07/11/14 17:42:56 cPg8qk5L
「コクハク」
もう3月。6年生の卒業式も終わり、短縮日課になって授業の代わりに大掃除ばかりの毎日をリョータは送っていた。
早く帰れるのは嬉しいんだけど、正直張り合いというものがないではないか。
「ダリィよな~。なんでこんな事するために学校来なきゃいけねーんだよ~、休みでいいだろ~」
ツバサはこう言っている。普段からああいう奴だけど。
そして今日も、何事もなく帰りの挨拶まで終わった。
「おい、佐藤……悪いがコイツをゴミ捨て場に運んどいてくれ」
捕まってしまった。教室も6年生に変わるために教材や掲示物の片付けが必要なのだ。
断ったってやらされるんだ、ハイと答える意外に余地はない。
「お、重……」
そりゃあ1年分だもの、なんてチカがいたら言いそうだ。いや、物理的に重いんだけど。
生徒が一斉下校してる中、リョータはやっとの思いでゴミ捨て場にたどり着いた。
「ふぅ~、よっしゃあ、これで帰れ……」
ポツリ
「んあ?」
雨が降ってきた。ふむふむ。状況確認がリョータの脳内で始まる。
゙ピー……雨……強イ……ガガガ……傘……所持してイナイ……キケン……゙
「うわわわわ……ヤバい!急がねえと……」
教室へ帰ってランドセルを取り、階段を駆け抜けて昇降口へ向かう。
が、時既に遅し。土砂降りとなっていて、とても帰れる状況ではなかった。
「はあ~……ついてねえな……」
仕方がない。職員室で傘を借りるしかない。リョータの足は反対側へと向いた。
そして硬直した。水色をした傘の先っぽがリョータの胸を刺していて、その先には相原カズミが立っていた。
「……討ち取ったり……」
「う……あ……やるな、相原……。グフ……俺の負けだ……」
なんというノリの良さだろう。それは置いといて、なぜカズミがここにいるか?
どうやら寝ていたらしい。てか、誰か起こしてやれよ……と思ったが、どうやら゙起こすな゙という紙を貼っといたらしい。
どうせ短縮なら家に帰ってから寝ろよ……とリョータは心の中で思った。