嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 修羅場の28at EROPARO
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 修羅場の28 - 暇つぶし2ch450:名無しさん@ピンキー
07/02/12 20:44:12 dJAJczQi
GJ!

しっ、柴リョウ……
こればっかりは、あまり羨ましくない……(´;ω;`)

451:名無しさん@ピンキー
07/02/12 21:04:10 T+uQkUaN
悲しいまでにGJ・・・。

遼くん救われないよこれ!


452:名無しさん@ピンキー
07/02/12 21:05:05 0uJvl3Ti
「侮るな。あの程度の嫉妬、飲み干せなくて何が英雄か。
 この世全ての修羅場? は、我を染めたければその三倍は持ってこいというのだ。
 よいかスレ住人たちよ。修羅場とはな、己が視界に入る全ての人間を背負うもの。
 ――この世の全てなぞ、とうの昔に背負っている」


453:名無しさん@ピンキー
07/02/12 21:06:25 YJ0sg9qM
ハイハイ、月厨乙。

454:名無しさん@ピンキー
07/02/12 21:12:21 Tssy3gCK
>>453
そういうレスすると空気悪くなるかわ次から気をつけてくれ

455:名無しさん@ピンキー
07/02/12 21:13:33 0Na19PY6
柴リョウが堕ちていく……しずちゃんドSだな

456:名無しさん@ピンキー
07/02/12 21:18:17 RTqafo7e
>>448
てか主人公の名前が・・・・w
話は文句なしオモロイけど

457:名無しさん@ピンキー
07/02/12 21:34:30 T0cKbyOi
>>448
やるなぁ。ドM主人公&ドSヒロインを作るために、ちゃんと原体験を組み込んであるんだね。
テンプレ的ではない惚れられ方がすごくいいと思います。

458:『俺と君のお別れ』 ◆jSNxKO6uRM
07/02/12 22:01:45 KAiCGF0L
投下します

459:『俺と君のお別れ』 ◆jSNxKO6uRM
07/02/12 22:03:13 KAiCGF0L
「はぁ……くっそ!」
 新聞の記事と碧さんから言われたことが気になり、なかなか寝付けず、夜中の河原を歩いていた。寝れないということもあるが、今はとにかく葵を見つけたかったのだ。
 葵だったら、事故の時の事を知ってるかもしれない。だが、人のいない街中をさがしてみたが、全然見当たらない。
 他に探していないところと言えば……
「学校、か?」
 そこ以外に思い付くところはない。まだ時間に余裕はあるし、ここからも遠くはない。鍵は……仕方ない、いざとなれば不法侵入だ。
 それから走って学園まで行く。夜の学校は不気味だと言うが、この学園は更に恐ろしく見える。やたらと広いからだろうか。
 運良くトイレの小窓が開いていたため、そこから侵入……かなり罪悪感が募るが、気にしちゃいられない。不思議と、ここに来たら葵がいるような気がしてきた。
 どこにいるかはわからないが、教室を片っ端から探すしかない。
 まずは一階……
「いないか。」
 次に二階……
「ここも違う。」
 そして三階……
「ここにも居ないとなると……残るは。屋上か。」


460:『俺と君のお別れ』 ◆jSNxKO6uRM
07/02/12 22:04:22 KAiCGF0L
 屋上への階段を上り、ドアの前に立つ。風が強いのか、鉄のドアがゴウゴウと音をたて、隙間から冷たい風が入ってくる。……しかしその風に首をなでられると、不思議と冷汗が出る。この先に、葵がいる。
ガコン
 風圧によって重くなったドアを開けると、一気に風が吹き込んでくる。そのドアを押し開けた先に……
「葵……」
 懐かしく、愛しい姿があった。葵はネット越しに街を見て、こっちに背を向けていた。その表情はこちらからは読み取れないが……
「ぐ……」
 恐ろしいほどのプレッシャーワ感じていた。葵の方から流れて来る風に触れるだけで、体が動かなかった。
「遅い、ですよ。」
 そう葵が言いながら、ゆっくりとこっちに振り向く。その声は、機嫌が良さそうだったが……
「私がいない間、随分と楽しんでたようですね。」
 顔は全然笑ってなかった。無表情のまま目がすわっているのがまた怖かった。そして葵の後ろの風に黒みが増す。その『黒』が俺の体にまとわりつく。
「うく、ぁっ…は……」
「自分のこっ、恋人の母親に手を出すなんてぇ……どんなに鬼畜なんですかっ!?」

461:『俺と君のお別れ』 ◆jSNxKO6uRM
07/02/12 22:07:54 KAiCGF0L
「ぐぅ…あ……」
 葵が近付くにつれ、体に重みが増す。まるで操られているかのように、自由に動かせない。脳では逃げなきゃいけないと命令しているのに、全く動けない。
「そんな変態さんには……お仕置です!!」
 目の前の葵が妖しく微笑み、手を俺の頬に添えた瞬間、意識は暗闇へと落ちていった……









「んぐ……んむ?」
 目が覚めると、まず最初に目に入ったのはモップだった。口には何かが詰められており、息をするのが精一杯だった。手足は後ろで何かと縛られているらしい。手で触ると、なにかパイプのようなものだ。
 ぼやけた頭を振ると、視界がクリアになる。モップの他にもバケツや雑巾が見える。他にも床はタイルか。
「これは?水道?」

 右手側には水道とそこにつながる水道管が見える。どうやら俺の手はその水道管に縛り付けられているらしい。無理やり千切ろうと思ったが、まだ体に力が入らない。
「どうなってんだよ……」
 察するに、ここはトイレの用具入れだろう。俺をこんなことにした張本人……葵は……
「おはようございます、晴也さん、それでは、はじめましょう……」
 俺の、中にいた。

462:『俺と君のお別れ』 ◆jSNxKO6uRM
07/02/12 22:11:36 KAiCGF0L
以上です。晴也、逃げられず。

463:名無しさん@ピンキー
07/02/12 22:23:51 wb7eVu3g
もはや弁明の余地なし。葵っち。タマとったれや。

464:名無しさん@ピンキー
07/02/12 22:34:38 iuEvbc74
>>462
GJ~!
春也…これから(´・ω・`)カワイソス

465:名無しさん@ピンキー
07/02/12 22:35:23 wHhwpNef
>俺の、中にいた

アッー!

466:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:31:05 N/H7ztqX

  『彼の理由、彼女の起点(前編)』


「どうぞ、たんとお召し上がりください」
 シャロンちゃんが料理を盛大に盛った皿を俺の前に置いた。

「え…と、あはは……ありがとう…」
 常識を上回るその物量にどう返答すれば良いのか困ってしまい、とりあえず苦笑しながら謝辞だけ告げる。

「おいおい!シャロンちゃん!またウィルだけエコ贔屓かよ!その量は幾らなんでも差がありすぎだろ?」
 同僚の非難の声―いや、冷やかしとしての意味合いの方が強いか―には目もくれず、
他の皆とは明らかの量の違う皿を俺の前に置いて去って行った。

……食べられるかな、こんな量。
 大量に盛られた料理に、少しだけ胃が軋んだ。



 新米の騎士だけを集めた訓練部隊。ここに配属されてどれくらい過ぎただろう。
とかく毎日が訓練、訓練の日々で皆の疲労もたまり気味だ。
 食事の時間は数少ない心休まる時間。このときだけは皆の表情も柔らかだ。貴重な憩いの時間をそれぞれ楽しんでいる。
もっとも俺にとって訓練が厳しいのは寧ろ有難いくらいで、自分の技が日に日に磨かれているのがつぶさに感じ取れた。
一人でも多く隣国の奴らを殺せるのならこれくらいの苦労、なんでもない。
 ただ、ひとつ欲を言えば現在戦況は睨み合いを続けている状態で、戦闘が殆ど起こっていないのは少し心配だ。
もちろん、戦いがないのは犠牲者が出ないということなのでそれ自体はいいことなのだが。
ただ……このまま奴らとの戦争がうやむやになって休戦する、なんてのはご免こうむりたいのだ。
あの虐殺事件の責を不問にして和解などしようものなら、この国の王も殺してやる。
それくらいの腹積もりだ。
 ……と。このところ、どうも思考が暗い方向に行きがちだ。自重しないと。



「そういや、そろそろだな」
 山盛りの料理と格闘していると、不意に隣の同僚が話しを切り出した。
さっき俺たちを冷やかしていた騎士――エリオット=ジュダスだ。

「あーっと……いつ発表だったっけ?」

……なんの話かと思えば。
そうか。もうすぐ俺たちも正式にそれぞれの部隊に配属される。
その配属先を、近々ラモラック部隊長が発表することになっていた。
きっとその事を言っているんだろう。

467:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:31:46 N/H7ztqX

「確か……この週末だった、かな?」

「あぁ、そうか。そういえば隊長がそんなこと言ってたっけか。
にしても配属先はどこになるんだろうな……。ウィル、お前はどこ志望よ?」

「んー、別に何処だっていいよ。前線に出してもらえるなら」

「……。お前、夢もなんもないのな…」
 呆れが混じった声を上げるその同僚。
実際、何処だっていい。俺が騎士になろうと決めたのも、傭兵をやってるよりは重要な配置で戦えると思ったからだ。
俺は騎士の名誉も、団員に支給される安定した給与も興味ない。大切なのはどれだけ苛烈な戦場で戦えるか……その一点のみだ。
敵兵を一人でも多く殺せる場所なら何処だって構わない。

「うるさいな~。じゃあ、何処がいいんだよ?」
 あまりそのあたりを深く突っ込まれたくなかったので、今度はこちらから話を振った。
「んなの決まってるだろ。あの戦姫が隊長やってる、第零遊撃隊よ!」
 ビシッと俺を指差しながらはっきり告げた。……ってかなんで自慢げなんだ。
「少数精鋭、一般兵が所属できない騎士のみの部隊で、数々の伝説を打ち立てた国内最強の集団!
それに騎士なら一度は戦姫と一緒に戦ってみたいだろ!」
 高らかに宣言しているエリオットに苦笑しながら。
「まぁ、確かに戦姫が本当に噂どおりの強さか見てみたい気はするけど」
 俺はスプーンから今日のメニューであるオートミールを口に含み、よく味わった。

「そうだろ~、そうだろ~。やっぱ騎士なら一度は会ってみたいよな。そして騎士以前に男なら戦姫が美人なのかどうかも知りたい。
嗚呼…、美人なら是非顎でこき使われたいもんだ……」
 人が夕飯を楽しんでる横で、何やら良からぬ妄想を始めた。
……戦姫が噂どおりの人間なら美人なわけないだろ。砦の門を素手で開けるとか言われてるんだぞ?
それが真実なら戦姫は大女に決まってる。目の前のこの夕食を賭けたっていい。
 同僚の夢を壊したくはなかったので、その言葉を口にするような無粋なマネはしなかったけど。

