07/01/24 00:02:10 IDBjrttM
―圭一サイド―
(魅音…どうして…?魅音だって、それを望んでいたんじゃないのかよ!?)
すっかり湯気が消えた風呂場で俺は立ち尽くしていた。
背中についた水滴はすでに乾いていて、それに伴いゆっくりと体温が下がっていくが、頭の中はそれどころじゃなかった。
(結局、俺の勇み足だったってことなのか?
まぁ、あとで一応謝っておくか…このままじゃ学校で何言いふらされるかわからねぇし!)
温度差が激しい脱衣場で浴衣に着替えてから、部屋に戻る途中で居間の電気がついていることに気がついた。きっと魅音だ。
「魅音…いるのか?」
おそるおそる手を伸ばし、襖を開け、中に入る。
ストーブが付いていたので寒くはないが、さっきの後ろめたさも手伝って少し鳥肌が立っていた。
「…っく…ひっぐ…」
暗がりの中こっちに背中を向け、同じく浴衣姿の魅音がすすり泣いているのが見える。少し、ショックだな…。
魅音はドアの音でこっちに気付いたのか、袖で顔を強く擦り、立ち上がる。
「あっ…圭ちゃん、お風呂上がったんだね!今布団ひくから待ってて!」
「え?あ、あぁ頼む。それより、魅…」
魅音が俺の言葉にすばやく反応し振り返る。
「ん?なに?もしかしてさっきの事??お、おじさんあんなの全然気にしてないから!むしろ、おじさんが変な事言ってたしね!あはははは」
…ウソだな。あんな魅音、今まで見たことないぜ。
当の魅音はそんなことはもう忘れた、といわんばかりにドタドタと俺の部屋へ行って押入れから布団を出し、勢いよく広げる。
「さぁさ、圭ちゃん!どうぞ横になってごらんよ!
コレね、結構高価な布団なんだよー!お客さんが来たときにはこれを出すのが園崎家のしきたりってわけ!」
なんだかすっかりいつもの魅音だな。もしかして、お気遣いは無用ってことか?それは俺にとって、願ったりかなったりだが。
なぜなら、あれから俺の頭はずっと魅音と一夜を共にすることだけになってしまっているし、
それにもしあれがなかったことになるなら、さらに親密になるために考えがないわけでもない!
そう思い、さっそく軽いジャブから打ち込む。
「ふぅん…で、魅音は俺と一緒に寝ないのか?」
プシュ~!と湯気が出ると同時に、魅音の顔が少しづつ赤くなっていった。ホント、面白いくらいこっち方面には弱いな!
「け、圭ちゃん…そ、それはおじさんと一緒に寝たいってこと?でっ、でもお、おじさんね、寝相が悪いから迷惑かけちゃうとおもうけどなー!あはは」
はは、照れてる照れてる!もういっちょダメ押しに…
「いや、俺はいつも魅音と一緒に寝たいと思ってた!そして今日こそ、長年の夢がかなうと信じてるんだぁっ!だから、今日だけ一緒に寝ようぜ?
それに…もし、魅音が泥棒に襲われても、すぐに助けてやれるだろ?」
俺はそういいながら魅音の頭に手をかけ、なでなでしてやった。
そのとき、ぼん!という音が俺には聞こえた気がした。
「ふぇ…うん、いいよ…」
魅音の口から聞かされるOKの言葉。
よし!まず第一段階!これでトロンとした目つきの、すっかり乙女モードに入った魅音の完成だ!
俺は敷いてあった布団をたたみ、新たに押入れから一段階上のサイズの布団を出す。
「って、圭ちゃん!?一緒にって…同じ布団ってことだったの!?」
今更というべきか、理解の甘さか、魅音はシングルということに驚く。
「当たり前だろ?ちゃんとそう言ったぞ?」
本当は微妙にごまかしてたが。
「圭ちゃんと同じ布団…けいちゃんとおなじふとん…ケイチャントオナジフトン…」
魅音は敷かれた布団を前に、経文のように同じ言葉を繰り返す。
どうやら、ウブな魅音は俺と同じ布団というだけで妄想の世界に入っちまったようだ。
それでこそ、ヤリがい…じゃない、可愛がいがあるってもんだ。
「ささ、早いトコ布団に入ろうぜ~!暖まった体が冷えちまう!」
えと、一応これで今日の分はおわりですーw
次からいよいよエチパート。ただし、エロ描写は得意ではないんでご了承くださいー