はにはに◆オーガスト総合エロパロ6◆あけるり at EROPARO
はにはに◆オーガスト総合エロパロ6◆あけるり - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
06/12/11 00:29:21 /TThOawd
ごめんよバイナリィ・ポット

3:名無しさん@ピンキー
06/12/11 00:54:09 9B7Aztp7
削除板で判断基準聞いたんだが、
Q:エロゲ原作エロパロ禁止だけどおk?
A:アニメ・CSの二次展開があればそちらを原作とみなしておk。
→バイナリィ・ポットはNGみたい。
Q:オーガスト総合のほかに明け瑠璃で1本立ってるけど重複にならない?
A:メーカーと作品別で分かれてるのは特に問題なし。

4:名無しさん@ピンキー
06/12/11 00:54:35 C0/IxeEm
>>1

5:名無しさん@ピンキー
06/12/11 00:58:43 3Hh/PfQb
>>1
ふむふむ。一般作品のスレか
つまりCS発売直後のエステル希望ということだ!

6:名無しさん@ピンキー
06/12/11 07:02:13 PIKXwUEt
スレ立て乙
でもって、またパニーニかよw
スレ立てしてくれたお礼に、>>1は洗濯板リースと扁平胸メイドとの間でぱにーにの刑に処する
即死回避のため>>30の人は菜月とさやかの胸でぱにーにな

7:名無しさん@ピンキー
06/12/11 12:57:08 wxSnZmpT
>>1乙ですねぇ

8:外伝 ◆9QlRx9nooI
06/12/11 18:00:04 KFlIEVgB
>>1


9:名無しさん@ピンキー
06/12/11 20:43:35 hwc+h0kR
>>外伝氏
俺は1を希望するぜ!

10:名無しさん@ピンキー
06/12/11 23:12:10 mWm9mnHQ
まぁどれかには当てはまるだろうなw

11:名無しさん@ピンキー
06/12/12 23:02:34 7MBIwxlX
なんつうかこうアニメ見て、セフィリアとタイムスリップした達哉とか書きたくなる
漏れがいる

12:名無しさん@ピンキー
06/12/13 05:39:50 3OVzJom/
セフィリアが犯されるのキボンヌ

13:外伝 ◆9QlRx9nooI
06/12/13 22:04:21 3YZDY/7v
前スレからの続きで、はにはに祐介×文緒その4あらため
君が望むはにはに 祐介×文緒その4を投下します。
ごく普通の和姦注意。まだルート未定。

保管庫さんへ。
お手数ですが、「はにはに 祐介×文緒」を、「君が望むはにはに 祐介×文緒」にお願いします。

14:君が望むはにはに 祐介×文緒その4
06/12/13 22:05:31 3YZDY/7v
「なおくーん。おはよー」
 声に目覚める。いつもの声。
 いつもの?
 いや違う。覚醒する意識で祐介は否定した。
 この声に起こされてきたのは久住直樹。祐介ではない。
 だが目を開けると、確かに保奈美がそこにいた。直樹の幼馴染、そして恋人。

 ―どうしてここに?

 そう言おうとしたが声が出ない。起き上がろうとしたが体が動かない。
 そして気付いた。脚の感覚が無い。目を下に動かせば、膝から下が無かった。
 手も動かない。肩から先が無かった。
「どうしたの? なおくーん」
 保奈美が頭を抱えて胸に当てる。豊かで柔らかい胸。
「うふふ」
 抱いた頭をゆっくりと降ろし、保奈美はにこやかに笑って見下ろす。声を出せず、手足も動かない恋人を。
「ほら。なおくん。朝ごはんだよ」
 そして保奈美は箸で肉を摘んで差し出す。朝から焼肉。
「んーんー」
 唸って首を振るが、その頭をがっしりと押さえて、無理矢理に肉片を口に運び込んだ。
「ダメだよー。好き嫌いしちゃ」
 うふふ、と笑い、保奈美は彼の頭をよしよしと撫でる。
「ずっと、ずっーと、わたしが世話してあげるからね」
 そしてちゅっと唇にキス。まだ肉を口に含んだ彼に。
「これからずっと一緒だよ、なおくん。お肉もたくさんあるからね」
 にっこりと笑う保奈美。その背中に彼は見た。
 お腹に包丁の突き刺さった文緒。そのお腹は大きく膨らみ、そして削られている。
「お腹が空いたら言ってね。またあの女と胎児のお肉取ってあげるから。あ、もう喋れなくしちゃったんだっけ。てへ」
 ぺろっと舌を出して保奈美は笑った。血に濡れた頬で。


「わあああああああぁぁぁぁーっ!」
「きゃあああああああぁぁぁーっ!」
 悪夢から目覚めると、現実も悲鳴から始まった。
「文緒!?」
 ばっと飛び起き、悲鳴の聞こえた方向、窓の近くで座り込んで叫んでいる文緒を見る。
「どうした!」
 すぐに駆け寄り、肩を抱いてやる。全裸で。
「あっ……アアッ……あそこ……」
 青い顔でぱくぱくと口を開閉させ、文緒は窓の外を指差した。震える指先で。
彼女がこんなに動揺しているなんて初めて見た。直樹の記憶にもない。
「そ、そこに……藤枝さんが…」
「なに!?」
 さっと祐介も蒼ざめる。
 窓を見るがそこには誰もいなかった。
「誰も……いないぞ」
 念のために窓の側に寄って見てみるが、ベランダにも上下左右にも誰もいない。ここはマンションの十階。
だが窓を開けることはしなかった。いや出来なかった。
 窓を開けると、その瞬間に保奈美が飛び込んできそうで。
「誰も……いない。安心しろ」

15:君が望むはにはに 祐介×文緒その4
06/12/13 22:07:08 3YZDY/7v
 カーテンを閉め、まだ震えて座り込む文緒の頭を抱き、祐介は言う。自分にも言い聞かせるように。
「う、うん……」
 彼の腕に抱かれ、少しは安心したか、文緒も徐々に平静を取り戻す。
 そう。あれはきっと見間違い。そういうことにしよう。そして、
「あ、あの祐介君」
「服……」
「あっ」
 言われて祐介も気が付いた。昨日はやってそのまま寝たんで裸だ。
「いいよ。このままで」
「きゃっ」
 裸のまま文緒を抱えて運ぶ。昨日ずっと愛し合い、早速汗の染み込んだベッドに。
 そのベッドにまた文緒を優しく寝かせ、上に覆い被さっていく。
「も、もう……。朝から」
するの? と続けようとした文緒の口を塞ぐ。キスで。眼鏡に当たらないように顔を斜めにずらして。
 背中に手を回して体全体で抱きしめ、口を離して祐介は耳元で囁く。
「忘れさせてやる。怖い事は全部」
 そうだ。あんな夢なんか忘れよう。自身に言い聞かせ、祐介は文緒をしっかりと抱きしめ、またキスする。
「ん……」
 目を閉じてキスを受け、文緒もまた彼の背中に手を回した。

 愛し合う二人を見ている者は誰もいない……はず。多分。と思う。窓の外、
カーテンの隙間から見ている瞳……はきっと幻だろう。

 恭子先生と結先生の用意してくれたマンションに住むようになって一週間が過ぎた。
その間、とっても忙しく、そして充実した日々を過ごす。
 まず文緒の両親にご挨拶。
 予想通りというか、やはりこっぴどく怒られた。
 それでも祐介の熱意、文緒との愛情、そして恭子先生と結先生の後押しと協力で何とか説得できた。
 特に恭子先生。保奈美を止める為に左腕とあばら骨を骨折し全治2ヶ月の大怪我をしたのに、
無理を押して祐介と文緒と一緒に何度もお願いに上がった。
今や祐介の親代わりとなった恭子先生は、「面倒は全て私が見ます」と両親に深々と頭を下げて嘆願。
もちろん祐介も何度も頭を下げた。
 結局、すでに文緒が妊娠したという既成事実もあり、最後は両親も承諾した。
 ただし、祐介にこう念を押した。

「必ず、娘を幸せにしてほしい」と。

「はい!」
 そして祐介も「必ず、幸せにします、いえ幸せになります」と約束した。それが他の女を不幸にする事でも……。
 そして今日、文緒の実家からマンションに届いた荷物を整理する。それは文緒の嫁入りの引っ越しだった。
そして怪我した恭子先生の代わりに手伝いにやって来たのが、祐介の姉。
「でも驚いたな。天ヶ崎さんが祐介君のお姉さんだったなんて」
「こっちもだよ~。祐介と秋山さんがこんな仲になってるなんて」
 引っ越しも一段落付き、お茶を飲みクッキーを食べながら、美琴と文緒はにこやかに談笑していた。
 元々誰とでも仲良しになれる美琴。委員長の文緒とも仲良しさんだった。

16:君が望むはにはに 祐介×文緒その4
06/12/13 22:07:56 3YZDY/7v
「でも祐介もひどいよ~。こんな大事なこと早く教えてほしかったのに」
 ぷー、と頬を膨らませる姉に、祐介はふっと肩をすくめ、
「姉貴に言ったって、どうにもならないだろ。引っ掻き回すだけで」
「え~。そんなことないのにー」
 ふふふ、と仲の良い姉弟に今度は文緒が笑う。
 それは結先生も同じだ。教え子が仲良くしてるを見るのは、とても楽しくて嬉しい。

 ちなみに祐介が未来から来たこと、そして直樹と分離した存在で今は一つになっていることなどは、まだ文緒には秘密にしてある。
妊娠中の彼女に余計なストレスをかけたくなかったからだ。いつか機会を見て話すつもりではいる。

 ずずっとお茶を飲みクッキーを食べる、祐介、文緒、美琴、結先生の四人。
恭子先生がいればコーヒーを淹れてくれたのだろうが、怪我で療養中だ。怪我した体で無理してくれた恭子先生には、祐介も文緒もとても感謝している。
「あっ。このクッキーおいし~」
 キラキラと美琴の目は輝いている。
「そうですね。プリンもいいですけど、これもなかなか」
 結先生もとても満足そうだ。
「こんなおいしいクッキーを焼いてくれる奥さんなんて。祐介は幸せ者だよ~」
「え?」
 同じくクッキー食べていた文緒がきょとんと手を止める。
「私じゃ……ないわよ」
「えっ? でもこれ手作りだよね」
 そう。四人が食べているクッキーは確かに手作りだ。それも焼き立て。このテーブルにいつの間にか置かれていた。
 視線が結先生に集まる。
「えっと。私でもないですよ」
 結先生ならプリンのはずだ。
 もちろん祐介でもない。四人の頭にでっかい「?」が浮かぶ。
 恐る恐る祐介がクッキーを手に取り、今度は慎重に味わって食べる。
「……!」
そして全身がサッと凍りつく。この味は…!
「あっ。これ、保奈美が作ったクッキーみたい」
 美琴が同じ感想をあっさりと言ってのける。凍りついた祐介がガクガクと震えた。
「きゃ、きゃあっ!?」
 文緒が声に出して怯え、結先生さえも蒼ざめていた。
「みんなどうしたの? もふもふ~」
 ただ一人、美琴だけが能天気にクッキーを食べ続けていた。
 祐介が文緒の肩を安心させるように抱きしめ、「大丈夫」と囁いた。
「ん~?」
 さすがにおかしいと気付いたのだろうか。美琴がクッキーを頬張ったまま首を傾げる。
 もふもふとクッキーを呑み込み、
「あ、そういえば、保奈美どうしたのかな?」
 サーと蒼ざめ、クッキーを見下ろす一同。
「も、もうイヤっ!」
 耳を抑え、文緒が悲鳴を上げる。その頭を祐介は抱きしめよしよしと撫でてやった。
そして目で姉に訴える。その話はするなと。
「ん~」
 何だかよく分からないが、美琴は新たなクッキーを口に入れ、もふむふと食べる。結局クッキーは美琴が一人で食べ尽くした。誰が置いたか分からないクッキーを。

17:君が望むはにはに 祐介×文緒その4
06/12/13 22:08:42 3YZDY/7v
「それじゃあ。おいとましましょうか。新婚さんの邪魔したら悪いですし」
「う~ん。そっかー。それじゃあ祐介。またあとでね」
 引っ越しもあらかた片付き、結先生と美琴は帰る事にした。あれからずっと文緒は元気がなかったが、それは祐介に任せるしかない。
「祐介君」
 玄関で結先生に呼ばれ、祐介は頭を下げる。足首を伸ばし結はそっと耳打ちした。
「藤枝さんのこと。私で何とかしてみます」
「えっ?」
 祐介は小さな結を見下ろし、
「大丈夫……なんですか?」
 あの恭子先生でさせ重傷を負ったのだ。結先生だったら下手すると命に関わる。
「大丈夫です。こう見えても私は担任ですよ」
 それは知ってる。直樹の記憶にある結先生はそれなりにしっかりしていた。
「無理は……しないでください」
「はい」
 そして結先生は美琴を連れて部屋を出た。
「祐介~。またねー。秋山さんも」
 美琴は最後まで能天気だった。

 マンションを出ると結はふと足を止める。
「天ヶ崎さん。すみませんが先に行っててください」
「へ?」
「少し用事が出来ました」
「は~い」
 素直に美琴は一人で帰って行く。
 彼女の揺れるポニーテールが見えなくなると、
「藤枝さん。出て来てください。お話があります」
 結の横のマンホールの蓋が開き、さっと美少女が現れる。保奈美だ。
「さすがですね。野乃原先生」
 そしてまたマンホールの蓋をきっちりと閉める。かなりの重量があるはずだが保奈美は軽々と扱っていた。
「あなただったんですね……やっぱり。あのクッキー」
「はい。お味はどうでした?」
「とても……美味しかったです」
「よかった。なおくんも喜んでくれたかな」
 そう語った保奈美はとても嬉しそうで。まるで恋する乙女。いやそのもの。
 結の小さな胸がチクッと痛む。
「お願いがあります。あの二人を許してやってください」
「許す?」
 保奈美はこくんと首を傾げる。長い髪がさらさらと揺れた。
「一体何を許すって言うんです? なおくんはわたしの恋人ですよ」
「……今の彼は祐介君です。あなたの気持ちは分かりますが」
「分かる?」一転して保奈美の表情が険しくなった。「何が分かるって言うんですか!」
 険のある表情、そして暗い迫力に結は思わず息を呑んだ。
「あの女さえいなければ! 今頃なおくんと一緒にいたのはわたしだったのに!
そうよ! わたしなのよ! わたしのはずだったのに!」
 キッとマンションを見上げる。その突き刺さるような視線の先には二人の部屋。
もうずっとカーテンの閉まったままの窓。その向こうで二人は愛し合っているはずだ。
「許さない……あの女だけは……」
 周囲の空気が弾ける。保奈美の気に空気が圧されたのだ。

