嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その35at EROPARO
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その35 - 暇つぶし2ch700:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:10:10 sieKQt3d
職人様方の筆も、常に一定で進むとは限らないでしょうし。
個人個人、
特に複数の完結作を持つ方は書く題材やネタの向き不向きもあるはず。
その時々の精神や肉体の状態などにも左右されるでしょうし。

気に入らないなら読まずにあぼーん。
これに尽きます。

職人様方にはご自愛の上でのマイペースな投下をお願い致します。

701:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:16:51 TrZn4ayd
201 :鋸 ◆UKGpV/fF16 :2007/06/03(日) 02:24:47 ID:VSGFWqwk0
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その35
スレリンク(eroparo板)

607.612.614.630

3. 固定ハンドル叩き

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203 :鋸 ◆UKGpV/fF16 :2007/06/03(日) 15:49:12 ID:VSGFWqwk0
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その35
スレリンク(eroparo板)
663.665.674

3. 固定ハンドル叩き

作者さんへの物凄い誹謗中傷が見られます。
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削除以来出されてたwトリ付けてる意味が分からないけど

702:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:20:26 9T9CpV21
推敲するもしないも作家さんの裁量だしタダで見てる以上大きな事は言えない。
書く方も見る方もお気楽にいけばいいと思う
個人的には何となく意味が推測できれば誤字脱字はどうでも良い気がする。
たとえほんの少しでも嫉妬分や修羅場分の含まれてる作品upする人は
みんな神様。仮にトライデント氏追放なんてやったら怖がって作家さん大量流出は間違いない。

ちなみに他の著名な作家さん達がどう思ってるかも知りたいかな。
次の投下の際に最後のレスで誤字脱字に関する考え方をお聞きしたいものです。


703:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:25:51 yyVpXO5W
追放とかはやり過ぎ、大して期待していないしスルーしようぜ。

そんなことより俺はぶらっど☆まりぃが読みたい。

704:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:28:47 wFi4spq6
>>703
避難所

荒らしスルー出来ない香具師は避難所でもお断りだがな


705:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:29:59 yyVpXO5W
>>703
×ぶらっど
○ぶらっでぃ

706:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:37:55 7NL5ADmF
荒らしもスルー出来ないしsage進行も守れんってどういうことだよ


707:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:40:11 DzPUIWiq
まあそういう人なんだろ
つまりスルー対象

708:名無しさん@ピンキー
07/06/03 23:53:39 3Oj4259U
っていうか、これまでの荒らしはトライデント氏の妹の仕業だと思えば
萌えてしまうのは気のせいでしょうか・・

お兄ちゃん・・あの嫉妬スレに作品を投稿してから私に構ってくれなくなった。
いつも一緒に同じベットで寝ているのに・・夜更かししてPCに熱中している。
PCの履歴を見ると嫉妬スレでお兄ちゃんは自分で書いた作品を投稿しているみたい。
お兄ちゃんの趣味にとやかく言うつもりはないけど・・

私に構ってくれないのは・・嫌だった。

どうすれば、お兄ちゃんは前みたいに私だけを見てくれるのか・・

あっ。そうだ。

こんなスレがあるから悪いんだ

壊してやる壊してやる壊してやる荒らしてやる荒らしてやる荒らしてやる
壊してやる壊してやる壊してやる荒らしてやる荒らしてやる荒らしてやる
壊してやる壊してやる壊してやる荒らしてやる荒らしてやる荒らしてやる
壊してやる壊してやる壊してやる荒らしてやる荒らしてやる荒らしてやる

私とお兄ちゃんの大切な時間を奪った、このスレは絶対に許さないんだから!!


ってな感じにやっていると思えばいいのでは?




709:名無しさん@ピンキー
07/06/04 00:37:19 cq1Hu+7P
688 :名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 20:51:11 ID:/piWz7Nv
こう何回も脱字や誤字があるならば・・トライデント氏の追放も考えなくちゃいけないね

693 :名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:13:30 ID:/piWz7Nv
だが、トライデント氏の作品は誤字脱字文章構成文法が全ておかしいから叩かれているんでしょ
それは仕方ない事だと思いますよ

695 :名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:37:00 ID:/piWz7Nv
人格否定ではないだろうに・・

698 :名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 22:48:45 ID:/piWz7Nv
しかし・・・何でこんなにも荒れてしまうのだろうか?

( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

710:名無しさん@ピンキー
07/06/04 00:50:13 cq1Hu+7P
短時間でポコポコ沸くからどう見ても同一人物
しかも頭が弱いときたもんだ。もう笑うしかないわな

711:名無しさん@ピンキー
07/06/04 01:09:10 EZTZoaHN
すごいの発見!携帯からみてみ~

URLリンク(2sen.dip.jp:81)


712:名無しさん@ピンキー
07/06/04 01:10:37 0aQ255EP
こう何回も脱字や誤字があるならば・・トライデント氏の追放も考えなくちゃいけないね






なーんてね、うそうそ、応援してますよ

713:名無しさん@ピンキー
07/06/04 10:48:27 DzLt+I0L
荒らしてるやつウゼー。リアルでトライデント氏に恨みでもあるんか?
それともただのニートか?
>>712
脱字や誤字ぐらい脳内で変換できんのか?

714:名無しさん@ピンキー
07/06/04 11:31:39 3xfP4LBT
>>713 取りあえずsageろ。

不具合のあるゲームに同じ事言えるか?
文章は言葉しか無いから、誤字脱字の時点で大きなエラーと同じだぞ。

トライデント氏が嫌われるのは内容じゃなく、そこがいつまで経っても進歩しないというか、進歩させる気がないところだと思う。
なまじ数はこなしてるから、余計にそう思われるんだろうな。

俺も、内容はGJだと思うのでせめて推敲はしてくれと思う。


715:名無しさん@ピンキー
07/06/04 11:43:58 2Zsah1/y
金出して買うゲームならクレームつけたり修正求める権利もあるが、
SSにそれはない。
金と引き替えに商品を渡してるわけじゃないからな。

ボランティアで掃除してる近所の人達に、
やれここは汚いここは手抜き、

と言うようなことはやめとけ。

716:名無しさん@ピンキー
07/06/04 12:52:58 rj4D4/UU
>>715イイコト言った。

717:名無しさん@ピンキー
07/06/04 13:03:31 KGyvkYdm
荒らし云々より一部住人の擁護がウザー
スルーすればいいのにいちいち噛みついてさぁ……
無自覚な荒らしの分、余計性質が悪いよ


718:名無しさん@ピンキー
07/06/04 13:22:14 lB+MN/2J
あまりクレームのつかなかったゲームもあるんじゃないか?
ヒント:お部屋をおもちします。

719:名無しさん@ピンキー
07/06/04 13:32:11 ssnwgZMx
>>718
あれはクレーム付く付かない以前に全てが日本語としておかしいレベルだし
信者はなんでも造語、きのこ語だって逆に感心するから
正常な人は突っ込む気にもならんのだろ

720:名無しさん@ピンキー
07/06/04 13:42:28 3xfP4LBT
>>715はちょと違うだろ。
掃除なら半分でもやっといてもらえれば嬉しいが、SSは完成品として出すんだからちゃんとした出来でないと(話の内容は別として)。
嫌われてるのは誤字脱字自体より、それを直そうとしない態度だよ。お金がどうこうの問題じゃなく。


721:名無しさん@ピンキー
07/06/04 13:45:37 JyihUIX+
実際に現在進行中で嫌われているトライデント氏に追放を求める声が高まっているようです。
どうやったら騒ぎが収まるんだろうか・・w

722:名無しさん@ピンキー
07/06/04 14:11:57 tNy1ktF+
18歳以上しかいないはずだし、>>3
これで終わりだろ。

723:名無しさん@ピンキー
07/06/04 14:38:20 2L/gCb5R
>>722
ま、そうだな。
それより、時代劇物で良い修羅場小説ってないかな?


724:名無しさん@ピンキー
07/06/04 17:23:40 wtHcDisI
>>715
ここは2ch、その論理は自分のHPとかの場合だろ


725:名無しさん@ピンキー
07/06/04 17:37:46 gkTUDwHB
で?無駄議論をいつまで続るの?

726:名無しさん@ピンキー
07/06/04 17:38:50 t5D2790h
>>723

時代小説はあんまし読まないからよう分からんけれど、
この前読んだ「闇の傀儡師」に、
何度か寝床を共にしただけで主人公の妻のように振舞う女が出てきたなぁ。

アレは惜しかったと思う。

727:名無しさん@ピンキー
07/06/04 17:45:35 2L/gCb5R
>>726
ほう、そんなのがあるのか…
今度本屋で探してみるよ
サンクス

728:名無しさん@ピンキー
07/06/04 17:47:27 yEGwkBXJ
204 :鋸 ◆B6fo1v1q8U :2007/06/04(月) 00:45:04 ID:XjRbiWCo0
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その35
スレリンク(eroparo板)

685.693.695.698  同一ID:cq1Hu+7P

3. 固定ハンドル叩き

701   (上記のコピペです)

6.コピー&ペースト

作者さんへの物凄い誹謗中傷が見られます。
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205 :鋸 ◆UKGpV/fF16 :2007/06/04(月) 00:45:51 ID:XjRbiWCo0
トリ間違えた・・・orz

>>701に速攻反応しててワロタwww鳥の意味が分からんw


729:名無しさん@ピンキー
07/06/04 17:51:05 cq1Hu+7P
>>726
>何度か寝床を共にしただけで主人公の妻のように振舞う女が出てきたなぁ。
この部分で既に購入決定

730:名無しさん@ピンキー
07/06/04 18:17:29 u+bKs6VJ
時代劇と言えば螢火がいい所で止まってるんだよなー
思い出したら続きが気になって堪らなくなって来た。

731:名無しさん@ピンキー
07/06/04 18:29:53 2L/gCb5R
実を言うと、螢火を読んで興味持ったんだ。
昔の方が倫理的にドロドロしてそうでさ

732:名無しさん@ピンキー
07/06/04 18:30:57 e7MNy6zD
>>729

※藤沢周平「闇の傀儡師」にセックル描写は有りません。
  「寝床を共に」というのは、ただ同じ布団で寝たという意味でしかありません。

733:名無しさん@ピンキー
07/06/04 18:38:01 na7CsBtz
>>728
磯野貴理とかけてウザイコテてことじゃね?


734:名無しさん@ピンキー
07/06/04 18:43:08 Nh/Zm2Fk
日本語でおk

735:名無しさん@ピンキー
07/06/04 18:47:43 e7MNy6zD
Sprech Japanisch !!

736:名無しさん@ピンキー
07/06/04 18:54:23 cq1Hu+7P
>>732
いや、セクースは無くてもいいんだ。
ただ男への歪んだ愛が見れれば

737:名無しさん@ピンキー
07/06/04 18:58:42 Nh/Zm2Fk
脱線してるしそっから先は本スレでやれな

738:名無しさん@ピンキー
07/06/04 19:02:45 cq1Hu+7P
>>737
おK

739:名無しさん@ピンキー
07/06/04 21:48:52 kLWQqFOC
独占欲のある女の人の束縛って・・どんなことされるんですか?
経験者の方にお聞きしたいです

740:名無しさん@ピンキー
07/06/04 21:51:23 mZvJEnmp
本スレ逝け

741:名無しさん@ピンキー
07/06/04 22:16:49 jv96rjKT
>>739
とりあえず、彼氏の体を縄で縛られて
彼女が一生懸命に甘えてくるのが常識だけどw

742:名無しさん@ピンキー
07/06/04 22:20:24 XcU9Rx4Z
携帯勝手に持ち出すのはデフォだよな。

743:名無しさん@ピンキー
07/06/04 22:22:54 cq1Hu+7P
>>739
3次はちょっと・・・^^;
それをネタにSSを書くというなら、まとめを読んだ方がよく分かるかも

744:名無しさん@ピンキー
07/06/04 22:28:57 lB+MN/2J
>>741
一生懸命彼氏…のジュニアに甘えて、直前で離れる
の間違いじゃないのか?

745:名無しさん@ピンキー
07/06/04 22:29:12 b2YAMH10
3次元の出来事をネタにすると萌えてくるのはどうしてだろうか?

ちなみに俺は秋島 香奈子 のようなイタイ系の復讐劇みたいな奴が読みたい
本当は大好きなんだけど、復讐して主人公の中の価値を大きくするみたいな・・。


746:名無しさん@ピンキー
07/06/04 22:56:38 cq1Hu+7P
>>744
そして、続けて欲しいならもうあの子と会わないで、となるわけか

747:名無しさん@ピンキー
07/06/04 23:17:52 RMdgHgQ/
一度、神たちはネタづくりのためにマナマナに監禁してもらえばいいんだよ
いい勉強になるよ

748:名無しさん@ピンキー
07/06/04 23:42:18 2L/gCb5R
馬鹿野郎!!
あの人に捕まって逃げられるわけないだろうが!
あれなんかドアの前に人の気配が

749:名無しさん@ピンキー
07/06/05 00:18:19 0zjybbx1
メガネだけどオパーイがバイーンだし料理も上手いんだぞマナマナは!
男なら誰しも監禁されたいと思うでしょうが!

