【許嫁】和風美少女でエロパロ【家元】at EROPARO
【許嫁】和風美少女でエロパロ【家元】 - 暇つぶし2ch200:名無しさん@ピンキー
07/02/21 17:49:36 CCrStYcz
保守

201:名無しさん@ピンキー
07/02/23 11:10:00 qWcekmDZ
くそぅ。ネタは簡単に思いつくんだがな・・・文章にまとめようとするとうまくいかねぇ。

<<ひどい話だ。難しいね>>


202:名無しさん@ピンキー
07/02/23 16:14:31 9sBzeW5D
>>201
<<書け、臆病者!>>

203:名無しさん@ピンキー
07/02/23 16:36:32 hIzMa0j9
だがソレができないのも人だ。

204:201
07/02/23 18:39:52 qWcekmDZ
>>201-202
まさかこのネタが通じるとはね。
とりあえずやってみる。思いついた部分をまずは書き留めておくか。

<<実はキャラ設定も考えてあるんすよ。大雑把な流れも出来てたりして>>


205:名無しさん@ピンキー
07/02/23 23:13:15 nZh29eWg
リーンの翼のリュクスは和風美少女なんだろうか
ふと、コミック最終巻ラストの和服姿を見ながら思った

206:201
07/02/24 10:57:21 S11vmM12
昨夜、調子が良かったので割と書けたのだが(それでもエロの始めだが)。
よく見ると「和」なとこ無いよね、と気付いた。

なぎなた部の部室(のような所)で胴衣姿(脱いじゃうけどさ)の嬢ちゃんとえちぃするから
こじつけ出来なくもないわけだが。

207:名無しさん@ピンキー
07/02/24 14:14:48 uGUzfTLr
かまうことはないさ、現状、それだけ要素があれば十分だよ

208:名無しさん@ピンキー
07/02/24 19:28:29 iGZTxff9
ん?


209:名無しさん@ピンキー
07/02/25 00:31:58 Hj78Z6Ix
きっと、気にせず投下してくださいまし、と言うことなのでしょう

210:名無しさん@ピンキー
07/02/25 10:01:20 hlYiyaiH
つらつらと思いついたネタをエロ少なめです。

「刹那様……明日は決戦ですね」
そう言って、彼女は俺の横にそっと座る。
「ああ、明日は『門』を閉じる、最後の決戦だ。」
『人ならざるもの』魔獣との決戦を控え、俺達は体を寄せ合っていた。
我が名は蒼矢刹那、彼女の名は紅未来。昔から定められた許嫁だ。
「私は、怖いです。刹那殿が魔獣の戦いで死なぬかどうか……」
そっと肩を寄せてくる。肩を抱き寄せ、声をかける。
「安心しろ。俺はお前と契りを結ぶまでは死にはせん。」
「約束していただけますか?」
「ああ、当然だとも」
軽い接吻の後、俺は彼女の顔を。
優しく、気高く、そしてちょっぴり嫉妬深い彼女の顔を。

戦いは一方的に進む。俺達人間を優勢として。
「油断するな!かならず2対1であたれ!」
『ヲ・ノ・レェ!!』
魔獣王の叫びが戦場を振りまく。
奴を倒せば、この戦いは全て終わる。
俺と未来は魔獣王の元へと突進していった。

211:名無しさん@ピンキー
07/02/25 10:02:11 hlYiyaiH
『ヨ・ク・モ・ヤ・ッ・テ・ク・レ・タ・ナ』
魔獣王の声が戦場に響く。
「消えよ!現世から!」
叫び声と共に、魔獣王に二人で攻撃を仕掛ける。
『コ・ノ・ジ・ダ・イ・ハ・ワ・レ・ラ・ノ・マ・ケ・ダ』
「ほう、諦めが早いな」
『ダ・ガ・ツ・ギ・ノ・ジ・ダ・イ・ハ・ワ・レ・ラ・ガ・カ・ツ』
その言葉と共に、魔獣王の体から妖気が発せられた。

「未来……?」
「あ……あ………」
うわごとのように呟く未来。左手に短刀、それが俺の背中の肩を貫いていた。
『ミ・ラ・イ・ヨ・オ・マ・エ・ハ・ナ・カ・マ・ヲ・キ・ズ・ツ・ケ・タ』
じわっと、未来の目に涙が浮かんでくる。
『オ・マ・エ・ノ・イ・バ・シ・ョ・ハ・ソ・コ・ニ・ハ・ナ・イ』
「違う!私の居場所は……」
『ナ・ラ・バ・ナ・ゼ・セ・ツ・ナ・ヲ・キ・ズ・ツ・ケ・タ?』
未来の体が苦しそうにもたげる。
『コ・チ・ラ・ニ・コ・イ』
ガタガタと震えながら、そっと立ち上がる未来。軽い催眠術か!
「未来……」
「私は……刹那殿を傷つけてしまいました」
くそっ!未来!行くな!お前は俺の伴侶だろう!俺が他の女に声をかけるだけで困った顔をするのに、
………他の男の所へ行くな!
「ならばっ!」
俺はそう言って上の鎧服を脱ぐ。
「傷には、人のつばが良く効くと聞く。ならば、未来この傷お前が舐めるのだ」
『ン・ナ?ナ・ニ・ヲ・カ・ン・ガ・エ・テ・ル?』
あまりのことに魔獣王が驚愕する。
「刹那殿?」
「お前が傷つけた傷だ。お前が治すのが道理だろう」
がたがたと震える彼女に俺は近寄る。
「わかりました」
彼女は涙を流しながら、俺の傷に唇をあて、ゆっくりと舐め始める。
『キ・サ・マ・オ・ン・ナ・ヲ・ナ・カ・セ・テ・ハ・ズ・カ・シ・ク・ナ・イ・ノ・カ?』
「俺からしてみれば、未来が貴様如きの為に笑うのが気に入らん。
 貴様の目的は未来を手に入れることだったのだろう?だがなあ!」
俺は刹那をしっかりと抱き寄せると、強く唇を合わせる。
『グ・グ・グ』
「ふふふ、悔しいか?お前がこうしていただろうと思ってた事を見せてるだけだ。」
「刹那殿……」
顔を赤らめて未来が俺に抱きよる。
「だがなあ……魔獣王……刹那……お前にとって俺はなんだ?」
「とても大切な……許嫁でございます。」
「と言う事だ。魔獣王!本当に未来を手に入れたければ、俺と一緒に手に入れる算段も考えるべきだったな!」
『オ・ノ・レ!!』
魔獣王が最後の雄たけびを上げる。だが、それは負け犬の遠吠えでしかなかった。

212:名無しさん@ピンキー
07/02/25 10:03:37 hlYiyaiH
戦闘が終わり、戦士達は帰路に着く。
「あの、魔獣王の言っていた次の戦いとは?」
「49年後、再び新たな魔獣王が生まれる。その戦いだ」
「49年後……」
「未来殿と刹那殿は次の戦いの準備を始めておられる。国を作り、陣地を作りそして……」

寝室、そこで刹那と未来は体を合わせていた。
「お待ちしておりました。この時をこの日を」
艶かしく押し倒されている未来の体。その体の上から刹那は未来の秘所を貫いていた。
情熱で赤くなった体は忽ちの内に恍惚の表情になり、それがさらに刹那の征服欲を駆り立てる。
魔獣王を止め、正式に契りをなしたこの二人の情事を止めれる物はいない。
いや、誰も止めようとしない。交わりが子をなしまたその子が成長し、新たな子を作り、
次の戦士へと繋がっていく。その交わりを止められる存在など、この世界には存在しなかった。

~終~

以上です。

213:名無しさん@ピンキー
07/02/26 08:38:19 WxrUeE4y
……それはマジで書いているのか?

214:名無しさん@ピンキー
07/02/26 12:08:15 nQAdeRJx
突っ込んだら負けだと思った

215:名無しさん@ピンキー
07/02/26 17:38:24 6NB15uNy
ここは地獄の一丁目だ これ以上どれくらい落ちるというんだね?

216:201
07/02/26 22:04:54 N4YVv0Vh
流れ読まずにチラシの余白投下

70%くらい書けたんじゃねーかな、と思う。まだ場面の繋ぎとか出だしを半端にしてるし、推敲も必要だ。
#異様な表現も多数あるだろうし。
##長すぎてここにうpできない悪寒。

後はここでジ・エンドするかどうかだね。
<<最後の最後で迷うなんて、全く俺らしいなぁ!>>


217:名無しさん@ピンキー
07/02/26 22:19:36 fWtK8lAL
一人語りうざ

218:名無しさん@ピンキー
07/02/27 00:10:39 baTneu4x

「……。始まったのね」
「始まった?なにが?」
「地下潜行型侵略生物兵器」
「地下潜行型……?」
「46億年前、やつらは地球の地下にいくつもの『シード』を埋め込んだの。
やがて人類が宇宙に進出するときがきて……実際、いまがそのときなんだけれど……
そのときに人類が『適格』でないと判断されたら、『シード』は目覚め、人類完殺の兵器として稼動し始めるの。
これは聖書とか様々な文献に終末とか悪魔とかいう形で明記されてる厳然たる事実なの」
「……」
「これは明白に、第四種生物兵器『ビッグ・エンケリュス』の攻撃だわ。
『ビッグ・エンケリュス』は地下から波動を送るの。自殺波動。この波動にシンクロしてしまった人間は、
自殺こそが幸福へ至る道だと信じ込んで……彼のように自殺してしまうの」
「……自殺波動?」
「そう!波動よ!エンケリュスムサベツエンカクジサツハドウコウゲキ!」

219:名無しさん@ピンキー
07/02/27 00:25:46 JXp5pAn8
誤爆なのか、規制なのか、これから和風美少女が出てくるのか

220:201
07/03/01 00:35:03 fzDRYARr
先日から書いていた分がなんとか見られるようになったのでうpろうと思ったが、
ちょっとここにうpできるような長さではなくなっていた。

zipで固めてうpろだに上げてこようと思う。
でもあんまり期待しないでおいてくれ・・・


221:201
07/03/01 00:41:20 fzDRYARr
うpっておいた。

2号 upload20000029320.zip
DLパス:和風
解凍パス:なし



222:名無しさん@ピンキー
07/03/01 04:07:55 RsVcXHLy
たとえ長くても、このスレの過疎状況を考えると、ここに投下して欲しかった気もする
ひとまずGJ。展開が急すぎて笑ってしまったが

223:名無しさん@ピンキー
07/03/01 07:21:35 tzIR6XZx
エロっちぃ彼女GJ。
てっきり「肌を晒してしまった相手と結婚せねばならぬ」的な話だとか
最初思ったのは内緒です。

ところで私も投下しようと思うんですけど、
エロ無しはやはりエロくない作品スレの方にするべきでしょうか。
作品的に、プラトニックな方が合う二人だったので。


224:名無しさん@ピンキー
07/03/01 19:35:13 Q8GaVBya
バグなのかロダが表示されない罠

225:201
07/03/01 20:22:12 fzDRYARr
>>224
なんだと?!

というわけで予備をうpった。
傘 hajime10484.zip
DLパス、解凍パスは変更ありません。


226:名無しさん@ピンキー
07/03/01 20:25:54 mNE2Ova+
もう、ここに投下しちゃえばいいのに

227:201
07/03/01 20:52:37 fzDRYARr
>>226
正直、スレに絨毯爆撃かますのは気が引けるのよ・・・。
20レス近くも埋められたら、ウザがる人も居るだろうし。

いや、まぁここはそういうことが有る程度許容されているのはわかっているが。


228:名無しさん@ピンキー
07/03/01 21:03:46 RsVcXHLy
ていうか、そういうことをするための板なんじゃないか?
まあ、作者さんが無理だと言うなら仕方がないけど
すっげえ過疎ってるこのスレには、何らかのカンフル剤が必要だと思う
投下がない代わりに雑談で盛り上がってるってわけですらないからね

229:名無しさん@ピンキー
07/03/01 21:28:24 DiXMl90Z
投下してクレ

230:結んで開い手(1/8)
07/03/01 22:10:39 tzIR6XZx
 秋陽高校、夕暮れの屋上。
 真っ赤な顔で告白をした南森与力(みなもり よいち)の前で、2年3組ク
ラスメイトの女の子は頭を下げた。
 長く細い黒髪が、肩から垂れ落ちる。
「申し訳ありません」
 出てきたのは拒絶の言葉だった。
 仲は決して悪くなかった……と与力は思う。
 一年生の時に隣の席になったのを縁に、お互い趣味が料理というのもあり、
親密になった。二年になってからも、肉体関係はおろか手を繋ぐ事すらなかっ
たが、二人が互いに友人以上の感情を抱いているのは明白だった。
 だが。
 少女は肩を震わせ、与力は拳を強く握り締めた。
「決して、南森君が嫌いな訳ではないのです……でも、どうしても駄目なんです」
「理由を……聞いてもいいか?」
 彼女は顔を上げた。涙目だった。
「……はい、親に決められた許婚がいるんです」
「い、許婚……? 今時?」
「はい……ですから……申し訳ありません……」

231:結んで開い手(2/8)
07/03/01 22:12:41 tzIR6XZx
「待った! じゃ、じゃあ、俺のことは嫌いじゃない……って解釈はして、い
いのか?」
「はい……私、南森君の事は好きです」
 頬が赤いのは夕焼けのせいだけじゃないよな、と与力は彼女を見ながら思った。
 そして希望が出来た。
「だったら―」
「相手の事を断ろうにも、許婚の相手の事は私、まだよくは知らないんです」
 彼女は、与力の言葉を先回りした。
「……つい最近知らされたばかりで」
「最近雰囲気が暗かったのは、そのせいだったのか……」
「はい。でも、断ればきっと、理由を追求されてしまいます。そうすれば、南
森君にもご迷惑が掛かります……最悪、ご家族にも……私、そんな事にはとて
も耐えられません」
「そこまで、するのか?」
「私の家もそうですが……父の話では、相手方のお父様がそれは強烈な方らし
く、どうなるか分からないと……」
「……ふざけるな」
 与力は呟いた。
 もちろんそれは彼女に対してではなく、彼女の家に対してのものだった。
 だが、彼女の家が金持ちだという事は聞いていたし、おそらく力があるのも
事実だろう。一方与力の実家は、街の大衆食堂である。