「あ、テメ、信用してねーな!言っとくけどな、俺の知り合いが戦姫を見たって聞いたんだぞ!
すっげ可愛いって言ってたんだからな!本当だぞ!マジで!」
 口に出さなくとも顔には出ていたらしい。
俺が呆れているのに気付いたエリオットは、戦姫が幼顔で綺麗な銀髪の少女だと説いて聞かせた。
『知り合いが戦姫を見たって聞いた』―つまりは知り合いが聞いたことを更にまた聞きした話なのだろう。イマイチ信用ならない。
とりあえず確実なのは、こんな身近なところにも戦姫を崇拝している者がいたということだけだ。

「わかった、わかったから……」
 捲くし立てる同僚を落ち着けようと彼の皿に少しだけ料理を移してやる。

468:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:32:31 N/H7ztqX

 アリマテア王国騎士団第零遊撃部隊の隊長、マリィ=トレイクネル。
戦争が始まってすぐ、噂になった女性騎士だ。勇猛果敢な戦い振り、敵を全く寄せ付けないその強さは国内でも有名だ。
傭兵だった頃も何度か噂を聞いたが、騎士になって城内を歩いていると彼女の話をよく耳にする機会が増えた。
 だが、第零遊撃部隊は戦場をあちこち転々としているので、実際に戦姫の姿を見た者は少ない。
一月前のフォルン平野の戦いに戦姫が参加していたらしいのだが、俺が彼女に出会うことはなかった。
後で噂を聞くと、相変わらずその戦いでも笑ってしまうくらいの活躍ぶりを見せていたそうだが。
 なんでも彼女の太刀を受け止めることができた者は只の一人もいないらしい。
いくらなんでもそれは眉唾だと思うが……逆に言えばそんな噂が出るくらい強いということなんだろう。
もし会う機会があったなら、どうすればそこまで強くなれるのか是非訊いてみたいものだ。

 そういえば。戦姫の血筋であるトレイクネル家はトリスタン家と双璧を成す騎士の名家だったな。
もしかしてマリカなら戦姫に会ったことがあるんじゃないか?

「なぁ、マリカ」
 向かいに座っていたマリカに声を掛けた。

「……なんだ?」
……うひっ。なぜかすごい形相で睨まれた。
理由は不明だが今日はすこぶる機嫌が悪いらしい。
出しかけた質問を引っ込めようか迷ったが、このまま何も言わなかったとしてもマリカは更にヘソを曲げるだろう。
一瞬の逡巡ののち、結局マリカに尋ねることにした。

「い、いや。戦姫ってトレイクネル家の出身だろ?マリカなら会ったことあるんじゃないか?」

「知らん」
 にべもない。たった三文字の返事で彼女との会話は終了した。
本当に機嫌が悪いらしい。なんでだろう?
どうにか機嫌を直してもらえないかと頭を捻った挙句。

「マ、マリカはどうなんだ?配属先にどこか志望なんてある?」

 話題を変えるのが精一杯だった。
だが、思ったよりその効果は覿面だったようで。
彼女の表情から不機嫌さが消え、こちらを見つめている。

「わたしに志望先など、ない」
 俺の質問が何かマズかったのか。
スプーンを持っていた手の動きが止まり、今度は自嘲ぎみに笑った。
「わたしの意志がどうだろうと配属先はとうに決まっている。……第一近衛部隊だ」

「凄いじゃないか、近衛隊ってエリート中のエリートがいくところだろ?」
 やはりどの国でも一番の花形と言えば近衛隊だ。
第零遊撃隊も精鋭と言えば精鋭だが、身分や所属騎士の性格、諸々の問題を無視した強さだけに特化した急造の部隊。
一方で近衛部隊は騎士としての忠義心や気高さも必要だと言われている。俺では背伸びしても届かないような部隊だ。

469: ◆N.P5FQhRG6
07/02/13 03:32:57 +Gw/nb6R
投下します

470:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:33:20 N/H7ztqX


「近衛隊か…。なんというか、マリカらしいな」
 騎士としての気品や誇りを、この中の誰よりも持っているのはマリカだ。彼女にはまさに打って付けの配属先だと思う。
そのつもりで言ったのだが。
当のマリカにはそう聞こえなかったらしい。


「馬鹿にしているのかッ!」


 ビィィンと食堂に響くマリカの恫喝。
ついさっきまでざわめいていた空気が、シンと静まり返る。食事をしていた他の騎士たちも何事かと俺たちに注目していた。
俺の方はと言うとマリカのいつもの癇癪とは違う怒りに満ちた表情を、ぽかんと馬鹿面を下げて見つめているだけだった。

「あ、いや。……その、申し訳ない。
今日はどうも調子が悪いようだ。すまないがこれで失礼する」

 いきなり怒鳴り散らしたことでバツが悪くなったのか、俺に頭を下げると早足で食堂を出て行った。
マリカを見つめていた騎士たちも彼女が去ると雑談を再開し、再び食堂内が喧騒に包まれる。

「うへぇ。いつになく機嫌悪いな、トリスタンのやつ。
……ま、あんまり気にすんなよ、ウィル」
 茶化す他の同僚の言葉を聞き流しながら、俺はマリカが消えた方向をじっと眺めていた。
今日のマリカは本当に様子がおかしい。確かに彼女がカリカリしてるのはいつものことだが、さっきのあれは違う。
たとえどれだけ怒っていても口調の端々にいつも感じられる余裕――今回はそれが無かった。

………気になるな。


「ごめん。ちょっと俺も」
 エリオットにそう断ってから、俺も食堂を後にした。


「…っておい!ウィル!待…!
―――この三人分の食器、オレが片付けるのか…!?」











 城の中庭。城中の捜せるところを探し回り、やっとそこでマリカを見つけることができた。
無心で剣を振り続ける彼女に、俺は声を掛けながら近づく。

「マリカ、ここにいたのか」

「…ケノビラック」

 横目でチラリと俺の姿を確認する。やっぱり…お世辞にも機嫌がいい顔とは言えない。
食事を終えてからそう時間は経っていないはずなのに、彼女の額はびっしょりと汗ばんでいた。

471:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:34:46 N/H7ztqX

「わたしに何か用か。悪いが見ての通り訓練中でな…。大した用でないなら後にしてくれ」
ドス、と土に剣を突き立て額を拭う。

「…だったら俺も付き合うよ。二人でやる方が効率的だろ?」
「いや、わたしは――」
 彼女がどう返答するかは解っていた。だから。
マリカが言い終わるよりも早く、俺は腰にぶら下げている一対の剣を抜いた。





――………





「くっ……わたしの、負けだ…」
 首筋に添えられた太刀を忌々しげに睨んで、マリカは剣を収めた。
それに倣い、俺も剣を手放す。

―――明らかにおかしい。
 さっきの手合い…マリカとは思えないくらいお粗末な剣捌きだった。

「いくら子供の頃から訓練を積み重ねていようと……所詮わたしも温室育ちのお嬢様か」

 諦めに似た笑みを浮かべ、己を嘲る。全く以ってマリカらしくない。
前に手合わせしたときもそうだったが、今日はそれにも増して剣のキレが鈍っていた。
民間人に剣を握らせた方がまだマシな動きをすると思えるほどに。

「単に調子悪いだけだろ。いつものマリカならもっと善戦してたはずだよ」

 と、口ではそう言いながら、実のところ俺でも解っていた。
本当にただ調子が悪いだけならここまで酷くはならない。
あの緩慢とした動きはそれだけマリカの精神が草臥れている証拠だ。

「いや…解っている、ケノビラック。これがわたしの限界なのだ」

 マリカの口から出た言葉とは思えない、卑屈な返答だった。

「何言って――」
「慰めの言葉など聞きたくないッ!」

 マリカの激昂。毎日のように聞いてきたが、今日ほど覇気のないものは今まで耳にした事がない。
情緒不安定な今の精神状態と、さっきのお粗末な動き。マリカが何か隠しているのは明白だ。

「いったいどうしたんだよ…マリカ」

「……」
 俺の問いから逃れるように俯くマリカ。
いずれは答えてくれるのを信じて我慢強く待っていると、彼女はやがて根負けしたように重い口を開いた。

「……わたしが近衛隊に配属されるとさっき言ったな」
「う、うん。それは、聞いたけど…」

472:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:35:32 N/H7ztqX

 マリカとは一月ほどの付き合いとはいえ、今の彼女の姿を見たのは初めてだ。
こうも打ちひしがれた表情を目にするとこちらも戸惑いを隠せない。
彼女は決して自信家というわけではないが、自分を卑下するようなことは絶対に口にしない性分のはずだ。
少なくとも――俺たち同期の騎士の中で最も騎士たる者は何なのかを心得ている。その彼女が「限界だ」などと……。

「お前は近衛隊がエリート集団などと言ったが、それは間違いだ」

 鞘から華美な真剣――確かトリスタン家の宝剣、だったか――を引き抜き、刀身を晒す。
そこに映りこむマリカの瞳は酷く疲れているように見えた。

「…間違い?」
「いや、半分は確かにその通りだ。現騎士団長も近衛部隊長を兼任しているし、隊の中にも優秀な騎士が数多く所属している。
―だがな、ケノビラック」

 俺の名を呼ぶと、マリカは地面に深々と剣を突き立てた。

「優秀さを買われて配属される騎士たちとは別に、ある理由でたいして"優秀でない"連中が入隊することがある」
「…………?」
「高貴な家柄の跡取りを戦争で失わないように、防戦以外戦場に繰り出されることのない近衛隊に閉じ込めておく……。
そんなフザけた理由で配属先が決められる者がいるのだ」

 きゅっ、と唇を結んで俯いた。
その直前、チラリと見えた彼女の目尻に、涙が浮かんで見えたのは俺の錯覚だろうか。

「…じゃあ、まさか……マリカが近衛隊に配属されるのって…」
「察しの通りだ。どうやら父上は意地でもわたしを戦争に行かせたくないらしい」

 その場にしゃがみこんで、マリカはゆっくり身の上話を始めた。

「わたしの父、グレイ=トリスタンは根っからの文官でな。騎士の名家と言われてはいるが、
ここ何代かは政治的分野の椅子に席を置くことが多い。父も例に漏れず、その中のひとりだ」

「そういえば前に聞いたことがあるな…。トレイクネル家は軍務、トリスタン家は外交に重きを置いてるって」
「……そうだ。
そのせいか、昔から父はわたしが騎士になることを反対していてな。
幼い頃から鍛錬を積むことを許していたのも、所詮子供のママゴト程度で本気にしていなかったらしい」

