ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α5at EROPARO
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α5 - 暇つぶし2ch750:名無しさん@ピンキー
07/08/04 20:49:18 +mJjIv/d
でもそのごちそうが
「おーれはっ、なーみだをながさないっ、だだっだーっ!」
とか唄い出したら号泣必至w

751:名無しさん@ピンキー
07/08/04 21:40:53 rUaAJc6K
なるほど。かつての敬愛すべき完璧精霊の頃を知ってる主人公と、封入以来すっかりロボサイドに
引きずり込まれちゃった精霊ロボ娘のコメディもありだな。

752:名無しさん@ピンキー
07/08/05 00:33:02 YvpldLPJ
そろそろ熱帯夜とか多い季節。クーラー無い部屋で、竹シーツをネタに思いついた。

「あぢぃ、なあなあ、お前さ、体温調整とかできんだろ」
「可能ですけど、やはり暑いのですか?」
「そりゃまあな。お前買ったから、エアコン買う金無くなったし」
「む、無計画な…わかりました。これでどうですか?」
「おお、少しひんやりってのがいいね。なんていうか、ちょっとだけ冷たいシーツに触れてるよーな」
「明日も仕事ですよね? 就寝を提案します」
「ほいほい。んじゃ寝るかね」

夜中、こそこそと起き上がるロボ娘。

「…ん…どした?」
「申し訳ありません…布団が濡れないよう、冷却で結露したのを外装から集めてると、その…」
「なるほど。さて、一つ質問…その廃水は無害か?」
「は? え、ええ、法定基準に合わせてフィルタリングしてますけど…まさか!?」
「そのまさかだ。暑かったからここんとこ色々ご無沙汰だしな」
「だ、だだ、だめです、通常排出装置に溜めた場合は下から…」
「無害なんだしいいじゃん、丁度喉渇いてたし。排出口の位置はっと…」
「あう!そんなに刺激すると、バルブが開放モードに、ああっ!」

…脳がイカれてるな俺。さて寝るか。

753:名無しさん@ピンキー
07/08/05 02:17:10 97c7kA/R
大丈夫だ。それぐらいならまだせいzy(ry

754:名無しさん@ピンキー
07/08/05 03:10:38 cL2jOrAY
>>740
前スレか前々スレのネタで似たようなのがあったような...
あれ?こんなじかんにだれdあqwせdrftgyふじこlp;@:「」

755:名無しさん@ピンキー
07/08/05 03:25:38 1MCMWVZ0
>>752アナザー

「……排水タンク残容量・5%を切りました……さすがにそろそろ排出が必要ですね」
「……むにゃ……」
「マスターを起こさないように……と(むくり)」
「ぐー」
「はうっ!?ネグリジェの端っこ掴まれてる!?」
「すかー」
「ちょ、マスター、離して、離してくださいって」
「むにゃ……」
「ああっ、だから腕にしがみつかないでっっ!」
「……ロボ娘は……俺の嫁……」
「え……(///)……って、それは嬉しいですけど今はそれどころじゃ、あ・あ・あ・」
「……ぐー」
「す、水圧上昇、排水タンク負荷増大!!バルブが……押し負けますぅ~~!!」



…………


「これはまた見事な世界地図ですね、ロボ子さん」
「orz」


756:名無しさん@ピンキー
07/08/05 21:22:26 PuN+aEhV
>>737
なかなか難しいw
浅倉久志調のハヤカワ翻訳文体のエロかw

757:名無しさん@ピンキー
07/08/07 04:51:02 L92u1xp7
>>755貯水タンクの容量を10mlにしたくなったじゃまいか。
責任とって放尿プレイSSをry

758:名無しさん@ピンキー
07/08/07 09:03:23 Hhol0Xvr
「ますたー♪」
「なんだ?」
「呼んでみただけです。ふふっ」

759:名無しさん@ピンキー
07/08/07 18:06:28 x/tBkSE0
「イタズラ好きのメイドロボ」

……とかいたら萌えるかな、ウザイだけかな、どーかな。

760:名無しさん@ピンキー
07/08/07 21:48:05 D9Qosfvk
「"Hな"イタズラ好きのメイドロボ」

なら、何の問題もないぜ?

761:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
07/08/08 02:17:20 /YiDqXJD
>>760
ノーブラ&ノーパンで何食わぬ顔をしながらマスターに身体をおしつけてみたり、マスターの
目の前でおもいっきりこけてスカートがめくれるメイドロボ…と申したか

762:名無しさん@ピンキー
07/08/08 03:03:18 fnYA7aCV
「うー、凝ったな。少し揉んでくれるか?」
「では失礼して」
「そこじゃねぇ!」

763:名無しさん@ピンキー
07/08/08 05:01:03 CWX8CGvg
>>761胸を押しつけて、アソコをおしつけ、ご主人様の理性が切れてそのままラブラブなセクロスになるという思念を読みとれた気がする。

文才ある人だれか頼んます

764:名無しさん@ピンキー
07/08/08 22:43:53 LMMRxbuz
「あ て て る ん で す よ」

765:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:40:22 r5d8zzmn
エロに至る前置きを、投下します。

766:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:43:14 r5d8zzmn

 「あの子、どうするの? エイミー…」
 「エイミーか? …まずは集積回路のアップグレード、情報処理速度・演算能力を高めたい。戦闘知識・実技は俺が仕込む」
 「有機体の筋力強化って難しいの。ああ、出来ないって程じゃないから安心して。…飽くまで能力と美観のバランスの問題」
 「女の子だからな。それは仕方無い話さ。必要になったら頼む。それよりも君の護衛担当の、キティの修理の方が先だろう」

