ゼノギアスでエロパロat EROPARO
ゼノギアスでエロパロ - 暇つぶし2ch135:名無しさん@ピンキー
07/11/23 00:31:57 MkyH52aH
 マルーは驚き、大きな瞳を更に大きくする。
「自分ばっかり言いたいこと言いやがって…! 素敵な人だ?
 そんなやつが居るんなら俺の前に連れてきやがれ!!」
 声はしわがれ、震える。止めようとしても、涙は止まってくれない。
 子供が駄々をこねるように、肩と頤を震わせて俺は続けた。
「十分幸せにしてもらったよ、俺だって…!!
 もっと一緒に居られたのに…これからもっと幸せにしてやれたのに…!!
 もっと一緒に居てくれよ…頼むから…」
 きっと俺の顔は、涙でぐしゃぐしゃだったろう。
 でもそんなことはどうでもよかった。
 伝えたいことはただ一つだけ。
「お前が…すきなんだよ…
 愛してるんだ…」
 そう、ただそれだけ。
 伝えたいのは、ただ愛しているということ。
「だから…もう置いていかないでくれよ…」
 涙は止まらない。
『……若、ボクの願い事知ってる?』
 願い事……?
『やっと叶った。もう叶わないかと思ってたよ』
 ぼんやりと輝くマルーの頬が紅潮するのがわかった。
 その頬を一筋の涙が伝い、眉を下げ泣き笑いの表情になる。
『やっと若の口から聞けたね。ちゃんと“愛してる”って』
「あ…」
『嬉しいな…すごく嬉しいよ。言葉にできないくらい…』
 マルーはそのまま俯いて、小さな拳で涙を拭う。
『えへへ、なんだかさ…幸せな夢を見ながら…眠れそう…』
 なんだよ。こんな簡単なことだったのか。
 だったらもっと、いくらでも、飽きるまで言えばよかった。
 後悔はいつも、遅すぎる――
「…遅くなっちまって…ゴメンな、マルー」
『ううん…へへ、ボクたち謝ってばっかりだね』
 そうだな、俺ららしくもねぇ。
 マルーの輪郭が不意に揺らぐ。
 マルーを形作っていた光が、急速に頼りないものになっていく…。
 もう時間はない。


136:名無しさん@ピンキー
07/11/23 00:34:43 MkyH52aH
 合図もなしに、二人は同時に口を開いた。
「『ありがとう』」
『うん、ボク達らしい』
「だな」
 二カッとマルーは笑う。教母の微笑みではない、マルーの笑顔。
 笑顔が揺らぐ。
 いつの間にか、羽根は止んでいた。
 マルーの身体は、光になって溶けていく――
『若、愛してるよ。ボクの片翼が若で、本当によかった――』
 ありがとう。さようなら。
 そして、その言葉だけが霊廟に響いた。


137:名無しさん@ピンキー
07/11/23 00:35:33 MkyH52aH



~~夢の終わりに~~



ありがとう。さようなら。
 言葉の余韻に浸りながら、今起こった非現実的な出来事を思い出す。
 もしかしたら、夢だったのかもしれない。そんなことを思いながら、周りを見渡してみる。
 揺れる視界に入ってくるのは、幾つもの並べられた墓碑。静かな空間――。
 そして、目の前の墓碑に刻まれた

マルグレーテ・ファティマ
享年 16歳
 の文字。
「……夢だったのか」
 ――幸せな夢だった。
 遠く失われた者の影。忘れかけていた表情、声、マルーを構成していたすべてが、鮮明に焼きついていた。
 どれくらいそのまま墓碑を眺めていただろう。そこにはもう、マルーが存在していた実感は残っていなかった。
 俺はふと、自らの首筋を流れているはずの血が消えているのに気付いた。
「…どこからが夢だったんだ…」
 たとえ今のが夢だったとしても構わない。
 俺は命を拾ったんだ。俺一人のものじゃない、もう一つの翼に支えられた命を。
 俺は生きる。残された時間を、俺と、マルーのために。
 マルーと共に。
「こっちこそ、ありがとうな」
 俺の言葉に応えるように、ふわりと羽根が一枚降りてきた。
 羽根は俺の手に納まると、地上に届いた雪のように消えた。
 ギュっとその拳を握り締め、俺は霊廟を後にした。