750:名無しさん@ピンキー
07/06/05 00:30:08 PEclVioG
まあ、嫉妬スレ住人の男性は夜道を一人で帰れないんだよな・・
男女関係は逆転した・・俺も用心のために防犯道具を買っておかねけば
気が付いたら・・窓に人影が・・一体どうして・・・

751:名無しさん@ピンキー
07/06/05 12:10:56 ty2pjwIT
雑談スレktkr

752:名無しさん@ピンキー
07/06/05 12:31:42 F1T0XK7k
投下がないときは雑談
投下があるときは作者叩き
これが住人の民度

753:名無しさん@ピンキー
07/06/05 13:11:00 MIYy+fR2
そうだね。
プロテインだね。

754:名無しさん@ピンキー
07/06/05 16:05:57 kGZkv5eX
>>750
拉致監禁が当たり前の時代だからな仕方あるまい

755:名無しさん@ピンキー
07/06/05 16:11:54 tEDnh5TH
URLリンク(nekomarudow.com)

ちょっと期待

756:名無しさん@ピンキー
07/06/05 17:08:18 ziiULrSH
>>755
■ヒロイン全員病んでる!学園サイコホラーADV■
全ヒロインがとことん病んでいます。
殺るか殺られるかの殺伐【ディープ】ラブストーリー。
貴方は生きてEDを迎えれますか?

ここの趣旨と大分違うような・・・
出たら買うけどさ

757:名無しさん@ピンキー
07/06/05 19:11:38 OsD9F3Js
アバウトの所マークパンサーw

758:名無しさん@ピンキー
07/06/05 23:13:22 OIBM5rbx
最終更新日が4月15日だから、このままフェードアウトしそうな気がするんだけど・・・

759:名無しさん@ピンキー
07/06/06 11:47:43 eSHMjQMv
投稿来ないねー

760:名無しさん@ピンキー
07/06/06 13:39:38 LdT+lbfJ
嵐の前の静けさ…

761:名無しさん@ピンキー
07/06/06 17:26:49 zhfcufbK
投下します

762:名無しさん@ピンキー
07/06/06 18:47:36 MX/+sbSe
な、何?この放置プレイ・・・(*´Д`)ハァハァ

763:名無しさん@ピンキー
07/06/06 18:47:36 rVcKZhtT
>>761が投下宣言してからかれこれ1時間
いまだ投下はない。
後日、>>761の死体と、



その姉の死体が隣接して発見された。



764:名無しさん@ピンキー
07/06/06 19:48:16 /D8EKG4V
>>763
姉の監視を振り切って投下しようとしたら、見つかってというオチか・・・
これだけで良いネタになるな

765:名無しさん@ピンキー
07/06/06 19:49:36 t4fdxmpS
放置すらもネタにしてしまうおまいらに脱帽

766:名無しさん@ピンキー
07/06/06 19:52:46 1P40Bg4z
むしろ脱衣して全裸で待ちますよ

767:名無しさん@ピンキー
07/06/06 19:56:52 xmKjnHbi
女子の全裸なら大歓迎

768:名無しさん@ピンキー
07/06/06 20:04:18 X1tzJV4D
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part2
スレリンク(eroparo板:530番)

530 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/06(水) 17:24:51 ID:zhfcufbK
>>505
あぁ…今までの痴漢に仕立て上げた女とかはどうなろうと知ったこっちゃなかったけど、
陽一に好意を持ってくれてる可愛い女の子が、レイプされたりしたら…
俺三日間は鬱になる…
レイプは嫌だ…orz

531 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/06(水) 17:25:39 ID:zhfcufbK
ごめん上げちまった



生存確認w

769:名無しさん@ピンキー
07/06/06 20:05:10 yx0YTV+q
じゃあオレが脱ごう

770:名無しさん@ピンキー
07/06/06 20:08:24 /D8EKG4V
>>769
お前・・・連れ去られるぞ

771:名無しさん@ピンキー
07/06/06 20:13:18 MX/+sbSe
>>770
何!?じゃあ俺も脱ぐ!!

772:名無しさん@ピンキー
07/06/06 20:16:33 IQPDvKyd
>>768

( ´,_ゝ`)プッ

時間も読み解けないだなんて、普通の生活おくるだけでもすげぇ大変そうだな。

773:名無しさん@ピンキー
07/06/06 20:37:57 uZ2hGjPm
このスレは◆Xj/0bp81B氏を最後に投下がなくなり雑談のみになりました
チクショー

774:名無しさん@ピンキー
07/06/06 20:41:13 /D8EKG4V
釣り針でかすぎ。釣られないよ。

>>771
俺も俺も!!

775:名無しさん@ピンキー
07/06/06 20:42:10 e7aEcnRu
>>773
しかもつまらないというのが致命的w


776:名無しさん@ピンキー
07/06/06 21:02:24 Dr+qTH2D
お兄ちゃんひとりで何ぶつぶつゆっとるん?

777:名無しさん@ピンキー
07/06/06 21:19:02 LdT+lbfJ
>>774
どうぞどうぞ

778:名無しさん@ピンキー
07/06/06 21:37:17 zhfcufbK
ごめん暇だったからつい調子に乗ったwwww

779: ◆WIhkQEicx2
07/06/06 21:42:29 uWco1Z+3
中々神が現れないからちょっと自分でスレを汚そうと思う。
初めて長編に挑んでみた。で、第一話目。

780:彼女の目はつぶら ◆WIhkQEicx2
07/06/06 21:44:50 uWco1Z+3
「……こえてたら…を……て。
聞こえるかい?聞こえて…手を握って。」

ふと起きたらなんだか体はダルくて、起きてるのに目の前は真っ暗で、
聞こえてくるのは「あの人」の声だけだった。
聞こえてたら手を握って、って言ってる。ダイジョウブ、聞こえてるよ?
だから、あたしはゆっくり手を握る。「あの人」の手を傷つけないようにゆっくりと。

「あ!!聞こえてるんだね!もう一度、握って!」
「あの人」がとても嬉しそうだから、あたしはもちろんもう一回握る。

「僕の声が聞こえてるんだね!?ちゃんと起きてるんだね!?」
「うん…おきてるよ。」
ゆっくりと言葉に出す。なんだかダルいから、いつものように元気に「あの人」に答えることができなかった。
「良かった…良かった…!教授、成功しましたね!!」
「こうもあっさり成功するとは、自分でも信じられんよ。」
「滅多なことを言わないでください、教授。僕は必ず成功すると思っていました。」
「それはただの願望だろう。それとも言い訳か?拒否反応も『しょうとつ』も起こる可能性はまだ十分にあるんだぞ。」
「それを、『彼女』の前で言わないでください、教授。」

「あの人」と知らない人の声が聞こえてくる。何を話しているのかは、ムズしくてよくわからない。
ただ耳を通りすぎていくだけ。でも「あの人」の声だからそれでもいい。

「聞こえてるよね?君がこうして起きてくれて、僕は本当に嬉しい。
君は、君の名前は?名前は言えるかい?」
名前?私の?私は…水崎環(みずさきたまき)。

自分の名前を頭の中で唱えると、少しだけ頭がクリアーになってきた気がする。
途端、私が置かれている状況が気になりだした。
相変わらず目の前は暗くて、全身が虚脱感に襲われている。
でも、自分がベッドのようなところに寝ていることとか、だるさの中にもチクリとした不快感、
つまり腕や足に何かを差し込まれているような感覚があること、
目の前の暗闇は、私の目が見えなくなったとかこの場所が真夜中の真っ暗闇だからというわけではなく、
私が何か柔らかい布で目隠しをされているんだということとか、色んなことに気づきだした。
普通に考えたらここは…病院だと思う。私は、何か大怪我をしたんだろうな。
大怪我?大怪我。そうだ!私は、ここでこうして起きる前、飛び出してきた車が、
横から、私は気づいたら飛んでて、地面が視界を覆いつくしていて…!!


781:彼女の目はつぶら ◆WIhkQEicx2
07/06/06 21:45:59 uWco1Z+3

「どうしたの?まだ、喋るのはつらいかい?無理はしなくてもいいんだ。」

「あの人」の声が聞こえてきて、あたしはこわいことを思い出すのをやめた。
こわいことなんて考えたって仕方がない。それより、「あの人」がいってるよ。
あたしに名前を言えって。あたしの名前は、そう。
みずさきたまき。
え?
みずさき、たまき?あれ?何でだろう。あたしそんな名前だったっけ?
「あの人」はいつもあたしをそう呼んでくれていたっけ?

「…やっぱり、まだ無理みたいだね。ゆっくり、ゆっくりでいいよ。
君が思い出せた時に言えばいい。僕からは、君の名前は言えないから。
なんて呼んであげたらいいのか、分からないからね…。」

「あの人」が困っているのが分かった。困らせるのは良くない。あたしがつらいから。
でも、どうしてもみずさきたまきという言葉が言えなかった。
私は確かに水崎環なんだけど、どうしてもしっくりこない。
だから、「あの人」に代わりに呼んでもらおう。

「…よ…んで?あなたが呼んでくれるなら…なんでも、いいから。」

「   分かった。呼ぶよ?…黒。」
黒、くろ、クロ…。
若い先生(らしき人。多分ここは病院だから)が呼んだその名前は、なぜか私の心に染み込んだ。
私はそんな名前、っていうか単なる色で呼ばれたことなんてなかったはずだし、
小中高とそんなあだ名付けられたこともなかったはずなんだけど。
何故か今すぐ走り出したいくらいに喜んでいた。
病院のベッドの上でそんな風に気持ちだけがはしゃいでいる。
おかしい。変だ。体の違和感は消えていないしそもそもまともに動かせない。
だけど、あたしはその時確かにうれしかった。


782:彼女の目はつぶら ◆WIhkQEicx2
07/06/06 21:48:12 uWco1Z+3



私が次に目を覚ました時には、世界は明るさを取り戻していた。
別にどっかの誰かが光の玉を使ったとかそういうわけではなく、
単に目隠しが外されていたから見えた、というそれだけのこと。
久しぶりに私の目に差し込んでくる太陽がまぶしくて、それで窓から光が差し込んできてるってことに気が付いた。
まだちょっとだるい首をふっと窓と反対側に向けると、昔お父さんが入院した時にも見た普通の病室のドアが見える。
もぞもぞと体を動かすと、私は真っ白のシーツをかけられたベッドの中にいることが分かった。
間違えようがない。こりゃ病室だ。
「いたたたたた」
体を動かしていたら、腕が鈍痛に襲われた。あー、点滴が刺さってたんだ。
それが動かした拍子に擦れて痛かったんだな。
「うん、こりゃ間違いなく私は入院患者だな。」
改めて、言葉に出して今の自分を確認してみた。
私、水崎環19歳の短いような長いような人生の中でも、こんな経験はなかったのでちょっと面食らっていた。
目が覚めたら突然入院状態って。私の身に何が起こってるんだろう。
この清潔で安心感ある(私はまだ安心できてないけど、一応比喩で)病室の雰囲気からして、
どこかの怪しい男とか教団とかに連れ去られて監禁されてるとかそういうことは無さそうだ。
あの緑色のドアを開けて入ってくるのは、多分優しい看護婦さんとか優しい先生とかそういう人種だ。そう思いたい。

…先生?そうだ、私が起きたのはこれが最初じゃない!
唐突に、忘れていたことを思い出して、心臓がバクバクと高鳴るのを感じる。
そうだ、私を起こしてくれた若い男の人の声と何だか偉そうなおっさんの声を覚えている。
聞こえてたら手を握れとか何とか、
いかにも意識を失って大変なことになってましたって感じがする邂逅を果たしたんだよ、うん。
やっぱり私は大変な事故に巻き込まれて、ここに担ぎ込まれてるんだと思う。
「そっかー。まいったなー。」
考えたことを正直に言ってみた。ちくしょう。誰か反応してよ。
不安になるでしょ、何の説明もなしにほっとかれたら。
このまま、この明るすぎる日差しに照らされながら不安な時間を過ごさなければいけないのだろうか?