 突き立てた剣を眺めながら、自らの膝を抱える。
それはマリカにしては珍しい、やもすれば迷子の少女と見間違えるほどに淋しげな姿だった。

「だがな、この戦争が始まったせいで父が焦り出したのだ。
どうせ飽きると思っていた娘がいつまでもママゴトに熱中し、おまけに戦争に駆り出されようとしている。
父としては何としても娘を妨害したいだろう?」

「……それなのによく十五で騎士になれたね」
 基本的にアリマテア王国騎士団の正式な入団は十八歳からだ。
俺のように有力者の目に止まってスカウトされたり、または特殊な経緯で入団した戦姫みたいな特定の例外を除けば、
基本的に満十八を以って入団する。
 マリカが若くして騎士になっているのも、父の力が影響しているのだとばかり思っていたが……。

473:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:36:18 N/H7ztqX

「父への反発かな。今ここにいるのは。
ケノビラック。……出来ればこの話は内密にして欲しいことなのだが――」

 そう俺に前置きしてから、マリカは話を続けた。

「此度の戦争、どうも父が大して外交努力をしてなかったように見受けられるのだ」
「外交努力……って。無理だろ、あれじゃあ。
不意打ちで始まった戦争じゃないか。どうしようもないよ」
 そう言いながら、俺もマリカの隣に座った。
今までは話題に上ることもなかった話に少しだけ俺の心がざわつく。

「……だがフォルン村の事件の後、即戦争になっただろう?隣国と何の交渉すらもせず、
それどころか、あの虐殺事件の大した調査もなしに宣戦布告したのだ。……それ以外にも軽率な行動の数々。
それがどうにもわたしには"父は戦争を待ち望んでいた"と思えてならない。
……開戦当時のわが国の状況を知っているか?作物の不作で国力が低下していたのだぞ?
そんなときに戦争などすればどうなるか――。
今でこそ帝国からの物資援助のおかげで何とかなりそうだが、本来なら戦争どころではなかったはずだ」

「………」
 ……なんだ。
酷く。酷く喉が渇く。

「で……でも…まぁ、あんな事件があれば、国民感情としては戦争になっても仕方ない、んじゃないかな…」

 乾く喉の痛みを堪え、何とか声を絞り出す。
嗚呼。…何故。なぜ今、脳裡にキャスの顔が浮かんだんだろう。

「そうだな。確かにわたしも個人的な感情を言えば許せん。だが、理性的に考えれば戦争をするべきではなかった。
不作で食糧がないあの状況の中戦争などすれば、民は飢えと殺戮で苦しめられることになっていたはずだ。
父はすべきことを怠った。わたしはそう思っている。
その父に対する嫌がらせみたいなものかな、わたしがこの時期に騎士団に入団したのは。
あ、もちろん立派な騎士になるという志は本物だぞ。この戦争がなくても何れは入団するつもりだったから――」

 慌てて何か釈明しているマリカの声が耳に届かない。
気付けば喉の渇きだけでなく、胸ヤケまで催していた。

「じゃ、じゃあ…マリカは。
この戦争はすべきではなかったと。事件のことは堪えて、隣国と和平して、戦争は避けるべきだったと。そう思っているんだな?」

 声が震える。身体が異様なほど熱い。

――何を考えている、ウィリアム。
今はマリカの相談に乗るつもりで話をしているんだろ。その質問は既に論点から大きく外れている。
お前がこれから言おうとしている"それ"はマリカには言わなくていいことだ。彼女には何の関係もない。

「うん?まあ……平たく言えばな。たとえ陰惨な事件があろうと、それだけのために全国民を危険に晒すわけにはいかない。
それが国民感情に反する結果になったとしても、だ」

474:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:37:20 N/H7ztqX

 マリカの言うとおりだ。
帝国の援助がなければ、いまごろ戦争は泥沼化して犠牲者の数が今の比ではなかったろう。
フォルン村だけじゃない。もっと沢山の村や町が、あの日と同じ運命を辿ったかも知れないのだ。
それを考えれば戦争は避けるべきだった。個人的な感情をドブに捨ててでも。
勝手に怒り狂って剣を振り回す俺なんかより、よっぽど先を見据えた考えだ。


――じゃあ。それじゃあなぜ。
 さっきから頭に五月蝿いほど鳴り響いてるキャスの声はなんだ?
その彼女を玩具のように犯した挙句、面倒臭そうに殺したあの男の嗤い声は、なんだ。

「たとえ事件を水に流すような結果になろうとも、戦争だけは避け――」

「……る、な…」

 よせ。

「――ケノビラック?」

 今ならマリカは何も気付いてない。
引き返すなら、今だ。彼女はあくまで政治的な立ち位置でああ言っているだけだ。
お前が今抱えているその感情とは、また別の話だろう。

「……けるな…」

 やめろ。
マリカにそれをぶつけても、何の意味もない。
彼女は仇でもなければ、敵兵でもない。相手を間違えるな。

「あれだけのことを、しておいて………和平、だと……?」

 だけど、止まらない。
喉の渇きも。込み上げる嘔吐感も。キャスが泣き叫ぶ声も。
気が、狂い、そうだ。

「おい、ケノビラック……。お前顔色が――」
 マリカが俺の肩に触れようと手を伸ばす。……そこまでが俺の限界だった。


「ふざけるなよッ!!」
「ぐっ…!?」

 ガンッ!!

 彼女の鎧の胸元を乱暴に引っ掴み、その場に押し倒す。
そのときには既に、制御できない怒りのせいで理性が完全に溶解していた。

「あれだけ殺しまくって、あれだけ犯しまくってッ!!それを許せ、だとッ…!!」

 彼女の上に馬乗りになって問い詰める。……答えなど返ってくるはずがないのに。
暫く戦いがなかったせいで知らず知らずのうちに溜まった黒い感情が許容量を超えたのか。
一度吐き出した塊を元に戻しようもなく、俺は勢いに任せて恨み言を垂れ流し続けた。

475:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:38:09 N/H7ztqX

「ケノビラックッ…?」
「不作でも何とかみんなで頑張ってこれたんだ!今年も乗り越えられそうだね、って皆安心してたところだったんだ!!
それをッ…!それをたった一晩であんなにしやがって…!!」

 あの日フォルン村を染めた赤、紅、朱。
時間と共に色褪せるはずの思い出は、その色だけが今も鮮明に脳裡にこびりついている。

「"あれ"を許せ!?
助けを乞う老人の首を刎ね飛ばして、子供を抱いた母親をまとめて串刺しにして、泣き叫ぶ少女を無理矢理犯して――
それを、水に流せって言うのかッ!?」

 彼女の鎧を掴んでいる腕の筋肉が、小刻みに痙攣する。

「みんなの前で言ってみろ!!『あれは水に流すしかない』ってキャスたちの墓前で言ってみろよ!!マリカッ!!」

 ささくれ立った殺意が膨れ上がる。目の前が滲む。血が上りきった脳は沸騰して機能を果たしていない。
師匠の言うとおりだ。"こんなもの"持っていたって良いことなんか何もない。
あれほど自戒しろと何度もきつく窘められたのに。結局マリカを傷つけてしまった。

…嗚呼。それでも。
 それでも止められない。俺にはこれしかないから。
キャスを失って。村のみんなを失って。帰る場所もなくなって。
今これを捨てたら、俺はきっと生きていけない。

「なかったことになんて………できる、もんか……。許せるわけ……ないだろ」

 爆発した感情は時間が経つにつれて冷却されていく。
同時に湧き上がる、「やってしまった」という後悔。


「ウィル…?お前、泣いているのか…?」


 全然マリカは関係ないのに。感情を剥き出しにしてマリカに乱暴したのに。
――彼女はまだ、俺を心配してくれていた。

476:ぶらっでぃ☆まりぃ ◆XAsJoDwS3o
07/02/13 03:40:50 N/H7ztqX
以上です。後編はまた後日。
今回はちょっとシリアス分多目です、ご了承を。

それから投下しようとしていた>>469さん、申し訳ないです…。

477: ◆N.P5FQhRG6
07/02/13 03:45:16 +Gw/nb6R
こちらこそ挟んですいませんでしたorz
投下してから吊ってきます…


478: ◆N.P5FQhRG6
07/02/13 03:45:58 +Gw/nb6R

「ここか……」

浩一は墓地の前に来ていた。
そこには詩織の墓がある――

昨日の夜、奏が眠ったあと浩一は奏の着ていた服を調べていた。(奏は美風のパジャマを着ている)
奏の所持品は財布しかなかった。
まあプチ家出みたいなもんだし仕方ないと思ったが…

「……保険証だ。普通、持ってくるか?」

そして浩一は保険証に書いてある住所を見て、

「昔と変わらない、か……」と呟いた。

そして奏の家に行き、詩織の墓の場所を聞いて、今に至る。
浩一はバケツに水を入れ、花を持って詩織の墓へと向かう。
詩織は詩織の両親と同じ墓に埋葬されたと聞いたから場所はうろ覚えだけど知っていた。

「ん……?」

詩織の墓の前に誰かいる。
……奏だ。

「おそかったですね」
「……まあ、な」

479:愛娘の恋 プロローグ3 ◆N.P5FQhRG6
07/02/13 03:47:52 +Gw/nb6R
浩一は詩織の墓の枯れた花を取り、花立ての水を替え、買ってきた花を供える。

「ここにお母さんが眠っているんです」

そして蝋燭に火をつけ立てる。

「わたし小さかったけど覚えているんです。お母さんの最期……」

浩一は線香にも火をつけ、それを香炉に立て、手を合わせる。

「ずっとあなたの名前を呼んでいました。浩一、浩一って……。自分を捨てた男のこと何度も、何度も…………!!
全部あなたが悪いのっ!!! お母さん捨てて、それでもお母さんあなたのこと悪く言ったことなくて!!!
でもあなたは会いに来てくれなかった……!! そんなのひどいよ……!! お母さん、かわいそうだよ…………」

奏は泣きながら浩一に叫ぶ。

「……ああ」

浩一も自然と涙を流していた。

「最低な奴だよ……」

480:愛娘の恋 プロローグ3 ◆N.P5FQhRG6
07/02/13 03:49:11 +Gw/nb6R

しばしの沈黙が流れる。

「……なあ、一緒に暮らさないか?」
「えっ……?」
「いや、暮らしてくれ!!」

浩一はずっと考えていた。
奏のこと、そして奏の住んでいる家のことを。

「……そんなこと言ってわたしが許すと思っているんですか」
「許してくれとは言わない。ただ……おまえ、あの家で寂しい思いをしたんじゃないか」
「…………!!」
「あそこ家は昔から最悪な連中だったからな。詩織の両親の財産目当てで詩織を引き取ったようなものだし……。
……とにかく、お願いします、一緒に暮らしてください」

