キモ姉&キモウト小説を書こう!at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう! - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
07/04/08 15:23:10 1dESeidI
■誘導用スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレSS その33
スレリンク(eroparo板)
【モテモテ】ハーレムな小説を書くスレ【エロエロ】7P
スレリンク(eroparo板)
ヤンデレの小説を書こう!Part5
スレリンク(eroparo板)
ほのぼの純愛 9スレ目
スレリンク(eroparo板)
●●寝取り・寝取られ総合スレ4●●
スレリンク(eroparo板)

3:名無しさん@ピンキー
07/04/08 15:25:27 1dESeidI
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません

4:名無しさん@ピンキー
07/04/08 16:44:43 q8kwuWe8
あれだよね愛しい弟のためにポケットや鞄にGPSと盗聴器を仕掛けることによって
常に位置と状況を把握するキモ姉とかのSSが投稿されるスレだよね?

マジでw

5:名無しさん@ピンキー
07/04/08 16:48:09 aSFRDruE
そういうキモイ姉や妹が陵辱されるSSキボン

6:名無しさん@ピンキー
07/04/08 16:57:34 q8kwuWe8
いや、逆に弟や兄は陵辱される方だと思うぞ・・
逆レイプオンリーでしょここ

7:名無しさん@ピンキー
07/04/08 17:06:06 vyOgJWfr
でも、それだったら嫉妬・ヤンデレスレとかぶるよなぁ。
被らないなら最近過疎気味のいもうとスレと姉スレでも良い訳だし……。

うーん……。

8:名無しさん@ピンキー
07/04/08 17:11:34 kwXMsKKw
ネタが必要だな・・
まあ、このスレが化けることを祈る

9:名無しさん@ピンキー
07/04/08 17:17:59 olfiCLX7
ヤンデレスレと完全にかぶってるでしょここ・・

10:名無しさん@ピンキー
07/04/08 18:07:50 fTTvT+ku
キモ姉の出てくるエロゲきぼん><

11:名無しさん@ピンキー
07/04/08 18:57:48 oTeUSZvb
ヤンデレスレで十分っすよwwwwww
ただでさえ無駄に細分化されてるのにこれ以上ばらつかせてどうするんすかwwwwww

12:名無しさん@ピンキー
07/04/08 19:10:39 i1bwyC/Q
>>10
つ秋桜の空に

13:名無しさん@ピンキー
07/04/08 19:23:44 fTTvT+ku
>>12
王道過ぎッスwwwwダダ甘系wwwwww

ていうかすずねえをキモ姉扱いするな殺すぞ

14:名無しさん@ピンキー
07/04/08 19:36:29 vbmTsuTe
むしろキモ姉はお姉ちゃんにとっちゃ褒め言葉だろ

15:名無しさん@ピンキー
07/04/08 20:11:42 ze9AADPW
オリシチュ系スレはただでさえ細分化されすぎて乱立状態なんだから、>>9>>11が言う通りにヤンデレスレで十分。
もしくは>>2にある誘導先スレ。

16:名無しさん@ピンキー
07/04/08 20:12:31 J1UFFus6
キモ姉はいいぞ・・嫉妬スレやヤンデレスレのような病んだヒロインじゃないし・・・
甘えさせてくれる系は最強である!!

17:名無しさん@ピンキー
07/04/08 20:23:04 FLn2dlkY
>>9
>>11
>>15

お兄ちゃんどいて・・そいつ、殺せない!!

18:名無しさん@ピンキー
07/04/08 20:26:08 aSFRDruE
ヤンデレってずっとヤンキーでデレデレなのかと思ってた。

19:名無しさん@ピンキー
07/04/08 21:00:48 0RO3ocje
以前はそうだった。あれはあれで面白かったが

20:名無しさん@ピンキー
07/04/08 21:11:03 HxDYhLfA
>>17
それって、元ネタは何だっけ?

21:名無しさん@ピンキー
07/04/08 21:13:41 9PE+3jtB
>>20
S県月宮だな

22:名無しさん@ピンキー
07/04/08 21:18:00 yhNT6H9y
キモ母はアウト?

23:名無しさん@ピンキー
07/04/08 21:22:38 0u9+J0BG
ここに投下したらヤンデレスレの作者さんが減りそう

24:名無しさん@ピンキー
07/04/08 21:30:15 vyOgJWfr
おもっくそ叩かれそうなヤツはこっちに投下とか……?
それこそ、>>5のようなのとか

25:名無しさん@ピンキー
07/04/08 21:33:26 HxDYhLfA
>>21
S県月宮?????


ちょっとググってみる。サンクス。

26:名無しさん@ピンキー
07/04/08 21:35:35 HxDYhLfA
sage忘れorz

27:名無しさん@ピンキー
07/04/08 22:11:37 bU9HlT8L
スレ違いだが、山本君のお姉さんは良いキモ姉であったな。

28:名無しさん@ピンキー
07/04/09 03:57:02 qEAhM18s
>>24
ここでも叩かれなくね?

29:名無しさん@ピンキー
07/04/09 11:37:47 iGYSHLIV
とりあえず、職人の神を永遠に待ち続けようじゃないか

30:名無しさん@ピンキー
07/04/09 11:38:45 27P44fHe
嫉妬や修羅場に突入することなく、病んでもいない、
デレのみのキモ姉&キモウトSSスレってことか?

31:名無しさん@ピンキー
07/04/09 11:49:28 zx7qIi+s
他と区別するにはそうなるかな
案外良さげ…なのか?

32:名無しさん@ピンキー
07/04/09 13:23:37 mXwsw9x0
正直嫉妬や修羅場抜きのキモ姉モノが読みたいけど、
ソレ書くなら姉スレかなぁ。

33:名無しさん@ピンキー
07/04/09 14:14:10 WepEPvzV
じゃあ、スレ削除の依頼を出すべきか・・
ここで俺たちの天国を築き上げるべきか

どっちがいい?

34:名無しさん@ピンキー
07/04/09 14:44:44 lSHBaL87
>>33
もち後者

35:名無しさん@ピンキー
07/04/09 16:57:29 x4sn4avD
URLリンク(eternal-ml.com)

修羅場の無いキモ姉ってこんな感じかな?
上のは更新停止したハーレム?系統の小説。
一応ニアミスで修羅場未満だった気がする。

36:名無しさん@ピンキー
07/04/09 17:49:00 5rsxJuqE
デレのみっていうのは、監禁とか、媚薬混入とか、ストーキングとかいうのも含むのか?
もっとライトなのがこのスレ向け?関節キスとか

37:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/04/09 17:59:20 cgAwCeoG
折角だから、俺はこのスレに投下するぜ!(甲高い声)

とりあえず一番槍です。
このスレのルール・線引きがまだ定かではないので、内容については平にご容赦。

38:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/09 18:00:51 cgAwCeoG
結婚するなら村のうち
もっといいのは近所同士
一番いいのは家のうち

南仏蘭西の古い諺だと云う。

僕は朝飯の準備をする妹―月ヶ瀬理理(つきがせ ことり)を見てそんな言葉を思い出した。
理理は良いお嫁さんになる。
それは、昔から言われていたことだし、僕もそう思う。
華奢で小柄な肢体。愛くるしい顔。柔らかなセミロングの髪という容姿も。
家事文武に秀でている能力も。
穏やかでおしとやかな性格も。
多分、妹は具現化した女性の理想像のひとつなのではないかと思う。
ただ、惜しいことに理理にはひとつだけ欠点がある。
兄思いなのだ。
それも度を越えた。
依存に近いブラザーコンプレックスの持ち主といっていい。
昔のことだ。
僕と理理は同じ部屋を使っていた。
寝食はもちろん、入浴も一緒。昔から仲が良すぎると云われてきた。
僕が中学に上がると、流石に部屋は分けたほうが良いと両親は決めたようで、食事の席で
そう告げた。僕はまあそんなものだろうと納得したが、理理は首を縦に振らなかった。
説得する両親にいやいやを繰り返し、僕に泣きながら縋り付いた。
困り果てた両親は僕に説得しろと命じた。理理は僕の云うことならば、何でも聞くからだ。
ところが、珍しく妹は承諾しなかった。同じ家の中なのに、お兄ちゃんと離れたくないと
泣き叫んだ。
結局、週に一度一緒に寝てあげると云う僕の案を呑んで解決したのだが、理理は勉強する
時も音楽を聴くときも、僕の部屋にいるので、あまり変わってないのかもしれない。なし
くずしてきに同じ布団で寝ることも多い。勿論、週一の「約束」とは別に。
理理は修学旅行に行ったことがない。
その日が来ると必ず熱を出すからだ。
普通、修学旅行の日が近づくとわくわくするものだが、妹は逆に沈んでいく。
「何日もお兄ちゃんと逢えなくなっちゃう」
そう云って落ち込み、精神的なものからか、必ず発熱→残留と云う形になる。
理理は友達も多くない。
元々大人しい性格なのに、放課後はまっすぐ家に帰り、家事に専念するからだ。
両親は仕事が忙しく、家事は兄妹で分担するのだが、年頃だというのに友人と遊ぶよりも
兄の世話を焼くことを喜んだ。
当然、彼氏もいない。
理理がもてることなんて、しょっちゅう紹介を頼まれる身としては嫌でもわかることだ。
勿論紹介なんてしないが、誰それが振られたらしい、誰々が狙ってる、なんて小学校の
時から何度も何度も聞いてきた。
けれど生まれてから現在まで、フリーである。理理がその気になれば、大抵の男は
落とせるだろうに。
つまり、本人にその気がないと云うことだ。
正直、兄貴としてはそれでは困る。
世話をしてもらうのは助かるし、慕ってもらえるのも嬉しい。理理に恋人が出来たら
寝込む自身もあるが、それはそれとして一人の人間として自立してもらいたいのだ。
家事万能で聡い理理ならば、能力的には充分だろう。となると、問題は精神だ。
両親などにはお前が甘やかすからいけないのだ、と度々叱られるが、僕だけの責任
ではあるまい。妹にいつまでも兄貴といられるわけではないと自覚してもらわなくてはいけない。
「僕が理理とずっと一緒にいてやる」
「大きくなったら、結婚しよう」
そんなことを云った男が昔にいたような気もするが、やはり問題は受け手による所が大きい
のではないか?
朝も早くから起き出して本格的な料理と手抜きのない弁当をつくり、心底嬉しそうに兄貴の
世話を焼く妹を見て、また複雑になる。

39:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/09 18:03:05 cgAwCeoG
テーブルにつく僕の前にはなんとも美味そうな和食。
僕が和食党だから、らしいが、気合の入り方が違う。漬物を自分で漬ける高校一年生など、
そう多くないのではないか。僕が当番をしていたときは、シリアルとか、パンと紅茶とか、
たまに目玉焼きとか、そんなものしか用意しなかった。態々魚を捌いて刺身にしたり、
出汁から拘って吸物を作ったりはしなかった。
しかし、毎日がこうである。
家事は当番制のはずなのだが、いつの間にか炊事・洗濯・清掃は妹が一人でやるようになった。
僕がやることといえば、ゴミ出しと日曜大工くらいで、寄り掛かること甚だしい。
甘えるわけにもいかない、と手伝いを申し出ても、自分がやりたいのだとやんわりと、でも
確実に断られる。
僕が駄目な奴なのか。妹に問題があるのか?はたまたその両方か。問題は深刻である。

妹が僕の髪にブラシをかけ、ネクタイを結ぶ。弁当を持って、外に出る。鍵をかけるのも
理理の仕事だ。
向かう先は同じ高校。妹の学力ならばもう少し上も狙えたはずだが、両親や教師の反対を
押し切って兄と同じ場所にしたらしい。
「じゃ、いくか」
「うん」
声をかけて歩き出す。
「そういやもうすぐテストだなぁ。お前は大丈夫か?」
「うん。大丈夫だと思う」
まあ平均点が95を下回ったことのない妹には愚問だろう。
「家事に時間とられてないか?なんなら、俺が少しかわるけど」
「そっちも大丈夫だよ。心配してくれるのは嬉しいけど、私がやりたくてしてることだから」
そう云って微笑む。言葉には一切の嘘がない。
「友達とテスト勉強とかしないのか?」
「そういう話はなくはないけど・・・・家事もあるし、場所もないから」
「ばか。テスト中くらい家事はやんなくて良い。それに、集まる場所ならうちにすれば良い
だろう?」
「え・・・?家?」
「ああ、お前のグループって三人だか四人だか五人だか、そのくらいだろ?だだっ広い家が
あるんだから、活用すべきだ」
「家は・・・ちょっといや、かな」
妹は眉をハの字に変えた。あまり乗り気ではないらしい。
「なんでさ?」
問うと、理理は僕を見上げる。
「・・・・見せたく、ないから」
「見せたくない?うちは別に見られて困るようなもんもないだろうに」
「あるよ。見せたくないもの。獲られたくないものが、私にはあるから」
真剣な顔だった。妹がこんな表情をすることは多くない。
「おいおい。獲られるって、お前の友達は盗人ぞろいか?」
茶化して聞いてみる。理理は困ったように目を伏せた。
「違うと、思いたいな。でも、お兄ちゃんカッコイイから」
「何でそこで俺のご機嫌取りに走る?」
欲しいものでもあるのか?そう聞いてやると妹は手を振った。
「あはは。そうじゃないよ。でも、・・・ぼう猫になられるのは嫌だから」
「ぼうねこ?なんだそれは?」
「なんでもないよ。そう云う訳だから、家はちょっと、ね」
そう云う訳と云われてもどう云う訳かサッパリわからないが、妹が本当に嫌がってることだけは
わかった。
「・・・・そっか。じゃあ気が向いたら使うといいさ」
だからこの話はここで御仕舞い。理理は「そうだね、そうするよ」と頷いた。

――――――――――――――――――

「じゃあここでな。勉強頑張れよ」
お兄ちゃんは笑顔で手を振りました。私も手を振り返します。背を向け、自分の教室へ
歩いて行く様子を見えなくなるまで見送ります。これで昼休みまでお兄ちゃんに逢えません。
憂鬱で死にそうになります。追いかけていって抱きしめたくなりますが、我慢しました。

40:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/09 18:04:30 cgAwCeoG
「おはよー、理理」
「おはよう。紗枝(さえ)ちゃん」
教室に入ると一応の友達の紗枝ちゃんが挨拶してきました。彼女はいつも早いです。
「もうすぐテストだよー。やばいねー」
席に着いた私に、紗枝ちゃんが話しかけます。こういった話題は年中行事なので、返す言葉も
変わりません。
「そうだね。頑張ろう?」
「理理は出来がいいから頑張んなくていいじゃん。それに、いざとなれば真理(まこと)さんに
教わればいいんだし」
真理。
私の、お兄ちゃんの名だ。
お友達とはいえ、紗枝ちゃんなんかが口にしていい単語ではないはずです。
「お兄ちゃんはお兄ちゃんのお勉強があるから、邪魔できないよ」
こういうとき、いつも笑顔を作るのには苦労します。
「邪魔になるかなー?真理さんの性格だと気にせず教えてくれそうだけどな」
だから、気安くあの人の名を呼ばないで。
「私もあんなお兄ちゃん欲しかったなぁ」
お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんなの。
紗枝ちゃんのものじゃないんだし、紗枝ちゃんなんかが望んでいい存在じゃないの。
あの人を兄にするってことは、あの人の妹になると云うこと。
それは私の居場所を奪うと云うことだ。
本当に不愉快な発言。
“あの女”を思い出す発言。
今も私の居場所を狙う『偽妹』を思い出す唾棄すべき言葉だ。
「理理は良いよね、優秀だし、素敵なお兄さんがいて」
「私はともかく、お兄ちゃんは優秀で素敵だよ?」
「あー。はいはい。ブラコンご馳走様。で、その“素敵なお兄ちゃん”はまた記録伸ばした
みたいね」
「記録?」
「そう。記録。理理、テニス部の峰屋(みねや)先輩知ってる?」
私は頷いた。私たちのいっこ上の先輩で、美人でもてると云う話。このクラスにも憧れている
男子が数名いるくらいだ。
「・・・真理さんにコクって、振られたらしいよ」
紗枝ちゃんは小声で云った。
「え」
私は、呆ける。
あの女、私のお兄ちゃんに手を出そうとしていたのか。
怒りがこみ上げてくるが、それを飲み込む。所詮は負け犬だ。お兄ちゃんがあんな女に靡く訳もない。
「この学園のアイドル達を悉く袖にするなんて普通じゃ考えられないもんねー。流石は“撃墜王”」
「撃墜王?なぁに、それ?」
「真理さんの異名。アタックする子がみんな叩き落されるから。ちなみにアンタは“不沈艦”。
難攻不落の月ヶ瀬兄妹の名は、他校にも知れ渡ってるからねえ」
「そういう渾名はちょっといやだなぁ・・・」
「でもさあ、ブラコンの理理はいいとして、なんで真理さんは恋人つくんないのかな?
もしかして、付き合ってる人でもいるのかな?」
「―いないよ。そんなの」
気分の悪くなる冗談を口にするな。目玉を抉るぞ。
「まあそうだよねぇ。彼女いたら、妹と戯れてる時間ないもんね」
紗枝ちゃんは笑います。
この娘は空気を読めないので、悪意なく失言を繰り返すんです。
死ねば良いのに。

レベルの低い教師による授業と、退屈な休み時間を耐えて昼休みになりました。
私はお弁当を抱えて中庭へ走ります。学校にいて一番楽しい時間がここなのです。
「お兄ちゃん」
「おう。おつかれ」
大好きな人が、そこにいます。
私の作った、私の混じったお弁当を広げて、お兄ちゃんが手を振ります。
二人だけで過ごす、一番幸せな時です。

41:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/09 18:05:45 cgAwCeoG
雌猫達は、ここに同席したがります。
でも、そんなことは許しません。至福の時間を自分で汚す莫迦はいないでしょうに、
あの子達はそれがわからないようです。
お兄ちゃんはいつものように涼しげな笑顔で私を見てくれます。お兄ちゃんの顔って、
とっても綺麗なんですよ。
お兄ちゃんと話して、お兄ちゃんといただきますをします。
お兄ちゃんは私の作ったお弁当を美味しそうに食べてくれます。
私はその様子を見るのが大好きです。
(それは私の唾が入ったもの)
(それは私の血が入ったもの)
(それは私の皮膚が入ったもの)
(それは私の愛液が入ったもの)
一品一品、口に運ばれていくおかずを心で解説します。
ああ・・・私自身も食べて欲しいのに・・・・・。
「理理」
見つめているとお兄ちゃんが私を見ました。
「今日ちょっと遅くなるかもしれない。まあ、なるたけ早く帰るけど」
お兄ちゃんはお友達との付き合いがあると、帰りが遅くなります。多くの場合夕方には
帰ってきてくれますが、やはり寂しいです。でもお兄ちゃんを困らせるわけにはいきませんので、
了承しました。
これで夕方から夜まで、愛しい人に逢えなくなる訳です。
お兄ちゃんの「お友達」、少し数を減らしたほうがいいかしら・・・。
バランスを考えると、「間引き」って必要なんですよ。

――――――――――――――――――

メールがきたのは授業中のことだ。
『放課後 逢えますか?』
シンプルに、それだけ。
差出人の名前を見て、僕はやれやれと呟いた。
『おk』
そう送ると、駅前で待ち合わせ、と返ってきた。
それで、駅前に立っているわけだ。
『困り果てる両面宿儺』像は僕たちに限らず、待ち合わせで使われる。僕もそこにいるが、
相手がまだこない。学校からの距離を考えると、こちらのほうが早くなるから仕方ない。
ただ突っ立っているのは勿体無いので、本を読むことにした。
暫く目を落としていると、
「に~いさん。おまたせっ」
甘い声が響き、腕に手を回された。
「ん。待ったぞ」
まだ五分と経っていないがそう云って本をしまう。
待ち合わせをしているであろう男たちが、皆こちらを、否―こいつをみている。
それはそうだろう。
名門私立の制服を着た、すごい美少女がいるのだから。

月ヶ瀬聖理(つきがせ さとり)。

父方平行従妹で、僕にとってはもう一人の妹だ。
小柄な理理よりも背は低いが胸は大きい。
あいつは垂れ目で、こいつはツリ目だ。
声質はややたかめのメゾソプラノで、歌が上手い。ちなみに理理はアルトである。
顔立ちは従姉妹だから似ているが、穏やかな雰囲気の理理と違って、聖理には明るさが
具備されている。
まあ一言で言うと、可愛い、のである。
「えっへっへ~。にいさん♪兄さん♪」
ぐりぐりと腕に抱きついてくる。その度にグニグニとましゅまろが形を変えた。
「こら。離れなさい」
「や~ですよ~だ」

42:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/09 18:07:52 cgAwCeoG
嬉しそうに纏わり付く。子供もころからまるで変わっていない。
僕は抵抗を諦めて従妹の少女に話しかけた。
「で。今日はなんか用があるのか?」
「ん~?“にいさん分”を補給しに来たんだよ~」
ごろごろと懐いて来る。悪い気はしないが、やっぱり流石に周囲の視線が痛い。
「ちょっとで良いから、離れてくれ・・・」
「駄目だよ。にいさんの体中に聖理の匂いをつけるんだもん。嫌な臭いを上書きしなきゃ」
「え!?俺、臭いか!!??」
すんすんと自分を嗅ぐ。体臭には気を使っているはずなんだが。
「にいさんは臭くないよ。近くにあるものが問題なの」
「は?近くにあるもの?」
僕は『困り果てる両面宿儺』像を見上げる。
「あはは。そっちじゃないよ。とりあえず、行こ?」
組んだ腕を引っ張って歩き出す。
「お、おい、どこ行くんだ?」
「デート。素敵なお店があるんだ♪」
そのまま連れ去られる。鼻面をとって引きずり回される、と云った方が近いかもしれない。

その後、あちこちのお店を回った。
なんだかんだ云っても聖理といるのは楽しい。
会話も面白いし、互いの好悪を知り尽くしている。何より大きいのは親族ゆえの気の置けなさ
だろう。
規律に厳しいはずの名門私立の制服を着たまま遊び歩く従妹に連れ回され、気づくと日も沈もう
という時間だった。
「聖理、そろそろ帰らないと」
「えー。久しぶりに逢ったんだから、もう少し遊んでよ」
「駄目だ。もう暗くなる」
僕は首を振る。
「じゃぁ・・・・」
僕の服をキュッと掴んで、上目遣い。
「聖理のおうちで、晩御飯食べていって?」
「無理だよ。理理を一人には出来ない」
僕がそう云うと、大きな瞳がじわりと歪んだ。
「ひ、酷いよぉ。にいさんはいつもいつもコトリ、コトリって、あの子ばかり優先する・・・」
「いや、そんなことは・・・・」
「聖理だって、にいさんの妹なのに、にいさんはいつも一緒の妹ばかり気にかけて、たまにしか
逢えない私のことは・・・全然・・・・」
ぽろぽろと泣き出す。
「あ、ああ、泣くなって。俺は聖理のこと大事にしてるだろう?」
「してないよ・・・!コトリ、コトリ、コトリ、コトリって、そればっかりだもん!たまのお食事に
誘っても、今日みたいにコトリ、コトリって・・・」
泣きながら抱きついてくる。
僕は頭を掻いた。
「わ、わかったよ。今日は聖理といてあげるから」
「ほんとう?」
目を輝かせて見上げてくる。
たまのことだし、仕方がない。
僕は頷くと、ケータイを取り出した。2回のコールで実妹がでる。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
少し心配そうなアルトボイス。この時間では帰宅していることが殆どだから、気にしていたのだろう。
「あ~、遅くなってごめんな」
「ううん。良いの。お兄ちゃんにも付き合いはあるだろうし、少しなら、我慢できるから」
早く帰ってきてね。言外にそう云っているのがわかった。だから、云いづらい。聖理に目をやると、
僕にしっかり抱きついて、服をぎゅうぎゅうと掴んでいる。
「晩飯のことなんだけど」
「うん。もうつくってるけど、何かリクエストがあった?」
「いや。悪いけど、晩飯は済ませてくるから今日は食べられない」
「―え?」
虚を突かれたような妹の声。それはそうだろう。僕が晩御飯までに帰らないことはまずないのだから。

43:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/09 18:08:47 cgAwCeoG
「お兄ちゃん、どうして?」
驚くように問い返す。説明しようとすると、聖理が手を伸ばした。かわってくれということだろう。
「ちょっと待って理理。今、かわる」
「かわる?」
従妹に手渡す。
聖理はツリ目をキュッと細めて、ケータイを耳に当てた。
「こんにちは、コトリ。ううん。今晩はかな?」
(あれ?)
俺は首を傾げる。聖理の声って、こんなに冷たかったろうか。
「さ、さとり・・・・ちゃん?」
驚いたような妹の気配。聖理はくすりと笑うと、ケータイを持ったまま僕に抱きついた。
「うん。私だよ。久しぶりだねぇ」
「・・・・・・・・・・」
「どうしたの?挨拶もできないのかな?」
「・・・・・ひさし、ぶり・・・だね・・・・」
搾り出すような声。聖理はふっと笑う。
「いま私、にいさんといるの」
「っ・・・・・」
「そして、これからも、にいさんといるの」
「・・・・・」
「あれ?聞こえてないのかな?コトリ、聞いてる?」
「聞こえ、てる・・・よ・・・・」
「そうだよねえ。こっちには歯軋りの音がきこえたもん。いつも私が鳴らしてた音だけど、
貴女が鳴らすと格別だね。あははっ」
聖理は嬉しそうに笑う。
何だろう、なにか良くない空気が流れている気がする。
「・・・どうして、さとり、ちゃんがお兄ちゃんといるの?」
「どうして?私だってにいさんの妹だよ?デートくらいふつうでしょう?」
「・・・・デー・・・・・ト・・・・」
「そう、デート。今日一日、すごく楽しかったなぁ・・・・。にいさんとっても優しいから、
私凄く幸せだったよぉ。ああ、まだデートの途中だった。これからにいさんは私のおうちに
来るんだもの」
「・・・・・・・・・・」
「コトリ、今日は無口だね。どうかしたの?」
「・・・・駄目」
「駄目?何が駄目なのかな?」
「お兄ちゃんを、返して」
「返して?まるでにいさんが自分のものみたいな云い方だね。にいさんはコトリのものじゃないし、
にいさんの妹は貴女だけじゃないんだよ?それなのにいつもいつもにいさんを独占して、
私がたまにデートして貰うと“返して”?コトリは少し傲慢なんじゃないのかなぁ?」
ねえ、にいさん?暗い瞳で僕を見上げる。
何か良くない。
そう思った僕は聖理からケータイを取り上げた。
「そ、そう云う訳だから今日は晩飯いらない。なるたけ早く帰るから、悪いけど今日は・・・」
「嫌!待ってお兄ちゃん、いかないで、理理を一人にしないで!」
泣き叫ぶような実妹の声。
申し訳ないと思いつつも、聞こえない振りをして電話を切った。
(泣かしちゃったよなあ・・・)
なぜあんなに嫌がっていたのかはわからない。が、酷く罪悪感がある。
けれど、たまにはこちらの『妹』にも構ってやらねば、兄として公平ではないだろう。
「にいさんは、聖理を選んでくれたんだよね?」
嬉しそうに少女が云う。
「莫迦。どっちを選ぶとかじゃない。かわりばんこに相手するだけだ」
「かわりばんこ?ふぅん・・・・」
従妹はふっと笑った。時々、この娘には妙な色香がある。
「じゃあ、コトリと過ごして来た分の時間を、これからは聖理が貰っていいんだよね?」
そう云って頬をすり寄せる。
僕が呆気にとられていると、聖理は腕を回し、指を絡めてきた。
「行こう、にいさん。私たちのおうちに。まだデートの途中なんだから」
従妹は楽しそうに笑う。けれど何故だろう。僕は笑うことが出来なかった。

44:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/04/09 18:09:40 cgAwCeoG
投下終了です。
続きはまたそのうちに

45:名無しさん@ピンキー
07/04/09 18:25:37 GG0E+tc5
G.J!
修羅場スレだとこの後は血の雨が降りそうだけど
このスレ的にはどんな展開になるのか興味深い

46:名無しさん@ピンキー
07/04/09 18:47:14 fjhdQIsY
なんという期待の新星・・

47:名無しさん@ピンキー
07/04/09 19:04:43 hn6gfQXe
続きが気になるうううううううううううううううううううううううううううううううう

48:名無しさん@ピンキー
07/04/09 20:10:18 u1WqNFPT
スレ立て2日で神職人が降臨するとは…
間が開いてもいいので是非とも続きをお願いします


これでこのスレが活気付いて定着してしまいそうだ
ヤンデレスレと合流したほうがいい気もするんだけど



49:名無しさん@ピンキー
07/04/09 20:26:30 n9PuOhE0
時代はキモ姉の時代ですよ

50:名無しさん@ピンキー
07/04/09 23:17:05 JkK8+6Ct
キモウトって弟でも当てはまるよな

51:名無しさん@ピンキー
07/04/09 23:49:02 JZM0Mc35
ブリジット好きの俺としてはショタキモ弟の話も読んでみたい。もちろん女装で。

52:名無しさん@ピンキー
07/04/10 00:25:32 PrEAWCxZ
>43
GJ!
こんな可愛い妹が欲しいなぁ。

53:名無しさん@ピンキー
07/04/10 01:23:00 ool/0dVc
初投下から神がキタァ!GJGJ!