 『マエストロ』は内心とは別の事を話題にした。このままでは弱音を吐いて3年前のようにまた『イェーガー』に負担を掛けてしまう。
挙句の果てには抱かれた後の朝に『君はもう大丈夫だ、一人で歩いていける』なんて走り書きのメモを残され、トンズラを決め込まれては
非常に困るのだ。実行されたら今度こそ自分で立ち直れなくなるだろう。みっとも無かろうが難だろうが、今の自分に最後に残された、
空の雲よりも高いプライドを捨てて年増女の執念を思い知らせるためだけに、それこそ地獄の果てまでこの男を追い駆けるに違いない。

 「それ、こんな所で油なんか売ってないで仕事しろって催促? 」
 「なあ…エイミーの画像記録には一体何が映っていたんだ? 」
 「もう! 自分の都合が悪くなったらすぐ他の話題ではぐらかすんだから。これを見て」

 『マエストロ』は自分の携帯情報端末を取り出して『イェーガー』の前でモニターを展開する。アングロサクソン系の50代の男が、
車内で笑顔で微笑み、確かに『エイミー』と唇を動かし呼び掛けている。時折その視界がぶれるのは、エイミーの視界準拠だからだろう。
男の顔に見覚えがあった。半年以上前に来日し、重要な『同盟国』の日本国首相と初顔合わせの『首脳会談』を持った男だった。

 「USのプレジデント…アーヴィン・E・コーンウェル大統領」
 「当たり。ねえ、プレジデントに娘が居るのはご存知かしら? 」
 「名前はエイミー…だな? 」
 「良くできました。当時、不必要な程のUSの公安・治安機関が動いたわ。…では本題に入らせて貰うわ。
  実は大統領の御息女、エイミー・A・コーンウェル嬢はUS本国から一歩も出て居ないのよ。けれども、
  USの現地政府機関には来日を伝えられ、現に来日した。ここまで言えば貴方なら解るわね『イェーガー』? 」
 「その正体は此処に居るエイミー…しかし何故…」 

767:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:44:06 r5d8zzmn

 その後の画像が展開された。バラグラバを被った男達が車内に乱入する様が一瞬だけ映り、視界がブラックアウトする。画像の展開も
ここで終わり、モニターが『マエストロ』の手によって閉じられた。『イェーガー』は己自身の右頬を右手人差し指で一定のリズム間隔
を保ち軽く叩いている。『イェーガー』が思考を展開する癖だ。何か6ヶ月前の出来事に思い当たる節があったのだろう。眉間に寄った
皺が段々と深く刻まれて行き、唇の両端が下がって行く。口を開けば物凄く酷い悪態を吐きそうな顔だ。

 「…ばれたら大スキャンダルだぞ? ドロイドに人権など無いとか平気で言ってる奴等がやりそうな事だ。反体制勢力の内通者を
  焙(あぶ)り出すための囮に使ったな…。そう言えば会談の警備に駆り出された時、かなりの数の死体袋を見たのを覚えてる」
 「で、事は済んでドロイドのエイミーは処分された。ここまでの理解はいいわね? どう? 」
 「ああ、出来てる。…その処分を何かと法規制やら登録番号で足が付く本国では無く、来歴も問わん現地の違法ジャンクヤードに
  任せて作戦終了、か…。典型的な情報機関の遣り口だな…。反吐が出そうだぜ! 糞! 」
 
 『イェーガー』は左掌に右拳を勢い良く叩きつけた。パァン! と肉を打つ音が決して狭くは無い廊下の端から端まで響き渡る。
『マエストロ』はやや温くなったソフトドリンクを一気に喉へ流し込む。チラ、と『イェーガー』がその様子を羨ましげに見やる。
 
 「コーンウェル大統領は、あの国、USでは珍しくも無いドロイド排斥派。そんな人がもし事の真相を知ってしまったら? 」
 「当然、激怒するな。あと、娘そっくりの有機型ドロイドを必ずチリも残さず破棄しろと言い出すだろうよ。何せ州知事時代、
  有効雇用を生むためだけにドロイド導入制限州法を施行した実績まであるタカ派だからな…。因果なモンだぜ、全く…」
 「あ。一口、どう? 欲しいんでしょう? 」
 
 『イェーガー』が頷くと、『マエストロ』はニンマリとして缶を振って見せる。水音が全く出なかったのは、全部飲み干した証拠だろう。
『イェーガー』は右眉を上げ、コートの内側からミネラルウォーターの500mlのPETボトルを出し、口を付けてから一息で中身を空にした。

 「用意のイイ事。ねえ…水ぐらいゆっくり飲んだら? 」
 「水分補給に時間を掛けられない職業だったんでね。何事も時間に追われてたが、今は時間が余って手持ち無沙汰で困ってる」
 「気楽なものね…。さあ、休憩終わり、っと! お言葉通りキティから仕上げさせて貰うわ。ところで…住居の手配は済んでいるの? 」
 「ん? 職業柄、野営には慣れてる。戦場よりこの街の方がまだ治安がいいし、今日はどこかの路地裏で寝るさ」
 「…そこにドロイド持込修理に来たマスター用の客間があるから、エイミーの作業が仕上がるまで好きに使って頂戴、『お客様』」

