嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その27at EROPARO
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その27 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
07/01/22 21:46:28 HXCgtSfB
>>1乙!



3:名無しさん@ピンキー
07/01/22 21:53:10 RMvocdij
■関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第16章
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4:名無しさん@ピンキー
07/01/22 21:53:53 RMvocdij
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちら(URLリンク(yuukiremix.s33.xrea.com))へどうぞ
スレは作品を評価する場ではありません

5:名無しさん@ピンキー
07/01/22 21:59:24 12tIUXhd
==========一時停止==========

6:名無しさん@ピンキー
07/01/22 22:33:58 sXcPKANe
>>3-4




>>1
( ゜д゜) ポカーン
(つд⊂)ゴシゴシ

(;゜д゜)

(つд⊂)ゴシゴシ
 _, ._
(;゜ Д゜) …?!


7:名無しさん@ピンキー
07/01/22 22:34:54 9kixZ+AB
==========一時停止==========

8:名無しさん@ピンキー
07/01/22 22:37:26 NxxdFOBH
ひとまずスレの一周年おめでとう。

9:名無しさん@ピンキー
07/01/23 14:10:08 6zwSdDZP
>>3-4
乙です

ヤンデレの次スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part2
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10:名無しさん@ピンキー
07/01/23 18:11:37 Ttwv3Tfk
保守っとくか

11:名無しさん@ピンキー
07/01/23 19:28:16 WCPaT6YA
で、神はまだこの世に光臨してくれないというのか!!

12:名無しさん@ピンキー
07/01/23 19:45:47 pMFArWeS
>>3、乙ー彼ー差ーん

見逃し無いよう、こっちにも貼っとく。

スレッドのタイトル案について以下で投票を実施中

URLリンク(debumoja.blog90.fc2.com)

※注意※
・一人につき一票。投票期間が2007/2/11までになっているが、
 27スレが460KBに到達した時点で開票。投票はお早めに。
(私の彼氏なんだから、ほかの雌豚に目移りしちゃダメだよっ)

・「語呂合わせ」>「素直に連番」だったら語呂に決定。
 「語呂」<「連番合計」だったら連番系の中でトップのものに決定。 以降のスレはそれに従う。
 (ずっとずっとずぅぅっと死ぬまで、ううん、死んでも一緒にいてね)

・文句を言う前に投票、投票したら文句は言わない。
 (ううっ、ぐすっ、別れるなんてそんなひどい言葉、聞きたくないよぉ!!)

あと、頼りっきりで申し訳ないですがが、開票時の取りまとめは前スレ>>860お願いできますか?

13:名無しさん@ピンキー
07/01/23 19:58:23 xEQJWQgY
キャラクター個別の話よりも音姉と由夢の日常描写で萌える俺は異常ですか?
まあ、今回のFDを出した後でもキャラクター個別のFDでちゃんとしたゲームを作るって手がある
Fateのファンディスクのようにさくらを中心にした新しい物語を設立するのも悪くない
別にダ・カーポ1で音夢と純一の結婚式をやってもいいわけで


なんでもありだな断腸

14:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:00:50 Ddjdcaea
誤爆・・・?

15:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:01:34 xEQJWQgY
普通にダ・カーポスレと間違っているしwwwww
誤爆だ


嫉妬した女の子に刺されてくる!!

16:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:05:28 kTqks1Lt
その後>>13の姿を見たものはいなかった……
>>1

17:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:06:12 kTqks1Lt
書き忘れ>>3-4乙です

18:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:06:59 EbH89jIT
まあ、ダ・カーポ2のように朝倉姉妹が黒化して
主人公を逆レイプする展開は俺は大好きなんだけどねw

19:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:13:37 j+cMjQkK
なんかもう27スレが、薄幸の美少女にしか見えん…

20:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:16:37 bYCtaPEW
>>18
「あら。言ってくれればいつでもしてあげるのに・・・」

21:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:17:04 IwikUdz6
>>3-4乙です

22:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:17:14 LSqEQ80P
このスレが主人公に殺される薄幸の吸血鬼と同類と思える俺は、月厨。

23:名無しさん@ピンキー
07/01/23 20:24:05 EbH89jIT
いたり先輩が俺の中では圧倒的な萌えキャラになっている・・
疾走を原作にした4コマだとさぞかし萌え死ねるだろうねw

24:名無しさん@ピンキー
07/01/23 22:19:41 fzH8Kh8m
26がいいならそう言えばいいじゃない。
言わないってことは27の方が大事ってことだよね!
ずっと離さないよ

25:名無しさん@ピンキー
07/01/23 22:28:59 +Vmh4y+/
てか、お前ら
神が投下できない空気とか作るなっての
どこに投下するか迷うだろうに

26:名無しさん@ピンキー
07/01/23 22:47:16 1Uws0itN
ふふふ、そうだね…だったら26ちゃんを埋めちゃえばいいんだよ
そうすれば七誌くんだって…

27:魔女の逆襲第8話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/23 23:12:10 dn3XZ92K
りぃん。
りぃん。りぃん。

 夕暮れ。
遠くに伸びる早百合と良樹の影。
幼い早百合と良樹が手をつなぎ歩いていた。
「ほら、さゆりちゃん。もうすぐでおうちだよ」
「…うん。わかってる…」
「そろそろ泣き止んで。泣きながらおばさんに謝ったんじゃかっこわるいでしょ?」
「…うん」
 ぎゅっと手を握る。
 母親に謝りに帰る途中の道だった。
 いつも通っていたお地蔵さんの前を通る。腰の曲がったおばあちゃんが熱心にお地蔵さんの前で何かを拝んでいた。
「二人で謝れば、きっと許してくれるよ…」
「えぐっ…。一緒に謝るよね?」
「そう。一緒にだよ」
 ぎゅっと手が握られる。それだけで早百合の心の中は安堵感でいっぱいだった。この帰り道が永遠に続けばいいのに。
二人で歩く道は茜色に染まり、二人の影は長く伸びてコンクリートで固められた歩道に大きな姿を映した。
 涙を拭きながら歩く早百合と手をつなぎ励ましながら引っ張る良樹の姿。まるで微笑ましい兄妹ような姿。そう見えるだろう。
「…一緒…だもんね」
「うんっ」
早百合はようやく泣き止んだ顔を手でこすり、前を歩く良樹の姿を見た。青色のTシャツを着た良樹は早百合を引っ張って堂々とした様子で歩を進めている。
ちょっと前までは同じぐらいだった良樹の背丈も、成長期だからかみるみるうちに伸びてき、気が付けば早百合の身長を追い抜いていた。自分より少しづつ高くなってゆく良樹の後姿。
 いや、自分よりはるかに高い。瞬きをすればすほど良樹の背はどんどん高くなってゆく。
 良樹はどんどん変わってゆく。後姿の良樹はどんどんと大きくなっていき、握った手と指はがっしりと角ばってゆく。
 あっというまに小学生だった良樹の姿は、織姫高校の制服を着た高校生の良樹へと変化した。
「…よしきくん?」
 早百合は突然の良樹の成長に驚き、おもわず彼の名前を口にする。
 良樹の顔は見えない。ただ、早百合はこの成長した良樹の姿をなぜか知っていた。
 自分の小さな手を握り締める良樹。
手を話さなかったのは、いまこの手を離したら良樹が、もしくは自分の体が魂となって消えてしまいそうで怖かったからだ。
「さゆりちゃん。おうちについたよ…」
 良樹の声。口調…早百合への呼び方は幼少の良樹のままだが、その声はその姿相応に低い。
 着いた先は自分の家ではなく、なぜか良樹のマンションの前。良樹は早百合を手をつかんだまま、無言でそこで立ち止まる。
 急に早百合の感情の中に孤独感が溢れる。
「い…いっしょ……一緒だよ…? 一緒…」
 気が付けば早百合は傷ついたレコードのように「一緒」という言葉を繰り返していた。その言葉を言うたびに早百合の心の孤独感はカビのように黒く増えてゆく気がして、早百合はさらに恐怖する。
 早百合は返事を待っていた。今、良樹が振り向いて笑顔で「ああ、ずっと一緒だよ。早百合ちゃん」と肯定してくれれば、自分はどんなに楽になるだろうか。
 お願いだ。私を救ってください。
「兼森良樹」
 え?
 聞きなれた声が早百合の耳に響く。
 マンションの前、植え込みの傍から一人の少女が現れた。
 セミロングの伸びた髪で、首に巻いたペンギン柄のマフラーを風になびかせ、良樹に近づいてくる冬服の美少女。
 織姫高校の魔女こと、魔女っ子こと、紅行院しずるだった。
 なぜか小学生の早百合にもわかった。
 え? 何故こんなところにしずるさんが?
 不意に、良樹の手が離れた。握っていた左手が空を掴む。
良樹が早百合の手を振りほどいたのだ。振りほどき、しずるのそばへ走ってゆく。
「え…」

28:魔女の逆襲第8話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/23 23:13:48 dn3XZ92K

「やぁ、兼森良樹…」「しずるさんっ、どうしたんですか…こんなところで」「なにちょうど君と…」「そんな…」「…」「…」

握られた手が離れていたとき。ちょうど早百合が住む世界と、良樹の住む世界がきっぱりと別れたような気がした。
つないでいた手は唯一の通信手段。早百合の小学生の世界と良樹の現在の世界との架け橋。それが途切れた。
その瞬間、彼女の居た夕焼けの世界が崩壊を始めた。
「!」
電信柱はぐにゃりとひん曲がり、茜色の空はジグソゥパズルが崩れたように闇へばらばらになってゆく。鳥の鳴き声、車の雑音、すべてが音もなく消えてゆく。
「よしきくん! 助けて!!」
 早百合は目の前に居た良樹に助けを求めた。
 崩壊する世界は早百合の背後に迫り、早百合の視界までも奪ってゆく。
 しかし、目の前の良樹は気付かない。しずるもまるで早百合のことなど見えないかのように、二人は楽しく話している。二人の世界は明るく、そしてまぶしかった。
 対して早百合の世界はどんどんと闇に変化してゆく。この闇に飲まれると、二度と良樹と会えない。なぜかそう感じる。
「よしきくん! 助けて! 良樹! 私を一人にしないでよぉ!! いつも一緒だって約束したじゃないぃぃ! ひとりはいやぁぁぁぁ! よしきぃぃ! たすけてぇ! よしきぃぃぃぃぃぃぃ!!」
 大声で叫ぶ早百合。必死で、切実で、そして奇声まじりの金切り声。
 それに気付かず談笑する良樹としずる。
 もはや彼女の切実な声など聞こえはしない。早百合の頭が完全に闇へととりこまれた。
 薄れゆく景色の中で、暗くなってゆく視界の中で、最後に早百合が見たのは

「んちゅぅ…」

 自分で擬音を出して、良樹と唇を重ねる魔女の姿だった。

 りぃんりぃぃん。

燕尾色の鈴が見せた夢は早百合の精神を大きく揺さぶっていた。
 鈴の音が響くたび、彼女の頭の隅にある忘れていた記憶を掘り起こされ、夢として早百合を責めたてる。
早百合は鈴が作り出した、想いの監獄に囚われていた。
無意識下に響く鈴の音。まるで早百合に何度も囁きかけているようだ。
しずると良樹が愛し合う姿をお前は本当に見たいのか、と
あの雌鴉に最愛の人物を奪われて良いのか、と。

 りぃぃん りぃぃん りぃんん
 りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん

「嫌な夢だわ…」
 ベッドの中で目が覚める。見えるのは変わらぬ天井。
 ぐっしょりと布団がぬれていた。寝汗が下着にくっついて気持ち悪い。
 早百合は体を起こそうとして、突然の頭痛に頭を抑えた。
「頭がぐらぐらする」
 もうすぐ、母親が起こしに来るだろう。
 起きて着替えなければ…。
 ふらふらの意識のままベッドから這い出し、パジャマを脱いだ。
 体は熱く、ふうふうと垂れる汗がべっとりと衣類を濡らしている。
 部屋のスタンドミラーの前に立つと、寝癖はぼさぼさ、目はとろんと下がり真っ赤な頬をした自分の姿が写った。
 とりあえず制服に着替えねば。パジャマを脱ぐ。そのまま畳まずくしゃくしゃのまま床へ。
同時に肌にくっついたブラジャーも脱ぐ。自分のお椀形の胸が露わになった。小ぶりに張ったおっぱい。あと数年すればこの色気の無い胸も小さいまま垂れてゆくのだろうか。
 濡れて青が蒼色になったショーツも脱ごうとして…、
「あれ?」
 スタンドミラーの前に自分の携帯電話が置かれていることに気付いた。
「……」
 こんなところに置いたっけ?
 床に置かれた自分のコバルトカラーの携帯電話。ストラップにはしずるからもらった鈴が付けられている。
 しずるは床に置かれた携帯電話を手に取った。りぃんと鳴る鈴。
「…」
 なにか不自然に早百合は感じた。

