かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その12】at EROPARO
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その12】 - 暇つぶし2ch23:幽霊の恋捜し 1/12
06/12/03 23:00:28 nLepI2ZZ


 ―まだ、死にたくなんて無かった。
 やり残した事、並べれば掃いて捨てるほど。
 やりたい事、考えればそれこそ海の水の分子よりも多く。
 でも……本当にやりたい事、やり残した事は一つだけ。
 それは―



 交差点の信号が赤から青に変わり、待っていた色とりどりの車が走り出す。
「……」
 運悪く信号の変わり目に横断歩道の前に辿りついた俺は、黄色い歩行信号のボタンを押して変わるのを待つ。
 しかし……長い。
「あっつぅ」
 上を見れば太陽がちょうど真上。
 時間にして昼前だが、この暑さの所為か斜め向かいの所に見覚えのある制服を着た女の子が一人いるだけだ。
 ……って、夏休みだったか。
「このまま突っ切るか?」
 車が常時行きかう二車線の道路を突っ切ろうと考えるほど暑い上に長い。
 無論、そんな事をすれば回りにふわふわ浮いてる"ヤツラ"の仲間入りを果たす事になるだろうから、真っ平ごめんだが。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……」
 退屈しのぎに"ヤツラ"を数える。
 ……総計27体。こういう交差点としてはかなり大目。
 大抵は、遺族などが供養するためこういった交差点では"ヤツラ"は成仏して少ない。
 と、信号が黄色に変わったのか車の流れが途端に緩やかになる。
「やっとでか……」
 歩行者用信号機から流れるメロディを聞きながら白い白線の上をゆっくりと歩く。
「―っ」
 それがよほど気に触ったのか"ヤツラ"が猛然と俺へと突っ込んでくる。
 これも仕事……面倒極まりないが。
『祓い、清めたえ』
 刀を抜くわけでも札を使うわけでもない。
 俺は一言、そう呟くだけで"ヤツラ"を掻き消す。
 本当は、話を聞いてやったりしてやるべきだが雑霊程度はこれで十分。この程度が相手なら苦労が跳ね上がるだけで手間が
かかって仕方ない
「ん」
 俺が渡り終える頃にはさっきまで居た霊達は消えて、霊感のある人間にもただの青い空しか見えないことだろう。否、そのはずだった―

24:幽霊の恋捜し 2/12
06/12/03 23:01:00 nLepI2ZZ
「……!?」
 唐突に聞こえたのは車が、なにか柔らかいモノにぶつかる音とその直後に何かが地面に落ちる湿った音。
 そちらを見てみれば、さっきまで信号待ちをしていたはずの女の子がぐったりと倒れている。
「―って、おいっ!」
 当然、轢いたと思わしき赤い乗用車の運転手がその子を介抱したり、救急車を呼ぶべきなのだろうがあろうことか猛スピードで
走り去った。
「ちっ」
 ごとん、と動かない人間を踏んで。
「―事故と事件の半々です。女の子が轢き逃げされました。救急車を―」
 ポケットから携帯を取り出し、119番へと掛けてこの場所へ来るように手早く言うとさっさと切る。
 俺が通報して間に他の運転手達が彼女を歩道へ寄せてなにやら介抱をしているが、おそらくはもうダメだろう。
 なぜなら―
「……」
 俺の横に彼女が浮いていたから。
 何処も見ていないような目でぼぉっとしたまま浮いて動かない。
 ……綺麗に整った横顔も背中の中ごろまで伸びた艶やかな髪も既に半透明。この状態を―幽霊という。
「くそっ、来いっ!」
「ぁ……!」
 こうなったのも俺の責任。
 俺がもっと、早く"ヤツラ"を祓っていれば。
 俺がもっと、上手に"ヤツラ"を祓っていれば。
 俺がもっと―!
 ……だから、この幽霊少女の手を強引に引っ張り、近くの公園へと連れてくる。
「?」
 言い方は悪いがこいつはいわば「死にたてほやほや」
 上手くすれば、このままこの世に恨み辛みを抱かずそのまま……逝ける。
「名前は?」
「……名城、雪」
「そっか」
 人間で言えば赤ん坊と同じ。殆ど幽霊としても白紙だ。
 だからこうやって素直に答えてくれる。
「お前の未練は、なんだ?」
 幽霊は総じて未練を持つ。
 でなければ、辛いこの世には居ない。
「みんなと、学園祭、したかった……」
「……違うだろ?」
 幽霊がこの世にとどまればとどまるほど未練は募る。
 それは、家族の安否とか、物欲などであるが、真なる未練はもっとエゴに凝り固まっている。
 こいつのは、まだ柔らか過ぎる。


25:幽霊の恋捜し 3/12
06/12/03 23:01:34 nLepI2ZZ

「お前は、何をしたかった?」
「私は……」
 死んでいきなりにこういう事聞くのは酷なのは自分でも分かっている……けれど、せめてこいつには
幽霊の苦しみが分かる前に逝ってもらいたい。
「私は……!」
 がたがたと、周りのベンチが地震でもないのに微動し、音が鳴る。
 それだけじゃなくて、周りの木も風もないのにゆれ始める。
「私は―っ!!」
 近くに居た俺さえも軽く吹き飛ばす圧力―いわゆる、騒乱現象《ポルターガイスト》。
「ちっ!……『祓い、清めたまえ』」
 俺は舌打ちの後、簡単な祝詞を唱えてポルターガイストを引き起こしている幽霊少女へ近づき、
「……あ」
 軽く抱いてやる。
 頭を軽く撫でるオマケ付きで、だ。
「落ち着け、何も怖い事は無い。……俺が送ってやるから」
「……くっ、は……すん……」
 彼女は顔を俺の胸板に押し付け、泣いたような声を上げる。
 ……何も知らないまま、逝かせる事はもう不可能。できるのは未練の解決か、強制かの二択だ。
「私は、ぐす……恋が、したかったです……っ」
「……そうか、そうだよな……」
 この位の年頃になれば、当然ともいえる望み。
 いささか綺麗過ぎる気もするが、彼女の言霊は本気であると告げている。
「名前……」
「ん?」
 そう何分か泣いていたかと思うと、顔を上げてそんな事を訊いて来る。
「もしかして、俺のか?」
「はい……私は言いましたけど、貴方のは聞いてません」
 そういえばそうか。
「俺は、四倉……冬麻だ」
 何がうれしいのか、俺の名前を聞いた途端、顔を綻ばせる彼女。
 俺はこんな子を殺して、しまったのか……拝み屋、失格だな……。
「……」
 空は相変わらず蒼いまま。
 けれど、少し泣いているように見えるのは……考えすぎだろうか?





26:幽霊の恋捜し 4/12
06/12/03 23:02:05 nLepI2ZZ



「と、とととトーマさんっ!」
「雪ちゃん、落ち着け」
 そんなこんなで2ヶ月。
 ナンバーを覚えていたヤツの協力により、轢き逃げした野郎は捕まり只今裁判中。……ではあるが、実は轢き逃げから逃げる途中で
雪ちゃんを轢いたのだからやるせない。
 これでは免許取り消しの上に、懲役刑は免れまい。
「ん……上手になったじゃないか」
「えへへへ」
 鍋からお玉で一口分味噌汁を取って吸うと、ちょうどいい感じの塩味がする。
 最初は下手だったが、流石は死んでも女の子。凄い勢いで上達し、今では自炊をしまくっていた俺よりも上手だ。
「それじゃ、用意しますね」
 そう言うと彼女半透明な腕を使い、味噌汁を食器へと注ぐ。
 何の因果か、この雪ちゃんはポルターガイストを精密に使えるらしくこういった事が得意らしい。
 生前には開花しなかった才能……といえば聞こえはいいがこんな能力、幽霊にでもならなければ意味が無い。
「はい、どうぞー」
 ニコニコと半透明の手で白いご飯がこんもりと入ったお茶碗や、味噌汁の入った食器をちゃぶ台へ並べていく。
 その手際は最初に比べると格段に早い。
「いただきますっ」
 両手を合わせ、最初はご飯から手を付ける……うん、炊飯器もちゃんと使えるな。
「……♪」
 尻尾があったら千切れんばかりに振るような人懐っこい笑顔で、俺の食べる様を見ている雪ちゃん。
 前に「なんでそんなに嬉しいんだ?」と聞いたら「男の人に私のを食べて貰ってるから」と聞き様によっては非常にマズイ
答え方をされたが、要は人の助けになる事が嬉しいらしい。
「ん……ご馳走様でした」
「お粗末様ですっ」
 そう雪ちゃんが言うは、かちゃかちゃと力で食器を重ねてシンクへ持っていく。
 他人から見ると、食器だけが宙に浮いてるだけに見えることだろう。
「それじゃ、学校行くけど雪ちゃんも来る?」
「えーと、行きますから待ってくださいー」
 何の因果か、クラスと学年こそ違うが彼女と俺は同じ学校であり、彼女の"恋"の相手を探すことになる。
 生前は、気立てのいいちょっとドジな子だったらしいがそこそこモテたようだが、彼女自身あまり相手にしていなかったらしい。
 それでなんで『恋をしたかったのか』なのかは全く分からないが。
 と、水の流れる音が止まると同時に、制服の上に着ていたエプロンを脱ぎ捨てる……落ちたエプロンが消えるのはご愛嬌。
「ほら、置いて行くよ」
 自転車通学の身としては出来るだけ余裕のある時間であちらに付きたい。
「ち、ちょっとぐらい待ってくだ……ぐゅにゅっ!」
 ……そう思って急がせると後ろから変なうめき声が聞こえる。

27:幽霊の恋捜し 5/12
06/12/03 23:02:37 nLepI2ZZ
「またか、雪ちゃん?」
「ご、ごめんなさい……」
 拝み屋の宿命としてこのアパートの部屋には霊的加護をある程度持たせているし、そういった物品がおいてある。
 そして幽霊は壁だろうが地面だろうが通り抜けて進むことが出来るが、その例外が、霊的加護の掛かっている物品である。
 つまるところ……幽霊がコケた、ということだろう。
 まぁ、俺が整理してない所為な訳だが。
「ほら、急ぐぞ」
 正直一秒一分も惜しいから転んだままの雪ちゃんをずるずる引っ張る。
「うわ、ぎゃ! どぁ!? た、立ちますから! ぶぅ?! 手を離してください~!!」
「……そうか?」
 この前は立ち上がった瞬間、棚の中にあった符をポルターガイストで引っ張ってノックアウトされたばかりだというのに元気な事だ。
「ほらっ、立てました!」
「……立って当然だと思うぞ? ほれ行くぞ」
「あーん、トーマさんが優しくないー」
 そんな風にゴタゴタしながら、アパートを出て、
「えっと、私が鍵掛けますから先に自転車だしてくださいー」
「ん、分かった」
 最近雪ちゃんは習得したばかりのサムターン回しの完成度を上げるのがご執心らしく、毎朝これだ。
 ……金に困ったらやってもらうか? って、それは犯罪か。
「トーマさん、終わりましたー」
「早いな、いつもは五分くらい掛かるのに」
 だからこうやって急いでる訳だが。
「へへ、今日は一発です」
「……ん、良くやった良くやった」
 頭を撫でて! 撫でて! とばかりに俺の前に頭を突き出されたので、髪がくしゃくしゃになるくらい思いっきり撫でてやる。
「はふぅ~~♪」
 このまま成仏しかねないほど、ふやけた表情でそれを享受する雪ちゃん。
 やっぱり変わってるな。
「……さて、行くぞ」
「あ、はいっ!」
 俺は自転車に跨り、
『祓い、清めたまえ』
 祝詞ので自転車の穢れを祓う。
 本来なら必要の無い作業ではあるが、これにはちゃんと理由がある。
「ん、いいぞ」
「おじゃましまーす」
 そう雪ちゃんが言うと、自転車の荷台へふわりと腰掛ける。
 彼女に「恋するなら人らしく」と言われて、"人らしく"の一環としてこうやって通学している。
 別に重さがある訳でもないので楽なのだが……

28:幽霊の恋捜し 6/12
06/12/03 23:03:21 nLepI2ZZ
「もうちょっと、離れてくれないか?」
「えー」
 二人乗りの基本として、後ろに乗る側は当然、前にしがみ付く体勢になる。
 それを雪ちゃんは、ぎゅぅとぬいぐるみか何かのように俺に抱きつく。それだけならまだしも、背中にふっくらとした物が
押し付けられるのだからたまらない。
 それを止めさせようといつも言っているのだが、こうして不平そうな声を上げて離れる事が朝の日課だ。
「行くぞっ」
 本当は一人だけなのに、思わず思いっきり力を込めてペダルを踏むと、結構な速さで自転車は走り出す。
 流石に10月、そろそろ寒くなってくる。
「今日は……そっちの教室行けませんか?」
「ダメ。『人らしく』って行ったのは君だろ? 授業はちゃんと受ける」
「……はぁい」
 元気のない返事と共に腰に回された腕の力が少しだけ強くなる。
 幽霊は霊感のない人間には見えない訳ではない。
 一応見る為の手段は無きにしもあらずで、幽霊と本人のどちらも強く思えば見る事が出来る。
 流石に見えない彼女をそこまで持っていくには、凄まじい苦労が必要だがその為の俺だ。
 部屋にある物品のいくつかを使えば、一時的に現実の物へと変化させる事が可能であり、その事はちゃんと伝えている。
「あの……もしかして私は、お邪魔ですか?」
 例の交差点を通り過ぎ、学校まであと十数分の距離になって雪ちゃんが、突然そんな事を言い出す。
 三日にいっぺんにある問いで、答えは当然決まっている。
「邪魔なら、即刻祓ってる」
「……もうちょっと違う答えが欲しいです」
 今日はいつにもましてワガママな日らしい。
「邪魔なら……飯炊いてもらったり、弁当作ってもらってない」
「あ……」
 ちょっとだけ驚いた声が風に流れる。
 それに満足しながら俺は続ける。
「だから、自信もって『恋』をしろ。ただ暇だからそんな事をしていた訳じゃないだろ? 好きな奴に食べてもらいたいから
こうやって勉強して練習したんだろ?」
「……はい」
 薄々と感じていたが、そういう理由だったのか。
 こういうところでしおらしいというかなんというか。
「だから、早く相手を見つけてその腕を振るってやれ」
「あ……はいっ!」
「いい返事だ―飛ばすぞ!」
 時計を見れば既に時間ギリギリ。
 話しながらだったもので思わず減速してしまった。
「あは、いい人探しますからもっと早く走ってくださいな。トーマさん♪」
「へいへいっ!」
 学校に近づくごとに、冬服に身を包んだ生徒がどんどん増えていく。
 俺ももちろんその一人だが……雪ちゃんだけは夏に死んだから夏服。
 本人でもないのに、それが何故か……無性に寂しかった。