 『マエストロ』は『イェーガー』の隣のドアを親指で指して、空き缶を『イェーガー』に渡し、そのまま作業室へと戻っていった。

768:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:45:13 r5d8zzmn

 『おかえりなさぁい! お外でマスターはちゃんといい子にしてましたか? 『マエストロ』? 』
 「エイミー、『イェーガー』から生体集積回路の一部積み替えと、脊椎内記憶演算機構のバージョンアップを依頼されたから、ポッドに戻って
  機能停止しなさい。…くれぐれも自分で勝手に覚醒しないように。いいわね? 聞けないんだったら駆動系を除去して処置完了。どう? 」
 『…え~と…。機能停止と言われましてもぉ…そのぉ…構造上ちょっと…。手や足をぽいぽい、って外されるの…わたしとっても嫌なんですけ…」

 ミシリ、と空気中の水分が瞬時に氷結したような音がした、とエイミーは感じた。『マエストロ』の冷ややかな視線を正面から受けてしまったのだ。
シャッターと為るべき目蓋が無い『素体』の今、視線を遮る事は出来なかった。名状し難き沈黙が流れる。『マエストロ』が携帯式ガン型電動ドリルを
手に取り、エイミーの前でトリガーを引いて見せる。ギュィィィィィィィン! と剣呑な唸りを上げて1cm径のドリルが回る。右唇の端を吊り上げて
『マエストロ』が笑う。その意味深な笑みを見た『素体』のままのエイミーが胸の前で拳を握り合わせ、脅えた素振りを見せた。

 『はわわわわわわわわ…! お、お言葉に従いますぅ…』
 「機能停止が出来ないのならポッドを外部シールドを下ろして密閉状態にして置くわ。大人しくしてなさいね、エイミー」
 『はぁ~い…おとなしく、してま~す…。(グスン)』
 
 エイミーがしぶしぶポッドに戻ると、『マエストロ』が各種ケーブル、チューブを接続。ポッドを密閉し、培養液を充填してからかなり頑丈そうな
外部シールドを引き降ろし、ロックした。それから「よっしゃあ!」とばかりにカラテの正拳突きのジェスチャーをして、首だけになったキティに
ニッコリと微笑んでみせる。キティはあからさまに怪訝そうな表情を見せていた。明らかに現在の『マエストロ』のテンションは、焦燥の色を明らかに
見せていた先程の比では無い。端的に言えば、浮かれている。初対面の時に抱いた冷静なイメージからあまりにも懸け離れている。

 『いったい今から何をしようとしているんだ? あいつ…エイミーをわざわざ閉じ込めたりして』
 「戦う事しか知らない貴女に、『とてもいい事』を教えてあげようかなぁって言う慈善事業よ」
 『…? 慈善事業、だと? 』
 「わっかるかなぁ~? わっかんないだろうなぁ~? うふ、ウフフフフフフフ…」
 『よ、よせ! なんか、なんかやだ! やめ…』

 喚き散らそうとするキティの首に繋がった解析装置の端末を『マエストロ』は操作し、キティの『意識』を狩った。キティは「ろ」と口を開けたまま
ガクン、と停止してしまう。鼻歌を唄いながら『マエストロ』は作業室の棚を漁る。目的のものを探し出した『マエストロ』が手に持っていたのは、
軍用の2足歩行ドロイド用小型バランサーだ。次に整備ベッドの端末を操作し、倉庫のパーツリストを呼び出し軽く頷く。目的のパーツは揃っていた。
着色済み乳化フロロカーボン、高級表皮組織、感覚伝達系擬似神経繊維、そして一番大切な肝心要のパーツ等…。偶然にも全てが揃っていた。いける。

 「さあ、お姉さんが女の子に『戻してあげる』。覚悟なさぁ~い? こ・ね・こ・ちゃん」

 『マエストロ』はゴーグルを装備し、防塵マスクを装着する。そして高周波メスをキティの胴体の下腹に滑らせた。US戦闘用ドロイドの擬似血液である、
特有の白い組織液が溢れ出る。…全行程の作業終了時間は4時間後を予定していた。…『イェーガー』が眠りに就かないうちに仕上げねばならない。
改造成ったキティを見た『イェーガー』の示すだろう反応を想像すると、涌き上がる悪戯心が停められなかった。

769:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:46:37 r5d8zzmn
『イェーガー』の左手首にある、腕時計型をした簡易通信デバイスのデジタル数字が22:30:32を示していた。ダブルベッドの上に胡坐を掻いて、
拡げ、今では骨董品としてプレミアまで付くと言う噂の火薬カートリッジ式ハンドガンを分解しクリーニングしていた。駐屯地を出て、この街に着いてから
真っ先に手に入れた『相棒』だ。デカイのが欲しい、と言ったら、店主の爺さんがまじまじと人相定めをして深く頷いてから店の神棚から下ろして来た
シロモノだった。握った途端、今までに持ったどんな銃器よりもしっくりとグリップが手に馴染んだ。火薬式だと聞いて、銃弾も出して貰い、マガジンに
装填し終えたその時に強盗が入って来た。思わず向けて撃ったら、臓物を撒き散らしてくたばってくれた。レーザーガン用のボディーアーマーを引き裂く
その威力に惚れ込み、値を聞くと…USダラーで119800だ。木箱には$1198としっかり書かれていたのだが、爺さんは死体を指してニヤリと笑い、

