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以前それ書こうとして挫折したわ。
そのとき書いたきれっぱし。
全蔵が身に着けていた鎖帷子や腰に差した小太刀、手裏剣、
苦無がガシャガシャと音を立てて畳の上に小さな山を作るのを
阿国は目を丸くして見ていた。
「物騒な男だの」
「それを誘ったのは誰だよ」
全蔵は装束の隠しから取り出した小さな薬包を阿国に差し出した。
「なんじゃこれは」
「飲んどけ。未通娘でも痛くないありがたーいお薬だ」
本来の用途は少し違う。敵方のくの一を捕まえた際、拷問用に使う薬だ。
が、少量ならば微弱な媚薬と変わらない。妙な後遺症もないし、
カチコチに固まった生娘を抱くのもあれだ、俺の趣味じゃねーんだよな。
などと思っている全蔵の目の前で阿国は受け取った薬を躊躇い無く
火鉢の中へ放り投げた。
「おぉおおおいちょっとぉお!人が親切心出してやったってのに
なにしてやがんだよこれ!?」
あっというまにめらめらと燃えて消えた薬に、全蔵が叫ぶ。
「声が高いわ。毎晩死人さながらに寝こけてるとはいえ、
ばあや達が起きたらどうしてくれる」
「おまっ、お前な、これが闇で幾らすると!吸え、煙だけでも吸い込め!」
「おぬし相手なら痛くても構わん」
真っ直ぐな目でじぃっと見つめられ、全蔵はぎりぎりと歯噛みした。
「ケッ、これだからガキは」