07/12/11 00:08:52 8/aK1xUh
アーカードに薄い有るか無しかの胸を撫でられる、その度に疼痛だったはずの痛みに快楽、が加味されてゆく。
「…っ、くっ…んっ…」
首筋や鎖骨の稜線、基本的な性感帯を舐られ、声を忍び漏らした。
ジンジンとした疼きが、段々と下に溜まり始める。
今では胸の先端が起立をはじめ、コリッと指を立てられ、
アーカードの手袋の布による摩擦が合わさる。
そして魔手の動きの、そのリズムまで変化させ始めた。荒々しい責撫のときには、踊るような早さで。
緩やかな淫撫のときには、あやすような鈍さで。
急激な変化。
(な、なんで…、なんでなのっ?)
ぞわぞわと快楽が広がっていく。
刺激が段々と増大していく。
どくどくと身体中の血が、奥まで駆け巡っている。
身体の芯をぐらぐらと揺すぶる。
波はインテグラの肉の奥で共鳴してゆく。
褐色を帯びた少女の身体には、ほんのりと赤みが増し、しっとりと汗がにじんできた。
いやがるようにむずがるように太腿を動かしたとたん、
インテグラにとっては異質の湿り気が、熱くなり始めた下腹部に異変を告げた。
ぬるり。
くちゅり。
粘着質な滴り。
とろりとした蜂蜜のような。
足を動かす度に、粘膜はぬるりとした動きでインテグラの処女の部位をじわじわと侵していく。
(な、に、これ…)
トロトロとした粘性はかろうじて下着に押さえ込まれてはいたが、今や滴りそうな程に濡れていた。
「身体がどうかしたか?」
含み笑い。
「あ……ハっ…ン、ん…っ」
アーカードの胸への陵辱をやめない指先とは、別の手のひらが徐々に下ってゆく。
それを自覚しながらもインテグラは止める手だてがない。
胸に、薄い肋骨の隙間を辿り、脇腹へ、腰へ、腰骨に。
ゆっくりと、ひたすらゆっくりと下に落としていく指先。
ぞくぞくした。
176:165
07/12/11 00:09:36 8/aK1xUh
「…んっ」
面白いように、嬲られに嬲られる。同時にまた、今では敏感になった、なってしまった乳首も弄られに弄られた。
指の腹でこすられ、つまんでひねられ、押しつぶされ、爪を立てられる。
「あっ…あっ、ヤっ…、あ…」
そうやって快感を灼く微熱は身体中を巡り、奥まで溜まっていく。
荒くなった吐息を噛み殺す。
トロトロとした流れは止まらない。
掴み取った胸の敏感な先端を指の先でぐりぐりと揉み込むアーカードは、いっそ容赦がなかった。
とめどなく流れてくる波に翻弄され、溢れてくる快楽。
インテグラの、その波を舐るように観察していたアーカードは、人指しの先を伸ばしたまま目的地へ向かう。
標的は、下着に隠れ濡れそぼり、摘まれた事も無い、肉芽。
指は、まるでスイッチを押すように、朱色の突起を押しつぶした。
「っ……っ…!!」
まるで炎が灯されたように、熱くなり、身体が疼きはじめる。
もっと、もっと、もっと。
意思の力とは真逆の身体の奥からの渇望。
動き始めた指先が、僅かに粘性の音を出しながら、ゆっくりとゆっくりと動き始める。
ぬるり。
くちゅり。
粘着性。
湿り気。
蠢き。
どくどくと鼓動が聞こえるようだ。
緩慢ともとれる動きで、焦燥が募っていく。
身体が熱い、何だか胸が締め付けられる。叫びだしたいような、暴れだしたいような、どうしようもない焦燥。
それは突然変貌を遂げた。
177:165
07/12/11 00:11:47 8/aK1xUh
「あっ」
肉芽を指の間で弄び、摘み、押しつぶす。