18:君が望むはにはに 祐介×文緒その4
06/12/13 22:09:30 3YZDY/7v
「待ってください!」
 保奈美を中心とした風に髪を揺らし、結がその前に立つ。先生として。
「あなたの気持ちは痛いほど分かります……いえ、確かに分からないかもしれません。
でも。秋山さんも望んでこんな事になったのではありません。お腹には子供がいるんですよ」
「そう……本当なら、子供を産むのもわたしのはずなのに……」
 そっと自分のお腹を撫でる保奈美。平坦なお腹には子供などいない。文緒のお腹もまだ平坦なままだが、いつかは膨らむだろう。
「産ませる……もんですか]
 子供が出来たらなおくんは戻ってこない。それは確信であった。
「藤枝さん!」
 結先生が小さな声で精一杯の声を張り上げる。ほとんど悲鳴だった。
「どいてください先生。怪我しますよ……仁科先生のように」
「いいえ。どきません。生徒を指導するのは先生の務めです」
「わたしは……間違っていません」
 ゆらっ、と情念を身に纏い、保奈美は歩を進める。二人のいるマンションに。
オートロックもセキュリティも何の役にも立たない。
 その前に立ちはだかるのは、ただ小さな結先生のみ。
 幼い顔立ちに似合わない、キリッとした瞳で保奈美を真っ直ぐに見据え、
「藤枝さん。私は先生として見逃すわけにはいきません。生徒が過ちを犯すのを」
「間違っているのは……あの二人です」

 マンションの前で。生徒と先生がバチバチと火花を散らした。
 見ている者がいれば、生徒と先生が逆に見えたかもしれないが。

 そうとは知らず、部屋ではソファに座った祐介と文緒が抱き合っていた。
 ただ抱き合うだけでずっと過ごしている。こうしている間は安心できるから。
「あの……祐介君」
 ふと腕の中で文緒が言う。
「うん?」
「ちょっと、ね……。着替えるから待ってて」
「ん」
 祐介が固く抱いていた手を離すと、文緒がとてとてと別室に向かう。赤い顔で。
その恥じらいの様子に祐介はニヤニヤと笑った。何が出て来るか楽しみな顔。
 しばらくして―
「えっと」
 ドアから文緒が顔だけを出す。やっぱり赤い顔で。掛けていた眼鏡は外していた。
「なんだよ」
「ど、どうかな」
と、恥ずかしながら出て来た文緒は、蓮美台学園の制服を着ていた。手に弓矢を持って。
「……なんだ。学校の制服か」
「なんだとはなによ。久しぶりで緊張したんだから」
「ぷっ」と笑った祐介だが、確かに久しぶりの制服姿はなんだか新鮮だった。
「うん……。可愛いよ」
「もう」と文緒も満更でもなく、制服のスカートを翻して、ソファに座ったままの彼に矢を差し出す。
「憶えてる?」
「ああ……。俺の、尻に刺さった矢だろ」
 夜の学園を徘徊してた祐介。その祐介を捕まるために見張っていた文緒が放った矢だ。
 思えばあれが運命の出会いだったのかもしれない。

19:君が望むはにはに 祐介×文緒その4
06/12/13 22:10:16 3YZDY/7v
「でも、驚いたわ。祐介君たら怖い顔で、『俺に触るな!』なんて言うんだもん」
「そうか?」
 今はそんな事もなく、祐介は文緒の手を引いて座ったまま膝の上に乗せて抱きしめる。
「俺だって驚いたさ。いきなり弓持った女の子が追いかけてくるんだから」
「悪さするからよ」
 手に持ったその時の弓でこつんと頭を叩く。
「でもそうしなきゃ出会わなかっただろ?」
「そうね」
 クスクス、と笑いが漏れる。
「これね。実家から持ってきたの」
 制服と弓道部で使っていた弓矢。大事な思い出がいっぱいに詰まった品。
「そんなの持ってきて。誰かを撃つのか?」
「そうよ。祐介君が悪さしないように」
 弓を持ったまま彼の首に手を回して抱きつく。
「それに……悪い虫が付かないように」
「ん……」
 祐介の頭に、保奈美に弓矢を向ける文緒の図が浮かんだ。そしてブルッと震える。いつか実現しそうで。
「大丈夫よ」
 震えが伝わったのだろうか。ニコッと文緒が耳元で笑う。
 それからピョンと彼の膝から降り、弓矢を置いて、
「ねえ。見て」
 スカートを捲り上げると、

 パ ン ツ は い て な い。

「ぐはっ」
 この前の保奈美もそうだが、スカートの下にパンツ穿いてないのをいきなり見せられると、その、ダメージがでかい。
「こ、こら。女の子がそんなことするもんじゃありません」
「もう女の子じゃないもーん」
 祐介の手を取り、文緒がまたニコッと笑う。赤らんだ頬、潤んだ瞳で。
「祐介君が……悪いんだよ?」
「そっか。じゃあ責任取らなきゃな」
 ソファから腰を上げ、腰に手を回して抱き寄せる。
 ちゅーとキスして、
「結婚、しようか」
「え?」
一瞬ぽかんとなった文緒をくるっと回転させて、ソファに押し付けた。
「きゃっ」
 そして制服姿の文緒を抱きしめ、耳元でまた囁いた。
「結婚しよう文緒」
「え……あの、その……」
 顔を離し、彼が正面から見つめてくる。
「うん……」
 小さく頷き、目から涙がこぼれた。
「泣くなよ……」
「泣くよ…泣いちゃうよ……こういう場合」
「そうか……」
 ぽろぽろこぼれる涙を隠すように胸に顔を埋める。
 その頭をよしよしと撫で、祐介は続けた。
「いつかさ……小さいけど、ちゃんと式を挙げよう。二人きりでも」
「うん…うん……」
 胸にじんわりと涙が広がる。幸せ涙が。

20:君が望むはにはに 祐介×文緒その4
06/12/13 22:11:29 3YZDY/7v
「祐介君……」
 胸に顔を埋めながら、文緒の手が彼の下半身に伸びる。そしてチャックを開けて中に指を入れた。
「お、おい……」
「任せて」
 そしてパンツの上から、あったかい膨らみを きゅっと人差し指と親指で挟んだ。
「くっ……」
 しなやかな指で挟まれ、つい腰が浮く。
「ふふ……」
 彼が感じてくれるのが嬉しくて。ついつい力が籠もってしまう。
「痛……」
「あ、ごめん……」
 そこは敏感であり、急所でもある。文緒は力を抜き、布の上から優しく撫でていった。
「あっ……」
 思わず祐介の口から声が漏れる。
 文緒の手の中で、モノがどんどん膨らみ、パンツの布がパンパンに張ってテントのなった。
「かわいー」
 思わず声に出してしまう。
「文緒……もう」
「挿れたい?」
「ああ。欲しい」
「よろしい」
 正直な祐介にふふと笑い、文雄は手でパンツをずらした。と、チャックからそびえ立つ彼の性器が飛び出す。
その根元を触ると、ザラザラと毛の感触がする。陰毛だ。そしてぶら下がる2つの膨らみ。金玉。
「そこ……ちょっと……」
 金玉までグニグニと揉まれ、祐介はぐいっと腰を回転させてしまう。竿もビクンビクンと震えた。
「ふふ」
 金玉を掴んだ指をぺろっと舐め、文緒はスカートをまたたくし上げた。その中央の脚の付け根、秘所はテカテカと濡れている。
「きて……」
 ソファに押し付けるように抱きしめ、すぐさまスカートの中に腰を入れた。
「あんっ」
 ごく自然に性器が惹かれ合い、棒が壷に収まり、結ばれる。
 すっぽりと根元まで入る彼を感じ、文緒は腕の中でハーハーと熱い吐息を漏らした。
すぐ耳元で同じく興奮した彼の吐息を感じる。
「ああっ……はっ、はっ、はぁ……」
 ソファに腰を座らせたまま、脚を彼の腰に回し、文緒はしっりとしがみついた。
「はぁ……はぁはぁはぁ……はうぅ!」
 祐介が腰を突く度にパンパンと肉がぶつかる音、じゅくじゅくと淫らな音が響き、
しがみついた文緒の全身が揺れる。
「あっ……あはぁ……はああぁっ……」
「結婚しよう……文緒……」
 一つになりながら、また同じ言葉を繰り返す。
「うん……結婚……」
 結婚、という言葉がキーワードになったかのように。
 膣が急速に絞まり、肉竿を搾り取った。
 ドピュッ、と精液が飛んだ。膣内に。

21:君が望むはにはに 祐介×文緒その4
06/12/13 22:12:40 3YZDY/7v
「ああぁ……はああっ……」
 真っ白になり、全身が極限まで緊張する。
「文緒……文緒……」
 同時に達し、射精を続けながら、恋人は深く結ばれていた……。

 ピーポー ピーポー

 不意のサイレンに文緒がビクッと震え、胎内の肉竿にさらに刺激を与える。
「くっ……」
 射精し尽した祐介は腰を離し、結合部からドロッと精液がこぼれ、太股を濡らした。

 ピーポー ピーポー

 救急車のサイレンだ。それがマンションのすぐ前で止まる。
 嫌な予感がする。
 モノをしまってチャックを閉じ、祐介はすぐ向かおうとした。
「待って!」
 その祐介の腕を掴み、文緒が引き止める。スカートの中から精液を流しながら。
「行かないで……お願い」
「……分かった」
 文緒の目に溜まった涙が彼を引き止める。
 祐介はまた文緒を抱きしめ、ソファに押し倒した。

 ピーポー ピーポー

 キスする二人の耳に離れていく救急車のサイレンが聞こえた。

 救急車で運ばれていく患者。それは血にまみれた結先生だった。
 頭からドクドクと血を流し可愛い顔を染め、両脚はあらぬ方向に曲がっている。脚を折られたのだ。
 そして結先生を血の海に沈めた張本人の保奈美は、少し離れた場所から見ている。
「ふふ。手こずらせて」
 ぺろっと舐めた拳はやはり血に濡れていた。

「うん……ん……んぅ……」
 ソファの上、キスしながら抱き合い、祐介と文緒は深く結ばれていた。
 結合した秘所からはたっぷりと白濁液が流れている。
 そして正常位で結ばれながら、祐介は激しく胸を揉んでいた。制服の上から。
「ゆ、祐介君……んぅ」
 眉を曲げ、文緒が赤い顔で喘ぐ。そして嘆願した。
「お願い……破いて……」
「え?」
「制服……破いて。いいから」
 揉んでいた手で、力任せにビリリと引き裂く。その下も何も着けていなかった。
ピンクに輝く乳首はピンと尖っている。
 頭を下げ、その乳首に噛み付いた。
「あっー!」
 歯を立てられ、文緒が白い喉を仰け反らせる。
 一端歯を離し、今度は舌でぺろぺろに舐めた。
「アアッ! アウゥ! ……ハァ、アアアアァー!」
 喘ぎ声が大きくなる度に、肉棒を包んだ膣がきつく締め付ける。
 そしてまた、ドクンッと射精する。もう何度目だろう。

22:君が望むはにはに 祐介×文緒その4
06/12/13 22:13:36 3YZDY/7v
 いつまでそうしていただろう。
 ソファで寝そべりながら、二人はいつまでも抱き合い続ける。
 もう何もしなくても、こうして繋がっているだけでとても気持ちよくて。身も心も蕩けそうだ。
「うん……」
 ふと文緒は顔を上げ、カーテンの外に目をこらす。すっかり暗い。もう夜のようだ。
「なおくん……うんぅ。なおくん」
「ん?」
「もう……夜だよ」
「そうか……」
 名残惜しそうに祐介は腰を離してソファから起き上がる。
 結合部からドロッと白濁液が溢れ、足下までドロドロに汚していった。
「見て……こんなになっちゃった」
 スカ-トをたくし上げ、わざわざ見せ付ける文緒に、祐介はキュンと胸が高鳴った。
その上の制服はビリビリに破かれ、乳房を晒している。
「良かったのか?」
「うん、いいの。もう必要ないから」
 えへへと彼女は笑い、
「これからは……祐介君のお嫁さんだもん」
「そっか……」
 腕に抱きつく文緒。その短めの髪を祐介は優しく撫でてやる。
「今日の夕食……何にする?」
「何でもいいよ」
「それが一番困るの」
 二人、笑いあって、キス。

「あれ?」
と、鼻に良い匂いが漂ってくる。祐介はクンクンと匂いを嗅いで、
「なんか……イイ匂いがしないか」
「本当だ……」
 匂いの元は台所だ。
 固く手を繋いで台所に向かうと、
「あ、なおくん。今日の夕食はシチューだよ」
 保奈美が料理していた。

(つづく)

23:ゼロ
06/12/13 23:02:15 1yWBn1ns
外伝さん乙です

全体としては保奈美の暴走のインパクトがすご過ぎて他が軽い印象ですが、作品の出来や描写は
毎度の事ながら見習いたい位良い出来だけに、次も期待。
展開的には全スレの3の様な展開になりそうですね、個人的には1を希望してましたけど。

24:前スレ277
06/12/13 23:37:19 EPpEen0n
新スレッドおめでとうございます。
臨時ログ保管庫管理人です。

>外伝 ◆9QlRx9nooI氏
投稿お疲れ様です。

ご指示を頂いたタイトル部分を修正いたしました。
更なる修正などございましたら、遠慮無くお申し付けくださいませ<(_ _)>

25:名無しさん@ピンキー
06/12/14 06:18:26 W4+Oh/XI
ヒーーーっ!!!
保奈美オソロシス(((゜Д ゚)))ガクガクブルブル

できたら悲惨な結末を希望します
だって恭子や結をここまでしたんだから
もう収まりつかないでしょうに

26:名無しさん@ピンキー
06/12/14 21:03:54 UQog/b0O
あれ、おかしいなあ、嫉妬修羅場スレに来た覚えは無いのに(((゜Д ゚)))ガクガクブルブル

27:名無しさん@ピンキー
06/12/15 05:59:59 lDibcHSn
でもそれが良い
このまま血みどろスプラッタな展開に・・・
8月キャラはヌル過ぎるから、スクイズや君望のようにドロドロしてくれた方が
俺は好きだ
陵辱好きなので愛を語る気はないが、本当に人を好きになるって嫉妬に狂うってのは
こんなもんじゃないのか?

28:名無しさん@ピンキー
06/12/15 11:06:32 dMF5tlt4
それは偏愛・狂愛じゃないかと。
俺は二次創作ならドロドロもおkだな。
本編がハッピー主義なのは俺的に歓迎。

29:名無しさん@ピンキー
06/12/15 17:54:12 Fv8Cu2oX
思いっきり偏愛狂愛主義者な書き手その1だが
嫉妬や修羅場は好きじゃないなあ、堕とすなら徹底的にやるけどw
その真裏でキャラの願っちまうのでたまに変な純愛書いてしまう

30:名無しさん@ピンキー
06/12/17 01:04:14 Uu/YTPvD
即死回避

31:名無しさん@ピンキー
06/12/17 06:14:02 JNOrGsjg
30で即死回避なんだよな?