783:彼女の目はつぶら ◆WIhkQEicx2
07/06/06 21:50:27 uWco1Z+3
少しずつ襲い掛かってきそうになる恐怖をどうにかしようとする前に、
緑色のドアからこんこん、と軽いノックの音が聞こえた。
「は、はひ!?」
はい、と言おうと思ったんだけど、あまりに突然だったので噛んでしまった。
そのまま、ガラガラとドアが開けられる。

開けたのは、背が高くて短い髪の綺麗な男の人。
綺麗、っていうのは顔もそうだけど良く見たら白衣だったのでそう思ったのかもしれない。
あたしは、知っている人が部屋に入ってきたので途端に安心した。
…「知っている人」?私、この人知ってたっけ?
「おはよう、黒。いい朝だね。」
「お、おはようございます。」
その先生らしき人がこれぞ朝、って感じの爽やかな挨拶をしてきた。
ああ、この声、あの時の先生だ。最初に私が起きたときの。
それで、知っている人だと思ったのかな?
顔が何となく男優の大沢た○おに似てるから、何となく知ってる気になったとか、そんな理由かもしれない。
とにかく私は安心したので、その辺の軽い疑問はどうでも良くなっていた。
先生はそのまますたすたと私のベッドの横にまで歩いてくる。
それでそのままごく自然に、私の頭をなで始めた。
「黒、今日も調子はいいかい?ご飯は食べられそうかな?」
わしゃわしゃと、ちょっと強すぎない?と思うくらいなでてくれる。
最近の病院って、こんなサービスまでしてくれるのかな…小児病棟とかじゃないよね、ここ。
私は小さい方だけど、子ども料金で電車に乗るとかそんなロリ的な真似したことないし…。
「あ、あの、先生、それってちょっと、照れるんですけど…。」
「うん?珍しいね、黒がそんなこと言うなんて。」
先生は気にせず大きな手で私の黒髪をかき乱す。ううううう。嬉しいけどどうなの、これ。
それに、何で私のことを『黒』なんてそんな情緒もへったくれもない名前で呼ぶのかな、この人。
「せ、先生先生。私、水崎です。事故った時に学生証とかは入ってませんでした?」
どういう状況でここに入ったか良く分からないけど、
この人は多分悪意でやってるんじゃなく、何かの手違いなんだろうから訂正しておいた。
「え?」
先生の手が止まる。目を見開いき、口を開けっ放しにして私のほうを見ている。
何か驚くようなことを言っただろうか、私。もしかして手術患者を取り違えたとか?
「君は、黒じゃなくて、水崎さん、なんですか?」
数秒して、先生が一言一言を噛んで含めるようにゆっくりと、私に確認してくる。
「はい。そうです。」
私ははっきりと答える。先生は綺麗な顔がちょっとアホっぽくなるほど呆然としていた。
ああ、やっぱり何か、重大なミスをしたんだろうか?私の体、大丈夫なのかな?
不安になる。でもその前に、やっぱりもうちょっとなでられておけばよかったかな、とも思った。
あたしはなでられるのが大好きだから。特にこの人に。


784: ◆WIhkQEicx2
07/06/06 21:51:13 uWco1Z+3
こんだけ。この後はまた書きながら考えようと思う。じゃ、また。

785:名無しさん@ピンキー
07/06/06 21:55:06 /D8EKG4V
    ┌┐    ┌─┐         (゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚).        ┌─┐
┌─┘└─┐│┌┐│         (゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚).        │  │
└─┐┌─┘│└┘│┌──┐(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)┌──┐│  │
┌─┘└─┐│┌┐││      │(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)│      ││  │
└─┐┌─┘└┘││└──┘(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)└──┘└─┘
    ││        ││         (゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚).        ┌─┐
    └┘        └┘         (゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚).        └─┘

>>784
何か色々と謎ですけど続き期待してますぜ!!


786:名無しさん@ピンキー
07/06/06 23:59:11 lmoeEdXn
>>784
とりあえず言わして貰おう、GJと!!!

787:緑猫 ◆gPbPvQ478E
07/06/07 00:03:32 UtBw+HQy
投下します

788:七戦姫 10話 ◆gPbPvQ478E
07/06/07 00:04:33 UtBw+HQy

 * * * * *

 ―さて。どうするべきか。
 
 隣に一人。周りに六人。
 戦姫の集う部屋にて、クチナは頭を悩ませていた。
 
 脇には緩みきったヌエの笑顔。
 周囲からは少女たちの尖った視線。
 
 刀を使う小さな女の子―ヘイカが飛び込んできて。
 
 ユナハとヘイカが戦って。
 
 イクハとヘイカが戦って。
 
 何故かサラサを連れたケスクが乱入して。
 
 そしてヌエが突撃してきて。
 
 最後はツノニが無理矢理まとめた。
 
 
(……滅茶苦茶だ……!)
 
 
 このような状況で、はたしてクチナにできることはあるのだろうか。
 何もかも無かったことにして、ベッドの奥に潜り込みたくなってしまう。
 
 しかし。
 
 その場合、残された少女たちはどうなるのか。
 特に、ヘイカとヌエは立場上、とても微妙な状態である。
 ヘイカは侵入者として殺されてしまうかもしれない。
 ヌエはその実態を、本来の管轄であるケスクに知られてしまうだろう。
 この二つは、クチナとしては絶対に避けたかった。
 
 そして、クチナにできることはただひとつ。
 
 体力も権力もない、病弱王子にできること。
 それは。
 
 
「―ねえ、君。……えっと、ヘイカさん。
 どうして僕の部屋に来たのか、教えてくれないかな?」
 
 
 話すこと。
 それだけが、彼にできることだった。




789:七戦姫 10話 ◆gPbPvQ478E
07/06/07 00:05:18 bYA4HHq7

 * * * * *
 
(……ん。怖がってるときは凡骨だけど、やること決めたら頭の回転は悪くないのよね。
 さすがくっちー。―私のご主人様、だもんね)
 
 クチナが背後へ振り返り、刀を持つ少女に問いかけたとき。
 ツノニは、誰にも気付かれないように緩んだ溜息を吐いた。
 
 
 所用で城から出ていた帰りに、クチナの寝室の窓が全壊していたときには背筋が凍った。
 慌てて部屋に向かうと、繰り広げられていたのは大乱戦。
 まず最初にクチナの無事を確認し、彼に危害が加えられてないことには安堵したが。
 怒声程度では止められそうにないことも理解したツノニは、実力行使に出ることにした。
 
 6人全員の無力化。
 
 尋常な状態だったら、不可能以外の何ものでもないが。
 幸か不幸か、場所はクチナの寝室だった。
 床の溝やの壁紙の模様に合わせて張り巡らせた“糸”を使い、何とか動きを封じることができた。
 寝室に仕込んである“罠”は三桁を超える。
 クチナの部屋の掃除を任されているツノニだからこそ、仕掛けられた。
 
 その後は、全員を牽制しつつ、即座に戦闘を起こせない距離を確保させ、膠着状態を作り出した。
 配置には神経を削ったが、今の今まで問題が起きなかったから、成功といえるだろう。
 
 ヌエだけは、クチナと離してはならない。
 
 ツノニはそう判断し、彼女だけ、主人の傍に居ることを許した。
 他の5人は、多かれ少なかれ、自制の利く人間だ。
 配分はどうであれ、熱い自分と冷たい自分を裡に有していて、何とかバランスを保つことができる。
 だが、ヌエだけは、“熱い自分”しか持っていない。
 故に己を制せられず、感情の赴くままに行動してしまう。
 
 そんな娘だから、クチナに任せるしか、できなかった。
 
 ヌエを殺さずに止めることは不可能である。
 実際、糸を展開させたときも、ヌエが一番、その身に糸を食い込ませていた。
 体が切断されなかったのは、攻撃動作中ではなかったから。それだけだ。




790:七戦姫 10話 ◆gPbPvQ478E
07/06/07 00:06:04 bYA4HHq7

(……まあ、死ななかったから問題なしということで。
 …………竜騎士を怒らせちゃったのは痛いけどなあ……)
 
 正攻法であれば、この中で最強を誇るであろう竜騎士ケスク。
 彼女に己の技量を見せ、且つ怒りを覚えさせてしまったのは痛すぎた。
 怒るということは、すなわち注意が向いているということだ。
 不意打ちを至上とするツノニにとって、それはこの上ない足枷となる。
 
(……まあ、なるようになるか。そんなことより今はくっちー。
 刀娘とヌエちゃんがどうなるかは、くっちーにかかってるようなもんだしなあ)
 
 己の不利はとりあえず脇に置き。
 ツノニは、主人と刀娘の会話に耳を傾けた。
 
 
 * * * * *
 
 
 ヘイカの話を聞いて。
 
 全員が、なんだそれは、という顔をした。
 
 それに腹を立てたヘイカは、声を荒げて繰り返した。
 
 
「―だから、大会の年齢制限を取り払えと言っている!
 こんないい女を捕まえて、何が“子どもは早く帰りなさい”だ!
 巫山戯るのも大概にしろッ!!!」
 
 
「…………えーと」
「……え、何の冗談?」
「……って、クチナのお嫁さんを決める大会だし……」
「子どもは早く帰れー」
「……くちな、あいつ、おこさま?」
 
 
「殺す……! 此奴等全員斬り殺す……!」
「え、えっと、その、落ち着いて! 動くと切れちゃうってば!
 ……その、要するに、君も大会に出場したいの?」
「うむ。木っ端役人を問い詰めても無駄だというのはわかりきっているからな。
 ―手っ取り早く、王子本人に抗議しに来たわけだ」
 
 あっけらかんと言い放つヘイカ。
 そして、彼女はこう続けた。
 
「要は強ければいいのだろう?
 ならば年齢など気にするのは可笑しいではないか。
 あとは母胎さえあればいいはずだ。だから出場を許可しろ」




791:七戦姫 10話 ◆gPbPvQ478E
07/06/07 00:07:22 bYA4HHq7

「ぼ、母胎って、えっと、その……」
「安心しろ。我は産めるぞ」
 
 真正面からのヘイカの言葉に。
 クチナは真っ赤になって横を向いた。
 
 と。
 
「―ふざけないで!
 今度の大会は、クチナの“お嫁さん”を決めるのよ!
 なのにさっきから、母胎とか産めるとか恥ずかしいこと言って!」
 
 ブーツを床に叩き付け、ケスクがヘイカを思いっきり怒鳴っていた。
 そして、剣の柄に手を掛ける。
 
 瞬間。
 数名が反応して動こうとした。
 しかし。
 それより早く。
 
「―ケスク、待って!」
「ッ!? ……く、クチナ?」
 
 クチナの声が、ケスクを止めていた。
 引きつった空気の中、クチナはゆっくりと言葉を紡ぐ。
 
「……ヘイカさんの言ってることは正しいよ。
 幼く見えるけど、彼女は大会出場に恥じない使い手だ。
 その彼女が、優勝することの意味を理解していて、出場を希望している。
 ―だとすれば、こちらに断る道理はないよ」
 
「ふむ、話のわかる王子で助かったぞ。
 では、年齢制限の件は―」
 
 我が意を得たりと笑むヘイカに。
 クチナは強引に、言葉を割り込ませた。
 
「―でも、ひとつだけ。
 制限を取り払う代わりに、規則をひとつだけ付け加えたい」
 
「……取引か。顔の割りには剛胆な奴だな。
 内容によっては受け入れよう。言ってみろ」




792:七戦姫 10話 ◆gPbPvQ478E
07/06/07 00:08:16 UtBw+HQy

 クチナはひとつ深呼吸。
 そして、ぐるりと全員の顔を見渡した。
 脇のヌエが、不思議そうに首を傾げる。
 そして。
 
 
「これから言う規則は、きっと公式には認められないものだと思う。
 だからこれは、ここにいる7人が、個人的に守ってほしい」
 
 そこで一息区切ってから。
 クチナは、覚悟を決めた表情で。
 
「―“相手を絶対に殺さない”
 ……これが、僕の出す新しい規則だ。
 試合で戦うのは仕方ない。
 それで重傷を負わせるのも避けられないと思う。
 でも。
 絶対。
 殺しちゃ、ダメだ」 
 
 
 ごくり、と誰かが唾を飲んだ。
 クチナの表情に揺れは無い。
 確固とした覚悟のもと、クチナはその言葉を口にした。
 
 
「もし、この中の誰かが試合の中で殺されたら。
 
 ―僕は、舌を噛んで死ぬからね」




793:緑猫 ◆gPbPvQ478E
07/06/07 00:09:10 UtBw+HQy
お久しぶりです。今回はあっさりめです。
長かった前哨戦も終わり、次回、ようやく本戦開始です。
新キャラも次回登場予定です。

サクサク●っていきますね。修羅場万歳!

794:名無しさん@ピンキー
07/06/07 00:18:34 KzGB2hXt
>>793
王子、お前男だ!
王子も緑猫さんもGJ!

795:名無しさん@ピンキー
07/06/07 00:22:30 3GIjrdAU
>>793
GJ!王子テラヒロインww

796:名無しさん@ピンキー
07/06/07 00:23:41 mhAU2GOi
>>793
GJなんだけどさ…うん。
生殺しか、これは。
あれだけ言われて九十九を投下しないとは…
その度胸に乾杯

797:名無しさん@ピンキー
07/06/07 00:25:55 rjJaQWbW
なんだ、まだいたのかお前。


798:名無しさん@ピンキー
07/06/07 00:25:57 wm7juMbn
イヤッホオオウ!