「…いやぁ…っ、だ、だめェ…ええええっ!!!」
どくんどくんとまるで それ 自体が意思を持ったように、鼓動していく。
先端へ、容赦のない蹂躙。
摘み、ぐりぐりと容赦のない刺激。
肉が融けていく。
規則的ですらあるそのリズムが、悦楽の階段を性急に昇っていく。
一瞬の刹那、インテグラは初めての快楽に恐怖を覚えた、が次の瞬間には頭からそんな思いなど消し飛んでいた。
「……ッ!……ッ!……」
女の芯が、脳髄まで駆け巡り、中枢が一気に燃えた。
びくんびくんとうねり、悶え蕩けた膣内は、急激な収縮を繰り返し、その更なる刺激で目の前が爆ぜた。
インテグラは、アーカードにより快楽を植え付けられた。
―否、絶頂を教え込まれた。
178:165
07/12/11 00:13:48 8/aK1xUh
すいません。ここまでです。
次回決着付くと思います。
「わんわーん」とか出せればいいなw
179:名無しさん@ピンキー
07/12/12 21:02:56 LPJX+4B5
>>165
乙!この先で寸止めなんて殺生だ~。続きを早く読みたい!
お嬢が調教されていく過程がたまらん。相手が幼女だから
エロを通り越して耽美な世界に昇華してしまったかのよう…。
文章が上手いから手に汗握って読みふけってしまうよ~!!
180:名無しさん@ピンキー
07/12/13 17:41:02 Mb1O75mT
>文章が上手い
駆け上ってく過程がほんとにね。
181:165
07/12/15 20:47:57 jPjNiINH
>>179 続き。
ビクビクと身体が震える。
奔流のように押し寄せてくる快楽。
下半身の火照りが止まらない。
焼け付くような焦燥感と肉体が蕩けていくような感覚。
絶頂に達しても、アーカードの指はなおも躍動を続けていた。
一度達しただけでは、まだ足りない、とでも言うかのような執拗な責め苦。
「やっ…や、やめっ…」
一度達してしまった身体は、更に敏感に、ほんの少しの刺激でも過敏に反応する。
指が奏でる律動が、また一層深まっていく。
膣内がチリチリと熱くなって、インテグラは声を出す事すら辛くなった。
だが、アーカードは止まらない。
指は更に肉芽に深さを増し、ぬかるみの中で擦り上げ、嬲り、
縦横無尽に、丹念に、2本の指を動かし続ける。
肉芽に、肉襞に、そして膣口へ。
処女への秘裂、奥への入り口付近で、淫猥な音が滴り鳴るくらいに、淫弄し続ける。
ちゅぷ、クチュ、にゅち、にゅちっ、にゅちぃ
身体が感電したように跳ねる。
(あ、んぁ…っ、きっ…きちゃっ…っ)
残酷なほど丹念に、拷問のような責めに、全身を痙攣させて、
「ふああっ、…ああああああっ!!!」
インテグラは瞬く間もなく2度目の絶頂を迎えさせられた。
182:165
07/12/15 20:49:18 jPjNiINH
快楽に次ぐ快楽で、身体は弛緩し、自他の見境さえつかなくなっていた。
ぱちん と音がした。
朦朧とした頭で音の方向へ、インテグラはゆっくりと覚醒しつつ、重い眼差しをアーカードへ向けた。
アーカードが指を鳴らしたようだ。
「さぁて、お次は」
(…な、っ!?)
なおもこの響宴を続けるつもりなのか、と愕然とする。
意識の中では、反応できたが身体が反応しない。
この少女の姿をした化物は、なんて凶悪に、そして嬉しそうに嗤うのだろう。
「わんわーん」
少女の口から飛び出した言葉は、インテグラを更に混乱に陥れた。
(い、犬…!?なにを言っているの…!!?)