 『見たろあの威力を? あと弾丸5箱と予備マガジン6本もつけるが。いい買い物だぜ兄さん? 』

 と言った。惚れ込んだ弱みで、値切るなんて野暮はしなかった。爺さんにフィールド・ストリッピングを学び、原始的なサイトの調整方法も教わった。
整備用・潤滑用オイルもこの街ではなんとか手に入る事を聞き、ガッチリと握手をして別れた。妙に気に入られたらしく、困った事があればまた来なよと
わざわざ店を出るまで見送られた。装弾数はマガジンに7発、チェンバーに1発の計8発。わざわざ専用ホルスターまで出してきて、また吹っかけられて
買ったのも好意を持たれた原因の一つに違いない。表面をマット処理された、黒い金属製の銃。軍に居た頃の銃は同じく黒いのだが、高分子ポリマー製の
エナジーガンで、これに比べれば味気なさ過ぎた。この銃は100年前の遺物。スウェーデン・ハクスバーナ社設計、製造は嫉妬する神ヤハウェを今も
崇めるイスラエル。口径は50AE(アクション・エクスプレス)。その名はDESERT EAGLE、砂漠の鷲(わし)。かつては最強の拳銃と謳われた威力を誇った
火薬式のマグナム・オートマティック・ハンドガン。…過去の遺物だ。今時のハンドガンはエナジーパックで全てレーザー化されている。

 『譲るにはお願いが一つあるのさ、兄さん。…悪いがコイツを『マギー』と呼んでやってくれ。それだけだ』

 店主の妙な注文に黙って頷いたのも好感度を上げる原因だったのだろう。嘗ては『マギー』も、若い頃のこの店主と共に死線を潜り抜けたのかも知れない。
人は老いて行く。だが、道具は壊されない限り、磨耗しない限りその姿を保ち続ける。嘗(かつ)て最強を謳われた『人間の』突撃歩兵が持つ、同じく過去に
最強を謳われた遺物である『マギー』。運命とは皮肉なものだ。思考が展開されてはいるが、両手はハンドガンをアセンブルし終える。マガジンを叩き込み、
スライドを引いている。簡易通信デバイスのデジタル表示は22:32:35を示していた。…もう少し修練が必要だ。そう『イェーガー』が思い、拳銃を
もう一度分解しようとした時にドアがノックされた。弾薬は装填済み。何時でも撃てる。だがここは『マエストロ』の住処だ。紳士的に対応しなければなるまい
と『イェーガー』は判断した。すぐにハンドガンをホルスターに戻し、ロングコートを纏った。すぐにドアの正面に立たず、足音を立てずに蝶番側に回り込む。

 「誰か…居ないのか? 」
 「…何の用だ? まず名乗れ」
 「! 私だ…貴様が捕虜にしたキティ・アレン。なあ…? 入って…いいか? 」
 「鍵は掛けていない。入っていい。そのままドアを開けろ」

 最初に攻撃を仕掛けて来た時と比べ、随分と雰囲気が違って見えた。カッパーブロンドのショートヘアーにやや濃い色の眉、グリーンの猫を思わせる、目尻が
吊り気味の大きな眼はそのままだ。…黒のタンクトップに、隠された中身が見えそうな長さのデニムスカート姿は見かけ通りの歳相応の少女の印象を与えるのに
成功していた。アサルトベストとボディースーツを着ていないだけだが、仮にもこのキティは戦闘用ドロイドだ。武器を隠している恐れがある。『イェーガー』は
警戒しながら近づき、ボディチェックを開始する事にした。まずは右腕を取ろうと近寄ると、ハッと顔を背けたキティの目元が赤くなるのを確認する。

770:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:49:38 r5d8zzmn

 「ちょっと待て。…オマエ、戦闘用ドロイド…だよな? 」
 「…ああ。自分でも戦闘用ドロイドのつもりなのだが…」
 「…何だぁ? まあいい、調べさせてもらうぞ」

 『イェーガー』はキティの言葉に引っ掛かるものを感じながら、相手の右腕を後ろに捩(ね)じ上げ壁に押し付け、武器を所持していないか、体を弄(まさぐ)った。
『イェーガー』の武骨な右手指が、可憐な少女の形をしたキティの身体の上を隈(くま)なく撫で回して行く。超微細震動ナイフ等の凶器を示す固さは無い。だが…
戦闘用ドロイドの反応にしては様子が限りなく『妙』だった。タンクトップの上からでも目視で判るほど、双乳の頂上を示す突起が…勃起していたのだ。それに何故か
呼吸も荒い。大体、呼吸の必要などさらさら無い戦闘用ドロイドが荒い息を吐くなど想像の外だ。荒い息と言うより…色気のある『熱い吐息』だ。ボディチェックを続ける。
次は下半身だ。大きく股を開かせる。顔に血液の凝集反応…興奮の朱が散っていた。『イェーガー』は大きな違和感が心に生じてくるのをようやく自覚した。何かが、違う。

 「んっ…あっ…はぁん…やぁだぁ…もっと…やさしくぅ…」
 「…上半身には武器は無い…無いんだが…! おい、オマエ! 『マエストロ』に何をされたんだ? 」 
 「知らない…知らない! カラダが、カラダが…おかしくなってくるっ…どうにか…どうにかしてくれっ…!」
 「!?」

