07/05/13 13:20:19 U+vecGqc
エロいの頼むよ
101:闇の堕ちる時
07/05/13 14:54:37 C3p4K7WB
出来たので一応投稿
誤字脱字や口調の違いは勘弁してください
序章
春の陽気に包まれた町・・・
スタスタと本に目を通しながら歩く金色の髪をした少女が一人。
読んでいた本も終盤に差し掛かったとき不意に肩をたたかれ、声をかけられた
「ヤミちゃんみっけ!」
ヤミと呼ばれた少女が振り返るとそこには、ララがニコニコしながらたっていた
「お久しぶりです。プリンセス。何かご用ですか?」
ヤミが読んでいた本をパタンと閉じ礼儀正しくたずねる。
「うんとね・・・そうだ!あれ!」
ララは、唇に人差し指を当て少し悩んだ後、ヤミの向こうの空を指さした。
「なんですか?」
ヤミが振り向いた次の瞬間
[ゴス!!]
ヤミの後頭部に鈍い音と共に激痛が走った。
ドサッと倒れるヤミ
薄れていくヤミの目に映ったのは、
どこから取り出したのかも解らない木製のバットを手に
ニヤリと笑ったララの姿であった。
序章~終~
102:名無しさん@ピンキー
07/05/13 15:28:33 eCty9FQQ
ヤミの頭が
カンボツしますた
103:名無しさん@ピンキー
07/05/14 01:06:48 CNXIzhXT
>>101
タミフルwwwww
104:闇の堕ちる時
07/05/14 22:36:22 OriOWYeS
続きです
ズキン・・・
「・・・っ」
ヤミは殴られた頭の痛みで目を覚ました。
ヤミはあまりの痛さから頭を押さえようとしたが
手が動かない
ヤミが首を動かし自分の体を見わたした
すると
台にヤミ自身の四肢が拘束されていた。
「・・・」
ヤミはとりあえず気を落ち着かせあたりを見渡した。
周りには機材のような物がいくつもあった。
「あ・・・目が覚めたみたいだね」
不意に背後からの声が聞こえた。
「プリンセス・・・」
そこに立っていたのは例のごとくララであった。
「プリンセス・・・拘束を解いてください。
返答によってはプリンセスといえども容赦はしませんよ。」
ヤミは髪をナイフのようにしてララに出来るだけ強気で言い放った。
しかし、ララはクスクス微笑しながら
「ヤミちゃんこわーい」
といいつつ、ヤミに歩み寄っていく。
105:闇の堕ちる時
07/05/14 22:39:04 OriOWYeS
「それ以上近づくと攻撃しますよ!」
ヤミは、声を張り上げた。
しかしそれを聞いたララは、ニヤリと笑い、ヤミへと向かって走り出した。
「・・・!」
ヤミはナイフ状の髪でララに切りかかるが、
ララは、それを余裕でかいくぐりヤミの唇を奪った。
「んんーー!?」
ヤミはあまりの衝撃に、トランスを解いてしまった。
ララは、舌を強引にヤミの口内に侵入させようとする
ヤミは必死に口を閉じるが・・・
すぐにララの舌の侵入を許してしまう。
「ん!んー!んふぅ・・」
口内を逃げ回るヤミの舌をララ舌が絡めとる。
ヤミの目にうっすら涙がにじんできた。
[ゴクン]
突然ヤミの喉に何かが流れ込んできた。
ララの唇が離れる。
「ハァ・・ハァ・・・何を飲ませたんですか?」
ヤミは髪を再びナイフにトランスさせ、ララを睨んだ。
ララは微笑し、
「ナイフは、危ないから手にしてよ・・・小さい手がいっぱい。」
とヤミの質問を無視して言った。
「質問に答え・・・え?」
ヤミの髪はヤミの意志に関係なく、無数の小さな手へとトランスしていた。
106:闇の堕ちる時
07/05/14 22:41:17 OriOWYeS
とりあえず出来たところまで書いてみました
107:名無しさん@ピンキー
07/05/14 22:59:18 YEIbxsQ2
いいネいいネ!!
108:名無しさん@ピンキー
07/05/16 10:47:09 tD75lvTl
「おはよー」「おはよ~ねえねえ昨日のテレビ・・・」
生徒達が朝の挨拶を交わす中、誰にも話しかけることもなく唯は廊下を歩いている
別に挨拶が煩わしいわけでも恥ずかしいからでもなくただ自分には・・・・
そんな思いにふけっていると3階廊下の窓際の一組のカップルに目が止まり
自然と足が止まる
(あっ・・・)
仲良くしゃべっているリトと沙姫を唯は少し複雑な表情で眺める
昨日から結城リトを思うだけで胸が苦しくなる・・・
「でさ美柑のヤツがララに言ったんだ『ララさんもうちょっと』・・・・ん?」
「あっ///」
自分に向けられる視線に気付いたリトと唯の視線が交わる
思わず声をあげてしまった唯は顔を赤くして何故か視線をそらす
「あら?あなた確か昨日の・・・」
「古手川じゃん、どうしたんだよそんな所で?」
「えっ!?あ・・・そのおはよう」
手を振りながら近づいてくるリトにそんなことしか言えない自分がもどかしい
「ああおはよ、ってか足は大丈夫なのかよ?」
「え?あ、足?・・・ええ・・も、もう大丈夫みたい。一晩寝たら治ったから」
「へ~まあ腫れもなかったしよかったじゃん。まあオレが悪いんだけどさ・・・」
唯が昨日ついた嘘にもまったく気付く様子もなく、純粋な気持ちで自分を心配するリトに
唯の胸がチクリと痛む
と、その時朝のホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴る
「それではリトまた後で」
そういい残し優雅に去っていく沙姫の横顔を後姿を唯はおもわず目で追っていく
整った顔立ち、モデルの様なプロポーション、綺麗な金髪、お嬢様特優の気品さ
自分にはない物を全て持っている沙姫に軽い羨望を抱き唯はうっとりする
「・・・川!古手川!!」
リトの呼びかけに現実に引き戻されていく
「なにやってんだよ?ほら早くしないと始まっちまうぜ」
「え、ええ・・わかってるわよそんなこと!」
教室に向かうリトの背中を眺めながら唯は握りこぶしをつくる
(そうよ!しっかりしなさい古手川唯!!)
一つ気合をいれると唯はリトの後を追った
四時間目苦手な数学ということもあり昼前独特の倦怠感と空腹とでリトは机に突っ伏していた
(腹へったなァ~)
ぐぅぐぅと鳴るお腹をさすっていると今朝と同じ視線を感じて、リトはその方向に目を向ける
(古手川?)
リトの反応に一瞬おどろいた唯は次の瞬間ぷいっと顔を逸らす
(なんだよ・・・)
それからもちらちらと自分を見てくる唯に気付いているのかいないのかリトはぼ~っと黒板を見ていた
昼休み
みんなお弁当を持ってそれぞれの場所でそれぞれのグループで談笑しながら食事をしている中で、唯はいつもの場所で一人お弁当を食べていた
校庭の端にある大きな木の根元、芝生のクッションと降り注ぐ暖かい木漏れ日に包まれる
唯はこの場所が好きだった。一年生の時からずっとこうして一人で食べていた
いつもの場所にいつもの時間、そんな唯だけの世界に影が割り込んでくる
「なんだこんなところにいたのかよ」
見上げるとお弁当を抱えたリトが立っていた
「結城君?・・・なんの用?」
「ああ、一緒に食べようと思ってさ」
リトは唯の返事も待たずに芝生に腰を落とす
リトの突然の誘いと行動に箸を咥えたまま唯は抗議の声を出す
「ちょ、ちょっと待って!私誰も・・・それに沙姫さんは?」
「ああ沙姫なら屋上でララ達と食ってるはずだぜ」
109:名無しさん@ピンキー
07/05/16 10:49:54 tD75lvTl
ぽかんと口を開けている唯をよそにリトはもくもくとおかずを食べていく
「・・・そ、それだったら私のところよりも沙姫さんのところに」
「なんでだよ?別に古手川と食べてもいいだろ?」
リトの真意がわからず唯は黙ってしまう
沈黙が続きだんだんと空気が重くなっていく
そんな雰囲気にリトはなにか話題をと唯の弁当箱を覗き込む
「うわァ古手川のってちっちゃいなァ。よくそんだけで足りるよな?」
「べ、別に私これで普通だし・・・」
「そうか~?」
リトはいつも食べている沙姫の弁当箱を思い出し唯のと比べる
五段重ねのお重とリトの手のひらよりも全然小さい唯の弁当箱
「あ~・・でもやっぱり少なくないか?だって沙姫なんて・・」
「結城くんっ!!!」
「な、なんだよ?そんな大声で?」
「私・・・・一人で食べたいの・・・だからごめんなさい・・・」
リトはなにかいいかけたが唯の表情を見て口をつぐむ
「そっか・・・邪魔だったんだ、それじゃあな古手川」
去っていくリトの後ろ姿を見ながら唯の心は後悔の念で塗りつぶされていく
どうしていいのかわからない
どんな顔をしたらいいのかわからない
結城君が来てくれたことはすごくうれしい・・・うれしいけど・・・
ただ沙姫さんの名前がでるたびに胸が苦しくなる
結城君に抱く気持ちに戸惑ってしまう
唯はお弁当の残りに手をつけずリトの去った方をずっと眺めていた
五時間目の授業が始まっても戻ってこないリトに先生が唯に探しにいくように頼む
「まったく!どうして私が・・・」
廊下を歩きながらぶつぶつ文句をいう唯だがその心は揺らめいていた
昼休みのこと、リトへの気持ち、リトに会ったらなんて言おうどんな顔をすれば・・・
そんなことを考えている唯に聞き覚えのある声が聞こえてくる
「結城・・・君?」
唯は声がする方へと足を向ける
誰もいない美術準備室の前でリトは沙姫を抱き寄せその唇を奪う
舌と舌が絡み合い唾液の水音が廊下に洩れる
「んっ・じゅる・・んんっ・じゅ・・むぅう・・ちゅる・」
(ん?あれは・・・・な!?なんてハレンチなっ!!またあの二人は////)
さっきまでの悩みはどこえやら急ぎ二人を注意しようと唯は駆け出す
けれどその足がしだいにゆっくりとなり止る
リトの顔、互いに愛し合う二人の愛撫に唯の胸は激しく高鳴ってしまう
(だ、ダメよあんなハレンチなこと!!今すぐやめさせないと・・・)
だけどその目はリトに釘付けに、その手は胸に
ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ
ますます高鳴る鼓動が唯の体を理性を麻痺させていく
(あんなこと・・・////)
廊下の曲がり角から見える二人は互いを求めその体を押し付けあう
唯の耳にも聞こえる絡み合う舌と舌の水音
口から漏れる息が荒くその頬が赤く唯はじっと二人をリトを見つめる
そんな唯に気付くことなくいつもより長い濃厚なリトの舌使いに沙姫の体は徐々に火照っていく
「むっんん・・ちゅる・はぁ・・リトどうなさったの?今日のあなた・・・あっ」
リトは沙姫の腰に回していた腕を引き寄せると首筋にキスをし舌でなぞる様に舐め上げる
「あんっくすぐったいですわ・・・んっリトもうやめっ・・これ以上は・・」
リトの唾が白い首筋を伝い落ちはだけたブラウスから覗く胸の谷間に落ちていく
舌を首筋から喉へあごのあたりを通り反対がわへと滑らせる
「んんん~~~・・ダメですわぁ・あっんん」
リトの愛撫で立っていられなくなった沙姫はリトの胸元へもたれる様に体をくずしていく
110:名無しさん@ピンキー
07/05/16 10:52:39 tD75lvTl
「なに?なにがダメ?」
「・・・・・///」
耳元で囁かれるリトの甘い言葉に沙姫の顔は赤くなりリトの胸の中で体が震えだす
その手は下腹部へ伸びくちゅくちゅといやらしい音を立てて自らの秘所をかき回していく
熱い吐息を漏らしリトにしがみつく沙姫はなにかをおねだりしているかの様で
沙姫の少し潤んだ瞳で上目遣いで見つめる仕草にリトは唾を飲み込む
「リトォ、お願いしますわ・・私もう・・・」
リトはベルトを外しズボンを下ろすと勃起した肉棒を取り出し沙姫の割れ目にあてる
ゴクリ――
初めて目にする男性器にリトの見事なモノに唯は無意識に喉を鳴らす
ギュッと制服の胸元を握り締めた手にも力がはいり
額にはうっすらと汗がにじんでくる
(ど、どうしたの私?体が熱い・・・)
自分の体の変化を気にしながらも二人から目が離せない
下着を取り自らスカートをたくし上げて腰を落とす沙姫の口から喘ぎと吐息が溢れ出す
リトの上に完全に騎乗するとその首に腕を回し軽いキスを交わし合図を送る
ヌチャヌチャと結合部から漏れ出す卑猥な音に唯の顔はみるみる真っ赤に染まる
(うそっ!あんなこと・・・だけど結城君すごく・・気持ちよさそう・・)
沙姫の体に夢中になって腰を動かすリトの顔
恍惚でいて、もっと快楽をもっと欲望を求める牡の顔
―――ゴクリッ
飲み込んだ唾の後追うかの様に唯の指が口の中に入れられる
ちゅぱッ・・じゅる・んんっ・・・
火照った体が目の前の淫靡な光景が唯の理性をかき乱し狂わせる
(んんっ・・はぁあ・んっ・・ぁぁんん)
甘い吐息は喘ぎえと変わり下腹部がじんじんと熱くなっていく
(私・・私・・・結城・君、んんっつ///)
指をしゃぶりながら反対の手が胸をなぞり、スカートに伸ばされる
外気に触れた下着は触らなくてもわかるほどじっとりと湿っていた
その感触を確かめるように求めるように唯の指は中へと入っていく
(やだっ私っ・・学校でなにを///)
理性が拒絶する
沙姫を押し倒し覆いかぶさるリト
リトに必死に求められ幸せそうな沙姫の顔
(沙姫さん・・・・)
胸が痛む、沙姫の顔を見るだけで胸が苦しくなる
(私・・私沙姫さんに嫉妬してる・・・こんなことダメなのに)
だけど一度認めてしまえばもう、唯の中のリトへの気持ちは止まらない止めることができない
唯は壁に背中を預けると下着の中の指を動かす
それは唯にとったら無意識のことなのかもしれない
だけどリトの顔を見てるだけで体の芯が熱くなる、あそこがうずいてくる
私も――私も結城君に――
唯は沙姫と自分を重ねていく
舌で指をしゃぶりつくし、膣内を反対の指で掻き混ぜる
(んんっ!!ふぁんっ・・はぁ・う゛ぅぅ)
口に咥えた指から涎を垂らしながら唯の指は加速する、止まらない
リトに抱きしめられ悶える自分が
リトのモノを受け入れている自分が
リトの全てを――
唯の頭の中でぐるぐるとリトと自分が交わる姿が浮かぶ
111:名無しさん@ピンキー
07/05/16 10:55:50 tD75lvTl
掻き混ぜた秘所からはとろりと愛液が太ももを伝い
乱れた制服の胸元から見える乳房には汗の珠が胸のラインにそって落ちていく