32:外伝 ◆9QlRx9nooI
06/12/17 18:01:07 b0vyEw/c
君が望むはにはに 祐介×文緒その5を投下します

33:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:02:27 b0vyEw/c
「もう少し待っててね。シチューができるから」
 エプロンを付けた保奈美がにこやかに言う。
 直樹はすたすたとその背後に寄り、背中から抱きしめた。
「も、もう。危ないよぉ」
 火は点けたまま、保奈美は彼の腕に身を預け、首だけを振り向いて目を閉じた。
ちゅっ、とキスした保奈美の唇はとても柔らかくて……手に触れる胸はとても大きくて柔らかかった。

「藤枝さん!」
 はっと白昼夢から冷めると、文緒の金切り声が響く。
 そうだ。今の俺は直樹じゃなくて祐介だ。
「何って……シチューを作ってるのよ。見れば分かるでしょ?」
 背中を向けたまま至って平静な口調の保奈美。シチューを入れた鍋がぐつぐつと煮込んでいる。
「秋山さんは座ってて。大事な体なんだから」
 そこで初めて保奈美は振り返る。そして一瞬だけ目を細め、
「あらあら。二人ともひどい格好」
 文緒は制服の胸元が破け内股から精液を垂れ流し、祐介は開いたままのチャックからちんこがぶらぶらと揺れている。
慌ててちんこをしまう祐介に対し、文緒は胸を出したままだった。保奈美よりも小さな胸を。
「ええ。そうよ。彼にいっぱい愛してもらったから」
「そうね……。ここまで聞こえたわよ。二人とも気持ち良さそうな声で」
 愕然と祐介は蒼ざめた。
 さっきまでソファで二人は愛し合っていた。その声を保奈美はずっと聞いていたのか!?
聞きながら料理していたのか!?

 ガクガク、と胸の震えが大きくなる。すぐに飛び掛かってくるよりもその冷静さが怖かった。
だが文緒は腕を祐介に絡め、見せ付けるように出したままの胸を押し付け、
「もう分かったでしょ。私と祐介君は愛し合ってるの。彼ね、結婚しようと言ってくれたの。
式には招待するわ」
「結婚……」
 ピク、と眉が動くがすぐに笑顔になって、
「そう……。おめでとう」
「ありがとう」
 笑顔の保奈美に対し、文緒の表情は固いまま。
「でも、なおくん……。渋垣のおじさまとおばさまはどうするの? それに茉理ちゃんも。
とっても心配してたわよ」
 絡めた祐介の腕がピクッと動く。動揺が肌越しにはっきりと伝わった。
「……久住君がお世話になってたお家よね……。祐介君に何か関係あるの?」
 保奈美に対して向けられた疑問だが、祐介にも聞いている。
 彼女も薄々気付いていた。直樹と祐介に何か関係あるのではと。
 クスクス、と保奈美の笑い声が大きくなる。
「あら? そんなことも知らないの?」
「知らないって……何を」
「ごめん、文緒。いつか話す気ではいたんだ」」
 それまで黙っていた祐介がかくかくしかじかと説明する」
「かくかくしかじか」
「ええっ!? 祐介君が百年後の未来から来た人間で……事故で久住君と分離した人間?
それで今は一つになったってどういうこと!?」

34:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:03:19 b0vyEw/c
 かくかくしかじかと説明を受け、文緒はさすがに驚く。
 やっぱり驚くよなー、と祐介は思いながら、
「隠してた事は謝るよ。でもこれだけは信じてほしい。俺は文緒が好きだ……」
「う、うん……」
 呆然と文緒は頷き、
「じゃ、じゃあ……初めて私を抱いた時は……」
「ああ。直樹と一つになって……体からウィルスが消えたんだ。多分あいつの体に一つになったんだと思う」
「そうよ。分かったでしょ。今のその人はなおくんの体なの。そして最初はなおくんだった」
「ああ。そうだ」
 文緒の肩を抱き、祐介が言う。保奈美を見据えて。
「確かに直樹はあんたのことが好きだった……いや今でも。でも今の俺は祐介だ。
戻れない」
「そうかしら?」
 首を傾げ、唇に指を当て、保奈美が彼に言う。
「戻してみせるわ。わたしが」
「イヤーッ!」
 不意に金切り声が響く。文緒の声。
「私……私……」
 そして座り込んでうずくまり、お腹を押さえた。顔に汗がビッシリと浮かんでいた。真っ青で。
「文緒!?」
 祐介もその場に座って文緒を包むように抱く。
「大丈夫……。大丈夫だ。俺がずっと側にいる。ずっと」
「痛い……」
 眉をぎゅっと曲げ、文緒はただお腹を押さえた。
 痛い。お腹の奥が焼けるように痛い。そしてその中には赤ちゃんが。
「文緒!」
 どうしていいか分からず、ただ祐介は側にいて抱きしめた。
 そして保奈美はシチューを煮込んでいた火を止め、引いたばかりの電話で救急車を呼んでいた。
今日二度目。
「痛い……痛……。赤ちゃんが……」
 お腹の赤ちゃんを想い、文緒は泣きそうな顔でただうずくまる。
 何も出来ない自分の無力さが祐介には悔しかった。

 それからすぐに救急車が駆け付け、文緒は病院に運ばれる。もちろん祐介も一緒。

「急性のストレス性腹痛だそうよ。お腹の赤ちゃんには影響ないわ」
 恭子先生の説明に祐介も、ベッドに寝た文緒もとりあえず一安心する。
 まだ頭に包帯を巻き、左腕にギプスを付けた恭子。文緒が病院に運ばれたと聞いて駆けつけてくれたのだ。
「よかった……」
 病院のベッドで横になり、文緒は安心しきった表情でお腹をさする。
「どうしようかと思った……」
 お腹の子にもしものことがあれば。文緒はふるふると首を振ってその考えを打ち消す。
「急な話で驚いたのね」
 恭子先生は文緒を優しく見下ろし、
「いつか説明しようとは思ってたの。未来の事とか」
「はい……」
 こくんと頷いた文緒はまだ信じられないでいた。
 でも信じようとは思う。

35:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:04:21 b0vyEw/c
「でも……救急車を呼んだのは藤枝なんでしょう?」
「はい」と祐介。
 原因を作ったのも彼女だが、てきぱきと救急車を呼んだのもまた彼女だ。
感謝していいのか責めていいのか。
 その保奈美はここにはいない。救急車が来ると姿を消したから自宅に帰ったのだろう。

「藤枝さんは……優しい人ですから」
 外で聞いていたのだろう。部屋に入ってきながら結先生が言う。キャタピラの下半身で。
「野乃原先生!?」「どうしたんですか!?」
 結先生の姿を見て文緒も祐介も驚き、そして口をぽかんと開いた。
 結先生は頭に包帯を巻き、下半身をキャタピラに乗せていた。肩からは大砲が伸び、両腕は四連ミサイルポッドを装備。
「ガンタンク……」
 真っ先に頭に浮かんだ言葉を祐介は口に出す。

 ガンタンク結! まさにガンタンク結先生!

 そのガンタンク結先生ははにかんだ笑顔を見せ、
「ちょっと転んで怪我してしまって。私もこの病院に運ばれたんです」
「ちょっとって……どうしたんですかそれ!?」
「はい。ちょっと両脚を骨折しまして。その、車椅子代わりに」
 折れた両脚の代わりに無限軌道で移動しているというわけだ。
「転んだぐらいでそんなになるんですか!? 保奈美でしょ! 保奈美にやられたんですよね!」
「い、いえ……そんなことは……」
「そんなにされて庇わなくていいですよ! だから保奈美やりすぎだって!」
 半ばやけになって突っ込むような口調の祐介の横で、文緒はガタガタと震えていた。そして自分のお腹を大事に抱える。
「もしかしたら……この子も」
「その時は……俺が守る!」
 ぐっと拳を握り、祐介が励ますように誓う。

 もっとも彼自身、保奈美に勝てる気はさっぱりしなかったが。
 それでもやらねばならない。愛する文緒と我が子を守る為に。

「で、でもですね。救急車を呼んでくれたのも藤枝さんだと思うんです」
 ガンタンク結先生の言葉にシーンと静まり返る一同。
 自分で怪我させて自分で救急車を呼ぶ。最後まで自分でこなす保奈美の行動に誰もが蒼ざめた。
「ま、まあ。藤枝のことは置いといて」
 自身も保奈美に重症を負わされた恭子先生が、話題を変えるように文緒に言う。
「丁度いい機会だ。秋山にも事情を全て説明しておこう。秋山も聞きたいだろう?」
「はい」
 すぐに文緒は頷く。彼の事なら全て知りたい。
「祐介君もそれでいいな」
「はい」
 祐介も頷く。こうなったら全てを知ってもらいた。
「よし」
 そして恭子先生と結先生は全て話す。
 マルバスというウィルスが蔓延した未来の事。
 時空転移装置の事故が原因で分離した直樹と祐介の事。
 そして再び一つになった直樹と祐介。

36:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:05:35 b0vyEw/c
「そんな……事があったんですね」
 事情を聞き終えた文緒は、お腹をさすりながら、何度も何度も頷く。
「黙っててごめん」
「いいよ。話せない事情も分かるし」
 謝る祐介に文緒は笑って見せた。
 この病院に運ばれて初めての笑顔に、二人の先生もホッとする。
「それでも……産んでくれるか。俺の子供」
「当たり前じゃない」
 まだ平坦なお腹を見下ろし、笑ったまま文緒は言う。お腹の子に語りかけるように。
「私と、祐介君の子供なんだから」
「そうか……」
 その手に重ね、祐介もお腹の子に呼びかけた。
「よろしくな。赤ちゃん」
「赤ちゃん……よろしくね、ですって」
 言って、クスクスと二人は笑いあった。まだ若い父と母が。
 暖かく見守っていた恭子先生と結先生もつい目頭が熱くなる。
 百年後の未来では命はとても貴重だ。

「あ、そうそう」
 黙ってみていた恭子先生が不意に口を開いた。
「祐介君。あなたの働き場所決めておいたわ。いいでしょ?」
「すみません。何から何まで」
 住む場所から就職まで。恭子先生に全て世話してもらって祐介はいくら感謝しても足りない思いだ。
「いいのよ。その代わり、ちゃんと幸せになりなさい。秋山と、子供と一緒に」
「はい」
 手を繋ぎ、祐介と文緒は静かに笑いあう。
 自分がこの時代に連れて来た祐介の幸せそうな様子に、恭子はうんうんと頷き、
「それで、仕事っていうのはね」
「はい。俺、何でもしますよ。モンスター退治からダンジョン探検まで」
「いや。ただお花を育てる仕事だから。そろそろ来る頃ね」
 恭子先生の言葉が合図だっかのように、コンコンとドアがノックされる。かなり控え目な調子で。
「はい。入っていいわよ」
「し、失礼します」
 おどおどと一人の少女が入ってきた。祐介は直樹の記憶として少女を知っていた。橘ちひろ。
「知ってるわよね。今は私の元でフォステリアナの栽培をしてもらってるわ」
「ど、どうも」
 ぺこりとちひろが頭を下げる。以前よりも少しだけ髪が伸びていた。
「じゃあ仕事というのは?」
「ええ。この時代でもフォステリアナを育ててほしいの。知っての通りマルバスに対して効果があるけど、まだまだ数が足りないのよ。
だから祐介君にも栽培を手伝ってほしいの。橘と一緒に」
「はい」
 祐介に断る理由など無い。

 とりあえず明日の段取りを決め、早々に文緒は病院から退院となった。恭子先生と結先生は入院したままだが。
ちひろは入院した二人の代役でもあるらしい。かなり大変だろうが。
 マンションに戻るとやはり保奈美の姿はなかった。
 ただシチューと「温めて食べてください」という書き置き。
 恐る恐る食べてみるとやはり美味しい。
 それが文緒には悔しかった。少しではなく。

37:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:06:41 b0vyEw/c
 次の日から祐介のフォステリアナ―青いチューリップ―栽培の仕事が始まった。
 マルバスウィルスに対して効果があるフォステリアナ。それがあればウィルスに感染した多くの人を救える。
その育成は未来でも開始されているが、やはりまだまだ足りない。そこでこの時代でも栽培し未来に送る事になった。数が
 未来の惨状を知り、自身も同じウィルスに感染して苦しんだ祐介にとって、これほどやりがいのある仕事はない。
 場所は蓮美台学園の近くに作られた温室。蓮美台学園にある園芸部の温室よりも何十倍も大きい。
 祐介が仕事に出ている間は、姉の美琴が文緒に付いててやる事になった。一人にするとやはり不安だからだ。祐介も。
その点、美琴がいれば安心だ。不安になる暇も無いだろう。

 指定された時間よりも早く行ってみるとすでにちひろは待っていた。いやすでに作業に取り掛かっていた。
祐介もすぐに加わる。
「そ、それじゃよろしくお願いします」
「いや、こちらこそ」
 ぺこりと頭を下げるちひろに祐介も頭を下げる。彼女は何故か蓮美台学園の体操着を着ていた。
それがとてもよく似合っているのだが。
「そうしてると……本当にちひろちゃんだなって気がする」
「え?」
「ああ、ごめん」
 ちひろちゃんを知っているのは直樹だ。祐介の記憶ではない。
 そして今日の仕事が始まる。
 花を育成するのに必要なのは日々の手入れと面倒見の良さ。
 フォステリアナの苗を大事に大事に植木鉢に植え、等間隔に並べていく。
 最初はいいが同じ作業を延々と続けていくのは根気がある。祐介は汗を浮かべながら、黙々と同じ作業を続けていく。
ずっと同じ病室で臨床実験を受けていたのに比べれば、こうして体を動かせる方がずっと楽だ。
 それに自分が育てるフォステリアナが多くの人の命を救うのだ。文句など言っていられない。
「久住先輩……あ、いえ、祐介先輩」
 あっという間に時間がすぎ、ふとちひろが呼びかけてくる。
 事情は聞いたが、やはり久住先輩と思えてしまった。
「あ、あの……休憩にしませんか」
「ああ」
 もうそんな時間か、と祐介も腰を上げる。結構痛くなってきた。
「それと、その先輩というのはいいよ。俺は君の先輩だったことは無いんだから」
 ちひろの先輩だったのは直樹だ。祐介ではない。
「でも……」
「それに。俺の上司なんだからさ」
「い、いえ……そんな…」
 もじもじと赤い顔で身をよじるちひろはやっぱりちひろだった。
 恭子先生が淹れてくれたというコーヒーを二人で飲み、祐介はふーと息をつく。
左腕が折られ、片手でもやっぱり恭子先生のコーヒーは美味しかった。病室にいた頃は毎日飲まされていたが、今でも飽きることはない。
「あ、あの……」とちひろがおずおずと話しかけてくる。
「遠慮しなくていいよ。何でも言って。おっと、恋の相談だけはごめん。
俺、こう見えても妻帯者だから」

38:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:07:44 b0vyEw/c
「はあ……。あ、あの。茉理のことなんですけど」
 その名前を聞いてズキッと胸が痛む。ちひろの親友の茉理は直樹の従兄弟。
親が死んで渋垣家に引き取られてからは実の妹のような存在だ。祐介にとって美琴が姉のように。
「この前会ったんですけど……元気が無かったんです」
「そうか」
 ちひろが何を言いたいかすぐに分かる。

