07/05/26 11:03:25 uQD4Vs4u
お母様はお屋敷の一番東の部屋でお祈りをしていた。
「始祖ブリミル様にお祈りしてるの?」
「これはね、犬なの」
「犬?」
「そう犬よ。でもね、犬はね、どんなときでもご主人様を守ってくれるの」
「へぇ、使い魔みたいね」
「そうね。あなたも守ってもらえるように一緒にお祈りしましょうね」
「はい、母さま」
ねぇ、サイト。あんたもうこっちでのこと吹っ切れた? あの夜のことは今までご主人様
に尽くしてきたことに対するご褒美何だから気にすることなんてないのよ? わたしはあ
れからもててもてて大変だったわ。わたしの魅力からしたら当然ね。あ、嫉妬した? ふ
ふ、犬の癖に生意気ねぇ。まぁでも全員無視してやったわ。だってわたしってばとっても
高貴なんですもの。なんてったって公爵家様で王位継承権もあって伝説なんですもの。そ
んじょそこらの貴族じゃ釣り合わないわ。
わたしね、もう何年もあんたの顔見てないし、声聞いてないし、守ってもらってないけど
今度は塞ぎ込んだりなんてしなかったわ。だって会えない期間が長ければ長いほど再会の
嬉しさが増すって知ってるもの。あっちの世界に行けばまた会えるもの。でも急いだりは
しないわ。だって自殺なんてしたら天国に行けなくなっちゃうもんね。あ、あんたもし天
国に来なかったらお仕置きだかんね。わたし会えるの楽しみにしてるんだから。もし来な
かったら地獄の果てまで追いかけてって見つけ出してお仕置きしてやるから覚悟してなさ
いよ。ふふ……
この子ねあんたの子なのよ。あんたは知らないでしょうけど。父親がいなくていろいろ大
変だったんだから。まぁ女手には困らなかったわ。むしろ多すぎて困ったわ。ああなんか
ムカムカしてきたわね。いえ、みんなには感謝してるわ。ほんとよ? でもここまで育て
たのわたしなんだから。後数年もすれば使い魔召喚する年よね。この子どんな使い魔を呼
び出すかしら。安心して任せられるかしら。でもそれまではあんたが守ったげてね。
終わり