54:名無しさん@ピンキー
07/04/10 04:33:42 RBYrLGuO
GJ!
そういや、ヤンデレスレでも嫉妬があるんだから、ここで嫉妬があったらいけないってわけじゃないんだよな。
水族館にいるはずのペンギンが動物園にもいていいって感じ。

55:名無しさん@ピンキー
07/04/10 05:56:45 rKxQoaOS
ていうかすげえはマジでこれ…続きが気になってしょうがない

キモウトとキモイトコが最高すぎる

56:名無しさん@ピンキー
07/04/10 12:31:06 coDmcHia
キモウト最高wwwこれからどんな展開になるのかマジで楽しみ。
期待してます、GJ!!

57:名無しさん@ピンキー
07/04/10 14:06:49 lHK5tcL6
>>54
ようするに水族館にいるシャークが金魚すくいの中にシャークが居てもいいと
同じ理屈だな

58:名無しさん@ピンキー
07/04/10 14:49:11 Ac5rV35o
>>57
日本語でおk

59:名無しさん@ピンキー
07/04/10 17:21:59 q3UBPNNC
>>58
シャクに触る奴だな

シャークだけに!

60:名無しさん@ピンキー
07/04/10 18:19:12 dBULRWj7
>>45以降にあからさまなGJがあるなーw


61:名無しさん@ピンキー
07/04/10 18:23:21 k7sjF5at
以下、つっこみ禁止!


62:名無しさん@ピンキー
07/04/10 18:30:49 coJAkc59
>>60
ま た お ま え か 

63:名無しさん@ピンキー
07/04/10 18:30:56 gfN6Iftk
お姉ちゃんマダー?

64:名無しさん@ピンキー
07/04/10 19:10:47 hwuiYmsx
釈由美子
URLリンク(www.shosen.co.jp)

65:名無しさん@ピンキー
07/04/10 19:49:47 k7sjF5at
つ 井上喜久子

66:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/04/10 20:24:56 Fs3hrXUi
最近のマイブームはシャーク


投下します。

67:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/10 20:26:08 Fs3hrXUi
――――――――――――――――――

膝を抱える。
こうしていると、いつもお兄ちゃんが話しかけてくれた。
「どうした?理理」
柔らかい笑顔で。低く澄んだ声で。優しい瞳で。
でも、今はそれがない。こうしていても、お兄ちゃんは来てくれない。
“あの女”
あの偽妹が、私の温もりを持って行ってしまった。
「理理は綺麗な声をしてるね」
昔、まだお兄ちゃんと同じ部屋にいたころ、あの人はそうやって褒めてくれた。
私はそれが嬉しくて、お兄ちゃんの前でだけ、歌うようになった。
「理理はほんとに上手だなあ。歌手にでもなれるんじゃないか?」
その言葉が嬉しかった。
将来はお兄ちゃんのお嫁さんになるから、歌手になるつもりはなかったけれど、私の歌で
あの人が喜んでくれる。私の歌で二人でいる時間が密になる。私の歌で繋がりが出来る。
それが嬉しくて、歌の練習もした。
それなのに。
私の真似をして歌を歌った“あの女”が、全てをぶち壊してくれた。
笑いながら私の歌を聴いていたお兄ちゃんは、“あの女”の歌を聴いてから、偽妹ばかりを
褒めるようになってしまった。
「聖理はすごいな!こんなに綺麗な歌声は聴いたことがないよ、なあ、理理」
興奮気味に私に話しかける。
ねえ、さとりちゃん。
それがどんな気分だったかわかる?
よりにもよって一番大好きな人が、一番大嫌いな人を褒めるの。
偽者の引き立て役にされた私の気持ちが、貴女にはわかる?
笑いながら頷くことが、どれだけ大変だったか。
それ以来、私は歌えなくなったんだよ?
私から歌を奪った偽者は、お兄ちゃんと逢うたびに、その行為で気を引いた。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。偽者のくせに。
私のお兄ちゃんを奪おうというのか。

私はお兄ちゃんが大好き。
だからお兄ちゃんに近づく女は許せない。
なかでもね、さとりちゃん、貴女は格別に許せない。
お兄ちゃんだけでなく、私という存在すらも奪っていこうとするさとりちゃんが、本当に許せない。
私はお兄ちゃんがいないと生きていけないのに、あのひとを獲ろうとするの?
私から歌を獲ったのだから、それで充分でしょう?
貴女は私たちの前に現れる度に、お兄ちゃんを奪っていった。
「聖理も大事な妹だからね。たまに会う時くらいは甘えさせてあげないと」
繋いでいた手を離し、偽者と寄り添う。
私は後ろから仲の良い偽の兄妹を見つめるしかないの。
さとり『も』?『も』ってなぁに、お兄ちゃん。
貴方の妹は、私だけだよ?
唯のイトコのくせに、妹として振舞う。
唯のイトコのくせに、あの人を兄と呼ぶ。
「にいさん」?
にいさん。にいさん。にいさん。にいさん。
なに、それ?
貴女は他人でしょう?
そんな風に呼ぶ権利はないのよ?
寂しいよ、おにいちゃん。
理理は暗くて冷たい籠の中にいるの。
私はお兄ちゃんという心の餌がないと、すぐに死んじゃうんだよ?

68:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/10 20:27:12 Fs3hrXUi
――――――――――――――――――

月ヶ瀬聖理は暗い籠の中にいた。
父は有能な人で、無手から事業を始め、成功させた。
私が生まれるころには大きな家と、抱えきれない大量の仕事を手に入れていた。
母の為に働き、働きすぎて母に構えず、仕事の為に母をなくした。
物心ついた時から私は一人。
家族の温もりなんかなくて。
世話をするだけの人がいて。
寂しさがあたりまえの人生で。
自身の罪悪感を埋めるための、玩具と云う名の自己満足を押し付けられた。
しっていますか、とうさん。
玩具って、人と遊ぶためにあるんです。
どれだけあったって、一人じゃ意味がないんですよ。

私には家族がいなかった。
友達もいなかった。
父の意向で名門の幼稚舎に入った。
私は出会いを信じて門を潜る。
けれどそこにあったのは、新参を成金と蔑む冷たい瞳だけ。
子供たちの親が、そんな目で私を見て。
その子供たちがそれに習う。
出会いを信じたその場所は、何もないどころか蔑視と嫌がらせの楽園だった。
まだ、生まれて数年なのに、私、死のうとしたこともあるんですよ?
冷たいがらんどう。
暗い鳥籠。
私を囲むものはそれしかない。
そう、思っていた。

ある日、父の許を男が訪ねた。
父に似たその人は、父の兄―伯父だと云う。
何のようで来たのかは知らない。いや、それどころか、いままで親戚が「在る」ことすら
知らなかった。
何か難しい話をしていたが、私には関係ない、いや、関われないことだ。
なにもかわらない。そう思って、庭へでた。
そこに―あの人がいた。

笑顔。
あの人がくれたもの。
温もり。
あの人が感じさせてくれたもの。
家族。
あの人がなってくれたもの。
あの人は、私の人生に意味をくれたのだ。

「じゃあ僕が、今日から、聖理ちゃんのにいさんになってあげるよ」
その言葉に、どれだけ救われたか。
その言葉がどれだけ嬉しかったか。

あの人―にいさんは本当に優しかった。
『私』と云う存在を見てくれる。
『私』と云う存在を認めてくれる。
偉いねと私を褒めてくれる。凄いねと頭を撫でてくれる。傍にいてくれる。抱きしめてくれる。
にいさんと過ごす時間は本当に楽しかった。
父の用事で度々やってくるそのときがだけが、私の楽しみであり、全てだった。
コトリ。
にいさんの口から良く聞かされる『本物』の妹。
楽しそうに。誇らしげに。にいさんはその娘を語った。

69:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/10 20:28:06 Fs3hrXUi
多分、私はその娘に嫉妬していたのだと思う。
にいさんと一緒に暮らせることに。にいさんの心を占めていることに。
でも、でもね、期待もしていたの。
まだ見ぬコトリちゃんが、私の新しい家族に、大切な友達になってくれるかもしれないと。

はじめて三人で遊んだ。
コトリちゃんはとっても可愛くて、そして良い娘だった。
いや、そう見えた。
誰かがにいさんを呼び、私たちは庭で二人になった。
「何して遊ぼうか?」
にいさんを見送り、振り返った私に返ってきたものは、幼稚舎で味わっていた冷たい目と、
呪詛の言葉だった。
「偽者」
土を顔に叩きつけられ、頬を張られた。
「お兄ちゃんは、理理のものなの!お兄ちゃんの妹は、理理だけなの!
急に出てきて、妹を名乗らないで!お兄ちゃんとの時間を獲らないで!
偽者のさとりちゃんなんかに、お兄ちゃんはあげないんだからぁ!!」
屈んだ私を十三回も蹴りつける。
そのときになって、ようやく気がついた。

ああ、この娘は『敵』なんだなあって。

にいさんの実の妹なんだもの。良い子に決まってるって思ってた。
でもそうじゃない。
コトリは、私を冷たい籠の中に戻そうとするだけの『敵』だった。
だってあの時、泣き叫ぶ私を楽しそうに見ていたでしょう?
そのあと戻ってきたにいさんに助けを求めると、「いいつけるなんて」って、呟いたよね?
にいさんに怒られて謝ってきた貴女は、「どうして私が怒られなければいけないの?」って、
そういう顔をしていたよね?
「ごめんなさい、ごめんなさい」
あれは私に向けた言葉じゃないでしょう?
お兄ちゃん嫌わないで。
あのときの謝罪は、それだけしか感じられなかったもの。
『偽者』
貴女は事あるごとにそう呟いたよね。
私がどれだけ家族の温もりに飢えているか知ってるはずなのに。
『偽者』
その言葉で、お前なんか家族じゃないって、思い知らせてくれたものね。
貴女、私のことが嫌いでしょう?私もあなたのことが嫌いなの。
私の全てであるにいさんを、本物の妹という理由だけで奪おうとする貴女が。
コトリ、貴女は『本物』であることをいつも自慢していたよね。
だったら教えてあげる。偽者って必ずしも本物に劣るわけじゃないって事を。

だって、偽者だからこそ―あの人と結婚することができるんだから。

――――――――――――――――――

駅から一時間弱。
それで聖理の家に着く。
毎日学校までこの距離を通うのは大変だろうと思うが、サラリーマンの中には数時間かけて
出勤してる人もいるわけで。寝坊しても走れば間に合う環境にある僕には遠い世界だ。
いずれにせよ、移動時間を考えるとすぐに帰らないといけないだろう。
聖理の家は大きい。
屋敷と呼ぶほどではないが、並みの家屋とは比較にならない。庭も広い。
たしか親御さんは離婚しているはずなので、彼女の家族は叔父さん一人だ。
家の管理は何人かのヘルパーさんがやっているようで、残念ながらメイドさんはいない。
聖理の食事もヘルパーさんが作っている。今日の担当者は僕とも顔なじみの品のいいおばさんだ。
食事の後、だだっ広いリビングのソファーに座る。
飾りつけはされているのになんだかがらんとしていて寂しい気がする。

70:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/10 20:29:33 Fs3hrXUi
けれど従妹はそんなことを気にするでもなく、猫のように懐いてきている。
「にいさん、にいさん、にいさん、にいさん」
ごろごろ。すりすり。
「にいさん、にいさん、にいさん、にいさん」
すりすり。ごろごろ。
こんな感じで甘えてくる。
撫でてみると、
「んう・・・・っ」
と鳴いて目を細める。なんか可愛い。
理理の場合、僕の傍にいる時は静かに横にある。嬉しそうな、穏やかな顔で、延々僕を見つめている。
こういう部分も静と動な二人だなぁと思った。
「にいさん、にいさん、もっと撫でて撫でて~」
すりすりすり。ごろごろごろ。甘えてくる。
「あ~はいはい。これでいいか~」
さらさらの髪の毛に手を滑らせる。良い匂いだし手触りも抜群なので、実はちょっと楽しい。
「えへへ~。にぃさん大好き~」
僕の胸に顔をうずめる。
「聖理はこんなに甘えん坊だったか~」
「にいさんが聖理をこんな体にしたんだよ?責任とってくれなきゃ」
「ばっ・・・!人聞きの悪いことを・・・・!」
「あはは。にいさん慌ててる。かわいー」
「ええい、うるさい。そんなこと云う奴はこうだ!」
わしゃわしゃと乱暴に髪を撫でる。
「きゃー、やめてやめてー♪」
それでも嬉しそうにされるがままになっている。
その様子を、通りかかったヘルパーさんが見て笑った。
「貴方たちはほんとうに仲が良いのねえ」
品良く口元を押さえる。僕は赤面したが、従妹は気にするでもなく体を擦り付けた。
「そういえば真理くん、傘は持ってきた?」
「いえ。ないですけど。もしかして、降るんですか?」
訪ねると、ヘルパーさんは頷いた。
「あ~。まずいなあ、早く帰ったほうが良いかも」
頭を掻く。
「大丈夫だよ、にいさん。うちに泊まっていけばいいんだもの。うん。それがいいよ!そうしよう?
聖理のお部屋で、一緒にお話して、一緒のベッドで寝ようよ」
目を輝かせて聖理は云う。が、僕は首を振った。
「それはできないよ。やっぱり家に帰らなきゃ」
理理を泣かせてしまったこともあるし。
「や」
聖理は大きな瞳を滲ませる。
「いっちゃやだ、いっちゃやだよ・・・!聖理、一人になりたくないよ・・・!!」
服越しに僕を掴む。凄い力だった。思わず声を上げそうになるくらい。
「にいさん、にいさん、にいさん、にいさん、お願いにいさん、聖理といてよ。聖理、
まだぜんぜん甘えたりないよ、こんな状況で帰られたら、寂しくておかしくなっちゃうよぉ」
従妹は必死に縋り付いてくる。僕はヘルパーさんと顔を見合わせた。
「聖理、良い子だから云うこと聞いてくれ。僕だってお前と居るのは心地良いけど、
帰らないわけにはいかないんだよ」
「やだぁ、やだよぉ・・・、にいさん帰っちゃやだぁ・・・・!」
ぶんぶんと首を振った。
(どう宥めるべきか)
思案に暮れていると、呼び鈴が鳴る。ヘルパーさんが応対に出て行った。
「真理くん」
泣きじゃくる従妹を宥めていると、ヘルパーさんが戻ってくる。
「どうしました?」
聖理の頭を撫でながら聞く。
「妹さんが迎えに来たわよ」
僕の腕の中のもう一人の妹が、びくりと震えた。

71:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/04/10 20:30:34 Fs3hrXUi
投下終了です。

次は少し間が空くかもしれません

72:名無しさん@ピンキー
07/04/10 21:34:18 /UcKgESC
アルティメットGJ

73:名無しさん@ピンキー
07/04/10 21:35:07 rKxQoaOS
両者ともずいぶんとてんぱってますなw

直接対決wktk

74:名無しさん@ピンキー
07/04/10 23:10:16 w5ohQDxF
wktk

75:名無しさん@ピンキー
07/04/10 23:18:02 coJAkc59
ひたすらwktk

76:名無しさん@ピンキー
07/04/10 23:31:18 Ac5rV35o
まぁ、なんだ。
ふたりともうぜぇぇぇぇぇ&きめぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!