29:魔女の逆襲第8話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/23 23:14:28 dn3XZ92K
 何気なく携帯電話を開いてみる。ディスプレイにペパーミント調の女の子のイラストが表示された。昨日、良樹とさやかに教えてもらいダウンロードした壁紙だ。(最初はねねこに聞いたのだが、パケ代を無駄にしただけだった)
 さらにその上にデジタルで時刻が表示される。
 午前10時15分。
「え? 午前10時15分って…!」
 今日は土曜でも日曜でもない。普通の平日だ。
「が…学校! やばい! 寝てる場合じゃない!」
 二時間目が終わりそうな時間っ。しまった、完璧に遅刻だ!
「お母さん! お母さん!」
 慌てて二階の自室から飛び出した。
 廊下に出ると、火照った体にひんやりとした風が当たる。
 階段をだんだんだんと音を立てながら下りて、台所へ。どうして起こしてくれなかったんだっ!
 一言母親に文句を言おうと、台所の入り口にかけられたすだれを開けて中に入る。
 台所には誰もいなかった。…そりゃそうだ。この時間は母親と父親は仕事に行っていていつもいない時間だ。ということはこの家にいるのは自分ひとり?
 慌てて自分の部屋から飛び出したからか、早百合は汗で濡れたショーツ一枚のままだった。まぁ誰も居ないし。体が熱くて裸のほうが涼めて気持ちがいいし。早百合は特に気にしない。
 ふと、台所のテーブルの上を見ると、小さな鍋と薬瓶がある。母親が100円ショップで買ってきた一人なべ用の小さい土鍋と市販の風邪薬だった。
中を開けると母の作ってくれた雑炊が入っていた。白菜とニンジンと米を白だしで炊いた簡単なもの。
別に家族ゲームの家庭のような家族じゃないから、こんな個人用の鍋家族で使うわけ無いと思っていたが、こういうときに使うのか。
 鍋とテーブルの間にメモ用紙が挟まっていた。いつも使う広告の裏の白い部分を短冊状にして再利用した母親特製の貧乏性メモだ。昔は早百合も手伝いで作ったことがある。
 メモには母の字で簡単に内容が書かれてあった。すでに学校に休みと連絡していたこと。雑炊は楽になったら自由に食べてもいいこと。母はいつもの時間には帰るということ。昼3時にやるドラマの再放送を覚えてたら録画してほしいこと。
 だんだんと記憶が定かになってくる。たしかに今日の朝、一度起きていた。朝食を食べようとしてたらだんだんと頭が熱っぽくなり……そこから意識が途切れている。眠った自分を母親が運んでくれたのか。
 なんだか、最近は昔のことを思い出したり忘れたりと記憶の反流が激しいような気がする。
「そっか…風邪かぁ…小学生のとき以来だわ…」
 なかなか自分が風邪だとは気付きにくいものだ。
 早百合は台所の流しで薬を飲んだ。熱い体に飛び散る水が冷たくて気持ちいい。
ぺたぺたとフローリングの床を歩き、そのままリビングへ。頭はくらくらしているが、一度起きたときよりだいぶ楽になっている。
 リビングに入る。そのまま新聞を見ようとしてコタツに入る。コタツの電源は切れていたが、まだ温もりが少々残っていて早百合の火照った体にはちょうどいい。
 コタツの上にあった毎日新聞を手に取った。一面トップにある芸人の写真。県知事に当選と書かれている。
「ふぅーん……東がねぇ…」
 特に何も感じない。
 早百合はコタツに体をつっこんでごろんと横になった。
 早百合の肌に直接当たるコタツ布団。裸で布団に入るのはこんな感じなのか。なかなか妙な感じだなと早百合はひとり呟いた。
 そこへ、眠気が襲ってくる。
 コタツで寝ると風邪を引く。母親から口をすっぱくされて言われていた早百合は、のそのそとコタツから這い出ると、リビングを出、階段を上り、自分の部屋のドアを開け、中へ。
 床に散乱し、くしゃくしゃになったパジャマをひろって着ようとしたが。
「あー…だるい。眠い…」
面倒くさくなって、ショーツ一枚のままベッドに倒れこんだ。早百合はそのまま羽毛布団を簀巻きのように体に巻く。
ベッドで芋虫のように丸くなると、早百合はまぶたを閉じて、一瞬で眠りについた。
りぃん。
 早百合の携帯電話に付けられた燕尾色の鈴が、静かに一度だけ鳴った。

30:魔女の逆襲第8話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/23 23:15:17 dn3XZ92K
 りぃん。

 織姫高校の自分の教室で、
 早百合は良樹たちの姿を眺めていた。しかし、見えるのは良樹やねねこ、さやか、恒、三郎、クラスメイト達の頭。
早百合は教室の様子を天井から眺めていたのだった。
 誤解しないようにしておくが、早百合が天井に張りつける芸当は持ってはいない。彼女は蝙蝠でもスパイダーマンでもエイリアンソルジャーでもゲンバリングボイでもない。
 早百合はまるで空を飛ぶかのように体が浮いて、天井から教室の様子を眺めていたのだ。幽体離脱で自分の体を眺めている状態…と思っていただければわかりやすいだろう。
「これは…夢…?」
 早百合はなぜか今見ているこの光景が夢だということを自覚することができた。
 クラスメイトたちは頭上に浮かぶ早百合に気付くことなく会話を続けている。

「良樹ぃ。お見舞いに行くのかにゃ?」と、恒。
「そうだよ」と、良樹がかえす。
 ここで、ねねこがにやにやしながら良樹を見て言う。
「良樹君がお見舞いに行ったら早百合ちゃんすぐ元気になるねっ」
「おおぅ! らぶらぶぱわーで風も吹き飛ぶのかにゃっ!?」と、恒。
「そうそう!」ねねこが笑いながら恒に言う。
 そこで、良樹。ねねこの頭をくしゃっとして、苦笑しながら言う。
「そんなんじゃないよ。今日の課題渡すついでみたいなもんだよっ」

「ついで…か…」
早百合は小さく呟く。まぁ、そうか。魔女という恋人がいる良樹に私に対するラブラブパワーなんてあるわけないしね…。

「ついでなの?」と、ねねこが不満そうに良樹に言う。
「みたいなものだって。それに、あいつとは…」

「「幼馴染」」

 早百合と良樹の言葉が重なった。
「幼馴染…か…」
 自分の自嘲するような呟きとともに彼女の意識はまた落ちていった。

りぃんりぃんりぃん。
(続く)

31:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/01/23 23:17:06 dn3XZ92K
第8話です。またもや予定より長くなりそうな気配。
これからエロパートとHP用の通常パート書かないといけないとなるとまたくじけそうです。
皆さんの反応が製作の糧となります。ここおかしくね?などございましたらご指摘ください。
現在、絵師にしずるさんの絵を依頼中。

32:名無しさん@ピンキー
07/01/23 23:34:05 l26owqnY
GJ!修羅場の!へんりん!へんりん!にゅうりん!

33:名無しさん@ピンキー
07/01/23 23:34:51 +Vmh4y+/
これはことりの悲しみ!
 ( ‘д‘)彡☆))Д´) 音(r

これは遥の恨み!
 ( ‘д‘)彡☆))Д´) 水(r

これは霧の憎しみ!
 ( ‘д‘)彡☆))Д´) エ(r

そして、これが楓の怒りだ!!!
 ( ‘д‘)彡☆))Д´) 亜(r


34:名無しさん@ピンキー
07/01/23 23:54:27 IwikUdz6
GJ!幼馴染の嫉妬や独占欲はタマランな

35:前スレ860ことデブモジャ
07/01/23 23:55:32 QR/l5+M2
>>3-4    >>12
乙だぜ。  了解。まとめ乙なんだぜ。

>>31
修羅場の香りがすこしづつしてきたんだぜ。毎日GJ!

36:名無しさん@ピンキー
07/01/24 00:31:52 p6wP0UZ2
GJです!
しずるさんがとてもよろしいのに早百合を応援してしまうぜ

37:名無しさん@ピンキー
07/01/24 00:40:31 FW2N5qeX
GJ!
早百合の独占欲に惚れた

それと前スレ埋めネタもGJ愛の押し入り強盗っ子は最高でつね

38:名無しさん@ピンキー
07/01/24 07:50:03 S6jVvqli
これからの時代は娘萌えか・・・

39:名無しさん@ピンキー
07/01/24 11:49:04 jRZfo3cX
1.突然の引越しによって引き裂かれた中学生カップル。

2.まだ携帯やメールどころか、インターネットですら一般的ではなかった時代。
  主人公の男は歳を追う毎に恋人の事を忘れていった……。

3.主人公、三十路目前。
  会社の後輩と良い感じの仲になり、結婚を考え出す。
  そこに現れる、自称「娘」。

4.薄れた記憶を頼りにかつての恋人の足跡をたどる主人公。

5.たどり着いた一基の墓……。
  振り返れば、娘がいた。
  「母さんは、あなたが迎えに来てくれるって信じて待ってたのに」


うはw
『DADDY FACE』や『BrokenFlowers』みたいに
「実は子供がいました」みたいなシチュって萌える。

40:名無しさん@ピンキー
07/01/24 14:32:22 S6jVvqli
>>39
私の頭ではどうやってもBADENDしか想像できません。
本当にありがとうございました。

というか、5で既にBADENDかw

41:名無しさん@ピンキー
07/01/24 16:07:14 3JzsoZJ8
嫉妬スレも終焉が近付いてきたな
さあ、こっちに来い

ヤンデレの小説を書こう!2
スレリンク(eroparo板)

42:名無しさん@ピンキー
07/01/24 16:23:16 DDF6wFO/
>>39
「DADDY FACE」は俺も好きだぜ。特に、自分に主人公の血を取り込もうと実の娘に襲い掛かるヒロインとかw

43:名無しさん@ピンキー
07/01/24 16:55:25 nIa1Q3Ra
>>39
6.男は娘に謝罪し、会社の後輩と別れ、娘と一緒に暮らし始める。
7.ぎこちないながらも、徐々に親としての自覚に目覚める男。
それに反発しながらも、早くに母を亡くした為か、初めて無償の愛情に触れ、軟化していく娘。
8.そんな時、会社の後輩は偶然ある事実を知る。
実は娘は男と別れた後に、他の男にレイプされて出来た子であること。
その事件のせいで正気を失った女が、男の娘であると思い込んでしまったこと。
それをネタに後輩は娘に迫るが、娘の中に生まれたのは暗い喜悦の感情だった。

44:名無しさん@ピンキー
07/01/24 18:49:30 O1EAT94o
>>43
それすごく読みたい

45:トライデント ◆mxSuEoo52c
07/01/24 19:00:56 BSujsQX/
では投下致しますよ

46:水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c
07/01/24 19:03:08 BSujsQX/
 第16話『勝敗』


 ふはっはははっはははっっはははっははははは。
 笑いを堪えるのがこんなに辛いと思ってもみなかった。
 
 計画通り!!

 嫉妬に狂った虹葉姉と紗桜がどういった手段で鷺森家に仕掛けてくるのは大体読めていた。
宅配ピザに毒物を仕掛けて俺と音羽が二人とも食べてしまい、食中毒を引き起こすのが二人の本来の策だったんだろうが。
俺はすでにその怪しい宅配ピザの従業員が紗桜か虹葉姉だとすでに見抜いていた。
シスター役の虹葉姉が宗教勧誘を装い、救急車を呼んで病室で過剰な看病で俺を病室に閉じ込めようとする。
いや、天草月を監禁して外部との接触を遮断することがことが目的なのだろう。

 それが虹葉姉と紗桜の策。

 異常な家族愛が求めるのは束縛されて依存だけの生活。
そこには、二人以外の異性の存在は許さず、ただ激しい独占欲で俺の存在を檻のように閉じ込めてしまう。

 これは聖戦。
 天草月と水澄虹葉や水澄紗桜による自由と束縛を懸けた戦いなのだ。
 きっかけはエロ本に過ぎなかったが。
 三人が抑え切った抑圧が一気に噴射したのだ。

家族であることに疲れ、単純に男と女の依存関係の枠に収まることを本能的に行動している。
ゆえに俺はそこから抜け出して自由の一歩を踏み出す必要があった。
 姉妹に対する気持ちが愛や恋という感情が芽生えているかどうかがわからない。
 ただ、これは俺の我侭。
 今まで築いてきた家族の再確認。俺は彼女たちに恋をしているのか?
 それが知りたい。

 ただ、虹葉姉と紗桜に勝利しないと待っているのは永遠に堕落した生活が待っているのだ。
今までの惰性した生活を送る。
それはもう嫌だ。

 本来の策が失敗した以上、姉妹は俺が鷺森家に同居している証拠を音羽や俺に突き付けるだけで確実に勝利する。
だから、二週間以上じっくりと時間をかけてコスプレ衣裳を仕上げて来たのだろう。
その姿で俺が思わずツッコミを入れてしまうことを期待して。
 更に呆れた音羽の隙を突いて、無理矢理不法侵入して俺がこの家にいる痕跡と証拠さえ掴んでしまえば、
姉妹特権で俺をおしおきする権利が与えられる。家に帰れば、その題目で思う存分に操られるだろう。


47:水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c
07/01/24 19:05:17 BSujsQX/
 だが、甘い。

 まさか、俺が直接自分自身に細工を仕掛けるなんて虹葉姉と紗桜も予想していなかっただろう。
 虹葉姉と紗桜がコスプレ衣裳を身に纏うことはすでに予想していた。
俺は姉妹の俺に対する依存心を把握し挑発的な態度を取ることで思う存分に煽った。
自分が音羽に洗脳されて監禁されている。絶対に助けなくてはという彼女たちの都合の良い被害者像が作られる。
その焦燥に駆られた感情が法に触れようが俺のためになら、どんなことをしてもいいという結論に導かれる。
 ゆえに音羽の隙を付くためにあの演出と衣裳は必要不可欠であるが、ここにイレギュラーが潜んでいたらどうなるか? 
姉妹たちが予想していなかった第三者の登場。
 それは、鷺森家に暮らしていた第三者の存在が天草月の存在を全て覆ってくれる。

 それが鷺森月花の存在である。

 昨日、俺が音羽に買物を頼んだのは女性用の洋服と下着であった。
 後はかつらや脱毛パックや乳液や美肌クリームや化粧道具etc。

 つまり、俺は鷺森音羽の妹、架空の人物である鷺森月花を演じることによって、
天草月が鷺森家に同居している痕跡と証拠を全て消し去っている。
すでに本来の俺の痕跡はできる限り隠滅し、姉妹の目の前にいるのは俺が演じている鷺森月花が暮らしていると主張すれば
姉妹は鷺森家に俺がいることを諦めるはず。

 まさか、兄と弟と慕っている男の子が女装しているとは想像すらも及びつかないだろう。
いや、可能性があるとしても真っ先に否定するはずだ。

 甘い。甘すぎる。

 花山田忠夫に遥かに劣る。

 しかし、ここに勝つチャンスがあった。
 いや、負けない方法がある。

 花山田忠夫なら相手が女装しているいないにも関わらず、女の子相手なら初対面でも胸を掴んでセクハラ行為をする。
その時点でブラジャーに仕込んでいるパッドの多さで相手が男女がはっきりと確定する。

 別に初対面でもいいじゃないか。
 相手にセクハラをかましても。

 だが、鷺森月花の存在が表舞台に出れば、俺の勝利は確定済み。
後は鷺森月花を綺麗に演じるだけで俺は勝てる。

 これで束縛された生活にさようならだ。

48:水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c
07/01/24 19:08:19 BSujsQX/
「音羽お姉さま、虹葉さん、紗桜さん、紅茶を持ってきました」

