前スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ11章【<恋人】
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次スレはレス数950or容量480KBを超えたら立ててください。
では職人様方読者様方ともに今後の幼馴染スレの繁栄を願って。
以下↓

3:名無しさん@ピンキー
07/05/13 12:36:17 hDHymsOP


4:名無しさん@ピンキー
07/05/13 13:10:54 mNYxvB3D
即死回避乙。

5:名無しさん@ピンキー
07/05/13 14:36:46 akVpmx2t
前スレ403で終わり?

6:名無しさん@ピンキー
07/05/13 15:12:22 MgQz1FGW
前スレはあと15KBくらい残ってる
雑談でのんびり埋めてけばいいんじゃね

7:名無しさん@ピンキー
07/05/13 16:04:04 ApZmp74U
いちもつ

8:名無しさん@ピンキー
07/05/13 16:10:39 8SLGjmzl
回避いちもつ

9:名無しさん@ピンキー
07/05/14 00:29:32 BFC2MOt+
>>1とか乙

10:名無しさん@ピンキー
07/05/14 01:54:41 760VHSHH
>>1乙。ここののんびりした雰囲気好きだ。
安らげる

11:名無しさん@ピンキー
07/05/14 23:54:54 0NkPsF6J
>>1乙。

…さて、一人寂しく西山馳村の続きを待つか…

12:名無しさん@ピンキー
07/05/16 02:48:46 rx4sIUJ8
>>11安心汁。おまえは一人じゃない。たくさんの住人がいつもここに寄生してる。

13:名無しさん@ピンキー
07/05/16 06:43:21 vTGBIRQW
前スレに243氏キテタ━━( ゚∀゚ )━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )━━!!!!

14:名無しさん@ピンキー
07/05/16 07:21:34 cMst6NP0
前スレ完全に埋まりましたな。

そして職人さんたちGJ! どれも続きが気になる!!

15:名無しさん@ピンキー
07/05/16 14:49:03 1uFQYNs6
前スレの愛と勝利、今回は埋めだけで終わりなのかな?つ、続きを…

16:名無しさん@ピンキー
07/05/16 15:01:56 Y7VZO9Qb
>>1

天馬と鈴奈の作者さん、きてくれないかなー。
高校生が主人公なのに、まったく学園モノっぽくなくって、ノワールな雰囲気が好きだったんだ。
いつまでも待つか。

17:名無しさん@ピンキー
07/05/17 22:41:45 yXNhnYnT
>>1
…さて、続きを待つとするか。

18:前にも貼ったかも知れんが。
07/05/18 02:20:55 SfARZOnf
夢枕獏風ツンデレ

「お前の事など心配してない」
「たまたまだ―」
「たまたま材料が多く余ったのだ」
「勿体無いので弁当を作っただけだ」
「お前のためじゃない――」
家が隣同士だとか―
ふん。
幼馴染だとか――
ふん。
「全く関係ない」
ふん。
「いらないのなら別にいい」
「本当にお前のことなんか何とも思ってないからな」
ふふん。
本当は食べて欲しいくせに――
「あと昨日欠席しただろう」
「ノートのコピーもとって置いた」
「ついでだ、気にするな――」
「もうゆく、変な噂でも立てられたら困るからな」


たまらぬツンデレであった。


19:名無しさん@ピンキー
07/05/18 03:32:43 GctKBHoe
ああ、たまらぬな

20:量産型うに ◆/pDb2FqpBw
07/05/18 14:06:19 uyCQIinD
----------------------------------------------------------------------------
Blue 
----------------------------------------------------------------------------
一つめ:


「いやらしい。イチ君、ね。これ。こういうの。
剣道を辞めてからイチ君はいやらしくなった。私はそう思うな。
だからスポーツをやめちゃ駄目だったんだ。
こういう事をする位ならイチ君は剣道を続けるべきだったんだよ。」
断言される。その眼差しは強く、説得しようとする気概に溢れている。
ああ、心配だと。そういう気持ちが篭った目で。
その上、自分の言葉にうんうんと頷いている。

ツライ。

「いやらしいって・・・」
最近伸ばし始めた髪をかき上げ思わず反論しようとした俺に向かって、
雨音さんは後ろ手に持っていた雑誌をばっさと振り翳した。
雨音さんの、俺は綺麗だと思うんだけど本人は気にしているちょっと癖のある髪が肩の下辺りでぴょんと跳ねる。

「いやらしい。いやらしいでしょう?ほら。」
不適切な雑誌だよ。高校生には。ほら、これ。こういうのは不適切。
こういうものを部屋に置いておくのは不適切でしょ。
そう言ってパラパラと雑誌をめくるとほら、ほらここと裸のお姉さんが色々している部分を指差して突きつけてくる。

はい。

まあそうだ。そうですよ。
そうですね。

確かに不適切ではあろう。青少年には有害ですとその雑誌の表紙にも書かれている。
法律でもそうなっている。いやらしい本は子供は見てはいけません。体に有害です。
十分に理解しています。ええ、不適切ですとも。
人間、好き嫌いをせず、食事はヘルシーなものが良いし、甘いものばっかりとりすぎてもいけません。
夜はきちんと寝たほうが体調も良いです。雨音さんの言うとおり。
お説ごもっともで御座います。
人を妬まず、人に威張らず。
そうあるべきだろうし、そう雨音さんは言う。

21:量産型うに ◆/pDb2FqpBw
07/05/18 14:07:38 uyCQIinD

が。
男には譲れない一線も存在する。
わかるだろ?

それは趣味だ。
英語で言えばHOBBY。
中々に儘ならない人生、厳しい寒風の吹く世の中で戦っていく為の強い心を保つ道標。
たとえ世間様に後ろ指指されようとも、理解されなくても決して譲ってはいけない大事なものの一つ。
ある人はスポーツ。ある人は文化的な何か。
ある人は何も考ずに好きな音楽に身を委ねる、そんな穏やかなひと時。
型に嵌らない、誰にもルールを押し付けられない、誰しも一人、一つ以上は持っている大切な心の一休み。

人に自慢したい、人にちょっと隠しておきたい、内緒でこっそり、皆で楽しく。そんな何か。
それこそ戦って勝ち取るべき、いや男なら勝ち取らずにはいられない自由への扉だ。
古来より人が争い、傷つけあいながら誇り高く勝ち取ってきたものこそ、これではないのか。
雨音さんは物事の表面しか見ていない。
そういう高尚ななんていうか人としてのあれだ。夢とか希望とか。そういうのを判らせる必要がある。

雨音さんをぴしりと指差す。
「そういう雨音さんだって人いっぱい死ぬホラー映画とか好きで良く見てるじゃないか。
あれだって不適切じゃん。人いっぱい死ぬし。俺は道徳的にもどうかと思うなあ。でも雨音さん好きでしょ?」
だからそういうのと俺のも一緒なんだって、と続けようとすると雨音さんはふふんと胸を張った。

「私は20になったからいいの。」

なにい。


22:量産型うに ◆/pDb2FqpBw
07/05/18 14:09:39 uyCQIinD

「雨音さん、高校生の時から見てたじゃないか!」
あんた初心で多感な中学生だった俺にホラー映画をこれでもかって位に見せて恐怖心を深く、深く植えつけたじゃないか。
おかげで未だに夜道と風呂場が怖い。
「それとこれとは違う。いやらしいのは駄目。」
くるくると雑誌を丸め、剣のようにこちらに突きつけながら断言する。にべもない。

はっきりと言おう。

俺はエロ本が好きだ。
人並み外れて好きかどうかはおいておいて少なくとも人並みには好きだ。
胸を張って言うことかどうかはおいておいて。
でも17歳男子としてはエロ本が好きだ。というのは別段異常ではないはずだ。
ないはずだろ?

そりゃあれだ。雨音さんのスレンダーなくせにとても張り出してる胸を掴んだだとか、
お尻を撫でただとか、足を撫でただとかお風呂を覗いたとか。
そういうのなら怒られても仕方がないかもしれない。
この前電車でおっさんに脚を撫でられて張り飛ばしたとか言ってたし。
ん。兎も角そんな事する勇気はないけど例えばそういう事をしたのだったのならいやらしいと罵られても我慢しよう。

だが。
たかがエロ本だ。
たかがエロ本でしょう?
誰に迷惑を掛けるでもなく、自分一人の場所、自分一人の時間にひっそりと楽しむ、
そんな夜寝る前に、ちょっとだけ心の開放を味わえるちょっと小粋なアイテムじゃない。

近年援助交際だの、高校生の性犯罪だのと新聞に度々載る世の中で、
そういう風に楽しむって言うのはむしろ良心的と受け止められても良い位だ。


23:量産型うに ◆/pDb2FqpBw
07/05/18 14:12:23 uyCQIinD

確かに。
確かに18歳未満の人間がエロ本を買うのはルール違反だよ。
倫理に悖る行為かもしれない。社会的に許されない事かもしれない。
雨音さんはそう言うかもしれない。

確かに俺は年齢をごまかして私服の時にそれを入手しているよ。
時にコンビニで、時に本屋の未成年が入っちゃいけないコーナーで。
その一点においてのみ雨音さんに対して、いや世間に対して心に一つの曇りも無いかと言われればそうじゃない。
それは認めるよ。うん、認めるよ。

俺も男だ。それにたいしてくどくどと言い訳はしない。
あえてその汚名は被る。
社会的ルールを少しだけ、逸脱しているかもしれない。

ただこれだけは、これだけは言わせてもらいたい。
男は、いや人は自由を守る時に後ろ指を刺されねばならない時もある。ってね。
例えばジャンヌダルクだ。知ってる?
女性蔑視が極限まで解釈されていた時代に彼女はフランス軍の旗手として軍隊を率い、そしてフランスを取り戻した。
そういう偉い人なんだ。
そんな彼女の背中に人々は何を見ただろうか。
坂本竜馬はどう?。今でこそ文明開化の足音だろうけど、
その時代に彼の考えは本当に皆に文明開化と受け取られたのかな?

逆境を乗り越え、その時代の空気そのものをひっくり返していった彼ら、彼女達は誰からも後ろ指を差されなかったのか。
ルール違反と受け取られなかったのか。いや違う。いいや違うんだ。
彼ら、彼女らの最期を見れば判る。決して受け入れられはしなかった。

じゃあそんな彼ら、彼女達が苦労して得たものは何だと思う?
フランス?新しい日本か?それとも後世のに遺した英雄としての名?
否。そんな物ではない。
そうじゃないと思う。
断じてない。全く違う。

雨音さん聞いてる?

24:量産型うに ◆/pDb2FqpBw
07/05/18 14:15:26 uyCQIinD

彼らが得たもの。それを一言で言うとすれば、自由だ。と俺は思う。
英語で言えばフリーダム。
彼らが得たもの、もう一度言うよ。
それは全世界全時代に通じる人としての自由だ。俺はそう思う。

理解はされないかもしれない、
ルールはルール、守るべきものだとそう言いたい雨音さんのその気持ちは判る。

でも考えてみて。
大体大人たちってのはそうやって子供達の自由な発想を、自由になりたい、
大空を羽ばたいて行きたいっていうそういう希望に満ち溢れた無限の可能性をルールと言う名の足かせで摘み取ってきたんじゃないの?

そういうものに対してきちんとNOと言っていく

「うるっさい。」
何の本を読んだの。と丸めたエロ本の剣でばしりとはたかれる。

「ルール違反とかそういう事をいっているんじゃないでしょ。」
んん。と咳払いをしながら雨音さんは丸めていたエロ本を開いて続けた。

「あのね、イチ君。こういうのが駄目って言うんじゃないの。
こういう事に興味を持つのはとても自然なことだと思うから。」
まあ、私は嫌だけど。と溜息混じりに理解を示す雨音さん。

「女の子の体に興味があるんでしょ。だからこういうのを読むんだよね。」

きっぱりと言い切られる。
言い切られるとハズい。


25:量産型うに ◆/pDb2FqpBw
07/05/18 14:21:23 uyCQIinD

「あのね。イチ君は結構しっかりしてるし、剣道だって上手だったし。お勉強だって得意だし。良い子だから。
そういう子が一度ぐれると大変なんだって聞いたことあるの。」

ぐれてないです。と言い返そうと思って踏み止まる。
冗談ぽく言っていた雨音さんが、この時だけ、真面目な顔をしていたからだ。
剣道を辞めたのは確かだし、雨音さんが俺の事を最近ずっと心配しているのもそうだ。
俺にだって理由があるけれど、でも雨音さんから見たら心配だという気持ちも判る。
エロ本の一冊二冊でぐれてるだとかぐれてないだとか、その理由は多分心配性な雨音さんにもあるけれど。
幾分かは心配を掛けている俺にもあるからだ。

「知らない人に、見せてもらおうとしたり、触ろうとしたりしたら駄目なんだからね。捕まるんだから。」
私はそれが心配。と言い切られる。

・・・この人、俺のことなんだと思ってるんだろうか。

「私に言われても・・ううん・・でも他の人にしたら駄目なんだよ、捕まるし・・」
ぶつぶつ呟いているが聞かなかったことにしておく。
ま、こういう本の女の人って胸とかすごく大きいし、スタイル良いからね、そういうの見たいんだろうから。
関係ないでしょうけど。と雨音さんは一人ごちながらも嫌味っぽく言っているが。

まあ、雑誌に載っているお姉さんたちより多分スタイルは雨音さんの方が。

「そういうの、我慢できないの?見たいのは判るけれど、それをぐっと我慢できないと、捕まっちゃうんだよ。
 そういうのはイチ君だったら良いって女の人じゃなきゃいけないんだよ。」

エロ本一つでこの言われようだ。
だからしないですって。
なんていうかな。
エロ本とエロ行為はまた別でして俺がエロ本を買う行為っていうのは精神的な自由っていうの?そういうのを

「うううん。きっとこういうのを読み始めると、我慢できなくなると思う。
こういうのって、どんどんエスカレートするに違いないから。
 それでそのうち交番から電話がかかってくるの。お宅のイチ君を捕まえましたって。」

捕まえましたって、と繰り返して涙ぐむ雨音さん。

26:量産型うに ◆/pDb2FqpBw
07/05/18 14:24:41 uyCQIinD

「そうしたら、お姉ちゃんどうしたらいい?」
「あ、あのねえ。お姉ちゃんってこんなときばっかずるいじゃん!」

「大体ね、エスカレートって!何考えてるんだよ雨音さん。
 そういうのはね。コントロールできます。
 雨音さんは駄目駄目とか言いながらケーキとか食べるけど、
ケーキが我慢できなくなって万引きとかしないだろう?」