 キティのデニムスカートを捲り上げた途端、『イェーガー』の目はその部分に釘付けになってしまった。戦闘用ドロイドには存在するはずが無いシロモノが存在していた。
ボディチェックの為に足を開かせていたため、その表面のぬめりが室内灯を反射し濡れ光っていた。妖しくも美しい、女性だけが持つ生命の生まれ出ずる門が、キティの
股間のスペース、恐らく何も存在しなかったであろう部分に穿たれていた。誘うように腰をグラインドさせるキティの腕とスカートを慌てて『イェーガー』は戻し、そのまま
ベッドへと座らせた。『イェーガー』は頭を強く振り、見たものを忘れようと努力する。表情が変わっても顔色が変わる事の無いはずの戦闘用ドロイドが、今では外見相応の
少女そのままの初々しい反応を見せていた。時折『イェーガー』の顔をチラッ、チラッと横目で盗み見て、手持ち無沙汰に両手の指を組み合わせたり、自分で自分を抱きしめ、
俯いてイヤイヤッ、として見せたりする。プログラムで指示・命令された反応では無い。急に感覚伝達器官が増えて戸惑っているだけだ。深呼吸を数回行い、『イェーガー』は
まず自分の本能を落ち着かせる。

771:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:52:10 r5d8zzmn
 
 「…落ち着けるか? 」
 「だめだ…ミスフィード…。全然調整コマンドが効かない…」
 「ええとな…キティ。黙って自分のスカートの中身を見ろ。そしてその存在を理解し、受け入れ、納得しろ」
 「!! い、嫌だ…出来ない…怖いから…っ!!」
 「衝撃は確認出来たな? いいから落ち着け。俺の言ったことが理解できたなら実施しろ」 

 加減してキティの頬を張ってから、場違いにも、ぱんつぐらい穿かせてやればいいのに、とふと『イェーガー』は思ってしまう。『マエストロ』は意図的に席を外したのだ。
それからオートタイマーで覚醒させたキティの着替えのみを用意し、何も知識も与えずそのまま放って置いたのだろう。頭で理解させるよりもカラダで理解させた方が早い。
だがこうなる事を想像して…? そこまで考えた『イェーガー』の思考は唐突に中断を余儀なくされた。

 「い…嫌あああああああああああああああああっ! 何か、何かへんなのがついてるぅぅぅぅぅぅ?! 」
 「…やけに可愛い声を出すじゃ無いか、子猫ちゃん? そう、それが人間と一部ドロイドの女についてる器官さ。…おめでとう。赤飯炊くか? 」
 「こんなの…こんなのって…ひど…酷い…無断でこんなの取り付けるなんて…いくら捕虜だからって…こんなのっ…こんなのぉっ! 」
 「泣くな泣くな泣くなっ! …おーちーつーけったらっ! 俺がしばらく傍に居てやるから…落ち着け。いいな?」
 「わかった…やって…みる…」

 『イェーガー』はキティの隣に座り、ショートヘアをわしゃわしゃと大きな手で撫でてやる。『マエストロ』のこのキティに対する行為は純然たる好意から出たものだろう。
しかしキティは『戦闘用ドロイド』たる自分に誇りを抱いて必死になって存在して来たのだ。そんなドロイドに性器を強制装備させるのは言わば強姦、レイプに等しい行為だ。
元々組織・器官・関節・神経異常を痛覚で知らせるだけだった感覚器官が、これまで経験した事の無い感覚を、頭脳の情報処理中枢に絶え間無く伝えて来るのだろう。スレッド
処理が追いつかないだけなのだ。『イェーガ』は任務中に身体の一部を失い、一時的に感覚を遮断した部下のドロイドの例からそう判断していた。身体の修理が成って感覚を
『復活させた』時、同じ様に感覚の違和感から不安に襲われていたのを宥めた事を懐かしく思い出す。確かあの時は膝枕までねだられたな…。『イェーガー』はキティの頭を
撫でるのを止め、今度は背中を優しくさする。

772:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:53:10 r5d8zzmn
投下終了。次がやっとエロです。一部改行失敗して済みません。では、また。

773:名無しさん@ピンキー
07/08/10 00:13:46 y79CfUNe
いかん、ニヤニヤが止まらない。GJ!

774:名無しさん@ピンキー
07/08/10 01:14:49 fLodAxad
この展開でやっとわかった
これは>>623に至る経緯だな

775:名無しさん@ピンキー
07/08/10 05:36:19 T3u2U/DN
>>772GJ!!
そして>>772のSSに誘発されて、戦闘用セクサロイドを作りたくなった。


まずは・・・人工知能と人工皮膚だな。

776:名無しさん@ピンキー
07/08/10 11:01:26 SKZPl2RO
戦闘用がベースかセクサロイドがベースかで好みが分かれると思う。

・戦闘用    ・・・つるぺた。性格が犬タイプ。
・セクサロイド ・・・ボンきゅっポンのばいんばいーん。性格が猫タイプ。



777:名無しさん@ピンキー
07/08/10 17:00:58 IEdLAOTp
戦闘用でおっぱいミサイルを考えないとは…。

「ハカセ、これはちょっと…」
「軽装甲目標用のHESH弾頭だ。高速弾だし。MBTには効果無いからきをつけろよ」
「いやそういう問題じゃなくて」
「エア射出後にブースターからサステナーに以降する。ボディに対する噴射ダメージは無いはずだ」
「そ・う・じゃ・な・く・て! 内蔵型AoAのSMGでもいいのに、なんで大型目標用の火器をつけるんですか!」
「おっぱいミサイルは男の浪漫だ。なんならチクビームのユニットに変更しようか? 既にあるぞ?」
「み、ミサイルでいいです…」

「交換ユニットは色々あるからな。通常生活用の防護防弾防爆型、乳幼児育児用もあるぞ」
「…なんで胸部をマルチパーパスサイロにしたのか、よくわかりました…って、育児型!?」
「粉ミルクと飲料水をセットすると、内部で生成、適温にできる優れものだ。消毒、メンテも簡単」
「誰に飲ませるんですか。ハカセ、独身じゃ…って、早速交換しないでください!」
「んー、企業でドロイド用に小型化の依頼があってな。一応成功ってことでロイヤリティもらっとる」