232:結んで開い手(3/8)
07/03/01 22:14:45 tzIR6XZx
 二人で駆け落ち―というのも一瞬頭に浮かんだが、現実的ではない。衝動
的に行っても失敗するのは目に見えているし、先立つものが何もない。
 しかし、こんな理由で彼女を諦めるのは嫌だった。
 与力は彼女の白い手を握った。
「あ……」
「何か、策を考える」
「でも……」
「正直、今は何の手立てもない。けど、絶対何か考える。だから、待っててく
れ」
 彼女は与力の顔を見つめ、
「……はい」
 手にわずかに力を込めて握り返してくれた。


 名南市でも指折りの高級料亭『清雨亭(きようてい)』は一見さんお断り、
政治家や著名人がよく利用する事で知られている。
 そんな料亭の座敷に、一組の親子がいた。
「さあ、見合いだ!」
 油まみれのエプロンをつけたガタイのいい体育会系親父。
 そして。
「……ロープをほどけ糞親父」

233:結んで開い手(4/8)
07/03/01 22:16:48 tzIR6XZx
 父親の遺伝子を色濃く継いだのか、頑丈そうな身体の学生服の少年(ただし
ロープでぐるぐる巻き)。
 少年、というか南森与力は、どうしてこんな事になったのか、サッパリ分か
らなかった。昼下がりいきなり部屋に入ってきた父親に、問答無用でここまで
運ばれてきたのだ。
「美人だぞう! 瑠璃(るり)を娶った俺の保障つきだ!」
 ちなみに瑠璃とは、父親の嫁、つまり与力の母親だった。実家である食堂
『南森食堂』で、今も父から留守を預かった彼女は夕方からのメニューの仕
込みに追われているはずだ。
 彼女の割烹着姿を見に、近くの工場の男衆の大半(と一部女性陣)が常連に
なっているし、商店街にもファンが多い。
 だが、それは今の与力にはどうでもいい。
 こちとらつい昨日、仲の良かった女の子に衝撃の事実を突きつけられテンシ
ョンガタ落ちなのである。とてもじゃねーが見合いなんて気分ではないのだ。
どうやって彼女の両親を説得できるのか、考えなきゃならないってのに。
 今はこんな座敷にいる。
 あー、いい畳使ってやがるなぁ。
「お袋が美人なのは認める。ノロけはいいからさっさとロープをほどけ馬鹿親父」
「よかろう」
 どこから取り出したのか、与力の父親、南森同心(みなもり どうしん)は
柳包丁を一閃、与力のロープを切断した。

234:結んで開い手(5/8)
07/03/01 22:18:56 tzIR6XZx
 同心のエキセントリックぶりは生まれた時からの付き合いだ。今更この程度
で与力も動じたりはしない。
「……で? 休みの日に俺を拉致った理由ってのが、見合いかよ」
 開かれた障子の向こう、見事な日本庭園に視線をやりながら与力は尋ねた。
 空は晴天、絶好の見合い日和である。
「おうよ。ここの主人とは昔、料理の腕で争った仲でよ、互いの腕を認め合っ
てお互いの子供が男と女だったら結婚させようって約束をしてたんだわ。だか
ら結婚しろお前ら」
 言ってることが無茶苦茶である。
「俺の意思完全無視じゃねえか!? ってーか初耳だろが!」
「今話しただろ?」
「考える時間を与えやがれ! もう相手が来るんだろ? どうすりゃいいんだよ」
 同心はカラカラと笑った。
「馬鹿だなーお前。だから結婚しろっつってんじゃん」
「ふ、ふ、ふざけるなー!」
 やべえ。
 こりゃやべえ。
 この親父が絡んだからには、事態は深刻だ。このままいけばほぼ確実にどこ
の誰だかわからない相手と結婚させられちまう。
 ……昨日の彼女じゃないが、なるほど泣くほど辛いのが良く分かったような
気がした。

235:結んで開い手(6/8)
07/03/01 22:21:00 tzIR6XZx
「俺は結婚なんて―」
 なおも抗議しようとする与力を、同心は手で制した。
「おっと静かにしろ。来たみたいだぜ」
「―失礼します」
 静かに、襖が開いた。
『清雨亭』の名が刺繍された黒い作務衣の中年男と、色鮮やかな青い振袖の少
女が正座していた。
 与力の目は少女に釘付けになった。
 濡れ羽色の腰まである長い髪に、どこかおっとりした穏和な顔立ち。
 しかし、今の彼女の顔はやや暗く、俯きがちだった。
「どーだ、美人だろー」
 およそ空気の読めなさは天才的な親父が、与力の脇腹を肘で突付いた。
「す……」
 思わず声が出た。
「住之江……か?」
 その声に、それまで俯いていた少女―住之江美舟(すみのえ みふね)が
ハッと顔を上げた。
「……南森君?」
「「何だ、二人とも既に知り合いだったのか?」」
 両家の親が、息子と娘を見た。
 そして二人も同時に返した。
「「クラスメイト(だよ・です)!」」

236:結んで開い手(7/8)
07/03/01 22:23:03 tzIR6XZx
「南森君、お茶です」
「あーもー……茶番もいーところだ」
 与力はテーブルに突っ伏し、その横に美舟が控える。
 屋上での彼女とのやり取りを思い出すと、与力は今でも顔から火が出そうだ
った。
 茶をすする。
 うまかった。
 ちなみに南森家住之江家両家の父親は、さっさと退席してしまった。
 どちらも仕事が忙しいようだった。
「でも、よかったじゃないですか。両想いで、しかも両親公認です」
「そーかもしれないけどさー」
「それにしても、噂通りのすごいお父様ですね」
「……ああ、確かに、住之江の言ってた通り『強烈な相手のお父様』だよ。あ
れは確かに敵に回すと恐ろしい」
「でも、味方になると」
「やっぱり恐ろしいぞ?」
「そうなんですか?」
 美舟はおかしそうに微笑んだ。
「やっぱ、そっちの方がいいな住之江は」
「え?」

237:結んで開い手(8/8)
07/03/01 22:25:50 tzIR6XZx
「泣いてるのよりは、笑ってる方がいい。可愛い」
 美舟は真っ赤になって顔を俯かせた。
「……ありがとうございます。あの」
「うん?」
「先日の告白ですけど、改めて受け入れさせて頂きます。……喜んで」
「……ども。彼氏彼女を何段かすっ飛ばしたような気もするけどな」
「はい。でも私、南森君なら……」
「与力」
「はい?」
「俺の名前。南森君、だとウチに来た時、変だろ?」
「…………」
「はい、どーぞ」
 赤くなる美舟に、与力はニヤニヤと笑いながら促した。
「よ……」
 美舟が小さな口を開き、それからふと何かを思いついたようだった。
 そして上目遣いに与力を見ながら呼んだ。
「……旦那様」
「……っ!?」
 与力の顔面が、熱で沸騰しそうになった。
 美舟はくす、と小さく笑った。
「これから、末永くお付き合いお願いいたしますね?」
 湯飲み茶碗を持った与力の手に、美舟の手がそっと添えられる。
「ああ……よろしく美舟」
 与力は頷くと、彼女の指に自分の指を絡め返した。
                                     <了>

※223です。という訳で以上、エロなしSSでした。
 家に入ってからどうなるかは不明ですが。

238:名無しさん@ピンキー
07/03/01 22:27:29 NSjNE5O8
これはGJ

239:名無しさん@ピンキー
07/03/01 22:33:34 9cdGPrZL
なんつーか、ベタだがbutそれがいい。
末永く二人で幸せになってしまうがいいさ。

240:名無しさん@ピンキー
07/03/01 22:34:52 HjI1GnvV
お魚氏GJ!!


241:名無しさん@ピンキー
07/03/01 23:16:30 6c4fgy5B
GJ!
次回作にも期待してるぞw

242:201
07/03/02 02:10:38 4qGvHcfy
見事だ、>>223


確かにスレが過疎ってるとこあるな。
ま、どんだけやれるかわからんが、ここにもうpってみるよ。
20レスくらい使うが、勘弁してくれ。


243:201
07/03/02 02:19:49 4qGvHcfy
 6月のある日。緒方 傭司(おがた ようじ)は柄にもなく居残りしていた。といっても、図書室で見つけた本を貸り、教室で
読み耽けっていただけなのだが。
 ふと気が付けば、外は薄暗くなりつつあった。6月。夏至までにはまだしばらく日数があることを考えても、これはそうとうに
遅い時間である。下校時間を割っているのは間違いなかった。
「あん?もうこんな時間か・・・しゃぁねぇ、続きは家で・・・」
 ふと、窓の外に目を向ける。体育館の隣にある武道場の一角が明るかった。
(あー、だれか居残り練習してんのかね?もしかして、なぎなた部とか?)
 なぎなた部、から真っ先に浮かんでくるのはクラスメイトでもあり、憧れの君でもある少女。
(もしかして、居たりして)
 「見学」にでも行ってみようか、と彼がこの時思わなかったら、彼の人生もまた違うものになっていたかもしれない。


 居残り練習でもしているのかと覗いた道場の中は無人だった。天上の蛍光灯が一つ点されている他は部室の灯りがだけが
全てだった。
「なんだよ、誰も居ないのに着けっぱなしか?勿体無いぞ」
 妙なところ几帳面な彼はこういうことが許せない。ブツブツいいながら『なぎなた部部室』とプレートが掲げられた部屋の扉を
無造作に開ける。
 だが、気付くべきだった。何故この引き戸にはめられたガラスが磨りガラスなのか。そして、この高校のなぎなた部は女子
のみだということを。それ故にこの領域に男子が立ち入るのは実に危険極まりないということに。
「点けたら消しなさいよね・・・」
「・・・!!!」
 とスイッチを切ろうとしたとき声にならない悲鳴が聞こえた。ハッとした傭司が声のした方を見るとそこには着替え真っ最中の
少女の姿があった。
 その人物は今まさに胴衣を脱ぎ終えたところらしく、右手で胴衣を抱えている以外は下着のみ。
 少女の名は酒井 紫穂(さかい しほ)。腰まである黒髪の、学内では大和撫子なお嬢様として知られる存在。なぎなた部で、
シンボルの黒髪を束ね、いつものおっとりしたような表女をきりりと引き締めて道場で稽古に励む姿を「見学」する男子生徒は
少なくない。傭司も数回、見に行った事があった。
 そう、彼女こそが、傭司の憧れの君。その彼女が目の前に居る。ただし、あられもない姿で。


244:201
07/03/02 02:21:01 4qGvHcfy
「あ・・・酒井さん?」
「お、お、緒方、くん?」
「どう、したの?こんな遅くまで」
「居残り練習、して・・・たの。緒方くんは?」
「えっ・・・あぁ、図書室から借りた本読んでたら、日が暮れてた・・・」
「そう・・・なんだ」
「うん、そうハハハハ・・・」
「ふふふ・・・」
 やっぱり酒井さんはこんな時でも優雅だよなぁ、と妙な所に感心したとき、彼の脳が現実に立ち返り始めた
「もしかして、着替え中、だった?」
「もしかしなくても、そう・・・なの」
「・・・ごめん。邪魔しちゃったね・・・ごゆっくり」
「えっ・・・ええ・・・ありがと」
「じゃ・・・」
 そのままゆっくりと後ずさり、静かに扉を閉め、そこから離れる。が、一歩進んだだけでヘナヘナとその場にへたり込んでしまう。
(やべーよやべーよ!酒井さんの着替え見ちまったよどーすんだよ。これじゃ犯罪だよ停学もんだよどうする俺?!)
 頭を抱える彼の後ろで閉めた筈の戸がカラカラと開いた。
「緒方くん、まだそこに居るの?」
 びくっとなる傭司。恐る恐る振り向くと、そこには怒っているというよりは困り顔の紫穂のが立っていた。その姿は制服ではなく
慌てて脱いだものを身につけたらしく胴衣と袴姿だったが、その割にはキチンと整っている辺りに彼女の性格と育ちの良さが表れていた。
「えっ・・・あっ、そのごめんというかそんな気は毛頭無くて単に軽はずみ的な行動というかとにかく大変遺憾に思う所存なわけで・・・」
 焦りの余り、意味不明になっている傭司を見て紫穂は可笑しくなった。
「待って、待って。とにかく落ち着いて。ひとまず、中にどうぞ」
 
 招き入れられた室内は板張りの床に長机が二つ。折り畳みのパイプ椅子が四脚。部員が使うであろうロッカーがあるだけの簡素な風景。
 そんな中、向き合って椅子に座っている二人。にこやかな紫穂に対して傭司は冷や汗をかいていた。

245:201
07/03/02 02:21:53 4qGvHcfy
「ねぇ、緒方くん」
「なっ、なんで、ありましょうかっ?!」
「・・・私の着替え、見た?」
「いえっ、滅相もありません。自分は何も見ていません何も知りまっしぇん!」
「見たよね?」
 紫穂が笑みを崩さずに問う。声音も穏やかだ。しかし、それが逆に傭司の恐怖を煽る。
「なっ、何も知らんのでありますっ!」
「見た・・・でしょ?」
 にっこりと微笑み、小首を傾げながらふたたび問う。
「いえだからそれは決して見ようと思ってやったわけではなくて・・・あわわ俺は何を・・・あqwせdrftgyふじこlp;」
 慌てる余り、全く意味不明なことを口走る傭司。
「そっか・・・見られちゃったんだ・・・」
 胸を隠すように肩を抱きながら紫穂は顔を背けるが、チラ、と傭司を見る目が何故か流し目になっていること、その瞳に怪しげな光が
差し始めていることを傭司は知る由もない。
「ごっ、ごめん!!本当に悪気は無かったんだ。だから、この通りっ!勘弁してください!」
 紫穂の前に土下座する傭司。さすがにこれには紫穂が慌てた。
「そんな・・・私、怒ってないよ?ね、だから土下座なんてしないで」
「で、でもなぁ」
「私がいいって言ってるんだから、ほら、椅子に座って」
 そうまで紫穂に言われては仕方がない。傭司は椅子に座り直す。
 それをじっと見つめる紫穂。傭司が座ったのを確認したところで、にこやかに切り出す。