 長年の女の子と共同生活を送っていると自然に女の子の言葉遣いの一つや二つぐらい覚えられるさ。
テーブルに置いてあるコップに紅茶を注ぐと俺も三人同様に椅子に座った。
虹葉姉と紗桜から冷たい視線が俺に注がれているが特に問題ない。
 天草月はここにはいない。例え、気付いていたとしても証拠がなくてはただの言い争いになるだけだ。

「いい加減に家の月君を返してくれませんか? もう、二週間も家に帰ってきてないんですよ。
泥棒猫が月君を拉致して洗脳したに違いなんです」
「一体何の証拠があって言っているのか。私にはさっぱりとわかりませんよ。
月ちゃんとは昨日偶然にスーパーで出会って買物しただけですよ。
その後にちょっとだけ月ちゃんが私の家に寄っただけです。被害妄想もここまで来れば立派なヤンデレですよ」

 いいぞ。音羽。
 家主である音羽が天草月がいないとちゃんと主張すれば、黒も真っ白な事実に塗り替えることができる。
虹葉姉は悔しい顔をして唇を尖らせて拗ねていた。猫耳も怒ったように左右にピクピクと動いている。

「そもそも、どうして月ちゃんが家出しなきゃいけないんですか? あなたたちが追い出そうと工作しようとしたんじゃないの?」
「月君は……私たちにエロ本を見つけられたことで。居づらくなって家を出てしまったんですぅ!!」
「エ、エ、エロ本っっ!!」

 音羽が思わずジト目でこちらを睨んでいた。そういや、音羽がどうして水澄家に出る経緯を説明していなかった。
とはいえ、説明すると間違いなく追い出されるからな。

「そのエロ本のジャンルはほとんど姉妹恥辱だったの」
「へぇ……。姉妹恥辱ねぇ……。それは月ちゃんのとんだ変態さんですねぇ」

 声に怒気を篭もらせた音羽はさっきよりも鋭い細い瞳で睨んでいた。
会話の内容次第では虹葉姉側に寝返りするかもしれない。

「そうです。月君は変態なんです」

 少し嬉しそうに頬を赤く染めて虹葉姉は妄想に浸っていた。が、そんなことはどうでもいい。
「兄さんの趣味には困りましたね。えへへ」
 犬耳の紗桜も嬉しそうに尻尾が振っている。更に音羽の不機嫌は増すばかりだし。
もしかして、俺は追い詰められているのか?
「月ちゃんの異常な趣味はともかく。私は今妹の月花ちゃんと二人暮しなんですよ。
遠方から姉を慕って遊びにやってきたんです。あまり、妹の前でそういう会話をやめて欲しいんだけど」
「そうです。身内の方の恥話を女性が高らかに話すことではありません。
男性の方には発情期というものがあり、そういう本を読むことで性欲を発散しているのですから。悪く言うものではありませんよ」

  自分のフォローを女性を演じている月花でしているのは何か違和感を感じるのだが。これはこれで新鮮。面白っ!
  月花の説教じみた言葉に虹葉姉と紗桜の敵意がこちらに向く。彼女たちからすると俺は月を匿う敵だと認識しているだろう。
音羽が自白しない限りは俺の正体が発覚する恐れはない。
 だが、その視線が向けられる意味は俺が思っていたとは違った。

「に、兄さん? 兄さんの匂いがする」
 はい?

49:水澄の蒼い空 ◆mxSuEoo52c
07/01/24 19:11:01 BSujsQX/
「そういえば、月君の匂いが月花さんからするよね」
 待て待て待て待て待て待て。そんなものはありえない。
 体臭なんかで個人を判別できるのは訓練された警察犬ぐらいしかないだろ。
「あはははっ。何を言っているのでしょうか?」
「兄さんの小さな頃から兄さんの下着の匂いを嗅いでいるんですよ。その私が大好きな兄さんの匂いを気付かないと思いますか?」
 いや、明らかにおかしいから。普通の女の子はそんな年頃から男の子の事を意識しないっての。
「つまり、あなたが月君ですね!!」
「何のことかしら?」

 行儀悪く椅子から立ち上がって俺を名指しに指を差す。
俺は優しい微笑を零しながら、内心焦っていた。音羽の協力により完璧に女装したつもりであった。
かつらを被って、女性の服を着衣し、女の子言葉で喋っていれば誰でも簡単に騙せると目論んでいた。
だが、現実はそう甘くない。
 たかだが、俺の体臭ごときで簡単に姿を見破られるとは。ありえない。絶対にありえるはずないだろうが。
だが、思う。数年以上俺の下着の匂いを嗅いできた姉妹は警察犬よりも鼻がきくじゃないのかと?
 とりあえず、落ち着け。
 ここで演じるべきなのは鷺森音羽の妹、鷺森月花だ。

「そんな匂いごときで私を天草月さんだと決め付けるのはちょっと言い掛りにも程があるんじゃないですか? 
裁判所に人の体臭を証拠として提出するには様々な化学的な分析が必要ですよ」
「でも、兄さんの匂いだもん。絶対に間違わないだもん」
 少し半泣きになって紗桜が上目遣いで俺を見つめる。うっ。胸に突き刺さる痛みは俺の良心か。
「月君」
 虹葉姉が俺の手を握って自分の胸に当てる。真剣な眼差しで俺を見つめると優しく笑って言った。
「 捕 ま え た っ !!」
 なぬっ!!
 それは一瞬の事だった。俺の手を離して虹葉姉は俺の背中に腕を抱き締めるように包んだ。
予想外のことに俺は反応が少しだけ遅れた時はもう手遅れであった。
 虹葉姉のどこにそんな力をあるかはわからないが、抱き締められた腕力はそう簡単に引き剥がすこともできずに胸に柔らかい感触が当てられる。

「あっ。ずるいっっ。私もするぅ」

 俺の背中から紗桜が抱き締めてきた。姉妹に裏表抱き締められた俺は逃げる場所なんて存在せずに二人の温もりに心が癒されていた。

「月花さんが月君なら別に証拠とか関係ないもんね。強制的に月君を連れ戻せばいいんだから。後の細かいことはどうでもいいよ」
 虹葉姉と紗桜の非常識さに呆れながらも俺自身の甘さに後悔する。
 いや、普通さ。俺が女装している事を虹葉姉と紗桜が天才的な推理で見破ったりさ。
そういう、お約束的展開がすっきりと抜けてるのはどうよ?
「にゃあ。にゃあ」
「く~ん。く~ん」

 猫と犬がすでに本来の目的を忘れて俺の肉体に甘えるように顔を寄せていた。

「つ・き・ち・ゃ・ん。これは一体どう言ったことかな?」
「俺にもわからん」

 音羽の凄まじい迫力に俺は首を傾げるぐらいしかできなかった。

 こうして、俺の家出の日々に終わりを告げた。


50:トライデント ◆mxSuEoo52c
07/01/24 19:13:05 BSujsQX/
今まで遊びすぎたので
これからは頑張って修羅場になるようにしますww
前半戦終了。

次回から後半戦に突入です

51:名無しさん@ピンキー
07/01/24 19:19:44 MOPkmz6a
トライデント氏キタ━━(゚∀゚)━━ッ!!
次回が楽しみだぜ!!

52:修羅場の神 ◆IOEDU1a3Bg
07/01/24 19:47:22 Qq+wNOji

人間なんて簡単に死ぬもんだと思う。
きっかけも簡単、たった一つの言葉……

「A男とB美、最近仲が良いな」

そんな言葉。
それが全ての始まりにして、すべての元凶。
それは偶然聞こえた誰かの独り言だった。
誰が喋ったのかはわからない、印象にも残らない。
顔も、声も、体格も、全て思い出せない。
だけどその言葉だけはしっかりと私に刻み込まれていた。
そこから先はもう何も無い。
最初は、まさか……と思った。
次に、もしや……と思った。
証拠は無い、根拠も無い、それでももう止まらない。
思考は思考を呼び、次に疑惑を産み出し、殺意を育て、狂気を完成させた。
いったいどれだけ経ったのだろうか?
最後にこんなにも明確な思考をしてから。
いったいあとどれくらいあるのだろうか?
こんなにも明確な思考をしていられる時間は。

「良い魂になったな」

あれはきっと神の声。
決して抗えない、決して逆らえない。
全てが神の思惑通り。
この世に現れた時点でもう詰んでいる。
逃げられない、避けられない、まるで運命。

「その魂……貰った」

心臓から突き出た一本の棒。
たぶんそれは神の槍。
神様にお会いできた事を喜ぶべきか、それとも自分の死を悲しむべきか。
そのどちらでもなく、私は人間なんて簡単に死ぬもんだと思った。
人間なんて簡単に殺されるもんだと思った。

53:シベリア! ◆IOEDU1a3Bg
07/01/24 19:48:25 Qq+wNOji
修羅場スレには天然物の修羅場しかないので、今回は養殖物の修羅場を投下してみました。
元ネタは内緒、ギリシャ神話ではありません。

以下チラシの裏

割と忙しい合間を縫って書きました。
かなり短いのはその影響です。(恋と盲目も平行して書いていますので……)
投下ペースに満ち干きがある私ですが、もうしばらくは「干き」状態になっているかと思います。

54:名無しさん@ピンキー
07/01/24 21:24:20 LdvqcTQQ
>>53
ゆっくり待ってますとも(*´∀`)

55:名無しさん@ピンキー
07/01/24 21:32:52 h4wy9S4d
>50
女装ハァハァ(´Д`;)

>53
(全裸で)待ってますので、ゆっくり自分のペースで頑張ってください

56:名無しさん@ピンキー
07/01/24 21:59:52 768Bxqpd
>>43
ときめきが止まらない

57:名無しさん@ピンキー
07/01/24 22:06:25 51tOMGMW
>>50
これなんて夜神月?


58:名無しさん@ピンキー
07/01/24 22:37:29 6SNOzDLw
こうして職人たちは来なくなるのであった

59:名無しさん@ピンキー
07/01/24 22:56:05 FW2N5qeX
>>50
やはり修羅場っ子は匂いに関して敏感なんだなw
>>53
wktkしてゆっくり待っておりますので、マイペースでどぞ

60:魔女の逆襲第9話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/24 23:27:39 Kl/Dnwx1
りぃんりぃん

 ピンポーン。
 インターフォンが鳴る。
 早百合は自分の体に巻いた羽毛布団に、顔だけ出した状態で目を覚ました。
 カーテンの隙間から差し込む光は、先ほど起きた時の方向とは反対側に差し込んでいた。
 今何時ぐらいだろうと思い、ベッドの棚にある携帯電話を取ると時刻は午後4時。どうやら結局簀巻きのまま6時間も寝ていたようだ。
 昨日寝たのが午後12時、今が4時。もしかしたら自分は24時間連続睡眠ということができるのかもしれないと思ってみる。
 意識ははっきりしている。朝みたいな頭のくらくらは無い。ただすこし喉は痛いがこれも明日にはだいぶひくだろう。
 ピンポーン。
 もう一度鳴るインターフォン。
 早百合はその音に起こされたことに気付いた。
 二階の窓のカーテンの隙間から玄関を見ると、学校師弟のスポーツかばんを持った学生服の良樹が立っていた。
 良樹がお見舞いに来てくれたようだ。早百合はなぜか心の底からうれしくなってきた。
 良樹が自分のために行動してくれる。そう思うと気分が高揚して、もっと何か良樹に何かしてほしくなってくる。
 早百合はカーテンを開け、窓を開け、縁に手をかけて体を乗り出した。外は無風で肌に当たる日の光が暖かくて気持ちよい。
「よしきぃ!」
 インターフォンを押して反応を待っていた良樹は、早百合に突然呼ばれて二階の窓の方へ顔を向けた。なんども家に遊びに来ていた頃は窓から呼ばれて、玄関と二階の窓で会話することも多かった。
 早百合はこうやって良樹を二階から呼ぶのは久しぶりかもしれないと思った。小学生ぶりか。
「良樹ぃ。私のお見舞い?」
「え…? あ、早百合……ぶっ!」
 良樹は早百合を見るなり、いきなり噴出した。そしてあわてたように目をそらす。
 顔を向けた二回の窓には上半身裸の早百合が窓から体を出していたからだ。
「ん、どうしたの? もしかして鍵開いてない? あ、すぐ開けるわ!」
「そんなことより服を着ろって!」
「え…? きゃぁっ!」
 自分の状態に気付く。そうだった、自分はショーツ一枚で布団に包まっていた。そして声につられてそのまま体を出してしまった。
おっぱいまるだしのまま。なんてことだ、人様に、しかも良樹に貧相な体をさらしてしまったっ。
 慌てて胸を押さえてカーテンを閉めると、早百合は自分のあまりの情けなさと恥ずかしさに一気に紅潮した顔を抑えて、床に散乱していたくしゃくしゃのパジャマに袖を通す。
「なんで、私こんな恥ずかしいことしちゃったの!」
 真っ赤になって早百合は叫んだ。
 カーテン越しに見ていたときは、少なくとも自分がショーツ一枚だということに気付いてたはずなのに、気付いてたはずなのに、
良樹が来たとわかった途端……そんなことは忘れて反射的に窓を開けて呼んでしまった。
 
 りぃん

 パジャマを着ると、赤い顔をクールダウンさせるように一段づつ、階段を降りる。
 自分の家はちょうどクレヨンしんちゃんにでてくる野原家のガス爆発でなくなった家の間取りと似ていて、階段を下りた先にすぐ玄関がある。まぁどこの家も玄関のすぐ横に階段があるが。
 ぱたぱたと降りて、玄関の鍵を開けた。
「やぁやぁ。兼森良樹! よくきたね。うれしいよ。うんうんっ!」
 早百合は先ほど自分のおっぱいをまるごと見られた動揺からか口調がしずる調になっていた。
 良樹の顔はまだ赤かったが、ちゃんとパジャマを着てきた早百合に安心して
「あ、うん。 プリント渡すついでにお見舞いに…」
 と、言いかけ、早百合の姿をもう一度見て…赤い顔をさらに赤くして一言。
「ズボンも履けよ!!」
「ふぇ…。ひゃっ!」
 慌てた早百合は、パジャマのズボンをはき忘れていた。さらに早百合はスウェットタイプのパジャマを使っていた。
故にシャツタイプとは違い、自分の水玉のショーツは一切隠れることなく、逆三角形の形をまるまると晒していたのだった。しかも、色気が無いという救いようの無さ。
「ご…ごめんっ。すぐに着てくる!」
 またどたどたと階段を駆け上がる早百合。
 結局早百合は、良樹におっぱいからパンツまでかなりの部分見られてしまったのであった。