「確かに交換ユニット型でこのサイズは凄いとは思いますけど…あれ? ポンプなんて取り出して何を?」
「人工皮膚からの出力量のテストがまだなんでな。赤子の吸引量や最大耐久のテストを…」
「いや、いやぁ!  ちょっと、なんですかその…あう!? この人の口みたいに動、くっ!」
「吸い方パターンの感覚器テストだ。単に吸って出るよりリアルだろ。がんばれ?」
「だめっ、ハカセ! これセクサロイド用のニューロワイヤー認証っ! 伝達データが多す…ああうっ!」
「あ、悪い。丁度良いパーツ無かったから流用した。やっぱフィルタ…コストからしてあっちに…ブツブツ」
「考え込んでないで止めて、止めてくださいぃ! ああああっ!」

すまん、来月発売のゲームでターンエーが出てくるのとMGのターンエーを買ったんだが、
どういうわけかこんな妄想が浮かんできたんだ。多分、無駄に技術を注ぎ込んだ牛フィギュアの影響だろう。
何考えてんだ俺。

778:名無しさん@ピンキー
07/08/10 18:48:05 /4TjCanY
場の空気はしっかりと読むものだと真剣に思いました
終わりの数行の日記帳がなければネタとして通用したよ
惜しかったね

779:名無しさん@ピンキー
07/08/10 19:02:22 X9UBRIOr
>>778>>777のロボ子の手によって断罪されるべきだ。

780:名無しさん@ピンキー
07/08/10 19:12:04 UX4XH2Hy
だが、778の言う事は真実である。

781:名無しさん@ピンキー
07/08/10 19:29:29 EFynZxvY
いや、このぐらいの個人語りは認めてもいいだろう

ただ、あとがきとしてスレを分けるべきだったな

782:名無しさん@ピンキー
07/08/10 20:32:54 suPPwYxu
>>772GJ! 
>>772がどこのスレから誘導されたかは知らんけど、誘導した奴に感謝したい。

783:752
07/08/11 00:53:46 Y8PuW5La
想像力が無いので妄想の出元を書いたのですが、>>777は流石に蛇足が過ぎました。
すまんとです、住人の方々…。


784:名無しさん@ピンキー
07/08/11 01:29:52 36dMs7KA
どんまい

785:名無しさん@ピンキー
07/08/11 06:15:44 wLH/xI7y
このスレは平和だねぇ

786:名無しさん@ピンキー
07/08/11 09:47:20 XHG5lodw
まあ2chである事だからして煽りは当然あるものと思っておく。
ロボ娘ネタで萌えさせる意気込みこそが正義。妄想が降りてきたら書き込むべし。

787:名無しさん@ピンキー
07/08/13 03:01:09 ch+qNJqR
先生・・・エロシーン一歩手前でおあずけは・・・辛いです

788:名無しさん@ピンキー
07/08/13 04:20:47 iTVN28j2
保守

789:名無しさん@ピンキー
07/08/14 10:53:23 0aDuJQt/
『おはようございます旦那様、コーヒーをお持ちしましたv』
『あなたの生活をサポートする最新テクノロジー、アサカタイプ2557コハル
三原則と倫理回路によって、本当にあなたを慕うAI
我々が造るのは未来です』
アサカ社のCM
立体テレビに映る愛くるしいメイドロボの下にはアドレスと『特殊仕様へのカスタマイズは別途料金がかかります』の注意書き
アサカ社の新製品は男達の夜の欲求を満たし得る最高傑作と謳われ、現に売り上げ台数は既存製品を遥かに超えていた

だが、俺には………

790:名無しさん@ピンキー
07/08/14 11:05:49 0aDuJQt/
「コーヒーできたぞ、飲みやがれ」
電気炊飯器が…じゃなくて、電気炊飯器のような形状の、アームとキャタピラを備えたメイドロイドが、声だけは萌える女子の声でモーニングコーヒーを運んでくる
キュラキュラ…ウィーン…
「飲んだらさっさと会社に行け、弁当は作ってある」「…」
「?なんだ主人、いい加減私をメンテナンスに持っていく気になったか?」
俺の溜息等意に関さない、旧型メイドロイド、アサカタイプ1005チエ…
そう、俺には彼女がいる……
だから…………新品を買うだけの経済的余裕がない!

791:名無しさん@ピンキー
07/08/14 11:13:20 pzg+Ex1z
>>789

ロボ子「ワッフルの無限ループを提案します」

792:名無しさん@ピンキー
07/08/14 11:21:09 0aDuJQt/
これでも彼女…チエは、買った当初はもう少し媚びた台詞をはいてくれた物だ
『ご主人様、朝食のお時間です』
『行ってらっしゃいませご主人様』
形状はどうあれ、有名声優が入れた声で慕われるのは悪くなかった
しかし、アサカ社の有料メンテナンスを怠った彼女のAIは今や、人間との生活に伴う不条理と三原則との矛盾によって生じたカオスに陥り
劣化し放題、荒れ放題、家事をしてくれるだけマシだが、私を見下し、蔑み、汚い言葉で罵る事さえある

