07/07/01 18:15:24 +iAihWiY
2mはゆうに越えているであろう身長。異様に太く大きい胴体。
それに対して不似合いな、肩から手首に…股関節から足首にと、胴体から遠ざかるにつれて極端に細くなっている長い腕と短めの足。
手首から先と、足首から下…つまり掌と踵はサイズ的には人間と同じくらいだ。
前後に長い頭部は、額から後頭部にあたるであろう部分は髪の毛が生えており、
顔はというと横に大きく裂けた醜悪な口があるのみで、まるでのっぺらぼうのようだった。
構造上は人間を思わせる部分が多少なりと見られるが、その異様な風貌は別の生物である事を嫌というほど実感させた。
突然襲ってきたその生物によって、仲間は殺され、
私を逃がそうと戦ってくれた大人の戦士も、今しがたこの部屋で化け物の一撃をまともに頭部に食らい…
私の足元で、首だけをこちらに向けながらうつ伏せに転がっている。
恐怖に震えながら、涙目で視線を向ける事しか出来ない私なんてお構いなしに
化け物は威嚇するかのような前傾姿勢でゆっくり歩を進め、私との距離を縮めてきている。
…もう、荒々しい吐息まではっきり聞こえる――
だけど土壇場に来て、私は心を持ち直した。
まだ死ねないと…死ねない理由があるからと。
これ以上距離を詰められたら、何をしても手遅れになってしまう。
不意に視界が広がり、さっきまで盾になってくれていた恩人の手に握られている銃が目に入った。
私は素早くそれを拾い上げ、化け物に向けて構える。
突然の敵意に驚いた様子で、化け物が唸り声を上げながら跳び付かんとばかりに姿勢を低くする!
「ぅわああああぁぁ!!」
―――ガォンッ!!!!―――
「 キ゛ィ゛ア゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ー゛ッ !! 」
「うくゥっ!」
銃を撃った反動で私は後ろの壁に叩きつけられるようにノックバックし、頭を打ったが、少しくらっとしただけで大したダメージではない。
弾は、化け物が動く前に化け物の巨大な腹部に命中し、動きを止めていた。
「・・・・・・・」
……やがて、ゆっくりと前のめりに傾き、ズシンッ!という大きな音を立てて倒れ…動かなくなった。
緊張が解け、ほうっ、とため息をつく。
化け物は倒れたきりピクリとも動かない。
……仇がとれた。そう思い、床に変わり果てた姿で倒れている…
いつも面倒を見てくれてた上に、最後の最後まで命を張って助けようとしてくれた恩人を見ると涙が溢れてきた。
(もし一人だったら逃げ切れたかもしれないのに…ごめんなさい…)