【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合12at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合12 - 暇つぶし2ch50:名無しさん@ピンキー
07/02/19 20:14:42 Tlq+jSj7
このスレ、トップバッターがせんたいさん氏で2番手が205氏って……
凄まじいスタートダッシュだなあ。
後に続く人はたいへんそう。

両氏ともにGJ。

51:名無しさん@ピンキー
07/02/19 21:27:17 l8jVI6V+
やべっ・・・この歳になって泣きそうだよ・・・・・orz

52:名無しさん@ピンキー
07/02/19 21:46:27 BibhyZYR
せんたいさんって獣姦苦手だからきゅいきゅいモノは書かないって本当?
俺はサイトとタバサときゅいきゅいの3PSSがいつか投下されるものだと楽しみにしていたのだが……。

53:名無しさん@ピンキー
07/02/19 22:57:17 Tlq+jSj7
>>52
イエス
6スレの498でそう言ってる

54:名無しさん@ピンキー
07/02/19 23:32:32 BibhyZYR
そうか……。本当はせんたいさんのSSを読んでみたかったのだが……。

駄目ならば仕方が無い。少し頑張ってみよう。

55:名無しさん@ピンキー
07/02/20 11:23:25 BR/IM4FU
とりあえずおまいら、落ち着いて前スレ消化汁。

56:名無しさん@ピンキー
07/02/20 23:15:01 c+bNma+q
205氏の作品が神掛かっている件

GJ!!!

57:名無しさん@ピンキー
07/02/20 23:26:59 DnP16+oA
>>54
逆に考えるんだ。
獣姦×→獣は駄目、だが…きゅいきゅいは竜→獣じゃない→SSおk!!


58:名無しさん@ピンキー
07/02/21 00:04:40 am/o/TpW
獣姦×=獣は駄目
だがよく考えてみて欲しい

・・・先住魔法で人間の姿になってれば問題なくねー?

59:名無しさん@ピンキー
07/02/21 00:35:39 fUoFxgAx
SS作者の書く物をこっちが勝手に指定するのは止めないか?

ただでさえあのクオリティで書くのは大変だろうに、内容まで指定されるのは間違っても良い気分にはならんぞ

60:191の者
07/02/21 01:01:57 YKhp7rzR
さて、僭越ながら三番手は私めが……
少々読み辛いかもしれませんが良ければご一読のほど…
予定5レスです。

61:E慣らし幕間 4
07/02/21 01:03:05 YKhp7rzR
……
 それから暫く、アニエスが解説を交えつつ手本を見せる。
サイトに実演させアンリエッタが評定を下す、という流れが続いた。
ようやく一通りを済ませ、アニエスさんが最後の項目に目を向け
「後は…、御手を許された時のものぐらいか。
 これは以前にもやっているし省略しても構わ………」
何故かそこで声は途切れてしまった。
「でしたら手本も解説も要りませんわよね、私を相手に実演してくださいまし。
 それからお茶に致しましょう、アニエス用意をお願いね」
代わって姫様の声がした。顔を上げてみると姫様がアニエスさんの前に割り込んできていた。
アニエスさんは何か言いたげだったが結局二言三言ぼやくとお茶の用意に席を外していった。

 執務室に二人っきりになってしまいどことなくぎこちない空気が漂い始める
「さ、さぁ、サイト様、戻ってきた彼女にとやかく言われる前に復習を済ませてしまいましょう?」
呼びつけたときのように頬を染めつつ軽く手を差し出して来る。
復習といっても以前は馬車の小窓に騎乗したままという状況だったのだが、この様子では気にしていないらしい。
以前、ギーシュが気絶して転がった時の姿勢を思い浮かべ片膝をつき、差し出された手に右手を添え
接吻の形をとる。瞬間、薄い生地越しに感じる姫様の体温が上がったように感じた。
先までと同様に評定を聞こうと顔を上げるとアンリエッタの視線は半ば夢見るように宙を泳いでいた。

 このままじゃ、間が持たねぇ……
なにか話題になるものは…と室内に視線をめぐらせるが戦争後に王城の家財も処分されてしまい
これとなりそうなものも見当たらない。が、そんな中でふと違和感とも既視感ともつかない感覚を覚える。
壁の色の違いからみて家財の陰になっていたのだろう。
「姫様、あの壁の紋様だけ違う気がするんですけど……」
「…ぇ? あぁ、あれは…アルビオン王家の意匠ですわね」
その言葉にはたと我に返ったのか少し慌てたようにアンリエッタが答えてくれる。

 あぁ、それでかと納得する。姫様の密使として赴いた陥落前夜のニューカッスル城の宴の場に
掲げられていたものと精緻さは違えど同じ意匠だった。
そうなると何故ここだけ違うのか…異世界出身者としてはこういう時に試してみたくなるものである。
「サイト殿?」
けげんそうなアンリエッタをさしおき件の壁に近付き意匠に手をかざしながら小さく呟く。
「…エク メトテ ロエス…」が何も変化は見受けられなかった。
そうそう都合良くはいかないよなぁ、と思い直しかけてもう一つ思いつく。
どうせ何も無いなら少し遊んでみてもいいだろう、そんな思いから不思議そうにこちらを見ている
アンリエッタに手招きをする。
「どうされました、何か気になることでもありましたか?」
「えぇ、少し確認したいことが出来たのでちょっと手を貸してください」
いまいち状況がわからないといったアンリエッタの手をとりその指に光る風のルビーを壁に近づける。
「これから俺の後に続いて同じように唱えてください」
「え、えぇ、構いませんが、何ですの?」
「ちょっとしたおまじないですよ、上手くいけば面白いことが起きるかもしれません」
悪戯っぽい笑みを浮かべると、彼女も笑みを返してくる。
「じゃぁ、いきますよ。リーテ…」
 「リーテ」
「ラトバリタ…ウルス…」 「アリアロス…ヴァル…」
 「ラトバリタ…ウルス…」 「アリアロス…ヴァル…」
「ネトリール」 「ネトリール」
姫様の復唱が終わったとき壁の意匠が薄く光り家具の跡に見えた線に光が走った。

62:名無しさん@ピンキー
07/02/21 01:03:59 YBSHHwJh
個人的には指定した時のタイミング(SSの流れ)から言ってモグラは駄目…
と言いたかったんだと解釈してたんだが……

63:E慣らし幕間 5
07/02/21 01:04:03 YKhp7rzR
「こ、これは!?」
横で驚きの声を上げるアンリエッタ以上に自分自身も驚いていた。
「試してみるもんだなぁ」

光の走った枠を輪郭とした壁面に触れてみると、先程までの固い感触は感じられず
触れた手を中心に水面に波紋が広がるように波打っていく。
『こんな時に限って、俺を呼ぶなんて相棒ひでぇよ…』
用心の為に半分ほどデルフを潜り込ませてから引き抜くがこれといって害もなさそうだった。
「で、どうよ。この先の様子は」
聞き慣れた愚痴を聞き流し偵察結果を尋ねる。
『ちょっとした通路とその先に扉の無い小部屋が見えたがね』

「なんだろう、非常時の避難口だったのかな?」
「面白そうですわね、行ってみませんか」
「まぁ、行ってみれば判るか。一応用心してくださいね、姫様」
好奇心猫を殺すという言葉もある、背負い直したデルフの柄に手を掛け、一方の手でアンリエッタの
手をひきつつ壁をくぐるとデルフの言葉どおりに人が三人ほど並べる幅の通路と先の小部屋が目に入ってきた。
誰が通るともしれない通路をひたすら照らしていたのかと思われる明かりの中を進み小部屋へと入る。
「避難所というか脱出の機を窺う為の一時待機所、兼倉庫ってとこかな」
「でしょうか…色々な物が置かれていますわね。あら、こんな仮面まで…」
アンリエッタが仮面を手に取って脇の説明書きを読み始める。
「〝反転と再誕の仮面〟、両王家の友好を象徴するべくこの仮面を贈る。
 この仮面を被せられる者、心の仮面を外されん。されど貴族にかような非礼あるまじき。
 なればこの仮面の効をメイジならざる者に限定す……
 まるで自白の魔法が込められたアイテムのようですわね」
その時遠くから声が響いてきた。
「陛下ー!」 「陛下ーどちらに居られるのですか!」

「まずっ、アニエスさんが戻ってきたみたいです」
「それにあの声は枢機卿も来ていますわね、すぐに戻りませんと!」
急いで壁のところまで戻ると室内の様子は見えるのに、中からこちらに気付く様子はない。

「様子を見るための仕掛けですかね、ともかく二人が向こうを向いてる時に戻りましょう」
そういって壁に飛び込もうとしたときに姫様が何かを押し付けてきた。
「思わず持ってきてしまいましたが二人に見つかると面倒そうですわ。
 次の機会までサイト殿が預かっていてくださいまし」
――

「ってわけさ」
『成る程ね、でその仮面がこれってわけか』
「平民というか非メイジ限定だけど一時的に性格とか振る舞いを変化させられるし
 その効果は人それぞれって代物らしい」
『で、相棒の隠された性格がアレってわけだ』
「なんだよ?」
『うんにゃ、一途なようでいて案外黒かったんだな、と』
「ほっとけ」

64:E慣らし幕間 6
07/02/21 01:05:01 YKhp7rzR
 一方、イザベラはグラン・トロワ謁見の間にて父にして主たるジョゼフの前に跪いていた。

「で、使用人悉くを昏倒させられた上、警備ガーゴイルにも少なからず被害を出し
 あまつさえ王女たるお前の寝所にまで賊の侵入を許したというのだな。
 ガリア北花壇警護騎士団長イザベラよ」
「申し訳ありません、お父さ……いえ、国王陛下」
ジョゼフの声音は娘にかけるものというよりも家臣に対するそれであることは
非公式ながらも官職名をつけてきたことからも感じ取れた。
「賊はその後、お前を罵倒し昏倒させ、再度の襲撃を予告したメモまで残して逃走。
 追撃をすることもかなわずおめおめと捕り逃した、まるでいい所無しだな。
 わが国を影から支えるべき騎士団の長がこうも易々と襲撃されるようでは……
 お前の器を見誤った私の裁量違いだったか」
「お、お父様!」
「それともその賊に手篭めにでもされたか」
その言葉にイザベラの顔色が青くなる。
「そんなことは御座いません!我が身の純潔は守り通して御座います!」
「なれば何故、このような失態となるのかな?」

「そ、それは……使用人達は元より警備のガーゴイルにしても戦力として数えられるような
 ものでも御座いません。騎士団員にしても任務の都度召集するものたちですので常駐してはおりません」
「ふむ…しかしその北花壇騎士にしてもどうであろうな?任務に乗じて〝七号〟を消せ、と命じたが実際はどうだ。
 逆にあやつの勲功を重ねさせ、亡霊どもに活気を与えてしまっている。
 あやつを目立たせまいと他の者を差し向ければ失敗し、後始末をあやつにされる体たらく」
「そ、それは騎士個人の資質によるもので…」
〝個人の資質〟という言葉にジョゼフは吼えた。
「任務に合った資質の者を選定できぬお前に言えた事か!
 …良かろう、お前の望むままの警備陣を敷くがいい。そして賊を仕留めて見せろ。
 但し、騎士を使うことはならん。お前とガーゴイルのみでやり遂げるのだ、よいな」
父王の気炎にすくみあがりながらもイザベラは首肯する。
「七号を監視せよと命じたエルフを破った輩が居る。お前を襲った賊がその一人ならば成功の暁には
 皆もお前の才を認めよう。私の娘が後継者に足る、とな。
 準備に必要があれば私の名を出せばよい、理解したなら下がれ」
「御意」

65:E慣らし幕間 7
07/02/21 01:06:14 YKhp7rzR
「随分と不機嫌なのだな」
退出していく娘を見ていたジョゼフに声をかけるものがあった。

「ビダーシャルか、呼びつけた覚えは無いが何用だ」
「なに、以前お前が退屈だとぼやいていたではないか。
 チェスの相手すら満足につとまる相手もいないなど、な」
ジョゼフの視線は続きを促していた。
「蛮人のゲームで満足できぬのなら我らの競技はどうだろう、思ってな。
 定石も固定概念も無い全くの新規格であれば話は別だろう」
「ほう、お前達エルフでも机上とはいえ争うことがあるのだな」
「嫌っているだけで禁止しているわけではない。必要があればその限りではないさ」
「参考までに聞いておこう、その必要とはどのような時生じる?」
「精霊との契約に臨む交渉者の優先順位だな。
 我らは精霊との契約には常に個で向き合うことが大いなる意思への敬意と考えるからだ」

「ふん、その程度か…想い人をかけてとでもいえば親しみを持てたのだがな」
「次からはそう答えることにしよう。それで競技は受けるのか?」
「まぁ退屈しのぎにはなるかもしれんな、でどんなものだ」
「この場は少し向かんな。対局しやすい場に移るとしよう」
謁見の間から場を移すことを提案され、チェスに使われていた一室に入る。
「いきなり我らの様式では準備がまだ揃っていないからな、お前達のものを流用してみた。
 台座の形が違うモノが複数合って助かった」
小脇に抱えていた羊皮紙を広げるとそこには9×9に区切られた無地のマスと同色のチェスの駒が
2セット(というよりは2セット分から同色だけを抜き出したものが)転がる。
「正直2セットでは足りぬので3セット崩させてもらった。
 まず手前から3列目にポーンを並べる、2列目は縦の2筋と8筋に、向かって右にルーク、左にクイーンを並べ
 最後一番手前には中央からキング、色違いのポーン、ビショップ、ナイト、色違いのキングを置く……
その後しばし駒の動きの差異やルールを解説しおえたのち対局が始まり何順かが過ぎた頃ビダーシャルが口を開いた。
「そういえば先刻は随分と寛大な処置だったな。部下とはいえ実の娘はやはり可愛いか?」
その問いに対するジョゼフの表情はやはり変わらない。
「娘であろうとエルフであろうと同じだ、全てはこの将棋と同じガリアの駒に過ぎん」
「そういうものか」
口調だけなく中身までもが淡々としたやりとりとともに両者の時間は流れていった……

