嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 修羅場の28at EROPARO
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 修羅場の28 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
07/02/06 07:29:03 B7wJ/uAf
■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第16章
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■姉妹スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板
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嫉妬・三角関係・修羅場統合スレin角煮板2nd
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【モテモテ】ハーレムな小説を書くスレ【エロエロ】7P
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ヤンデレの小説を書こう!
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●●寝取り・寝取られ総合スレ4●●
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3:名無しさん@ピンキー
07/02/06 07:36:39 B7wJ/uAf
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら(URLリンク(yuukiremix.s33.xrea.com))へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません


4:名無しさん@ピンキー
07/02/06 07:52:27 qR0tLm+H
>>1さん乙です


5:名無しさん@ピンキー
07/02/06 09:45:41 qXzcPuj8
■前スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その27
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■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第17章
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■死妹スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part2
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6:とーしろROM専
07/02/06 11:27:05 4gutmNEn
「ふふふ・・・うふふふふふふふふふふ・・・」
孤独に笑っている女性が一人。白い純白の肌をむき出しにして一人笑っている。
「これで・・・これで父様(ととさま)がこちらを振り向いてくださる・・・」

昔、ある所に一人の男と娘たちがいた。娘たちは男に買われ今の住処に住んでいるのだ。
男は当然のように娘に自分のものである印を刻み込み、娘たちもそれを受け入れるどころか感謝さえした。

(嗚呼・・・あの頃はほんに幸せでした・・・)

父様・・・男は毎晩のように娘を蹂躙した。娘を一人選ぶと一月(ひとつき)やそこらはずっとその娘が蹂躙され続けた。
そして、選ばれた娘はどこかに消え、また一人選ばれる。

(お姉様達は・・・ずるいです)

選ばれた姉の誇らしげな、幸せの絶頂のような表情を見るたび次は私、次こそは私と思い続けたが結局最後の一人になってしまった。
そこまでは良かった。最後になってしまったということは男は、父様は後生大事に自分を染めてくださるのだろうから。

しかして絶望は訪れた。男が新しい娘を一人買ってきたからだ。その娘は異人であり、その白い肌、黒々とした髪の美しさは娘には太刀打ちできないように感じた。
そして男も新しく買った娘を選んだ・・・。

(一月の辛抱、それが過ぎれば父様が・・・。)

一月が過ぎ、二月が過ぎ、三月が過ぎた。

男は来ない。自分を選んでくださらない。一人孤独に待ち続けている自分に目を向けてくださらない。
あの娘が、あの娘が来てからおかしくなった・・・。自分にとっての世界である父様が変わってしまった・・・。

(許せない・・・許せない許せない許せない許せない許せない許せないっ!!!!)

狂気とは、孤独から訪れるものである。
娘は狂い、終に・・・異人の娘を。


「これで・・・これで父様(ととさま)がこちらを振り向いてくださる・・・」


7:とーしろROM専
07/02/06 11:28:45 4gutmNEn






「あれ、すっげぇ荒れてんなぁ・・・・」
パソコンの画面を見つつ男は呟いた。
その男は所謂職人、神と呼ばれる人種であった。
ずっとノートに溜め込んできたネタをある掲示板に貼った所大絶賛を受けた。
褒められる事は新しいアイデアを出す一番のチャンスだ。
男は良作がどんどん思いついた。そしてそれを書き込みさらに褒められた。

だが明くる日、その掲示板が荒れに荒れていた。
いつもの職人への催促と、それに対する注意ではなく、なんと次スレの題名で論戦がされていた。

「むぅ・・・投下できる雰囲気じゃねぇや・・・」

荒れているところに投下したら投下した作品まで罵倒されかねん。男は投下を諦めた。

「久々にノートに書き込むかなぁ・・・」

男は引き出しから一冊のノートを取り出した。まだ名前だけしか書かれていない純白のノートを。

「よく見たらこれラスト一冊じゃん。大事に書かんとなー」



後に残されたのは次スレの題名で荒れている修羅場嫉妬すれのみ・・・・。


お粗末。



今の状況を見て生まれて始めてのSSを書いてみた反省はしていない。
つまり荒れるのは嫉妬に狂ったノートの陰謀なんだっ!!!!



8:名無しさん@ピンキー
07/02/06 16:34:18 I+HMs5FH
なかなか面白いと思ふ是

9:名無しさん@ピンキー
07/02/06 17:13:44 jJ4KXZsc
前スレ>>684
主人公が被っているってのは個人的には好みだ。
これからどう修羅場に発展していくか楽しみ。

10:名無しさん@ピンキー
07/02/06 19:30:14 50dQDHPa
>>6-7俺こういうss結構好き。新スレ初のgj!

11:名無しさん@ピンキー
07/02/06 20:05:04 TpyHaLWn
今日も兄さんは私をかまってくれない。
「うはwwwwおねえちゃんテラモエス」
お茶を持って部屋に行っても、兄さんは気づいてくれない。
いつものように兄さんはモニターを凝視して、私を見てはくれない。
こんなにも慕っているのに、こんなにも愛しているのに、 どうして兄さんは……
「好きです……兄さん」
「実妹?ねーよwwwww」
どうして!血のつながりなんて、愛の前には些細な問題でしょう!
「ちょwww三次元wwwwキモスwwww」
いつものやりとり。私が想いを打ち明けても、真面目に応じてはくれない。
どうして、どうして兄さんは私を愛してくれないの……
薄っぺらなくせに!触れることさえ出来ないくせに!
子供だって産めないくせに!兄さんの想いに応えやしないくせに!
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!
怒りにまかせて破り捨てても、ヤツらはいくらでも湧いてくる。
押し入れから、ベッドの下から、兄さんのプリンターから、害虫のように増殖する!
兄さんの寵愛をうける娼婦たち!
私から兄さんを掠めとる泥棒猫!
「言葉様ハァハァ……」
そしてまた、新しい雌犬が……


12:名無しさん@ピンキー
07/02/06 20:07:08 TpyHaLWn
とうとう耐えきれなくなった私は、女狐どもを全て駆除することを決意した。
兄さんが眠っている間に、害獣どもを産み落とす売女であり、諸悪の根源であるパンドラの箱、ぴーしーと呼ばれる端末に入ってる雌豚たちを殺すのだ。
彼女らの情報を全て消去してしまえば、兄さんは私を見てくれる。兄さんを惑わす魔女たちが全ていなくなりさえすれば、兄さんは私を愛してくれるのだ。

「修羅場系総合SSすれ?」
Dどらいぶの初期化を終えて、息抜きに兄さんのお気に入りを調べていた際、誤って開いてしまったのがそれだった。

名無しさん@ピンキー sage 2108/02/06(火) 15:13:28 ID:kOtonOha
おねえちゃんテラモエス

「これ、兄さんが昼間いってた……」
たらり、と、唇から血液が流れる。気が付いたら噛みきっていた。
下へスクロールしていくと、同じような句や単語が並んでいるのに気付く。
彼らは一様になにかを賞賛しているらしい。
「この連中が、この連中が……」
だが、そんなことはどうでもいい。
私が考えるのはただ一つ、この連中が―
「私から兄さんをとったんだ……!」
この連中が淫らに兄さんを誘惑するから、兄さんは私を見てくれないんだ!



13:名無しさん@ピンキー
07/02/06 20:10:15 TpyHaLWn
怒りに任せ、出鱈目に更新ボタンを連打する。
連中はなにかを待ち望んでいるらしい。
SSと呼ばれる悪女―SSとは、なにかの暗号だろうか?
きっとそいつが連中の首領なのであろう。
その雌猿は有象無象の名無しどもを指揮して、兄さんを誘惑しているのだ。
このまま見逃してやるほど、私は愚かではない。
やつの姿を突き止めて、二度と兄さんに色目を使えないようにしないと……
「これは?」
しばらくするとなにやら小説らしき長文が表示され、そこには―

14:名無しさん@ピンキー
07/02/06 20:17:39 TpyHaLWn
ちゅんちゅんと、小鳥のさえずりが聞こえる。
小鳥たちもきっと、私たち兄妹を祝福してくれてるのだろう。
兄さんの寝顔を眺める。
体を揺すって口をむにゅむにゅと動かすのは、兄さんが目覚めるときの癖だ。
―私は悟ったのだ。愛は待つものではなく、勝ち取ることだと。
あのSSは、私にとって正に福音であり、真の愛への天啓だったのだ。

「ちょwwwウゴケナスwwww」
「手足をロープで固定させてもらいました。兄さんはずっと私にこうされることを望んでたんですね。
安心してください。三種の神器のうち、媚薬以外は揃っています。
さぁ、心置きなく監禁生活を楽しみましょうね」
「おまwww監禁wwww」
「さぁ、これから二人っきりで、淫靡で背徳的な爛れた日々を送りましょう!」
「ちょwwwwらめぇwwwwwアッー――」







「お兄ちゃん……ずっといっしょにいようね」
「人生オワタ\(^o^)/」








>>7を読んで思いついた。今は反省している。

15:名無しさん@ピンキー
07/02/06 20:20:01 /cjd9N+u
ちょwwww!
テラGJ!!!

16:名無しさん@ピンキー
07/02/06 20:44:11 7WQNyNB1
ワロタwww 妹のピントずれてるwwwwww
しかし、実生活でもこんな喋り方をするキモイ兄の何処に惚れたんだよw

17:名無しさん@ピンキー
07/02/06 20:56:53 XwaMjmpP
理屈じゃないんだよ!!

監禁は、フィーリングで行うもんだ!!

18:名無しさん@ピンキー
07/02/06 21:05:57 OomtC6k0
2108年吹いたwwwwwwwwwwwwwwww

19:名無しさん@ピンキー
07/02/06 21:34:18 BKpCLdQw
母親と娘の嫉妬修羅場合戦みたいなSSってあるのかしら

20:名無しさん@ピンキー
07/02/06 22:13:08 VpQy5oao


    こ れ は 萌 え た




21:グリフォンとオレ。
07/02/06 22:13:58 44SRSiWe
>前スレ684の続きです。

その一。

 グレイスが帰ってきた。
 聞いた話では、かなりの手傷を戦場で負ったそうだ。

 妹のヘレンは、心配で胸が張り裂けそうだった。
 聞いたところによると、命に別状は無いという話だったが、そんな事は自分の目で見るまで当てにはならない。
 ヘレンは、侍女たちを突き飛ばし、長いスカートを捲り上げ、実に数年ぶりに全速力で、兄の部屋まで駆け通した。
 貴族の令嬢としての典礼作法を学び始めてからは、走るなどという、そんなはしたない行為はした事も無かったが、その時の彼女には“無作法”などという単語は、頭を掠めることすら無かった。

「お兄様っ!!」
 兄の部屋に飛び込んで、ベッドまで駆け寄る。
 クリムゾン家かかりつけの白魔道士に医者。兄の従者である騎士見習いたち。そして、ひたすらおろおろする母と、その母ををなだめる末の妹。
 これらの人々を掻き分け、ヘレンは枕元までにじり寄る。
 彼女の兄、グレイス=クリムゾンは、いた。
「よう。ヘレン」
「おにい、さ、ま……!」

 半年振りに見る兄。
 半年前と変わらぬ、その屈託の無い笑顔。
 しかし、全身包帯まみれのその姿には―左膝の下からが無かった。


22:グリフォンとオレ。
07/02/06 22:16:24 44SRSiWe

「ちょいと、しくじっちまってな。ブザマなこったよ全く……」
「……」
「何だよ、そんな不景気なツラすんじゃねえよ。別に足一本で死にゃしねえさ」
 グレイスは半分むくれたような、半分照れているような、それでいて何となく面目無さげな、要するにイタズラの現場を押さえられた子供のような顔をしていた。
 ヘレンは、そんな兄の顔を見て、安堵と同時に苦々しい怒りが込み上げてくるのを抑え切れなくなっていた。

「あの、あなたたちには申し訳ないけれど、……少しお席を外して下さいません?」
「えっ……あの?」
「ヘレンお嬢様、宜しいのですか?」
「先生方、もう、取り立てて命の危険は無いのでございましょう? 父もそろそろ下城する時間ですし、騎士団の方々もお疲れでございましょう? 階下でお食事など用意させて頂きますので……少し、家族だけで話をさせて頂けません?」
 そう言って彼女は兄の部屋からメイドや医者、騎士見習いたちを追い出した。
 本当は、母や妹も追い出して、二人きりでたっぷり説教してあげたかったのだが……。

「お兄様、これやっぱり、アイツにやられたの……?」
「あいつ?」
「例の、グリフォンに……」
「……まあな」
「……」

 例のグリフォンというのは、最近、街道沿いのボラン峠に出没するという、鷲頭獣身の幻獣の事だ。
 元来グリフォンは、ドラゴンやフェニックス、ガルーダやハヌマーンのような高位の霊獣に並ぶ存在で、その知能、魔力、そして、その巨大な肉体が有する破壊力は、もとより人間の及ぶところではない。 
 と言うより、そんな幻獣は人前に姿を現す事すら稀であり、さらに街道で人や荷車を襲うなど、前代未聞と言ってもよかった。
 グレイスの直属の百人隊が、そのグリフォン討伐の任を帯び、ボラン峠に出立したのが二週間前。
 そして、一週間前に峠と街道を封鎖し、およそ四日間にわたって繰り広げられた大激戦は、完膚なきまでの騎士団の敗北で幕を閉じた。
 軍勢はその半数までが殺され、指揮官である彼が、片足を食い千切られながらも残兵をまとめ、撤退して来たのだという。
 ぽつりぽつりと、言い訳のように、そんな話をその場にいる家族に聞かせるグレイス。
 しかし、その表情は、命拾いした安堵ではなく、幻獣への恐怖でもなく、戦に負けた悔しさのみに覆われていた。
 ヘレンは、そんな兄の頬を、張り飛ばしてやりたくて仕方が無かった。


23:グリフォンとオレ。
07/02/06 22:19:59 44SRSiWe

 グレイス=クリムゾンの名は高名だ。
 王宮近衛騎士団の百人長の一人として、また、名門貴族・クリムゾン家の嫡男として、そして、我が国で十指に数え上げられる練達の剣士の一人として。