29:幽霊の恋捜し 7/12
06/12/03 23:03:53 nLepI2ZZ



「……! ……っ」
 聞く気のない英語が、私の右耳から左耳へ抜ける。
 既に二学期が始まって、学園祭を前にした妙な静けさや熱気で私からはみんながそわそわしているように見える。
「むー、つまんない」
 もともと苦手な英語だからやる気も少ない身としては正直聞いてたくないけど、仕方なく教室の後ろのカバン置き場に腰掛けて
授業を受けている私こと名城 雪。
 まぁ、こうなってしまった以上、勉強なんて意味無いけど。
「……」
 今朝、トーマさんの教室に行きたいと言われたら断られてしまったがそれにはちゃんと意味がある。
 実は昨日、席替えがあって、死んでしまった私の席はもう無い。
 本当はこの学級が卒業するまで置いておくつもりだったらしいけど、私の席に置いてあった花を見るたびに泣き出してしまう子が
続出して無くす事になったらしい。
 ……泣いてもらうのはありがたい事だけど、こうやって席が追い出されるととてつもなく寂しい。
「りっちゃん……こっち向いてよ……」
 一番の親友に近づいて声を掛けても、先生の書いた英文を一生懸命ノートへ書き写すだけ。
「ゆめちゃん……私、ここにいるよ?」
 小学校からの腐れ縁の友達に呼びかけても、彼女はシャーペン回しを止めない。
「先生っ!」
 退屈で居眠りしてしまった時に、教科書の端で叩かれ「寝過ぎはバカになるぞ」と言ってくれた先生は、私の声を無視して
板書を続ける。
 ……周りを見れば長袖の冬服で、私は、半袖の夏服。
 もう、この教室では過去の存在な私の居場所は、彼女達の記憶の中にしかない。
 それがとても寂しいと思う反面、ありがたく思っている自分が居るのも確か。
 「死んだ人間が生きた人間を縛っちゃいけない」とはトーマさんの台詞だけど、今になってその意味が良く分かる。
 もし、りっちゃんが私が死んだ事で引き篭もりになったら未練は一つ増えるだろうし、ゆめちゃんが元気なくなれば私だって苦しい。
 だから、幽霊は普通の人に見えないのかもしれない……でも私の未練を考えれば難しい事極まりない。
 そもそも『恋』の定義すら難しいのに、私はしてみたいと言ったらしい……その辺の記憶は曖昧で覚えていないけど。
 その前代未聞の未練解消の方法としてトーマさんが考えたのは、私を学校へと連れて行くこと。
 トーマさん曰く、私に「恋」をして会いたいと本気で願っている人がいれば私の姿が見えるらしいので、学校でその相手を
探すというある意味雲を掴む様な方法だ……結局誰も居ないみたいだけど。
「はぁ……」
 大きな溜息をつくと、気まで抜けてくる。
 大体、相手から見えないのに「恋をしろ、恋をしろ」と言ってくるトーマさんもちょっと問題アリだと思う……もしかして
私って魅力がないのだろうか?
 (私が見えているのは、トーマさんだけ)
 それが分かっていないのか、見合いを勧めてくる仲人さんのようにしつこく言ってくる姿は鈍感というかなんというか。

30:幽霊の恋捜し 8/12
06/12/03 23:04:26 nLepI2ZZ
「ん……」
 この教室がとても寒くて、教室の天井を越えて真上の教室へ上る。
 配水管とかがある層を超えるとそこは三年生の教室。しかもトーマさんのいる所だ。
「あは、名城 雪、さんじょー♪」
 と、元気に声を上げてみるが、珍しくトーマさんの反応がない。
 あれれ? と思って窓際の一番後ろの席を見てみると、体を傾けてぐっすりとお休み中。黒板は……古文かな。確かに
つまらない授業なのは同意だけど、私だけ授業を受けろって言うのはヒドイと思う。・
 ……いつも私が先に寝てしまうから、寝顔なんてものは見た事無かったけど、これはこれでラッキーかな?
「う、んん……」
 寝苦しそうに頭の場所をずらして、また熟睡モードに入るトーマさん。
 起きてる時は目つきが凄く悪いけど、こうやって寝ていると日向で寝ている子猫のような顔をしていてちょっと可愛い。
 ……ここで起こすと勉強しろ! と怒られるので大人しくこのままで居ようかな?
 それにしても今朝のトーマさんはかなり優しかった。
 鍵掛けが一発で成功して撫でてもらいたいなぁと思ったら本当に撫でてもらえるし、いつもと違う答えが欲しいなぁと思っ
たらちゃんと考えて出してくれた。
 その上、寝顔まで見れたのだからもう一つくらい出来そうな気がする。
「っっ、く、ト、トーマさぁ、ん」
 思わず彼の机にすがり付いて泣いてしまう私。
 もしかしたらこの調子で誰かに見つけてもらえるかもしれない……一瞬そう思ったけどそれはさっき痛いほど無理だと思い知らされた。
 私が8月の初めに死んで、二ヶ月。
 家族は泣いているけど一生懸命生きていて。
 友達は、涙を堪えて勉強して。
 先生達は、生徒が泣かないように我慢して。
 そうなったらもう、私がここに居るなんていうのは害悪でしかない。だから私は―トーマさんの傍でしか存在できない。
「トーマさん……好きです」
 ふっ、と漏れたのは……多分本心。
 だから同棲を始めた時に「料理をやらせてください」と言った筈だ。
「トーマさん、大好きです……」
 そんな思いを、なぜ持ったのか、いつから持ったとも分からない。
 けれど、あえて考えるなら私が死んですぐに抱きしめられた時なのかもしれない。
 ……物凄く鈍感でちょっと乱暴だけど、私みたいな面倒事を絶対投げ出さないトーマさんは、凄く……大好きだ。
「それじゃ、屋上にお弁当持ってきてくださいね?」
 昼ご飯は私の作ったお弁当を食べてくれる。
 最初はヒドイ物だったけど文句を一つ二ついうだけで結局全部平らげるのだからトーマさんは凄い……私もちょっとくらい
お返しはした方がいいよね。
「……ん」
 トーマさんの頬に触れるだけの、キス。
 それでも寝こけるこの人が凄く可愛くて3回も同じ事を繰り返す。
「昼休みに会いましょ、トーマさん♪」
 少しだけ心の重みが取れて、体がいつもより軽く感じる。
 ……もうちょっと、大胆に攻めちゃってもイイかな?





31:幽霊の恋捜し 9/12
06/12/03 23:04:58 nLepI2ZZ



 拝み屋をやる以上、古文なんてのは必修科目。
 ここでやらなくてもいろいろ勉強してあるから寝てても点数が取れてしまう
「ん、ん~~~~っ!」
 ……という訳で、授業が終わって思いっきり背筋を伸ばす。
 睡眠時間が足りない訳ではないが、休める時に休んでおく主義なのでこうやって寝ている。
 さて、と、雪ちゃんの作った弁当食べるとしますか。
「おい、冬麻!」
「あぁ?」
 そう思って屋上へ行こうと立ち上がると、野郎に声を掛けられる。
 正直、人付き合いは面倒なのだが。
「お前のその弁当……女の子が作ってるだろ!!」
「どうしてそう思う?」
 この前は雨だったので仕方なくここで食ってたらこの野郎が「女の弁当だ!」と騒ぎ出して、それ以来、俺に恋人がいる疑
惑が立っている。
 雪ちゃんが作っているのだから女の子が作ったという目測は当たってはいるが、それを認めるのは吝かではない。
「男の弁当ってのは結構適当にオカズを詰め込む傾向にある……が、だ、お前のは一つ一つ丁寧に詰め込んでいる―これが
俺の推理だっ!」
「……俺が几帳面だから。以上反証終了」
 「んなわけねー!」という叫びはこの際無視。
 雪ちゃんが待っている屋上へさっさと向かう。
「……あ」
「ん、待ったか?」
 この時期に屋上で食べる人間など皆無で、居たのは幽霊である雪ちゃん一人だけ。
 絵的には薄手の夏服でかなり寒そうだが幽霊である以上、外界の変化などとは無縁の存在だ。
「いえ、今来たところです……隣どうぞ~」
 そう言われ、雪ちゃんの隣の冷たいアスファルトへ座り込む……お決まりの台詞を楽しそうに言って楽しむのはいいが、本
来の目的を分かっているのだろうか……?
「ささ、お弁当を開けてみてくださいなっ」
「はいはい」
 最初、お弁当を作る時はいくらか手伝ったがこの数週間の内に入る事を禁止されてしまった。
 空けてびっくりの玉手箱にでもなるんじゃないかと内心ビクビクしたものだが、それ以来及第点レベルまでになっていて驚いたものだ。
 という訳で、弁当箱を開けてみるとシンプルなもので、白いご飯にふりかけ。オカズの方は、卵焼きに唐揚げ、ホウレン草の胡麻和え
という中身だった。
「えーと、今日はシンプルイズベストでやってみました~」
「確かにシンプルだが……良く出来てるんじゃないか?」
 こういったものは如実に実力がでる事が非常に多い。
 彼女の今の実力なら……大丈夫だとは思うが、初期の頃の味が舌に復活して気分が悪くなりかける。
「い、いただきます」
「はい、どうぞっ」

32:幽霊の恋捜し 10/12
06/12/03 23:05:33 nLepI2ZZ
 ニコニコと自慢ありげな表情で見守られながら、覚悟を決めて卵焼きを一つ口へと運ぶ。
 噛んでみると、卵のカラが入ってるわけでも、溶け切れなかった砂糖が入ってるわけでもない……ただひたすら柔らかい。
 味の方も苦くもないし、塩辛くも無い。多少甘すぎな感じはするが十分許容範囲内だ。
「えっと、どうですか?」
「ん……美味い」
 色々褒める台詞を考えたが、そんな事しなくても通じるだろうと思いとりあえず三文字で済ませる。
 それでも嬉しいのか、素直に顔を微かに赤らめている姿を見てると、かなりいい環境に育ったのが見て取れる。
 ……あぁそうだ。
「雪ちゃん、ちょっと注意事項あるんだけどいいか?」
「え、あ、はいっ」
 そう声を掛けると、ふわふわ浮いていた雪ちゃんは俺の隣へちょこんと座る。
 ちょっといいづらい事だが仕方あるまい。
「―鬼切り役が来てる」
 目と口をぽっかりと空けて呆然とする表情はとっても面白いがいつまでも見ている訳にはいかない。
「鬼切り役ってのは、本物の幽霊殺しの人達の事だ」
「ゆ、幽霊殺し?」
 ちょっと怯えた表情をしている雪ちゃんだが、同時になぜ自分が怯えているのか分からないといった感じだ。。
 幽霊は飲まず食わずでも十分存在できる。しかし、霊的加護を受けた物品での衝撃や斬撃を食らった場合、
幽霊でありながら"即死"する。
 それが幽霊の本能でも分かるらしい。
「え、ええとトーマさんは違うんですか?」
 当然、鬼切り役に関しての質問が飛んでくると思ったが、何故か俺。
「うーん、鬼切り役ってのは忙しいから、細かい仕事は俺みたいな末端に回ってくるわけだ」
「つまり……トーマさんは鬼切り役未満?」
 まぁ、鬼切り役に成れなかった俺にはぴったりだな
 ……そんな考えが顔に出ないようにしながら、
「うん、上手な言い方だね……という訳であんまり一人で出歩かないように。さくっと殺されちゃうから」
「は、はい!」
 そんな俺の脅しに素直に何度も頷く。
 ここまで真っ直ぐだと将来が心配になってくる……それはともかくさっさと弁当食っちまおう。
「寒いのでお茶どうぞっ」
「んぅ?」
 白いご飯を大きめに取って口の中に放り込むと、湯気を立てる緑茶を並々と注がれたコップを差し出される。。
 雪ちゃんの足元を見ると、家にあった青い水筒がが見える。
 祓う為の物品は幾つか持ってきているが、少なくともこんな水筒をバックの中に入れた覚えは無いが、
風が冷たくてそのコップを受け取り中身を喉へと流し込む。……何故か見事にちょうどいい温度だったのが不思議でたまらない。
「……茶は美味いんだがこの水筒、持ってきたのか?」
 良く聞いてくれましたっ! と言わんばかりに目を細める雪ちゃん。
「トーマさんが来るまでの間に家まで戻って淹れて来ました!」
「あー、うん、良くやった良くやった」

33:幽霊の恋捜し 11/12
06/12/03 23:06:16 nLepI2ZZ
 毎度恒例な気もするが、犬か何かのように頭を差し出す彼女に俺は荒っぽく撫でて返す。
 それだけで幸せそうな表情をするのだから、この子の底が全く読めない。
「あのーそれで、練習してみたいんですけどいいですか?」
「別にいいが……?」
 前に、「『恋』に繋がる事なら何でも手伝う」と言った以上ある程度までは付き合わねばならんだろう。
 それ言った直後に、「キ、キスの練習を―」とかほざいたので即、叩いたが。
「ん、と、お箸借りますね?」
 そう言うと俺の持っていた弁当用の箸を素早く奪い取り、半透明の指で器用に動かす……というか、
ポルターガイストで箸まで使えるのかよ。
「えーと…………うん、あーんっ♪」
 一見器用に見えても、意外に難しく何度か唐揚げを転がしていたが、4度目くらいで拾って俺の顔の前へと持ってくる。
「……どうしろと?」
「見て分からないんですか? お箸で食べさせるアレです」
 思わず手の平を額に当てて、大きな溜息をついてしまう俺。
 見て分かるし、知識としても無いことは無い……だが実行するのは別問題だ! と、言っても恐らく通じない。
 つまるところ、何とか宥めるしか方法が無い。
「いいか、雪ちゃん」
「は、はい?」
 俺の目の前に唐揚げを掲げたままの姿勢で不思議そうな声を上げる。
 ……こいつは頑固そうだ。
「こういうのは、俺なんかより君を見つけてもらった人にやってあげるべきで、練習なんてする必要なんてないだろ?」
「……むぅ」
 柔らかそうな頬を軽く膨らませて不満感を表現する雪ちゃん。
 何とか理詰めで諦めてもらおう。
「大体、男ってのは何でも『初めて』にめちゃくちゃ弱い。そういう時の為に取って置きなさい」
「そうかも……しれませんけど……」
 意気が落ちたのか、箸の高度がずるずると下がっていく……もう一押しかな?
「言い方が悪いかもしれないけど、もしもの時にその『初めて』を切り札で取っておくの、おーけー?」
「……で、でもっ!」
「うぉっ!?」
 雪ちゃんが前にいきなり身を乗り出し、それに合わせて上体を反らそうとするが、後ろのフェンスに頭をぶつけて、
ガシャガシャと耳障りな音を立てる。
「私は、トーマさんに殆ど何もお返しできてないです! だから……」
「だから……?」
 彼女の気迫に思わず鸚鵡返しをしてしまう俺。
 切羽詰っているというか、猫に追い詰められた鼠も良く似ている気迫だ。。
「……トトーマさんに、この初めてを……も、貰って欲しいんで―「アホ」」
 何かヤバげな台詞を吐こうとした雪ちゃんの頭を一発だけ叩く。
 「あいたー!?」と、声を上げるが、この際無視。
「いいか? 俺は見返りが欲しくて雪ちゃんに付き合ってる訳じゃない。100パーセント慈善事業だ……だから礼などいらん」
「私の気が済みません!!」
 自分の考えをぶつけて見るが、光よりも早い即答で返される。
 ……これ以上は無駄っぽいかな。雪ちゃん物凄く強情だから休み時間が終わろうとも絶対に曲げないだろう。
 これも俺の責任……かな?

