07/01/18 16:56:39 3aF4Ftpm
「もし長門にお姉さんがいたら、あんな感じだろうな」
言ってから、マズったと自分の迂闊さを呪った。
家族の話題というのは、いつだって慎重に扱うべきだ。
居ることを当たり前と思ってはいけない。
世の中には、そうでない人間も意外なほど多くいる。
やや特殊な例だが、目の前のこの少女だって、その大勢の一人だ。
「……姉さん」
長門は呟くと、その言葉をじっくりと味わうかのように黙り込んだ。
無表情の長門からは、何を考えているのかまったく読み取れない。
「すまん長門。気に障ったか」
沈黙に耐えきれず、恐る恐る尋ねる。
幸いなことに、俺の目の錯覚でなければ、長門の首は左右に揺れた。
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間─
長門は俺をじっと見つめ、それから……。
、 、 、 、
薄く、だが、はっきりと─嬉しそうに微笑んだ。
目眩がした。
『 朝倉涼子の不在 』
"She's nowhere," the girl said, "but she's still here".
She smiled and touched the chest of herself.
"Who is the 'she' ?" I asked.
"My sis," she replied, "...and my best friend".
-end-