逆転裁判エロパロ第9法廷at EROPARO
逆転裁判エロパロ第9法廷 - 暇つぶし2ch66:闇を纏う男 1
07/04/23 18:04:22 oDX8AWQL
なぜ彼女は僕になびかないか、それが理解できなかった。
少しでも早く検事になるためにアメリカに渡った僕が、13歳という異例の早さで検事になったという天才少女―狩魔冥と出会って2年。
初めはほんの軽い気持ちだった。自尊心の高さと他人を寄せ付けないようなガードの固い彼女を落としてみたい、と。
正直、僕は自分に落とせない女はいない思っていた。何もしなくても女はみんな僕に言い寄ってくるものだと、そう思っていた。というよりも、それは自惚れではない。ただ一人、彼女を除いては。
そんな彼女を落とそうとするうち、僕が…この僕自身が彼女に落ちてしまっていた。
ただ救いなのは、彼女に言い寄る男はたくさんいるが、誰一人として彼女が受け入れようとしていない、というところだ。
僕がこんな悩みを持っているなんてありえないことだが、彼女の存在はいつの間にか僕の中で驚くほどに大きくなっていたことに、このとき僕はまだ、気づいていなかった。



XX月XX日 某時刻 アメリカ某州検事局・講義室

講習が終わり、散々に会議室を後にする聴講生たちが去った後、響也はがらんと静まり返った講義室に椅子の音を響かせた。
講壇に近づくと資料を整理している少女が無愛想な表情で冷たい視線を彼に向ける。
「何の用かしら?」
「そんな言い方しなくてもいいんじゃない?今夜一緒にディナーでも…」
「遠慮しておくわ。あなたに構っているほど暇ではないの」
何度聞いたであろうか、その決まり文句に響也は決まってこう返すのだ。僕のために時間を作ってくれないか、と。
その言葉を言いかけたとき、ギィと音を立てて講義室の扉が開いた。
二人の視線が扉に向けられる。そこには優雅な微笑を浮かべた銀縁眼鏡の男。響也は思わずあっと声を上げた。
「アニキ…?」
「久しぶりですね、響也」
「どうして、ここに?」
突然現れた霧人に驚きを隠せない響也と目の前の男とそっくりな人物に戸惑う冥をよそに、霧人は事も無げに説明を始めた。
「弁護士連盟で世界各地の現状を研究することになりましてね。私はアメリカの刑事裁判の担当になったのです。こちらの検事局の協力がいただけるということでここへ」
「そんな話、僕は聞いてないぜ」
「ええ、言ってませんからね」
「お前が丁度ここへいると聞いたのでちょっと顔を見せに来たのですが、相変わらずのようですね」
霧人は少々呆れたような表情で響也と冥に順次視線を向け、再び響也に視線を戻すと元の微笑を浮かべる。その視線に響也は居心地の悪さを感じて話を逸らした。
「あ、この人は…」
「知っていますよ。異例の若さで検事となり、数々の難解事件を担当してきたという天才少女、狩魔冥検事ですね」
向けられた視線を真っ直ぐに見返しながら、冥はふうん、と納得したように頷いた。

「あなたが例の担当者なわけね。優秀な弁護士、と聞いていたけど、この男のお兄さんだとは知らなかったわ」
「私はあなたが担当だと聞いて、会えるのを楽しみにしていました。検事局きっての天才少女の噂は色々と耳にしていますからね。」
二人のやりとりからどういうことかようやく理解した響也は、のけ者にされたようで面白くなさそうに割って入った。
「アニキの相手は一筋縄ではいかないから気をつけた方がいいぜ、センセイ」
「どういう意味で言っているのか知りませんが、響也にこそ、気をつけるべきですよ」
響也の言葉が気に障ったのか、霧人も応戦するように冥に忠告する。怪しい空気が漂う中、「忠告は有難く受け取っておくわ」と、冥はさらっと二人を交わした。
「とにかく、よろしくお願いしますね」
そんな冥の素っ気無い態度を見てなお、霧人は彼女ににっこりと優しい微笑を向け、右手を差し出す。
「あなたによろしくされる覚えなんてないわ」
いつもならそう言い軽くあしらうが、その言葉は冥の口から出なかった。
霧人を取り巻く、暗い影。それに気づいてしまったから。優雅な微笑の裏に隠された不穏な影を感じたのだ。
それは彼女にとって特別だったあの男の纏っていたそれとよく似ていて、冥の背筋を凍らせる。
差し出された右手に視線を落とすと、手の甲には大きな傷跡。その傷跡は彼の纏う闇と関係しているように感じて、その手を払いのけることができなかった。
「こちらこそ。我琉…え、と…」
「我琉霧人です」
その右手に自らのそれを重ねる。その手から伝わる闇とは裏腹に、見上げた彼の顔には穏やかな微笑が浮かんでいた。



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