34:幽霊の恋捜し 12/12
06/12/03 23:06:50 nLepI2ZZ
「分かった……好きにしなさい、はぁ」
「はいっ! ……という訳であーん♪」
 これは練習、と思っていても心臓の脈のスピードが跳ね上がり、この場から逃げ出したくなる。
 けれど……これが彼女の未練解消になるなら、俺は、頑張るしかない。
「ん……」
 唐揚げの味は絶品な筈なのに何処か塩辛く感じるのは気のせいなのだろうか。
「あは、それじゃ、毎日私がお弁当を食べさせてあげますね?」
「ちょ、待て! それは認めないぞ!?」
 流石にそれは……恥ずかしさで俺が憤死する。
「……私の『初めて』貰ったんですから、責任、取ってくださいね?」
 何で男ってのはこうも『初めて』って言葉に弱いのだろうか……?
 論文にすればノーベル賞くらいは貰えそうな事を考えつつ、彼女の半透明な手から弁当を食べていた……。



「今日はスーパーの特売日ですっ!」
「……それじゃ、帰りに寄るか」
 授業も終わり、10月ともなれば日も短い。
 俺達は夕日の差す駐輪場から、自転車を取り出しながらそんな会話をする。
「あーそうだ、他に欲しいものあるか、本とか?」
「んー特に無いです。幽霊ですから服は着れませんし、ねぇ?」
 自嘲気味に笑うが、痛々しさが微かに見て取れるが、俺には何も出来ない。
「今月余裕あるし……携帯でも変えようかね」
「いいですねそれっ」
 他人から見ればどうでもいいと切り捨てられそうな話をしながら俺達は、自転車を曳きながら話す。
 正直に言えば……楽しかった。
 分け隔てなく話せる間柄になった女の子も居なかった俺にはとても貴重な体験で、何もかもが新鮮だった。
「雪ちゃん、家帰ったら―っ」
「……?」
 校門を出たところでの、強烈なプレッシャー。
 俺がいきなり黙った事で、不思議そうな視線と向けてくる雪ちゃんを俺の後ろに回しながら正面に立っている根源を見据え

 そこに居るのは夕日に良く似た色の赤袴と綺麗な千早を羽織った巫女装束の女の子……しかも見覚えのある顔だ。相変わらず、
目つきが悪い。
「さて……巫女さんが俺に何の用かな?」
 挑発の意を込めてあえて、軽く言い放つ。
 けれど、その眉は微動だにしない。
「……鬼切り役が石倉 佐奈。……兄様、幽霊となにしてはるんどすか?」
 懐かしい京言葉で、そんな事を尋ねてきた。
 さて、どうしようかな―?


35:名無しさん@ピンキー
06/12/03 23:07:22 nLepI2ZZ
以上、投下終了。

一応前編になりますが、ちょっと忙しかったりするので続きは遅れてしまうのでごめんなさい。


36:名無しさん@ピンキー
06/12/03 23:21:17 /oDTCO3s
とても読みやすくていいな
続きを切望して待つ

37:名無しさん@ピンキー
06/12/03 23:28:36 yZXVaDYO
…普通に読んで面白い話だよ。GJ

38:名無しさん@ピンキー
06/12/03 23:37:29 mF92SESM
後半のエロスに期待。
すらっと読める感じがいいね。
次回へのヒキもバッチりで。

39:名無しさん@ピンキー
06/12/05 22:29:31 rw5ZbI44
保管庫管理人さん、ちゃんと前スレのログ取れてるかなぁ。

40:名無しさん@ピンキー
06/12/05 23:19:58 s5u9/zuP
面白いすわ。本当、気になるとこでの「続」ですね
妹絡んでの修羅場か、奴はプロなのかが楽しみ

41:名無しさん@ピンキー
06/12/11 02:57:30 x3rubEi3
とりあえず、ほっしゅ

>23
ちょい遅いけど、GJ!

42:名無しさん@ピンキー
06/12/17 01:32:11 QSqlSyko
ほしゅー

43:名無しさん@ピンキー
06/12/18 14:07:46 FNtXPLwK
>>23 GJ続きwktk

今ごろ気がついたんだけど、学園七不思議-1ってマイナス1って意味だったのか!?
いや面白かったすわ。
小気味いいテンポで一気に読める作品です。
ぜひ続編かシリーズ化を希望します!

44:名無しさん@ピンキー
06/12/24 18:09:33 0vEK//e7
最初読んだ時は、「七不思議の一番目」の意味だと思っていた俺ガイル。

45:名無しさん@ピンキー
06/12/27 21:13:50 iofNBKpX
相棒の鬼娘に来週の予定を聞いたら鼻で笑われた。
曰く、来年の話はするな、らしい。

46:名無しさん@ピンキー
06/12/30 00:22:58 FJwPWcHv
前スレ、落ちたようです。
ちょっと締まらない最後だったなか?

47:名無しさん@ピンキー
06/12/30 14:29:01 omhfMYPr
つか、保管が……

48:名無しさん@ピンキー
06/12/31 02:15:28 +82Povgz
>46
埋めネタ書いてたんだけど、間に合わなかった
10kb以上残ってたもんだから

49:名無しさん@ピンキー
06/12/31 21:37:10 e6P9Iph5
>>48
今すぐそれを投下するんだ!!

50:名無しさん@ピンキー
07/01/01 11:02:44 xoP51HPW
おまいらあけおめ
新年ほしゅ

51:くなさん ◆DAYgAM2ISM
07/01/02 23:10:10 3eblwPw3
6レス使用で投下します
――――――――――――――――――
『ゆきゆきてスコップあり』


 噛み合わせた歯が、ガチガチと音を立てる。上田秀一は体を縮めて、可能な限
り熱を逃さないようにしていたものの。山小屋の窓から覗く吹雪は、時間と共に
激しさを増すばかりだった。
 隣で体を寄せ合う遠藤礼子が、床を削っていたスキースティックを放り出す。
転がる音に目を上げ、秀一は作業の結果に口を挟んだ。
「相合い傘が足りないぞ」
「馬鹿ね。二人揃って、身元を示す物を何も持ってないからでしょ」
 礼子は青い顔をしながらも、平常心を取り繕ってみせた。
 スキー中に遭難してから、そろそろ半日が経とうとしていた。学校行事で来て
いるので、捜索は行われているだろうが。既に日は暮れており、ここで一夜を明
かさなくてはならない。
 なんとか逃げ込んだ山小屋には、食料どころか薪すら無く。辿り着くまでに体
力も体温も失った二人が、夜を越せる望みは少なかった。
「こうしておけば、誰だか分かるじゃない」
「違うだろ!」
 返ってきた強い声に、弾かれたように礼子は隣を見た。じっと睨み返す秀一の
瞳は、哀しむような怒りを漲らせていた。
 俺は死にたくない、お前も諦めるな。
 何も言わない顔から読み取れた想いが、彼女の胸に突き刺さった。諦めていた
自分が恥ずかしくなり、同時に生きる意欲が沸いてくる。礼子は精一杯の感謝を
込め、晴れやかな笑顔で頭を下げた。
「ごめん」
「謝るなよ」
 照れたような、それでいて深みのある苦笑が返ってきた。男臭い表情、とでも
言うのだろうか。
 さっきまでの礼子なら、ただのクラスメートだと秀一を表現したはずだ。しか
し今の彼女は、高鳴る胸と熱くなる頬に、はっきりとした予感を覚えていた。
 急に密着している事が意識され、緊張が募ってくる。それでいて、彼の肩に触
れられる自分の髪の長さに心安らぐ。自然と体重を預けかけた礼子は、立ち上が
った秀一を少し恨めしそうに見上げた。
「薪が無いか見てくる」
 続こうとした彼女を手振りで止めて、秀一が小屋を後にする。送り出した瞳に
は信頼と、確かな恋心が込められていた。

 表に出た秀一は、外気の寒さに悲鳴を上げ、一歩目で雪に埋まった。もがく彼
の上へ、狙っていたように雪が屋根から落ちてくる。
 連打する不幸に、しばらく彼は倒れたまま震えていたのだが。苛立ちを雪にぶ
つけて振り払うと、猛然と歩き始めながら、泣きそうな声で叫んだ。
「神様のバカヤロー!」
 しかし吹き荒れる冷たい風は、精一杯の嘆きも掻き消してしまう。何もかもを
吸い込んでしまいそうな白い闇に、秀一の体から力が抜けかけた。
 わりと好みな女の子と一緒に遭難し、これで死ぬかもしれない。
 せめて最後に一発。等というのは、しょせん童貞の妄想に過ぎないと思い知ら
された。アプローチは軽く躱され、トドメに謝られてしまったのだ。逃げるよう
に出てきたものの、今頃は同情されている事だろう。
「ちくしょう、絶対に死なねえ。死んでたまるか」
 礼子より可愛い彼女を作るまで、何がなんでも生き延びる。少年は滲んだ涙を
拭って、強い意志を胸に足を踏み出した。
 どうすればモテるのか、真剣な検討を重ねながら山小屋の周りを進んでいく。
まずは手段よりも、覚悟の問題だ。漠然とモテたいと思うだけで、これまで秀一
は努力などしてこなかった。
「血の滲むような努力を繰り返した先にこそ、栄光はある。死を前にしてすらコ
トに臨めないなんて、悲し過ぎるじゃないか」
 彼の決意、いや魂の慟哭に呼応するかのように、突風が吹き抜けた。

52:くなさん ◆DAYgAM2ISM
07/01/02 23:10:59 3eblwPw3
 敢然と立ち向かう秀一にとっては、ぬるい試練に過ぎなかったが。木々は枝を
揺らし、あちこちから雪が滑り落ちた。ニヒルに笑った彼は、歩みを再開しよう
として、山小屋に隣接する建物を見つけた。
 倉庫か何からしい。木製の扉が、半ばほど雪に埋もれている。小屋へ入る時に
気付かなかったのは、そのせいだろう。
「天は自ら助くる者を助く、だな」
 確信を得た秀一は、猛然と手袋で雪を抉りにかかった。
 一つ掻いてはモテる為、二つ掻いてはモテる為。彼の執念の成せる技か、単に
雪質のせいか。量の割に短時間で雪を退けると、躊躇無く中に飛び込んだ。
 室内の様子は、雪明かりで輪郭が分かる程度だった。迷わず手探りで調べ始め
た秀一の頬に、紐のような物が当たる。引っ張ってみると、カチッという音と共
に裸電球が点いた。
 よく分からない袋や、スコップにロープなど。
 オレンジ色の光の下で物色するうちに、秀一は錆びた缶の中からマッチを手に
入れた。燃やせる物は無いかと見回し、屈んだところで棚の陰に古新聞の束を見
つけた。
「すみません」
「あ、はい」
 後ろから呼ばれて思わず振り返った秀一は、完全に思考が停止した。
 自分達以外の誰かがいる、からではない。礼子だと思っていて別人だったから
でもないし、そもそも彼女にしては他人行儀過ぎる。しかし、こんな寒さの中に
いる相手が、白い着物一枚の恰好だからでも無かった。
 美少女。
 こういう存在を一言で表現する為に、生み出された言葉だろう。
 しっとりとした黒髪が、とても白い肌によく映えている。触り心地の良さそう
な生地が包むのは、もっと素晴らしい感触に違いない小柄な体。
 何よりも秀一を捕らえて離さないのは、その顔だ。大きな目の輝きや、周りを
彩る睫毛なども魅力的だが。均整の取れた配置は、自然の完璧な造形美を感じさ
せるものだった。
「えっと、どうかなさいましたか?」
「その、ごめん。君みたいに綺麗な人、今まで見たことが無くって」
 ついでに、ここまで安っぽい台詞を吐く野郎も、秀一は初めて知っただろう。
 モテるまでの道程の遠さを彼は嘆いたが、少女は首筋まで赤くなって口元を押
えた。何か言いたそうなものの、狼狽しきって言葉にならずにいる。頻りに足場
を変えた彼女は、どこかに蹴躓いて倒れかかった。
 考えるより先に体が動き、秀一が彼女を抱き留める。間近で顔を見る羽目にな
り、彼の頭にどっと血が昇ってきた。
「大丈夫?」
 彼女は無言のまま、じっと一点を凝視している。視線の先を追った秀一が、慌
てて胸を掴んでいた手を離し、平謝りに謝る。心底申し訳無いと思いつつも。あ
まりのべたさに、こんな事あるんだ、と頭の一部が妙な感心をしていた。
 しばらく秀一を見ていた彼女は、姿勢を正して向き直り。深い一礼に続いて、
淡々と自己紹介を始めた。
「私の名前は、美雪と申します」
 言葉を切った沈黙に、少ししてから秀一は待たれているのだと気付いた。
「上田秀一です」
「秀一様。あのような真似をされては、私はもうお嫁にいけません。かくなる上
は、責任を取って下さいますね?」
 ずいっと一歩近付いた美雪が、彼の胸元に手を当てた。伏せられた睫毛が恥じ
らいに震え、染まった頬と共に艶を増していく。うなじから覗く肌など、唾を飲
むほどの色気を放っている。
 瞬きも惜しむ彼に微笑み、美雪が帯を脱ぎ捨てる。着物も肩から落とそうとし
たところで、我に返った秀一に止められた。
「まさか、知らぬ存ぜぬ、と仰られるおつもりですか」
「そうじゃなくって。いや確かに、話が急過ぎるとも思ってるけどさ。この寒さ
の中で服を脱いだら、風邪じゃ済まないだろ」
「御心配要りませんわ。私は雪女ですから」
 小さく笑う美雪は、あまりにも美しく。人だと言われた方が、秀一には信じら
れそうに無かった。