だがそれがいい。

77:名無しさん@ピンキー
07/04/11 02:04:00 5Nefmv5J
この世にある全ての賛美の言葉を伝えても全然足りない。
だからこの一言に全て以上の思いを詰めて言う。
GJ

78:名無しさん@ピンキー
07/04/11 05:00:30 Z+CdqVpD
当事者には絶対なりたくない可愛さだな。

79:名無しさん@ピンキー
07/04/11 13:34:22 siPfmZdh
>>78
俺は超なりたい

80:名無しさん@ピンキー
07/04/11 14:46:49 DCfsHijt
>>79
無茶しやがって(AAry

81:名無しさん@ピンキー
07/04/11 15:21:06 AjcdR/jS
>>79
お前はメンヘラの怖さを知らないwwwwwwwwww

82:名無しさん@ピンキー
07/04/11 16:04:40 0B3EMRDf
現実と引き比べてどうすんだぜ
キモ姉キモウトの嗜み方をまるでをわかっていないようだぜ
「妹妹言うけど実際は本物の妹ってうざいだけだっぴよ」
とかわかりきったことをわざわざ抜かして疎まれるバカチニストと同レベルだぜ

83:名無しさん@ピンキー
07/04/11 16:15:49 4yEJgsdi
「血の繋がった妹なんかいるわけないじゃないか」 

84:名無しさん@ピンキー
07/04/11 16:39:51 N2kZKbXd
しかし、リアルの話を聞きたくなるのは・・
リアルでもこんな女の子がいればいいという
願望なんだよ


85:名無しさん@ピンキー
07/04/11 17:17:21 N23Uq9oZ
いや、ホント二人とも可愛い。
続き待っています。

86:名無しさん@ピンキー
07/04/11 17:52:46 jnG3qbrf
リアル女も一度惚れるとしつこいけどな
まあ新聞勧誘的なしつこさだからかわいくはない

87:名無しさん@ピンキー
07/04/11 22:16:40 siPfmZdh
>>80-81
いいんだよ!俺だってごろごろすりすりとかすりすりごろごろとかされたいんだよ!!
それに俺はかわいい人に殺されるならそれで本望だ

88:名無しさん@ピンキー
07/04/12 00:39:12 l6c3ffc+
相当毒されちまってる…







だがそこがいい

89:名無しさん@ピンキー
07/04/12 01:24:32 vSNYTj+7
>>78は的確な表現だなぁw
……とか思っていたら>>79>>87のリアクションに笑ったw 絶対に嫌だよw

90:名無しさん@ピンキー
07/04/12 03:32:26 PsmYaw3z
>>87
お前、最高にかっこいいぜ

91:名無しさん@ピンキー
07/04/12 06:48:26 yx734DNJ
すまん、87だが語弊があった
かわいい子じゃなくてかわいい姉or妹だな。skなんとか宮タイプのそれでも構わんから本気で来て欲しい

92:名無しさん@ピンキー
07/04/12 19:56:38 +RZ7pa9z
このスレって姉妹がキモ可愛かったら修羅場だろうがヤンデレだろうがほのぼのだろうが何でも良いの?

93:名無しさん@ピンキー
07/04/12 19:59:07 AX+lUZCJ
>>92
いいのかい?俺はキモ姉妹ならなんでも食っちまうんだぜ?

94:名無しさん@ピンキー
07/04/12 21:01:53 kFQoaudV
キモ姉姉妹なら喜んで投稿してくれ・・詳しいテンプレとかはまだ
全然決まってないし

95:名無しさん@ピンキー
07/04/12 22:00:20 QTqc3xfN
とにかくキモ姉妹ならそれでいい

96:名無しさん@ピンキー
07/04/13 18:05:58 910csEIs
勿論義理でも良いよな?

97:名無しさん@ピンキー
07/04/13 19:22:43 WU0QxjcV
私は一向に構わんッッ!!

98:名無しさん@ピンキー
07/04/13 20:24:38 5hH9uNIc
      ,;r''"~ ̄^'ヽ,
      ./       ;ヽ    キモ姉、キモウトが好きね奴は皆キモ姉妹スキーだ!
      l  _,,,,,,,,_,;;;;i
      l l''|~___;;、_y__ lミ;l        実際にキモ姉、キモウトがいる奴はよく訓練されたキモ姉妹スキーだ!
      ゙l;| | `'",;_,i`'"|;i |
     ,r''i ヽ, '~rーj`c=/        ホント キモ姉妹は地獄だぜ!  フゥハハハーハァー
   ,/  ヽ  ヽ`ー"/:: `ヽ
  /     ゙ヽ   ̄、:::::  ゙l,
 |;/"⌒ヽ,  \  ヽ:   _l_        ri                   ri
 l l    ヽr‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
 ゙l゙l,     l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
 | ヽ     ヽ   _|_  _       "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
 /"ヽ     'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄  [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
/  ヽ    ー─''''''""(;;)   `゙,j"  |  | |
  _,,,,,,,,,ヽ、        ,,,,,r-'''''ーー'''|   |  | |
''"    ヽ,,___,,,r‐''''''二__    |__|  | |
          \'''"   /     ノ    | |



99:名無しさん@ピンキー
07/04/14 00:20:31 I8VPvhxb
いくら訓練されてたって、手に入らないものがあるんだぁぁぁ!!






キモ姉妹ホシス

100:名無しさん@ピンキー
07/04/14 00:21:15 AE6G9CtK
ビジュアル的にきもい妹が兄をなぶる

101:名無しさん@ピンキー
07/04/14 00:29:36 vtjdLSWl
>>100
可愛いけどかっこうがキモイとかなら

102:名無しさん@ピンキー
07/04/14 00:56:53 kA9PQ4m/
みなとそふとのキモ姉が凄すぎるわけだが・・・あれを元に誰かキモ姉を書いてくれ

103:名無しさん@ピンキー
07/04/14 01:59:49 LQyvCHx3
>>96
悪いが俺は、認めん。

「父さん。今度、父さんの再婚で付いてくる女の子達、本当に姉ちゃんとか妹って思
わなきゃいけないのか?俺にとっての姉ちゃんと妹は、死んだ俺の母さんから産まれ
た本当の姉ちゃんと妹だけなんだよ!」
って気分なのさ。

わかってくれるかい?

104:名無しさん@ピンキー
07/04/14 03:46:32 oFUG4920
>>96
俺は構わん。
元々姉が居て、昔仲良しだったが
母が死んでから色々ありあまりよろしくない。
無論、姉は弟依存だぞ、内心は。
で、父が再婚したことにより義妹が出来る。
母の事を引きずり、義妹を認めない姉、
傷ついた義妹を優しく包容する主人公
いつしか義妹は兄に恋心を抱くが、
それをよろしく思わない姉の嫉妬の魔の手が…

なんかどこにでもありそうな内容だな。

105:名無しさん@ピンキー
07/04/14 03:46:51 RYnZ27YN
肝姉ってえと、やっぱ逆強姦かw

106:名無しさん@ピンキー
07/04/14 08:56:23 0ek5lAHW
>>104
どこでにでもあってもいいぞ
それで書いてくれ!

107:名無しさん@ピンキー
07/04/14 15:43:50 x7pncQIv
あんた、あの日誓ったわよね・・・・
家族だって認めてもらう代わりに私のものになるって・・・・
じゃあ・・・・なんであの女の香りなんかプンプンさせてるのよぉっ!!!111

義理のキモ姉ってこうですか?><

108:名無しさん@ピンキー
07/04/14 15:47:14 RYnZ27YN
叔父さん夫婦に引き取られて、従姉妹⇒義理姉妹に昇格
ってのもある
微妙な血縁があっていいかも
んで、従姉⇔実姉のバトル

109:名無しさん@ピンキー
07/04/14 23:05:13 AZ7Pg4Uy
キモ姉による素晴らしい監禁生活を送りたい人はいるか・・
リアル姉を持っている人間でw

110:名無しさん@ピンキー
07/04/14 23:18:44 LQyvCHx3
ノシ

111:名無しさん@ピンキー
07/04/14 23:48:49 EhpKlvTD
俺は監禁したい
どんだけされても従順なキモ姉。

112:名無しさん@ピンキー
07/04/15 02:04:26 38+aa9Iv
755 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 01:55:53 ID:IUJ4yuNU
春。
それは出会いの季節であり、別れの季節でもある。
今日から僕は全寮制の学校に入学して普通の学生として平穏な日々を迎えるために
ここへとやってきたのだ。桜が舞い散る寮までの道を歩くとこれまでの生活を感慨しく思えてしまう。
新たなクラスメイト、見知らぬこれからの同居人。
僕の人生は新たに始まったはずであったのだが・・。

「はーいー。巴ちゃん、こんにちわ」
「なんですと!!」
 姉という存在から逃げ出すために僕は故郷の地を離れて、見知らぬ土地で進学したはずなのに
 亡霊が僕の新たな人生の一歩手前である男子寮の前で立ち塞がっている。
「悲しい別れから7年後に記憶を失った雪の街から始まる植物人間となったお姉ちゃんと激しい
 恋の物語の始まりだよ。えへっ」
「始まらない。始まらないし、てか、別の作品です!!」
「ふんじゃあ・・巴ちゃんがお姉ちゃんを探すために1000年の時を越えて旅を続ける永遠の」


「姉よ。どうして、お前がそこにいる?」
「それはお姉ちゃんがブラコンだからです」
 気合の入った声で言わなくてもいいのにその姉は言い放った・・。
 誰が聞いているのかわからないというのにさ・・
「ブラコンなのはわかった。果てしなくわかったから、血の繋がったようで血の繋がらない姉の元を
 家出同然に飛び出したブラザーの居場所をどうして知っているんだ!!」

「それは・・巴ちゃんの机の置いてあったパンフレットを見たから」

 これはとんでもない見落としだった・・

「僕を連れ戻しにやってきたのか?」
「ううん・・。巴ちゃんが真剣に悩んで考えて決めた事ならお姉ちゃんは文句は言わないわ。
 例え、それが人気ゲーム機PS4の転売目的の並びのアルバイトだったとしても何も言わないよ」
「姉・・」
「これだけは忘れないで欲しいの」
「うん」

「お姉ちゃんと巴ちゃんは常に一心同体!! 傍を離れることはなく、ずっと長い人生を二人で
 手を繋いで支え合ってゆくのが運命なんだよ」
「デスティニー?」
「正しくはお姉ちゃんと響き合うRPGというジャンルです」

「つまり、弟が傍にいないから後を追いかけて来たってことか・・」
「そうです♪」
「でも、後を追いかけて来たと言っても、姉はすでに大学生でここから通うのは難しいんじゃないのか?」
「大学? そんなもん、とっくの昔に辞めました。愛しい巴ちゃんの傍に居られないなら、そんなもん必要ありません」
「この学歴社会に何を考えてるんですか?」
「巴ちゃんが私をお嫁さんに貰ってくれるので大丈夫です」
 全く、頭を抱えたくなる姉である。わざわざ進学先まで追いかけてくるとは尋常ではない。
「それに就職先はちゃんと決まっています。巴ちゃんが今日からお世話になる寮の管理人を期間限定の3年間の契約で
 雇ってもらえましたから・・」
「はい?」
「住み込みで働くので今日から宜しくお願いしますね。巴ちゃん」
「マジで俺の後を追いかける来るとは正気かっ!!」
「大丈夫です。学園側に事情を話してお姉ちゃんと巴ちゃんはいつも通りに一つ屋根の下に暮らせるようにしてもらいましたし」
「姉よ。お前はどこのストーカーなんだよ」
「お姉ちゃんの辞書によると、ストーカーという文字は恋する乙女と読むんですよ」
 
 もう、どうにもならない・・。
 明日、退学届けを出して、北の大地に逃げ出してやるぅぅぅ!!