 五年もお世話になった渋垣家からは、ただ一言「お世話になりました」と言い、
「旅に出ます。探さないで下さい」という書き置きだけを残して、飛び出して来た。
家出も同然だ。
 茉理だけではない。父のような源三さん、母のような英理さんもとても心配しているだろう。
 あの人たちのことを思うと今でも申し訳ないと思う。祐介にとっては赤の他人だがそう簡単に割り切れるものではない。
保奈美についても同じだが。

「分かったよ」
「え?」
「今度さ……。挨拶に行くよ。嫁付きで」
「それじゃあ……」
「ああ。茉理にもきちんと会いに行く。怒られにさ」
 あの茉理のことだ。きっと怒鳴り散らしてくれるだろう。
「あ、ありがとうございます」
 目に涙を浮かべ頭を下げるちひろに、逆に祐介が恐縮してしまう。
「いや……これは俺の問題だからさ」
 そう。保奈美のことも俺自身の問題だ。

 それからしばらく作業を続けてると、やがて昼になった。
「ふー」
 熱い温室で作業をしていると汗も段違いだ。
「久住先輩……祐介さん、お昼にしましょう」
「おお」
 二人で温室を出て、その前に用意したシーツに腰を降ろす。今日は晴天。まるでピクニックだ。
「はい、なおくん。タオル」
「お、サンキュ」
 受け取ったタオルで汗を拭き、祐介は目の前に並べられた重箱の数々に目を見張る。
「これは?」
「ふふ。わたしの特性弁当よ。二人ともしっかり食べてね」
「おお。豪華豪華。遠足でもこんなにないぞ」
「それじゃ毎日頑張っちゃおうかしら」
「毎日はちょっと。さすがに胃が持たないよ」
「もう。なおくんたら」
 にこやかに会話しながら祐介は箸に手を付け―
「なんでここに!」
 固まった。
「はい。あんして」と玉子焼きを差し出すのは保奈美。
「あーんじゃねえ! 何でここにいる!」
 怒鳴る祐介の横ではちひろが身を縮めている。二人のやりとりを呆れながら聞いていたのだが。
「もう。急に怒鳴らないでよ。橘さんが驚いてるでしょ」
 メッ、と叱りつけるような調子で保奈美。

39:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:21:29 4jFjbM1O
「……なんでここにいると聞いているんだが」
 幾分調子を落として聞いてみると、
「なおくんに愛妻弁当を届けに。昨日のシチュー美味しかった」
「まあな。いやそうじゃなくて」
 右から左にものを置く仕草をして、
「大体なんで俺の居る場所がすぐ分かる!」
「分かるよ。わたしは高性能のなおくんレーダー搭載だから」
 保奈美の長い髪が一本だけピンと逆立っている。それがなおくんレーダーらしい。
「ゲゲゲの保奈美かーっ!」
「あ、ノリいいなぁ。夫婦漫才でもいける?」
「いけるかーっ!」
 また怒鳴る祐介にビクビクとちひろが首をすくめる。
「もう。怒りっぽくなった? ほらタンパク質摂らないと」
「うがーっ!」
 手近にあった園芸用の剪定鋏を取り、祐介は保奈美に向けた。
「だめっ!」
 その腕をちひろが握って止める。
「離せちひろちゃん! こいつは恭子先生と結先生の仇だっ! 死んだ先生の仇ーっ!」
 死んでないし。
「だからって剪定鋏はやめて! 死んだ先生だってそんなこと望んでません!」
 だから死んでない。
「そ、それにっ! 剪定鋏で切られるとすっごく痛いんですよっ!」
「ああ、そうだ! この剪定鋏でちょっきんちょっきん切ってやるわーっ!」
 すごく大変だと思います。
「クスクス」と保奈美は声を大きくして笑っている。
「いいのよ橘さん。なおくんがおいたしたらおしおきするから」
 瞳までにこやかに笑っている。
 その笑顔に……祐介もちひろもぞくりと背筋が凍えた。
 そして悪さを叱る母親の前に立ったような気分になる。もちろん悪さした子供の心境。

「か……勝てる気がしねぇ……!」

 剪定鋏をゆっくり降ろし、祐介がツーと冷や汗を流す。さっき汗は拭いたばかりなのに。
「久住……いえ、祐介さん」
 そっと耳元でちひろが囁いた。
「事情は聞いています。ここは私に任せて一端帰ってください」
「なっ!?」
 唖然と祐介はちひろを見る。控え目で謙虚な直樹の後輩を。
「死ぬ気か!? 恭子先生と結先生だって……」
「あら。ちゃんと手加減したわよ」と保奈美。本気だったら包丁で刺身だろう。
「大丈夫です。私だってあの未来を生き抜いたんですよ」
 マルバスという死が蔓延した未来。そこはまさに地獄だった。
 今こうして生きているのも幸運としか言い様がない。そして本人の生きるという強い意志。
「しかし……」
「行ってください。……大事な人が待っているんでしょう」
 いつになくちひろは目が本気。そらさずしっかりと見つめる。
「分かった……」
 遂に祐介も折れた。
 ここで保奈美に精を搾り取られるわけにはいかない。
「死ぬなよ。ちひろちゃん」
「はい。私にはまだやることがありますから」

40:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:22:47 4jFjbM1O
 遠ざかっている祐介の背中を、保奈美はただ黙って見ていた。いや見ているしか出来なかった。
目の前にちひろが立ちはだかっているから。
「藤枝先輩。私には妹がいました」
 唐突にちひろが身の上話を始める。いつになくしっかりした口調で。震えそうになる体を必死に抑えながら。
「ちさとっていうんですけど……伝染病で死にました」
「そう……」
 保奈美の目がわずかに細る。
「今ここで作っているのはその伝染病の治療に使われる植物です」
「そうなの。頑張ってね」
「はい」
 こくんと頷くちひろ。そして、
「あの……あの人のこと、まだ怒ってますか?」
 久住先輩と祐介。どっちで呼ぶか悩んで「あの人」と言った。
「怒る? どうして?」
 保奈美は平然と言った。平坦な表情で。
「なおくんはわたしの恋人よ。怒るわけないわ」
「そう……ですか」
「だから取り戻すの。わたしの本来の日常」
「そうですよね……」
 祐介がいなければ、いや文緒が妊娠しなければ、そのまま二人は結ばれていたはずだ。
そして結婚して平和で幸せな家庭を築いていただろう。
「気持ちは分かります……」
「分かる?」
 クスクスと保奈美は笑う。目も。
「先生たちも同じ事を言ってたわ……。本当に何も分かって無いくせに」
 ギラ、と保奈美の目に光が灯る。その光に見据えられ、ちひろはガクガクと背筋から震えた。
 だが引く訳にはいかない。
「藤枝先輩……」
 お願い。守って。お花たち。
「ここは行かせません……」
「いい度胸ね。好きよ。そういう子」
 そして……保奈美が一歩踏み出す。

 ハァハァ。
 自宅であるマンションまで全速力で駆け抜け、祐介は初めて後ろを振り返る。
そこに保奈美の姿が無いと知ってホッと安堵した。
「ちひろちゃん……」
 彼女の事は心配だが今はどうしようもない。保奈美も命までは取らないだろう。
せいぜい全身の骨を折って病院送りだろうか。
 血にまみれたちひろの姿が脳裏をよぎり、祐介はぶんぶんと頭を振る。
 にしても、走ってここまで来るのは疲れた。
 世界タービン号があれば、と直樹の記憶を思い出す。渋垣家にそのままあるはずだ。
 10階にある自分たちの部屋まで行き、チャイムを鳴らす。
「俺だよ」
 安心するように中に呼びかける。だが返事は無い。
 どこかに出掛けたかな? と思って鍵を開けて中に入るとやはり誰もいなかった。
 ふと不安が脳裏をよぎる。
 部屋を歩きながら次々と呼びかけていった。
「文緒! 姉貴!」

41:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:23:42 4jFjbM1O
「なーにー?」
 呑気な声。玄関からだ。この声は、
「姉貴!」
 玄関まで戻ると姉の美琴と文緒がいた。両手に買い物袋を下げて。
「あれ? 祐介君、もう戻ってきたの?」
 驚く文緒に祐介はぎゅっと抱きつく。
「も、もう」
 買い物袋を落として、文緒は紅くなりながらも祐介に身を任せた。
「きゃ~」
 美琴も赤い顔で目を×にして弟と恋人の抱擁を見守る。
 いつまでそうしていただろうか。
 文緒の温もりにようやく安堵した祐介が身を離すと、彼女はハァと熱い息を吐いた。目がうっとりと潤んでいる。
彼の温もりと匂いだけで感じたのだ。
「ほらほら。ラブラブはまたあとで~」
 買い物袋を振り回して美琴が促がした。
「う、うん。そうだね」
 ハァと息を吐いて火照った体を鎮め、文緒が玄関から上がる。祐介と固く手を繋いで。

「でも、どうしたの。お仕事は?」
「あ、ああ。今日は早目に終わってな」
 テーブルに着き、祐介はそう説明した。保奈美のことはやはり黙っていよう。
「ふ~ん」と美琴。目で疑っている。
「いやー、俺もちひろちゃんも張り切っちゃってさ。もうすることがなくなっちゃったんだよ。
おっと、さぼりじゃないぜ」
「……掃除当番はよくさぼってたわね」
 文緒が委員長口調で言うと、
「んー、知らないなぁ。俺は祐介だし」
「ご、ごめんなさい!」
 慌てて文緒が謝る。そうだ。同級生だったのは直樹であって祐介ではない。
「い、いいよほら。俺ん中に直樹の記憶があるのは説明したろ」
「……それってさ。委員長だった私も知ってるってこと?」
「ああ。文緒は立派な委員長だったぜ」
「う~」
 何故か恥ずかしそうな赤い顔で文緒は下を見る。
「祐介、祐介」
と美琴が買ってきたばかりのおやつを差し出してきた。
「杏仁豆腐~」
「ん。食べろ」
「杏仁豆腐ー!」
「いや、だから。食べていいって」
「や~。食べさせて~」
 ぐるぐる~、とその場で杏仁豆腐を持って回転し、ポニーテールも揺れる。
「姉貴……俺はもう嫁付きなんだから。ていうか嫁の前で恥ずかしい事すんな」
「お嫁さん♪ お嫁さんっ♪」
 突如リズミカルに歌い出し、今度は文緒に杏仁豆腐を差し出し、
「そっか。秋山さんもわたしの妹になるんだね」
「はぁ?」と祐介。顎がかっくん。
「だって。祐介のお嫁さんだからわたしが義姉さんでしょ?」
 義姉さんと書いて姉さんと読む。
「は、はい……。よろしくお願いします。お義姉さん」
「うん。よろしくね。秋山さん」
「私も文緒で結構ですので」
「うん。文緒!」

42:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:24:37 4jFjbM1O
 それから同級生だった二人の少女は顔を見合わせて笑った。祐介もつい苦笑してしまう。
「でも、どうして祐介君が弟なの?」
 唐突な文緒の質問に、姉弟は顔を見合わせる。
 祐介は天ヶ崎家に拾われた養子。美琴とは義理の姉弟ということになる。
「そりゃー、わたしがお姉さんだからだよ!」
と美琴が胸を張った。
「そうかー?」
 祐介は腕を組んで、
「でも、拾われたときの俺は記憶喪失で何も分からなかったからな。姉貴にいろいろ教わったし」
「えへへ~」
「そうなんだ……」
「まあ、今は記憶喪失前の記憶もあるんだけど」
 あの直樹と祐介に分離する事故の前の記憶も、今はちゃんとある。もっともそれはこの時代で生きてきた直樹の記憶だが。
幼い頃の保奈美との思い出もしっかりと思い出していた。祐介個人としての幼少の頃の記憶は無いのだ。
「ほーら。杏仁豆腐だよー」
 難しい顔をする祐介の口に、美琴がスプーンで杏仁豆腐を入れてきた。
「んぐっ。ほら姉貴も」
 祐介も自分のスプーンで杏仁豆腐をすくって姉の口に入れてやる。
「えへへ。もぐもぐ~♪」
「うふふ」
 仲の良さそうな姉弟の光景に、つお文緒も頬が緩む。それからハッとなって、
スプーンと杏仁豆腐を持って二人の間に割って入った。
「はい。祐介君あーんして」
「あーん」
 杏仁豆腐を食べる祐介にふんふんと満足して頷く。つい美琴に嫉妬してしまった。
「あっ。こっちもあーん」
「はいはい」
 そして口を開ける美琴にも杏仁豆腐を入れてやる。祐介の口に入れたスプーンで。
 それからは三人で杏仁豆腐のあーん合戦になった。

 一方その頃。温室の前では。
 ちひろの頭が左右に揺れる。下半身は地面にすっぽりと埋まっていた。
「うう……」
 両目は腫れ上がり、もう前は見えていないだろう。口からごぼっと血が溢れている。
「どう? 大好きな植物と一緒になった気分は」
 地面に突き刺したちひろに、保奈美はスカートをたくし上げてハイキック。もう何発目だろう。
「ぐ……」
 即頭部にまともに蹴りを受け、ちひろの頭がまた揺れる。だが倒れない。下半身は地面に埋まっているから。
まさにサンドバッグ状態でちひろは殴る蹴るどつくされていた。
「許して……ください…」
 朦朧とする意識でちひろは嘆願する。自分を許してと言っているのではない。
祐介と文緒を許してと言っているのだ。
「ふん」
 大きく踵を上げ、保奈美は頭頂部に叩き降ろした。踵落とし!
 ちひろの体がさらに一段地面にのめり込み、ガクッと額から血を流してうな垂れた。
「きゃあああああああーっ!!!」

43:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:25:50 4jFjbM1O
 そこに鳴り響く悲鳴。
 振り返れば茉理がいた。蓮美台学園の制服を着ている。学校帰りに会いに来たのだろう。
ちなみに保奈美はさぼり。
「ちひろ! ちひろーっ!」
 泣きながら駆け寄る茉理に後を任せ、保奈美はその場を後にする。
「いやーっ! ちひろ! しっかりして! しっかりしてよー……目を開けてーっ!
死んじゃイヤーっ! ちひろーっ!!!」
 立ち去る保奈美に構わず、茉理は血を流しながら地面に突き刺さったちひろに抱きつき、必死になって呼びかけた。
「……」
 茉理の悲痛な叫びを聞きながら、保奈美は血に染まった拳を見下ろし、歩きながらじっと考え込む。
 何だろう。この胸のイライラは。
「ちひろーっ!! イヤーッ!!!」
 それからすぐに救急車が来て、重傷のちひろを搬送していった。その救急車も保奈美が呼んだものだ。