浩一は土下座した。
奏は目を丸くしてそれを見ていた。

「……そ、そこまで言うならあなたと暮らしてみます」
「本当か!!」
「だけど……」


481:愛娘の恋 プロローグ3 ◆N.P5FQhRG6
07/02/13 03:51:22 +Gw/nb6R

「別れるってどういうこと……?」
「……ごめん」

浩一は喫茶店に美風を呼び出し別れ話を始めた。
美風はもう泣きそうになっている。

「あの子が来たせい……?」
「奏は、……俺の娘なんだ」
「嘘でしょ?」
「本当だ」
「それでも別れる理由にはならないじゃない!!」
「……奏と暮らす条件がおまえと別れることなんだ」
「なにそれ……。私よりあの子の方が大切なの!?」
「そういうことじゃない。……俺は責任を果たさなくちゃいけないんだ。第一おまえの両親が子連れの男との結婚なんて許さないだろ」
「親なんて関係ない!!!」

「……俺よりいい男なんてこの世にたくさんいるよ」
「私には浩一しかいない……!!」
「……左目のことか? それなら大丈夫だって!! 眼帯してても可愛いんだし、大学でもモテてるって聞いたぞ」
「私は浩一がいいの……」
「……………………じゃあな」

浩一は席を立ってレジへ行く。
立って気づいたが周りの客はこちらじっと見ていた。
会計を済ませ店から出る。
後ろから美風の声が聞こえるが浩一は振り返らず歩き出した。

――これで、よかったんだ……


482: ◆N.P5FQhRG6
07/02/13 03:55:31 +Gw/nb6R


挟んだうえに題名つけ忘れてしまった……
ちょっと氏んできますね

483:名無しさん@ピンキー
07/02/13 03:56:32 Mbt1ff1N
GJだ!
しかしこの話の娘は主人公の本当の娘なのかな
前に案で出てたように分かれた後に(ryってなったとかどっちなんだろう

484:名無しさん@ピンキー
07/02/13 04:13:46 7ZHTTcyH
>>476
GJ!
ぶら☆まり編ではお初のシリアスだ、それにしてもマリカがどうなるのかが気になる
>>482
娘によって別れさせられた事によって、美風に嫉妬の種子が花開いたな
これからどうなるのか楽しみだ

485:名無しさん@ピンキー
07/02/13 05:06:07 yLkHCHKC
本当の娘きぼん

さすがに血が繋がってないのを知ってて今の彼女と別れることを要求するのはDQNすぎる…

486:名無しさん@ピンキー
07/02/13 07:29:24 /ENHwhbs
当時は血がつながってないこと知らないんだし問題ないんじゃない?
ともあれ、どちらもGJ! wktkして続きを待ちます。

487:名無しさん@ピンキー
07/02/13 08:27:21 tw/xFopM
個人的嗜好としては、親子もの限らず義理の関係の方が好き
親愛と恋愛のすれ違いはたまらんね

488:名無しさん@ピンキー
07/02/13 08:29:40 61nE5MPw
>>476
マリカ嬢にはぜひ噂の3rd containerに出ていただきたいです。短編のみの人物としては勿体無いっす。
>>482
プロローグは次で終わりですかな。「娘嫉妬」、ああ、背徳のかほり……

489:名無しさん@ピンキー
07/02/13 09:07:07 sGgMznZR
ぶらっでぃまりぃが来てる!!GJです!!

490:名無しさん@ピンキー
07/02/13 10:20:18 cJ8h88ac
>>482
いいよいいよー!!
これからの美風の行動にwktk

491:名無しさん@ピンキー
07/02/13 10:45:09 m4+KGUs5
ぶらっでぃまりぃにはまってしまった…

492:名無しさん@ピンキー
07/02/13 11:47:21 XzeMcXOc
うお神が降臨しとる

493:名無しさん@ピンキー
07/02/13 16:02:14 FnEeh2NW
ところで、清姫はヤンデレスレ、宇治の橋姫は嫉妬スレ向きかい?

494:名無しさん@ピンキー
07/02/13 16:16:26 5VS25KQ/
人間以外の女の子とのお話スレ向け

495:名無しさん@ピンキー
07/02/13 16:57:43 0MaAig7R
実娘のほうがいいなぁ
背徳感があって(ぉ

496:名無しさん@ピンキー
07/02/13 17:48:37 cDR7cjJz
わた兄の楓に通じるものがあるからねぇ。父子相姦は。
でも、積もり積もった愛欲が血縁の枷から解き放たれて、人を飲み込むのもまた美しい形と思うのさ。

497:名無しさん@ピンキー
07/02/13 17:58:34 FnEeh2NW
>>494
おもしろくないな。

498:名無しさん@ピンキー
07/02/13 18:29:05 cJ8h88ac
三上「平岡…起きたか」
平岡「…俊哉」
三上「…敬二」
平岡「俺が愛してるのは靖子なんかじゃない、本当は」
三上「待て」
三上「こういう時は男が先に言うもんだ。だろ?敬二」

三上「やらないか」

平岡「あっ…ひゃんみかっあっん、熱い熱いよぉ、俊哉のイカロスおっきいょぉ」

499:名無しさん@ピンキー
07/02/13 18:29:40 cJ8h88ac
すみません
大変な誤爆をしてしまったようです

500:名無しさん@ピンキー
07/02/13 19:07:41 J4YNFArw
謝れ
全裸の俺に謝れ

501:名無しさん@ピンキー
07/02/13 19:09:03 WyuAogHf
アッーーーー!!!!!!!!!

502:名無しさん@ピンキー
07/02/13 19:40:46 xx6R97ya
>>499 抜いた

503:名無しさん@ピンキー
07/02/13 19:58:55 cDR7cjJz
わからん。両方男なのになぜ「男が先に言うもんだ」になるのか。言語トリックなのか。

504:名無しさん@ピンキー
07/02/13 20:11:06 /Qz4PHrf
>>476
GJ
ぶらまりなのにシリアス展開でびっくりしたけど引き込まれた
wktkしながら続きをお待ち申します

505:名無しさん@ピンキー
07/02/13 20:29:39 SZKPxg0E
>>500
作者の方々に甘んじ過ぎて、その制裁を受けたまでだwww

506:名無しさん@ピンキー
07/02/13 20:35:01 2b4h7DwI
>>504
ぶらまりは元々シリアスだと思うぜ

507:恋と盲目 ◆IOEDU1a3Bg
07/02/13 21:02:26 /JUmDqdF
風雲大学小学部……その校門は見事なまでに崩れ落ちていた。
守衛さんが言うには、少し前にあった嵐が直撃したみたいだ。
だがしかし……たぶん今さら誰一人として気にする者はいないと思う。
この学校には昔からこうした不運な出来事がまるで多村選手の如く連続して起こる。
小学校に付き物、学校の七不思議は数えてみたら49個も存在していたらしい。
それ故にこの学校は昔から……不運小学校と呼ばれている。
その不運小学校こそ、私達がかつて通い、そして卒業していった学校なのだ。
しかし……通っていた当時から思ってたけど、何かと不幸な出来事が頻発する学校なのよね。
おかげで最近は慢性的な生徒不足に悩んでいるって噂だし。
私個人としても、こんな事態でもなければここへ近づくのは遠慮しておきたい。
だけど今となってはそんな事も言ってられない。
ミカゲが他者の記憶を改竄できるのだとするのなら、これほど恐ろしい敵は無い。
だけど私が私に対しダイイングメッセージを残せた以上、その能力は決して完璧じゃない。
そして今現在ミカゲの情報が眠っている可能性が最も高い場所はここ以外に考えられない。
「そう、私は今不退転の覚悟でここに来ているのだぁぁぁぁぁっ!!!」
「来ているのだっ!じゃないだろ。来ているのだっ!じゃあ」
「良いツッコミをありがとう。元気にしてたかしら?」
ここ、不幸小学校で働くちょっと目つきの悪い男性教師。
佐藤孝四郎(さとう こうしろう)は、かつて私のクラスメイトだった人物だ。
名実共に突っ込みキャラとしてクラスに君臨していた、いわばツッコミカイザーとも言うべき人物。
……なんだけど、正直どうでもいいわ。
「まったく……久しぶりに会ったと思えば、浅野は随分と変わったな」
「女の子は恋をすると変わるものなのよ。そんな事よりちょっと聞きたい事があるんだけど、良いかしら?」
考えてみれば4・5年ぶりになる旧友だけど、今は再会を喜んでいる時間は無い。
私はすぐさまキマゲについての情報を求めた。
「ミカゲ……ねぇ。なんか聞き覚えがあるような気がするんだが……」
「本当っ!?何時?どこで?」
「ちょっと待ってろ、ネクタイを引っ張るな、首を絞めるな」
佐藤君のツッコミをあえて無視してさらに締め上げる。
もしただの勘違いでしただなんて言ったら絞め殺してやろう。
「おいっ……締まってる、締まってるって……ギブギブッ、ギブッ!!」
ギブ?
……ギブミーチョコレート?
そういえばもうすぐバレンタインデーだったかしら。
「有益な情報をくれたらチョコレートなんていくらでもあげるから……
は~や~く~は~き~な~さ~い~」

 ぶんっぶんっぶんっぶんっ
 ……ギリギリギリギリ……
 ぶくぶくぶくぶく……がくっ……

バレンタインデー?
少し前にちょっと高めのチョコレートを買っておいたのを思い出す……
なんでだったかしら……?

508:恋と盲目 ◆IOEDU1a3Bg
07/02/13 21:03:16 /JUmDqdF
「げほっげほっ……まったく、本当にこの学校に関わってるとロクな事が無いな」
「ごめんなさい」
私とした事が、うっかり熱くなりすぎた。
こういうのは生かさず殺さずが基本だって言うのに……
「なんか……今、寒気がしたんだが……」
「気のせいよ、そんな事より佐藤君が知ってる事を洗いざらい吐いてもらおうかしら」
「そんな事よりって……まあいいか。何について話せって言うんだ?」
「『ミカゲ』について。理由は忘れたけど、どうしても調べなくちゃいけない気がするの」
……とりあえず、嘘は言ってない。
ミカゲを危険視する理由は覚えていないし、調べなくてはいけない理由も左腕のメッセージだけ。
それに……なんとなくだけど、嫌な予感がする。
時間が無い、事は一刻を争う……そんな気がする。
さっき私にしては妙に熱くなった理由はそれ……それだけ?
なにか一つ……もう一つ……
絶対に忘れてはいけないもの……原初の想い……
なにかミカゲよりも大切な、ミカゲよりも忘れてはいけないものを忘れているような気がする……
「ああ、思い出したっ!」

 ……っ!?