「そりゃしないわよ。それに私は20だから我慢しなくて良いし。」
大人だから。と言い放つ。

「関係ないじゃん!」
昔からしょっちゅう食べてるじゃないか。甘いものに徹底的に弱いくせに。

お互いに言いたいことを言いつくして黙る。
なんだか会話が微妙に噛み合わないのはいつもの事だ。

だからいつも言い合った後はちょっとした会話の休憩時間になって。
はあ、と俺の溜息をつき、憮然とした顔を見ながら雨音さんは呆れた顔になって。
「あのね。大体ね。お姉さんにこういうものを見つかったら、そう開き直らずに普通はもう少し恥ずかしがるものよ。」
と、そう言った。

ああ、もう負けだ。
これもお約束みたいなもので、雨音さんがこれを切り出すのは議論はおしまいって事だ。

27:量産型うに ◆/pDb2FqpBw
07/05/18 14:27:17 uyCQIinD

昨日買ったばかりで碌に読んでないっていうのに。
奴はもう帰ってこない。
こいつとも僅か20時間と32分位の短い付合いだった。
目に焼き付ける暇も無かった。
がっくりと肩を落とす俺に雨音さんは、ごはん今から準備するけど今日はカレーだから手伝うんだよ。
と一仕事終えた感じに声を掛けてエロ本を掴んだそのまま、ドアを開け、トントンと階段を下りていってしまった。

やっぱり返してくれる気配は、ない。

まあ、ここで大体血が繋がってないじゃないか、とか、
そもそもうちに部屋こそあるにしろ雨音さんは別に家があるじゃないかとか。

なんてのは喧嘩の時でも言ってはいけない禁句だから。
いつもこうなる。
いっつも喧嘩しては、こうなる。
だからどっちかっていうと雨音さんはタイプとしてはお姉さんじゃなくて
年上の幼馴染というほうがしっくりくる気もしないでもない。

が。
まあ。
幼馴染でもお姉さんでも。

こういう時、弟とか、男とかは我慢するしかないのだろう。




28:量産型うに ◆/pDb2FqpBw
07/05/18 14:31:44 uyCQIinD

-----
ご無沙汰しております。
2話目は◆NVcIiajIygさんが落とす予定です。
そのうち。
(=゚ω゚)


29:名無しさん@ピンキー
07/05/18 15:58:40 0ADa2Li0
いいですなあ~

30:名無しさん@ピンキー
07/05/18 18:19:09 7HoGADH7
うにさんキター!GJ!

つか続き丸投げってw

31:名無しさん@ピンキー
07/05/18 21:41:18 01UX+e+V
>>28
GJなのです!! しかし主人公が不憫で仕方ないですなぁ。

これは是非、色んな意味で雨音さんに一肌脱いで頂くしかありませんな!!

32:優し過ぎる想い
07/05/19 02:51:48 7gr8DhyU
コンコン

遼君の病室の前に立ってノックする。
逃げちゃダメだと心に言い聞かせ深く深呼吸する。
「どうぞ。」
「遼君、葵だよ。入るね。」
入ると遼君が苦虫を噛み潰したような顔でこっちを見ている。
「そんな変な物を見る目で見ないでよ。」
私は勤めて明るく言うようにする。
「もう来るなって言っただろ。」
「うん、言われた。でももう来ない、とも私は言ってないよ?」
「うるさい。お前がいると嫌なんだよ。帰れ。」
心に体に言い聞かせて遼君のベッドへと近寄っていく。
「遼君。無理するのはやめようよ。つらいでしょ?」
「辛くなんか・・・ない。」
私はベッドに腰掛けると、遼君の頭を抱え込む。
「でも遼君の顔と心はそう言ってないよ?辛そうだよ。」
10年間も幼馴染みをやっているのだ。好きと自覚してからもかなり時は経っている。
それだけの間、見てきたのだ。
無理してるのかどうかなんて、わからないわけない。
キチンと私を怒ってる時の顔を目を見れれば一瞬でわかる。
前の私は、衝撃でそこまで気が回らなかった。
それだけ遼君を助け出すのが遅くなってしまった。
純粋に悔しさだけを感じる。

33:優し過ぎる想い
07/05/19 02:52:35 7gr8DhyU
「無理してなんかっ。」
「してる。もっと私を信用して良いんだよ。私は絶対に遼君の前からいなくならないから。」


「だって私は、遼君の事が大好きなんだから。幼馴染みとしても、友だちとしても、男の子としても、ね。」
遼君が一瞬息を詰めるのがわかる。
そのあと顔をくしゃくしゃにしてるのもわかる。
私の腕の中に顔はあって、直接的には見えないけど、みえる。


「葵、いいの?」
「うん。」
とても短い問答。

ひっ、うぅ。
漏れ始める鳴咽。
そして遼君は私に抱き付いて、泣き始める。

「泣いていいんだよ。辛かった時には泣かなきゃ。自分を押さえ込んじゃ駄目。人の事ばかりじゃなく自分の事も大事にして。」
腕の中の遼君を抱きしめながら誰に言うわけでもなく話す。




「葵、ありがと。」
「ん、大丈夫だよ。」

また一瞬の静寂が部屋を包む。
「ごめんな。」
「別にいいよ、一番辛かったのは遼君だろうし。でもなんであんな事を?」
遼君になんであんなことをしたのか聞く。
ある程度想像はつくけど、やっぱり本人の口から聞きたい。

34:優し過ぎる想い
07/05/19 02:54:39 7gr8DhyU
「皆に忘れて貰いたくて。」
「忘れる?」
「うん。俺いつ死ぬかわからないからさ。その時、皆を悲しませたくなくてさ。」
遼君は1から10まで他人の事しか考えていなかった。
優し過ぎるよ・・・

「馬鹿。」


「そうかもね。」
遼君は自嘲的な笑いをする。
「私はそんな簡単に遼君の事、忘れられない。それに、そんな簡単に遼君の事は死なせない。」

「もう少し自分の事考えてよ。」
「でも・・・」
「でも、じゃない。もう遼君は充分に他人の事を考えた。次は自分のやりたい事、やってもらいたい事を私に言って。」
「そんなことしたら葵に迷惑じゃ。」
遼君と話してて、わかってきた。
何故かはわからないが彼は、人に迷惑を掛けることに怯えている。
更に、あくまで他人は彼に取っての奉仕先で、対等の立場じゃないのだ。
理由もなんとなく分かる。
「遼君は自分を過小評価しすぎだし。遠慮しすぎ少しくらい頼み事したり心配かけてもいいんだよ。」
「駄目だよ。人に迷惑なんて掛けちゃ。全部自分でやらなきゃ。」
遼君は即答で返してくる。
「遼君。何に怯えてるの?私は遼君に用事頼まれたら嬉しいよ?」

35:優し過ぎる想い
07/05/19 02:56:00 7gr8DhyU
遼君は沈黙してしまう。
「いっつも遼君は一人で抱え込んじゃう。私たちが助けてあげたいと思っても、助けられないんだよ。」
「ごめん。」
「また謝る。だから謝らなくていいから。次からは私たちを頼って。」
「うん、わかった。」
「そう。遠慮せずに用事や頼み事は私に言うんだよ。なんか心配な事があってもね。言えば晴れたりするもんだから。」
「うん。」

素直だ。
遼君がとっても素直だ。

まもなく面会時間の終了です。

アナウンスが流れる。
ふと窓の外を見ると真っ暗になっていた。
「もうこんな時間だね。」
「そうだね、もう帰るよ。明日また来るから、頼み事考えておきなさいよ!」遼君はポカンとした顔をしている。
「え~っとそれは用事を頼むことを強要してるのかな?」
「もちろん。じゃあね~」
「あ、じゃあね。」
遼君は苦笑いを浮かべて私を見送る。


「やった。やったやったやった!」
病院を出た頃にやっと、私は達成感と嬉しさに包まれる。
遼君を助けられたし、人を頼っても大丈夫なように諭したし、どさくさに紛れて告白したし。
私的には100点を上げてもいいね!

36:優し過ぎる想い
07/05/19 02:56:58 7gr8DhyU
よし、かーえろっと。

上機嫌で帰途につく。


翌朝
「岩松、どうだった?」
教室に着いた私にいきなり高瀬君が話し掛けてくる。
私は声に出さずに、表情とVっと突き出した手で答える。
「その表情だとうまくいったらしいね。」
「うん。」
「よかったよかった。」
「な~に、なんの話?」
「中川さん「安井の精神状態が安定したって事。」」高瀬君が割り込んで簡略に説明してしまう。
「あんたは葵の話に割り込まないの。」
中川さんはそう言うと高瀬君のおでこにデコピンを喰らわせる。
「いった~。ひどいぞ、この鬼女!」
「だ~れが鬼女ですって?」
逃げる高瀬君に追う中川さん、一見仲が悪いように見えるけど、本当は凄く仲がいい。
なにをやってても心の底で繋がってる感じだ。

正直憧れる。

「岩松さん、誰か来てるよ」
ドア際の人に呼ばれる。人が来てる?誰だろ?

廊下に出た私の前にいたのは、とっても小柄な、でも凛とした風格を漂わせる少女だった。
「あなたが安井さんにくっついてる悪い虫ですね。」一瞬、何を言われてるのかわからなかった。
虫?私が?
「私は今日づけで高校一年三組に転入して参りました、岩崎綾芽と申します。以後お見知りおきを」

37:名無しさん@ピンキー
07/05/19 03:02:28 7gr8DhyU
前スレ140辺りの遼太×葵の続きでございます。

間に一ヶ月も開けちゃって本当にすみません。

もうこんなのイラネという方はスルーして下さると嬉しいです。

また以前通りのペースで書いていくと思うので、読んでもらえたら嬉しいです。

38:名無しさん@ピンキー
07/05/19 03:36:26 4YUWP0I6
>>37
おかえり~、そしてGJ!!
漸く続きが見れるんだね~、嬉しい限りです。

新キャラも出て来てwktkが止まらないっ!!

39:名無しさん@ピンキー
07/05/19 04:41:05 lFM1T/hc
>>37今でもあれは覚えてる。すっかり放棄されたのかと思ったが、そうじゃなくてよかった。

GJ!この先も期待して待ってる。

40:名無しさん@ピンキー
07/05/19 10:43:41 0cAnkoyQ
>>37
続きktkr
新キャラも出てきたし、葵の告白の行方も気になる
この先も楽しみにしてるよ

41:名無しさん@ピンキー
07/05/21 01:31:20 HKNgT6zx
幼馴染み万歳

42:243 ◆NVcIiajIyg
07/05/21 04:06:50 ulsMOHyO
>20-28の続きです。

43:243 ◆NVcIiajIyg
07/05/21 04:09:05 ulsMOHyO
----------------------------------------------------------------------------
Blue 
----------------------------------------------------------------------------
二つめ:




真夏のお昼時は手持ち無沙汰だ。
洗濯物なんて午前中で乾いてしまったし、お野菜が安くなるのは夕方から。
おまけに雲ひとつ無いこんな日に外に出たら絶対に日焼けする。
あまり強い日焼け止めを塗りすぎるのはお肌によくない。
髪だって紫外線でダメージを受けるのだから肌なんて何をかいわんやだ。

だから平日は本を読んだりしてすごすのだけれど。
土日はみんなの分もお昼ご飯を作る。
今日はおとうさんが午後までお仕事だから、昨日の残りを温めてサラダだけ作った。
二日目のカレーをかき回して溶けたジャガイモをお皿に盛る。
とろりとコクが増した濃い色に新しく茹でたブロッコリーと温泉卵を添えて、
真っ白なお皿をことりとお盆に載せる。
エプロンを外しながら居間に声をかけた。

「イチ君。またサボってる。手伝って」

答えまでにはややあって、のそりとワイシャツ姿が台所をくぐってきた。
頭をかがめて入るのでちょっとおかしい。
サラダとカレーライスの器を指差すと、イチ君は無言のままこちらを睨み、ふいと持っていってしまった。
顔をしかめる。

―昨日からろくに口を利いてくれない。


44:243 ◆NVcIiajIyg
07/05/21 04:11:24 ulsMOHyO

朝叩き起こしたときに
「なんだよ休日なのに。だいたい雨音さんは横暴だ。エロ本だって捨てるし。」
捨てるし。捨てるし。捨てることないよ。
とかなんとかひたすら言うのでいじいじしないの。また買うくらいの気概を見せたらどうなの。
と誠心誠意叱ったら余計に口をつぐんでしまった。

ええもう。

昨日のは、早速朝7時に私のうちから廃品回収に出しました。

確かに、イチ君がああいう女の人であんなことやこんなことを考えているのがちょっと嫌だったっていうのもあったのだけれど。
少し邪心があったのは認めなくてはいけない。
でもいやらしいのはいけない。

別に。
別に、イチ君をいじめようとしてやっているわけじゃないのだ。
うん。
ほんとに。
いやらしい本を捨てられたのがそんなにショックだなんて私もショックだ。
そんな。そんなにも女の人の裸が大好きだなんて思わなかった。
どうしよう。
このままだとイチ君は不良になってしまうんじゃないだろうか。
まず最初に家族と口を利かなくなる。これは大変な兆候なのかもしれない。

溜め息と一緒に冷蔵庫からオレンジゼリーをふたつ取り出す。
よく冷えていた。
氷を二個ずつ入れたグラスに水道水を注いで、周りを拭き取ってから台所を出る。
大きい背中が律儀にお皿とスプーンを並べて待っていた。


45:243 ◆NVcIiajIyg
07/05/21 04:13:37 ulsMOHyO

大窓にたてすがあるせいかダイニングは涼しい。
昼のテレビは天気予報に入っている。

イチ君は無言でカレーを口に運んでいた。
私はカレーとごはんの部分を混ぜて、さましてから一口ずつ食べる。
少なめによそったから早く食べ終わった。
ちらと横を眺めて、水を飲む。