(はあっ・んあぁ・・むぅ・んん・・ダメっ私・・・こんなことっ)
すぐそばにいるリトの気配
(ヤダっ!!私このままだと・・・///)
結城君の近くなのに隠れて一人でしてるなんて・・・だけどだけど私もう・・・
(結城君っ!!////)
体の中で絶頂の波が広がると立っていられなくなった唯はその場にしゃがみこむ
荒い息の中、それでも浮かぶリトの顔
唯は自分のリトへの気持ちにその余韻に呟く
「結城君・・・私あなたのことが・・・」
ふと名前を呼ばれたような気がしてリトは廊下の曲がり角に振り向く
「どうなさったの?」
「いや・・さっき誰かそこにいたような・・・」
リトが首を伸ばして見るとそこにはもう誰もいなかった
六時間目の体育の授業
「なあリト?おまえもう体調平気なのかよ?」
「ん?」
隣の猿山に気のない返事を返すリト
五時間目ずっと沙姫といたため授業をさぼってしまったリトが休み時間教室に戻ってきてみると、
何故かリトは体調不良が原因で保健室で寝ていたことになっていた
リトにとったら意味がわからなかったが本当の事なんていえるはずもなく、流れにまかせてそのまま体育の授業も見学していた
「まあな!おかげで完璧に治ったよ」
「ふ~ん」
猿山はリトを横目でにやにや眺めるとその首に腕を回し引き寄せる
「で?ホントは天条院センパイといたんだろ?なにしてたんだよ?ほら吐けよ!」
「な、なんにもしてえねよ///」
首を締め上げる腕を振りほどくと、むせ返る喉を押さえながら猿山を睨みつける
「とうぜんの報いだ!一人だけモテやがって」
「おまえな~」
「あっ!そうそうところでリト、ちゃんと古手川には礼言ったのか?」
「え?」
「えってお前な・・・古手川だぞ。お前を探しに行って保健室で寝てるって先生に言ったの」
リトはきょとんとしてバスケットボールを持っている唯を見る
「何考えてんのかわかんないけどカワイイとこあるじゃん、それに・・・」
猿山は再びリトを引き寄せると小さな声で耳打ちをする
「古手川ってなにげにスタイルいいよな。ひょっとして天条院センパイよりいいかも」
「お前なに言ってっ・・・」
「まあまあ聞けよ。あの子見た目きつそうだけどよお前をかばったり根はやさしい子なんじゃねえの?」
猿山の言葉にリトの脳裏に昨日の指導室での事、保健室の事、そして今日の昼休みの出来事が浮かぶ
「そうか~?」
「お前見る目がねえな」
眉根を寄せるリトにあきれた猿山はボールを持ってチームに合流する
一人残されたリトは他にすることもなく黙ってコートを眺めていた
『古手川だぞ。お前を探しに行って保健室で寝てるって先生に言ったの』
(ホントになに考えてんだ古手川のヤツ・・・)
そう思っても意識してしまう。ぼーっとコートの中の唯を見ているとふいに目が合う
「・・・っ!?////」
ふいっとあさっての方向を向く唯に思わずリトの喉から抗議の声が出かける
(なんだよっ!やっぱりわかんねえヤツ・・・・)
授業の終わり使ったボールを専用の入れ物かごに集めて倉庫まで運ぶことになったのだが
その役を誰もやろうとはしなかった
(めんどくせー)(お前やれよ)(あんなの運べないわよ)
口々に文句をいう中すっと一人手を上げる者がいた
「はい!私がやります」
112:名無しさん@ピンキー
07/05/16 10:57:17 tD75lvTl
「古手川・・・さん?君一人で大丈夫かい?」
唯に対して心配そうに声をかける佐清にも唯は気丈に振舞う
「はい!!大丈夫ですこれぐらい」
「ふむ・・それじゃあ古手川さんに任せようかな?」
佐清は他の生徒を解散させると唯に任せて職員室へと消えていく
(ラッキー!)(さすがは古手川さん)(やっぱ頼りになるよね~)
調子のいいことを言いながら帰っていくクラスメートに混じってリトは唯を見つめていた
「んっ!・・・あれ?重・・い!!」
底にタイヤがついている入れ物かごだったが、ボールと合わせるとかなりの重さになる
女の子一人の力では、まして唯一人の力ではびくともしなかった
「んんっ・・・はぁ~ダメ全然動かない」
かごを前に途方に暮れる唯にふっと手が差し出される
「ゆ、結城・・君?」
「なにやってんだよ?こんな物一人で運べるわけねえだろっ!ったく古手川はなんでも・・・ってお前も手伝えよな」
思いがけないリトの援軍に唯の鼓動は高鳴る
「う、うんありがとう・・・・」
「別に・・・お礼だよ!さっきオレをかばってくれたんだろ?」
あの時の光景が甦り唯は複雑な表情を浮かべる
そんな唯に気付くこともなくリトの助けもあってかゆっくりとそれは倉庫へと入っていく
体育倉庫の中は独特のカビの臭いと舞い上がる埃と、生徒が無理矢理運んだのか無茶苦茶
に積み上げたのか、備品の整理もされていないひどい惨状になっていた
「うわ~ひでえなこれ・・・」
リトはうんざりした表情でかごを適当な場所まで運ぶと心底嫌なのか早々に立ち去ろうとする
「なあ、さっさとこんな所から・・・・古手川?」
リトが呼びかけようと後ろを向くと唯は奥の方でなにやら備品の整理を始めていた
「なにやってんだ古手川?」
「なにって整理。片付けないと後から来た人達が困るでしょう?」
そりゃそうだけど・・・言いかけた言葉を飲み込み、リトは黙々と作業をする唯を見つめる
(きっと否定しても古手川は残って一人でもするんだろうな)
リトはそんな唯に溜め息を吐くと手近にあったゴールネットを持ってたずねる
「なあ?これどこにしまえばいいんだ?」
「えっ!?・・・えっとそこの棚にちゃんとたたんでしまっておいて」
リトの行動に唯の顔もほころぶ
それから二人は汗と埃にまみれながらも黙々と続けていた
「ふ~~にしてもすげえ量だよな」
片付けても片付けても終わらない作業にリトも疲労を隠せない
リトは唯の体を心配して休憩するよう呼びかける
「なあ古手川、ちょっと休憩しないか?」
唯はリトの呼びかけにも集中しているのか返事をしない
「お~い、古・・手川?」
リトは唯の近くにいき呼びかけようとして思わず息を呑む
唯は今、上の棚の整理のため跳び箱の上に乗って作業をしているのだが
見上げるリトの目に唯の綺麗な太ももがとびこんでくる
太ももだけじゃない、長い脚に短パンに包まれたお尻、動くたびに揺れる体操服の下に見える白い肌
沸騰しそうになる頭をなんとか押さえ慌てて目線をそらすリトだったが男の本能が邪魔をする
リトは唯に見つからない様にちらちらと盗み見ては改めて唯の体に興奮を覚える
均等のとれたスタイル、華奢な腕、膨らんだ胸に艶やかな長い黒髪
『古手川ってなにげにスタイルいいよな。ひょっとして天条院センパイよりいいかも
あの子見た目きつそうだけどよお前をかばったり根はやさしい子なんじゃねえの?』
猿山の言葉が脳裏に浮かぶ
(確かに・・・古手川ってむちゃくちゃカワイイのかも・・・////)
113:名無しさん@ピンキー
07/05/16 10:58:34 tD75lvTl
そんなリトの気配に気付いた唯が声をかけようと後ろを振り向いた時、唯の体がぐらっと傾く上で必死にバランスをとろうとするが間に合わない
「あぶねえっ!!」
我に返ったリトが腕を伸ばして唯の体を支えようと地面を蹴る
平均的な運動神経のリトだったがこの時だけは別物だった
間に合わないと知るとなんとか落ちる衝撃を和らげようと自分が唯の下に来るように体を入る
どしゃっという音と共に備品が崩れ砂埃が中に舞う
「・・ってぇぇ」
リトは痛む体を無視し唯に怪我がないか尋ねようとして固まってしまう
自分の右手がなにかとてもやわらかいものに触れている
リトは恐る恐る視線を下げていくと思わず叫びそうになる声をなんとか押さえ込む
リトが触れているのは唯の胸だった
(や、やばいっ!!なんとかなんとかしねえと)
リトは手を離そうと上体を起こすが、動けば動くほど胸が手に押し付けられる
むにゅっと手の中で弾む唯のやわらかい胸
(うっわァ!!やわらかい・・・ってそうじゃなくてっ)
リトはなんとか男の本能を払いのけ、とにかく唯に動いてもらおうと声をかけようとして
気付いた
唯はリトの胸の中で震えていた。恐かったのかすがりつく様にリトの服を掴んでいる
(カ、カワイイ・・・)
思わずそんなことを思ってしまう
リトは抱きとめた左手を唯の腰から外して、その黒髪にやさしく触れる
ギュッと抱きしめた唯の体は、おぶって保健室まで連れて行ったあの時よりもずっと軽く
そして小さく感じられた
ふわりと匂う髪の香り、体操服越しに伝わる唯のぬくもりと震える体
リトは唯を愛おしいと感じていた
その腕に力をこめ唯をさらに強く抱きしめる
すると唯がリトの胸の中でなにかもごもご口を動かす
「・・・・っ」
「ん?どうしたんだよ?心配すんなってオレが・・・」
「いっ・・・」
「え?」
「いやあぁぁぁっっ!!!」
唯はどんっとリトを突き飛ばすとリトから距離をとるよう離れる
突き飛ばされたリトは備品の一部に頭をぶつけ悶えている
「いっ・・てぇぇなにすんだよ!!?」
「それはこっちのセリフよ!!」
リトは言い返そうと唯の顔を見て押し黙る
唯はその黒い瞳に涙をいっぱい溜めて胸を押さえていた
「一緒に運んでくれてうれしかったのに、手伝ってくれてうれしかったのに・・・・」
唯の中のリトへの感情が激しく交差する
「私・・・私・・・」
胸元を握り締める手が体が震える
唯はリトに背を向けるとそのまま倉庫から走り出してしまった
後に残されたリトは追いかけるでもなくただ黙ってその場でしゃがみこんでいた
そんな唯の様子を4階の窓から見ている者がいた
「あら?あの子・・・・」
天条院沙姫は走り去っていく唯をそして倉庫を見て少し考える
「ふ~ん・・・・なるほど」
114:名無しさん@ピンキー
07/05/16 11:00:43 tD75lvTl
>>87の続きということで書きました
書いたんですけどかなり長くなってしまったので少し間をあけて
投下したいと思います
115:ヤミ金
07/05/16 12:00:48 xcPQ8UKV
>>114
GJです!
さて、素晴らしい作品が投下されたすぐ後ですが、二個目の話が固まったので投下してみる
前回と同じく数話構成です
タイトルは「校長の日課」、被害者はやっぱりヤミです
116:校長の日課
07/05/16 12:02:06 xcPQ8UKV
日もどっぷりと暮れたある日
闇の中の学校の廊下をのっそりと動く影が一つ
「ふふ~んふ~ん♪」
影は機嫌良さ気に鼻歌を歌いつつ歩いていた
小柄でぽっちゃり系の容姿
派手な柄物のスーツに黒いサングラスと怪しいことこの上ない風体
そう、影の正体は彩南高校の校長だった
彩南高校の校長といえば学生の間では有名な人物である
勿論、それは良い意味ではなくほとんどが悪い意味での話だが
彼はとにかくエロい、ハレンチ、ロリコンと救い様のない三拍子を揃えている
教師という聖職者が生徒に欲情してる段階でかなりダメなのだが
彼の恐ろしいところはそれを隠そうとしないところだ
風で女生徒のスカートが捲くれ上がるシーンに遭遇すれば迷わずカメラの有無を確認する
シャワー室に忍び込んでノゾキをする
スキンシップと称して尻を触る
こういった行動は日常茶飯事なのだ
というかこんな奴がなんで校長? ていうかなんでクビにされないの? 教育委員会なにやってんの?
といった疑問がふつふつとわいてくるのが普通なのだが、何故か彼は罷免されることがない
無論、彼は女子生徒及び若い女教師からはすこぶる評判が悪い
しかしそれ以外の生徒からは意外と言って良いほど彼は好かれている
基本的に楽しければそれでよしといった彼の気風故に大概の校則違反はスルーされるからだ
それに男子生徒からすれば校長の行動によって自分らもムフフな風景を目にすることができる場合がある
教育者として、というか人間としては最低レベルの男ではあるが、不思議なことに嫌われること自体は少ない
それは彼自身の人徳なのかは不明だが
117:校長の日課
07/05/16 12:03:21 xcPQ8UKV
蛇足が過ぎた
さて、こんな時間に彼は何をやっているのか? という疑問である
ここで校長として夜の学校の見回りを率先してやっている! といえば聞こえがいいのだろう
だが、当然のことではあるがこの男にそんな高尚な考えはない
「よし、ここはOK! ここも不備はない!」
言葉だけ聞けば設備の点検をしているように見える
だが、彼が点検をしているのは自分のライフスポットだった
階段の下のスカートの中身が見える場所
更衣室隣の物置に作った覗き穴
ブルマやスクール水着がたまに置き忘れられているロッカー
これら校長生活をおくる上での重要スポットの点検が彼の夜の日課なのだ
おいおいそんなことする必要はあるのか? という疑問があるだろうがこの作業を甘く見てはいけない
校長のエロ行動は学校全体での周知の事実なのだ
当然女子生徒は校長の行動に警戒をする
そうなると校長はいかにしてその警戒を潜り抜けて己の欲望を満たすかということを研鑽しないといけないのである
無論、手っ取り早いのはそんな行動はしないとううことなのだが、校長の頭の中に降参の二文字はない
女体の神秘を探求するためならば命すら惜しまない
それが校長という男の生き様なのだ
118:校長の日課
07/05/16 12:04:40 xcPQ8UKV
「さて、最後にシャワー室のほうを見回るかな」
校長は一通りのスポットを見回ると微妙に早足になってクラブの部室が立ち並ぶ校舎の一角へと足を向けた
運動部の部室区域にはシャワー室とそれに付随する更衣室がある
ここは特に校長のお気に入りのスポットだった
運動をおえて上気した体を晒し、シャワーを浴びる女子達
それらを眺めることは校長にとって至福のひとときである
故に彼はこの場所の見回りは特に念入りにしている
覗き穴が塞がれていないか、穴の大きさ及び角度は問題ないか
ロッカーに何かむふふなアイテムが残されていないか
それらの確認はある意味生徒たちを卒業させること以上に重要なミッションなのである
「おやおや?」
シャワー室までもう少しというところで校長は反射的に近くの柱に身を潜めた
視線の先で何かが動いたからだ
もしや不審人物?