 いつもは、彼の身を心配する妹の胸のうちなど、まるで鼻にもかけず、国内国外を問わずに戦場を飛び回る。そんな兄。
 いい加減落ち着いてクリムゾンの家を継げ、という父の意見を、天下は未だ定かならず。今は誰もが陛下のために剣を取らねばならない時代だと一蹴し、休暇の時でも、騎士団の詰め所から滅多に帰ってこない。そんな兄。
 例え、屋敷に帰ってきても、父や母への挨拶もそこそこに、すぐに離れの道場で独り、夜中まで剣の練習にこもってしまう。そんな兄。
 でも、妹たちに対しては、この世の誰よりも優しい。そんな兄。
 ヘレンは、そんな兄が大好きだった。
 恐らく、その想いは、兄に対する妹の思慕という範疇からは、とっくの昔にはみ出してしまっているはずだった。

「だから! だから言うたのじゃ! グレイス!! 由緒あるクリムゾン家の後継ぎが、調子に乗って戦場などに飛び出して…いつかはこうなると、この母が口が酸っぱくなるまで言うていたであろうが!!」
 半分泣き喚きながら母が叫ぶ。
「落ち着いてよ母上様。そんなに耳元で叫ばなくとも聞こえてるよ」
 末の妹のマリアが、母を慰めながらもたしなめる。
「まあな」
 彼も、苦笑しながら、目線でマリアに礼を言う。
 だが、マリアは、そんな気安い兄の視線を再度跳ね返した。
「でもね、兄上様、父上様も母上様も姉上様も、そして当然ボクだって、みんなみんな兄上様のことが心配なんだよ。だからもう、これを機に騎士団を引退して、大人しく家を継ぐべきだよ」
 マリアは、呼び方こそ丁寧だが、口の利き方は基本的にタメ口だ。
 だが、その物言いは、ヒステリックな母とは違い、聞き手に違和感を感じさせない冷静さがある。彼女は父であるクリムゾン侯爵でさえ、一目を置く利発な少女だった。
 ちなみにヘレンは、この妹にチェスで勝った事が無い。
 しかし兄は、そんな末妹の眼光を、更に弾き返した。

「それは、できない」


24:グリフォンとオレ。
07/02/06 22:21:53 44SRSiWe

「グレイス!!」
「お兄様っ!!」
「兄上様っ!!」
 ヘレンと母、そしてマリアが同時に叫ぶ。
 しかし、彼の表情は頑なだった。

「アイツはオレの獲物だ。誰にも渡しゃしねえ」
「何を言ってるのお兄様っ!? エモノも何も、エサにされそうになったのはお兄様の方じゃないの!?」
「大体、片足食い千切られて、騎士も何もないだろう!? もう馬にだって乗れないじゃないかっ!?」
「何故じゃグレイス!? 何故そこまで己の命を粗末にするのじゃ!? この母にあてつけたい事でもあると申すかっ!?」
 口々に叫ぶ女たちの声を聞き流し、彼はヘレンに振り向いた。
「ヘレン」
「何よっ!」
「お前、十年前の事、覚えてるか?」
「十年前?」
「これだよ」

 そう言って、振り向いた彼の横顔には、凄まじいまでの傷痕があった。
 そう、グレイスの左の横顔は、一面の火傷に覆われている。
 その火傷さえなければ、母親似の彼の容貌は、美形と言ってもいいほどに整ったものであり、雪のように白い肌が、その容色を一層見栄えするものに仕上げるはずなのだが、この火傷のせいで、その全てが逆効果となっていた。
 その容貌が端整であるほどに、その肌が色白であるほどに、その傷の醜さは倍増され、初めてグレイスと顔を合わせる者たちは、その大半が眼を逸らす。
 無論、彼は、そんな事を毛ほども気にしていないようではある。
 何故なら、この傷こそは、十年前にヘレンを庇って出来た傷なのだから。
 傷を気にする素振りを見せるほどに、妹の小さな胸の内を苦しめる事になる。彼は兄として、それくらいの配慮は出来る男だった。
 だから、彼の口から傷の事が語られる事は、これまで絶えてなかったはずだった。
 その彼が……。


25:グリフォンとオレ。
07/02/06 22:24:39 44SRSiWe

「十年前、オレのツラをお化けにしてくれた、あの化物……アイツだよ。あのグリフォンこそが、あの時の化物だ。間違いねえ」
「お兄様……」
「ようやく逢えたんだよ、長年待ち焦がれた“恋人”にな。……くくくく、最初の一目で分かったよ。ああ、コイツだ。こんなところにいやがったんだ、ってな」
「でも、でも兄上様―」
「あのクソ野郎を仕留めるのは、天下に唯一人、このグレイス=クリムゾンを置いて、他にゃアいねえ……!」
 淡々とそう語るグレイス。
 全身包帯だらけの半裸の肉体。しかも片足を食い千切られたその重傷。
 しかし、その爛々たる輝きを帯びた眼光。さらに、宿敵との再会を喜ぶ歓喜交じりの絶大なる闘志は、彼が国内屈指の戦士である事を、家族たちに思い出させるのに充分だった。

「幸い、持ってかれたのは足一本だ。しかも膝の関節は無事だから、後は義足をつけりゃあ何とかなる。母上、お手数ですが、早速に職人を手配して頂けませんか?」
「……グレイス、お前」
 母は絶句した。
 同じく、妹たちも。
 しかし、ヘレンはもう理解していた。
(あの眼をした時のお兄様は、もう何を言っても聞いてもらえない……)
 兄の、あの歓喜に震える眼差しは、家族と共に過ごすどんな瞬間でも出現する事は無い。
 例外があるとすれば、それは戦場の思い出話をする時だけ。
 いつも自分たち妹を、いたわりと優しさに満ちた眼で見つめる彼の瞳が、本当の意味で輝くのは、ヘレンたちが決して行く事の出来ない、戦場の空気と記憶に包まれている瞬間だけなのだ。
 常に兄のことを考え、兄の身を心配しているヘレンにとって、それは何という残酷な事実であったろうか。

「……そんなに、死にたいのですか……?」
「ヘレン?」
「お姉様?」
 ぽたり、ぽたり、―。
 ヘレンは哀しかった。ただ無性に哀しかった。
 涙が零れ落ちるのも構わずに兄を睨みつける。
「おい、ヘレン、何で…お前が泣いてんだよ…?」
「そんなに、そんなに、死にたいんなら! もう死んじゃえバカァァ!!」
「オイ、待てって! 待てよヘレン!!」
 しかし、そんな兄の声も届かず、彼女はグレイスの部屋を飛び出していた。


26:グリフォンとオレ。
07/02/06 22:28:17 44SRSiWe

 そのまま階下へ駆け下り、呆気に取られる侍女やメイドたちを突き飛ばし、彼女は中庭の雑木林まで走り続けた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、……ぐすっ! んっ、うっ、ううっ……」
 涙は止まらなかった。
 取り敢えずハンカチで顔を拭う。

 兄には、自分の心など分からない。いや、理解しようとすらしていない。
 彼が出征している間、この家で独り、兄を待つ自分がどれほど不安と寂寥に心痛めていることか。そして、ようやく半死半生の身で帰ってきたと思ったら、またもや心を戦場に飛ばし、自分たちの想いなど、まるで歯牙にかけない。
「おにいさま……」
 ヘレンには、もう分かっていた。
 兄―グレイスにとって戦以外の事など、まるで眼中に無いのだという事が。
 無論、ヘレンが彼の妹である以上、兄と結ばれる事など、法律上でも道徳上でも有り得る事ではない。
 それはいい。その覚悟はもう出来ている。
 しかし、それ以上に、兄は自分の事など、口うるさい家族の一人くらいにしか認識していない。
 その事実が、ヘレンの心を何より哀しませるのだ。

 気が付いた時には、小雨が降っていた。
 ヘレンは、しかし屋敷に帰る気にはなれなかった。
 少し歩けば、池に出る。
 そこには東屋があり、ちょっと座れるようなベンチもある。
 そこまで移動しよう。
 そう思って足を進めた彼女は、その瞬間、自分の背後に気配を感じた。
「誰っ!?」
 反射的に振り向いたその先に立っていたのは、腰まで伸びた金髪の女だった。

「そんなにアニキが欲しいのかい?」
「なっ、何を言い出すのっ!?」
「しっかり、見させてもらったよ。一部始終をね」
「なっ、何ですってぇ!?」
 女にそう言われて、ヘレンは思わず耳まで真っ赤になる。
「そうだよねえ。泣くほど恋しい男でも、そいつが実のアニキだって事なら、話は別だ。人としては諦めるしかない。人としてはねえ……」
 女はそう言いながら、輝くようなプラチナブロンドをかきあげる。
 前髪の下から現れた顔は、彼女がこれまでの生涯で見た事が無いほどの美女だった。
「あなた、誰なの……?」
 少なくとも、この屋敷に仕える女ではない。しかし、いくら怪しい女だといっても、ただそれだけで取り乱し、大声をあげて騒ぐつもりは無い。
 そんな事はヘレンの気位が許さなかった。
「お答えなさい。あなたは一体誰なの?」
「そんな事を訊いてどうするんだい?」
「ここは、我がクリムゾン侯爵家の敷地内です。素姓の知れない者がうろうろしていい場所ではありません。さっきの無礼は許してあげます。さっさとここから立ち去りなさい!!」
「はっはっはっはっはっ! すごいすごい、さっきまでの恋する女が、まるで別人だよ!」
「何が可笑しいのです!!」
 恥辱に顔を赤らめさせながらヘレンが叫ぶ。
「安心しなよ、お嬢ちゃん。あたしゃ、あんたの敵じゃない。むしろ味方さ。恐らくはこの世でたった一人のねぇ」

―味方?
「どういう意味? 味方って、一体あなた何を言ってるの……?」
「だァから、あんたの愛しのアニキ様との想いを叶えてやるって言ってるのさ。このあたしがねぇ」
 なっ……なんですってぇ……!!??
 女の言い出した内容の、あまりの無茶苦茶さに、唖然としてしまう。
 そんなヘレンを横目に見ながら、女はニヤリと笑った。
「あたしの名はハブロー。ハブロー=アイアコス。覚えておいで」


27:グリフォンとオレ。
07/02/06 22:31:20 44SRSiWe
今回はここまでです。

28:名無しさん@ピンキー
07/02/06 23:39:44 RIVIkvRt
時系列では前回の方が後?童貞騎士が主人公なのか。

29:トライデント ◆mxSuEoo52c
07/02/07 00:48:31 /bRfbNbE
では投下致します

30:水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c
07/02/07 00:50:49 /bRfbNbE
 第20話『復讐の音羽』

 それから、数日後。
 俺は体調を元通りに治して、その病院を退院することにした。
 あの後、すぐにナースコールで看護士さん達を呼び、音羽を連行して病室から追い出してもらった。
ついでに俺は音羽を精神科で診察するように看護士達に大げさに強調して言っておいた。
俺が入院している間に誰も見舞いにやって来なかった事は病院の厳重な警備の元で誰一人も近付けさせなかったことだろうか。
 音羽の過去、いや、おれに対する復讐宣言については何とも思ってもいない。

 よく考えてくれ。
 子供が書いた連帯保証人の書類が法的に有効になるはずがないだろうが。
法的に未成年が保護者で無断で結んだ契約は後々と撤廃することができるとどこぞの法律特集番組でやっていたような気がする。
ゆえに俺と音羽には何の責任もないはずである。 
 音羽の謀略に乗せられる程、俺の頭はバカではない。
 復讐は口実であり、俺に近付くための手段である。
それを武器にして、音羽は俺に弱みを握っているつもりである。いや、同情を誘っているのであろう。
 両親を失ってしまったのは子供の頃の過ちのせい。その責任は音羽と俺。

双方に罪悪感を強く抱かせるのが音羽の策だろう。復讐という言葉を借りて、
音羽は今まで以上に俺の心の奥深くまで土足で入り込んでくる。

 これは前兆だ。

 今、現在で問題になっている嫉妬や修羅場の果てに発狂する女性たちの精神の異常はおかしな言動や行動から始まる。
刺殺事件、バラバラ殺人事件、空鍋事件、鮮血ENDの加害者である女性たちは寝取られた男性の事を
真剣に愛していたのだろう。だが、結局は想いが大好きな人に届かないと知ると、愛は憎悪へと変わる。
いや、殺人者達にとっては憎悪ではなくて、これも愛情表現の一つなのかもしれない。
愛する男性はともかく、寝取った同性に対しては何度でも殺したい憎悪の炎に燃えている。

 このような、社会現象になっている女性たちの精神的な病の総称を政府は重い腰を上げて正式に発表する事にした。

 『ヤンデレ症候群』と。

 その病に侵された女性たちは従来の医学でも治療は難しく、一度発症してしまうと二度と元に戻ることができない。
想っている男性をストーキングし、ただ女の子と喋っているだけで嫉妬し、振り向いてくれないと理解すると凶器を振り落として殺す。
それを回避する事はまず難しい。ただ、発症しない事を祈るだけであった。

31:水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c
07/02/07 00:52:57 /bRfbNbE
 そして、音羽はその病に侵されてしまったのではないかと。
 正常な思考が働いているならば、昨日みたいに何の伏線もなく復讐を宣言するような馬鹿な真似はしない。
最後に虚ろな瞳で狂気な笑みを浮かべた姿を見て、俺は確信を持って言えることができよう。
彼女はヤンデレ症候群にかかってしまったと。
 だが、面白い。
 想い人である俺は最後に殺害されるという確定された未来が約束されているというのに不思議と笑みを零してしまう。
殺される人間と狩る者。互いが狐の騙し合いを行い、白熱したやり取りが待っている。
 これだけのスリルをゲーセンやつまらない学校生活で味わえることができるのか。
否。この国は危険だという可能性だけで何でもかんでも排除してしまった。
人間は争い勝つ事で進歩が生まれ、進化することができるのだ。


 いいだろう。

 音羽が愛情を求めて俺に近付いてくるならば、俺はそれを受け止めてやろう。


そして、俺がその上を行く。


32:水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c
07/02/07 00:56:00 /bRfbNbE

1ヵ月ぶりの学校は中間テストや文化祭と言った学生にとっては大行事が控えているせいか、
他の生徒たちが忙しく駆け回っているようだ。俺は入院していたおかげで文化祭の行事の役割は特に決まっていない。
休んでいた間のノートを友達に借りて必死に自分のノートに移す作業に追われているので、誰かを手伝う余裕がない。
その役割は俺の精神的負担を減らすにはちょうど良かったのだ。
 昼休みをお知らせるチャイムが鳴ると生徒たちは慌ただしく動きだす。
購買へと出掛ける生徒の他に、文化祭の作業をする生徒がいるからだ。
俺は昼食を食べずにノートを移そうとしたが、背中を優しく叩かれたので後ろを振り返ると。
 音羽がそこにいた。

