07/05/22 12:50:40 rhSzduMj
休日だというのに、朝っぱらから、トウマと藤岡はサッカーの練習をしていた。
へとへとになるまで走り回ったトウマは、すっかりバテていた。
「だからね、あそこはロングパスで正解なんだよ」
藤岡はさわやかな笑顔で語る。
まったく、タフな野郎だぜ。
ロングパスに対する意識の差を埋めようと思うものの、息が切れてしゃべるのもつらくて、もうどうでもよくなってしまう。
そんなトウマの表情を見て、
「少し休もうか」
と藤岡が言った。
その場に、倒れ伏してしまいそうになるのを、トウマは根性で耐えようとしたが、結局、地面に座り込んでしまった。
「おいおい、大丈夫か」
言って、藤岡が手を差し出してくれる。
見上げた藤岡は、ちょっと格好よかった。
不覚にも、トウマは、藤岡の笑顔に見とれてしまった。
差し出された藤岡の手を握ると、照れくさくて死にそうになった。
って、何考えてるんだよ、オレ。こいつは藤岡だぞ。
いつまでたっても、オレのことを男だと思いこんでるような奴だ。
トウマは思わず、恨みがましい目で、藤岡を見てしまった。
「えっ、なに?」
問い返す藤岡に、
「なんでもないよ!」
トウマはキレ気味に返事をした。