07/06/04 03:31:35 VqWyNASR
「ライアーゲーム一回戦ではね、父を騙した相手を騙して金を奪ったんだ。でもね」
父を・・・家族を奪い返すことまではできなかった。
「ナオちゃん、世の中にはね・・・
一度奪われてしまったら、二度と取り返せないことのほうが多いんだよ。
だから、俺はこれ以上何も奪わせないために、相手を騙して奪うって決めたんだ」
「・・・フクナガさん」
今にも泣きそうな、表情をしている。どうしてこの子は、すぐに人を信じるのだろうか。
他人に対して悲しむことができるのだろうか。
二回戦でも、敗者復活戦でも、自分は彼女から奪おうとした側の人間だというのに・・・。
「なーんて、まさか信じちゃった? 冗談だよ、じょ・う・だ・ん♪
ナオちゃん、キミってほんっと馬鹿だーねー♪ すぐに騙されるんだから」
このとき、ナオの顔を見ることはできなかった。
そうか、ようやくわかった。
ナオちゃんに苛立っていた原因は、自分に持っていないものを持っているからなんだ。
ナオちゃんと一緒にいると、懐かしい感覚に包まれる。
・・・彼女なら、信じられる。馬鹿だけど・・・馬鹿だから・・・裏表がないから、信じられる。
いつかまた、あの頃のように人を信じて、笑えるのかな。
できれば、彼女と一緒に・・・。
─終わり