「月ちゃん。月ちゃん。お昼一緒に食べようよ。あの五月蝿い小姑どもが来る前に」
「いや、俺は……」
「私は月ちゃんのせいで両親が自殺……はぐぅ」
 クラスメイト達の前で音羽の両親が自殺した原因が俺にあると叫ばれる前に俺は音羽の口を両手で塞いだ。
「わかった。一緒に食べるから、過去の話を教室で語らないでくれ。頼むからっ!!」
「えへへ。じゃあ、誰も邪魔されない屋上で食べましょうねっ!! うふふっ。今日も頑張って早起きして作ってきたんだよ」

 俺は音羽の手を握って誘うようにせっせと歩く。
音羽が何かを言い出す前に教室から連れ出して、慌ただしく屋上へと向かった。
 屋上に吹く風はとても心地よくて気持ちいいのだが、音羽が作ってきたお弁当の中身を見ただけで外の景色を楽しみながら
食べる余裕は一気に消え失せた。存外、以前に作ってきた稲荷寿司なのだが、更にあれよりも進化を続けていた。
審査員花山田忠夫を一発でノックアウトした程の破壊力を持つ稲荷寿司に一般人だと思っている俺の胃袋ではどう太刀打ちできようか。

「月ちゃん。たくさんあるから一杯食べてよね」

 音羽はせかすように稲荷寿司を箸に挟んで天使のような笑みを浮かべながら迫ってくるのだ。
俺は背中に冷汗を感じながら、覚悟を決める。
 口を入れた稲荷寿司の味は水澄姉妹に匹敵する強烈な不味さと苦みの二重の味に襲われる。
まるで殺虫剤のスプレーを一晩注ぎ込んだような感じがするのだ。
更に口の中を無理矢理飲み込んでしまうと体が異物を追い出すために吐き気が襲ってくる。
胃液と食べた稲荷寿司が喉の所まで逆流しそうになったが、俺は何とか堪えた。

「月ちゃん。どうしたの? 顔色が悪いよ」
「お、音羽さん。何か俺に恨みとかあります?」
「恨みはないけど。月ちゃんに復讐する気はあるよ」
 この稲荷寿司を食べさせる辺りが復讐じゃないのかと問い詰めたくなったが、今は下手に体を動かすと吐いてしまうのでやめた。
「と、とりあえず。今は病み上がりだから。稲荷寿司はもういいわ。ちょっとだけ休ませてくれたら調子も元に戻るから」
「こ~ん。病み上がりだから仕方ないよね。月ちゃんが元気になったら、
私が作った稲荷寿司をいっぱ~~~~い食べさせてあげることにするよ」
「あっははっ……それは楽しみに待ってるよ」
 待っているはずはないが。

33:水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c
07/02/07 00:58:22 /bRfbNbE
 痛めた胃袋を手で抑えて、俺は落下阻止にあるフェンスに背を向けて預けた。音羽は傍で笑顔を絶やさずに居てくれている。
 だから、病院で宣言した復讐の真意をふと無意識に尋ねた。

「あのさ。病院で言った俺に復讐する宣言はあれは本当なのか?」
「本当だよ」
 躊躇なく病院で見せた虚ろな瞳で俺を真っすぐに見つめた。
それはヤンデレ症候群の前触れかはそっち系の専門家ではないのでよくわからないが。
目の前にいる音羽が普通じゃないってことは確かだ。

「月ちゃんが悪いんだよ」
 音羽は立ち上がって、くるりと一回転してスカートをなびかせる。
揺れる髪に見えそうになったパンチラに見惚れることはないが、何かの演出らしき物を感じた。

「月ちゃんが姉妹に追われているからと言って、私の家を逃げ込む場所にするのが間違いだったんだもん。
私は両親が自殺してからずっとずっと一人ぼっちだった。
多額の借金を背負って借金取りが来るたびに夜逃げしていたから、どの土地も馴染むことがなかったの。
でも、お父さんとお母さんが居てくれたから私は何とか笑ってこれた。本当にどんな辛い目に遭っても平気だったんだよ。
でもね。私が少ないお小遣いを貯めたお金で二人の結婚記念日のためにプレゼントを買って、家に帰ったら。
 お父さんとお母さんは首吊り自殺していたんだよ。
 あっはっははっはははははっは。笑うでしょ? 笑いたくなるでしょう?」

 狂気の笑みを浮かべて、音羽は顔を歪ませて笑う。

「でもね……本当に独りぼっちになっちゃうと私は毎日毎日が寂しかった。
一人で生活をしているとさ。昔、私が仲良くしていた男の子を思い出したの。
その子は私よりも不幸で両親を交通事故で亡くした男の子。
私が子供だった頃に大好きだった男の子が今は何をやっているのか知りたくて、この土地に引っ越して来たの」

「それでうちの学園に転校してきたのか」
「うん」
 と、音羽は首を下に向けて頷いた。

34:水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c
07/02/07 01:02:09 /bRfbNbE
「思い出したのは男の子の事だけじゃなくて。私と月ちゃんにとっては大切な約束の事を思い出したの。
そう、その約束を思い出しただけで私の胸に熱くなったんだよ。
 約束したよね?
 もし、この広い世界で再会する事ができたなら、私をお嫁さんにもらってくれるって」

問い詰めか?
 それは音羽と再会する前に見た夢の一部分に俺と音羽の間に約束した事を覚えていたが、
具体的な内容までは思い出すことができなかったが。その内容とは子供らしい約束だったとは。

「月ちゃんと共同生活を送って……。私は月ちゃんがいるだけで寂しさを忘れる事ができる。
月ちゃんが傍にいれば幸せな気分になれる。
もう、独りぼっちでご飯を食べるなんて嫌。誰かに朝起きたらおはよう、寝るときにはお休みなさいって言って欲しいよっっ!!」

 音羽が温もりを求めるかのように抱きついてきた。俺は拒絶の反応を見せることなく、ただ頭を優しく撫でていた。
 覚えがあるのだ。独りぼっちになった恐怖は今でも忘れる事ができない。
両親が交通事故になった出来事は俺の立派なトラウマになっている。
だから、音羽の独りぼっちの孤独に耐えられないのは理解できるのだ。

「それが俺に復讐する理由なのか……」
「うん。そうだよ」
 気持ち良さそうに撫でられている音羽が幸せそうな恍惚な表情を浮かべていた。
俺に甘えるように頬を擦り付けている。
 この弱々しい音羽を俺は奈落に突き落とさなきゃならないんだ。

 ヤンデレ症候群の発症した女性に脅されて付き合った男性は自ら破滅の道を選択する。
激しい独占欲を持っている発症者の女の子に随時メールや電話などの連絡を求められる。
一緒にいる事を強制され、外に出ている時に他の女の子をちらっと見るだけで想像できない拷問が待っているのだ。
更に周囲にも迷惑がかかる。俺みたいに家族に女の子がいるとなると憎悪の対象がそちらに行く可能性がある。
 だから、乱暴に音羽の抱き締めている腕を乱暴に振りほどいた。
胃の中身が吐き出すの衝撃が襲ってくるが気にしている余裕がない。
ここは断固と厳しい態度を取らないと俺が後々に火の粉を被ることになる。

「ど、ど、ど、どうして……?」
 まるで信じられないように音羽は目の瞳孔をパチパチと開かせている。
依存していた相手から一方的に突き離された現実に彼女自身の思考能力が追いついていない。

「それは恋じゃないだろ? そんな大昔に約束した事なんて現在に関係ないだろ?」
「つ、つ、つ、月ちゃん……?」

「だから、約束を破棄させてもらう……。俺に復讐したいなら勝手にやってくれ」


「ま、待ってよ。つ、月ちゃん。幼い頃にした約束を勝手に破棄すると大変な事になるんだよ。
そ、そう、私達の元に魔物がやってくるんだよ。私達を引き裂こうと魔物が来るの。
昔みたいに一緒に協力しないと魔物は倒せないんだよ。
だから、一緒にいようよ。そうしないと魔物に喰い殺されるんだからっっっ!!」


「さようなら」

 音羽の悲痛な叫びを無視して、俺は屋上に降りる階段を目指していた。
 もう、茶番に付き合えないから。

35:トライデント ◆mxSuEoo52c
07/02/07 01:06:02 /bRfbNbE
黒音羽全開・・
月の明日は? 明日を待てw



とりあえず
23話まで毎日更新頑張ってみようと思います
まあ、今現在書いているお話がすでに30話まで書き上げているので
そろそろ、消化しないといけませんからねw



36:名無しさん@ピンキー
07/02/07 01:07:44 s1ZbJ0Ny
いつもいつもGJです

別に他の人急かすつもり無いけど、
筆の速い神はありがたい・・・・・

37:名無しさん@ピンキー
07/02/07 01:10:00 q3MVWt6i
魔物の元ネタって・・

38:名無しさん@ピンキー
07/02/07 01:10:34 dgD5ll7v
産みの苦しみってのも分かってあげないといけないぜ、遅くても投下してくれるだけでGJだ
それにしても月に死亡フラグが…

39: ◆35uDNt/Pmw
07/02/07 01:15:26 9EelYzsI
負けじと、投下ー。


40:君という華 2.3 ◆35uDNt/Pmw
07/02/07 01:17:53 9EelYzsI
 保健室のベットの上で、わたしは湧き上がる殺意を必死に抑えていた。
 殴られた頬が痛い。口の中が、鉄の味に染まる。せっかく、先輩の汁の味にまみれていたというのに。
 最悪です。折角今日の夜は眠れなくなりそう、と考えていたのに!
 しかし、ざまあみろ、です。あの雌豚の醜い顔を見た先輩の表情は、何とも形容しがたいものでした。侮蔑の色に染まっている先輩の瞳に射抜かれて死ねばいいんです。
 しかし、本当に腹立たしい。先輩に殴られていいのは、このわたしだけだと言うのに。あのアバズレは、一体どれだけわたしに精神的苦痛を当てれば気が済むのでしょう。
 わたしを殴っていいのは先輩だけ。先輩が殴っていいのはわたしだけ。これは決定事項だというのに。あの雌豚め。忌々しい。
 先輩も先輩です。あの雌豚は全身細菌まみれなのですよ? 先輩の清らかな手が雑菌にまみれては、一大事です。今すぐにでもアルコール消毒をしてほしいです。
 と、物思いに耽っていると、突然眼前に女性の顔が現れました。というか、顔近いです。
「やあやあ。調子はどうだい?」
「調子は最高に最低です、佐々木先生」
 保健室の主である、佐々木 希沙々先生は、かけている黒縁のメガネの奥に潜ませている猫の瞳に酷似した目で、わたしの瞳をとらえる。
 にこり、と言うよりはにやり、と妖艶に微笑む佐々木先生。本当、この先生は猫に似ています。少し、苦手です。
 べろり、と長い舌を自分の唇に這わせる先生。なんでしょう。この獲物を見つけた豹のような目は。と言うか、先生との顔が本当に近いです。何故か妙に息が荒いです先生。
「ふふふっ。椎名ちゃんは、本当美味しそうだねぇ」
「あい?」
「やあやあ。独り言だよ。ふふ。あー先生我慢できそうにないにゃー」
 何でしょう、この先生本当に職員で大丈夫なのでしょうか? そう言えば、やけに佐々木先生のファンの女子が多い気がしていましたが……。
 いや、変な考えは止めておきましょう。わたしの体は先輩だけのものです。何があろうと汚してはいけません。汚していいのは、もちろん先輩だけ。
 いえ、別に先生が同性愛者かどうかなんて、たいした問題ではありません。むしろ、先輩……と言うか男に興味がないので非常に好感触です。どこぞの慰安婦とは違います。さすが先生です。
 と、話が逸れました。そもそも、何の話をしていたんでしたっけ。ああそうだ、あの忌々しい精液搾取豚の事でした。
 ああ、また苛立ちが蘇ります。こう言う時は、先ほど嗅ぎに嗅いだ先輩の匂いで自慰に耽るのが最適です。先輩大好き。ふふ。
「先生、すいません。少しトイレに行ってもいいですか?」
「うん? やあやあ。オナヌーでもするのかな?」
 一体この保険医の脳内構造はどうなっているのでしょう。恐らくピンク色に染まっている事に間違い無さそうです。
 しかしわたしも隠すのが面倒ですし、ここで嘘をついてやけに長いトイレ時間に不信感を持たれるのもなんなので。
「そうです。大好き、いえ愛している先輩の匂いで精根尽き果てるまで自慰に耽りたい所存なのです」
「おおぅ! 随分直球で返してきたね。なら先生はオナニングしている椎名タンをオカズにオナヌーしてもいいかな?」
「ダメです」
「何故ッ!? 生殺しはいけないよ! 現に先生すでに濡れ濡れなんだよ! 今日はノーパン・デイだからスカートがぐちょぐちょなんですけど!ハァハァしたいんですけど!」
 本当、校長の人事能力には疑問の念を持たざるおえません。
「なんなら先生としよう! そうだそれがいいよ! 椎名タンもスッキリ出来るし、先生もスッキリ出来るよ! 我ながらナイスアイディア! 希沙々グッジョブ!」
「ダメです。わたしの体を好きにしていいのは先輩だけですので」
「SHIT! でも、今先生とヤると、おっぱい大きくなるよ?」
「先輩はわたしの貧乳に射精するのに病みつきなので、遠慮しておきます」
「じゃあパンツ頂戴」
「……」
「やあやあ。そんな人を哀れむような目で見ないでおくれ。感じちゃうじゃないか」
「では、失礼します」
 このままだと、本格的に食べられてしまいそうなので、わたしは足早に保健室を出るとトイレへと向かう。
 ……何やら保健室から変な声が聞こえたのは、多分気のせいでしょう。