61:魔女の逆襲第9話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/24 23:28:29 Kl/Dnwx1
りぃんりぃん。

 早百合が慌ててパジャマのズボンを履こうとして倒れ、スタンドミラーに頭をぶつけ悶絶している頃。
早百合の家からかなり離れた町の大きな高級スーパーでしずるは買い物籠を片手にフルーツの品定めをしていた。
「こっちの林檎は赤いが…ツルが萎びているな…。やはりこっちにするか…、しかしこっちも捨てがたい…」
 何十個も綺麗に整頓された高級スーパーの棚のピカピカの林檎を見比べ、赤さや大きさを調べ、さらに香りや、指ではじいた音などおいしい林檎の見分け方を全て実行し、念密に見分けていく。そして棚の中でも一番良いと思ったものだけを自分の籠へ。
 ひとつの果物を選ぶのに5分以上も時間かけている。だいぶこだわっているようだ。
 ようやく、満足するものを選ぶとそれを買い物カートの中へ綺麗に並べる。籠の中には美しい果物が山ほど並んでいた。
「メロンにマンゴーに林檎に…。…うむむ、柿は果物にはいるのか? トマト姫の柿っ八はたしか野菜扱いだった気が…」
 しずるはカートを押すと今度は柿の棚へ。
 そこでまたひとつひとつ柿を検閲してゆくのだ。
 普通ひとつの果物の前に、ましてやセレブご用達とも言われる高級スーパー、味も品質も一級どころか特級品の棚の前に5分も10分もいれば他の客に迷惑になり注意されるものである、それにしずる自身も選ぶのに気が散る。
 しかし、彼女は果物を選ぶのに全神経を集中して選ぶことでできた。
 何故か? 彼女の周囲に人が近づかないからである。というか近づけないのである。
 しずるが鬼も金棒抱えて金縛りになりそうなほど、目を光らせて果物を選ぶ姿に怖気づいたわけではない。(一応それもあるのだが)
 原因は単純に彼女の服装である。
「むぅ、柿は良いものがないな…。仕方がない、柿っ八を信用して、柿は果物と数えないことにしておこう」
 彼女は真冬だというのに体操服だった。ジャージでも着ればいいのに、そんなダサいモノは着てられるかという態度である。寒くないのだろうか。
 さて、上は体操服なら下にはいているのは割れ鍋に綴じ蓋のごとく、ご想像通り定番中の定番、
 
紺のスクール水着である。

 …いや、待て。
 しずるはスクール水着を着たさらにその上に白の体操服を着た格好であった。
 ぱっつんぱっつんの若干キツめで股に少し食い込む紺のスクール水着、そしてその上に野暮ったく袖を通している体操服。さらにスクール水着の紺が目立つためか白の体操服の表面にぴっちりとしたしずるの胸ラインが紺色に浮かんでいた。
 そして、そんな女の子が高級スーパーでものすごい眼力で果物をチョイスしているのである。
 そりゃ、誰も近づかねぇよ。
 しかし、しずるは自分の格好なぞどこ吹く風、周りの視線など完全無視で買い物を続けているのであった。
 歩くごとに磁石のように避けてゆく人々。着物姿で白く白粉を塗った上品なおばあちゃんや場違いなところに来てしまった紫に染まった髪のおばちゃんでさえも彼女の半径4メートルを綺麗に避けて通る。
「これぐらいにしておくか。あんまり買いすぎるとかえって迷惑だからな…」
 自分の買い物に満足したしずるはカートをくるりんと反転すると、そのままレジへと闊歩する。
 体操服にスクール水着という格好で店内を堂々とレジへと向かってくる少女(しかもかなりの美貌である)にこの店の支配人も唖然とした表情であった。
「会計。コレ全部だ」
 どしんとレジに置かれる買い物籠。顔が引きつるレジ打ちの従業員。
 が、そこはさすがに高級スーパーのサービス業店員である。動揺の顔は一切隠して、いつもの爽やか営業スマイルでひとつひとつレジを通してゆく。
「全部で2万4890円です」
「これで。釣りはいらん。外に居る赤い羽根共同募金の箱につっこんどいてくれ」
 しずるは諭吉が描かれたピン札を三枚、体操服のVラインの中から取り出し(ということはスクール水着の胸部分に挟んで仕舞っていたのか?)レジに置くと、そのままカートを押し、袋も受け取らずにスーパーを出て行った。
 残されたのはピン札を前にした従業員と客である。慌てて従業員は札が偽札ではないかと透かしやナンバーを調べてみたが、正真正銘の日本銀行が平成16年に発行した日本銀行券の一万円三枚だった。

 これが隣町でじきに噂になる「スク水体操服の魔女」の根源である。

りぃん

62:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/01/24 23:30:05 Kl/Dnwx1
風邪を引いてしまいました。今日は短めです。勘弁してください。
だんだん萌え方向に特化してきた展開ですが、そろそろ嫉妬の片鱗が現れてくるはずです。
つらいですが頑張ります。文章におかしくね?などございましたらご指摘ください。
個人的には誰が活躍して欲しいとかリクエストがあればいろいろと取り入れていきたいと思います。
ちなみに、スクール水着の上に体操服ってどのくらいアリなんでしょうか?

63:名無しさん@ピンキー
07/01/24 23:45:07 N8wJ6odf
GJです。体操服の下はスク水だったのか。
前回ブルマ脱いだとか書いてあったから、オジサンちょっとドキドキしちゃったよ。

64:名無しさん@ピンキー
07/01/24 23:56:46 CNIs1fEG
俺はスク水と聞いてついにドキドキがおさまらなくなったがな。

65:名無しさん@ピンキー
07/01/25 00:04:52 COCQ2Fcl
>>62
あの子が修羅場に目覚めたらGJ!!

あと上のオジサン、茶道室の一コマは前日じゃないか?

66:名無しさん@ピンキー
07/01/25 00:15:22 uVj8aI03
しずるさんのスク水+体操服のコンボで俺はもう死にそうですよ。

67:名無しさん@ピンキー
07/01/25 00:17:04 xSCSugQt
早百合の独占欲や依存心が見え隠れする一方でしずるさんはスク水体操服姿で果物を選ぶ
だがそれが良いGJ!
>>53
全裸で正座してお茶を飲みながらゆったりと待ちますね
>>50
GJ!
さすがキモウトだ長年一緒だったお兄ちゃんの匂いをかぎわけるなど
泥棒猫の匂いを当てるのに比べたら造作も無く簡単な事だったのか

68:名無しさん@ピンキー
07/01/25 00:27:09 sCO44oSb
>>39 >>43

どなたか、職人さん!
こ、これも書いてくだせぇ!!

69:名無しさん@ピンキー
07/01/25 01:09:33 4Q4iNPv9
トマト姫ネタ入っててわろたw柿っ八の物の落としようは異常

70:名無しさん@ピンキー
07/01/25 01:29:14 vihDw8Si
   _ ,ク _
   ヽ__゙!l' _ノ
  γ∠_ハ_l oヽ
.  l ‐- 、  , -‐ ijl   かきっぱちと聞いて飛んできました
.  l ( ゚)  ( ゚)  l    
 (,rj` ヽ/ ´ ノ
.イ )`ttー ‐ tt ' `

71:名無しさん@ピンキー
07/01/25 01:36:37 RtQ7rqIg
「あの子はあなたの娘じゃないのよ」

浩一の会社の後輩、そして元婚約者の愛美が語る。
一年前、突然現れた浩一の娘を名乗る少女・香織は自分が十三年前に別れた彼女――詩織と浩一との間に生まれたと言った。
だが、それは間違いだった。
詩織は浩一と別れた後、強姦された。
そのときのショックが彼女の心を壊した。
その事件で身篭った子供を浩一との間にできた子供と記憶をすり替え、出産し、育てた。

「そして今に至るというわけよ」
「・・・・・・・・・」
「だからね浩一、もうあの子と暮らすのは終わりにしよ?浩一が辛くなるだけだよ」
「・・・・・・お父、さん」

そのとき扉の向こうに香織が立っていた。

「香織・・・・・・」
「ご、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
「なんで・・・香織が謝るんだよ・・・」
「だって・・・いっぱい酷いこと言って・・・で、でも、それでも優しくしてくれて・・・それでいっしょに暮らして、すごく幸せで・・・けど、ほ、本当は違ったんだ・・・血が繋がってなくて・・・・・・」

浩一は香織の言っていたことを思い出す。
詩織が早くに死んで、香織は親戚をたらい回しにされていたという。
香織は親戚から冷たい態度で接しられていた。
香織はそんな状況が耐えられず父親を探しに家を出た。

――香織は家族が欲しかったんだ。暖かい家族が・・・

72:名無しさん@ピンキー
07/01/25 01:37:45 RtQ7rqIg
「もう・・・いっしょに暮らせ、ないん、だ・・・」
「香織」

浩一は香織をギュッと抱きしめる。

「えっ・・・」
「香織、おまえの生まれなんて関係ない。これからもずっと暮らしていけるさ。・・・おまえは俺の娘なんだ」
「お父さん・・・」

抱きしめられていた香織も浩一の腰に手を回し抱きしめる。
そのとき愛美は呆然としていた。
自分の計算――浩一から香織を引き剥がすことができなかったから。

「ちょっと待ってよ、浩一!!!それじゃあなたは――」
「いいんだ愛美。・・・ありがとう、本当のことを話して、俺のことを考えてくれて」
「ち、ちがっ・・・わ、わたしは――」
「けど、血は繋がってなくても香織は俺の娘だ。だから香織が成長し大人になって結婚するまで香織を見守っていくよ」

浩一は香織を抱きしめている腕に力を込める。

そのとき愛美は見逃さなかった。
抱きしめられている香織の表情に。
口元は笑い、目には子ではなく、女の光が宿っていたことを――


73:名無しさん@ピンキー
07/01/25 01:40:33 VgLGiMfZ
こ れ は す ご い

74:ID:LNRlnJ02
07/01/25 01:42:12 RtQ7rqIg
勝手に43さんので書いてしまいました
久しぶりにこのスレに来れて調子にのりました
スミマセンorz

75:名無しさん@ピンキー
07/01/25 01:50:43 vihDw8Si
>そのとき愛美は見逃さなかった。
 抱きしめられている香織の表情に。
 口元は笑い、目には子ではなく、女の光が宿っていたことを――

びっくり仰天

76:名無しさん@ピンキー
07/01/25 01:51:13 vihDw8Si
もろちんいい意味でね

77:名無しさん@ピンキー
07/01/25 01:51:44 Ujj7CPCT
長編希望!
最後の文でゾクっときた

78:名無しさん@ピンキー
07/01/25 01:56:54 sCO44oSb
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 GJ!
 ⊂彡

79:名無しさん@ピンキー
07/01/25 04:17:39 BhnLB7uT
>>74

           
             続  編  希  望 !!

80:名無しさん@ピンキー
07/01/25 05:27:08 Ab2u4JGD
◆文章作法を身につけよう
URLリンク(triplei.hp.infoseek.co.jp)
◆会話文について
URLリンク(triplei.hp.infoseek.co.jp)
◆視点者とは何?
URLリンク(triplei.hp.infoseek.co.jp)
◆人称の説明
URLリンク(triplei.hp.infoseek.co.jp)

URLリンク(homepage2.nifty.com)
URLリンク(www.asahi-net.or.jp)
URLリンク(matufude.hp.infoseek.co.jp)

SS書きの控え室 56号室
スレリンク(eroparo板)


みんな、ここで勉強してきて続編を書くんだ!!

81:名無しさん@ピンキー
07/01/25 07:34:34 hqJpt6PH
>>80
煽りかもしれないけど、一ss書きとしては正直参考になった。
とはいえ、漏れはどの神々のssも素晴らしすぎてGJですよ。
>>72氏ぜひ続編を書いてくださらないだろうか?

82:80
07/01/25 08:11:29 Ab2u4JGD
>>81
スマソ、煽るつもりは無かった。
SSを書いてる人、これから書く人に参考してほしいと思ってのことなんだ。



83:名無しさん@ピンキー
07/01/25 08:23:14 oV9bDU7L
続編?違うだろう

>>74
是が非でも
最初から書いて読ませていただきたいいぃぃぃぃぃ!!!!!

84:名無しさん@ピンキー
07/01/25 08:37:52 KHJDN3MP
>>80
その控え室に出入りしている身から言わせてもらえば、
「あまり作法に細かいことを言い出すと、余計に荒れるから程ほどに」というのも、真理だと思うよ。

言いたいことは分かるし、見苦しくない程度の作法は必要だけど、程ほどにね。
このスレに常駐している荒しも、同じ手を使ってきているから。

特に段落初頭の一マス空けは、改行がネックになるBBS上でやって意味があるのか、
控えスレでも意見が分かれていたはず。

85:名無しさん@ピンキー
07/01/25 08:53:08 vPUzf3lK
最初に挙げられてるマナーとやらも、所詮は出版物の取り決めであって
どんな場合にも妥当する、絶対的なルールなわけでもないしね。

というか、blogを見ると、かなり……な人だな>一番上に紹介されているサイトの管理人氏。

86:名無しさん@ピンキー
07/01/25 09:30:18 XeFIWhqF
>>80を読んだ
句読点や視点・心理描写についての考察はためになった。紹介してくれてありがとう
俺は読みやすく書くことができれば、文法などにこだわらないので参考にするよ

>みんな、ここで勉強してきて続編を書くんだ!!
問題は作者、または新たに書き始める人たちの想像力・発想力が無限ではないということだな・・・・・・


とりあえずSSの投下をwktkして待つことにするか

87:名無しさん@ピンキー
07/01/25 09:37:35 7/S1yYRX
スレタイ投票やり直したほうが良くないか?
あれ多重投票してるやつ絶対いるよな?
その~とか語呂とか明らかに票の伸びがおかしいだろ

88:名無しさん@ピンキー
07/01/25 10:36:21 9YVz4f1j
>>12でも言ってるけど、一人一票のはず。
どういうシステムなのかは知らないから、抜け道はあるのかもしれないけど。
ちなみに、ブログ開設一日目で、『語呂合わせ』の票は既にありえない数だった。
まあ、その、なんだ。
修羅場スキーは意外と多い、ってことでいいと思うんだ。


89:名無しさん@ピンキー
07/01/25 12:07:49 46TXHUSK
スレタイなんて全部「その○○」でいいと思うけどな、もしくは立てる奴が勝手につければいい。
正直くだらない議論だ

90:名無しさん@ピンキー
07/01/25 12:18:52 aq257bFE
投票で勝てないとわかるとそれかよ

91:名無しさん@ピンキー
07/01/25 13:26:29 mAZEdjM7
天然で修羅場や嫉妬を生み出す『女性』がでるSS読みてぇっス。

92:前スレ860だぜ
07/01/25 13:31:37 j7WM6d5+
携帯(というかPHS)からなので途中でID変わっちゃうかもですが、それは勘弁してください。
それで、ですね。
多重投票についてですが、不自然な投票があったのは残念ながら事実です。
昨日の9時半位に確認した時、
総数186、語呂86で後は大体監禁40ちょい、泥棒猫30ちょい、その~20位、Part一桁
位だったんですね。
まず、総数と語呂は間違いない。
連番系が100ちょうどだなぁ、と思いながら見てましたから。
で、夕飯食べて酒を呑みながら風呂に入って(大体一時間位)、出てきたら
50票近くごっそり連番系の方に入ってたんですね。
まぁ、確かに皆起きてて投票が進みやすい時間台だってのはわかりますよ?
五分五分だった最初に比べて連番系が優勢だってのもわかってます。
だけとこれはいくら何でも多すぎる。

特に今まで20票しか集まってなかった「その~」が一時間やそこらでいきなり40票に増えるなんてのは不自然極まりない訳です。

その後は一晩たっても十数票しか増えてない訳で。
その一時間の不自然さが理解してもらえると思います。

そんな訳で一応防衛策として今朝投票をコメント必須にしてきたのですが。
他に何かいい案があったら教えてください。お願いします。

>>91
悪いけど男の嫉妬はこのスレでは扱ってないんだぜ。
男の嫉妬なら少女漫画系のスレなんかいいかもしれないんだぜ?

