07/06/01 20:37:45 XNhRxM0k
・・・なんてことだ。
俺が一人で真剣に悩んでいる時、彼女は皿の心配をしていた。
途端に悩んでいたのが馬鹿らしくなり、俺は声を出して笑ってしまう。
「な、何で笑うんですかあ・・・! 相馬さんお願いです! 小鳥遊さんには黙っていてください!」
「はは、どうしようかなあ」
「い、意地悪言わないで下さい! 何でもしますからお願いです!」
その言葉に、俺は心の中でニヤリとほくそ笑んだ。
少し考えてから、
「本当に何でもしてくれるの?」
「は、はい!」
彼女の顔は、必死そのものだ。
表裏なんか存在しない。彼女の中にあるのは、皿を割ったことをどうすればいいかという考えだけ。
今更気付いた。
だから、彼女は俺を狂わせるんだ。
「そうだなあ・・・どうしようかな」
俺は表裏がハッキリと分かれているから、そのような正直な行動についていけてないんだ。表か裏のどちらかが。
だから、彼女の言葉をどこかで否定していたんだ。
彼女の、素直な感情を。
「・・・山田さんは何もしなくていいんだけど・・・許可が欲しいな」
「な、何ですか!?」
昨日までの俺は、裏。つまり・・・素直な感情を否定する闇の心。
昨日と今日の俺の違いは、裏から表へと変わったからだ。
感情を素直に受け止められる表に。
・・・いや、正しくは、
「葵さん・・・。そう呼んでも、いいかな?」