ユウキと言いクチナといい主人公に萌えてこまr

799:名無しさん@ピンキー
07/06/07 00:42:53 ZgvKSt+5
おぉう! 病弱なりに頑張る主人公に惚れたw
GJッス

800:名無しさん@ピンキー
07/06/07 00:50:03 URDcIW0H
>>793
王子可愛いよ王子!!
もうどっちがヒロインかわかんね、良い意味で。

801:名無しさん@ピンキー
07/06/07 00:55:23 ROBSgYhl
待ってる作品が投下されるとほっとするなぁ。GJ!
クチナいい感じですね。
次回も楽しみにしてます。

802:名無しさん@ピンキー
07/06/07 01:35:22 aRAdVx5S
>>>793
つまんねーーーーーーーーーーー,もう投下するな


803:名無しさん@ピンキー
07/06/07 01:38:51 HnZg+aHe
>>802
ハゲシクドウイ
マジ投下止めてほしい



804:名無しさん@ピンキー
07/06/07 01:40:42 5onEZ5aX
>>803
禿同
投下止めてくれ



805:名無しさん@ピンキー
07/06/07 01:42:11 UWJFPFzb
>>804
九十九投下しろって話だよNE☆

806:名無しさん@ピンキー
07/06/07 01:43:55 rBDZk7a0
>>805
戦姫は普通につまらん


807:名無しさん@ピンキー
07/06/07 01:45:49 l//9jBHY
>>806
いや、面白いよ




読んだことないけど信者として擁護しておく


808:名無しさん@ピンキー
07/06/07 02:07:05 URDcIW0H
皆分かってると思うが、短時間で連続して沸くIDの違う荒らしは同一人物だからな
【パターン例】

まず「信者乙or作者自演乙orつまんね」等々
       ↓
ここで大体、「禿同」が出てくる
       ↓
んで反応すると「自演UZEEEEEE」になってグダグダ

最近はバリエーションが増えたのか、語尾にNEを付ける時もある。
もうパターン化されてるので、極力スルーして欲しい。


809:名無しさん@ピンキー
07/06/07 02:09:04 tKqSVA7A
>>808
避難所、逝こうぜ

810:名無しさん@ピンキー
07/06/07 02:34:52 RvRc27uO
とりあえず簡単に殺ったら勿体ないと思ってたので王子ナイス
妃決定後もドロドロするんだよね?

811:名無しさん@ピンキー
07/06/07 05:50:23 1HT8cAKU
これで新キャラが虐殺しまくらない限り、ハーレムエンドですね。
正妻決定トーナメント,負けたら妾。

でも丹下左膳やZ武になったりするのは忍びないなぁ。

812:名無しさん@ピンキー
07/06/07 06:13:36 xB04ZObx
>>808
ソースは?

813:名無しさん@ピンキー
07/06/07 07:11:04 KeuaSN2u
王子、男かな。また中途半端な偽善じゃね
中国の刑じゃないが、ひどい不具にされて殺されない、死ねないってのもかなり残酷だぞ
逆に、負けたほうがわざと致命傷まで負えば、王子を道づれにできる罠
王子の馬鹿行動で、貴族の陰謀で選手暗殺、王子自殺、全員後追い自殺、なんてオチになったら目も当てられん

814:名無しさん@ピンキー
07/06/07 07:13:27 5vQaQULJ
GJ!
いやっほ-い!!誰も死なずにすむ可能性が出てきたぞい!!!

815:名無しさん@ピンキー
07/06/07 07:49:19 gQDUKU3r
元々は宗主国に対するご機嫌とりで、娯楽として大会を開かざるえないという話だったのに
殺さず、では宗主国の貴族の興奮度は、本国で行われている剣闘以下じゃないのか
奴隷少女は簡単に相手をぶち殺してるワケで
なんという本末転倒ぶり

816:名無しさん@ピンキー
07/06/07 09:58:55 xastFCtR
だがそれがいい!(ニヤッ

817:名無しさん@ピンキー
07/06/07 14:03:30 RvRc27uO
妃を決める大会で殺し合いってのもなんか違う気がする

竜騎士が悲参加なら殺し合いもありだったかもしれんが(他の参加者の身分的に)
あの竜騎士が参加してて殺し合いはちょっと不味いと思った。もし死んだりしたら外交問題になりそうなくらいの
身分ぽいしな

818:名無しさん@ピンキー
07/06/07 14:18:05 r+ux9g58
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ


819:名無しさん@ピンキー
07/06/07 14:28:07 EdBSdIVe
文盲だらけだな

820:名無しさん@ピンキー
07/06/07 14:40:45 mAPzhB5W
今のところ、
こうなったらいいな、
こうなるんじゃね?
くらいだからいーんでないの?

こうしろよ! これはダメだろ!
とか直接的に言ってきたら問題だが。

取り敢えず猫様GJ!

821:名無しさん@ピンキー
07/06/07 14:55:52 yjR1JI9g
>>815
>>817
色々伏線が張ってあるかもしれないし、これからの展開もある。
悲観するのはまだ早いぜ!

822:名無しさん@ピンキー
07/06/07 17:24:31 fhe8gBOt
自分でもつまんないと思うけど、プロット投下するわ

男が13歳の時に、友達だと思っていた女に逆レイプされて中出してしまい、
女が妊娠→女の子が生まれ、数年後無理やり結婚
さらに数年後、男と結婚するために生んだ女の子が異常なほどのファザコンで男にベッタリ
で女が実の娘に嫉妬、だが女の子も男の妻である女が妬ましく、疎ましい存在だった





823:名無しさん@ピンキー
07/06/07 17:31:19 URDcIW0H
>>822
もろにツボなんだが・・・
当然書いてくれるよな?

824:名無しさん@ピンキー
07/06/07 17:35:14 Mxp5sBgb
>>822
俺はいいと思うけど
あとはおまえさんの腕次第だ

825:名無しさん@ピンキー
07/06/07 17:37:39 Mxp5sBgb
あ、プロットだけで書くわけじゃないのか…orz

826:名無しさん@ピンキー
07/06/07 18:00:19 wm7juMbn
>>822
13歳は速いなw

なんか若年結婚とか周りの目とかそういう描写が難しそう

827:名無しさん@ピンキー
07/06/07 18:08:48 URDcIW0H
>>826
6歳で妊娠、7歳で出産するラノベがあるんだぜ?

828:名無しさん@ピンキー
07/06/07 19:08:18 mAPzhB5W
是非とも教えて欲しい。
タイトルプリーズ

829:名無しさん@ピンキー
07/06/07 19:09:23 mhAU2GOi
>>827
現実なら100%死ぬだろそれ。
きのこっても手足両目が無い超未熟児か。


830:名無しさん@ピンキー
07/06/07 19:09:46 Dg17bkz0
ダディフェイスか?

831:名無しさん@ピンキー
07/06/07 19:12:09 h8LKgIbp
>>829
何で現実の話が??


てか、ヒロインは宇宙人の血を引いた超人ですから。

832:名無しさん@ピンキー
07/06/07 19:13:08 Dg17bkz0
>>829
別に問題はない。
URLリンク(ja.wikipedia.org)

833:名無しさん@ピンキー
07/06/07 19:31:58 yjR1JI9g
ダディフェイスは美貴が主人公依存症だからな…
母と娘の修羅場は良い物だ

834:名無しさん@ピンキー
07/06/07 19:41:22 yjR1JI9g
つまり何が言いたいかというとだ
>>822よ、分かるな?

835:名無しさん@ピンキー
07/06/07 19:48:00 ebDRzV3s
まあ、他の誰かが書くのもOKだよなw

836:名無しさん@ピンキー
07/06/07 21:57:22 RvRc27uO
>>822
娘と妻の年齢が凄く近くて
娘が超ファザコン、妻も当然夫のこと超大好きっての凄いツボだ

837:名無しさん@ピンキー
07/06/07 22:26:44 fhe8gBOt
よかった…正直叩かれるかなぁ…って思いながら書いたから
けど俺文才能力0なんだ…ごめんorz


838:名無しさん@ピンキー
07/06/07 22:41:05 kMVEIHwx
叩かれるのは日本語がおかしい人だけです
誰かと言わないけど・・。
さて、次スレタイトルを決めようぜ

ドロボウ猫、首折れるでいいよ

839:名無しさん@ピンキー
07/06/07 23:00:55 URDcIW0H
立てた。

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その36
スレリンク(eroparo板)

840:名無しさん@ピンキー
07/06/07 23:01:01 xFaWZSze
とりあえず次もナンバーかな?
37番だけは語呂合わせするっきゃないでしょうけど(笑)

841:名無しさん@ピンキー
07/06/07 23:12:07 kMVEIHwx
あちらにAAを張ってきた・・
少し愛情を込めた台詞に10分ぐらい考えたわけだが・・

842:名無しさん@ピンキー
07/06/07 23:21:02 xastFCtR
>>841
「キメェww」ってレスしようと思ったんだけどここは嫉妬スレだったんだよね。ふー、危うく刺されるところだった。(・ω・´;)
GJ!!

843:名無しさん@ピンキー
07/06/07 23:28:48 Mxp5sBgb
ypじゃないのかYO!って思った

844:名無しさん@ピンキー
07/06/08 00:02:13 WKqYbDdy


845:名無しさん@ピンキー
07/06/08 00:07:50 QvSiHaGj
URLリンク(uproda11.2ch-library.com)
感謝の死るし
パスは目欄

846:名無しさん@ピンキー
07/06/08 00:09:36 QvSiHaGj
誤爆・・・orz

847:名無しさん@ピンキー
07/06/08 00:18:54 C8L4795n
[反村幼児] 小雪の季節


( ´,_ゝ`)プッ

848: ◆Xj/0bp81B.
07/06/08 03:18:19 /SPf4Foo

投下します

849:すみか ◆Xj/0bp81B.
07/06/08 03:21:07 /SPf4Foo

夜道は暗い。街灯の光も、所々でその明かりを失い、不気味な静けさと共に闇が翔を深みへと誘っている。西の空に浮かぶ下弦の月が、
瞬く無数の星と、闇を吸い込み青さを持った雲を従えて銀色の光を放っていた。夜空の月は、
想像以上に明るく闇の中で一人気をはいている。しかしそれでも影をひくには至らず、辺りは闇のモヤに隠され、
かろうじて自分の周りだけが見えるだけだった。
夏の間は元気に鳴いていた蝉の声もいつの間にか途絶え、時折鈴虫の悲しげな調べを聞く事がある。
秋の冷たい夜気が半袖から顔を出す素肌を撫で、左腕に鳥肌を残していく。夏服ではもう肌寒い季節、時間になった、と思う。
夏は終わったのだ。それなのに、右腕はウールにつつまれたような暖かい。その暖かさは、間違いなく人肌のものだった。
翔は、ギョロリと瞳を回し右腕を温める澄香を見る。白く透き通る澄香の横顔が、雪灯りのように闇の中で映えている。
彼女は翔の腕に体を絡ませ、まるで寄り添うように共に歩いていた。それが昼間なら、恥ずかしくて絶対に許さなかっただろう。
夜だから、誰もいないから許しているのだ。と、言うのは理由の半分で、残りの半分は、あのとき見た澄香の淀んだ瞳が、
瞼の裏に残っていたからである。恐怖が体を縛りつけ、振り払う事が出来ないのだ。
不意に、澄香の顔がこちらに向き、彼女を眺めていた翔の視線と視線がぶつかった。翔の瞳を真っ直ぐ見据え、ニィと瞳を細める澄香。
心の中を覗かれているような気がして、翔は慌てて視線をそらした。垣間見た彼女の瞳には、既に部屋で見た狂気は消え去っていた。
それでもあの時の恐怖の火種は、まだ心の底でくすぶっている。腕に体を絡ませ、時折甘えるように頭を擦りつけてくる彼女からは、
既にあの時のような恐怖は感じない。しかし、心と体があの恐怖をしっかりと覚えていて、ありとあらゆる神経が逆立ち、
彼女の異変をすぐにでも感じとろうとしているのだ。いつ再び澄香に異常が訪れるのか、そんな不安ばかりが翔の中で渦を巻いている。