53:くなさん ◆DAYgAM2ISM
07/01/02 23:12:02 3eblwPw3
 雪女には女しか生まれない。
 だから年頃になった雪女は人の里へ出向き、良人を捜すのだという。美雪は途
中で道を聞こうとして、情熱的に乳房を揉みしだかれ。自分の夫となるのは、こ
の男しかいないと心に決めたのだそうだ。
「話は分かったんだけど。君は大丈夫でも、俺が凍死する」
「私の口を、お吸い下さいませ。雪女と接吻を交わした人間は、寒さに強くなれ
ますの。本来は、人間と接吻を交わした雪女が、暑さに強くなる為の力ですけれ
ど」
 ただし、と怜悧な眼差しで美雪は忠告を与えた。
「相手の雪女を孕ませる気が無い者は、口を合わせた途端に凍りつ、んんっ」
 話の途中でキスに遮られたものの、美雪は残忍な愉しみを待つように目を細め
る。秀一が凍らないのを見て、視線を和らげたのだが。口の中へ入ってきた舌に
驚き、夢中で舌同士を絡めると、彼女の瞳は蕩けていった。

 着物の前を開いた秀一が、差し入れた手で小振りな乳房を撫で上げた。すべす
べとした肌と、瑞々しい弾力を存分に味わう。
 掌と指の全てで揉み込む度に、彼女の鼻息が甘くなっていく。美雪が淫らにな
るのに合わせ、舌を伝う唾液も増え続け。互いの口が少し離れようとも、糸を引
きながら繋げてくれた。
 美雪は息を荒げつつも、秀一の着込んだスキーウェアに手を伸ばす。
 脱がし方が分からないのか、しばらく表面を探っていたが。とうとう、乳首を
弄る彼の手に自分の手を重ね、切なそうに訴えた。
「秀一さ、あんっ」
 蜘蛛の糸のように間を渡す唾液を啜りながら、秀一はキスを続けさせた。同時
に脱ぎ始めた彼を見て、美雪が嬉しそうに着物を床へ落とした。
 美雪とキスしてから寒さが苦にならなくなっていたので、心配はしていなかっ
たが。いざボタンに手をかけた秀一には、やはり不安が過ぎった。しかし、いや
らしい舌と、擦り寄る裸の威力は大きいものだ。
 そして多分、他の何よりも。
 トレーナーやTシャツを脱げば、どうしてもキスを中断しなければならないが。
待つ間は不満そうな顔が、彼が見えた途端、ぱっと輝く様子が強力だった。
「本当に、あっ、寒く無いのですね」
 裸になった秀一の上半身に手を這わせ、鳥肌が無いか美雪が確かめる。むしろ
汗ばんでいる様子に、唇を触れ合わせたまま何か呟いたものの。ぴったりと押し
当てられた乳房のせいで、彼は聴覚など忘れていた。
「悪い、聞こえなかった。今の、もう一回言ってくれないか」
 美雪は羞恥に耳まで赤くしながら、秀一を覗き込んだ。
 ごちゃごちゃと置かれた棚の道具を、脱ぎ捨てたTシャツが動かしたらしい。
小屋の中の静けさを教えるように、うるさく騒ぎ立てる。外では風が唸り、ズボ
ンのファスナーもわりと大きな音を出していた。
 とはいえ、鼓動も伝わる距離であれば、囁きでも充分に聞こえるだろう。だが、
媚びを目に含ませた美雪は、大きな声ではっきりと語りかけた。
「最初に出会った人が、んんっ、秀一様で本当に良かった。接吻しても凍りつか
ないのは、私を本気で孕ませたい証。それを感じた私の子宮が、さっきから、あ
ふっ、疼いて仕方ありません」
 口の中に溜まった秀一の唾液を飲み干して、美雪が淫らに囁いた。
「秀一様の子種が欲し、ひあっ」
 美雪の陰核を擦り、零れた吐息を吸い上げる。涎は口に流れ込む分よりも、指
から掌へ伝う方が多いほどだ。
 切なげに脈打つ陰唇を撫でるうち、膝に力が入らなくなった美雪が崩れていく。
両腕を秀一の首へ回し、必死にしがみつく彼女が愛しくて。細い背中を抱き寄せ
た秀一は、床に広がる着物の上へ押し倒した。
 下着ごと二枚重ねたズボンを脱いで、飛び出た陰茎を力尽くで押し下げる。な
んとか膣口に触れさせると、美雪が淫靡に微笑んだ。
 たまらず突っ込んだ秀一は、大きな苦悶に動きを止めた。
 みっちりと肉の詰まった膣内が、きつく狭く締め付けてくる。処女を奪ってい
ると気付き、秀一に二つの感情が湧いた。綺麗で汚れの無い初雪を踏む罪悪感と、
それを自分がしているという満足感。
「安心しろ、俺も初めてだ」

54:くなさん ◆DAYgAM2ISM
07/01/02 23:12:41 3eblwPw3
 秀一は労ろうとしたが、かえって不安になるような台詞を吐いていた。あまり
の馬鹿さに落ち込む彼へ、何故か美雪は安心したように笑いかけた。
「……嬉しいです」
 暴走気味の掘削機械を必死で制御しながら、秀一はトンネルを掘り進む。壊さ
ないよう慎重にしつつ、長引かせないよう工事を急ぐ。
 欲望にのみ生きる馬鹿息子に、工期の遅れを責められながらも。奥まで開通し、
未来への架け橋が完成した。
 美雪は本当に、雪女なのだろう。
 埋まりきった陰茎を、とても温かく包み込んでくれる。人の手が触れた部分は
素直に形を変え、表面で光る水滴が彼女の美しさを増す。華奢な体や、絡みつく
襞から抜けられそうに無いのは、妖の本性に違いない。
「美雪。お前、すっげえ可愛いよ」
 潤んだ瞳で声を殺す美雪に口付けたまま、秀一は腰を揺らし続けた。
 ぎちぎちに圧迫していた膣内は、往復する度に少しづつ馴染んできた。それは
まるで、彼の陰茎に合わせて形を変えているようだ。
 手足を伸ばせば物に当たり、外では吹雪が激しくなり続ける。しかし今の秀一
には、美雪しか見えていない。もっと彼女の心も体も、味わい尽くしたかったの
だが。やっぱり馬鹿息子は言うことを聞かず、限界だと訴えた。
「秀一様の御胤を下さ、ああっ」
 それを感じた美雪に、潤んだ瞳で頼まれるまでもない。ぐいっと奥まで押し込
んだ秀一を、体全部を使って彼女は迎え入れた。
 どくんっ、どくどくっ
 秀一は膣内へ精液を迸らせきると、美雪に覆い被さって息を整え始めた。身じ
ろぎして先端の位置を変えた彼女も、安堵の吐息と共に力を抜く。こりこりとし
た感触を尋ねた彼は、子宮口という返事を聞いて、最後の一滴まで注ぎ込んでい
った。

 しばらく繋がったまま、互いの舌を味わっていたのだが。陰茎が萎えてしまっ
たので、回復するまで待つ事にした。
 服装を整えた二人が壁に背中を預け、寄り添いながら座り込む。裸電球の届か
ない外から聞こえる風は、寂寥感を響かせていたものの。隣にいる相手を、かけ
がえの無い存在だと強く思わせてくれた。
「きちんと孕ませて頂けるのでしたら、何でも一つ望みを叶えて差し上げます」
「産め」
 私に出来る範囲であれば、と続ける前に言われて。美雪は、本当に嬉しそうに
頷き返した。
 頬を摺り合わせるうちに唇が触れ、しっかりと重なる。残滓を舐め取りながら
離れると、からかうように彼女が笑った。
「てっきり私は、無事な下山を望まれるものかと」
「そんなの、吹雪が収まってからで良いだろ。美雪のおかげで、俺は寒さなんか
平気だからな。邪魔の入らないここで、お前と思う存分いちゃいちゃしたい」
「邪魔者で悪かったわね」
 扉から聞こえた声に顔を向け、秀一は瞬時に凍り付いた。
 スキーウェアを雪まみれにした礼子が、にこにこと笑いながら入ってくる。欠
片も好意の感じられない目へ、愛想笑いすら彼はまともに返せなかった。
「あんまりにも遅いもんだから、くたばったかと思ったけど。まさか、一緒に遭
難したクラスメートを忘れて、ナンパしてるとは思わなかったな」
「待て、落ち着け」
 うふふ、と素敵に微笑む礼子は、美雪よりも妖怪じみていた。
 秀一が美雪を促し、辺りの物を物色し始めた礼子から、じりじりと距離を取る。
修羅場の冷気を感じた美雪が、半ば呆れつつ秀一に尋ねた。
「恋人がいたんですか」
「すぐ近くの山小屋にそんなのがいるなら、彼女とヤってるだろ。友達だよ」
「あれあれ? 友達って、命の危機に陥ったら助け合うもんだよねえ。すっかり
存在を忘れた上、見知らぬ女とシケ込むとかさ……」
 小声を拾う地獄耳や、それこそ地の底から響くような声の調子もだが。彼女が
スコップを手にした事に、秀一は総毛立った。
「そんな友達はいらんなあ」

55:くなさん ◆DAYgAM2ISM
07/01/02 23:13:14 3eblwPw3
 美雪を抱えて伏せた秀一の上を、凶悪な風が通り抜ける。鈍い音を立てて木製
の棚に食い込んだスコップへ、忌々しそうに舌を打ち。付近を蹴りつけた礼子が、
体重をかけて抜き始めた。
「洒落になってねえぞ!」
「当たり前でしょ。冗談じゃないんだから」
「寒さで錯乱したようですね」
 冷静に分析する美雪を掴んで、秀一が走り出す。少し先行したものの、一歩ご
とに埋まる秀一と違い、スキーを履いた礼子は軽快に追ってきた。
「待ちなさいよ。くたばってた方が良かった、と思わせてあげるから」
「いらん! 正気になれ!」
 なんだか楽しそうな声に追いかけられ、彼は痛切に命の危機を感じた。放って
おいたというだけなら、すぐに収まりそうな気もしたが。何故か、根深いところ
で怒りを買ったという直感があった。
 その鋭さが少し前にあれば、こうはならなかっただろう。
 自分が囮になって、美雪を逃がす。そんな考えを過ぎらせながら隣を見た秀一
は、涼しい顔に見つめ返されて戸惑った。
「秀一様、これは脅迫なのですが。私の願いを聞いて下さるなら、お助けしま
しょう」
「あいつに殺されるのと、お前に脅迫されるのなんて、選ぶまでも無いだろ」
 早く言え、と迫る秀一に、彼女は悠長に恥じらいつつ答えた。
「もし、一人ではなく、この先ずっと秀一様の子供を産ませて頂けるのでしたら。
ええと、つまりですね。いずれ私と、その、祝言を挙げても構わなければ、安全
に逃がして差し上げます」
「最初からそのつもりだけど?」
 きょとんとした彼は首を捻り、祝言とは結婚だよなと確かめる。呆然と頷く美
雪に、ごく簡単だという顔で承諾した。
「というか、プロポーズは俺の方からさせてくれよ」
「だって、お分かりですか。私は雪女であり、人間では無いんですよ。種族が違
えば、色々と葛藤があって然るべきかと」
「そんなこと言われても。世界中探そうが、お前みたいな美人は他にいないだろ」
 だんだん実感が沸いてきたのか、美雪の顔が火照ってくる。溶けてしまうん
じゃないかと心配になり、秀一が肩を揺さ振っていると。正気づいた彼女は、今
まで以上に幸せそうな顔で彼に抱きついた。
 秀一がニヤける間など与えず、吹雪をスコップで切り裂いた礼子が現れた。
 怯える彼との密着を強めて、美雪が地面に息を吹きかける。凍り付いた雪へ飛
び乗った二人は、唸るスコップを躱して斜面を滑走していった。
「ちょっと待ってくれ。あいつも何とかしなきゃ、こんなとこで遭難したら助か
りっこない」
 氷のソリの上から、秀一が背後を振り返る。体中に吹き付け、辺りを踊り狂う
吹雪の中に、次第に遠くなる礼子の姿が見えた。
「本当に恋人ではありませんね?」
「くどいな。今はああだし、ただのクラスメートに過ぎないけどさ。知り合いが
死ぬ、それも俺が見捨ててというのは、出来れば遠慮したい」
「それでしたら、麓まで御案内しましょう」
「美雪は優しいな」
 照れる彼女の肩を抱き、軽く口付けた。続きをねだる美雪に、彼は想いを込め
て舌を絡める。挑発されていると感じたのか、スキーが滑りやすいコースに入っ
たからか。スコップを振り回しながらも、礼子は遅れずについていった。
 しばらくすると木々が途切れ、なだらかな斜面に出て視界が開けた。
 ロッジの付近は明るくなっており、伝わる人の気配が心を落ち着かせる。初心
者用スキーコースを下って来る、彼らが見えたのだろう。建物から人が飛び出し、
その数がどんどん増えてきた。
 顔一杯に安堵を浮かべた教師や友人達が、大きく手を振っている。足でブレー
キをかけようとした秀一に、もう少し二人だけでいたいと美雪が甘えた。
 結局、出迎えの彼らの間を、手を振り返しながら二人は通り抜けていった。
「結婚しました!」
 そんな言葉を残して。
 わけのわからない一同の元へと、何故かスコップを手にした礼子が辿り着く。
疲労困憊していた彼女は、人心地着いた事もあって倒れ伏す。極限状態から解放
されたおかげか、憑き物が落ちたように晴れやかな顔になっていた。

56:くなさん ◆DAYgAM2ISM
07/01/02 23:13:47 3eblwPw3
 もっとも、周囲から秀一の謎の言葉を聞いて、最後の欠片が零れ落ちたのだが。
「埋めてやろうかしら」
 深々と突き立てられたスコップに、雪と沈黙が静かに積もり続けた。




――――――――――――――――――
いくらなんでも早過ぎるんで、小説に改訂

57:名無しさん@ピンキー
07/01/03 00:46:18 w+kXzotI
雪女っていいね…

58:名無しさん@ピンキー
07/01/03 03:09:30 LAY2Ry3z
> 一つ掻いてはモテる為、二つ掻いてはモテる為

わろた。

59:名無しさん@ピンキー
07/01/03 17:12:35 1oKojE/+
ま~た、HRですか。






ありがとう、本当にありがとうございます。

60:名無しさん@ピンキー
07/01/04 02:15:45 +k2kWiAH
個人的には礼子を交え3Pだとさらによかった
GJです

61:名無しさん@ピンキー
07/01/08 01:25:39 5sgoJx3l
「そんな友達はいらんなあ」吹いたw

62:名無しさん@ピンキー
07/01/09 13:12:33 1owLsBfa
あげ

63:名無しさん@ピンキー
07/01/13 07:45:21 52Nv+zIl
保管庫はもう更新されないのかね。

64:名無しさん@ピンキー
07/01/14 06:33:04 5NVVIuCE
遅くなってごめんね。
その11のログ保管しておきました。

65:名無しさん@ピンキー
07/01/14 11:56:41 1woDgBcU
学園七不思議はシリーズ化してくれないのかなー?