93:名無しさん@ピンキー
07/01/25 13:51:52 xSCSugQt
確かに連番派だがずっと186で停滞していたのに短時間で
急激にその~に入るのはちょっと不自然過ぎるな
俺が見た時も5時くらいと10時までに見た時186で変わってなくてこりゃ勝負あったなと思ってたし

94:名無しさん@ピンキー
07/01/25 14:40:31 hjLnqOSA
そもそもスレタイの投票ごときに一日で186も票入るか普通?

95:名無しさん@ピンキー
07/01/25 15:13:23 KY/NN4S2
>>94
このスレを舐めてはいけない。

96:名無しさん@ピンキー
07/01/25 15:22:14 hqJpt6PH
個人的に投票のことは投票場内で話したほうがいい希ガス。
神も投下しにくくなるかもしれんし、まとまった内容をこちらに報告するといった形のほうがいいのでは。

97:名無しさん@ピンキー
07/01/25 15:29:17 hjLnqOSA
>>95
本気でそう思ってる?

98:前スレ860だぜ
07/01/25 15:39:45 nkQYIYCX
>>96
投票に関してはブログの方で話すって事で。
了解したぜ。

99:名無しさん@ピンキー
07/01/25 15:52:54 1GGrK4NT
んな下らねーことで絡むな絡むな
みんな全裸になって投下を待つんだ

100:名無しさん@ピンキー
07/01/25 16:18:25 L09f968R
案外見てるだけの人間も多い
初カキコっと

101:名無しさん@ピンキー
07/01/25 16:47:10 DrxG2PH8
まあママーリといこうや。

102:名無しさん@ピンキー
07/01/25 16:53:12 sCO44oSb
ママーリと申したか。

103:名無しさん@ピンキー
07/01/25 17:33:20 DrxG2PH8
「せ 拙者はさような事は・・・」

ブシュウ

鋸を用いた斬撃は 鮮血の結末と呼ばれる

「口論は災いの元」

ビュッ ビュッ 

バタリ

「あーっはっはっはっはっはっはっはっは……」

スレを荒らすことなど不可能であった


104:名無しさん@ピンキー
07/01/25 17:39:24 o3TMg1vP
嫉妬や修羅場を愛する魂と神々に感謝をする心を持ってマッタリと待ちましょうや

105:名無しさん@ピンキー
07/01/25 17:57:58 o3TMg1vP
そういや投票のコメント数限界設定少なすぎじゃね?
最初の方のコメントがもう消えてる……

106:名無しさん@ピンキー
07/01/25 19:13:16 COCQ2Fcl
>>39
応用編その1
1.男は自分より少し年上のシングルマザーと結婚するも、交通事故などで妻死亡。
義理の娘とだけは幸せにしようと誓い、日々を暮らしている。

2.そこに現れる、かつて愛した女性の忘れ形見にして、自らと血縁を持つ実の娘。
いざこざの結果、男、義理の娘、実の娘による奇妙な共同生活が始まった。

3.実の娘は始めこそ嫌悪を露にするも、次第に依存欲、独占欲を強くしていき、
血縁も無いのに男に優しくされる義理の娘を、疎ましく思うようになる。

4.義理の娘は、男に養ってもらっていることと、実の娘と変わらない扱いをして貰えることに負い目を感じ始めるが、
同時に愛情を失いたくない自分に気付き、自己矛盾に陥った結果、徐々に壊れていく。

5.その中で義理の娘はあることに気付く。父親の愛情を失っても、己には「もう一つの愛情」を受ける手段があることを。

よしっ!これで夢にまで見た、娘同士による修羅場が可能に!

107:名無しさん@ピンキー
07/01/25 19:41:37 Z2LzZ5gW
神は来ないね全然来ないね

108:名無しさん@ピンキー
07/01/25 19:50:32 BhnLB7uT
>>106
やべぇ、創造しただけで濡れてきた・・・
誰か書いてくれないかな

109:名無しさん@ピンキー
07/01/25 19:54:02 y3UAFjmf
>108
>濡れてきた・・・
女子?

110:名無しさん@ピンキー
07/01/25 20:07:35 uVj8aI03
>>105
悪い、初期設定のままにしてたんだぜ……。
今朝の更新で保持数を増やしたからこれからは大丈夫だぜ。

111:名無しさん@ピンキー
07/01/25 20:18:28 6P7FNUR5
なるほど、最後は義理の娘が実の娘に「あなたの新しいお母さんだよ」って言うのですな。

112:名無しさん@ピンキー
07/01/25 20:57:19 1GGrK4NT
実の娘「あんたって人はー!」

113:名無しさん@ピンキー
07/01/25 20:57:42 lM+Xld8/
怖いのにどこか微笑ましいと思う漏れはここに居すぎたのか?

114:名無しさん@ピンキー
07/01/25 21:04:32 BhnLB7uT
>>109
イエス。嫉妬好きが男だけと思ったら大間違い。

115:名無しさん@ピンキー
07/01/25 22:07:47 QXb6HsBL
ノントロまだー?

116:名無しさん@ピンキー
07/01/25 22:52:45 RzpXhgvN
ノントロは大体の伏線を張り終えて
これから本格的に修羅場ってくから
構想を練ってる最中と予想。

117:名無しさん@ピンキー
07/01/25 22:53:24 M51MBSt9
>>111
おばあちゃんが言っていた。義理でも一度戸籍上親になると結婚はできないとな

118:名無しさん@ピンキー
07/01/25 23:08:26 COCQ2Fcl
>>117
ばっちゃん、しつもーん。
じゃあ逆に血縁関係があっても、戸籍上認知されてない私生児とは結婚できるんですか?

119:名無しさん@ピンキー
07/01/25 23:19:08 y9Cint3/
>>118
しようと思えばできるだろうね。役所でDNA検査の結果を提示する必要はないからね。
ただ、DNA検査の結果を他人が裁判所に出したら検察が取り消しにするんじゃないかな。

120:名無しさん@ピンキー
07/01/25 23:22:35 LmMEUhhQ
流れをガッツリ斬ってスマン
投下しますよ

121:『甘獄と青』Take21
07/01/25 23:24:08 LmMEUhhQ
 欠伸をして時計を見ると示している時間は夜の九時、そろそろ二人が寝着いた頃だろう。
「いよいよ明日か」
 誰にともなく呟き、指輪を見る。左の薬指に嵌っているのは青い宝石の輝く指輪、どの
ような理由かは分からないがサラさんが送ってきたものだ。何か特殊なプログラムが中に
あるのは『SHOPオリハマ』で見てもらったので分かったが、起動はさせていないので効果
は分からない。サラさんが最初に作ったオリジナルプログラムに近いと言われたが、それ
はそうだろう。何しろ本人が作ったものなのだから。今現在普及しているものと違って、
こちらのプログラム関係の資料は政府が封印しているらしいので、プログラムを見ただけ
では判断出来ないらしいのだ。送り主に聞けば分かると言われたが、そんなことを今訊く
訳にもいかないだろう。指輪に関するメッセージを添えてこなかったということは、そこ
の部分に意味がある筈なのだと思う。
 そして意味は、恐らく明日には分かる筈だ。
 そして、全てに決着がつく。
 思い返してみれば意外に短いものだが、日々の密度が濃かったせいだろう。知り合って
からまだ二ヶ月程しか経っておらず、一緒に過ごした期間といえば最初の一ヶ月だけだ。
それなのに大分昔から知り合っていたような気がするし、何十年も一緒に居たような気に
なっている。今の状況だって、夢なのではないかと思うことがあるのだ。


122:名無しさん@ピンキー
07/01/25 23:25:00 n5RX30Pg
じいやが言っていた
男と女は燃え上がるもの
危険な火薬は多い程いいとな

123:『甘獄と青』Take21
07/01/25 23:25:27 LmMEUhhQ
 いや、それは我儘か。
 明日のことで何もかもが終わってしまうと分かっているから、下らない夢のようなこと
を考えてしまうのだろう。だとすれば我儘ではなく、寧ろ逃避だということになる。
「駄目だ」
 これ以上考えていると、思考の渦から抜け出せなくなる。
 気分転換に何か飲もうと思い立ち上がると、控え目なノックの音が響いた。
「どうぞ」
 扉が開き、段ボールの箱を抱えたナナミが現れた。戦闘モードで持っていたのだろう、
軽そうに見えた箱だが床に降ろされると鈍く大きな音をたてた。何が入っているのか少し
気になったが、ナナミのスカートの裾が邪魔をしていて中身を知ることは出来ない。
「明日、ですね」
「そうだな」
 唐突にかけられた言葉だが、すぐに対応出来たのは先程同じことを考えていたからだ。
と言うか、考えない方が無理だろう。これまでの人生で一番の大舞台、これからもきっと
無いであろう出来事が待っているのだから。
「大丈夫、なのですか?」
 何が、ということは言ってこない。様々な意味を含めての疑問なのだろう。
「正直、辛いさ。まさか僕が世界の命運を握るとは思ってもみなかった」
 監獄都市に入った理由だって若い恋心と見栄が原因だったのだし、こんなことになった
直接的な原因も大したものではない。差別をせずに普通の人間として接して、愛情に飢え
乾いていたサラさんという個人に応えていただけだ。それが世界滅亡に繋がるなんて予想
出来る者など居ないだろうし、例に漏れず僕もそうだった。


124:『甘獄と青』Take21
07/01/25 23:27:52 LmMEUhhQ
 だからこんな状況になっているのは辛いものがあるけれど、
「でも後悔はしていない」
 これはそれぞれが生きてきた、その結果だと思っている。だからサラさんを哀れむ気も
なければ、蔑んだり嫌ったりする気も起きはしない。明日のことも、サラさんなりの一つ
の答えなのだと、そう思っている。だから後悔などしない、僕はそれに応えるだけだ。
 どうなるのかは分からない。
 けれど、どうするのかは決めている。
「青様、久し振りに悪い癖が出ておられます」
 ナナミは僕の前に立つと、瞳に強い光を宿して顔を覗き込んできた。
「何故、頼って下さらないのですか?」
 言われて、気付いた。
「何があろうとも私は必ず青様の隣に居ます。何百年も言い続けてきたことを今更止める
つもりはありませんし、感情を得たからといって変えるつもりもありません。青様が望む
から隣に居るのではなく、私がそう願うから隣に居るのです。だから頼って下さい、必要
なのだと仰って下さい。大事なときこそ、私に寄りかかって下さい」
 久し振りに聞いたナナミの長口舌は、意思のあるものだった。
 本当に、肝心なときに馬鹿をやっていると思う。再び一人で背負い込んでしまうところ
だった、今のナナミは完全に対等な立場で隣に居るというのに。個人的な性分だと言えば
否定は出来ないけれど、恋人に余計な気苦労や心配をさせる為にあるのではない。
「ごめんな」
「しかしそんなことを言っても、どうせまた一人で行くつもりだったのでしょう?」


125:『甘獄と青』Take21
07/01/25 23:28:54 LmMEUhhQ
 見抜かれていた。
「すまん」
 抱き締めて、髪を撫でる。
「ごまかされません。やはり、これを持ってきて正解でした」
 軽く一歩下がると、ナナミはテーブルの上に例の段ボール箱を置いた。開けられた中に
あるのは見慣れた紙の束、その枚数は八百以上だ。正確な枚数は覚えていないし、何かの
行事があったときにも作ったような気もするので、下手をしたら千枚を越えているのかも
しれない。意外と僕もまめな人間だったのだと思う。
「『奴隷券』、数にして千百二十一枚です」
 そんなにあったのか。
 ナナミはその内の一枚を手に取ると、千切りだした。ラミネート加工が外されている券
は軽い音をたてながら一瞬で小さくなり、放り投げられて空中に舞った。
「これで一回、私からの願いです。約束して下さい、絶対に私を置いていかないと」
 二枚目を手に取ると、やはり先程と同じように千切って放り投げた。
「二つ目です。約束して下さい、絶対に裏切らないと」
 三枚目。
「約束して下さい、最後まで嘘は吐かないと」
 四枚目。
「約束して下さい、独りにならないと」
 五枚六枚七枚と続き、ナナミの口からは様々な願いが吐き出される。券を千切るペース
は既に言葉の速度よりも遥かに高くなっているが、それはもう関係ないのだろう。ナナミ
はただ、僕と一緒に居たいと、独りきりにしないと、それだけを必死に吐き出している。


