【涼宮ハルヒ】谷川流 the 42章【学校を出よう!】at EROPARO
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 42章【学校を出よう!】 - 暇つぶし2ch167:芥子の実畑で追いかけて
07/02/27 22:33:15 12zJRJTk


 二十一世紀初頭のゴールデンウィーク明けを端として文芸部を三年間占拠し続けたSOS団
の活動内容が遂に謎のままだったことはいうまでもなく、涼宮ハルヒという半ば伝説と化した
問題児の手先という認識が定着したことにやれやれと肩をすくめる俺がいうのもなんだが、妙
にSFタッチの効いた記憶の何もかもが皆懐かしい。
 まさしく広大な宇宙の片隅のそのまた端くれでひっそりと過ごすはずだった俺の未来を動か
したのがそれこそコペルニクスが二、三回その場でひっくり返りそうな非常識の体現者である
とのことだが、運命とやらが何か決定的な間違いを犯したとしか思えないようなオプションが
群れを成して一介の男子高校生を襲ったことに関して、何かしら因縁まがいな妄想が俺の良心
とまともな平衡感覚を蝕んでいるのはやむをえないことだ。カントやベーコンらのものの考え
を否定するほど俺も聞き分けの悪い人間ではないつもりではあるが、他でもない自分の眼前で
重力加速度と質量保存の法則をそれこそ気持ちよく切り刻むような光景が繰り広げられてから
のことだ、火元の見えない原子力潜水艦のクルーさながら脳内のコードはレッドに次いでレッ
ドを執拗に繰り返し、且つ部室で飲む甘いお茶の味を忘れない程度に冷静さを保っていた当時
の俺はわりと賢明な奴だったと今でこそ思う。
 さて置き一見して奇妙なカルトムービーに見えなくもない高校生活に幕を閉じて以来、知り
合いの超能力者とはたまに顔を合わせるようになっていた。不本意もいいとこ、そもそも謎の
転校生の名を冠していたがためにあの日部室で鉢合わせたのが運の尽きだった気がしてならな
い以上に、かつての『機関』が解散して以降あいつが俺を招待したのは明らかな意図と若干の
微笑ましい事情によるものだった。
 ―正直に言おう。内心ぶったまげた。
 世にも怪しい知人からの手紙が届いたのは、某日昼休みに次の連休を寝るか喰うかと思案し
ながら弁当をつついている最中だった。今日も母親が愛情こめて電子レンジで六十秒温めた唐
揚げを中国製の屈強なプラスチック製の箸で口に運んでいたときに尻ポケットが振動したのを
契機にどっかの暴走連合がトレンドな環状線の名前を挙げて、何やら面白いものを見せたいと
の趣旨で、見た感じ悪質なチェーンメールに見えなくもないテキストを送ってきやがった。日
付と場所はどちらにしてもそう遠くはない。せいぜい夕飯のカレーの材料を買いに行かされる
要領でK3の相手だってしてやろう。




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