 夕食が済むと美琴はさっさと帰ろうとする。
「それじゃあ。わたしはこれで」
「泊まってけばいいのに」
「だーめ。新婚さんのおジャマしちゃ悪いし」
 それに、と美琴は祐介に顔を寄せ、
「花嫁さんを安心させるのは新郎の役目だよ」
「むっ」と唸る祐介。
「それじゃあ~ね~」といつもの明るさを嵐のように振り撒いて美琴は帰って行った。
「……」
「……」
 二人きりになると、祐介と文緒は横目でお互いを見て、
「あ、あのね。お風呂入れたから入って」
「一緒に?」
「もう」
 頬を膨らませる文緒。赤い顔で。
「今日は……お風呂のあとで、ね」
「ん」
 股間はもうやる気満々。

 先にお風呂から上がって、文緒がお風呂に入ってる間、祐介はゴロゴロとベッドと転がって待っていた。全裸で。
 考えるのは保奈美の事。
 彼女には本当に済まないと思う。だが戻る事など出来ない。妊娠した文緒を見捨てる事など出来はしない。
 文緒の妊娠を知った瞬間、衝撃が体を突き抜け、一瞬で直樹から祐介に変わった。
自分の中にこれほど文緒を愛している気持ちが大きいとは自分でも驚きだった。
こうして一緒に暮らしているのが何だか不思議だ。本来なら保奈美と一緒に学園に通っているはずなのに。
 そして保奈美と……

「祐介君」
 今更有り得ない未来は現実の声に呼び戻される。
「どうかな」
 お風呂から上がった文緒は蓮美台学園の体操着を着ていた。

44:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:26:45 4jFjbM1O
 お風呂上りでしっとりと濡れた短い黒髪。眼鏡は掛けていない。そしてブルマー。
 今日はつくづくブルマーに縁がある。
「うん……うんうん」
 祐介は何度も頷く。全裸で。
「いいよいいよぉ。よっ、元女学生」
「もう。何よそれ」
 満更でもなさそうに文緒はベッドに腰掛ける。早速祐介が背後から抱きついてきた。
体操着独特の感触を全身で直に感じ、前に回した手で胸を包む。
「そんな……急に」
 最近めっきり柔らかくなった乳房が手の中でぐにゅと揉まれ、文緒は早くも赤い顔で喘いだ。
下着は穿いていない。乳首の固い感触まではっきり感じられた。もう勃っている。祐介のイチモツも。
「あっ……」
「どうせなら、体育館の倉庫のほうがよかったかな?」
「馬鹿」
 文緒をベッドへと寝かせ、祐介は上から覆い被さりちゅっとキスした。文緒も背中に手を回し、
自ら足を腰に絡める。
「んっ……んっ」
 もう何度もしてすっかり慣れたキス。舌を入れて互いに絡めると、じゅくじゅくと音が鳴り、糸を引いた。
「ふふっ」
 口を結ぶ糸を手に絡める文緒。髪をかき上げ、耳を甘く噛むと、「はんっ」と小刻みに震えた。
 ドキドキと高鳴る鼓動がお互いにはっきり聞こえ、耳を舐めながら祐介は横抱きにして、体操着をまくしあげ、下から手を入れる。
「あっ……はぁ……」
 手が乳房に直に触れ、ピンと尖った乳首を撫で回す度に、文緒もまた敏感に反応して腕の中で振動する。
指を口に入れ、潤んだ瞳で切なそうに喘ぐ文緒に、祐介もまた切なくなった。
「声…出していいんだぜ」
 耳元で囁くと彼女はビクンッと大きく飛び跳ねた。
 そして片手を今度は下に伸ばす。ブルマの中に。
「あっ……アアッ! はあぁっ!」
 下もやはりパンツは穿いていなかった。ブルマの中、指が直に割れ目に触れると、しがみつくように抱きつき、遠慮なく甘い声をぶつけてくる。
「やあっ! やだよおぉ!」
 くちゅくちゅと指が肉壷を掻き回し、淫らな音が響くと涙目で文緒は訴えてくる。
「め、メチャクチャになっちゃう……私…ヘンになっちゃうよぉ」
「ああ。いいんだよ」
 真っ赤な頬ほっぺたにキスし、祐介は肉壷をかき回す指を早めた。
「はっ…! だめっ……や、だめーっ!!」
 ビクンっ、と文緒の背筋が仰け反り、硬直する。
「イッた?」
 しがみつき、ハァハァと甘く吐息を吐く文緒はこくんと頷く。
「ずるいよ。自分だけ」
「だったら……きてよ」
「もちろん」
 横抱きから上に回って祐介が文緒を優しく見下ろす。
 文緒は黙って脚を開き、祐介は脚の付け根のブルマーをずらして、濡れた秘所を晒した。ぐちゅぐちゅに濡れた割れ目。うっすらと開いて、ピンクに輝く中身は蠢き、今や遅しと待っている。

45:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:27:44 4jFjbM1O
 ブルマの布をイチモツの横に感じ、祐介は熱い肉壷へと沈んでいった。
「アウウゥ!」
 ガクンガクンと文緒がベッドの上で飛び跳ね、背中にしがみつく指が爪を立てて肌に食い込む。
 背中に甘い痛み、そして下半身から強烈な締め付けと快感を得ながら、祐介は囁く。
「委員長がこんなに乱れるって知ったら。クラスのみんなどう思うかな」
「やあぁ……言わないで……はぁ!」
 腰を回転させると、ぐちゅぐちゅと淫らな音が響き、パンパンと肉と肉がぶつかる音がする。
「美琴や……結先生に聞かせてやりたいな」
「もう…もう……馬鹿ぁ」
 語りかける度、きゅっきゅっと文緒の膣が熱く締め付ける。
「大好きだよ。委員長」
 ちゅっとキスした唇は唾液で濡れそぼり。潤んだ瞳はもう前を見ていなかった。
「あぐうぅ……」
 背中にしがみつき、脚を腰に絡め、文緒は極限まで緊張する。膣も。
「くっ」
 強烈な締め付けに肉竿も限界まで達した。
 祐介の脳髄にバチッと火花が飛ぶ。

「アアアー!」

 白い喉を仰け反らせ、文緒が鳴く。祐介は急いで腰を引き抜き、そのブルマーの上に射精した。
「あっ!?」
 熱い液体をブルマーの上に感じ、文緒はうっとりと恍惚の表情で絶頂の波に体を震わせ続ける。
「あっ……はあぁ…! イイ、イイよ……」
 ブルマ、そして体操着に射精しながら、祐介もガクガクと背筋を震わせ、絶頂の快感に浸っていた。

 ハァハァ

 射精が止まり、下を見れば荒い息を吐く文緒。体操着にはしっかりと精液が振り掛けられている。
 そのまま顔を下げ、精液で濡れた体操着をさらにたくし上げ、乳房に吸い付く。
「あんっ」
 絶頂の余韻に浸っていた文緒がまた悶える。
 ピンと尖った乳首。まだ母乳は出ないけど吸うととっても甘くて。ちゅうちゅうと吸い立て舌で転がす。
「もう……」
 赤ちゃんのように胸にしゃぶる祐介の頭を抱え、文緒は目を閉じて快楽にまた浸った。
大好きな彼がくれる甘い性の喜び。自分がこんなに乱れるなんて、確かにクラスのみんなが知ったら驚くだろう。
「アッ……」
 はぁと甘い息を深く吐き、乳首を吸われ、文緒はまた喉を仰け反らせた。
 熱い。お腹の奥、子宮がとても熱くて。
 どんどん彼が欲しくなる。
 その想いが通じたのか。
 祐介は胸から顔を上げ、文緒に囁く。
「後ろ」
 うんと頷いて、文緒は四つん這いになった。

46:君が望むはにはに 祐介×文緒その5
06/12/17 18:28:41 4jFjbM1O
「ああっ……アア…ア」
 バックから貫かれ、激しくベッドの上で身体を揺らし、ベッドのスプリングがギシギシと鳴る。
「な、なあ」
 背後から貫き、祐介が文緒のお腹に手を当てる。
「な、なに……はぁっ!」
「子供の名前……」
「うんっ!」
 朦朧と痺れる頭で祐介と文緒は繋がりながら会話をかわす。
「男の子だったら直樹……て付けないか」
「うん……うん……はああっ!」
 絶頂に達し、今度は膣に熱い精が注がれる。
「アアっ! だめ……イク、イッチャウーっ!」
 ドクンっと射精し尽して、背中から祐介は抱きしめる。火照った彼女の体はとても熱くて。
そのままベッドに沈み込んでまた抱き合った……。

「ねえ」
「ん?」
「ずっと……側にいてね」
「ああ」
「あなたには私がいる」
「文緒には俺がいるよ」
 そして恋人同士はまたキスする。

「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
 翌朝マンションの自室の前。出かける祐介に文緒はちゅっとキス。
 あれからちひろから連絡はないがとりあえず温室に出掛ける事にした。そこに居なければ恭子先生の所に行くつもりで。
「なおくん。おはよう」
と、いつもの声。横を見れば保奈美がいた。
 もう祐介も文緒も驚かず、手を繋いで保奈美を見る。
「おはよう」「おはよう。藤枝さん」
 そして挨拶。
「保奈美。結婚式決まったら呼ぶよ」
「ぜひ来て下さい」
 ぺこりと二人揃って頭を下げる。
「なおくん……」
 だっと急に保奈美は駆け出した。二人に向かって。
 咄嗟に祐介は文緒を庇うが、保奈美はその二人を通り過ぎた。
「さようなら」
 すれ違い様、それだけを言い残して。
 保奈美はそのままマンションの廊下の壁を駆け上がり、飛び降りた。
 ここはマンションの十階。一瞬で保奈美の姿は落下して見えなくなる。
「イヤアアアアアアアアアァァァァーっ!」
 文緒は叫び、祐介は目を見張った。

(つづく)

47:外伝 ◆9QlRx9nooI
06/12/17 18:31:33 4jFjbM1O
一人ずつ倒されていってるなぁと

48:名無しさん@ピンキー
06/12/17 19:50:58 h1asWklm
>>47
・・・・・・・・・

49:名無しさん@ピンキー
06/12/17 20:24:19 uYwmlcqf
>>外で聞いていたのだろう。部屋に入ってきながら結先生が言う。キャタピラの下半身で。
>>「野乃原先生!?」「どうしたんですか!?」
結先生の姿を見て文緒も祐介も驚き、そして口をぽかんと開いた。
 結先生は頭に包帯を巻き、下半身をキャタピラに乗せていた。肩からは大砲が伸び、両腕は四連ミサイルポッドを装備。
「ガンタンク……」
 真っ先に頭に浮かんだ言葉を祐介は口に出す。

 ガンタンク結! まさにガンタンク結先生!

 そのガンタンク結先生ははにかんだ笑顔を見せ、
「ちょっと転んで怪我してしまって。私もこの病院に運ばれたんです」
「ちょっとって……どうしたんですかそれ!?」
「はい。ちょっと両脚を骨折しまして。その、車椅子代わりに」
 折れた両脚の代わりに無限軌道で移動しているというわけだ。

これはおかしい!

50:名無しさん@ピンキー
06/12/17 21:25:20 roaa0XF5
ガンタンクワロスw

51:にられば
06/12/18 02:34:45 rqQMUTcn
むしろ無限軌道と聞いて別のアニメを想像してしまった。
というか何とガクガクブルブルな展開な事か。

52:名無しさん@ピンキー
06/12/18 02:56:54 u5UvNedF
つまる所ボッブミサイルランチャーは腕のギプス兼用であると・・・・・・w

53:名無しさん@ピンキー
06/12/18 03:00:07 oQnkbbhf
ヘタなサスペンスより心臓に悪いわこれ。
つーか、外伝氏って絶対Sだ。

54:名無しさん@ピンキー
06/12/18 06:51:36 e4BStZjT
GJ―――!!!
ちひろがっ、ちひろが――っ!!
どんどんガクブルになっていく・・・・
しかもガンタンクってw
あと倒されてないのは美琴と茉理か

55:名無しさん@ピンキー
06/12/18 07:32:43 5jZM/94S
ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ

あれが保奈美の最後とは思えない。きっと第二第三の保奈美が(ry

56:名無しさん@ピンキー
06/12/18 09:51:14 z1VZ+uA4
つーか長いよ…。
10レス超えるようなのはテキストファイルでうpってくれる方が見やすくて助かる。

57:名無しさん@ピンキー
06/12/18 10:18:01 9L+pSsmp
>>56
お前はエロパロ板を何だと思ってるんだw

58:名無しさん@ピンキー
06/12/18 14:03:26 xx4l6Z5b
やはり保奈美のアンテナはレーダーだったんですね ^^
>本気だったら包丁で刺身だろう。
お取り入れ㌧クスです。
>肩からは大砲が伸び、両腕は四連ミサイルポッドを装備。
結のせいで分離のしたのにまだやる気か(ぉぃ
もう一度ボコってくだ(ry

59:名無しさん@ピンキー
06/12/18 15:40:37 kS+8n0YY
>>47
最後地面に接触する前にニヤリと笑うのですねw

60:名無しさん@ピンキー
06/12/18 16:03:36 SgMeGTSV
「鮮血の結末」くるかとオモタ

61:名無しさん@ピンキー
06/12/18 19:29:04 U4fuvoI/
断じて抜けないけど吹いたwww
ガンタンクねたもこういう形に昇華してくれるならおいらはいいと思う

ただ純粋に保奈美切なス
原作やってないけど文雄エンドってなに? 主人公の別人格出てくるのか?
それでフラレたらなんかこうやりきれない保奈美の気持ちわかるよな

62:名無しさん@ピンキー
06/12/18 23:03:35 tXtzDgyK
>>57
>>56は職人に文句しか垂れない自己中な池沼だからほっとけ

63:名無しさん@ピンキー
06/12/19 00:08:00 W798HOE4
外伝氏乙
なんか外伝氏の作品って本能任せの力押しの印象が強いんですよね。
作品自体は悪くないんですが、どうもエロ部分よりダーク部分の印象が強いと言うか……
今の長編が終わったら、純愛ならほのぼの系とか、凌辱系なら調教とか、そう言うのを希望

64:名無しさん@ピンキー
06/12/19 06:00:18 weKzJbPg
どうもエロ部分よりダーク部分
私はこっちも好きです

ユイタンクなら次に保奈美が襲いかかってきても撃退できるか・・?
自分も>>55と同意見、このまま終わるとは思えない

65:名無しさん@ピンキー
06/12/19 07:45:45 AHaXu2gs
というか保奈美まだ来ると思う。
ヒント:ひぐらし

66:名無しさん@ピンキー
06/12/19 15:43:28 vJnGVhAO
保奈美は滅びぬ。何度でも蘇るさ!