126:『甘獄と青』Take21
07/01/25 23:30:01 LmMEUhhQ
「約束、して下さい」
 視界を埋めるのは白。
 ナナミの作る紙吹雪。
 紙を千切る音さえ掻き消し、ナナミ自身の姿だけでなく声さえも埋めてしまう程の膨大
な想いの結晶だ。それが紙の姿を借りて、空間ごと奪い、強く意味を主張している。
「絶対に、約束、して下さい」
 最後の一枚をゆっくりと破ると、高く広くそれを散らした。
「最後まで、私の隣に居て下さると」
 実際に涙は出ないのだが、それでも泣きそうな顔をして僕に抱きついてくる。
「約束、して、下さい」
 一途な感情によって作られた勢いは強く、ナナミを抱き止めて慣性のまま倒れ込んだ。
紙吹雪がクッションとなり、痛くはなかった。衝撃で舞い上がる紙の欠片を見て、綺麗だ
と場違いなことを思ってしまう。いや、案外場違いでもないのだろうか。この紙屑が綺麗
に見えるのは、ナナミが今まで大切に守ってきて、そして気持ちを込めて使われたものの
欠片だという理由なのだから。
「約束する、絶対に……」
 軽音。
 言葉を遮るように発せられた音の方向を見ると、先程まで券が入っていた段ボール箱が
床に落ちていた。どうやら二人が倒れたときの衝撃でテーブルから落下したらしい。
 不意に、白い色が目に入ってきた。茶色い底の中、少し浮いた色を持つその紙は空気に
ひらめきながら箱の外へと出ていった。よく見てみれば、その紙はどうやら奥に挟まって
いたらしい奴隷券だ。感情が走っていたせいなのだろう、珍しいことにうっかり見逃して
しまっていたらしい。ナナミは僕の視線に気付いたらしく、素早く券を手に取った。
「使うか?」
 それに指先をかけ、しかし千切ることなく動きを止める。
「これも何か意味があるのでしょう。今は使わずに取っておきます」
 そう言うと、ナナミは笑みを浮かべて僕の胸に顔を埋めた。

127:ロボ ◆JypZpjo0ig
07/01/25 23:32:27 LmMEUhhQ
今回はこれで終わりです

紙吹雪は最初から書きたかったシーンの一つで、大満足
残すは最終決戦のみなので頑張ります

128:名無しさん@ピンキー
07/01/25 23:41:36 RzpXhgvN
GJ!

129:魔女の逆襲第10話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/25 23:42:57 vzW3Ew8K
りぃん

「風邪は大丈夫?」
「ええ。もうだいぶいいわ。一日寝てればすっかり治るものなのね」
「そっか。でもそういう気が抜けたときが一番危ないみたいだよ」
「そうみたいね。でも大丈夫よ」
 早百合の部屋に案内された良樹は、先ほどまでの騒動を気にしてないような口ぶりだった。
 まぁ、早百合としてもあんな醜態をいつまでも覚えておかれるとかなりダメージが溜まってくるため、そうしてくれることはありがたかった。
 早百合の自屋は綺麗に整頓されていて、早百合自身良樹を部屋に入れることはあまり抵抗無かった。部屋はテレビが無いだけで、普通の女の子の部屋となんら変わらない。そういえばこの部屋に良樹を入れたのは6年ぶりぐらいだ。
 良樹は床にあぐらをかいて座っていた。対する早百合はベッドに上半身を起こした状態だ。喉が痛いだけでほとんど抵抗無く動けるが、一応病人らしくしている。
「えっと…。これ、今日もらったプリントと……、貸すって言ってたCDな」
 鞄から良樹が取り出したのは、ボランティアの募集という別に持ってこなくても、早百合には関係なさそうなプリントと奥村愛子のアルバムCD。タイトルは万華鏡。
 昭和ノスタルジーごちゃまぜ妄想オシャレ歌謡という、一言では言いづらいジャンルで雰囲気的にはスカオーケストラのビッグバンドに大人の香りが漂う歌声の曲が主。たまたま良樹のMDプレイヤーで聴いてみて興味を持った歌手だった。
 プリントとCDを受け取ると、早百合はベッドの棚に置く。プリントはすぐに捨てるけど、今良樹の目の前で捨てちゃったらさすがに失礼に当たる。CDは後で聴こう。BGMとしては向かないだろうし。
「ありがと。明後日ぐらいに返すわ」 
「いや、べつにいいよ」
「そう? じゃあ、しばらく借りるわね」
「うん」
 一瞬、会話が途切れる。が、雰囲気を察してすぐに良樹が話題を切り出した。
「早百合、今日のことなんだけどさ…」
「へぇ、なに?」
「藤咲がさ」
「ねねこが?」
「……」
「…」
 ……。
 ……。
 会話が続いてゆく。
 良樹は今日学校であった珍事件(弁当の中身をぶちまけ事件ねねこ)を話すと、早百合もそれに続いてねねこの過去の事件(鰯の読み方をマグロと回答事件)を披露する。
 それに続いて話がどんどんと飛んでゆく、幼馴染の会話は三〇分ほど続いた。

 りぃんりぃん

 時刻も4時半を過ぎた頃。
「もう4時半か。あんまり長居しちゃ悪いから、僕はそろそろ帰るよ。」
 良樹が立ち上がる。
「え、もう帰るの? まだ居てよ」
 早百合の口から出たのは良樹を引きとめようとする言葉だった。早百合は自分で言ってすこし照れそうになる。このセリフは彼氏を自分の部屋に引きとめようとする恋人の言葉じゃないか。
 まるで早百合の心に直接口がくっついて喋ったように自然に出ていた。
「いやいや。お前は病人だろ? それにあんまり無理させると悪いからさ」
「え、ええ……」

りぃん

 目の前でコートを着込み帰る準備をはじめる良樹を見てると、早百合の体の奥から焦燥感と寂しさが襲ってきた。
不安が体中に悪性ウイルスのように広がり早百合の精神を締め付ける。
何故? どうして、良樹が帰ろうとすると自分はこんなに不安になるのだ?
 どうして、良樹にこんなに傍に居て欲しいのだ?
 どうして、どうして……。

りぃんりぃん

 どうして、こんなにも。こんなにも、こんなにもこんなにもこんなにもこんなにもこんなにも、
良樹を独占したいと思っているのだ?

りぃんりぃんりぃんりぃん

 頭の中で鈴が鳴る音がする。早百合に警告を与えるように鳴り響く鈴の音。

りぃんりぃんりぃんりぃん

130:魔女の逆襲第11話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/25 23:43:48 vzW3Ew8K
 早百合は森の中に居た。
 じめじめと辺りは湿り、自然の思うがままに伸びた草や木々は怪物のように大きくうっそうと生い茂り、昼か夜かもわからずとても暗い。
 そこの大きな木の前に立つ早百合の耳元には、燕尾色の鈴が音を響かせていた。
 りぃんりぃんとなる鈴に呼応するかのように木々は蔦を生やしていき、それに増長されるように早百合の意識もどんどんあらぬ方向へと転がってゆく。
 そして、響く鈴の音。その音は早百合に存在する心を守る籠の鉄柵の隙間を縫うように侵入すると、内側から早百合の精神を追い立てた。

りぃんりぃんりぃんりぃん
 
 ひとつなるごとに、早百合の心には焦燥感が。
 ふたつなるごとに、早百合の心には束縛欲が。
 みっつなるごとに、早百合の心には独占欲が。
 そしてそこから生まれるたのは、紛れも無い、黒くて暗くて不気味で無様で険悪で邪険で醜い醜い…しかし見るモノから見ればとてつもなく純粋な

 良樹を掌握した、あの魔女への強烈な嫉妬心だった。

りぃんりぃん。

 そうか。ようやくわかった。
 この正体が。いままでずっと胸を締め付けていた原因が。

 私は魔女に、紅行院しずるに嫉妬しているのだ。

 りぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃん
 りりりりぃりりりりぃりりりりりりぃりりりりいん!

「早百合? 早百合? 早百合!」
 誰かに肩を掴まれている。
 早百合が気が付くと、目の前に良樹の顔があった。良樹は早百合の名前を何度も呼びかけていた。
「あ、あれ……?」
 その声に早百合はようやく混濁した意識をとりもどす。 …自分はどうしたんだ?
 きょろきょろとあたりを確認すると、紛れも無く自分の部屋。
 つい今まで、どこか知らない森の中を走っていたような気がしていた。
 早百合は思う。ここ最近は気のせいじゃなく、確実に意識が飛んでいる。しかも今回はかなり重症だ。
「どうしたんだ。早百合。いきなり虚ろな目でぼーっとして……」
 ただ普通にボーッとするぐらいなら、良樹もこんなに取り乱さないだろう。こんなにも良樹が慌てているということは、自分はどのくらい意識を飛ばしてたんだ?
「い、いや。大丈夫。うん、大丈夫よ……」
「やっぱり風邪酷いんじゃないの? 薬、下から持ってこようか?」
「大丈夫って言ってるでしょ!」
 思わず早百合は大声を出した。良樹の瞳が一瞬大きくなり、不安そうにゆがむ。その顔を見ると早百合はいたたまれない気持ちになり、思わず顔をそらす。
「大丈夫…。大丈夫だから……」
 本当は良樹に心配して欲しい。
 そんな本心は悟られないように早百合はうわごとのように大丈夫……と呟いていた。

 りぃん

「そう…。じゃあ、僕。帰るよ…」
 良樹は眉をひそめ、掴んでいた早百合の肩を離すとコートのボタンを上まで締めて立ち上がる。なんとなく。肩が下がってるように見えた。
「玄関まで送るわ」
「いや、いいよ」
「送るわ」
「いや……」
「送るのっ!」
 有無を言わさない早百合の言葉。
結局二人は無言のまま部屋を出ると階段を下り、玄関へ。
玄関に座り良樹がシューズを履く様子を、早百合はじっと見ていた。見られている良樹はなんとなくやりづらそうで思わず靴紐を縦結びしてまう。
「じゃぁ……、お大事に」
「待って」
 ドアノブに手をかけようとした良樹を早百合は制止する。
 先ほどまでの早百合の態度から、良樹は早百合の行動に敏感になっていた。そのままドアノブに手をかけようとした姿のまま言葉通り静止してしまう。

131:名無しさん@ピンキー
07/01/25 23:44:05 VgLGiMfZ
>>127
もうこの言葉意外を口にすることができない。

萌えぇぇぇぇぇ!

132:魔女の逆襲第11話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/25 23:44:35 vzW3Ew8K
「そこで待ってて」
 早百合は良樹を待たせたまま、風呂場へ歩く。
 そこで放置されていた黒い布を掴むと、すぐに良樹の居る玄関へ戻ってきた。
 良樹は素直なのか早百合の態度にビビってるのか、そのままの状態で待っていた。幼少期は早百合のほうが普段の立場は上だったので、その時の名残が出てるのかもしれない。
 そんな良樹に早百合は丸まった黒い布を押し当てた。
「持ってって」
「なにこれ?」
「ブルマ」
 良樹は黒い布を受け取ると、パサリと両手で広げる。
 そこに広がったのは、ポリエステル100%で女の子の下半身を包む体操服、紺のブルマだった。
 ご丁寧に、洗濯されていない使用済みタイプで足を通す部分にシワが残ってるところがポイントである。
 良樹の顔が赤く染まる。早百合はその様子を無表情で見ながらを一言
「あげる」
「いらないよ!!」
 良樹は真っ赤になって叫んだ。
「なに考えてんだよ! なにいきなりブルマ渡すんだよ!」
「いらないの?」
「いらないって!」
「しずるさんのだけど」
「えっ…?」
 りぃん
 一瞬、良樹が詰まった。そこを見逃さない早百合は裸足のまま玄関口へ歩くと、良樹に問い詰めるように顔を近づける。無表情。
「欲しくなった?」
「ち…ちがうよ!」
「欲しいとか思わなかったの?」
「思ってないよ!」
「しずるさんのだよ? あなたの綺麗な恋人の……」
「だから思ってないって!」
「しずるさんのって言った途端、目が泳いだじゃない。欲しくなったんでしょ?」
「それは……、なんで早百合が持ってるのかわかんなかっただけで……」
 もっともらしい言い訳をするが、さらに早百合は詰め寄る。
「耳も真っ赤になった」
「違う」
「ブルマを持つ手も柔らかくなった」
「違うっ」
「やっぱり欲しかったんだ?」
「ちがうっ!」
「正直に言って。欲しかったんでしょ?」
「……」
「どうなの?」
「……そ…そりゃぁ……ちょっとは…欲しいかもって思ったけど」
「やっぱりそう思ったんだ」
「……う…ま……まぁね……」
「あたしのはいらないって言ったのに、あんな魔女のブルマは欲しいんだ?」
「そ…それは、早百合が詰め寄るから!」
 正論で返そうとする良樹だが、今の早百合は正論が通じる相手ではなかった。
 自分の感情だけで動く人間に言葉は無意味である。
「帰って。いますぐそれを持って消えて」
「さゆり…」
「早く!!」
 早百合の恫喝に、良樹は何か言おうとして……すぐに無駄だと悟り、ブルマをコートのポケットに入れた。そして敵意の篭った視線で見つめる早百合に「ごめん」と一言だけ呟くと、玄関のドアを開けて出て行った。
「………」
 玄関には早百合のくぐもったような息だけがこだましていた。

 りりぃん

「ここだな。鞠田早百合のホゥムは…」
数時間後。早百合の家の前には籠にめいっぱいフルーツを入れた魔女の姿があった。

(続く)

133:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/01/25 23:45:53 vzW3Ew8K
変なタイミングで書き込んでしまいました。
ようやく嫉妬分が出せた…。毎日くじけそうですが、よろしくおねがいします。
文章におかしくね?などございましたらよろしくお願いします。

134:名無しさん@ピンキー
07/01/26 00:39:40 YxaflMi5
りぃん

がムカツク

135:名無しさん@ピンキー
07/01/26 00:50:34 erFM6bRz
〉〉134
しずる乙

136:名無しさん@ピンキー
07/01/26 00:54:21 Y2k9eGvP
>>133
GJ
次回に修羅場の予感がする

137:名無しさん@ピンキー
07/01/26 00:56:36 Y2k9eGvP
>>133
GJ
次回は修羅場な予感がする

138:名無しさん@ピンキー
07/01/26 00:57:38 Y2k9eGvP
連投したorz
すまん

139:名無しさん@ピンキー
07/01/26 01:03:23 UOiQHGWV
ホゥム笑った
ロボ氏も魔女の氏もGJです!!