頭に電流が奔った。
電流?違う……瞬間的に頭痛が起きたんだ。
「おい浅野、大丈夫か?凄い汗かいてるぞ」
佐藤君が心配そうに顔を覗き込んでくる。
いつもこうやって見えもしない眼で……それでいて、どこまでも深い瞳が……
……誰の話?
「うぅ……っぐぅ!?」
再び電流が奔った。それとも頭痛?
……もうどっちだって良い。
体中の汚物が全て喉に結集しているかのような感覚がした。
逆流しなかったのが奇跡のように思える。
喉が焼け、千切れ、引き裂かれ、貫かれ……とにかく酷い有様だ。
「おい……本当に大丈夫か?保健室行くか?」
佐藤君の顔を確認した瞬間、さらに激しい嘔吐感が喉を襲った。
脊髄反射で顔を背ける。
そうしなければ死ぬのではないかと思った。
気合と根性で心を平静に戻す。
この位の非日常で吐いてどうする?
私はあの時……あんなにも綺麗な人殺しを見たんじゃないか。
「大丈夫……大丈夫だから……そんな事より、何を思い出したの?」
そうだ……今はミカゲだ……
ミカゲが……一番大事なんだ……

509:恋と盲目 ◆IOEDU1a3Bg
07/02/13 21:04:03 /JUmDqdF
「全校集会……だよ」
佐藤君はほんの少しだけ迷いながらも、そう私に告げた。
「全校集会?」
全校集会と言われても、その数は多い。
それだけでは私の持つ情報と大差は無い。
「いつだったっけな……そう、確か小5の夏だ。
あの縁起の悪い顔した校長が全校生徒を集めて……なんて言ってたっけ……
とにかく、そこでミカゲに関する話をして。
それでしばらくの間は学校中でその噂が飛び交ってたような気がする」
記憶に……ほんの少しだけひっかかりがあった。
言われてみればそんな事があったような気がする。
その程度だが……それで十分。
「佐藤君、この辺で昔の新聞を保管してある場所ってあるかしら?」
「それなら図書室に……」
「ありがと。あとでチョコレートをあげるわ」
それなら話は早い。
緊急の全校集会になるほど話題性のある事件なら、たぶん新聞記事にもなっている筈。
小5の夏という時期までわかっているのなら、探すのは容易い。
そして幸いな事に、図書室の場所ならハッキリと覚えている。
私は佐藤君の返事を待たずに飛び出していた……
「……チョコレート?」
そんな佐藤君の疑問声だけが後ろの方で響いていた……



……それから一時間と経たずして、事態はさらに迷宮入りに近づいた。

『三影雪、死亡。享年11歳。交通事故。即死』

「なによこれ……死んでるじゃない……」
いや……ミカゲが人でないモノである可能性は考えていた。
だとしても……まさか私の周りでこんな事が……
携帯電話を取り出す……短縮3番……
「巧?今からそっちに行くわよ……」

510:シベリア! ◆IOEDU1a3Bg
07/02/13 21:04:50 /JUmDqdF
明日は投下ラッシュがくると予想されるので、オフピーク投稿をしてみました。
そろそろミカゲの本当の恐ろしさが垣間見えてきたのではないでしょうか?

対バレンタイン用の決戦兵器……結局間に合わなかった……
(静忍が大暴れする話だったんですが……)

>301
特に話題になるような事してないのに名前を挙げてもらったのは初めてのような気がします。
ああっ、嬉しいなあ、コンチクショウッ!!

511:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:09:58 J4YNFArw
そういえば明日はバドミントンデーだったんだね

512:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:11:52 7ZHTTcyH
シベリア氏キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!

バレンタインデーなんて都市伝説さ……・゚・(つД`)・゚・

513:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:33:31 rc0ZabbC
シベリアンサスペンスGJ!!ヒロインの頭がおかしい訳じゃなかったのか。
ついでにもう一つ、無礼を承知で言わせて頂きます。
謝れ!!多村に謝れ!!スペランカーとか言うなーー!!

514:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:35:14 EIaTgmpr
残り2時間半を切ったか…








さぁ諸君、そろそろ乙女達の血の狂宴の準備は良いかな?

515:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:49:33 Q0qCf+7l
おかしがいしゃのいんぼうだよ
ばれんたいんでぇなんて
ハハ・・・

516:名無しさん@ピンキー
07/02/13 22:40:28 SZKPxg0E
(´・ω・`)…

517: ◆ApMmMwhTVk
07/02/13 22:50:04 3qzOdIaJ
「バン・アレン帯デー?」
「そう、バン・アレン帯デー。太陽風のプラズマから地球を守る磁場に感謝をささげる神聖な日だ。
宇宙を敬うことを忘れてデブリなんぞばら撒くと、あっという間に人類は滅亡するのだ」
「そんな重大かつ神秘的な行事があったとは今まで知らなかったぜ。またひとつ賢くなった」
「それはそうと私からキミに愛を込めてチョコレートをあげよう」
「? よくわからんがありがとう」
「いやいや、来月が実に楽しみだよ」
「何かあるのか? …そういやこれで4個目だな。なんで今日はチョコばっかもらえるんだか」
「!! み、見せてくれ!」
「お、おい!?」
「これは姉さんか。年下は興味は無しとかほざいたのはブラフか、あの女狐め。
妹よ…普段は弱気で大人しいお前もか。 
こ、これは母さん? この魂の込めっぷり…。何やっているんだあの女は…」
「お前の家の人ってみんなくれるのなー」
「チョコの形がハートとは! 私に心臓を抉られたいという意思表示だな!」
「え、ちょ、何処行くの!? おーい!」
「血を分けた家族といえど、絶対に譲れん。誰の男に手を出したのか、その肉と魂に刻み込んでやる!」

めでたしめでたし☆


518:名無しさん@ピンキー
07/02/13 23:18:50 KTZdSq46
>>517めでたくねぇwww
そして俺は信じてる。
修羅サンタを書いてくれた職人さんが、バレンタインディに新作を卸してくれる事を。

519:名無しさん@ピンキー
07/02/13 23:23:14 Gin4V58N
母と姉と妹からチョコか・・・
あれ?4つもらったんだよな?もうひとつは一体・・・ごくり・・

520:名無しさん@ピンキー
07/02/13 23:31:35 vfKoDMTI
禿しく同意

521:名無しさん@ピンキー
07/02/13 23:39:29 FnEeh2NW
>>519
文章をもう一度ゆっくり黄泉直せ。

522:名無しさん@ピンキー
07/02/13 23:59:29 wzibhxR3
バレンタイン一発目、投下させて頂きます

523:『ヤミィ:ヤミィ;』(後編)
07/02/14 00:00:38 ppcpc4ZK
PM 5:30

 希美は歩いていた。
 向かう先は自宅ではなく一の家、手にはしっかりとチョコレートの包みが握られている。
中身は料理が苦手な彼女が頑張って作った、手作りのものだ。送る相手は一であり、当然
義理チョコというものではない。自分の気持ちを伝える為に用意された、本命チョコだ。
朝のHR前にはつい普段のようにおちゃらけてしまった彼女だが、心の中では必死だった。
「頑張らなきゃ」
 臆病な心に鞭を打ち、自らを奮い起たせる。学校が終わって暫く時間が経った今の時刻、
日がすっかり沈んでいる時間帯に来たのは臆病な心のせいだった。もしも彼に断わられて
しまったらどうしよう、そう悩む思考を打ち消すのに、時間がかかってしまったせいだ。
今もそれが頭を覗かせ始めているが、必死に振り払う。
 渡さなければいけない、だからここまで来たのだ、と。
 二年前、一度だけ希美は一にチョコレートを渡した。当時から彼のことが好きだったが、
告白する直前になって心の弱気な部分が顔を出したのだ。幸いなのか不幸なのか、それは
手作りではなかったので、とっさに義理だと言ってしまった。このまま進めば念願だった
恋人という存在になれたのに、うやむやにしてしまったのだった。そのときの冗談めいた
希美の喋り方や今より堅かった一の性格のせいで、二人は当時の関係から進むことが出来
なかった。それが現在まで続いており、希美は後悔していた。


524:『ヤミィ:ヤミィ;』(後編)
07/02/14 00:01:32 ppcpc4ZK
 だから先に進むため、希美はここに居るのである。
「お父さん、お母さん、力を貸して」
 今年決意をしたのは、父と母にあやかってのことだった。希美の両親が付き合い始めた
のは、高校二年のバレンタインがきっかこだったと聞いていた。年頃の少女である希美は
そのことに憧れ、またあやかりたいと思った。少しでも背中を押してほしくて、この日を
選んだのだ。それに、二年前の失態を打ち消すという意味もある。彼女にとって、全てに
意味のある日を選び、その鍵である本命チョコを持って、彼女はここに居る。
 希美は息を飲み込んで、チャイムのボタンを押した。
「はい。あ、希美さん。どうしたんですか?」
 夕食を作っていたのだろうか、エプロン姿の玲子が出てきた。いきなり一に出会うこと
がなかったので、希美は少し安心する。目的は一にチョコレートを渡すことだが、突然に
出てこられても心の準備が完全ではなかったからだ。どこまでも臆病だ、と自分を責める。
「一、居るかな?」
 表情はおかしくなっていないだろうか、声はかすれていないだろうか。自分のことだけ
で精一杯だった希美は、だから気付くことが出来なかった。
 玲子の眉根が、僅かに寄ったということに。
「すいません、少し出掛けているんですけど」
「あ、そうなんだ」
 数秒。
「待ちますか?」
「良いよ良いよ、明日でも間に合うし」
 慌てて包みを背後に隠し、吐息する。


525:『ヤミィ:ヤミィ;』(後編)
07/02/14 00:03:37 wzibhxR3
「希美さん、今のは」
「あ、これ?」
 頬を赤らめて、希美は玲子に包みを差し出した。
 誰が見ても本命チョコだと分かる、包みを。
「やっぱり希美さんも、兄が好きなんですね」
 も、というのは他にも何人か一に本命チョコを渡した人が居た、ということだろうか。
無理もないかもしれないな、と思って希美は二度目の吐息。出遅れてしまったことで肩を
落としつつ、苦笑を浮かべて玲子を見た。
「あんたの兄ちゃん、モテモテだね」
「本当に。どこの馬の骨とも知れない女の人からわんさかで困ってます」
 馬の骨、という言葉に希美は苦笑を微笑へと変えた。よその知らない女から比べたら、
自分はまだマシな方かもしれない。玲子もそのくらいは考えてくれているのかもしれない、
と思うと心が少しは楽になったからだ。応援してくれるかもしれない、とも思う。最近は
付き合いが少なくなってきたけれど、昔から中の良さは変わっていない。
 そう思い、目を細めて玲子の顔を見た。
「あのさ、一って、好きな娘とか居るのかな?」
「居ますよ、とても身近に。楽しそうにその人のことを話します」
 それを聞いて、心臓が高く脈打った。
「そうなんだ。じゃあ、玲子ちゃんは居るのかな?」
 訊くと、玲子は顔を赤くする。
「居るんだ」
「はい」
 女の会話だな、と思う。
「あたしも協力するからさ、玲子ちゃんも、協力してくれる?」
 頷く玲子、それを見て希美は心の中でガッツポーズをする。
「ありがと。それと」
 少しは兄離れしなくちゃ駄目だよ、と言って背中を向けた。もしも一と付き合うことに
なったら、次は玲子の恋を応援する番だと、そう思う。いくら兄妹とはいえ、ベタベタと
していたら恋人も少し嫌な気分になるだろう。現に、その光景を想像して希美は少し嫌な
気分になった。自覚はなかったが、案外嫉妬深いのかもしれない、と口の端を歪める。
 一人で思考の世界に埋没し振り向くこともしていなかったから、希美は気付けなかった。
背後で玲子が鬼の形相をしていたことに、そして手を突き出していたことに。
 衝撃。
「え?」
 最初に感じたのは浮遊感。
 体に鈍い痛みが来て、転んだのだと自覚する。
 耳に入ってくるのは低く大きな音、重量車の走る音だ。
「協力、してくれるんですよね?」
 玲子の言葉をかき消すように、肉を潰す大音量が響いた。