850:すみか ◆Xj/0bp81B.
07/06/08 03:23:17 /SPf4Foo

不安でざらついた足音が、コンクリートを叩き続ける。闇の向こうの繁華街で、パトカーが何かを追い回す音が聞こえた。ジワリと、
季節外れの蝉の鳴き声が聞こえたような気がした。
澄香の家から一キロほど歩くと、翔の家がある。辺りはいわゆる高級住宅街で、ひっそりとした静けさと共に、
どこか高貴な雰囲気をかもし出していた。どこもかしこも大きく立派な家ばかりだが、その中でも我が家は広い、と翔は自覚している。
さすがにテレビに出てくるような豪邸とは言えないが、この住宅街の平均より明らかに広く大きい。しかし、夜の戸張に覆われ、
自ら瞬く事のないその大家は、まるで星空の中の空白のようにただただ不気味なだけだ。
「センパイのお家って大きいんですね」
澄香が、どこか感心したように呟いた。その声に、どこか羨望を孕んでいるような気がして、翔はせせら笑う。
大きいから、うらやましい?
それは錯覚もいいとこだ。大きいから、寂しいのだ。
「ここまで来れば、いいだろう? 腕、離してくれないか?」
翔は、その寂しさを隠すように言った。
澄香は、翔の腕を力を込めてギュッと抱き、無言で何かを考えているようだったが、やがて、パッといきなり腕をほどいた。
もっとぐずると思っていたので、いささか肩透かしを食った気分だった。ようやく解放された右腕には、まだ澄香の熱が残っていて、
冷たい夜気をはねかえしジンジンとうずいている。
向き直り、頭を下げる澄香。彼女の漆黒を宿した短い髪が、宙に舞った。
「それじゃあ、センパイ。私は帰ります。また明日、学校で」
そう言うと、澄香は素早く身を翻し、まるで何かに追われるような早足で、夜の闇に紛れていく。
ゆっくりと溶けるように消えていく澄香の後ろ姿。不意に翔は何かとてつもない胸騒ぎを覚えた。
このまま、澄香を行かしてはいけない気がした。
「ちょ、ちょっと待って」
気が付くと、澄香を呼び止めていた。淀みなく歩いていた澄香の足がピタリと静止する。
「あ、その……」
呼び止めておいて、何一つ言葉を用意してなかった自分に気付く。


851:すみか ◆Xj/0bp81B.
07/06/08 03:29:50 /SPf4Foo

何を言おうとしていたのだろう。自分の感情を表す言葉が見つからない。いやそれ以前に、既に確かに感じた胸騒ぎも消え去り、
本当に自分があのような感覚を感じたかさえ分からなくなっていた。もしかしたら、本当は気のせいだったのかもしれない。
そんな気さえする。
しかし、それでも何かを言わねばならない。闇の中に佇む澄香は、もの言わず翔の言葉を待っているのだ。
そして、翔がようやく捻だした言葉は、
「……あのさ、由美さんに謝っとけよ」
深い闇に、静けさが戻る。
闇の向こうで、澄香が小さく頷いた気がした。そして、澄香は今度こそ、闇の中に消えていく。
違う。こんな事を言いたかったわけではないのだ。もっと別の、澄香を、そして自分の不安を取り除ける何かを言いたかった。それなのに、その何かを言い表す言葉が見付けられない自分が、たまらなく歯がゆい。
気が付くと、彼女の姿が、闇に飲み込まれて完全に消えていた。ふと我に返り、翔は無理矢理今までの思いを断ち切る。わからない事を考えたり、まして後悔しても仕方ないのだ。
そして翔は小さな門を抜け、敷地の中に入った。玄関先の、パンジーの花瓶の下に隠された鍵を取り出す。
平日の午前中に来訪する家政婦が、鍵をここに隠していくのだ。もちろん翔もそれとは別の鍵を持っているが、不用心なので、
帰宅の度に回収する。そして、朝は登校前に花瓶の下に忍ばせておくのだ。それは翔が小学生の頃から、暗黙のルールとなっていた。
鍵をあけ、翔がノブに手をかけた瞬間。
─ゾクリと、
戦慄が背中を駆け抜けた。何かが、背後にいる。
まるで獲物を狙う肉食獣のような湿った視線が、背中に絡み付いていいる。
思わず悲鳴をあげそうになったが、何とか飲み込み、恐る恐る振り返る。
何もない。
そこには、闇を纏った細い道だけが真っ直ぐ延びていた。
気のせいなのだろうか。
そのとき頭によぎったのは、なぜか、やけに嬉しそうに嗤った澄香だった。

852: ◆Xj/0bp81B.
07/06/08 03:32:16 /SPf4Foo
投下完了です。

853:名無しさん@ピンキー
07/06/08 05:59:25 HkKVlwZF
GJ!
あー鍵の場所みつかっちゃったららめぇw

854:名無しさん@ピンキー
07/06/08 09:39:45 GkQdF++i
これは恐ろしい澄香のなく頃に・・・早く続きが読みたいw

855:名無しさん@ピンキー
07/06/08 10:31:45 VUwifLZC
とうとう家屋侵入フラグが立ったか…
俺もこんな彼女が欲しいあれなんか人の気配が

856: ◆WIhkQEicx2
07/06/08 20:56:43 AvuK7atT
投下するよー。

857:彼女の目はつぶら 第2話 ◆WIhkQEicx2
07/06/08 20:59:54 AvuK7atT
「ふんふんふふんふん、んっふんっふ♪」
陽気に鼻歌を奏でながら、人のあんまり歩いていない廊下を歩く。
ここはこの大学病院の中でも重症の人しか入れられてない区画らしくて、
元々私のように元気に歩き回るような人はいないから。
夕暮れが差し込みだした寂しげな廊下で、ただただ私の鼻歌だけが響く。
時々すれ違う看護士さんがジト目で睨んでくる。すいませんうるさくて。
でもヒトって楽しい時には自然とメロディがこぼれちゃうんです。

「今会いにいくからね!かっちゃん!」
私は(気持ち小声で)宣言してから、ちょうどよくこの階に着いてたエレベーターに乗る。

かっちゃん、というのは、私が目覚めた時に最初に会った若い先生のこと。
北克己(きたかつみ)、という名前なので、私が勝手にかっちゃんと呼んでる。
目下、私が一番気にしている存在。
優しいとかイケメンとか若いのに准教授とかイケメンとか目覚めてから一番最初にあった人とか
病院という実は狭い生活範囲の中で一番頼れる人とかイケメンとか、
色々理由を挙げようと思えば挙げられるけど、でも、そもそも会ったときからどこかで会ったことがあるような、
そこにいてくれるだけで安心感を与えてくれる人だった。
ううん。あたしはあの人にあったことがある。そういう確信がある。
あ、そうそう、気になるといえば、あの後「何で私を黒って呼んだんですか?」って聞いてみても、
かっちゃんは顔を引きつらせて笑うだけで答えてはくれなかった。
気になるけど、もしも患者取り違えとかがあったとしても、
私は元気なわけだし、困ってるのは取り違えられた『黒さん』の方だから、別にいいかとも思ってる。
あ、でも、もし子宮とかそういうの取っ払われてたりしたら。
「そのときは、かっちゃんに責任とってもらおう!」
と、叫んだところでチーンという音がして、私を乗せた箱が開いた。
准教授室まで、軽やかなステップで進んだ。こないだまで病人だったのに、何でこんなに体軽いんだろう?
ふとした疑問が頭をよぎりつつも、目指す部屋の扉を躊躇なく開いた。

「やっほー!かっちゃん!遊びに来た…」
全部言い切る前に固まっちゃったのは、部屋にかっちゃんだけでなく別の女がいたから。
別に見てはいけないシーンというわけじゃないけど、いる人間が問題だった。
「水崎さん、せめてノックをしてから入ってください。常識というものがないんですか?」
嫌な匂いと聞きたくない人の声。あたしは気が滅入りそうになった。
女は目を吊り上げて私を叱る。ただでさえ細いっちゅーのに、線になっちゃってるよ?
私を叱るこの気の短い女は、看護婦の1人。名前は…なんだっけ?忘れた。ってか覚える気なかった。


858:彼女の目はつぶら 第2話 ◆WIhkQEicx2
07/06/08 21:02:54 AvuK7atT
かっちゃんの横に座って何かを話してた風なんで、多分仕事の話をしてたんだろう。
「まぁまぁ、堂島くん。水崎さんがそれだけ元気になったってことでもあるし。」
「先生は甘すぎます!患者は神様でも何でもないんですから!」
かっちゃんがかばってくれた。優しいなぁ、と思ってると、
堂島はかっちゃんの膝に手をかけて詰め寄り、非難を始めた。
あんたそれ、間違いなくかっちゃんに詰め寄る方が目的でしょ。
「ちょ、ちょっと堂島くん、近いよ。」
「黙って聞いてください、先生。私は貴方に対して言いたいことがいっぱいあるんです。
そもそも、私は先生のことをですね」
堂島は何か不穏なことを言いかけてる。
ピーンと来たあたしは、ツカツカと二人の方に近寄って、かっちゃんの腕を手にとって、噛んだ。
「あいたたたたたた!?み、水崎さん!?」
「な!なにやってんのよあんたーーーーー!!!」
かっちゃんは突然のことに慌て、堂島は顔を真っ赤にして立ち上がる。
「何やってんのって?見たら分かるでしょ。かっちゃんを噛んでるの。」
とはいえない。何せ、口ふさがってるからね。どっかの三刀流の剣士みたいなマネはできません。
「水崎さん、は、離してくれないかな?痛いんだけど。」
ごめんね、かっちゃん。
二人の会話を中断させたくて、堂島に近寄られてちょっと顔を赤くしてたかっちゃんにもちょっぴり腹が立ってて、
何よりあたしは堂島の体に口をつけるなんてまっぴらごめんだし、ってわけでかっちゃんを噛んだの。
それに今は、あたしは貴方を噛んだままでいたいから。
「先生どいて!鎮静剤投与します!」
堂島はいつの間にか何かのビンを手にして、投げる寸前というモーションに入ってた。
確かに、『投与』って投げて与えるって書くけどさ、ホントに投げちゃまずいんじゃない?
「ど、堂島くん!!君も落ち着くんだ!とりあえず鎮静剤の使い方違うから!!!」
「いいえ、これが一番良く効く使い方なんです!!」
さらに慌てふためくかっちゃんと、殺気を漂わせる堂島と、
慌てたかっちゃんもかわいくていいな、と思う私。
部屋は正に混沌、って感じで、私はちょっと楽しくなっていた。

「おう先生!!邪魔するぜー!!」

大騒ぎになっていた部屋を、モーゼのように切り開いたのは、私の良く知っている無遠慮で野太い声だった。
ノックもなしに扉を開いたその声の男が、ずいっと入ってくる。
間違えるはずもない、この男は。

「ヤ○ザーーーーー!?こ、この病院に何をしに来た!?」
混乱極まった堂島が、鎮静剤を投与する対象を部屋に入ってきた男に変えて、投げて与えようとする。
「ちょっとまった堂島くん!この人は○クザじゃなくて、」
「私のお父さん。」
かっちゃんの言葉に続けて、私が真実を伝えた。
堂島は、投げモーションのまま、ピシッと固まった。


859:彼女の目はつぶら 第2話 ◆WIhkQEicx2
07/06/08 21:05:20 AvuK7atT


「がっはっは!まぁしょうがねぇかなぁ!俺ぁこういう風貌だからよぉ!!」
笑いながら、父さんは自分の膝をバンバンと叩く。
流石に人の父親をヤのつく職業の人と間違えたことは申し訳なかったのか、堂島はそそくさと部屋を出て行った。
なので、私、かっちゃん、父さんの三人で、准教授室で椅子に座って話し合うことになった。
私も仕方ないと思うんだけどね?プラスチック工場で長年結構真面目に働いてきた父さんは、
一度機械に指を挟まれて、小指がなかったりするしさ。髭も濃いし顔もいかついし。
服も、一体どこで買ってくるのかいつも不思議な紫のスーツだし。
院内のパジャマの私や普通の白衣のかっちゃんは病院にマッチしてるけど、
父さんは明らかにミスマッチ。よくここに来るまでに通報されなかったなー。
「申し訳ありません、うちの看護士がとんだ間違いを。」
「いいんだよ、先生!この病院には感謝してるからよぉ!
なんたって、なぁ!お前がこうして、起きてるんだもんな!!」
言いながら、父さんは私の方を向いて、がばっと体を抱く。その太い腕で。
「たまきーーーーーーー!!!おとうさん、ずーっと心配してたんだぞーーー!!」
ゆさゆさと体を揺らしながら父さんは叫ぶ。ちょっと泣き声になってる?
でもそれも、しょうがないよね。なにせ、私は。
「一年も目を覚まさねぇからよぉ…俺ぁもう…ぐすっ、お前は二度と起き上がらねぇんじゃないかとよ…!!」
そう、一年間も、ずーっと意識不明だったのだから。


「まったく、信じられねぇぜ!!つい1時間前にお前が起きた、って聞いた時は、心臓が止まるほど驚いた。
こうしてお前の声がもう一度聞けるなんて、神様ってやつぁいるもんだなぁ!」
私の状態についてかっちゃんが説明した後も、相変わらず父さんは感動しながら喋り続けていた。
それだけ私を心配し続けてくれたことが分かるから、嫌じゃないけど、ちょっとウザいかな。
それより、ちょっと気になることがあった。つい1時間前?私がちゃんと起きたのは3日前だったと思うんだけど?
軽い疑問をかっちゃんに訪ねてみると、
「ああそれはね、君が安定して覚醒していられるかどうかは分からなかったから。
お父さんをぬか喜びさせるわけにはいかないだろう?」
と説明してくれた。私がちょっとでも目を覚ましたら、普通すぐに家族に連絡するもんなんじゃないのかな?
でもまぁ、かっちゃんが言うんだから仕方ないよね、と、あたしは納得した。
「どうでもいいぜそんなこたぁ。とにかくお前が目を覚ましてるってのが一番だからな!」
がっはっは、と父さんが笑う。うん、そうだよね。