アーカードの両手が上がり、ある一つの型を執り始める。
低く小さな呟きだが、地獄の底から聞こえてくるかの様なその声にインテグラの身体は僅かに震えた。
「拘束制御術式」
「第3号、第2号、第1号…開放」
深紅の瞳が輝度を増していく。
「状況H」
「『クロムウェル』発動による承認認識」
「目前、我が主の本質発動までの間、能力使用…限定解除開始」
ざわざわ、と闇が深くなり、空気が鳴動を始めた。
呆然となる。
と、同時に呪文のような詠唱に、インテグラの脳裏に疑問が沸き上がる。
この化物は何と言った?
何と言っていた…?
何度も何度も繰り返し言っていた、あの言葉は何だ?
その意味は何だ?
―――本質―――
『闘争の本質』
183:165
07/12/15 20:58:33 rfpaCSMV
ギチギチと歯を噛み合う様な音。
アーカードの身体から、両腕から這い出てくる、何か。
軋み、混沌から這い出てくる、何か。
揺らぎ、不確定ながらも質量を確かに持った、何か。
黒く、一片の光を通さないかのような漆黒の躯を持ち、
歯軋りのような嫌な音を奏でながら、アーカードの両腕から生えてきた、何か。
それは―――黒い仔犬の姿をしていた。
犬、それも仔犬。
ただの仔犬なら可愛いものだ、しかしこれは違う。
ギラギラと輝く眼を躯の各所に宿し、荒い息を、唾液を垂れ流す犬は
化物の眷属、魔犬に他ならない。
黒い暗い仔犬を見つめながら、インテグラは半ばぼんやりと考えていた。
動きもせず、瞬きもせず、虚ろな瞳。
これから起こりうる最悪の事象と結末。
しかし不思議と先程までの恐怖が、霧のように晴れて行くような気がしていた。
徐々に覚醒しはじめる意識。
陶然となっていた意識から無理矢理に拾い上げる理性と言う名の錨。
脳裏に次々とアーカードの言っていた言葉がフラッシュバックのように思い出される。
その様子をひたりと見つめていたアーカードは、既に次なる布石を打っていた。
ベロリと唇を舐め上げる。
「少々腹が減った」
そう言うが否か、魔犬はインテグラを目掛け疾走した。
ギチギチと歯を鳴らしながら、
膨らみかけた双乳へ向けて。
184:165
07/12/15 20:59:54 rfpaCSMV
その反応に付いていくなど到底思えないような迅速な攻撃。
インテグラは声も出せず、一瞬喰らいつかれた、かと思った。
否。
ベロリと舐められ上げた。
少女の薄い腰から、柔らかい脇腹を抜け、上気して浅く呼吸を吐き出す細い肋骨を、
なだらかな半円を描く双乳の下へ向けて。
軽く圧しをかけ、その柔らかさと弾力を確かめつつ、魔犬はネットリと愛撫した。
「…んんんっ!!」
ペチョ、プチャ、ペチョ
獣が吐き出す荒い息と唾液が交わり合い、少女の身体を浸していく。
再び繰り返される胸への二重攻撃。
燃やされ尽くされたはずの、欲望の燠火がじわじわと熱を放ち始める。
ぬらりと唾液が滴り落ち、舌の先端で、平らなざらつく舌で、ぬろぬろと
円を描くように胸を侵していく二匹の犬。
ジリジリと胸の頂へ向け這いずり、にじり寄ってくる。
(…ああ)
インテグラの鼓動は早さを増し、内側にべったりと侵入し、
吐きだす息さえ温度と湿度を増してくかのよう。
理性との狭間に、快楽の油が灯されていく。
そのたびに、喜悦の揺らぎが、理性と忍耐を綻ばせていく。
185:165
07/12/15 21:00:29 rfpaCSMV
それとは別の律動が、へそを抜けゆるゆると下降していく感触。
するりとインテグラの膝を割り、両腿の間に身体を滑り込ませたのはアーカードだった。
二匹の魔犬にも負けず劣らず、丹念に執拗に下半身へ向け舌を這わす、ゆっくりと。
だが着実に、未だ滴る事を止めない、果実へ、快楽の秘裂へ。
大きく足を開かされたまま、インテグラの秘所へ舌の根をゆるゆると降ろしていく。
アーカードは、ほんの僅か唇の端を吊り上げた。
ヌルリ
それと共に注がれてくる、内側にしみこんでくるような淫痺。
熱い刺激が大事な部分を目指して、ゆっくりと這いずってくる。
目指すはそれぞれの頂か。
ヌチャ
くるくると円を描くように、インテグラの敏感な部分を浸食していく。
(……んんんんっ!!)