793:名無しさん@ピンキー
07/08/14 11:37:51 0aDuJQt/
「何をしている主人、さっさと着替えて仕事に行け
そしてその蟲の湧いた脳みそに少しでも私を労う気があるなら、風俗に回す分の少しを裂いて天然オイルとウイルス駆逐ソフトの最新verを買ってこい」
うぃーーーん、ズゴゴゴチュインチュイン
チエは非ヒューマノイド型のボディから最長30m伸びるロボットアーム4本と、本体下に備えられた強力な吸気機で
部屋掃除と食器洗いと洗濯と植木の世話を“全て同時に”始めた


「………」
萌えない、はっきり言って萌えない
PCや携帯が半年で型落ちするのはよくある事だが、これでは詐欺だ

794:名無しさん@ピンキー
07/08/14 11:49:38 0aDuJQt/
「おはようサエキさん」
ムカつく笑顔で声をかけてきたのはお隣りに済む老人、タナカさんだ
「おはようタナカさん」
「ほれコハル、お隣りに挨拶せんか」
「コハル?」
聞き覚えのある名前を呼ばれ、オドオドしながら現れたメイドロイドは、例の新製品コハルだ
このエロジジィ、昨夜は何か運び込んでると思ったらそういう事か
「は、はじめまして…よろしくお願いします!」
成る程こいつが新製品、生で見ればその違いがわかる程萌え所を押さえている
「婆さんの遺産で買うたんじゃよウシシ」
うるせー自慢すんなジジィ殺すぞ

795:名無しさん@ピンキー
07/08/14 12:02:37 0aDuJQt/
続きはまた今度


次回は炊飯器型メイドロイドチエさんとのワクワクドキドキ生活
ドジっ娘メイドセクサロイドコハルちゃんの恥ずかしい秘密
ツンデレチエさんコハルちゃんにヤキモチ?

の三本で

796:名無しさん@ピンキー
07/08/14 16:06:00 zR8WU8H/
ちょっと俺炊飯器に萌えてくるノシ

797:名無しさん@ピンキー
07/08/14 18:17:09 0aDuJQt/
ちょwwwおまwwww

798:名無しさん@ピンキー
07/08/15 01:15:17 xcSFSAm2
これは期待せざるをえない

799:名無しさん@ピンキー
07/08/15 03:21:21 thLtn+NQ
なんという神妄想wwwGJ!!!




ちょっくら炊飯器メチャメチャに改造してくらぁ

800:789
07/08/15 11:03:23 c+nWsN8l
「お隣さん、コハル買ったそうだ」
仕事から帰ってさっそくチエに話してみた
彼女は携帯電話の充電スタンドをまんま巨大化したような充電器でチャージ中で、その様は便器に饅頭が座ってるようにしか見えない
「…アサカの新商品か、モーニングコーヒーからオマ○コまで何でもするセクサロイドだろう?」
有名声優の超萌えボイスで身も蓋もない事をいう炊飯…もといメイドロボは、4本あるロボットアームを伸ばし、器用に俺の背広をハンガーにかける
「私だってオプションの人工性器つければ、掃除洗濯食器洗い植木の世話とオ○ンコ全部同時に世話してやる」
電気炊飯器に突っ込む自分を想像し、それだけはかんべんしてほしいと思った
「が、貴様にそんな甲斐性があるならまず私をメンテナンスに連れていけ、そうすれば喋り方くらいは矯正できるだろう『ごしゅじんさまぁ~』ってな」
三原則の第三条『自身と自己の維持』によって、全てのAIは定期的なメンテナンスを望むよう“傾向付け”られている
しかし第三条には『第一条及び第二条に反しない限り』という制約が着いているため、有料サービスである定期メンテナンスは主人の許可がなければ受けられない
彼女がこんな偏屈になってしまったのは、きっとそのジレンマのせいだろう
AIの定期メンテナンス月額4万円という額は、今の俺の収入からすると少々痛手となる、何故なら…
「で、主人…貴様の帰りが遅くなった理由、まだ聞いてなかったな」
テーブルの上に用意された夕食に手をつけようとした矢先、非常に触れられたくないポイントをクリティカルに貫かれた
「言い訳は無用だ主人、さっき貴様の背広のポケットをスキャンした、8cm大の硬紙が入っている」
「あれはお得意先の…」
キュゥィーーン…
俺の言葉は彼女のアームの先でモーター音と共に高速回転する紫色の名刺によってさえぎられた
「『ソープランドあわあわ エリー』ご丁寧にアドレスと電話番号まで直筆で書かれているな、コレが貴様のお得意様か?」
「本当に申し訳ありませんでした」
何で炊飯器に謝ってんだ俺
いや、有名声優の超(ryで感情の起伏なく説教食らうと本当怖い
しかも彼女の場合ツンデレとかクーデレとかじゃなくてだな

801:789
07/08/15 11:04:43 c+nWsN8l
「いいか良く聞け肉団子、私はロボットである以上、貴様の生命を維持する事を最優先させなければならない、それが私のアイデンティティだからだ
しかし肝心の貴様にその気がなければどうだ?自殺しようとしている主人を拘束して手足をもいだアンドロイドの話は知っているな?我々の三原則と倫理回路はその帰結を可能としているんだ
私にそれをやって欲しいのか?どこぞのフィリピン女につぎ込んで身を崩し、野垂れ死にしないよう、貴様の行動を制限して欲しいか?んん?」
彼女のアームの先にはいつのまにか、材木切断用の丸ノコが唸っていた
俺は泣きそうな顔で首を左右にぶんぶん振る、すると彼女は丸ノコをしまい、代わりに卵焼きに着ける醤油の瓶を俺に手渡した(余談だが彼女の作る卵焼きは最高だ)
「そうか、正直私はやる方の答えを期待していたんだがな」
正直三滴ちびった、恐妻家じゃなくて凶妻家
お隣今ごろコハルとズコバコやってんだろうなエロジジィまじ死ね
そんな俺の心境を悟ったか、チエは本体から小型集音器(元々チエは災害救助ロボットを改造したものらしく、屋材の下敷きになった人間を救出する為にこの手のオプションが残っている)を取りだし
それを壁に当ててお隣の夜の営みを大音量で再生した
『ごひゅひんはまらめっ!あっ!あはぁぁっ!』
『ほっはっほっ!なんとこの、ミミズ千匹じゃぁあ!』
『あぁぁっ!いふ、いっひゃいまひゅぅ!』
『いってしまうが良いぞコハルよ、拙者の愚息で昇天いたせぇい!』
『終わったらしっかり洗浄してくださいましねww』
『え?あ、はい…』
もうなんかイヤになった、寝る