246:名無しさん@ピンキー
07/03/02 02:21:54 cSD5v6/+
>>136

「…っ。ふ、ぁあっ」
「くそ、さすがにきついか」
突然、体の中に違和感を感じた。
何かを無理やりこじ開けるような感覚に全身に力が入る。
保の指が、自分の中に入っているのを、保の指の冷たさで理解する。
「…ぁ、はっ…あ。ぃ…ゃ。。っ、あ、ゃめ…」
あまりの痛みのせいか、拒絶の意思さえ、言葉になりきれない。
歯がガチガチと小刻みに音をたて、いやな汗がふきだしている。
涙さえ浮かべることのできない凛の様子に、保は嘆息する。
これでは、たとえ合意であっても、強姦のようだ。
相手はまだ、幼いといっても構わないほど小柄な少女で、さすがに無理強いは出来ない。
凛に負担をかけないよう、ゆっくりと少しずつ指を引き抜こうとするが、そのたびに、凛の押し殺しきれない悲鳴が部屋に響く。
凛の瞳の焦点がなくなり、虚ろな光を宿しはじめるその様子から、保は凛の体がそろそろ限界に近いことを悟った。
「凛、辛抱しろ」
そう言って、凛の華奢な体をしっかりと抱きかかえると、第二間接まで入っていた人差指を一気に引き抜いた。
「…っきゃぁああぁ…っ!!」
凛の体がビクリと大きく痙攣する。
そしてそのまま、意識を失ってしまった。
「…少しずつ、慣らせていけばいいか」
しかし、ためしに入れてみた人差指にあれだけの反応をするからには、かなりの辛抱が必要そうだ。
指を口に含むと、蜜の甘い香りの中に、微かに鉄の味がした。


早朝。
まどろんだ視界の中に、何か紅いものが映りこんでいるのを保は感じた。
そして、一気に覚醒する。
一つ布団のなか、自分の腕の中に紅い襦袢を纏った凛がいる。
「赤…?」
意識をなくした凛に新しい襦袢を羽織らせたのは、確かに自分だ。
だが、その襦袢は手近にあった自分の物で、色は白だったはずだ。
それなのに、凛は紅い、女性物の襦袢を纏っていて、そして、自分の枕元には、きちんとたたまれた男物の白襦袢。
「凛…?」
呼びかけてみるが、返事はない。
ただただ、健やかな寝息が聞こえるだけだ。
自分で着替えたのか…。
そう思い直して、腕の中の少女を軽く抱きしめると、保はまた、目を閉じた。





3ヶ月も放置していてごめんなさい!
しかも、何だか、保のキャラ変わってる気がするし…。
(もともと、へたれ設定の人だったのは確かなんですが…w)
次回からは、きちんと完結してから載せますね。

ちなみに、凛は自分で襦袢を着替えて、保の襦袢をたたみ、少し考えた後、保の布団(腕の中?)に少し照れながらもぐりこんだという設定です。
この子もキャラが変わってしまいましたねw

247:201
07/03/02 02:23:10 4qGvHcfy
「緒方君、あのね」
「な、何?」
「一つ、お願いあるんだけど」
「どうぞ、何なりと何なりと。俺でできることならなんでもするから」
「そっか、良かった」
 にこりと微笑む紫穂に傭司はドギマギしてしまう。
「あのね、お願いっていうのはね・・・」
「それは・・・」
 勿体を付ける紫穂。傭司は身を乗り出すようにして次の言葉を待つ。
「私と・・・エッチなことしましょ」
「・・・・・・は?」
 予想外というレベルを超越した発言に傭司の脳は完全に凍り付いた。
「今、なんとおっしゃいましたか、酒井さんは」
「だから、私とエッチなことしましょ、って」
「何か今とても不穏当な言葉が聞こえた気がするのですがっ」
「私が、エッチ、なんて言ったらおかしい?」
「いえそれ自体は別に問題ないと思うのですが」
「じゃぁ、いいじゃない。しましょ、エッチを」
「いやだからそれとこれとは別問題なわけで・・・」
 傭司の言葉を断ち切るかのように紫穂がスッと立ち上がった。躊躇う素振りも見せずに袴の帯をしゅるりと解く。
 微かな衣擦れの音と共に袴が足下に広がる。細く、すらりと伸びた白い足が剥き出しになる。
「ぇ・・・・・・・・・」
 傭司の口から喉の奥に貼り付いたような悲鳴が漏れる。それを意に介することなく紫穂は胴衣の合わせを
解き、静かに足下に脱ぎ捨てる。


248:201
07/03/02 02:24:00 4qGvHcfy
 白のブラとショーツに包まれた柔肌が傭司の目の前に晒される。下着の白とコントラストをなす程に白く
透明感の有る肌。腰まで届きそうな漆黒の髪。その強烈なコントラストが傭司の理性を焼き尽くしていく。
「あ・・・ぁあ・・・」
「緒方君、もっと、見て・・・私の体」
 紫穂が一歩近づいてくる。傭司は動くことも、視線を逸らすことすらできなかった。
「私の体・・・綺麗?」
「・・・(コクコク)」
 傭司は視線を逸らすことなく頷く。紫穂の表情は穏やかな笑みを浮かべていた。しかし、その瞳は欲情の光をたたえていた。
 紫穂が傭司の前に立つ。二人の視線が絡む。紫穂はふわり、と傭司に抱きつくと耳元で囁く。甘く、甘く。
「緒方君だから、いいよ」
 その一言が傭司の理性の最後のタガをはじき飛ばす。「緒方君だから」。憧れの君に耳元でそう甘く囁かれては(あまつさえ、
下着姿で抱きつかれて)理性に勝ち目など有ろう筈もない。
 傭司の腕が紫穂の体を抱きしめる。
「・・・私の勝ち、だね」
 その淫蕩な囁きの意味するところを傭司は深く考えなかった。いや、考える余裕が無かった。椅子から腰を上げると紫穂を床に座らせる。
彼女が脱ぎ捨てた胴衣と袴を床に広げるなおし、そこに体を横たえさせる。
「緒方君、優しいね・・・」
 潤んだ瞳でそう言われ、傭司は照れたように一瞬視線を逸らすが、再び視線を自らが組み敷く少女に戻す。
 先程は気付かなかったが、その曲線美が傭司の目を捕らえる。しどけなく広がった黒髪の上の白い肉体。ほっそりとしているようでも、
ガッチリ感を感じさせる肩や腕。キュッとくびれたウェストと対を為すように柔らかく張り出す腰骨と、そこに続く、見た目よりも引き
締まり、力強さに溢れた足のライン。
 そして何よりも彼の目を捕らえて離さないのは、制服や胴衣の上からは想像出来ない豊かさをたたえた胸。着痩せするタイプなのかな、
と思う彼の脳はその柔らかさと丸みを帯びた胸に意識を奪われようとしていた。


249:201
07/03/02 02:24:59 4qGvHcfy
「私だけじゃ嫌・・・緒方君も、脱いで」
 そう言われてハッとする。目の前の彼女は下着姿。対する自分は制服姿(と言ってもYシャツとスラックスのみだが)。
「う、うん・・・ごめん」
 立ち上がると着ている物を脱ぎにかかる。彼女が見ている事は承知だったが、彼女も目の前で脱いで見せた以上逃げる
訳にはいかなかったし、紫穂の表情もそれを望んでいた。ゆったりとした動作で一枚一枚脱いで行く
 傭司もトランクス一枚になる。その股間は既に紫穂に抱きしめられた時から限界まで怒張していた。それを見た紫穂は頬を少し赤らめた。
紫穂が無言で、「来て」と手を広げる。
 ゆっくりとした動作で傭司は紫穂の体に自らの体を重ね、互いの体温を肌で直に感じながら、互いの体をまさぐる。
「これが、緒方君の・・・男の人の体・・・」
「酒井さんの体・・・柔らかくてあったかい・・・」
「お腹に・・・熱くて硬いのが・・・これが、緒方君の・・・オチンチン・・・なんだよ、ね」
 紫穂が途中恥ずかしそうに、小声になった部分について、傭司は敢えて問いたださないことにした。
「うん・・・そう・・・ゴメン」
「やだ・・・謝らなくていいの。こうなってるってことは、私の体に興奮したからだよね?」
「・・・うん」
「嬉しい」
 紫穂が体を、擦りつけてくる。胸の柔らかい感触と滑らかな下腹部が擦れる感触が心地よい信号を脳髄に送り込んでくる。
「ぅふ・・・」
「ふふ・・・気持ちいいんだ?でも、もっと気持ちよくなりましょ」
「う、うん」
「ね、キス、しましょ」
 そう言って紫穂が目を閉じ、唇を少し突き出すようにする。一瞬、躊躇う表情を見せた傭司だが、じっと待つ紫穂の表情に意を決して
顔を近づけていく。
 チュッ、という音が二人の耳には聞こえたような気がしていた。唇を重ねるだけの、初歩のキス。
 ゆっくりと名残惜しむように傭司が顔を離す。紫穂も閉じていた目を開く。見つめあってしまう二人。紫穂がポッと頬を染めるのを見て
(かわいい・・・)
と思わず胸キュン(爆)してしまう傭司。紫穂が微かに口を開く。傭司にはそれが、「もっと、して」と声無き声で紫穂がねだっている
ように思え、もう一度唇を重ねる。
 ついばむようなキスの繰り返し。そしてそれは次第に深いものへと変わっていく。


250:201
07/03/02 02:26:24 4qGvHcfy
 先手を放ったのは紫穂だった。傭司の頭をギュッと押さえ込む。そして彼の唇を吸い上げたり時折唇を舌で撫でたりする。
 傭司も反撃に打って出る。隙を突いて自分の舌を紫穂の唇を間にねじ込む。ピクリ、と紫穂の体が震える。が、直ぐに唇を開き舌を
迎え入れる。傭司の舌が紫穂のそれを突く。最初はためらったように応じていた紫穂もいつしか傭司よりも積極的に求めて動く。
 舌が絡み合う音と荒い息の音だけが静かな室内に響く。たっぷりと互いの舌を舐り合った二人が唇を離す。二人の舌の間には唾液の、
銀色の橋が架かっていた。紫穂が満足そうな、それでいて名残惜しげな表情を浮かべる。
「キスが、こんなにも素敵で気持ちよかったなんて・・・」
「俺も・・・知らなかった」
 そして、二人はまた深いキスを楽しむ。たっぷりと舌を絡め合う。息の続く限り。
「はふ・・・・・」
 息苦しさに耐えかねて紫穂が逃げる。はぁはぁと二人の肺が酸素を求める音が嫌に大きく響く中を無言で見つめ合う。
 傭司が視線を下げる。そこに有るのは紫穂の豊かな胸。少し震える手をそこに伸ばしていく。紫穂はその手に自分の手を添えて自らの
胸に触れさせる。その瞬間、ビクリ、と傭司の体が震える。傭司の手に伝わってくる形容し難い柔らかな感触。その柔らかさに傭司は
どうしたらよいのかわからなくなってしまった。
 フリーズしている傭司に、紫穂は「こうするのよ」というように優しく微笑むと、重ねた傭司の手を使い、ゆっくりと全体を撫で回したり
やわやわと揉みあげたりする。
 それをなぞるようにして傭司の手が自らの意志で動き始める。丸みを味わうように撫で、揉む。
「あ・・・ふ・・・・・・」
 紫穂の口から吐息が漏れ出す。それは肯定を表す吐息。気を良くした傭司はもう片方の乳房にも手を伸ばし、同じように愛し始める。
「んぅ・・・ぁ・・・ぅ・・・・・・」
 傭司の手の動きが次第に大胆になっていく。強弱を付けたり右と左で別の動きをしてみせたり。紫穂の口から漏れる息の熱っぽさが
増していく。


251:201
07/03/02 02:27:19 4qGvHcfy
「ぁん・・・ね、緒方くん・・・直に、直に触って・・・・・・」
 紫穂がねだる。
「う、うん・・・あの、どうやって、外す、の?」
 傭司とて年頃の男であるから女体のことは(それなりに)知識は有るが、流石にブラの外し方までは知ろう筈もない。
「後ろに、ホックが有るから、それ、外して」
 紫穂が背を反らして隙間を作る。
「えっと・・・ここ?」
「そう、それ。それをちょっと引っ張りながら捻って・・・」
「んー、ん・・・んん~??」
 モゾモゾと傭司の手が背中で動き回る感触がくすぐったく、紫穂は笑いを漏らしそうになるのを耐えた。
「あ、外れた・・・かな」
 ホックの外れた感覚が紫穂にもわかった。
「うん。そのまま、脱がせて」
 背を戻しながら紫穂が言う。傭司がゆっくりとブラを持ち上げる。紫穂は素直にその動きに従う。ブラを脇に寄せた傭司が息を呑む。
 柔らかそうな、たわわに実った二つのふくらみ。仰向けになっていてもその形を保つだけの張りのある乳房。その先端で薄紅色した
乳首が微かに震えている。
「綺麗だ・・・・・・」
 無意識のうちに傭司の漏らした感想に、紫穂の頬が赤味を増す。恥じらいに顔を背けるようにしながらも、彼女は視線で先程の
続きをねだる。


252:201
07/03/02 02:28:17 4qGvHcfy
 傭司が再び乳房に手を添えるとゆっくりと動きを再開する。
「ふ・・・・・・くぁ・・・・・・」
 紫穂の声が再び色を帯びる。傭司の指がそろそろとはい上がり、その頂きを優しく撫でる。
「んふぁ!・・・」
 紫穂の体がビクリと震える。
「ゴメン。痛かった?」
 傭司が心配そうにのぞき込む。
「・・・大丈夫。少しびっくりしただけだから。乳首、もっと触って・・・」
「うん」
 傭司の指が乳首をコロコロと転がすように愛撫する。乱暴にならぬよう。慎重に。
「ぁっ・・・ぅん・・・はぁ・・・ぁああ・・・」
 口に手を当てて声を漏らさぬように耐える紫穂だが、送り込まれてくる快楽信号にどうしても声を漏らしてしまう。
 撫で転がされた薄紅色の乳首は緋色に充血し、ピン、と勃起してしまう。
「酒井さん、乳首、立ってる・・・」
「ゃ・・・言わないで」
 傭司に耳元でそう囁かれて紫穂は恥じらいに身を捩る。それが更に傭司の劣情を刺激するとは知らずに。
 乳首と乳房への愛撫を続けながら、傭司は紫穂に口づける。
「ぅ・・・うん・・・むぅ、ん・・・くぅ・・・・・・」
 胸を攻められながら口腔内を蹂躙され、紫穂は身を捩る。
「そんなにされたら、せつないよ・・・」
 キスを中断した紫穂が半分涙目になりながら訴える。
「いいよ・・・もっとせつなくなって・・・」
 傭司はそう囁くと再びキスを仕掛ける。紫穂も吐息を漏らしながらそれを受け止める。
 傭司の右手がゆっくりと、胸から下りていく。脇腹を、ヘソを軽く撫でられ紫穂がくすぐったそうに体を震わせる。