113:名無しさん@ピンキー
07/04/15 02:05:32 38+aa9Iv
嫉妬スレから転載・・
こっちで書けばいいのにね


114:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:12:14 H/8YPaTB
姉の数だけ夢がある。

妹の数だけ愛がある。

我らの数だけ妄想がある。

籠の続きを投下します。

115:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:13:49 H/8YPaTB
広い玄関に出る。
扉は開け放たれており、その向こう。切り取られた景色の四角に、実妹が立っている。
いつもの、爽やかで大人しめの私服姿。手には大きな蝙蝠傘。
「お兄ちゃん、迎えに来たよ。帰ろう?」
放課後に教室にやって来るような気軽さだった。
電話口では泣いていたように感じたが、気のせいだったのだろうか。
ヘルパーさんはいない。聖理は僕の胴に手を回し、コアラのようにしがみついている。
「態々ここまできたのか?」
僕はちょっと驚いた。迎えにくるにしても、距離が距離だ。
「雨が降るって云ってたから傘を持ってきたの。街中を連れ回されて疲れている時に濡れたら
風引いちゃうから」
小首を傾げる様に笑顔。そして一瞬だけ従妹を見た。
「さ、お兄ちゃん。こっちに来て?」
妹は僕に手を伸ばす。その瞬間、従妹の腕が僕を後方に引いた。
「お、おい、聖理・・・?」
すっと、聖理が前へ出る。まるで立ち塞がる様に。
「コトリ」
「なにかな、さとりちゃん」
聖理の顔に笑みはない。対して理理は薄く笑っている。
「にいさんはここにいるの。貴女とは帰らない」
「――」
驚いたように表情を消す。
その発言に僕が困ったような顔をすると、すぐに理理は笑顔を取り戻した。
「さとりちゃん。お兄ちゃん困ってるよ?」
亀裂のような笑み。
まるで嘲笑のような。
聖理は振り向くと、僕に縋り付く。
「帰らないよね、にいさんっ。にいさん“今日は聖理といてあげる”っていったものね!?
まだ『今日』は終わってないものっ。にいさんは、聖理を置いて帰らないよね!?」
「聖理・・・・」
必死にしがみついてくる従妹に無体なことは云い難い。けれどずっとここにいられるわけでもない。
「また来るから。な?」
「やっ!やぁ!いっちゃやだ、やだよ!にいさん、聖理との約束破るの?いやだよぉ、聖理を
一人にしないで!聖理、なんでもするからぁ!!良い子にするからぁ!だから、だからっ」
「―さとりちゃん、私のお兄ちゃんを困らせないでくれるかなぁ?」
狂乱の歌声を遮る穏やかなアルトボイス。従妹はピクリと揺れると、ゆっくり振り返る。
「コトリ・・・・・。私からにいさんを獲るの?」
低い―メゾソプラノにしては低すぎる声。
従妹はどんな顔をしているのだろうか、後方からは見えない。
「獲る?獲るってなにかな?お兄ちゃんは“私の許に”帰りたがっていて、私はそのお兄ちゃんを
迎えに来ただけ。獲るわけじゃないよ?ああ―『取り返す』には近いかもしれないね。
あ、さとりちゃん、そんな顔しないで?お兄ちゃんと離れる辛さはよくわかるから。“私が”
誰より、何より、お兄ちゃんと離れる寂しさをわかってるから、ね?」
困ったように、宥めるように理理は云う。
顔の見えない従妹は拳を握り締め、ぎりぎりと歯を鳴らした。
「良い音だね。やっぱり“それ”はさとりちゃんのほうが似合うよ」
くつくつと笑った。
「理理」
僕はたまらず声をかけた。
「そう云ういいかたはするんじゃない。聖理だってたまにしか逢えなくて寂しいんだ」
「お兄ちゃん・・・・」
呆けたような顔。
そしてすぐに聖理を睨みつける。
「理理」
「・・・・・はい」
「すぐに行くから、そこで待ってなさい」
「・・・・・・は、い」
俯く妹。
僕は聖理をつれて室内(なか)に戻る。
(なんだか剣呑な雰囲気だったなぁ。二人とも寂しがりだからか・・・・・)

116:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:15:18 H/8YPaTB
溜息をひとつ。
僕は腰を落とし、従妹に目線を合わせる。
「聖理」
「にいさん・・・」
「残念だけど、家に帰る。でもすぐまた逢えあるさ。だから、我慢できるな?」
「そんなの、無理・・・・だよ・・・」
ぶんぶんと首を振る。
「にいさんは、聖理よりコトリの方が良いの?にいさんは聖理を一人にするの?」
「住む家がある。だからそこに帰るだけだ。お前を一人にしたいわけでも、理理のほうが
大事だからってわけでもない」
どっちも大切な妹だ。
「でも、でもっ・・・」
「仕方ない奴だな」
そっと抱き寄せ頬に口づける。
「―え」
「我慢、できるな?」
「え、え、にいさん、今の、え?」
「また来る。だから安心しろ」
「い、今、聖理のほっぺに、にいさんが、いま、え?ほっぺに、ほっぺ」
「我慢、できるな?」
「あ、う、・・・・うん・・・・」
焦点の定まらない瞳でコクコクと頷く。
子供のころ家を留守にしがちな両親に縋り付いた時、母が僕にやったこと。
「偉いぞ。聖理は良い子だな」
頭を撫でてやる。
「あ、う。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほっぺ・・・・」
ぽんぽんと頭を叩く。
またな、と云って廊下に出る。聖理は気づいているのかいないのか、そこに立ち尽くしていた。
ヘルパーさんに挨拶を済ませ玄関へ。耳には雨音が響く。降ってきたみたいだ。
「おまたせ」
理理に云う。
「早かったね、お兄ちゃん。さとりちゃんは納得したの?」
「ああ」
「え」
妹は目を丸くする。
「なんだよ?」
「だって、あんなに取り乱してたのに」
「ま、そんなこともあるさ。帰るぞ」
「あ、う、うん」
驚いたままの妹を伴なって玄関をでる。
扉を閉めた。降り始めだというのに雨足は強い。
「理理、傘くれ」
「あ、あのね、お兄ちゃん、そのことなんだけど」
妹は苦笑いする。僕は理理の手の中を見た。
「・・・・一本?」
「うん。自分の分、忘れてきちゃった」
「ドジ」
「あぅ・・・」
しょんぼりと俯く。
「しょうがない、おっきめの傘だし、一緒に使うか」
「う、うん・・・・!」
妹は笑顔で頷くと、そっと寄り添った。
傘を開く。バネ仕掛けの雨具が、ぱん、と小気味良い音をたてた。
「やっぱり、置いてきて良かった」
「忘れたことを喜ぶな」
「うん。そうだね。忘れたの。忘れたんだよ」
あははと笑う。僕は一回だけ妹を小突くと空を見上げた。
「いくか」

117:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:16:45 H/8YPaTB
「うん。帰ろう。二人のおうちに」
すでに暗くなった道を行く。妹は穏やかな顔でずっと微笑んでいた。

――――――――――――――――――

なんとかお兄ちゃんを取り戻せました。
あの偽者があれ以上駄々をこねるなら、傘の先で喉を突いてしまおうとも考えていたんですが、
私のお兄ちゃんは理理の許に帰りたがっていましたから、簡単に決着がついたんですよ。
帰りは相合傘でした。ううん。愛愛傘と云うべきでしょう。
世界で一番相性が良く、宇宙で一番仲の良い兄妹ですから、きっと絵になったはずです。
お兄ちゃんは私を愛してくれているので、とても気を使ってくれます。
雨はかなり強かったので、私が濡れないよう、傘を寄せてくれていたんですよ。
お兄ちゃんは昔から無言で優しさをくれるんです。
寄り添って歩くことのできる幸福。
そして手を伸ばせば掴める愛しい人の身体。
大好きなお兄ちゃんの顔を、ずっとずっと見て歩きました。
お兄ちゃんを見ていると、心がほかほかするんです。
ほかほかしすぎて、イケナイ気持ちになるときもありますが、今はまだ我慢します。
唯、一つだけ嫌なことがありました。
臭うんですよ、凄く。
大嫌いな臭いがプンプンしました。
お兄ちゃんには毎日毎日私の匂いを染み込ませているんです。皮膚と肉を通り抜けて、骨の髄まで。
ううん。心の底と、脳味噌の中と、心臓の中心まで、血の中まで、魂まで、匂いを擦り付けているはず
なんです。
なのに。
“あの女”の臭いが私の愛しいお兄ちゃんに纏わり付いていたんです。
それがとても許せなかった。
だって、あんなにしっかり臭いが付いているんですよ。
それってつまり、お兄ちゃんにずっとくっついていたってことじゃないですか。
そういえばお迎えに行ったときも“あの女”はお兄ちゃんに張り付いていました。
やっぱり喉を突いておけば良かったかな?
その女の臭いです。普段の私なら吐いていたかもしれません。
でも、臭いのもと―視線の先にはお兄ちゃんがいるんですよ。不快感を幸せが上回ったので、
戻すことはありませんでした。愛の奇跡でしょう。
でも、家に着いたらすぐにお風呂に入って貰いました。消臭・消毒のためです。
お兄ちゃんは優しいので、「お前も冷えただろう?先に入って良いよ」と云ってくれました。
でもね、お兄ちゃん。そこは「一緒に入ろう」が正解だよ?
私はお兄ちゃんを先にお風呂に入れました。臭いの件や、傘をずらしていたので私よりも
濡れているからっていうのも理由ですが、実は他にやることがあったんです。
後片付け。
それが最優先でした。
あの偽者に耳障りな声を聞かされ、お兄ちゃんをとられた後、気づいてみたら、調理中の夕御飯が
散らばっていました。どうやら食器や食材をそこかしこに叩きつけていたようです。
柱に刺さった包丁を抜き、割れ物を拾い、歪んだ鍋を洗って、床と壁を掃除する。
大部分はあの家に行く前にやったのですが、一秒でも早くお兄ちゃんを取り戻したくて、
途中で外に出たのでした。窓ガラスや食器棚を割らない辺り、私はかなり冷静だと思います。
お兄ちゃんが入浴している間にお片づけを済ませます。大切なお兄ちゃんに怪我でもさせたら、
私は発狂してしまうでしょうから。
お風呂から上がったお兄ちゃんとお茶漬けを食べました。私は晩御飯を食べていませんでしたし、
お兄ちゃんはあんな所で気も休まらなかったでしょうから、御飯を食べた気にならなかったしょうし、
ちょうど良かったです。
お兄ちゃんには私の愛情と愛液がたっぷり入った特別製を食べて貰ったんです。
「美味しいよ、理理」
私の『特別』は喜んで貰えたみたいです。
夜も遅くになったので、寝ることになりました。
私の寝巻きはお兄ちゃんのカッターシャツです。
子供のころからずっとずっと、お兄ちゃんのおさがりを着ているんですよ。それらを着ていると、
まるでお兄ちゃんに包まれているような気分になれるんです。でもやっぱり本物のお兄ちゃんの
身体が一番好きなので、寝ようとしていたお兄ちゃんのお布団に潜り込んでしまいました。

118:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:18:05 H/8YPaTB
お兄ちゃんはやれやれって顔をしましたが、やがて「しょうがないな」と認めてくれました。
お兄ちゃんのお古を着て、お兄ちゃんのお布団に包まれて、お兄ちゃんと寝るんです。
きっと私は、世界一幸せな女の子なんだと思います。

――――――――――――――――――

雨はすでに止んでいた。
陽光は明るく、碧空には雲ひとつない。庭の草花が湿っていないところを見ると、夜のうちに
晴れたのだろう。
6時半。僕の起床する時間だ。ある程度の身支度を整えてキッチンへ向かう。途中からトントンと
小気味良い音がした。
「おはよう、理理」
「おはよう、お兄ちゃん。もう少しで出来るから、待ってってね」
制服姿にエプロンをした妹が振り返る。朝食を作っているところらしい。
「今日は味噌汁か。良い匂いだな」
「ここのところ、お吸物が続いたから、変えてみようかなって」
はにかむように笑う。妹は笑顔も穏やかなものが多い。
身体を戻してみつばを切る。どうやら味噌汁は豆腐となめこの模様。
着席して暫く待つと、あいも変わらず気合の入った和食が並ぶ。
「お兄ちゃん、ちょっと待ってね」
御椀に盛り付けた味噌汁を僕の前に置いた理理は、5センチ程度の小瓶を取り出す。
「いつものやつか」
「うん。隠し味」
微笑して、瓶の中の液体を混ぜ込んでゆく。
理理はこうして、僕の食べるものに『何か』を混ぜるときがある。自分のご飯には決して混ぜず、
僕にだけ“それ”を食べさせる。瓶は何種類かあるようだが、中身はいずれも不明である。
いつもは素直で僕に隠し事をしない妹も、小瓶の正体については教えてくれない。唯、小瓶の
混ぜられた品を食べると、理理はとても嬉しそうにする。
二人で『いただきます』をして、食べ始める。身内びいきかもしれないが、本当に美味い。
「今日のお勧めは、玉子焼きだよ」
「ふうん、どれどれ」
ほうれん草の玉子焼きを口に放り込む。
「うん。美味しいな、少ししょっぱいけど」
「え、しょっぱかった?ごめんねお兄ちゃん、ちょっと入れすぎちゃったみたいだね」
「ん?ああ、塩か」
僕が問うと、理理は答えずに笑った。妙に嬉しそうだ。
食事を終える。後片付けをしながら「今日もいっぱい『食べてくれた』ね」と理理は満足そうに云う。
その後、僕の髪にブラシをかけ、ネクタイを結びなおす。よくもまあ自分以外の人間の準備など嬉々
として出来るものだ。嬉しいが複雑だ。
「理理はさ」
「うん。なあに、お兄ちゃん」
兄貴の身なりを整えながら笑顔で僕を覗き込む。
「いや、何でもない」
兄貴離れしたほうが良い、そう云おうとして口を噤んだ。
(云ったら多分、泣くからなぁ)
時を経れば、自然と離れて行くだろうか?高校一年になっても今だベッタリな妹の姿を見て、
少し不安に思う。
「ふふっ。ヘンなお兄ちゃん」
ニコニコと笑う。理理は本当に楽しそうだ。
(こういうこともしなくて良いと云ったら、やっぱり泣くだろうな)
「はい、おしまい。うん、お兄ちゃん今日も素敵だよ?」
僕を整え終わった理理は満足そうに兄を見る。こころなしか顔が赤い。
「そうか。ありがとう。お前は今日も可愛いぞ」
頬を撫でてやる。理理は耳まで赤くして俯いた。兄貴相手だというのに、純な奴だ。
連れ立って家を出る。理理は度々僕を見上げていた。いつもと少し様子が違う。普段の妹は
ちらちらと見るのではなく、ずっと見上げているのだから。
「理理」
「なあに、お兄ちゃん?」

119:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:19:17 H/8YPaTB
「なにか俺に云いたいことがあるのか?」
「わ、わかる、の?」
「何年兄貴やってると思ってる?」
「嬉しい、な。やっぱりお兄ちゃんは私のことを見てくれてる・・・」
心底より嬉しそうな顔をする。うっとりと表現したほうが正しいだろうか。
「それで」と聞くと、何度か目を伏せ、躊躇いがちに云う。
「あ、あの、ね」
「うん」
「その、今度のお休みの日に・・・・おにぃちゃん・・・と・・・・デ、デー・・・・お、お出かけ、
したいなって・・・」
「外出ねぇ・・・」
そうきたか。インドアな妹にしては珍しいおねだりだ。
(もしかして、昨日聖理と出かけたからか?)
小柄な血縁を見おろす。期待半分恐怖半分で僕を窺っている。
「まあ、たまにはそれも良いか」
「ほ、本当・・・・!?」
「ああ。こんなことで嘘は吐かないよ」
妹の頭に掌を乗せる。理理は何度も「ありがとう、ありがとう」と云っていた。
そんなに嬉しいものだろうか?僕はまた少し複雑になる。
兄離れさせる―そう考えると断ったほうが良かったろうか?
(いや)
邪険に扱うことが兄離れさせることとイコールではない。
僕は首を振った。

放課後になる。
いつもはなるたけ理理と一緒にかえるのだが、時間割が異なるときはその限りではない。
妹は7,80分待ってでも一緒に帰りたがるが、僕がそれを許さなかった。
買い物やら掃除やら、その時間で出来ることは多い。なによりいつも僕と帰ってばかりでは、
妹の環境にも広がりがなくなるだろう。
今日は僕が遅くなる。だから妹はすでに帰宅しているはずだ。
HRが終わり、帰り支度をしていると、先に教室を出たクラスメイトが駆け込んできた。
「お、おい、月ヶ瀬!」
「ん?」
息を切らす級友。彼は僕の肩を掴んだ。
「お、お前、か、彼女いたのか!!!」
「は?」
首を傾げる。何を云い出すのだろうこの男は。僕にはそんなものは居ない。
こいつが大きな声で問いただしたものだから、まだ残っていたクラスメイトたちがざわめき始める。
「なんだよ、やっぱ彼女居たのか」
「えーショックぅ~、月ヶ瀬くん彼女もちかー」
「何だ何だ、“撃墜王”は撃墜されてたのかYO」
口々に勝手なことを云いやがる。僕は駆け込んできた級友をじろりと睨んだ。
「いきなり駆け込んできて、なんだそれは?あと手を離せ」
「いや、だって、今外に、超可愛い娘がいて、お前を待ってるって」
「よくわからないが、俺は今日待ち合わせなんかしてないぞ?あと手を離せ」
やりとりを聞いてるギャラリーたちがまたざわざわ。
「なんだよ~、しらばっくれてんのかー?」
「いや、彼女じゃなくてコクりに来たのかもよ?」
「つまりまた撃墜されるのか」
うるさいなあ。僕は溜息を吐く。
「外に居るってことは、この学校の娘じゃないってことか?」
めんどくさそうに聞いてみる。彼は頷いた。
「ああ、違うね!それがなんと聞いて驚け!その娘の着てる制服は、あの光陰館(こういんかん)
のものだ!!」
おお~!と、教室が唸る。
光陰館と云えば、この辺りでも有名な名門私立である。従妹の聖理も通っているところで、
清楚で可憐な制服が可愛いともっぱらの噂だ。近隣の高校の間では光陰館はステータスであり
ブランドでもあった。
(もしかして)
僕は鞄を掴んだ。

120:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:20:41 H/8YPaTB
「なあ、その娘、もしかしてちっちゃいか?」
「おお、ちっちゃいぞ。こうぎゅ~って、抱きしめたくなるくらいに。でもおっきいぞ。
いや、なにが大きいなんて、そんなこと云わせんなよ」
勝手に照れている。
「間違いないな」
僕は呟く。
「なあ、あの娘お前の何なんだ?マジで可愛いんだが。理理ちゃんとタメ張れるくらいの容姿だぞ?」
その言葉にもう一度教室がおお~!と唸る。
「おいおいマジかよ、理理ちゃんクラスの娘なんて、テレビの中でも見たことないぞ」
「みてえな、見に行くか。よし、行って来る」
教室の中がうるさい。僕は級友を押しのけて校門へ向かった。
「メールは別にきてなかったんだがな・・・」

校門には人だかりが出来ていた。可愛いとか、綺麗だ、とか大きいとか小さいとか、色々な呟きが
耳に入る。光陰館、光陰館、と囀る人並みを抜けて校門へ。
そこには大きなツリ目の、とんでもなく可愛い少女が佇んでいた。
「聖理」
「にいさん」
呼びかけるのと、駆け寄ってくるのはほぼ同時だった。名門私立の制服を着たちいさな身体が
僕の腕の中に納まる。
「逢いたかったよぉ、にぃさぁん」
僕の体をぎゅうぎゅうと抱きしめる。こんなところではまずいだろうに。
周りがざわめく。
「うわー、月ヶ瀬のかよー」
「にいさんとか云ってたぞ?」
「光陰館だ、お嬢様だ」
「バカップル死ね。氏ねじゃなくて死ね」
雑音がうるさい。
「聖理、ちょっと移動しよう、ここは良くない」
慌てて云う。従妹はうんと笑って腕を絡める。周囲の視線がまた痛い。
僕は聖理を引っ張るようにしてその場を離れた。
多分そのときの僕は、酷く情けない顔をしていたことだろう。

駅前の大通りから少し離れた小さな通りにその喫茶店はある。
『Silurian Period』と云うのが正式な屋号だが、シルル紀と呼ばれることのほうが多い。
店内は一面硝子張り―いや、水槽張りと云うべきか。ともかく、来客者を囲むように
魚が泳いでいる。熱帯魚や観賞魚ではなく『甲冑魚』が。
デヴォン紀末に滅んだはずの古代魚が壁代わりの水槽の中で泳ぐ。
淡水性甲冑魚も海水性甲冑魚もいっしょくただ。肉食性とそうでないものも混泳している。
ペーハーの管理や捕食・共食いはどう防いでいるのだろう?
気にするときりがないが、その点に目をつぶればとても感じの良い店で、知る人ぞ知る隠れた名店
となっている。ただし、値段はちょっと高い。
その店で、聖理は紅茶を、僕は焙じ茶を飲んでいる。四人がけの席だが、聖理は向かいに座らず
真横に陣取り僕にすりついている。
「で、今日はどうしたんだ?」
お茶を啜りながら尋ねる。聖理もそうそう僕に逢いにはこれないはずだが。
「うん。今日ね」
身体を密着させる。
「一日中、ぽーっとしてたの」
「ぼーっと?授業中もか?」
「うん。頭に入らなかった」
「おいおい、大丈夫なのかそんなんで。お前の所、学力の低下に厳しいだろう?」
「それは大丈夫。一日分くらいはどうってことないから」
そういえばこいつは成績優秀だったな。
「でね、昨日からずうっと、にいさんのことばかり考えてたの」
「俺?」
「うん。にいさん。聖理の、にいさんのこと」
どこか潤んだ瞳で僕を見上げる。頬が蒸気している。

121:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:22:27 H/8YPaTB
「にいさんのことばかり考えて、全然眠れなかった。学校でもそう。ずっとずっと、にいさんのこと
想ってたの。それで、気づいたらあそこに立ってた」
「なんでそこまで・・・」
「なんで?にいさんのせいだよ?」
潤んだ瞳のまま、僕の体を掴む。顔と顔が近い。
「にいさんが聖理に『あんなこと』するから、聖理、にいさんのことしか考えられなくなっちゃった
んだよ・・・」
うっとりとした顔で、自らの頬を撫でる。そこは昨日、僕がキスをした場所だった。
「聖理ね、わかったの。やっぱりにいさんは聖理を愛してくれているって。昨日だって、
帰りたくないのに帰って行ったんだって。だって、にいさん抱きしめてくれたもん。キス、
してくれたもん」
聖理の云うことに間違いはない。一人にして帰るのは気が引けたし、聖理のことは大事だ。
抱き寄せて頬にキスしたのも事実。
―なのに。
なのになんでだろう。何か彼女の表現には違和感がある。いや、僕との間に齟齬がる。そんな感じ
がする。
「にいさん」
身体を押し付ける。従妹の胸が形を変えた。
「おい、くっつきすぎだ」
すりついてくるのはいつものことだが、それすらも別種のもののような違和感がある。
「いいでしょう?だって、聖理とにいさんは好きあっているんだもの」
「それはそうだけど」
「聖理のにいさん・・・聖理だけのにいさん・・・」
周りに人が居ないからか、それとも僕しか見えていないからか。聖理は無邪気さの感じられない
甘え方をしてくる。
その時ケータイが鳴った。メールを着信したらしい。
『良い蛸が安く買えました。今日はお兄ちゃんの好きな酢の物を作ります』
妹からだ。
「コトリ?」
「ん?ああ」
聖理がケータイを覗き込んだ。
「ふうん。こんなことまで態々にいさんにメールしてくるんだ」
無機質に云う。
やっぱり今日の従妹は雰囲気が違う。
「にいさん、今日はうちに来てくれないんでしょう?」
「ん。まあ流石に、二日連続は無理だよ」
泣くかな?そう思って従妹を見る。聖理は不適に笑っていた。
「そう。じゃあ我慢してあげる。そのかわり・・・・わかっているでしょう?」
「え?」
ギュッと僕を抱きしめて顔を近づける。
「昨日みたいに、聖理を我慢させて?」
甘やかなメゾソプラノが耳朶を這う。
昨日のように。それはキスのことだろうか。
「あれはそう何度も何度もやる類のものじゃないだろう?」
「だめだよ」
聖理は首を振る。
「あんなに甘美な餌を聖理に食べさせたのは、にいさんなんだよ?そのせいで聖理はもう、
あれじゃなきゃ我慢できなくなったの。にいさんからやったことなんだから、責任をとって
あの餌を与え続けなければいけないの」
「でも」
「はやく」
有無を云わせぬ迫力だった。僕は仕方なく聖理の柔らかい頬に口付けする。
「ん・・・・。ほっぺ・・・」
満足そうに笑う。
「にいさんも聖理と離れるのは寂しいでしょう?だから」
頬にキスされる。いや、舐められたのだろうか。
「愛してるよ・・・にいさん」
耳元で囁く。聖理は何かが変わってしまったのだろうか。
僕は口を開くことが出来なかった。

122:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:23:34 H/8YPaTB
日曜日。
僕は約束通り理理と遊びに出かけた。
朝食を済ませ、午前中から家を出る。
妹は自分から誘ったのに希望する場所は特になかったようだ。その結果、僕があちこちに
連れ回すこととなった。駅前の店を覘き、買い物をする。昼食を摂って、午後は海の見える
大きな公園を散歩した。
理理は終始笑顔で僕についてきた。とにもかくにも僕と出掛けられればそれで良かったようだ。
「こんなんで楽しいのか?」
「うん。凄く幸せ」
満面の笑み。真っ直ぐすぎて直視できない。
「・・・そうか」
海に面した遊歩道を歩き出す。
「お、お兄ちゃん」
妹に呼び止められる。
「ん?」
「その、手を、繋いでも・・・良い?」
顔を真っ赤にし、控えめに僕を見る。この娘は基本的に傍にあっても触れてくることがない。
よほど恥ずかしいのだろうか。俯いたまま動かない。
僕は無言で手を取った。
「あ・・・」
妹は驚いたように身体を震わせ。消え入るほど小さな声で「ありがとう」と手を握り返す。
ちいさくすべすべとした理理の手から伝わる暖かさは、幸せと呼んでも良いものだろうか。
穏やかに手を繋いだまま、道を歩いた。
「たまにはこういうのも良いかもな」
「本当?じゃあ、また一緒にお出かけしてくれる?」
「ん・・・。たまに、ならな」
妹が繋いだ手を強く握り締めた。
暫く無言で道を行く。すると、遊歩道の傍の芝生に露店がみえた。食べ物の屋台ではなく
アクセサリーを販売しているらしい。
「お兄ちゃん」
理理が僕を見上げる。
「見たいのか?」
「うん」
妹は頷いた。理理は基本的にアクセサリーを身につけることはない。唯、小物の類は好きなようで
部屋にはそういったものが飾り付けられている。そういえばブローチやコサージュも買うことだけは
好きだった。
店にいるのは外国人ではなく日本人だった。いつも思うのだがこういうお店は採算採れるんだろうか?
「いらっしゃい」
愛想の良い店員に会釈して、品を見る。値段の割には質が良さそうだ。
理理は商品をじっと見つめている。何か気に入ったのがあるのだろうか?
「お兄ちゃん」
「どうした?欲しいものでもあったか」
尋ねると、耳まで真っ赤にして僕を引っ張って行く。
「あのね、お兄ちゃん。・・・・お願いがあるの」
「買って欲しいものでもあったか?」
コクリと頷く。
「えと、ね。買って欲しいものもあるんだけど、それだけじゃないの」
そう云って指をもじもじ。
「私が・・・お兄ちゃんにも買ってあげたいな、って・・・」
不思議な提案だ。交換ということなのだろうか?

123:籠の中 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 02:24:59 H/8YPaTB
それは構わないけど」
「本当?」
赤い顔で見上げる。
「ああ、たいした出費じゃなさそうだしな」
「ありがとう」
そう云って露店のほうへ駆けて行く。店員と何か話し込んでいるようだ。
妹が手招きをする。
近づいていくと店員は何かを包んでいた。
「ほいよ、にいちゃん。彼女と仲良くな」
紙の包みを渡される。中身はなんだろうか。わからないが、とりあえず僕は理理の分を。理理は
僕の分の代金を払った。
「いこう、お兄ちゃん」
彼女といわれたのが恥ずかしかったのか、理理は僕を引っ張ってその場を離れる。
周囲に人の居ない遊歩道まで来て、僕は妹に聞いた。
「なあ理理、中身なんだ?」
「・・・・アクセサリー」
「いや、それはそうだろう。俺は種類を聞いたんだけど」
「うん・・・」
妹は俯く。
「えと」
僕に向く。
「このアクセサリー、ずっと身につけていて欲しいの?だめ?」
「ずっと?」
「うん。寝るときも、お風呂に入るときも、ずっと・・・・・」
真剣な目だ。よほどの願いなのだろう。
「・・・・わかった」
「ほ、本当!?良かった・・・」
理理は涙まで浮かべて喜んだ。
「そんなに嬉しいものなのか?」
包みを開ける。
そこにはシンプルなデザインの―ペアの指輪が光っていた。

124:名無しさん@ピンキー
07/04/15 02:32:33 6FoBAPJV
支援、かな?

