【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合12at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合12 - 暇つぶし2ch2:205
07/02/18 18:12:40 mec6YmQU
しまった、間違って前スレの日付まで入れてしまった! まあいいか。

3:名無しさん@ピンキー
07/02/18 18:26:13 eP6uXzc3
>>1
乙~

このスレも良作で溢れかえりますように

4:名無しさん@ピンキー
07/02/18 19:32:08 qwXDjWDk
>>1
乙フリンガー

5:名無しさん@ピンキー
07/02/18 19:42:12 yzW55WD4
>>1
乙エスタ

6:名無しさん@ピンキー
07/02/18 21:33:16 bkOuxU8V
乙ァニア

7:名無しさん@ピンキー
07/02/18 21:54:10 IMZAP5l9
乙エス

8:名無しさん@ピンキー
07/02/18 22:48:51 o/uYPF8t
乙ベール

9:名無しさん@ピンキー
07/02/18 22:52:23 19D8XtAf
乙の使い魔

10:名無しさん@ピンキー
07/02/18 23:12:30 zurrPhWs
乙バサ

11:名無しさん@ピンキー
07/02/19 01:02:13 ASbMfYft
乙コルヌ

12:名無しさん@ピンキー
07/02/19 01:12:32 qo0T6NOm
>>1
乙ュイ

13:名無しさん@ピンキー
07/02/19 01:50:11 ntZIAcVY
乙ダンデ

14:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/19 01:57:06 UyRHELNr
>>1
前スレ557氏
俺が関わってたら「ツンデレシステム」なんていうあんぽんたんなシステムは企画段階でボツにします
ていうか
俺がゼロ魔のゲーム作ったら格ゲーかアクションゲーになります(何

ってなわけでタバサ編いっくよー

15:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/19 01:59:00 UyRHELNr
部屋で本を読みながら気を紛らわせていると、ドアをノックする音が聞こえた。
期待に胸を膨らませ、私はドアに駆け寄る。
ドアを開けると、そこには私の予想通りのひとが、満面の笑顔で立っていた。
その首には、私が一生懸命編んだ…マフラーが。
そのマフラーは飾りも何も入れていない、ただ毛糸を編んだだけのものだった。
だって、時間がなかったし。私は基本的な編み方しか知らなくて、模様なんて入れられないし。
それを、なんの変哲もない紙袋に入れて、彼の部屋の前に置いてきた。
誰からの贈り物かなんて、とてもじゃないけどわかりっこない。
…だけど。
だけど、彼には伝わったんだ。
これを贈ったのが私だって。
私は嬉しくて、何も言えなくなる。
そんな私を、彼は優しく抱きしめてくれて…。

「おねーさまー、いい加減起きるのねー」

そこで夢は醒めた。

タバサは生まれて初めて、『聖女の日』に贈り物をしようと決心した。
相手はもちろん才人。
タバサが贈り物に選んだのは、マフラー。
決心してから聖女の日まで日がなかったし、他にいいアイデアが思い浮かばなかったから。
そして、前日までに、なんとか半分までは編み上げた。
残りの半分は、徹夜で仕上げて、当日の午前中に才人に届ける予定だった。
のだが。
慣れない作業と緊張から、タバサはつい居眠りをしてしまい…。
マフラーは未完成のまま、聖女の日はすでに半分が過ぎ去っていた。

タバサは慌てて窓の外を見る。
外はバケツをひっくり返したような大雨。当然日は指していない。
窓の近くで居眠りしていたのにもかかわらず、タバサが夜明けに気づかなかったのはこの厚い雲のせいだろう。
タバサは慌てて手元を確認する。
三分の二程度は完成しているマフラー。
しかし寝ぼけながら編み進めたために、最後の三分の一は編み目もめちゃくちゃ、幅もだんだん広がっている。
どうしよう。
タバサは青ざめる。
このままだと、生まれて初めての聖女の日の贈り物が、台無しになってしまう。
どうしよう。
タバサは手の中のマフラーの出来損ないを持て余したまま、呆然とする。
どうしよう。
今から完成させたとして、できるのは夕刻以降。それから、才人が贈り物の正解を出せる確率は極めて低い。
それどころか、他の女からの贈り物が才人の下に届く可能性のほうが高い。
タバサの中の冷静な部分は、以上の結果から、結論を導き出した。
諦めよう。…また、来年もあるし。
でも。
来年も…彼はここに、いるのだろうか。
来年も…自分はここに、いられるのだろうか。
そんな不安が、タバサを揺り動かす。
そして、タバサは。
出来損ないのマフラーを抱えて、聖女の日のタブーを犯す決心をした。

16:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/19 01:59:45 UyRHELNr
部屋でボーっとしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
…ルイズか?昨日言ってた届け物がどーとかって。
聖女の日の曰くをギーシュ達に聞いていた俺は、期待半分、不安半分でドアを開ける。
ドアを開けると、そこには俺の予想外の人物が、俯いて立っていた。
…シャルロットだ。
って、まさかシャルロットも聖女の日のイベントってやつかー!?
ん?まてよ?聖女の日の贈り物は贈り主をわかんないよーにするのが本命の証だって言ってたような?
…じゃあまさか、シャルロットは俺に義理渡しにきたわけ?
ちょっと俺ががっかりしていると、突然。
シャルロットが泣き出した。
え、ええええええええーーーー??
ま、まてまて、こんなとこでシャルロット泣いてたら、まるで俺が泣かしたみたいじゃん!
俺は慌ててシャルロットを部屋の中に引き込むと、ドアを閉じて鍵をかけた。
部屋の中に入っても、シャルロットは泣き止まない。
どーしたんだ一体…?
俺はそんなシャルロットの前に屈むと、泣き続けるシャルロットの顔を覗き込み、尋ねた。

「なあシャルロット、どうしたんだよ?」

そんな俺に、嗚咽交じりの声でシャルロットは答えた。

「…聖女の日の贈り物…」

言ってシャルロットが差し出してきたのは、扁平な毛糸の塊。
…よく見るとマフラーに見える。編みかけの。
なんでかっていうと、マフラーとして使うには短いし、その半分から先はほつれたようになっていたからだ。
…ひょっとしてこれが?

「これ、俺にプレゼントしてくれるつもりだったのか?」

そう尋ねた俺に、ふるふるとシャルロットは頭を振った。

「…まだ、途中…」

言って、また目じりに大粒の涙を溜める。
わ、まてまてまて!

「ちょ、なんで泣くんだよっ!?」

俺の問いかけに、シャルロットは泣くのを止めて、とつとつと話し始めた。
俺のために聖女の日の贈り物をしようと決心したこと。
その贈り物にマフラーを選んだこと。
そして、昨日徹夜で仕上げようとして、眠り込んでしまったこと…。
そっか、そういうことかぁ…。

17:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/19 02:01:08 UyRHELNr
「ありがとうな、シャルロット」

俺はそう言って、シャルロットの手からマフラーもどきを奪い取った。
シャルロットは驚いた顔をして、俺を見つめた。

「俺のために一生懸命編んでくれたんだろ?
 聖女の日とかそんなの関係なしに、嬉しいよ」

そう言った俺に、しかしシャルロットは顔を曇らせた。

「…だめなの」

え?

「…贈り物をして…。
 …ちゃんと贈り主を当ててもらわないと…意味がない…」

言って、また泣きそうになる。
…ったくしょーがねえなあ、女の子って生き物はー。
俺は泣きそうになっているシャルロットを優しく抱きしめた。
俺の腕の中で、シャルロットが驚いた顔をする。

「『真実の愛』だっけ?
 じゃあ代わりに、こういうのはどうだ?俺からも何か、贈り物をする。それでどう?」

俺の言葉に、シャルロットはまだ不満げだ。
…もう一押し、してみるか。

「俺の故郷じゃ、こういう日の贈り物には贈り物で返すのが基本なんだよ。
 もちろん、贈り主はわかるようにして。それでお互いの愛を確かめ合うって寸法だ。
 まあ、今俺に贈れる物なんてないけど…。
 そうだ、シャルロットの言うことなんでも聞く、ってのはどうだ?」

まあシャルロットならムチャ言わないだろうしな。
そう言った俺を、シャルロットは驚いた顔で見つめ…。
そして、泣きそうな顔のまま、聞いてきた。

「それがサイトの愛、なの…?」

すいませんねえ安っぽい愛で。

「モノがよければそうするけど?」

しかし俺のその提案に、シャルロットは首を振った。

「それでいい…」

そして、俺の胸板に顔を埋めてきた。
…ふう、ようやくご機嫌が直ったかぁ。

「じゃあ、まずどうすればいいかな?お姫様」

俺の質問に。

「…キス、して…」

シャルロットは、小声でそう応えた。
そして、とんでもない台詞を続けたのだ。

「…押し倒して…」

18:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/19 02:02:18 UyRHELNr
すまんな!明日も夜勤なんでここで「つづく」だ!(爆死
恨むなら月に夜勤が6回もある俺の職場を恨め!(何
ではではーノシ

19:名無しさん@ピンキー
07/02/19 02:02:52 dT7/OQq7
だあああああああああああああああああ

20:名無しさん@ピンキー
07/02/19 02:05:34 RJnl7/59
だーかーらー
どーしてそーUー事するのかな?へんたいさんは(w
取り合えずGJ

21:名無しさん@ピンキー
07/02/19 02:22:07 pVRf+np4
にゃあああああああああん!!!
そりゃないよへんたいさん。僕たちのトキメキスティックに
放置プレイをかますなんて。
やはりへんたいさんは比類なきへんたいさんだった!
GJ。


22:名無しさん@ピンキー
07/02/19 02:35:29 NrKkVTCv
夜勤ご苦労さまです。いつもがんばっていますね





なんていうと思ったかゴラアアアアアアア!!!!!!
なんという寸止め。まさに外道!
GJですよw

23:名無しさん@ピンキー
07/02/19 03:30:47 MBouvF8k
ちきしょおおおおお!!
なんて・・・なんてことしやがるっ!
GJ!GJだが・・・またかよぉぉぉ


続き楽しみにしてます。

24:205
07/02/19 05:13:46 VoyBM42P

 それじゃあ調子に乗って自分も続くとしますです。

25:不幸せな友人たち
07/02/19 05:14:52 VoyBM42P

 かすかな寝息を立てるルイズを、雲間から静かに注ぐ月明かりが薄らと包み込んでいる。
 蒼ざめた光は痩せこけた頬により深い影を落とし、彼女の死が迫りつつあることを告げているよう
でもあった。
 にも関わらず、ルイズの寝顔は無垢な赤子のように穏やかで、安らぎに満ちている。
 まるで死を受け入れたかのようなその姿を間近で見て、ティファニアは小さく身震いした。
「ティファニアさん」
 呼びかけに振り返れば、部屋の戸口にシエスタの姿がある。
「時間がありません」
 淡白な声に押されるように、ティファニアは再び前方の寝台に向き直る。
 狭い寝台には、二人の人間が寄り添うようにして横たわっている。
 いや、二人の人間という表現は正しくないかもしれない。そのうちの一人は、もう物言わぬ亡骸と
成り果てているのだから。
(サイト)
 心の中で彼の名を呼びながら、ティファニアは痛む胸を軽く押さえた。
 才人の死体はモンモランシーの手で完全に修復され、いつもの服を身にまとって横たわっている。
 顔は青白さを除けば至って平静であり、今目の前で呻きながら起き出してきても何の不思議もない
ほどであった。
 だが、それは実際にはあり得ないことだ。彼は間違いなく死んでいるのだから。
 ここにあるのは修復された上で腐敗しないように魔法で処理がかけられた平賀才人の死体なのだ。
 その隣で、ルイズは才人の首にしがみつくようにして眠っている。
 彼女にしても全身から死の臭いを感じ取れるような状態で、胸がかすかに上下していなければ二つ
の死体が抱き合って眠っていると勘違いしてもおかしくないほどだ。
 ティファニアは小さく息を吸った。じっとりと滲む汗で服が体に張り付き、こらえようもないほど
の不快感がこみ上げてくる。
 しかし、これから自分が成そうとしている行為から考えれば、その感情とて単なる入り口に過ぎな
いはずであった。
「何をしているんですか。早く」
 背後から、シエスタが静かに急かしてくる。
 ティファニアは目を閉じて一瞬だけ闇の中に逃避した後、覚悟を決めて杖を取り出した。
 いっそ呪文自体を忘れてしまっていればと願ったが、皮肉にもルイズの記憶を消すための呪文は今
までにないぐらいはっきりと頭の中に浮かんでいた。
 ティファニアはゆっくりと杖を振り上げ、詠唱を始めた。緊張によるものか恐怖によるものか、声
が震えているのが自分でも分かった。
 いつもよりも必要とする詠唱が長い。どうやら、奪う記憶の量によって呪文の長さも変わってくる
ようだった。
 長い長い詠唱を、ティファニアは震える声で淀みなく紡ぎ出していく。いっそ途中で駄目になって
くれと願いながら。
 それでも呪文は途切れず、ティファニアの願いとは裏腹に呪文は完成した。後はルイズに向けて杖
を振り下ろし、魔法を解き放つだけだ。

26:不幸せな友人たち
07/02/19 05:15:33 VoyBM42P

 ティファニアは、身じろぎもせずにルイズを見た。
 自身の荒い呼吸が耳障りなほどに大きく感じる。心の中でいくつもの疑問と問いが渦を巻き始めた。
シエスタが突きつけた二択が頭に浮かぶ。正しい道と共にルイズの死を見過ごすか、間違った道と引
き換えにルイズの生を取り戻すか。
 ティファニアはこのときになってようやく、自分が未だこの問いかけに対する答えを選択しきれて
いないことに気がついた。
(ここまで来ておいて、何を今更)
 だが、今ならばまだ引き返せるというのも、やはり事実だった。
 記憶を消す魔法は知っていても、消した記憶を再び蘇らせる魔法は知らないのだから。
「何をしているんですか、早く」
 急かすシエスタの声にも少しずつ焦りが混じり始めた。
 それでもティファニアは動かない。問いに対する答えがどうしても出せない。
 生か死か。現実か理想か。逃避か受容か。
 どちらを選ぶべきなのか、決定的な要素が胸の中に存在しないのだ。これではどちらも選べない。
 嵐のように胸の中で荒れ狂う問いと答えにティファニアの精神が限界を迎えようとしたそのとき、
変化は唐突に訪れた。
 寝台の中のルイズが、眠ったまま喜びに満ちた笑みを浮かべたのである。
「ああ、サイト、迎えに来てくれたのね」
 ティファニアはほとんど反射的に杖を振り下ろしていた。
 小さく叫び声を上げたときには、もう遅かった。解き放たれた魔法が、寝台の周囲の闇を歪めている。
 その光景を呆然と見守るティファニアの前で、闇はゆっくりと己の形を取り戻し、部屋の中に再び
静寂が戻ってきた。
 見た目には、何ら変化はない。相変わらず才人の死体は物を言わず、ルイズも先ほどの笑みを浮か
べたまま眠りこけている。
 果たして本当にルイズが記憶を失ったのかどうか。それは、彼女が目を覚ましてみなければ分からない。
「皆さん、お願いします」
 背後から、シエスタが廊下に向かって呼びかけるのが聞こえてきた。それに応じて、ギーシュとコ
ルベールが忍び足で部屋の中に入ってくる。
 彼らはシエスタと頷きあったあとでゆっくりと寝台に近寄り、才人の亡骸を慎重にルイズから引き離した。
 抵抗は、ない。才人の体はするりとルイズの手を離れ、ギーシュとコルベールによって持ち上げられた。
 彼らはそのまま無言で部屋から出ていき、才人の亡骸は何の問題もなく運び去られた。
 そのわずかな時間の間ルイズは全く反応せずに、健やかに眠りこけていた。その事実がかえって薄
ら寒く感じられて、ティファニアは体を震わせた。