253:201
07/03/02 02:29:15 4qGvHcfy
 そして、その手がヘソを離れ「ある一点」を目指して動いていく。ソロソロと動く手がショーツの端に触れた時、紫穂は気付いた。
「あっ・・・やだ・・・っ!」
 慌てて開き気味の足を閉じようとしたが一瞬早く傭司の手がショーツの中に潜り込んだ。
「は・・・んっ!」
 陰部全体を撫でられた感触にブルッと体が震える。
「ああ・・・凄い・・・」
 十分とは言えないまでもそこはしっとりと濡れていた。その感触と想像すらしなかった熱に傭司は驚く。
「だめっ・・・触っちゃ、だめ・・・」
「でも・・・・・・」
「ぃやぁ・・・ダメ・・・恥ずかしい。こんなになってるなんて」
 紫穂はもぞもぞと腰を動かして逃げようとするが、それはかえって刺激を招くことになってしまった。
「あぁ・・・んん・・・うぅ・・・・・・」
 傭司は紫穂の動きに合わせるようにしてショーツの中で全体を撫でるように手を動かす。
「は・・・ぁ、あぁ・・・やだ・・・動かしちゃダメ・・・」
 そう言いながらも紫穂の腰の動きは止まらない。送り込まれてくる快感に抗うことが出来ない。
「もっと、もっと感じて。いっぱい感じて」
 耳たぶを甘噛みしながら傭司は囁く。
「や・・・こんなにはしたないんじゃ緒方君に嫌われちゃう・・・」
 その本人にこんなことされてるのにそういうこと言うかな、と笑ってしまいそうになるのを堪え、紫穂の耳元に囁く。
「そんなことないよ。こんな酒井さん、俺は大好きだ・・・」
「ふぇ・・・・・・?」
 間の抜けたような反応にまた笑いがこみ上げそうになるのを堪える。
 手を休めて更に囁く。
「こんなふうに乱れる酒井さんも大好きだよ。俺のせいだったら尚更」
 紫穂が驚いたような顔で見る。
「いい、の?こんなに、えっちで乱れちゃうのに・・・いいの?」
「もちろん。俺も凄く興奮するから。ホラ・・・」


254:201
07/03/02 02:30:06 4qGvHcfy
 そう言って傭司は紫穂の手を自分の股間に導く。ペニスはどうしようも無いほどに張りつめている。
 紫穂がビクリと震えて手を離そうとするが傭司は無理矢理に触れさせる。
「酒井さんが可愛くてボクもどうしようもないんだ」
 その熱さと感触が紫穂の打ち砕く。傭司が紫穂の胸に触れた時のように。
「凄い・・・こんな、こんなに凄い・・・私が・・・私、だから?」
 静かに頷く傭司。
「私だからこんなに・・・」
 魅入られたように呟く紫穂。
「だから、いいんだよ。もっと乱れて。一緒に、乱れよう。思い切り」
 甘く、静かな囁き。それは互いの心の枷を解く悪魔の囁き。
「緒方君!」
 紫穂が笑みと共にギュッと傭司を抱きしめる。傭司も左手で紫穂を抱きながら右手を蠢かす。
「あっ・・・はぅ・・・あふ・・・ふぅん」
 単調な動きではあるが、全体を撫で回され紫穂の漏らす喘ぎが甘さを増していく。同時にピチャピチャという音が響いてくる。
「どんどん、溢れてきてるよ・・・」
「ゃぁん・・・言わない、で・・・」
 意地の悪い傭司の言葉に恥じらいながらも先程からずっと手を添えたままだった傭司のペニスをさわさわと撫でる。
「・・・・・・ぅ」
 気持ちよさにビクビクと震えるそれが面白いのか、紫穂の手が少しずつ大胆になってくる。
 傭司は自分の右手を更に蠢かしながら、耐える。しかし、若い、女を知らない牡の体は衝動を抑え切れない。
 紫穂の股間もだいぶ濡れそぼってきた事を確認した傭司が紫穂に聞く。
「酒井さん・・・そろそろ、い、いい?」
「んっ・・・いいよ。きて、来て、緒方君。私の、中に」
 傭司は体を起こすと紫穂の足下の方に回ると、紫穂の腰を覆う白い布に手をかける。そして意を決してそれをゆっくりと引き下ろす。
それに合わせるように紫穂が少し腰を浮かせる。ショーツのクロッチが股間を離れる時、ニチャ、という音が微かに響く。その音に
紫穂は頬を赤らめ、傭司のペニスはビクリと震える。


255:201
07/03/02 02:31:10 4qGvHcfy
 あっけないほどスムースにショーツは足首まで下りてきた。そのまま抜き取り、脇に置く。傭司も膝立ちになりトランクスを脱ぎ捨てる。
 傭司の手が膝に触れる。紫穂は瞬間的に体を強ばらせ、足を閉じる。少し怯えた目を向ける紫穂に傭司は「大丈夫だよ」と優しく微笑み
・・・かけたつもりなのだが実際は彼の顔も緊張で強ばっていた。だが、それがかえって紫穂を安心させる。互いに異性の体は初めてで
あり、緊張と恐怖に震えているのは彼も同じだ、と。
 紫穂の足から力が抜ける。ゆっくりと傭司は足を開かせるとその間に自分の体を滑り込ませる。
 目の前の光景に傭司は息を呑む。和毛の量は控えめながら、髪と同じ漆黒。花びらは十分に濡れ、男を迎え入れる用意を調えている
ように見えた。
 傭司が少し腰を進める。
「・・・ぅわ」
 剥き出しになった傭司のペニスに紫穂が驚く。見事に硬直し、ガチガチに上を向いているそれ。青黒い血管が薄く浮かび、獲物を今か
今かと待ちわびるかのように時折ヒクヒクと揺れ動くそれは紫穂の目には十分以上にグロテスクに映った。
「こ、これが・・・?」
「うん、そうだよ」
「やだ・・・大丈夫かしら・・・」
 不安そうな声を出す紫穂。
「怖い?もう、止めようか・・・」
 身を屈め紫穂に囁く傭司。
「あっ・・・ダメ。止めちゃ、嫌。続けて。私、頑張るから」
 健気に答える紫穂に傭司は今度こそ優しい顔をする。
「優しくするから・・・痛かったら、言ってよ?」
「うん・・・わかった」
「じゃ・・・入れるよ・・・」
「うん・・・来て。私の中に、来て・・・」


256:201
07/03/02 02:32:10 4qGvHcfy
 傭司は頷く。右手でペニスを掴み、紫穂の中心に先端をあてがう。チラ、と紫穂の顔をうかがうと紫穂が頷く。
視線を股間に戻し、再度確認するとグッとペニスを押し込む。
「んくはぁぁぁっ!!」
 その瞬間、眉をゆがめながら苦しげな声を上げる紫穂。一瞬、傭司は躊躇うがそのまま押し進んでいく。途中、プツリ、という
感触が伝わってくる。
「いっ・・・う・・・・・・っ」
 紫穂の顔が更に苦しげに歪むが傭司はそのまま奥まで押し込んだ。
 ぬめる肉壁がペニスを包み込む感触。その熱さと処女故のキツイ締め付けに射精してしまいそうになるのを傭司は必死に堪える。
 紫穂に自分の体重を掛けないように肘を付きながら、
「大丈夫?」
「うん・・・大丈、夫・・・」
 目尻に涙を浮かべた紫穂が精一杯に微笑みながら答える。
「・・・やっぱり、痛かった?」
「ううん、そんなに、痛くなかった・・・。おかしいね。私、変なのかな」
「・・・えっと・・・痛くない人も居るらしいから。別に変じゃない、と思う」
「そっか・・・よかった・・・」
 安堵の表情を浮かべる紫穂。目尻に浮かぶ涙の量が増えていた。傭司は自分でも信じられないくらい自然に、その涙をキスで
拭ってやる。
「緒方君、優しい・・・。抱き締めて。キス、して・・・」
 ぐっと傭司の体を紫穂が抱き寄せる。乳房の柔らかさと乳首のコリコリとした感触が伝わってくる。
 傭司も紫穂の体をきつく抱き締めると、深いキスをする。舌を絡め、互いの唾液を吸い合う。
 満足した二人が唇を離して見つめ合う。
「私たち、一つになったんだね・・・」
「うん。俺達、一つになってるんだよ」
 二人は互いの感覚をそこに集中させる。互いに「中にいる/受け入れている」幸福感が二人の心を麻痺させる。


257:201
07/03/02 02:33:06 4qGvHcfy
 紫穂の中は最初の頃のキツさも和らぎ、ぬめりながらも傭司のペニスにまとわりついている。
「動いても、いい?」
「うん。いいよ。緒方君の好きなように動いていいから」
 少し体を起こしながらゆっくりと腰を引いていく。
「んっ・・・はっ・・・は・・・んん」
 言うとおり、余り痛みを感じてはいなかったのだろう。声には苦しい感じはほとんど無く、甘い物が多く混じっている。
 亀頭の辺りまで引いた所で今度は突きに転じる。ゆっくりと、しかし、途中で止まること無く奥まで一気に。
「あっ・・・んふっ・・・ふっ、う・・・」
 やはり痛みは無いのか先程よりも声の甘さが増している。
「もう少し、早く動くね」
 返事を待たず、傭司がストロークのピッチを少し上げる。
「ん、あっ、はっ・・・はぁん、あ、あ、あ、あ・・・」
 傭司の動きに合わせ、紫穂が甘い声であえぐ。たぷたぷと音を立てて揺れる乳房の頂きで硬くしこった乳首が傭司の胸板を、
時には乳首に擦れ別の快感信号を送り込んでくる。
「はぁっ、あっ・・・ぅん・・・ぅむ・・・む・・・むぅ」
 傭司がキスをすると紫穂も少し息苦しそうながらそれを受け止め、自らの舌を押し込む。
 いつの間にか紫穂の腰もストロークに合わせてゆっくりと動いていた。静かな室内に二人が舌を絡める音と互いの陰部を
打ち付け合う音だけが響く。
「・・・ぷはっ・・・」
 限界まで舌を貪り合った二人の顔は息苦しさで真っ赤になっているが、意に介することもなくまた唇を重ねて貪り合う。
 紫穂の右手がすがるように空を掴む。その意味を理解した傭司は自分の左手を重ねる。指と指が絡み合う。紫穂がギュッと
握ってくる。それを床に押さえつけながら、傭司も握る手に力を込める。


258:201
07/03/02 02:34:01 4qGvHcfy
 傭司のピッチが上がり始める。限界が近づきつつあった。
「うぁ・・・俺、もう、イキそうだ・・・」
「あぁ・・・いい、いいよ・・・ぅふ・・・きて。このまま、きて」
「でっ、でも・・・」
 中に出したらさすがにマズくないか、ということなのだが、紫穂の答えは以外なものだった。
「あっ・・・はふ・・・大丈夫、だから。大丈夫だからこのまま・・・!」
 何がどう大丈夫なのかわからないが、麻痺した傭司の脳は「大丈夫」という言葉だけをきちんと認識した。
「あっ、もう・・・ダメだ・・・」
「き、来て・・・来てぇ!」
 傭司の腰がラストスパートをかける。
「ぅああっ!!」
 ぐっと腰を押し込むと紫穂の一番深い所で勢いよく射精する。
「あっ、あ・・・あああああああっっ!!」
 体の深奥で熱い精液を浴びせられた紫穂は傭司に力いっぱいしがみつきながら絶叫を上げる。同時に紫穂の肉壁も強烈にペニスを
締め上げる。
 ドクドクと、自分でしたときならこれほどまで出ないだろうと思える量の精液が紫穂の中に溢れ出す。脈動に合わせるように紫穂の
肉壁も締め付けと緩めを繰り返す。
 どさり、と傭司は床に広がる紫穂の髪の中に顔を突っ伏した。
 ハァハァという荒い息が部屋の中に響く。
 紫穂の頭を抱き寄せ、傭司は何度も髪を撫でる。紫穂もうっとりとしたようにしがみつき、傭司の胸板に頬ずりする。


259:201
07/03/02 02:35:07 4qGvHcfy
 どのくらいそうしていただろうか。紫穂が抱き締めていた力を緩める。傭司は体をゆっくりと起こすと、紫穂の中からペニスを引き抜く。
コポリ、という微かな音と共に半立ち状態のペニスが抜けた後から、にじみ出すように白濁した粘液があふれ出してくる。
「いっぱい、出たんだね・・・」
「あー・・・いや・・・」
 うっとりと言う紫穂にどう返事をしていいかわからない傭司は自分のズボンからポケットティッシュを出すとそれで溢れ出る粘液を
拭き取る。
「んっ・・・」
 まだ少し敏感な状態な所を擦られて紫穂が体を震わせる。綺麗に拭き終えたのを確かめると、傭司は自分の分にとりかかる。
その様子を体を起こし、横座りした紫穂に不思議そうに、面白そうに眺められ、バツが悪いような気になりながらも黙って作業を続ける。
 奇妙な沈黙が二人の間を流れる。そして、どちらからともなく、背中合わせになり衣服を身につける。
 互いに着替えが終わったことを確認すると振り向き、向かい合う。紫穂は胴衣ではなく制服に着替えていた。まぁ本来は制服に着替え
ようとしていたのだからそれが正解なわけだが。
 見慣れた筈の紫穂の制服姿にもかかわらず、傭司は魅入ってしまう。まだ微かに上気した頬。まだ少し濡れたような唇。確かに今、
ここで互いに快楽を貪り合ったことを示すで有ろう証。
「・・・・・・なぁに?」
「へっ・・・あ、いや、ゴメン。何でもない」
 少し驚いたような紫穂の声に慌てて視線を逸らす。
「わ、もうこんな時間。もう帰りましょ」
 壁に掛けられた時計を見た紫穂が驚いたように呟く。傭司もそれを見て驚いた。結構な時間が経っていたような気がしていたが、実際は
小一時間も経っていなかったことに。それだけ、二人の時間は凝縮されていたということか。
「そうだね。いい加減、帰らないとマズイ」
 カーテンが閉められていたので気付かなかったが、外も夜、と言って良い暗さになっている。
 床に放り出されたままの鞄を拾い上げ、紫穂を促す。
「あ・・・待って」
 戸口に立つ傭司を呼び止める。怪訝そうに振り向く傭司。
「・・・もう一度、抱き締め、て・・・キス、して・・・」
 囁くような声で紫穂がねだる。一瞬躊躇する傭司だが、小首を傾げながらら目を潤ませる紫穂を見て、鞄をそのまま床に落とすと彼女を
きつく抱き締める。そして、見上げる紫穂の唇に自らのそれを寄せていく。紫穂も少し背を伸ばして受け入れる。