41:君という華 2.3 ◆35uDNt/Pmw
07/02/07 01:18:32 9EelYzsI
 今は六時間目の途中の為、トイレには誰もいない。念のために一番奥の個室に入ると、わたしは鍵を閉める。急いで下着を脱ぐと、すでに濡れている。
 鼻の奥で香る先輩の匂い。体育後の汗の匂い。何か、獣を連想させる、匂い。
 ふと、性交渉を終えた時の事が脳裏をよぎる。先輩の匂いを一番近くで嗅げる。それを想像しただけで、軽くイってしまいます。
 ああ、先輩。わたしを汚してください。その白濁色の先輩の液体を、わたしの中に注ぎこんでください。先輩の精液で、わたしを溺死させてください。
 自分の右手の中指を、濡れに濡れている秘部めがけ、一気につっこむ。背筋を、甘い痺れが駆け巡る。膝がガクガクと震え、腰が淫乱に蠢く。
「あ、は、先輩、先輩先輩先輩ッ! あっ! や、先輩、音、出しちゃ、や、は、ん、んぅ!」
 舌をはしたなく突き出し、まるで何かを欲すかのように唾液で唇は濡れている。口の端からは止め処無く唾液が溢れ返る。気持ちよすぎて、宙に浮いているような錯覚を起す。
 乳首は充血し、硬くなっている。擦れるたび、先輩に愛撫されているような感覚に陥り、絶頂を迎えてしまいます。もっと壊して下さい、先輩。
「にゃっ! はぅ、あ、あ、先輩、せん、あ、はっ、先輩、出、あうぁ、出ちゃう、ダ、メッ! あ、あ、我慢でき、あ、やぁ、んんっ! あぅっ!」
 勢い良く潮を吹く。ビシャビシャと、まるで滝のように何度も何度も。その度に訪れる快楽の津波に、わたしは体を震わせる。
 それでも、指のピストン運動は止められない。もはや、わたしの意思は関係なく、ひたすらに快楽を貪る指。その快楽に、わたしは身も心も支配されてしまいます。
 舌から滴り落ちる唾液が、制服を濡らす。もはや胸の辺りは唾液でベトベトに濡れています。後の事なんて、考える余裕がない。
 奥へ。さらに奥へ。指が奥深くを求める。先輩の、性器も、わたしの最奥部を求めて、ここを何度も擦り上げてくれるのでしょうか。
 先輩なら、何度でも、好きなだけ弄ってください。わたしの、その最奥部にある子宮に、直に精液を注ぎ込んでください。
 注ぎこまれる感触に、わたしは何度も絶頂を迎えるのでしょう。先輩、愛しています、先輩。
 わたしの子宮も卵子も口内も胃も肛門も穴と言う穴、性器と言う性器、全てを先輩に捧げたい。先輩と、全てを溶かして、交わりたいのです。
 この、成長する素振りを見せない肢体を、好きなように、乱暴に扱ってください。先輩のその手で、わたしの首に、先輩のものである証しを、嵌めてください。
 先輩。先輩先輩。全身を、先輩の匂いで犯してください。わたしの脳髄を、先輩の匂いで支配してください。わたしの子宮を、先輩の精液で満たしてください。
 そうでなければ、わたしの体は、永遠に完成しないのです。満足しえないのです。生きる価値が、見出せないのです。
 この身を焦がして。先輩の物だと言う烙印を刻んで。わたしは、葵 椎名は、先輩の犬だとわたしの耳元で囁いてください。
 それこそが、喜び。それこそが、絶頂。それこそが、世界の完結。
 ああ! ああ! 愛しています、先輩。
「は、あ、ま、た、イク……あは、気持ち、いいれふ、せんぱい、あぅ、あ、あ、あっあっ! や、は、んぅ!」
 最早何度目の絶頂か分からない。腕は自ら吹いた潮で濡れ、指はすでにふやけている。目の前が、霞んできている。こんなにイったのは、初めてです。
 鼻孔をくすぐる、先輩の匂いが強くなった気がして、わたしはまただらしなく愛液でトイレの床を汚す。先輩は、そんなわたしを笑顔で叱ってくれている。
『愛しているよ。ずっと、俺の犬として、犯してあげるから』
 視界に現れた先輩の台詞に、わたしは今日一番の絶頂を迎えた。


42: ◆35uDNt/Pmw
07/02/07 01:20:15 9EelYzsI
取り合えずここまで。残りは明日にでも。しかし、オナヌー書くのって難しいな。
あと、こんな変態な後輩が欲しいです。


43:名無しさん@ピンキー
07/02/07 01:20:38 ds3hJxeI
>>42
間髪いれずにGJ!!

44:名無しさん@ピンキー
07/02/07 01:45:36 o6QAsC7v
>>42GJ!寝る前なのに勃起が収まらねぇぜ!

45:名無しさん@ピンキー
07/02/07 02:00:14 DA3O/MB5
しかしまた変人が。正直同性愛ネタはひくんだよな。

46:名無しさん@ピンキー
07/02/07 02:08:28 SIaPxSzc
妄想にふける女の子ほど萌えるものはないなw

47:名無しさん@ピンキー
07/02/07 02:20:47 B7XL5P3x
GJ!Mっ子後輩かわいいよ後輩
>>27
恋敵は妹と母なのか、それとも逆に味方と言った女なのか注目
>>35
月ちゃんのこのGJな行動で音羽のヤンデレ症候群が悪化するな

48:名無しさん@ピンキー
07/02/07 07:20:10 o8BRtP1T
コレもヤンデレ症候群に掛かったのかな?

URLリンク(www.yomiuri.co.jp)



49:名無しさん@ピンキー
07/02/07 07:37:41 E3OXmo6u
ふと思った
ヤンデレ症候群で男性が減る→つまり夫婦の数が減り少子化に拍車がかかる→政府は緊急の措置として一夫多妻制を導入
まぁそれが吉と出るか凶と出るかはこのスレ的に色々とアレですがw

50:名無しさん@ピンキー
07/02/07 07:38:32 jMPxqadT
>>49
修羅場発生率増加w

51:名無しさん@ピンキー
07/02/07 08:10:24 1LMqrf9a
トライデント氏の作品はやってることや言ってることはいいんだけど描写とか主人公の思考とかがいちいち大げさで萎える

52:名無しさん@ピンキー
07/02/07 08:53:27 2F1C2Xgb
それがいい

53:名無しさん@ピンキー
07/02/07 09:33:42 82TUQiVJ
君という華を読むと胸が苦しくなるから困る。
つまり俺が言いたい事はもうらめぇ~!ってことでGJってことだ!!!(意味不

54:名無しさん@ピンキー
07/02/07 10:44:26 kSJEnBGF
>>51
同意だ

確かに日本語がおかしいトライデント氏の最近の投稿は
さすがに目を瞑ることができない程に酷くなってきている

他の神々様は嫉妬と修羅場を書いているのに
彼一人だけ何か違うものを書いているような気がする

最近の展開も先が読めるし、どうでもいい描写や
主人公の脳内妄言がうざくなっていることは確かだよ

スレの住人ですらも誰もトライデント氏に感想を書いてないのが
その証拠だw

誰も感想を1レスも書かなかった時はちょっと吹いたけどなw

いい加減にこいつ追放しようぜ

55:名無しさん@ピンキー
07/02/07 10:54:18 s1ZbJ0Ny
また現れたよ

56:名無しさん@ピンキー
07/02/07 10:55:32 UxFDI7ON
>>55
NG指定で頼むぜ。

57:名無しさん@ピンキー
07/02/07 10:56:03 OP6p7dqk
>>32
「私は月ちゃんのせいで両親が自殺……」

のセリフは、正直ちょっと不謹慎だと思った。修羅場どうこう以前に、人として。
シリアス調の物語ならともかくコメディ系の物語だし。主人公もそのことを特に気にしてないし。
「雪桜~」の時も似たようなテーマがあったけど、その時は心理描写とかしっかりしてたから、今回は特に感じた。
せっかう全体的にGJなのだから、そのあたりもう少し考えてほしいと思う。


もちろん54に同意する気はこれっぽっちもないですけど。

58:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:00:12 +CQF54lV
トライデント氏の作品があまり面白くないのは同意だけど、追放するほどのことではない。
氏の作品が異質なのはヤンデレにおけるデレの比重が多すぎてヤン(病ん)が
ただのコミカルな性格になってしまってることと、別作品からの引用・パロディが
多すぎてそちらの描写に重点が置かれてしまってるから。
でも>>1のテンプレに浅いヤキモチからと書いてある以上、スレの趣旨にはあっているため
嫌いな人は見ないだけでいい。

59:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:08:20 kSJEnBGF
>>58も追放しろと言っているじゃないか・・wwww

つまらない作品に無駄なレスを消費させる必要はないだろ
かろうじて、スレの趣旨にあっている程度ではいてもいなくても同じ


ようするにトライデントに投稿されるのは皆迷惑だと思っているんだろ
いい加減にこんな便所の落書きの住人どもに相手してもらえると思ったら
大間違いだぞwwwwwww

他の神々もびしびしとこれからはきつく行くからな
覚悟をしておけよ

60:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:14:13 kSJEnBGF
>>でも>>1のテンプレに浅いヤキモチからと書いてある以上、スレの趣旨にはあっているため
>>嫌いな人は見ないだけでいい。

そうだな
>1のテンプレに浅いヤキモチの部分を削除すれば
トライデントはここに投稿することができない
何故なら、スレ外になるからなw

安心しろお前ら
嫉妬スレ住人代表として俺が次スレを立てて
テンプレを排除してやります

面白くない作品は叩かれて当たり前
追放されるのは当然ですからね

61:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:14:59 +CQF54lV
>>59
誰も追放賛成とは言ってません。
あなたは無駄口叩く前に日本語の読解力を身につけましょう。

62:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:20:40 kSJEnBGF
大臣の失言でいろんな風に解釈されて過熱報道される世の中で
あなたの書き込みが悪意に取られる可能性が高いよ

客観的に見ると

あまり面白くないのは同意だけど
嫌いな人は見ないだけでいい



トライデントうざくない?

って言っている同意だぞwww

63:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:21:36 YMWjDYTz
このgdgdな流れが割と好きな俺ガイル

64:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:29:12 +CQF54lV
「追放するほどのことではない」や「スレの趣旨にはあっている」が抜けている。
悪意もなにもそうやってトリミングして主張を捻じ曲げるのは客観的とは言いません。

65:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:30:38 OP6p7dqk
>>60の書き込みがデスノのキラみたいで普通に笑った。
仮に新スレ立てたとしても末路が見えた気がして更に笑った。


66:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:33:36 kSJEnBGF
言っておくが俺は荒らしではない
>>51が大いに煽ったおかげで荒れたということを皆に認識して欲しいです
トライデント叩きは彼が成長するために必要な事だw
プロの野球選手やプロサッカー選手は地元のホームグランドで物をぶつけられたり
叩かれたりして選手の器を広げてゆくものだ。公共の場において作品を投下するならば
それなりに覚悟がある人間じゃないとこの嫉妬スレでは生きてはいけない

嫉妬スレ作家ランキングでは


トライデントは遥かに最下位を争っている

ゆえに彼が毎日更新と寝ぼけたことを書き込んでいたので
私は思いました


  身  の  程  を  知  れ    と

67:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:36:47 +CQF54lV
>>66
悪い部分を指摘せずただ追放を叫ぶあなたは立派な荒らしです。
トライデント氏のことを思うのなら「ここはこうしたほうがいい」など
改善点を指摘してあげましょう。

68:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:37:33 2F1C2Xgb
>>66
つまらない人間だね。
生きてて楽しいことないでしょ。

69:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:38:39 WctVcjsy
とりあえず、全員へ
>>3

70:名無しさん@ピンキー
07/02/07 11:58:43 5Nbuf8kE
URLリンク(up2.viploader.net)

71:名無しさん@ピンキー
07/02/07 12:16:18 8RvvmoKW
死を軽く扱うのはやめとけ。

72:名無しさん@ピンキー
07/02/07 12:33:14 kSJEnBGF
>>67
改善点を指摘だと・・
していいのか俺は厳しいからな

1・日本語がおかしい箇所が多すぎる

  小学校の国語からやり直しましょう。文章の基本的な部分からアウト


2・パロネタは禁止

  パロネタを使うというのは自分に面白い話を作る基礎能力がないと断言しているの同じです


3・話の展開が読めるのでもう少しストーリーを捻って考えましょう
  伏線を張っているつもりだが、誰もそんなとこまで覚えていない


4・ヒロイン層が薄い

  このスレの住人すらもヒロインの名前を覚えられていない=
  ヒロインの魅力が読んでいても全然通じてこない
  描写不足であり、登場人物が増える度に他のキャラクターの描写がいい加減に


5・描写力がないに等しい

  誰がどこでいつ何をするのかという基本が全く出来ていない
  主人公視点だが、キャラクター達がどこにいるのか読者側には伝わらない

6・スレの住人から嫌われている

 スレの住人と馴れ合うような態度がまずうざい。文章だけでいい
 トライデントの書き込み一つ一つが他人を不愉快にしている



以上だ

反論があるならいつでもどうぞ

俺は大歓迎だぜ

73:名無しさん@ピンキー
07/02/07 12:36:34 vNd0pMaU
山田優が弟と同居していると聞いて、キモ姉じゃないかと期待した俺は末期です。

74:名無しさん@ピンキー
07/02/07 12:36:45 p8Xp4fGq
俺はトラさんのコミカル嫉妬好きだけどな。
こういう奴らなど気にせずどんどん投下してください。
とりあえずは、マターリ仲良く修羅場はゲームかssの中で。


75:名無しさん@ピンキー
07/02/07 12:37:30 B7XL5P3x
>>3かNG指定でよろ

76:名無しさん@ピンキー
07/02/07 12:38:52 edWRT2cB
>>73
ヤベェおっきしちゃうぜ!