27:不幸せな友人たち
07/02/19 05:16:26 VoyBM42P

「さあ、早く次の仕事に取り掛かりましょう」
 シエスタが純白の婚礼衣装を持って、ルイズの眠る寝台に近づいた。
 ティファニアもそれに従い、眠るルイズの腋の下に腕を入れて、彼女の小柄な体を持ち上げる。
 ルイズの体は予想以上に軽く、それ故にティファニアの細腕でも何とか持ち上げることができた。
 顔を上げると、無表情のシエスタと目が合った。彼女と一つ頷き合って、次の仕事に移る。
 シエスタは手早くルイズの服を脱がせ、純白の婚礼衣装に着せ替えた。
 ティファニアはシエスタが作業をしやすいように、ルイズの体の向きを変えたりさらに持ち上げたりする。
 その間ルイズはずっと眠ったままで、起き出す気配は全くなかった。よほど深く眠り込んでいるのだろう。
(疲れていたから、だけじゃないよね)
 おそらく頭から心配事が消えてしまったせいだろう、とティファニアは思った。
 そうでなければ、ルイズはとっくに起き出して大騒ぎしているはずである。
 だが、実際は服を着せ替えられているというのに眠り込んだままだ。
 結局、問題など何一つ起きないまま、作業は完了した。
 ルイズは清楚な純白の婚礼衣装に身を包み、シエスタが整え直した寝台にひっそりと横たわっている。
 あとは彼女が起き出すのを待ち、自分たちがうまくやるだけだ。
 ティファニアが大きく息を吐き出したとき、不意に遠くの方から音が聞こえてきた。
 それはたくさんの木々が同時に揺れ動く音であり、寝ていた鳥の群が何かに驚いて目を覚まし、一
斉に飛び立つ音でもあった。
(コルベールさんたちが出発したんだわ。サイトの遺体と一緒に)
 ティファニアは窓辺によって目を細めた。ここからでは、昇りかけた朝日にぼんやりと浮かび上が
る木々の姿が見えるだけで、飛び立つ船の姿は確認できない。
 サイトの死を知らせる船は、西の地でも幾人かの人々に大きな悲しみをもたらすことだろう。それ
を思うと胸が痛む。
 しかし、沈んでいる暇もないのが現実である。ティファニアは振り返った。
 寝台のそばの椅子に座ったシエスタが、眠り続けるルイズの顔をじっと見つめている。
 ティファニアは寝台を挟んでちょうど向かい側となる場所に椅子を置き、それに座ってシエスタと
向き合った。
 ルイズ同様、もしかしたらそれ以上に疲労の影が濃いシエスタの顔には、やはり何の表情も浮かんでいない。
 ただひたすら、静かにルイズの目覚めを待っているようだ。
 本当はいろいろと問いかけてみたいことがあったが、今のシエスタはそれを許さない雰囲気を身に
纏っていて、話しかけるのは躊躇われた。
 そうしてお互いに何も話さないまま、ただ時間だけが過ぎ去っていく。
 その間にも、ティファニアの頭の中で様々な疑問が浮かんでは消えていった。
 本当に魔法は成功したのだろうか。ルイズは才人の死を忘れ去ってしまったのだろうか。
 果たして自分がどちらの結果を望んでいるのだろう。忘れていてほしいのか、覚えていてほしいのか。
 どの問いにも、やはり答えは出ない。ティファニアはため息を吐いて、ふと顔を上げた。

28:不幸せな友人たち
07/02/19 05:17:01 VoyBM42P

 家の中は静まり返っていた。モンモランシーは目覚めた後のルイズの体力回復を手助けするために
自室で薬を作ると言っていたし、キュルケはコルベールら帰還メンバーの見送りをすると言っていた。
この部屋に来ない辺り、まだ見送りから戻ってきていないのだろう。
 最後までこの計画に反対していたタバサは、あれ以来部屋に篭りきりで、一度も顔を見せていない。
(寂しくなってしまったわね、ここも)
 胸に穴が開いたような寂寥感があった。
(サイトが死んでしまったからなのね。たくさんのものが悲しみの渦に巻き込まれて、歪にひしゃげ
 ていくみたい)
 改めて、寝台の向こうのシエスタを見やる。相変わらず、静かな表情でルイズの寝顔を見つめていた。
 だが、伏目がちの目蓋の下から覗く黒い瞳は、薄暗く底光りしているようだった。
(こんな顔をする人だったかしら)
 ティファニアの知るシエスタは、穏やかで献身的な少女だった。ルイズと才人の奪い合いになって
喧嘩することこそあったものの、それ以外では他人を傷つけるようなことは絶対にしない、性根の優
しい人間だったはずである。少なくとも、ティファニアはそう思っていた。
 しかし、今のシエスタにはその面影はない。
 己の目標を達成するためならば他人の気持ちなど微塵も考えない様は、以前の彼女とはまるで間逆
の人間に変貌してしまったかのようですらある。
 そのとき、何の前触れもなくシエスタが顔を上げて、目線を合わせてきた。
 ティファニアは突然のことに驚き、固まってしまう。しかしシエスタは眉一つ動かさなかった。
「ティファニアさん。この後のこと、大丈夫ですね」
 確認するような声と共に、冷たい視線を押し込んでくる。ティファニアは気圧されながらも何とか
頷き返した。
 シエスタが眠るルイズに視線を戻す。つられるように、ティファニアもルイズを見た。
 弱弱しい朝日の中、穏やかな寝顔は魔法をかける前と変わらず痩せこけてはいたものの、そこには
確かな生の気配がある。昨日、降りしきる雨の中で才人の亡骸に語りかけていたルイズの姿と比べる
と、いっそ健康的ですらあった。
 おそらく、魔法は成功したのだ。その結果が、このルイズの姿なのだろう。
 そのとき、不意にルイズが顔をしかめて低く呻いた。
 ティファニアは目を見開き、慌ててシエスタを見る。彼女は冷静に頷き返してきた。ついに、目覚
めのときがやってきたのだ。
 緊張と冷静。それぞれの表情で見守る二人の前で、ルイズはゆっくりと目を開けた。

29:不幸せな友人たち
07/02/19 05:17:32 VoyBM42P

 起き抜けのために頭が覚醒しきらないらしい。薄目を開けたまましばらくぼんやりしていたが、や
がて大きな欠伸を一つして、気だるげに聞いてきた。
「どうしたのテファ、そんな難しい顔して。何かあったの」
 のんびりとした口調からは、昨日のような狂気じみた悲しみの気配など微塵も感じられない。
 固唾を呑んで見守るティファニアの前で、ルイズは眠たげな半眼のまま周囲を見回し、ティファニ
アと同じように自分を見ているシエスタを発見した。
「シエスタまで。なに、いったいどうしたのよ。まだ起こしにくるような時間じゃないでしょう」
 窓から差し込む弱々しい朝日に顔をしかめながら、ルイズが再び大きく欠伸をする。
「なんかすっごい疲れてんのよね、わたし。よく分かんないんだけど。何があったか知らないけど、
 もうちょっと寝かしておいてくれない。話なら後で聞くから。じゃ、お休み」
 のん気な声で挨拶して、ルイズは再びベッドに潜り込もうとする。
 一連の動作を見て、ティファニアは確信した。間違いなく、ルイズは才人の死に関する記憶を失っている。
 ティファニアがほっと息を吐いたとき、シエスタがおもむろにルイズに声をかけた。
「サイトさんがいなくなりました」
 ティファニアは目を見開いた。ともすれば才人の死を喚起しかねない言葉をかけるなど、シエスタ
は何を考えているのか。
 しかし、口から出てしまったものを消すことはできない。案の定、ルイズは先ほどまでの寝惚け振
りが嘘だったかのような勢いで跳ね起きた。
「何ですって。ちょっと、どういうことよそれ」
「言葉の通りですよ。サイトさんが、いなくなっちゃったんです」
 ティファニアが割って入る暇を与えないほどに、シエスタは淡々と答えを返す。
 その言葉を聞いたルイズはしばらくの間衝撃を受けた様子で固まっていたが、やがて何かに気付い
たように眉をひそめた。
「っていうか、あれ。ちょっと待って」
「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール」
 穏やかに微笑んで問いかけるシエスタに、ルイズは右手の平を向けた。
「なんか、頭が混乱してるっていうか。ちょっと、事態がよく飲み込めないんだけど」
「ですから、サイトさんが」
「いや、そうじゃなくて。おかしいわね」
 苦しげに呟きながら、顔をしかめたルイズが痛みを押さえるように頭に左手をやる。
「なにかしら。変な感じがするのよ」
「変な感じと仰いますと」
「そんなの、言葉に出来るわけないでしょ。とにかく、変な感じ。なにこれ、なんなのよ、もう」
 ルイズは癇癪を起こしたように激しく頭を振る。シエスタはそんなルイズをなだめるように、そっ
と背中に手を添えた。
「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール。何がそんなにおかしいんです」
「だから言葉じゃどうとも」
 苛立たしげに答えかけたルイズは、ふと何か思いついた様子で、シエスタに訊いた。
「ねえ、今日って何日」
「今日ですか。今日は」
 シエスタの答えを聞いたルイズが、目を見開く。それから、引きつった笑いを浮かべて首を傾げた。
「おかしいわね。わたし、ここ三日ぐらいの記憶が全然ないみたいなんだけど」

30:不幸せな友人たち
07/02/19 05:18:01 VoyBM42P

 その言葉を聞いたとき、ティファニアの鼓動が一つ跳ね上がった。
 記憶がなくなっているという事実から、ルイズがティファニアの魔法に思い至るのではないかと危
惧したのだ。
 だが、悩むルイズが何らかの答えを出す前に、シエスタが驚いたように叫んだので、その危険は一
時的とは言え回避された。
「まあミス・ヴァリエールったら、まさか昨日のこと覚えていらっしゃらないんですか」
「昨日?」
 ルイズの眉間に皺が寄る。今のシエスタの発言にしても、ティファニアにとっては十分に危険な発
言に思えた。
 もしもルイズが昨日自分が自殺しかけたことを思い出してしまったら、と気が気ではない。
 だがルイズは結局何も思い出せなかったようで、降参するように深くため息を吐いた。
「駄目だわ。全然思い出せない。どうしちゃったのかしらわたし」
「ミス・ヴァリエール」
 突然シエスタの声が硬くなった。そのあまりに唐突な変化に、ルイズが驚いたようにシエスタを見る。
 驚いているのはティファニアも同様で、事情を知っているというのにシエスタが何を狙っているの
か少しも見当がつかない。
 シエスタは俯き、肩を震わせていた。前髪で隠れているために表情はよく見えないが、唇を噛んで
いる様はいかにも怒りを堪えかねている様子である。
 ルイズは困惑しきった様子だったが、やがて持ち前の強気さが頭をもたげてきたようだ。
「何なのよ一体。昨日わたしがなんかしたって言うの。怒らないからはっきり言ってみなさいよ」
 眉を吊り上げ、明らかに怒っている様子で怒鳴りつける。しかし、シエスタはそれ以上の勢いで怒
鳴り返してきた。
「なんかした? なんかしたって仰いましたか今。あれだけのことをしでかしておいて、なんかした
 ですって。呆れました。前から愚かな人愚かな人と思ってはいましたけど、まさかここまでだった
 なんて」
 シエスタはため息混じりに首を振る。ルイズは顔を引きつらせた。
「あんた、誰に向かってそんな」
「もちろんあなたですわミス・ヴァリエール。今のあなたを見たら誰もが言うでしょうよ。ルイズ・
 ド・ラ・ヴァリエールは世界で一番愚かな女だってね」
 怒りに震えながらもこの上なく冷淡という矛盾したその声音に対して、ルイズは実に分かりやすい
反応を見せた。
 歪んだ顔を真っ赤に染めて、歯を剥きながらシエスタよりも大きな声で怒鳴り返す。
「頭にきた。いろんな部分が気に入らない女だと思ってたけど、今度という今度は本気で堪忍袋の尾
 が切れたわ」
「それはこっちの台詞です。わたしの目の前であんなことをしておきながら、よくも抜け抜けと忘れ
 ただなんて」
「実際思い出せないんだから仕方がないでしょうが。いったいわたしが何をしたって言うのよ。聞い
 てあげるから言ってごらんなさいよ」
 ルイズは挑発的な声を叩きつけて、鼻息を荒く寝台の上でふんぞり返る。
 何がどうなってこんなことになっているのか理解できないティファニアの前で、二人は怒り心頭で
にらみ合っている。