138:名無しさん@ピンキー
07/11/23 00:36:29 MkyH52aH



~~旅路の果て~~


 アヴェに帰ると、そこには何も変わらずいつもの日常が流れていた。
 俺の帰りを待っていなかったシグは俺の帰還を心から喜んでくれたけれど。
 誰よりも俺のことを気にかけてくれる兄貴で、誰よりも頼りになる相棒のシグが、俺は好きだ。
 面倒かけっぱなしだったけど、最期までほんとによく世話してくれた爺が好きだ。
 共に戦い、今もなお世界中で頑張っているかつての仲間が好きだ。
 ここから見渡せる、活気に溢れるこの街の空気が、俺は好きだ。
 これからも、変わらないように。
 大切なものを、もう何も失わないように。
 そうして生きていこう。
 ……いつだっただろう? 遠い日にマルーと共に見上げた空を見上げ、俺は目を細めた。
 色は、深い蒼。気を抜けば吸い込まれそうな感覚さえ覚える。
 見上げた俺の視界に映ったのは―――
「マルー…」
 優しい顔で笑いかけてくれるマルー。
 今までいくら願っても映ったためしはなかったのに。
 …ああ、なんだ。こんな簡単なことだったのかよ。
 まったく、なんてバカなんだろうな…。
 一人で歩いてるなんて自惚れてたのはどこのどいつだ。
 でも、今回の後悔は、決して遅くはないはず。
「一緒に歩こうな、マルー」
 そう、俺の背中には翼がある。俺と、そしてマルーの翼が。
 笑いかけてくれるマルーに、微笑み返す。
 恥ずかしさは、まあ、少しだけ。
 なぁ、マルー。
 最後に一つ、頼みがあるんだけどさ…。
 いつかこの旅の終わりに、この空でお前と再会できたら。
『若、お疲れ様』
 と。
 あの笑顔で言ってくれ。




...fin


139:名無しさん@ピンキー
07/11/23 00:38:32 MkyH52aH
以上です。スレ汚し失礼しました。
感想・指摘などいただけたら幸いです。
次の作品の参考にさせていただきます。

140:名無しさん@ピンキー
07/11/23 01:10:33 wCzHEVKc
こんな時間にせつなくさせるなよ(´・ω・`)

141:名無しさん@ピンキー
07/11/23 01:18:49 BJ2/Yv3R
哀しくなった。今から枕を濡らして寝る。

GJ

142:名無しさん@ピンキー
07/11/23 01:51:53 jCEdrPyq
若マルが今でも大好きでよかった
鼻の奥がツーンとする
というか目から汗が

本当GJ

143:名無しさん@ピンキー
07/11/24 22:25:57 j/RCtZ3s
若マル好きなだけに、この終わり方はキツイぜ…
だがGJ!

144:名無しさん@ピンキー
07/11/29 16:14:20 CEqlsYp8
丁度今初めてプレイ中だったんだが何これ?
俺は嘆くべき?
つーかクリアしてないのにエロパロスレなんて来るんじゃなかった・・・orz

145:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:00:18 uUdaKMyW
>>144
どこまで進んでたんだ?

146:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:12:36 egFRoFri
嘆かなくていい。そのまま進めて終了後にまた来い。
楽しみ方は何通りもある。

147:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:32:16 cA9a4z6E
まあとりあえずスレ住人を信じて進めてみなよ。
悪いことは無いと思うよ?

148:名無しさん@ピンキー
07/12/03 07:00:40 ITGzDOQn
>>145-147
アヴェ奪還した。
パロディを素で信じかけた自分を笑いたい・・・
しかしスレ伸びてないなまったくと

149:名無しさん@ピンキー
07/12/03 14:25:09 TfIObVwU
本編がこんな鬱ENDだったらゼノギアストラウマになってたな…

150:名無しさん@ピンキー
07/12/06 21:22:20 /b/GqjSW
伏線多過ぎだろ。回収されてるから良いけど。まぁGJ

151:名無しさん@ピンキー
07/12/07 23:26:04 mX2rMq0/
砂漠の王、守れニサンの微笑み

152:名無しさん@ピンキー
07/12/07 23:46:25 lqKMLesb
GJGJ!
エロパロで泣くなんて初めてだ…
でもジグルドは若を怒鳴りつけて殴ってでも止めるんじゃないかなぁとおもた。で若は聞き分けのいいふりして~みたいな。
偉そうにスマソ。

153:名無しさん@ピンキー
07/12/08 07:35:56 UnD3xJCF
バルトの自殺を許すシグルトってのも泣けるけどな。
この状況で、バルトがいつ逃げ出してもシグルトは責めないと思う。
むしろここまで耐えたバルトを誉めたいんじゃない?
バルトも受け入れてくれると思ったから言ったんだろ。
じゃなかったら黙って行くだろうし。





とパロにマジレス。

154:名無しさん@ピンキー
07/12/08 09:34:13 9Ow688WA
色んなジグルド像があるね。
自分は一応自殺を諭すと思う。

155:名無しさん@ピンキー
07/12/11 22:05:52 NNDDRAQ2
この話の中では、1番精神的に強いのはシグルトだよな
シグかわいいよシグ


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