久しぶりに新星現わる!とwktkなんだけど・・

66:名無しさん@ピンキー
07/01/15 02:11:23 U3wK3J3c
焦るな危険!

67:名無しさん@ピンキー
07/01/16 17:48:51 DBO6wRqL
保管庫更新乙です。
でもずいぶん簡略版に……

68:某880 ◆/Mgq/8agL6
07/01/18 23:04:47 JSM2roXx
新星じゃなくて申し訳ないが、投下。
注意事項は特にないと思う。

69:某880 女王様のメイド
07/01/18 23:06:15 JSM2roXx
「間違ってる、世の中が間違ってるんです!」
声を荒げ、対面に座る男性が突然僕へ熱弁を振るい始めた。
「いいですか、ツンデレとは本来そのような軽いものなんかじゃないんです!
顔を赤らめながらちょっとどもりがちに突き放した言い方をする、
それだけでツンデレなどとは笑止千万!
そんなね、形式張ったものでツンデレを語って欲しくないんですよ。
本物のツンデレというのは、もっと殺伐とした、そんな中でも愛……」
「店内で騒ぐな!」
テーブルに片手を着き僕の方へ身を乗り出しながら興奮していた彼の後頭部に、
パコンと軽快な音を立て銀トレイが見事にヒットした。
「何を話しても構わんが、他の客に迷惑だろうが。まったく……」
叩いた銀トレイを持ったまま腰に両手を当て睨みつける少女が一人。
よほど強く叩かれたのか、叩かれた男性は僅かに涙目となりながら後ろを振り向いた。
「じょ、女王たん……」
とても少女に向ける言葉ではないが、しかし二人の関係を考えると間違いではない。
少女が女王、男性が奴隷1号。そういう関係なのだ。端からはとてもそうは見えないが。
しかも女王は今メイド服を着ている。尚更二人の関係に説得力がない。
しかしそれよりももっと信じられないのは、僕と少女の関係性だろう。
「あっ、ゴメンお姉ちゃん……」
何処をどう見ても、僕と少女には二桁以上の年齢差があるように見える。
それでも少女は僕の姉であった。
彼女はモーショボーという妖怪。僕の姉が生まれ変わった姿。
「まったく、何しに来ているんだお前達は。騒ぐならとっとと出ていけ」
僕たちは今、秋葉原のメイド喫茶にいる。ここで今、姉が臨時のバイトをしているその姿を見るために。
このお店は姉がお世話になっている「オーナー」が経営する店の一つだそうで、
普段は12人の従業員が入れ替わり立ち替わり働いているそうです。
ところがその従業員の何人かが、オーナーの経営する別のお店……同系列のお店とは限らないそうだけど……そちらへ執行することになったために、一時的な人手不足になっている。
そこで臨時に姉がオーナーに頼まれ雇われた、という事らしい。
それを聞きつけた姉の奴隷……と、自ら名乗っている……1号さんに誘われて僕も付いてきた。
彼は姉のメイド姿は何度も「拝ませてもらっている」と言っていましたが、
姉が「働いている」メイド姿というのが非常に貴重だから、というのがどうしても見たい理由らしい。
「すみません女王たん……でも弟たんがツンデレを理解してなかったのでつい……」
最近は「ツンデレ喫茶」というのもあるらしいですね、という話を切り出しただけなんですけどね。
というか、会話はとぎれたけど、彼が言いたいのは「ツンデレ」ではなく「理想のご主人様」な気がしないでも……。
彼と初めてあったときには、「女王たん」に特別扱いされている僕を嫉妬していましたが
最近ではこうして一緒に出かけるくらいの付き合いをさせてもらってます。
非常に「濃い」人ですが、根はいい人なので、なんか自然にうち解けてました。
その、「弟たん」って呼び名以外は。
「ついじゃないでしょ。いい? ここは他の店と違って騒げる店じゃないんだから」
まあ、彼の場合情事何処でもハイテンションなのは姉も承知しているので、説教もトーンダウンしていた。
姉の言うとおり、ここは昨今乱立しているメイド喫茶とは異なり、
過剰な、風俗店まがいなサービスは一切行っていない。
雰囲気は街の喫茶店のようにアットホームな感じなので、気軽に客と従業員が会話をするくらいはありますが
あくまでただ従業員がメイド服を着ているだけ、という喫茶店。
1号さんは、「むしろこれくらいがベスト、ここのオーナーはメイドというものをよく判っている!」と力説してましたっけ。
「……なに、その目は」
じっと姉を見つめる1号さんの目に、なにやら不満があるのか、姉が問い詰め始める。
「不服そうね」
その一言に、1号さんがピクリと反応する。あっ、この人もしかして……
「……って、「ここ」で何を期待してるのよ……なによ、文句あるの? 気に入らないわね、あんた当分「お預け」ね」
言い残し、業務へと戻る姉。その後ろ姿をしばし見送った後、あからさまにガックリと肩から頭からだらりと落とす1号さん。
あーあ、この後僕1号さんの愚痴らやら色々付き合うことになるんだろうなぁ……自分でも判るほど顔を引きつらせ、僕はこの後小一時間は我慢を強いられる事を予感していた。

*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*

70:某880 女王様のメイド
07/01/18 23:07:07 JSM2roXx
「あー疲れた。もー、オーナーの頼みじゃなかったらこんな仕事やってないわよぉ」
こんな仕事というか、そもそも働くとか人に使われるとか、そのような行動全般を嫌う姉は
家に帰り着くなりベッドに身体を預け足を投げ出した。
「……それは僕の台詞だよぉ」
我ながら情けない声を上げ、僕はやっと家にたどり着けた安堵感から大きく息を吐き出しながら答えた。
本当に疲れた。肉体的にではなく、精神的に。
「あら、何が不満なの?」
「……お姉ちゃんの意地悪」
あれから僕は、姉のバイトが終わるまで1号さんの相手をさせられ、折角だからと姉と帰ってきたわけだが……
着替えるのが面倒、というあからさまに怪しい理由で、店から家まで姉はメイド服を着たままでいた。
しかも僕の腕にしがみつくようにして。普段ならこんな事絶対にしない癖に。
当然、僕たちは好奇の目に晒されることになった。
まだ店を出た直後、秋葉原にいるときは良かった。視線はむしろ羨望に近かったから。
だけど一歩秋葉原を出てしまえば、幼女にメイド服を着せ歩かせている変態、という目で見られるのは当然。
間違いなく羞恥プレイです、これは。姉は恥ずかしがる僕を見ておもしろがっていたのだ。
「知り合いに見つかったらどうするつもりだったんだよ、もぉ」
幸い、知り合いとすれ違うことはなかった。
更に幸運だったのは、交番の前を通り過ぎたときお巡りさんに呼び止められなかったことかな。
よく見逃してくれたよなぁ。普通なら職務質問するよね。あからさまに怪しいもん。
「見つからないわよ。というか、見えないわよ」
ん? 僕は姉の言っている意味が全く理解できない。
「私を誰だと思ってる? あんたの可愛い可愛いお姉さんは、どんなお姉さんだったかな?」
……ああ、何となく理解した。
姉の力か、それとも何か道具を使ったか、
どんな手を使ったかはよく判らないけど……姉と僕の姿を人目から避ける方法を用いることは、姉にとって不可能ではない。
姉は妖怪だから。故に「その手」の道具などを用意する手だても知っているから。
「可愛かったわねー、ずぅっと下向いちゃって、顔真っ赤にしちゃってさぁ」
「酷いよぉ……」
本当にプレイだったよ。そうだよ、僕の姉はこういう人……サド妖怪ですよ。
「でも嬉しかったでしょ?」
うっ……
「お姉ちゃんがだぁい好きな君は、とぉっても嬉しかったでしょお?」
……僕はまた顔を赤くしながら、黙ってうなずくしか手がありません。
ええ、大好きですよ、本当は嬉しかったですよ。幼いままの姉が大好きな変態ですよ僕は。
でもだからって、ちょっと今日の仕打ちは酷すぎるよ。
僕は1号さん達みたいなMじゃないんだし。
それとも姉は、僕をMにしたいのかな……それはちょっと勘弁して欲しい。

71:某880 女王様のメイド
07/01/18 23:09:07 JSM2roXx
「まあまあ、そんな顔しないの。お詫びに、いーことしてあげるから。ね?」
……それは結局、姉もしたいことなんじゃないの?
とはもちろん口にすることはなく、僕は黙って姉に近づいた。
「裸になって横になりなさい……あ、そうだ」
いつものように命令口調で僕に指示を出した姉が、何かを思いついたらしい。
絶対に悪巧みだ。僕は確信していた。
「裸になって横になってください、ご主人様」
はい?
内容は同じだが、口調が変わった。
「メイドの私が、ご奉仕いたしますわ」
ああ、そういう「プレイ」ですか。
自分がまだメイド服を着たままということを思い出した姉が、思いつきでプレイへと結びつけた。
普段は「女王たん」な姉がメイド役を買って出るのは新鮮ではあるが、続くのかな……
疑問はあるものの、姉の姿と口調に少々胸が高鳴っているのも事実だった。
「まあ、ご主人様ったらもうこんなに……」
あう、僕の息子はとても正直です。
メイドの姿はしてますが、姉の顔はいつも通り。口元をつり上げ嬉しそうです。
やはりまねごとはしても根本は変わらないんですね。
「ではご主人様、ご奉仕させていただきます」
いうなり、姉は僕に近づき……僕の息子に触れる。
足で。
「ちょっ、お姉ちゃん」
「丹誠込めて「足コキ」させてもらいます」
姉は腰を下ろしたまま僕の息子に足を踏むように乗せ、そしてゆっくりと動かし始めた。
これってご奉仕ですか?
とはいえ……編み目の粗い黒のニーソックスをはいたままされる足コキは、素手とは違う感触を僕の息子に与えてくれる。
こそばゆい肌触りと、微妙な足の圧迫。上下にゆっくりとこすられ、先ほどよりも息子はすくすくと成長を始めている。
「あらあら、ご主人様はとっても感じやすいんですね。もうこんなに大きくして……ご主人様は恥ずかしくないんですか?」
口調は優しいけど、ニヤニヤと笑いながら言い放たれる言葉はその口調と釣り合ってませんよ。
「ではもっとご奉仕してあげますね」
姉は両足で息子をはさみ、不規則に足をこすり合わせる。
とても足でやっているとは思えない、絶妙な摩擦と圧迫。
時折親指でカリを刺激するなどのテクニックも織り交ぜられては、もう我慢も限界……。
「このくらいでよろしいですか?」
突然、姉が足を止める。あと僅か、刹那もあれば爆発するという直前になって。
よろしいですかって、それを聞くんですか? 言わせたいんですか?
うう、やっぱり意地悪だ。やってることは普段の姉と変わらないよ。
「も、もうちょっと続……」
「ではご主人様、次はわたくしめにご褒美をくださいませ」
……酷い。
僕の言葉を遮り、姉は手早く僕の顔をまたぎ、スカートをまくり、腰を僅かに落とす。

72:某880 女王様のメイド
07/01/18 23:11:10 JSM2roXx
「さぁご主人様、早く舐めてください」
まだはいたままだった下着は、見ただけで判るほどぐっしょりと濡れていた。
もしかしたら、姉も興奮していたのだろうか? メイド服を着たままでの帰宅や、このメイドになりきれていないプレイに。
だとしたら……なんだか僕は「楽しい」気分になり、折角のご主人様役をやってみようと思いついた。
「なんだ、もうこんなに濡らして。お前は本当にいやらしいメイドだな」
ここからでは姉の顔を見ることは出来ない。しかし真っ赤になっているに違いないと確信した。
何も言わず腰を急に落とし、無理矢理顔に押しつけてきたから。
照れ隠しに違いない。そう思うと、なんだか姉が可愛く思えて仕方なかった。
しかしこれ以上何か言えばすねてしまうだろう。そうなっては元も子もない。僕は黙って下着の上から舌を這わせ、もぞもぞと動かし始めた。
「んっ、そ、いいわ、ご主人様……」
人のこと言えないな。姉もずいぶんと敏感になってる。
僕は舌を動かしながら手を姉の尻へと回し、軽くなで回す。
「あっ、それ……もっと強く」
自分から腰をもぞもぞと少し動かしながら、ねだってくる。
僕はそんな姉にちょっと「いたずら」心をくすぐられ、姉の下着を手で掴み、ぐいと引っ張ってみた。
「ちょっ! も、食い込む……んっ!」
細くなった布が姉の淫唇に、さも猿ぐつわのように食い込んでいる。
僕は手をゆるめることなく、そこをなで回すように舐め続けた。
「やっ、やるようになったわね……いい、そこ、もうちょっと上……」
言われるまま、僕は少し上……ぷっくりとふくれながら下着で押しつぶされている淫唇へと舌を這わせる。
はみ出る淫唇を舌で突き、時折ぐいぐいと下着を引っ張り刺激を与える。その度に上の口からは喘ぎ声、舌の口からはよだれが漏れだしていく。
「んっ、も、もう、そろそろ……」
言うなり、姉は腰を浮かせた。
よほど待てないのか、姉は下着を片足だけ脱いだ状態で腰の位置を顔から僕の腰へと移動させ、
まだ天に向けいきり立っていた息子を荒々しく掴む。そして慣れた手つきで自分の陰部へと向けさせ、すんなりと腰を下ろした。
「んんっ! なに、まだこんなに大きくさせてたの……本当にいやらしいんだから……ご主人様は」
罵りながら、まだ忘れていなかったシチュエーションを付け加える。
そして姉は前後に腰を動かしながら身体を上下に揺り動かす。
「ん、はっ、はぁ……なんか、いつもより、大きくない? ん、んっ!」
そういう姉も、いつも以上に締め付けがキツイ。
小さな身体同様に膣も小さいく、それだけでも当然キツイ。しかしそれでも僕の息子をすんなりと受け入れている。
「ね、ご主人様も、動いて、下から、突き上げ、て」
もちろん。僕は姉に合わせ腰をしたから打ち付け、いつも以上に僕たちの結合部からはグチュグチュといやらしい音が聞こえてくる。
「ひあっ、ん、なん、か、ちがう、いつもと、んっ! い、いいかも……どう、きもち、いいの? ごしゅじん、さま、は」
手を僕のお腹に着きながら、姉が途切れ途切れに尋ねてくる。僕は答える代わりに、より激しく腰を振る。
「ちょっ、も、とつぜ、んっ! や、ちょっ、いつも、ん、ちがっ、てっ、なん、んっ! やっ、あっ、あん、あはぁ、んっ、んん!」
ついに姉は僕の上へと倒れ込む。しかしそれでも姉の腰は止まらない。当然僕のも。
小さな姉の身体を僕はギュッと抱きしめる。姉は僕の胸、乳首に唇を這わせ舐め始めた。
こんな時でも攻めることを忘れない姉はさすがだ。
負けてられない。僕はベッドのきしみをより大きくさせていく。