66:E慣らし幕間 8
07/02/21 01:06:56 YKhp7rzR
 グラン・トロワを辞した自らの本陣、プチ・トロワに戻るや宝物庫へと使いを走らせた。
あの忌まわしい記憶を引き起こした元凶の〝あれ〟は朽ちるまで封印しておくつもりだったが
北花壇騎士を使えぬ以上保険はかけておきたかった。
お父様は怒られはしたものの処罰はされなかった、最後には期待の言葉も下さった。

使いに出す前によくよく言い聞かせたとおり侍女は〝あれ〟に直接ふれることなく小ぶりの箱を大事そうに抱えてきた。
「またお前を使わなければならないなんて癪だけれどね」
侍女を下がらせ、悪態をつきながら眼前の小箱の蓋を開く。
『姫殿下、私は昨年お暇を願ったはずですが』
「長年、ガリアの影の仕事を受けてきた上に依頼者にあのような反逆をするモノを野放しに出来るわけが無いでしょう。
 けど、この仕事を首尾よくやりおおせればお父様に私からもお願いしてあげるし
 好きな付き人の一人でも選ばせてあげるわ」

箱の中から返ってきた言葉に被せるように命令を下す。
「だから、今夜襲ってくる賊を確実に仕留めなさい。いいわね?〝地下水〟」

67:191の者
07/02/21 01:11:45 YKhp7rzR
と今回はなんとかここまでです。
どうにか書きたかったことが匂わせられるところまで…
だが、しかし、迫るISP解約の期日、引越準備
クライマックスとそれ以上に構想が固まってしまったオマケは書けるのか?
という状況ですが、努力したいと思います。

68:名無しさん@ピンキー
07/02/21 01:15:30 YBSHHwJh
………狙ったかのように挟まっちまったorz
しょうじきスマンかった。

69:191の者
07/02/21 01:25:07 YKhp7rzR
>68さん
いえ、自分は投稿作業であたふたしてましたし
一応レス分ごとに区切れは付くかな、というつもりで書いてるので
そこまで気にされることも無いですよ。

あ、あと書き忘れてたこととしてようやく幕間終わりっす(汗

70:名無しさん@ピンキー
07/02/21 02:32:05 u1u/VZcs
>>67
及ばずながら応援してるw

71:名無しさん@ピンキー
07/02/21 02:39:31 bE8iwnSs
>>67
ちょっとまて、その呪文は……!?
そうか、風石って飛行石の事だったのか!

バルス、もといGJ!


72:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:48:25 +r65gcO1
夜勤明けはツライわあ。眠れないんだもの

そうそう、ちょうどよい電波みつけたんで置いていきますね
URLリンク(www.youtube.com)

ちなみに俺がきゅいきゅいモノを書かない理由は。
どう考えても才人と絡められないからですっ!
っていうか「タバサの使い魔」でカンベンしてくれえorz

じゃあ続きいくぜー

73:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:50:40 +r65gcO1
才人は固まった。
…キスまではいい。
当たり前ではあるが、いきなり押し倒すことをリクエストされるとは思わなかったのである。

「あのねシャルロット?」

才人の言葉にしかし、タバサは下から才人を上目遣いに見上げるだけだ。

「…なんでも言うこと聞くって言った」

不満そうに眉をへの字に曲げて、そう言い放った。
…いやまあたしかにそうだけどもさ。

「…ホント、えっち好きだなあ、シャルロットは?」

才人は、人差し指をタバサで額をこつんと小突くと、わざと意地悪に言ってみる。
するとタバサは赤くなって一瞬顔を背けたが、すぐにもう一度上目遣いに才人を見つめて、言った。

「…えっちが好きなんじゃない」

言って、一瞬の早業で才人にぎゅうっ、っと抱きつく。

「…サイトが、すきなの…」

思わぬカウンターパンチであった。
その一撃は才人のテンプルを見事直撃し、彼の貧弱な理性をTKOした。
才人は即座にタバサを床に押し倒すと、乱暴にその小さな唇を奪った。

「サイト…」

唇を開放されたタバサは、とろけた視線で、才人をじっと見つめる。
すでに、心も身体もすっかりできあがっていた。
覆いかぶさる才人の首にそっと手を回して、彼の目に映りこんだ自分が見えるほど、顔を近づける。
お互いの吐息が頬を焦がす。タバサの理性も、徐々に獣に支配されていった。
しかし、才人の吐息は、すぐに言の葉に変わった。

「シャルロット、で、次は?」

…え。
甘い痺れにとろけかけていたタバサの意識が、少し、覚醒する。

「次にして欲しいこと言ってくれなきゃ?」

にやにやとイヤらしい笑顔を貼り付けて、才人はタバサの上でそう言った。
つまり、才人はこう言いたいのだ。

して欲しいこと全部言わなきゃ、してあげないよ?

…うー、いじわる…。
タバサは非難を込めて半眼で才人にガンを飛ばしたが。

「シャルロットがしたくないんならしょうがないなあ」

言って、首に絡みついたタバサの腕を解いて立ち上がろうとする。

74:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:51:17 +r65gcO1
「あ、やっ…!」

タバサは慌てて腕に力を込めて、才人に抱きつく。
そんなタバサを満足そうに見つめると、才人は勝ち誇ったように言った。

「さ、シャルロットのして欲しいこと、言ってごらん?」

…この、へんたい…。
泣きそうな顔で才人に抱きついたまま、タバサは非難の視線を才人に浴びせる。
しかし、才人の言葉に抗えるだけの力は今のタバサにはなく。

「服、脱がせて…」

真っ赤になって顔を逸らしながら、才人に要求を告げるしかなかった。

サイトは私の言うがまま、私の服を脱がせ始めた…。
左手で私を抱えたまま、器用に右手でスカートのホックに手をかけると、私の足からあっという間にスカートを抜き去ってしまう。
無防備になった私の下半身はそのままで…。今度は、上着のボタンを、外し始めた。
ひとつ、ひとつ、ボタンが外されていくたびに、私の鼓動が跳ね上がる。
…ボタンがぜんぶ、外れた…。
少し冷たい外気に、肌が直接触れる。
でも、大丈夫…。
今から、サイトが、いっぱいあっためてくれるから…。
でも。
そこで才人の動きが止まった。

「全部、脱がせなくてもいいよな?」

え?どういう意味…?
サイトは私の服を前だけはだけさせて、そこで動きを止めている。
全部脱がせてって、言わなきゃダメなのかな…。
はやくサイトに弄って欲しい私は、それを言葉にしようとした。
でもその言葉は、サイトの言葉で打ち消された。

「…このままでも、いじれるしな?」

…もう、えっちなんだから…。
私は彼のその言葉に、無言で頷いた。

75:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:52:22 +r65gcO1
うむ。やはり半脱ぎは正義である。
頬を染めて、シャルロットが俺の下から俺を見つめている。
はだけたYシャツの下からのぞく白い肌とかわいらしい桜色のポッチ。
その下には、薄い水色のショーツと、そこから伸びる白いニーソックスに包まれた細い脚。
正直たまりません。
しかし、俺は今にも襲い掛かりそうになる自分をかろうじて押し留めると、俺の下で俺を見つめるシャルロットに言った。

「ほら、シャルロット。
 して欲しいこと、言ってごらん?」

俺の言葉に、シャルロットは赤くなって視線を逸らす。
まだ吹っ切れてないかー?
でも。
そ れ が ま た い い。
シャルロットは、視線を逸らしたまま、小声で言った。

「…いじって…」

うんうん、俺だって早くいじりたいよ?でもね?

「もうちょっと、わかりやすく、具体的に言って欲しいなあ?」

シャルロットは俺の台詞に、ぐっ、と一瞬何かが詰まったような顔をしたが、すぐに。

「私の感じるところ…いじって…」

言ってきた。
…んーまあ、もう少しダイレクトにエロ語で言って欲しかったんだけど。
まあ、及第点ってことにしときますか?

「よくできました♪」

俺はそう言って、もうすでに硬くなっているシャルロットの小さなさくらんぼを優しく噛んだ。

「あんっ」

可愛い声を上げて、俺の頭を抱えるシャルロット。
…正直、動きにくいデス。
…あそっか、手が自由だから邪魔されんのか。
そこで俺は。

「…あっ…」

頭に回されたシャルロットの手を引き剥がし、その両手の指に俺の指を絡ませた。
シャルロットの顔が、嬉しそうに綻ぶ。
…ま、女の子がこういうの嬉しいのは分かってるけど。
なんかちょっと気に病めるな。
拘束するためだしなー。
なんて俺が考えていると、シャルロットが次の要求を口にしようとしていた。
…少し、サービスしてやるかな。
俺はシャルロットがそれを口にする前に、シャルロットの唇を優しく塞いだ。

76:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:53:21 +r65gcO1
才人のキスと、優しく絡められた指に、タバサの心は完全に溶けた。
素直になろう。
ここにいるのは、今、二人だけ…。
そう思った瞬間、タバサの喉から自然に声が転がり出た。

「ぱんつ…脱がせて…」

その要求に、才人は絡ませていた指を解くと、タバサの腰に手を伸ばす。
薄い布の上からタバサの細い腰に才人の指が触れたとき、タバサは自ら腰を浮かせ、ショーツを脱がせやすくした。
才人はそのままその湿った薄い布をタバサの脚から抜き取る。
そして、もう一度タバサに覆いかぶさる。

「それじゃ…?」

言おうとした才人の唇を、タバサが人差し指で塞ぐ。
そして、自ら眼鏡を外し、素顔で才人をじっと見つめて、言った。

「サイトのおちんちんで…私を奥まで、犯して…」

その言葉に、才人は。
自らをズボンの前から引き出し、タバサの秘裂を一気に奥まで貫き。
互いの両手の指を絡めると、タバサの唇を乱暴に塞いだ。

77:聖女の日~タバサの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:54:12 +r65gcO1
聖女の日の次の日、タバサに会いに行った。
うまくいったかしらあの娘?
彼女の部屋の前に着き、私はドアをノックする。

「はーい、誰なのー?」

あれ、この声は。
タバサの使い魔、シルフィードの声。

「私よ。キュルケ」

私の声に、シルフィードは扉を開けてくれて…。
いきなり抱きついてきた。

「よかったのねー!お姉さまが壊れちゃったのねー!」

へ?タバサが壊れた???
ま、まさか…!サイトにふられれてっ…!?
私は慌てて部屋の中に駆け込む。
すると。

…これダレ?

寝巻きのまま、枕を抱えてもんのすごい満面の笑みをたたえたタバサがそこにいた。

「…タバサ?」

私が名前を呼ぶと。
もんのすごいキモいにやにや顔でタバサがこっちを向く。
…私の背中をイヤな汗が流れ落ちる…。

「ねーねー聞いて聞いてキュルケーっ!」

枕を放したタバサがおもいっきり飛びついてきた。
…壊れたってこういうことかーっ!!
そして私は目線でシルフィードに疑問をぶつける。

「し、しらないのねー!お祝いだってお酒飲んだらこうなっちゃったのねー!」

な、なるほどうまくはいったわけね?
で、でもこんなになるくらい飲むなんて…。
よく見ると、ベッドサイドには私でもめったに飲まない強い銘柄のお酒のビンがころがっている。
これが原因か!

「あのねあのねあのね、昨日、サイトがねっ」
「ああもうわかったから落ち着きなさいな!聞いてあげるからっ!」

しかし、私の声はタバサには届いていなかったみたいで。
そして、そのあと小一時間、私は雨あられとおのろけを喋りまくるタバサという信じられないものを目にしたのだった。~fin

78:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 03:58:34 +r65gcO1
ほら、きゅいきゅい出してやったぞな!
これでカンベンしてつかぁさいや(何

今回は純愛(?)系でいきたかったので少しエロ薄くしてみました(どこがだ

まあそういうわけですんで、今後俺がきゅいきゅいモノを書くことはナッシングなので他の職人さんにまかしますw
ではではノシ

あ、関係ないけどコードギアスの第3期OP見つけたんで置いていきますね(嘘
URLリンク(www.youtube.com)

79:名無しさん@ピンキー
07/02/21 04:03:40 BMNSIqN6
>>78
電光超人並の速さで一番槍ィィィGJ!
相変わらずのハイクォリティに乾杯!

80:名無しさん@ピンキー
07/02/21 05:46:19 m4FbFyOc
OK、これで今日一日頑張れる。GJ

81:名無しさん@ピンキー
07/02/21 10:16:31 IBXs84c7
つうか皆何時まで起きてるんだよ…せんたいさん仕事仕事!(リアルの方の)
>>67の191さんも>>78せんたいさんもGJ!
前スレでも言ったんだけど
シルフィードはエロ無しの方が引き立つと思う。
タバサの信じられない光景、ね。ん~イィ♪

82:名無しさん@ピンキー
07/02/21 10:17:43 7FpV9pIq
タバサ×才人の時のいやらしさは半端じゃない、さすがへんたいさんGJ!

83:名無しさん@ピンキー
07/02/21 12:53:17 85p2CML2
>>78
流石はへんたいさん、GJ!!
で、次は誰を布団の中で強姦だ?

84:名無しさん@ピンキー
07/02/21 13:43:52 e/ERwgks
順番的に六芒星GJ!
電波ソング聴いたら頭から離れなく…へんたいさん、この男…できる!

85:名無しさん@ピンキー
07/02/21 14:25:31 1OQx1nyI
「エッチがすきなんじゃない」
「サイトがすきなの」

うおおおおおおおおおおお!!!!!!
これは来たぜえww
相変わらずいい仕事してますね。GJ!