77:名無しさん@ピンキー
07/02/07 12:39:17 dgD5ll7v
>>73
姉ちゃんと暮らしてるだけで弟が羨ましいぜ、これで弟が修羅場を起こしてくれたら弟はこのスレの現人神

78:名無しさん@ピンキー
07/02/07 13:03:02 ENcfciEn
千の理屈より一つの感謝、俺はトライデントさん風の作品が好きです。お気にせずどんどん投下しちゃってください。


79:名無しさん@ピンキー
07/02/07 13:09:17 Q/Zb55E8
オレもトライデント氏の作品が好きだし面白いと思うので
うんこ臭い荒らしは気にしないでほしい。

80:名無しさん@ピンキー
07/02/07 13:48:48 5UmCmJ1j
よーし、釣られちゃうぞ

>>72
1.第一声がそれだといつもの荒らしと勘違いされて
 レス自体の価値をさげるからやめとけ。
 具体的にどこかを言え、違和感を覚える人が少なければスルー出来る範囲だ。
 あと5でも同じ事言ってるね、自分の書いたことくらい覚えておこう

2.これは概ね同意。元ネタがわからない人にはつまらないから。
 かと言って禁止する必要はない。

3.覚えてないのは君の記憶力の問題。
 先が読めるのは先を匂わす伏線のおかげ。

4.ヒロインに魅力を感じるかは各個人の嗜好によるから君がとやかく言うことじゃない。
 あと覚えてないのは君の記憶力のm(ry

5.統計を取ったわけではない以上「読者側に」ではなく「君に」。
 そして伝わらないのは君の読解力の問題。

6.統計を取っt(ry
 不愉快ならスルー。そういった取捨選択は2chの基本(と、釣られながら書くことじゃないがw)


自分の主観をスレ住人全員が受ける印象にすり替えすぎです、もっと頑張りましょう

81:名無しさん@ピンキー
07/02/07 14:01:16 CALHrmjR
意見は色々あるだろうが、トラ氏のような週刊誌があるからスレが維持できるという事実を忘れないほうがいい
何よりスレタイで揉めるよりマシ

82:名無しさん@ピンキー
07/02/07 14:13:19 RJwHjGcl
>>80
構うなアホ

83:名無しさん@ピンキー
07/02/07 14:20:07 Mw0ExLGu
スルーが一番だが、いつもいつものことなので、いい加減うざい。

この人って、その昔ヤンデレスレでスカトロSSを貼って荒らしてた人と同一人物なんでしょ?
二次スレの鼻つまみ者、『ググル君』とも同一人物くさい。
系統スレで一番のゴミだから、もうテンプレに要注意として挙げておいてもいいと思うんだけど。

『日本語がおかしい』『追放』と言っている人は、自分の日本語と頭の方がおかしい荒しさんです。
スルーを推奨します。

と入れておくことを提言したいのだが、どうか? どうせいつまでも粘着してるに決まってるし。
ただそのままスルーするだけでは、新規の住人に対して職人さんの名誉を守れなくなってしまう。
これならテンプレをポップアップするだけで、あとは全く構う必要がなくなる。

84:名無しさん@ピンキー
07/02/07 14:25:18 UxFDI7ON
>>83
>>3にもう書いてあるぜ

85:名無しさん@ピンキー
07/02/07 14:33:37 Mw0ExLGu
あぁいや、一般論ではなくて、『日本語クン』を名指しで荒し認定してもいい時期だと思ってさ。
>>3があったとしても、こういう流れにならざるを得ないのが口惜しいのだ。

86:名無しさん@ピンキー
07/02/07 14:42:17 qIjmD07T
おいおい荒れているな
また、トライデント氏が謹慎なんて言い出した日には
お前ら誰か責任取れよマジで

こういう事件が起きると連鎖して神々が呆れて投稿しなくなったら
このスレは終りだぞマジで

87:名無しさん@ピンキー
07/02/07 14:47:55 F94NsEMc
そんなに見たくなきゃNG指定でもすればいいじゃん。
トラ氏は気にせず投下してください。wktkしながらまってます。

88:名無しさん@ピンキー
07/02/07 14:50:01 UWn/32Xb
粘着される職人様は本当に気の毒だし
何もしてあげられないのが申し訳なくて歯痒いけど
2chじゃこうゆう粘着荒らしに絡まれる危険性はどうしたってあるし
悪意あるレスにめげないで頑張ってほしいな。

89:名無しさん@ピンキー
07/02/07 15:48:42 b/egffsf
これは凄い荒れ方だ

90:名無しさん@ピンキー
07/02/07 15:50:23 EypVXGDa
晴れのち修羅場 ところにより流血

91:名無しさん@ピンキー
07/02/07 16:01:30 tkulWac2
これテンプレ追加しようぜ

・「日本語」「追放」をNGワード指定推奨

92:名無しさん@ピンキー
07/02/07 16:34:20 NsdkC+8P
荒らしは一種の病んデレだと思えばよろしおす

93:名無しさん@ピンキー
07/02/07 16:37:35 NvNTmmQ5
趣向に合わないものは読まなきゃいいだけのこと、俺はそうしてる

94:名無しさん@ピンキー
07/02/07 16:49:23 fox4PXGM
大量投下キタ━(゚∀゚)━!!!
って思ってwktkした俺が馬鹿だった。

95:名無しさん@ピンキー
07/02/07 17:11:34 jMPxqadT
>>94
ナカーマw

一言いわせてもらうと何も書かない奴がケチをつけるもんじゃない、これだけだ。

96:名無しさん@ピンキー
07/02/07 17:14:22 wuXShMA2
アメリカ・NASA発の新ジャンルが発表されたぞ。

『宇宙で修羅場』

オムツはいて泥棒猫を追い掛け回すなんてさすが国の機関は違うな

97:名無しさん@ピンキー
07/02/07 18:04:12 cUZrkV5S
>>96
ああ、拉致未遂かw

つーか、文句あるなら読まなくていいだろ。
こんな雰囲気だから投下もされなくなってくるし

98:名無しさん@ピンキー
07/02/07 18:31:54 82mmz3YX
まあ、言いたいことはノントロマダー?ってことだけだな

99:名無しさん@ピンキー
07/02/07 18:41:22 +LBwezsu
ノントロはあれだけ面白そうな伏線張りまくってwktkが最高潮に達し
いよいよ本格的に修羅場突入かって時にこれはキツイ。

100:名無しさん@ピンキー
07/02/07 18:58:58 UwXUParz
なんていうか…ここのスレは書き手も読み手もレベル高すぎて、新参者には敷居が高すぎるな…

101:名無しさん@ピンキー
07/02/07 19:08:06 wPKBMAfm
>>98-99
まあ、限界まで膨らませた風船にこれから針を突きたてようとしたもんだからなw
体が疼いてしょうがないぜ

102:名無しさん@ピンキー
07/02/07 19:15:58 /Hs88PQq
(♯()ω()♯) ダマレッ!!

103:名無しさん@ピンキー
07/02/07 19:19:58 o6QAsC7v
>>100俺もこの道に目覚めたばかりの頃はそう考えていました。
今では立派な修羅場ジャンキーです。

まあ、他のスレと同じよ。
荒らし以外はみんなウェルカム。俺と一緒にいたり先輩にフライパンで殴られようぜ!

104:名無しさん@ピンキー
07/02/07 19:37:59 2zYV67aL
修羅場モノはワンパターンに陥りやすいのがネック、とか思ってた俺も
このスレ来ていろいろと目から鱗な発見をしてすっかりハマった

どんなものでもハマると奥が深いな


105:名無しさん@ピンキー
07/02/07 19:40:39 YNjwMLPA
>>96
まさかNASAから新しいジャンルが出てくるとは・・・イカスぜ

106:名無しさん@ピンキー
07/02/07 19:44:48 UwZHT3Rl
>>101
まさか監禁されて・・・

107:名無しさん@ピンキー
07/02/07 19:53:10 oCtaNCYx
ノントロの最後の投下が17日だから
もう監禁されて20日以上立ってるな。

もう調教され終わってるかもしれんな。

108:名無しさん@ピンキー
07/02/07 20:29:57 tkulWac2
わんわん

109:名無しさん@ピンキー
07/02/07 20:31:07 4VwxFEVW
もうノントロないから餓死しそうだ

110:名無しさん@ピンキー
07/02/07 20:34:34 Wark6O5Y
>>107
きっと、妹が二人に増えたんだよ

111:名無しさん@ピンキー
07/02/07 21:02:58 UwXUParz
>>110
ツイスター?

112:名無しさん@ピンキー
07/02/07 21:09:21 82mmz3YX
ageたりsageたりせわしない奴だな

113:名無しさん@ピンキー
07/02/07 21:12:39 UwXUParz
>>112
すみませんsage忘れました。

114:名無しさん@ピンキー
07/02/07 21:13:03 0XFD1WI9
おまえら落ち着け
つ 旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦

115:名無しさん@ピンキー
07/02/07 21:36:46 pFTTwZgO
流たん(;゚∀゚)=3ハァハァ

116:名無しさん@ピンキー
07/02/07 21:46:09 Wark6O5Y
>>114

 一杯貰って行くか・・・・・・
  _、_
( ,_ノ` )旦 

117:名無しさん@ピンキー
07/02/07 21:56:25 dnHhP945
>>114
傍観者だが貰ってもいいかい?
媚薬とか入ってないよね?

118: ◆WIhkQEicx2
07/02/07 22:33:08 /976prAL
前スレの終わりの方で『バッドラック樋口』を投下したものです。
あれで終わりにしようと思ったんですが、続きが浮かんだんで書きました。2話目。
前回よりは長いです。

119:バッドラック樋口 ◆WIhkQEicx2
07/02/07 22:35:45 /976prAL
「ごめんね、ごめんね、私あの時何が何だか分かんなくなっちゃって…。
樋口君が憎かったとか、そういうことじゃないの!他にどうすればいいか分かんなくて!」
ベッドに手を置き、詰め寄りながら梅村さんは必死に語りかけてくる。
片手で彼女の肩を押しとどめつつ、残る手で僕は小さなホワイトボードに文字を書いた。
『もう大丈夫だから』
書いた言葉を梅村さんの前に示す。
それを見て、彼女は少し落ち着いたようでまた椅子に腰を戻した。
もう何回繰り返しているのか分からないが、そういった繰り返しに僕は慣れていたので、
あまり苦にはならなかった。
ここでは本を読むかテレビを見るくらいしかやることがないので、
梅村さんとこういう押し問答をやってるのも暇が潰れていいかな、と思えるほどだ。

頭頂部に綺麗な一撃を食らった僕は、そのまま机に沈み顎を叩き付けられて気絶した。
昼下がりの教室で起こった突然の凶行に、その場が騒然としないはずはない。
行動が早い人がすぐに先生を呼びに行き、僕は救急車で病院に運ばれ、彼女は職員室に連れ込まれた。
高校から逮捕者が!真昼の学校で起きた惨劇!という形でワイドショーに報道されちゃってもおかしくない事態だった。
が、彼女の父親が県の議員らしく、すぐに学校に手を回したのと、
問題を大きくされると困るらしい学校が緘口令を敷いたおかげで、大騒ぎにはならなかった。
緘口令も何も、梅村さんは泣くばかり、僕は病院に担ぎ込まれて手術中という状況で、
誰も詳しく事件の原因やらなにやらを知っている人はいないのだが。
意識を取り戻した僕は自分の不幸を有耶無耶にされたわけで、
本来なら梅村さんちや学校に怒鳴り込んでもいいはずだった。(今は怒鳴れないが)
ただ、一応剣道部員という身でありながら、同じ部員とはいえ彼女の一撃を外すことすらできなかったとか、
「他人の修羅場に巻き込まれる」という非常に説明しづらい事情だったこととか、
彼女の父親から治療費&多額の見舞金を僕の親が既にもらっちゃったこととか、
いろんなことが重なって、騒ぎ立てることはしないことに決めたんだ。


120:バッドラック樋口 ◆WIhkQEicx2
07/02/07 22:38:09 /976prAL

それに、目の前の彼女はこうして誠心誠意謝ってるわけだから。
「うう…本当に、ごめんね。」
湧き出す涙をハンカチで押さえながら、また僕に詫びる。
実は、彼女がこうして1人で僕に謝りに来ていることは意外なことだった。
梅村さんは僕が知る限り寝ても覚めても部長部長、といった感じで、
彼に勘違いされることは悲しくても僕を怪我させたことは大して心に留めていないんじゃないかと思っていたからだ。
梅村さんにとってはひどい認識かもしれないが、実際僕は消し去られそうになったわけだし。
しかし、そうでもなかったらしい。僕は彼女にとって謝る価値ぐらいはある人間だったようだ。

「樋口君は私の話をずっと聞いてくれてたのに、傷つけるようなことしちゃって…。
私、本当に反省してるの。もう二度とあんなことしないから…。私に出来ることなら、何でも言って!」
再び僕の方に詰め寄ってきた梅村さんが、僕の両手をひっしと掴んで叫ぶ。
想像して欲しい。
目の前に、綺麗な黒髪をたたえ目筋の整った顔をした美少女が、
長いまつ毛を持った目に涙をいっぱい浮かべて迫ってくるんだ。
僕は健康な男子だし、病院に長く留め置かれていたわけだし、
こういう状況は嬉しくはあるけど、とても始末に悪いものだろう?
僕はすぐにその手を振り解こうとした。口で「離してくれ」といえば良さそうなものだが、今の僕にそれはできない。
顎は打ちつけたせいでひびが入ってしまったらしく、ガチガチに止められているのだ。
栄養補給は点滴のみという有様で、明瞭な言語を発することなどできはしない。
「な、何で暴れるの?駄目なの?やっぱり許してもらえないのッ?」
何も言わず振りほどこうとする僕の態度は、彼女には否定の姿勢に見えたらしい。
より強い力で僕の腕を掴んで離さない。
困ったな…ボードにもペンにも手が伸ばせないので、打開する手立てがない。
そのまましばらく「ごめんね」を連発するだけの梅村さんと
振りほどこうとする僕、という構図が続いた後、病室をノックする音が響いた。

返事をする暇もなく(できないが)開けられたドアから姿を見せたのは、部長だった。


121:バッドラック樋口 ◆WIhkQEicx2
07/02/07 22:40:26 /976prAL

「よー樋口、見舞いにきてやったぞー。っと…梅村?
…ごめん、何か取り込んでたのかな…また、後で来るわ。」
よりにもよって、何で貴方なんですか?部長。
こちらに弁解の一言を与える暇もなく、ドアから顔だけ出して悪魔の矢を放って。
そんなに僕を殺したいんですか?僕が貴方に何かしましたか?
部長に対する怒りが心に湧いたものの、それは一瞬で吹き飛んだ。