260:201
07/03/02 02:36:02 4qGvHcfy
 ついばむようなキスを交わすと、紫穂の頭を傭司の手が優しく撫で、髪を梳いていく。紫穂も傭司も胸の顔を埋めながら、
されるがままになっている。
「酒井さんの髪って、ほんとに綺麗だ・・・」
「ん・・・そうかな・・・?」
「うん。こんなに真っ黒で、ツヤが有ってサラサラだし・・・。手入れとか大変じゃない?」
「うん、結構、大変・・・」
 顔を埋めているのでわからないが、紫穂は照れた表情を浮かべていた。
「そっかぁ・・・でもいいなぁ・・・毎日でもこうしていたひ・・・」
 思わず本音を漏らしてしまう傭司。
「うふふ・・・嬉しい、な・・・」
 その言葉に幸せオーラ全開にしながら更に顔を埋める紫穂。
 しかし、そこで二人の感情は現実に立ち戻る。
「いけね、ホントに帰らないと」
「あ、そうだった。いけない」
 慌てて体を離す二人。傭司は鞄を拾い上げ、紫穂も胴衣を入れたバッグを肩から提げると、慌てて部屋を出る。
「戸締まりは?」
「もう済ませて有ったから。後は電気消して、入り口に鍵かけるだけ」
 紫穂はもう一度室内を見渡して、異常が無いことを確認すると電気を消して、鍵をかける。その間傭司は戸の外で待つ。
「いいわ。さ、帰りましょ」
 紫穂に促され、歩き出す二人。最低限の照明しかない廊下は暗かったが、歩くのに支障を来すほどではない。
 並んで歩く二人。無言のまま。
 紫穂が歩みを止める。傭司も止まる。
「私、職員室に鍵を返して来なきゃいけないから。じゃぁ、また、明日・・・」
 そう言ってスッと離れると、身を翻して駆け出す紫穂。
「えっ?あ・・・うん・・・また」
 呆気にとられた顔で紫穂を見送る傭司。紫穂の姿が見えなくなったとき、彼は何かを思いついたかのように駆け出す。


261:201
07/03/02 02:37:03 4qGvHcfy
 紫穂が校門の所まで来たとき、そこに人影が見えた。その影が「酒井さん」と呼ぶ。
「えっ?緒方君?」
 傭司が立っていた。傍らに彼が通学に使っている自転車が有った。
「暗くなっちゃったから、途中まで送ってくから。乗ってく?」
 そう言って自分の自転車を指す傭司。
「ありがとう・・・でも今日は少し歩きたい気分だから・・・それでもいいなら」
「オーケーオーケー。それじゃバッグ、こっちに」
 籠の中の自分の鞄を寄せると紫穂から受け取ったバッグをそこに入れる。
「よし、じゃぁ、行こう」
「うん・・・」
 並んで歩き出す二人。西の空に微かに夕焼けの残滓を残し、空は宵闇に支配されていた。街灯の明かりが点々と夜道を照らしている。
 言葉無く歩く二人。奇妙な沈黙。
「ごめんね。遠回りさせちゃって」
 紫穂が声をかける。
「全然。2キロかそこらくらいノープロブレム。楽勝楽勝」
「そっか・・・」
 話の接ぎ穂を見つけ出せず、また無言になる二人。
 長い長い沈黙。前を見つめ、無言で歩く紫穂。傭司は気付かれないように顔を覗き見る。端正な横顔には何の感情も現れては
居なかった。
 大通りから脇道に入って5分ほど。住宅街に連なる分岐点で紫穂が足を止める。
「ここでいいわ。ありがとう、緒方くん。送ってくれて」
「大丈夫?」
「平気。ここからなら5分もあれば着くわ。途中にコンビニもあるし」
 場所が場所だけに街灯も多い。余り心配は要らなさそうだった。
「そう?なら、いいけど・・・・・・」
 また沈黙。道の真ん中で俯きながら向かい合う二人の姿は、見ようによっては破局寸前のカップルに見えないこともなかったが。
「・・・じゃ、じゃぁ、また明日、ね」
「うん、また、明日・・・・・・」
 後ろに二、三歩下がった紫穂がクルリと身を翻して駆け出す。その姿が見えなくなってから、傭司は自転車にまたがる。
「えーっと、帰りのルートは・・・」
 ライトを点けると今来た道を戻り始める。


262:201
07/03/02 02:37:59 4qGvHcfy
-その夜。酒井家、浴室。2330時-
「はぁ~」
 湯気の立ちこめる浴室。桧作りの広々とした湯船の中で紫穂がため息をつく。
(どうして、あんなことしちゃったのかな・・・)
 傭司に下着姿を見られたばかりか、彼を誘惑し、セックスに及んでしまった。何故あの時そんなことをしたのか自分でも理解できない。
(・・・・・・嫌われちゃったかな。淫らな女だ、って・・・)
 見上げた灯りがじんわりと涙ににじむ。
 彼女にとって傭司は入学以来、ずっと想い続けてきた存在だった。何が良いのか、と聞かれると答えに困るが、とにかく、傭司を見た時に
紫穂の中に間違いなく「恋」が芽生えたのだ。それ以来、彼女の目は心は傭司ばかりを追うようになっていた。
 しかし、男友達のほとんど居ない彼女はその想いをどう伝えたらよいのかわからなかった。相談出来そうな人間も周りには少ない。
いわんや両親・祖母になぞ言えよう筈がなかった。
 結果、その想いは彼女の中に鬱積ししていくことになった。自分のようなつまらない女など傭司の好みじゃない、とさえ思い込むように
なっていた。そのくせ、自分で慰める時は決まって彼に抱かれる自分を想像していた。
 もう届かないとさえ思えてきたその彼と・・・である。嬉しくない筈はないのだが、本来なら「好きです」という告白以降に起きるべき
出来事の方が先に来てしまった。
(好きです。交際してください、ってなんで言えないのかな・・・)
 後悔ばかりが沸き上がって来る。それを振り払うように今日の出来事を思い浮かべてみる。
(傭司くんとのキス・・・・・・)
 指で唇を撫でる。唇を重ねるどころか、舌まで絡め合った。脳がとろけそうな感覚を思い出し、自らの指をくわえ、傭司の指に見立て
それに自分の舌を絡める。
「んっ、んっ、んっ・・・」
 些か物足りないけど気分くらいは味わえるわね、などと考える一方で、左手が乳房を掴む。
 傭司にされたときの感覚を思い出しながら胸を揉む。同時に人差し指で乳首を転がす。
「あ・・・いいよ、もっと触って・・・あぁ」
 今、自分が傭司にされているのだと想像しながら胸を揉み、口の中で指を舐る紫穂。その脳裏に、帰り道での出来事が浮かんでくる。


263:201
07/03/02 02:39:01 4qGvHcfy
 傭司と別れた帰り道。体の奥をから下りてくるぬるりとした感触に身を震わせた彼女は慌てて道すがらのコンビニのトイレに駆け込んだ。
 鍵を掛け、ショーツを下ろすとぬめる感触と共に股間とクロッチの間で何かが糸を引いた。それを指ですくう。白く、ネバついた物。
(これ・・・もしかして・・・)
 白く、牡の匂いを放つそれは傭司の精液以外有り得なかった。彼と自分が交わった、疑いようのない証。これが愛しい人の体内から
自分のために放たれた物だと思うと、何の嫌悪感も感じなかった。
 紫穂は躊躇うことなく自分の指を口に含み、傭司の残滓を舐め取る。
(んっ・・・これが、傭司くんの味・・・・・・おいしい・・・)
 その後、指と股間とショーツを清めた彼女は何食わぬ顔でトイレを出ると、アリバイのようにペットボトルの緑茶を一本だけ買い、
店を後にしたのだった。

 その事を思い出し、紫穂は体を震わせる。唾液に濡れた右手を湯の中に入れ、ソロリと股間に這わせる。
「んっ・・・」
 少しだけ湯がしみる気がしないでもないが、苦になるような痛みは無い。それでもゆっくりと慎重に膣口を撫でる。
「はぁ・・・あ・・・」
(ここに、傭司くんのが、おちんちんが入ったのね・・・)
 あの灼熱の感触と圧するような存在感を思い出し、紫穂の体の奥が疼く。股間に湯とも唾液とも違う物が溢れ出してくる。
「ふっ・・・ふ・・・ふ・・・」
 股間で蠢く手が激しさを増す。中指を第一関節辺りまで中に入れかき回す。親指でクリトリスを包皮の上から刺激する。
「あっ・・・傭司、くん、もっと、もっとしてぇ・・・」
 今や傭司に愛されているのだという錯覚さえ覚え始めた彼女の手の動きが激しさを増す。
「っ、っ、傭司、くん・・・・・・」
 喘ぎと湯をかき混ぜるパシャパシャという音が響く。既に両親は寝てしまっている。声を聞かれる心配は無いだろうが、それでも彼女は
声を漏らさぬように努力する。
「あ・・・傭司くん、イっ、ちゃう・・・私、イっちゃうよ・・・傭司くん・・・傭司!」
 愛する男の名を呼びながら最後のスパートをかける。
「っ!クぅぅぅぅ!!」
 口元を引き締めながら、ビクビクと体を大きく震わせて達する紫穂。
 静かな浴室に、湯気よりも熱く、荒い紫穂の呼吸音だけが響く。
「傭司、くん・・・」
 今一度、想い人の名を呼んでみる。いつもなら後ろめたさを感じることさえある自慰も、何故か今日ばかりは許されたような気がしていた。


264:201
07/03/02 02:40:00 4qGvHcfy
 一時、呆けたようになっていた紫穂は、湯船を出るとシャワーで体を洗い流す。脱衣所で体を拭き、水色のパジャマに着替え、静かに
部屋に戻る。
「ふぅ・・・」
 部屋の真ん中に敷いた布団の上に座り込み、髪をアップにしていたピンをほどく。彼女の象徴とも言うべき黒髪がふわり、と広がる。
 タオルで髪を挟み、残った水分を丁寧に取り除くと、傷つけぬように静かに櫛を通す。
 その長さ故に手入れは手間がかかっていた。余りの面倒さに短くしようかと思ったことも何度かあったが、結局は長いままを貫き通した。
 今日、傭司の言った事が思い出される。彼は自分の髪を「綺麗だ」と言ってくれた。指で梳きながら「毎日でもこうしたい」
とも言ってくれた。思わず笑みがこぼれる。傭司のこの言葉だけで、今までの苦労も報われるというものだ。そしてこれからも続く苦労も。
 仕上がりに満足した彼女は布団の中に潜り込む。
「明日、どんな顔して会おうかな・・・」
 そんな不安が頭をよぎる。それを押しとどめるかのように自分の肩を抱きながら、彼女は眠りに落ちていった。


265:201
07/03/02 02:40:54 4qGvHcfy
-同日同時刻。緒方家、傭司の自室-
「はぁ~」
 ベッドの中で布団にくるまりながら傭司が盛大にため息をつく。
(ヤバイ、ヤバイよ、マジヤヴァイ。酒井さんとヤっちまったよ~)
 布団の中で頭を抱えながら身もだえする。何せ相手は校内でも五指に入る美人、「酒井紫穂」である。
その彼女の下着姿を(偶発的出来事とはいえ)見てしまったばかりか、彼女に誘われるままにセックスしてしまったのだ。
大問題などというレベルではない。
 校内だし、生で中出しである。大丈夫とは言っていたが本当にそうなのか?もし万が一命中していたら?ごめんなさいでは済ませ
られない話である。何せ自分は高校生の分際。責任の取りようもない。
 それに、紫穂は傭司にとって憧れの君である。それなりに「お嬢様」である彼女は高嶺の花でもあった。気取らない所がある彼女なら
自分が「お嬢様」だなどとは認めたがらないだろうが、彼にとってはそうであった。
(なんですんなり受け入れちまうかな~、俺。でもあんな風に迫られたら断れないよな)
 脳裏にあの時の光景がありありと甦ってくる。紫穂の唇とぬめる舌。透き通る白い肌。柔らかい胸としこった乳首。ペニスを包む肉壁の
感触。夢だったのでは?とさえ思える。しかし、自分の手には紫穂の体の感触が確かに残っていた。
(しかしなー、なんでちゃんと出来るかな。信じらんねー)