31:不幸せな友人たち
07/02/19 05:19:26 VoyBM42P

 だが、その状態も長くは続かなかった。やがて、眉を吊り上げてルイズを睨みつけるシエスタの瞳
から、一筋の涙が零れ落ちたのである。
 これには怒り心頭だったルイズも驚かされたようで、慌ててシエスタに声をかけた。
「どうしたのよ、何でいきなり泣き出すわけ」
「ひどいです、ミス・ヴァリエール」
 シエスタは俯いてしゃくり上げ始めた。零れ落ちた涙が木の床に跳ね返って鈍い音を立てる。
 顔を覆って泣き続けるシエスタを前にして、寝台の上のルイズは呆然としていた。ティファニアも
同様である。
 そんな二人の前で、シエスタはやがて顔を上げた。鼻を啜り上げながら、涙に濡れて赤くなった目
で恨めしげにルイズを睨む。
「どうしてそんなひどいことが言えるんですか。わたしが今どんな気持ちでいるか、分かってやって
 るんですか。ええきっとそうなんでしょうね、さぞかし楽しいでしょうね、こんな惨めな女を弄ぶ
 のは。いっそ声を上げてお笑いになったらいかがですか。わたしとしてもそんな風に扱われた方が
 かえって気が楽です。さ、どうぞお笑いください。何なら道化のように踊ってみせましょうか」
 地獄の底から響いてくるような暗澹とした恨み言は、ルイズの気勢を削ぐには十分な効果を発揮し
たらしい。
 ルイズは気味悪げにシエスタを眺めながら、ティファニアに助けを求めてきた。
「ねえ、なんでわたし悪役にされてるの。なんかもう、いろいろと訳が分かんないんだけど」
「それはその、わたしからはなんとも」
 ティファニアは迷った挙句に結局そう返してお茶を濁した。下手に「分かりません」ということは
出来なかった。
 シエスタの考えは分からないが、おそらくこれもルイズの記憶を塗り替えるための準備なのだろう。
 後から矛盾が生まれるような言動は極力慎むべきだ。ティファニアはそう判断した。
 ティファニアから答えが得られないことを判断したらしく、ルイズは諦めたように深々とため息を
吐いた。
「本当にもう。一体全体どういうことなのよ。昨日のことは思い出せないしなんか体はだるいしよく
 分かんないことで責められるし。そろそろちゃんとした説明が欲しいところなんだけど。それとも
 なに、皆してわたしをからかってるわけ。窓の外でにやにやしてるサイトとかギーシュとかが『と、
 ここでネタばらし』とか笑いながら入ってくるんじゃないでしょうね」
 不満げに呟くルイズの声を、シエスタは涙に歪んだ顔で黙って聞いていたが、やがて我慢できなく
なったように叫んだ。
「もういい加減にしてください。どうしてこんなひどいことをなさるんですか。哀れな女を嬲って気
 晴らしなんかするまでもなく、あなたはもう十分幸せでしょうに」
「だから、訳が分かんないって何度も何度も言ってるでしょうが。はっきり言ってみなさいよ昨日わ
 たしが何をしたのか」
「ええ、ええ、言ってあげますとも。あなたがどうしてもわたしの口から敗北宣言を聞きたいと仰る
 のでしたら、何度だって言ってあげますわ」
「敗北宣言って、一体なんの」
 眉をひそめるルイズの声を遮って、シエスタは家中に響く声で絶叫した。
「結婚したんでしょう、サイトさんと」

32:不幸せな友人たち
07/02/19 05:28:18 VoyBM42P

 一瞬にして場が静まり返った。絶叫を叩きつけられたルイズ自身はもちろんのこと、ティファニア
もまた目を瞬くばかりで何も言えない。
 聞こえる音は木の葉のざわめきと雨垂れが地面に落ちる音とシエスタの荒い呼吸のみである。
 その奇妙な静寂の中、ルイズは目を丸くして硬直していた。肩で息をするシエスタを呆然とした様
子で見つめて数十秒間も黙り込んだ後、
「は」
 と、間抜けに口を開く。その反応に、シエスタはまた眉を吊り上げた。
「なんですか陸に打ち上げられた魚みたいな顔して」
「え、いや、ええと、ちょっと待って」
 ルイズは理解が追いつかない様子で数度も頭を振ったあとで、まじまじとシエスタを見つめた。
「もう一回言ってくれない」
「なんてひどい。二度もわたしに敗北宣言を」
「違うってば。いや、何が違うんだかもよく分からないんだけど。誰と誰が、なにをしたって?」
 そのときになってようやく気付いたとでも言うかのように、シエスタは怪訝そうにルイズを見つめ返した。
 そして、躊躇うような口調で問う。
「もしかして、本当に覚えてないんですか。ミス・ヴァリエール」
「何度も何度もそう言ってるじゃないの」
「だって、そんな。あんなこと忘れるだなんて。どう考えてもおかしいじゃないですか」
「そりゃわたしだっておかしいとは思うけど、実際に覚えていないものは」
 うんざりした様子で言いかけたルイズは、そこで不意に言葉を切った。
 頭の奥に痛みを感じたかのように、右目をぎゅっと瞑って頭を押さえる。
「待って。そう言えば、何か、あったような」
 苦しげに呟きながら、寝台の上で身を丸める。ティファニアは一瞬シエスタと視線を交し合った。
何か、よくないことが起きようとしている気がする。
 二人の見守る前で、ルイズは苦しげな声を絞り出し始めた。
「何だっけ。サイトに関係のあることで、凄く大事なことが、あったような」
 途切れ途切れの呟きを聞いたとき、ティファニアの体が大きく震えた。
(まさか、思い出しかけているの)
 どうしたらいいのか、咄嗟には判断できなかった。ちらりとシエスタを見ると、彼女もまた手を出
しかねる様子で眉をひそめている。
「なんで。どうして思い出せないの」
 ルイズの額に脂汗が浮き始めた。さすがにこのまま放っておくことはできないと判断したものか、
シエスタが口を開きかける。
 だが、彼女が何かを言う前に、別の声が場に割って入った。それは完全に人を馬鹿にした高笑いだった。
 振り向くといつの間にやら戸口にキュルケが立っていた。口元に手を添えて弾けるような高い笑い
声を上げている。

33:不幸せな友人たち
07/02/19 05:29:05 VoyBM42P

「おはようルイズ。わたし、前々からあなたの頭の中身を疑ってたんだけど、どうやらそれは間違い
 じゃなかったみたいね」
「どういう意味よ」
 噛み付くような口調でルイズが聞き返す。どうやら興味がキュルケに引きつけられて、先ほど頭に
浮かんだ疑念が飛んでしまったようである。
 キュルケは呆れ返った様子で肩を竦めると、シエスタを見てほんの少しだけ申し訳なさそうな笑み
を浮かべてみせた。
「この子、本当に忘れてるみたいよ。まさかそこまで頭の中がすっからかんだとは思わなかったけど」
「だから、どういう意味かって聞いてんのよ」
「ルイズ、あなた頭蓋骨に穴が開いてるんじゃなくて。きっとそこからいろいろと大切なものが垂れ
 流しになってるのよ。それにしても馬鹿な子ねえ。あれだけ大喜びしといて全部すっぱり忘れてる
 んだもの。これじゃ旦那様が可哀想だわね」
「旦那様って、一体なんのことよ」
 困惑して問うルイズに、キュルケはただため息を吐いた。再びシエスタを見て、首を傾げる。
「どうするの。わたしが説明した方がいいかしら。あなたの口からって言うのは、さすがに辛いでし
 ょう」
 シエスタは少しの間考え込む様子を見せたが、やがて覚悟を決めたような表情で一つ頷いた。
「いいえ、それはわたしの役目です。このどうしようもないお馬鹿さんがもう二度と忘れないように、
 昨日のことを嫌というほど思い出させてあげますから」
「あらあら。進んで針の莚に座ろうって言うのね、あなた。ま、いいわ。好きになさいな。わたしは
 ここで見物させてもらうから」
 キュルケはそう言って、戸口の枠に背をつけて悠然と腕を組んだ。
 その間にシエスタは椅子に座り直し、非難するような視線でじっとりとルイズを睨み出す。
「さて、それじゃ説明しますけど。ミス・ヴァリエール、本当に覚えていないんでしょうね」
「しつこいわねあんたも」
「だって、信じられないんですもの。あんなこと忘れるだなんて」
「そのことなんだけど」
 ルイズは不意に薄らと頬を染めた。誰が聞いている訳でもないのに、耳打ちするように声を落とす。
「本当なの。わたしが、その、サイトと」
 ルイズはそこで口ごもってしまう。シエスタは呆れた様子で首を振った。
「ここまで来るともう怒る気にもなりませんわね。分かりました。思い出させてあげましょう。とこ
 ろで、今思い出せるのは何日前までですか」
「えっと。コルベール先生が聖地を見つけて、準備が終わり次第出発するって話になったのよね。
 でもサイトったらなんかコソコソやってるだけで全然手伝わなくって。いい加減な奴よね、聖地に
 行くのは半分あいつのためみたいなもんだってのに。結局出発の前の日になっても手伝わないもん
 だから一発怒鳴りつけた後にイライラしたまんま布団に入って」
 そこまで言ったあと、ルイズは難しい顔で数秒も唸ったあと、諦めたようにため息を吐いた。
「駄目だわ、ここから先はどうしても思い出せない」
 ティファニアは内心胸を撫で下ろした。計画どおり、聖地に出発してからの記憶はルイズの頭の中
には残っていないらしい。
 シエスタは何やら納得したように頷いて、ルイズに問いかけた。
「では、聖地の門を使えば元の世界に帰れるって分かったのに、それでもサイトさんが自分の世界に
 帰らないと言い出したのも覚えていないんですね」
 ルイズは目を見開いた。

34:不幸せな友人たち
07/02/19 05:30:22 VoyBM42P
「あいつ、そんなこと言ったの。どうして」
「どうしてって、あのときもそう言いましたよねミス・ヴァリエール。それでサイトさんが答えたん
 じゃないですか」
「なんて」
「『俺は元の世界よりも大切なものができた。だから帰るのは止めにして、ずっとこの世界で生きて
 いくことにする』」
「なによ、大切なものって。自分の家に帰れるっていうのに、それ以上に大切なものなんてある訳が
 ないでしょう」
 苛立ち紛れの声を聞いたとき、ティファニアの胸が小さく痛んだ。
 それは、もしもあんなことにならなければ、実際に聖地で交わされていたはずの会話なのだ。
「教えて、シエスタ。あいつ、なんでそんなことを言い出したの」
「ここまで聞いてもまだ分かりませんか、ミス・ヴァリエール」
 シエスタは静かな瞳でルイズを見据えた。その視線に押されるかのように、ルイズは黙ってしまう。
 落ち着かない様子で周囲に視線をさ迷わせながら、おそるおそる問い返す。
「だって、そんなの。信じられないわ」
「信じられなくたって、事実なんです。教えてあげましょうか、同じように問われたサイトさんが、
 どう答えたのか」
 ルイズは少しの間迷ったあと、決心したように頷いた。シエスタは一瞬目を閉じたあと、静かな口
調で言った。
「『お前だよ、ルイズ。お前と一緒に生きていたいから、俺はこの世界に残るんだ。この意味、分か
 るよな』そう言ったんです、サイトさんは」
「それって、つまり」
「結婚してほしいってことですよ」
 しばらくの間、部屋に静寂が満ちた。
 ティファニアは胸が痛いほどに高鳴るのを自覚しながら、ルイズの言葉を待った。
(もしもこれで、ルイズさんが信じてくれなかったら)
 ルイズは他の三人の視線を浴びながら、長いこと黙り込んでいた。
 俯いていたために表情は見えなかったが、引き結ばれた唇が彼女の苦悩を伝えてきている。
 やがて、ルイズは疲れたように大きく息を吐き出した。
「駄目だわ。どうしても思い出せない。そんなことがあったのなら、忘れるはずがないのに」
 暗い声で呟いてから、ぎこちない笑みを浮かべてシエスタを見る。
「ねえ、本当なのそれ。やっぱり、皆でわたしのことからかってるんじゃ」
「ミス・ヴァリエール」
 真剣な声音でシエスタが言うと、ルイズは怯えるように肩を震わせた。シエスタはそんなルイズの
手を取り、顔を寄せて囁いた。
「自信を持ってください。あなたはサイトさんに選ばれたんです。サイトさんは、元の世界とあなた
 とを天秤にかけて、その結果あなたを選んだんです。それだけ、あなたを愛しているということで
 すよ」
「でも」
「それとも、先ほどのわたしの涙が偽物だとでも仰るのですか。どうか、これ以上わたしの心を傷つ
 けるのは止めてください。こうして恋に破れた瞬間のことを語るだけでも、わたしの胸は張り裂け
 そうなほどに痛んでいるのですよ」
「だけど、わたし」
 ルイズは自信なさげな声で呟き、恐る恐るティファニアの方を見てきた。
「本当ですよ。サイトは、元の世界に帰ることよりも、ルイズさんと一緒に生きていくことを選んだ
 んです」
 ティファニアは強く頷き、断言した。嘘ではなく本当のことだったから、揺るぎなく断言すること
ができた。
 だからこそ、悲しかった。今は、その真実ですらも嘘を構成する一要素に過ぎないのだから。
 ルイズはキュルケの方も見たが、やはり彼女にもシエスタの言っていることが真実であると保証さ
れて、再び黙り込んでしまった。