パターンだ。良くあることだ。
僕がしなければならないのは、生存に向けて行動を起こすことだけだ。
目の前の梅村さんを見ると、顔を下げて何かに耐えるようにふるふると震えている。
今度こそ、僕という存在をこの世から消し去るつもりだろう。
今度は何が使われる?辺りを見回す。とりあえず、彼女が座っている椅子ぐらいにめぼしい凶器は…。
いや、あった。母親がりんごを切ってくれた時に片付け忘れたナイフだ。
積まれた本の上に皿とともに無造作に置かれている。
ああ、神は僕を見放したのか?前世に何か悪行を重ねたのだろうか。
頭の中で不吉の鐘がけたたましく鳴り響く。このまま手をこまねいていたら間違いなく死ぬ。
どうするか。
説得?無理だ。筆記している暇なんてない。
先にナイフを取る?これも駄目だ。
彼女に手を掴まれている状態では、彼女がナイフに手を伸ばす方が僕が振り解いて手を伸ばすより速い。
助けを呼ぶ?僕は叫べない。運の悪いことに大怪我だった僕は個室にいるので相室の患者もいない。
ナースコールを押しても看護婦が来る前に僕は死ぬ。
こうなったら…目の前の彼女を押し倒すしかない!
そうすればとりあえず彼女が攻撃してくることは防げるし、大騒ぎになれば誰か駆けつけてくれるだろう。
「入院患者の男が見舞いに来てくれた女性を襲う!」というセンセーショナルな記事になるかもしれないが、
命には代えられない。
僕の生存本能が僕の背中をプッシュして、彼女を押し倒そうとする。その瞬間に。

梅村さんが、ばっと突然顔を上げた。
てっきりまたこの世の終わりのような泣き顔だと思っていたら、意外にも笑顔だった。
その目から涙はこぼれていたが、長い雨が今終わったと告げているような、さばさばした笑顔だった。
「私が、また君を襲うと思った?…あの時は、ごめんね。
でもね、もういいの。部長とのことは、終わったの。」
これまで聞いたことのある彼女のどんな声よりも明るい声で、梅村さんは言った。


122:バッドラック樋口 ◆WIhkQEicx2
07/02/07 22:43:04 /976prAL

そこからは、また長い話だった。
時折涙を浮かべる梅村さんを慰めつつ、また話が戻り、と行きつ戻りつ聞き出した事情は次のようなものだった。
部長にアプローチしていた女と部長は、もう随分前から付き合いだしていたらしい。
僕らにも交際しているという事実は伏せていたので、分からなかったのだ。
僕が怪我をして入院している間に、梅村さんはそれを他の部員から教えてもらった。
すごく悩んで、相手の女を殺そうかとまで考えて、父親の力を借りてでも…とまで思いつめたらしい。
しかし、そうやって暴力で解決しようとする姿勢が、樋口敬太という何の罪もない一般男子高校生を
死の淵を経て入院生活に叩き込んだのだ、と彼女は自覚した。
それで、部長とのことは縁がなかったんだ、と諦める気になった、というんだ。
全て話し終わった彼女は、涙を拭いて笑顔を浮かべた。
「人を殴る前に、こんなこと気づくのが普通だよね。
でも私馬鹿だから…樋口君をこんなにするまで分からなかった。
君のおかげで気づいたの。ありがとう、樋口君。」
真摯な目を向ける彼女に、僕は何を言ってあげたらいいか分からなかった。
とりあえず、
『僕は何もしてないよ 梅村さんが自分で気がついたんだよ』
と事実をありのままに書いておいた。
「ありがとう。君はやっぱり、優しいね。」
にっこり笑って、照れることを言ってくれた。

「今日は私もう行くね。また、必ずお見舞いに来るから。その、私のこと、嫌わないでね…。それじゃあ。」
手を振って病室から出て行く梅村さんを、僕も手を振って見送る。
何も悪くない僕がこんな痛い目を見るなんて、世の中は理不尽だ、神なんかどこにもいないんだ、
とまで思っていた僕だったが、今の僕の心には一陣の涼風が吹き抜けていた。
1人の女の子が、人の道を踏み外しかけたものの、何とかギリギリの線で押し留まって、
これから正しい道を歩んでいこうとしているのだ。素晴らしいじゃないか。
僕の怪我には、それだけの意味があったんだ。
特に何か能動的にしたわけではないが、それでも何かを成し遂げたような達成感に包まれた。

久しぶりに、「幸せ」という感情を味わっていた僕の耳に、またノックの音が聞こえた。
ガラガラとドアを引いて現れたのは、活発そうな茶色の髪の女の子だった。
山下和美。現在の僕の彼女だ。
「お人よし」「ヘタレ」「いつか人に騙される」「いや殺されるね!」といわれ続けた情けない僕の性根を、
「そのずば抜けたお人よしぶりに惚れたの!これからは私が守ってあげるから!」
とか何とかおっとこ前に言いのけてくれて以来付き合っている。
入院以来、一度もお見舞いに来てくれなかったので、とうとう愛想を尽かされたと覚悟していた。
その彼女が、会いに来てくれたんだ。今日はとても幸運な日だと思った。
浮かれていた僕は、彼女が沈み込んだ表情をしていることに、気づかなかったのだ。


123:バッドラック樋口 ◆WIhkQEicx2
07/02/07 22:46:32 /976prAL

「今のが、敬太の浮気相手?」
彼女の口から発せられたのは、思いもかけない一言だった。
浮気?何を言っているんだろう。まったく意味が分からない。
僕は完全に混乱している状態で、彼女の方を見ることしかできない。
「学校で噂になってるよ。敬太が学校一の美女に別れ話を持ち出して、殺されそうになったって。」
きっと和美がこちらを見据える。
大体事情は飲み込めた。学校の敷いた緘口令は、事実を捻じ曲げて人口に膾炙させる結果になったようだ。
僕が梅村さんに別れ話を持ち出して、結果椅子で殴られた。
非常に分かりやすい構図だ。くそっ、一般大衆の思考回路が憎い!
とりあえず、目の前の和美の誤解を解かなければ。こんな誤解で愛しい恋人を失いたくない。
慌ててペンを探す僕を尻目に、和美は言葉を続ける。
「でも、別れるのはやめたんだよね?…だって出てきた彼女笑ってたもん。
あの娘を許して、付き合うんでしょ?」
しまった。和美は病室から出てきた梅村さんと出くわしたのか。
そういえば最初の一言は「今のが」、だったっけ…まずい、まずいぞ。
彼女のあのさっぱりした笑顔から、和美は悪い方向に想像を膨らませたようだ。
転がっていたペンを見つけ、僕は必死で弁解の言葉を考える。
『違うんだ 彼女が好きなのは部長で 僕はその話を聞いていただけで
聞いていたら突然その当人である部長が 』
ううっ、長いな。単純な話だが書くとなるとそこそこの分量がある。
必死でペンを走らせる僕は、彼女が間合いを詰めているのに気づかなかった。
気づいたときには、目の前に和美が迫っている。

「私はどうなるの?あの娘のかわりに私が捨てられるの?
そうだよね、あの娘綺麗だもんね。
お節介で煩いだけの私より、ああいう綺麗で大人しそうな女の方がいいんだよね。
私を捨てて、二人で仲良く学園生活送るんでしょ?同じクラスだしね。
…何か言ってよッ!そんなことないとか何とか、言ってよ!!
何で何も言わないの?もしかして本当に本当なの?私を捨てるの?私の何がいけなかったの?
私に不満なんて一言も言わなかったじゃない!!
あんたが変えろって言うなら、私どんな風にでもしたのにッ!!
何がいけなかったのよ!!もうあの女を抱いたの?抱かせてくれる子のほうが良かったっていうの?
言われれば、私だってあんたになら、って思ってたのに!!
…ねぇ、何か言ってよぉ!!!」
和美が泣きながら叫ぶ。恋人が誤解で泣いているのを見るのはつらい。
言わないんじゃなく、言えないんだ。その一言すら伝えられない。
まずその一言を書くべきだった。それを書こうとする僕を無視して、彼女はナイフを手に取った。


124:バッドラック樋口 ◆WIhkQEicx2
07/02/07 22:48:20 /976prAL

そう、あのナイフ。さっき僕が生命の危機を感じて、対処しようとしていたナイフだ。
防いだと思ったのに。こうして僕の目の前に凶器として戻ってくるとは。
既に般若の形相になっていた彼女が、ナイフを腰だめに構える。
「私を捨てるなんて、許さないよ…。私は、あんたのことが好きなんだから。
あんな女と付き合って、私を捨てるなんて、ずるいよ…。」
静かになった和美の口調は、決意を感じさせた。
僕は、書くのをやめた。諦めた。今何を示しても彼女は分かってくれないだろう。
助けを呼べないのは先刻検討したとおり。
どうしようもないな、こりゃあ。神様は、やっぱり僕に死ねと言ってるらしい。
「大丈夫、あんただけ殺したりしないから。私もすぐに死ぬからね。
守るって、約束したでしょ?死んだ後も、ずっと一緒にいて守ってあげるからね?」
涙を流しながら、にこっと和美は笑った。
綺麗な笑顔だ。さっきの吹っ切った梅村さんの浮かべた表情に似ている。
つまり、和美も何かを吹っ切ってしまったんだろう。


彼女の足を動かして僕の方に迫ってくる。ナイフを構えながら。その光景が、ゆっくりと見えた。
死ぬ直前にアドレナリンがどうとかって奴かな。二度も味わうとは思わなかったや。
もしもあの世が本当にあるのなら、そこで和美に事情を話さなきゃ。
「あんたがお人よしだから、私まで死んじゃったじゃない!」
とか何とかいうかな。和美は。ごめんな、和美。好きだよ。


125: ◆WIhkQEicx2
07/02/07 22:49:03 /976prAL
これで終わりです。投下してる最中に気づいたんですが、この話エロがないですね。すいません。

126:名無しさん@ピンキー
07/02/07 22:51:11 dnHhP945
>>125
それでもGJ
エロく無くても個人的に好きだな。

127:名無しさん@ピンキー
07/02/07 22:56:57 B7XL5P3x
GJ!
このスレの住人は嫉妬で(*´Д`)ハァハァできるからモーマンタイだぜ

128:名無しさん@ピンキー
07/02/07 23:03:08 wPKBMAfm
>>125
キタ━━(゚∀゚)━━ !!!!!
こ、これは是非この後が読みたいですぜ!!

129:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/02/07 23:18:33 9welyov7
さすが修羅場スレ。スピードは桁違い。
というわけでたぶん3日ぶりに投下します

130:魔女の逆襲第18話 ◆oEsZ2QR/bg
07/02/07 23:19:44 9welyov7
 早百合は早足で歩きながら、住宅街を抜け、十字路を曲がり良樹のマンションまでやってくる。
 良樹の住むマンション、『メゾンドロンリ』は名前は聞こえはいいが(いや、よくないか)実際は学生や単身赴任のサラリーマンなど、一人暮らしの人用の集団住宅だ。
 マンションと言う名前だが、アパートと言ったほうがいいくらいである。ただ、階数はやたら多く最上階にいけばほとんどの周りのマンションを見下ろすことができるくらいである。
 なんというかバランスの悪いマンションだ。縦に長く伸びた部屋の列はまるでジェンガを連想させる。
 早百合はそんなジェンガのようなマンションの玄関を入ると、エレベーターは使わず階段を昇り良樹の部屋の前まで来た。
 階段を昇る運動と良樹の部屋の前と言う理由で動悸が荒くなっていたが、胸に手のひらを押さえてそれを落ち着かせる。

がちゃりがちゃり。

早百合はドアノブを回すが当たり前のように鍵がかけられていた。
「ふん」
 しかし、いまの早百合にはなにも問題は無い。
 大事に握っていた、八年間まったく使う機会の無かった鍵を取り出すと、それを銀色のドアノブの鍵穴に差し込む。
 もし、この8年。良樹が鍵を変えてたのなら……この鍵はゴミ同然と成り下がる。しかし鍵はするすると穴の中へ差し込まれていき奥まですべて飲み込まれた。
 ごくりと鳴る早百合の喉。
 息を止めて鍵を回す。ぐるりと手の甲をひねり、回す指に力を加えてゆく。刹那、
 がちゃっ。
 何かが引っ込んだ音。静かに作業を進めていたからか、想像以上に鳴った音に早百合はすこし驚いた。
「……開いた」
 呟く。ドアノブをもう一度掴むと今度はゆっくりとひねる。
 抵抗無く緩んでゆく扉。限界までひねると早百合はゆっくりと扉を引いた。きぃぃと静かな音を立ててドアが開いた。
 開いたドアにするりと体をひねらせて、中に入る。後ろ手で静かにドアを閉めた。
良樹の部屋は1LDKで玄関の土足スペースの横には鍋と皿が何枚、タオルの上に裏向きで置かれてあった。一人暮らしだと言うのに清潔感漂うキッチンである。
早百合は時刻を確認する。六時一○分。良樹の生活ペースはあまり掴めていないが、自分と良樹が出会う時間まではかなり間がある。まだ寝ている時間だろう。
一応台所を通ってひとつしかない部屋へ行ってみることにする。
早百合はゆっくりと足を滑らす。今の自分の行動は完璧に不法侵入である。あまり音も立てられないし、目立った行動もできない。というか見つかったら大目玉食らうことになるだろう。しかしそのドキドキ感が逆にたまらなくて早百合の脳にドーパミンを分泌させていく。
良樹の姿を確認しようとしたが、台所と部屋を仕切る引き戸が遮っている。引き戸は閉められていた。
音を立てないようにしのび足で歩くと、早百合は引き戸を少しだけ開けた。すすすと静かな音を鳴らしてスライドする戸。ちょうど三センチほど開けた所でとめた。
中を覗いてみる。カーテンが閉められてよくわからないが、意外と広めの八畳ほどの部屋だ。大きなベッドと勉強机とクローゼットとテレビデオが見える。壁には銀行のカレンダーが掛けられていて、その横に押入れがあり少しだけ押入れの戸が開いていた。
男の一人ぐらしといえば散らかり放題というのが定説で、ちゃぶ台にはカップラーメンの容器が箸と一緒においてあったり床にマジックザギャザリングのカードがばら撒かれていたり、ゴミ箱があふれ出ていたりとするものだが、良樹の部屋は綺麗に片付いていた。
良樹の性格だろうか。いつも綺麗にしているのだろう。意外と綺麗好きなのだな。早百合は思う。
大きなベッドには毛布がかけられていて、こんもりと山になって膨らんでいた。
「寝てる……」