校長は眉をひそめながら怒りの表情を作り上げていく
無論、これは学び舎に忍び込む犯罪者に対する義憤から来る怒りではない
何故ならばここはシャワー室の目の前だ
つまり不審人物の目的は校長と同じ目的である可能性が高い
自分は良いが、他の男がそういった行為をするのは許せない! というなんとも自分勝手な理由なのだ
校長は不審人物を確認するべく目に力を込める
「校長・アイ!」
説明しよう
校長・アイとは暗闇の中でも目標をはっきりと視認できるようになったり
遠くの物も精密に見えるようになるという校長の必殺技である
主にノゾキやハプニングシーンに遭遇した時に使用される技であり、何気に使用頻度は高い
119:校長の日課
07/05/16 12:06:12 xcPQ8UKV
「むむっ、あれは…」
暗闇の中、シャワー室に向けて歩いていたのは一人の少女だった
金色の髪を揺らしながら黒色の薄い服を身に纏い、周囲をある程度警戒しながら歩く小柄なその少女に校長は見覚えがあった
少女は、先日本屋でエロ本を立ち読みしている時に偶然発見した美少女だったのである
「チャーーンス!!」
校長のサングラスが闇夜の中キラリと輝いた
既に不審人物に対する怒りは消え、校長の思考は隠密モードに切り替わっていた
少なくとも校長の美少女データベースの中にあの少女のデータはない
つまり彼女は彩南高校の生徒でないことは確かだ
ならば何故こんな時間にこんな場所に彼女がいるのか?
答えは簡単だ、彼女はシャワーを浴びに来たのだ
いや、家とか銭湯があるじゃん? という疑問は校長にはわかない
少女―ヤミの事情などこれっぽっちも知りえない校長だったが、彼女の目的だけは断言できていたのである
「むふっふっふ♪」
含み笑いを抑えつつ校長はゆっくりと移動を開始した
足音は立てないように、気配は消して差し足忍び足
初遭遇の時にボコボコにされた記憶は鮮明に残っている
見つかればただではすまないだろう
だが、やめるという選択肢は浮かばない
負って沸いた新たな美少女データ保存のチャンス、逃す手はない
校長はヤミに見つかれないよう常に気を配りつつシャワー室の裏口へと向かうのだった
120:ヤミ金
07/05/16 12:08:02 xcPQ8UKV
今回はここまで
次は早ければ今夜、遅くとも今週中には投下したいと思ってます
校長についてはあんまデータ集めてないので口調とか適当かもしれませんが、そこは見逃してください(汗
121:ヤミ金
07/05/16 12:17:15 xcPQ8UKV
ぐわ、誤字発見…ラスト二行は
負って沸いた→降ってわいた
見つかれないよう→見つからないよう
と脳内補完しといてください(汗
122:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:37:10 tD75lvTl
着替えを終えた唯はそのまま帰る気になれず、誰もいない校舎を歩いていた
胸にあるもやもやした気持ち。気付くと唯は生徒指導室の前に来ていた
(ここって・・・・)
ガラガラと扉を開ける
中はひっそりと静まりかえり昨日のやりとりが嘘のようだった
「はぁ~誰もいるわけないのに・・・私なにを期待していたの・・・」
唯は手近にあった椅子に座ると長机に頬杖をつく
結城・・・リト・・・
一年の時から委員長としてがんばってきた唯にとって、ここまで一人の生徒のことを思うことなんてなかった
高校に入ってからだけじゃない。中学も小学校の時もずっと
自分を悩まし苦しめ、そして―――
「いったいなんなのよ・・・」
呟きと共に窓の外に目を向ける
夕日が唯の顔を赤く染め、その眩しさに目を細める
窓の外にある体育倉庫が目にとまりさっきのことを思い出し反射的に胸を押さえる
あたりまえのことだけど唯はリトも「男」なんだとわかった
今まで間接的にリトのそういう「男」の部分を見てきた唯にとって、体育倉庫の出来事は
リトを異性として男としては感じずにはいられない事だった
だから別にリトのことを嫌いになったわけでも軽蔑したわけでもなく
ただ―――
「びっくりするじゃない!・・・あんなこと///」
唯はリトがいないことをいい事に文句を言う
「助けるなら助けるでもうちょっと・・・・」
自分をかばって身を挺して助けてくれた
それなのに私は結城君を突き飛ばしてしまった
「・・・・もうちょっと・・違うやり方があるじゃない・・・」
体に胸に残るリトの感触
抱きしめられたぬくもりが唯の胸を高鳴らせる
「いけないわ///と、とにかく謝らないと!!」
唯はリトに会う決心をすると席を立つ。すると―
「古手川いるか!?」
「えっ?」
扉が勢いよく開くと息を切らせて立っているリトと目が合う
「「あっ!!」」
二人の声がハモり室内が一瞬で静寂に包まれる
唯はリトの姿を確認すると顔を赤らめてふいっと後ろを向いてしまう
「えっと・・その・・あのさ古手川」
「なによ?」
表情は見えないが怒ってるっぽい唯にリトは慎重に言葉を選んで精一杯の気持ちを伝える
「さっきはその・・・ホントにごめんっ!!ムネとか触っちまったりして・・・
悪気がなかったっていうか・・・その・・」
「もういいわ」
「えっ?」
唯の予想外の言葉にきょとんするリト
「もういいわよ謝らなくても」
「え?あ・・怒ってないのか?」
「怒ってないって言ったら嘘になるけど・・だけどもういいの」
唯はリトに向き直るとリトの頭に手を置く
「それより私のせいで結城君頭ぶつけたわよね?だから私の方こそごめんなさい」
リトの頭を撫でながら本気で心配する唯
「え!?ああ・・・・・古手川って素直なところあるんだな?」
「えっ!?////」
唯はリトの言葉にドキっとして固まる
「そうやって素直な感じだとすげえカワイイのにな」
耳まで真っ赤になった唯は今にも倒れそうなほどに頭を沸騰させる
「えっいや・・その・ほら古手川って普通にすげえカワイイのにさなんかもったいないっていうかその・・・////」
自分の言った言葉の意味を理解したのか照れ隠しに頭を掻きながら慌てて誤魔化す
123:名無しさん@ピンキー
07/05/16 13:37:15 4Hinn1o7
この漫画の校長ってリーダー伝たけしの校長に似すぎじゃねえ?
124:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:39:14 tD75lvTl
「と、とにかくその・・・古手川はそうやって素直な方がオレは好きだな////」
唯はリトの言葉にどう返していいのかわからず言葉につまる
唯の胸の奥でリトの言葉が何度も反芻する
―――オレは好きだな
好き・・・・素直な方が・・・・私は・・・
なぜかもじもじとしている唯を心配してリトは声をかける
「あのさ古手川・・そのホントに大丈夫か?」
唯は体をビクッとさせると慌てて両手をひらひらふって否定する
「だ、大丈夫よ!全然・・・うん///」
「そうか?なんかいつもと違うっていうか・・・まあ古手川が大丈夫っていうならオレはいいんだけどさ」
「本当に平気・・・ありがとう結城君」
慣れない唯の言葉にリトはこそばゆさと照れとで頭がぼ~っとしてくる
(やっぱ古手川ってカワイイなァ・・・ありがとう・・かァ)
唯を見ているとドキドキしてくる、頭がぼ~っとなっていく
(や、やばいかもオレ・・・)
リトは自分が必要以上に唯にドキドキしていることに気付くと、慌ててその場から立ち去ろうとする
「じゃ、じゃあオレはもう行くから。古手川も気をつけて帰れよ」
踵を返して帰ろうとするリトの背中に唯の言葉が掛かる
「あ、あの!結城君・・・そのこれからどうするの?」
「えっとどうするって・・・・」
きっと結城君は・・・・
「沙姫のところかな、ほらいつも一緒に帰ってるしな」
沙姫の名前に胸が痛む
私じゃなくて沙姫さんの・・・・
「じゃあオレもう行くから。また明日な古手川」
扉から出ようとするリトの動きがとまる
振り返ると唯がリトの服をひっぱっていた
「古・・手川?」
顔を俯かせながら唯は小さな声で話し始める
「まだ話は終わってないわよ」
―――行かないで
「どうせ今日も沙姫さんとハレンチなことしに行くつもりなんでしょう?」
―――私のそばにいてほしいの
「古手川・・・?」
「あれほどダメって言ったのにどうして・・・どうして・・・・あなたは」
―――どうして気付いてくれないの?
「・・・・わかってくれないのよ・・・」
―――私の気持ちに
「お前・・・・」
リトは唯の顔に手を伸ばすと、指で溢れる涙をそっとぬぐってやる
「なに泣いてるんだよ?」
「え?」
知らず知らずに流していた涙に唯はとまどう
そんな唯の頭をやさしく撫でるとリトは笑顔を向ける。その顔に唯の胸は心は釘付けになってしまう
「あっ・・・////」
目に涙をいっぱいに溜めてリトを見つめる
「古手川・・?///」
至近距離で見詰め合う二人、お互いの心臓の鼓動が聞こえる
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン
(な、なに考えてんだオレは?沙姫がいるってのに・・)
だけどそれでも目の前の涙を流す唯をリトはなんとかしてやりたかった
伝わってくる気持ちに思いに
125:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:40:46 tD75lvTl
リトの手が髪にかかりその下の涙に濡れる頬に触れる
「あっ///」
近づいてくるリトの顔に唯は一瞬とまどいを見せるが、目を閉じてリトの唇に近づける
ここは学校なのに、こんなこと、こんなハレンチなこと――
重なり合う唇と唇に唯の心臓は跳ね上がる
初めてのキス。舌も入れない触れるだけのキス。シンプルだけど思いが通じる通じ合う甘いキス
短くて長いキスが終わると二人は見つめあったまま動こうとはしなかった
見つめる唯の濡れた黒い瞳はリトになにかを訴えかけるようで
「い、いいのか?」
唯は否定も肯定もせずリトの胸元をギュッと握り締める
「ここは学校なんだぞ?お前の嫌いな風紀を乱すことだしそれに・・・不純なことだしさ///」
リトは唯の複雑な表情を見ると、両腕を使って唯をひょいっと抱きかかえる
いわゆるお姫様抱っこだ
「な、な、コラ!!ちょ、ちょっと結城君!?////」
リトの腕の中で暴れる唯を長机の上に座らせる
やっとリトから解放された唯は開口一番文句を言おうとして、その口を塞がれる
リトの甘いキス。唇に触れるただそれだけで唯の体を意思をとろけさせてしまう
「んっ・・・///」
リトは唯の口から唇を離すと真剣な顔をつくり再び問いかける
「ホントにいいんだな?」
エロ本どころか保健体育ぐらいの知識しかない唯でもわかるこれからする行為
唯の体が強張る、頭の中でぐるぐると理性と感情が廻る
唯はぎゅっと目をつむって考える
わかってる!全部わかってるわ
だけど、だけど今だけは――
いつの間にか触れていた手をギュッと握り返すリト
「無理すんなって。それに古手川の気持ちちゃんと届いてるからさ
心配しなくてもオレ好きだぜ古手川のこと////」
「えっ!?」
一番聞きたかった人から一番聞きたい言葉が聞けて、唯はどうしていいかわからず
感情の赴くままにリトに抱きつく
「ちょっ!古手川?」
「・・・・お願い・・・来て・・・・」
今まで生きてきた中でそしてこの先もないだろう唯の最大の勇気にリトは応える
3回目のキス
だけど今までとは違う、熱い吐息と共にリトの舌が唯の口内へと進入してくる
その生暖かい感触に唯は口を閉じて進入を防ごうとする
「んっ!・・んんっ」
リトは唯を強く抱き寄せると、唯の口から吐息が洩れる
すかさずリトは舌を入れる、すぐに唯の舌とぶつかる
「んんっ!!・・うんんっ」
恐いのか目をつむったまま動こうとしない唯の気持ちを解す様に少しずつ舌を絡めていく
先端で舌の先を突き、側面を裏側を馴染ますように滑らせていく
「んっ・・はぁっ」
徐々に伝わるリトの感触に最初は強張っていた唯の体もだんだんと落ち着いてくる
そんな唯の表情を薄目を開けて確かめると、リトはさらに先に進もうと口を動かす
舌全体で唯の口をしゃぶる様に舐め回すと、その口内に唾液を送り込む
唯は口に伝わる異変に気付くと、反射的にリトを遠ざけようと手でリトを押し返す
けれど力で勝てるはずもなく唯の口に唾液が流し込まれる
「んん!!・・んっうんん・・」
こくんっこくんっと小さな喉を鳴らしながら唾液が喉を通っていく
「ん・・あぁ・うぅ・・ぷはぁ!」
糸を引いて離れる唇、唾液の感触を確かめるように喉に触れると唯は恨みのこもった目でリトを睨みつける
「そんな怒るなよ・・・それよりオレ古手川の唾がほしいな」
えっ!?っと言う前に塞がれた口にまたリトの舌が入り込んで口内を犯していく
126:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:41:39 tD75lvTl
歯の裏を舌をリトの舌が唾液が唯の口を侵していく
「んんっじゅる・・んちゅる・ちゅぱっ・はめて・・やめなはいっこんな
いやらひい・・んんっ」
顔を真っ赤にして抗議する唯にリトはどうして?とそんな顔をする
尚もなにか言いかける唯の頬を両手で挟むと、リトは舌と口を使って唯の唇を吸い上げる
「うんんっ!・・んっむぅぅ」
絡み合う唾液が溢れ出し二人の口を妖しく彩る、こぼれた唾が机に落ちていく
口を離した二人の間にはさっき以上の糸が何本もできていた
「はぁ、はぁ、こんな・・・こんなハレンチなこと・・///」
「えっ?そっか?古手川の口すげーおいしかったけどな」
笑いかけるリトに唯の顔が火をふく
「な、な、な、なっ・・何変なこと言ってるの!!////」
それを見てリトはさらに笑う
「な、なにが可笑しいのよ?私は真面目に・・・」
「いやいや、そうじゃなくて・・・・」
リトは唯を抱き寄せるとその口に軽くキスをする
「安心したんだよ。やっと古手川らしくなってきたって」
その言葉に唯はなにも言えなくなってしまいまた目を閉じてリトを待つ
「んっ・・」
再び重なり合う二人
リトは唯の制服のリボンに手をかけるとシュルシュルと解いていく
器用に片手で一つずつブラウスのボタンを外していくと、その下から白いブラに包まれた唯の胸があらわれる
(古手川って・・・意外とムネあるよな)
その胸の感触を確かめるようにリトの指がすーっとラインにそって動いていく
「えっ!あっ・・ちょっと・・・やめっ・・あぁ」
頭ではわかってはいたことだけど唯にとってはまだ抵抗があるみたいで、リトの手から逃れるように後ろに下がろうとする
リトはその腕をガシっと掴むと言い聞かせるように見つめる
「心配すんなって。オレがちゃんとするから!」
結城君のことは信じてるし、大丈夫だってわかってる。だけど・・・・
リトの真剣な目を見つめ返す
「わ、わかってるわよ!そんなこと・・・」
ふいっと横を向いてしまう唯にクスっと笑いかけるとリトは再び指を動かし始める
白のレースのついたカワイイブラジャーを見てリトはあることを思う
(ひょっとして古手川って・・・カワイイ物好きとか?)