犬は双乳を同時に舐め尽くす、脇下を抜け、鎖骨、鎖骨のくぼみ、
薄い胸の谷間を抜け、焦らすようにゆっくりと一定のじんわりとした速度で舌を這いずりまわしている。
だが、胸の頂、敏感に尖り、高ぶり、これでもかと主張している箇所には到達していない。
いや、意思を持ち、焦らしているのだ。
胸への嬲りを2匹の犬に任し、アーカードは足の付け根を舌で絡めとっていた。
溢れる果実はすぐそこにあるのに。
本来足の付け根は快楽を引き出す類いのものでは無いが一番皮膚が薄く、感じやすい部位のひとつ
その部位を丹念に舐め回す。
舌の振動がじわじわと秘裂の奥の、欲望の奥を揺らがしていく。
186:165
07/12/15 21:01:43 rfpaCSMV
事実インテグラは、焦燥を覚えていた。
摘み、捻り、尖りに尖ったそれぞれの起立に刺激が欲しいと身体が訴えていた。
そこ、さえ蹂躙してくれたら、この責め苦から開放されるのに。
この、悦楽を思う存分吐き尽くしてしまえるのに。
何もかも蕩け、自我も手放してしまえるのに、と。
プリーズ。
そう一言、その言葉を言えば、思うざまこの化物は、絶望的なまでの快楽を与えるだろう。
破壊し、粉砕し、蹂躙しつくし、インテグラの魂の一滴を搾り尽くし、自我さえも無くなるまで。
何故かインテグラは、そう感じていた。
(…っ、わ、わたし、はっ…)
奥から溢れ出てくる、奔流が怒濤のように迫る、追い立て、身体がびくりと跳ねる。
だがしかし、インテグラは声を噛み殺し、快楽を享受する事に必死で抵抗を続けた。
(くぅ…っ!!)
舌での蹂躙。
敏感になり、成ってしまった尖りに尖った三箇所への同時責め。
じわじわと範囲をせばめ、目標地点まであとほんの僅か。
ピチャリ
舌の先端が、肉芽に触れた瞬間、
電流が流れた。
(…っ!!!!!)
それだけで終わるはずもない。
滴り。
濡れ。
揉まれ。
揺さぶられ。
嬲られ。
弄られ。
これまでの手段が柔らかだったと思えるほどの激しい追い打ち。
胸は上気し、浅く熱い息を吐き出す。
瞳は欲望で潤み、唇は快楽でわなないていた。
どくどくと痺れと共に駆け上がってくる、甘い戦慄。
意識が跳びそうになる。
だが、インテグラはともすれば甘く声を、息を吐き出そうとするのを懸命になって押しとどめる。
187:165
07/12/15 21:02:53 rfpaCSMV
舌の攻めは、ピチャリと淫猥な音を発しながら、グルリと3箇所の先端に巻き付いた。
緩く。浅く。上下に。収縮し。しごき。
(ああっ…ま、またっ…っ、きちゃっ…!!)