131:魔女の逆襲第18話 ◆oEsZ2QR/bg
07/02/07 23:20:38 9welyov7
 りぃん

 進入したついでに下着の一枚でも持って帰ろうと思っていたのに。

 りぃん

 まぁいい。みやげ物はいつでも持ち帰れる。
 なんたって、今の私には八年間封印されていたこの鍵があるのだから。一回使ったら粉々になってしまうおぼろ丸の錆びた鍵とは違う。何回でも使える万能の鍵。
 ここまで考えて、早百合は自分はこんなキャラだったか? と自問する。いままで感じていた罪悪感というものがだんだん薄れているような気がしていた。
 普通なら、鍵を見つけたのなら良樹に返却するか、一応報告だけしておいて予備の鍵として持っておく。そうだろう? 少なくとも、こんな不法侵入のために使うか?
 しかし、そんな自問をしても。早百合は二秒で忘れる。鈴のせいか、それとも早百合の屈強な意思か。罪悪感という鎖縄はもはや早百合には効かない。鎖鎌なら装備する。
 早百合は台所をぐるりと見渡す。
 彼女はある場所を探していた。手ごろな場所。ちょうどこの台所と扉一枚向こうの良樹の部屋での良樹の声が録音できるような場所が……。
 あった。ちょうど引き戸の上に湘南の海のイラストのジクソーパズルが飾られている。椅子に登ってその裏を覗いてみると、埃が積もっていた。どうやら飾ってあるだけでほとんど動かしてないようだ。
 ちょうどいい。
 にやりと口元が緩む。早百合はあることを考えていた。
 早百合は半年前、母親から中古のICレコーダーをもらっていた。もともと母親が自分用に使っていたレコーダーだが、最新式に買い換えた時に頂いたヤツである。早百合はもらってから一切使ってなかった。
 たしかフル使用で二十時間はいけた気がする。そのICレコーダーをここに配置するのだ。
 朝、ここに装着して録音を開始する。そのままフルで使用して昼と夜をまたぎ、次の日の早朝に合鍵で侵入して回収する。時間の関係上、深夜の数時間ほど空きができてしまうが、この方法ならほぼ一日の良樹の家での会話が盗聴可能である。
 ただ、充電と回収した後の音声チェックのために盗聴するのは一日おきではないといけないのが弱点だが……。
「これで、良樹の家での行動を監視できるわ」
 
 早百合は魔女と決別して以来(魔女はいまだに早百合のことは親友と言っている。けっ、反吐が出る)、早百合はどうすれば魔女にアドバンテージを持てるか考えていた。
 今の状態で早百合が良樹に告白すれば多少は良樹の心を揺さぶることはできるだろうが、最終的には良樹は魔女のところに行くだろう。当たり前だ、いままで自分は何のアクションも起こしてないのだ。成功は絶対しない。
 しかし今告白しなければ、魔女は良樹と恋人関係のままどんどん濃密になって行く。あの魔女のことだ、同棲や結婚、それに子作り。私ら女の子が躊躇するようなことも、ほとんど考えることなく自分のセンスと本能で思い立ったら即座に実行してしまうことだろう。
そうなると、良樹に好かれるのも良樹を奪うのもどんどん難しくなってゆく。
早百合はこう考えていた。
「遅くても、一週間以内には魔女から良樹を離さなければならない」
 一週間。七日間。
 これは戦争だ。早百合は思う。
 目標、良樹の奪還。魔女と破局させて、良樹を自分のものとする。魔女と良樹の間を離れさせて最終的にはコミュニケーションを停止する状態まで持ち込む。
 早百合はこの七日間で実行に移さなければならないことをひとつひとつ考えていた。それこそ戦争のように選択肢をいくつも広げて考えた。
 良樹に気持ちを伝えるか、アピールし振り向いてもらうか、魔女に良樹を嫌いになってもらうか、良樹に魔女を嫌いになってもらうか、

りぃん

 魔女を排除するか。

132:魔女の逆襲第18話 ◆oEsZ2QR/bg
07/02/07 23:22:09 9welyov7
 この五つか。

 一週間という数字に根拠は無いが、一応一区切りと言う意味で早百合はこれを期限とした。まぁ、後から思えばこれはとてつもなく認識の甘かった数字だったのだが。
 早百合は時刻を確認する。携帯電話のディスプレイには午前六時二〇分と表示されていた。
 そろそろ逃げたほうがいいかもしれない。
 早百合は、作業は十五分までと決めていた。それこそ、どこかの泥棒猫のように愛する男の下着についた汗といろんな匂いに時間を忘れて夢中になって最終的に本人に見つかって嫌われてしまったら、すべてが水の泡だ。
 まぁ早百合の場合はその吸うモノ自体が無いのだが。
 早百合は持ってきていたICレコーダーを取り出す。携帯電話より一回り小さい黒く光るボディ。早百合はフルモード設定にし、録音ボタンを押した。録音マークが赤く二・三度点滅
し録音を開始する。
 音のチェックは……やってなかったがたぶん大丈夫だろう。
 ジクソーパズルの後ろに置く。なんとか置くことができた。不意に動かさない限り、落ちることは無いだろう。
「……作業完了」
 早百合は口で手袋を脱ごうとしたが、そもそも手袋などしてなかった。なに片平なぎさを気取っているのだ自分は。
 早百合は椅子を戻し音を立てずに台所を歩くと玄関に戻る。
 もう一度台所を見渡す。
 綺麗に片付けられた台所。綺麗に片付けられすぎている気もしないでもない。
 しかし、今はそんなことは考えないでおく。良樹に気付かれることなくこの部屋を出ることが大事だ。家に帰るまでが遠足だし、外へ脱出するまでが侵入。語呂はどちらも良い。
 扉を開ける。廊下に誰も居ないことを確認した後。早百合はするりと扉の間を抜けて外に出た。身長に扉を閉める。
 ガチャリ。
 鍵をかける音が大きく響いたような気がして、早百合のからだから汗が吹き出た。
 しかし、これでミッションは終了だ。早百合は満足げに笑う。
 早百合はニヤつく顔を抑えながら、廊下を歩きマンションから脱出した。
「明日の録音内容が楽しみ」
 そう呟いて。早百合はマンションを見上げる。
 長く縦に伸びたマンション。
 ジェンガ。
 以前までジャンガのように崩れてしまいそうな心。しかし、今は違う。早百合は胸ポケットの上からぎゅっと鈴を握り締めた。握った手から自分の胸の荒々しい鼓動がどくんどくんと伝わってくる。
 ここは落ち着いて対処したほうが得策か……。
 早百合は良樹が出てくるまで待って一緒に登校するつもりだったが、ここは離れておこう。いくら時間が無いとは言ってもがっついたら事を仕損じる。
 走って十字路を曲がり、バス停まで行くとまた今日もいいタイミングでバスが来ていた。乗り込むんで開いていた席に着く。
 早百合は「もし指紋取られたら終わりかしら?」と馬鹿なことも考えながらバスの中揺られ学校へと向かっていく。

りぃん。

 早百合が出ていって数分たったぐらい。
 良樹の部屋の閉められた窓枠のカーテンから
 布団がもぞもぞと動く音。毛布で頭までかぶっていた体がだるそうに起き上がる。
 立ち上がると、部屋の寒さにおおうと身震いした。腕で自分の体を抱き、寒さを逃がさないように体をあっためる。
「布団が違うとなかなか寝にくいものなのだなぁ……」
 早百合は良樹がまるまって寝ているとばかり思っていた布団。そこで寝ていたのは実は良樹では無く、魔女こと紅行院しずるだったのである。
(続く)


133:魔女の逆襲第18話 ◆oEsZ2QR/bg
07/02/07 23:23:16 9welyov7
執筆中、迷走しかけましたがなんとか修正できる流れを作れそうです。

134:名無しさん@ピンキー
07/02/07 23:46:22 hwYcHRU4
すかさずGJ

135:名無しさん@ピンキー
07/02/08 00:05:25 og0oIkkY
さゆりんのストーカー全開の行動にwktkが収まりきらないぜ
ラストのしずるさんの状況を知ってどういう行動にでるのか

136:名無しさん@ピンキー
07/02/08 00:34:06 7nJRteva
ていうか良樹はドコニネテンダwww

137:名無しさん@ピンキー
07/02/08 00:37:12 4bbkgRk6
GJ

小ネタがどんどん冴えてきて俺好みだ。
「鎖鎌」って俺と同世代かよww

↓多分「鎖鎌」の元ネタ
URLリンク(www.geocities.co.jp)

138:名無しさん@ピンキー
07/02/08 00:44:30 B3pKIDCq
次に流行るのは『鎖銃』だな。
(元ネタは双葉)


139:名無しさん@ピンキー
07/02/08 00:47:06 pKaOwyKi
早百合――!!布団布団!!

140:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/02/08 01:46:59 I20DV8yW
時間たってからすいません。130-131の間が落丁していました。
コレの間に

 顔は見えないが良樹だろう。冬場なので布団を目深にかぶってまるまって寝ている。その様子が可愛くて早百合は寝顔を見たくなる。しかし、すぐさまふるふるとその欲望を振り払うかのように頭を振ると、音を立てずに引き戸を閉めた。
 今は中に入るのは止めておいたほうがいい。時計は微妙な時間でいつ起きるかわからない。早百合は今の自分は不法侵入者と言い聞かせる。まぁ見つかってもいくらでも言い訳はできるが……、今は避けとくべきだ。
 早百合は戸をしめて振り返る。台所スペースには流し台と電気コンロが通常設備として用意されている。床には一人用の冷蔵庫がある。その上の棚には電機ジャーが置いてあった。
コードは抜かれている。電気代節約のために保温せず、その都度炊くようだ。電気代はこちらのほうがお得。よく実践している。
 しかし、本当に綺麗にされている。三角コーナーは生ゴミが一切無いし、ゴミ箱は全て新しいビニール袋に変えられている。
 洗濯物を入れる籠を発見するが、中身は空。昨日のうちにすべて近くのコインランドリーでメリーゴーランドしたらしい。ということは全ての衣服は戸一枚隔てた隣の部屋のクローゼットにしまわれてるのが濃厚だ。
 早百合は内心舌打ちをしたい気分だった。やろうとしたときには全て片付けられている。孝行したいときに親は無しと言ったフレーズと似てるが、意味は違う。
 くっ、タイミングが悪い。悪すぎる。せっかく、せっかく、

を挿入してください。

あと、すいません。鎖鎌の元ネタはわかりません(汗

141:名無しさん@ピンキー
07/02/08 07:03:54 GZ75MxCw
投下します

142:名無しさん@ピンキー
07/02/08 07:05:20 GZ75MxCw
名無しさん@ピンキー sage 2007/02/07(水) 19:22:22
投下ラッシュktkr!!!
神々よGJ!!!



「やっぱり修羅場はいいな!」
そうパソコンに一人語りかける男、つまりは俺、永山 茂はエロパロ板修羅場スレの住人である。
まだ二十歳を過ぎてない(高2)けど、そこら辺は精神年齢でカバーだ!
それはそうと、今日も修羅場スレで神々の作品にGJを送っていた。

コンコン

誰かがノックをしてきて、慌てて修羅場スレを閉じる。
「だ、誰だ!」
焦って、思わず声を荒げてしまった。
「何よ!そんな言い方ないじゃない!」
そう怒りながら部屋に入ってきたのは幼馴染みの音子(ねね)だった。
音子は、誰もがハッとするような美少女だ。
去年は学祭のミスコンで優勝したし、まさに誰もが認める美少女だろう。
だが、如何せん性格が…
「なんだ、音子か…」
「なんだ、って何よ!
せっかく幼馴染みの音子様が来てやったってのにお茶も出してくれないの?」
「へいへい…」
渋々お茶を淹れに行く俺。

143:名無しさん@ピンキー
07/02/08 07:06:39 GZ75MxCw
はぁ、音子は何でああなったんだ?
小学生まではもっと素直で可愛かったのになぁ…。
今の音子はツンデレ…いや、ツンツンツンツンツンツンツンツン………デレだ。
これじゃあ修羅場にならないな…。
音子は俺の事好きじゃなさそうだし。
おっと!考え込んでる内に結構時間が経ってしまった。
あぁまた音子にどやされる…。
そもそも、何でウチに来たんだよ…。


お盆にお茶と茶菓子を載せ、部屋の前に立つ。
すると、部屋の中から不審な音が…。
『…カタカタカタ…』
なんだこの音?
も、もしかして…キーボードか!
「ね、音子!お前なに勝手に人のパソコンさw……」
キーボードの音を聞き、思わず部屋に飛び込んだ。



そこには、虚ろな目で画面を見つめ、激しくキーボードを叩く音子がいた。
音子ってブラインドタッチできたの?
いや、そんな事考えてる場合じゃないって俺!
「ね、音子!なにやって……ぁ」
後ろから画面を覗き込むと、そこには見慣れた修羅場スレが…。
「ちょ、止めろって」
音子は反応しない。

144:名無しさん@ピンキー
07/02/08 07:10:54 GZ75MxCw
画面をもう一度よくみると、音子は何か書き込んでいるようだった。
なになに…『なんなの?あなた達。
あなた達のせいで、ウチの茂が私に構ってくれないの!
いい加減にしろ!この雌豚ども!
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……』
このような文章が10レスぐらい続いている。

ちょ、どういうこと?
いや、修羅場スレのみんなはネタだと思ってくれるだろうが、さすがにこれ以上は迷惑だろう。
「音子!いい加減にしろ!」
すると音子はキーボードを打つのを止め、ゆっくりと振り向いた。
機械的な、人形のような笑みを顔にはりつけて。
音子って、ヤンデレ?
「何で庇うの?こんな雌豚共を」
背筋がゾクッとした。
恐怖と、少しの、されど濃密な歓びに。
「め、迷惑だろ?」
「雌豚共を気遣う必要なんてない!」
段々心拍数が上がっていく。
これは、俺が望むモノ?

