乙女はお姉さまに恋してるat EROPARO
乙女はお姉さまに恋してる - 暇つぶし2ch302:名無しさん@ピンキー
07/09/23 02:00:36 ZLCqiQnI
>>298続き

 由佳里「おかえりなさい、お姉さま!」
由佳里が元気良く声を上げる。
 瑞穂「ただいま、由佳里ちゃん」
 由佳里「お姉さま、お姉さまにお手紙が来ていましたよ?」
そう言うと、由佳里は便箋を取り出した。
 瑞穂「手紙?」
丁寧にたたまれた手紙を開き目を通す。すると、瞬く間に瑞穂の顔色が変わる。
“宮小路瑞穂様へ
 突然ですが、驚かずに聴いて頂きたい。単刀直入に申し上げますと
 そちらの寮生である「周防院奏」の身柄を、こちらがお預かりいたしました。
 つきましては…”
瑞穂は自身の目を疑った。この手紙は、間違いなく「脅迫状」である。
手紙には、奏を誘拐した事と、身元引き受け場所が丁寧に記されている。
そして加えて、“他人には言及するな”“一人で来い”と、お決まりの文句が添えられている。
 瑞穂「悪戯…?」
確かにこの学園では一度、奏が原因でちょっとした騒動が起きたことがあった。
瑞穂も、その時の中心人物の一人だったのだ。
 瑞穂「ゆ…由佳里ちゃん、奏ちゃんを…見なかった?」
近くにいた由佳里に思わず聞かずにはいられなかった。
 由佳里「うー…ん、ごめんなさい…、見てないですね」
由佳里は少し考えた後、申し訳なさそうに返事をする。
 瑞穂「ありがとう、由佳里ちゃん」
そう言って、急いで自分の部屋に戻る。
 瑞穂「一子ちゃん!一子ちゃん、いる?」
 一子「何ですかー?お姉さまー?」
いつものようにドアをすり抜けて一子が部屋に入って来た。
 瑞穂「一子ちゃん、奏ちゃんを見かけなかった?」
 一子「今お散歩をして来たとこなんですけど、学園の周りにはいないみたいでしたよ?」
心臓の鼓動が僅かに高鳴る。
 一子「ごめんなさいお姉さま…、一子ももっと遠くまで飛んでいくことが出来ればいいんですけど」
 瑞穂「い、いいのよ、一子ちゃん。そんな急な用事じゃないから。ありがとう…」
少し声が震えている。自分でも、それが分かった。
 一子「申し訳ありません…。あそうそう、人探しといえば生前私の友達にそれはそれは
    人を探すのが得意な子がいたんですよその子とかくれんぼをしたときなんて気が
    付いたら見つかっちゃっててビックリしちゃってあーなんだか無性にかくれんぼ
    がしたくなって来ちゃいましたあっでも私幽霊だから壁の中に入っちゃうと皆さん見」
 瑞穂「あ、ありがとう、一子ちゃん。じゃあ、私もう行くからね?」
熱く語り続ける一子を尻目に、寮を後にする瑞穂。
探しても奏ちゃんは見つからない。それでもどうせ悪戯だろうと自分を納得させようとした。
「自分を疎ましく思っている生徒もいるかもしれない」「自分はエルダーにふさわしくないかもしれない」
だからこんな嫌がらせみたいな事をされたのか?心の中には、少なからずこんな想いがあった。
だが、その懐疑心はすぐに頭の中から消え去り、同時に自分を恥じた。
それは「自分は完璧」だという驕りではなく、エルダーシスターとして、
何より学園の生徒たちを疑いたくはなかったからである。

瑞穂は覚悟を決め、“手紙”によって指定された場所へと向かっていった…






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