――強く、キュッ、と舌が引き絞られた瞬間。
「…………………!!!!!!!!!!」
白熱する閃光が弾ける。
快楽が溢れ出し、それに続く硬直と痙攣。
意識は頂に昇り、悦びは身体中を駆け上り、蕩け、溶け、奔流が決壊しようとする刹那。
――その刹那。
ぱちん。
あまりにもか細い音だった。
ともすれば聞き逃してしまう位の、脆弱な。
しかし、確実に。
――音は、アーカードの頬の上で、鳴った。
インテグラの平手が、弱々しく鳴った。
余りにも脆弱で、貧相な攻撃。
荒く息をつき、呼吸を、身体を、声を震わせながら、
不死の化物を真っ向から見据える。
「…っ、わ、わたしは…っ!」
身体が震える。
188:165
07/12/15 21:05:00 rfpaCSMV
「わたし…は、インテグラル ファルブルケ ウィンゲーツ ヘルシングですっ!!!」
瞳には涙が滲み、頬は快楽の名残を残しながらも、眼差しは燐光を放っていた。
それは高らかなる宣言。
惑い、迷い、困惑。
安寧、揺らぎ、不安定からの決別。
本能から出る快楽からの決別。
その快楽すらも、頑強な意思を持って打ち倒し、踏破し、屈服させて。
本能すらも凌駕してみせたのだ、この少女は。
―――本質―――
インテグラの持つ、意思の、鉄火にも似た
『闘争の本質』
アーカードとインテグラは対峙していた。
相手は化物、不死の王、ノスファラトゥ、夜を歩く者、夜族、伝説上の化物。
ちっぽけな小娘に何ができる?化物相手に何ができる?
だが。もう。
もう、怖くはない。
この胸にあるのは、誰にも覆す事の出来ない矜持。
インテグラがインテグラである故の本質。
自分は、自分だけのものだ、誰にも手出しはさせない!
静寂が満ちる。
これまでの甘さにも似た空気を裂き、びりびりとした緊張が満ちる。
ふいに
緊迫感を破ったのはアーカードだった。
ふっ、と息を吐き出したかと思うと笑いだした。
愉しそうに、心底愉しくて堪らないとでも言うかのように。
「そうだ、そうでなくては、そうだろうとも」
「インテグラル ファルブルケ ウィンゲーツ ヘルシング」 銘を呼ぶ、
びくりと少女は反応する。
「我が主(マイ マスター)」
深い穏やかな瞳で、声で、そう呼んだ。
立ちすくむ事も、振り返る事も、
逡巡する事も無く、血塗られた道を、
否応も無く課せられた道を、
総てを薙ぎ払い、目の前に立ちはだかる敵を駆逐する彼女の戦いの始まり。
延々と続く夜の始まり。
189:165
07/12/15 21:06:24 rfpaCSMV
†
「…久方ぶりの夜の散歩はどうだったかね」
気配さえ読めない闇の中で声を掛けたのは、漆黒に融けた執事。
慌てる素振りさえ見せず、闇を根城にする吸血鬼はゆったりと返答した。
「いい夜だ、本当に、いい夜、だ」
「…ほう……、それは良かったな、アーカード」
口の端を僅かに歪め、嗤う。
見とがめる者はいない。
闇の中でも見渡せる夜族以外には。
その様子を一瞥し、アーカードの口元には執事と同じ、…否
それよりも尚、深淵なる嗤いが刻み込まれていた。
タイトル
第2話 MASTER OF MONSTER ~間奏~
end
190:おまけ
07/12/15 21:09:25 rfpaCSMV
「あれからもう、ちょうど10年か…」
新聞に目を落としていたインテグラは、ぼんやりと彼方に視線を彷徨わす。
日頃の疲れが、溜まり、なんとはなしに昔を思い出していた。
疲れているのはつい最近、騒ぎがあったからかも知れない。
ヘルシング機関を揺るがしたのは、若い婦警。
あの、アーカードが吸血鬼に して しまった女の事だ。
それが原因かどうかは知らないが、今夜のアーカードは上機嫌だった。