67:名無しさん@ピンキー
06/12/19 22:55:51 cDdyk8Br
>>63
ほのぼの路線では外伝氏の良さは生きないと思う。
純愛路線はにられば氏など執筆する人には事欠かない。

68:名無しさん@ピンキー
06/12/19 23:38:23 hZkZLS/T
作家見て思ったけど、外伝氏ってストレートだけの超強気な剛球投手って感じだよな。
にられば氏は頭脳派な制球派投手で、ゼロ氏は弱気な変化球投手、神楽スキー氏は臨機応変な万能投手って所か。
まあ、ここに投下する作家は自分なりにはこんな印象。

69:名無しさん@ピンキー
06/12/20 06:18:06 ee9qDYea
たしかに「犯す」ってかなりストレートで男らしい

70:外伝 ◆9QlRx9nooI
06/12/20 15:55:07 dY4Ikiq/
君が望むはにはに 祐介×文雄その6を投下します

71:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 15:57:40 dY4Ikiq/
 ひゅーん。ぼちゃっ。

 マンションの十階から飛び降りた保奈美は、ぐちゃっと潰れて横たわっていた。
右腕と右足が千切れ跳び、お腹からは血に染まった腸が飛び出している。ところどころ白い骨が垣間見えるがすぐに赤い血に染まっていった。
 その光景を見下ろし直樹は呆然と立ち尽くす。

「イヤアアアアアアアーっ!!!」
 空想は現実の悲鳴にかき消される。文緒の悲鳴。
 だが保奈美が飛び降りたのは現実。
「くそっ!」
 なんでこんなことに!
唇を噛み締め、直樹は駆け出した。エレベーターを待つのももどかしく、階段へと走って行く。
「待って! 行かないで!」
 その腕に文緒がしがみついてきた。
「委員長どいて!」
 彼女の腕を振り払い、直樹は階段を駆け降りていく。だから気付かなかった。
委員長と呼ばれた文緒が呆然としていたことに。

「保奈美! 保奈美!」
 階段を駆け降りながら、直樹の脳裏に今までの思い出が甦る。
 初めてキスした日、初めて結ばれた瞬間。だが笑顔は思い出せない。
 保奈美の笑った顔。その笑顔だけを求めて、直樹は駆けた。
 ようやく階段が終わり、直樹はすぐにマンションの玄関から飛び出す。
「保奈美!」
 いた! 地面の上、うつ伏せで倒れている。
 空想の中と違い五体しっかりとあった。
「しっかりしろ!」
 すぐに駆け寄り、頭を抱きかかえ必死に呼びかけた。
「保奈美! 保奈美!」
 瞳は固く閉じられ、口は閉じたまま。
 彼女の暖かい頭を胸に抱き、直樹は涙声で呼びかける。泣きながら。
「保奈美ーっ!」
 絶叫が天まで響き―

「なーにー」

 朗らかな声が聞こえる。
「え?」
 見れば胸の中の保奈美はぱちっと目を開けていた。
 そして直樹にぎゅっと抱きついてくる。腕を首に回して。
「もう。なおくんは泣き虫だよ」
 うふふっ、と笑い声。
「保奈美……? おまえ何ともないのか?」
「うん。平気だよ」
「ど、どうして」
 抱きついたまま保奈美は上を指差す。直樹も上を見ると大きな木の枝があった。大きく揺れている。
「えーと……」
 直樹はゆっくりと考えて、
「つまり、あの木の枝に掴まって、落下の衝撃を和らげたのですか?」
「うん」
 あっさりと保奈美は言ってのける。
 マンションの十階から飛び降りて、木の枝に掴まって華麗に着地。

72:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 15:58:39 dY4Ikiq/
 保奈美の懸命な努力と身体能力があってこそ出来る芸当だ。
「騙したな! 俺の気持ちを踏み躙ったな!」
「えへへ」
 涙顔で笑って怒鳴る直樹に、保奈美は悪戯が大成功した子供のような笑顔で抱きついていく。
 とりあえず保奈美が生きていた。無事で。それだけで嬉しい。
 腕の中に保奈美がいる。それがこんなに幸せなことだと初めて知らされた。
「でもよかった。やっぱりなおくんはなおくんだよ」
「え?」
「すぐに来てくれた」
「当たり前だろ……」
 腕の中の保奈美の頭を優しく撫でてやる。
と、保奈美は直樹の抱きつきながら、遠くを見る。
 そして不意に顔を寄せ、唇を合わせた。キス。
「んっ」
 保奈美の柔らかな唇の感触。久しぶりの味に直樹は胸が甘酸っぱくなった。
 だが口を重ねた保奈美の目は遠くを見ている。直樹の背中。

「イヤーッ!」

 空気を裂く様な悲鳴。はっと口を離して振り向けば、文緒がいた。眼鏡の奥の瞳を震わせ。
「あ……ああっ」
 その口がわなわなと震える。
 文緒に見せ付けるように保奈美は抱きつき、そしてニヤッと笑った。

「文緒……!」

 瞬間、祐介は保奈美を突き飛ばし、立ち上がって文緒に駆け寄る。
「文緒!」
 だが彼が寄ると、文緒は一歩後ずさった。
「違うんだ。これは……」
「何が…違うのよ」
 一筋の涙が頬を流れる。
「行かないでって言ったのに……私よりあの女を……」
 背を向けだっと走って行く。マンションの中に。
「待って!」
 追いかけようとした腕を背後から止められる。
「あんな女、放っておきましょうよ」
 保奈美だ。
 祐介はギッと睨み、
「俺を……騙したな!」
「なおくんは優しいから」
「俺は祐介だ!」
「でも、さっきはなおくんだったでしょ」
「!」
 愕然となった。頭にガーンと衝撃が走る。
 そう。保奈美が飛び降りるのを見た瞬間から、彼は『直樹』になっていた。祐介ではなく。
その証拠に地文も直樹となっていた。
「あ、ああ……」
 ぺたっと座り込む祐介を、保奈美はにこやかに見下ろす。
「あなたは……やっぱりなおくんなのよ」
 違う、と言えなかった。
 保奈美が危なくなると直樹になってしまう。
 それを今さっき体験したばかりだから。

73:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 15:59:35 dY4Ikiq/
「俺は…俺は……」
 もう自分でも分からなくなっていた。直樹なのか祐介なのか。
「わたしと一緒に来て。そうすれば何も心配いらないわ」
 そうだ。今まではずっと保奈美に甘えてきた。
 何をするにも完璧な保奈美。彼女がいれば不安も恐れるものもない。
「ほら。わたしの胸……大きいでしょ?」
 腕を取り、自分の胸に押し付ける。手に触れた感触は確かに文緒よりも大きかった。
 だが―
「残念だな。俺はもう少し小さいほうが好みなんだ」
 腕を離し、立ち上がった祐介は目を見据えしっかりと言い放った。
「俺は祐介だ。あんたの彼氏じゃない」
 そうだ。俺が愛するのは文緒だ。
「でも……彼女に子供がいるから選んだんでしょ?」
「ああ……」
 もし文緒が妊娠していなければ。そのまま直樹として保奈美の側にいたはずだ。
「もし……もしよ」
 保奈美は自分のお腹をさすり、
「わたしにも……子供が出来たら?」

「!」

 再び祐介に衝撃が走る。そしてむくむくと頭をもたげる直樹の意識。
「嘘だ!」
 直樹の意識を懸命に抑え、祐介は否定する。
「今はまだ子供はいないわ……。でも、そのうち産むつもりよ。なおくんのお嫁さんになるんだから」
 保奈美の視線が彼の股間に注がれる。そしてゴクッと喉が鳴った。
 そうだ。子供が出来れば彼も振り向いてくれる。
 保奈美に視姦されてるような気分になって、祐介は股間を手で隠す。
「お、俺の息子は、渡さないからな!」
 今にも襲い掛かりそうな保奈美に、祐介はツーと冷や汗をかく。
「俺は祐介だからな!」
 それだけ言い残し、マンションへと駆け込んだ。文緒が心配だから。
「なおくーん。体には気を付けてね」
 保奈美は笑顔で彼の背中を見送った。

 マンションの自室は固く閉じられ。祐介は外から呼びかけた。
「文緒……いるんだろ。開けてくれないか」
 ……
 返事は無い。
「文緒。ごめん。俺が悪かった」
 ドアが少しだけ開く。
「本当?」
「ほんとほんと。もう何でもしちゃうぜ」
「それじゃあ……」
「うん」
「今度デートして」
「ああ、もちろん。海外でもどこだって連れて行っちゃう」
 玄関がぱっと開いて、文緒が飛び出してくる。
 胸で彼女を受け止め、祐介は優しく抱きしめた。
「ごめんな……」
「遠くじゃなくてもいいから……思い出を作りたいの」
「ああ。作ろう」
 そして二人はしっかりと抱き合い―

74:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 16:00:40 dY4Ikiq/
「あーつーいー」
 能天気な声に二人はさっと身を離す。
「朝から、あーつーいー」
 美琴だ。むぎゅーと抱きしめる仕草をしている。
「姉貴! いいとこだったのに」
「いいから、いいから。続けて続けて」
「出来るかっ!」
「あ、あの……そろそろお仕事行かないと」
「お、おお」
 すっかり忘れていたことを文緒に言われ、祐介は彼女の手を握った。こんな時でも仕事のことを言い出すのは彼女らしい。
「それじゃあ。行ってくるからな」
「うん。行ってらっしゃい」
 ちゅっと軽く唇を合わせ、祐介は仕事場の温室に向かった。
「祐介ー。わたしにはー?」
「姉貴は留守番!」
「はーい」
 にこやかな姉弟の会話にも、何故か文緒はドキドキと不安に胸を高鳴らせていた。
「駄目だな私。すぐに嫉妬しちゃって」
 保奈美に美琴。彼の周囲の女性はみんな魅力的で。つい文緒はコンプレッスを感じてしまう。
 もっとも文緒は自身の魅力には気付いていない。

 フォステリアナ栽培所となっている温室に来てみたが、やはり誰もいなかった。
その前にある大きな穴が不安を増長させる。
 仕方無しに病院にに入院している恭子先生の所に行くと、ちひろも入院したことを知らされた。
「ちひろちゃんが!?」
 そして昨日、仕事場に残した保奈美とちひろを思い出す。
「やっぱり……保奈美が!」
 ぎゅっと拳を握ると、ベッドに座った恭子先生が右手を肩に置いた。左手は骨折している。
「あなたのせいじゃないわ。気にしないで」
「でも……俺がちひろちゃんに任せたばっかりに……」
「橘が言ってたわ。藤枝は……ずっと泣いてるようだったって」
「え?」
「彼女も……辛いのよ」
 ふーと恭子先生は溜息を吐く。苦悩の色がありありと浮かんでいた。
「とりあえず。橘が退院するまでフォステリアナ栽培はお預けね」
「いえ、俺一人でもやります。やり方はちひろちゃんから教えてもらいましたし、フォステリアナを待ってる人が大勢いるんでしょ」
「ええ……そうだけど」
「大丈夫。任せてください」
「そうね。それじゃあ任せたわ」
「はい」
 せめてもの罪滅ぼしに皆の役に立ちたい。祐介の意を汲み取って恭子は任せることにした。
「それで先生。俺、やっぱり渋垣の家にもちゃんと挨拶しとこうと思うんです」
「久住がお世話になってた家よね」
「はい。みんな心配してると思って」
「そうね。私も一緒に行くわ。こんな体だけど」
「俺だけで十分ですよ」
「なに言ってるの」
 恭子は右手の人差し指を祐介の鼻に突き付け、

75:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 16:01:36 dY4Ikiq/
「私は祐介君の保護者なのよ」
 祐介をこの時代に連れて来たのは私。だから最後まで面倒見る。恭子先生は今や祐介の母親代わりだった。
「は、はぁ」
 とりあえず会いに行く段取りを決めて、祐介はちひろちゃんの病室に向かった。といってもすぐ隣。
「あ、祐介君」
「久住先輩……あ、ごめんなさい。祐介さん」
 病室のベッドで寝ているちひろは頭にも体にもぐるぐる包帯が巻かれていた。その隣にはガンタンク結がいる。
全身包帯少女になったちひろを見て、祐介はじわっと目頭が熱くなる。
「ごめん……俺のせいで」
「いいんですよ」
 相変わらず優しい声。
「あ、あの……それでお花はどうなりました」
「ああ、大丈夫。無事だよ。俺がきちんと世話するから」
「よかった……」
 自分よりも花を心配するちひろに、祐介は頭が下がる想いだった。
 フォステリアナはきちんと咲かせよう。この少女の為にも。
「昨日はずっと茉理がお見舞いに来てくれたんですよ」
「茉理が……そうか」
 うんうんと祐介は頷き、
「今度向こうの家にも顔を出す事にしたよ」
「よかった……。茉理きっと喜びますよ」
「怒ってからね」
 口元だけで薄く笑うちひろに、祐介もホッと胸を撫で下ろす。
(茉理、か……)
 渋垣家の親戚の年下の少女。一緒に住むようになってからは妹のような存在。
祐介にとって美琴が姉のように。
 直樹の記憶でしか知らないが、茉理が元気になるなら、祐介にとっても嬉しい。

 それから数日後の休日。
 祐介と文緒、それに包帯巻いた恭子先生は渋垣家に挨拶に出向いた。
 直樹の保護者だった渋垣夫妻に事情を説明し、安心してもらう為である。もちろん茉理も。
 まず恭子先生が全て説明する。未来のことも直樹と祐介のことも。信じる信じないではなく、真実を知ってほしかったから。
 源三も英理も驚いたが、特に何も言わなかった。嘘をついてる風には見えなかった。
 そして祐介と文緒が結婚の報告をする。許しを得るのではなく、ただ「結婚します」と。
誰に反対されようと結婚するのは決めていたから。
「そうか」
 話を聞き終え、源三はうんうんと頷き、英理もにこにこと微笑んだ。ただ茉理だけがムスッとしている。

「良い人ね」
「だろう」
 あっさりと結婚を許してもらい、祐介も文緒も拍子抜けして、互いに笑いあう。
「なんだか懐かしいな」
 祐介は目を細めて部屋を見る。かつての直樹の部屋を。今もそのままになっていた。
「へー。こうなってんだ」
 男の子の部屋が珍しいのか、文緒はあちこち物色している。

76:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 16:02:44 dY4Ikiq/
「このベッドも久しぶりだな」
と祐介が腰掛けると、文緒も腰掛けた。
「こういうのって。ベッドの下にエッチな本を隠してるんだよね」
「……ないない」
「本当?」
「あ、ああ……」
 ガクガクと祐介は頷く。
 祐介は窓を眺め、
「ここで寝てるとさ。いつも保奈美が起こしに来てくれて……あ、ごめん」
「いいよ」
 きゅっ、と祐介の腕に文緒は抱きつき―
「あっ」と手を離した。
「いいからいいから。続けてください」
 部屋の入り口に茉理が立っていたから。
 源三さんと英理さんと恭子先生はずっと談笑している。
「急に家を出てったと思ったら……お嫁さん連れてくるんだから」
 呆れてものも言えない。そんな顔だ。
「いいだろう」
 肩を抱いて祐介は見せ付けてやる。自慢の嫁を。
 茉理はそんな二人をジーと目を細めて見つめ、
「本当に……結婚するの?」
「ああ。結婚式はちゃんと来いよ」
 そして祐介は文緒のお腹に手をやり、
「子供も出来るからな。おばさんと呼ばせてやる」
「……出来ちゃった婚?」
「「う」」
 何気ない一言に二人とも渋い顔をした。その通りだから。
「でも意外だなぁ。てっきり保奈美さんと……」
「茉理!」
 急な大声に横にいる文緒がビクッと震えてしまう。
「あ……ごめん」
「う、ううん。いいの」
 手を取り合う二人に茉理はハァと溜息をついて出て行った。付き合ってらんない。

 それからまた来ると約束して、祐介と文緒、恭子先生は渋垣家をあとにする。
 その前に―
「おおっ!」
 庭に置いたままの自転車に、祐介はぱっと飛びついた。
「生きていたのか! 世界タービン号!」
 愛車との感動の再会に祐介はすりすりと頬を寄せる。
「それじゃ祐介君。私は病院に戻ってるから」
「はい! ありがとうございます」
 恭子先生は入院中の身を押して来てくれたのだ。頭を下げて見送り、ぱっと自転車に飛び乗った。
「うん。うん」
 久しぶりの愛車の感覚に何やら頷いて感激している。そして後ろをぱんぱんと叩いて、
「文緒。乗れよ」
「え?」
 いつも自転車の後ろに乗っていた保奈美が思い出される。そう。そこはいつも保奈美の特等席だった。
「いいの?」
「もちろん」
 力強く頷く祐介。文緒はちょっと躊躇ったが、ちゅこんと腰を横にして後ろに座り祐介の腰にしっかりと手を回す。

77:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 16:03:59 dY4Ikiq/
「しっかり掴まってろよ」
「う、うん」
「ういーん。ういーん。世界タービン号、GO!」
「きゃっ」
 勢いよく走り出す自転車の後ろで、文緒はきゅっとしがみつく。背中に文緒の柔らかい膨らみを感じながら、祐介はペダルを漕いでいった。
 こうしていると、自然に保奈美のことを思い出す。

 ―何年後ろに乗ってると思ってるの?