35:不幸せな友人たち
07/02/19 05:31:01 VoyBM42P

「どうです、思い出せましたか」
 問い詰めるような口調で、シエスタが問う。ルイズはまたしばらく無言を保っていたが、やがて自
信なさげな声で呟いた。
「そうだった、ような気もしてきた、けど」
 ティファニアは目を見開いた。ルイズはまだ確信が持てないながらも、この嘘を信じ始めているの
だ。驚くべきことだった。
 シエスタはそんなルイズを見つめて優しげな微笑を浮かべ、励ますように囁いた。
「大丈夫ですよ。きっと、嬉しいことが続きすぎて混乱しているんです。記憶が曖昧なのも、そのせ
 いですよ。実際、少しは思い出せたんでしょう」
「そんなにはっきりしたものじゃないわ。ただ、そうだったような気もしてきたってだけで」
「それが真実なんですよ。その証拠に、ほら。ご自分の着ている物をご覧なさいな」
「え」
 ルイズは驚いた様子で自分の姿を見下ろした。
「これは、なに」
 自分が見慣れぬ純白の服に身を包んでいることに初めて気付いたらしい。服を見下ろしたまま呆然
と呟いた。
 シエスタはやはり優しい微笑を浮かべたまま、ルイズの婚礼衣装の裾をつまんでみせる。
「サイトさんがミス・ヴァリエールのために用意した、婚礼衣装ですよ」
「婚礼衣装って、それじゃ」
 信じられない口調で叫びかけるルイズに、シエスタはにっこりと笑って頷いた。
「ええ。昨日、サイトさんとミス・ヴァリエールは結婚式を挙げたんです。二人は結ばれたんですよ」
 ルイズは呆然と自分が着ている服を見下ろして、またティファニアの方を見てきた。
 先ほどと同様に、ティファニアは無言の頷きによって肯定する。
 今度は本当のことではなかったから、ほんの少しだけ頷くのが遅れてしまったが。
 ルイズはまだ納得しかねる様子だった。しかし、自分が婚礼衣装を着ているのは紛れもない事実で
あり、周囲の人間もシエスタの言っていることを肯定しているため、次第に訳が分からなくなってき
た様子であった。
 顔を歪めて何度も頭を振っているルイズに、シエスタは包み込むような口調で囁きかける。
「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール。昨日はあんなに嬉しそうにしてたのに」
「だって、何も思い出せないのよ。こんなの変じゃない」
 ティファニアの背中を冷たい汗が流れ落ちる。ルイズが事の真相に気付かないかと危惧しながら、
少しだけ後悔した。自分が記憶を消せる魔法を使える、という記憶も一緒に消しておけばよかっただ
ろうか、と。そして、そんなことを平気で考えている自分に気付いてぞっとした。
 一方、ルイズは当然ながら何も思い出せずに苛立っていたが、傍らのシエスタはそれをなだめるよ
うにそっと彼女の肩を抱いた。
「さっきも言ったでしょう。きっと頭が混乱しているんですわ。実際、ちょっとは思い出せるように
 なってきたんでしょう」
「それは、だけど」
「大丈夫。ゆっくり、落ち着いて思い出していきましょう。そうだ」
 と、シエスタはいかにもたった今名案を思いついたという風に顔を輝かせた。
「確か、ミス・ヴァリエールの魔法に幻を作るものがありましたよね。あれを使いましょう」
「どうするのよ」
「昨日の結婚式を、思い出しながら再現してみてください。わたしもお手伝いしますから」
「でも、思い出せないのよ」
「大丈夫ですよ。分かることからでいいですから」
 ルイズはしばらく迷ったあと、枕元に置いてあった杖を手に取った。躊躇いがちに詠唱を始め、ま
ずは小さな自分の姿を作り出す。もちろん、小さなルイズは婚礼衣装を着ていた。それを微笑ましげ
に見ながら、シエスタが幻のルイズの隣を指差す。
「隣にはもちろんサイトさんがいらっしゃいましたよね」
「うん。それはそう、よね」
 ルイズは曖昧に頷いてまた詠唱を始めようとしたが、口を開きかけたところで眉根を寄せた。
「どうしたんですか」
「サイト、どんな服を着てたっけ。まさかいつものあの服じゃないだろうし」
「思い出してみてください。大丈夫、ゆっくりやればいいんですから」
 シエスタは落ち着かせるように言って、ルイズに存在しない記憶の再生を促した。

36:不幸せな友人たち
07/02/19 05:31:42 VoyBM42P

 二人が話し合いながら徐々に幻を構築していく横をそっとすり抜けて、ティファニアは戸口にいる
キュルケに歩み寄った。
 無表情にルイズとシエスタを見つめている彼女に向かって、小さな声で問いかける。
「ご存知だったんですか、シエスタさんの考え」
「ううん。だけど、あの子が結婚とか叫んでた辺りで、大体は推測できたから」
「だけど、どうしてこんな複雑な嘘をついたんでしょう。単に、サイトは元の世界に帰ってしまった
 って言うだけで十分なんじゃないんですか」
 ティファニアの疑問に、キュルケは悲しげに眉をひそめた。
「多分、こだわりなんでしょうね、あの子の」
「こだわり、ですか」
 キュルケはそれ以上は何も言わなかった。その内沈黙に耐えられなくなり、ティファニアはまた訊いた。
「こんなのが、本当にうまくいくんでしょうか」
「そうね、わたしも最初は無理なんじゃないかと思ってたんだけど。あれ、見てみなさいよ」
 ティファニアは再びルイズとシエスタの方に視線を戻してみて、驚いた。
 幻の構築は、驚異的な速さで進められていた。しかも、シエスタはほとんど口を出していない。
 ルイズが一人、楽しそうな顔で幻の中に様々なものを付け加えていっているのだ。
 最初は旅の仲間たちを、次に村のエルフたちを。晴れ上がった空、飾り付けられた広場、設えられ
たテーブルの上には料理と酒がずらりと並ぶ。今や列席している者たちの衣服や、楽しそうな表情ま
でもが明確に形作られていた。そして、その風景の中心には、幸せそうに笑う新郎新婦の姿が。
 他ならぬルイズ自身の手によって次々と組み立てられていく偽りの記憶を前に、ティファニアは言
葉を失っていた。
「これは、一体」
「失われた記憶を取り戻したいっていう欲求のなせる業、ってところじゃないかしら」
 隣を見ると、キュルケが感心した様子でルイズとシエスタを眺めている。
「中核に偽物の事実を放り込んでやってそれを信じさせれば、後は本人が勝手に想像で補ってくれる
 って訳ね」
「そんな風にうまくいくものなんですか」
「実際そうなっているじゃないの。それに、あの子のやり方も上手かったのよ。派手に泣いてみせた
 り、ルイズに実際に婚礼衣装を着せておくことによって、結婚式があったっていう嘘に現実味を持
 たせたのね。それでも、ここまでうまくいくのは出来すぎている気がしないでもないけれど。ある
 いは、ルイズの本能がシエスタの嘘を信じ込みたがっているのかも、ね」
 キュルケはどことなく憂鬱そうに言ったあとで、廊下に出て行った。
 彼女としても、こういった手段をあまり好ましくは思っていないのだろう。それはティファニアと
て同じである。
 しかし、ティファニアはその場に残って、ルイズが幻を構築していく様を見守り続けた。
 その光景がどれだけ耐え難いものであっても、自分にはそうする義務があると思っていた。
 やがて、ルイズは作業を終えた。今や幻は一抱えほどもある大きさの鮮明な像となって、ルイズの
目の前に浮かんでいる。
「そうそう、こんな感じだったわよね。やっと思い出したわ」
 ルイズは寝台の上で腕を組み、満足げな表情で頷いている。
 ルイズ自身は思い出した、と言っているが、実際には彼女が作り出した虚像の記憶である。
 それを知るティファニアは、拭い難い違和感を感じて身じろぎした。

37:不幸せな友人たち
07/02/19 05:32:36 VoyBM42P

 そんな彼女には気付かぬ様子で、ルイズは幻を指差しながらおかしそうに笑う。
「ギーシュったら飲んだくれてサイトに絡んだ挙句、調子に乗って自分もモンモランシーに告白する
 とか言い出したのよね。だけどそのすぐ後でエルフの女の子口説き始めちゃったもんだから、モン
 モランシーがかんかんになっちゃって」
 と、存在するはずのない思い出を楽しそうに語り始める。やはり楽しげな表情で聞いていたシエス
タが、目を細めてルイズに言い聞かせた。
「これで大丈夫ですね、ミス・ヴァリエール。こんな幸せな日のこと、絶対に忘れちゃいけませんよ」
「もちろんよ。それにしても、どうして忘れてたのかしらねえ」
 幻を前に、ルイズは不思議そうに首を傾げている。その隣で、シエスタがおかしそうに笑った。
「ミス・ヴァリエールだって、浮かれてたくさんお酒を飲んでたじゃありませんか。それで服も着替
 えずに寝込んじゃったんですよ。きっとそのせいもありますよ」
「あ、そうそう、そうだったわね。だけどあんただってひどいもんだったじゃない。サイトに絡み出
 したときはもうどうしようかと」
 と、ルイズは今やシエスタの言葉を疑う様子すら見せず、すんなりと己の記憶の中に取り込んでいく。
 あまりにもあっさりと記憶のすり替えが行われている現実に、ティファニアは薄ら寒さを覚えた。
 今ルイズが目の前で作り出した結婚式の記憶は、シエスタの言うとおり二度と消えることなくルイ
ズの脳に定着することだろう。
 そのとき、本当はサイトの死体を抱いて湖に向かっていたことなど、絶対に思い出しはしないのだ。
 じょじょに気分が悪くなってくるのが分かったが、それでもティファニアはその場に留まり続けた。
まだ、自分がしてしまったことを全て見届けたことにはなっていないと思ったからだ。
「そう言えば」
 そのとき、ルイズが不意に何かに気付いた様子で言った。
「さっき、シエスタ変なこと言ってなかった。サイトが消えたとかなんとか」
「ああ、そうそう」
 シエスタも、いかにも今思い出したという風に手を打ち合わせる。
「サイトさん、一足先に西に帰っちゃったんです」
「どうして」
 驚いたルイズの叫びに、シエスタは苦笑で返した。
「ほら、ミス・ヴァリエールとも結婚して、東方にも用事がなくなったんですから、西に帰らなくち
 ゃならないでしょう。でもわたしたち、逃げるように西を後にしてきたから、ただ帰ったらいろい
 ろと面倒じゃないですか。だから、一足先に西へ戻って、新生活を始める準備をすっかり済ませて
 しまってから迎えに来るって言ってましたよ」
 シエスタは淀みなく偽りを口にする。ルイズは怒りを露わにした。
「なによそれ。新婚早々花嫁をほったらかしにするだなんて、どういう神経してるのあいつ。一緒に
 帰ったって面倒は同じじゃないの」
「まあまあ」
 シエスタが苦笑混じりにルイズをなだめる。
「考えてもみてください。ミス・ヴァリエールのご家族のこととか、女王陛下のこととか。ミス・ヴ
 ァリエール本人を連れて帰ったら面倒が倍になるんですよ。サイトさんは優しいから、そういうこ
 とにミス・ヴァリエールを巻き込みたくなかったんじゃないですか」
「それは、いかにもあいつの考えそうなことだけど」
 ルイズはまだ納得のいかない様子で少しの間唸っていたが、やがて諦めたようにため息を吐き出した。
「ま、仕方ないか。あいつがご主人様のことほったらかしにしてどっかに行っちゃうなんて、いつも
 のことだし。それにまあ」
 ルイズは恥らうように、頬を赤らめた。

38:不幸せな友人たち
07/02/19 05:33:22 VoyBM42P
「わたしのこと考えてそういうことしたっていうんなら、まあ、許してあげなくもない、かな」
「そんなこと言って、本当は凄く嬉しいんじゃないですか」
 からかうようにシエスタが言うと、ルイズは「そんなことない」と叫びかけて、口を噤んだ。
 それから、少しだけ居心地悪そうにもじもじして、目線を逸らしながら恥ずかしげに言った。 
「そりゃまあ、ちょっとは、嬉しいけど」
「ちょっと、ですか」
 意地悪げにシエスタが言う。ルイズはむずがゆそうな表情で押し黙ったが、やがて表情を隠すよう
に俯き、ぽつりと言った。
「嘘よ」
「え、なんですって」
 シエスタが耳に手を当てて問い返す。ルイズはしばらく無言で肩を震わせていたが、やがて耐え切
れなくなったように喚き出した。
「嘘よ嘘、全部嘘。本当はすっごく嬉しいわ。それこそ体が弾けちゃうんじゃないかって心配になる
 ぐらいにね」
 ヤケになったように叫ぶルイズの顔は真っ赤に染まり、満面の笑みを浮かべていた。
 それはティファニアが今まで見たこともないぐらいに、幸福感に満ち溢れた表情だった。
「やだなあもうサイトったら、そんなに急がなくったって、もう少しこっちでゆっくりしてから行け
 ばいいのに。そんなに早くわたしと二人っきりになりたかったのかしら。こんなんじゃ、ゆっくり
 お互いの気持ちを確かめ合う暇もないじゃない、ねえ」
 激しく身をよじりながら問うルイズに、シエスタは呆れ交じりの笑みを返した。
「なんですかもう。やっぱり嬉しいんじゃないですか」
「そりゃそうよ嬉しいに決まってるじゃない。ああどうしてかしら。こんなにも素直な気持ちになれ
 るなんて嘘みたい。あんまり幸せすぎて、今にも空に飛んでっちゃいそうだわ。頭がどうにかなっ
 ちゃったみたい」
「ええ、多分皆がそう言うでしょうね」
 シエスタの冷ややかな言葉も、今のルイズには通用しないようだ。ルイズは緩みきった顔で自分の
婚礼衣装を見下ろして、白い布地をつまんだりしながらさらに顔をとろけさせた。
「そっか。わたし、お嫁さんなんだ。サイトのお嫁さん」
 ティファニアは吐き気がこみ上げてくるのを自覚した。ルイズが幸せそうに笑えば笑うほど、どん
どん気分が悪くなってくる。
 そのとき不意に、寝台の上のルイズの体がふらりと傾いた。シエスタが素早く横から手を出して、
その背中を支える。
「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール」
 そのときになってようやく自分が倒れかけたことに気付いたらしい。
 ルイズははっとして、しかし体は起こせずに困惑した笑みを浮かべてシエスタを見上げた。
「分かんない。なんか、急に体に力が入らなくなって。変ね、なんだか何日も物を食べてなかったみ
 たい」
 またティファニアの心臓が高鳴ったが、今度は前ほど焦りはしなかった。
 もうルイズが記憶を取り戻す危険性はほとんどないということが、よく分かっていたからだ。
 ただ、自分がそれを喜ぶべきなのかどうかは分からなかった。
「疲れてるんですよ、きっと。いろいろなことがありすぎて。だから記憶が混乱したりするんです。
 さ、横になって少し休んでください」
 シエスタがそっとルイズの体を支え、彼女の体を寝台に横たえた。ルイズは素直に従って、布団を
被った。
「うん、そうする。サイトが帰ってきたとき、疲れた顔は見せられないものね」
 そう言って笑ったあと、ふと気付いたように慌てて起き上がろうとした。
「どうしたんですか、ミス・ヴァリエール」
「着替えなくちゃ。折角サイトが用意してくれた服に皺はつけられないもの」
「ああ、そうですね。それじゃ、今着替えを持ってきますから、ちょっと待っててくださいね」
 シエスタが一礼して踵を返し、戸口の方に向かってくる。ティファニアは慌てて体をずらした。
 廊下に出て行く直前、二人の視線が交差した。シエスタは、先ほどルイズに語りかけていたときと
は比べ物にならないほど冷たい目をしていた。