140:名無しさん@ピンキー
07/01/26 01:14:57 T4ryHB5a
>127
最後の奴隷券が気になるぜ。GJ!
>133
早百合の嫉妬っぷりが愛しいぜ。GJ!

141:名無しさん@ピンキー
07/01/26 02:21:11 tIbNIcoe
>>127
ロボ氏GJ!ナナミかわいいよナナミ、次回の最終決戦にも期待
>>133
嫉妬大爆発ktkr!そしていきなり次で衝突の予感!

142:名無しさん@ピンキー
07/01/26 02:25:01 sqPOrWXJ
> そしてそこから生まれるたのは、紛れも無い、黒くて暗くて不気味で無様で険悪で邪険で醜い醜い…
>しかし見るモノから見ればとてつもなく純粋な

小百合よぅ、わかってんじゃねェか

143:名無しさん@ピンキー
07/01/26 02:29:01 +hkBevxT
早百合が遂に覚醒キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
>>127
ナナミの愛と依存心と独占欲と忠誠心がごちゃまぜとなったような奴隷券の乱用に惚れた

144:名無しさん@ピンキー
07/01/26 04:47:42 DA0Fb+ic
「あなた邪魔なのよ!!!血も繋がってないのにお父さんに優しくされて!!!」

香織は目の前にいる義理の妹・由奈に激しく怒鳴る。

「いいよね、香織ちゃんはあとから現れたくせにお父さんに愛されて」

由奈は彼女たちの父親・浩一の再婚相手の連れ子だ。
だが由奈の母親は結婚後すぐに事故で死んでしまいその後ずっと浩一と二人で暮らしていた。
由奈は幸せだった。血は繋がってなくても浩一は由奈を可愛がった。
そんな浩一に由奈も時が経つにつれ浩一を好きになっていった。

そんなとき、香織が現れた。
香織は浩一が中学のときに付き合っていた女性の子供だった。
香織の母親・詩織は有名な財閥の娘で、彼女の親に自分たちが交際していることを知られないように隠れて会っていた。
だが彼女は身篭ってしまった。
それを隠し通せるわけもなく彼女の親にばれてしまい浩一と詩織は引き裂かれてしまった。
そして今になって香織が現れた。
この不況で財閥は跡形もなく消え去り、行く当てのない香織は実の父親の浩一の所に来た。
香織は祖父から浩一のことを悪く聞かされていたため、浩一を恨んでいた。
だが浩一の優しさと幼い頃に死んだ母が言っていた父のことを思い出し浩一を父親と認めていった。

由奈と香織は最初はどうであれ今は浩一のことが大好きだった。
しかしお互いのことは嫌っていた。
由奈は、『どうしてあとから現れたくせに……』
香織は、『他人のくせに……』
と互いの存在を疎み、憎しみ、そして――

「あなたは他人なのよ!!!私とお父さんと何も関係ないの!!だから消えてよ!!!」

溜め込んだ憎しみを由奈にぶつける香織。
だが由奈は

「…………クスッ」

冷たく微笑しただけだった。

145:名無しさん@ピンキー
07/01/26 04:48:48 DA0Fb+ic
「何が可笑しいのよ!!」
「だって香織ちゃん、血の繋がりのことしか言わないんだもん」
「だから何よ!!あなたには何もないくせに!!!」
「……あるよ、繋がりなら」

そう言った由奈は口元から笑みがこぼれ、頬は紅く染まり、目は喜悦を感じていた。
香織はその表情に恐怖した。次に出てくる言葉は何故か絶対に聞きたくないと思った。

「私、昨日お父さんに抱かれたの」

香織は由奈の言ったことが理解できなかった。したくなかった。

「嘘」
「うそじゃないよ」
「お父さんがそんなことするわけない」
「お父さん真面目だからね、薬を飲み物に入れたの」

由奈の口から異常な行為が淡々と語られる。
香織は絶望的な表情をし、由奈は勝ち誇った表情をしている。

「私はお父さん……ううん、浩一さんと心も体も繋がったの」
「嫌」
「だけど香織ちゃんは血が繋がってるだけ」
「嫌」
「邪魔なのは、どっち?」
「いやああああああああ!!!!!」

香織は由奈の言葉から逃げるようにして飛び出しっていった。

「……クスッ」

由奈は冷たい微笑をした。
そして香織は――

「わたしだってわたしだってわたしだってわたしだってわたしだってわたしだってわたしだって」

……この日から最悪な形の三角関係は始まったのかもしれない……

146: ◆N.P5FQhRG6
07/01/26 04:53:49 DA0Fb+ic
昨日と同じようにまた勝手にすみません
続編は書けれたらがんばって書いてみます

書けれなかったらすみません

147:名無しさん@ピンキー
07/01/26 05:28:06 Te/nDo+e
なんか
SUGEEEEEEEEEEEことになってる―(゚∀゚)―!!!!!

148:名無しさん@ピンキー
07/01/26 06:41:49 +KLV4ieJ
素晴らしいとしか言えない

149:名無しさん@ピンキー
07/01/26 08:58:27 IgiY/m3G
やっぱ課程が面白いと修羅場になってからが最っ高に燃えるな……
なにはともあれGJッス!

150:名無しさん@ピンキー
07/01/26 09:20:46 29Hm4b7C
>>127
ナナミィ~…。紙吹雪の中、好きな人の前で自分をさらけ出す。
そんな日が来るなんて、想像もしなかったなぁ。
>>133
紅行院しずるの異常な愛情
または鞠田早百合は如何にして幼馴染みであることを止めて兼森良樹を愛するようになったかGJ!

151:名無しさん@ピンキー
07/01/26 12:37:58 9hEzG30A
>>146
変なことは言わん。
ただ感じるがままに書いてくれ!

152:名無しさん@ピンキー
07/01/26 13:16:20 G63Xg7p2
>>146
GJ!続きに期待。
だが今の日本に財閥は存在してるんだろうか。
重箱の隅をつつくようですまん。スルーしてくれ。

153:名無しさん@ピンキー
07/01/26 15:05:09 pwVXRCAV
投下しますよ

154:『甘獄と青』Take22
07/01/26 15:06:12 pwVXRCAV
「お兄ちゃん、早く帰ってきてね?」
「……お土産、忘れないで」
 ユンとリーの頭を撫でると、立ち上がる。
 昨日の天気予報で言っていた通りに天気は快晴で、寒さを運んでくる秋風も強くない。
こういう言い方はおかしい気がするが、まさに絶好の決着日和だ。全てが終わるには丁度
良い日が晴れか雨かは分からないが、少なくとも僕にはそう思えた。
 隣に立つナナミを見ると、二人に様々な注意をしている。火を勝手に使うなだとか昼飯
の作り置きの場所だとか、普段から言っているようなことだ。これから大事なことをしに
行くというのに、その対応は普通の留守番のときと変わらない。随分所帯じみた決意だと
思うが、僕ならば最後まできちんと締めてくれると信じてくれているのだろう。
 約束もしたことだし。
「どうされたのですか?」
 部屋の奥に引っ込んでゆく二人を見届けながら、訊いてきた。
「いや、本当に母親みたいだなって」
 僕には母にそうされた記憶が無いけれど、普通の家庭ではよくある光景だ。今のナナミ
の姿は、服装を除けば侍女と言うよりも母親と言った方がしっくりくる。拾ってきた頃は
二人を侍女にすると言っていたのに、今の扱いではまるで娘のようである。ナナミ自身も
それに気付いているのだろうが、それでも態度を変えることなく微笑を浮かべていた。


155:『甘獄と青』Take22
07/01/26 15:07:00 pwVXRCAV
 さて、そろそろ時間だ。
 僕はナナミを抱き締める。
「最後まで、頑張ろう」
 この抱擁も別れの為ではなく、決意を再確認する為のもの。腕の中にある大切な存在が
離れていってしまわないように、在り方を確認する為のものだ。唇を重ね、笑みを交す。
 電子音。
 来客のようだが、今日は無理だ。これからサラさんの場所へ行かなければならないし、
それが終わったらユンとリーも含め、四人で過ごすつもりなのだから。
 玄関のドアを開くと、小さな陰が見えた。
「リサちゃん?」
 僕の腹より少し低い位置、金色の髪が風になびいている。
『ソノ方ハ誰デショウカ?』
 どうやら人違いだったようだ。戻ってきてくれたのかと
一瞬期待してしまい、この人には悪いが落胆した。リサちゃんが戻り、サラさんも戻って
以前の生活をする。そんな甘い幻想は、まだ僕の中に残っているらしい。
 彼女が低い位置から見上げてきたことにより、首が見えた。首輪は填っておらず、瞳に
あるのは無機質な光。どうやら機械人形らしく、先程の妙な発音の理由も納得がいった。
 しかし何の用だろうか。
 腕には小さな体に不釣り合いな巨大な荷物を抱えているが、そんなものを頼んだ覚えは
ない。ナナミも不思議そうな顔をしているので違うだろうし、ユンとリーはそもそも幼い
ので保護者の同意無しに通信販売をすることは出来ない。役所からの遣いだということも
考えたがナナミの修復届けは出しているし、よく観察してみれば管理局の機械人形が義務
で着けているカフスも無い。一体、どこの誰だろうか。


156:『甘獄と青』Take22
07/01/26 15:08:11 pwVXRCAV
『青様デイラッシャイマスカ?』
「そうだけど、君は?」
 荷物を抱えながら彼女は器用に一礼、
『申シ遅レマシタ。私ハゆかりトイウ者デス』
 ユカリ。どこかで聞いたことのある名前だが、思い出せない。
『オ母サンノ、さら様ノ遣デヤッテ来マシタ』
 そうだ、サラさんの世話を引き受けているという機械人形だ。以前ナナミを見て、よく
似ていると言っていた。機械人形という理由だけでなく、確かに似ている部分がある。
『青様、個人的ナ質問デ申シ訳無イノデスガ、一ツ訊ネテモ宜シイデショウカ?』
「どうぞ」
『さら様ヲ殺ス覚悟ハゴザイマスカ?』
 いきなりの核心を突いた質問に、僕は言葉を失った。
 殺すということは、完全に存在を切り捨てるということだ。
 沈黙。
『ソウデスカ』
 ユカリが俯いて包みをほどくのと同時に、ナナミは彼女を蹴り飛ばした。
 轟音。
 ドアを破砕しながらユカリは外へと吹き飛んでゆく。
「何してんだ!?」
「青様、伏せて下さい」
 ナナミはパイルバンカーを掴むと跳躍、一瞬後にはその空間を黒い杭が通過していた。
色は違うものの形や長さには見覚えがある、これはパイルバンカーで撃たれたものだ。
 黒杭は僕の頭上を抜けて通り過ぎ、奥の壁をも破壊貫通して飛んでいった。慌てて家の
奥を確認すると、ユンとリーが脅えたような表情でこちらの様子を窺っている。辛うじて
怪我が無かったことが、唯一の幸運だろう。しかし公園での大参事を思い出したらしく、
二人の小さな体は震えていた。目には涙さえ浮かんでいる。


157:『甘獄と青』Take22
07/01/26 15:09:43 pwVXRCAV
「どういうことだ!!」
 視線を前方に向けると、二発目を撃とうとパイルバンカーを構えているユカリが見える。
先程まで無機質だった瞳にあるのは明確な敵意、殺意と言っても良いものだ。実際、彼女
は僕を殺すつもりなのだろう。案内役だと思っていたのに、意味が分からない。
『さら様ハ覚悟ヲ決メテオラレマスガ、貴方ハドウナノデスカ?』
「僕だって、決めている」
『ナラ、殺セマスカ?』
 ユカリはナナミが撃った白杭を一振りで弾き飛ばすと、黒杭の石突きで打撃した。衝撃
に倒れ伏したナナミの背を踏みつけ、眉を立ててこちらを睨みつけてくる。身長1mにも
達しない子供のような体駆から、怪物のような巨大な威圧感を発していた。
『今マデ長イ時間、さら様ハ独リデシタ。ソレヲ破ッタ貴方ハ称賛デキマスガ、再ビ孤独
ヲ与エタノモ貴方ナノデス。世界ヲ破壊スル悪役ノ覚悟ヲ、殺スコトガデキマスカ?』
 殺す?
『蜜ノ味ヲ知ッタさら様ハ、孤独二泣イテイマス。ソレヲ、貴方ノ手デ楽二デキマスカ?』
 抵抗するナナミの頭を踏みにじり、静かな声で語りかけてくる。抑揚も少なく平静な声
に聞こえるが、その奥には煮えたぎる強い感情が見えた。敵意の具現である黒杭の先端は
震えていて、今にも飛んできそうな雰囲気がある。
『答エナサイ!!』
 抑えが効かなくなってきたのか、とうとう怒鳴りだした。
 殺さなければならないのか。


158:『甘獄と青』Take22
07/01/26 15:11:43 pwVXRCAV
 どうするかは、決めてあった。
 僕はナナミを選んだと、そう伝え、その意思を変えるつもりはないと示そうと。世界が
滅んだとしても、その意思が変わることはないとはっきりと言おうと思っていた。しかし
今のユカリの口ぶりでは、そんなことは関係がないといった様子だ。伝えてくるのは一重
にサラさんを想う心、例え主が死んだとしても心だけは守ろうという意思だ。
『何度裏切レバ気ガ済ムノデスカ!? 突キ放シ、殺シモシナイ!!』
「死ねば全てがおしまいだ!!」
『全テヲナクサナケレバ、全テガ壊レテシマイマス!!』
 それは違う、全てを無くした後に待っているのは悲しみだけだ。
 それは、僕が一番知っている。
 親に捨てられ、大切な恋人を無くし、孤独を抱えてここに入ってきた。生活が出来たと
しても、全てが消えてしまえば待っているのは地獄の苦しみだけだ。ナナミが居なかった
場合のことを考えると、サラさんの気持ちはよく分かる。しかし、全てを手放しても悪に
染まってはいけないのだと、そう思う。その線引きは自分の中にしか無いけれど、自分で
引くことは絶対にしてはならないのだから。
「だから、殺さない」
『モウ、良イデス』
 狙いを定めるようにユカリの目が細くなり、
『死二ナサイ』
 黒杭が、飛来する。
 直後。
「何をしてるんですか、貴方は?」
 聞こえてきたのは金属が噛み合う鈍い音と、懐かしい声。
「大丈夫ですか、青さん?」
 翻る金髪に、小柄な体に不釣り合いな長い両場の剣。
 綺麗な歌と踊りが得意な、姉思いの優しいソードダンサーが、そこに立っていた。

159:ロボ ◆JypZpjo0ig
07/01/26 15:13:06 pwVXRCAV
今回はこれで終わりです

ベタな引きですね
個人的には好きなんですが

160:名無しさん@ピンキー
07/01/26 15:16:20 EuFAAU95
GJ!!GJ!!