266:201
07/03/02 02:42:08 4qGvHcfy
 今日、あの時まで確かに傭司は童貞だった。にも関わらず、紫穂との行為の間中、どうやって愛すべきなのか(完全ではないが)
わかっていた自分が理解できなかった。もしかして変な電波に操られてたとか思いたくなるほどに。
 それでも、自分と紫穂がセックスした事実は無くならない。初めてにしては上等と言えるのかな、アレは、などと一部始終を振り返ると、
ドクン、とペニスが反応し、あっという間に硬くなる。
(ぐあ。なんたる素直さ。さっきあれだけ出したじゃねーかよ!)
 確かに、あの時の量は通常時よりも多かった。1日我慢しただけでも持て余す程出てしまうこともあるが、紫穂とのセックスの時は
それ以上だと言えた。
 傭司の脳裏に紫穂の体が、甘い声がうっとりを自分を見ていた表情が溢れ出す。
(あーもう我慢ならん!)
 股間に手を伸ばし、ペニスを握り、ゆっくりとしごき始める。
 あの時の事を思い出すだけで興奮が高まってゆく。
「く・・・っ・・・・・・紫穂!」
 無意識のうち紫穂の名を叫び、紫穂の中に放った時の感覚を思い出しながら、傭司は射精していた。いつもより射精量が多かった。
今日、既にたっぷり出したにもかかわらず。
「ぐは・・・出し過ぎだぜ、俺。ちったぁ加減しろよ」
 ティッシュで拭い取りながらブツブツと呟く。一通り満足したのか、ペニスは平常サイズに戻っていた。
「現金な奴・・・・・・寝るか」
 トランクスとパジャマのズボンを上げると再び布団にくるまる。
「明日、どんな顔で会えばいーんだ・・・」
 そんなことを考えながらも、彼はいつしか眠りに落ちていた。

第一部 終


267:201
07/03/02 02:46:23 4qGvHcfy
以上、第一部。ホントに20レス以上使っちまった・・・orz
うpってから気付いた誤字等もあったので、その辺り修正してます。
展開が急なのは仕様です。すみません。

二部も書いてます。ただし、和風のテイストほぼ皆無。
更に長くなりそうです。ここにうpするかどうかは、出来具合を見て考えます。
#できなかったらどうしよう


268:名無しさん@ピンキー
07/03/02 02:46:32 K7XUYbaL
乙!
続編もwktkしてまってまつ

269:名無しさん@ピンキー
07/03/02 02:54:43 L4KKAQQV
もし完成したら、封印して公開しないのでない限り、ファイルアップとかややこしいことせずに、今度は最初からここにアップしてくれると嬉しい
>>221->>229みたいな余計なやり取りは、二度はしなくていいと思う

でも、あなたが火付けとなって投下が始まったようで、心の底から感謝


270:名無しさん@ピンキー
07/03/02 18:09:25 OYhPVnv/
Good Kill!!
20レスくらいの投下なら他のスレでもよく見るし、取り立てて問題ないかと。

271:名無しさん@ピンキー
07/03/03 08:03:27 4vdqLK5O
長レスに完全に埋まってる>>246のことも時々でいいので思い出してあげてください
まあ空気は読むべきだったと思うけど正統派和風GJ

272:201 ◆NAIADJsoTc
07/03/03 14:26:04 yvOzB58F
おまいらありが㌧。続きがんがります。

二部はかなり長いっぽいので分割投下を予定(片方エロ無さそうだが)
「和」分が少ないので、それを盛り込んだ派生シナリオでも無いとダメかなと思っている。

>>246
Good Kill!いびつさを感じさせながらも惹かれ合う二人の関係に期待。


273:名無しさん@ピンキー
07/03/04 13:24:21 KcwS2/XG
>>267
>ホントに20レス以上使っちまった・・・orz
気にスンナ
住人にとってちゃんと読める内容ならこの数倍でも文句は出ない

274:名無しさん@ピンキー
07/03/04 17:18:57 /ysaYktr
なんだ、遠慮がちだったからひどいもんかと思ったら素晴らしいじゃないか

275:名無しさん@ピンキー
07/03/05 23:33:30 UTzi3uh+
これはGJですな

276:名無しさん@ピンキー
07/03/10 11:33:51 DB40fmlT
いいね~、GJ!

277:名無しさん@ピンキー
07/03/11 00:45:50 WfPSxi4i
201氏、GJです!
自分も明日、短いですが投下してみようと思います。京都弁の着物美少女で、一応エロ有りのヤツを…。

278:名無しさん@ピンキー
07/03/11 01:09:33 icz68Ky4
>>277
誘い受けうざいっすw
投下したらスレごと潰すよ?
マジでw





















完全制圧完成記念age

279:名無しさん@ピンキー
07/03/11 02:08:36 8ZMRscIz
>>277 楽しみにしてます

280:名無しさん@ピンキー
07/03/11 02:16:50 icz68Ky4
>>277
マジ潰すからなw
具体的にはうんこ改変してホモSSにしたやつをあちこちに貼りまくってやるw
幸い今日は休みなんで一日中監視して相手してやるからw
覚悟しとけよ?
あと投下をずらしても同じこと
自宅と出先の携帯で常にチェックしてるからw

俺と戦争する気があるならどうぞw
荒れるのわかってて投下するやつは荒らしだからな?
いいか?
警告はしたからな?

281:名無しさん@ピンキー
07/03/11 02:16:53 SKmjau5m
京都弁期待

282:名無しさん@ピンキー
07/03/11 02:18:20 icz68Ky4
完全制圧完成記念w
























大勝利確定記念age

283:名無しさん@ピンキー
07/03/11 02:18:23 IzaxNlfy
最近職人が増えてきたみたいだね。
誰か、腰紐使ってエロいの頼む!

284:名無しさん@ピンキー
07/03/11 02:54:24 Tp0BIHUR
>>277
下手に挑発しないで、大人しくしておいた方がいいと思う・・・・

【ゴキブリ】男が女に犯されるやつ10【ホイホイ】
スレリンク(eroparo板)

ブレンパワードのエロノベルで射精したい 2スレ目
スレリンク(eroparo板)

きゃぁ!!何よバカシンジ!!やめ…や…あんっ part7
スレリンク(eva板)l50

メイド服+敬語+地下室でイジメられたい #3
スレリンク(sm板)

これらのスレのようにしたくなければ

285:名無しさん@ピンキー
07/03/11 03:48:58 BAEDF5ie
このスレもようやく、荒らしに目をつけられる程度には活性化してきたか・・・

286:名無しさん@ピンキー
07/03/11 07:49:46 VhDNDOwL
>>277
>>284は無視無視
頑張ってくれ!

287:名無しさん@ピンキー
07/03/11 07:52:08 VhDNDOwL
そうそう、「反応が有る=歓迎されてる」って考えた方が良いよ
本当に「つまらない」と思われたら反応が無くなるから
わざわざ「つまらん」とか言うのは気にするな。荒らしだから

288:名無しさん@ピンキー
07/03/11 08:02:12 VhDNDOwL
>>277
あ、そうだトリップ付けて

何だ俺3連レスかよ

289:名無しさん@ピンキー
07/03/11 09:13:18 NRUXRbCs
なんでこのスレが狙われたのかが分かってきたぞ

290:名無しさん@ピンキー
07/03/11 10:10:45 s1+goMZ5
毎日が日曜日なのか
ニー速みたいな奴だな

291:名無しさん@ピンキー
07/03/11 11:04:25 jH8N2SG/
>>277
早く糞SS投下しろクズw

























糞SSかも~んなw

292:名無しさん@ピンキー
07/03/11 11:50:16 Tp0BIHUR
>>289
ID:WfPSxi4i=ID:VhDNDOwL
で自作自演の可能性高いな
こういうことするから・・・荒らしに目を付けられるんだよ
頼むからスレに迷惑をかけないでくれよな?
お前の駄文なんて誰も読みたくないから


293:名無しさん@ピンキー
07/03/11 12:16:22 VhDNDOwL
>>277
誉めるレスは「自作自演」
自分で「お前のSSは誰も読みたくない」
これ、お決まりの手だからな。気にしない気にしない
ID:icz68Ky4=ID:Tp0BIHUR これは間違いない
>>284の全てのスレでID:Tp0BIHURの書き込みを見た
エロパロ板でSSを投下する事の何が悪いだろうか
ドンドン投下してくれ

>284 :名無しさん@ピンキー :sage :2007/03/11(日) 02:54:24 ID:Tp0BIHUR
>277
>下手に挑発しないで、大人しくしておいた方がいいと思う・・・・
>これらのスレのようにしたくなければ
>92 :名無しさん@ピンキー :sage :2007/03/11(日) 11:50:16 ID:Tp0BIHUR
>ID:WfPSxi4i=ID:VhDNDOwL
>で自作自演の可能性高いな
>こういうことするから・・・荒らしに目を付けられるんだよ
>頼むからスレに迷惑をかけないでくれよな?
>お前の駄文なんて誰も読みたくないから

294:名無しさん@ピンキー
07/03/11 12:21:20 VhDNDOwL
ブレンパワードのエロノベルで射精したい 2スレ目
スレリンク(eroparo板:353番),355,356,361,363,367
これが証拠ね

295:名無しさん@ピンキー
07/03/11 12:23:06 Tp0BIHUR
>>293
せっかく警告してあげてるのにそういう態度とるかなあ
荒らしの手口をわざわざ教えてあげる荒らしがどこにいるよ?
ちなみに自作自演だろうがなんだろうが
荒らしに目を付けられた以上、その警告を無視すれば
廃墟になるまで荒らし尽くされるのは確実だから
上のログ読めばそれくらいわかるだろ?
頼むから賢明な判断をしてもらいたいな・・・
スレの平和を願えばこその言葉だから真摯に受け取ってほしい

296:名無しさん@ピンキー
07/03/11 12:40:33 LGRpQ+L0
>>295
お前が荒らすんだろw

297:名無しさん@ピンキー
07/03/11 12:40:35 VhDNDOwL
>>295
>荒らしの手口をわざわざ教えてあげる荒らしがどこにいるよ?
それがお前の手だからな
作者「SS投下するよ」
お前「投下したら荒らすからw」
お前「ほら作者さん、荒らされるからSS投下しないで」
作者さんがSS投下
住人A「GJ」
住人B「面白いよ」
お前「住人A、Bは作者の自演だからw」
お前「自演するなよ…」
お前「これつまんね…」
お前が荒らす
お前「ほら作者さん、荒らされるからSS投下しないで」
勿論お前は全部ID変えてる。これがお前の手です

>>277は「SSを投下する」というエロパロ板の目的に従った行動をしようとしています
何で「正当な行為」をしちゃいけないんですか?

298:名無しさん@ピンキー
07/03/11 12:44:37 Tp0BIHUR
>>297
やけに荒らしの手口に詳しいな・・・普段自分でやってるからだろ?
どうみても難癖つけまくるお前が荒らしだろ

どうやら荒らしが墓穴を掘ったようです
ID:VhDNDOwL
はNG登録であぼーんしましょう

299:名無しさん@ピンキー
07/03/11 12:54:21 VhDNDOwL
>>298
>やけに荒らしの手口に詳しいな・・・普段自分でやってるからだろ?
>>284見れば一目瞭然ですが
それを言うなら、荒らされたURLをサッと出せるのは何でですか?あなたの巡回先ですか?
>277:名無しさん@ピンキー :sage :2007/03/11(日) 00:45:50 ID:WfPSxi4i
>201氏、GJです!
>自分も明日、短いですが投下してみようと思います。京都弁の着物美少女で、一応エロ有りのヤツを…。
のどこが
>>下手に挑発
なんですか?
>どうみても難癖つけまくるお前が荒らしだろ
俺は「投下して」と言ってます
お前は「荒らされるからSS投下しないで」と言ってます
俺は荒らしの手段に詳しいです
お前は荒らされたスレのURLをサッと出せました
荒らしはどちらかな?簡単な問題ですね

で、次は「荒らしが必死に言い訳してる」ですか?

300:名無しさん@ピンキー
07/03/11 12:55:15 i897UCcR
大勝利確定記念君は元職人。(昔は制圧君と呼ばれていた)
常連以上神未満までいったが書けなくなり、荒らしに転向。
IDをかえることができるのが自慢で、単発IDでひたすら自作自演の荒らしを繰り返す。
自分が書いていたシチュで
自分がかなわない神職人のいるスレを好んで荒らす。

301:名無しさん@ピンキー
07/03/11 12:56:06 gUd2iTNA

>>277は「SSを投下する」というエロパロ板の目的に従った行動をしようとしています
>何で「正当な行為」をしちゃいけないんですか?

荒らしに目を付けられるような痛い行動をするやつが悪いからだろ

だいたい投下したら荒らされるってあんたわかってるじゃん。
荒らされるのを防ぐには投下を自粛するしかない。
これは事実。

302:名無しさん@ピンキー
07/03/11 13:01:07 R+ot5xF6
>301
いいからアンタもなんか和風でエロイの書いてよ。
すべてはそれからだ。

303:名無しさん@ピンキー
07/03/11 13:01:52 VhDNDOwL
>>301
>荒らしに目を付けられるような痛い行動をするやつが悪いからだろ
277 :名無しさん@ピンキー :sage :2007/03/11(日) 00:45:50 ID:WfPSxi4i
201氏、GJです!
自分も明日、短いですが投下してみようと思います。京都弁の着物美少女で、一応エロ有りのヤツを…。
のどこが「荒らしに目を付けられるような痛い行動」なんですか?

>だいたい投下したら荒らされるってあんたわかってるじゃん。
>荒らされるのを防ぐには投下を自粛するしかない。
>これは事実。
悪いのは荒らし。自粛する必要なんか無い
その辺は考え方の違いだな
荒らしは悪い奴。だから無視
荒らされるのは嫌だ。だから荒らしに従おう

304:名無しさん@ピンキー
07/03/11 13:07:49 0d5mChRo
>>303
雑談やSS投下で荒らしを封殺する手口は
過疎スレでは通用しないな
明らかに人員不足だ
勝ち目がない戦いはしないいほうが賢明なのは大人の考え

305:名無しさん@ピンキー
07/03/11 13:17:46 VhDNDOwL
>>304
で、板やスレの趣旨に合ったSSの投下を止めろと

板とスレの趣旨に合ったSSの投下は正義
荒らしは悪
これ以外は言うことありません
まぁここまで言い合ったら、277さんも投下する気が無くなっちゃったかもね
この荒らしの手段はホント有効だわ

306:名無しさん@ピンキー
07/03/11 13:26:26 ya8dVKWe
>>305
別にここだけが投下可能なスレな訳じゃないし
他のスレに投下すればいいだろ
ただリンクはるのはやめろよ?
そこも荒らされるからな?
ここに投下したり、他の場所に投下してリンクを貼ったりしたら
故意に荒らしたと断定するから

307:名無しさん@ピンキー
07/03/11 13:43:34 Tp0BIHUR
>>305

> 板とスレの趣旨に合ったSSの投下は正義
> 荒らしは悪
違うな
あくまで勝者が正義、敗者は悪
荒らしをはね返す力の無い職人は、スレの混乱を招く悪でしかない
結果的に

308:名無しさん@ピンキー
07/03/11 13:53:12 VhoPqmLY
とりあえず>>1を10回読み返す事をお勧めしたいね
で、>>277待ってるから頼みますよ

309:名無しさん@ピンキー
07/03/11 13:56:56 VhDNDOwL
>>306
だからこのスレの趣旨に合ってるだろ。
ID変えて変えて頑張るなぁ…


俺も>>277待ってるよ
荒らしてんのは一人だから気にしないで
待ってる人は何人も居るから

310:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:10:08 BAEDF5ie
なんか馬鹿が暴れてるけど、投下を待つよ、俺は
ID:VhDNDOwLさんは、あんま馬鹿の相手しない方が良いと思う。反応があるとつけ上がるから
荒らしに来たら、報告してアク禁依頼すればいいかと
そのときに荒らしにレスしている人が多いと、削除対象になりにくいっていうから、無視するといいよ

311:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:10:36 a6Y58uIc
糞SSかも~んなw












まだああああああああ???