39:不幸せな友人たち
07/02/19 05:34:08 VoyBM42P
 彼女を見送ったあと、ティファニアは迷いながらも寝台の方に目をやった。
 布団の中に収まったルイズは、相変わらず幸せそうに目を細めながら、空中に浮かぶ幻を眺めている。
 ティファニアは数瞬迷ったあと、覚悟を決めて寝台に歩み寄った。先ほどまでシエスタが座ってい
た椅子に腰を下ろしながら、問いかける。
「大丈夫ですか、ルイズさん」
「うん。ありがとう、ティファニア。駄目ねわたし、サイトが頑張ってくれてるのに、体壊しちゃう
 なんて」
 こみ上げる不快感が顔に出てこないよう苦労しながら、ティファニアは無理矢理笑みを返す。
 ルイズはそれからしばらく黙っていたが、やがて静かに語り出した。
「ねえ、ティファニア」
「なんですか」
 ルイズは横になったまま、目を細めて夢見るように語った。
「わたし、サイトのお嫁さんなのよね」
「そうですね」
「もうご主人様と使い魔じゃなくて、妻と夫なのよね」
「そう、ですね」
「そっか。そうなんだ。なんだか夢みたい。わたし、サイトはきっと元の世界に帰って、会えなくな
 っちゃうと思ってたから。でも、そうじゃないのね。これからは、ずっと一緒」
 ティファニアは何も言えなかった。もはや笑みを作ることすらできず、ただ黙ってルイズの声に耳
を傾けるしかない。
「今までひどいことしてきた分、これからはたくさんサイトに優しくしてあげるわ。本当よ、世界一
 のお嫁さんになるの。だってわたし、サイトのこと愛してるんだもの」
「それは、とても素晴らしいですね」
 ティファニアは無理矢理言葉を吐き出した。全身が悪寒に震え、背中に気持ち悪い汗が浮かんでい
るのを感じる。
 これ以上ルイズの穏やかな声を聞いていると、気が狂ってしまいそうだった。
「あーあ、早くサイトに会いたいなあ」
 ルイズがゆっくりと手を伸ばして、空中に浮かぶ幻の中のサイトを指でつつく。すると、幻はぱっ
と消えてしまった。魔法の効力が切れたらしい。一瞬、ルイズの顔を深い悲しみが過ぎった。
 彼女は無理に笑った。
「いけないいけない、我慢しなくちゃ。サイトだって、わたしのために寂しいのを我慢してるだろう
 し。それに、黙って夫を待つのも妻の務めだものね」
 ティファニアは立ち上がった。振り返り、出来るだけ足取りが乱れないように注意しながら歩き出す。
 ちょうど着替えを持って部屋に入ってきたシエスタとぶつかりそうになったが、声どころか視線す
ら交わさなかった。
 ひたすら早足で歩き、家を出る。それから駆け出し、一本の木の根元まで辿りつくと、そこにへた
りこんだ。
 後悔と罪悪感が、凄まじい勢いで全身の力を奪い去っていくのが分かる。もはや立ち上がる気力す
ら残っていなかった。
(わたしは、なんてことを)
 ルイズの幸せそうな笑顔が頭から離れない。ティファニアは口に手を当てて吐き気をこらえた。
 そうしてしばらく経ったとき、ティファニアはすぐ近くに人の気配を感じて顔を上げた。
 タバサがいた。木に背中を預けて、自分たちが滞在している家の方をじっと見つめている。
 強い風が吹き抜けた。木の葉に溜まっていた昨日の雨露が、一斉に飛散して大気を濡らす。その冷
たさに、ティファニアは身震いした。
「こんなことが許されるはずがない」
 不意に、タバサが静かに呟いた。ティファニアは、はっとしてタバサを見る。タバサはこちらを見
ないまま、淡々と予言を下した。
「わたしたちは、いつかこの罪にふさわしい罰を受けることになる」
 再び風が吹きつける。ティファニアはタバサの視線を追って、家の方に目を向けた。
 ずっと向こうの空に、分厚く黒い雲が広がっている。今度の雨は長そうだな、とティファニアは思った。

40:205
07/02/19 05:36:03 VoyBM42P

 ここまでで。つか既に容量が「魔王」を越えますたorz
 それでもまだまだ長くなりそうな現状に自分の計画性のなさを思い知らされますね。
 ではまた。

41:名無しさん@ピンキー
07/02/19 05:46:35 gsKaunAt
重い…重いな……

普通にゼロの世界観も損なっていないどころか、キャラが皆最大限動いてるのがすげえ。




神々よ、競演を有難う。
いや、正に『有るに難き狂宴』とでも言うべきか。
GJ

42:名無しさん@ピンキー
07/02/19 09:29:08 ntZIAcVY
205氏が神すぎる件について。

43:名無しさん@ピンキー
07/02/19 11:17:41 WVP7VXIZ
ツンデレDickやダイアリー聞いて幸せに浸ってる所から一気にどん底に落とされた気分だ…_| ̄|○

205氏に謝罪と賠償を要求するニダ!!・・・嘘です・・・普通に上手いですね。

44:名無しさん@ピンキー
07/02/19 12:18:53 TreE1MHT
205氏ネ申だよ。パラレルでこんなストーリーもあるだろうな。
俺視点ではもう原作超えてるよ。泣けてくる…GJ。

45:名無しさん@ピンキー
07/02/19 18:11:02 D4IfZ3I/
PS2版ってここの住人的には何点?

46:名無しさん@ピンキー
07/02/19 18:49:02 jjWzRoe7
30点じゃ!ツンデレディスクがなければね。
205さん、もうあなたゼロの使い魔かいていいですよww
すげええとしか言いようがない。GJ!


47:名無しさん@ピンキー
07/02/19 19:39:17 babpUUr3
>>43
>ツンデレDickや
ごめん、dickって隠語でペニスって意味があるからどんなアレなんだろうとか一瞬だけでも想像しようとしてしまった私を叱ってくださいorz

48:名無しさん@ピンキー
07/02/19 20:09:37 ntZIAcVY
>>47
とりあえず明日の朝食は抜こうか。
これ絶対。例外無し。

49:名無しさん@ピンキー
07/02/19 20:11:13 ntZIAcVY
ageちまった…。
こんな俺を誰か叱(ry

50:名無しさん@ピンキー
07/02/19 20:14:42 Tlq+jSj7
このスレ、トップバッターがせんたいさん氏で2番手が205氏って……
凄まじいスタートダッシュだなあ。
後に続く人はたいへんそう。

両氏ともにGJ。

51:名無しさん@ピンキー
07/02/19 21:27:17 l8jVI6V+
やべっ・・・この歳になって泣きそうだよ・・・・・orz

52:名無しさん@ピンキー
07/02/19 21:46:27 BibhyZYR
せんたいさんって獣姦苦手だからきゅいきゅいモノは書かないって本当?
俺はサイトとタバサときゅいきゅいの3PSSがいつか投下されるものだと楽しみにしていたのだが……。

53:名無しさん@ピンキー
07/02/19 22:57:17 Tlq+jSj7
>>52
イエス
6スレの498でそう言ってる

54:名無しさん@ピンキー
07/02/19 23:32:32 BibhyZYR
そうか……。本当はせんたいさんのSSを読んでみたかったのだが……。

駄目ならば仕方が無い。少し頑張ってみよう。

55:名無しさん@ピンキー
07/02/20 11:23:25 BR/IM4FU
とりあえずおまいら、落ち着いて前スレ消化汁。

56:名無しさん@ピンキー
07/02/20 23:15:01 c+bNma+q
205氏の作品が神掛かっている件

GJ!!!

57:名無しさん@ピンキー
07/02/20 23:26:59 DnP16+oA
>>54
逆に考えるんだ。
獣姦×→獣は駄目、だが…きゅいきゅいは竜→獣じゃない→SSおk!!


58:名無しさん@ピンキー
07/02/21 00:04:40 am/o/TpW
獣姦×=獣は駄目
だがよく考えてみて欲しい

・・・先住魔法で人間の姿になってれば問題なくねー?

59:名無しさん@ピンキー
07/02/21 00:35:39 fUoFxgAx
SS作者の書く物をこっちが勝手に指定するのは止めないか?

ただでさえあのクオリティで書くのは大変だろうに、内容まで指定されるのは間違っても良い気分にはならんぞ

60:191の者
07/02/21 01:01:57 YKhp7rzR
さて、僭越ながら三番手は私めが……
少々読み辛いかもしれませんが良ければご一読のほど…
予定5レスです。

61:E慣らし幕間 4
07/02/21 01:03:05 YKhp7rzR
……
 それから暫く、アニエスが解説を交えつつ手本を見せる。
サイトに実演させアンリエッタが評定を下す、という流れが続いた。
ようやく一通りを済ませ、アニエスさんが最後の項目に目を向け
「後は…、御手を許された時のものぐらいか。
 これは以前にもやっているし省略しても構わ………」
何故かそこで声は途切れてしまった。
「でしたら手本も解説も要りませんわよね、私を相手に実演してくださいまし。
 それからお茶に致しましょう、アニエス用意をお願いね」
代わって姫様の声がした。顔を上げてみると姫様がアニエスさんの前に割り込んできていた。
アニエスさんは何か言いたげだったが結局二言三言ぼやくとお茶の用意に席を外していった。

 執務室に二人っきりになってしまいどことなくぎこちない空気が漂い始める
「さ、さぁ、サイト様、戻ってきた彼女にとやかく言われる前に復習を済ませてしまいましょう?」
呼びつけたときのように頬を染めつつ軽く手を差し出して来る。
復習といっても以前は馬車の小窓に騎乗したままという状況だったのだが、この様子では気にしていないらしい。
以前、ギーシュが気絶して転がった時の姿勢を思い浮かべ片膝をつき、差し出された手に右手を添え
接吻の形をとる。瞬間、薄い生地越しに感じる姫様の体温が上がったように感じた。
先までと同様に評定を聞こうと顔を上げるとアンリエッタの視線は半ば夢見るように宙を泳いでいた。

 このままじゃ、間が持たねぇ……
なにか話題になるものは…と室内に視線をめぐらせるが戦争後に王城の家財も処分されてしまい
これとなりそうなものも見当たらない。が、そんな中でふと違和感とも既視感ともつかない感覚を覚える。
壁の色の違いからみて家財の陰になっていたのだろう。
「姫様、あの壁の紋様だけ違う気がするんですけど……」
「…ぇ? あぁ、あれは…アルビオン王家の意匠ですわね」
その言葉にはたと我に返ったのか少し慌てたようにアンリエッタが答えてくれる。

 あぁ、それでかと納得する。姫様の密使として赴いた陥落前夜のニューカッスル城の宴の場に
掲げられていたものと精緻さは違えど同じ意匠だった。
そうなると何故ここだけ違うのか…異世界出身者としてはこういう時に試してみたくなるものである。
「サイト殿?」
けげんそうなアンリエッタをさしおき件の壁に近付き意匠に手をかざしながら小さく呟く。
「…エク メトテ ロエス…」が何も変化は見受けられなかった。
そうそう都合良くはいかないよなぁ、と思い直しかけてもう一つ思いつく。
どうせ何も無いなら少し遊んでみてもいいだろう、そんな思いから不思議そうにこちらを見ている
アンリエッタに手招きをする。
「どうされました、何か気になることでもありましたか?」
「えぇ、少し確認したいことが出来たのでちょっと手を貸してください」
いまいち状況がわからないといったアンリエッタの手をとりその指に光る風のルビーを壁に近づける。
「これから俺の後に続いて同じように唱えてください」
「え、えぇ、構いませんが、何ですの?」
「ちょっとしたおまじないですよ、上手くいけば面白いことが起きるかもしれません」
悪戯っぽい笑みを浮かべると、彼女も笑みを返してくる。
「じゃぁ、いきますよ。リーテ…」
 「リーテ」
「ラトバリタ…ウルス…」 「アリアロス…ヴァル…」
 「ラトバリタ…ウルス…」 「アリアロス…ヴァル…」
「ネトリール」 「ネトリール」
姫様の復唱が終わったとき壁の意匠が薄く光り家具の跡に見えた線に光が走った。

62:名無しさん@ピンキー
07/02/21 01:03:59 YBSHHwJh
個人的には指定した時のタイミング(SSの流れ)から言ってモグラは駄目…
と言いたかったんだと解釈してたんだが……

63:E慣らし幕間 5
07/02/21 01:04:03 YKhp7rzR
「こ、これは!?」
横で驚きの声を上げるアンリエッタ以上に自分自身も驚いていた。
「試してみるもんだなぁ」

光の走った枠を輪郭とした壁面に触れてみると、先程までの固い感触は感じられず
触れた手を中心に水面に波紋が広がるように波打っていく。
『こんな時に限って、俺を呼ぶなんて相棒ひでぇよ…』
用心の為に半分ほどデルフを潜り込ませてから引き抜くがこれといって害もなさそうだった。
「で、どうよ。この先の様子は」
聞き慣れた愚痴を聞き流し偵察結果を尋ねる。
『ちょっとした通路とその先に扉の無い小部屋が見えたがね』

「なんだろう、非常時の避難口だったのかな?」
「面白そうですわね、行ってみませんか」
「まぁ、行ってみれば判るか。一応用心してくださいね、姫様」
好奇心猫を殺すという言葉もある、背負い直したデルフの柄に手を掛け、一方の手でアンリエッタの
手をひきつつ壁をくぐるとデルフの言葉どおりに人が三人ほど並べる幅の通路と先の小部屋が目に入ってきた。
誰が通るともしれない通路をひたすら照らしていたのかと思われる明かりの中を進み小部屋へと入る。
「避難所というか脱出の機を窺う為の一時待機所、兼倉庫ってとこかな」
「でしょうか…色々な物が置かれていますわね。あら、こんな仮面まで…」
アンリエッタが仮面を手に取って脇の説明書きを読み始める。
「〝反転と再誕の仮面〟、両王家の友好を象徴するべくこの仮面を贈る。
 この仮面を被せられる者、心の仮面を外されん。されど貴族にかような非礼あるまじき。
 なればこの仮面の効をメイジならざる者に限定す……
 まるで自白の魔法が込められたアイテムのようですわね」
その時遠くから声が響いてきた。
「陛下ー!」 「陛下ーどちらに居られるのですか!」

「まずっ、アニエスさんが戻ってきたみたいです」
「それにあの声は枢機卿も来ていますわね、すぐに戻りませんと!」
急いで壁のところまで戻ると室内の様子は見えるのに、中からこちらに気付く様子はない。

「様子を見るための仕掛けですかね、ともかく二人が向こうを向いてる時に戻りましょう」
そういって壁に飛び込もうとしたときに姫様が何かを押し付けてきた。
「思わず持ってきてしまいましたが二人に見つかると面倒そうですわ。
 次の機会までサイト殿が預かっていてくださいまし」
――