86:名無しさん@ピンキー
07/02/21 14:49:41 MM0RAQiP
へんたいさんのタバサ愛は異常w

87:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:04:12 +r65gcO1
ふと思いついたネタを投下。
電波にのりつつ30分で書いたんでアレな内容ですがw

88:ある吟遊詩人の手記 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:05:18 +r65gcO1
これは、ある男の、悲劇の物語。
己を犠牲にし、世界を守った、ある男の、悲劇の物語----。




…そうして、世界は平和になりましたとさ。オシマイ。
え?各国が常時睨みあってる今の世界のどこが平和だ、って?
アナタなかなか皮肉家ねえ。
たしかににらみ合ってるけど。
アナタその原因知ってる?
…ふむふむ。版図拡大に経済侵略、民族対立ときたか。
ぜーんぶハズレ。
じゃあお姉さんがいいことおしえたげる。
各国がにらみ合いしてるのは、とある男を手に入れるため。
…んな馬鹿な、って…。
ホントだからしょうがないじゃない?
じゃあもう一個おしえたげる。
列強各国の第一王位継承者、実は全員兄弟だって知ってた?
目が点になったね。あはは、大ボラもたいがいにしろ、って?
ホントよ?
トリステインの第一王子が長男かな?一番年上だし。
そそ、その魔法騎士。彼が剣を修めたのは、実の父に喧嘩売るためだってもっぱらの噂よ。
次が、ガリアの三つ子姫たち。有名でしょ?
そ、水と風と火の巫女。こっちはちょっと違って、すっごいファザコンらしいんだわ。母親の教育らしいけど。
そんで次が、エルフの統領の息子。
…エルフの統領がなんで?って顔ね。まあ、今の統領は半分人間らしいし。そのへん絡んでるんじゃない?
ゲルマニアはガリアに統治されちゃったし、このアルビオンも今はトリステインのものになっちゃったし。
この三国が、ある男を血眼になって捜してんのよ。
…っていうか、各国の王様が、よね。みんな女王だけど。
…やっとわかった?
そ。そういうこと。
三人の女王に手を出した命知らずの馬鹿がいるのね。
しかも、ご丁寧に全員に種つけちゃったわけ。笑える話よね。
で。なんで逃げてるのかって?
理由は簡単よ。彼、ある女性に『飼われて』んの。
何?文字通りよ?含みもなーんもなしで。
その女性に頭が上がらないから、逃げてるわけ。
まあ、もしどこかの国が彼を手に入れたりしたら…。間違いなく全面戦争ね。
ほら、あんたも衛視の詰め所かなんかで見たことあるでしょ?
『黒髪の男』の賞金首。アレよアレ。
…はは、ものすごい金額だから冗談だろうって思ってたって?
そーねー、確かにすごい額よねアレ。あの金額あったら、軍隊編成できるもんね。
でも、あんた見たところ剣士みたいだけど…。
彼に喧嘩売るのだけは止めたほうがいいわよ?
あの賞金が冗談じゃないってわかるから。
彼はかつて、たった一人で七万の軍勢を一人で止めて、一人で三万の軍を敗走させて、一万の軍隊を率いて戦った英雄よ。
…そ。かつての『トリステインの盾』。
今じゃ『最強の種馬』なんて呼ばれてるけどね。

89:ある吟遊詩人の手記 ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:07:26 +r65gcO1
…あ、いらっしゃーい。ってお兄ちゃん。
…何?また嫁と喧嘩?はいはい、馬小屋なら開いてるから自由にどうぞ?
ん?今の?昔世話になった人。今はこっちが世話してんだけど。
時々夫婦喧嘩してここに逃げてくるの。まー、嫁に頭が上がらない典型的なダメ夫ね。
で、なんだっけ。
ああ、なんで行方がわからないのかって?魔法で探せないか、ってか。
それは無理。その飼い主の女性が実は、『虚無の担い手』でね。魔法の追尾を虚無の魔法で切っちゃうのよ。
…いらっしゃーい。あらルイズさん。
…来てないですよー、馬小屋も空ですからねー。
そ、今のがさっきの人の妻。…ひどいんじゃないかって?
…宿屋ごと魔法で消し飛ばされるよかマシだって…。被害は最小限に留めたいじゃない?
…おー、今日もよく響く断末魔だこと。
…ん?結構こういうことあるのかって?…そーねー、半年に2回はあるかな?
あんたも気をつけなさい。気の強い女を嫁にすると大変よ?
あー、あなたー?町にいくなら仕入れもお願いねー?あと娘の誕生日プレゼント忘れないでね?
忘れたらくびり殺すから♪
…あ、ごめんなさいねー。あの宿六、釘さしとかないとすーぐ忘れるのよ。
で、なんだっけ。
ああそうそう、宿帳だったっけね。はいこれ。
ん?この宿屋の名前の由来?
あはは、そんなのないない。元は旦那の持ち物でね、『鹿角亭』っていったんだけど。今風じゃないじゃない?
だから、私の名前で、『タニアズ・イン』にしたの。洒落てるでしょ?
…はい、まいどー。一泊ね?も少し泊ってけばいいのに。
え?急ぎなの?そりゃあ仕方ないわねえ。
一週間も泊ってけば、ウエストウッド名物の天下分け目の痴話げんかが見られるのに。
…疲れた顔してどーしたの?若いのにだらしないわねえ~。

~放浪の吟遊詩人・ヒースクリフ記す~

後に、彼のこの体験を記した著書のタイトルは、ハルケギニアの歴史に刻まれることになる。
『気の強い女に手を出すな』

90:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:08:15 +r65gcO1
以上。
うん、なんかイマイチだねw
まあ華麗にスルー推奨(ぁ
ではではノシ

91:名無しさん@ピンキー
07/02/21 16:10:35 sWFgJS+Q
いや、最高ですwwwwwww

92:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/21 16:12:38 +r65gcO1
あ、しまった、文中の「剣士」を「旅人」あたりに変換しといてくだせえorz


93:名無しさん@ピンキー
07/02/21 17:56:37 EXvdRRE7
>>92
せんたいさんに聞きたいんだけど
モンモンとかジェシカとかイザベラとか書けますか?
まだせんたいさんが書いたことのない
キャラの作品が見たいんだけど

94:名無しさん@ピンキー
07/02/21 17:57:48 am/o/TpW
つづきものシリーズの後日談の一つの可能性・・・ってことでいいのかな?

95:名無しさん@ピンキー
07/02/21 19:39:43 z8/X4dML
>>90
そして自分は冒険仲間の神官とできちまうわけか!
…え?そっちじゃない?

96:名無しさん@ピンキー
07/02/21 22:48:06 u1u/VZcs
>>90
GJ!だけど・・・・
トリステイン・・・アン様と才人の子供
ガリア・・・タバサと才人の・・(略
エルフ・・・テファと・・・(略

なのはわかるが語ってるのは誰なんだろ?あーなんかせんたいさんの作風が
205氏調に(笑)

97:名無しさん@ピンキー
07/02/21 22:54:54 sWFgJS+Q
語り手はジェシカ(名前うろ覚え)じゃないの?

98:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:05:27 Jb8bGke1
>>96
89に 私の名前で、『タニアズ・イン』

ってあるからタニア(へんたいさんの中ではウエストウッド村の子供の名前)
のはずですよ。
ただ7巻での子供の名前はジャック、サム、ジム、エマ、サマンサ
しかでてないからオリジナルキャラでしょうね。


99:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:25:29 suUjQ9bT
タニアって普通に原作で出てきてると思ってた
他にもギトーがやる気出したらタバサに吹き飛ばされて~~とか色々汚染されてる・・・
コノスレマジキケン!

100:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:38:54 K5fTzXs4
せんたいさんGJです!

それではこちらも負けずに投下します!

才人×シルフィードです!
獣(竜?)姦が苦手な方はスルーして下さい!

それでは、いきます!

101:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:39:48 K5fTzXs4
とある虚無の曜日。才人は部屋の掃除をしていた。
ご主人様であるルイズは買い物に出かけている。シェスタ・キュルケ・タバサらと一緒だ。
普段は何やかやと言い合っているが、一緒に出かけるようになるとは仲良くなったもんだよなぁ、と才人は感慨にふける。

と、コンコン、とドアがノックされた。才人がドアを開けると、そこには人間の姿になったシルフィードが立っていた。
「サイト! きゅいきゅい!」
そう言いながらシルフィードはひょこひょこと才人の部屋に入ってきた。
「おい、シルフィードどうしたんだ?」
才人は彼女に椅子を勧めながら訊いた。シルフィードは椅子に座るのも一苦労で、結局ベッドに腰かけながら答えた。
「お姉さまがお友達と一緒にお買い物に行っちゃって暇だったのね。だから、サイトに逢いに来たのね。」

「俺に?」
才人は自分を指差しながら聞き返す。シルフィードとは特に親しくしてる訳ではない。大体竜だし。
まぁ広場なんかで見かけた時には撫でてやったりしてやるが、そんな程度の付き合いだ。

シルフィードは嬉しそうにきゅいきゅい言いながら答える。
「そうなのね! 実は前からサイトにお願いしたいことがあったのね!」
才人は自分の分とシルフィードの分のお茶を淹れながら答える。
「ふーん、俺にねぇ。何よ? 無茶なことじゃなかったら別に構わないぜ。」
暇だし。お茶を啜りながら才人は言った。

才人にそう言われ、シルフィードは嬉しそうに答えた。
「ありがとうなのね! 大丈夫! サイトがいつもやってることなのね!」
俺がいつもやってることねぇ。才人はまたお茶をすすりながら考える。
剣の稽古だろうか? まさか掃除洗濯という訳は無いだろうけど……。

そんな才人の思考はシルフィードの一言によって吹き飛ばされた。
「あのね? シルフィとエッチして欲しいのね!」
ぶ───ッと才人は飲んでいたお茶を吹き出した。

「ちょ! お前なぁ……!」
才人は激しくむせこんでいる。そんな才人を無視してシルフィードは続ける。
「シルフィいつも窓から見てたのね! ミス・ヴァリエールもメイドもお姉さまもみんな気持ちよくって幸せそうだったのね!
 シルフィもあんな風に気持ちよくなってみたいのね! きゅいきゅい!」

102:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:40:53 K5fTzXs4
才人は目頭を押さえてうめいた。っつーか、お前、覗いていやがったのか……。
小一時間問い詰めたい気持ちを抑えて才人は立ち上がり、ベッドに腰掛けるシルフィードに近づく。
きゅい? と見上げるシルフィードの両肩に手を乗せ、才人は語り始めた。

「いいかシルフィード? ああいうことは……その、本当に好きあった者同士でないとやっちゃいけないんだよ。
 興味本位でやるものじゃあないんだ。分かるか?」

「シルフィ、サイトのこと好きよ? きゅいきゅい!」
「いや、そういう好きじゃなくってな? その……。」
「それとも……サイトはシルフィのこと、嫌い?」
きゅいぃ、とシルフィードは潤んだ瞳で才人を見上げてきた。その仕草に才人は思わずグッときてしまう。
しかもよくよく見てみれば、シルフィードはかなり大胆な服を着ていた。胸元が大きく開いている。

才人の視線に気づいたシルフィードが嬉しそうに言う。
「あ、この服? キュルケのお部屋からちょっと借りてきたのね! シルフィ服着るの嫌いだけど、
 サイトのために頑張ったのね! きゅいきゅい!」

こ、こいつ意外と健気じゃねぇか……。流されやすい才人は、だんだんとその本領を発揮し始めた。
確かにこいつは竜だけど、今は人間の格好してるしな。それに、む、むむむ胸もでっかいし。
本人が良いってんだから、このままやっちゃっても良いんじゃないかな……?

しかし、そう考えた才人の心に桃色の髪をした少女の姿がよぎった。才人ははっとする。
そうだ、俺には愛しいご主人様がいるじゃあないか。彼女を裏切ることなんて……!

そう考えた才人は、真剣な顔でシルフィードに告げる。
「いいかシルフィード。俺はお前とそういうことをする気は無いんだ。俺はお前のこと嫌いじゃないけど、
 でもそういう対象とは見られないんだ。分かってくれ。」

真剣な態度と声で才人は言った。……しかし。
「……でもサイトのアソコはすっごく元気になってるのね! きゅいきゅい!」
そうなのである。頭では一生懸命冷静になったつもりでも、大胆な格好をした美少女を前に本能までは抑え切れなかったのである。

あ───ッもう! 俺のバカ! 犬───ッ!!
才人は立派に猛ってしまってクライマックスになった息子を感じながら己を罵倒した。
そして、今まで抑えてきた理性がだんだんとろけるのを感じた。
……ゴメンなさい、ご主人様。才人は犬です。駄目な犬です。色ボケ犬です。もう欲望を抑え切れません。
でも犬の一番はご主人様です。それだけは信じてください……。


103:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:41:52 K5fTzXs4
そんなことを考えていた才人に、シルフィードがトドメを刺す。
「サイト、我慢しなくていいよ? シルフィのこと、いっぱい気持ちよくして? きゅいきゅい!」
それを聞いた瞬間、才人の理性は完全に瓦解した。
頭の中では「いーじゃん! いーじゃん! すげーじゃん!」という謎のフレーズがリフレインしている。
そして。
「シ、シルフィードーッ!!」
「きゃー!きゅいきゅい!」
才人はシルフィードを押し倒した。

「あっ……サイト……そんないきなり……。」
才人はまずシルフィードの豊かな胸にむしゃぶりついた。
シルフィードは下着を着けておらず、布地の上からでも先端の存在がはっきりと分かった。
「お前……下着を着けないなんて凄いな……。」
「……え? だ、だって下着の着け方って分からなくて……。」
きゅいい、とシルフィードは恥ずかしそうに答える。そういやこの服ってキュルケの物だっけ、汚しちゃまずいよな。
そういう所だけ妙に冷静な才人は、シルフィードの服を脱がした。
「きゅいい……。な、なんか恥ずかしい……。」
シルフィードの裸体は美しかった。
滑らかな肌。すらりと伸びた手足とほどよくくびれた腰。そして胸。桃りんごほどではないが、適度なバランスを保った上で大きく実った胸。
才人は改めて胸にむしゃぶりつく。片手で胸を揉み、片方の胸の乳首を吸い上げる。
「ひゃあんっ! 何か凄いっ! シルフィ、こんなのはじめてぇっ!!」
シルフィードは快感に身をよじらせる。その仕草に興奮した才人はシルフィードをさらに責め立てる。

首筋から二の腕、脇の下、腰へとまんべんなく愛撫を加えていく。どうせ竜に戻ればわからんだろうとキスマークもつけまくった。
「ああんっ! サイト! シルフィ気持ち良いよぉっ! もっと、もっと気持ちよくしてぇっ!!」
シルフィードは与えられ続ける快感に酔いしれていた。才人はそんな彼女の様子を伺いながら、そっと秘所に手を伸ばす。
「うおっ!? お前、凄いな……。」
シルフィードの秘所は、既に濡れ濡れであった。大洪水である。
「ふぇっ!? シ、シルフィ、お漏らししちゃったの!?」
シルフィードが自分の股間の状態に気づいて声をあげる。才人はそんな彼女がおかしくて、愛しくて、そっと口付けをした。
「……あ? サ、サイト……。」
「大丈夫、シルフィードが俺を受け入れる準備が整った証さ。」