ふと覗き見た唯はリトの方を見ようとはせず、ふるふる震える体に顔を赤らめていた
(・・・カワイイ)
リトはブラに手を這わすとその上から軽くなぞる様に揉んでいく
「んっあぁ」
唯の反応にリトの男の部分も刺激される
手全体を使って包むように揉んでいく。強く弱くそして少し激しく
やわらかい感触がリトの手の中でぷるぷると震えリトを興奮させる
「あっ・・ん・はぁぁ」
短い吐息の様な唯の喘ぎ
リトの指が擦れると下着越しでもわかるほど唯の先端は硬くなってくる
下から押し上げられるブラの上からコリコリと擦ると唯の体もピクピク反応する
(見たいなこの下・・)
リトは唯の背中に手を伸ばすとホックを外す
唯のあっと言う声と共に肩ヒモのないブラは簡単に落ちていき下から乳房があらわれる
ブラをとってもほとんど変わらない形に大きさ、白いすべすべの肌にもちもちとした弾力がそなわり、先端のピンク色の乳首をより淫靡に彩る
「あんまり見ないでよ///」
リトは目の前の光景に唯の言葉も耳に入らず、ただ欲望のままに胸へと手を伸ばす
「はっあぁ・・」
下着越しとは違うまして自分で触る時とはまったく違う感触に唯はおどろく
そしてそれはリトも同じだった
127:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:43:42 tD75lvTl
手に伝わるすべすべの手触りにやわらかい弾力
手のひらで前後左右に揺れる胸の感触にリトは一瞬で虜になる
「うぅんんっ・・あぁぁ・・・」
揉んでいる内に硬くなった両先端を指で弾きその反応を楽しむ
ピクンピクンと震える胸にリトは舌を這わしていく
「ちょ、ちょっと待って!まだ・・ああぁっ・・んくぅ」
熱い舌が乳首に絡みつき、まるで胸全体を一度に弄られているかの様な感覚に襲われる
「んんっ・・はぁっ・ふぁあん・」
リトは反対側の乳首を2本の指で摘みコリコリと転がしていく
「ああっっ!結城・・君っ・はあぁ・・んん」
唯は自分の胸にむしゃぶりついているリトを見ると改めて思う
(男の子って胸が好きだってきいてたけど・・こんなに・・・)
唯の思いをよそにリトはどんどん胸を責めていく
両手で無遠慮に揉まれる乳房は桜色に火照り、赤く充血した先端に歯を当てて甘噛みする
「ん!!痛っ・あぁ・・それダメっ・んんっ」
唯の反応にリトの手は口は乳首を責めたてる
「やっ・・めてっ!はぁあ・ダメなの・・本当にっ」
(本当にダメっ・・・私このままだと・・・)
その口が勃起した乳首を吸い上げると、唯はリトの頭を抱き寄せビクビクと体を震わす
「あっ!・あっ!・・はぁ、はぁ・・んんっ・・」
長い体の震えと官能的な吐息
髪に掛かる唯の吐息が終わるとやっと解放されたリトが唯を見上げる
「古手川乳首弱いんだ?」
「だって・・私、こんなこと初めて・・で、はぁ・・はぁ」
まだ頭がぼ~っとしている唯の腰に手を回すとリトは耳元で囁く
「それじゃあもっと・・気持ちよくなろっか?」
唯の体にゾワリと悪寒にも似た感覚が現れる
リトの手がすーっと唯のむちむちした太ももを撫でていく
「なっ!?どこ触ってるのよっ!!///」
「えっ?」
唯の声にびっくりしたリトは太ももから手を離す
「どこって?だって脚開いてくれないとなんにもできないじゃん」
「あ、脚を開くって・・・////」
唯は自分の脚を見下ろすと、めくれあがったスカートから下着が丸見えなのに気付き急いで直す
「とにかくそんなハレンチなことできないわ!////」
「そんなこといわれてもな~・・・」
本気で困っているリトを見ると唯も少し考えすぎたかと思ってしまう
だけどここは女の子の一番大切な場所で・・・・・
「・・・・・・」
唯はじっとリトを見つめると少しだけ考え込む
うぅ・・・結城君なら・・少しだけなら・・・
唯は困っているリトの服をひっぱると小声でぼそぼそ話しかける
「へ、変なことしなきゃ少しだけなら・・・いいわよ////」
リトは唯の言葉に顔を輝かせると再び太ももに手を這わせる
「あぁ・・・」
(古手川の脚ってむちむちしててエロイよなァ)
リトは唯の靴を脱がせると太ももの付け根あたりから口をつけて舌を這わせる
「ヤっ!///な、なにしてっ・・あぁぁ」
脚を持ち上げ内股をつーっと舌を滑らせていくその気持ちよさに、唯は抵抗できない
太ももから膝小僧、黒の靴下の上から膝を足の甲そして、指と指の隙間まで
リトは丁寧に舐めていく
足の先端、指の周りはしゃぶるように
「ヤメっくすぐった・・あぁ・・んんんっ」
こそばゆさと快感の波に唯は身をくねらせる
リトは来た道を戻ると今度は反対側に這わしていく
128:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:45:20 tD75lvTl
結城君っああっ!・・くすぐったい・んんあぁ・はぁ」
「じゃあもうここ触ってもいいか?」
はぁはぁと息を荒げる唯は言葉につまる。さっき言った手前今さら変えることはできない
「す、少しだけなら・・・・」
リトが脚を舐めていたせいで股が開いたままの唯のあそこは、ブラと同じ柄のレースがついたショーツが丸見えだった
近づくリトの顔に口から漏れる吐息が唯の胸を不安にさせる
結城君・・・・・
『心配すんなって。オレがちゃんとするから!』
結城君の言葉・・信じるしか・・・
「古手川ちょっと腰上げて」
唯は言われた通りに腰を浮かせるとリトはスルスルとショーツを脱がしていく
好きな人の前だとはいえ始めて晒した自分の大事なところに、唯は恥ずかしさで目を潤ませる
(これが古手川の・・・ムチャクチャきれいじゃん)
ピンクの花弁に包まれた唯の秘所
男を知らないどころか今までほとんど弄ったこともないであろう唯の神聖な場所にリトは興奮を覚える
ゴクリと唾を飲み込み、割れ目にそって慎重に指を這わせる
震える指が割れ目に当たると唯の口から喘ぎが漏れる
両手で広げると膣内はすでに蜜で溢れかえっていた。広げただけでとろりと蜜が溢れ出す
リトは溢れた蜜を指ですくうと恐る恐る中へと指を入れていく
「あっ・・はぁぁ・・」
唯の膣内は息を呑むほど温かく、纏まりつく愛液が指を少し動かすだけで、くちゅくちゅと音を出させる
「嫌ァ!そんなの動かさないでェ」
「そんなこと言ったって・・うわっ///」
リトは改めて今の唯の格好を見て赤面する
長机に座っている状態の唯はリトの目の前で脚を開いているせいでM字になっており
はだけた胸と上気した頬がより唯を官能的にさせる
(エ、エロ過ぎる////)
「?」を浮かべるまったく気付いていない唯に愛想笑いを返すとリトは再び秘所に顔を向ける
(にしてもすげーやらしいな・・・)
指を抜くと愛液が幾本の糸となり床に落ちていく
「んんっ・・はぁはぁ」
リトに見られることが興奮するのか唯のあそこはどんどんいやらしくなっていく
ゴクリ―――
(ここにオレのを挿れたい)
リトは顔を上げるとぼ~っとなっている唯に話しかける
「あ、あのさ古手川・・・そのそろそろいいかな?」
「えっ?そろそろって?」
唯は聞き返そうとして息を呑む。短パン越しに膨らんだリトの男性器
「えっと・・・もう我慢できなくてさ」
唯はリトの顔と膨らんだ部分とを交互に見る。少し考え込むと机から降りてリトのそばに寄る
「我慢できないなら別にその・・・いいわよ////」
「えっ!!?」
思いがけない唯の言葉にリトは聞き返してしまう
「だから別にいいのっ!だって・・・・私だけ気持ちよくしてもらってたらダメじゃない
それに・・・・それにこういうのは共同でするものでしょ?愛し合ってる二人の共同作業というか・・・・////」
どこかずれてる感じの唯の思考にリトは微笑むと手近にあった椅子を持ってくる
リトはいそいそと短パンとパンツを脱ぐと椅子に座り、唯の手を取って近くまで招く
129:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:46:53 tD75lvTl
リトのそばまで来た唯は思わず勃起したモノを見て動かなくなる
あれが、あんなものが今から私の中に・・・・
「大丈夫か古手川?」
リトの言葉に我に返る。だけどその顔は不安に塗りつぶされていた
唯は握っていたリトの手を強く握り締める
目をつむると頭に流れてくるリトとの出来事。その一つ一つが唯の不安を消していく
「心配いらないわ・・・それより私初めてだから・・そのちゃんとして!」
それでも完全には消えない不安を気丈な態度で打ち消すとリトの上に跨る
ゆっくりと腰を落とす唯だが、だんだんと不安が大きくなる
(こ、これでいいのかしら・・・結城君に任せれば・・)
その時唯の割れ目に触れるモノがあった
「あっ・・」
リトの先端が唯の割れ目を広げ中に入ろうとしていた
(なにこれっ!!?熱いっ)
その感触に体をゆすると擦れた愛液がくちゅくちゅと音を立てる
「ヤダっこんなの!ハレンチすぎるっ!!」
「大丈夫だって!落ち着いてゆっくりでいいから」
腰に回されたリトの腕に支えられて唯はゆっくりと沈めていく
ぐちゅぐちゅと結合部から卑猥な音が流れ唯の体が羞恥に震える
熱い吐息が途切れ途切れにリトの顔にかかり、震える体を預ける様に抱きつく唯を、リトは愛しむ様に支える
唯の動きが止まった。リトにもわかるお互いが触れているのは唯の純潔の証
唯はリトの頬を両手で挟むと愛しい人を、好きな人をその目に焼き付ける様に見つめ
唇を重ねる
「結城君・・・好きよ・・大好き・・・」
甘い息がリトの口に入っていく。唯は笑顔を浮かべる世界で一人にしか見せない笑顔
その初めて見る唯の笑顔にリトの心は鷲掴みになってしまう
「古手川・・・オレ・・・」
唯は微笑むと一気に腰を沈める
「んんんっ・・・!!」
痛みに耐えギュッと体を縮める唯をリトは全身で抱きしめた
いつもより小さく感じる唯の体、毅然とした唯でもなく、怒った唯でもない
古手川唯というただの女の子をリトは守りたいと思った。こんなに自分を思ってくれる唯が愛おしくてたまらなかった
「もう・・平気・だから」
涙に濡れた顔をリトに向けて微笑む唯にリトは口を重ねる。自分の思いと共に
「オレも好きだから・・・唯のこと・・大好きだ」
唯の目から大粒の涙がぽろぽろこぼれる
今までの思いが溢れ出しリトの胸の中で声をあげて泣く
ギュッと抱きしめるリトに顔を向けると今度こそいつもと同じ気丈な顔で笑いかける
「うん・・本当に大丈夫だから・・後は結城君に・・・リトに任せるわ」
二人はキスを交わすと息を合わせる様に腰を動かしていく
実はリトはすでに限界だったりしていた
唯の膣内はその温かさと蜜の絡み具合、そして肉壁の締め付け具合がリトにとってはパーフェクトだった
リトの形に纏まりつく肉壁がカリを擦りあげ、ヒダの部分から締め上げる秘所全体がリトの肉棒をしゃぶっているかの様にギュウギュウ求めてくる
射精感の込み上げをなんとか理性で押しとめる
(それにこのまま出したら唯のヤツが怒るんだろうなァ)
唯はリトにしがみ付いて必死に合わせていた
痛みはある。だけどそれ以上にリトとつながったこと、気持ちが一つになったことが唯から不安や悩みを取り除いた
130:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:48:15 tD75lvTl
二人は手を繋いで体を動かしていく
ギシギシと椅子が軋み唯の喘ぎとリトの吐息がそれに重なっていく
「はぁ・・んっ、あぁんん・・リト、リトぉ・・んんっ」
何度も名前を呼んで求めてくる唯を抱きかかえると長机に寝かせる
唯の細い腰を手で固定するとその体に肉棒を打ちつけていく
「ああっ、イっはぁ・・んんん・はっぐゥ、んんっつ!」
リトの角度が変わると膣内の新しい感触に、唯の体に快感が満ちていく
「あっヤメっ・・激しすぎるわ、よ・・んんっ・・あぁぁっ」
「へ~唯ってこっちの体位の方が好きなんだ。じゃあこれは?」
リトは微妙に角度を変えながら膣内に肉棒を送り込んでいく
突かれるたびに変わる感触に、唯の体がそれを求める
「唯すげえやらしい腰自分で振ってるじゃん」
「ち、違うの!これはそんなんじゃなくて・・んんっ・・はぁああ」
そうじゃなくて・・・・腰が勝手に動いちゃう・・・求めちゃう
私リトのを欲しがっている・・・もっとして欲しいって・・もっと突いてって
「こんなの・・・・ハレンチすぎる・・・///」
心と体の考えの違いにとまどう唯にリトは笑いかける
「そうか?けど今の唯すげえカワイイけどな」
自分の動きに必死に合わせようとする唯が、1つ1つの唯の反応がリトの心をくすぐる
「な、なに言ってるのよ!?こんな時にっ///」
それに私カワイイなんて・・・・沙姫さんの方が・・・・
「んっ・・・・・」
唯はリトの首に腕をまわすと自分の胸に抱き寄せる
「お、おい唯?」
「いいからっ!!」
顔を見れなくてもわかる唯の声がリトの心に響いてくる
お願い――お願い―今だけ今だけでもいいからっ――
「んんっ・・ああ・んっ・・リト、リトお願い・・お願い来てっ・・私欲しいのっ」
「唯・・・・」
リトは唯の腕を解くと腰を打ち付ける、激しく何度も何度も
「うあっ・・はああっ・・・すごっリトが・・あああっ・んん」
少しでも長く、少しでも深く
「あっくぅっ・・私もうダメっ・・ああおかしくなるっ・・ああっんんっ・・はあっぅ」
「オレも・・もう限界・・出すな!唯の膣内に」
「うん、うん・・お願い全部出してっ・・お・願いリトぉ」
肉壁が波をうつようにざわめきリトに絡みつく、奥に更に奥に子宮口まで
込み上げる射精感を欲望のままにリトは子宮へと送り込む
「あぁ・・ああ・熱い、すごくわかる・・・リトのが私の中に」
唯は子宮のあたりを指でさするとリトに微笑みかける
「唯?大丈夫か?」
頬にふれるリトの手のぬくもりを唯はいつもでも感じたいと思った
離したくない――離れたくない――
そんな二人の様子を扉の前でじっと聞いていた者がいた
壁に背を預け腕を組みながら、その長い睫を伏せて考え事をしている
その体が壁から離れると、綺麗な金髪をなびかせて廊下を歩きだす
「あの沙姫様?よろしいのですか?」
沙姫の後を追いながら凛が不安な顔で聞いてくる
そんな凛を服を引っ張って止める綾
「・・・・・・」
沙姫の沈黙に二人はおろおろしてしまう
その足が廊下の真ん中でとまる
「凛、綾今日見たことはみんな忘れてしまいなさい!覗き見なんて私の経歴に泥を塗るだけですわ
・・・・それに後のことはリトがちゃんとするでしょう」
沙姫の言葉に二人は顔を見合わせ考え込む
沙姫は最後に一度だけ指導室を見るとなにを思うのか、その瞳を揺らめかせると
再び歩き始めた
131:名無しさん@ピンキー
07/05/16 13:48:50 nTy+1JH3
ここは投下が多いな!