「ってわけさ」
『成る程ね、でその仮面がこれってわけか』
「平民というか非メイジ限定だけど一時的に性格とか振る舞いを変化させられるし
 その効果は人それぞれって代物らしい」
『で、相棒の隠された性格がアレってわけだ』
「なんだよ?」
『うんにゃ、一途なようでいて案外黒かったんだな、と』
「ほっとけ」

64:E慣らし幕間 6
07/02/21 01:05:01 YKhp7rzR
 一方、イザベラはグラン・トロワ謁見の間にて父にして主たるジョゼフの前に跪いていた。

「で、使用人悉くを昏倒させられた上、警備ガーゴイルにも少なからず被害を出し
 あまつさえ王女たるお前の寝所にまで賊の侵入を許したというのだな。
 ガリア北花壇警護騎士団長イザベラよ」
「申し訳ありません、お父さ……いえ、国王陛下」
ジョゼフの声音は娘にかけるものというよりも家臣に対するそれであることは
非公式ながらも官職名をつけてきたことからも感じ取れた。
「賊はその後、お前を罵倒し昏倒させ、再度の襲撃を予告したメモまで残して逃走。
 追撃をすることもかなわずおめおめと捕り逃した、まるでいい所無しだな。
 わが国を影から支えるべき騎士団の長がこうも易々と襲撃されるようでは……
 お前の器を見誤った私の裁量違いだったか」
「お、お父様!」
「それともその賊に手篭めにでもされたか」
その言葉にイザベラの顔色が青くなる。
「そんなことは御座いません!我が身の純潔は守り通して御座います!」
「なれば何故、このような失態となるのかな?」

「そ、それは……使用人達は元より警備のガーゴイルにしても戦力として数えられるような
 ものでも御座いません。騎士団員にしても任務の都度召集するものたちですので常駐してはおりません」
「ふむ…しかしその北花壇騎士にしてもどうであろうな?任務に乗じて〝七号〟を消せ、と命じたが実際はどうだ。
 逆にあやつの勲功を重ねさせ、亡霊どもに活気を与えてしまっている。
 あやつを目立たせまいと他の者を差し向ければ失敗し、後始末をあやつにされる体たらく」
「そ、それは騎士個人の資質によるもので…」
〝個人の資質〟という言葉にジョゼフは吼えた。
「任務に合った資質の者を選定できぬお前に言えた事か!
 …良かろう、お前の望むままの警備陣を敷くがいい。そして賊を仕留めて見せろ。
 但し、騎士を使うことはならん。お前とガーゴイルのみでやり遂げるのだ、よいな」
父王の気炎にすくみあがりながらもイザベラは首肯する。
「七号を監視せよと命じたエルフを破った輩が居る。お前を襲った賊がその一人ならば成功の暁には
 皆もお前の才を認めよう。私の娘が後継者に足る、とな。
 準備に必要があれば私の名を出せばよい、理解したなら下がれ」
「御意」

65:E慣らし幕間 7
07/02/21 01:06:14 YKhp7rzR
「随分と不機嫌なのだな」
退出していく娘を見ていたジョゼフに声をかけるものがあった。

「ビダーシャルか、呼びつけた覚えは無いが何用だ」
「なに、以前お前が退屈だとぼやいていたではないか。
 チェスの相手すら満足につとまる相手もいないなど、な」
ジョゼフの視線は続きを促していた。
「蛮人のゲームで満足できぬのなら我らの競技はどうだろう、思ってな。
 定石も固定概念も無い全くの新規格であれば話は別だろう」
「ほう、お前達エルフでも机上とはいえ争うことがあるのだな」
「嫌っているだけで禁止しているわけではない。必要があればその限りではないさ」
「参考までに聞いておこう、その必要とはどのような時生じる?」
「精霊との契約に臨む交渉者の優先順位だな。
 我らは精霊との契約には常に個で向き合うことが大いなる意思への敬意と考えるからだ」

「ふん、その程度か…想い人をかけてとでもいえば親しみを持てたのだがな」
「次からはそう答えることにしよう。それで競技は受けるのか?」
「まぁ退屈しのぎにはなるかもしれんな、でどんなものだ」
「この場は少し向かんな。対局しやすい場に移るとしよう」
謁見の間から場を移すことを提案され、チェスに使われていた一室に入る。
「いきなり我らの様式では準備がまだ揃っていないからな、お前達のものを流用してみた。
 台座の形が違うモノが複数合って助かった」
小脇に抱えていた羊皮紙を広げるとそこには9×9に区切られた無地のマスと同色のチェスの駒が
2セット(というよりは2セット分から同色だけを抜き出したものが)転がる。
「正直2セットでは足りぬので3セット崩させてもらった。
 まず手前から3列目にポーンを並べる、2列目は縦の2筋と8筋に、向かって右にルーク、左にクイーンを並べ
 最後一番手前には中央からキング、色違いのポーン、ビショップ、ナイト、色違いのキングを置く……
その後しばし駒の動きの差異やルールを解説しおえたのち対局が始まり何順かが過ぎた頃ビダーシャルが口を開いた。
「そういえば先刻は随分と寛大な処置だったな。部下とはいえ実の娘はやはり可愛いか?」
その問いに対するジョゼフの表情はやはり変わらない。
「娘であろうとエルフであろうと同じだ、全てはこの将棋と同じガリアの駒に過ぎん」
「そういうものか」
口調だけなく中身までもが淡々としたやりとりとともに両者の時間は流れていった……

66:E慣らし幕間 8
07/02/21 01:06:56 YKhp7rzR
 グラン・トロワを辞した自らの本陣、プチ・トロワに戻るや宝物庫へと使いを走らせた。
あの忌まわしい記憶を引き起こした元凶の〝あれ〟は朽ちるまで封印しておくつもりだったが
北花壇騎士を使えぬ以上保険はかけておきたかった。
お父様は怒られはしたものの処罰はされなかった、最後には期待の言葉も下さった。

使いに出す前によくよく言い聞かせたとおり侍女は〝あれ〟に直接ふれることなく小ぶりの箱を大事そうに抱えてきた。
「またお前を使わなければならないなんて癪だけれどね」
侍女を下がらせ、悪態をつきながら眼前の小箱の蓋を開く。
『姫殿下、私は昨年お暇を願ったはずですが』
「長年、ガリアの影の仕事を受けてきた上に依頼者にあのような反逆をするモノを野放しに出来るわけが無いでしょう。
 けど、この仕事を首尾よくやりおおせればお父様に私からもお願いしてあげるし
 好きな付き人の一人でも選ばせてあげるわ」

箱の中から返ってきた言葉に被せるように命令を下す。
「だから、今夜襲ってくる賊を確実に仕留めなさい。いいわね?〝地下水〟」

67:191の者
07/02/21 01:11:45 YKhp7rzR
と今回はなんとかここまでです。
どうにか書きたかったことが匂わせられるところまで…
だが、しかし、迫るISP解約の期日、引越準備
クライマックスとそれ以上に構想が固まってしまったオマケは書けるのか?
という状況ですが、努力したいと思います。

68:名無しさん@ピンキー
07/02/21 01:15:30 YBSHHwJh
………狙ったかのように挟まっちまったorz
しょうじきスマンかった。

69:191の者
07/02/21 01:25:07 YKhp7rzR
>68さん
いえ、自分は投稿作業であたふたしてましたし
一応レス分ごとに区切れは付くかな、というつもりで書いてるので
そこまで気にされることも無いですよ。

あ、あと書き忘れてたこととしてようやく幕間終わりっす(汗

70:名無しさん@ピンキー
07/02/21 02:32:05 u1u/VZcs
>>67
及ばずながら応援してるw

71:名無しさん@ピンキー
07/02/21 02:39:31 bE8iwnSs
>>67
ちょっとまて、その呪文は……!?
そうか、風石って飛行石の事だったのか!

バルス、もといGJ!


72:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:48:25 +r65gcO1
夜勤明けはツライわあ。眠れないんだもの

そうそう、ちょうどよい電波みつけたんで置いていきますね
URLリンク(www.youtube.com)

ちなみに俺がきゅいきゅいモノを書かない理由は。
どう考えても才人と絡められないからですっ!
っていうか「タバサの使い魔」でカンベンしてくれえorz

じゃあ続きいくぜー

73:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:50:40 +r65gcO1
才人は固まった。
…キスまではいい。
当たり前ではあるが、いきなり押し倒すことをリクエストされるとは思わなかったのである。

「あのねシャルロット?」

才人の言葉にしかし、タバサは下から才人を上目遣いに見上げるだけだ。

「…なんでも言うこと聞くって言った」

不満そうに眉をへの字に曲げて、そう言い放った。
…いやまあたしかにそうだけどもさ。

「…ホント、えっち好きだなあ、シャルロットは?」

才人は、人差し指をタバサで額をこつんと小突くと、わざと意地悪に言ってみる。
するとタバサは赤くなって一瞬顔を背けたが、すぐにもう一度上目遣いに才人を見つめて、言った。

「…えっちが好きなんじゃない」

言って、一瞬の早業で才人にぎゅうっ、っと抱きつく。

「…サイトが、すきなの…」

思わぬカウンターパンチであった。
その一撃は才人のテンプルを見事直撃し、彼の貧弱な理性をTKOした。
才人は即座にタバサを床に押し倒すと、乱暴にその小さな唇を奪った。

「サイト…」

唇を開放されたタバサは、とろけた視線で、才人をじっと見つめる。
すでに、心も身体もすっかりできあがっていた。
覆いかぶさる才人の首にそっと手を回して、彼の目に映りこんだ自分が見えるほど、顔を近づける。
お互いの吐息が頬を焦がす。タバサの理性も、徐々に獣に支配されていった。
しかし、才人の吐息は、すぐに言の葉に変わった。

「シャルロット、で、次は?」

…え。
甘い痺れにとろけかけていたタバサの意識が、少し、覚醒する。

「次にして欲しいこと言ってくれなきゃ?」

にやにやとイヤらしい笑顔を貼り付けて、才人はタバサの上でそう言った。
つまり、才人はこう言いたいのだ。

して欲しいこと全部言わなきゃ、してあげないよ?

…うー、いじわる…。
タバサは非難を込めて半眼で才人にガンを飛ばしたが。

「シャルロットがしたくないんならしょうがないなあ」

言って、首に絡みついたタバサの腕を解いて立ち上がろうとする。

74:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:51:17 +r65gcO1
「あ、やっ…!」

タバサは慌てて腕に力を込めて、才人に抱きつく。
そんなタバサを満足そうに見つめると、才人は勝ち誇ったように言った。

「さ、シャルロットのして欲しいこと、言ってごらん?」

…この、へんたい…。
泣きそうな顔で才人に抱きついたまま、タバサは非難の視線を才人に浴びせる。
しかし、才人の言葉に抗えるだけの力は今のタバサにはなく。

「服、脱がせて…」

真っ赤になって顔を逸らしながら、才人に要求を告げるしかなかった。

サイトは私の言うがまま、私の服を脱がせ始めた…。
左手で私を抱えたまま、器用に右手でスカートのホックに手をかけると、私の足からあっという間にスカートを抜き去ってしまう。
無防備になった私の下半身はそのままで…。今度は、上着のボタンを、外し始めた。
ひとつ、ひとつ、ボタンが外されていくたびに、私の鼓動が跳ね上がる。
…ボタンがぜんぶ、外れた…。
少し冷たい外気に、肌が直接触れる。
でも、大丈夫…。
今から、サイトが、いっぱいあっためてくれるから…。
でも。
そこで才人の動きが止まった。

「全部、脱がせなくてもいいよな?」

え?どういう意味…?
サイトは私の服を前だけはだけさせて、そこで動きを止めている。
全部脱がせてって、言わなきゃダメなのかな…。
はやくサイトに弄って欲しい私は、それを言葉にしようとした。
でもその言葉は、サイトの言葉で打ち消された。

「…このままでも、いじれるしな?」

…もう、えっちなんだから…。
私は彼のその言葉に、無言で頷いた。

75:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:52:22 +r65gcO1
うむ。やはり半脱ぎは正義である。
頬を染めて、シャルロットが俺の下から俺を見つめている。
はだけたYシャツの下からのぞく白い肌とかわいらしい桜色のポッチ。
その下には、薄い水色のショーツと、そこから伸びる白いニーソックスに包まれた細い脚。
正直たまりません。
しかし、俺は今にも襲い掛かりそうになる自分をかろうじて押し留めると、俺の下で俺を見つめるシャルロットに言った。

「ほら、シャルロット。
 して欲しいこと、言ってごらん?」

俺の言葉に、シャルロットは赤くなって視線を逸らす。
まだ吹っ切れてないかー?
でも。
そ れ が ま た い い。
シャルロットは、視線を逸らしたまま、小声で言った。

「…いじって…」

うんうん、俺だって早くいじりたいよ?でもね?

「もうちょっと、わかりやすく、具体的に言って欲しいなあ?」

シャルロットは俺の台詞に、ぐっ、と一瞬何かが詰まったような顔をしたが、すぐに。

「私の感じるところ…いじって…」

言ってきた。
…んーまあ、もう少しダイレクトにエロ語で言って欲しかったんだけど。
まあ、及第点ってことにしときますか?

「よくできました♪」

俺はそう言って、もうすでに硬くなっているシャルロットの小さなさくらんぼを優しく噛んだ。

「あんっ」

可愛い声を上げて、俺の頭を抱えるシャルロット。
…正直、動きにくいデス。
…あそっか、手が自由だから邪魔されんのか。
そこで俺は。

「…あっ…」

頭に回されたシャルロットの手を引き剥がし、その両手の指に俺の指を絡ませた。
シャルロットの顔が、嬉しそうに綻ぶ。
…ま、女の子がこういうの嬉しいのは分かってるけど。
なんかちょっと気に病めるな。
拘束するためだしなー。
なんて俺が考えていると、シャルロットが次の要求を口にしようとしていた。
…少し、サービスしてやるかな。
俺はシャルロットがそれを口にする前に、シャルロットの唇を優しく塞いだ。

76:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:53:21 +r65gcO1
才人のキスと、優しく絡められた指に、タバサの心は完全に溶けた。
素直になろう。
ここにいるのは、今、二人だけ…。
そう思った瞬間、タバサの喉から自然に声が転がり出た。

「ぱんつ…脱がせて…」

その要求に、才人は絡ませていた指を解くと、タバサの腰に手を伸ばす。
薄い布の上からタバサの細い腰に才人の指が触れたとき、タバサは自ら腰を浮かせ、ショーツを脱がせやすくした。
才人はそのままその湿った薄い布をタバサの脚から抜き取る。
そして、もう一度タバサに覆いかぶさる。

「それじゃ…?」

言おうとした才人の唇を、タバサが人差し指で塞ぐ。
そして、自ら眼鏡を外し、素顔で才人をじっと見つめて、言った。

「サイトのおちんちんで…私を奥まで、犯して…」

その言葉に、才人は。
自らをズボンの前から引き出し、タバサの秘裂を一気に奥まで貫き。
互いの両手の指を絡めると、タバサの唇を乱暴に塞いだ。

77:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:54:12 +r65gcO1
聖女の日の次の日、タバサに会いに行った。
うまくいったかしらあの娘?
彼女の部屋の前に着き、私はドアをノックする。

「はーい、誰なのー?」

あれ、この声は。
タバサの使い魔、シルフィードの声。

「私よ。キュルケ」

私の声に、シルフィードは扉を開けてくれて…。
いきなり抱きついてきた。

「よかったのねー!お姉さまが壊れちゃったのねー!」

へ?タバサが壊れた???
ま、まさか…!サイトにふられれてっ…!?
私は慌てて部屋の中に駆け込む。
すると。

…これダレ?