 そう。何年も後ろに乗ってきたのは保奈美だ、でも今からは違う。
「文緒。このままドライブに行くぞ」
「……さ、サイクリングでしょう」
「ああ」
 ぶーんと走って行く世界タービン号。それを強烈な視線で睨み付ける影が一つ。
 保奈美だ。彼女は藤枝家の庭先から憎憎しげに見ていた。世界タービン号の後ろに座る文緒を。
「わたしの……場所なのに」
 そこはいつも保奈美が座っていた席。それを取られた。彼と一緒に。
「どうして……どうして、あの女はわたしの居場所を奪うの?」
 彼も、幸せも、居場所も。全て奪われた。
 いや、まだだ。奪われたなら取り戻せばいい。
 でも今は動けない。自分に向けて、闘気を発している人物が背後にいたから。
「何か用。茉理ちゃん」
 振り向くと茉理がいた。ツインテールに結わえた髪がゆらゆらと揺れていた。
「どうしてですか……どうしてちひろをあんな目に」
「ああ、そのこと」
 保奈美はにっこりと上品に微笑み、
「わたしの邪魔をするからよ」
「それだけで……」
 地面に下半身が埋もれた血まみれのちひろ、そして病院での包帯まみれのちひろが脳裏をよぎる。
「直樹のことは……別に止める気はありません。でも……ちひろのことは許せません」
 大事な親友をあんな目に遭わせて黙っていられる茉理ではない。
「許せなかったら……どうするの?」
「あたしと……勝負してください」
「いいわ」
 保奈美の髪もゆらっと揺れる。
「丁度相手がほしかったの」
 八つ当たりの相手を。彼の後ろで幸せそうな顔の文緒。彼女を思い出すたびに胸が張り裂けそうで。

 それから二人は並んで歩いていく。さすがに家の近くでは出来ない。
「保奈美さん。あたし、保奈美さんにずっと憧れていたんですよ」
 美人で優しくて成績優秀でスポーツ万能。そして頑張りや。茉理にとってまさに保奈美は理想だった。
「だから……保奈美さんがお姉さんになってくれたらって、ずっと思ってたんです」
「そうね……わたしも、茉理ちゃんみたいな妹がほしかったわ」
 直樹と保奈美が結ばれたらそうなっていたはずだ。きっと仲の良い姉妹になれただろう。今までよりも。
 他愛無い会話の間に公園に着いた。休日にも関わらず今は誰もいない。
「さ。始めましょう」
「……お願いします」

78:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 16:05:06 dY4Ikiq/
「ぜーぜー」
「ほら。頑張って」
 蓮美坂をせっせと漕いで登る祐介に、後ろの文緒が激を飛ばす。
「ふんぬー」
 その激が効いたか、速度がわずかに上がり、坂を上がっていった。
「あっ」
 蓮美台学園が見え、文緒は思わず声を出した。
「はぁはぁ」
 自転車を止め、祐介も学園を見上げる。懐かしそうに。
「行ってみるか」
「ええっ?」
「大丈夫。誰もいないよ」
 今日は休日。人の姿は見えない。
「で、でも……」
 文緒は自分の姿を見下ろす。今は私服で眼鏡着用。
「気にすんなよ。もう生徒じゃないんだし」
「もう。だからよ」
「ははっ。委員長は真面目だなぁ」
 祐介は世界タービン号を漕いで前に進んでいった。
「俺も一緒だから」
「もう」
 背中にしがみつき、文緒は薄く笑っていた。満更でもなさそうに。

「誰もいない教室……か。なんだか寂しい」
「でもドキドキするだろ・
 無人の教室に入った文緒はまっすぐに自分の席へと向かう。いや自分の席だった。
 椅子を引いて席に着くと、教室をぐるっと見渡した。胸がジンとくる。
「なんだか……懐かしいな。あっという間だったけど……」
「そうだな……」
と祐介も横に立って目を細める。直樹の記憶でしか知らないがそれは確かに大事な思い出。
「委員長」
「はい」
 呼ばれてはにかんだ笑顔で文緒は顔を上げる。目の端にちらっと光るものが浮かんでいた。
 徐々に顔を近づけ、優しく唇が重なった。眼鏡に当たらないようにキスするのはもう慣れた。
「教室で……いいのかな」
「知らない」
 言って再び祐介はキスする。舌を絡めて激しく彼女を求めた。文緒も首に手を回して彼を受け入れる。
 ちゅ……ちゅぱ……教室に粘着な音が響く。教室はシンと静まり返り、より一層音が大きく聞こえた。
「はぁ……」
 顔を離すと、文緒はもう真っ赤になって眼鏡の奥の目を潤ませていた。
「立って」
 言われるまま椅子から立って、文緒は机の上に腰掛ける。早速腰に手を回して、祐介はキスしていった。
「外から……見えちゃうよ」
「大丈夫。誰も見てないよ」
 根拠無く言う。
「見てる奴がいれば……見せつけてやればいい」
「もう」と言った文緒を机の上に優しく押し倒し、上から覆い被さるようにキスしていく。
 唇が触れる度、文緒はビクッと震え、体の芯が熱く疼いた。

79:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 16:06:08 dY4Ikiq/
「ね、ねえ。私……もっと頑張るよ」
「え?」
「料理もう上手くなるし……胸だって大きくなる」
 彼の手を取り、自分の胸へと誘う。彼女の胸は確かに柔らかく、祐介の手に温もりを伝えていった。
「そんなに気にするなよ。俺は文緒が文緒だから好きなんだ」
 誰かと比べる必要なんかないさ、と耳に優しくキス。
「でも……」
 何か言おうとした口もまたキスで塞ぐ。
 文緒の不安はよく分かる。自分を取られないかと心配なのだ。保奈美に。
 そして祐介もまた不安だった。自分が直樹に戻ってしまわないか。文緒を捨ててしまわないか。
「あっ……」
 顔を離し、祐介はスカートをたくし上げた。その中はもうしっとりと濡れている。
「ゆ、祐介君……机でなんて、そんな……」
「ずっと勉強してた机だろ?」
「意地悪……言わないでぇ……」
 クスッと笑った祐介は机の上の彼女を両手で抱きかかえた。
「きゃっ」
「重いな」
「馬鹿ぁ」
 そして窓のすぐ側で降ろして、背中から抱きしめる。自然、文雄は窓ガラスに体を押し付けた。
「や、やだ……」
 外がはっきり見える。つまり外からも見えるということだ。
「濡れてるよ」
 再び後ろからスカートをたくし上げると、やはり中は濡れていた。白いパンツの中心が染みになっている。
「だめ……こんな所で…」
「だめじゃない」
 そして祐介もチャックを開くと、勃起したイチモツを取り出す。
「俺もう……我慢できない」
「……うん」
 恥ずかしさで真っ赤になりながら、文雄はガラスに上半身を押し付けたまま下半身を上げた。彼が入りやすいように。
 パンツをずらし、スカートの中へと腰を進める。
 先端が肉壷に触れ、その熱さに蕩けてしましそうだった。
「ひゃうっ」
 震える文雄の腰を背後からしっかりと掴み、祐介は腰をさらに進めていった。
「あ……ア……」
 肉棒が埋まっていく度に、文雄の腰が振動し、彼に熱い刺激を与えていく。
 気持ちよさに祐介はすぐ射精してしまいそうだった。それをグッと歯を噛んで抑える。
「はぁ。はぁ」
 背後から聞こえる彼の熱い吐息に、文雄は胸がカッと熱くなり、そして嬉しかった。
大好きな彼が自分で興奮している。それがとても嬉しくて、文雄もまた興奮していく。
「ああっ……あ……ウ……」
 小刻みに震える腰に徐々に肉棒が埋没し、奥まで埋まっていった。
「はぁ……」
 体の奥に彼を感じ、文雄は恍惚とした表情でガラスに息を吐く。外には見慣れたグランドが広がり、誰か見ていないか無意識に探してしまう。
「ああっ!」
 だがすぐにそんな思考も吹き飛んだ。急に膣内のイチモツが暴れだしたのだ。

80:君が望むはにはに 祐介×文雄その6
06/12/20 16:07:10 dY4Ikiq/
「あっ……ハアアッ! はう! イヤァ!」
 ガラスに上半身を預けながら、文雄はガクガクとお尻を揺らした。
 腰を引き、あるいは突き、左右に振り回し、肉棒が熱い膣内を縦横無尽に蹂躙し、肉ヒダを捲れ上げる。
 じゅっじゅっと結合部からいやらしい音が教室に響く。
「はぁっ! はぁああ……だめ、ダメーッ!」
 ガラスに顔を押し付け、文雄はただ快楽の波に翻弄されていた。ピンと足が爪先立ちになる。
「……うあ……うあう……うぅ…やめて、もうやめて……」
「やめないよ」
 ズン! と激しく突き、祐介は我慢していた射精感を解き放った。
「イヤー!」
 同時、文雄の膣もきゅっと締まり、絶頂に達する。
「アアアぁぁぁぁーっ!」

 地面に倒れ、上を見ながら茉理は呆然と呟く
「やっぱり……保奈美さんだ……」
 そう言った口からは血が流れ、可愛い顔は無惨に腫れ上がっていた。
「へへ……」
 そしてゆっくりと立ち上がる。血反吐を吐きながら。
 保奈美は目を見張って立ち上がる彼女を見ていた。
 もう何度目だろう。倒しても倒しても茉理は立ち上がる。立ち上がって挑んでくる。
「くっ」
 ぎりっと歯を食い縛る。保奈美は全くの無傷だ。
 その手が真っ赤に燃え上がる!
「ほなみん……フィンガー!」
 真っ赤に燃え上がる手が茉理の顔を掴み、ガッと地面に押し付け、そして地面に埋もれさせた!
「が、はっ……」
 さらに地面に埋もれた顔を、ガッと踏み付ける。
「はぁはぁ」
 足を上げると、もう茉理は起き上がってこなかった。目を閉じてがっくりと気絶している。

 パチパチ

と背後から拍手。振り向けば英理さんがいた。茉理の母親。
「素晴らしいファイトだったわ」
 健闘を湛え、呆然とする保奈美の横をすり抜け、倒れた娘へと寄る。
 傷付いた娘の頭を抱え、よしよしと頭を撫でてやった。
「よくやったわ茉理。立派でしたよ」
 そして保奈美にも、
「ありがとう保奈美ちゃん。これでこの子はもっと強くなれる」
 強くなってどうするんだろう。
「失礼します」
 背を向けたまま保奈美は歩き出す。ぐっと拳を握って。血に濡れた拳を。
 何だろう。この胸のイライラは。
「なおくん……」
 ただ大好きな彼と一緒にいたいだけなのに。切なく瞳が揺れた。

「ここにまた来れるかな」
「来れるさ」
 世界タービン号に乗り、祐介と文雄はしっかりと校舎を見つめる。思い出に刻み込むように。
「あの教室だよな」

81:君が 祐介×文緒その6
06/12/20 16:08:59 dY4Ikiq/
 さっきまでいた教室を見て祐介が呟く。
「……そうね」
「よく見えるな」
「……!」
 カーと背後の文緒が赤くなるのが見てなくても分かった。
「行こう」
 背中から文緒が腕を腰に回す。
「ああ」
 文緒を後ろに乗せて祐介は世界タービン号のペダルを漕ぐ。
「なあ」
「うん?」
「今度……デートどこに行こうか」
「任せたわ。素敵な場所にしてね」
「へーい」
 世界タービン号は進む。笑い合う恋人を乗せて。

 次の日。祐介はフォステリアナ栽培場の温室に居た。世界タービン号のおかげでげ通勤も楽になった。
ちひろが入院していない今こそ、自分がしっかりと面倒を見なくてはならない。
この花は未来の人たちを救う花なのだから。
 ザッ、とそこに近寄る足音。
「保奈美か」
 振り向くとやはり保奈美がいた・
「今日は弁当は間に合ってるぞ。文雄が作ってくれた愛妻弁当があるからな」
「そうなんだ」
 保奈美はしゅんとうな垂れていて。祐介は「おや?」と思った。
「ね、ねえ……」
「なんだよ……」
 何故かドギマギしながら祐介が尋ねる。
「もうね。わたしもこんなこと終わりにしたいの」
「お、おう」
「だから……最後にお願いがあるの。聞いてくれたら、もうなおくんのことは諦めるから……」
「え?」
 意外な言葉に祐介は耳を疑う。だが現実。
「あのね……。最後に…デートしてほしいの」
「でいと!?」
 脳裏に文緒とのデートの約束が思い浮かぶ。
「駄目、かな?」
 保奈美の瞳がうるうると潤んで揺れている。
 祐介は何となく思った。
 この決断で自分の運命が決まるだろうと。

(つづく)

82:外伝 ◆9QlRx9nooI
06/12/20 16:10:31 dY4Ikiq/
×文雄
○文緒
テラ恥ずかしす
ごめんなさい

83:名無しさん@ピンキー
06/12/20 17:06:02 pmKZyZQK
外伝氏GJ!
保奈美しぶといなぁ。
英理さんの教育方針が分からないぜw

84:名無しさん@ピンキー
06/12/20 17:44:00 EtCKWvAs
外伝氏、オツカレ
今回も保奈美カワイソス
世界タービン号の席まで・・・
そろそろ文緒、ハンバーグになりませんか?