526:『ヤミィ:ヤミィ;』(後編)
07/02/14 00:05:10 wzibhxR3


PM 5:45

 顔にまで飛び散った血を拭い、玲子は家の中にまで戻った。人通りもなく、挽き逃げを
されたのは幸運だったと思う。音を聞き付けて近所の人達が集まっているのが聞こえるが
わざわざ出てゆくつもりもない。即死だったのは、粉々になった頭部で確認出来たからだ。
そんなことよりも、玲子にはやらなければいけないことが沢山あった。先程も仕事が一つ
増えたところなので大忙しだ、と考える。だが、辛くはなかった。仕事が一つ増えたが、
その仕事と同時に楽しみも増えたからだ。笑みを溢しながら汚れた服を着替えて、鼻唄を
歌いながらキッチンへと向かう。足取りは軽く、スキップとまではいかないが小さく跳ねるようなものだ。
「さて、頑張りますか」
 厳一の遺体は既に綺麗に片付けられていて、普段と何一つ変わった様子はない。一には
祖父が死んだことを伝えていないので後々尋ねてくるだろうが、二人の愛の邪魔をされた
と言えば許してくれるに違いない。それどころか、二人きりの世界を作ったことを喜んで
くれる筈だ。きっと、誉めてくれるに違いない。
 そこまで考えて、玲子は希美の言ったことを思い出す。
『一って、好きな娘とか居るのかな?』
「居ますよ、私です」
『玲子ちゃんは居るのかな?』
「居ますよ。愛しています、兄さん」


527:『ヤミィ:ヤミィ;』(後編)
07/02/14 00:05:59 ppcpc4ZK
 他には誰も居ないので、玲子は気付かない。その思考は既に完全に狂っていて、兄をも
妄想の世界に取り込み決定していることに。本来存在する筈の倫理感や常識が全て抜けて
しまっていることに、気付いていない。気付こうともしていない。
 その狂った思考の中で、玲子は仕事を再開した。
「これは、高橋さんのですか」
 自分と違い胸が豊かで、目の大きなクラスメイトの顔を思い出す。
「死ね」
 出刃包丁を中心に突き立てると、ハートマーク型の大きなチョコレートは粉々に砕けて
しまった。少女の想いが詰まったそれを壊す快感に、玲子は身を震わせた。無惨に砕けた
それを更にみじん切りにすると、玲子はとろけた熱い吐息を吐く。彼女の兄への想いが、
跡形もなく消えてゆく。二人の世界の邪魔者を消した喜びに、脳が歓喜で満ちてゆく。
「次は、本人ですね」
 ゴミ袋に捨てながら、玲子は呟いた。
「しかし、何て量ですか」
 見れば既に結構な量のものが溜っている。上級生や同級生に渡すことを頼まれたもの、
一の鞄から取り出したもの、帰ってきたら郵便受けに入っていたもの、数えて50個以上に
なろうかというものが全て細かくなっていた。どれも、玲子が砕いたものである。中には
義理チョコもあったのだが、そんなことは今の彼女には関係なかった。兄へ向けたものの
全てが、玲子の敵だったからだ。プレゼントにどんな気持ちが込もっていようが、玲子の
視点から見てみればどれもおぞましいものばかりだった。


528:『ヤミィ:ヤミィ;』(後編)
07/02/14 00:07:16 wzibhxR3
「兄さんへ送るのは、私だけで充分です」
 最後の一つを残して終わると、玲子は大きく息を吐いた。
「ふふ、希美さん。あなたの代わりに、幸せになりますよ」
 希美から渡されたチョコの包みを広げると、玲子は大きく包丁を振りかぶった。
 鈍音。
 まな板にまで突き立つ程の勢いで振り降ろされた衝撃で、希美のチョコは無惨にも砕け
散ってしまった。他のものとは違い刻むのではなく、玲子は分厚い包丁の背で破片を砕く。
まるで塵一つでも残さないとでも言うように、何度も何度も押し叩いてゆく。更には包装
していた紙を千切り、厳一の愛用していたフライパンの上で焼き始めた。初めて目玉焼き
を焼いたそれの上で、今度は違うものが燃えている。歪みのきっかけとなったフライパン
の上で燃えるそれは、怨念でも詰まっているかのように爛々と火を放っていた。
「これで、終わりですね」
 電子音。
「あら、何て良いタイミングでしょうか。やはり、運命ですね」
 玄関が開き、聞き慣れた足音で兄が帰ってきたのだと分かる。待ち望んでいた愛しい人
が帰ってきた喜びに歪んだ笑みを自然なものへと変え、玲子は早足で一の元へと向かう。
「おかえりなさい、兄さん。ごめんなさい、疲れたでしょ?」
「気にすんな。いつもの味噌と醤油で良かったよな? 俺が出てって良かったよ」
「どうしたんですか?」
「家の前で事故が起きた」
 それは希美なのだが、今は知る由もない。
「酷い話ですね」
「大丈夫だ、俺が付いてるから」
 頭を撫でられ、幸せに包まれながら玲子は頷いた。
「そういえば、じいちゃん帰ってきた?」
「まだです。それより、夕食の後で渡したいものがあるんですけど」
 スーパーのビニール袋を受け取り、玲子は微笑んだ。
 一に気軽に接することが出来たのは、祖父の厳一と、幼馴染みである希美と、妹である
玲子だけだ。その内の二人が死んでしまったことで、一に気軽に接することが出来る人物
は玲子のみになった。それを知らない一は、キッチンから漂ってくる料理の香りを楽しみ
ながら、リビングへ向かう。それを知る玲子も、楽しく料理をリビングへ運んでゆく。
 どこまでも気安い、二人だけの世界がそこにあった。

529:ロボ ◆JypZpjo0ig
07/02/14 00:08:52 ppcpc4ZK
これで終わりです

何だか後味が悪いですね
皆さん、ハッピーバレンタイン!!

530:名無しさん@ピンキー
07/02/14 00:09:49 PPWx4k+s
>>529
無茶言うなwwでも乙ww

531:名無しさん@ピンキー
07/02/14 00:12:44 68FXy/2e
>どこまでも気安い、二人だけの世界がそこにあった。
この一文を見てなぜか上手いと思ってしまった。

532:名無しさん@ピンキー
07/02/14 00:26:18 sR1tpHco
ロボ氏GJ!
素晴らしいハッピーエンドでしたねw

533:名無しさん@ピンキー
07/02/14 00:41:20 yDqWbHaT
>>529GJ!
血のバレンタイン祭りは一発目からエラいのが投下されたぜ!

534:名無しさん@ピンキー
07/02/14 01:05:12 ynTZv2CF
素晴らしいハッピーエンドだなこれ

535:名無しさん@ピンキー
07/02/14 01:15:25 ZxFXd2TE
ぶらまりはシリアスな方が面白いな
コミカルなぶらまりも好きだけど

536:やや地獄な彼女(しずちゃん編)
07/02/14 02:32:13 Bd8A6qOx
投下しやす。
途中、若干、趣味の合わない人には「をいをい!?」ってなる描写を
少し含んでます。
お気に触ったら、ごめんなさい。


537:やや地獄な彼女(しずちゃん編)
07/02/14 02:35:42 Bd8A6qOx
調教一日目(後編)

「……ねえ、遼くん」
「……」
「遼くん?」
 遼くんは答えない。
 って言うか、激痛の余韻で、まだそれどころじゃないみたい。
 でも、分かっていても、ボクは少しカチンと来た。
「遼くんっっ!! お返事はっっ!!?」
「はっ、はいっ!」

 あわてて遼くんは、こっちを振り向く。
 そう、それでいいの。
 キミはそうやって、24時間ボクの事だけ考えていればいいの。
 まったく、何度言っても分からないんだねキミは
「ごっ、ごめんなさいっ!! ごめんなさいっ!!」
 とっさにボクの不機嫌な空気を読んだのか、こっちが何かを言い出す前に、ひたすら謝る遼くん。
 そんな遼くんを見て、ボクは少しばかり安心した。
「……まあ、いいわ。そんなに急ぎすぎなくとも」
 まだ初日なんだもんね? そういった反省点は、これからじっくり躾ていけばいいんだもんね。そう、時間はまだまだあるんだもん。
 そう思いながら、ボクは真っ赤になった遼くんのお尻をなでなでした。

「~~~~~~!!!」
 遼くんの顔が激痛で歪む。
「あはっ? 痛いんだ遼くん。お尻やっぱり痛いんだ?」
「うんっ! 痛いっ、痛いからっ、さ、わ、ら、な、い、―あぎゃぁっ!!」
 そんな叫びを無視して、ボクはその赤い山に、じんわりと爪を立てる。
「ぃぎぃぃぃ!!! やめっっ!! おねがっ いっ! あっ! あぁぁぁ!!!」
「んふふふふ……そっかぁ、やっぱ、痛いんだぁ。―ったく、仕方ないなぁ……」
 ボクはおしめスタイルの遼くんを、そのままひっくり返し、うつ伏せにする。
 後ろ手で縛られ、おむつスタイルのままひっくり返された遼くんは、お尻を後方に突き出し、顎と両膝を支点に重心を支えるという、これまた淫らさ満点の格好になった。
……すごい、すごいよ遼くん……イヤらし過ぎて、気が遠くなりそうだよ……。

 ボクは気を抜くと、つい彼に見惚れてしまいがちになる自分の瞳を、無理やり戻し、
「さぁて遼くん、次は何をして遊ぼうか」
「しっ、静香っ……」
 んふふふ……怯えてる怯えてる。
 ああ、また、見てるだけでイっちゃいそう……。