叩き潰したくてたまんな~いwwwwwwww





糞SSかも~んなw

312:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:19:37 Tp0BIHUR
>>310
> 荒らしに来たら、報告してアク禁依頼すればいいかと
アク禁要請なんてねーよw
現実的に
コピペ大量爆撃くらいしか削除依頼は通りません
ついでに言うとピンク鯖の削除はほとんど機能してないから
会話が成立しているレスについては、アク禁どころかレス削除依頼も通りません
よって荒らしにアク禁依頼するぞという脅しは無意味
馬鹿ですか?
この程度でそんなに簡単にアク禁にできるなら
上記スレが2年にも渡って荒らされつづけるわけないだろ?
もう少し現実を見つめてください
まあここが廃墟になって、住人やほかの職人に迷惑をかけてもかまわないなら別に止めないけどな
間違い無く言えるのは>277が投下した場合
>277だけではなく、ほかの職人も粘着されて被害を受けるのは確実だということ
ここも上記スレのような末路をたどるだろうな
これまでの経験から行って確実に
荒らしは舐めたことをする奴には容赦しないから

313:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:22:39 i897UCcR
春だねえ。

314:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:25:32 CN3VADF3
これまでは荒らされる傾向なんてまったくなかったのに
>>277が来たとたん急に荒れ始めたな
なんなの?

315:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:27:30 VhoPqmLY
>>313
春といえば花見かな
梅はシーズンだし、もうすぐ桜か

…いや、別に青姦話書いてくれってわけじゃないぞ

316:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:30:18 VhDNDOwL
テロリストと同じだな
「言うこと聞かなきゃ酷い目に合わすぞ!」
ID変えて「だから言うこと聞こうよ」

職人さんは気にしないで、バンバン投下してくれ

317:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:31:56 xXCjYPIB
>>314
つーかそもそも>>277自体が、馬鹿を釣るための荒らしの自演の可能性もあるな。

318:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:33:15 SKmjau5m
裸体に桜の花びらが舞い散るシチュか

319:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:34:35 Lx3kHg5k
静留厨はどこにいってもうざいな

320:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:39:03 Tp0BIHUR
>>316
人質無視して突入して多数の死者を出すわけかw
まぁ別に廃墟になる過程をヲチするのもまた一興だしなw
そう言う意味ではガンガン投下すれば?
そう割り切ればある意味楽しみだw
がんばって廃墟にしてくれw

321:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:41:10 w8dvVROj
糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

322:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:42:24 VhoPqmLY
>>318
花と共に散る純潔とかね

323:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:43:15 w8dvVROj

糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

324:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:44:57 w8dvVROj
>>319
まったくですねw
レズ留厨ウザスwwww




















ハイ!糞SSかも~んなw

325:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:48:00 R+ot5xF6
>>315
緋毛氈の赤の上に黒い長い髪がこう扇みたいに散るわけですな。
イイ。美しい。

326:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:50:55 ExYsGcAx
>>325
うんうんそうだねw





糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

327:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:52:15 ExYsGcAx
まだあああああああ?????









糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

328:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:53:20 sBGivnMT
和服で青姦って後が大変そうだな…
着付けとか

329:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:54:32 ExYsGcAx
>>328
うんうん同意












糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

330:名無しさん@ピンキー
07/03/11 14:57:47 IrXRHbKO

まだあああああああ?????









糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

331:名無しさん@ピンキー
07/03/11 15:02:29 R+ot5xF6
>>328
着付けできるからノー問題
つか、むしろいつそうされても大丈夫なようにしっかり学んでいる訳ですよ

332:名無しさん@ピンキー
07/03/11 15:05:28 VhoPqmLY
>>331
座右の銘は「常在戦場」とか

333:名無しさん@ピンキー
07/03/11 15:06:27 kjNW5Q02
>>331

なるほどなるほど












糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

334:名無しさん@ピンキー
07/03/11 15:07:35 eOHzMQQ8
>>332
ほうほうそれで?












糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

335:名無しさん@ピンキー
07/03/11 15:07:57 SKmjau5m
酒飲ませたら性格そのままにエロくなるとか?

336:名無しさん@ピンキー
07/03/11 15:08:48 Tp0BIHUR
面白い流れだw
必死な雑談作戦がどこまで通用するか見守ってるぜ

337:名無しさん@ピンキー
07/03/11 15:09:39 eOHzMQQ8
>>335

うんうん同意












糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

338:名無しさん@ピンキー
07/03/11 15:10:30 eOHzMQQ8


まだあああああああ?????









糞SSかも~んなw























糞SSかも~んなwwww

339:277
07/03/11 15:24:05 x4abnq3p
風華征服を企画。文永十一年四度の国書を無視した風華に対し大軍を派遣した。

「あれが敵か……」
奈月は遥か海を臨んだ。海上には朱塗りの大船が無数に並び、
大小の小船を吐き出している。
奈月はエレメントを握って武者震いした。
奈月は貧乏御家人である。小さな畑に、普段は農耕戦時には槍持ちになる下人が数人いるだけ。
暮らしぶりは貧農とあまり変わらない。是非この戦で手柄を立てて恩賞を受けねばならない。
敵が上陸を始めた。早くも弓矢の撃ち合いが始まり、綿甲に身を包んだ敵が砂浜に上がる。
奈月は敵の直中に一騎駈けをした。
「我こそは玖我の住人、風華一の剛の者、玖我なつ……」
そこまで言いかけて、奈月は派手に落馬する。
初めは何が起こったか分からなかったが、すぐ馬を射殺されたのだと気づいた。
「馬を射るとは卑怯な……」
ぼんやりしている暇はなかった。すぐに敵兵が数人がかりで襲い掛かってきたのだ。
「くっ……」
慌てて敵の槍をよける。だが、槍の穂先は次々と襲い掛かってくる。
周りを視界の端に見れば、同じように一騎駆けしたものが次々と殺されていた。
「あっ……あぐっ!!」
太股に熱い感覚が走る。エレメントを落とした奈月は太股を突かれていた。
転倒した奈月に敵が止めを刺そうと迫る。
(殺される……)
そのとき、矢が飛来した。敵兵がのけぞる。
見れば百騎ばかりの味方が救援に駆けつけていた。
「無事どすか?」
大将らしい紫の鎧に身を包んだ武者が薙刀を持って騎乗していた。
「すまない……礼をいう。貴殿は」
「うちは藤野郷の御家人、藤野静留どす。挨拶は後や」
静留は敵に突っ込んでいった。

340:277
07/03/11 15:25:09 x4abnq3p
結局戦いは風華側の敗北に終わった。
慣れない敵の戦術と弓の射程の差や毒矢、火薬兵器等の武器の差だった。
月杜町は焼き払われ、御家人たちの信仰を集める風華神社も破壊された。
生き残った御家人たちは水城まで下がり、まんじりともせずに夜を明かす。
ところが、夜が明けると、敵の大船は一艘もなく消えてしまっていたのである。
理由については時化の為やられたのだとか、存外に損害が多いので大陸へ撤退したのだとか言われるが、明らかではない。

「なぜだ!?」
奈月はにじり寄って大声を上げた。だが、中年の武士はうるさそうな顔をするだけだ。
「なぜだ、迫水殿。私が一番槍を上げたことは明らかだ。なのになぜ恩賞がもらえない!?」
「証拠がない」
「証拠……証拠ならば藤野郷の静留殿が」
「いずれにせよ、貴殿は命令に背いた。手柄にはならぬ」
それだけ言うと武士はアフロを揺らして帰っていった。
「くっ……」
奈月は佇むしかない。

「奈月」
振り返ると静留がいた。
「藤野殿」
「静留でええよ」
静留は奈月の肩に手を置く。
「手負いまで抱えたのに、残念やったな……」
「手柄を逃したのは残念だ。だが、私の未熟ゆえ。仕方ないさ」
「あんたはあの後、頑張ったやないの」
静留に助けられた後、奈月は負傷した足を引きずりながら戦い、獅子奮迅の働きをした。
だが、所詮負け戦だ。手柄には入れられなかった。
「そう言ってくれると助かる。ああ、足が治り次第修行のやりなおしだな。敵はまたくる。次こそは必ず……」
「奈月はそないに手柄を立てたいの?」
「うちの家は母の代で没落してしまったんだ。私が立て直して母の名誉を回復したい」
「ほうか……」
「世話になったな、静留。また会おう」
奈月は静留に背を向けた。それから七年が経った。

341:277
07/03/11 15:26:54 x4abnq3p
懸案だった南カルデア征服を終えたナギ皇帝は二度目の風華遠征を企図。
全軍を二手に分け前回(約二万五千)を上回る十四万余を送り出した。弘安四年の事である。

だが、阿尓泰側は今回は勝手が違った。
風華側は侵攻を予期して六万余を結集し、沿岸には延々と防塁を築いていた。
その上合流を予定していたカルデア人部隊が大幅に遅れる。
阿尓泰勢は小規模で上陸しては撃退されるを繰り返し、沿岸を西航。
やむなく財前島を制圧して島民を皆殺しにすると、波の穏やかな内海に碇を下ろした。

「ロードシルバーカートリッジ!……てえっ!!」
大筒を抱えた奈月が咆哮する。
砲弾が敵の大船の横っ腹に命中した事を闇の中確認すると、奈月は大筒を捨て小船で敵船にこぎ寄せた。
阿尓泰側は島に拠点を据えながら合流を待ち、防塁のないここから上陸する積もりであったが、
風華武士の猛烈な夜襲に悩まされる事になった。
外洋航海能力のない風華側の小船でも少人数での襲撃には十分で、風華側のゲリラ戦に阿尓泰側は大きな損害を出していた。
阿尓泰勢がアルタイ・レムス・フロリンス等の諸民族の混成軍であった事も統制を悪化させた。
その隙に付け込み、奈月はこの一月十数回に亘って襲撃を繰り返していた。
今夜こそは大将首を上げる。

奈月は敵船に乗り込むと、エレメントで片っ端から敵を打ち倒した。
敵は夜襲にうろたえ、まともに抗戦できない。
手柄を求めて奈月が船内を探すと、ふと幼い少女の悲鳴が聞こえた。

342:277
07/03/11 15:29:16 x4abnq3p
「把手槍?捍下去、別抵抗! 不然我馬上殺害這個孩子!」
振り返ると、将校らしい軍装の男がさらって来たらしい子供の首に刃物を当て叫んでいる。
何を言っているかは聞き取れなかったが、手向かえば子供を殺すという事は明らかだ。
「くっ……卑怯な!」
見ればまだ十歳にもならないような女の子だった。恐怖の余り涙を流している。
奈月は大人しくエレメントを捨てた。
「あうっ!!」
武器を捨てたと見るや、敵兵は近寄ってきて奈月を殴りつけた。
奈月は血を流して倒れる。
『手こずらせやがって!』
将校らしい男が奈月を蹴りながら言う。
『こいつが風華のHimeですか。どうしますか、武田(ウーティエン)隊長』
『決まってるだろ。中々上玉じゃねえか。散々輪姦して……ぐぼ』
皆まで言いきる事なく、武田の言葉は途切れた。
武田の口内からは薙刀の刃が飛び出している。
「まったく、奈月はうちがおらんと駄目なんやさかい」
静留は薙刀を一閃させて敵兵を数人薙ぎ倒した。
「静留!」
「奈月、止めを!」
武田はふらふら歩くと、子供に近寄ろうとしている。
奈月は急いでエレメントを拾い上げると武田を射殺した。
「怪我はないか?」
子供の側に駆け寄る。子供は恐怖で震えていた。
「名前は?」
「亜莉沙」
「そうか亜莉沙、すぐに安全な所に連れ出してやる」
「おと……さ……」
「え?」
「お父さん……お母さん……みんな殺されちゃった……」
「……もう大丈夫だ」
「うわああああああああん」
奈月は亜莉沙を抱きしめた。
この夜奈月と静留は大いに敵を屠り手柄を立てた。

343:277
07/03/11 15:30:47 x4abnq3p
数日後、ようやくカルデア軍十万余が風華沖に到着した。
阿尓泰側の軍船は四千艘を越し、その威容は小さな内海をまさに埋め尽くした。
総勢が揃って上陸戦を開始しようという其の直後、だが、暴風雨が沿岸を襲ったのである。
台風の季節を知らない大陸勢の悲劇であった。
数千艘を数えた軍船はことごとく沈没し、遠征軍は文字通り消滅した。
生き残った敵の一部は大破した船や島にしがみ付いていたが、風華側のHimeに一人残らず討ち取られた。

翌年、水晶宮
馬上豊かに正装した貴人と伴侍の行列の前に、不意に一人の御家人らしい者が飛び出した。
御家人は見るからにみすぼらしい身形である。
「何奴!!」
「申し上げたき儀がございます」
「ええい下郎、この方は執権菊川雪之様ですわよ!! 控えなさい!!」
「遥ちゃん、いいよ。止めて」
棍棒を振り回して御家人を打とうとする伴侍を雪之が制する。
「その方、何の用事ですか?」
「私は玖我の住人、 玖我奈月という者です。私は二度の異国合戦で手柄を立てました。
先の戦いでは総把(中隊長)を一人討ち取りました。
なのに、論功行賞に遺漏があって恩賞を貰えません」
「それは本当ですか……?」
「はい」
胡散臭そうな目で奈月を見る遥とは対照的に、
雪之は思慮深そうな眼差しで奈月を見ている。
「分かりました。再審査させましょう」
奈月は深くこうべを垂れた。