そう言うと、才人は自らの分身をシルフィードの秘裂にあてがう。
不安な顔をみせるシルフィードに才人は小さく笑いかける。
「大丈夫、優しくするから。」
「うん……。来て……サイト。」
その言葉を聞き届けて、才人はシルフィードを貫いた。
「ぐううっ……!」
「あああっ……!」
二人は同時に声をあげる。才人はシルフィードに声をかける。
「シ、シルフィード……。大丈夫か……?」
「うん……。ちょっと苦しいけど、痛くはないのね……。」
その言葉に才人は安堵する。そういえば犬には処女膜が無いというが、ひょっとしたら竜にも無いんじゃなかろうか。
そんな事を考えながらも才人はゆっくりと動きだした。

104:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:42:38 K5fTzXs4
「あっ! あっ! サイト凄い! 凄いよぅっ!!」
才人に突かれながらシルフィードは喘ぐ。普段の天然ぶりからは想像できないほど激しく、いやらしく乱れる。
才人は才人で必死だった。
シルフィードの膣は締め付けが強力で、さらに複数の箇所で才人を締め付ける。
流石に伝説の風韻竜なだけあって、アソコも伝説級の名器であると言えた。
しかしこちらも伝説の使い魔だ。そう簡単に轟沈してしまっては伝説の名が廃る。
才人は歯を食いしばりながら、シルフィードを責め立てた。

しかし、徐々に射精感がこみ上げてくる。
このままではマズい、と判断した才人は、シルフィードのクリトリスに手を伸ばした。
「ひ、ひゃあああっ!!」
その瞬間、シルフィードの背中は弓なりに反り、膣も急激に才人を締め付けた。
どうやらそこが急所だと判断した才人は勝負に出る。クリトリスを刺激しながら激しく腰を打ちつけ始めた。
「あああ! サイト! そ、そんなに激しくしちゃらめぇぇぇっ! シルフィ壊れちゃううううっっっ!!」
シルフィードも限界が近いらしく、才人の背中に回した手に力が込められる。そして。
「ああっ! サイト! 何かくる! こわい! こわいよぅっ!!」
「大丈夫だシルフィード! 俺がいる! 安心してイッちまえ!」
「いいの!? いいの!? シルフィイクよ!? あっ……ああ───ッッッ!!」
一際大きい叫び声を上げた瞬間、シルフィードの体がびくん! と跳ね上がり、痙攣し始めた。それと同時に膣も激しく収縮する。
「っくううっ!?」
その刺激に耐えかねた才人も、シルフィードの中に己の欲望を吐き出した。大量に注ぎ込む。
「あっ……サイトの……凄く熱い……。」
才人の射精を受け、シルフィードはまた上り詰め、失神した。

「まったく……可愛い寝顔だな。」
才人はそう言いながら、シルフィードの髪をなでる。シルフィードは初めての性交と絶頂を経験したせいか、すやすやと寝入ってしまっている。
「けど、このままじゃあヤバいよな……。こんなとこ見つかっちまったらどうなるか……。」
才人はぶるり、と身を震わせると、シルフィードを起こそうとした。
しかし。

がちゃり、とドアが開いた。
硬直した才人とベッドですやすやと眠るシルフィードをルイズ・シェスタ・タバサ・キュルケが見つめる。
「あちゃー……。何かこれから揉めそうだから、私は部屋に戻るわね。」
キュルケはそう言うと、そそくさとその場を離れる。
残った三人は無表情のまま部屋に入り、ドアに鍵をかける。
三人からは、ドス黒いオーラが噴出している。
「いや……その……これは……。」
何とか言い訳をしようとする才人だが、上手く言葉が出てこない。
「うう…ん。」
その時、シルフィードが寝返りを打った。その拍子に布団がめくれ、裸体があらわになる。
その体にはキスマークが沢山つけられており……。

『……』

それを見た三人のオーラはさらにドス黒さと勢いを増した。そして三人は、思い思いの準備運動を開始する。
その光景を見た才人は、絶望しきった声で三人に尋ねる。
「えっと……。今日は三人だから、お仕置きは通常の三倍でしょうか……?」

『ううん。』

三人は全く同じ動作で首を振り、同じような笑みを浮かべてこう言った。

『九倍。』

この世のものとは思えない程の折檻が行なわれている部屋で、シルフィードは幸せそうに眠りながら寝言を呟いた。
「むにゃ……サイト大好き……。またシルフィードとエッチしてね……きゅいきゅい……。」



105:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:48:00 IBXs84c7
タニアはオリキャラだったのか。気がつかなかった…
せんたいさんの電波はどこ原産なんだろう?
語るカンジの形式好きだな。

106:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:48:26 K5fTzXs4
以上です。

52、54でせんたいさんのSSを希望した者ですが、竜姦ものは無理とのことでしたので、自分で書いてみました。

反省はしていますが、後悔はしておりません。

時間が出来たらタバサも絡めた3Pモノも書いてみたいですー。エロももっと増やして!
しかし自分は何でいつもマイナーというか異端なカップリングに走ってしまうのか……。
とにかく、自分以外のきゅいきゅいが好きな同志の存在を信じて頑張りますー。ではー。

107:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:52:44 z/+XVdD5
>>106 GJ!

そのうち有るとは思ってたけど、三次創作か……
原作の二次創作じゃないよな。

108:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:56:22 IBXs84c7
>>106割ってスマン。GJ!
(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ
きゅいきゅいは非エロって言った俺だけど、アリだな。
>>102の「小一時間問い詰めたい気持ちを抑えて…」の部分がキョンを想起させた。

109:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:04:43 z0+XKxzy
もうここのスレのサイトを見ていると犬じゃなくて馬って呼んだほうがいいような気がしてきた

110:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:05:08 25TyZ4M2
とりあえず前スレ埋めたぜ。

111:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:23:18 Mev+F1Sq
>>106
その姿勢は気に入った!これからも頑張ってくれ。3PSSは期待してる

>>110
任務、乙。

112:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:39:35 dwy2NGGM
>>106が電王を知っていることがわかって親近感が沸いた。

113:名無しさん@ピンキー
07/02/22 00:42:38 /66gIN9m
>>106
俺はあんたのような人を待ってたぜ!!GJ!!


114:無知で愚かな374
07/02/22 01:10:32 1n17NEQ0
皆さん
いま現在
私の家では家族みんながぐっすり寝てます。
チャンスと言えばチャンスです。
が・・・
途中までで
焦らし、寸止めのたぐいになります。
そんな私が投下シテも良いでしょうか?

115:名無しさん@ピンキー
07/02/22 01:22:29 cp338Hk/
>>114
カモン! カモン!!

116:261のひと
07/02/22 01:50:58 3vzC0qwc
最近にぎやかで幸せ。
>>114 あと1分ほど待ってレスが無かったら自分の分投下初めても良いでしょうか?
文面からすると打ってる途中だと思うのですがどうでしょう?

あ、あと名前、そろそろ止めませんか?


エロくないので恐縮なのですが、では暫し後に。

117:1/11
07/02/22 01:52:24 3vzC0qwc
 しまったな……サイトは困り果てていた。
「サイト……お話して?」
 どこか印象が幼く感じるようになったタバサに、気まぐれで地球産の童話を話したのが間違いだった。

「始めて聞く」

 それはそうだろう。
 聞いたことある方がびっくりだ。

 タバサの驚く顔が面白くて、サイトはついつい頑張った。
 うろ覚えのシンデレラは姉の数が少なかったし、
 一寸法師におじいさんは出ない。
 メーテルリンクの青い鳥に至ってはオチしか覚えていなかった。
 それでも……
「すごい……すごい、もっと……もっとお話して」
 いつも無表情だと思っていたタバサの、子供の様な笑顔にサイトは覚えている限りの話を語った。

 ……が、限界は結構直ぐに来た。
「ごめん……タバサ……ん~、これ以上は思い出せないな」
「お話……おしまい?」
 ね、捏造するか? 一瞬だけ悩むが、話を作るのに自信の無かったサイトは諦めた。
「ごめんな……」
 タバサの残念そうな顔に、悪い事をしたかのような罪悪感がわく。
 ペットのエサを買い忘れたまま帰宅したのに、
 当のペットは『待ってました~』と、玄関先で迎えてくれた時のような。

「……ご、ごめん……本当に、悪い」
 サイトは一切悪くないのだが、怒られるのならルイズで慣れているサイトも、
 しょんぼりする女の子には勝てなかった。

 岩よりも重い沈黙にサイトが逃げ出す寸前、
 今にも泣き出しそうな顔でサイトの足元を見ていたタバサが、勢い良く顔を上げる。
「……じゃ、じゃあ……ね」
「お、おう」
「も、もう一度……一度聞いたお話でいいから……」

 ここで喜んで了解したのが間違いの元だった。

「あのね、今のお話……もう一度」
「じゃあ……前の前のお話……ダメ?」

 実は既に俺より覚えてないか?
 サイトがそんな疑いを覚えても、話を止めようとする度に……

「……おしまい?」

 サイトの目には、へちゃりとつぶれた犬耳と、きゅーんとうなだれた尻尾が見える気がした。

「……あー、もうちょっとだけな?」
「うん♪」

 いつの間にかサイトの膝の上で『おはなし』を楽しむタバサ。
 サイトは目じりを下げながら、タバサを楽しませることに集中していたため……

 ――三日後、ルイズがグレた。

118:2/11
07/02/22 01:52:57 3vzC0qwc
「ろーなってんにょよー」
「ル、ルイズ、落ち着きなさいって、昼間っからお酒なんてっ」
 仮にもガリア王からの逃避行の最中。
 モンモランシーはルイズの豪胆さに驚きながらも、同級生の深酒を何とかして止めようとしていた。
「ほら、ね? タバサこの間まで大変だったんだから……ねぇ?」
「ら、らからぁ、みっかもがまんしたじゃにゃいっ」
 
 キュルケから聞いたタバサの境遇に同情したルイズは、
『す、少しくらいなら……仕方ないわね』
 
 渋々サイトを『貸し出す』事を黙認していた。

 が、
「にゃんで、あんにゃに、べたべたするかぁぁぁ」
 我慢も限界に達しているようだった。
 サイトがタバサに構っている間、ルイズはサイトの側にいることが出来ない。
 一度一緒に話を聞こうとしたが……数分で見ているのが嫌に成った。

 そうなって来ると、ルイズがサイトといる時間が激減し、
 その不満を素直に口に出来ないルイズは、着々とストレスを溜めていた。

「あー、ほら、もうちょっとの間だけ……ね?」
「わひゃってるわぉう」
 ちっとも分かっていない様子のルイズを宥めながら、モンモランシーは溜息を吐いた。
 ルイズもタバサも大切な友達。
 モンモランシーの立場で出来ることは少ない。

 ここ最近のルイズの様子は知っているし、
 タバサだって物語のように自分を助けてくれた男の子に懐くのは当然だろう。

 別人のように笑うタバサを守りたいし、
 こんなに追い詰められたルイズは見たくない。

「わたしも人の事言えないわね……」
 モンモランシーはギーシュの気分が少しだけ分かった気がした。
 それぞれの理由があって、両方守ってあげたいのだろう。

 ……まぁ、ギーシュの浮気性と同一視するのは少し乱暴だけれども。

 ルイズの火照った顔を見ながら、モンモランシーは思索に耽る。
 多分まったく気がついていないサイトに、警告くらいはしておくか。
 おせっかいを自覚しながらも、三人に笑っていて欲しいと自分の我侭さに少し笑う。

「もんもん~」
「なーに? ルイズ」
「はく」
 …………
「ちょっ、待ちなさいっ、こっち来なさいっ」

 一行の中で比較的常識人なため、
 この旅の間中、貧乏くじを引き続けている少女は、
 今日もまた、他人の世話に明け暮れる。

119:3/11
07/02/22 01:53:38 3vzC0qwc
「そーゆーわけだから、少しルイズに優しくしなさい」
 珍しく部屋の外でサイトを見つけたモンモランシーが、この時とばかりに詰め寄る。
 サイトに一言も喋らせず、一息に言いたい事を言い尽くして満足したモンモランシーに対して、
 話を聞くサイトの背中には、冷や汗が大量に流れていた。
「え……と、モンモン……あの……さ……」
「言い訳無用!! いい? タバサの相手もいいけど、ルイズを泣かさないようにね」
 二股幇助としか取れないような言葉を残して、モンモランシーが立ち去ると、
 
 ガサリと言う音共に、近くの茂みからタバサが現れた。
「……ごめんなさい」
「い、いや、タバサは悪くないって……俺が鈍いんだ」

 久々に外に出たのは、タバサとの話の途中で話題になった『鬼ごっこ』や『隠れんぼ』の為だった。
 地球に興味が無い様子のルイズと違い、サイトの話をうれしそうに聞くタバサに、
 サイトは様々なことを話し始めていた。

「……どうするかなぁ」
 サイトにとって昔の事を楽しく思い返す、思いのほか楽しい時間だったが、
 ルイズを悲しませているのなら、サイトにとっては選択の余地はなかった。

「その……タバサ……あの……」
 話を止めようとした時のタバサの様子を思い出し、サイトはぼそぼそとタバサに話しかける。
「ダメ」
 
 やっぱりダメですか。
 ルイズと、どうやって話すか悩み始めるサイトにとって、意外な言葉をタバサは続けた。
「ルイズと仲良くしなきゃ、ダメ」
「え?」
「ごめんなさい」

 責任を感じたらしいタバサが、ペコリと頭を下げると後ろもみずに走り出した。
「ちょっ……タバサ?」
「待ってて」

 色恋沙汰が苦手……そもそも上手く理解できないタバサは、頼りに成る親友に相談する。
 殺そうとしても自分よりわたしを優先した人を、
 自分を助けてくれたサイトを、
 力の及ぶ限り助けたい。

 そして、適うならば、魔法を使えない彼の杖になりたい。

 そんなタバサにとって、自分がサイトの邪魔をしてしまった事は、
 サイトやモンモランシーが思う以上にタバサを困らせていた。

「で、タバサはどうしたいの?」
 そんなの胸の内を悟っている様子の親友は、タバサの単語を連ねた様な説明で容易く状況を把握する。
 感謝しているとはいえ、心情的にはタバサの味方をしたいキュルケは、あえてタバサに意思を確認する。
 言いよどむ様ならば、丸め込んでしまうつもりだった。