オアシスのようだ
132:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:51:04 tD75lvTl
制服に着替え終えたリトが窓の外を見ると、校庭の真ん中を歩いている沙姫が目に入る
その姿にチクリと胸が痛む
(オレ・・・・・)
「なにしてるのよ?早く行きなさいよ」
後ろを振り返ると唯がリトを見つめたいた
「えっ?でも・・・・」
「大丈夫わかっているわよ。心配しないで私なら平気だから」
唯のいつもと同じ顔にリトはそっと手を伸ばす
頬にかかる髪をやさしく撫でると、手のひらで頬を包む
「唯オレはお前のことが・・・・」
唯はリトの手を横目でちらりと見ると、人差し指と親指でその手を抓る
「軽々しく下の名前で呼ばないで!それに・・・さっきの事はその流れにまかせてしまったというか雰囲気というか・・・・とにかく!
私はあんなハレンチは事自分でも許せないの!だから・・・だからあなたも忘れなさい」
そう言うと唯はリトの背中をぐいぐい押して教室から出そうとする
「ちょ、ちょっと待てよ唯!おまえ・・・・」
唯はリトを締め出すと扉に鍵を掛けて入れないようにする
外からリトがなにを言おうとも文句を言おうとも唯は耳をかさず扉を開けなかった
扉の前で唯は目をつむってリトの声にじっと耐える
頬に残るリトのぬくもりに自分の手を重ねて、そのぬくもりを思いを噛み締める
「ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・リト」
溢れる涙と共にリトとの出来事がよみがえる
体を重ねたぬくもり
リトと交わした言葉
大好きなリトへの気持ちと一緒に涙が止まらない
唯はリトが帰るまでずっとずっと泣き続けた
「・・・・悪いな待たせた・・・」
暗い表情で車に乗ってきたリトを沙姫はじっと見つめ再び窓の外へ視線を移す
「出しなさい」
動き出す車の中、一言の会話もないリトに沙姫は窓を見つめながらゆっくりと話す
「ねえリト?私一つだけどうしても許せないことがありますの」
「え?」
窓の外を眺めていた沙姫はゆっくりとリトへと向き直る
「女の子を泣かせる殿方を私は決して許せませんわ」
「沙・・姫・・・?」
翌日リトはいつもより早起きして学校に来ていた
唯に会うため、唯を探すため
リトが教室に向かうと唯がちょうど教室から出てきたところだった
手にはマンガの雑誌が握られている。恐らく学校に持ってきた男子から唯が没収したのだろう。
リトは相変わらずだなと笑うと唯に手を振って呼びかける
「お~い古手川~!」
そんなリトを一瞥すると唯は、リトとは何事もなかったかの様な顔をする
唯は喉元を指差しながらリトの横を通り過ぎていく
「・・・・ネクタイ」
「えっ?あァァ・・・」
走ってきたため歪んでいたネクタイを締めなおすと、唯の腕を後ろから掴んで振り向かせる
「な、なによ?」
「古手・・じゃなくて唯!」
リトの声に思わず顔を赤くさせて文句を言う
「だ、だから下の名前で呼ばないでって言ったでしょ!」
「そうじゃなくて・・・・」
133:リトと唯と沙姫 続き
07/05/16 13:53:11 tD75lvTl
リトは唯の体を抱き寄せるとギュッと強く抱きしめる
「な、な、なにしてんのよっ!!///」
廊下の真ん中でしかも人が何人も見てる前でのリトの突然の行為に頭がパニックになる
「いいから落ち着けって!な?」
「わかったから!わかったからいい加減離しなさいっ!!」
名残惜しげに体を離すリトに唯は睨みつける
「あなたいったい何考えて・・・」
「唯・・・そのオレと付き合おう!ってか付き合ってほしいんだ」
「へ?」
リトの言葉に唯の目は点になる
付き合う?・・・だって結城君には沙姫さんが・・・
唯の表情にピンと来たのかリトは自分の顔や首を指差して力なく笑う
「まァ昨日あれから色々あってさ・・・話せば長くなるんだけどさ」
見ればリトの首筋には色々と傷ができており、ほっぺたが心なしが赤く腫れているみたいで
唯はそこに恐る恐る指を近づける
「ってぇぇ・・・」
「あっごめんなさい」
少し涙目になりながらもリトは改めて唯に真剣な顔を向ける
「それでオレと付き合ってくれるか?」
唯は正直とまどっていた。一度はあきらめた気持ち、昨日あれから一晩泣き明かしたこと
唯の中で複雑な気持ちがうずまいてくる
「その・・オレ昨日唯に言った言葉も気持ちも全部全部ホントなんだ!唯が好きだ」
わかってる・・・みんなわかってる・・・・
その時、唯は自分をじっと見つめる視線に気付き目を向ける
(沙姫さん・・・!?)
リトの後ろでじっと自分を見る沙姫の視線に唯は息を呑む
責めるでも悲しむでも怒っているでもない、ただ純粋に唯を見つめる瞳
沙姫の口が開いて言葉をつぐむ音のないただの言葉。だけどその声は唯の耳に確かに届く
『リトを傷つけたら許しませんわよ!』
唯は沙姫の顔をじっと見つめ返すとコクンと首を縦にふって応える
それに沙姫はくすりと笑うと最後にリトの後ろ姿を見つめ、お供の二人を引き連れて歩いて行った
「・・・なあ唯?それでその・・・どうなんだよ?」
唯はリトに向き直るとその目をじっと覗き込む
「・・・・まずは授業中ちゃんと先生の話を聞くこと!学校に余計な物は持ってこないように!それから服装!!」
唯はリトのネクタイに手を掛けると慌てて結んだ結び目をキレイに整える
「・・・・ちゃんとして!!付き合うのはそれからよ。わかってると思うけど私不純なことはしないから!
その・・・高校生がそんなことするなんてもっての他だし、これ以上風紀を乱すわけにはいかないわ////」
リトは唯を引き寄せるとその体を強く強く抱きしめる
「ちょ、ちょっとさっきの話聞いてたの!!?////」
「それでもいい。それでもいいから・・・オレ唯が本当に好きなんだ////」
「わかったから早く私から離れなさいっ!!」
まったく離そうとはしないリトに仕方ないといった顔をするとその頭をやさしく撫でる
(私も・・・私もリトが大好きよ)
134:名無しさん@ピンキー
07/05/16 14:00:00 tD75lvTl
終わり
長くなって本当に申し訳ないです。書きたいこと書いたらこんな長さになって
しまいました。今度からは気をつけたいと思います
とりあえず話どう纏めればいいのか迷ってしまってこんな終わり方にしたんですけど・・・
まあ全部不用意に沙姫たんを出した自分が悪いんですけどねw
次は普通にリトと唯を書こうかと
長くなりましたが読んでくれて本当に感謝です!!
>>120
ヤミ金氏GJです!ヤミが本当に好きなんですね
今夜?続き期待してます
135:名無しさん@ピンキー
07/05/16 15:29:50 qSFxsGYe
校長の日課テラワロスwwwwwwwwwwwwwwww
136:名無しさん@ピンキー
07/05/16 17:50:11 xCC0i+xa
何この素晴らしすぎるスレ
137:リト×金色の闇
07/05/16 18:07:55 nTy+1JH3
勢いで書き上げたので投下します。
非エロなので、期待しないで下さい。
あと、季節感が今の時期と全然合ってないので、そのおつもりで。
138:リト×金色の闇
07/05/16 18:09:07 nTy+1JH3
世の中には、図書館が好きな人間が意外と多い。
殊に女性においては、その傾向が顕著なようだ。
タダで本が読めるから。或いは一人の時間に浸れるから。
理由は様々だが、年寄りを除けば平日の図書館は、殆ど女性ばかりだ。
少女は、地球上においてこの空間を、密かに気に入っていた。
照明を眩く反射する程の黄金色の髪をゆるやかになびかせて、
少女は本棚の前に立ち尽くしていた。
『ウィトルウィウス人体図に見る生体比率概論』
今適当に思いついたような脈絡の無いタイトルのその本は、
少女の身長と比較して随分高い段に置かれていた。
別に、取れない事は無い。
髪を伸ばしてやれば良いだけの事だ。
しかし、人目がある。この星では手で物をとらねば、奇異な眼で見られる。
試みに背伸びしてみるが、手はギリギリ届かなかった。
さりとて、腕の組成を組み替えて、ダルシムみたいに伸ばすわけにもいかない。
仕方ない、踏み台を持って来よう……。
溜息交じりにそう考えていると、背後から頭上を通って、
別の者の手が、目的の本を取り上げたのが見えた。
「あ……」
「ほらよ。これが取りたかったんだろ?」
やや見上げたその先には、忌々しい顔が仏頂面で見下ろしてきているのが見えた。
「結城リト……」
「今日は地球の事をお勉強か? 金色の闇」
リトは周囲におかしな目で見られないように、少女の通り名を小声で呟いた。
139:リト×金色の闇
07/05/16 18:09:49 nTy+1JH3
「ったく面倒ったら無ぇよなぁ。
人前で堂々と『金色の闇』なんて呼ぶわけにいかねぇんだもん」
比較的人の少ないテーブルに腰掛けて、二人は会話した。
もっとも会話と言うより、リトの方が一方的に話しかけているような印象さえある。
金色の闇も一応返答はするが、気のない、適当な相槌に過ぎない。
リトとしても、正直この少女と仲睦まじく話したいと思っていない。
基本的に、苦手な相手なのだ。
しかし鉢合わせた以上は、無視して通すわけにもいかない。一応知人なのだ。
リトは少女の読みふけっている本……先程リトが取ってやった本の
背表紙を見つめて、感心するやら呆れるやら、複雑な声で呟く。
「また難しそうな本読んで、まぁ……」
しかし、少女は何も言葉を返さなかった。
イエス・ノーで答えられるような簡単な会話なら乗ってやらないでもないが、
わざわざこちらから話を広げてやろうとも思わない。
結果、居心地の悪い沈黙が訪れる。
少女はひとしきり黙して読書を続けていたが、
いつまで経っても目の前のリトが帰る気配が無いので、
思い切って自分から口を開いてみた。
「いつになったら帰るんですか。……と言うか
何の用事があって、休日でもないのに図書館に?」
少女の方から話題を振ってきたので、リトは水を得た魚のように
ここぞとばかりに話に食いついた。
「今日は休校日なんだよ。代休つってな。
ララはうちの親父の仕事を、面白がって手伝いに行ってる。
一人で家に居ても暇だから、適当にブラつきに来たんだ」
「……そうですか。
単なる暇潰しに付き合うつもりはありませんから、
さっさと目の前から消えてくれませんか?」
せっかくリトが会話を広げてやったのに、少女はやる気の無い返事を返した。
どうせだからリトと一緒に遊びに行ってやろうか、などと
考えてやる程、少女は社交的でもなければ、リトに好感も持っていなかった。
「愛想が無ぇなぁ、お前って。まぁララ程底抜けに陽気でも困るけど」
「人を殺す仕事をしているのに、愛想がある方が不気味でしょう?」
そう言われてみればそうだ。
陽気に笑いながら他人を手にかける殺人鬼を想像してみて、リトは寒気を覚えた。
140:リト×金色の闇
07/05/16 18:10:51 nTy+1JH3
大人のレディのように静謐な眼差し。
対照的に幼い顔立ちと容姿。
金で作られた細工物のような流麗な長髪。
黒は女を美しく見せるというのもあながち嘘ではないようだ、
黒衣をまとって書物を読みふけるその姿は、深窓の令嬢のようですらあった。
気を抜くと、思わず見とれてしまう。
「……何、ジロジロ見てるんですか」
「え、あ……いや、悪ぃ。何でも無い」
「……えっちぃ事考えてたんじゃないでしょうね?」
「ば、馬鹿っ! お前相手にそんな危険な真似が出来るかよ」
再び、気まずい沈黙。
リトはもう帰ろうかとさえ思ったが、さりとてどう言って席を立てば良いかもわからない。
じゃ、俺はこれで……とでも言っておくのが無難かもしれないが、
そもそも別れの挨拶を交わす程仲が良いわけでもない。
しかし何の挨拶も無しに席を立つのも気がひける。
やはり知人であればこそ、何がしかの言葉をかけるのが当たり前だろう。
だが、じゃあ何と声をかければ良いのかと問われると、返答に困る。
結局そうしてリトは、いつまでも席を立つタイミングを逸し続けていた。
それに、この端麗な容姿をもう少し眺めていたい、という気持ちも、正直あった。
チラチラと相手の方を見やり、時々視線が合うと、慌てて目を伏せる。
お互いに言葉もろくに発する事なく、無為に一時間程過ごしていった。
少女は読んでいた本をパタンと閉じると、おもむろに席を立った。
「もう読み終わったのか?」
「いいえ。続きは明日にします。もうそろそろ閉館ですから」
そう言ってそそくさと歩いて行く後を、リトがついて行く。
何でいちいちついて来るんですか……そう言いつつ本棚に本を戻そうとした時、理由がわかった。
そして悔しい事に、リトがついて来てくれていなければ、また面倒になるところだった。
「届かないんだろ? 貸せよ」
「……」
馬鹿にされたような、気を遣われたような。悔しいような、有難いような。
これでは、あまり無下に突き放す事も出来ないではないか。
「……どうも」
しばらくの後、少女はようやっとそれだけ口にした。
ごく自然ななりゆきで、二人は並んで図書館を出て行った。
141:リト×金色の闇
07/05/16 18:11:32 nTy+1JH3
「……いつまでついて来るんですか」
「いや、つーか……俺ん家そっちなんだもん。別について回ってるわけじゃねぇよ」
夕暮れの川原沿い。周囲の建物が妙に暗く見える。影に吸い込まれそうだ。
ノスタルジーを呼び起こす風景に、何となく胸のあたりが苦しくなってくる。
それはリトばかりでなく、異星人の少女にも同様らしかった。
元々暗い表情が、心なしか昼間より更に暗く見える。物思いにふけっているのかもしれない。
それは、不覚にも心を射抜かれてしまうような、美しい横顔だった。
「……あなたは、私の顔を見るのが趣味なんですか? 結城リト。
図書館でも、ずっと人の顔ばかり無言で眺めてきて……」
「いや、え……あ、ごめん」
夕日の色を映しこんだその髪は、黄昏色に染まっていた。
案外『金色の闇』という通り名には、夜の暗闇よりも
今のこの黄昏の方に、近いニュアンスがこめられているのかもしれなかった。
「なぁ、金色の闇」
「何ですか、結城リト」
「……いやごめん、何でも無い」
「……?