寝巻きのまま、枕を抱えてもんのすごい満面の笑みをたたえたタバサがそこにいた。

「…タバサ?」

私が名前を呼ぶと。
もんのすごいキモいにやにや顔でタバサがこっちを向く。
…私の背中をイヤな汗が流れ落ちる…。

「ねーねー聞いて聞いてキュルケーっ!」

枕を放したタバサがおもいっきり飛びついてきた。
…壊れたってこういうことかーっ!!
そして私は目線でシルフィードに疑問をぶつける。

「し、しらないのねー!お祝いだってお酒飲んだらこうなっちゃったのねー!」

な、なるほどうまくはいったわけね?
で、でもこんなになるくらい飲むなんて…。
よく見ると、ベッドサイドには私でもめったに飲まない強い銘柄のお酒のビンがころがっている。
これが原因か!

「あのねあのねあのね、昨日、サイトがねっ」
「ああもうわかったから落ち着きなさいな!聞いてあげるからっ!」

しかし、私の声はタバサには届いていなかったみたいで。
そして、そのあと小一時間、私は雨あられとおのろけを喋りまくるタバサという信じられないものを目にしたのだった。~fin

78:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:58:34 +r65gcO1
ほら、きゅいきゅい出してやったぞな!
これでカンベンしてつかぁさいや(何

今回は純愛(?)系でいきたかったので少しエロ薄くしてみました(どこがだ

まあそういうわけですんで、今後俺がきゅいきゅいモノを書くことはナッシングなので他の職人さんにまかしますw
ではではノシ

あ、関係ないけどコードギアスの第3期OP見つけたんで置いていきますね(嘘
URLリンク(www.youtube.com)

79:名無しさん@ピンキー
07/02/21 04:03:40 BMNSIqN6
>>78
電光超人並の速さで一番槍ィィィGJ!
相変わらずのハイクォリティに乾杯!

80:名無しさん@ピンキー
07/02/21 05:46:19 m4FbFyOc
OK、これで今日一日頑張れる。GJ

81:名無しさん@ピンキー
07/02/21 10:16:31 IBXs84c7
つうか皆何時まで起きてるんだよ…せんたいさん仕事仕事!(リアルの方の)
>>67の191さんも>>78せんたいさんもGJ!
前スレでも言ったんだけど
シルフィードはエロ無しの方が引き立つと思う。
タバサの信じられない光景、ね。ん~イィ♪

82:名無しさん@ピンキー
07/02/21 10:17:43 7FpV9pIq
タバサ×才人の時のいやらしさは半端じゃない、さすがへんたいさんGJ!

83:名無しさん@ピンキー
07/02/21 12:53:17 85p2CML2
>>78
流石はへんたいさん、GJ!!
で、次は誰を布団の中で強姦だ?

84:名無しさん@ピンキー
07/02/21 13:43:52 e/ERwgks
順番的に六芒星GJ!
電波ソング聴いたら頭から離れなく…へんたいさん、この男…できる!

85:名無しさん@ピンキー
07/02/21 14:25:31 1OQx1nyI
「エッチがすきなんじゃない」
「サイトがすきなの」

うおおおおおおおおおおお!!!!!!
これは来たぜえww
相変わらずいい仕事してますね。GJ!

86:名無しさん@ピンキー
07/02/21 14:49:41 MM0RAQiP
へんたいさんのタバサ愛は異常w

87:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:04:12 +r65gcO1
ふと思いついたネタを投下。
電波にのりつつ30分で書いたんでアレな内容ですがw

88:ある吟遊詩人の手記 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:05:18 +r65gcO1
これは、ある男の、悲劇の物語。
己を犠牲にし、世界を守った、ある男の、悲劇の物語----。




…そうして、世界は平和になりましたとさ。オシマイ。
え?各国が常時睨みあってる今の世界のどこが平和だ、って?
アナタなかなか皮肉家ねえ。
たしかににらみ合ってるけど。
アナタその原因知ってる?
…ふむふむ。版図拡大に経済侵略、民族対立ときたか。
ぜーんぶハズレ。
じゃあお姉さんがいいことおしえたげる。
各国がにらみ合いしてるのは、とある男を手に入れるため。
…んな馬鹿な、って…。
ホントだからしょうがないじゃない?
じゃあもう一個おしえたげる。
列強各国の第一王位継承者、実は全員兄弟だって知ってた?
目が点になったね。あはは、大ボラもたいがいにしろ、って?
ホントよ?
トリステインの第一王子が長男かな?一番年上だし。
そそ、その魔法騎士。彼が剣を修めたのは、実の父に喧嘩売るためだってもっぱらの噂よ。
次が、ガリアの三つ子姫たち。有名でしょ?
そ、水と風と火の巫女。こっちはちょっと違って、すっごいファザコンらしいんだわ。母親の教育らしいけど。
そんで次が、エルフの統領の息子。
…エルフの統領がなんで?って顔ね。まあ、今の統領は半分人間らしいし。そのへん絡んでるんじゃない?
ゲルマニアはガリアに統治されちゃったし、このアルビオンも今はトリステインのものになっちゃったし。
この三国が、ある男を血眼になって捜してんのよ。
…っていうか、各国の王様が、よね。みんな女王だけど。
…やっとわかった?
そ。そういうこと。
三人の女王に手を出した命知らずの馬鹿がいるのね。
しかも、ご丁寧に全員に種つけちゃったわけ。笑える話よね。
で。なんで逃げてるのかって?
理由は簡単よ。彼、ある女性に『飼われて』んの。
何?文字通りよ?含みもなーんもなしで。
その女性に頭が上がらないから、逃げてるわけ。
まあ、もしどこかの国が彼を手に入れたりしたら…。間違いなく全面戦争ね。
ほら、あんたも衛視の詰め所かなんかで見たことあるでしょ?
『黒髪の男』の賞金首。アレよアレ。
…はは、ものすごい金額だから冗談だろうって思ってたって?
そーねー、確かにすごい額よねアレ。あの金額あったら、軍隊編成できるもんね。
でも、あんた見たところ剣士みたいだけど…。
彼に喧嘩売るのだけは止めたほうがいいわよ?
あの賞金が冗談じゃないってわかるから。
彼はかつて、たった一人で七万の軍勢を一人で止めて、一人で三万の軍を敗走させて、一万の軍隊を率いて戦った英雄よ。
…そ。かつての『トリステインの盾』。
今じゃ『最強の種馬』なんて呼ばれてるけどね。

89:ある吟遊詩人の手記 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:07:26 +r65gcO1
…あ、いらっしゃーい。ってお兄ちゃん。
…何?また嫁と喧嘩?はいはい、馬小屋なら開いてるから自由にどうぞ?
ん?今の?昔世話になった人。今はこっちが世話してんだけど。
時々夫婦喧嘩してここに逃げてくるの。まー、嫁に頭が上がらない典型的なダメ夫ね。
で、なんだっけ。
ああ、なんで行方がわからないのかって?魔法で探せないか、ってか。
それは無理。その飼い主の女性が実は、『虚無の担い手』でね。魔法の追尾を虚無の魔法で切っちゃうのよ。
…いらっしゃーい。あらルイズさん。
…来てないですよー、馬小屋も空ですからねー。
そ、今のがさっきの人の妻。…ひどいんじゃないかって?
…宿屋ごと魔法で消し飛ばされるよかマシだって…。被害は最小限に留めたいじゃない?
…おー、今日もよく響く断末魔だこと。
…ん?結構こういうことあるのかって?…そーねー、半年に2回はあるかな?
あんたも気をつけなさい。気の強い女を嫁にすると大変よ?
あー、あなたー?町にいくなら仕入れもお願いねー?あと娘の誕生日プレゼント忘れないでね?
忘れたらくびり殺すから♪
…あ、ごめんなさいねー。あの宿六、釘さしとかないとすーぐ忘れるのよ。
で、なんだっけ。
ああそうそう、宿帳だったっけね。はいこれ。
ん?この宿屋の名前の由来?
あはは、そんなのないない。元は旦那の持ち物でね、『鹿角亭』っていったんだけど。今風じゃないじゃない?
だから、私の名前で、『タニアズ・イン』にしたの。洒落てるでしょ?
…はい、まいどー。一泊ね?も少し泊ってけばいいのに。
え?急ぎなの?そりゃあ仕方ないわねえ。
一週間も泊ってけば、ウエストウッド名物の天下分け目の痴話げんかが見られるのに。
…疲れた顔してどーしたの?若いのにだらしないわねえ~。

~放浪の吟遊詩人・ヒースクリフ記す~

後に、彼のこの体験を記した著書のタイトルは、ハルケギニアの歴史に刻まれることになる。
『気の強い女に手を出すな』

90:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:08:15 +r65gcO1
以上。
うん、なんかイマイチだねw
まあ華麗にスルー推奨(ぁ
ではではノシ

91:名無しさん@ピンキー
07/02/21 16:10:35 sWFgJS+Q
いや、最高ですwwwwwww

92:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:12:38 +r65gcO1
あ、しまった、文中の「剣士」を「旅人」あたりに変換しといてくだせえorz


93:名無しさん@ピンキー
07/02/21 17:56:37 EXvdRRE7
>>92
せんたいさんに聞きたいんだけど
モンモンとかジェシカとかイザベラとか書けますか?
まだせんたいさんが書いたことのない
キャラの作品が見たいんだけど

94:名無しさん@ピンキー
07/02/21 17:57:48 am/o/TpW
つづきものシリーズの後日談の一つの可能性・・・ってことでいいのかな?

95:名無しさん@ピンキー
07/02/21 19:39:43 z8/X4dML
>>90
そして自分は冒険仲間の神官とできちまうわけか!
…え?そっちじゃない?

96:名無しさん@ピンキー
07/02/21 22:48:06 u1u/VZcs
>>90
GJ!だけど・・・・
トリステイン・・・アン様と才人の子供
ガリア・・・タバサと才人の・・(略
エルフ・・・テファと・・・(略

なのはわかるが語ってるのは誰なんだろ?あーなんかせんたいさんの作風が
205氏調に(笑)

97:名無しさん@ピンキー
07/02/21 22:54:54 sWFgJS+Q
語り手はジェシカ(名前うろ覚え)じゃないの?

98:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:05:27 Jb8bGke1
>>96
89に 私の名前で、『タニアズ・イン』

ってあるからタニア(へんたいさんの中ではウエストウッド村の子供の名前)
のはずですよ。
ただ7巻での子供の名前はジャック、サム、ジム、エマ、サマンサ
しかでてないからオリジナルキャラでしょうね。


99:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:25:29 suUjQ9bT
タニアって普通に原作で出てきてると思ってた
他にもギトーがやる気出したらタバサに吹き飛ばされて~~とか色々汚染されてる・・・
コノスレマジキケン!

100:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:38:54 K5fTzXs4
せんたいさんGJです!

それではこちらも負けずに投下します!

才人×シルフィードです!
獣(竜?)姦が苦手な方はスルーして下さい!

それでは、いきます!

101:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:39:48 K5fTzXs4
とある虚無の曜日。才人は部屋の掃除をしていた。
ご主人様であるルイズは買い物に出かけている。シェスタ・キュルケ・タバサらと一緒だ。
普段は何やかやと言い合っているが、一緒に出かけるようになるとは仲良くなったもんだよなぁ、と才人は感慨にふける。

と、コンコン、とドアがノックされた。才人がドアを開けると、そこには人間の姿になったシルフィードが立っていた。
「サイト! きゅいきゅい!」
そう言いながらシルフィードはひょこひょこと才人の部屋に入ってきた。
「おい、シルフィードどうしたんだ?」
才人は彼女に椅子を勧めながら訊いた。シルフィードは椅子に座るのも一苦労で、結局ベッドに腰かけながら答えた。
「お姉さまがお友達と一緒にお買い物に行っちゃって暇だったのね。だから、サイトに逢いに来たのね。」

「俺に?」
才人は自分を指差しながら聞き返す。シルフィードとは特に親しくしてる訳ではない。大体竜だし。
まぁ広場なんかで見かけた時には撫でてやったりしてやるが、そんな程度の付き合いだ。

シルフィードは嬉しそうにきゅいきゅい言いながら答える。
「そうなのね! 実は前からサイトにお願いしたいことがあったのね!」
才人は自分の分とシルフィードの分のお茶を淹れながら答える。
「ふーん、俺にねぇ。何よ? 無茶なことじゃなかったら別に構わないぜ。」
暇だし。お茶を啜りながら才人は言った。

才人にそう言われ、シルフィードは嬉しそうに答えた。
「ありがとうなのね! 大丈夫! サイトがいつもやってることなのね!」
俺がいつもやってることねぇ。才人はまたお茶をすすりながら考える。
剣の稽古だろうか? まさか掃除洗濯という訳は無いだろうけど……。

そんな才人の思考はシルフィードの一言によって吹き飛ばされた。
「あのね? シルフィとエッチして欲しいのね!」
ぶ───ッと才人は飲んでいたお茶を吹き出した。

「ちょ! お前なぁ……!」
才人は激しくむせこんでいる。そんな才人を無視してシルフィードは続ける。
「シルフィいつも窓から見てたのね! ミス・ヴァリエールもメイドもお姉さまもみんな気持ちよくって幸せそうだったのね!
 シルフィもあんな風に気持ちよくなってみたいのね! きゅいきゅい!」

102:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:40:53 K5fTzXs4
才人は目頭を押さえてうめいた。っつーか、お前、覗いていやがったのか……。
小一時間問い詰めたい気持ちを抑えて才人は立ち上がり、ベッドに腰掛けるシルフィードに近づく。
きゅい? と見上げるシルフィードの両肩に手を乗せ、才人は語り始めた。

「いいかシルフィード? ああいうことは……その、本当に好きあった者同士でないとやっちゃいけないんだよ。
 興味本位でやるものじゃあないんだ。分かるか?」

「シルフィ、サイトのこと好きよ? きゅいきゅい!」
「いや、そういう好きじゃなくってな? その……。」
「それとも……サイトはシルフィのこと、嫌い?」
きゅいぃ、とシルフィードは潤んだ瞳で才人を見上げてきた。その仕草に才人は思わずグッときてしまう。
しかもよくよく見てみれば、シルフィードはかなり大胆な服を着ていた。胸元が大きく開いている。

才人の視線に気づいたシルフィードが嬉しそうに言う。
「あ、この服? キュルケのお部屋からちょっと借りてきたのね! シルフィ服着るの嫌いだけど、
 サイトのために頑張ったのね! きゅいきゅい!」

こ、こいつ意外と健気じゃねぇか……。流されやすい才人は、だんだんとその本領を発揮し始めた。
確かにこいつは竜だけど、今は人間の格好してるしな。それに、む、むむむ胸もでっかいし。
本人が良いってんだから、このままやっちゃっても良いんじゃないかな……?