「二人に笑って欲しい」
 
 サイトに惹かれている事を自覚し始めた少女の微笑みは、キュルケを黙らせるのには十分だった。

120:4/11
07/02/22 01:54:10 3vzC0qwc
「で、ヴァリエールの事をどれだけ知ってるの?」
 酒場の片隅で顔に向かって灯りを向けられたサイトが目を細める。
 ルイズのところに向かおうとするサイトを、キュルケが力づくでここまで引っ張って来たのだ。
「キュルケ、何の真似だよ?」
「いいから、きりきり喋りなさいっ!!」
 右手がテーブルに叩きつけられる音に、酒場中の客がサイトに視線を集中させる。

「あなたがやったのよね?」
「って、何を?」
 キュルケの射すくめる様な眼光に身を縮めるサイトを見て、キュルケはますます調子に乗った。
「あの子をあんなに女の子っぽくしたのは、だぁれ?」
「う……っ……いや……そのっ……」

 実はキュルケは憂さを晴らしたいだけだった。
 せっかく自分の得意分野で親友の役に立てると思ったのに。
 タバサの望みは、自分ではなくルイズとサイトの仲を取り持つこと。
「どーして、そうなるのよっ」
「な、何がだよっ?」
 キュルケの脈絡の掴みにくい行動に、サイトは非常に居心地が悪かった。
 店に入った時は、店中の男達の羨望の眼差しに得意に成っていたが……

 今向けられるのは好奇の視線だけだった。
 店の片隅で美人に詰め寄られる少年。

 ―どう見ても浮気の釈明中です。

 苦笑と冷やかしの視線が痛い。もっとも半分は
『なんでこんなのが、こんな美人捕まえて、しかも浮気? 何か間違えてないか?』
 そんな視線だったが。

 散々迷走した挙句に、少しだけ冷静さを取り戻したキュルケが、サイトに質問をぶつけ始めた。
「ヴァリエールの機嫌を取りたいのよね?」
「はい……」
「で、あの子の喜ぶこと何か知ってるの?」

 ……あれ?
 サイトは少し悩んだ後、真っ白になった。
 ルイズの為とか、ルイズが好きだから……
 そんな事を言いながら、自分はさっぱりルイズを喜ばせることを知らない。
 側に居るだけでルイズが喜んでくれる等と言い切る自信はサイトには無かった。

 ルイズに自分は何か返せているのだろうか? サイトはキュルケの問いに返事が出来ない自分を恥じた。
「ご、ごめんなしゃい」
「プレゼントの一つもしたことないわけ?」
「あ、それは有ります」
 すっかり小さくなったサイトは、ついつい敬語で答えてしまう。

「で、あの子は何を喜ぶの?」
「……分かりません」
「なってないわね」
「申し訳ございません」

 タバサの事を一から仕込みたい!
 キュルケが誘惑に耐えながら、サイトのダメなところを挙げていく。

 冷やかしていた周りの客が、あまりの落ち込みようにサイトに同情を始めた頃。
『ルイズの為に何でもさせていただきます』
 サイトはキュルケに絶対服従を誓っていた。

121:5/11
07/02/22 01:54:53 3vzC0qwc
「お願い」
 キュルケがサイトを躾ける間、タバサの方でルイズの足止めをするように。
 そう指示されたタバサは、しばらく途方に暮れた後、

「はぁーい、おねえさま、シルフィにおまかせっ」
 最悪の選択をしていた。
 何を頼まれていたのか既に忘れていそうなテンションでサイトを探し始めるシルフィードをタバサは心配そうに見つめるが、
「わたしはルイズに会えない」

 言われるまで気付かなかったとはいえ、ルイズが自分を優先してくれたのがうれしかった。
 サイトとの楽しい時間はとても大切だったから……
 それを気遣い、守ってくれたルイズにどれほど感謝すればよいのか分からない。
 そして、だからこそ……

「今……会えない」

 涙で視界が滲む。

 ルイズの優しさが痛かった。
 妬いてしまうとはいえ、サイトの側に人が居ても許せる自信が悲しかった。

「あなたになりたい」

 サイトに想われる彼女に、今会うのは辛すぎる。
 感情を押し殺した表情の下で、見えない何かが荒れ狂う。
 
 ほんの少し前まで、何が有ろうと怯まなかった少女が、
 自分の奥に芽生え始めているものに怯え、

「ごめんなさい」

 復讐に燃えていたときには決してとらなかった道を進む。
 
 胸の疼きを押さえながら、タバサはルイズから逃げていく。

122:6/11
07/02/22 01:55:30 3vzC0qwc
「じっかん~、じっかん~、時間を稼ぐのー、きゅいきゅいっ」
 シルフィードはご機嫌だった。
 タバサと合流して気がかりの無くなった彼女は、純粋に話が出来るのが楽しかった。

 風韻竜はその長寿と引き換えに出生率が低い。
 個体数が少なくとも生き延びることが出来る生命力と、生まれた子供が成竜になる割合が高いからだが、

「お話、おっはなっし、た~のし~の~」

 長い時を一人で生きるのは寂しい。
 同世代の同種すら希少な彼女にとって、タバサと知り合ってからの毎日は楽園だった。
「お姉さまも楽しそうだし、シルフィもうれしいのっ。
 人の身体は窮屈だけど、こんな毎日なら別に少しくらいは我慢するのー」

 タバサの側に長く居たシルフィードは、タバサの心が癒えていくのを無意識に悟り、
 それがまた彼女の喜びになった。
 タバサの事をタバサ本人よりも気にかけている使い魔にとって、
 この一年で始めて全てがうまく行っている……
 そんな実感に溢れていた。

「あー、ギーシュさまだ、やほー」
「元気が良いな、シルフィード」
 ギーシュはシルフィードのことを知っても、『面白いじゃないか』の一言で全てを済ませていたし、
 他の者が辟易して逃げ出すシルフィードとの会話も、我慢強く付き合った。
 実は女の子と話をするのが好きなだけだが、聞き上手と言うのは得がたい資質だ。

 同じく女の子が好きなマリコルヌは、シルフィードの話に付いていけないのを誤魔化そうと頑張って喋り……
 
 早々に話し相手失格の烙印を押されていた。
 シルフィは話を聞くより話すほうが好きなのだ。

「どうしたんだい?」
「内緒~、内緒だよ、ギーシュさま」

 ついつい喋りそうになる自分の口を、両手で可愛らしく隠すシルフィードをギーシュは深追いしなかった。
「そうか、それじゃ仕方ないね。何か出来ることはないかな?」
「ん~~~、んっ? あっ、ギーシュさま、ギーシュさまっ、しつもん、しつもん、しっつもーんっ」

 シルフィードはルイズとの会話にギーシュの知恵を借りて……

「きゅい?」

 『ルイズが動かなくなるようなお話』に、不思議そうに耳を傾ける。

123:7/11
07/02/22 01:56:03 3vzC0qwc
「うーっ、頭痛い……」
 宿の自室で水を飲みながら、ルイズは頭痛に耐えていた。

 ひとまずタバサをゲルマニアに逃がすため、最も足が付きにくく、
 最も効率が良い方法で、ガリア国内を移動していた。

 シルフィードがバテるまで、風韻竜に出せる限りのスピードで移動し、
 手近な宿で休む。
 
 この繰り返しだった。
 
 通常の移動手段を想定している包囲網に、この方法だと掛からない上に、
 騎竜を探す役人も、まさか人間に成っているとは思わない為、全員でのんびり出来る
 役人が探しているのは、数人の少年少女と竜であって、
 保護者(キュルケとシルフィード)付きの旅行者ではないからだ。

 高速移動と人化はそれなりに疲労するらしく、シルフィードがこの広めの宿で数日の休憩を要求したため、
 彼女に負担をかけていることを自覚している一団が、しばらく休むことにしたのだが。
「のんびりしすぎたわ……」

 実際、見つかってもどうと言うことは無い。
 今のこの一団を地方の官憲程度で抑えられる筈は無いのだ。
 恐ろしいのは、虚無の使い手そのものとエルフ程度だが、
 ビダーシャルが出てきても、今回は逃げの一手が打てる。

 虚無の使い手にしても、王族である公算が高いため、こんな辺境にほいほい出てくるとは思えない。

 それでも気を緩めすぎだ。
 ルイズは気を引き締めることにする。

「よしっ」

 勢い良くベットから立ち上がり……暫し頭を抱える。
 二日酔いは辛い。

「ま、負けない……」

 よろよろと立ち上がり、コクコクと水を飲む。
 アルコールで少しだけ鬱憤を吐き出したルイズは、もうしばらくだけ我慢するか、
 それとも外聞を捨ててでもサイトに甘えるか悩む。

「……いたたたた」

 二日酔いに考え事は向かない。
 
「サイトのバカ……なんでわたしばっかりこんなに苦しいのよぅ……」
 考えるのを止めて、ぽつぽつと胸のうちを吐き出す。

「わたしにも甘えさせなさいよ……」
「タバサばっかりズルイ……」
「あんた大きい胸が好きなんじゃなかったの?」
「…………寂しい……ょぅ」

 段々小さくなる声と、段々大きく成る想い。
 膝を抱えて丸くなるルイズが、サイトに会いに行く決心をする寸前、

「ルイズ~、ルイズ~元気かなっ? きゅいきゅいっ」
 二日酔いには最悪の来客が訪れた。

124:8/11
07/02/22 01:56:35 3vzC0qwc
 にゅぉぉぉぉ、頭がキンキンするぅぅぅぅ。
 のたうつルイズを余所に、シルフィードは元気にご挨拶。

「あ、おっはようっ、ルイズ、元気かなぁ?」
「だ、黙りなさいよ……って、なんでタバサがお姉さまで、わたしはルイズなのよ」
 余計なことを言ってしまったことを、ルイズは海よりも深く後悔した。

「えー、だってだって、ルイズはルイズって感じなんだもん。
 ほらっ、ル・イ・ズって感じでしょ?」
 
 弾むように大きくなる『ル・イ・ズ』が頭に響く。

「もう、ルイズで良いから、でてってー」
「え? 本当? わーい、ルイズでいいんだ、ルイズでいいんだー、きゅいきゅい」
「にゃぁぁぁ」
 何を言ってもシルフィードの口は止まらない。

 
「あ、ルイズ、ルイズ、質問があるのっ、答えて、答えてっ」
「もー、分かったわよっ、答えるから、答えたら出て行きなさいよっ」

 この言葉を、ほんの数秒後に後悔する事になる。

「ねぇ、ルイズ、『赤ちゃんてどこから来るの?』」
「え?」
「ねぇねぇ、ルイズっ、『赤ちゃんて……』」
「っっだ、黙んなさぁぁぁいっ!」

 あまりのバカな質問に、二日酔いのことを忘れてルイズはシルフィードにたたみ掛ける。

「お、女の子がそんなこと言えるはずないじゃないっ」
「そうなの?」
「そうよっ!!」

 釈然としない表情のシルフィードは、ギーシュに聞いた話と違う。
 そう悩み始めるが、シルフィードも『赤ちゃんの作り方』に興味が出てきた。

「女の子には聞いちゃダメなの?」
「そうよっ、そんな事言える筈無いじゃない!」
 
 フムフムと頷いたシルフィードは、おもむろに立ち上がると、
「ん、わかったー、サイトに聞いてくるね」

 ――――――――――――
「サイトー、赤ちゃんの作り方教えてー」
「よしっ、OKだ、シルフィード!! さぁっ、おいでっ!!」
 ……妙に爽やかなサイトがシルフィードを抱きしめる様子が、一瞬でルイズの脳内で構築される。
 ――――――――――――

「だ、だめぇぇぇぇぇ」
「きゅい?
「そ、それくらいなら、わたしが教えるわよぉぉぉ」

125:9/11
07/02/22 01:57:44 3vzC0qwc
「えっと、だから……その……ね?」
「きゅい?」

 話はまったく進んでいなかったが、ルイズの様子を見たシルフィードはじっと話が始まるのを待っていた。

「あの……やっぱり無しってのは?」
 耐え切れなくなったルイズが、シルフィードに降参してみた。

「ひっ、ひどいのっ、ひどいのっ。
 シルフィ、楽しみにしてたのにっ。
 騙されたっ。シルフィ、ルイズに騙されたっ!」
 
  暴れるシルフィードの次の台詞は、ルイズの顔を真っ青にするのに十分だった。

「ルイズが赤ちゃんの作り方教えてくれるって、シルフィの事もてあそんだぁぁぁ」

 ひたすら人聞きの悪いことを絶叫しながら、部屋の外に駆け出そうとするシルフィードをルイズは命がけで取り押さえる。
「ま、待ちなさぁぁぁあああいっ、人に聞かれたら誤解されるでしょうがぁっ
 言うからっ、説明するからっ」
「ならいいの、はやく、はやく~、きゅいきゅい」

 こいつ分かってやってないか?
 ルイズはそんな疑いを持つが、
「楽しみなの、楽しみなの、きゅいきゅい」

 シルフィードはまだ子供だった。

 世のお母さん、お父さんの苦悩をルイズはたっぷりと味わっていた。
(あぁ、ごめんなさい、ちぃねぇさま。ルイズは悪い子でした)
 幼い頃、しつこく聞いてカトレアを困らせていた事を思い出す。

「あ、そうだっ」
「きゅい?」
「そうっ、コウノトリよっ、コウノトリが運んでくるのよ」

 ありがとう、ちぃねぇさま。
 ルイズは姉に無上の感謝を……

「むー、嘘なの、ルイズはシルフィを騙そうとしているのっ」
「うっ」
「シルフィ、風韻竜ですもの、ルイズの産まれる前から空飛んでるもの。
 でもでもっ、赤ちゃん運ぶ鳥なんていないの知ってるもの」

 ……なんて厄介な。ルイズが賢いのかバカなのかわからないシルフィードをどう騙すのか考える。

「……ルイズ……嘘吐いた。
 ルイズ、シルフィの事騙そうとした」

 こ、この展開はっ、ルイズが嫌な予感に慄くと、

「ルイズが『赤ちゃんの作り方』で、シルフィを騙そうとしたっ。
 シルフィ、ルイズにおもちゃにされたぁぁぁぁ」
「ちょっ、だからそんな事喚きながら、外に向かうなぁぁぁぁっ」