538:やや地獄な彼女(しずちゃん編)
07/02/14 02:37:32 Bd8A6qOx

 でもね、遼くん、もう安心していいよ。痛いのは、ここまでだから。
 鞭の時間はもうおしまい。これから始まるのは、あまぁ~い、あまぁ~い飴の時間なんだから。

「ねえ、遼くん」
「なっ、なに?」
「遼くんは痛いのが好きじゃないんだよね?」
「……静香?」
「痛いのが嫌いなんだよね?」
「あ、う、うん」
「じゃあ、気持ちいいのは?」
「えっ?」
「気持ちいいのは、好き?」
「そっ、そりゃあ、痛いのよりは、好きだよ」
「……じゃあ、気持ちよくなりたい?」
「うっ、うん……」
「そっか。―本当にしょうがないなあ、遼くんは……じゃあ、痛いのはコレが最後だよ」

 ボクは、遼くんのベッドの上に乗ると、彼のお尻のほうに回り込んだ。
 眼前にそびえる、二つの赤い山。
 それを、そっと手に取る。
「いっっ!!」
「……ああ、ごめんね遼くん、まだ痛いんだったね」
 そう言いながらも、お尻から手を離す気は無い。
 熱い。
 まるで、肌の下にマグマが詰まっているようだ。
 気が付けば、ボクは全く自然に、その丘に舌を這わせていたんだ。
―れろり。

「ああああああ!!!!!」
 遼くんが悲鳴をあげる。
 あれ、おかしいな。遼くんたら何を騒いでるんだろう?
 折角ボクが、お口を使って、遼くんの痛いところを消毒してあげてるのに。
「どうしたの遼くん?」
「しっ、沁みるっ! 静香っ! それ沁みるよぉっ!」
「痛いの?」
「痛いっ! 痛いよっ!!」
「遼くん、わがまま言わないの。キチンと消毒しないと、後で“痔”になっても知らないよ」


539:やや地獄な彼女(しずちゃん編)
07/02/14 02:39:25 Bd8A6qOx

「でっ、でもっ、終わりだって! 痛いのは終わりだって言ったじゃないかぁ!?」
「大丈夫だよっ。あと5分も続けてりゃあ、気持ち良くなってくるさ」
「ごっ、ごふんっ!?」
「あああ、もう、うるさいなぁ遼くんはっ!! 男の癖に、そんなにキャンキャン騒ぐんだったら、騒げないようにしてやるっ!!」
 ボクは、ベッドから飛び降りて、ギャグボールを捜したけど、次の瞬間、もっとイイ事を思いついたんだぁ……。

―じゅるる。
 ボクのエッチなおダシで、もうじゅくじゅくになってる、このショーツ。
 それを、湿った音と一緒に脱ぎ捨てる。
 せいぜい、遼くんの眼に、ボクの姿がいやらしく映るように。
「しっ、しず……んがぐぐ!!」
 そして、彼の口の中に、その濡れた下着を無理やり捻じ込む。
「どう遼くん、ボクの特製スープのお味は?」
「んんんん……」
「力いっぱい噛んで、飲み込むんだ……」
 そう言いながら、ボクが遼くんの頭をなでなでしてあげた瞬間、彼が、ごくりと“おダシ”を飲み込むのが見えたんだ。
「おいしい……?」
 そして、そう訊いたボクに、お尻と同じくらい顔を真っ赤にしながら、遼くんは、こくりと恥かしげに頷いたんだ。

 ああああああああ!!!!!!!
 遼くんが! 遼くんが! 遼くんが!!!
 おいしいって!!!!
 ボクの“おダシ”、おいしいってぇぇぇぇええええ!!!!
 有頂天っていうのは、こういう時に使う言葉なんだね!!
 ボクはまさしく、天にも昇らんばかりの心地で、遼くんをもう一度おむつスタイルに戻した。だって、さっきのポーズだと、遼くんがボクの“おダシ”を味わってくれてる表情が、全く見えないからねっ!!
 その代わり、もう意地悪はおしまい。
 次はボクが、今度こそ、キミを本当に気持ちよくしてあげるっ!!


540:やや地獄な彼女(しずちゃん編)
07/02/14 02:41:42 Bd8A6qOx

「遼くん、ありがと……。キミがそうやって味わってくれて、ボク、本当に嬉しいよ」
 そう言いながら、ボクは、真っ赤に腫れ上がったお尻ではなく、その間の溝にあるすぼまりに舌を伸ばしたんだ。
「んぐぅっ!」
 あはっ、遼くんがびくってなってる。
 ボクはそんな遼くんの反応が嬉しかったので、なおもちろちろと、舌先でアナルをほじくる。
 無論、舌だけじゃないよ、特別サービスの一環として、そのアナルから伸びたローターのコードの先にあるリモコン。そのつまみを最強にしてあげたんだ。
「んががががが!!!」
 いきなりの刺激に、遼くんが激しくもがき始める。
 でも、逃っがさないよぉん。
 だって、ボクは決めたんだもん。これから遼くんを徹底的に感じさせてあげるって。
 んふふふ、覚悟してね。それに、これはキミが言ったんだよぉ。気持ちいいのが好きだって。そうだよねぇ?

「遼くん、気持ちいい?」
「んがぐぅぅ!!」
「気持ちよかったら、頷いて」
 遼くんは、半ば必死になって首を縦に振る。
「んふふふ……そう、気持ちいいんだ……」
 そう言いながらも、ボクは眼前の遼くんのとろとろになった表情に、眼を奪われていたんだ……。
 うわぁぁぁ……すごぉい。
 気持ちよさそうになってる遼くんの顔って、こんなに、イヤらしいんだぁ……。
 いいよ、遼くん、感じちゃってさ。

 苦痛の後の快感。
 快感の後の苦痛。
 これを何十回、何百回と繰り返すと、人は自然とその虜になる。
 快感だけじゃない。その苦痛に対してすらも、その対象は、耐えがたい渇きに似た常習性を憶える事になる。まるで麻薬常用者が常に麻薬を欲するように、それらの刺激無しの社会生活を、もはや送れなくなる。

―つまり、これこそが、世間一般に言われるところの……調教。
 

541:やや地獄な彼女(しずちゃん編)
07/02/14 02:44:15 Bd8A6qOx

 とまあ、これがボクが一番最初に勉強した、調教の知識の基礎の基礎。
 要は反復。
 スポーツの練習と同じ。何度も何度も繰り返し努力すれば、それは必ず報いがある。
 ボクは、性科学書の研究序文を読んで、むしろ安心しながらそう思った。
 だって、スポーツと名の付くもので、およそボクの苦手な分野は無いからねっ。
 でも、違う。
 反復とか、努力とか、そんな次元の話じゃない。
 だって、だって、一番冷静にならなきゃだめなはずのボクが、全然自分を抑え切れないんだもん!!

 ああああああ、おいしい!!
 遼くんのアナル、超おいしいよぉ!!
 ボクは、何かに憑かれたように、アナルの奥深くに差し込まれたローターのコードを、ぐいっと引っ張った。
「んんんんんんん!!!!!!」

―ぶぶぶぶぶぶ、ぶぶぶぶぶぶぶぶ……。
 やや、小ぶりなローターが、遼くんの菊座から転がり落ちる。
 ちょっと、茶色い物体が付着した、そのローターは、もうボクには小さ過ぎて、一人遊びにすら使わなくなった一品。
 んふふふ……大丈夫だよぉ遼くん。すぐにキミのここも拡張してあげる。こんな“子供だまし”じゃ、満足出来ない身体に、すぐにしてあげるからねえ。
 それと、それと、あああああ、このローターについた遼くんの、ああああ!!
 何て、おいしそうなんだろう! 
 いや、いや、いや、いや、おちつけ、おちつくんだ、ボクっ!
 分かってる、このローターに付着してるチョコレート色の物体が一体何なのか、そんな事は百も承知。
 でも、でもぉ……ああ、だめぇ、手が止まらないっ!!
―ぱくっ!

……ああああああああああ、おいしい、おいしいよぉぉぉぉ!!!!
……死んじゃう……こんなにおいしいの食べたら……ボク、死んじゃうよぉぉぉ……!


542:やや地獄な彼女(しずちゃん編)
07/02/14 02:46:40 Bd8A6qOx

―ああああ、いや、危なかったぁ! このまま意識が飛んじゃうところだったよ。
 んふふふ、そうだよねえ、これからもっともっとおいしい、メインディッシュが待ってるっていうのに、オードブルのチョコレートのおいしさで眼を回すバカもいないよねえ?
 ボクは名残惜しげに、口の中のローターを取り出すと、おもむろに、遼くんのオナホールを睾丸で固定しているベルトを外し始めた。
 オナホールの中は、もうすごい事になってた。
 真っ白い粘液が、それこそミルクの缶を引っくり返したようにどぼどぼと、こぼれ落ちた。
 あああ!! 勿体無い!! 
 ボクは、オナホールから流れ出る遼くんのスペルマを、ごくごくと、一気に喉に流し込んだ。
 おいしぃぃぃ!!!!
 さっきのチョコレートもおいしかったけど、このミルクはそれ以上だよぉぉ!!
 でも、ああ、もう無くなっちゃう! さっきベッドに流れ出ちゃった分が、ああ勿体無い……!!
 いや、いや、どっちにしろ、こんな程度の量なんかじゃ足りるワケはないんだ!
 ボクは彼のペニスにむしゃぶりついた。この甘露を一滴でも多く貪り尽くすために。
「んんんんんん!!!!、んんんんんんん!!!!!!」

 その時、ボクははっとなった。
 遼くんのペニスの硬度が、若干ながら軟らかくなっている気がしたんだ。
 そうだ。こんなところで、遼くんの大事なミルクを無駄遣いさせるわけにはいかない。
 ボクにとっての今宵一番のご馳走。調教一日目の記念すべきメインディッシュ。
 すなわち、遼くんの童貞。
 それこそが、この、ああ、この……!!!

 いやいやいや、待てボク! クールだ。クールになれ。“計画”を忘れちゃだめだっ!!