……いちくんはカレーが好きだ。
うん。

「イチ君。お代わりはいらないよね。私が全部食べちゃうからね。」

おもむろに立ち上がってお皿を台所に持っていく。
水が足りなくなったので片手には冷え切ったグラスも。

「え。え」

後ろでは誰かがうろたえている。
誰のことだかは知らない。
ガタンと椅子が弾かれている。

「雨音さん。雨音さん、待つんだ。待ってください」

うん。
カレーはすごい。
一時間ぶりにイチ君の声を聞いた。

網戸になった台所の窓からは蝉が騒がしく降っていた。
コンロの火がチ、とついて換気扇が回り始める。
夏の野菜カレーはジャガイモ・にんじん・豚肉のほかにもたまねぎを普段の二倍入れて、トマトも溶かしている。
お父さんが好きなサヤインゲンもポイントだ。
豚肉の代わりにひき肉を使うのも好きなのだけれど、イチ君はお肉は固形がいいといつも我侭を言う。
次からカレーはずっとひき肉か鶏肉にしよう。
シーフードにしてみるのもいいかもしれない。

「雨音さん、そんなに食べるほうじゃないじゃんか。だめだって。俺の。じゃない、俺が食べてあげる。おなかを壊しちゃだめだ。
 父さんだっていつも言ってるじゃないか。女の人はおなかを大事にしなくちゃいけないんだ。
 俺もそう思うよ。ほら、その、女の人は自分で戦う力を持っている。男なんか到底敵わないくらい強いよね。
 それは大事にしなくてはいけない部分が男より多いからなんだと思うわけ。」
と思うわけといいながら台所に突入してきたイチ君は非常に真剣な顔でお皿を差し出してきた。


46:243 ◆NVcIiajIyg
07/05/21 04:15:02 ulsMOHyO

「だからね、俺は雨音さんに頼られるような男でありた」

脛を蹴ってみた。
うめき声が聞こえた。
さすがに呆れる。
いつもこうだ。
どんなに拗ねられて口を利かれないのが悲しいかなんてイチ君はちっとも分かってくれない。
私だって。
素直にもっと、怒ってくれたら謝りたいと思っていたのに。

「雨音さん。無視してごめんなさい」
「……」

イチ君は心を読んだみたいに素直に謝ってきた。
私はカレーの火を止める。

「うん。いいよ。」

それから黙ってイチ君のお皿にほかほかのごはんをよそって、カレーをたっぷり載せてあげる。
息がしにくかったので水を飲んだ。
網戸向こうのたてすのせいかダイニングは相変わらず涼しい。
さっきまで冷え切っていたはずのオレンジゼリーは少しぬるかったけれど、美味しかった。
冷たい水も、二日目のカレーのお代わりも美味しかった。
そしてそれがお昼時で。
ちょっと名前の上数文字が違っていてもひとつの屋根の下で誰かと食べて。
季節は夏の盛りの少し手前で、簾から覗くのが雲の無い青空だったのなら。
こんなに素敵なことはない。



何より、隣にいるのがイチ君だというのが一番嬉しいのだけれど、きっとそのことはいつまでも私の秘密だ。





47:243 ◆NVcIiajIyg
07/05/21 04:16:29 ulsMOHyO
第三話は量産型うに氏が投下予定です。
では第四話でまた。

48:名無しさん@ピンキー
07/05/21 08:53:29 W5sWUyO6
どうでもいいけど、どうやったら午前中に洗濯物を乾かせるんだ?

49:名無しさん@ピンキー
07/05/21 09:27:57 b8M/qe5O
朝からGJです! 続きを期待してますよ!

>>48
真夏だったら結構乾くもんだよー。

50:名無しさん@ピンキー
07/05/21 12:42:10 W5sWUyO6
いやだって、お昼の支度前に取り込んで畳んで、それでも暇なんでしょ。
寧ろ、「洗濯物は午後になってから(≒二時過ぎにでも)取り込めばいいし」位のほうがお昼時が暇に感じられる。

51:名無しさん@ピンキー
07/05/21 12:58:54 zzQBzjUS
せっかくの作品の感想も述べず自分の疑問しか投げかけないW5sWUyO6が
無粋な奴だってことは分かった

52:名無しさん@ピンキー
07/05/21 13:55:30 5IW0dhY1
>>243氏キタ━━( ゚∀゚ )━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )━━!!!!
この淡々とした語り口調が好きだ。
今後も期待!量産型うに氏も。GJですた(´・`)

53:名無しさん@ピンキー
07/05/21 14:32:00 y8+kFCzF
うおお!続き来てた!
丸投げなんて言ってスマンカッタよ、うにさん!
そしてGJ!

54:名無しさん@ピンキー
07/05/22 00:01:07 ZDvAwano
長閑な日常の幸福感が漂ってて、読んでて嬉しくなるなぁ。

55:名無しさん@ピンキー
07/05/23 03:08:18 s4mkYxbN
神GJ!
随分細かな日常だな~読んでて本当に楽しい。

56:名無しさん@ピンキー
07/05/23 20:54:51 cka7tAwH
一本投下
1年と数ヶ月ぶりのSSだからリハビリかねての短いやつ

あ、女の子視点ですよ

57:1/6
07/05/23 20:56:24 cka7tAwH
「フラレた・・・」
 私の目の前で幼馴染の健太がうなだれている。
「残念だったね」
 告白と同時にふられたのが5回。つき合って1週間で別れたのが3回。一番長くて1ヶ月だったかな。
 私の知る限りでは、今回で通算10回目の玉砕。
 まぁ、健太は告白する時も、別れた時も逐一私に報告するから、回数は間違って無いはず。
「まぁ、次があるわよ。次が」
「真由ぅ」
 はぁ。高校2年にもなって情け無い顔しないでよね。全く。
 告白する前に元気付けて、玉砕して慰めて。疲れるなぁ、もう。
「なぁ。俺ってそんなに子供っぽいか?」
「うん」
「・・・正直な意見ありがとう」
 健太はルックスは悪くは無い。サッカーをやってるから運動神経だっていい。頭もそこらのスポーツバカよりはまし。
 けど、性格がその利点で補えないほどまずい。
 無邪気、素直、明るいと言えば聞こえがいいけど、それは自分で言った通りただの子供。
 落ち着きは無いし、言動に知性のかけらも感じられない。
 特撮のテレビが好きで、未だにおもちゃを買っているくらいだし。
 しかも、同じサッカー部の先輩でものすごく大人な人がいるからさらにその子供っぷりが目立ってしまうのよね。
「子供っぽいって言うか。まんま子供」
「がふ」
 健太がテーブルにつっぷす。
 私はシェイクを飲み干して、はいごちそうさま。
「もっと大人っぽくなりてぇなぁ」
「けどさ。いい所だっていっぱいあるよ。運動神経は1年のころからレギュラーやってるからいいでしょ。それにね、優しいもん」
 優しさは触れてみないとわからない。大体の人は健太の優しさを知らずにごめんなさいだもんなぁ。
「いきなり告白じゃなくてさ。少しずつ自分を教えていけばいいんだよ」
「そうかなぁ」
「そうだよ。それに、段々と自然と大人っぽくなるんだし、今はそのままでいいと思うな。私は、そんな健太が好きだよ」
 これは正直な気持ち。
 健太は友達としてだと思ってるんだろうけど、私は本当に健太が好き。叶わぬ恋だと思うけどね。
「・・・ありがと」
「うん。さ、反省会は終わり。明日からはまた元気な健太に戻ってね」
「・・・う・・・はぁ・・・ま、いっか・・・おうよ!」
 なによ。そのため息は。つきたいのはこっちなのに。もうケアしてやらないぞ。

58:2/6
07/05/23 20:57:35 cka7tAwH
 健太が10回目の玉砕から2週間後。
 廊下で健太が誰かと話しをしている。あれは、隣りのクラスの北野さんだったかな。
 楽しそうに話してるよ。
 健太が私以外の女子と普通に話ししてるなんてすっごい珍しい。驚きね。
 少しは進歩したってことかな?
 けど、私が本当に驚いたことは翌日だった。
 昨日、健太と話をしていた北野さん。彼女が私に話しかけてきたのだ。
「あの。佐野さん」
「はい?・・・あ。北野さん。どうしたの?」
「あの・・・えっと・・・その・・・三浦くんのこと・・・なんだけど」
「あぁ。健太?どうしたの?あ、ひょっとして、付きまとわれてウザイからどうにかしてくれってこと?」
「いえ!・・・あの・・・三浦くんの好きなものって・・・なんでしょうか?」
 顔を真っ赤にして私に聞く北野さん。
 え?あれ。まさか、ひょっとして。
「健太のこと好き?」
「す、す、す、好きだなんて・・・私は・・・あの・・・」
 今時珍しい天然記念物ものだよ。この子。
 はぁ。健太も昨日を見る限りではまんざらでもなさそうだし。やっと本当の恋人ゲットみたいね。
「健太が好きなのは」
 ・・・ここでテレビでやってる子供向け番組のおもちゃ。なんて言ったら北野さん、どんな反応するかな?
 あ~。いやいや、それはダメだよね。
「カレーとかハンバーグとか。美味しい手料理を食べさせてあげればいいと思うよ」
「あ。ありがとうございます!はい。頑張ります」
 ホント素直な子だ。
 私は、その日一日何も手に付かなかった。
 授業も適当に受けて、夕食もほどほどで。今もベッドにうつ伏せになって寝ている。
 今までだって告白するだのデートに行くだのといっぱいあったがこんな気持ちにはならなかった。
 絶対に失敗するだろうなと女の勘が告げていたから。
 けど今回は違う。上手くいってしまう。
 健太だって高校生なんだし、彼女が手料理を食べさせると言って自宅に呼んだら・・・あぁ、彼女まで食べちゃう気だ。
「・・・そんなこと・・・無いとは言えないわよね」
 はぁ。自己嫌悪。
 こんなことなら私から告白するべきだったかなぁ。
 卒業式に、一人身の健太に向かって『しょうがないから私が彼女になってあげる』そう言うつもりだったのに。
 というか、こんなこと考えてる時点で負けよね。すんごく健太を見下してる感じだし。
 北野さんみたく献身の心、みたいなのが全くないよね。
 はぁ・・・ホント・・・何してるんだろう私。

59:3/6
07/05/23 20:58:48 cka7tAwH
「晩御飯に呼ばれた」
「ふぅん」
 私は健太の部屋で漫画を読んでいる。
 健太が買った新しい漫画を読ませてもらうのは、昔からの通例になっている。
 私が漫画読んで健太がゲームして。小学校のころから変わらない光景。
 けど、今日は少し違っていた。二人とも心ここにあらず。私も漫画の内容は全然頭に入ってこない。
「そういや、真由の飯食った事無い」
「私料理下手だもん」
「そっか」
 そんなの知ってるくせに・・・けど、小学生の頃、調理実習で私が作った焦げたクッキー全部食べてくれたっけ。
「ねぇ」
「ん?」
「・・・健太って童貞だよね」
「おう」
 何でも気兼ねなく言えるのはいいけど。もう少し恥じらいってものをね。ま、聞いてる私も私か。
「北野さん・・・多分初めてだから・・・練習しておいたほうがいいよ?」
「・・・練習って、エロDVDでも見るのかよ」
 私は服を脱ぎ捨てる。
 健太は私に背中を向けているからわからないだろうけど。
「・・・練習。させてあげるから」
 抱きつく。健太が誰のモノになってしまっても、初めては・・・健太の初めては欲しい。
「真由。冗談は」
「冗談じゃないよ。ほら、寝て。女の体を教えてあげるから」
 私は健太に抱きついたまま体を横にする。
 抵抗する健太にそのままキス。ファーストキス・・・ムードないけど・・・すごく嬉しい。
「んっ・・・はぁ・・・ん!?」
 健太の舌が私の中に入ってくる。
 や・・・あ・・・だめ・・・頭の中が痺れて。ん・・・あぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
「健太・・・ダメだよ・・・いきなりそんなことしちゃ」
「ごめん」
「・・・北野さんの時は普通にするんだよ」
 北野さんの名前を出すたびに胸がチクリと痛くなる。
 でも。これが最初で最後。もう・・・健太とは・・・最後だから。

60:4/6
07/05/23 21:00:07 cka7tAwH
「そのまま動かないでね」
 健太をベッドに座らせて、パンツを脱がせる。
 うわ。知識では知ってたけど・・・生で見るとけっこうグロイかも。
 なんか、これを舐めるのは抵抗が。
「真由」
 えぇい。女は度胸。
 んっ・・・なんか、しょっぱい。
「ぅぁ。ま。真由・・・ちょ、そこ・・・ダメだって」
 健太。女の子みたいに喘いで・・・可愛いかも。
 もっともっと気持ちよくなって。可愛い健太を私に見せて。
「くぅ。ぁぁ・・・真由。ごめん」
「きゃっ」
 健太の先っぽから白いものが勢いよく飛び出て・・・私の髪と顔にかかって。これって。精液だよね。
 ちゃんと気持ちよくなってくれたんだ。
「真由。ごめん」
 健太が私の顔と髪の毛を拭いて綺麗にしてくれる。
 今度はちゃんと・・・飲んで・・・あげないと。
 あ・・・でも、今度は無いんだ。じゃあ、飲んであげればよかったかな。
「健太」
 私はパンツを脱いで健太の上に乗っかる。
「いくよ」
「・・・あ、ちょ、待って。それは・・・うぁぁぁ」
 抱き合ったまま私の中に健太のが。
 くぅ、なに・・・これ・・・漫画とかのは大げさだろうと思ったけど・・・本当に痛い。
「あ、あぁ・・・んっっ」
「真由・・・無理しないで」
「大丈夫・・・だから・・・ね。私に任せて」
 そう。大丈夫。大丈夫なんだから。
 痛い・・けど・・・もう少し・・・んっ・・・あぁぁぁ・・・はぁっ。
「はぁ・・・はぁ・・・全部・・・入ったね」
「真由・・・なんで」
 答えたいけど、答えられない。
 その代わりにゆっくりと腰を上下させる。