 ルイズが力づくでシルフィードを取り押さえる。

「……シルフィ、『赤ちゃんの作り方』聞いただけなのに、ルイズがシルフィに馬乗りになって荒い息上げてるのっ、きゅいきゅい」
「っっっ、わ、わざとじゃないでしょうねぇぇぇぇ」

126:10/11
07/02/22 01:58:17 3vzC0qwc
「ふむふむー、なの」
「うぅ……お、お嫁に行けない」
 シルフィードの精神攻撃に負けたルイズは、知っている限りの知識をシルフィードに公開した。

「ん~、でも、本当なの? きゅいきゅい」
「……本当よ」
「でも、ルイズのっ……赤ちゃんが出てくるようには見えなかったの」
「っ! わ、忘れなさいっ、忘れる約束でしょうがぁぁぁぁ」

 乱れた着衣を整えながら、ルイズはシルフィードに掴みかかる。
 正確に話しても信じようとしないシルフィードに、オンナノコまで覗かせたルイズはシルフィードの記憶を消せるものなら消したかった。
(あぁぁぁぁ、ティファニアに呪文聞いとけば良かった)

 ここに始祖の魔道書が有れば、確実に読めるだろうに。
 ビダーシャルと戦った時の百倍ほど、自分の不手際を呪っていた。

「んとんと、ルイズ」
「なによっ」
 すっかりルイズに懐いたシルフィードが新たな質問を切り出した。

「赤ちゃんていいもの?」
「ま……まあ……ね」
「何人ほしいの?」
「へ?」
「サイトの赤ちゃん欲しいの?」
「ふえっ」
「サイトと赤ちゃん作りたいのっ?」
「い、いやぁぁぁぁぁぁ」

 シルフィードの質問は止まる事は無く……

「ルイズが教えてくれないのなら、サイトに聞くねっ。
 あ、さっき見たの、サイトに教えてあげても良い? 良い?
 サイトが知らなかったら困るしっ」
「だ、だめぇぇぇぇ、わ、わたしが説明するからぁぁぁぁ」

 シルフィードの質問から逃げることすら出来なくなったルイズは、

「……も、許して……」
「きゅいきゅい」

 ルイズは精神が崩壊するまでシルフィードの質問に付き合った。

127:11/11
07/02/22 01:59:03 3vzC0qwc
「いいわね?」
「はっ、ルイズの望みの物を聞き出し、早急にプレゼントする所存であります」
 サイトはキュルケに連れられて、ルイズの部屋の前に来ていた。

「手伝う」
「ありがと、タバサ」
 感謝の印とばかりに髪をくしゃりと撫でるサイトを、眩しそうにタバサが見つめている。
 サイトと一緒になら……ルイズの前に立って、まずお礼を言おう。
 そう決心したタバサは今ここに居た。

「いくぜ」
 小さくノックしてから、ルイズの部屋に踏み込む。
 サイトとキュルケに隠れるようにタバサが続く。

「ルイズ……寝てるのか?」
 サイトの問いかけに答えるように、ゆらりとルイズが起き上がった。

 ―シルフィードとの問答の途中に、いつの間にか意識を失ったルイズは、
 鉛のように重く感じる体を起こした。

 ……これは……夢?
 サイトが何か言ってる……
 サイト……
 サイト

 寝惚けているルイズはサイトの顔を見ているだけで、シルフィードとの問答がリピートされていた。

 ―ルイズの様子がおかしい気がしたが、サイトは予定通り行動を進めた。
 アドリブで行動を変更できるほど、サイトは器用な少年ではない。
「い、今まで、俺ルイズの事……よく知ってるつもりだったけど……
 良く考えたら、俺ルイズの欲しい物もわからないんだ……

 こ、これから頑張るからさ、
 今日も、何かプレゼントするつもりなんだ……

 手に入るようにがんばるからっ……

 ルイズっ『欲しい物』教えてくれっ!!」

 ん――と、空中を眺めていたルイズが、ふわりと笑って呟いた。

「赤ちゃん♪」
「「「は?」」」
 ルイズの衝撃のおねだりに、三人そろって間抜けな声を上げる。

「赤ちゃん♪ かわいーの♪」

「が、頑張るんだっけ?」
「え……と……ルイズ?」
 あまりの展開にキュルケとサイトが取り乱す。
「え……と……て、手伝う?」
 タバサも変だ。

「赤ちゃん♪ 赤ちゃん♪ 赤ちゃん♪」
「「「…………ぅ……」」」

 正気に返ったルイズが窓から飛び降りようとするまで、三人の硬直は解けなかったとか……


128:名無しさん@ピンキー
07/02/22 02:00:28 3vzC0qwc
全力で書くとさらに長く取りとめがなくなりそうなのでこの辺りで。
……変な意味で纏ってしまった気もしますが。

精進しますね。ではっ

129:名無しさん@ピンキー
07/02/22 02:04:03 RVZiLbW5
GJ!
こうなったら是非子作りに励む才人とルイズ、そしてお手伝いする他の面々という大乱交SSを書いて頂きたいです!!

130:名無しさん@ピンキー
07/02/22 02:07:25 25TyZ4M2
ルイズカワイソウだ…きゅいきゅいが良い味出してるな。
GJ。

131:無知で愚かな374
07/02/22 02:54:30 1n17NEQ0
GJ!です
こう立派なSSが出ると
『無知で愚かな374』の名が光り輝き出しますよ。
やっぱり金曜か土曜にキリの良いところまで書いて投下します。
シエスタを徹底的に泣かせ、苛め、嬲りますので
>>115
どうか許して下さい!!

132:名無しさん@ピンキー
07/02/22 03:12:10 9w0n1wY1
>>131
楽しみに待ってるよ!
名前もそのままでいいからいっちょぶちかましてくれ!

133:名無しさん@ピンキー
07/02/22 03:12:34 9w0n1wY1
>>128
GJ!


で、子作り編は?

134:名無しさん@ピンキー
07/02/22 10:13:57 N+ZhwOk1
昼前から死ぬほどワロタw
>>205氏GJ!
きゅいきゅい良い味出してるなぁ…w

135:名無しさん@ピンキー
07/02/22 10:17:38 N+ZhwOk1
orz
205氏じゃないよ261氏だよ…ごめんなさい
λ......吊って来ます

136:名無しさん@ピンキー
07/02/23 03:40:57 Z7cvi2m9
スレ違いを承知で言わせてくれ。
 
ツンデレDISCYABEEeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!
Ya―ha―っ!!!

137:名無しさん@ピンキー
07/02/23 08:25:43 ghCQ25k0
1日で1レスというおまいらの統率の取れっぷりに感動した

138:名無しさん@ピンキー
07/02/23 11:51:19 Rf+g8rKk
>>137 ごばく?



139:名無しさん@ピンキー
07/02/23 21:04:29 ygNJtTDj
>>135>>136の間が17時間もあるとは…SS投下がないと過疎るもんだな。
多分皆投下を待ってるんだろう。俺も含めて。

140:ゼロ厨
07/02/23 21:27:26 BXu7dkVq
本当ですね。SS投下期待!

141:名無しさん@ピンキー
07/02/23 21:37:31 VApsAPSj
ssって何?
サービスショット?

142:名無しさん@ピンキー
07/02/23 21:43:13 37uXkG9j
SS
「サイト・シエスタ」の略だよ。

143:名無しさん@ピンキー
07/02/23 21:48:23 VApsAPSj
>>142
了解しました。

144:名無しさん@ピンキー
07/02/23 21:50:16 Mk3/ZU5M
そうかSSSだとサイトシエスタシャルロットになるわけですな
SSS!SSS!SSS!

145:名無しさん@ピンキー
07/02/23 21:54:25 ygNJtTDj
SeんたいさんがSaイコーにへんたいさん

SideStoryが正答ではあるがそれを無視するのが正答。

146:名無しさん@ピンキー
07/02/23 22:22:27 5Ub5CzAt
>>145
SSってSideStoryのことだったのか
オリジナルなShortStoryだと思ってたw

147:名無しさん@ピンキー
07/02/23 22:26:08 ygNJtTDj
まぁ実際そっちも正解だと思うよ。
あとShort×Shortってのもあるな。
略語だし、解釈は何でもいいんだろうよ。

148:名無しさん@ピンキー
07/02/23 22:33:48 VeYkfIjK
初めてSSを書いてみたんですが、投下してもいいでしょうか?


149:名無しさん@ピンキー
07/02/23 22:34:41 aGPjWmRF
SEXSHIたい……っててごめんなしゃい何でもないでしゅモグラ許してくだしゃい。

150:名無しさん@ピンキー
07/02/23 22:38:11 zDyd3mmm
>>148
承認!

151:純愛センター
07/02/23 22:39:45 cLZc4Rpf
「私はアナタが許せない」
タバサが私に言った。
「アナタはあの人に何もしない。ただ彼を縛ってるだけ…」
「使い魔なんだから当然じゃない!!」
ウソ…これはただの建て前。
「私はアナタが許せない」
ヤダ…
「アナタはあの人を縛って、戦わせ、傷つける」
ヤメテ…
「あの人はいつか、アナタを守るために死ぬかもしれない」
ヤメテッテバ…
「なのにアナタは何もあの人に与えない」
ワカッテルカラ…
「私はアナタが許せない」
シッテルカラ…
「なぜアナタだけがあの人の好意を受けられるの?」
「傷つけられても…なんでアナタが好きなの?」
「アナタはあの人に何もしない。与えない。返さない」
「だから私はアナタが嫌い」
そう言ってタバサはどこかに行った。

「どうした?ルイズ??」
サイトが私に話しかける。
(どうしてアナタがあの人の好意を受けられるの?)
「ねぇサイト…」
(アナタはどう思ってるの??)
「ん?どうした?」
「……なんでもない」
アナタはなんで私を守るの?

152:純愛センター
07/02/23 22:42:15 cLZc4Rpf
お久しぶりですm(_ _)m

とりあえず受験が一段落したんで投下しましたが…
やっぱり3分クッキングはダメですな…
今度はちゃんと書いて投下しますね

では…

153:女王アンリエッタの優雅な一日
07/02/23 22:57:21 VeYkfIjK
「はぁ……」

アンリエッタは何回目かもわからない溜め息をついた。
サイトやルイズ達が衛兵を倒し脱獄してから既に二週間が経とうとしている。アニエスにもサイト達を捕縛するように命じたが、巧く逃げられたようだった。
「はふぅ……」
「陛下、そのように溜め息ばかりついていては御身に障ります。」
アニエスはアンリエッタに呼び出されてから初めて口を開いた。呼ばれたのはいいが、アンリエッタが窓の外を見ながら溜め息ばかりしているので見るに見かねてのことだった。
実はアンリエッタの命令を守れなかったことでお咎めがあるのかと内心ヒヤヒヤしていたのだが、アンリエッタの様子を見るにそうではないようだ。
ではなんで呼び出されたのだろうか?そんなことを考えていたら
「ねぇアニエス…何か気分が紛れるようなものはないかしら?信頼していた親友も勇者も私の前からいなくなってしまって、最近夜も眠れなくて。」

アニエスは気付いた。なるほどアンリエッタはルイズ達がいなくなっても普段通り女王としての職務を果たしている。が、やはり親友がいることはアンリエッタにとって心の支えでもあったのだろう。
しかもどうやら、その親友の使い魔にも何やらありそうなのをアニエスは長いこと側にいるのでわかっていた。
「そうね、本がいいわ。アニエス、面白そうな本を探してきて頂戴」
「御意」


154:女王アンリエッタの優雅な一日
07/02/23 22:58:39 VeYkfIjK
というわけで本をさがす事になったアニエスだが、すでに後悔していた。
(これは難題を引き受けてしまった。陛下のことだから教養として『イーヴァルディの勇者』などの本は既に読んでいるに違いない。さてどうしたものか……)
など考えを巡らしていると
「あら、アニエスさんじゃないですか。どうしたんですか?」
「お前は確か……サイトのメイドの」
シエスタだった
「いや、本を探しているんだがな……」
シエスタは元は学院でメイドをやっていたので、流行の本を知っているのではないかと思い、相談してみることにした。もちろん”陛下のため”とは言わなかったが

「そうですか、じゃあこの本はどうですか?今、人気なんですよ」
と、ある本を渡された
「すまん、助かった」
「いえいえ~♪あとこれ、二章がすごいんですよ。是非読んでみて下さい。」
と渡された本のタイトルは

『バタフライ伯爵夫人の優雅な一日』だった


155:女王アンリエッタの優雅な一日
07/02/23 23:01:44 VeYkfIjK
本を買ったアニエスは”内容を確認せずに”急いでアンリエッタのもとに向かった

「へぇ、これが今の流行りですか…」
「そのようで」
ふ~ん、といった感じで本の表紙をまじまじと見ていたアンリエッタだったが、ふっとアニエスに本を渡すと言った
「では、読んで下さいまし。」
アンリエッタ程の身分にもなれば、本とは自分で読むものではなく、人に読んでもらうものなのだ
「え?……あ、わかりました」

と、読み始めたのはいいのだが、如何せん、内容が途中からぼかーんなわけで。アニエスも一通りの知識はあったが女王の前で読むとなると話はべつだ。
「陛下、本を変えてきます」
するとアンリエッタは今までの話で顔を真っ赤にしながら
「いえ、続けて下さい。国の様子を知るのは女王の勤めですから。わたくし女王ですから!胸も女王ですから!胸も女王ですから!」
とかもう無茶苦茶である。
「いや、しかし」
「アニエスも私のもとから去っていってしまうのですか?」
アンリエッタが顔を赤くして涙目で、しかも上目づかいに見ているのである
(泣き落としなんて何処でならったんですか!!)
と泣きそうなアニエスだったが、その後も読み続け、
「そ、そんなとこを殿方が…いやんいやん」
「そんな……むにゅっちゃうなんて…」と、とにかくぼかーんな内容にテンションが雲の上なアンリエッタと、アニエスの
「もう、今日は終わりに……」
「二章は勘弁して下さ~い!!」という悲鳴とが止むことはなかった。



次の日アニエスが銃士隊を休んだ理由は誰も知らない。

156:女王アンリエッタの優雅な一日
07/02/23 23:04:00 VeYkfIjK
これで終わりです。何かネタになってしまった…orz
この後にアンリエッタ×サイトのSSを考えてたんですが需要があれば、ということで
(´∀`)ノシ

157:名無しさん@ピンキー
07/02/23 23:16:58 ahLy4uxL
>>156
GJ! ていうかシエスタなにやってんだww
エロ本を人に貸すのは中学生男子だけの特権ですよ。

需要? ありまくりですよ。超ありまくり。
期待しつつ待ってます。

158:名無しさん@ピンキー
07/02/23 23:29:20 5Ub5CzAt
>>156
かなりGJ!初めてなのにクオリティ高いなw
ってかアニエスはシエスタから本を「買った」のか?