161:名無しさん@ピンキー
07/01/26 18:30:49 CDNSpyi+
オレンジもさっさとSSを投下してくれと
中毒症状を起こしております

                    __   .イl. , -- ミ 、       ,ィ
 ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧   / `く.  l/ , - 、: .` ==、___/ノ!
<        ┌┐□□ >, '   . : . \l //: : :、:、: . .__ : : ´/ィ
< ││  ┌┘└─┐ >.イ/ /: :__!{ム___ヽ:、: : : :--‐: ´:/イ
< ││  └┐┌┐/  >ヽ|{ {/     ,.ィ l ,{   `\、: :‐--‐: : ! .ィ
< ││    │└┐   >ij ヽヽ==彡' ノ i `=r 、_`===彡'′
< ││    └─┘   >|//\ヽ ∨〃/\   彡/::/::/::/
< ││            >//(・) \ゞ/ /(・)  〉   `ァ〃イ^ヽ
< ││  ┌──┐ >| \_/ノ  \_/ ノ し| ∨ L  }
< ││  │┌─┐│ >l:::::::::∠~         ⌒|〉  ,'::::∧
< ││  |└─┘│ >|:::::::::r~~‐、ヽ      /ゝ/彡'::/
< ││  └──┘ >|:::::::::)jjjjjjjjjjjヽヽ        /
<   ̄           >|:::::::::|,,    ||      /
<  ロロ┌┐  ┌┐   >!:::: ヽiiiiiiiii//      /
<   ┌┘│  ││   >ヽ  ヽ~~"     /
<     ̄ ̄   ││   > ヽ、__,,,____/
< ┌┐┌┐  ││   >  _]:::::::   [_
< ││││  ││   > ̄~        ゙ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
< ││││  ││   >               ,~ヽ
< └┘└┘        >             ~ ノ ̄\
<  [] []         >           ’ノ⌒⌒⌒⌒〉〉
 ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨            {       Y∫


162:名無しさん@ピンキー
07/01/26 18:33:24 tRbi/VgS
ブリタニアに帰れブリキ野郎

163:名無しさん@ピンキー
07/01/26 19:47:19 +hkBevxT
>>159
GJ!
だが心に触れる何かがあるからこそ、こういうベタな引きは愛されるんじゃないかと思う

164:名無しさん@ピンキー
07/01/26 20:58:41 2rwDivMb
また神々が投下してくれるようになってきて嬉しいっす。
神の皆様方乙です。

165:名無しさん@ピンキー
07/01/26 23:11:59 PRzdqvAB
ミャー子・・・・・・・・・・

166:名無しさん@ピンキー
07/01/26 23:12:50 d1FW1qzL
俺のいたり先輩と雪桜さんまだぁーーー!?

167:名無しさん@ピンキー
07/01/26 23:19:18 zBWONmeR
あんまり露骨なクレクレはスレの空気を悪くすると何度も何度も何度も何度も

168:名無しさん@ピンキー
07/01/26 23:23:07 NJ2wKCaY
主にそんなレスするから悪くなるんだけどな
ホラ、ついこんなレスしちまった



流まだー?

169:魔女の逆襲第12話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/26 23:29:55 jKR95M0w
 りぃん。

 玄関のドアが閉まる。
 良樹の姿が消えた。
 早百合はじっと閉じられたドアを見つめていた。
 早百合の頭には良樹に対する嫌悪感が風船のようにぎゅうぎゅうと詰められていた。
 数秒後。
 早百合は突然頭を抱えてうずくまった。
 般若の形相をした早百合は、玄関マットに猫のようにぎゅうぎゅうと頭を押し付けた。
ぎしりぎしりと軋む玄関の床。
 玄関のドアを背に早百合は頭を掻き毟っていた。整えられていない寝癖のついた髪の毛がさらにぐしゃぐしゃに方向を変え、数本がぶちぶちと抜け早百合の足元へ落ちてゆく。
「ぎぃぎぃぎぃぎぃ!」
 自分の衝動を押さえつけようとして顎から響く歯軋りが奏でる不協和音。
「ぐっぐっぐっぐっ!」
感情をぶつけるように壁を叩き。赤く染まる拳。どくどくと噴出す血液。赤く染まる玄関マット。まるで負傷した兵隊の包帯のよう。
そこに早百合の口から呪詛のように響き始める声。
「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い良樹なんか嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌いきらいきらいきらいきらきらいきらいききききききいきらききらいききらききききききききぃききききききぃきぃきききき……」
 早百合にはこんなにも誰かを蔑む言葉を繰り返したことはいまだかつて無かった。あまりにも繰り返しすぎて感情に口がついていけず、最後にはきききききききききききききききききと嫌いの頭文字だけ、玄関中に連呼している。
 彼女は足元にあった携帯電話をぎゅうと握った。コバルトブルーの携帯電話が何かに浸けたみたいに赤黒く染まってゆく。
彼女が嫌いという度に携帯電話に付けられた燕尾色の鈴がりぃんと音を鳴らしている。
 早百合の部屋にあるはずの携帯電話が何故、玄関の床にあるのか? 今の彼女にはそれを思考できる余裕が無かった。
 
もし、この時点で。彼女が真相に気付き、この鈴をこの場で処分すれば最悪の事態は免れていたのかもしれない。

 彼女の心は何かに操られ、心にぼこりぼこりと溢れるて占める嫉妬のことしか考えられなくなっていた。
 鈴の音は脳髄の奥の奥まで響かせるようにりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃん。
 揺れる鈴。
 そしてそれを虚ろな目で眺める早百合。
 りぃんりぃん。
 待て。何故こんなに良樹が嫌いなのだ?
 良樹を独占したい自分は、何故良樹が嫌いといえるのだ?
 早百合は自分に問う。興奮したままの頭の中の狂ったコンピュタは回答はすぐにはじき出した。

りぃんりぃん

魔女!

りぃんりぃん

紅行院しずる!!

りぃんりぃん

あのからすおんな!!!

りぃんりぃん

 あいつがあいつがあの女があの魔女があの鴉女が良樹のそばに居るのが嫌い!

170:魔女の逆襲第12話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/26 23:30:59 jKR95M0w

 良樹が魔女を見ると嫌い
良樹が魔女と一緒にいると嫌い。
良樹が魔女の手をつなぐと嫌い。
 良樹が魔女の話をするともっともっと嫌い。
 良樹が魔女を恋人にするともっともっともっともっと嫌い
 良樹が魔女にキスをするともっともっともっともっともっともっと嫌い
 良樹が魔女に何かするだけで、何かしてあげるだけでもっともっともっともっともっともっともっと嫌い!

 そしてその世界に私が存在していることが、ずぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっと嫌い!
 頼むから良樹! 魔女を関わらせないで!
 あなたの世界から完全に魔女を消滅させて!
 でないと、あなたのことを私はどんどん嫌ってしまう!!

 良樹を嫌いになんてなりたくない!
 良樹良樹良樹良樹よしきよしきよしきよしきよしきよしきききききききききききききききききききききききぃきぃきぃきぃきぃいいいいい!!

りぃんりぃんりぃんりぃんりぃんりぃん



171:魔女の逆襲第12話 ◆oEsZ2QR/bg
07/01/26 23:32:06 jKR95M0w
 ……。
「……なにやってんの……私……」
 意識がようやく覚醒し始める。
 気が付けば、20分間。何も言わずに床を殴っていた。
「……最悪」
 血だらけの拳に、マットに広がる血の跡、そこに散乱する自分の髪の毛。
 とても自分でやったとは思えない。何度壁を叩いてたんだ? 
 玄関マットをめくってみる。
「げっ」
 床がめっちゃヘコんでいた。
 ボコりっという擬音が似合いそうなほど、フローリングの木にひびが入っていて体重をかけるとそのまま足がズボリと沈んで突き破りそうだ。
 マットを元に戻す。早百合は見なかったことにした。
 早百合は立ち上がると、とりあえず血で汚れた玄関マットを仕舞い靴箱の棚の奥から使われていなかったクモのプーさんの玄関マットを取り出す。それをひびが入った床を隠すように置いた。
 一番踏んじゃいけないところに足で踏む玄関マットを置いてしまってるが、その時はその時だ。ズボリといったらシロアリのせいにすればいい。築4年だけど。
「ふぅ……」
 それにしても…。ここ最近の自分は酷い。
 感情が高ぶりすぎて、床を殴ったりするなんて初めてのことだ。
 原因は……。
 しずるへの嫉妬……。
 嫉妬のはず……。
 しかし、なにかがおかしい。
「……私、嫉妬してるんだよね? しずるさんに……」
 そうだ。良樹が欲しくてたまらない。
 魔女が邪魔で憎くてしょうがない。
「嫉妬……」
 しずるの顔が頭に浮かぶ。
 頭の中に浮かんだしずるの表情は何故か笑顔だった。一緒にプリクラを撮った後、二人で話していたときの笑顔。
 自分と友達になってくれと言って手を出してくれた時の笑顔。頬のえくぼまではっきりと浮かぶ。
 良樹を奪ったしずるが憎い憎い憎い憎い……。
 憎いはずなのに。頭の中に浮かぶしずるは爽やかで、微笑ましくて、とても綺麗。

 だめだ。自分がわからない。
 この嫉妬は間違いに決まっている。
 でなければ、こんなときに、本心晒してくれた時の爽やかな顔をした綺麗なしずるの姿を頭に思い描けるものか。

 自分のことの筈だ。
 これは自分の感情の筈だ。
 こうやっていま立っている足も、血だらけだった手も、くしゃくしゃになった髪の毛も、目も、鼻も、口も、この感情も、心も、なにもかも。全て私のものの筈だ。

 しかし、それが揺らぎ始めている。
 自分の意志とは違うところに、何か違う自分が居る。
それは本物である自分の意思を食い始めている。

 早百合は寒気を感じ、自分の体を抱きしめた。この寒気は風邪なんかではない。しかし、がたがたと震え始める自分の体。
 浮かんでは消える、思考。

 自分は良樹を独占したいのか?
自分は魔女を憎んでいるのか?
自分は嫉妬に狂った女なのか?
本当に自分は良樹が欲しくてたまらないくて、魔女を殺したいほど憎む嫉妬心を持っているのか?

 早百合が握り締めた携帯電話の鈴は今は鳴っていない。
(続く)

172:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/01/26 23:36:19 jKR95M0w
今回は短めです。魔女とのまだまださきになりそうです。
というか、80の方。普通に参考になりました。
…を二つ並べなきゃいけないこと初めて知ったよ…orz

あ。友人に頼んだしずるイラストを一緒にUPします。みなさんのイメージに合うでしょうか。
URLリンク(bbs9.fc2.com)

173:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/01/26 23:40:54 jKR95M0w
……は2つだって! 自分。
あと魔女との戦闘は先になりそうでした。
もういっちょしずるイラスト。
URLリンク(bbs9.fc2.com)

174:名無しさん@ピンキー
07/01/27 00:03:57 czohhG1/
早百合侵食嫉妬覚醒キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!

175:名無しさん@ピンキー
07/01/27 00:30:39 ZSCxPONX
そこで切るか!?切っちゃうのか!?明日、発表会なのに一日悶々と過ごせと申すのか生殺しGJ!!

176:名無しさん@ピンキー
07/01/27 00:39:43 e6MRm6VQ
うん、魔女派の俺でも萌えるね。うん。
さゆりかわいいよさゆり。

177: ◆6xSmO/z5xE
07/01/27 01:58:29 e602kcGj
投下いきます。

178:ブラッド・フォース ◆6xSmO/z5xE
07/01/27 02:03:10 e602kcGj
 朝の教室は騒がしい。宿題やら部活やら、昨日のテレビやら放課後の予定やら、話題には事欠かない。
 だがここ数日は、ある一つの話題で持ちきりになっていた。
 予鈴が鳴っているにも拘らず話し続けている生徒も何人かおり、その表情は総じて深刻なものだ。
 入ってきた担任教師がファイルで教壇をバンバンと叩き、ようやく席へ戻っていった。

「高村と折原は今日も休みか。他には・・・・・・。
 ん? 奈良橋がいないな。誰か、何か聞いてるか?」

 ここ数日続いている2つ以外の空席を見つけた担任はクラス全体に呼びかけるが、返事は無い。
 後で自宅に電話を掛けるか、と呟いて一つ咳をすると、改まった様子で話し始めた。


「えー、皆も知っていると思うが・・・ここ数日、若い女性が立て続けに失踪する事件が起こっている。
 それも、この近辺ばかりでだ。
 警察は連続誘拐事件として捜査を続けているが、目立った進展は無く事件も相変わらず続いている。
 そこで・・・・・・今日から当分、学校は午前中のみとすることになった。
 部活動も委員会も、中止だ」

 一拍置いて告げられた担任の言葉に、教室が一斉にざわめき出す。担任の静止の声も中々届かない。
 大声で3度呼びかけてようやく静まり、再び担任が話し始める。

「とにかく、今この辺りは非常に危険な状況に置かれている。何が起こるかは、先生たちでも正直分からん。
 なので、次に挙げることを必ず守るようにして欲しい。
 1人で帰らないこと、不用意に出歩かないこと。特に女子生徒はこれを絶対に守るように。
 マスコミに何か聞かれても、余計なことは言わないこと。
 警察を刺激するような不審な言動を取らないこと。
 一時限目は職員会議なので自習とする。
 HRは以上だ。委員長、号令」

 HRが終わって担任が出て行くと、教室は途端に騒がしくなり始めた。
 話題は勿論、件の連続失踪事件について。
 真面目に自習に取り組もうという生徒は殆ど見られない。


 このところ多く話題に上っていた、あまりに長期に渡り休んでいる智と千早へのクラスメートの心配。
 そんな中起こったこの事件が、2人への彼らの関心を奪い去ることになっていた。


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