85:名無しさん@ピンキー
06/12/20 21:11:23 OVfQ85cW
小ネタです。
前も後ろもなんも考えずに投下w

86:名無しさん@ピンキー
06/12/20 21:11:31 OVfQ85cW
 「………なおくん?」
 「………………………………」
 「なおくん、こっそり後ろから忍び寄ってもバレバレだよ?」
 「な、なんでバレるかなぁ?」」
 「う~ん……」夕暮れ時の渋垣邸、すごすごとリビングに戻ってゆく直
樹に振り返る事もなく、コンロに向かいオタマを片手に持ったまま天を仰
ぐように言葉を探す保奈美「………エッチっぽい息遣い……かな?」
 「………嘘でも良いから、もちっと優しい言い方をしてくれ……」
 「じゃあ……愛の力。」
 「だったら気付かない振りをしてくれよぉ!」
 「甘えた声を出しても駄ぁ~目! もうすぐ出来るから、大人しく待っ
ててね?」
 「いや、別につまみ食いがしたかった訳じゃないんだが……」
 「どっちにしても駄目だよ。お料理で火を使ってるんだから、変なコト
したら危ないでしょ?」
 子供を諭すような声でソフトに直樹を叱る保奈美。口では直樹を非難し
つつも、基本的に甘々な彼女は振り向いて視線で制したり全身から拒絶す
るような気配を放ったりはしない。きっと直樹が悪戯しても、困ったよう
な顔をするだけで突き放したりはしないに違いない。
 「でもなぁ。」
 少し離れたところから眺める保奈美の後ろ姿。細い肩と背中を覆い隠す
ように伸びた長く柔らかそうな髪と、体を動かす度にユラユラと揺れるロ
ングスカートのお尻。そしてピッタリと閉じた脚の綺麗なふくらはぎだけ
がスカートの裾の下から見え隠れしている光景は罪作りなほどに魅惑的な
のだ。ましてや保奈美の裸エプロン姿を知っている直樹は……

87:名無しさん@ピンキー
06/12/20 21:12:24 OVfQ85cW
 「なぁ保奈美ぃ~?」
 「だから、もうちょっと待ってって…………きゃっ!?」
 「あー……良い匂いだ。やっぱ保奈美の髪は最高だな!」
 「な、なおく………子供じゃないんだから、我慢してよぉ……」
 「子供じゃないから我慢できないんだって。保奈美が可愛すぎるのがい
けないんだぞ?」
 「そ、そんな言い方はズルイよ。駄目だってば、なおくん……」
 弱々しく抵抗しながらも、保奈美は震える指先を必死に伸ばしてコンロ
の火を止める。
 「な? 良いだろ保奈美?」
 「だから、駄目って……ふぁっ、耳はくすぐったいから駄目だよ。なお
くんっ……手が……胸……んあぁん!!」
 「ちょっとだけ、ちょっとだけだから………な?」
 「ほ、ホントにちょっとだけ……だよ? ちょっとだけだからね?」
 「おうともよ!」
 「あ……なおくぅん………」



 「あのぉ………茉理?」
 「なに?」
 「えっと、どうして茉理が、その……私のお部屋でテレビ見てるの?」
 「そりゃ、そのまま泊まっていくからに決まってるでしょ? 良いよね?」
 「え? え? えぇっ!?」
 「大丈夫だいじょうーぶ、差し入れもタップリ持ってきたから。なんなら天
ヶ崎先輩とかも呼んで、みんなでプチパーティしようよ?」
 「だ、だからそういうことじゃなくって………」
 「あーもー! 飲まなきゃやってらんないっつーの!」
 「ま、茉理ぃ………」

88:名無しさん@ピンキー
06/12/20 21:12:44 OVfQ85cW
いじょw

89:名無しさん@ピンキー
06/12/20 21:24:38 LIICXUTv
小ネタもいいですが、菜月×麻衣の更に後日のエピソードを書いて
いただけたらなあと思っています。


90:名無しさん@ピンキー
06/12/20 23:22:23 OVfQ85cW
>>89
うう、申し訳ないっす。
一応、二回ほど書いてみたんですが……どーにもこーにも期待通りの流れになってくれないので(汗
近日中にVer.3に挑戦してみるっすw

91:名無しさん@ピンキー
06/12/21 01:00:58 BcGrm5Jx
最近こっちははにはに専用になってるな。

たまには夜明けなのことも思い出してあげてください。

92:名無しさん@ピンキー
06/12/21 06:49:36 18X1Ifuy
ああ、あのキャベツね   スマン

>>外伝さん
GJっす
なんか保奈美がだんだん可哀相になってきました
が、こういうダーク路線大好きなので悲惨な結末に期待!  ワクワク

93:名無しさん@ピンキー
06/12/23 00:50:37 FkC7mf2E
夜明けなは、第十話終了からコルゲンルートへの鬼畜話しか浮かばない。
需要があるとは思わないので書かないが。


94:名無しさん@ピンキー
06/12/23 01:05:25 V+SeBaIM
コルゲンって誰
鼻の薬しか思い浮かばない

95:名無しさん@ピンキー
06/12/23 01:24:24 ZhtkPDVV
>>93
正直陵辱云々より嫌っすね。

96:名無しさん@ピンキー
06/12/23 09:21:34 JRRYmP3s
確かに、第一印象から嫌いだったし、出たらパソコン叩き壊しそうだ。
ハッキリ言って、あんな奴がでる作品読みたくも無いしスレに近付きたくもない。

97:名無しさん@ピンキー
06/12/23 11:06:25 yetNOTpa
コルゲン言われても分からないからSSリクエストしたい。

98:名無しさん@ピンキー
06/12/23 11:20:16 P0dRA6YP
97と同じく「コルゲン」でどういうSSを書くのか想像できない(鼻薬SS?)ので、
ぜひとも書いてもらいたい。

99:名無しさん@ピンキー
06/12/23 20:13:30 D13IvBvU
≫97-98
……冗談でも止めてくれ。
個人的にはアフォ、無能の代名詞だと思う、リップシュタット連合の貴族の馬鹿息子共(@銀英伝)の更に下を行く、真性のガイキチな魔ニメ版のキャラだ。
万が一、トチ狂った奴が文を投下したもんなら、いつぞやのグロ・凌辱騒ぎが小火に思える程に荒れるのは明白だ。≫93も他の職人も、このスレの安寧を望むんなら、このネタだけは止めてくれ。いや、ホント、マジで、な。


100:外伝 ◆9QlRx9nooI
06/12/23 20:52:21 Ned4Bi3c
「ユルゲン・フォン・クリューゲル。国家反逆罪により処刑が決定しました」
 カレンが淡々と罪状を読み上げる。
 処刑椅子に縛られ、口も拘束具で封じられたユルゲンはただウンウンと唸るしかなかった。
目は真っ赤に血走っている。
「では処刑人どうぞ」
 すっと目の前に立ったのはフィーナ姫だ。
白い手袋にするするとズボンを降ろし、パンツまで下げる。
そして晒されたちんこを「えい」と白い手袋で撫でた。
するとどうだろう。ユルゲンのちんこはたちまち勃起し、すぐに射精する。
放射状に飛ぶ白濁液。
『おお!』
 観客からワッと歓声が上がった。これは公開処刑だ。
「続いてどうぞ」
 あくまで淡々とカレン。続いてミアが頭のメイドキャップでちんこを撫でる。
するとどうだろう。また一瞬にして射精が飛んだ。
『おおおお!』
「では地球からの応援です」
 続いて出てきたのは、麻衣、さやか、菜月の三人。
麻衣のリボン、さやかの黒ストッキング、菜月のしゃもじ「兄想い」が次々とちんこに触れ、射精させていく。
 連続の射精にユルゲンは見る見る衰弱していった。
 そして最後の処刑人が立つ。リースだ。
「抜け」
 宙に浮かび上がったリースは足裏でむくむくとちんこをしごく。しごく。
 どぴゅぴゅぴゅぴゅ
 止まる事のない射精が床に溜まり、そして限界を越え―
 ユルゲンの首がガクッと落ちる。
 寄って確認したカレンが告げた。
「以上、ユルゲンの処刑完了です」
『おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』
 観客達は一斉に歓声と拍手をと送る。
 月と地球が一つになった瞬間だった。

(おしまい)

101:名無しさん@ピンキー
06/12/23 21:06:59 LkvBIYrs
GJ!! 初めて外伝氏の作品を心から褒めた。
公開処刑とは良く言った物ですね、男としてこれ以上ない恥い死に方だ

これ位なら、まあ>>99が心配してるような事態にはならんだろう。
このキャラ嫌いですし、作品書くならいじめるに限ります。
正直第一印象が『死ね』ですから、すっげー面白かった。

102:名無しさん@ピンキー
06/12/23 21:43:29 iYF5sF2q
>>100
GJ!激しくGJ!
外伝氏あたり嫌がらせみたいなSS書いてくるんじゃないかと思ってたのが恥ずかしいぜ。
めっちゃすっきりしたw

103:名無しさん@ピンキー
06/12/24 01:13:25 97FC3b++
キャベツのキャラか?

104:名無しさん@ピンキー
06/12/24 06:34:45 1GLHeEjt
こんなことならキャベツアニメを見とくんだった
正直キャラがわからん
だけどこのスレ見る限り、なんかかなり嫌われてるんだな
フィーナの婚約者だっけか?

105:名無しさん@ピンキー
06/12/24 08:10:15 kNiS6cOE
キャベツは2話で見るの止めたからなぁ(苦笑
もしフィーナの婚約者でかつ嫌われてるのなら
おそらくあの手この手でフィーナを自分のものにしようとして
それが皆に嫌われているのではないかと予想。
その設定だけならクリムゾン風味のエロ陵辱SSが出来そうだけどその上を行く存在なのかな?

106:名無しさん@ピンキー
06/12/24 10:04:28 XnHqU8tg
ュルゲンはフィーナが欲しかったわけではなく王権が欲しかっただけの月至上主義者
首尾よく結婚したらすぐにでもフィーナを暗殺して自分が王位について戦争始めたろうな

107:名無しさん@ピンキー
06/12/24 10:30:15 P9Dph3VK
というか、基本的に差別主義のボンボン程バカな存在も無いな。

108:名無しさん@ピンキー
06/12/24 11:15:27 eMLHa7HX
なんていうかアレだなフィーナが欲しくてあの手この手の姑息ボンボン
なら陵辱キャラとしてまだ使えるかも知れんが権力大好き、月万能主義
じゃまになればフィーナもぶっ殺すなんてキャラじゃ後味わるすぎw

109:名無しさん@ピンキー
06/12/24 16:25:09 O9SdUvF1
権力握った後、フィーナを陵辱調教SSならありえるかも。

110:名無しさん@ピンキー
06/12/24 16:29:14 A+42/hXx
ありえても見たくねーよそんなもん。
ハッキリ言って、その他大勢の強姦の方がまだマシだ。

111:名無しさん@ピンキー
06/12/24 18:22:14 AMUSOP/Z
URLリンク(angel-factory.oc.to)の続き、
菜月×麻衣のアナザーストーリーを投下します。

自分で言うのも何ですが、最早どう考えても原作からは逸脱しているので、
イメージを壊されたくない方や百合属性がない方はスルーをお願いいたします。

112:名無しさん@ピンキー
06/12/24 18:22:45 AMUSOP/Z
 「よぉ彼女。隣、明いてるかい?」
 「?」
 少なくても数世紀ほどは遅れてそうな、時代錯誤のナンパ文句に釣られるよ
うに顔を上げた菜月の前には。
 「やっほ、おっひさ~♪」
 ちょっぴり恥ずかしげな笑顔のクラスメート、遠山翠が立っていた。真夏の
日差しがそろそろ天頂に差し掛かろうとしている時間帯の学院の図書館には、
夏休み中にも関わらずそこそこの数の利用者が見受けられる。
 「おはよ、翠」私服姿で屈託のない笑顔を浮かべる友人の姿にホッと胸を撫
で下ろす菜月「もしかして、宿題しに来たの?」
 「家で一人でやってても、あんま進まないからねー。こういうのは早いトコ
終わらせた方が良いかなって思って来てみたんだ。菜月の方は………受験勉強
っぽいね。」
 「というよりは進学した後の為の予習かな。私みたいに一般学科から推薦枠
で入っちゃうと、どうしても他の人よりもスタートラインが後ろになっちゃう
から人一倍頑張らないとね。」
 「さっすが、菜月は優等生だなぁ。」と道中の暑さで少なからず消耗してし
まったっぽい緩慢な動きで菜月の向かい側に腰を下ろす翠「それにしても、何
で(学院の)制服なんか着てるの? ここって、学院の休日は市民カードだけ
で入れるから何着てきてもいいのに。」
 「き……気分の問題カナ?」何故だか頬が熱くなる菜月「ややや、やっぱり
制服着てた方が気合いも入るじゃない? せっかく学院まで来てるんだし、ど
うせやるんだったら集中してやった方が……そのぉ……」
 「ふ~ん。」
 「あ、あはは~…………」

113:名無しさん@ピンキー
06/12/24 18:23:48 AMUSOP/Z
 「ところで、さ? 菜月が思ったよりも元気そうで安心したよ。」
 「えっとぉ……なにが?」
 「朝霧くんの事。愛しの旦那様を他の女に横取りされて、背後に土砂降り背
負ってるんじゃないかなって思ってたんだけど……そんな落ち込んだ様子もな
いし、さっきから観察してた分には本当に勉強に集中できてたように見えたか
らね。」
 何処から漏れ出したのか、達哉が他の候補者達を牛蒡抜きにしてフィーナ姫
の婚約者に決まりそうだという噂は既に満弦ヶ崎中央連絡港市全体に細波のよ
うに広がりつつあった。恐らくは達哉とフィーナの仲睦まじい様子を見かけた
人々の噂話に尾鰭がついた物なのだろうが、それを否定する様な動きが何処か
らも出てこないために事実として定着しつつある限りなく真実に近い憶測だ。
 「よよ、横取りって………私と達哉はただの幼馴染みだし、別にそんな関係
じゃ………」
 「うんうん。わかってるわかってる、わかってるから皆まで言うなって」と
訳知り顔で得意げにウンウンと頷く翠「実は私も密かに狙って……ああ、もち
ろん朝霧くんの方ね……狙ってたんだけど、フィーナが相手じゃチト辛い物が
あるのは確かだよねー。」
 「え? えぇっ!?」
 「まぁ私に菜月ぐらいのムネがありゃ、も少し積極的にもなれたかもって言
う意見もなきにしもあらずだけど、そんなの今頃言い出したところで後の祭り
って言うか………」
 「………む、胸って……」
 ぼんっ、と湯気を吹き上げ瞬間沸騰する菜月の顔。
 「……こうなったら振られた者同士で傷心ヤケ食い大会とか開かない? ち
ょっと高くて遠いんだけど、最近スイーツ食べ放題のホテルが……」
 (ブルルッ!)
 「あ……!」
 (ブルルッ、ブルルルルッ!)
 「ん? どったの菜月?」
 「ごめん、ちょっと電話が……」


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