61:5/6
07/05/23 21:01:35 cka7tAwH
「うあ。真由・・・痛くないのか?」
 痛いけど。でも・・・健太に気持ちよくなって欲しいから。
 だから私は健太が気持ちよくなるように。我慢して動く。
「くぅ・・・あ・・・っ・・・真由・・・どけ・・・もう」
 あ。でも、今日は・・・多分大丈夫。
 だから。私は。
「真由。ダメだって・・・早く。うあ・・・あぁ」
 んっ。
 中で健太のが一瞬大きくなって、温かいものが。あぁ、これが中出しの感覚なんだ。
 なんか、おしっこが逆流したみたい。
 でも・・・お腹が温かくって気持ちいいかも。
「はぁ・・・はぁ・・・ごめんな」
「んっ。いいよ」
 抜き取ると私の脚を伝って、健太の精液と私の血が流れてくる。
 私たちはお互いに顔を合わせないように体を拭いて服を着た。
 最初に口を開いたのは先に着替え終わった健太だった。
「なんでこんなことしたんだ?」
「・・・北野さんが心配だから・・・それだけよ」
「本当に?本当にそれだけなのか?」
 健太が私の目を真剣に見てくる。
 そんな風に見られたら私。
「俺は・・・いや、俺が悪かったような気がするんだけど・・・あのさ。俺が好きなのは北野さんじゃなくて・・・真由だから」
「うん。わかってる・・・・・・・・え?」
 ちょっと待って。今、何て言ったの?
「私が好き?」
 健太はうなずく。
「あ~。えっと・・・その・・・・あれ?」
「ずっと、真由が好きだったけど、自分から思いを伝えるの怖くて・・・んで、色々考えて、そういう場を設ければと思ってさ」
「そういう場?」
「真由が・・・俺の事好きだって実感出来るような・・・・・・あぁもう。嫉妬して欲しかったんだよ」
 え~っと。つまり、今までのコイツの行動は私に嫉妬して欲しくて?
「ほとんどの女の子にはわざとふられるようにしてさ。前に一回長くつき合ったことあったろ。あれも、実は相手の女子に手伝ってもらってた」
「狂言?ウソ?偽り?ぜ~んぶ私を騙してたの?」
「ごめん!けど、真由が全然そういうそぶり見せないから俺の事なんとも思って無いんだと」

62:6/6
07/05/23 21:02:40 cka7tAwH
 私は一気に体の力が抜けた。
 そりゃそうよ。なんか、真面目にいい子を演じてた自分がバカみたいじゃない。
「真由」
「・・・知らない・・・健太なんて知らない!」
「ごめん」
「っ」
 健太に抱きしめられる。
「健太」
「好きだ。愛してる」
「・・・私も・・・私も好き・・・大好き・・・ずっとずっと前から好き」
 涙があふれてきた。前が見えない。
 大好きな健太の笑顔も見えない。でも、なんとなく・・・健太の笑顔がわかる。
 もうこのまま時間が止まってしまえばいいと、初めてそう思った。
 けど、そういうことが起こるわけはない。健太の部屋の時計が5時を告げた。
「ねぇ、ひょっとして・・・北野さんとのこともウソ?」
「あ。いや。北野は別。本当に飯食いに来てくれって。でも、行かないぞ」
 そっか。北野さんも健太のいい所を見つけて惹かれたんだね。
「いいよ。行っても。せっかくご馳走してくれるって言うんだしさ」
「でも」
「そこで行くのが私の知ってる優しい健太。あ、でも調子にのって北野さんに手を出しちゃダメだからね!」
「わかってるよ。もし告白されても断るから」
「うん。よろしい」
 顔を見合わせる私たちの唇が自然と触れ合う。
「・・・行ってくるな」
「うん。じゃあ、私は夫の帰りを待つ妻の役でも演じてようかな」
「家に帰らないのか?」
「泊まっちゃダメ?」
「俺はいいけど。今日は誰も家に居ないぞ?」
「わかってて言ってるんだから。それくらい察しなさいよ。もう。じゃあ、行ってらっしゃい」
「・・・うん。行ってきます」
 健太が部屋を出て行く。
 さぁ、私は部屋の片付けとお風呂の準備でもしよっと。
 遅くなって私をヤキモキさせたらただじゃおかないんだから。
 けど、ちゃんと早く帰ってきたら・・・いっぱい、いっぱいサービスしてあげようっと。

63:あとがき
07/05/23 21:04:08 cka7tAwH
完了。
また、リハビリかねて投稿させてもらいますね~ では

64:名無しさん@ピンキー
07/05/23 21:06:49 Hl4Mgnvc
テラスクールデイズw

65:名無しさん@ピンキー
07/05/23 22:50:06 1reiRCN0
ふはぁー、甘ーい!! GJです!! 次の作品も期待してますですよ!!

66:名無しさん@ピンキー
07/05/23 23:50:46 n9k0ncnE
いいねぇ…甘いねぇ…憧れるねぇ…でも幼なじみいないんだよねぇ…orz
ま、何はともあれGJでした。

67:名無しさん@ピンキー
07/05/25 01:40:32 iSds5ZNE
GJです。
こちらも投下行きます。

68:優し過ぎる想い
07/05/25 01:41:41 iSds5ZNE
「では、失礼させて頂きます。」
彼女は高一の教室、則ち下の階へと降りていった。

「葵ちゃん、あれ誰?」
「さぁ?中川さん知ってます?」
「知らないから聞いてるんでしょ。でも『岩崎』でしょ、もしかしたら三○グループのお姫様だったりして。」
「まさか~、○菱はないですよ~」
「だよね~。」
「まあ遼君の知り合いみたいでしたし、今日聞いてみますよ。」
「そうしてみなよ。もしかしたら先にあの娘がいたりしてね。」
「今日は私たちの方が短いから無理ですよ。」
「甘いな葵ちゃんは。早退だよ早退。」
「遼君と会うために?あの子ならやりかねない気が。」
「するよね~。」
あの子はやると思う。
予知なんていう大層な物じゃなくて、あくまでも直感だけど。

「葵ちゃんも強くなったよね~。」
「そうですか?」
「うん。昔の葵ちゃんだったら、あんな事言われてたらめちゃくちゃ気に病んでたと思うよ。」
「そういわれると、そうですね。私も強くなったんですよ。」
「うん、いいこといいこと。」

でも、さっきはあっちが帰ってくれたからなんとかなった。
だけどもし遼君の所で同席しちゃったら勝てる気どころか対等にいれる気がしない。

69:優し過ぎる想い
07/05/25 01:44:12 iSds5ZNE
「では、失礼させて頂きます。」
彼女は高一の教室、則ち下の階へと降りていった。

「葵ちゃん、あれ誰?」
「さぁ?中川さん知ってます?」
「知らないから聞いてるんでしょ。でも『岩崎』でしょ、もしかしたら三栄グループのお姫様だったりして。」
「まさか~、三栄はないですよ~」
三栄とはこの近辺で圧倒的な力をもつ財閥の事だ。
「だよね~。」
「まあ遼君の知り合いみたいでしたし、今日聞いてみますよ。」
「そうしてみなよ。もしかしたら先にあの娘がいたりしてね。」
「今日は私たちの方が短いから無理ですよ。」
「甘いな葵ちゃんは。早退だよ早退。」
「遼君と会うために?あの子ならやりかねない気が。」
「するよね~。」
あの子はやると思う。
予知なんていう大層な物じゃなくて、あくまでも直感だけど。

「葵ちゃんも強くなったよね~。」
「そうですか?」
「うん。昔の葵ちゃんだったら、あんな事言われてたらめちゃくちゃ気に病んでたと思うよ。」
「そういわれると、そうですね。私も強くなったんですよ。」
「うん、いいこといいこと。」

でも、さっきはあっちが帰ってくれたからなんとかなった。
だけどもし遼君の所で同席しちゃったら勝てる気どころか対等にいれる気がしない。

70:優し過ぎる想い
07/05/25 01:45:45 iSds5ZNE
彼女みたいに本当に強そうな、いや強いであろう子に私なんかが。
そもそも私のせいで遼君は倒れたんだし、彼女が言ってることは正しいし「こらっ」

「わっ。な、なんですか?」
「一人の世界に入り込むな!またなんか変な事考えてたでしょ。」
「今の感じだと、[私、あの子にはかなわない。]ってところ?」
「いきなり女の子同士の話に首突っ込んで来るな。」
「女の子同士?女の子とぐはっ」
凄かった。同士?と最後が疑問形になった瞬間に振りかぶり後ろにいる高瀬君のお腹にパンチをしていた。
格闘技の事はよくわからないけど、凄く痛そうなのはわかる。
「ちょっおま。これ死ねる。」
「遺言は?」
「スイマセン。」
「よろしい。」
「高瀬君大丈夫?」
「あはは、大丈夫大丈夫。もうなれたよ。」
「ま、葵ちゃんも変な心配せずに行ってきな。
安井君にとってこの世で一番大事なのは葵ちゃんなんだから。
あんな子に臆さずに堂々といきなさい。」
私の事を買い被り過ぎだと思うけど、純粋に嬉しかった。
「うん。」
「ま、これから授業だけどね。」
「あんたは水を挿すな!」
「あはは。別にいいよ中川さん。」

起立。

号令がかかる。
今日の授業の始まりだ。

71:優し過ぎる想い
07/05/25 01:46:41 iSds5ZNE
コンコン
「遼君、私だよ。」
「葵か?入っていいよ。」
私は学校が終わってから速効で病院に来た。

「入るね、遼君こんにちは。岩崎さんも。」
岩崎さんに会釈をする。
半ば予想はしてたけどやっぱり居た。
岩崎綾芽ちゃんがいた。
「岩崎さん、学校は?」
「葵からも言ってやってくれ。」

「葵も聞いてくれよ。」
「こいつ、転校初日に早退して来たんだぜ。ありえないだろ普通。」
「私は遼兄さまに早く会いたかったんです!」
「だからって早退までするか普通?」
「します!」
その岩崎さんの言葉には女の子が好きな人だけに向けるであろう真摯さがつまってた。
やっぱりこの子も遼君のことが大事なんだろう。
「仲・・・良いんだね。」遼君がギクッとした感じでこっちを見る。
「あ~、こいつさ、家の母さんが入院してたときに、隣の病室にお前のおばあちゃんだっけ?」
「ひいお爺様です。」
「が入院しててさ、お互いガキだろ?死とかわかんなくて、一緒に楽しく遊んでたのよ。」
「そうですわ。あなたなんかより遥かに昔からのお知り合いですわ。」
私が黙ってしまってるのを見て遼君が助け船を出そうとしてくれてるのがわかった。

72:優し過ぎる想い
07/05/25 01:47:40 iSds5ZNE
「昔ったって。昔に半年くらい一緒に遊んでたってだけだろ。」
「浅く長くより深く短くの方が良いんです。」
岩崎さんは堂々と言い返す。
私を睨みながら。

「おいおい、無理がねーか?」
「ないです。私はそろそろ失礼させて頂きますね。岩松さんもこれ以上私の遼兄さまを傷つけないようにして頂きたい。」
「こらっ綾芽!お前は葵に失礼な事を言うんじゃない。」
「では、失礼させて頂きます。」
驚いた。
遼君と話してるときの甘い空気から私と話すときの冷たい空気に一瞬で纏う空気を変えた。
なかなか出来る事じゃない。
それだけ私の事を憎んでいるんだろう。

自分の大事な人を殺されかけたんだし、当然だ。
「そこのネガティブ少女。」
「ん?」
「葵~、反論くらいしよ~ぜ。」
「だって、本当の事だし。みんなに心配ばっかかけてるし。」
遼君の手が私の頭の上に乗る。
「昨日はあれだけ強かったのに、今日はこれか?」
「それは、昨日は忘れてたけど、遼君を傷つけちゃったの私だし。私なんか・・・」
遼君は手で私の頭を撫でながら、ふぅとため息をつく。
「やっぱり誤解してたか。俺のこれ、説明してやるよ。」
「うん。」

73:優し過ぎる想い
07/05/25 01:48:38 iSds5ZNE
「俺のは不整脈起こすのと、心臓の欠陥が重なってるんだ。」
「2個あるって事?」
「そう。どっちも生まれつきで、どちらか一方なら直せるけど、二つあるからいじりようがないんだと。」
「二つあって、治せない。」
私が口に言って出したそれは、つまり。
「でも、今すぐ逝く、逝かないの話じゃないんだ。」「え?」
「明日か、明後日か、来年か、五年先か、十年先か、いつ爆発するか解らない爆弾を持って生きていく。そういう事をしていくわけ。」
遼君の説明を聞いて、私の中に浮かんだ想い。

なんという残酷な病気なんだろう。
何時殺されるのかがわからない恐怖を味わせながら生かしていく。
でも必ず、最後には殺す。
「でも十年位頑張れば特効薬とかも。」
「出てるかもしれないし、出てないかもしれない。」唯一の希望的観測も暗に否定される。
「だから葵。この前の返事をするよ。」
私は急激に与えられた情報に悲観しかけてたけど、また冷静になる。

私はもし彼がイヤだと言ったら、素直に身を引く。

でも今までの遼君みたいに、迷惑云々と言ったら、傍に居続ける。

74:優し過ぎる想い
07/05/25 01:49:27 iSds5ZNE
「うん。」
「なら、俺も誓うよ。葵を俺の命が続く限り愛し続ける事を。」
「うん!ね?」
私は満面の笑みで答える。
そして遼君の顔の前で目を閉じる。

遼君の手が私の背中に回る。
そして遼君が私に唇を重ねてくる。
とても柔らかく暖かい。私を包み込むように優しさに溢れている。
そんな心が伝わってくる。
遼君が倒れる前にもしたからファーストキスじゃないけど、誓いのキス。



私と遼君の永遠に続く誓い。

75:名無しさん@ピンキー
07/05/25 01:52:15 iSds5ZNE
はい。
とりあえず完結です。
完璧非エロですorz

ですがまだ海とか修学旅行とかクリスマスとかetcetc
のやりたいイベント(含む初H)がたくさんあるので、そのシーズンに短篇を落としていきたいと思ってます。
もう少しお付き合いさせていただけたら幸いです。

またもう一つ病気じゃないですけど男の子側が傷を持ってるssを落としたいです。
こちらは書き始めてるのでそう遠くない未来にお目見えすると思います。

ですが取りあえず、
[優し過ぎる想い 葵×遼太]

をここまで読んで下さってありがとうございました。



p.s
一つ目は完全に推敲前のを落としてしまいましたorz
二つ目からキチンとしたのを投下してあるので、そちらからお読み下さい。

本気でやってしまったorz

76:73~74
07/05/25 01:58:34 iSds5ZNE
遼君にそんな遠慮はさせない。

「俺は葵の事が好きだ。女の子として。出来れば傍に居てほしいとも思ってる。」
歓喜に包まれる。
「でも、覚悟が出来ない。葵に傍にいてもらえば、俺自身は幸せだ。
でも例えば10年後、俺が逝った後は葵はどうなる?
人生で一番楽しい時期であろう10年を俺は奪い取っちゃうんだ。
その覚悟が出来ない。」

確かに怖いことだ。
時を奪われるのも辛いだろうけど、大事な人からその人の大事な時を自分の意志とは関係なく無作為に奪い取ってしまうのだ。
それは恐怖となによりの罪悪感に苛まされるだろう。

でも私は嬉しかった。
確かに多少はそういう事も考える。
だがもし遼君から離れて送る80年と、遼君と楽しく生きる1日だったら選ぶ方は明白だ。
「ありがとう。私の事をそこまで考えてくれて。私はそれが嬉しいよ。
でも、大丈夫。
私なりに考えたし、大事なのはどっちかって考えたら一瞬だよ。

一瞬息を付いて言う。
「私は遼君を守って傍に居続けて、愛し続ける。ね?」
遼君も不安そうな顔から変わっていく。
「わかった。覚悟は決まった。迷惑かけるかもしれないし悲しませるかもしれない、それでもいいんだね?」

77:名無しさん@ピンキー
07/05/25 02:00:48 iSds5ZNE
本当に申し訳ありません。
73と74の間に上の文を入れてください。

推敲前の文章落としたり、順番入れ違えたり、読みにくくしてすいませんorz

78:名無しさん@ピンキー
07/05/25 04:54:42 rS3xhP0f
GJです! 各イベントのものも読んでみたいですね! また投下して下さい。待ってますよ!!