「良かったなあ、奈月」
「ああ、小さな荘園一つと地頭の職を頂いた。これで胸を張って母さんの墓参りに行ける」
奈月は遊びに来た静留を縁側で迎えて一緒にお茶を啜っていた。
今や二人は掛け替えのない戦友になっていた。
「何だかんだ言って、お前には世話になったな。本当にありがとう」
「うちと奈月の仲やろ。水臭い事言いはるな」
静留がお茶をあおる。
「ところで、あの子はどないしたんの?」
「亜莉沙は妹としてうちで育てる事にした」
「……奈月ってそういう趣味があったの? ろりこん?」
「違うっ!! 身寄りがないからしょうがないだろ。それにあいつは歌が上手いんだぞ」
「ほんまか、なら今度聞かせてや」
「ああ」
奈月はにっこり微笑んだ。

344:277
07/03/11 15:33:59 x4abnq3p
崇禎十七年、アルタイ側の崇徳八年、賓都順天府は紅蓮の炎に包まれていた。
正確には広大な内城すべてが燃えていたわけではないが、赤赤と燃える火は天を焦がしていた。
三百年近く続いた真白朝が滅亡した瞬間だった。

風華を統一した強大な専制王朝真白朝は当初強力な統治をこの地のすみずみにまで敷いていたが、
創業百年を越す頃には各面で制度疲労が起こり矛盾が表面化していた。
相次ぐ無能な皇帝の出現や側近の専横、廷臣の派閥争いに加え、周辺民族の侵入が活発化し、
特に北部のアルタイ人は盛んに国境を侵犯した。
軍事費の増大は歯止めのきかない増税につながり、窮乏の極みに立たされた農民は次々と反乱を起こした。
最終的に国政はまったく破綻し、軍衛力は消滅した。
そしてこの日若き王に率いられたアルタイ軍が首都賓都を占領した。

「妹が……亜莉紗が……」
「駄目です、お嬢様。今はお逃げください……」
泣きながら踏みとどまろうとする少女を、男が引きずっていく。
そのまま燃え盛る屋敷を後に騎乗する。少女は何度も振り返るが、馬はそのまま城門を突き抜けていった。

それから五年が経った。

「ロード・シルバーカートリッジ!!……てえっ」
エレメントから弾丸が噴き出して捕り手の一人を倒す。
次も装填するが、刺突のため中断して後退せざるを得なかった。
敵は十数人で槍衾でこちらを壁に追い込んでいる。逃げ道はない。
「くっ……」
「殺すなよ。生かしたまま捕らえろ」
隊長らしき男が命令すると、一気に包囲が狭まった。
どうする事もできない。
まさに取り押さえられようかという時、突然血しぶきが上がった。
「なっ!?」
隊長の首が切断されて地面を転がる。
兵たちが唖然とする中女はあざやかに薙刀を振るった。
また首がいくつか飛ぶ。
「お前は……」
「話は後や」
我に返るとエレメントに次弾を送り込んだ。

「助かった……礼をいう」
あらかた片付けると敵は逃げていった。ものの五分も経っていなかった。
女は何事もなさそうな顔で汗一つかかずにいて、薙刀をしまう。
「お互い様どす」
「貴殿はいったい?」
「うちは紅藤郡の嬉卒兒、字は静留。静留でええよ」
「私は姓は娜、名は都勣、字は奈月だ。ところでなぜ助けてくれた? 分かっていると思うが、私はお尋ね者だぞ」
奈月は疑わしげな目で静留を見つめる。

345:277
07/03/11 15:35:54 x4abnq3p
「お尋ね者やからや」
静留は意味ありげな顔で微笑むと、背中を向けた。
「ついてき」

「ここがうちらのアジトや」
奈月は市外の一軒屋に通されていた。
ごく普通の平屋である。
「……で、私に何の用だ?」
奈月は多少疑わしく思ったが、静留についていく事にしていた。
房間に入り、お茶を出されると座って問いただす。
静留はまっすぐに奈月を見つめて言った。
「あんたは玖我公の娘さんやね?」
「…………」
「それだけやない、連中の官吏を殺害してはる」
「ああ、そうだ」
「うちらは封架幇といいます」
「封架幇?」と聞き返すと、静留はにっこり微笑んだ。
「えびすどもを封架(ふう)じるから封架幇。分かりやすいやろ?」
「胡散臭い連中だな」
「まあ、まだできたてなんやけどね。現在幹部はうちだけや」
静留は奈月をまっすぐに見つめて言う。
「単刀直入にいうけど、あんたにうちらの仲間になって欲しいんや。近く大きな行動を計画しておす。」
「このご時世にか?」
奈月は呆れたように言った。

首都に入ったアルタイ王ナギ・ダイ・アルタイはそのまま賓都順天府で百官の推戴を受けると、
皇帝に即位し、国号も阿尓泰に代わって黒焔とした。黒焔朝の世祖金緑帝である。
真白朝の百官はアルタイ軍が入城すると香を焚き、万歳を唱え、平伏してナギを迎えた。
自縊した皇帝のために死のうとするものは一人もいなかった。ちなみに皇帝は諡号を旦角という。
黒焔軍は退廃した風華人の協力を受けて順調に華南を平定すると、抗戦を薙ぎ倒しついに風華のほぼ全土を掌握する。
各地で抵抗運動も起きていたが、個々の連携が取れず、卵に石をぶつけるように潰されていった。
抵抗は絶望的だった。だが、静留は静かに言う。

「大丈夫どす。うちはこうみえても昔、藤乃衛という所で副指揮使をしてました。
戦の心得もありますし、そのときの縁で仲間は数百人ばかりおります」
「…………」
「娜将軍の遺児がおるということになれば、心強いどす。きっと有志が決起してくれはります。
せやったら先帝の仇も……」
「皇帝は暗愚だ!」
奈月は吐き捨てた。
「敵の流言に惑わされて長城の守将だった母さんを殺した。だから国が滅んだんだ」
「奈月……」
「だが」と奈月は続けた。
「奴らが憎いのは同じだ。正直、逃げ場もなくなっている。協力してもいい」
「おおきに!」

346:277
07/03/11 15:37:55 x4abnq3p
金緑五年、奈月達封架幇は蛋黄醤という寒村で蜂起した。
この事件を記した野史によれば閏六月乙亥の事とあるが、定かではない。
封架軍は付近の窮民や無頼の徒を糾合して数千に膨れ上がると、
県城である月杜を包囲した。月杜は小さな都市であったが、
この地域では唯一の商都であり、またこの国の都市の例に漏れず市壁を持っていた。
普通なら攻略はそう容易ではないが、静留が予め紛れ込ませていた間諜の手引きによって開門されると、
封架軍はなだれを打って城内に突入した。

「武田総兵!」
兵士が泡を食って駆けつけてくる。
「駄目です。賊は既に城内の大半を制圧しています。もうもちません」
「うう、逃げなければ……」
武田は脂汗をかいた。
賊に捕まった場合も勿論、城民に見つけられた場合も非常に不味い。
彼はアルタイ人に媚びへつらい人民を虐待して今の位を手に入れたから、殺されるのは確実である。
「動くな!」
武田が振り返ると奈月がエレメントを構えて立っていた。
「ひええっ!」
轟音が響くと、逃げようとした兵士の一人が撃ち倒される。
武田は剣を抜くと破れかぶれで奈月に斬りかかる。
奈月は素早く照準を合わせるが、不意に後から別の敵に斬りつけられた。
「うっ!!」
慌てて次の斬撃を避ける。幸い傷は浅いがこちらに気を取られてしまう。
「うおおおおおおおおおおおっ!!」
その隙に武田が剣を構え奇声を上げながら突っ込んできた。
「うちの奈月に何さらしますの」
「静留!」
薙刀が一閃すると、武田の首は斬り落とされて地面に転がった。
返す刀でもう一人も仕留める。
「すまない。また助けられた」
「気にしはるな。あんたのエレメントは遠距離戦用やからな」
「それに」と続ける。
「あんたはうちらの大切な大将やさかい」

日が落ちるまでに城内の制圧は完了した。守備兵は殆ど討ち取られるか、城外に脱出した。
奈月達は城民の歓呼の下、穀倉を開いて米を貧民に分け与える。
封架軍は勢いに乗って付近の数県を攻略すると、ようようと月杜に凱旋した。

「奈月?」
静留が本営の置かれている旧役所の一室に入ると、奈月は食事中だった。
「……何食べてはるの?」
「ん、知らないのか? 紅毛人が持って来たまよねーずというものだ。ご飯にかけて食うとうまいんだぞ」
「……それはともかく、お疲れさん。予定通りやね」
「そうだな」
静留は奈月の向かい側に腰を下ろす。
「奈月、ちょっといい?」
「ん?」
「どうして協力してくれたの?」

347:277
07/03/11 15:41:09 x4abnq3p
「変な事を聞くな。お前が誘ったからだろ?」
「そうやけど……」
静留は言い淀む。
「奈月は先帝に忠義を立てる義理はないんやろ。陛下はむしろお母はんの仇やったしな。
やったら何でアルタイに刃向こうたん? 風華人として夷狄に仕えるのが嫌やったん? 捕まれば処刑されるんは確実やのに」
「……私にはな、妹がいたんだ」
奈月が語り始める。
「歌が上手な子でな。いつもお姉ちゃん、お姉ちゃんとなついてくれたよ。
父親違いの子だったし、その当時はあまり好きじゃなかったんだがな」
「…………」
「アルタイ人が放った火の中で、逃げ遅れて炎に包まれるあの子を見て、初めて私はあの子が掛け替えのない存在だったと気づいた」
静留は黙って聞いている。
「逃げ延びた私を育ててくれたのは家宰の山田だったが、彼も私が十四のときにアルタイ旗人に殺された。
……今でもあの子の最後が目に浮かぶよ。悔しかった。あの日から、私は復讐だけを目的に生きてきたんだ」
「奈月……」
「つまらない話をしたな。もう寝よう。お前も帰れ。私達はのんびりしている暇はないんだ」
立ち上がり、寝室に入ろうとする奈月を静留が抱きしめていた。
「な、なにを!?」
奈月は暴れて振り払おうとするが、静留は離さない。
「泣いてもええんよ……」
静留はささやいた。
「心の中で泣いとるのに、無理に笑う必要ない。そうやろ?」
「…………」
静留は無言で奈月を抱きしめている。
そっとその髪を撫でると、奈月はかすかに震えた。
「静……留……」
やがて奈月は静留の腕の中で嗚咽していた。

二月が経った。

当初の予定では、この地に割拠し、蜂起に呼応する反アルタイ勢力の救援を待つ予定であった。
だが、彼女らの当ては裏切られる事になる。
まず、アルタイ側が予想より早く動いた。
ただの地方反乱なら今までも起きていたが、その首領が玖我公娜冴子の遺児となると勝手が違った。
娜将軍はアルタイに寝返った平西王珠遥などと違って、風華の民族的英雄である。
反乱が波及する事をまず防がねばならない。
それに民衆の参加が思った以上に少なかったのが痛手だった。
真白朝は末期には悪官汚吏がのさばって苛政を敷いていた。人民の怨嗟は深い。
それに対しナギ皇帝のアルタイは風華に入るやすぐに減税を実施したのでこれを評価するむきもあった。
月杜は間もなくアルタイの大軍に包囲された。

348:277
07/03/11 15:43:17 x4abnq3p
「あれは阿尓泰正白旗……」
奈月は包囲軍を望見して呟いた。
「叡親王セルゲイの親衛軍だ。あんなものまで出てくるとは、奴ら本気らしいな……」
「奈月」
静留が側に進み寄る。
「兵隊たちが動揺しておす。今は軍規を正してますが、このままではいずれ脱走が……」
「所詮烏合の衆だからな……」
封架軍は静留の旧部下を除くと食い詰め者の集まりだった。
勝っている裡はいいが、一度負け出すとすぐに崩れる。
「……どうやらここまでらしいな」
奈月はふと笑った。死を覚悟した笑いだった。
「奈月、逃げまひょう!」
静留は必死で奈月を諌める。
「諦めるのははよおす。夜の内に斬り切り込んで包囲を破りますさかい、奈月はその隙に……」
「何を言ってますの、姐姐」
城壁の上に一人青髪の少女が登って来ていた。
「巴……」
「姐姐が犠牲になる必要がどこにあるんです? 私達だけでとっとと逃げましょう。
なに、何度でも再起できますよ。当初の予定では……」
「巴!」
静留がきつく巴を睨んで制止するが、已に遅かった。
「……お前は静留の部下だったな。どういう事だ?」
奈月に問われると、巴は意地の悪い笑みを浮かべる。
「まぁだ分からないんですか? あなたは利用されていただけなんですよ。
姐姐が藤乃衛の副指揮使だったなんて真っ赤な嘘です。本当は私達は前王朝の錦衣衛(秘密警察)の者だったんですよ」
「な……に……?」
静留が無言で震えた。
短く漏らす奈月の前で巴は続ける。
「前王朝の寄生虫である私達は何としてでも真白を再興したい。そのために利用できるものは何でも利用する計画でした。
そこで娜将軍の遺児を祭り上げて、反乱の傀儡にするという積もりでしたわ♪ まあ、失敗した以上、逃げればいいんですけどね。
そのための傀儡ですもの。いや、それよりこいつの首を差し出して降伏すれば……」
そこまでで巴の言葉は途切れた。
びゅと巴の首を飛ばすと、静留は薙刀をしまう。
「奈月……」
静留は奈月に触れようとするが、手を弾かれた。
「触るな」
奈月の目はどこまでも冷たかった。
「う、うちは……」
「ようやくと、思ったんだ」
「…………」
「ようやく、信じられるひとができたと思った」
「う、うちは……うちは……」
泣き出す静留を背に、だが奈月は城内に去っていった。

総攻撃が始まった。


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