「だがよ、俺もな、一つだけ気になることがあるんだけどよ。」
父さんが、指の欠けた手を自分の顎にかけて考え込むポーズをする。
「一年も目を覚まさなかった環が目を覚ましたってことはよ。
先生はもしかして、環のクローンを作って治してくれた、ってことかい?」



860:彼女の目はつぶら 第2話 ◆WIhkQEicx2
07/06/08 21:08:05 AvuK7atT
クローン。
父さんが突然出したその言葉に、何故か私の心臓は大きく反応した。
どくんどくんと高鳴っている。クローン?
「俺ぁ聞いたんだよ。どうしても治らない怪我や病気を治すには、
そいつのクローンを作って患者に移植すりゃあいい、ってよ。
別に俺ぁどういう方法で環が治ろうがかまわねぇんだが、先生、そこんとこどうなんだ?」
父さんを見ていた私は、すぐ横にいるかっちゃんの方にゆっくりと顔を向ける。
そうなの、かっちゃん?
私が固唾を飲んで見守っていると、かっちゃんは断言した。
「違います。」
と。


患者のクローンを作って、失った部分や使えなくなった臓器を移植する。
誰でも考えついて、拒否反応も起こらない、でも人としてどうかと思うこの方法は、
今では結構当たり前に使われている、らしい。
らしいというのは、噂には聞いても表には出てこないから。
どっかのマッドな教授が実行して発表した後、できるんだということははっきりしたけど、
そんなこと流石に国が許すわけないから、誰も「私も同じことをしました」とは言い出さなかった。
でも、できるとなったらしちゃうのが人のサガ。
お金を積んでクローンを作ろうとする人たちは、多いらしい。
私も、飛び出してきた車に轢かれて頭を打つ、というすごく普通の事故で眠ったままになる前に、
そういう方法があるんだということくらいは知っていた。
だから、私のクローンがいても、そこまでびっくりはしないと、思う。
「確かに環さんは脳にダメージを負っていて、普通の治療では治る見込みはかなり薄い患者さんでした。
でも、こうして目覚めているのは環さん自身の力です。低いといっても可能性はゼロじゃありませんでした。」
かっちゃんはクローンという方法を使ったことを強く否定する。
「いいんだぜ、先生。使ったとしてもよ。大事なのはここに環がいることだ。
あ、先生、もしや俺のナリから病院を脅すつもりじゃないかと思ってねぇだろうな?
やめてくれよ、先生。俺ぁ穏やかな人間なんだから。」
だっはっは、と笑い続ける父さん。
父さん、穏やかに思われたいならファッションセンスを変える必要はありそうだよ?
「いえ、お父さん。本当にやってないんです。
方法とか人道的なことはこの際否定しません。実際に行っている例は僕も知ってますからね。
でも環さん、水崎さんの場合ではもう一つ問題があります。
はっきり言いましょう。お金です。」
身も蓋もないことを、かっちゃんは真顔で語りだす。
「クローン作りには莫大な費用がかかります。
卵子提供者と保管管理、母体になってくれる人を探す、
その人に何度も施術を行い、さらにクローンが育つまでの費用を負担する。
それを隠しておくための場所。見つかれば補助金がなくなるという危険もある。
大学病院もイメージほど安泰なわけではないんです。
お金はかかる、名誉も得られない、それどころか世間や上から非難される。
そんな方法を取るためには、それ相応の代価が必要です。
大変失礼ですが、水崎さん。あなたの資産状況では、それだけのお金は。」
「払えない、わなぁ。」
ははは、と心なしか力がなくなった笑いで、お父さんは答えた。

861:彼女の目はつぶら 第2話 ◆WIhkQEicx2
07/06/08 21:11:06 AvuK7atT
「俺もよ、本当はそういう手段を取ろうかと思ったんだぜ?
だから、身を粉にしてこの一年働いてきた。環を治すためなら、何だってしようと思ったよ。」
グッとくること、突然言い出さないでよ、父さん。私まで泣きそうになるでしょ?
「でもま、足りなかった、っつーかなんつーか。
他の病院の医者に聞いたら、こんなはした金じゃ無理だって言われちまった!だはは!」
ガクッとくることを言い出さないでよ、父さん。感動した私が馬鹿みたいでしょ?
あはは、とかっちゃんも付き合いで笑う。いいよ、かっちゃん。この人ほっといても。
「あ、じゃあよぉじゃあよぉ!」
父さんが何かを閃いたー!って顔してる。あ、この顔は。
「親切なのは今だけで、俺あてに馬鹿高い請求書が送られてくるとか!」
「送りません。流石にそんな危ない商売するほどには困ってません。」
あーあ、悪ノリしだしちゃった。じゃあ、私ものっちゃおう、っと。
はいはーい!と小学一年生ばりに手を挙げて、指名される前にずばりと言った。
「じゃあ、私があんまりかわいいから治してソープに売るつもりだとか!」
「相場は詳しくは知らないが、多分そういうところに売った代価よりクローン製作費の方が高いだろうね。」
ちぇっ、かわいい、ってところに反応してよぉ。
「あれだろ、環をクローンの実験台にして学会に発表してとか!」
「クローン技術自体も、それを人に移植する実験も、方法としては既に確立されたものです。
今更僕が症例を挙げようと、何の論文も書けませんよ。」
「私は何か特殊な抗体とかそういうの持ってて培養したかった!」
「それは多分、君が目覚めなくても行えるね。」
「じゃあ昔俺が先生の命の危機を救ったことがあって、その恩を感じてってぇのはどうよ!?」
「恐れ入りますが、私と水崎さんは環さんが眠ってしまってからの知り合いです。」
「だよなぁ、先生みたいな白い巨塔に住んでる人と俺とじゃ、接点ねぇよなぁ。」
父さん、それある意味合ってるけどなんか違うよ?
呆れ顔になりだすかっちゃんと、楽しくなってきた私たち。
「じゃあ、じゃあ…」
必死で考える私。真実はいつもひとつ。よーし、これだ!
「もしかして、もしかするとだよ?かっちゃんにはすごく好きな人がいました。
でもその人は病気や怪我で体がほとんどなくなっちゃって…
その人にどうしても生きてもらいたかったかっちゃんは、残った部分を私に移植したとか?」
「…ロマンチックな妄想、と言えばいいのかな。良くそんなこと思いつくね?
残念だけど、そんなことしようとしても拒否反応が起こって死んでしまうだけだよ。
特に脳なんてデリケートなところに、まったく違う遺伝子を持った他の人の脳を移植するなんてことは、不可能だ。」

その後もあれこれと考えたけど、かっちゃんの鉄壁を崩すことはできなかった。
ま、元々かっちゃんを疑う理由もないんだけどね?気になったのは、私の胸の鼓動だけ。
ただそれだけだから。
「納得してもらえましたか?
とにかく、娘さん、環さんは、自分の力で起き上がったんです。」
机に手を置いて、かっちゃんが静かに結論づけた。
納得した父さんは、静かに席を離れ…なかった。立ち上がると、がしっとかっちゃんの左腕を掴む。
「な、何でしょう?水崎さん。」
「難しい話は、まぁどうでもいいのよ先生。とにかく俺ぁうれしいんだ!いっちょ飲みに行こうぜ、先生!」
二カッと笑う父さん。
今までの私なら父さんがはしゃぐのを止めてただろうけど、
その日のあたしは、かっちゃんと一緒に楽しく騒ぎたかった。
立ち上がって、あたしもかっちゃんの右腕を掴む。
「な!?環さん!?」
「いこ!かっちゃん!」
「がっはっは、環ぃ、お前分かるようになったなぁ!!」
親子の強み、息のあったテンポで、かっちゃんを抱えたままずんずん歩く。
「僕にはまだ仕事が。何より環さんは患者で!もしもーし!!??」
細かいことはどうでもいいじゃない。楽しもうよぉ。かっちゃん。


862: ◆WIhkQEicx2
07/06/08 21:12:30 AvuK7atT
第二話ここまで。
あ、すいません、うちでは理系の人からのツッコミは受け取ることになってませんので。
ええ、ええ。今回は目を瞑っていただくということで。お願いします。

863:名無しさん@ピンキー
07/06/08 22:32:11 iPz1aWrh
GJ!
そういえば医者が恋人の脳を別人に移植しちゃうエロゲあったなぁ

864:名無しさん@ピンキー
07/06/08 22:41:34 iPz1aWrh
すまん。sage忘れてた;

865:名無しさん@ピンキー
07/06/09 16:26:55 OBas37aj
本当に人が少なくなってしまったね・・

866:名無しさん@ピンキー
07/06/09 17:05:37 /a9VvnOZ
人が増えると変なのも増える。何事も程々がよろしい。

867:名無しさん@ピンキー
07/06/09 19:23:32 oWhdrM33
              /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.、:.:| \\
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   /    \   V|/ |:.:.:.:|:.:.|:.:.:. 「`{テ:圷、:.:.:.| x|セ行「\:.:.:.ト、!:.:.:\\:.:.:.:.:.:.:.:.:. \
  /  ヽ. 、 |   | l   ヘ:.:.:.:.|:∧:.:.:.:| ゞ‐┘ ヘ: |.  辷.リ /:\| `ー‐ \\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
  |  \ Y/  |_/´ ̄ ̄ \ ハ| \∧    , ヽ    /:./ノ´ ̄ ̄ ̄` \〉:.:.:.:.:.:.:.:.:.
  ヘ\ヽ Y_/              /:.:∧    ,___     /:./::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:.:.:.:.:.:.:.
   ` ー‐'′               |:.:/ /\  `ー┘   /:./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:.:.:.:
                        |/ 〈::::::::/ヽ、_ .. イ:|/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ̄ ̄
                       /  ∨/ / /ヽ  / /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
                        |   ヘ|  | .|::::/ / /::::::x-――‐‐/
                        |     |  |/::::| / /::::::/       ,
                       |     l  |::::::;/ /|:::::/     /



嫉妬パンチーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

868:名無しさん@ピンキー
07/06/09 19:51:19 dyNdB8BN
>>867
何のキャラだっけ?

869:名無しさん@ピンキー
07/06/09 20:20:16 ksWXR62K
バキ

870:名無しさん@ピンキー
07/06/09 20:40:54 wprbocse
バキって女性の登場人物もいるのか

871:名無しさん@ピンキー
07/06/09 21:11:07 NwBKY7Nv
てか・・賑やかさがなくってしまったのはどうしてだろうか・・
昔は神の投稿でGJな毎日だったのに

872:名無しさん@ピンキー
07/06/09 21:15:46 dyNdB8BN
>>869
へ~バキってこういう系の女の子も出るんだ

873:名無しさん@ピンキー
07/06/09 21:31:27 ksWXR62K
賑やかだからアホの標的にされたんだろ
そもそもこのスレには波があんだよ
投稿が集中する→アホがのたうち回って静かになる→落ち着くと投稿が再開される→アホが(ry
毎回毎回同じパターンなんだからいちいち落ち込み時の度に過疎だ過疎だ騒ぐなよ新参者

874:名無しさん@ピンキー
07/06/09 21:57:53 ULsJ+OYe
>>873の兄貴っぷりに嫉妬

875:名無しさん@ピンキー
07/06/09 23:18:58 ltRcedti
>>867ってなのはSSのシグナムだべ?

876:名無しさん@ピンキー
07/06/09 23:29:41 t4zA0U+5
みんな分かってるさそんなこと……

877:名無しさん@ピンキー
07/06/10 00:43:54 CwnpWsEu
どうでもいいが、転帰予報の続きが読みたい・・・


878:名無しさん@ピンキー
07/06/10 01:52:10 VecKtG56
俺も転帰予報待ってる
そして雨の音も待ってる




でも僕我慢出来るよ!職人さんだって生活あるんだから!
出来る世!