79:名無しさん@ピンキー
07/05/25 07:32:54 q8bsWNQw
GJ!
まだまだこれからと言った雰囲気が好みです。
自分もイベント話待ってます!
とりあえず、お疲れ様でした。

80:名無しさん@ピンキー
07/05/25 23:46:30 P4KpoekB
ポルコとジーナみたいな関係もいいね
幼馴染物の基本だと思う

81:名無しさん@ピンキー
07/05/26 07:29:16 RpcLgkbp
>>80
>ポルコとジーナ
kwsk

82:名無しさん@ピンキー
07/05/26 12:07:53 rrZW7SHN
>>81
紅豚の豚とマダム。

83:名無しさん@ピンキー
07/05/28 01:27:18 vCtDlt3H
絆と想い氏最近こないな~。wktkして全裸待機中なのに。

84:名無しさん@ピンキー
07/05/28 22:48:46 vCtDlt3H
アゲ

85:名無しさん@ピンキー
07/05/29 23:24:23 0yM2jCB+
>>83
俺も待ってるんだが、やっぱりエロは難しいのかねぇ。まぁ職人さんは焦らずにじっくり書いてくれれば良いんだけどね。

折角だから雑談でもしようか。ゲームで良い幼馴染関係が見られるものってあるかな?
俺は今エターナルアルカディアというRPGをやってるんだが、これに出てくる幼馴染の女の子が結構良い感じ。

86:名無しさん@ピンキー
07/05/29 23:38:43 abNSJaFn
>>83
ONIⅤ『隠忍を継ぐ者』
金髪ツインテールの勝気で可愛い幼馴染が登場する

87:名無しさん@ピンキー
07/05/30 00:56:16 73NPoWxS
>>85
このスレ自体が流れに差ありすぎだからなぁ
日曜日が待望の濡れ場展開だったのに思いの外感想が少なくて
見ててあれっと思ったものだ

88:名無しさん@ピンキー
07/05/30 02:38:06 WBBEkm3P
このスレって常駐してる人が少ないのか知らんが、あんまり感想は書かれんね。
まあ、投下しただけで神神言われるよりはいいかも知れんが。

89:名無しさん@ピンキー
07/05/30 09:08:18 s5dIfDqj
>>86
おま…それは…
たしかに勝気で可愛いけどさ…

90:名無しさん@ピンキー
07/05/30 11:17:11 hTNvEeb/
ゲームの幼馴染み、か……。今思い浮かぶものは揃ってアレだぜ。

「エストポリス伝記II」では、“敗北する幼馴染み”が衝撃的だったな。
朴念仁の主人公と、それに思いを寄せる少女というお約束なのだが、
ポッと出のツンデレっ娘と主人公が、反発しながら接近していくのを、
やりきれない思いで見守る様子がプレイしていてとても切なかった。

「ジルオール」では、あるスタート地点でお姉さん系幼馴染みが登場。
「あんたは私がついててあげないと全然ダメなんだから」てな感じで、
序盤は、「これなんてギャルゲ?」的なほほえましい展開なんだけど、
行動次第では敵として戦う羽目になり、そのまま倒すと死んでしまう。
一応、ラブラブハッピーエンドも用意されてるので救いはあるのだが。

あと、あれも幼馴染みじゃなかったっけ、「バh

91:名無しさん@ピンキー
07/05/30 11:46:09 wW88DCvd
それ以上言うとNTRスレ送りにすんぞ!

92:名無しさん@ピンキー
07/05/30 11:54:21 AxbwfGVz
一瞬ラノベ板の幼なじみ禁止スレかと思った

93:名無しさん@ピンキー
07/05/30 21:28:43 du33U8Bn
個人的にはワイルドアームズ2や5が良いな。

ただ、2は幼馴染がメインヒロインで主人公とくっつくが、5の方はちょっとかませ犬っぽいんだよね……。
そこがいいという人達も結構多いようだが。

94:名無しさん@ピンキー
07/05/31 00:44:41 8tL9dIvs
じゃあ、バハムートラグーンは?

95:名無しさん@ピンキー
07/05/31 00:51:19 dBiKN0h8
あれも一つの幼馴染みの形じゃないかねえ。
関係が崩壊していて、過去の二人とギャップがあるのも乙なものである。

96:名無しさん@ピンキー
07/05/31 01:09:32 dvDVH3hu
バハラグで思い出したが、FF12も結構いい幼馴染ってるぞ。
周りが真面目な話してる時に、空気読まずに二人でいちゃついてたりするしな。

97:名無しさん@ピンキー
07/05/31 01:18:21 4FE0JIfB
>>90が言いかけてるのが正にそうだなw
しかしあのゲームは本当に衝撃的だった……。

あとはタクティクスオウガも良いね。荒れた主人公に、実は自分が幼馴染で主人公達と良く遊んだことを話してなだめる
シーンや、エンディングで旅立つ主人公を追っかけていくシーンなど、感動したなぁ。

98:名無しさん@ピンキー
07/05/31 01:24:05 /rBb5j9A
ドラクエのクリフトとアリーナも良い幼馴染みだと思う

99:名無しさん@ピンキー
07/05/31 01:43:12 ygRn906C
タクティスクオウガはいろんな要素を含んでるなぁ。
10年ぶりに遊んでみたいぜ。

100:名無しさん@ピンキー
07/05/31 02:03:14 52bSq0AP
スクランのような、幼い頃と今とでは立場が逆転してる幼なじみも良いもんだぞ

101:名無しさん@ピンキー
07/05/31 02:04:48 qWlEeAFt
プレイしたのはかなり前なのでうろ覚えだが、TOEの主人公らが
どえらく良い幼なじみだった気がする。


102:名無しさん@ピンキー
07/05/31 02:29:16 U63qT4Uz
タクティクスオウガは当時プレイした時に衝撃をうけたな。大儀に従わなければカオスの属性付いたり
怖い姉がいたり、途中参加とはいえ献身的な幼なじみがいたり、全てとは言わないけど戦争のエグイ部分をちゃんと描写したり
本体は人にやったけど、これだけは家に置いてるな。 とスレ違いスマソ

103:名無しさん@ピンキー
07/05/31 02:59:12 6cV0VLqO
幼馴染といったら、かしましのとまりだな。


104:名無しさん@ピンキー
07/05/31 03:01:02 6cV0VLqO
ごめん、sage忘れてたorz

105:名無しさん@ピンキー
07/05/31 06:29:56 zFeXH2lW
ちょおまwww
スレ進み過ぎwww

こんなに人がいるならもう少し作品投下された時に感想つけようぜ。

いや俺もだけどさ。
>>101
リッドとファラは最高だったな。
俺を幼なじみの世界に連れて行った立役者だぜ。

106:名無しさん@ピンキー
07/05/31 08:17:37 LkpI8Y2+
>>97 >>99 >>102
子供の頃、湖か何かで溺れかけて、その時額に傷がついたことを話すんだよな。
「私のことキズモノにした責任、取ってくれるんでしょうね」(←そんなこと言ってない)

あとは二人での外出中、突然の通り雨に遭って、近くの廃屋に逃げ込んで雨宿り。
どこかぎこちなく張り詰めた雰囲気の中で、とりあえずは濡れた服を乾か……
そうとしたら女の子の姉(元敵方で現在は敗残兵の身)が隠れていて邪魔される。
「どうして!? せっかくいいところだったのに!」(←言ってないけどきっと思ってた)

107:名無しさん@ピンキー
07/05/31 09:08:26 kwS2UGHF
クロトリのルッカに光を…

108:名無しさん@ピンキー
07/05/31 14:50:15 Um77HYEb
ルッカは本当に噛ませ犬だったなw

109:名無しさん@ピンキー
07/05/31 16:01:41 y9A7/ZKD
ルッカはツンデレも持ってたんだがな……

110:名無しさん@ピンキー
07/05/31 16:12:32 ob9+MkC0
噛ませというか、そもそも恋愛感情持っていたかどうかも怪しいところじゃなかったっけ。
長い事やってないんで間違ってたら申し訳ないけど。

111:名無しさん@ピンキー
07/05/31 16:42:34 eH/5cJFe
>>110
クロノが生還するとき、パーティにマールがいないとそれらしい台詞があったようななかったような。

112:名無しさん@ピンキー
07/05/31 18:24:33 nBCOXDEF
4以降のドラクエはみんな幼馴染がいるよな

113:名無しさん@ピンキー
07/05/31 21:23:02 w0FEIUip
お前ら話が脱線している

114:名無しさん@ピンキー
07/05/31 22:58:21 I2zTZcIt
ロックマンDASHのロールちゃん
日記がモエス

115:名無しさん@ピンキー
07/05/31 22:59:55 I2zTZcIt
ってな訳で日記ネタとか希望

116:名無しさん@ピンキー
07/05/31 23:23:28 BZJ4xao1
>>101
あれは良い幼馴染みだった
元々仲が良いのに
くっつく訳でもなく、
進展がない訳でもなく、
最初から最後まできっちり「友達以上恋人未満」でいてくれた

>>113
いいじゃないか
「よしじゃあ俺が二次もので書いてみるか」
なんて思い立つ住人がひょっとしたら出てくるかもしれない

117:名無しさん@ピンキー
07/06/01 01:28:20 cygFOO4b


|・ω・´)ノ >>115 センセイ! コンナカンジデスカ!


―6月某日ひねくれ男のひねくれ日記―


【8:42】「崇兄なんか嫌いだ!」惚気てくる紗枝の夢を見ながら起床。顔色は言うまでも無い。
【8:55】焦げた食パンを頬張る。忙しくてもちゃんと朝飯を食べるのが俺のルール。
【9:04】だるいバイトに出発、そろそろ今のバイトを辞めたくなってきた今日この頃。
【9:22】「おはようございます!」兵太だ、朝にこいつと会うのは実に鬱陶しい。
【9:34】「今日も天気いいっすね!」妙にテンションが高い。多分女だなこれは。ちなみに天気は
     雨だけどな。
【10:10】黙々と働く。兵太は常にニヤニヤしている、傍目から見ていて実に気持ち悪い。
【12:34】休憩がてら昼食。最近のコンビニは明らかにおにぎりに情熱を注いでない、もっと注げ。
     兵太も一緒に飯を食っている。相変わらずニヤニヤ(ry
【13:32】「いらっしゃいませ!」満面の笑顔で接客してたら客に笑われる。どうやら歯にのりが
     くっついたままだったらしい、誰か指摘しろクソが。
【15:07】兵太がそわそわしだした、あいつはそろそろ上がりだ。ちなみに表情は相変わらず(ry
【15:30】「お疲れっしたー!」兵太上がる。見ていたら真由ちゃんが外で待っている。
     あまりの展開に思わず加○茶ばりの二度見をかましてしまう。
【15:32】停止していたら店長に小突かれる。外にいた真由ちゃんと目が合い鼻で笑われた、
     今度紗枝に彼女の対策を聞いておこう。
【17:00】かく言う俺も仕事終了、荷物まとめてとっとと職場を後にする。
【17:12】そういや今日は紗枝の家で晩飯を食うんだった、これからのことを思うとどうにも
     溜息が止まらない。紗枝本人はともかくおじさんおばさんは魔物の域に達してるからな。
【17:59】紗枝の家到着。いつぞやのボロのワンボックスが見当たらないのがちょっと寂しい。
【18:07】「おやいらっしゃい」おばさんだ、今日は根掘り葉掘り聞いてくるんだろうなぁ。
     「よく来たね」おじさんだ、メガネが光って目線が見えないのが実に不気味だ。
【18:08】「紗枝はどうしたんスか?」「あの娘なら今台所でご飯作ってるよ」
     どうやら今日の晩飯は全部紗枝が作るらしい、非常に不安だ。
【18:10】「あ、た、崇兄っ、来たんだ」鍋にフライパンに踊らされてる紗枝が非常に面白い。
【18:11】「お前エプロン姿似合ってねーなー」「うるさいっ!」
     酷いと思うかもしれんが実際似合ってないんだから仕方ない、なんつーかガキ。
     「ちょっ、ちょっと! いきなり何すんだよ!」「んー?」
     気付いたら抱きしめてた、いやでもこいつほんとエプロン姿似合わない。
【18:12】「もー、火傷したらどうすんだよ!」「そん時は火傷跡舐めてやっから」「っ!?」
     紗枝の顔が火傷している。おじさんとおばさんがドアに隠れてニヤニヤしている。
【18:12】「お…お母さんとお父さん見てるんだよ!?」「見せつけてやれ期待されてるみたいだし」
     こういうのは開き直ったもん勝ちだ。
【18:47】とりあえず紗枝にビンタされてからダイニングの椅子に座ってお預けを食らう、二つの意味で。
      あー…くっそ早く食いてーなぁ、二つの意味で。
【19:01】「出来たよー!」やっと完成したようだ、てめー一時間近く待たせやがって。
【19:02】「大好物作ってたんだ!」ほほう俺の好物を作ってくれるなんてんなかなか殊勝な真似…
      「ほら、上手に出来たんだよぶり大根!」お前の好物ぢゃねーか。
【19:04】メニューは他にも色々あるが、なにはともあれ食うことに。
     「いただきまーす!」こういう時の紗枝はいつも以上に子供っぽい。
【19:11】「そういえば、孫の顔はいつ見れるんだろうねぇ」「気になるところだな」
     おじさんおばさんの口撃が始まる、紗枝の顔が途端に不機嫌になっていく。
【19:11】「もう仕込んだよ」紗枝一人思いっきり噴出す。おじさんおばさんは全く動じない。
     それどころか笑みが深くなってんぞ、怖えーな。
【19:12】「それは楽しみだな」「名前考えとかないとねぇ」「ははは、そっすね」「……っ」
     よく考えたら飯時にする会話じゃねーよな。
【19:15】机の下で足を紗枝にげしげし蹴られ続ける。おいおい、そんなに求愛してくんなよ。