>>152
長い間待っていた…君が来るのを…
あ、それと保管庫にまだ途中の作品ありましたよ

159:名無しさん@ピンキー
07/02/23 23:37:31 5IuZQ1/L
>>156
GJです!アンリエッタ×サイトも需要ありまくりw

160:名無しさん@ピンキー
07/02/23 23:56:55 ygNJtTDj
たわわな乳が好きな俺。
>>156GJ。需要アリ、です。

161:名無しさん@ピンキー
07/02/24 00:19:11 AqNYDPiR
>>156
GJ!ハイテンションなアン様にチンコが反応しまくりだぜ!

162:名無しさん@ピンキー
07/02/24 02:18:36 uZy1FH4t
>>152
おお、復帰待ってました。
あなたの作風が大好きなのでがんばってください。

やっぱり最近はルイズのサイト依存症にスポットが当たってるな。
シャナ、絢子みたいな主人公への依存度が馬鹿高いキャラがすごい好きだ。

163:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/24 02:52:07 +abDjoo7
あーのピーカラ☆ホイっが~キラメキはじ~める~♪う~っ!(エンドレス

というわけで新たな電波を得て元気全開なせんたいさんですこんばんわ。

さて君ら忘れてないか?
『聖女の日』はあと一人残りがあるんじゃぜ?

そんなわけでテファ編いっくよー

164:聖女の日~ティファニアの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/24 02:53:48 +abDjoo7
「おはよー、お姉ちゃん」
「あ、おはようタニア」

朝もやに煙る水場で、二人はいつものように挨拶を交わす。
ウエストウッドの村では、この二人が一番の早起きだ。
家事を一手に担うティファニアと、それを手伝うタニア。
ずいぶん前から、水場で朝一番に顔を洗うのは、この二人になっていた。
しかし。

「今日は遅刻しなかったねー?」

タニアの言葉に、ティファニアの身体がぎしっ!と音をたてて動きを止める。
顔も耳まで真っ赤になる。
そう、最近ティファニアは朝一番に水場にこないことがある。

「やややややーねタニア、この前のはたまたまよたまたま」

ぎこちない動きで水場に置いてあるコップに水を注ぎ、赤い顔でそう言うティファニア。
しかしタニアは容赦しない。

「五回続いたらたまたまって言わないんじゃなーい?」

ばしゃっ!
勢い余って、ティファニアは手にしたコップに溜まった水を自分の顔にぶちまけてしまう。

「あ、ああああああれは疲れてたからっ」
「お兄ちゃんとこで寝るようになってからだよねー?遅刻するようになったの」

ぼんっ!
タニアの指摘に、ティファニアの顔面が火を噴く。

「いやあのでもそれはえっとあのそのっ」

まるで伝承の巨人・ヘカトンケイルのように腕をあっちこっちに伸ばして、慌てて言い訳の言葉を捜すティファニアだったが、うまい言葉が見つからない。
そんな自称保護者にタニアはにやりと笑って言った。

「なんならもうちょっとゆっくりしててもいいよ?
 朝の準備はしとくからさ」
「いいっ!ちゃんと起きられるからっ!」

どちらが保護者かわからないやり取りである。
しかしティファニアの台詞はこの先、あまり守られることなく終わる。
そう遠くない未来、ウエストウッドの朝餉の準備は、結局タニアの仕事になるのである。

165:205
07/02/24 02:54:19 DUoBUGtB

お帰りなさい&これからよろしくお願いしますと声をかけつつ……

ちょっと個人的に相談したいことがございますので、
時間のある方は↓をご覧になって頂けるとありがたいです。

URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

166:聖女の日~ティファニアの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/24 02:55:27 +abDjoo7
たくさんの人数分の料理を作るのは、大変な仕事…というわけでもない。
汁物は前日に仕込んでおけばいいだけだし、サラダの類も野菜を切ればいいだけなので問題はない。
あとは、適当に切り分けたパンを各自の皿に盛り分けるだけだ。
とどのつまり、朝餉の準備はパンを切り分けることとスープを温めること、そしてサラダを盛り付けることである。
タニアはサラダを担当し、スープとパンはティファニアが担当する。

「ねえお姉ちゃん、今日はどうするの?」

サラダの野菜を細かく切り分けながら、唐突にタニアが聞いてきた。
今日?なんかあったっけ?

「今日?なんのこと?」

ティファニアは記憶を探ってみる。
誰かの誕生日?それとも何かの記念日だっけ?
どうやら思い当たっていないらしい保護者に、タニアは深いため息をつく。

「今日は『聖女の日』だよ?
 お兄ちゃんに贈り物しなくていいわけ?」

タニアの言葉に。

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

ティファニアは思わず叫んでしまった。
忘れてた。完全に。
当然贈り物など用意してあるはずもなく、ティファニアは慌てる。
でも。

「で、でもあれって告白してない女の子のイベントだしっ」

とりあえず言い訳してみる。
だがタニアには通じない。

「…お兄ちゃん可哀そう」
「あ」
「楽しみにしてただろうなー。『聖女の日』にお姉ちゃんから贈り物されるの~」
「う」
「最近は、恋人同士になってからのほうが『聖女の日』は大事だっていうのに~」
「あうあうあうあうあうあうあうあう」
「お姉ちゃん嫌われちゃうかもよ~?」
「ど、どうしようタニアっ!?どうしよ~~~~~??」

泣きそうな顔で、自称保護者はタニアにすがりつく。
言動だけなら、どっちが保護者か分からない。
ホントに、どーしょーもない保護者だこと…。
半分呆れて、タニアは言った。

「どうするもこうするも、今から準備して間に合う贈り物を用意するしかないんじゃない?」

タニアの指摘は的確であった。
もとよりそうするしか他に道はない。

167:聖女の日~ティファニアの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/24 02:56:03 +abDjoo7
「そ、そうよね…。
 うん、頑張ってみる」

とりあえず思い直し、ティファニアは贈り物を思案する。
しかし。

「考えるのはいいけどさ。
 スープ焦げるよお姉ちゃん」

冷静なタニアの突っ込みに、ティファニアは慌ててスープをかけていた火を消したのだった。
その日の朝食のスープは、ほんの少し焦げ臭かった。

結局半日考えて。
どーしよー!
思いつかないよー!
すぐに用意できるもので、サイトが喜びそうなもので、しかも贈り主書かなくても私だってわかるものなんて!
用意できるわけないじゃないのっ!
私はお昼の用意をしがてら、台所でぐるぐる回る。
すぐ準備できるものの候補って言ったら。
お料理…くらいしかない。
でもでも、料理が贈り物だって気づいてくれるかなサイトは?
…あれで結構鈍感だし…。
そうこうしていると。

「おねえちゃーん、おなかすいたあー」

エマが、台所の入り口からそう声をかけてきた。
外を見ると、日はすでに傾き始めている。
あ、まずい、お昼出さなきゃ!

「はいはい待っててね、すぐ準備するから」

私は慌ててお昼のシチューをお皿に取り分ける。
うー、こんな事してる場合じゃないのにっ!
結局お昼の後片付けが済むまで、サイトへの贈り物を考える暇は、私にはなかった。

なるほど、こっちのバレンタインみたいなものなのか。
俺は、タニアが口にした『聖女の日』の解説を、タニア自身から受けていた。

「ほーんと、なんにも知らないんだねお兄ちゃんてば」

呆れたようにタニアがそう言う。
…そりゃそうだ。俺元々こっちの世界の人間じゃないんだし。
そんなタニアに俺はいつもの言い訳をする。

「俺の故郷じゃそんなイベントなかったしなあ」

とりあえず万能の言い訳だ。
でも、今日のタニアは何か不満そうだ。

「…知らなかったらスルーするとこだったね?」

顔は笑ってるが目が笑ってない。
…まあ、知らなかったら贈り物が目の前にあっても、その贈り主を当てようなんて思いもしないわな。
まあいいや、とりあえず。

「そうだな。教えてくれてありがとな、タニア」

俺はタニアのブルネットの髪をくしゃくしゃと撫でると、薪割りの仕事に戻ることにした。
タニアはまだ何か言いたそうだったが、俺が鉈を手にして薪割りを始めると、ふてた様な顔をしてどこかに行ってしまった。

168:聖女の日~ティファニアの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/24 02:57:34 +abDjoo7
その夜。
才人が仕事を済ませ、部屋に戻ると。
寝室の円卓の上に、小さな紙が置いてあった。
この数ヶ月の間、才人はティファニアに、読み書きを教えてもらっていた。
ロサイスに買い物に行く際、読み書きができなくては何かと不便だからだ。

「ん?どれどれ」

そこにはこう書いてあった。

『贈り物があるから、寝ないで待ってて』

差出人の名前はないが…。

「思いっきりテファの字じゃん…」

このウエストウッドでまともに読み書きができるのは、ティファニアとタニアくらいだ。
そして、この丁寧な字は、間違いなくティファニアのもの。
字を習いたての才人でも、それくらいはわかる。
夕食の後にでも、贈り物を渡すつもりなのか。
しかしそれでは。

「…聖女の日の贈り物って、贈り主が直接渡したらたらダメなんじゃ…?」

昼間タニアに聞いた聖女の日のルールを思い出す。
…ひょっとして。
才人の頭脳は一つの可能性を導き出す。

「この手紙が、贈り物の代わり、ってイミかなぁ?」

呟きながら才人が手紙を手にしていると。
ドアをコンコンとノックする音が聞こえた。
この時間にこの部屋のドアをノックする人物は一人しかいない。
ティファニアだ。
才人はいつものようにドアを開けて、ティファニアを部屋に招き入れる。

「あ、あの、サイト」

ティファニアは料理をテーブルの上に置くと、急にもじもじし始める。
あ、そうか。
才人は聖女の日のルールを思い出す。
贈り主を当てないと、いけないんだっけ。

「この手紙、テファが?」

才人のその言葉に、それまで俯いていたティファニアは顔を上げ、笑顔になる。

「う、うん」

そして頷いた。
しかしその直後、少し申し訳なさそうな顔をして。

「でも、ごめんね。時間なくて、大した贈り物、用意できてないの」

謝った。


169:聖女の日~ティファニアの場合 ◆mQKcT9WQPM
07/02/24 02:59:12 +abDjoo7
しかし才人は、そんなティファニアの様子を気にすることもなく。

「いいよ、テファが贈り物してくれるってだけで嬉しいし」

にっこりとティファニアに笑いかける。
優しいね、サイト…。
ティファニアはそんな才人の態度に、ティファニアは想い人への愛しさを募らせる。
そして二人は、いつものように夕食を採り…。

「ごちそうさま」
「お粗末様でした」

夕食が終わり、ティファニアは夕食以外に持ってきていた、陶器の小瓶を持ち出す。
ティファニアはその小瓶を持ったまま、ベッドの方へ歩いていき、そして腰掛ける。
ランプの明かりに照らされたその頬は、少し赤くなっていた。

「サイト、贈り物渡すから…こっちきて」

才人は言われるまま、ティファニアの前に立つ。
ティファニアは陶器の小瓶を両手で持ったまま、赤い頬で才人を見つめている。
…なんだろう?あの小瓶がプレゼントなんだろうか?
疑問に思う才人を尻目に、ティファニアはその小瓶の蓋を開ける。
その口から香る、甘い香り。

「これ…チョコレート?」

才人は驚いたように言う。
カカオの実を焙煎して作るチョコレートは、ハルケギニアでは高級食材だ。
日本ではポピュラーなおやつだが、栽培技術も流通経路も発達していないこの世界では、高級な食材だった。
才人はそれを、ロサイスへの何度かの買出しによって、知りえたのだ。

「これね…私が自分で作ったの…。
 ほんとは、自分でこっそり食べるつもりだったんだよ」

言って、いたずらっぽく舌をぺろりと出す。

「そんな、悪いよ…テファも楽しみにしてたんだろ?」

しかし才人の心配をよそに。
ティファニアはとんでもない行動に出た。
いきなり夜着の前をはだけ、規格外に大きな胸を晒すと。
小瓶に溜まった茶色い液体を、その白い柔肉の双球に、まんべんなくふりかけたのだ。
息を呑む才人に、ティファニアは言った。

「これ、全部、サイトが…。
 サイトが、食べて、いいから…」

170:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/02/24 02:59:51 +abDjoo7
ごみん「つづく」なんだわ。
恨むなら夜勤が(ry

じゃあねゆーノシ

171:205
07/02/24 03:00:34 DUoBUGtB
うわ、リロードし忘れorz
せんたいさん、割り込み失礼いたしました。

172:名無しさん@ピンキー
07/02/24 03:40:07 MGktZRk1
も…悶える
続きみて~
とにかくGJ

173:名無しさん@ピンキー
07/02/24 04:12:46 xb5feJcv
>170
おまいは
おれを
萌えコロス気か!

