07/02/12 23:55:10 J0wke9CL
はー、と短く息を吐いた。
懐かしい匂い。景色もあまり変わっていない。
興宮の高校に通うのに毎朝行き来は面倒だから、と寮に住み始めた。
仲の良い友達も出来て年末年始すら雛見沢には帰ってきていない。
それ程距離は離れていないにしろ、
興宮のような雛見沢より便利なところは慣れると出て行きづらい。
やがて俺はその高校も卒業し、
大学も考えたがこの地元を離れ辛いのもあったので親の手伝いでもするか と雛見沢に戻り
今、色々なことを思い出すようにとぼとぼと雛見沢を歩いているわけだ。
あのひぐらしが五月蝿く鳴いていた6月。
「あの頃は色々あったもんなあ…。」
レナの父親の愛人の殺害。
俺達のその目撃、魅音の死体移動。
レナの学校篭城事件…。
あれからレナには会っていない。
何処かの精神病院にいれられているとか、千葉に帰ったとか
色々な噂は聞いているが事実はよく知らない。
魅音や詩音、梨花ちゃんや沙都子も首を振るばかりだったし、
別段知りたいとも思わなかった。
だから俺達はそれを余り深く考えることなく、
最初こそは気まずかったがその内…魅音の額の傷が完治したころ
放課後の部活も再開し、
いつもニコニコと笑うレナの存在をどこかで求めつつも
それを手にいれることはなく、高校に入学するに従い沙都子達とは別れる事になった。
魅音も今は園崎本家の頭首として居座っているし皆過去の事は振り返らず 前を向き進んでいる。
だから今日の魅音主催の部活メンバーでの再会は俺もとても楽しみなものだった。