不気味な人ですね。それに、何でも謝り過ぎです」
リト自身、何を言おうとしていたのか、自分でもわからなかった。
不気味と罵られても、反論出来ない。
142:リト×金色の闇
07/05/16 18:12:13 nTy+1JH3
途中、鯛焼きを売っている露店を見かけた。
季節柄、こういう温かい食べ物が欲しくなる。
そう言えば来月は、クリスマス・イヴが控えていただろうか?
今年は誰と過ごすんだろうな……ララか、或いは春奈ちゃんか。
もしくは妹と二人で? まさかね。そんな事になるぐらいなら、一人の方がまだマシだ。
そんな事を呆然と考えていると、少女の目線が露店に向いた。
「買ってやろうか?」
少女はすかさず頷いた。現金な女だ。こういう時だけ素直なのだから。
だがリトの財布の中には、生憎鯛焼き一個買える程度の小銭しか入っていなかった。
千円札を崩せば二人分買えるのだが、鯛焼きのために札を崩すのも気がひける。
少女は少女で、今日は財布を持ち合わせて来ていないようだった。
「参ったな。一個しか買えねーわ」
勿論リトとしては、少女の分だけ買ってやって、自分が我慢する事に吝かではない。
だが、この少女はどうにも遠慮してきそうな気がする。
一緒に食べるのでもなければ、彼女がリトに鯛焼きを奢ってもらう理由は無いのだ。
じゃあ買わずに通り過ぎれば良いではないか、という簡単な話なのだが、
この少女の鯛焼きを見つめる目を前にして、そういうわけにもいかない。
「……半分コしよっか?」
リトの問いかけに、少女はこくりと頷いた。
少し顔を赤くして首を下に傾ける仕草が、妙に可愛らしい。
うちの妹もこのくらい可愛ければ……と思いつつ
結局妹など、どれ程可愛くても鬱陶しいだけに違いないと思い直す。
「毎度ありー」
初老の鯛焼き売りの男から鯛焼きを一つ購入して、
二人は土手の方へと降りて行った。
綺麗に半分に割ってやりたいところだが、形状の問題から難しい。
とりあえず割ってみて、餡子の多く入っている方を少女に渡してやろうとリトは思った。
が、その前に鯛焼きがきっちり半分に割れた。
というか、裂けた。
「……んなっ!?」
鯛焼きの口の部分から尾の部分まで、直線を描いて光が一閃する。
真っ二つになった鯛焼きの向こう側で、少女は自分の髪の毛の先を、ハンカチで拭っていた。
「これで丁度半分ですね」
「お、お前なぁっ! 誰かが見てたらどうすんだよ!」
「誰にも見えませんよ。地球人の動体視力で捉えられる程、遅いつもりはありません」
少女はリトの手から、鯛焼きの片割れを取り上げて答えた。
確かに、彼女の特性を知っている者でなければ、今の瞬間何が起こったのか理解出来なかったろう。
性格と言い、その速さと言い、まるでどっかの格ゲーに出てくるミ○ア=レイジのような女だ。
143:リト×金色の闇
07/05/16 18:13:05 nTy+1JH3
男と女では、大抵の場合男の方が先に食べ終わるのが常だ。
まして口の小さい少女の事だ。
リトが鯛焼きをものの数秒で食べ終わっても尚、少女はまだ半分も食べ切っていなかった。
「早いですね、結城リト……」
「いちいちフルネームで呼ぶなよ、気色悪ぃなぁ。
……まぁ、お前にリトって呼ばれるのは、もっと気色悪いけど」
「だったらあなたも、私の事を『金色の闇』などと無粋な名前で呼ばないで下さい」
言われてリトは、考え込んでしまった。
それこそ、じゃあ何と呼べば良いのだと問いたくなる。
……ヤミちゃん?
まさかね。
苦笑いとも自嘲ともつかない表情で、溜息を浅くこぼす。
「だったら、本名教えろよ。教えてもらえないものを、呼べるわけ無ぇじゃんか」
牽制するようにそう言うと、少女はひとしきり黙り込んだ。
本名など。
久しく呼ばれた事は無かった。
本名が、必要になった事も無かった。
通り名さえあれば、それで不都合は無かった。
彼女に目をかけるララでさえ、勝手にヤミちゃんなどとあだ名をつけて呼ぶくらいで
誰も彼女を、本当の名で呼ぼうとした者はいなかった。
「私……私の本名……」
その言葉の続きを待つリトの間抜けな表情が、今の少女には恨めしく思えた。
皆からちゃんと名前で呼んでもらえる者に。
どんな名前なのかすら、気にしてもらえない者の孤独など。
「理解出来る筈が……」
思わず口にしてしまった呟きは、運悪くリトの耳にしっかり届いてしまったようだ。
「何の話してんだ、お前?」
「……何でもありません」
少女は再び、先程の美しくも暗い、儚げな表情に戻った。
144:リト×金色の闇
07/05/16 18:14:00 nTy+1JH3
「リト」
「結城君」
少年の名を呼ぶ、ララや蜜柑や春奈の声が、少女の頭の中でフラッシュバックし続ける。
態度に違いはあれ、皆親しげに、リトの名を呼ぶ。
対して、自分はどうだ?
「金色の闇」
「金色の闇」
「金色の闇」
依頼を持ちかけてくる者達や、自分を恐れるターゲットや、目の前の少年や……。
無数の声の、その全てが、少女を無機質な呼び方でしか扱わない。
ララの『ヤミちゃん』という呼び名さえも、その亜流に過ぎない。
金色の闇、金色の闇、コンジキノヤミ、コンジキノヤミ、コンジキノ……。
……いや。
例外が、いる。
少なくとも、今隣で自分を見つめてくる、この間抜け面の少年。
彼だけは、今、こんな私の名前を、気にとめてくれた。
本当の名前を教えて欲しいと、言ってくれた。
そう思った時少女の中の、少年を見上げる気持ちに、揺らぎが生まれた。
145:リト×金色の闇
07/05/16 18:14:43 nTy+1JH3
油断していたのかもしれない。
或いはこういうのを、心を開く、と言うのだろうか?
それとも、気を許す、と?
どちらにしろ、ガードが下がった事に変わりは無い。
並んで鯛焼きを食べていたために、距離が近過ぎたのも一因だろう。
ふとしたキッカケで、容易く心の壁が瓦解する事は、往々にしてある。
丁度、そういうタイミングだったのだろう。
少女はいつの間にか、リトの腕に軽く凭れ掛かって、嗚咽を漏らしていた。
指先が、軽くリトの袖の皺を摘んでいる。
行かないで。
指は、そう懇願するようですらあった。
「なっ……ちょ、おい? マジどうしたんだよ?」
だが、少女は答えない。
口をきつく結びながら、それでも抑えきれない泣き声が漏れ出るくらいで、
一言も何かを喋ろうとはしない。
だが、涙は言葉以上に雄弁だった。
黙って彼女を抱きしめている内に、何故彼女が涙したのか、
その理由がリトにも何となく伝わってきたのだ。
触れ合う事は、言葉以上に相互理解を深めていた。
146:リト×金色の闇
07/05/16 18:15:33 nTy+1JH3
少女が落ち着く頃には、もうすっかり空は濃い紺色になっていた。
少女の綺麗な髪が輝きを損なうのは、勿体無いような気がした。
「あのさ……」
黙りこくる少女を尚もその左胸に抱きとめながら、リトは口を開いた。
「こういう言い方すると、説教臭くて気分悪いかもしんないけど……
自分の名前をちゃんと呼んでほしいなら、
先にお前の方から、相手の名前をちゃんと呼んでやるべきだと思う」
リトの言っている意味が、少女には一瞬わからなかった。
相手の名前なら、ちゃんと呼んでいるつもりが、少女にはあったからだ。
しかし、まるで意味合いが違う。
その事に気づいた時、少女は泣きはらして赤くなった顔を、もう少しだけ赤くした。
「……リト」
それは、泣き始めてから今までで、やっと彼女が発した初めての言葉だった。
「……って、呼んで欲しいんですか?」
「いや、その……別に、そこまでは。結城で良いよ、結城で」
いきなりファーストネームを呼ばれて、リトは困惑した。
慕うララの事でさえ、プリンセスとしか呼ばないこの少女が。
事もあろうにリトの事をそんな風に呼ぶとは、誰が予想しただろうか?
こういう時、童貞は辛いものがある。
ただハグしているだけで、簡単に硬くなってくる。
空気読めよ、俺の息子。恨めしげに、下半身にそう念じる。
周囲が暗いのと、上半身しか密着していないので、やり過ごせるかと思ったのだが、
ふと少女が下に目線を向けた瞬間、あっさりとバレてしまった。
「……この、膨らみは」
「やっ、あっ! いや、その……ごめん」
「……えっちぃのは嫌いです。結城リト」
「あっ、テメェ! またそんな呼び方しやがって……」
少女はリトから離れると、彼女にしては珍しい事に、少しだけ微笑んだ。
そうして、またすぐに無表情を繕い、言葉を発した。
147:リト×金色の闇
07/05/16 18:16:16 nTy+1JH3
「あなたが私の事を本当の名前で呼んでくれたら、
私もあなたの事、また下の名前で呼んであげます」
リトはしばらく押し黙ったが、やがて意を決したように口を開いた。
「……お前の名前、教えてくれよ」
少女は、口を小さく開いて答えた。
「一度しか言いませんから、よく聞いて下さいね?
私の名前は……」
奇しくも来月には、クリスマス・イヴが控えていた。
はい終了。
148:ヤミ金
07/05/16 23:10:34 Ss76SsFW
>>137
GJ!
徐々にヤミの話が増えてるようで嬉しいです
俺も頑張らねば…
149:名無しさん@ピンキー
07/05/17 01:52:10 l+FFRZJ2
リト×古手川唯最高の組み合わせww
古手川唯=ツンデレ・ツリ目・委員長・黒髪ロング・着痩せ
パーフェクト!!グゥレイト!!!やったぜGJ!!!!
150:名無しさん@ピンキー
07/05/17 07:18:33 q//DXmIB
リトが単なるラノベ系主人公になってないか?
151:ヤミ金
07/05/17 10:22:31 izZKJt0P
校長の日課二回目投下行きます
投下が多くなったのは喜ばしいですが、ラブも萌えも書けない俺は微妙に肩身が狭い…
152:校長の日課②
07/05/17 10:25:10 izZKJt0P
「何か寒気がします…」
自分を狙う鋭い視線に晒されていたヤミはぶるっと体を震わせた
しかし知覚している範囲では周囲に人はいない
気のせいか、とヤミは歩みを進める
ここで宇宙有数の殺し屋であるヤミが校長一人に気がつかないっておかしくね? と読者諸氏は思われるかもしれない
だが、これは校長のステルス機能と、彼が出しているのは殺気ではないということが大きな要因となっているのである
斬ったはったの世界で過ごしていたヤミは殺気等自分を害しようとする気配には敏感だが、それ以外には鈍いのだ
まあ、ある意味では校長はヤミを害しようとしているのではあるが…
「…カギはかかってはいないようですね」
ヤミの目的は校長の推察通りシャワーを浴びることだった
いつもは宿泊施設を利用しているヤミだったが、先日体調不良の治療に払った代金(+屋敷の修理代)のせいで金欠気味なのである
これが宇宙全域の悪人に恐れられている少女の行動だと思うと非常にわびしいものがあるといえよう
「ロッカーは…83番を使わせてもらいましょう」
ヤミは適当なロッカーを開くと服を脱ごうと両手を背中に向ける
が、すぐにその手は止まった
ロッカーの中に鏡があったからだ
通常、ロッカーに鏡がついていることは珍しくはない
しかしこのロッカーの鏡はデパートの服売り場の着替え室のように正面全体が鏡になっているのだ
普通ならばちょっと変わってるなと思う程度だが、一人でいるが故の静寂がヤミに妙な羞恥心を芽生えさせてしまった
誰もいない空間の中、鏡の中の自分という存在に脱衣を見られるというのはちょっと恥ずかしいと思ってしまったのである
「…馬鹿ですか、私は」
と、自分に呆れつつもヤミはくるりと半回転して鏡に背を向けた
これで鏡は見えない
ヤミは落ち着きを取り戻し、再度背中へと両手を向かわせるのだった
そう、自分を見つめる一対の視線に気がつくことなく
153:校長の日課②
07/05/17 10:27:06 izZKJt0P
一方、そんなヤミの姿を凝視する校長の姿が鏡の裏にあった
鏡の裏は校長一人がギリギリ通れるくらいの通路になっている
これは壁に直接覗き穴を作ってはバレバレだろうということから校長が特注で作らせた覗き様の通路なのだ
外の壁と中の壁の間に作られたこの通路の存在は当然校長しか知らない
勿論その用途は覗きのためだ
ロッカー、シャワー室に取り付けられた鏡はマジックミラーになっていて校長側からははっきりと鏡の向こうを見ることができる
「よしよし、ベストポジション」
目を爛々と輝かせて校長は目に力を込めた
目の前には鏡一枚を隔てて服を脱いでいく少女の姿がある
ほぼ毎日やっていることではあるが、夜という時間的シチュエーションが彼の興奮を高めていた
「おおっ、始まった!」
気づかれないよう小声で興奮しながら校長は鏡にがぶりよった
ヤミは背中のジッパーをゆっくりとおろしていく
新雪のような綺麗でなめらかな白い肌が徐々に露出
デキモノ一つないうなじや背中の肌が校長の目を楽しませる
続いて、腰の部分までジッパーを下げ終えたヤミは両肩からゆっくりと黒の衣服を脱ぎおろしていく
肩、背中、腰と少女の体が徐々にあらわになる
「ごくり…」
校長は興奮を抑えられなかった
このままいけば次はお尻が露出されるはず
初めて校長がヤミを目撃した時からずっと切望していたスカートの中身がついに拝めるのである
初遭遇の時は世界の修正力でも働いたのか、お尻の一部や太ももこそは見えたもののギリギリで少女のショーツは拝めなかった
それはエロードを極めんとする校長にとっては痛恨の出来事だったのだ
あの娘はどんな下着を着けているのか? 幾数日中悶々と悩んでいた答えがついに明かされる時が来た
154:校長の日課②
07/05/17 10:28:56 izZKJt0P
「うっひょーっ」
歓声と共に、するり…と黒の衣服がヤミの足元へと落ちる
そしてヤミは手と足のアクセサリー(?)をも外し、下着のみの姿となる
ブラはつけていないのか、下着といってもショーツのみの姿なのだが、その後姿は非常に扇情的だった
発育途中の少女特有のほのかな色気が校長の興奮を誘う
「ふうっ…」
開放感からか、ヤミが僅かに身じろぎをする
長い金の髪がゆれ、お尻を覆っているショーツが見え隠れした
その瞬間、校長は脳内データに高速でデータを書き込み始めた
白…そしてTバック!