543:やや地獄な彼女(しずちゃん編)
07/02/14 02:52:26 Bd8A6qOx

「遼くん」
 ボクは、彼のペニスから口を離すと、息も絶え絶えになっている遼くんの口からショーツを引き抜いた。
「今から、ボクたちは一つになる。いいかい?」
「……」
 遼くんは、頬を真っ赤に染めて、眼を逸らし、静かに頷いた。
 ボクはロープをほどき、手錠と足枷を外し、彼を完全に解放すると、遼くんの隣に横たわった。
「静香……」
「いいよ、遼くん」

 その瞬間、今までの遼くんとボクの立場が、完全に入れ替わった。
 遼くんは正上位の体勢で、獣のようにボクに襲い掛かり、最後の体力でボクの股間に、自分のペニスをあてがおうとする。が、童貞の哀しさ、何度も上手くいかずにペニスが膣孔を上滑りしてしまう。
 でも、でも、その上滑りに焦らされる感覚すら、気持ちいいぃぃぃ!!!
「あああっ!! 落ち着いてっ! 落ち着いてよっ 遼くんっ、もっと下を見て、そうそう、そのまま―あああっ!!!」

 はいった。

 そのまま、腰を振り続ける遼くん。
 ボクは、両足を遼くんの腰に回して、がっちりロックして……あああああっ、気持ちいいっ!! ボクっ、ボクっ、遼くんの腰の一振りごとにイっちゃってるよぉぉ!!!
 何も、何も、何も考えられないっ!!!
 あああああっ、遼くん!! 愛してる!! あいしてるよぉぉぉ!!!!

「あはっ!! だめだよっ!! 遼くん、そんな、うんっ! 程度の腰使いじゃ、ひぐうぅっ!! 全然気持ちよくなんか……
 あああああ!! もっと、もっと、ひふっ! ひゃひぃぃぃ! そぉ、そぉやって!! んんんん!!!」


 ああ、遼くん、気持ちいい!!気持ちいい!!気持ちいい!!気持ちいい!!気持ちいい!!気持ちいい!!
 気持ちいい!!気持ちいい!!気持ちいい!!気持ちいい!!気持ちいい!!気持ちいい!!きも―

「―かはっ!! ダメだよ遼くん!!  そんなんじゃ……くふうううっ!! 全然、先輩に、かなわないよぉぉぉ!!
 ……ぁぁぁぁぁ……せんぱいの、おちんちんは、ふぐっ!! もっともっと、気持ちよくてぁぁぁぁ……もっともっと、太くて、堅くて、おおきく―あがぁぁっ!!」

「―何だと……何だと静香ぁ!!」

 あはっ、遼くんの顔色が変わったぁっ!!
 そう!! そうだよっ!! 遼くん、その眼だよっ!!
 もっともっと嫉妬してぇっ!! もっともっと、もっともっと怒り狂ってぇ!!

「オレが、オレが、キャプテンに……黒崎さんに負けてるってのかぁっっ!!」

「だめだよぉぉ! あはっ! 負けちゃってるよぉ遼くんっ!! このままじゃボクっ、先輩の事忘れられないよぉぉ!! ……くぅぅぅ……遼くんが、ひはっっ!! 遼くんがへたくそだから……あああああああ!!! せんぱいのことわすれられないよぉぉぉ!!」

 ああっ、遼くん!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!あい……

「やめろぉっ! キャプテンの、黒崎の名前なんか出すんじゃねえ!! いま、オマエとやってるのは、アイツじゃなくてオレなんだっ! この柴田遼太郎なんだぁっ!!」

……そう、それでいいんだよ遼くん……。
 絆っていうのは……一方通行じゃダメなんだ……。
 ボクがキミに近付くメスネコに嫉妬するのと同じように、キミもボクの周りの男に嫉妬しなくちゃいけないんだ……。
 そしてキミの瞳に、その嫉妬の光が無くならない限り、ああああ!! キミは永久に、永遠にボクのものなんだ!!


544:やや地獄な彼女(しずちゃん編)
07/02/14 02:54:23 Bd8A6qOx
今回はここまでです。
次回はヤマグチ編に戻ります。


545:名無しさん@ピンキー
07/02/14 02:56:07 PPWx4k+s
美しすぎて眩暈がしそうです

546:名無しさん@ピンキー
07/02/14 02:58:56 lWXKTLAg
これは、すげぇwwww
けど、軽いスカネタするんなら注意書きはしといたほうがいいよ。
ちょっと、ビックリしちまったよ。

547:名無しさん@ピンキー
07/02/14 03:09:30 lWXKTLAg
って注意書きしてる!? スマソorz

548:名無しさん@ピンキー
07/02/14 03:16:27 C3mNV5YZ
移行されたので関連スレ

ほのぼの純愛 9スレ目
スレリンク(eroparo板)

しかし、ヤンデレといい、最近このジャンルは調子が良いな

549:名無しさん@ピンキー
07/02/14 05:40:45 7yfauPfh
なんとなく

ハッピー・バレンタイン(訳:地獄で会おうぜ)

というのが頭に浮かんだ

550:名無しさん@ピンキー
07/02/14 06:46:58 NESgu9dX
誰だかわからんが、しずちゃん経験済みなのか・・・。

551:名無しさん@ピンキー
07/02/14 06:53:26 E7Inp7N5
なんかたまきんのトラウマが・・・

552:名無しさん@ピンキー
07/02/14 07:24:12 gTflw1zy
俺はむしろ「サラマンダーよりはやーい!」を思い出したぜorz

553:名無しさん@ピンキー
07/02/14 07:33:10 NESgu9dX
それでも俺は信じる・・・あれは柴リョウを嫉妬させるためのブラフだと・・・。

554:名無しさん@ピンキー
07/02/14 08:53:24 iCAGHJ6U
お前等ヨ○よりDQNな女はそうそう居ないから安心汁
とりあえず作者様GJ

555:名無しさん@ピンキー
07/02/14 10:28:27 ynTZv2CF
処女膜にケアルガかけてから嫉妬しろや売女!

嘘です冗談ですすいません

556:名無しさん@ピンキー
07/02/14 12:17:33 t7a32S6Y
売女の嫉妬には大して魅力を感じないんだ・・・

557:名無しさん@ピンキー
07/02/14 12:34:03 lWXKTLAg
いや、それは人しだいでしょ。
俺は結構萌えたりする。男に騙されて、ボロボロになりながら帰ってきたところを主人公に慰められ。
そこから、依存、ヤンデレ化とかするの結構好き。

558:名無しさん@ピンキー
07/02/14 13:02:53 6LsqLkq5
やっぱり、俺は言葉様萌えだな
ま(ryに捨てられた言葉様がだんだんと病んでゆく姿に惚れない男はどこにいるだろうか
好きな人の家に忍び込んだり、ストーカーまがいの行動は俺の心を狂わせるぜ


559:名無しさん@ピンキー
07/02/14 13:06:35 NESgu9dX
>>557-558
いやいや、無理矢理されるのと自分から股開くのとは大きな差があってな。

・・・うむ、これ以上はなすと処女厨になりかねん。控えよう。

560:名無しさん@ピンキー
07/02/14 13:09:08 p95bTZIQ
まぁ、あれだ。
『愛に狂う女は美しい』
だよ。
某歌の歌詞に書いてあったが名言だなこれは。

561:名無しさん@ピンキー
07/02/14 13:56:14 6LsqLkq5
内気な女の子が積極的に狂うのが一番萌えですね
特にいたり先輩のような思い込みが激しくてちょっとズレているヤンデレが
かなり個人的にツボですね

562:名無しさん@ピンキー
07/02/14 15:20:44 4u44LvIa
依存もいいけど、ストーカーは我が強いほうが
リアリティあって萌えるな。山岸由花子みたいなの

563:名無しさん@ピンキー
07/02/14 15:29:32 7yfauPfh
主人公を恐怖のどん底に突き落とすのもいいけど
最後まで主人公にバレないように恋敵を始末していくのもいいなあ

564:名無しさん@ピンキー
07/02/14 16:01:12 +FJROW5q
>>544 やばい・・男と女が嫉妬しあうのがツボにきた・・
寝取られ属性もある俺としては超GJ!!

565:名無しさん@ピンキー
07/02/14 16:26:44 XD4pqmVC
しずちゃんと言えば南国なんたらってお笑いの女を思い出す

566:名無しさん@ピンキー
07/02/14 16:32:35 AiARapwF
>>565
南海キャンディーズじゃね?

567:名無しさん@ピンキー
07/02/14 16:43:07 XD4pqmVC
それそれ

568:名無しさん@ピンキー
07/02/14 17:03:11 rzR4CBDV
このスレの住人って気にいった女にはとことんMだけど
気に入らない女にはとことんSなんじゃないか?
なんとなくだけど……

569:名無しさん@ピンキー
07/02/14 17:05:23 gRtncX3K
澄んだ目よりも濁った目のほうが萌えるよな

570:名無しさん@ピンキー
07/02/14 17:14:58 p95bTZIQ
想い相手の名前の連発もイイ(・∀・)

571:やや地獄な彼女
07/02/14 17:27:56 Bd8A6qOx
ん~、特にしずちゃんという呼び名に意味を持たせる気は無かったんですが、
(昔のドラえもんでも、しずかちゃんの事を『しずちゃん』と呼んでるくらいだし)
そういう、特定のイメージが付きまとうなら、『しずちゃん』という名は封印という事にしましょう。

確かに、脳内イメージで映像を補完した場合、あの南海キャンディーズの彼女が主演だったら、
かくいう、このオレでもキツイですし。

あと、静香がシーンの最後の方で口走る『先輩』なる人物に関しては、いずれまた、
きっちり、描写させて頂きたいと思います。
結構、ストーリー上(特にシバ遼編)の重要人物にしていこうと思っていますんで。

では、また後ほど、ヤマグチ編でお会いしましょう。


572:名無しさん@ピンキー
07/02/14 17:30:03 gRtncX3K
好き、愛してるの連発もかなりいいなwww

573:名無しさん@ピンキー
07/02/14 17:41:59 D5SoExi7
>>568
気に入らない存在は嫉妬ちゃんが心の包丁で無かった事にしますゆえ。

574:名無しさん@ピンキー
07/02/14 18:33:29 wKg0VZDO
>>569
いや、澄んだ瞳がだんだん濁ってくる変化そのものに萌える

575:名無しさん@ピンキー
07/02/14 19:25:10 PPWx4k+s
処女じゃなければ売女、ってどういう思考回路だよww
これまでの作品でも処女じゃないキャラは色々いるだろ。
すぐ思い出せるところでは不義理チョコパラレルの姉ちゃんとか。モカさんもそうか?
大体、しずちゃんくらい圧倒的な性的調教を施せる人間が、経験無しってのも不自然かもしれんし。

576:名無しさん@ピンキー
07/02/14 19:34:48 rzR4CBDV
処女についての議論はここまで。
この話題は荒れるから止めろ。

577:名無しさん@ピンキー
07/02/14 19:54:52 PPWx4k+s
荒れるのか?まぁスレ違いだしな…すまんかった。
作者さんには色々気にせず書いて欲しいと思います。

578:名無しさん@ピンキー
07/02/14 19:56:50 RloeiQCD
バレンタインによる投下ラッシュだと思ってたけどあんまり来てないね……


579:名無しさん@ピンキー
07/02/14 20:08:27 F2FqJH8x
>>555
処女は…柴くんの縦笛にあげました。

そんな、若き日の過ち。具体的にはソプラノだったころ。


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