879:名無しさん@ピンキー
07/06/10 02:03:45 ZRW5YcsL
モチベーションは永久に続くものではなく消費されるものだから
大事なのはそれを再び盛り上げる「リ・モチベーション」だって誰かがこないだ言ってたぜ。

880:名無しさん@ピンキー
07/06/10 02:20:11 VecKtG56
モチベーションなのかモチュベーションなのか
シミュレーションなのかシュミレーションなのか
俺にはわからない
教えてくれ五飛

881: ◆Xj/0bp81B.
07/06/10 02:49:54 MtUrZP1q
投下します。

882:すみか ◆Xj/0bp81B.
07/06/10 02:54:15 MtUrZP1q

とんでもなくついていなく、最悪な一日がようやく終わる。そう安堵の溜め息を漏らしつつ、翔は力なく家の門を開けた。まだ太陽は高く、
空も青い。しかし、翔はすでにボロボロで、すぐにでも倒れてしまいそうだった。いや、さっさとベッドに倒れこみたかった。
ともかく、今日はとことん厄日だ、改めてそう思う。今までの人生を振り返ってみても、ここまで疲れた記憶はない。
それほどの疲労を呼び込む不幸が、雪崩のように翔を飲み込んだのだ。
元々嫌な予感はしていた。昨日、自分が学校でやらかした事が、どういった困難を呼び込むかくらいは想像できていたし、
覚悟はしていたつもりだった。しかし現実は想像をはるかに超えていて、覚悟という名の心の壁はいともあっさりと決壊し、
裸にされた一番柔らかい精神をジワジワといたぶられた結果、肉体的と言うより精神的な疲労でグロッキーになってしまったのである。
今朝、教室につくや否や、いきなり好奇の目に晒された。昨日の中野とのやりとりが、事実を無視して一人歩きし、
様々な憶測がクラスの中で飛び交っていた。浮気したとか、だから別れるとか、果てには中野をもてあそんだ悪者にまでされていた。
もちろんそれら全ては事実無根であり、翔は必死で噂を否定しようとしたのだが、間が悪いことに中野が欠席したため、
余計に高まったクラスの好奇心を沈静化させる事は出来なかった。
たっぷりの非難と好奇と、主に男子の嫉妬に晒されつつ迎えたホームルームはさらに地獄だった。担任はテストを放ったらかしにして、
しかも無断で早退した翔にたいそうおかんむりで、朝っぱらから怒鳴り声をあげた。もう大学進学は絶望だとか、
こんな馬鹿ははじめて見たとか、昨日巨人が負けたのはお前のせいだとか、ここぞとばかりに関係のない事まで持ち出し、
翔の精神をガリガリ削る。担任は加虐的嗜好を瞳に宿し、そこに快感を見い出したのか、一時間目の授業まで全て説教で潰しやがった。
そしてようやく辿りついた休み時間。こってりと絞られ、とってもへろへろな翔は、力なく机に突っ伏していた。
相変わらずクラスは翔の噂で持ちきりだが、もう翔にはそれを否定する力は残っていなかった。そして、抵抗する力を削がれた晒し者の地獄は、
一日中続いたのだった。


883:すみか ◆Xj/0bp81B.
07/06/10 02:56:45 MtUrZP1q

思い返すだけで、重い疲労に押し潰された肺から、溜め息ばかりが漏れる。せめて中野がいてくれれば、噂を沈静化出来たかもしれない、
と思うと、今日に限って欠席しやがった中野に恨めしい気持ちが沸々と煮えたぎる。もっとも、
今日学校に来れなかった中野の心情も分からないでもないが。
そのとき、ふと、今日は澄香の姿を見掛けなかった事を思い出した。教室の噂を拾い聞きしたかぎり、澄香も今日は欠席らしい。
あくまでそれは噂なのだが、いつもならお昼を誘いにくるはずなのに、今日は来なかった所から考えると、
まんざら噂だけではないようだ。昨日、夜風に当たり過ぎて風邪でもひいたのだろうか。少し心配だ。後で電話してみよう。
そんな事を考えながら、残された僅かな力を振り絞り、玄関先の花瓶を持ち上げる。家政婦が残した家の鍵が、
ここに隠されているはずなのだ。が、持ち上げた花瓶の下に、あるべきはずの鍵はなかった。
その事にいささか不審に思いもしたが、それは珍しいことにしても、初めてというわけではなく、
首を傾げどそれ以外に何ら感じる事はなかった。家に来る家政婦は、まれにそういったミスを犯し、鍵を持って帰ってしまうのだ。もっとも、
それで家に入れないわけではないので、翔はすぐに思い直し、鞄から鍵を取り出して、玄関のドアを開けた。
後ろ手で鍵を閉め、玄関の上がり端に鞄を放り投げると、翔はゾンビのような足取りで階段を登っていく。
二階の廊下の突き当たりに翔の部屋がある。その途中にある部屋は全て空き部屋となっていて、また一階も同じように空き室が多く、
そのため翔のこの家での行動範囲は、自分の部屋と台所、リビング、後はトイレと風呂くらいで、他の部屋にはほとんど入る事はない。
それでも時々垣間見るそれらの空き室は、奇妙なくらい整然としていて、埃ひとつない。有能な家政婦が、
全ての部屋を平等に掃除してくれているのである。しかしそれは、悪く言うと画一的であり、生活の匂いのない部屋まで整然としているのは、
より今の状況が目の前につきつけられるような気がして寂しさを助長させている。一番散らかっている翔の部屋が、妙に落ち着き居心地がいいのも、
その辺りに理由があるのかもしれない。



884:すみか ◆Xj/0bp81B.
07/06/10 03:01:55 MtUrZP1q

細い廊下、その突き当たりにある自室の前まで歩を進める。そこにはのっぺりと黙りこんだドアが佇んでいる。部屋と自分を遮るそのドアのノブを回し、
静かにそれを押した。
眼前に、見慣れた自室の光景が飛込んできた。
少しだけ、気が抜けて疲れがドッと体に押し寄せる。危うくその場にへたりこみそうになったが、そこは気合いで乗り切る。
ベッドは、すぐそこだ。
部屋の中に足を踏み入れる。その時だった。いきなり体に戦慄が走った。

─何かが、おかしい。

見慣れているはずの自分の部屋に妙な違和感を感じる。それは、心の隅に宿った小さな感情。しかし、その感情はすぐに翔の心全てを飲み込んでいく。
心臓が、早鐘をうつ。
何だ? 何がおかしいんだろう。
改めて部屋を見渡す。
今朝見た時と同じ机、同じベッド、同じ本棚、同じテーブル。何も変わっていない。そのとき、ふとテーブルの上に目が止まった。出した覚えはない、
しかしまた、出していないという確信もない幾冊かのアルバムが、そこに散乱しているのだ。
違和感の正体はこれだろうか。
一番上のアルバムを取り上げる。それは中学時代の、卒業アルバムだった。
何気無く、ページを開く。
一ページ。目次と校歌。
一枚、ページをめくる。校長の顔写真と、訓辞。
ページをめくる。
その瞬間、全身の全ての毛が逆立った。体の中を脈脈と流れる血液が、その温度を失い体が一気に冷え込んだ。寒くて、体が震え、
全身に鳥肌が立った。違和感の正体は、間違いなくこれだった。
全校生徒の集合写真。そこから、思い出の詰まったアルバムが狂いだしていた。
その集合写真には、顔が、ないのだ。
真っ黒なインクで、顔が塗り潰されている。そのページからは、鼻をつくような濃厚なインクの匂いが漂っていた。
魂が揺さぶられたかのような驚愕。しかしそれと同時に、おかしな事が一つ頭にモヤを張る。塗り潰されそこねた顔が、いくつもあるのだ。何故だろう、と首を傾げる。時間がなかったのか、単純に塗り潰しそこねたのか、はたまたわざと塗り潰さなかったのか。



885:すみか ◆Xj/0bp81B.
07/06/10 03:04:09 MtUrZP1q

その答えを求めて、もう一枚ページをめくる。
教員の集合写真。そこで、塗り潰されていない顔がにある共通点が分かった。
塗り潰されているのは、全部女性なのだ。
慌てて、ページをめくる。
次のページも、その次のページも女性の顔だけが、全て塗り潰されている。一人一人の個人写真も、修学旅行や部活、
数ある行事の写真も全て同じように、女性の顔だけが執拗に黒く塗り潰されている。
たくさんの思い出が、真っ黒なインクと共に狂気に塗り潰されている気がした。
恐怖が、少しづつ心を蝕み始める。悪戯にしては度が過ぎているし、そこに何か執念のようなものを感じたのだ。
一体誰が、そして何のためにこんな事をやったのだろう。それは分からない。だが、犯人が狂っている事だけは分かる。犯人は、おかしいのだ。
開いたページから、インクの匂いと共に、その狂気までもが匂い立つような気がして、翔は思わずアルバムを閉じた。
打ち上げ花火のように、大きな音を立てて閉じられたアルバム。その後に残る静寂と、寂廖も花火のようだった。その物寂しさに紛れ込んで、
突然津波のように巨大な恐怖が翔の心を飲み込んだ。静けさが、怖い。恐怖に足が震えて、立っている事が出来なくなった。翔はアルバムを胸に抱き、その場にしゃがみこんだ。
体が、狂ったようにガクガクと震える。
怖い。
まさか、他のアルバムも同じようになっているのか。
怖い怖い。
しかし、確認する勇気はなかった。
怖い怖い怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。

─そのとき、

「センパイ……」
背中から、消え入りそうな静かな声が聞こえた。
心臓が、止まりそうになった。
「どうしたんですか? センパイ」
澄香の声だった。
振り返る。
そこには、制服姿の澄香が立っていた。


886:すみか ◆Xj/0bp81B.
07/06/10 03:06:07 MtUrZP1q

恐怖が、安堵へと急速に変化する。その地獄から天国の心境の変化に、不覚にも涙腺が緩み、涙が溢れ落ちそうになった。寂しい時、
悲しい時、そして怖い時。誰かが、特に親しい人が近くにいてくれるのは、とても心強いと改めて認識した。
しかし、それでも涙が溢れ落ちなかったのは、ある事に気付いてしまったからだ。途端に、その安堵も、まるでジェットコースターのように、
別の感情に変化する。体に寒気が走った。
─何故、澄香がここにいる?
学校を休んだのではないのか。
いや、そもそも澄香はどうやって家に入ったのだ?
確かに鍵は閉められていたし、翔もまた閉めたはずだ。
「……どうして、ここにいるんだ……?」 翔は、警戒に身を固めて言った。
すると、澄香はうんざりしたように、
「どうしてって、センパイに会いたいからに決まってるじゃないですか。当たり前の事を、」
「違うっ!! 俺が聞きたいのは、澄香がどうやってこの家に─」
─そのとき、ふいに彼女の右手に握られているものが目に入った。それは、家政婦が持って帰ってしまったはずの家の合鍵だった。


887: ◆Xj/0bp81B.
07/06/10 03:09:20 MtUrZP1q

ついにストー化ー。嫉妬と言うよりヤンデレか?と、時々自分で疑問を持ちますが、投下完了です。
なんか最近書いててもの凄く楽しい。

888:名無しさん@ピンキー
07/06/10 04:16:40 wjf9Y9lp
GJ!
マジックで塗りつぶし>実に素晴らしいw
書いててもの凄く楽しい>とても良い傾向ですw
そして定期的な投下をしてくれるのはとてもありがたいです
今後も頑張ってくだされぃ!!


889:名無しさん@ピンキー
07/06/10 10:51:19 j+p0tkal
フラグ消化に余念のないいい子でつね。澄香は。






ヤセ我慢だよ!
超怖えよ!
次回も楽しみにしてます。頑張ってください!

890:名無しさん@ピンキー
07/06/10 11:08:51 M/G/jiJg
てか、次は空鍋か?

891:名無しさん@ピンキー
07/06/10 16:22:23 7WLchAEk
凄く静かだな・・・・・

892:名無しさん@ピンキー
07/06/10 19:04:52 mF3577/9
スクールデイズがアニメ化するわけだが、


エロパロ版にスクールデイズスレが誕生するのか?

893:名無しさん@ピンキー
07/06/10 20:43:02 81cZfHl+
言葉様レイプENDとかないよな?な!?な!?な!?ないよな!?!?

894:名無しさん@ピンキー
07/06/10 21:04:20 u5Dl+PuG
>>893
多分ない…放送Cに引っかかる。


が、しかし 歩道橋首切り、腹部刺殺、電車人身事故。
この中の何れかが選ばれるかも…

895:名無しさん@ピンキー
07/06/10 21:44:28 j+p0tkal
ヘルダイブはダメ?