少女らしからぬ大胆な下着に校長は興奮のゲージをまた一つ上げた
なるほど、Tバックならば確かにあの角度で下着が見えなくても仕方がない
ヤミからすれば誘惑とかそういったつもりは全くなく
単に動きやすさからのチョイスだったのだが、意図しないが故の色気というものがあった
ヤミの容姿にTバックというアンバランスさは校長…いや、男からすればGJ以外の評価はないのだから
「しかし…良いお尻の形だ!」
校長は下着に目を奪われながらも、下着からはみだしているお尻にも注目していた
ぷりぷりとして触り心地の良さそうな二つの桃
大きさ自体は小さめだが、ロリコンの校長からすればそれはむしろ望むところである
ああ、触りたい、撫で回したい、かぶりつきたい…
校長はハァハァと荒い息をつきながらあふれ出る欲望を抑えることに必死だった
155:校長の日課②
07/05/17 10:30:57 izZKJt0P
「むおおっ!?」
ヤミの手がショーツのゴムへとかかった
瞬間、校長の視界がコマ送りのようにスローになる
150キロの剛球を打つプロ野球選手をもしのぐ極度の集中力がそれを可能にしているのだ
ヤミの細い指がショーツと肌の間に滑り込む
そしてゆっくりと布を歪ませながらショーツがお尻から離れていく
時間に換算するとほんの数秒の出来事だったが、校長にとっては数時間ともいえるシーン
ショーツが脱げていくにしたがってヤミは体を折り、お尻を校長の方へと突き出すような格好へと変化していく
すっ…
そしてついにショーツが膝下へ移動を果たした
元々Tバックなのでお尻はほぼ丸見えといって差し支えなかったのだが、やはり下着があるのとないのではエロ度が違う
角度の問題なのか、お尻の穴や秘所は見えない
しかし眼前で揺れるお尻は校長を満足させるに足りるものだった
だが、ヤミのサービスは続く
右足を上げ、ショーツを右足から抜く
続いて、左足も同じようにしてショーツを抜く
ヤミが動くたびに左に右にと可愛らしいお尻が揺れる
そしてそのたびに少女の大事な部分が見えそうになったりするのだ
もうちょっとお尻を上げてくれ!
校長は切実に祈っていた
しかしヤミは要望を聞き入れることなく脱衣を終える
(くっ…しかし!)
ちょっとガックリした校長だったが、すぐさま思考を次に移した
服をしまうためにはヤミは一度正面を向かなければならない
つまり今まで見ることができなかったヤミの裸の正面がもう少しで見えるはずなのだ
しかし…
156:校長の日課②
07/05/17 10:32:22 izZKJt0P
「えっ、ちょっ、ちょっと!?」
瞬間、校長の視界は真っ黒に染まった
ヤミは振り返ると同時に自分の着ていた衣服をハンガーにかけ、ロッカーに収納したのだ
当然、校長の視界は塞がれ、ヤミの姿を見ることはできなくなってしまう
「ま、待て、やり直しを要求するっ!」
非難してみるものの状況は変わらない
右に動いても左に動いても視界は黒のままだ
かろうじて足元は見えるのだが、それがまた校長の悔しさを増長させる
「そうだ、足元からなら!」
校長はすぐさま地面にはいつくばった
下からならば見えるはず…!
だがその発想は一歩遅かった
校長の視界には離れていくお尻と太ももしか映らない
既にヤミは移動を開始していたのだ
「トホホ…」
これ以上ないというほど肩をガックリと落としながら校長は立ち上がる
しかし、彼はすぐに立ち直った
そうだ、これからが本番なのだ!
着替えはむしろ前座に過ぎない
これからはシャワーシーンなのである
校長は頬を緩めると体に似合わぬ素早い動きで移動を開始するのだった
157:ヤミ金
07/05/17 10:34:38 izZKJt0P
今回はここまで
相も変わらず脱衣にばかり情熱を傾けてしまう俺…
基本、俺が書くのはこんなんばっかになる予定です、偏ってるなぁ
158:名無しさん@ピンキー
07/05/17 17:31:43 HhktM03m
>>147
GJ!
でもなんかリトがキョンっぽいw
159:名無しさん@ピンキー
07/05/17 18:30:49 ICKFenpJ
>>157
程々のエロこそが最高のエロなのです。
160:名無しさん@ピンキー
07/05/18 00:42:21 nxRUlQbB
>>158
失せろ春日厨
161:名無しさん@ピンキー
07/05/18 04:15:59 nEF3iFw/
リトと唯と沙姫氏GJ!!
162:名無しさん@ピンキー
07/05/19 17:10:39 JzQ1LABC
ヤミ金待ち!!
163:名無しさん@ピンキー
07/05/19 21:20:36 145yOALe
リトララも誰か
164:名無しさん@ピンキー
07/05/20 00:30:46 4xkbLlRY
リトと唯、ルクティアに似てる希ガス
165:名無しさん@ピンキー
07/05/20 09:31:26 WOH5Xcms
ルクティア厨はきえてほしいところ
166:名無しさん@ピンキー
07/05/20 10:49:14 6JE9YfBA
>>164
死ね
167:ヤミ金
07/05/21 08:38:59 279xTFg/
今週号でヤミは邪な視線にも敏感だということが判明
今書いてる校長の日課の話が全部ぽしゃるってことじゃないか… _| ̄|○
…こ、ここはエロ『パロ』版なんだから問題ないよね、ね?
動揺しつつ次回は今週中にはなんとか投下したいと思ってます
168:名無しさん@ピンキー
07/05/21 16:32:37 H/UCmOel
ラストさえ気をつければいいじゃないか
ということで気長に続編待ってます
169:名無しさん@ピンキー
07/05/21 17:50:58 /8eaKW4g
>>167
気にしすぎです。
続編カモーン!!
170:ヤミ金
07/05/21 21:02:27 JgWpb7/y
今週号のけしからん太ももに欲情した!
というわけで校長の日課ラストです
温かい言葉が身にしみる…
171:校長の日課③
07/05/21 21:04:12 JgWpb7/y
校長は興奮しながらも静寂を保つという器用な状況を作り上げていた
目の前には一枚の鏡
その向こう側には誰もいないシャワー室がある
シャワー室は個室式になっているので校長の待機している個室にヤミがくるとは限らない
しかし校長は長年の勘と経験でここで間違いはないと確信していた
ガチャ
はたして、校長の予想通りにノブが回る音が響いた
最早校長のこのあたりの嗅覚は人知を超えているといっても良いのだが、今はそこに言及している場合ではない
校長は黒いサングラスの奥を赤く血走らせながら必死に息を押し殺す
ここで音を立ててしまっては全てがご破算になるのだ
そして、ドアが開いた
(むおーっ!!)
ぶしゅーっと校長の両鼻から興奮の度合いを表すかのように空気が噴射された
いよいよお楽しみタイムの始まりである
「ここもですか…」
両手で胸と股間を隠した格好でヤミは一つ溜息をついた
ロッカーに引き続きシャワー室まで正面が鏡張りだったからである
とはいっても別段特別おかしいというほどのことではないし、何よりも自分は無断侵入者にして無断使用者なのだ
感謝こそすれどもケチをつけるわけにはいかない
しかし…はっきりいって落ち着かない
誰も見ていない(実際は校長が絶賛覗き中)とわかっていても大事な部分は隠してここまできた
一応人並み以上の羞恥心を持つヤミとしては自分の姿が全て映された状態でシャワーを浴びるというのは困惑ものだったのである
「…贅沢を言っても仕方ありませんね」
ずっと一人で生きてきたヤミにとってはこうしてシャワーを浴びられるというだけでも贅沢なのだ
多少の羞恥でその機会を逃す方がバカというものである
ヤミは数秒悩んだ後、胸を覆っていた手をゆっくりとシャワーへと伸ばした
ただ、やはり恥ずかしかったので股間を覆う手はその場に固定したままだったが
172:校長の日課③
07/05/21 21:05:24 JgWpb7/y
(キターッ!!)
一方、校長は振動を立てずに小踊りという不可能への挑戦を行っていた
美少女が恥ずかしげにドアを開け、胸と股間を隠している図というのは存外に校長の興奮を高めていた
普段校長が覗いている女子生徒達は安心感と開放感からか
「これでもか!」とばかりに自分達の裸体を隠そうとはしない
無論、そっちの方が校長としては助かるし、楽しめる
しかし、被写体が代わってもポーズや行動が同じでは流石に飽きが来る
その点、目の前の美少女はまるでストリッパーのように焦らしてくるのだ
しかもプロとは違い恥ずかしげな表情が素人っぽくてたまらない上に新鮮さを感じさせてくれる
シャァァ…
シャワー室に水滴の弾ける音と水蒸気がたちこめる
しかし、特注のマジックミラーは曇らない
校長は鼻の下をこれ以上ないほど伸ばし、目の前の絶景を眺める
依然ヤミは股間から手をどけようとしないもののそれ以外の部分はガードがとかれている
ほっそりとした肩
柔らかそうな二の腕
くびれきれていない腰
けしからん太もも
そして、小さめながらも確かにその存在を主張している胸
それら全てが満遍なく校長の脳内映像データベースへと保存されていった
(…いいっ!! これは素晴らしいっ!!)
校長はヤミの全身をくまなく眺めながらもやがて視線を胸に集中させる
少女の体躯に見合った小ぶりな胸は降り注ぐ水滴を瑞々しい肌で弾き返す
ヤミが身じろぎするたびにふるんふるんとかすかに揺れ動く様は非常にいやらしい
そしてその中央にちょこんと鎮座している桜色の乳首は愛らしくその存在を校長の目に晒していた
(ああー、吸いたい揉みたい嘗め回したいっ!!)
恐らくはこの状況で男が考えるであろう全ての思考を校長は妄想していた
両手はニギニギと何かを揉むように動き、唇は何かをついばむように細長く伸び、口内では舌が縦横無尽に暴れまわる
だが、それは叶わぬ欲望だ
実行に移せば待つものは破滅
故に校長は血の涙を流しながらせめて視覚だけでもと視姦を続行するのであった
173:校長の日課③
07/05/21 21:06:30 JgWpb7/y
ぞくり…
ヤミは言い知れぬ悪寒を感じ、びくりと体を振るわせた
「温度は適温のはずですが…」
水温がぬるかったのか? と疑問を感じつつヤミは少し温度を上げる
悪寒の正体は校長の視線なのだが、それに気がつくはずもないヤミはシャワーを続行した
「はぁ…」
熱い雨が小柄な身体を濡らす
ヤミはすぐ隣に「水になりたい!」と心底願っている変態がいることに気がつかずに裸体を晒し続ける
左手はずっと股間におかれたままだ
ヤミ自身もなんでここまでこだわっているのかわからないのだが、それでもなお手をどける気にはならなかった
あるいには無意識の内に校長の存在を感じ取っていたのかもしれない
だが、そんなヤミの気持ちを知ってか知らずか校長は段々じれ始めていた
(むむむ…邪魔だ、あの手が邪魔だ…)
他の部分は余すところなく全部みたというのに、肝心の部分だけが未だに見えなかった
ヤミが動くたびに指の隙間からチラチラと中身が見えそうになるも、水滴と蒸気が邪魔をしてはっきりとは見えない
焦らすのもいい加減にしろ、チクショー! と心の中で叫んでみるも鉄壁のガードはとかれる気配を見せない
外れろー外れろー
校長は祈った、ひたすら祈った
(けど、逆に考えてみたらエロいなぁ)
校長は祈りながらも思考を羽ばたかせていた
股間に手をやって身体を火照らせている美少女
見ようによってはオナニー中に見えなくもない
シャワーの気持ちよさゆえの恍惚の表情も校長妄想にかかれば性的な快感にとらわれているようにも見えるのだ
第三者から見れば何やってるんだかと思われることは請け合いだが、考えるだけならばタダである
校長は目に見える現実と脳内の妄想で二重にヤミの裸体を楽しむ
174:校長の日課③
07/05/21 21:07:42 JgWpb7/y
「ふぅ…そろそろでましょう」
(えっ、もう!?)
数分後、ヤミと校長のそれぞれ意味合いの違う幸福の時間が終わりを告げようとしていた
だが、その時こそが校長の待ち望んでいた瞬間が訪れる機会だったのだ
シャワーを浴び終わった高揚感からか、ヤミの心のガードが緩んだのである
(ぬおっ!?)
校長は慌てて出てきそうだった声を両手で押さえた
ヤミがうーんっと背伸びをしようとしていたのである
文字通り、背伸びとは背を伸ばすように身体を縦に開く作業
当然、片手を股間に置いたままではできる作業ではない
しかしヤミは左手を股間に置いたまま右手のみを天に突き上げた
だが、ぐっと身体を伸ばしたせいで左手の位置も上がる
自然左手によって頑なにガードされていた秘所が開放されていたのである
(もうちょい、もうちょい…!)
校長は鏡にかぶりつくように張り付き、ヤミの股間を凝視した
左手は既に股間を離れており、上から覗き込むようにしているが故の角度の問題で見えないだけだ
しゃがみ込めば丸見えなのだが、校長は既にそんな発想を思い浮かべることすら無理になっていた
人は一つのことに夢中になると全く他の思考が出てこない
それは時に素晴らしい結果を生むこともあるが、大抵はロクでもない結果を生み出す
カタ…
「え?」
そして今、例に漏れず校長にもロクでもない結果が発生しようとしていた
鏡を固定する部分が校長の重量に耐え切れず、決壊を起こそうとしていたのである
175:校長の日課③
07/05/21 21:08:36 JgWpb7/y
カタ…ゴトッ
何かが外れるような音がヤミと校長の耳に届いた
しかし校長は目に全精力を注いでいるため脳がその音を認識しなかった
ヤミは不審な音に戸惑う
何事かとシャワー室を見回すとおかしな部分があった
鏡である
鏡の上淵が外れていたのだ
「なっ…」
「へ?」
ヤミの驚愕と校長の間抜けな声がシンクロする
そして次の瞬間、鏡が今だ水滴を出し続けるシャワーを巻き込みながらヤミへと向けて倒れこむ!
「っ!」
ヤミは鍛えた反射神経を持って咄嗟にバックステップを試みた
だが、ヤミは一つ失念していた
ここはシャワー室である
水に濡れた床はすべる
「あっ!?」
ヤミの足が浮いた
滑りながらも後退すること自体には成功していたためガラスに押しつぶされることはない
しかしヤミは無様にも大股開きですってーんとしたたかに背中を打ちつけながら倒れこんでしまう
「うぅ……」
大したダメージではないとはいえ、痛いものは痛い
背中をさすりながらヤミは上半身を起こす
「…え?」
そして下半身に感触を得た
瞬間、ヤミは反射的に太ももを閉じ合わせてしまう
「むぐ」
声がした
自分の声ではない
発信源は自分の股間からだ
ヤミは半ば確信しながらもゆっくりと視線を下げる
そこには、サングラスをかけた男の頭があった
176:校長の日課③
07/05/21 21:09:33 JgWpb7/y
(な、何が…?)