しかし、そう考えた才人の心に桃色の髪をした少女の姿がよぎった。才人ははっとする。
そうだ、俺には愛しいご主人様がいるじゃあないか。彼女を裏切ることなんて……!

そう考えた才人は、真剣な顔でシルフィードに告げる。
「いいかシルフィード。俺はお前とそういうことをする気は無いんだ。俺はお前のこと嫌いじゃないけど、
 でもそういう対象とは見られないんだ。分かってくれ。」

真剣な態度と声で才人は言った。……しかし。
「……でもサイトのアソコはすっごく元気になってるのね! きゅいきゅい!」
そうなのである。頭では一生懸命冷静になったつもりでも、大胆な格好をした美少女を前に本能までは抑え切れなかったのである。

あ───ッもう! 俺のバカ! 犬───ッ!!
才人は立派に猛ってしまってクライマックスになった息子を感じながら己を罵倒した。
そして、今まで抑えてきた理性がだんだんとろけるのを感じた。
……ゴメンなさい、ご主人様。才人は犬です。駄目な犬です。色ボケ犬です。もう欲望を抑え切れません。
でも犬の一番はご主人様です。それだけは信じてください……。


103:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:41:52 K5fTzXs4
そんなことを考えていた才人に、シルフィードがトドメを刺す。
「サイト、我慢しなくていいよ? シルフィのこと、いっぱい気持ちよくして? きゅいきゅい!」
それを聞いた瞬間、才人の理性は完全に瓦解した。
頭の中では「いーじゃん! いーじゃん! すげーじゃん!」という謎のフレーズがリフレインしている。
そして。
「シ、シルフィードーッ!!」
「きゃー!きゅいきゅい!」
才人はシルフィードを押し倒した。

「あっ……サイト……そんないきなり……。」
才人はまずシルフィードの豊かな胸にむしゃぶりついた。
シルフィードは下着を着けておらず、布地の上からでも先端の存在がはっきりと分かった。
「お前……下着を着けないなんて凄いな……。」
「……え? だ、だって下着の着け方って分からなくて……。」
きゅいい、とシルフィードは恥ずかしそうに答える。そういやこの服ってキュルケの物だっけ、汚しちゃまずいよな。
そういう所だけ妙に冷静な才人は、シルフィードの服を脱がした。
「きゅいい……。な、なんか恥ずかしい……。」
シルフィードの裸体は美しかった。
滑らかな肌。すらりと伸びた手足とほどよくくびれた腰。そして胸。桃りんごほどではないが、適度なバランスを保った上で大きく実った胸。
才人は改めて胸にむしゃぶりつく。片手で胸を揉み、片方の胸の乳首を吸い上げる。
「ひゃあんっ! 何か凄いっ! シルフィ、こんなのはじめてぇっ!!」
シルフィードは快感に身をよじらせる。その仕草に興奮した才人はシルフィードをさらに責め立てる。

首筋から二の腕、脇の下、腰へとまんべんなく愛撫を加えていく。どうせ竜に戻ればわからんだろうとキスマークもつけまくった。
「ああんっ! サイト! シルフィ気持ち良いよぉっ! もっと、もっと気持ちよくしてぇっ!!」
シルフィードは与えられ続ける快感に酔いしれていた。才人はそんな彼女の様子を伺いながら、そっと秘所に手を伸ばす。
「うおっ!? お前、凄いな……。」
シルフィードの秘所は、既に濡れ濡れであった。大洪水である。
「ふぇっ!? シ、シルフィ、お漏らししちゃったの!?」
シルフィードが自分の股間の状態に気づいて声をあげる。才人はそんな彼女がおかしくて、愛しくて、そっと口付けをした。
「……あ? サ、サイト……。」
「大丈夫、シルフィードが俺を受け入れる準備が整った証さ。」

そう言うと、才人は自らの分身をシルフィードの秘裂にあてがう。
不安な顔をみせるシルフィードに才人は小さく笑いかける。
「大丈夫、優しくするから。」
「うん……。来て……サイト。」
その言葉を聞き届けて、才人はシルフィードを貫いた。
「ぐううっ……!」
「あああっ……!」
二人は同時に声をあげる。才人はシルフィードに声をかける。
「シ、シルフィード……。大丈夫か……?」
「うん……。ちょっと苦しいけど、痛くはないのね……。」
その言葉に才人は安堵する。そういえば犬には処女膜が無いというが、ひょっとしたら竜にも無いんじゃなかろうか。
そんな事を考えながらも才人はゆっくりと動きだした。

104:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:42:38 K5fTzXs4
「あっ! あっ! サイト凄い! 凄いよぅっ!!」
才人に突かれながらシルフィードは喘ぐ。普段の天然ぶりからは想像できないほど激しく、いやらしく乱れる。
才人は才人で必死だった。
シルフィードの膣は締め付けが強力で、さらに複数の箇所で才人を締め付ける。
流石に伝説の風韻竜なだけあって、アソコも伝説級の名器であると言えた。
しかしこちらも伝説の使い魔だ。そう簡単に轟沈してしまっては伝説の名が廃る。
才人は歯を食いしばりながら、シルフィードを責め立てた。

しかし、徐々に射精感がこみ上げてくる。
このままではマズい、と判断した才人は、シルフィードのクリトリスに手を伸ばした。
「ひ、ひゃあああっ!!」
その瞬間、シルフィードの背中は弓なりに反り、膣も急激に才人を締め付けた。
どうやらそこが急所だと判断した才人は勝負に出る。クリトリスを刺激しながら激しく腰を打ちつけ始めた。
「あああ! サイト! そ、そんなに激しくしちゃらめぇぇぇっ! シルフィ壊れちゃううううっっっ!!」
シルフィードも限界が近いらしく、才人の背中に回した手に力が込められる。そして。
「ああっ! サイト! 何かくる! こわい! こわいよぅっ!!」
「大丈夫だシルフィード! 俺がいる! 安心してイッちまえ!」
「いいの!? いいの!? シルフィイクよ!? あっ……ああ───ッッッ!!」
一際大きい叫び声を上げた瞬間、シルフィードの体がびくん! と跳ね上がり、痙攣し始めた。それと同時に膣も激しく収縮する。
「っくううっ!?」
その刺激に耐えかねた才人も、シルフィードの中に己の欲望を吐き出した。大量に注ぎ込む。
「あっ……サイトの……凄く熱い……。」
才人の射精を受け、シルフィードはまた上り詰め、失神した。

「まったく……可愛い寝顔だな。」
才人はそう言いながら、シルフィードの髪をなでる。シルフィードは初めての性交と絶頂を経験したせいか、すやすやと寝入ってしまっている。
「けど、このままじゃあヤバいよな……。こんなとこ見つかっちまったらどうなるか……。」
才人はぶるり、と身を震わせると、シルフィードを起こそうとした。
しかし。

がちゃり、とドアが開いた。
硬直した才人とベッドですやすやと眠るシルフィードをルイズ・シェスタ・タバサ・キュルケが見つめる。
「あちゃー……。何かこれから揉めそうだから、私は部屋に戻るわね。」
キュルケはそう言うと、そそくさとその場を離れる。
残った三人は無表情のまま部屋に入り、ドアに鍵をかける。
三人からは、ドス黒いオーラが噴出している。
「いや……その……これは……。」
何とか言い訳をしようとする才人だが、上手く言葉が出てこない。
「うう…ん。」
その時、シルフィードが寝返りを打った。その拍子に布団がめくれ、裸体があらわになる。
その体にはキスマークが沢山つけられており……。

『……』

それを見た三人のオーラはさらにドス黒さと勢いを増した。そして三人は、思い思いの準備運動を開始する。
その光景を見た才人は、絶望しきった声で三人に尋ねる。
「えっと……。今日は三人だから、お仕置きは通常の三倍でしょうか……?」

『ううん。』

三人は全く同じ動作で首を振り、同じような笑みを浮かべてこう言った。

『九倍。』

この世のものとは思えない程の折檻が行なわれている部屋で、シルフィードは幸せそうに眠りながら寝言を呟いた。
「むにゃ……サイト大好き……。またシルフィードとエッチしてね……きゅいきゅい……。」



105:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:48:00 IBXs84c7
タニアはオリキャラだったのか。気がつかなかった…
せんたいさんの電波はどこ原産なんだろう?
語るカンジの形式好きだな。

106:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:48:26 K5fTzXs4
以上です。

52、54でせんたいさんのSSを希望した者ですが、竜姦ものは無理とのことでしたので、自分で書いてみました。

反省はしていますが、後悔はしておりません。

時間が出来たらタバサも絡めた3Pモノも書いてみたいですー。エロももっと増やして!
しかし自分は何でいつもマイナーというか異端なカップリングに走ってしまうのか……。
とにかく、自分以外のきゅいきゅいが好きな同志の存在を信じて頑張りますー。ではー。

107:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:52:44 z/+XVdD5
>>106 GJ!

そのうち有るとは思ってたけど、三次創作か……
原作の二次創作じゃないよな。

108:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:56:22 IBXs84c7
>>106割ってスマン。GJ!
(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ
きゅいきゅいは非エロって言った俺だけど、アリだな。
>>102の「小一時間問い詰めたい気持ちを抑えて…」の部分がキョンを想起させた。

109:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:04:43 z0+XKxzy
もうここのスレのサイトを見ていると犬じゃなくて馬って呼んだほうがいいような気がしてきた

110:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:05:08 25TyZ4M2
とりあえず前スレ埋めたぜ。

111:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:23:18 Mev+F1Sq
>>106
その姿勢は気に入った!これからも頑張ってくれ。3PSSは期待してる

>>110
任務、乙。

112:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:39:35 dwy2NGGM
>>106が電王を知っていることがわかって親近感が沸いた。

113:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:42:38 /66gIN9m
>>106
俺はあんたのような人を待ってたぜ!!GJ!!


114:無知で愚かな374
07/02/22 01:10:32 1n17NEQ0
皆さん
いま現在
私の家では家族みんながぐっすり寝てます。
チャンスと言えばチャンスです。
が・・・
途中までで
焦らし、寸止めのたぐいになります。
そんな私が投下シテも良いでしょうか?

115:名無しさん@ピンキー
07/02/22 01:22:29 cp338Hk/
>>114
カモン! カモン!!

116:261のひと
07/02/22 01:50:58 3vzC0qwc
最近にぎやかで幸せ。
>>114 あと1分ほど待ってレスが無かったら自分の分投下初めても良いでしょうか?
文面からすると打ってる途中だと思うのですがどうでしょう?

あ、あと名前、そろそろ止めませんか?


エロくないので恐縮なのですが、では暫し後に。

117:1/11
07/02/22 01:52:24 3vzC0qwc
 しまったな……サイトは困り果てていた。
「サイト……お話して?」
 どこか印象が幼く感じるようになったタバサに、気まぐれで地球産の童話を話したのが間違いだった。

「始めて聞く」

 それはそうだろう。
 聞いたことある方がびっくりだ。

 タバサの驚く顔が面白くて、サイトはついつい頑張った。
 うろ覚えのシンデレラは姉の数が少なかったし、
 一寸法師におじいさんは出ない。
 メーテルリンクの青い鳥に至ってはオチしか覚えていなかった。
 それでも……
「すごい……すごい、もっと……もっとお話して」
 いつも無表情だと思っていたタバサの、子供の様な笑顔にサイトは覚えている限りの話を語った。

 ……が、限界は結構直ぐに来た。
「ごめん……タバサ……ん~、これ以上は思い出せないな」
「お話……おしまい?」
 ね、捏造するか? 一瞬だけ悩むが、話を作るのに自信の無かったサイトは諦めた。
「ごめんな……」
 タバサの残念そうな顔に、悪い事をしたかのような罪悪感がわく。
 ペットのエサを買い忘れたまま帰宅したのに、
 当のペットは『待ってました~』と、玄関先で迎えてくれた時のような。

「……ご、ごめん……本当に、悪い」
 サイトは一切悪くないのだが、怒られるのならルイズで慣れているサイトも、
 しょんぼりする女の子には勝てなかった。

 岩よりも重い沈黙にサイトが逃げ出す寸前、
 今にも泣き出しそうな顔でサイトの足元を見ていたタバサが、勢い良く顔を上げる。
「……じゃ、じゃあ……ね」
「お、おう」
「も、もう一度……一度聞いたお話でいいから……」

 ここで喜んで了解したのが間違いの元だった。

「あのね、今のお話……もう一度」
「じゃあ……前の前のお話……ダメ?」

 実は既に俺より覚えてないか?
 サイトがそんな疑いを覚えても、話を止めようとする度に……

「……おしまい?」

 サイトの目には、へちゃりとつぶれた犬耳と、きゅーんとうなだれた尻尾が見える気がした。

「……あー、もうちょっとだけな?」
「うん♪」

 いつの間にかサイトの膝の上で『おはなし』を楽しむタバサ。
 サイトは目じりを下げながら、タバサを楽しませることに集中していたため……

 ――三日後、ルイズがグレた。


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