145:名無しさん@ピンキー
07/02/08 07:12:17 GZ75MxCw
「あたし、ずっと待ってた…。
茂が、あたしを茂のモノにする事を。
今日だってそう、でも、分かった。
茂には、あたしだけだって自覚して貰わないといけないって。
もう、待てない、から」
そう言って音子は、部屋の隅に置いてある鉄バットを掴み、振り上げ、パソコンに向けて振り下ろした。
ガキッ!と音を出し、パソコンは粉砕された。
「音子!やめ…グッ」
思わず止めようとした俺のボディに音子の一撃が入った。
「しげる?おとなしくまってて。
これがおわったら、ふたりで、ひとつだってこと、おしえてあげる。
ちょっといたいけど、がまんしてね?」
そう言って振り下ろされた鉄バットは俺の頭を捉えた。
それっきり、俺の意識はブラックアウトした。

146:名無しさん@ピンキー
07/02/08 07:13:35 GZ75MxCw
以上です。
要望があれば続きを書きたいとおもってます。

147:名無しさん@ピンキー
07/02/08 08:12:31 jtNsK7nS
言うまでもない


wktk

148:名無しさん@ピンキー
07/02/08 09:27:29 53+tlGH7
\         /_ /     ヽ /   } レ,'           / ̄ ̄ ̄ ̄\
  |`l`ヽ    /ヽ/ <´`ヽ u  ∨ u  i レ'          /
  └l> ̄    !i´-)     |\ `、 ヽ), />/        /  地  ほ  こ
   !´ヽ、   ヽ ( _ U   !、 ヽ。ヽ/,レ,。7´/-┬―┬―┬./  獄  ん  れ
  _|_/;:;:;7ヽ-ヽ、 '')  ""'''`` ‐'"='-'" /    !   !   /   だ.  と  か
   |  |;:;:;:{  U u ̄|| u u  ,..、_ -> /`i   !   !  \   :.  う  ら
   |  |;:;:;:;i\    iヽ、   i {++-`7, /|  i   !   !  <_      の  が
  __i ヽ;:;:;ヽ `、  i   ヽ、  ̄ ̄/ =、_i_  !   !   /
   ヽ ヽ;:;:;:\ `ヽ、i   /,ゝ_/|  i   ̄ヽヽ !  ! ,, -'\
    ヽ、\;:;:;:;:`ー、`ー'´ ̄/;:;ノ  ノ      ヽ| / ,、-''´ \/ ̄ ̄ ̄ ̄

149:名無しさん@ピンキー
07/02/08 10:01:09 VJ/sLXGL
ちょっと会社休んで幼なじみの旅に出てくるわ…

150:名無しさん@ピンキー
07/02/08 12:31:20 0YhrM0Yc
気をつけろよ、最近は幼馴染み詐欺ってのがあるらしいから。

詐欺から生まれる修羅場も、世界にはあるかもしれんが。

151:名無しさん@ピンキー
07/02/08 12:49:26 5CEL+DPj
続きwktk



しかし、実際このスレにあんな書き込みされたら住人はびっくりだ。
俺は、ネタでもマジでもあんな書き込みは歓迎だがな!!

152:名無しさん@ピンキー
07/02/08 15:48:36 piItzVsy
便乗wktk

俺もそんな書き込みがあったら色んな意味でwktkするだろうな。

153:名無しさん@ピンキー
07/02/08 16:19:26 EoYX92Is
>>133
日本語おかしくないか? むしろ、文章そのものがおかしいよ

154:名無しさん@ピンキー
07/02/08 16:23:31 B3pKIDCq
 荒 ら し キタ━━(゚∀゚)━━ッ!!

155:名無しさん@ピンキー
07/02/08 17:36:02 pKaOwyKi
>>153
先生!正しい日本語とうまい文章を馬鹿な僕に教えてください!!

156:やや地獄な彼女
07/02/08 17:37:10 /slmpppJ

「え~、『十一月十五日―スケキヨが帰ってきてから丁度半月。金田一耕助がやってきて、そろそろひと月になろうかという十一月半ばの日。
 この日こそは犬神家の一族の間に、最初の血が流された日であり、悪魔がいよいよ行動開始した日であったが、しかし、ここでは、その殺人事件に言及する前に―』
 つまり、この段落ではやな……」
 
 普段だったら、とても退屈な現国の授業。
 相も変わらず眠気を誘う、初老の先生の教科書の朗読が教室に響く。
 でも今日は、それどころじゃない。居眠りなんかしてる場合じゃない。
 といってもそれは、あくまで授業に集中しているって意味じゃない。
 結論から言うと、ボクは、いつも以上に先生の声なんか聞いちゃいなかった。
 ボクが耳を澄ませて聞いていたのは、

―ぶぶぶ、ぶぶぶぶ、―うぃん、うぃん、うぃん、うぃん……。
 という、無気味な振動音と、
「……はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、……ぁぁぁぁ……くぅぅぅ……!」
 という、歯を食いしばって何かをこらえる呼吸音。

 音の発信源は、このボク―落合静香の一つ前の席。そこで震えながらも腰を降ろす一人の男子生徒。そのアナルで凶暴なサンバを踊り続けるパールローター。
 彼の名は柴田遼太郎―遼くん。
 ボクの幼馴染みにして、親友にして、義兄にして、恋人にして、婚約者にして、そして命よりも可愛いボクの……奴隷クン。

 ここは席替えの際、クラスメートに小銭を払ってまで獲得した、彼の真後ろの席。
 ボクは今、吐く息すら彼の背にかかるその席で、遼くんに“罰”を与えていたんだ。
 罪状は、姦通罪。
 早い話が、浮気。
 だってしょうがないじゃない。自業自得だよ、遼くんのさ。
 ボク以外の女子生徒との接触を、厳しく厳しく禁止してあるにもかかわらず、遼くんったら、それを守れなかったんだから。
 それも、よりによってあの女と……!
 ああ、いま思い出しても、身震いがしてくるよ、全く!
 ボクが、このクラスで一番キライな、それこそ吐き気のするほど大嫌いな、あの女……山口由利。
 よりによって、そんな女と……!!
 確かに、一瞬でも遼くんから眼を離したボクだって、全くの無責任とは思わないよ。
 でも、ボクだって仮にも女子高生なんだから、友達と行くトイレって行為が、人間関係を保つ上で、どれだけの意味があるか、遼くんだって、分かってくれるよね?
 それなのに、ちょっとボクがいない隙に、ボク以外の女と……それも、それもよりによって、あの、ヤマグチなんかと……!!

 許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!!
 そう思った瞬間、ボクは無意識にリモコンのつまみを最強にひねってしまっていたんだ。


157:やや地獄な彼女
07/02/08 17:39:33 /slmpppJ

「~~~~~~~~!!!!!」 
 びくんびくんびくん!

 遼くんの身体が、まるで魚みたいに痙攣する。
 机にがばりと伏せ、声を出さないように学ランの袖口を噛みしめる。
 やがて遼くんは、精根尽き果てたように脱力し、それまでの机にしがみつくような前傾姿勢から、くたりと椅子に崩れ落ちた。
 ボクはそれに合わせて、リモコンの電源を切り、背中越しに遼くんの耳元に囁いた。
「イっちゃたの遼くん?」
 
 次の瞬間、耳まで真っ赤になった遼くんがボクを振り返るけど、やがて、眼を伏せ、俯いて前を向いた。
「違うよ」
 と、呟いて。
 でも、嘘だ。
 ボクには分かる。
 遼くんはイったんだ。
 それも授業中に、ズボンとパンツの中で、おもらししちゃったんだ。
 うふふふふ……恥かしいね遼くん。
 仮にも学級委員長のキミが、授業中にこんな事をしているなんて、クラスのみんなが知ったら、ホントどう思うんだろうねえ?
 誰も知らないキミの素顔を、このクラスで知っているのはボクだけなんだ……。

「―!」
 あっ、いっけない、そんな事考えたら今、一瞬軽くイキそうになっちゃった……。
 んふふふふ……すっごいな、ボク。遼くんの事を考えるだけで、こんなに気持ちよくなれちゃうなんて。我ながら信じられないよ。
 こんなボクたちが結婚なんかしたら―。
 毎日毎日、こんな気分が味わえるんだとしたら―。
 あああ、すごい……ひょっとしたらボク、幸せ過ぎて狂っちゃうかもしれない……。
 でもね、遼くん、まだまだだよ。
 ボクはキミを、まだまだ許してられあげない。

 「遼くん」
 もう一回、彼の耳元で囁く。ちょうどボクの吐息が遼くんのうなじをくすぐるように。


158:やや地獄な彼女
07/02/08 17:41:16 /slmpppJ

「……何?」
 遼くんが青ざめた表情で、おそるおそる振り向く。
 そんなに恐がらなくてもいいのに。
「気持ちよかった?」
「……」
 顔面蒼白だった遼くんが、たちまち真っ赤になる。
 彼は俯いて何も言わなかったけれど、ボクにとって答えとしては、それで充分だった。
「じゃあ、遼くん、これが済んだら終わりにしてあげるよ」
 その瞬間、遼くんの表情がまたまた青くなった。
「……まだ、やるの?」

「え~、では次の段落ですが―」
 その時になって、先生はようやく、一人ひっそりと挙手している遼くんの事に気がついたみたいだった。
「ん、どうした柴田?」
「あ、その、いえ……」
「次の段落、読んでくれるんか?」
「あ……はい」
「ふ~ん。どういう風の吹き回しや?」
「……」
「ま、ええわ。ほなら、読んでもらおか。105ページの3行目から」
 もそもそと、遼くんが立ち、教科書をひらく。

「『十一月十六日。―その朝、金田一耕助はいつになく朝寝坊をして、十時だというのに、まだ寝床の中でモゾモゾしていた。―』……うっ……!」
「ん? どないした?」
「あ―いえ……。『耕助がそんなに朝寝坊をしたというのは、昨夜……んんんっ……』」

 うぃん、うぃん、うぃん、うぃん、うぃん、……。
 ポケットの中の、リモコンの電源を再びオンにする。
 遼くんのアナルでローターがまたもや、ビートを刻み始める。
 強、中、弱、中、弱、強、最強、オフ、最強、弱、……。
 前の席だけに、遼くんのお尻と背中が小刻みに揺れているのが、手に取るように分かる。
 いま、遼くんの全神経を支配しているのは、ボクの指先一つなんだ……!


159:やや地獄な彼女
07/02/08 17:44:41 /slmpppJ

 くちゅり。

 ああ、だめ。
 そんな事考えたら、あそこが疼いて疼いて、もう我慢出来ない。
 もう、指が……我慢出来ない。
 んんんんんんっっっっ!!!!!
……ああ……まただ、……また、ちょっと触っただけで、イっちゃいそうになるっ!!
 いやっ! ひとりでっ! ひとりでなんてイキたくないっ!!
 遼くんっ、 助けてっ!

「『昨日、那須神社で……ぐううぅぅっ……はぁっ、はぁっ、はぁっ、……スケキヨの手形を……んぐっ!!……手に……入れた……ぁぁぁぁ……、あの、奇妙な仮面を被ったお、と、こ、に……ぅぅぅぅぅ……!!』」
 んふふふ……遼くんも、またまたイキそうになってるよぉ。
 一緒にイこっ!
 ボクと一緒にイっちゃおっ!!
『イク時は一緒に』 
 それが、ボクが制定した“遼くん刑法”の第5条だもんねっ?
 ああああ……もう、限界ぎりぎり……っ!
 じゃあ、じゃあ、いくよっっ!!
 ボクは、リモコンのつまみを最強にした。
 
 遼くんは、膝から崩れ落ちた。
 のけぞり返り、一瞬天を仰いだ遼くんは、教科書を取り落とし、そのまま脱力して床に膝をついた。
「おい柴田、どないしたんや? オイ! しっかりせえ!?」
 嬉しい……。遼くんも……イってくれたんだね……。
 ボクもイったよ。そんな、美しいまでにブザマなキミの姿で、あそこが音を立てるくらい感じて、……そのままイっちゃったよぅ……。
「……はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、……」

「おいシバ遼、マジで大丈夫か?」
「体調悪かったの、お前!?」

 まずい。
 遼くんがいきなりぶっ倒れたもんだから、先生やクラスのみんなが、騒ぎ始めた。
「先生、柴田君を保健室まで連れて行きます」
 そう言うや否や、つかつかと寄ってきて、遼くんに肩を貸そうとする女。
 おい、ちょっと、アンタ、―何やってんのよ!? ヤマグチィィィィ!!!!


160:やや地獄な彼女
07/02/08 17:48:58 /slmpppJ

「山口? お前確か……?」
「はい、この組の保健委員です。あたしが柴田君を保健室に連れて行きます」
 ヤマグチィィィィ!! 何ボクの遼くんに勝手に触ってんのよぉぉぉ!!!!
「そやな。ほんならちょっと、頼んでええか?」
「分かりました。―じゃ、行きましょう柴田君」
 そう言ってヤマグチの不潔な手が遼くんに触れた瞬間、彼はびくりと身体を震わせ、ボクを見た。おそるおそると。
「……柴田君?」

 遼くんのその怯えた眼を見た瞬間、ボクは一目でわかったんだ。
 ああ、遼くんは‘正気’に戻ったって。
 そうだよ。
 そうだよね、遼くん。
 キミだってイヤなんだよね? こんな腐れゾーキンみたいな女の手を借りて立ち上がるなんて。そんなのキミのプライドが許さないよね?
 分かってる。
 キミがどれだけ誇り高い人か、そんな事はボクが一番分かってる。
 だってキミは、もうボクのものなんだもの。
 いくらヤマグチが“元カノ”だっていっても、今じゃ単なるベンジョムシ。そんなムシケラに触られるのは、耐えられないよね、遼くん?
 
「ヤマグチさん」
「……なに、落合さん?」
「柴田君はボクが連れて行くよ。委員長を助けるのは、副委員長のボクの役割だからね」
 そう言ってボクが手を差し出すと……遼くんは俯きながら、その手を取ってくれたんだ。

 ぎりっ!!
 その瞬間、ヤマグチの歯ぎしりの音が聞こえた気がした。
 だけど、無視。
 ムシケラだけに無視。
 んふふふ、だめだよ、そんな物凄い眼でこっちを睨んでも。
 ばかだなぁ。ボクと遼くんの間には、もう1ミクロンも隙間なんか無いっていうのに。
 ボクは、勝利の微笑みでヤマグチを軽くいなすと、遼くんを連れて教室を出た。
「いい子になったね、遼くん。……ご褒美はなにがいい?」
「……」
「んふふふふ……遼くんは本当に遠慮深いなぁ。それじゃあ、これから人気の無いところで、たっぷり可愛がってあげる。それでいいかい?」
「……うん」
「じゃあ、せめて場所くらい選ばせてあげる。どこがいい? 体育倉庫? 旧校舎裏? 音楽準備室? それとも屋上?」

(続)


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