73:某880 女王様のメイド
07/01/18 23:11:42 JSM2roXx
「んっ、ちゅ、ん、んん! くちゅ……ん、んあ! やっ、ん、ちゅぱ……」
もしかしたら、姉はいつもより感じているのをごまかしたいのか?
なんだか、今日の姉はとても可愛い。
メイド服が僕たちをこんなにさせるのかな。
普段のSキャラを死守したい姉は、自ら来たメイド服でそれを崩しかけている。必死になって取り戻そうとしているのが、かえって可愛い。
「んっ、も、ちょ、ダメ、んっ、ちゅ、ん、んっ! いっ、ちゃ、め、ダメ、んは、ん、んはぁあ!」
必死になっている姉は可愛いが、このままだとちょっと可愛そうかな。
それに僕も……。
「そろそろ、いく、いくから……」
「え、ええ、いって、いき、いきなさい、よ……いっ、いっしょに、いって、あげる、から、んっ、ね、ほら、はや、くっ! んっ、あ、あぁっ!」
僕から根を上げると、姉は堰を切ったように行くことを強制する。姉ももう限界のようだ。
「はやく、はやく! ほら、ちょっ、いっ、いって、ん、あっ! きた、しろいの、わた、わたしも、あっ、ん、んん!」
プライドを死守した姉は、根本から吸い上げようとぎゅっと膣を締め付ける。
僕は息を荒げながらまだ姉を抱きしめていたが、姉は半身を起こし僕の腕をほどいてしまう。
「ご主人様にしては上出来だったんじゃない? 気持ちよかったわよ」
メイドの女王様からお褒めの言葉をいただき、ご主人様としてはとても満足ですよ。
なんか立場がおかしいけど、それはそれで、たまにはいいかな。
「ところでご主人様?」
くちゅくちゅと音がする。姉が腰を回しているからだ。もちろん僕たちはまだ繋がったまま。
「次はアナルなどいかがですか?」
そうだね、姉が一回で満足するはずがないもんね。僕は合意のために軽く頷いた。
「ふふ、ご主人様のエッチ。では「この次」はアナルで……」
そう言いながら、姉の腰は止まらない。
あの、次って……。
「ん、もう堅くなってる……本当にご主人様は、スケベなんですね」
ああ、「これ」の次なのね。だったら、このまま同じ体位は面白くない。僕も半身を起こし、また姉を抱きしめる。
「ご主人様?」
「舐め……るんだ、この淫乱メイドめ。僕の乳首を舐めろ」
「ふふ、この変態主人。たっぷりと舐めてあげるわ」
もしかしたら……僕はふと思った。
ツンデレって姉のような人のことを言うのだろうか?
まあ、「デレ」があるとするのは僕の自惚れかもしれないけど
確かに、世間で言うツンデレというのとはちょっと違う気がした。
それは単純に僕たちの関係が特別過ぎるからだろうか?
姉と弟。メイドと主人。妖怪と人間。確かに、僕たちの関係は複雑だ。世間一般とは違いすぎる。
それでも、僕にとって姉がちょっと意地悪でとっても可愛らしいのに代わりはない。
ツンデレとかそういう定義は、本当のところどうでも良い。
どうせ僕たちはどんな定義にも当てはまらないから。
「んっ、ご主人様……気持ちいい? 良いなら声を出して」
「きっ、気持ちいいよ……もっと、もっと舐めて、腰をもっと、動かして……」
「うふふ……ええ、ご主人様がお望みなら。たっぷり、可愛がってあげる」
当てはまるとすれば、変態か。でもそれでいいや。
僕は姉を愛してる。姉は……愛を知らないと言うけど、たぶん愛してくれていると思う。
それでいいや。夜はまだこれからだし。
僕たちはまだまだこれからだし。

74:某880 女王様のメイド
07/01/18 23:15:14 JSM2roXx
以上です

べっ、別にあなたたちのために投下したんじゃないんだから!
おひさしぶりです、とか全然思ってないんだらかね!
久しぶりのモーショボーはどうだったかなぁとか、
初めて読む人は設定とか判らなくて大丈夫かなとか、
そんなこといちいち考えたりしてないから!
わっ、判らない人は勝手に保管庫なり見ればいいでしょ!
そうよ、勝手にすれば?
またそのうち投下するからとか思ってないし、勝手に期待して待ってれば良いんだわ!

ツンデレってこうですか?わかりません

75:名無しさん@ピンキー
07/01/18 23:15:47 rQlhkAi3
827 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/01/17(水) 23:58:23 ID:i36M1cXM
コレを見たア・ナ・タ♪超超幸せ者ダネ****

この文を読んだからには、あなたには幸せなコト

が起きますよ・・・★本当です☆この文を読んだ、

私の、2人の友達が恋を成功させました☆☆

さぁ、あなたも恋を成功させましょう♪それには

そうすればいいのかと言うと・・・☆


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  多く貼り付けるほど、幸せがたぁっくさん

  舞い込んでくるはずだよ☆がんばってね♪


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 どこに、どれだけ貼っても大丈夫です★

 貼り付けなかった場合、特になにも起こりませんが

 運が悪ければ、近々あなたに不吉なことが

 起こること間違いなしです!!!



   ☆☆あなたの恋が実るチャンスです★★
   (今私はこれ↑をやっている途中です




76:名無しさん@ピンキー
07/01/19 00:20:22 U3Nlc31o
某880氏……
あんたはやっぱ最高だ!!!!!!!!111
GJ!!
でもツンデレの至上は海原先生だと思う

77:名無しさん@ピンキー
07/01/19 03:28:47 24BgXAb+
>74
キターーAAry
モーショボーの新境地燃えますた。すっげえカワイイです。
GJ!!!

78:名無しさん@ピンキー
07/01/19 16:03:26 Q7oqI33Z
>>74
久しぶりにウザかった
期待はしてないから安心して隠居してくれ

79:名無しさん@ピンキー
07/01/19 19:16:04 b376jCtm
880さんお久しぶりアンドGJ~~
久々にイイの見させてもらいました。ツンデレはそれでいいと思われw

80:名無しさん@ピンキー
07/01/19 21:48:50 HtpSHKFf
関係を説明する中で、ナチュラルに「メイドと主人」を組み込んでる弟君に吹いたw

しかし、1号はメイドを分かってない
喫茶店に立ってる時点でウェイトレスであり、メイドでは無いのですよw

81:某880 ◆/Mgq/8agL6
07/01/20 01:21:22 onvDuojF
GJくださった皆様ありがとうございました。

>でもツンデレの至上は海原先生だと思う
では究極のツンデレを求めに行ってきますw

>喫茶店に立ってる時点でウェイトレスであり、メイドでは無いのですよw
まあ、1号は女王様(たん)がいればそれでいいらしいのでw

82:名無しさん@ピンキー
07/01/20 03:54:32 D8Z+oF3E
晒しと荒らしの発生条件

1.複数のスレにまたがり、同じコテを流用通用 
2.それで2~3のスレに留まるならまだしも、あちこち顔出しすぎ 
3.過度の自己顕示や自己主張がウザい(全レス、自分語りや後書き、宣伝広告) 
4.発言内容や主義主張が厨房臭い、メンヘル臭い、自己中臭い 

叩かれやすさの発展度合い 1→2→3→4 

作品の内容やレベルは、実はあまり関係ない 
ネット上のダメな~スレで語られるところの邪神クラスの酷さでもない限り 
作品内容単体で槍玉に挙げられて問題になるケースは少ない 
ぶっちゃけSS自体はB級C級だろうと、一切自己主張せず淡々と作品だけ投下するに留まれば 
荒れる事はないし、むしろお義理お情けで二、三個の乙は貰える 
まあ荒れないだけで評価もされないんだが、それでも台風の目になるよりはマシだろ? 

1&2→ 叩かれ易くなる要素であって、あくまで間接的原因 
       これをやってても一切自己主張ナシのSS自動販売機に徹してる限りでは 
       案外荒れや叩きを回避できる、できてる場合が多い 
       ただ本人が幾らストイックでも、信者や取り巻きがウザ化した場合は結局叩き要因になる 
       残念だけど、信者取り巻きの不始末が作者本人の悪徳に還元されるのが2ch 
       嫌ならコテつけるのやめるか、せめてスレ変えるごとにコテ使い分けろ 
       てか複数スレまたいでのコテ流用自体、どれだけ取り繕っても結局は名誉名声への執着だ 
       これまで蓄積された評判をリセットしたくねーっていう、女々しい未練がましさだ 
       そんなに評価賞賛が欲しいなら、エロパロ板でなくブログかサイトでも作ってそっちでやれ 
       めんどくさいからとか、個人サイトじゃ人が来ないからとか、寝言ほざいてんじゃねーぞ 

3&4→ 論外。今更言う間でもねーや。名無しでも(多少叩かれにくくなるだけで)大抵叩かれる 
       もちろん1&2の要素と複合した場合は、火に油のごとくに更に叩かれやすく 

83:名無しさん@ピンキー
07/01/20 10:48:54 SIVFBXxL
晒しと荒らしの発生条件
自治厨
追跡厨
批評厨

84:名無しさん@ピンキー
07/01/21 09:38:29 W0p8isAy
アレな1号さん他のいる環境にもなんとなく慣れている弟に萌えた
なんだかんだで皆、楽しそうだなw

85:名無しさん@ピンキー
07/01/23 21:50:15 PeKP1Zgs
その11以降のSSは、どこに保存されているのですか?

86:名無しさん@ピンキー
07/01/23 22:46:07 LcL+Wl85
保管庫のところちゃんと読め。

87:名無しさん@ピンキー
07/01/26 01:13:40 Zq5Z/z/l
正直、11以降のログ読みづらい。

88:名無しさん@ピンキー
07/01/27 09:43:39 qjkG2GCZ
ハゲド。まとめるの面倒ならエロパロ板保管庫に任したら?

89:名無しさん@ピンキー
07/01/27 19:25:01 qMciFfZb
保管庫のログで、『プレジャーガウスト』を読み返してたんだけど、なんかレス番号が飛んで、一部抜けがあるようなのです。
全部読み返したわけではありませんが、>>150とか。
どなたか、確認できますか?

90:名無しさん@ピンキー
07/01/28 12:04:44 0AnQ3LCp
>>89
すみませんミスってたので直しておきました。

91:名無しさん@ピンキー
07/02/06 01:05:15 +fM1yv5c
保守

92:名無しさん@ピンキー
07/02/06 08:33:50 maRBfJrx
プレガウ神きてくれないかな

93:名無しさん@ピンキー
07/02/11 23:53:38 /sqDtGAd
もう駄目か……保守

94:名無しさん@ピンキー
07/02/16 09:47:24 UW3bptHr
プレジャーガウストDSで出るぞおまいら

95:名無しさん@ピンキー
07/02/18 21:44:42 Atj4y3jv
いやまて、出るのは「トレジャーガウストDS」だからな!?
確かに俺も、最近あれのCM見るたびに、ここのSS思い出すけどさ。

96:名無しさん@ピンキー
07/02/20 00:13:40 tUils8Bm
>>94-95
期待して損した。
罪なので罰として何かSSを書け。

97:名無しさん@ピンキー
07/02/24 03:03:03 qC1b5tbj
保守

98:名無しさん@ピンキー
07/03/02 03:10:55 VoAB59+I
保守。

99:名無しさん@ピンキー
07/03/10 02:39:30 Xp5pfnEc
保守

100:名無しさん@ピンキー
07/03/18 22:46:06 mFfRmK7s
これはもうだめかもわからんね。

101:名無しさん@ピンキー
07/03/19 19:54:52 Nx2QaPgL
3年も保守だけで続けてる某スレに対する挑戦か、それは?

半年も保守ってる訳じゃないから我慢汁


102:名無しさん@ピンキー
07/03/22 21:17:21 ISnO3qXr
神様ストーリーを書こうとしているんだが、書けない。
第一章(次章ができるかは分からないが)の後半部分、特にエロ部分に詰まっている。肝心なところなのに……。
多分、俺は書き上げられないだろう。あまり期待しないでくれ。第一、ちょっと設定的に(魔力がどうとか)厨房くささが漂っている。
さらに、俺は一応趣味で小説をやっているのだが(普通の)、文才に自信は無い。

これでもいいなら、「期待しないけど見たい」と書きこんでくれ。

103:名無しさん@ピンキー
07/03/22 21:25:34 TfxKKO30
>>102
超期待(・ω・)

104:名無しさん@ピンキー
07/03/22 22:32:26 WTyDwhbW
>>102
べ、別に期待はしていないけど、見てあげるわよ!