校長は事態を把握できずにいた
体重をかけすぎてガラスが外れてしまったということはわかる
だが、今の状況はどうなっているのかがさっぱりわからない
目の前は真っ暗だった
ただ、周囲からはとても良いにおいが漂っていた
そして校長にはそのにおいには嗅ぎ覚えがあった
そう…これは美少女のにおい
「…え?」
女の子の声が聞こえた瞬間、校長の頭は柔らかい何かに挟み込まれる
それほど強い力ではなかったので痛いというほどではない
むしろ柔らかい弾力が頬に心地よい
「むぐ(もしや…これは!?)」
きゅぴーん!
息苦しそうな声を上げながらも校長の目が光った
ここに来てようやく校長は自分の状態を把握したのだ
そう、つまり今自分は―謎の美少女の太ももに挟み込まれているっ!!
だが、至福の時間は長くは続かなかった
校長が顔を横に向けようかなと思案した瞬間太ももが離れて―つまりヤミが足を開いたのである
177:校長の日課③
07/05/21 21:10:18 JgWpb7/y
だが、それは校長にとって待ち望んでいた瞬間の訪れでもあった
ヤミはただ校長から離れるためだけに足を開いて後退した
しかしその行動は同時に致命的なミスでもあった
足を開いたまま後退するということはつまり、校長に全てを晒すということに他ならないのだから
「おおおおおおっ!?」
校長は歓声をあげた
美少女が目の前で大股開きで座っているのだ
しかもその身体はシャワーの水滴で濡れに濡れ、熱に上気して色っぽい
「―なっ!?」
歓声に一瞬遅れてヤミの顔が真っ赤に染まる
自分の格好に気がついたのだ
ヤミは何も考えられず、ただ少女の本能で自分の痴態を隠そうと行動する
つまり、足を閉じて手で大事な部分を隠そうとしたのだ
だが、それよりもなお校長の行動は早かった
れろん
「あっ…」
股間から届く痺れるような感覚と共に、ヤミはくてんと力を抜いた
そう、校長はヤミが動くよりも先に床にはいつくばった自分の身体を前進させ
舌を伸ばし、ぴったりと閉じ合わさったヤミの秘所を一舐めしたのである
178:校長の日課③
07/05/21 21:11:32 JgWpb7/y
だが、そこまでだった
はっと我に返ったヤミは素早く立ち上がると胸と股間を両手で隠しながら背景に
「ゴゴゴ…」と効果音を背負いつつ校長を見下ろす
「何か、言い残すことはありますか?」
「……美味しかったよ!」
ヤミの髪が無数の拳へと変化する
だが、校長はそれを怪訝にも恐怖にも思わず、ただそっと目を閉じ、舌なめずりをした
(我が性涯に……悔いなし!)
その瞬間、校長は確かに漢だった
そして虐殺の幕が開く
翌日、用務員の木劇下蔵(58歳)は真っ赤に染まった丸い「何か」を校庭の片隅で見つけ、悲鳴を上げることになるのだった
179:ヤミ金
07/05/21 21:15:43 JgWpb7/y
校長の日課終了、オチはまあto LOVEっぽく
…しかしネタがどんどん沸いてくるなー
完全オリキャラの変態宇宙人の来襲とかヤミEDとかキスから始まるデートイベントとか
どれから書けばいいものやらwww
180:名無しさん@ピンキー
07/05/21 21:17:45 /8eaKW4g
ヤミ金激しくGJ!!
ところでヤミEDって何?
181:ヤミ金
07/05/21 21:30:19 JgWpb7/y
ヤミヒロインでの最終回妄想ってことです >ヤミED
>>23 さんの作品に創作意欲を惹かれまして
182:名無しさん@ピンキー
07/05/21 22:54:43 /8eaKW4g
ヤミヒロインでの最終回でも一向に構いませんよ。
漏れはヤミに対しては特別な思い入れはありませんからねぇ…(ヤミファン スマソ)
ただヤミ金さんの「ギャグ+ちょいエロ」は好きですよ。
183:名無しさん@ピンキー
07/05/21 23:35:20 H/UCmOel
GJ!!
校長…あんた、漢だぜ
184:名無しさん@ピンキー
07/05/22 03:01:43 Hu4BWvTE
「38.3度・・・・これは完全に風邪ね」
体温計を見ながら溜め息を吐く美柑
「まったくバカは風邪ひかないって迷信だったみたい」
「うるせー・・・」
力なく返すリトはガンガンする頭を押さえて早々に部屋に引き上げて行く
「ねェー、なんか持って行ってあげようか?」
階段下から顔だけ覗かせて気をつかう美柑にもリトは手の平をひらひらさせて否定するだけ
(なによ・・・・これでも心配してあげてるのに)
ふてくされた美柑はBGMがわりにつけていたテレビに向き直ると
ぷらぷらと動かしている自分の小さな足を見ながらある一人の男の子を思う
『大丈夫か美柑?』
小2の時インフルエンザで倒れた自分に朝まで付きっきりで看病してくれた
慣れない手つきでおいしくないごはんを作って洗濯もしてくれた
両親共働きのため2人しかいない広い家の中でそのやさしさにどんなに救われたか
手をずっと握ってくれたその温もりにどんなに癒されたか
いつの間にか胸に抱きしめたクッションにもギュッと力が入ってしまう
「は!?・・・私やばい・・・かも」
美柑は頭をふるふるさせ思い出を振り払うとおもわず見上げた天井をじっと見つめる
時刻は夕方を少し過ぎた6時
「はぁ~しょうがない。なにか作ってあげるとするか」
美柑はソファーから立ち上がるとスーパーに買い物に出かけた
それから数時間後
「あ~しんど。ったく風邪なんて何年ぶりだよ。オレがしっかりしないと!このままだとあいつに・・・・」
兄妹二人暮らし。自分がダウンしたらその分小さな妹に負担がかかるとリトなりに健康には気をつかっていたのだが
「それにもう美柑を泣かすわけには・・・・」
幼い時の思い出がリトの脳裏によぎっていく、と
「誰を泣かすって?」
「うわぁ美柑!!?おまえいつの間に」
扉のところで大きなお盆を手にかかえながら美柑が立っていた
「ちゃんとノックはしたんだけど。まっどこかの誰かは妄想の世界に入り込んでいたみたいだったから気付かなかったんじゃないの?」
半眼でリトを睨みつけるとなにも言わずベッドの隣の机にお盆をのせる
「ごはん作ったから食べて」
本日のメニューはブリ大根・ネギのみそ汁・野菜とささみの雑炊
美柑が土鍋の蓋を開けると中からなんともいえないおいしそうな雑炊の匂いが湯気と共にたちこめる
それは熱で体力を消耗していたリトのお腹を刺激するには十分すぎて
おもわずリトのお腹の虫がぐ~っとなる
「なんだ意外と元気そうじゃん」
リトの反応に顔をほころばせると美柑はてきぱきと準備を始める
「なぁこれって量多くないか?」
重い体をゆっくり起こすとリトはどうみても一人分以上ある料理に首をかしげる
「えっなんで?もうっ!じっとしててよリト!」
リトに上着を着せ服が汚れないようにタオルを膝にかけてやる
「・・・・私もここで食べるからいいの」
185:名無しさん@ピンキー
07/05/22 03:03:09 Hu4BWvTE
「いや、うつるから下で食べてこいよ」
「うるさいなァ。リトが寂しくならない様に一緒に食べてあげるんだからありがたく思ってればいいの」
美柑はこの話しはもう終わりと言わんばかりに手を合わせる
「いただきます」
「・・・いただきます」
それでもリトは自分の雑炊を器に取り分ける妹の顔を見ながら内心うれしく感じていた
風邪でダウンしてるとはいえいつもよりやさしい感じの美柑に一人感動する
そんなリトの鼻においしそうな匂いが流れてくる
「なに一人でにやにやしてるの?熱でついに頭おかしくなっちゃった?」
「う、うるせー////」
リトは内心を暴かれた動揺からか美柑の手から器を急いで取り上げると美柑の静止も待たずに熱々の雑炊を口に運ぶ
「あっちっっ!!!」
「やっぱり・・・・まったく!」
美柑は溜め息を吐くと濡れタオルでリトの口元を拭いてやる
「ほらこれで大丈夫でしょ?」
リトの赤くなった口を冷やすとその手から器を取り、ウッド調のスプーンに盛った雑炊を自分の口に近づける
「ふ~ふ~ふ~・・・・よしっ!ほらリトあ~ん」
「・・・・・」
「・・・・・」
リトに食べさせようと腕を伸ばした姿勢のまま固まる美柑と、困惑気味のリト
「・・・・へ?」
「あっ・・・////」
耳まで真っ赤になった美柑は器をリトにつき返すとそのまま下を向き料理を食べていく
沈黙が続き変な空気と雰囲気に包まれながらも二人はただ黙って箸を動かしていく
「ふぅ~うまかったよ美柑」
後片付けをしている美柑にいつもと同じ調子の声がかかる
「そ、そんなの当然でしょ。腕が違うんだから腕が」
得意げな顔をする美柑にリトはくすっと笑う
「ああわかってるよ、だからまた作ってくれなありがとう美柑」
リトの笑顔を真正面から受けると美柑はぷいっと顔そらしそのままなにも言わず廊下に出てしまう
それから2時間後
ぼーっとしていたリトの耳にドアがノックされる音が聞こえる
「リトぉ~生きてる?」
「なんだよ?」
ドアの隙間から顔だけ覗かせている美柑を半眼で睨むとうっとしそうな感じの声をかける
「なによそれ?せっかく私が苦しんでいるリトに差し入れを持ってきてあげたのに」
後ろ手に箱を持ちながら美柑が部屋にはいってくる
「なんだよ差し入れって?」
美柑は得意げな顔をするとリトに箱を差出し中身を見せる
ひんやりとした空気と甘い匂いが箱から流れてくる
「サー○ィワンのアイスクリームセット、風邪の時は冷たくて甘い物も喉にいいでしょ?」
アイスよりも美柑の気遣いにリトの顔もほころぶ
「なんか調子よくないリト?」
「ま、まあいいだろ。それより早くたべようぜ」
色とりどりのアイスに目移りしているリトに美柑はアイスを一つわたす
「え?いやオレチョコよりもこっちのキャラメルの方がいいんだけど・・・」
「いいからリトはこっち」
無理矢理差し出されたチョコをしぶしぶ受け取るリト
けれど舌で一舐めしただけで口に広がる甘さと冷たさでリトの不満も吹き飛ぶ
「うまいなこれ!冷たくて喉の奥もなんか気持ちいいし」
「ねえリト?」
「なんだよ?」
アイスを頬張りながら軽く聞き返すリトだったが美柑の真剣な表情に口が止まる
「どうしたんだよ美柑?そんなマジな顔してさ」
186:名無しさん@ピンキー
07/05/22 03:05:28 Hu4BWvTE
「体大丈夫なの?」
「な、なんだよ急に?まあ頭はガンガンするし体はだるいけどな喉はおまえが持って来てくれたアイスで結構・・・おい美柑?」
美柑はリトの言葉を最後まで聞かずに身をよせていく
「お、おい?」
その小さな体のぬくもりが自分に伝わる距離まで近づいた時リトは思わず目を瞑ってしまう、と
額に少し冷たくて暖かいそしてやわらかい感触が伝わる
「ふ~ん熱はちょっと下がった感じかな?けどまだまだ高いしってリト!?」
「えっ!?ああ」
目を開いたリトの目に美柑の冷たい目線が突き刺さる
「はぁ~今までリトの変態さは色々見てきたけどまさかここまでとはね実の妹を意識しちゃうなんてね。変態ねリト」
美柑の氷点下の声にリトもさすがにうろたえる
「いやだってお前が紛らわしいことするからだろ?////」
「紛らわしいって常識で考えればわかるじゃない?」
美柑の容赦ない正論に押し黙ってしまう
そんなリトをあきれと侮蔑のいりまじった目で見下すとポケットから袋を取り出す
「はい薬。ホントは食後に飲むものだったんだけど忘れてたから今飲んで」
「おまえそんな大事なこと・・・・うっぅぅ」
リトの勢いも今の美柑の顔を見ればどんどん下がっていく
そんな美柑の目線から逃れるように顔を背けると渡された薬を急いで喉に流し込む
それからもまた美柑の罵りと繰り返される頭痛とに悩まされながらリトは徐々に深い
眠りへと落ちていった
深夜2時過ぎ
夢の中今だ熱い体の一部に熱とは違うなにかやさしい感じの暖かさに気付きリトは目を覚ます
暗がりの中しっかりと布団に包まっている自分とその手をギュッと握っている影に
リトは慌てて上体を起こす
(美柑っ!?)
喉まで出かけた声を無理矢理飲み込むと冷え切った体の美柑に布団をかけてやる
「まったくお前まで風邪ひいたらどうするんだよ?」
その声は非難のそれではなくやさしい温もりに満ちた声
リトの手が寝息をたてる妹の綺麗な黒髪をやさしく撫でていく
「んっ・・・・うん」
リトの手を握る指にギュッと力がはいりその目にうっすらと涙が滲んでくる
美柑の頭を撫でながらリトの脳裏に小さい頃の思い出が甦る
まだリトが小学生だった頃今日みたいに風邪でダウンした夜
小さい妹は苦しむ兄のそばでおろおろしていた
なにかしたい――おにいちゃんを助けたい――
けれど熱で息を荒げるリトのそばで幼い美柑はただ見守ることしかできなかった
リトにご飯を食べさせ寒くならない様に布団をかける母親の姿をじっと見つめている
その目から大粒の涙がぽろぽろあふれてくる
『ねえおにいちゃんいなくなっちゃうの?おにいちゃんだいじょうぶだよね?』
目から涙をいっぱいこぼしリトにすがりつく美柑
『ひっく・・・おにいちゃんいなくなちゃやだよぉ・・ぐすっひっぐ』
風邪の事がよくわからず寝込んだ兄のそばでただ泣きながらおろおろする美柑の頭を
やさしく撫で大丈夫よと微笑む母親
夜遅くになっても、泣き疲れて眠い目をこすりながらも美柑はリトのそばを離れようとはしなかった
ただ大好きなリトのそばにいたい。大好きなおにいちゃんのそばに
美柑はリトの手をキュッと握り締めるとその大きな目に強い意志を宿してリトを見つめる
『あのねあたしなんでもできるようになるからね。ごはんもつくるしせんたくもするよ
だからおにいちゃんゆっくりねててね。それで早くげんきになってまた遊んでね
あたしがおにいちゃんをよくするから』
美柑はリトの手を握り締めながら何度も何度も呟く