896:ントだ。なんでこんな簡単な小テストで15点しかとれないのよ」  知るか、と一男は言いたかった。  だが、自分の学力を否応無く思い知らせるテスト用紙を見ていると、落胆で何も言う気にならなかった。  月曜日、一男たちのクラスでは国語の小テストが行われた。  問題数は20。配点は一問につき5点。  一男が15点しかとれなかったということは、3問しか正解できなかったということだ。  一男は国語と社会と英語が不得手だったのだ。  一男たちの学校では、来週から期末テストが始まる。  一学期の期末テストで赤点をとろうものなら、夏休みの間、補習を受けることになる。  夏休みに旅行へ出かけるつもりでいた一男は、当然補習を受けたくなかった。  そのために、一男なりに勉強したつもりではいた。  しかし結果はこの通り、一男には補習が必要だと証明することにしかならなかった。 「これはもう、補習確定ね。ご愁傷様」 「ああ、ううう。……自転車で県内一周する計画が、こんなことで、こんなことでぇ……」 「諦めなさい。行けなくなって良かったじゃない。  あんた1人じゃ、トラブルに巻き込まれてそこで人生終わっちゃうわよ」 「くう……」  幼馴染の組子の言葉を聞いても、一男は諦める気にならなかった。  一男は先日自転車を購入したばかり。  しかも、一男がずっと以前から欲しかったロードバイクを買ったのだ。  ロードバイクに乗ってどこまでも、走れるところまで走ろう、と考えていた。  そのためだけに一男は努力し、体の脂肪を削り、筋肉をつけてきたのだ。  簡単に諦められるわけがない。 「頼む、組子!」 「なに?」 「勉強を教えてくれ!」



897:姉妹家庭教師ネタ
07/07/09 17:54:51 YrZ9gadi
 深く頭を下げる一男を見て、組子は顔をしかめた。

「なんのために?」
「俺を助けるためにだ!」
「どうして私が?」
「お前しかいない!」
「他の友達に頼めばいいじゃない」
「どいつもこいつも勉強じゃ頼り甲斐のない奴ばかりなんだ!
 クラスで5番以内に入るお前なら、俺を補習の魔の手から救うことができるはずだ!」

 もう一度、深く頭を下げる一男。
 組子は腕を組んで、考えるように天井を見上げ、数秒してから顔を下ろした。

「……やっぱり嫌」
「何故だ!? 幼馴染の俺がこれだけ頼んでいるというのに!」
「私だって暇じゃないのよ。だいたい勉強教えるって言っても、私教えるの上手くないし」
「それでも構わない、お前が教えてくれたら、俺は必ず満点をとれる。
 俺にはお前が必要なんだ! 俺にはお前しかいない! 組子、お前さえいてくれればいいんだ!」
「…………なあっ?!」

 一男の言葉を聞いて、組子は驚いた。
 どれほど驚いたのかというと、顔を茹蛸のように紅くするほどだった。

「な、なななななななな……」
「……ななな?」
「あんた、いきなりこんなところでそんなことを……」
「そんなこと?」
「今、あんたには私が必要だって……」

 一男は怪訝な表情で首を傾げた。
 組子は何を驚いているのだろうか。
 自分にとって組子は仲のいい幼馴染であり、頼れる存在だ。
 おんぶにだっこというわけではないが、自分は組子にかなり助けられている。
 組子が必要だ、というのは自分の正直な気持ちなのに。

「もう一度言う。俺を助けてくれ。俺には、お前が必要なんだ」

 正確には組子の『助け』が必要だった。
 しかし、組子には一男の言葉しか届いていない。

「………仕方ないわね。現国だけなら、引き受けてあげるわよ」

 組子には、顔を紅くして返事することしかできなかった。


898:姉妹家庭教師ネタ
07/07/09 17:55:33 YrZ9gadi
*****

 一男は1人で学校から自宅へ向かう帰路についていた。
 隣には、なんだかんだ言いながらも仲のいい幼馴染の姿は無い。
 今日、たまたま組子は他の友人と遊ぶ約束をしていたのだ。

 一男は歩きながら腕を組んだ。
 とりあえず、国語はなんとかなりそうだ。
 あとの苦手教科、社会と英語はどうするべきか。
 数学と理科は1人でもなんとかなる。
 しかし、1教科赤点をとっただけでうちの学校は夏休みの間補習をやらせやがる。
 穴は、すべて埋めなければいけない。

「お兄ちゃん!」
「ん?」

 後ろから声をかけられ、一男は立ち止まって、振り向いた。
 駆け寄ってきたのはもう1人の幼馴染で組子の妹の、恵子だった。

「えいっ!」
「ちょ、腕に絡みつくな」
「えー? いいでしょ、だって私達どこから見ても恋人だよ?」

 そう言ってくる恵子に、一男は沈黙を返した。
 俺とお前のどこが? とは言わなかった。
 一男が恵子を恋愛対象としてみないのは、恵子の容姿に原因がある。
 恵子は中学3年生、15歳だというのに、中学に入学したばかりの1年生のようにしか見えない。
 恵子を恋人だ、と友人に紹介しようものならロリコン呼ばわりされるのは間違いない。
 組子はクラスメイトと比べても大差ない発育具合だというのに、恵子は何故か成長が遅い。
 高校に入ったら一気に成長するタイプなのかもしれない。

「今日のお兄ちゃん、なんだか暗いね」
「ん……そうか?」
「うん。もしかして悩み事?」
「まあな」

 一男は恵子に小テストで赤点をとったことを話した。
 来週の期末テストで赤点をとったら夏休みがつぶれてしまうということも話した。
 全てを聞き終えた恵子は、ぶんぶんと頭を横に振った。

「だめだよそんなの! お兄ちゃんの夏休みがつぶれたら、お兄ちゃんと遊べなくなっちゃう!」
「ああ」
「そしたら、私誰と一緒にラジオ体操に行けばいいの?」
「それは1人で行けばいいだろ」
「嫌だ! やだやだやだやだ!」


899:姉妹家庭教師ネタ
07/07/09 17:56:33 YrZ9gadi
 一男は、高校1年生だった去年も近所の公園で行われるラジオ体操に行っていた。
 不本意ながらも、恵子に誘われて毎日行ってしまっていたのだ。
 一男が夏休みを利用して自転車旅行を計画していた理由のうちの一つが、
ラジオ体操に誘ってくる恵子から逃げることだった。
 恵子を嫌っているわけではないが、17歳になった今小学生と混じって
ラジオ体操をするのは気が向かない。
 ラジオ体操の後で遊びに誘ってくる小学生から逃げるのも、
断られて悲しい顔をする子供たちを見るのも、一男は好きではなかった。

「やーだーよー!」
「あのな、恵子。俺は夏休みの間旅行に行くから、どっちにしろラジオ体操にはいかないぞ」
「え……、旅行? どこに行くの?」
「とりあえず、自転車で県内を一周するつもりだけど」
「……1人で? お姉ちゃんは?」
「1人旅だよ」

 一男の言葉を聞いて、恵子は泣き顔から満面の笑顔へと、表情を変えた。

「じゃあ、私と一緒に旅行にいこうよ!」
「だから、赤点をとったら旅行には行けないんだって。特に英語が絶望的で」
「私、英語が大大大得意だからお兄ちゃんに教えてあげる!」
「は? ……そうだったのか?」
「本当だよ。ほら」

 恵子は手提げの学生かばんを開くと、薄い紙を一枚取り出した。
 恵子が取り出したものは、英単語がびっしり書かれてある英語のテスト用紙だった。
 いたるところに赤い丸が記され、右上には赤いペンで100、と書かれてあった。
 中学校のテストとはいえ、難易度はそれなりに高いはず。
 事実、英単語の意味を覚えるのが精一杯の一男にとっては30点とることすらあやしい。
 もしかしたら、恵子は高校生の英語のテストさえわかってしまうのでは……?
 一男は心の中で、この偶然を起こしてくれた存在に感謝した。

「恵子」
「なあに、お兄ちゃん」
「教えてくれ、頼む。俺に、英語力を……」
「じゃあ、旅行に連れて行ってくれるの?!」
「おう」
「やったーーーーーーーーーーー!!!」

 キーの高い叫び声を上げる幼馴染の声を聞きながら、一男は一つ悩みが減ったことに安堵した。
 代わりに、どうやって恵子を旅行に連れて行けばいいのか、という悩みがあらわれたのだが。


900:姉妹家庭教師ネタ
07/07/09 17:57:52 YrZ9gadi
*****

 自宅に帰ってきた一男は、玄関に女物の靴が置いてあることに気づいた。
 一男の両親は同じ会社に勤めていて、職場も同じ。
 そのため、ここ数ヶ月のように長期の出張に出かけるときは2人一緒に家を留守にする。
 つまり、玄関に置いてある女物の靴は母親以外の物だということになる。

 一男が自分の部屋に入ると、そこには近所に住む幼馴染であり、組子と恵子の姉でもある女性がいた。
 ベッドの上に。

「ん、今帰ってきたのか一男。おかえり」
「ただいま、倉子さん」

 ベッドの上にいる倉子は、胸元をタオルケットで隠していた。
 一男は今までの経験から、倉子が服を着ていないということがわかっていた。
 床に脱ぎ捨てられているジーンズ、シャツ、ブラジャー、ショーツを手早くまとめ、枕元に置く。

「早く服を着てください。あと、出てってください」
「なぜ服を着なければならない? 一男は服を着てヤる方が燃えるのか?」
「……倉子さん、もっと恥じらいを持ってください」
「一男を前にしては、恥じらいなど消え去ってしまうよ……」

 うっとりした顔で一男を見つめる倉子。
 大人の魅力を全開にした瞳で見つめられては、たいていの男なら陥落してしまうだろう。
 小さい頃からこの視線にさらされ、今ではすっかり慣れてしまった一男には効かないのだが。
 一男は嘆息して、倉子に背を向け、椅子に座った。
 かばんから社会の教科書とノートを取り出し、机の上に並べる。

「む、勉強か。珍しいな」
「ええ、今回は頑張らないとまずいんで」
「そうか、とうとう私を迎えるために努力を始めたんだな。だが無理はしないでくれ。
 いくら私との結婚生活を順風満帆にするためとはいえ、一男が倒れては意味が無い。
 いや……倒れたとしても、それはそれでいいか。一男を朝から晩まで看病できるからな」
「来週の期末テストで赤点を一つでもとったら、補習になるんです。
 邪魔するんなら、帰ってくれません?」
「補習? 補習というと、あれか。夏休み中ずっと学校へ通わされ、どこにも遊びに行けなくなるという」
「まさしく、その通りです」

 着替えを終えた倉子は、机に向かう一男の手元を覗き込んだ。

「現代社会……か、これは。最近の学校ではえらく簡単なものを教えているんだな」
「これでも俺にとっては天敵なんですけど」
「……なるほど、そうか。誰でも得手不得手があるものな。一男にとっては、これがそうだと」
「まあ、そういうことです」


901:姉妹家庭教師ネタ
07/07/09 17:59:44 YrZ9gadi
 一男は倉子を視界の隅に追いやり、教科書に向かった。
 しかし、全く頭に入ってこない。
 世界の政治や歴史など、一男にとってはどうでもいいものにしか思えないのだ。
 そんなものよりも体育の授業で体を動かす方が余程自分のためになる。
 そう考えて今まで現代社会という科目から逃げ回ってきたツケが今、一男を追い詰めている。

「かなり悩んでいるようだな、一男」
「はあ……どうしよ。あとこれさえなんとかなれば、問題ないのに」
「そうか……そうなのか。ならば、取引をしないか」

 倉子の言葉を聞いて、一男はなんとなく嫌な予感を覚えた。

「……何と何を取引するんです」
「そう警戒しなくてもいい。お互いに持っているものを交換しあうだけだ。
 私から差し出すものは、私の脳に詰まっている現代社会の知識。
 一男から差し出して欲しいものは、一男が持つ夏休みの時間だ」
「いや、俺は夏休みは旅行に行くつもりだったんですけど」
「全てとは言わない、一日だけでいいんだ。一男の時間を、24時間だけ私にくれたらそれでいい」
「え? ……そんなので、いいんですか。それだけで、俺に勉強を?」
「うん」

 これは罠?倉子さんが最初からこんな甘い条件で取引を申し出てくるなんて、どういうことだ?
 もしかして今日、何か悪いものでも食べたのか?

「何を不思議そうな顔をしている。取引するのか? しないのか?」

 だけど、これはチャンスだ。
 倉子さんは昔から優等生でとおっていた。
 今は隣接する市にある、有名大学に通っているほどの才媛。
 高校の現代社会のテストなど、朝飯前に解いてしまうだろう。

「本当に、その条件でいいんですね。あとから追加とか、なしですよ」
「この胸の内に秘める愛に誓って、そんなことはしない。一男の一日を独占できるだけで充分だ」
「……わかりました。じゃあ、さっそく今から……」
「では、さっそく明日、火曜日から始めるとしよう。私にも準備があるしな。
 じゃあ、明日来るから待っているんだぞ、一男!」

 倉子は一男に言い聞かせるように、びしっと指を指した。
 そして、さっさときびすを返して部屋から出て行ってしまった。

 やれやれ、と言いそうになった口を制し、一男は現代社会の教科書と向き合った。
 ……やっぱり、少しも頭に入ってこない。
 一男は勉強の内容を、現代社会から数学へと切り替えた。
 数式がすらすらと浮かび、教科書の例題がたちまちのうちに解かれていく。
 一男は、得意教科と不得意教科の実力差が極端だった。
 三姉妹の教えによりこの差が埋まることを期待し、一男は勉強を続けた。


902:名無しさん@ピンキー
07/07/09 18:03:27 YrZ9gadi
>>940よ、こんなのが好きか?

903:名無しさん@ピンキー
07/07/09 20:04:02 dl2TByo9
940じゃないが大好きだ
是非このまま書いてほしい

904:名無しさん@ピンキー
07/07/09 22:00:04 Se6bWS/8
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 GJ!GJ!
  ⊂彡
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
  ⊂彡


905:名無しさん@ピンキー
07/07/09 22:15:19 RTBfEqf3
三姉妹の個性が良い
続きを書かれるならば、おおいに期待する所存

906:名無しさん@ピンキー
07/07/10 03:47:47 o96XjrFK
なんという35スレの底力
これは間違いなく本妻の意地


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