105:名無しさん@ピンキー
07/03/22 23:59:26 ISnO3qXr
なんだか俺は、初心者なのに難易度の高いゲームに挑んでしまったようだ。
まず、神様という設定が生かされてない。まるで、必殺技があるのにコマンドがわからない格ゲーのように。
それに、エロのハードルが思ったよりも高すぎた。敵が倒せない。
さらに、状況描写が殆ど皆無だ。背景やBGMがないかのように、つまらないと思う。
このゲームの攻略本はないものか……。
あ、そうそう、神様幼女って設定だけどOK?(その設定が生かされているかは激しく疑問だが)

そしてなにより、つまらないけどOK?
……いや、お前らの答えはわかっている。……がんばるよ。……というか他に、書いてくれる奴はいないのか。ここ二ヶ月ほど、雑談と保守ばかりじゃないか。

106:名無しさん@ピンキー
07/03/23 00:10:06 ahIysVUs
こうしてまた、SS職人が生まれるんだよ。

107:名無しさん@ピンキー
07/03/23 08:24:42 4TydYjrS
おまいはつまらないと思ってるかもしれないが
おもしろいかどうかを判断するのは読者なので
深く考えるな

なにをいいたいかというと読ませてくれ

108:名無しさん@ピンキー
07/03/23 20:00:21 uUewSxGN
誘い受けイクナイ

とりあえず読みたい

109:名無しさん@ピンキー
07/03/24 00:29:34 B/Ix8STO
放置プレイや焦らしプレイが大好きな以津真天娘で
だれか書いてくれないだろうか



…俺には文才なんて無いんだよ

110:名無しさん@ピンキー
07/03/24 13:26:04 caD2Dz68
あーたーらしーい、あーさがきた、きーぼーおのーあーさーだ、
さーて、ほんじつも日が昇りました、2007年、3月24日、土曜日! そう土曜日です!!
一週間おつとめのサラリーマンのみなさん、お疲れさまでした!!
休日出勤されるおじさま、おにーさんがた、あとそれと、デフォで土曜日出勤のみなさん、ごくろーさまです!!
そーですよね、週休二日だと、土曜日ってかなり嬉しいですよね、「まだ明日も休みがある」って安心感。
日曜日の夕方にサザエさんを身ながら感じる、あの「あー、明日からまた仕事かぁ~」みたいな倦怠感というか、やるせなさに比べると、なんてすばらしい開放感!!!

ビバ! サタデー!!

ビバはイタリア語でサタデーは英語だ、なんて言う細かいツッコミはナシ!の方向で是非!!
さて、そんなすばらしい土曜日、あなたはどうしますか?

家でパソコン? ゲーム? 
そんなのダメ~~ッ!!

身体が鈍りますよ?!
調子に乗ってWiiとかやってたら、腱鞘炎になります!! コントローラーが凶器になります! 
そのうちご飯食べるのもWiiコン使うようになって、日本人失格なのです!!

彼女とデート?!
ダメですよ!!
今すぐ分かれてっ!!
振り向くな!振り向くな!振り向くな!!
君は狙われているっ!!

家でゴロ寝?
もっとダメです!!
メタボリックの魔の手が、君を狙っている!!
どうするどうするどうする!! 君ならどうする?!
任せるんだオレ達にっ、てな感じで、ゴロ寝は超絶却下の方向で!!!



111:名無しさん@ピンキー
07/03/24 13:26:45 caD2Dz68

じゃあ、何をすればいいのかって?

もちろん、旅です。
ここから近い人は、散歩で良いです。

飛行機、良いですねぇ、これぞ文明の利器、人類の進化!
鉄道、うん、バッチグ!! 線路は続くよどこまでも!! 線路は男のロマン!!
車、スゲー!! 公道最速伝説!! とにかく早く! スゴイ勢いで道交法無視!!
ほかにも、なんだって良いです。歩いて走って、前転推奨バク転禁止、自転車バイク、セグウェイでもなんでも、とにかくオッケー!!

行き先?
海へ行きたい? ブッブー! いまのトレンドは、山!それも、六甲山!!
い~ですよ~、六甲!
牧場やらなにやら、良いところもいっぱいあるんですけれど、いま一番のオススメスポットがあります!!!

国道○○から山の中腹、一本の脇道があるんで、そこに入って!!
しばらく進んだら、ちょっと立派な洋館が見えてくるので、迷わずそこに、まっすぐGO!

最近手入れしてないからちょっとオンボロになっちゃったけど、ちょっと前まではスゴイ立派だったんだから!!

んで、その屋敷、門は閉められちゃってるけど、こっそり入ってゼンゼンオケ!! ルパン三世もかくや、ってくらいの潜入アクションで!!

そしたら、屋敷の2階、突き当たりの部屋に!!

そこに、私の死体があります!!(キャッ、言っちゃった!)

もーずっと一人で寂しかったんだ!!
だから、「私のこの思いよ、届け君のハートに!!」ってくらいの勢いで電波とばしてます!!

だから、受信したそこのあなた!! ラッキーですよ?!
いますぐGO!
早く私と、遊びましょう!!
ついでに、K察に通報して貰って、早く犯人逮捕もして欲しいなっ!!
はやくー、はやくー、はやくきてー!!
はやくー、はやくー、
はやくー、









112:名無しさん@ピンキー
07/03/24 13:28:18 caD2Dz68

((((((翌日))))))



あーたーらしーい、あーさがきた、きーぼーおのーあーさーだ、
さーて、ほんじつも日が昇りました、2007年、3月25日、日曜日! 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・





『以津真天』(wikiより抜粋)
以津真天(いつまで、いつまでん)は、日本の妖怪。 戦乱や飢餓などで死んだ死体をそのまま放っておくと、
死体の近くに止まり、「いつまで、いつまで」と呪詛を込めて鳴き、死体を喰らう。
この「いつまで」は、死体をいつまで放っておくのかという意味である。



END OF TEXT


113:名無しさん@ピンキー
07/03/24 13:29:13 caD2Dz68
以上です。声は後藤邑子が適しているかと。
エロは、そこに向かった人にだけ与えられる。

114:名無しさん@ピンキー
07/03/24 15:35:29 ymENPxOo
……フツーに怖いんですけど。

115:名無しさん@ピンキー
07/03/24 17:11:27 7UmB/zAg
>113
GJ!&続きを激しく希望
なんか空鍋をひたすらかき回してそうw


116:名無しさん@ピンキー
07/03/24 22:28:15 ymENPxOo
なんか、ハイテンションな台詞と、結構悲惨な状況のギャップが気持ち悪くて怖いけど、妙に頭に引っ掛かってモヤモヤする。
なぁ、助けてやってくれんか?
俺が受信してたら、助けに行ってやりたい。

117:109
07/03/25 01:16:17 2oPxVjTH
すげホントに書いてもらえたw
マジ嬉しいそしてGJ!

118:名無しさん@ピンキー
07/03/25 03:41:51 6eE0/XX2
アフリカではよくあること

119:名無しさん@ピンキー
07/03/26 00:06:47 Q6g5xGBl
オチ優先で、投げっぱなしすぎたかも。
ちょっとは報われるように、してみます。
土日にしか書けないんで、来週に。

120:名無しさん@ピンキー
07/03/30 04:25:03 fWSAUcrt
>>113
底抜けに明るいから余計に怖ぇ……

121:名無しさん@ピンキー
07/03/30 18:25:58 946wlhJb
いよいよ明日に迫ってきました。

122:名無しさん@ピンキー
07/04/01 04:21:48 q3UBgbN9
あーたーらしーいー、あーさがきたー……

123:119
07/04/01 22:28:18 D8KNe/3n
ごめん、まにあわなんだ・・・。


124:名無しさん@ピンキー
07/04/04 02:17:54 xX/RtfsI
えぇーーー?!

125:名無しさん@ピンキー
07/04/05 07:04:10 246cfDhr
OKOKじっくり頼みますわ

126:名無しさん@ピンキー
07/04/05 15:51:12 3bKRO1iF
人間の女の子が、呪いとかの理由で化け物(妖怪)になる、んでその娘とエチーってのは、どのスレだろ。

127:名無しさん@ピンキー
07/04/06 01:54:50 a0RJgkua
ここじゃないかな?
スレリンク(eroparo板)

128:名無しさん@ピンキー
07/04/06 03:01:56 J8SlDZNV
雰囲気が一番あってそうなとこに投下でいいんじゃないかな。
ここにもそういうシチュはあった気がするし。
まあなんだ、気後れせずにどこかに投下してくれよ?

129:名無しさん@ピンキー
07/04/07 04:45:22 5pAf9wcq
人外系スレっていくつあるんだ?

130:名無しさん@ピンキー
07/04/07 12:30:45 JG8bnPN+
とりあえずオリ人外娘系でブックマークしているのが

擬人化した凶暴な♀動物が逆レイプする【四匹目】
スレリンク(eroparo板)
猫耳少女と召使いの物語12
スレリンク(eroparo板)
【妖怪】人間以外の女の子とのお話21【幽霊】
スレリンク(eroparo板)

あと一番下のスレの>>4に関連スレが書いてあるんでそこから紹介
【獣人】亜人の少年少女の絡み5【獣化】
スレリンク(eroparo板)
【亜人】人外の者達の絡み【異形】
スレリンク(eroparo板)
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α5
スレリンク(eroparo板)
触手・怪物に犯されるSS 11匹目
スレリンク(eroparo板)
魔法・超能力でエロ妄想 その4
スレリンク(eroparo板) (←…人外系?)

あとはこれも含む?
死神萌え
スレリンク(eroparo板)

131:名無しさん@ピンキー
07/04/07 12:44:01 JG8bnPN+
で他にも探してみて該当しそうなスレ(タイトルだけで判断、内容ほとんど見てないが)

不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part7
スレリンク(eroparo板)
小さい生き物が女の子によって集るシーン【二匹目】
スレリンク(eroparo板)

132:名無しさん@ピンキー
07/04/07 16:48:03 YfDWxJ5B
蟲化スレは?

133:名無しさん@ピンキー
07/04/09 02:08:54 OMGzKYNU
補足してみる。
悪魔と天使でえっち 2nd world
スレリンク(eroparo板)

>>132
蟲スレは>>127で出てるから外してあるんじゃないか?


134:名無しさん@ピンキー
07/04/10 06:01:48 LCuhuRRU
多分ジャンルはここになるんじゃないかなと思いつつ投下。
ほぼエロのみ。炉。

135:ボロは着てても
07/04/10 06:02:35 LCuhuRRU
 人里離れた、とある今にも倒れそうなあばら家。
 そこに大きな怒鳴り声が響いた。声の主は、少女─否、童女と呼ぶべき年頃の娘だ。
「さっさと出て行けといっておるじゃろうが、大うつけ!
 このブタ! タコ! ゴリラ!」
 だが、そこから出てきたのは年不相応の口調と、日本人形のような美しい見た目に不相応な罵り言葉であった。
「はっはっはっ、澪はしりとりが上手だなぁ」
 しかし、怒鳴られた青年は童女─澪という名らしい─剣幕などどこ吹く風で、愛しそうにその頭を撫でている。
「えぇい! 妾を子ども扱いするでないわ、修二!」
 そう叫ぶと、澪は頭におかれた手を払いのける。
 すると、修二と呼ばれた青年は悪戯めいた笑みを浮かべる。
「じゃあ、『大人としての付き合い』をしようか」
「そのような事で誤魔化されると思うのかうつ……け……んむっ……ふぁ……」
 反論をする澪に煩いと言わんばかりに修二が唇を重ね合わせる。
 そのキスは挨拶代わりの浅い啄ばむようなキスでなく、恋人同士が行うようなディープキスだった。
 澪はうっとりとしたように、その目を細めた。
「────ッ!
 う、うつけめ! 妾がこの程度の事で騙されると思ったか!
 す、すぐにここから出て行くがいいわ!」
 その行為に一旦は陶酔しかける澪だったが、何かに気づいた様に慌てて両手で修二の顔を押し返す。
 すると、修二は顎に手をやって考えるような仕草を見せた。
「んー、澪の言う事だから聞きたいね」
「な、ならば……」
 修二の言葉を聞いてすがるような澪が上目づかいで見上げてくる。
「だが断る」
「なッ……んむ……ん……」
 突然両手で頭を引き寄せられて、再び行われるディープキス。
 油断していて心の準備ができていなかった澪は、なすすべもなくその行為に陶酔させられる。
「ん……ふは……んく……ンァッ!」
 澪が驚いた声を上げた。
 頭を掴んでいた筈の手。
 その片方がいつの間にか彼女の慎ましやかな胸に回され、包み込むように揉みしだかれはじめたのだ。
「ふぁ……ん……くぅん……え、なぜじゃ……?」
 突然に唇が離され、乳房を揉んでいた手も止められた事に澪が戸惑ったような声を上げた。
「どうする? 澪がいやならこのままやめてもいいけど……」

136:ボロは着てても
07/04/10 06:03:41 LCuhuRRU
「…………ッ、わ、解っておるくせに……」
 火照った顔で、拗ねたように修二を見上げる澪。
 だが、修二は意地悪い笑みを浮かべて答える。
「澪の口で言ってもらわないと解らないよ。ほら、僕は『うつけ』だからさ」
「こ、この『さでぃすと』め……」
 思わず憎まれ口をたたく澪。
 そして真っ赤な顔をしながら、一度、二度と心を落ち着けるように深呼吸をすると、意を決したように口を開いた。
「も、もっと続けて欲しい……」
「はい、よく言えました」
 ご褒美代わり、とばかりに修二がキスを一つ。
 そのまま唇を首筋に、そしてはだけていた胸元にと下ろしていく。
 そして彼女の着ていたよく言えば簡素な─悪く言えば、みすぼらしい─服を脱がしながら、彼女の乳首を甘噛みする。
「んぁぁっ!」
 焦らされた体は、驚くぐらいその刺激に敏感に反応した。
「ふふ、かわいいよ、澪」
「う、うつ……け、ぁぁ!」
 照れ隠しに反論しようとするが、再び乳首を甘噛みされて嬌声を上げてしまう澪。
「しゅ、修二ばかりずるいぞ……」
 一方的に責められていた澪は搾り出すようにそう言うと、修二の股間に手を伸ばした。
 そして、ズボンの中に手を潜り込ませると彼の逸物を握りこんだ。
「く……ッ!」
 繊細かつ絶妙な力加減で上下に動かされる掌の動きに、修二の顔から今までの余裕が消えた。
「ふふん、どうじゃ……気持ちよか……ん……ろう……ぁぁ!」
 だが、反撃、とばかりに修二の責めが再開される。
「しゅ、しゅう……ん……じ、ほれ、我慢なぞ……ん、しなくても……ふぁ、いいのだ……ぞ」
「み、澪こそ……無理する……必要……な……いよ……」
 互いの性感帯を弄りあいながら、互いに強がりとも言える言葉を二人。
 先に折れたのは、澪の方だった。
「ん……修二……ひゃ……妾の……中に入れさせて……くぅぁ……やっても、ん……よいぞ……」
 折れながらも、彼女らしい尊大な物言い。
 とはいえ、修二にもそれをからかうような余裕は最早存在しない。
「じゃあ……そうさせて……もらう……」
 今にも張り裂けそうな逸物を澪の入り口に当てた。
 そして、腰を一気に突き入れる
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 それだけで、澪は軽く達してしまったようだ。甲高い声を上げて、体から力が抜ける。
「く、相変わらず……きつ……い……」
 修二の方も射精にこそ至らなかったものの、逸物はもはや爆発寸前であった。
 澪の膣も痛いほどに彼の逸物を締め付けている。
「澪、動く……ぞ」
「しゅ、修二、や、やめ……くぁぁぁ!」
 小さな体を刺し貫くとすら思える逸物が、半ば暴力的に澪の体を行き来する。
 だが、感じるのは痛みではなく、飛翔感。すなわち、澪の体が享受しているのは「苦痛」でなく「快楽」。
 愛しき者に貫かれる事に体は悦びを覚え、心は喜びを覚え─そして頭の端にある理性は悲しみを覚えていた。
 だが、その理性も快楽に塗りつぶされていく。
「澪……愛してるよ……」
「修二……妾もじゃ……」
 快楽の中でなければ吐き出せない本音を吐露し、澪は修二と共に高みに近づいていく。
「く……あ、あ、修二……イくッ……イク……」
「ぼ、僕もだ……」
 限界の近い二人が腰を動かすペースを上げ─そして、共に頂点へと上り詰めた。
「「うぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」」