118:Sunday
07/06/01 01:30:06 cygFOO4b

【19:25】ちなみに紗枝の料理の感想はロシアンルーレットみたいなもんだと思ってくれ。
【19:54】夕食終了。喋りながらだったからダラダラ食っちまった。
【20:00】居間でくつろがせてもらおうかと思ったら紗枝の部屋に通される。紗枝はどうやら
     俺とおじさんおばさんを話させたくないらしい。
【20:04】「ご飯どうだった!」「ぶっちゃけ微妙」正直に答えたら途端に顔曇らせやがった。
     お前嘘ついたら余計に怒るだろ。
【20:07】「……お茶汲んでくるね」頼んでもないのにトタトタと階段を降りていった。
     別に喉渇いてねーのに。
【20:10】「はい、どーぞ!」やっべ、紗枝の表情が怖いくらいに笑顔だ。相当怒ってんな。
     「お、おう」なんか濃い塩味がするぞこの麦茶。
【20:24】「あー、その、悪かった」「うわっ」埒が明かなくなったもんだから、いつものように
     座椅子になってやる。
【20:25】「ちょ、ちょっと!」「んー」「お母さん上がってきたらどうすんだよ!」「んー」
     止めたら止めたで寂しがるだろーがお前わ。
【20:29】「もうー、止めてよー」眉吊り上げて口を尖らせだした。どうやら機嫌を治してくれた
     ようだ、良かった良かった。
【20:43】「だめ?」「だーめ、下に二人いるんだよ?」「聞かせてやりゃいいじゃん」「絶対嫌!」
     今日は鉄壁のガードだ、まあ当たり前っちゃ当たり前だが。
【20:45】妥協した結果キスだけOKということに。

【20:48】(時刻は書き込まれているが空白になっている)

【21:03】明日もバイトがあるのでそろそろお暇することに。
【21:07】「またいつでも来なさい」「待ってるからね」
     おじさんおばさんの二人の笑みが妙に深い、もしかして覗いてたのかオイ。
【21:12】「じゃあお休みなさい、明日は紗枝家に帰ってこないんで」
     しゅたっと手を上げ挨拶すると、二人は満足したように手を振ってきた。
【21:15】帰路についてると追いかけてきた紗枝に思いっきり背中を蹴られる。別れ際の挨拶が
     不満だったらしい、何を今更。
【21:18】「あんなこともう言わないでよね!」「別にバレてるから良くね?」「だめ!」
     
【21:19】(時刻は書き込まれているが空白になっている)

【21:20】あまりにうるさいから力づくで黙らせてしまった、俺も大概だな。
【21:25】ふらふらした足取りの紗枝を見送って再び帰路につく。

     
     あー…、そろそろフリーターやめて就活するべきかなぁ……




119:名無しさん@ピンキー
07/06/01 01:48:26 AHZx2zPp
GJ!!w 崇兄の日記はマメだなw

120:名無しさん@ピンキー
07/06/01 01:52:53 1k6r/Y9a
ちょwww
うますぎるwww
超GJ!

121:名無しさん@ピンキー
07/06/01 02:03:10 BYEpfZBi
空白の中身が気になりすぎるwww

122:名無しさん@ピンキー
07/06/01 10:34:55 bDH5Q9kr
>>117
GJ思わず
ニヤニヤしてしまったw

123:名無しさん@ピンキー
07/06/01 13:51:39 dAk8Zuu0
>>117
よし、まずは18:12~18:47までのホシの行動と同じく20:10から21時頃までの一連のやり取り
そして、空白になっている部分の詳細をまとめて提出してくれ

124:名無しさん@ピンキー
07/06/01 21:40:12 pVLjJxFZ
紗枝バージョンも期待して良いですか?

125:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:36:59 tyN14nun
>>117
GJです! こういう日記形式も良いですね! 空白の部分は是非たっぷりと書いて欲しいですw

それでは、こちらも投下させて頂きます!

126:絆と想い 第13話
07/06/02 02:38:34 tyN14nun
図書館で舞衣にプロポーズまがいのことをしてしまった日の夜。正刻は中々寝つけずにいた。
天井を見上げながら、ふぅと溜息をつく。
「しかし……。舞衣があんなに思いつめていただなんてなぁ……。」
図書館での出来事を思い返してそう呟く。いつも自分に愛を囁き、ひっついてくる舞衣があんなに不安を抱えていたとは想像すらしていなかった。
「まったく俺って奴は……。あいつに何年俺の幼馴染やってるんだ、なんて言ったが……人の事は言えねぇな本当……。」
そう言って正刻は目を閉じた。瞼に浮かぶのは舞衣の泣き顔、そして笑顔。
「しばらく……ベタベタしてくるのも大目に見てやるか、な……。」
そう言って正刻は、ようやく訪れた眠気に身を委ねていった。


「……き、おき……刻……。」
自分を呼ぶ声に、正刻は起こされた。枕元の携帯電話を見ると、まだ午前二時前後といった所だ。
こんな時間に部屋に侵入してくる人間は色々と不味い感じなのだが、夜中に起こされた所為で今ひとつ覚醒しておらず、かつその人物が自分の
良く知る少女であったため、正刻はその点には深くつっこまずにとりあえず問いかけた。
「……こんな時間に何の用だよ舞衣……。」
そう、正刻を呼んでいたのは舞衣だった。学校指定のセーラー服を身に纏い、とびっきりの笑顔を浮かべながら正刻に跨っている。

「こんな時間に済まんな正刻。だが……どうにも我慢が出来なくてな。」
正刻に跨ったまま笑顔で答える舞衣。その笑顔を見て、やっと働き始めた頭が警鐘を鳴らし始める。
「な、何だよ……。何が我慢出来ないってんだ……?」
正刻は慎重に舞衣に問いかけた。正体不明のプレッシャーを感じつつ。
「何が、だって? ……君とこうすることを、さ。」
すると舞衣は、言うが早いか正刻の頭をかき抱き、キスをしてきた。

「───ッ!?」
突然の不意打ちに、正刻は思わず硬直してしまう。その隙に、舞衣は舌を入れ、濃厚なディープキスを行い始めた。
「……っぷ、はぁ……。んっ……。」
一心不乱に正刻の口内を蹂躙する舞衣。正刻は最初、驚きのあまりにされるがままになっていたが、我に返ると舞衣の肩をつかんで引き離した。
「んっ……。」
正刻の口と舞衣の口を銀色の糸が繋ぎ、そしてぷつんと切れる。それを見ていた舞衣は名残惜しそうに言った。
「何をするんだ正刻。折角のディープキスの最中だったのに……。」
「何をするんだ、はこっちの台詞だ馬鹿野郎!! お前、一体どういうつもりなんだよこんなことして!!」
「だから……言ったじゃないか。もう我慢が出来ないって。私は君が欲しくてたまらないんだ。君と……セックスしたくてたまらないんだ。」

127:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:39:20 tyN14nun
そう言ってじっと見つめてくる舞衣。正刻はその瞳を暫く見返していたが、不意に目を逸らした。そしてぽつり、と呟いた。
「……俺には、お前を抱く資格はまだ無いよ。」
「……資格、か。君は変な所で真面目だな。」
そこがまた良いのだがな。そう言って舞衣は正刻の髪に軽く口付けをする。
その感触にぴくりと身を震わせ、そして正刻は言葉を続ける。

「とにかく、俺はお前をまだ抱けない。……お前のことを一番に考えることが出来ない今は、な……。」
そう言って舞衣から目を逸らし続ける正刻。そんな彼を見て、舞衣はくすり、と微笑んだ。
「? ……何だよ。」
「いや、君は少し勘違いをしている、と思ってな。君が私を抱くんじゃない。私が君を抱くんだ。」
そう言われた正刻はきょとん、とした顔をした。しかしすぐに呆れた顔をして舞衣を軽く睨みつける。
「おい舞衣。俺の話、ちゃんと聞いてるか?」
「ああ聞いているとも。その上でこう言っているんだ。いい加減覚悟を決めろ。」
「だから、何度も言っている通り、俺は……。」
「私の事を一番に考える事は出来ない、か? なら聞くが、君は私のことが嫌いなのか? 私のことを抱きたいと、これっぽっちも思わない
 のか?」
妙な迫力を伴って正刻に問いかける舞衣。その迫力に押され、正刻は思わず本音を言ってしまう。

「そんな訳ないだろ! お前のことが嫌いだったりどうでも良かったらとっくに手を出してるさ! お前のことが好きで大事で大切だから、
 必死になって我慢してるんじゃねーか!!」
その正刻の本音を聞き、笑みを浮かべる舞衣。それを見て、正刻は自分の失敗を悟った。思わず唇を噛み締める。
「ふふ……。そこまで私のことを想ってくれているのなら正刻……。私のことを抱いてほしいな……。」
舞衣はゆっくりと正刻に覆いかぶさり、彼を抱きしめながらそう囁いた。
自分を抱きしめてくる舞衣の身体の柔らかさと温かさに正刻はもう陥落寸前であったが、しかし最後の抵抗を試みた。

「だ、けど、それじゃあお前が……。」
「正刻。私のことを大切に想ってくれるのは有難いし嬉しいが、必要以上に大切に扱われるのは辛いものだぞ? ましてやそれが、愛する
 人ならば尚更な。」
舞衣はそう言って正刻を抱きしめる腕に力を込めた。
その台詞を聞き、正刻は寝る前に考えていたことを思い出す。
(そうか……。だから舞衣は、あんなに不安に……。)
考え込んで抵抗を止めた正刻に、舞衣は止めとばかりにこう言い放った。
「今までずっと不安で辛かったんだ……。その分、君の温もりを欲しいと思うのは……私の我侭、か?」

潤んだ瞳で見つめられ、正刻は自分の理性の最終防衛ラインが破られたのが分かった。
舞衣の背中と後頭部に手を回し、しっかりと抱きしめる。
「あっ……。」
思わず声を上げた舞衣の頭を撫でながら、耳元で囁いた。
「覚悟しろよ? やめてと言っても、もう止まらないからな。」
それを聞いた舞衣は正刻に微笑みかける。
「それはこちらの台詞だ。君のことをたっぷりと愛してやる。私以外の女の子など、眼中に入らないくらいに、な。」
そうして二人はゆっくりと目を閉じ、再び口付けを交わした。



128:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:40:17 tyN14nun
「むぐっ……はぁ……あむっ……。」
二人はお互いを貪るように深い口付けを交わす。舌を入れ、入れられ、またその舌を吸っては吸い返される。
その感触に二人とも陶酔していたが、やがて正刻は自分の胸に押し付けられている舞衣の胸に手を伸ばした。
「!? ん、んんんんんっ!!」
キスをしながら胸を鷲づかみにされた舞衣は思わず身をよじる。しかしそれは触られるのを拒絶するものではなく、予想以上の快感が自身
を襲ったためであった。
正刻はその反応を見ながら、片手だった胸への愛撫を両手を使って行い始めた。もちろんキスはしたままだ。
舞衣の胸はFカップに達しており、正刻の手には到底収まるような大きさではなかった。
その大きな胸を強弱をつけて揉みしだく。柔らかさと、手を弾くような瑞々しい弾力に正刻は夢中になった。

「ぷはぁっ! ま、正刻、ちょっと待ってくれ……!」
息が続かなくなったのか、キスを止めて舞衣が叫ぶ。その様子に、正刻は意地の悪い笑みを浮かべて言った。
「何だよもう降参か? まだキスと、服の上から胸を揉んでいるだけだぜ?」
そうして一際強く両胸を揉みあげる。舞衣は思わず「ひっ!」と声を上げてしまうが、それでも何とか正刻に言った。
「い、いや……。想像以上に気持ち良いが、降参とかではなくて……。ふ、服を脱ぎたいと思って……。」
そう言われて正刻の頭の冷静な部分が働く。確かに制服を皺だらけ、もしくは汚してしまっては不味いだろう。
だったらそんな格好で来なければ良いのに、と思ったが、それは言わないでおく。
「分かった。じゃあ俺も脱いでおくか。」
そうして二人はゆっくりと身を離し、着ている服を脱いでいった。

……しかし。
「な、なぁ正刻……。」
「ん? どうした?」
「そ、そんなに見つめられると……流石に恥ずかしいのだが……。」
そう言ってもじもじとする舞衣。まだスカーフしかとっていない。それに対して正刻は既にパジャマを脱ぎ終え、布団に入って舞衣の着替え
を凝視していた。
「心配するな。俺も結構恥ずかしいぞ。」
「だ、だったらこちらをあんまり見ないで欲しいのだが……。」
「それは却下だ。」
「うぅ……。」
舞衣は真っ赤になった。普段は素直クール属性で正刻に過度のスキンシップをとっている舞衣だが、流石にこの状況では羞恥心が勝ってい
るようだ。もっとも、何回か場数を踏めばもう嬉々として脱いでしまうようになるのかもしれないが。

だが今は、この貴重な舞衣の姿を楽しんでやろう。正刻はそう思いながら、舞衣を凝視し続けつつ言った。
「早く脱いでくれ舞衣。俺はお前の身体を見たくてたまらないんだ。」
だが、その言葉が舞衣の中の何かに火を点けた。
「……そんなに見たいのか? ……私の身体を……。」
正刻は無言で頷く。それを見た舞衣の身体は、羞恥心とは別の気持ちで熱くなり始めた。
(そうか……だったらたっぷりと見せてやる……。目を離すなよ正刻……。)
そうして舞衣は制服に手をかけた。

上着を脱ぐと、純白のブラに包まれた豊かな双乳が露わになる。舞衣がちらりと正刻の様子を伺うと、彼は既に胸に釘付けとなっていた。
(ふふ……そんなに見つめて……。このおっぱい星人め……。)
そんな事を思いながらも素知らぬ振りで服を脱いでいく舞衣。スカートを下ろすと、ブラとお揃いの純白のショーツが現れた。
正刻はもう無言である。ただ、興奮しきった目で舞衣の身体を見つめ続けている。

129:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:41:03 tyN14nun
舞衣はその視線を感じながら、ソックスを脱ぎ、ブラのホックへと手をかけた。
だがすぐには取らず、正刻の様子を伺いながらゆっくりと外していく。
そして。ついにブラが全部外れた。
大きいのに全く垂れず、上向きの乳房。その先端は薄い桜色であり、興奮のためか、既に乳首は固くなり始めている。
それを見た正刻は、思わず息を吐いた。その様子に舞衣は満足し、ショーツにも手をかけ、下ろしていく。
股間の陰りはやや控えめであった。そして生まれたままの姿になった舞衣は、顔を赤くしながらも正刻に問いかける。
「どうだ正刻。私の裸は?」
そう言われた正刻は、すぐには反応出来なかった。舞衣の裸に見蕩れていたからだ。
やがて正刻は、ぽつり、と言った。
「……凄く、綺麗だ。」

それを聞き、舞衣は顔と……股間が熱くなるのを感じた。それを紛らわすため、布団に潜り込み、正刻と抱き合う。
「何か……凄いな。肌と肌を合わせると、こんなに気持ちの良いものなんだな……。」
正刻は舞衣の体中を撫でまわしながら呟いた。舞衣も同じように正刻の身体を触りながら答えた。
「そうだな。だが……誰とでも、という訳ではあるまい。私と君だから……こんなに気持ち良いんだよ。」
正刻は軽く頷いて同意を示すと、身体をずらし、舞衣の胸に吸い付いた。
「ひゃあっ!?」
痺れるような快感に、舞衣は思わず叫ぶ。その声に驚いた正刻が、慌てて舞衣に尋ねる。

「す、すまん舞衣! 痛かったか?」
既に荒い呼吸をし始めた舞衣は、しかし正刻の問いに首を振って答えた。
「いや、あまりにも気持ちよかっただけだ……。だから、もっと吸って、いじってくれ……。」
舞衣の懇願に、正刻は乳首に激しく吸い付くことで答えた。激しく音を立てながら舞衣の乳首を責め立てる。
「んっ!……はぁ……あああっ!!」
舞衣は激しく嬌声を上げた。声を出すのを我慢しようとは思っていない。正刻に愛され、それに応える自分を見て欲しいという想いがある
ためであった。

そしてその姿は正刻をより激しく興奮させる。
乳首を吸い、舐め上げ、軽く甘噛みする。片手で片方の乳首もさすり、ねじり、つねってやる。
そして正刻は、もう片方の手を舞衣の股間へと手を伸ばした。
「! あ、正刻……!」
「舞衣……。お前……凄いことになってるぞ……。」
「ばかぁっ……! 」
そう、舞衣の股間は大洪水と呼ぶに相応しい状況であった。
正刻は、胸への愛撫をしながら舞衣の秘裂をゆっくりとなぞった。
「ふ、ああ、ああああ……。」
正刻に秘裂をなぞられるたびに、舞衣は身体をびくんびくんと震わせる。

舞衣の秘裂からは、とめどなく愛液が溢れ出る。指をたっぷりと濡らしたそれをぺろりと舐めると、正刻は舞衣に囁いた。
「指、入れるぞ。」
「! ……分かった。でも、優しくしてくれ……。」
「分かった。」
舞衣に軽くキスをすると、正刻は彼女の秘裂に中指を入れる。
「ん、くぅ……。」
舞衣は正刻の頭を抱き寄せた。正刻はされるがままになってやりながら、指の挿入をゆっくりと行なう。
最初こそ少し苦しそうな表情を浮かべていた舞衣だが、すぐにそれは喜悦の表情へと変わる。
それを確認した後、正刻は入れる指を二本へと増やした。


130:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:41:54 tyN14nun
「あっ! そ、そんな二本も……っ!!」
「けどお前のココは、ぎゅうぎゅう締め付けてくるぞ?」
そう言って指の出し入れを更に激しくする正刻。舞衣は反論しようとするが、快感に喘ぐことしか出来ない。
それを見た正刻は、ちょっとした悪戯心を出す。人差し指と中指で愛撫を行なっていたが、親指でクリトリスをぐっ、と押したのだ。
「!? あああああああああっっっ!!」
だが舞衣の反応は正刻の想像を遥かに超えていた。獣のような叫び声を上げ、背を弓なりにそらし、膣が激しく収縮して正刻の指を千切ら
んばかりに締め付ける。そして糸の切れた操り人形のようにぐったりと動かなくなった。

「お、おい、舞衣! 大丈夫か!?」
正刻は慌てて舞衣に問いかける。舞衣は虚ろな目をしていたが、段々と意識を取り戻し、絶え絶えな息をしながらも答えた。
「ああ、何とか大丈夫だ……。だがいきなりクリを刺激するのはちょっとひどいぞ……。」
「すまん……。まさか、その……こんなになるなんて思わなかったから……。」
そう言ってうなだれる正刻をそっと抱き寄せて、舞衣はその髪に軽く口付けた。
「悪いと思っているなら正刻……。そろそろ挿れてくれ……。本当はその……フェラをしたり、君にも私のあそこを舐めて欲しかったが……
 もう我慢出来ない……。君が欲しいんだ正刻……。」
舞衣のその告白に、正刻も頷く。実の所、正刻ももう限界であった。愚息は今までに無いほど固く大きくなり、先走り液も大分溢れている。

「ああ……。俺もお前が欲しい……あ、でも……。」
正刻はこの段階に至って気がついた。コンドームを用意していない。
どうしたものかと思っていると、舞衣がくすりと笑いながら言ってきた。
「心配するな、今日は安全日だ。そのくらいの事は私も織り込んで来ているさ。」
「けど……。」
「それに決めていたんだ。初めては直接君を感じたいと。君の精液を……直接受け止めたいと、な。」
そこまで言われて引くことは出来ない。正刻は舞衣を仰向けに寝かせ、足の間に身体を割り込ませた。

「あっ……正刻っ……!」
愚息を舞衣の秘裂に当てた正刻を舞衣が呼ぶ。
「どうした? ……怖い、か?」
「うん、少し……。だから……キスをしながら挿れて欲しい……。」
その願いはすぐに満たされる。正刻は舞衣にキスをし、舞衣はその首と背中に腕を回す。
そのまま正刻は腰を進めた。熱く、ぬめった肉の中を進んでいくと、僅かな抵抗があった。
その抵抗を、正刻は体重をかけ、一気に突き破った。それと同時に舞衣の口から声にならない叫びが上がり、身体が震え、
腕に力が込められ、背中には爪を立てられた。

そのまま突き進むと、こつんと行き止まりにぶつかった。正刻は口を離し、舞衣に囁いた。
「舞衣。全部入ったぜ。」
すると舞衣は、ぎゅっと閉じていた瞳をゆっくりと開けた。うっすらと涙がたまっている。
それを見て正刻は仕方ないとはいえ少し胸が痛んだ。
「痛い、よな、やっぱり……。」
だが予想に反し、舞衣は首を振って否定した。その様子に正刻は少し驚く。
「え? だってお前、泣いて……。」
「いや……痛みはそれほどではない。少し圧迫感はあるがな。泣いているのは……嬉しくって、安心したからさ。」
「え?」
「不思議だな……君自身を私の中で感じることが、これほど嬉しくて、気持ちが安らぐものだとは思わなかった。君はどうだ?
 そうは思わないか?」

131:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:42:40 tyN14nun
そう問われ、正刻も思っていたことを素直に言った。
「ああ。俺も同じ気持ちだ。ついでに言うなら、俺の方は受け入れてもらって安心する気持ちがあるのと、……気持ちよすぎて
 もう出ちまいそうだっていうのがあるな。」
その正刻の告白に、舞衣は声を上げて笑った。そして、自分が正刻の背中に爪を立ててしまっていることに気づく。
「済まない、正刻。この背中……私なんかよりよっぽど痛かっただろうに……。」
そう言ってくる舞衣に、正刻は笑顔で答える。
「何、いいさ。これもお前との初体験の思い出だしな。」
そんな正刻が愛しくて、舞衣は軽くキスをした。そして彼に囁く。

「じゃあ正刻……。もう動いてもいいぞ……。」
「え? だが……。」
「私なら大丈夫だ。さっきも言ったように、痛みはそれほどではない。それに私は早く君に、私の中に精液を注いで欲しいんだ。
 だから……動いて、私を愛してくれ。」
もっとも、優しくしてくれると嬉しいがな、と舞衣は付け加えた。
既に動きたくてたまらなかった正刻は、その言葉に頷いた。
「優しく……してやるさ。」
そうして彼は動き始めた。

ゆっくり、慎重に正刻は愚息を出し入れする。その度に舞衣が上げる喘ぎ声は、否応なしに彼を興奮させていく。
舞衣の膣内は、とても気持ちが良かった。出し入れするたびに、これまで味わったことの無いような快感が正刻を襲う。
気がつけば、腰の動きは段々と早くなっていき、そしてそれを止められなかった。
結合部からはぐちゅぐちゅと粘膜の擦れあう水っぽい音がしだし、肉と肉がぶつかりあう音もし出した。
「ま、正刻! ちょ、はげしすぎっ……!」
「ごめん、舞衣、俺もう止まらない……ッ!!」

そう謝って正刻は激しく腰を打ちつけ続けた。
舞衣はもう正刻の下で、ただ嬌声を上げ続けることしか出来ない。
限界は、すぐに訪れた。射精感を覚えた正刻が舞衣に囁く。
「舞衣っ……! そろそろイクぞっ……!!」
すると舞衣は、足を正刻の腰に絡めて固定する。
「ああいいぞ正刻……ッ! 君の全てを……私の中に注いでくれえっ……!!」
絶え絶えの息でそう告げる舞衣。正刻は頷くと舞衣にキスをし、ラストスパートをかける。

もうお互いが絡み合う音は部屋中に響いていた。正刻も舞衣も、既にお互いの身体の熱さと、快感しか感じることが出来ない。
そして、終局が訪れる。
正刻は舞衣の一番奥に一際強く腰を打ち付けると、限界まで我慢した欲望を一気に解き放った。
これまでに無い程の勢いと量と熱を持った精子が、舞衣の膣を、更には子宮を蹂躙する。
その感触に、舞衣は絶頂へと一気に持ち上げられた。獣のような叫び声を上げると、彼女は深い充足感と安心感と幸福感を
味わいながら意識を手放した。


132:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:43:22 tyN14nun
「まったく君はひどい奴だな。優しくしてくれって言ったのに……。本当に君はケダモノだな。」
「う……。ご、ごめんなさい……。」
情事が終わった後。正刻に腕枕をされながら舞衣は正刻を責め、彼はひたすら低姿勢に謝っていた。
まぁ優しくしてやるといっておきながらいきなりエンジン全開になってしまったのだから、この場合は責められても仕方無いかもしれない。
そんな正刻を半目で睨んでいた舞衣であったが、くすり、と笑うと、腕を回して正刻を抱きしめながら言った。
「まぁいいさ。私も気持ちよかったし、それに……やっと君と一つになれて幸せな気分だし、な。」
その舞衣の言葉に正刻はほっと胸を撫で下ろした。

しかし……そのほっとした気持ちもすぐに奈落の底へと叩き落されることとなる。
何故なら……。
「あぁそうだ正刻。私も実は一つ謝らなければならないことがあるのだが。」
「? 何だ?」

「いや、大したことではないのだがな。実は、今日は安全日などではないのだ。」

その言葉に正刻はぴしり、と固まる。そんな正刻を無視して舞衣は衝撃の告白を続ける。

「実は今日はむしろ危険日……いや、超・危険日と言った方が良いかな? とにかくそういう日でな。そんな日に子宮にあんな量と粘度の
 精液を流し込まれたのだから、恐らくは当たっているだろう。」
そして舞衣はとても穏やかな笑顔で自らの腹部を撫でる。
しかし正刻には、その笑顔は悪魔の笑顔に見えた。

(こいつ全部計算して、そして俺を嵌めやがったな……!)
そんな正刻の様子をちらりと見て、舞衣は妖艶に微笑んだ。
「もう逃げられないぞ、正刻。さあ、色々と覚悟を決めてもらおうか!」
そんな彼女を見て、正刻の思考は走馬灯のように回り始める。

いや俺は舞衣のこと嫌いじゃないしエッチも気持ちよかったけど流石にこれはないんじゃないか俺の人生これで決まりなの?いや何ぼ何でも
コレは無いだろうでも責任とらなきゃだしああ俺唯衣と鈴音に殺されるかもいやもう勘弁してくれそうだこれは夢だそうに違いない頼むから
そうであってくれというか夢なら醒めてくれお願いだから夢なら───

133:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:45:19 tyN14nun
「───醒めてくれぇぇぇぇっっっ!!!」
そう叫んで正刻は飛び起きた。
はぁ、はぁ、と自分の呼吸音が聞こえる。
真っ暗な部屋には自分以外……舞衣も……いない。聞こえるのは自分の呼吸音と時計の針の音、そして遠くを走る車の音だけだ。
時計を見ると午前四時くらいだった。
「……夢、だったのか……?」
そう言って正刻は額の汗をぬぐった。ひどい寝汗をかいてしまっていたようだ。

そのままの状態で正刻はしばらく呆けていたが、徐々に落ち着いてくると、自己嫌悪で頭を抱えて唸りだした。
「あー、もう! 何つう夢を見てんだ俺はー!!」
そしてとある事に思い至り、そっと自分のトランクスの中を確認した。
一応寝る前にある程度の「処理」を行なっていたので流石に夢精はしていなかったが、しかし愚息は天を衝く程に戦闘態勢に入っていた。
正刻は溜息を吐くと、汗を洗い流すのと、愚息の「処理」のために、風呂場へとシャワーを浴びに行った。

「ねぇ正刻大丈夫? 何か顔色悪いよ?」
朝食を作っていた唯衣が心配そうに問いかける。それに対して正刻は力ない笑顔で返す。
結局あの後シャワーを浴びて愚息の処理を行なっても眠ることは出来ず、寝不足になってしまったのだ。
「あぁ大丈夫だ。ちょっと厭な夢を見ちまってな……。その所為で少し寝不足なんだ。」
「ふーん。逆に舞衣は何か良い夢を見られたような事を言ってたけどね。どんな夢を見たかは教えてくれないんだけど。」
そう言って唯衣は舞衣を見た。つられて正刻も彼女を見る。
確かに今日の舞衣は上機嫌だった。心なしか、肌もいつにもまして艶々としている。