続き読むまで死ねないッ

174:ゼロ厨
07/02/24 04:45:43 fUL5OdtS
せんたいサンもったいぶらないでくだせぇ、萌え死ぬー

175:名無しさん@ピンキー
07/02/24 11:13:30 7bZHQVT7
さて、明日は前期入試なわけだが…。

続きが気になって集中できません。謝罪と賠(ry

176:名無しさん@ピンキー
07/02/24 11:58:05 f8wyjMuw
せんたいさん、相変わらずGJです。

>>175
(・∀・)人(・∀・)ナカーマ
と、昨日SSを投下した奴が言ってみる……。

>>158
シエスタ「55スゥもしたんですよ。」

すいません。ミスですね。『貰った』もしくは『薦めてもらった本を本屋で買った』辺りでしょうか。


需要があるようなので頑張って書いてみます。期待せずに待ってて。

177:名無しさん@ピンキー
07/02/24 14:28:03 2YeCnctp
>>175
(・∀・)人(・∀・)ナカーマ。しかし1ヶ月数学やってないorz

せんたいさんGJGJ!女体に食べ物を塗りたくるシチュはたまらんわ。

178:名無しさん@ピンキー
07/02/24 16:52:24 i3JKcQbs
>>175
(・∀・)人(・∀・)ナカーマ
俺も数学ずっとやってないわ

それなのに悶々として勉強どころじゃない
せんたいさんGJ!!

179:名無しさん@ピンキー
07/02/24 18:15:05 E80pbGX4
いやいやいや受験生は勉強しろよw
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡

180:名無しさん@ピンキー
07/02/24 19:53:39 7bZHQVT7
受験生多すぎw自分だけかと思ったらこんなに…。
よ~し、続きが来るまで寝ないぞ。

あと俺、受験が終わったらここから卒業しようと思ってるんだ。

181:名無しさん@ピンキー
07/02/24 20:00:03 /thR4I2b
>>180~!
それ受験失敗フラグ!!

182:名無しさん@ピンキー
07/02/24 20:09:32 LOqUg6cz
ふっ無理すんなよ…
お前には残してきた物があるだろ?
そういう役はオレに任せて行けよ!

もし受かったら…一緒に酒でも飲もうぜ

183:名無しさん@ピンキー
07/02/24 22:22:14 2YeCnctp
俺を含め、国立前期受けるのがここに4人いるのか。
頑張ろうぜ同志よ。

184:名無しさん@ピンキー
07/02/24 22:51:38 CdxBg02K
>>183
さらに俺を含めて5人だw

185:名無しさん@ピンキー
07/02/24 23:08:39 /thR4I2b
つくづくせんたいさんは受験生の敵だな(´・ω・`)

186:名無しさん@ピンキー
07/02/24 23:11:46 2YeCnctp
我が種子と共に知識が抜けていく気がするのは否めないわな…orz

187:名無しさん@ピンキー
07/02/25 00:58:34 lFKMNTbe
おかあさんそんなお下劣なこと言う子はキライです!

ドピュッ

188:284 ◆yJjGBLHXE6
07/02/25 01:56:26 Nb3TIG0V
深夜にこっそり、受験生へのプレゼンツ。
皆さん合格しますように。


189:試験目前 ◆yJjGBLHXE6
07/02/25 01:57:54 Nb3TIG0V
「お~い、ルイズ? 寝ないのか?」
「別に、いいわよ? 先に寝てて」
 ルイズは真っ暗な部屋の中、ぽつんとランプが照らしている机で必死に本をめくっていた。
「・・・つか、さっきから何やってんの?」
 才人が布団をめくり上げて、ルイズの後ろに歩み寄る。
 ルイズはペンと溜息を一緒に机に置くと、才人の方に椅子ごと振り向いた。
「明日試験があるの、結構重要な試験なんだから邪魔しないで」
「ああ、そういえばモンモンやギーシュたちが教科書めくってうんうん言ってたな」
「ああって・・・そういえば、アンタいっつも授業中寝てるわね・・・」
「まあ、聞いてても何言ってるか分かんねぇし」
 才人があはは、と頭を掻くと、そのまま机の上を覗き込んだ。
「で? これはなんの教科書なの?」
「魔法の属性の合成による現象への干渉と効果についてなんだけど・・・結構難しいのよ」
 才人は前半分を受け流しつつ、もっともらしくうんうんと頷いた。
「数学ⅢCとか物理化学みたいなもんかな、レベルとしては・・・」
「・・・? 何か言った?」
「いやいや、こっちの話。まぁ無理しないように頑張ってな」
 そういうと、才人はさっさと布団へと戻っていく。

 ・・・ちょっとお!ご主人様が寝ないで頑張ってるってのに、さっさと寝ちゃうわけえ!!つ、つつつ、つ、使い魔の癖にっ!

・・・・・・先に寝てていいって言ったのはあなたです。


190:試験目前 ◆yJjGBLHXE6
07/02/25 01:58:57 Nb3TIG0V
 ルイズは向こうを向いて布団にもぐった使い魔を見ながら肩を震わせていたが一息つくと再び机に向き直った。

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・
 ―――――
「・・・ん・・・あれ、あたしもしかして寝ちゃって・・・」
 慌てて顔を起こすが、まだ暗い窓に、ひとまず安堵の溜息を得る。
 と、ぱさっとルイズの肩から何かが落ちた。
「え?・・・これ、才人のパーカー・・・」
 振り向くと、さっき今でそれを着ていたはずの才人は、Tシャツ一枚で布団の上で寝息を立てていた。
「なによお・・・起きてたんなら言いなさいよっ」
ルイズはふと机に視線を落としてある程度まとまっているノートを見て、暫し考え込む。
「・・・ま、何とかなるわよね・・・」
 ポツリと独り言を落としてルイズは服を脱ぎ捨て、才人の寝ている布団へと歩を進めた。
 もぞもぞと才人の横に潜り込むと、寝ていたはずの才人がすっと目をあけた。
「おやご主人様、勉強はもう宜しいので?」
 才人がわざとらしく微笑むと、ルイズは不機嫌そうに視線をそらす。
「うるさいわね。もうこんなだし、寝不足でテストで出来なかったら嫌だし・・・」
 ぶつぶつとつぶやくルイズを見て才人は再び笑みを濃くすると、枕にされている腕を畳んで、
ルイズを引き寄せた。
「きゃっ・・・な、なな、なにすんのよっ」
 突然抱きしめられるという行為に反射的に声を上げるが、こちらを見て笑っているサイトと目が合うと、
口を閉じて才人の背中に腕を回して抱き枕のように抱きしめ返す。
「・・・あのね・・・パーカー・・・ありがと・・・」
 才人の胸の辺りから聞こえてくる声に才人は聞き返す。
「パーカー?何のこと?」
「な、何よっ白切るつもりっ」
ルイズが顔を上げると才人の顔には意地悪そうな笑みが張り付いていた。
 ルイズはそんな才人を見てうーっと唸り、頬を膨らませる。が、すぐに顔を真っ赤にして視線をそらした。


191:試験目前 ◆yJjGBLHXE6
07/02/25 02:00:11 Nb3TIG0V
「ま、まぁ使い魔がご主人様に奉仕するのは当然よねっ」
「へいへい」
「でも・・・寝ていいって言ったのに起きていた忠誠心に対してはご褒美が必要よね」
 言うと、ルイズは才人が何か言おうとするために軽くあけた口に自分のそれを重ねた。
 音一つ無い空間を静かな時間がすぎていく。
 自然とにどちらからとも無く互いを求め合い、舌で互いを探っていく。
 息の続かなくなったルイズが唇を離すと二人の間に透明な橋がかかる。
「・・・っは・・・いい?これ、ご褒美なんだからね?」
「へいへい」
才人は苦い笑みを貼り付けてルイズを見て、また互いを重ねあった。
「んっ・・・はっ・・・あっ」
隙間から二人の吐息がこぼれる。
才人がゆっくりとルイズの裾から手を入れるとルイズは一瞬震えたが、
受け入れるように才人の首に手を回す。

「いっぱいは・・・ダメなんだからね・・・」



――――長い夜はまだ明けない――――

・・・ちなみに次の日
「ちょっと、ミス・ヴァリエール? 使い魔との仲がいいのは構わないけど、試験前日は無いんじゃない?」
「な、なな、ななななな、何のことかしら?ツェルプストー?」
「・・・ま、いいわ。お楽しみでテストできませんでした、なんてない様にね」
「~~~~~っっ!!」
 テスト終了後、ルイズの部屋からは地獄の叫びが聞こえたとか聞こえないとか。
                              <おしまい>


192:284 ◆yJjGBLHXE6
07/02/25 02:01:45 Nb3TIG0V
と、言うわけで皆さん受験ガンガッテ!!

テストなんてここ数年見たこともありませんがww
では、ぐっばい

193:名無しさん@ピンキー
07/02/25 02:10:44 dWejo3Kf
284さんGJです。
受験生の皆さんがんばってください。

194:名無しさん@ピンキー
07/02/25 07:32:05 7ML8JrSG
284さんGJ…というかありがとう!

ちょっと前期テストボコボコにしてくる。

195:名無しさん@ピンキー
07/02/25 12:26:09 altnd3mi
284さんGJ!!
そしてありがとうございます
さっき試験前に読んで
テスト中妄想が止まらなくて焦ったww

196:無知で愚かな374
07/02/25 14:59:34 h+hIeIFp
>>284 さんGJです
ところで皆さん
受験生に捧げる様なネタじゃない上に完結していない
シエスタの駄作SSなんですけれど
そんな私がSS投下などをしてよろしいのでしょうか?
それとも来週までに完成させてから投下すべきでしょうか?
皆さんの意見を聞かせてください。
よろしくお願いします。

197:名無しさん@ピンキー
07/02/25 15:00:46 JJzS1PPy
>196
とっとと投下しやがれです
遠慮はいらん
ただ、必ず完結させやがりなさいです

198:無知で愚かな374
07/02/25 15:02:53 h+hIeIFp
は・・・はやい・・・
じゃあ、その・・・
投下します。
ちょっと待ってて下さい。


はやいなぁ

199:無知で愚かな374
07/02/25 15:05:11 h+hIeIFp

 ルイズとサイトの衝撃的な光景を見てしまった次の日の朝。
その日は休日だった事もあってか、シエスタは随分と遅くに目覚めた。
 シエスタは小さな欠伸混じりの伸びをしながらも、昨日の夜のことを思い出す。
 結局あの後シエスタはどうやってここまで戻って来たのかをほとんど覚えていない。
もはや夢か現実かもはっきりしない。そんなことを考えていると
「よう、随分遅いな~。メイドの嬢ちゃん」
サイトから預かったデルフリンガーがシエスタの思考を中断させた。
「あ・・・おはようございます。デルフさん」
とりあえず、デルフリンガーをサイトに返しに行こうと思いシエスタは身仕度を整えた。

 デルフリンガーを携えて、シエスタはルイズの部屋の前に立っていた。
昨夜の情事を覗いてしまったシエスタの手がノックをためらう。
「どうしたよ、嬢ちゃん」
「い・・・いえ、何でもないです・・・」
 意を決して、扉をノックする。しかし、部屋から返事がなかった
「サイトさん、入りますよ・・・」
扉を開けてみると、部屋には誰もいなかった。シエスタはちょっとだけ安心した。
「サイトさん達・・・・・・いませんね」
「とりあえず部屋に置いといてくれよ。どうせすぐ戻ってくるだろうし」
デルフリンガーがそう言うのでシエスタはデルフリンガーを置いて部屋を出ようとした。
そのとき
「あれ、シエスタ」
「さささ、サイトさん!!」
 丁度帰ってきたらしいサイトがシエスタの後ろに立っていた。
「お~相棒。ただいまー」
「おかえり。ゴメンね、シエスタこんな事頼んで」
「い、いえ。大したことじゃありませんから」
 気まずくなって目をそらしたシエスタは、ルイズが居ないことに気づいた。
「あの、ミス・ヴァリエールは?」
「さっき王宮から馬車で迎えが来てさ。王都に出かけてる。それよりさ、シエスタ」
 サイトがポケットにそっと手を突っ込んだ。
「これ、シエスタのだよね」
「っ・・・・・・!!」
サイトがポケットからシエスタのハンカチを取り出して、それを広げた。


200:無知で愚かな374
07/02/25 15:05:53 h+hIeIFp
 夕食後の夜。
 サイトは水精霊騎士隊の連中とゼロ戦を格納した小屋にいた。
いつもならば馬鹿話をしている場所だったが、今日は珍しく騎士隊の話をしている。
 水精霊騎士隊の隊長のギーシュが本日の真面目な議題を発表した。
「諸君、我々水精霊騎士隊と銃士隊で来週から3日間、合同演習をすることになった。」
 そして、少し勿体ぶりながらこほんと咳をしてもう一言。
「なんと、女王陛下も視察に参られるとのことだ!」
「「おおーー!」」
 その一言で一気に場が沸いた。
「陛下に良いとこ見せるチャンスだ!」とか「銃士隊相手なら楽勝だよ!」とか「所詮
相手は平民だ!」等々・・・
騎士隊の全員がシュバリエ・アニエス率いる銃士隊をナメきっていた。
 サディスト・アニエスの性格を知っているサイトは、隊員達の態度に呆れて口を開いた。
「おまえら、アニエスさんを知らんからそんなことが言えんだよ。あの人結構手強いぞ」
その言葉で、沸き上がってた雰囲気が一気にしらけた。
 ギーシュが立ち上がり、不機嫌そうな顔をサイトに向けた。
「なんだね君は!せっかく盛り上がってるというのに!」
他の隊員もギーシュに続いた。
「そうだそうだ」
「こっちはメイジ、むこうは鉄砲と剣、こっちの方が有利だ」
「アニエス殿以外はみんな平民で、しかも女だ。負けやしないだろ」
――だめだ、こいつらまるで分かってない。
サイトがそんなことを考えてたときに、隊員の誰かがそこそこ非道い提案をした。
「じゃあ、明日からの訓練は剣士であるサイトとの組み手を中心に全員で模擬戦だ!」
「なにぃーーーー!」
 抗議の声を上げようとしたサイトだが・・・・・・
「それはいいアイディアだ。素晴らしい」
「よし決定だ。明日から頑張れよ?サイト」
「頼むぞ!シュバリエ・サイト。我らが副隊長殿」
 まるで聞いて貰えなかった。
「ここ2,3日付き合い悪かったし、埋め合わせだと思って諦めろよ。サイト」
 レイナールがサイトの肩に手をのせて慰めるように言った。

「やれやれ、やっと終わったか」
 水精霊騎士隊の会議が終わり、格納小屋にサイト一人が残された。
「さてと・・・」
 サイトはゼロ戦の操縦席に向かった。風防を開けて中を覗き、笑みを浮かべる。
「お待たせシエスタ」
 そこにいたのはロープと目隠しと猿轡で自由を奪われたシエスタだった。



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