125:名無しさん@ピンキー
07/04/15 02:55:09 vml6zaPO
ごめん、間違ってたらほんまに失礼なんだけど
どっかで読んだことある気がする。

126:名無しさん@ピンキー
07/04/15 03:09:38 z/t8kQya
いいねぇいいねぇ、素晴らしいキモウトだ

127:名無しさん@ピンキー
07/04/15 03:39:36 F5g0dnCn
なんていうかこれは名作だろ…

キモ従姉妹萌え

128:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/04/15 04:04:49 H/8YPaTB
連投規制食らってました。
投下終了です。
続きはまたいずれ

129:名無しさん@ピンキー
07/04/15 08:01:56 C1tGAywr
GJ!!聖理がいい感じにパワーアップしてきてるwww
そしてこのおもしろさと量はすばらしすぎるw
次も期待してます

130:名無しさん@ピンキー
07/04/15 11:54:32 e6GliYLF
可愛い可愛い本当可愛い。
こんな妹と従姉が欲しいよ。

131:名無しさん@ピンキー
07/04/15 13:18:37 9T1PCtst
強烈ですね・・・だがそれがいい

132:名無しさん@ピンキー
07/04/15 16:24:57 TQ24KHHf
ウチの姉は、酔っ払うと挨拶代わりにキスしてくる…。
旦那がいるし、子持ちなのにねぇ…。俺がガキの頃からだったけど。
今でも休みは俺の家(実家)に遊びに来るし、買い物付き合えって言うことも多い。

100%実話なんだけど、こんな姉はキモ姉かなぁ…。

133:名無しさん@ピンキー
07/04/15 18:01:12 cVONe1Wn
>>132 もう一歩だ!そしてその一歩を歩かせるのは君だ!

134:名無しさん@ピンキー
07/04/15 18:42:41 TydtcF6J
アンファン・テリブルって漫画の妹が病んでて好き

135:名無しさん@ピンキー
07/04/15 18:48:30 EvUlLOOy
>>128
GJ!!!
しかし、なんだ。
この主人公、鈍感だなwww
エロゲの主人公みたいだw

>>132
今度乳揉んでみたらどうよ?

136:名無しさん@ピンキー
07/04/15 19:27:06 CxiA6bKu
>>132
その姉の子の父親が気になるぜw

137:名無しさん@ピンキー
07/04/15 20:35:27 TQ24KHHf
こんなにレスつくとは思わなかった…。
>>133
姉が義理ならやってたかもね…。近親でヤる事ヤっちゃまずいという倫理観が俺を縛る。
>>135
ふと思い出したが、俺が酔っ払ってた時に揉んだ記憶がある。姉の反応は覚えてない…。
>>136
笑えねぇ…。俺は目茶苦茶酒に弱いからな…。
お姉ちゃんと飲んでお姉ちゃんが先に潰れた事は無い。もちろん潰れた俺の記憶はない。

記憶のアーカイブを掘れば掘るほど、際どい事をやってたんだな。ウチの姉弟。
…なんだか頭が痛くなってきた。

138:名無しさん@ピンキー
07/04/15 21:41:39 Sh4gbv5J
三次の話なんてどうでもいいお( ^ω^;)

139:名無しさん@ピンキー
07/04/15 22:00:35 tPlo66FB
まあエロパロスレでする話題じゃないな
モデルにしてSS書くとか言ってくれる神が現れない限り

140:名無しさん@ピンキー
07/04/15 22:03:39 TQ24KHHf
エロパロやらFFDQの某スレでコテやってるし、暇なら書いてみるかな。
ただ、俺の場合はナマモノなので書けるかどうかは不安。期待はしないでね

141:名無しさん@ピンキー
07/04/15 22:21:02 DaPZVUYL
>>139
馬鹿、これはレス形式で書かれたキモ姉SSなんだよ!

142:名無しさん@ピンキー
07/04/15 22:29:03 tPlo66FB
>>141
な、なんだってー>ΩΩΩ

143:名無しさん@ピンキー
07/04/16 03:47:27 6SOwPmmc
用語の確認までに。キモ姉/妹ってのは男兄弟を愛してるか欲情してれば条件を満たせるのかな?

それとも近親という以外にさらに病んでるとか嫉妬深いとかいった要素が必要?

144:名無しさん@ピンキー
07/04/16 07:15:44 crbHTVr+
基本的に上の行で条件は満たされてると思う
そこからの発展・派生として嫉妬とかヤンデレとかが付加してくるんじゃないかと

145:名無しさん@ピンキー
07/04/16 08:04:03 rD21LUdX
想いの深さ故の行為の暴走、行動の計算化とかかな
わざと兄の入浴時間に合わせて脱衣場で着替えする妹とか、
愛妻弁当ばりのハートマークつき弁当を幾度注意されても作り続ける姉とか

嫉妬、修羅場の要素はヤ匙加減が難しいな修羅場にヤンデレと専用スレがあるし

146:名無しさん@ピンキー
07/04/16 09:48:28 lvzf2e0i
ただ好き、ってだけなら普通の兄妹恋愛になるが、
他者の存在に対して異常に排他的になるとそれっぽく見える

ストーカー女体験談とか読むと参考になるかも(゚∀゚)

147:名無しさん@ピンキー
07/04/17 22:30:21 0keHLbGN
>>146
>ストーカー女体験談とか読むと参考になるかも(゚∀゚)
ぜひ、その本を教えてくれ

148:名無しさん@ピンキー
07/04/17 22:30:39 58Td8Akb
部屋に隠しカメラを仕掛けるとか

149:名無しさん@ピンキー
07/04/18 00:02:36 i6yDBl+6
机に酢こんぶを仕掛けるとか

150:名無しさん@ピンキー
07/04/18 00:28:46 Ro9WsMwD
なんというキモ姉・・・
作戦を見ただけでワクワクしてしまった
>>149は間違いなく墜ちる

151:名無しさん@ピンキー
07/04/18 02:24:08 CMvep0WT
座布団の下にブーブークッションを仕掛けるとか

152:名無しさん@ピンキー
07/04/18 14:33:03 9NVfrNv9
妹しかいないオレは負け組み。

153:名無しさん@ピンキー
07/04/18 14:34:56 HG1qWwRw
>>152
姉も妹もいない俺のほうが負け組み

154:名無しさん@ピンキー
07/04/18 16:05:08 yG92ZErN
兄貴2人とマッチョ弟しかいない俺が天下一負け組み。

155:名無しさん@ピンキー
07/04/18 19:04:07 r6u+22IB
スレリンク(eroparo板)
おまいらこのスレもたまには思い出してください・・

156:名無しさん@ピンキー
07/04/19 18:22:58 m0DgDjUL
キモ姉による弟君監禁事件が多発するのは来週の金曜日あたりか

157:名無しさん@ピンキー
07/04/19 19:15:13 OP5C7pxP
>>156 監禁?やだなぁ、何言ってるの?
お姉ちゃんとの『愛の逃避行』でしょ。
そんなに怖がらないで。お姉ちゃん達を離れ離れにしようとする悪い奴らはお姉ちゃんが追い払うから!
金曜日まで待てない!!
今から行こうか!
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずぅ~~っと一緒にいようね!
ウフフ……………………

158:名無しさん@ピンキー
07/04/19 21:06:39 oGznKi5P
キモ姉  出 た ! ! ! 


159:名無しさん@ピンキー
07/04/19 21:37:52 vgFtEOCw
キモ姉とキモウトを愛しいと思った俺は勝ち組

160:名無しさん@ピンキー
07/04/19 21:51:33 WwSCQxxe
来週の金曜になにがあるかkwsk

161:名無しさん@ピンキー
07/04/20 01:41:30 Bg3zWUfi
>>160
ダ・カーポ2の音姉がキモ化する日じゃんw

162:名無しさん@ピンキー
07/04/20 15:30:28 z9/ZXT2P
>>145
>わざと兄の入浴時間に合わせて脱衣場で着替えする妹とか、
>愛妻弁当ばりのハートマークつき弁当を幾度注意されても作り続ける姉とか

着替えするのが姉だと良いと思っている

163:名無しさん@ピンキー
07/04/20 15:35:39 erZBC/pW
むしろ両h

164:名無しさん@ピンキー
07/04/20 15:45:32 z9/ZXT2P
俺は風呂に弱いたちで、すぐのぼせる。
出ようとすると、なぜか測ったようなタイミングで衣擦れの音がした。
弟 「ね、姉ちゃん!?」
キモ姉「あ♪ ただいま~♪ なんだ、アンタ風呂に入ってたの♪」
弟 「…、あのさ、そこで着替えられると俺、風呂から出れないんだけどさ…」
キモ姉「なによ、みみっちいわね。ここはアタシの家で、アタシがどこで着替えていようが私の自由じゃない」
弟 「う、…じゃあ待ってるから早く着替えて脱衣所から出てくれよ」
キモ姉「なによ、アンタも勝手に出てくればいいじゃない。どーせ、すぐのぼせて気分悪くなるくせに」
弟 「いや、そーいう問題じゃないと」
キモ姉「んふふ~ん♪ いーわねーお風呂♪ 決めた。今日は暑かったから汗だくだしアタシも入ろ♪」
弟 「うあっ! ドアを開けるなよっ!!」

俺の制止に聞く耳持たず、姉は浴室のドアを開ける。
下着姿だった。
しかも、なぜか扇情的な黒のレース。

弟 「ちょっ!! ブラ外すなー!!」
キモ姉「恥ずかしがっちゃってー。前はいっつも一緒に入ってたじゃない。何を今更」

165:名無しさん@ピンキー
07/04/20 15:46:33 z9/ZXT2P
…。ちょっとキモ姉のテンションが明るすぎたか…Orz

166:名無しさん@ピンキー
07/04/20 15:57:03 j/jIl3KM
あたまでかいなおまえ

167:名無しさん@ピンキー
07/04/21 01:05:19 /dNpdfZs
「巴ちゃん・・そこに座りなさい。大事なお話があるんです」
 キモ姉の分類に入るであろう僕の某姉は畳の部屋で正座をしながら、静かに殺気を帯びていた。
 尋常ではない空気に僕は大人しく姉の言う事に従う。
「巴ちゃん。これなにかな?」
 姉が勢い良くテーブルに叩き付けたのは・・僕の秘蔵のエロ本であった。
「くらいやがれですぅ」
「姉よ・・人のプライバシーの侵害はさすがに酷いと思うぞ」
「いいえ・・他の女の子の裸を見て興奮しているなんて・・。
 年頃の男の子とはいえ、これでは私の大切な巴ちゃんが将来は強姦魔になるかもしれないわ」
「30%なるわけないでしょ。何を考えているのよ姉」
「お姉ちゃん以外の女の子以外で欲情するのは不潔なのよ。
 だから、今からお姉ちゃんが脱いであげるから・・巴ちゃんはデジタルカメラを持ってきて。
 今日からその写真をおかずにして抜いてくださいね」

「うん。全力でお断りするよ」
「がびょん・・・・」
「普段から見慣れている家族とか妹か姉の姿に萌える人間は
 リアルだろうが二次元だろうが当事者の僕には興奮しません。リアルでも萌えませんから!!」
「お姉ちゃんの裸で萌えられないからって・・幼馴染や妹モノや巨乳特集のエロ本ばかり集めていたのはそんな理由だったの?」
「肯定だ」
「ひ、酷いよ。巴ちゃん・・お姉ちゃんはどれだけ貴方の事を想っているのか知っているの? 
 実の両親を事故を装って生命保険目的で殺したり、巴ちゃんに近付いてくる女の子の顔に
 一生に残る傷を付けたり、いろいろと大変だったんだから」
「何かとんでもない事を言っているみたいだけど華麗にスルーさせて頂きます」
 ブラコンである姉が裏で腹黒いことを熱心に工作していたことを知っていたが、実の両親まで殺すか? 普通? 
「女の子の興味あるけど、お姉ちゃんに興味がない=私と巴ちゃんのラブラブな生活の破綻の危機よ・・。
 これは何とかして対処しなければなりません」
「姉よ・・。自分の愛液をご飯の中に入れたり、俺の部屋に差し入れのコーヒを持ってゆくような真似だけは簡便な」
「ええっっ・・どうして知っているんですか?」

「姉の味がした」

「えへへへっっ・・。お姉ちゃんの愛液の味まで判別できるなんて凄いよ。
 これも日頃のお姉ちゃんが女の子の事をよく教えた成果だよね。もう、嬉しいよ」
 単純に愛液を入れるところを目撃して背筋に悪寒が走っていたと姉の蔓延なる笑顔を見ていると真実を告げるのは酷である。

「で、姉よ愛液のことは目を瞑っていいからエロ本を返して」
「あははっはは・・これは処分させてもらいますね。
 巴ちゃんにはお姉ちゃん以外の女の子の裸を見た罰を受けることになるわ」
「まさか、姉よ・・。あれをやるつもりか!!」
 僕が逃げる暇もなく、姉は軽々と小柄な体で僕を押し倒してきた。
「巴ちゃんの体が温かくて気持ちいいよ」
 僕の胸元に姉の頬が擦り付けるように甘えてきた。すでに舌足らずの口調で上目遣いで僕を見ている。
「あ、あ、あの一応、姉と弟のスキンシップには限度があると思うんだけど」
「限界の壁を軽く越える灼熱の禁断の恋は誰も止めることができないわ・・」
「た、た、タスケテェェ!!」
「巴ちゃん巴ちゃんお姉ちゃんだけの巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん
巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん」

こうして、僕は人として何か大切な物を奪われた・・。


ちょっと書いてみた。

168:名無しさん@ピンキー
07/04/21 01:20:35 6FfXMqfg
>>167
パクりす(ry
もはやなにも(ry

169:名無しさん@ピンキー
07/04/21 01:53:56 DO/N88ao
>>167
おおこれはなんていいキモ姉・・
つい、お持ち帰りしたくなってきたぜ

170:名無しさん@ピンキー
07/04/21 01:58:55 lRUBRk4P
リアルで萌えられないからエロ本には姉モノを持っていない巴ちゃんに吹いた
GJです

171:名無しさん@ピンキー
07/04/21 02:01:32 5tk+E/wl
キモ姉が弟を襲うのはこのスレのスタンダードですか?
マジでキモ姉やキモウトに癒されたいですね

172:名無しさん@ピンキー
07/04/21 02:05:38 YtkbjYWp
>>167
愛液をご飯の中に入れているって最高
キモ姉の王道だねGJ

173:名無しさん@ピンキー
07/04/21 15:26:18 zmOBPnCZ
>>171
襲う? 祝福だよ

174:名無しさん@ピンキー
07/04/21 16:35:04 8c48AqFh
Janne Da Arcのsisterを聞きながら読むキモ姉、キモウト小説は最高だね!!