二人の視線に気づいた舞衣が問いかける。
「何だ? 私の顔に何かついているか?」
「いや、今日はいやに上機嫌だと思ってさ。何だか良い夢を見たんだって?」
俺が見たのはお前が主演のある意味悪夢だけどな、と心の中で呟きながら正刻は舞衣に尋ねた。
すると舞衣は満面の笑顔を浮かべて答えた。
「ああそうとも! まぁ君になら言っても良いだろう。私が見たのは君と私の夢だったのだよ。」
ふぅん、と正刻は舞衣が淹れてくれたコーヒーを啜りながら相槌を打つ。

「具体的に言うならばな? 私と君が初体験を行なう夢だったのだよ!」

ぶ───っ!!
がっしゃ───ん!!
その舞衣の衝撃の告白に、正刻は盛大にコーヒーを吹き出し、唯衣は皿を落とした。
そんな二人の姿も眼中に入らないのか、舞衣はうっとりとした表情でその「夢」の内容を語りだす。

「いや夢の中の君はおっぱい星人でな? 私が服を脱ぐのをもう獲物を狙うハンターのように見つめてくるんだ。その視線に私はまた感じ
 てしまってな。更に優しくしてくれって言ったのに最初からクライマックスでもう激しく責め立ててくるし……。まぁそれはそれで愛
 を感じることが出来て嬉しかったがな。ただ一ついただけないのは安全日だと偽って君に中出しさせたことだな。確かにそうすれば君
 は責任をとってくれるだろうが、そんなものは私の本意ではない。……まぁ、少しだけ魅力的な案ではあるのだがな。それにしても凄
 かったよ。起きたらもうショーツがぐっしょりと……。」


134:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:45:59 tyN14nun
「あ──ッもうそこまで!! あ、あああああアンタは一体何言ってんのよっ!?」
唯衣が耐え切れずに舞衣の話を強引に中断させる。唯衣の顔は真っ赤だ。
そんな唯衣を不思議そうに見ながら舞衣が答える。
「いや、ただ単に私が見た夢の内容を語っただけなんだが……。お前だって私が見た夢の内容を知りたがっていたろう?」
「い、いや確かにそうだけど、まさかこんな……。」
そう呟いて唯衣は俯く。その様子を見ながら舞衣はしれっとした調子で言った。
「心配するな。別に誰にでも言うわけじゃないさ。流石に往来でこんな話をするつもりも無いしな。」
「当ったり前でしょうがッ!! 道端でこんな話をしてたらそれこそ良い晒しモノよっ!!」

それでもけろっとしている舞衣に、正刻からも何か一言言ってもらおうとした唯衣は、彼の様子がおかしいことに気がついた。
いつもなら自分がつっこむ前に、彼のアイアンクローが舞衣を捉えて黙らせている筈である。
なのに今の彼は、青い顔をして気まずそうに目線を外している。よく見ると、こめかみには脂汗が浮いている。

不審に思い、正刻に声をかけようとした瞬間、唯衣の中で色々なものが繋がり、閃くものがあった。
「厭な夢」を見て寝不足の正刻。「良い夢」を見て上機嫌の舞衣。更にその「良い夢」の内容を聞いて、明らかに様子がおかしい正刻。
常人ならばこれだけでは何も連想できないかもしれないが、ずっと幼馴染として過ごし、そして正刻を愛する乙女の勘が唯衣にある推測
をもたらす。

(まさか正刻が見た夢って……!)
そう思うが早いか、唯衣は正刻の頭をつかみ、強引に自分の方に振り向かせる。
「うわっ! 何すんだよゆ……!」
「ねぇ正刻……。私、あんたが見た夢の内容を知りたいんだけど、教えてくれない……?」
そう言った唯衣は笑顔だった。しかし正刻は、その笑顔の裏に唯衣の激しい怒りを垣間見た。
(ま、まさかコイツ……気づいて……!?)
そんな筈はないという考えと、唯衣ならば気づいてもおかしくない、という考えが頭でせめぎあい、正刻は硬直してしまう。
そして怖い笑顔を浮かべてくる唯衣と、興味津々な様子で見つめてくる舞衣をどうするべきか、正刻は内心で溜息をつきながら考えた。

結局唯衣のプレッシャーに押され、つい真実を言ってしまったため、数日間唯衣と事情を聞いた鈴音に完全に無視され、舞衣にはいつも
以上にベタベタされて正刻はぐったりとしてしまったのだが、それはまた別のお話。


135:名無しさん@ピンキー
07/06/02 02:50:20 tyN14nun
以上ですー。やっぱりエロは難しいですね……。

話の性質上、なかなか本番は織り込めないのですが、まぁ妄想やら夢やらで何とか入れていきたいと思いますー。

ちなみに私が好きなのは、やはりドラクエ5ですね。あそこでビアンカを選ばずに、何が幼馴染萌えかッ!!と思いますー。

長々と失礼しました。ではー。

136:名無しさん@ピンキー
07/06/02 03:40:56 5wops/Ra
きたぞーっ!久々にきたぞーっ!超GJ!!
いやーついに舞衣ルート確定したかと思ってWKTKandHIHIYAしたよ。
それにしても作者さん引っ張るなー。一体誰と結ばせる気なんだ?
やっぱ三人とか?それともハーレム?まさか亜依とか言わないよな?
激しくwktk!アンドage

137:名無しさん@ピンキー
07/06/02 04:36:47 VpLPrERT
GGGGGGGGJ!!!!おっぱい星人の俺にとってFカップは魅力たっぷりなんだぜ?いや、まあ実際は大きさよりも温もりなわけだが。
正刻が『覚悟』を意識してきた辺り、話全体が大きく動き出してきそうですね。やはり例の伏線張りまくってる新キャラが出てからが勝負か?
しかしみんないいキャラだからいっそのことハーレム囲って…ってそれは俺の願望だなw
続きが早く読みたいですっ。あなたが書く作品なら、いつでも、いつまでも待ちますよ!

138:名無しさん@ピンキー
07/06/02 17:31:35 VVtUQMF4
mo☆e★tu☆ki★ta☆

139:名無しさん@ピンキー
07/06/02 23:05:49 MHfj6clu
GJ。
さすがですな。正直にいうと別にエロなしでも楽しめるタイプなのだが、これはいい。
甘甘でそれでいて純粋なこの世界観が俺のツボにクリーンヒットしている。

しかし、舞衣よ、その夢の内容は、いくら何でも嬉々として語るようなものじゃあないぞ。
たが、それこそが君の輝くところだ。存分に輝いてくれ。いつか俺が悶え死ぬが、悔いはない(舞衣大好き派)。

最後にふと気になったのだが、なぜ13話なんだ?保管庫の方には9話までしかないのだが、まだ保管してない話か、俺が見過ごした話があるのか?

140:名無しさん@ピンキー
07/06/02 23:43:00 A0VlrO2H
>>139
確かこの方の作品「絆と想い」は、実は最初は作品名が無かったのだよ。4話目からこのタイトルがついたのだ。
で、ここからは推測だが、最初の方は短めの投下だったから、管理人さんがまとめてしまったようなんだな。

過去ログと照らしあわせると、まとめサイトの1は、第一話から第三話、2は第四話と五話、で、3からは六話以降が
対応している感じだな。

まぁ別に不都合は無いだろうが、知らないとちょっと戸惑ってしまうかもなぁ。

それはともかく作者さんGJ!! 夢オチでも良いので唯衣や鈴音との絡みも書いてくれー!!



141:名無しさん@ピンキー
07/06/03 00:38:37 Q2KPbycf
なるほど。そういうわけだったのか。
ここ来るようになったのが、前スレからだったから、初期の投稿時の様子を知らんかった。
>>140ありがとう。

小生意気にも予想とかしてみるが、二人が夢の話を聞いて舞衣に対する軽い嫉妬と、正刻に対する願望が渦巻いて一人でしちゃてる状況が来るとか妄想してる。
ごめん。唯衣と鈴音も好きなんだわ。はあ、俺の妄想力がたくましすぎる。


142:名無しさん@ピンキー
07/06/03 01:02:14 Zs2P1q7i
そこで仲良くハーレムですよ
誰が妻で誰が愛人かなんて些細なこと。全員平等に愛せば無問題。
愛に優劣など無意味よ。頑張れ正刻

143:名無しさん@ピンキー
07/06/03 01:45:23 oGct+27/
ハーレムとなるとこのスレの定義から若干外れそうな気もするが、それはまあ住人の裁量次第か
「今宵の~」でNTR云々盛り上がったりもしたしな

144:名無しさん@ピンキー
07/06/03 02:01:36 rYpq6Cru
まったくの他人を巻き込んだハーレムはちょっとアレだが、構成している女の子が全員幼馴染であるならば、それほど
違和感無いように思うけどなぁ。

何がいいたいかというと、誰か一人とくっついても、ハーレムエンドでも私は一向に構わんッッッッ!!という事だ。

145:名無しさん@ピンキー
07/06/03 03:24:08 gg52q+TM
妻妾同衾という言葉がありましてな……。

146:名無しさん@ピンキー
07/06/03 15:42:42 rOuwsfeX
>>145詳しく説明してもら桜花!

147:名無しさん@ピンキー
07/06/03 19:31:58 gg52q+TM
文字通り、妻も妾も同じ家、或いは布団に同衾するという事で。
素晴らしい言葉だと俺は思う。

148:名無しさん@ピンキー
07/06/05 01:27:52 RYMVwZIl
保守。投下待ってます。

149:名無しさん@ピンキー
07/06/06 15:22:18 q9zMag3A
URLリンク(nekomarudow.com)

150:那智子の話・第四話 ◆ZdWKipF7MI
07/06/06 19:34:49 9TCqqGcA
1.
……人生には、決して目を離しちゃいけない瞬間ってのがある。
例えば、初めて恋人とキスをするとき。
女の子は目を瞑ってもいいけど、男の子は駄目だと思う。
それは何ていうか、ロマンチックじゃない。男の子はじっと彼女を見つめなきゃだめ。
例えば、お気に入りのスポーツ選手の試合。
一瞬でも目を離したら、そのあと何十年も語り継がれるような瞬間を見逃してしまうかも。
そうなったら悔やんでも悔やみきれない。
そういうときは、例え目が乾燥して涙がどばどば出ても、目を開けてなきゃいけないの。

だから、そうじゃないときはゆっくり目を休ませてあげましょう。
一例をあげれば、議題がほとんどないゴールデンウィーク前のホームルームとか。
そんなときはぐっすりと眠るに限る。
教室はエアコンを使わなくてもほどよくいい心地だし。
授業とは違って、先生だって寝ている私を叱ったりしない。
せいぜい、そっと私の机の横に立って、「起きなさい、那智子さん」と注意するぐらい。
―それがそもそもの間違いだったわけだけど。

「……では、最後の一人は妙高那智子さんにしたいと思います、異議はありますか?」
『ありませーん』
三十人の声が重なって私はがばっと起きた。
……確か、今私の名前呼んだよね?
ああいう時って、一瞬自分が日本人じゃなくなったみたいな気がしない?
周りでは確かに日本語を喋ってるんだけど、それが理解できないの。
私もまさにそうだった。
慌てて見回すと、クラスメイトのみんながにやにやと私を見ていた。
担任のシスターまで。あらあら困ったものね、みたいな笑顔で私を見つめている。
戸惑う私の視界に、親友の青葉の顔が飛び込んできた。
三列向こうの席に座っている青葉が、声を出さずに何か言ってる。

マ・エ・ヲ・ミ・テ……?

私ははっと首をひねる。
指差す方に目をやると、黒板には私の名前がばっちりと書かれている。
あの字は副学級委員長の字だー、なんて、私はぼんやりと考えていた。
私の上には別の名前も並んでいる。
クラスメイト三人の名前……あれ、青葉の名前もある。
さらに私は視線を上にやる。
すると、そこには。

「第45回・校内英語弁論大会 クラス代表」……

「え、え、え、えええ……!?」
そう。
人生には決して目を離しちゃいけない瞬間がある。
何の議題もない「はず」の、ゴールデンウィーク前のホームルーム―とか。

151:那智子の話・第四話 ◆ZdWKipF7MI
07/06/06 19:35:09 9TCqqGcA

その日、家に帰った私はさっそくあの人に愚痴っていた。
「つまり、居眠りしてる隙に弁論大会の代表に選ばれちゃったわけ?」
「……そうです」
祐輔はわざとらしく確認してから、小さく笑った。
私はじろっと睨んでから、彼の入れた緑茶をそっとすする。
―あー、悔しいぐらいおいしい。
何でこんなにお茶入れるのうまいんだろう、祐輔ってば。
そんなことを思いつつ、私は弁解がましく返答してみる。
「だって、そんなのこれまで関係なかったんですもん。
居眠りしちゃっても仕方ないじゃないですか」
私たちはキッチンに置かれたテーブルに向かい合って座ってる。
いつも、私が帰宅して私服に着替え終えた頃に祐輔は大学から帰って来る。
それから二人して飲むお茶。
それは私たちにとって大事な時間になっていた。

「……だいたい、原因は祐輔さんのせいなんですからね」
「僕? 何で僕のせいなの?」
「それは……」
私は口ごもる。
そもそも私の英語の成績って大したものじゃなかった。
クラスでも真ん中ぐらい。学年でいえば下半分に入ってるはず。
青葉にヤマを教えてもらって何とか人並みな点数を取ってるぐらいだもの。
あ、ちなみに青葉は英語はかなり得意。
ところが。
祐輔に勉強をみてもらうようになってから、私の成績は突然上がり始めた。
特に苦手だった英語と数学は、先生がびっくりするぐらいの上がり方だった。
だから、今回クラス代表を選ぶに当たっても、担任の先生は内心私に決めていたらしい。

祐輔の教え方がうまかったわけじゃない。
でも、私が行き詰まるところは、なぜか大抵、祐輔もかつて行き詰まったところだった。
だから、祐輔は私が「なぜ分からないのか」をすぐ理解して教えることが出来たってわけ。
どうやら、私たちは考え方の方向性が似ているらしい。
……それはそれで嬉しいけど「成績優秀」になると余計な仕事が増えるなんて聞いてない。
私はそういう知的な役目は回って来ないはずだったんだ。これまでは。


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