「ほう、めずらしい。インテグラが昔の思い出にひたっている」珍しく饒舌だ。
その言葉に反感を抱いたのか、鼻をならす、「私とて、思い出位ひたる」
脳裏には昔の思い出がよぎってでもいるのだろうか。
自嘲にも似た苦笑いを含みながら、「10年前の事、思い出していたのよ」とポツリと言った。
珍しい、本当に珍しい、明日槍が降ってもおかしくないくらいに珍しい。
インテグラが胸の内を言うなんて、本当に珍しい。
アーカードは主に対して無礼がないよう充分配慮しながら、目線を逸らして言った。
インテグラの顔を見てしまったら余計な一言まで飛び出してしまいそうだったから。
「ああ、 『 あ の 時 の コ ト 』 か、
『 あ の コ ロ 』は、まだ小さな女の子だったからな」
ほんの僅かな、僅かな意味深い含みを、知らず漏らしてしまった。
それにすら気付かず、インテグラは侮辱とも取ったのだろうか
インテグラも疲れて鋭利な頭脳が半分も巡っていないようだ。噛み付いてくる。
「 あ の こ ろ は ま だ ? じゃあ、今はどんな感じだと?」語気を多少強める。
わかってない、本当にわかっていない。
あの夜の事を少しでも思い出しもしない、と言う訳か。
いや、むしろ『悪夢』とでも思っているのかも知れない。
191:おまけ
07/12/15 21:10:23 rfpaCSMV
「鉄の女、ってかんじ?? …ですかね???」じゃなきゃ、ミス悪役ヅラ…ってカンジ…
ひょっこり会話に参加しだす、新米吸血鬼。
主従に流れる微妙な空気を読まず、割り込んでくる。最悪な台詞を伴って。
最後の台詞も言った当人は小さく聞こえないよう言ったつもりだろうが、インテグラにはしっかり聞こえているだろう。
天然だ。…いや、微妙な空気を読んだからこそ、こいつなりに和ませようとしたのかもしれない。
しかし、益々インテグラの怒りを増長させた。
途端にぎゃあぎゃあと、叱責と言うにはおそまつな言い争いを始める。
ここら辺が、インテグラの疲れを誘発しているのだろう。
だが、この年齢の女には普通の事だ。
言いたい事を言い、吐き出す相手がいるのは存外良い事だ。
「似た様なモンだったじゃないか、…昔も」
ぽつりと言った一言を逃さず、インテグラの怒声が屋敷内に響き渡る。
その声をそよ風ほどにも感じず、聞き流しながらアーカードはふと思っていた。
…鉄の女。鉄の乙女。鉄の処女。
そう呼ばれた、中世の拷問器具。
閉じ込めた虜囚を鉄の顎で、断罪し、血の一滴までも絞り尽くす、慈悲深き、魅手。
あれと同じく、彼女は、自分を、血を、魂を、命も全て。
一かけらの悔いもなく絞り尽くしてくれるだろう。
もうすぐ、もうすぐ…に。
不死の王は、薄く、嗤った。
192:おまけ
07/12/15 21:19:03 rfpaCSMV
これで終了です。
長い話におつきあいしてくださった方、ありがとう。
>>179,>>180
ありがとうございます。転げ回るほど嬉しいです。
でも、実は初めてSS書きました。エロ含めて、マジでw
書き手が少ないのは少々寂しい。
人が少ないのは、もっと切なさと恋しさと心細さが募る。
萌え談義に花を咲かせたいいぃいいい~!
193:名無しさん@ピンキー
07/12/15 23:36:49 Xn2pe97y
そういう所はあるにはあるが、ヘルシングのキャラだけじゃねえんだよなあ…
194:名無しさん@ピンキー
07/12/16 08:57:54 FiIj0CYR
投下乙です!
本筋からネタまで原作を意識されてるところがいいっすね
局長かわいいよ局長
195:名無しさん@ピンキー
07/12/16 19:36:08 HzewCQiR
後半乙!!!
ココ来た甲斐がありました。