07/01/25 01:57:24 KtpV43SX
パーティは全く、油断していた。
一つ上の階層で、迷宮に蔓延る狼たちの首魁を倒したのが、まだ記憶に新しい。
ミッションの成功を揚々と執政院に報告し、酒場で仲間と祝杯を挙げたのが、つい先ほどのことに感じられる。
いま、バードひとりを取り巻く状況は酷く絶望的で、そこには救いも何も、ない。
第2階層に到達した彼女たちを待ち受けていたのは、あまりにも手痛い洗礼であった。
今までよりも遥かに強力になったモンスターは、5階を越えた彼女たちの自信を打ち砕くには十分すぎた。
現れたのは二種のウーズ―毒と眠りの状態異常を得意とする敵の群れに、パーティは見る影もなく蹂躙された。
前を護る二人は倒れ、メディックも力尽き、隣に立つアルケミストも……たった今、地面に崩れ落ちた。
彼女一人が、樹木生い茂る迷宮に取り残される。周囲を大量の汚らしいウーズたちが取り巻く。
退路は断たれ、救いの糸も持たない。
そう、慢心から至る驕りは、冒険者たるものにあってはならないのだ。
迫り来るウーズに嬲られ、バードは地面にへたり込んだ。
もはや彼女には戦う力はおろか、抗う力も残されてはいない。
無機質な表情しか持たない、見るからに毒々しいウーズたちが彼女ににじり寄る。
見やれば、他の仲間たちは既に原色の海に埋もれていた。
「ひっ……や、いやぁ! 来ないでっ!」
お尻と手を地面についたバードは、少しでも後退しようと泣き叫びながら身じろぐ。
彼女の震える手が取り落とした弓を、前に出たスリーピーウーズの1匹が飲み込んでいく。
それは他のモノよりも一回り大きく、彼女を圧倒していた。
絶望に支配されていたバードの頭の中が、恐怖の色へと染まっていく。
彼女の気付かぬうちに、股間はじんわりと濡れて、獣道に小水を垂れ流していた。
「あ……ぁ……」
もう、悲鳴は枯れ、言葉は尽きた。
ぐじゅ、ぐじゅと、粘質に零れるウーズの体液が、バードの目前に溢れる。
ソレの身体から飛散した赤黄色い飛沫を浴びて―瞬間、彼女は昏倒した。