137:ボロは着てても
07/04/10 06:04:36 LCuhuRRU
「ごめんね、澪。こんな風にしか誤魔化せなくて」
 薄い煎餅布団で横になる澪の髪を手櫛で梳きながら、修二は澪を起こさないように気遣いながら声をかけた。
「澪が出てけって行ってるのは、僕のため。それは解ってるんだ。
 でも、僕は澪といない事が耐えられない。君といる事が僕の幸せだから。
 たとえ、それが君をおいて逝く事を決定付けてるとしても」
 そこで言葉を切ると、自嘲気味に笑う。
「……見捨てられるのが怖くて、起きてる時にこう言えない僕は最低なんだろうね、きっと」
 そう言うと、澪に倣うように布団の中に横になって、瞼に一つキスをすると囁く様に言った。
「それでも、僕が澪を愛することを、許して欲しい」
 まるで誓うように。彼はそう虚空に言葉を発すると、静かに眼を閉じた。

 数分後。修二が寝息を立てたのを確認して、澪が目を開く。
「うつけが……『貧乏神』に懸想する人間など聞いたこともないわ」
 口では悪態をついているが、彼女の顔は悲しみに満ちている。
「それも、己が持つ幸せを捨ててまで妾と共に在ろうなどと……愚かにも程がある」
 それなりに裕福な家庭の跡取りだった修二だったが、彼はそれを反故にしてまで澪と一緒になることを選んだ。
 本人は「僕より別の人が継いだ方が家を裕福にできるよ」などと謙遜しているが、相当の才気の持ち主だと澪は確信している。
 はしくれとはいえ、仮にも「神」の見立てだ。そう間違いはあるまい。
「……それに、な。最低なのは妾の方じゃよ」
 人々に貧乏という名の「不幸」しか与えぬ自分の力。
 その影響を少しでも減らすために人里はなれた所に居を構えたはずだ。
 そう、孤独を選んだのは自分なのだ。だというのに……
(妾は弱い)
 修二が己を想っている事を知っている。そして、澪も修二を愛している。
 故に、修二を不幸にしないために、澪は想いに答えれない。
 その事を知っていたはずなのに。
「孤独に負け、己に負け。人を不幸にしてまで己の幸せを願う愚か者。
 それが妾という者の本性よ」
 でも、どうか許されるなら。
 私からこの小さな幸せを取り上げないで欲しい。
 そんな小さな祈りを捧げながら。
 澪は修二の手を握り、再びの眠りにつくのだった……。

138:134
07/04/10 06:10:06 LCuhuRRU
以上。

なぜか「炉な貧乏神」とかそんな電波が降ってきたのでカッとなってつい書いてしまった。
反省はしているが後悔はしていない。

139:名無しさん@ピンキー
07/04/10 07:45:33 U/ozxAgk
GJ。出会うシーンだとか、その後とかも書いて欲しい

140:名無しさん@ピンキー
07/04/10 16:56:26 A6dCH7i7
>>138
GJ!
だけどやっぱり物足りないので続きをプリーズ。

141:名無しさん@ピンキー
07/04/10 17:17:54 sjR62g0Q
>>138
やばいやばい。古風な言葉遣いにゃ弱いんだよなぁ、炉属性じゃないのに萌えた。
大変うまかったです。ごちそうさまでした。

142:名無しさん@ピンキー
07/04/10 23:37:22 nFjgUQvj
ホムンクルスはどこに置けば・・・・?

143:名無しさん@ピンキー
07/04/11 00:26:49 vWz0npAi
貧乏神を追い出さずにいれば、いずれ福の神に変わるのです
そう言う訳で続きを頼みます

144:134
07/04/12 02:06:30 SoGYRPj3
 晴れ渡った空の下に、風が通り過ぎる。
 とある片田舎の山中で、一人の青年がその風を受けると少し目を細めた。
 少年の面影を残すその顔には、年不相応な厭世的な表情が浮かんでいる。
 とはいえ、彼には特段の悩みがあるわけではなく、何かに苦しめられているわけでもなかった。
 むしろ、彼は財産にも、友人にも、家族にも恵まれている。
 だが─彼の心は何故か満たされる事はなかった。
 これ以上を望むことは、欲張りな事。
 彼にもその事は解っている。
 しかし、満たされない気持ちがある事もまた事実なのだ。
 そんな悶々とした気持ちを何とかしようと、彼は家の所有するこの山を散歩しているのだが……しかし、その目的は達せられているとは言えない。
(もう、帰ろうか)
 彼がそう思ったのとほぼ同時。
 ひときわ強い風が、辺りを駆け抜けていく。
 その勢いに、思わず彼が目を閉じる。
 そして目を開いた時。

 ─目線の先には、一人の女の子がいた。

 少女と言うよりは、童女と呼ぶのが相応しい年頃の少女。
 いわゆる「おかっぱ」に切り揃えられた髪は、墨を落としたように黒く、そして美しい。
 年代物か古く薄汚れた着物を着ているが、しかし、その身からは服とは真逆とすら言える高貴な雰囲気を漂わせている。
 白い肌は造作の良い顔をより美しく見せ、出来の良い日本人形のように錯覚させるほどだ。
 しかし、そうでない事は瑞々しく、また艶かしいその朱い唇が証明している。
「─綺麗だ」
 知らず、口からそんな言葉が漏れる。
 その言葉で気づいたのだろう。
 少女が、立っている場所─青年のいる場所より少し高台から声をかけてきた。
「何者か」
 感情を失ったような、硬質の声。
「あ……」
 その声に、童女の美しさに呆然としていた事に気づかされる。
「まぁ良い。帰るのならばそこの小川を降れ。人里に出る」
 山に迷ったと勘違いしたのか、童女がそんな風に声をかけてきた。
「君は……」
「妾は此の地こそがあるべき場所。汝に心配されるには及ばぬ」
 童女は青年がみなまで言い切る前に、言葉を返す。
「でも……」
 取りつくしまもない彼女になおも青年が食い下がろうとするが。
「─警告する。妾に関わるな。
 汝が『不幸』になりたくなくばな」
 そういうと再び強い風が吹き─吹き終ったときには彼女の姿はその場所から消えていた。
 一人残される青年。
 狐狸の類に化かされたのかとも思ったが、童女の立っていた辺りを確認すると確かに何者かが立っていた形跡が残っている。
 
 その後の事は良く覚えていない。覚えているのはただ、あの童女の事で頭が一杯だった事だけだ。
 なにより、頭に残っていたのは彼女の最後の表情。
 自分に関わるな、そう言っていた彼女。
 だというのに。
(─彼女、凄く、泣きそうな顔をしていた)
 それだけが、彼の頭の中を駆け巡り続けていたのだった……

145:134
07/04/12 02:11:42 SoGYRPj3
>>139

こうですか、わかりません。

……いや、正直、数時間で適当にでっち上げたものなので、前後の展開なんて全く考えてません……
これも今適当に頭に浮かんだものを書いただけですしw

146:名無しさん@ピンキー
07/04/12 03:00:23 JusRk5Nl
GJ!
じーんっときた。


147:名無しさん@ピンキー
07/04/12 08:11:31 eefKbBvs
基本、山の神=座敷童なので、その流れをOPにするならば

実は座敷童だったのに少女自身は貧乏神だと思いこんだ・・・つーネタでどうか一つ

148:名無しさん@ピンキー
07/04/12 10:10:19 8aPOfwKX
いやしかしそれだと彼がビンボーになったこととつじつまが合わないぞ

149:名無しさん@ピンキー
07/04/12 11:36:32 JusRk5Nl
>>148
まだ御利益(ぉ)で貧乏になったわけではないっぽい
>>137で『本人は「僕より別の人が継いだ方が家を裕福にできるよ」』
って言ってるらしいから、実家は没落していないで、本人が家を飛び出してきたと思われる。

あばら屋ってのも人里離れた所にあった廃墟に住み着いてるか、自分で建てたからとかだとすれば…

しかし個人的には、 貧乏神 だからこそより一層萌えるモノがw

150:134
07/04/14 04:58:50 KkOO0e0N
「あっはっはっ、澪にもついに想い人ができたか。
 めでたいねぇ、いやぁ、実にめでたい」
 目の前で一人の女性が呵呵大笑しながら、次々と酒瓶を空けていく。
 女性としては長身な、だが出るべき所は出て引っ込むべき所は引っ込んだ肉体。
 火のように赤い、腰まで届く長い髪。
 猫の目のような切れ長の鋭い目が印象的な野性味あふれる美貌。
 その全てが澪とは対照的だった。
「ば、馬鹿者。修二はそのような関係ではないぞ、円。
 勝手に妾の所にきたただの変わり者じゃ」
 円の言を慌てて否定する澪。
 だが悲しいかな、顔を真っ赤にしながらの反論では全く説得力がない。
「ふふん、確かにすすんで澪のところに来るなんざぁ、よほどの変人には違いねえやな」
 円が徳利から唇を離しながら、楽しそうに笑う。
「どうさね。なんならアタシの所にくるかい?
 座敷童のあたしのところに来れば今より楽できっぜ?」
「………………」
 明らかに冗談とわかる、円のそんな問いかけ。
 しかし、その脇にいる澪は真剣な様子で修二を見る。
 修二さえよければ本当に─澪の瞳は何よりも雄弁に語っていた。
 だから、修二は答える。自分の正直な気持ちを。
「折角ですけど、お断りします」
「おや、今より楽な生活ができるのにかい?」
 ニヤニヤと笑いを浮かべて、なお問いかけを続ける円。
 どうやら「本音」を言わせたい様だ。
 恥ずかしくはあったが、酒の勢いも手伝い修二はその企みに乗った。
「確かに、今の生活は楽じゃないです。実家から飛び出てくる前の生活とは雲泥の差です」
 でも、と修二は続ける。
「僕は幸せですから。実家にいた頃は、どれだけ物があっても満たされなかった。
 でも、今は満たされてます。……愛する人を見つけて、その傍に居る事ができるんですから」
「────ッッッッッッッ!!
 恥ずかしい事を口にするでないわ、うつけ! うつけ! この大うつけ!!」
 顔を真っ赤にしながらぽかぽかと胸を叩いてくる澪。
 怒った顔をしているが心なしか幸せそうなのは、修二の贔屓目だけではあるまい。
「うわっはっはっ、ごちそうさんごちそうさん。
 でも痴話喧嘩はアタシの見えない所でやってほしいねえ。妬けちまうよ、あっはっはっ」
 けしかけた当の本人は豪快に笑って。
 そんな仲睦まじい二人の姿を肴に、尚も酒瓶を空けていくのだった……。

151:134
07/04/14 05:06:45 KkOO0e0N
貧乏神云々に対する答えめいたもの。
以上のとおり、座敷童とは別物です。
SS仕立てにする必要性はないんですが、当方ネタの為なら努力を惜しみませんので(努力の方向性間違ってます)

補足すると、>>147の言うとおり思い込みがあるのは間違いないんですが、福の神とかそういう方向でないです。
「物質的不幸」が精神的な不幸に直結してる、という思い込みですな。
残りは>>149でほぼ正解

というか、ぶっちゃけ最初のSSは締めに困ったのでオー・ヘンリー風にしてお茶を濁ゲフンゲフン

152:名無しさん@ピンキー
07/04/14 19:01:45 sr5IeGto
投下乙~
豪快な座敷童さんでキター
座敷童の人じゃないけど、ラブラブでごちそすさまでしたw
う、うらやましくなんか無いんだからねっ!

153:名無しさん@ピンキー
07/04/16 16:37:46 KN3lZJfP
鬼太郎も新作始まったし、猫娘ものが見たいこの頃

154:名無しさん@ピンキー
07/04/17 09:59:42 EWzNqmJQ
どこかで読んだ話なんだが、貧乏神ってものは丁重に扱えば福の神にもなるらしい。
ある貧乏な一家が大晦日に「貧乏神様、あなたのおかげで今年も一年貧乏に暮らせました」と貧乏神を祭っていたら裕福になった・・・とかいう話が江戸時代にあったとか。
最も江戸時代は皿屋敷のお菊さんも落語のネタにしてしまうおおらかな時代なのでホントかどうかはわからない。

155:名無しさん@ピンキー
07/04/17 16:10:39 s2a1sseM
>>154
( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー

156:名無しさん@ピンキー
07/04/17 21:05:29 iKwnVYNT
「どうさね。なんならパロディスレにくるかい?
 パロディスレに来れば今より楽できっぜ?」
「………………」
 明らかに冗談とわかる、円のそんな問いかけ。
 しかし、その脇にいる>>156は真剣な様子で>>134を見る。
 >>134さえよければ本当に─>>156の瞳は何よりも雄弁に語っていた。
 だから、>>156は答える。自分の正直な気持ちを。
「折角ですけど、お断りします」
「おや、今より楽な生活ができるのにかい?」
 ニヤニヤと笑いを浮かべて、なお問いかけを続ける円。
 どうやら「本音」を言わせたい様だ。
 恥ずかしくはあったが、酒の勢いも手伝い>>156はその企みに乗った。
「確かに、シチュエーションスレの生活は楽じゃないです。
 フォーチュンクエストスレから飛び出てくる前の生活とは雲泥の差です」
 でも、と>>156は続ける。
「僕は幸せですから。パロディスレにいた頃は、どれだけ投下があっても満たされなかった。
 でも、今は満たされてます。……>>134を見つけて、>>134にGJと言う事ができるんですから」


…という事で続編お願いしますm(__)m



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