歌詞を見てみるがいい。あれは監禁の歌だ。そしてタイトルが妹or姉・・・。

175:名無しさん@ピンキー
07/04/21 22:00:58 vxkHHMOy
>>174
おまえは俺か

176:名無しさん@ピンキー
07/04/22 00:02:24 dD5ac1zw
>>175
いいや俺だね

177:名無しさん@ピンキー
07/04/22 01:08:42 djztQaLz
>>176
おいおい、俺に決まってんだろ?

178:名無しさん@ピンキー
07/04/22 04:59:48 ++NUN0Jm
うえたベットで よごと~ あなたににたこをやどすまで~

179:名無しさん@ピンキー
07/04/22 07:19:38 oS57G435
最初、あなたに「たこ」をやどすまで、と読んでしまった。

似た子ね。似た子…

180:名無しさん@ピンキー
07/04/22 08:02:53 dD5ac1zw
煮タコ……!!

181:名無しさん@ピンキー
07/04/22 10:26:35 ++NUN0Jm
>>179
予想通りのレスをするなよ。

182:名無しさん@ピンキー
07/04/22 15:23:29 mcaxb01W
キモ姉が出てるオヌヌメのラノベある?

183:名無しさん@ピンキー
07/04/22 17:42:14 8zZUG0pq
>>182
ラノベじゃなくてマンガだけど、樹なつみの「八雲立つ」に出てくる主人公の姉さんがいいよ。
欠点はなかなか出番がないってコトだけど。

184:名無しさん@ピンキー
07/04/22 18:56:44 nwMxtcdv
>>178
それ何の歌詞だっけ?

185:名無しさん@ピンキー
07/04/22 20:16:40 ++NUN0Jm
>>184
>>174

186:名無しさん@ピンキー
07/04/22 22:21:20 fBcX0GR6
2週間で随分伸びたな

187:橋乃根本 ◆YzvJ/ioMNk
07/04/23 21:53:51 qW0zynBz
>>132です。
勢いだけで書いた、ウチのお姉ちゃんの事。
このSSの50%は実体験、30%は実体験を基にしたもの、20%は捏造です。
もしかすると、キモ姉じゃないかもしれません。それは…ちょっと不明です。
後、視点は完全に俺の方にあります。ニヤリとしてくだされば幸い。

188:お姉ちゃんと明人 ◆YzvJ/ioMNk
07/04/23 21:55:18 qW0zynBz
俺の名前は中山明人。皆からはアキヒトと呼ばれている。
妙なあだ名を付けられなかったのはむしろラッキーかもしれないが、友達の間だと有名な事がある。
シスコンと呼ばれているのだ。元凶は、言わずもがなの俺のお姉ちゃん。
佐久間泉美。旧姓中山。何故か俺にばっかり甘える。
顔が全く似ていないので、街中を歩くと普通のカップルに見られることが多々。
でも、そんな変わり者の姉だが、結構愛すべき人柄なのである。
その辺りのことを、今回は書く。

自分とお姉ちゃんとの年の差は五歳。
二人姉弟なので、昔から二人で遊んでいた。
今思えば、俺への世話の焼き方はあの頃から変わっていないような気がする。
自分がまだ小学生だった頃、お姉ちゃんを起こすのは自分の役目だった。
その頃の自分は夜九時に寝て朝五時半に起き、軽くストレッチの後ランニングをするのが日課で、忙しい両親に代わってお姉ちゃんを起こしていた。
「アキヒト…もう朝なのぉ?」
「お姉ちゃん、しっかりしなよ。朝練遅れるよ?」
「うー…今日はサボりでよろしくぅ…。」
「バカ言ってないで、さっさと起きなよ。朝ごはん冷めちゃうよ。」
「…わかったよぉ。眠いからエスコートしてぇ…。」
当時姉弟で使っていた部屋は二階にあり、リビングは一階だった。
本当に眠そうなので、毎朝リビングまでエスコートするのが日課。
何度か階段を踏み外しそうになったこともあり、面倒だとは思っていてもやらない日はなかった。

189:お姉ちゃんと明人 ◆YzvJ/ioMNk
07/04/23 21:56:29 qW0zynBz
そんなこんなで小学校の6年間を過ごし、自分はエスカレーター式の私立中学に入った。
ここには給食がなく、昼ごはんは弁当を持参するか学食しかなかった。
一年のときは何事もなかったが、二年からは辛かった。
お姉ちゃんが大学に入り、時間的な余裕が出来たため、自分の弁当と一緒に俺の弁当を作るようになった。
傍から見れば「何が辛いの?」って事なんだが、俺の場合は、お姉ちゃんが作った弁当を食べるのは嫌だった。
何せ、御飯には卵と肉のそぼろで大きなハートマークが描かれていたのだから…。
これを友達に見せるのは恥ずかしいからいつも隠して食っていたが、もちろんすぐにバレてしまい、
「姉貴とラブラブな男」としてシスコン認定を受けてしまったのである。

「…とまぁ、こんな事があったから、お願いだからあの弁当はやめてくれ、お姉ちゃん。」
「あっはっは!ずいぶんマセてるんだね、半分やっかみだろうし気にしないでよ、アキヒト。」
「お姉ちゃんが気にするな、と言っても俺は気にすんだよぉ…。」
「デカいナリして何言ってるのよ。何なら毎日学食にすればぁ?」
「…俺の財布が持たないって…。」
「作ってやってるだけでもありがたく思いなさい、アキヒト。」
「…俺をからかうのって、そんなに楽しい?」
「あんたほど飽きないオモチャはないよw」
…この調子である。姉貴が大学を卒業した後もこれは続き、高校卒業までの5年間、俺は昼飯の度に突っ込みを受けつつ過ごしたのであった…。

190:お姉ちゃんと明人 ◆YzvJ/ioMNk
07/04/23 21:57:10 qW0zynBz
ちょうどその頃は、お姉ちゃんが車を買った時期でもあった。
俺が住んでる辺りは公共交通機関が絶望的な状況で、車が欲しいといえば買い与えることも多々ある。
これまた何が困るのだ、と傍から見てる人は思うんだろう。
けど俺が通っている学校は国道をちょっと入ったところにあり、お姉ちゃんの学校へと向かう道から十分もかからないのだ。
つまり、必然的にお姉ちゃんが俺の送り迎えをする事になった。
当たり前っちゃ当たり前だが、俺の交通費はかなり安くなるため、親は何も言わなかった。
結果として、「姉貴と超ラブラブな男」という評価になり、シスコン疑惑にさらなる拍車がかかることになった…。

そんなお姉ちゃんにも転機が訪れる。結婚である。
俺が二十歳のときに、姉は付き合っていた恋人と結婚した。
俺はやっとお姉ちゃんの呪縛から解き放たれると思い、狂喜乱舞。
だが、人生はそんなに甘いもんではなかった。
義兄は24時間働いて、24時間休むというような仕事をしており、義兄が朝から晩までいない日は、必ずと言っていいほど俺の家に遊びにきていた。
お姉ちゃんが我が家に来ると、まず俺が相手をさせられる。
お姉ちゃんはオヤジに似て酒豪であり、朝から飲むなんてザラにあった。
それに対して、俺は酒が好きなくせに弱いというある意味特殊な体質。
お姉ちゃんは酒が入ると、笑い上戸のキス魔になる。

191:お姉ちゃんと明人 ◆YzvJ/ioMNk
07/04/23 21:58:07 qW0zynBz
「アキヒト。飲むぞぉ。」
「お姉ちゃん…お姉ちゃんには付き合えないって…二日酔いで何度死に掛けたか…。」
「生きてるから問題なし。よし、アキヒトのベッドの下に隠しておいた酒をもってこい。」
「…なんでそれを知ってるの?」
「何年アキヒトの姉ちゃんやってると思ってるの?」
「…持ってくるよ。」
心の中で泣く俺。
ベッドの下においてあるのは、愛してやまないターキー12年。
楽しみに少しずつ飲んでいたもので、まだ三分の二はゆうにある。
(さようなら俺のターキー…ありがとう俺のターキー…)
「…持ってきたよ。」
「うん。ありがと。グラスと氷は用意してあるから、飲もう。」
「あぁ…俺はズブロッカでいいや。ターキーはお姉ちゃんが飲んでくれ…。」
「いいの?高いお酒じゃないの?」
「それは勿論聞いてみただけだろ?前に飲んだときに、結局ボトル抱きしめて放さなかったくせに…。」
「流石に私の弟。よくわかっている。」

リアルで凹みつつ、ズブロッカをグラスに注ぐ。
俺は舐めるように飲んでいるのに、お姉ちゃんはハイペース。
ターキーをロックで、しかもあんなハイペースで飲む人はあんまりいない気がする。
見る間に減っていく、俺のターキー…。
そんなささやかな宴は過ぎていく…。
二時間もすると、二人とも出来上がっていた。
「アキヒトぉ…キスしよー。」
「わかったよ…ん…。」
いつもどおりのキス魔っぷり。そしてそれを嫌がらない俺。やっぱ酒って怖い。

192:お姉ちゃんと明人 ◆YzvJ/ioMNk
07/04/23 21:59:14 qW0zynBz
とはいえ、俺らのキスはディープなもんじゃない…はずなのだが、その日は違った。
「アキヒト~こっち向け~…。」
「何だぁ…またかぁ…。」
目を閉じていると、温かい感触と…歯に当たる何か。
「ん?」
次の瞬間、俺の口の中に酒精の匂いが…。
「ぷは…。何やったんだ?お姉ちゃん…。」
「あははー。アキヒトの酒飲んじゃったからね~。少しおすそ分け。」
「…酔っ払い方が半端じゃないよ、お姉ちゃん。もう寝よう?」
「わかったよ~。お酒も切れたことだし。」
…ターキー。もっと味わう人に飲んでもらいたかっただろうに…。
俺はひたすらズブロッカで、実際のところはほとんど飲んでなかったからよかったが、
がっつり飲んだお姉ちゃんは、足元フラフラ。
「アキヒト~。抱っこ~。」
「…わかったよ。」
25の姉を、お姫様抱っこで抱える男はそうはいないんじゃないか、などと思う。
いつものディオールの匂いがやけに鼻をくすぐった。

次の朝、俺はいつも行く犬の散歩に出かけた。
変な姉だけど、そんな姉が嫌いじゃない俺もきっと変わり者なんだろうなぁ。

そして、いつもどおり。
「お姉ちゃん、起きなよ。朝だよ。」
「アキヒト…。姉ちゃん二日酔い…。」
「じゃ、もう少し寝てなよ。」
いつの間にか降っていた雨が水溜りを作っていて、真夏の蒼穹を写していた。

193:橋乃根本 ◆YzvJ/ioMNk
07/04/23 22:01:07 qW0zynBz
…まぁ、リアルのキモ姉なんてこんなもんじゃないでしょうか。
ちなみに、登場人物達は本人とイニシャルだけ同じです。
あだ名も同じにしようかと思いましたが、精神的にキツかったのでやめました。
それでは。

194:名無しさん@ピンキー
07/04/23 22:37:54 4p8guvhh
なんか、キモ姉というより、めちゃくちゃ仲のいい姉弟って感じだな。
まぁ、本人からしてみればキモイのかもしれないがw

つーか羨ましいぜコンチクショウ!!!

195:名無しさん@ピンキー
07/04/23 22:39:18 24vkmj/m
アキヒトって・・・俺かよ

196:名無しさん@ピンキー
07/04/24 03:35:58 IXp0qqgP
いい姉じゃねえか。

しかしターキーはロックで飲むもんだろ。
バーボンのいいのを何かで割るなんて邪道だ。

197:名無しさん@ピンキー
07/04/24 04:33:05 v7hbiNZt
なんかニヤニヤしたwいいなこれ


俺の姉は逆に避けてくる……
高校生ぐらいだったと思うけど、狭いところで物を取ろうとして
背中にちょっと触っちまっただけで変態扱いされた
なんか今思うと過剰反応しすぎでキモイ……
結婚してからは男慣れしたのか普通になったけど

198:名無しさん@ピンキー
07/04/24 04:46:11 +J/A5NxF
>>197
それもキモイなぁw

199:名無しさん@ピンキー
07/04/24 06:26:50 XLKg3HRC
家の姉は元々不細工で、何が起きたかしらんが
6年前の大学受験が終わってからスガシカオみたいな髪型になって
結果似合わず不細工さが極まった。
多分受験中自殺願望してた位だから、
精神に問題があるんだと思う。ある意味「キモ姉」

200:名無しさん@ピンキー
07/04/24 08:48:24 JeOX++KE
>>197
どっちかっていうとキショ姉じゃねぇ?


・・・いや、スマン。人の姉ちゃんをキショいって言っちゃあかんな。

201:名無しさん@ピンキー
07/04/24 09:20:41 i8BvlL3j
違いの分かるブラザー、説明してくれ
キモ姉とキショ姉はどう違うんだ?

202:名無しさん@ピンキー
07/04/24 11:16:17 wnmZWn6Q
うちの姉ちゃん
風呂上りにセミロングの髪をオールバックにしてた

俺「小力に似てる・・・」
姉「ひどっ!ひどい!」
俺「切れた?」
姉「切れてないっすよ!」

でもマジ蹴りされた


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