07/11/24 20:53:14 L/j1amjD
全くの若輩者ですが失礼します。
(シン←)カヲレイで、貞本エヴァです。
――
「…、なに、」
「やだなぁ、もう忘れちゃったのかい?」
触れた手首は容易く折れそうな程細く、温かい。
煽情させるには充分なその熱を確かめるように力を込めると、人形のような表情に色が付いた。
「アハ、ある程度の記憶が蓄積されていて、残るって言うのは、本当なんだね」
ま、勝手に赤木博士のデータを盗み見ただけだけど。
「……言ってる意味が、分からないわ」
戸惑いに揺れる瞳、一気に距離を詰めようとする事を悟ったのか、彼女は後退する。
構わず距離を詰めれば、ファーストの背後には冷たい壁。
「司令に抱かれた記憶はあっても、僕に抱かれた記憶は排除してるとでも言いたいわけ?」
「…私が、貴方に?」
「君、本当に鬱陶しいよ。碇くんが、いつまでも僕を見てくれないじゃないか」
手近の部屋を開けて細い体躯を放り込む。あまり使われていない書庫らしく、人影もない。
内側からロックをかけてみても、ファーストは何ら恐怖を浮かべていなかった。
「私を抱いてどうするの?」
「そうだねぇ。少なくとも僕は、君の大好きな司令と違って、慈しみを込めたりはしないよ。一度目と目的は同じ」
僕は尻餅をついたままのファーストに、覆いかぶさるように屈んだ。
身じろぎもせず、後退もしない。抵抗が無意味だと悟ってるんだろう。
「癇癪に、近いかな」