ひぐらしのなく頃に Part.5at EROPARO
ひぐらしのなく頃に Part.5 - 暇つぶし2ch279:綿流し前日
07/02/01 23:33:15 HFcCGsa1
私は教室で、授業中沙都子に算数を丁寧に教えている悟史の背中を見ていた。
色素の薄い髪が、窓からいっぱいに入り込んでくる陽の光に照らされて、もともと静かで儚い悟史の印象を、更に希薄なものにしている。
不意に詩音の言葉が脳裏に蘇る。
『お姉には分かるまい、この気持ち』
私は目を伏せた。
「魅ぃちゃん、このプリント宿題だって」
視界にぬっと白い手が伸びる。掴んでいるのは数式が並んでいる紙切れだ。私はそれを顔を上げずに受け取った。
「さっきからずっと、悟史くんの方を気にしてるね」
そこで私は初めて顔を上げた。レナが穏やかな微笑みを浮かべて私を見ていた。
「悟史くんが心配?」
「……うん」
私は素直に頷いた。
悟史の周囲を取り巻く空気は、普段なら穏やかなものだったはずなのに、最近のそれはひどくぴりぴりしていて、緊張感を孕んでいる。
原因は知ってる。沙都子の誕生日プレゼントのために最近始めたアルバイトだ。
時給は良いが、仕事内容はとてもハードなバイト。今日も悟史はそれに行くのだろう。
「でも、しょうがないよね」
レナの唇から、まるで吐息のように、その一言が零れた。悲しいけれど、その通りだ。
疲労が悟史の目の下にクマを作り、表情を暗いものにしている。
けれど私には悟史の疲労を取り除くことは出来ない。出来るのは、親戚のツテでバイトを紹介するぐらいだ。
私は無力だ。
友だちの心を楽にしてあげることすら、出来ない。


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