802:789
07/08/15 11:05:21 c+nWsN8l
翌日、仕事は休みだったのでチエを連れてお隣さんを尋ねてみた
チエがどうしても新人の顔を見たいとか、いや、お前勝てないから…
「コハルです、よろしくお願いします」
黒髪を靡かせながら愛くるしく会釈するガイノイド、表も裏もなく、本当の意味で主人に尽くすメイドロイド
最新の技術を取り入れ感情を再現する人口知能、これが金の力か、死ねジジィ
そういえばそのタナカのジジィは昨日の一発で疲れて寝てるそうだ
コハルは俺の足元に転がってる炊飯…じゃなくてチエを見付けると、まるではしゃいだ子供のように目を輝かせた
「うわぁ、チエさんですね!?先輩…って、呼んで良いですよね、新人のコハルです、色々教えてくださいw」
「……腕が二本しかないな」
いや、それ普通だろ
「おい新人、ガイノイドタイプはオマン○専門だが、お前掃除洗濯食器洗い植木の世話全部同時にできるか?」
突っ込んだ方がいいのだろうか
「うぅ、できません…」
シュンとして涙目になるコハル、畜生可愛い
俺の横に転がる血も涙もない炊飯器は更に冷たく言い放った
「メイドの本分を思い出せ、我々の使命はゴミムシにも劣る劣等生物たる主人の生命活動を手段を選ばず延命させる事だ」
「うぉおおおいいい!」
思わず叫んじまった、タナカのじい様が寝ててよかった
「そうですね!先輩私、目が覚めました!これからご主人様の健康の為に掃除洗濯食器洗い植木の世話と夜のお供全部同時にできるよう頑張ります!」
目に炎のエフェクトを表示して握りこぶしを掲げるコハル
アニメとかで良くある萌えシーンなんだろうが、言ってることがメチャクチャ過ぎる

803:名無しさん@ピンキー
07/08/15 11:10:46 c+nWsN8l
続きはまた今度
昨日は酔った勢いでネタ半分で書いたつもりなんだが、なんか好評みたいなんで続けてみます
タイトルとか考えた方がいいかな

804:名無しさん@ピンキー
07/08/15 12:50:15 xnKV/Wd6
卵焼きの一連のやりとりに萌えた
炊飯器が可愛く思えてきたんだが俺どうしよう

805:名無しさん@ピンキー
07/08/15 13:11:48 WGo/LrG3
アイギス

806:名無しさん@ピンキー
07/08/15 14:17:55 aJ2g7WIP
炊飯器なんざお呼びじゃねえよ

・・・良いな、炊飯器

807:名無しさん@ピンキー
07/08/15 14:21:41 l4Estyje
炊飯器ばかりに萌えてると湯沸かしポットとトースターに反乱おこされるぞ(w
GJ

808:名無しさん@ピンキー
07/08/15 21:39:02 zwrCSZlp
なんだか、ワンダービットの家電の話を思い出したw

809:名無しさん@ピンキー
07/08/15 23:16:44 46VbK5ai
萌えの何たるかを再認識させられるなぁ。ひたすらにチエの物語を紡いでくれ。俺は読む。ひさびさに読む。

810:名無しさん@ピンキー
07/08/16 00:58:35 D1Et8GgP
炊飯器と言うか、なんだかNHK教育のパンツぱんくろうに出てくる、せんたこはっちゃんのイメージが……
URLリンク(www.akiyama-tadashi.com)

811:名無しさん@ピンキー
07/08/16 01:06:03 pjOlWeEo
相変わらず教育テレビは自由だな……

812:名無しさん@ピンキー
07/08/16 19:50:56 yC9PJUne
これは萌えの範疇に入りますか?
URLリンク(park14.wakwak.com)

813:名無しさん@ピンキー
07/08/16 20:09:24 u84X+Vcr
なんだか茶運び人形を思いだしたぜ

814:名無しさん@ピンキー
07/08/16 22:16:24 pt2e9jDt
鼻が鋭い!

武器!?武器なのね!?

815:名無しさん@ピンキー
07/08/16 22:29:03 yC9PJUne
>>814
無理に口で奉仕させようとすると自衛のために攻撃します。

816:名無しさん@ピンキー
07/08/16 22:33:26 NDR61ybh
まだ当分は炊飯器で良いかなw

817:名無しさん@ピンキー
07/08/16 23:28:31 y2v7qeac
考えてみたらメイドロボって家電製h…
ん、誰だこんな夜中に

818:名無しさん@ピンキー
07/08/16 23:48:17 yC9PJUne
自分的には、こっちの画像がちょっと萌え。
背景が台所な所がちょっと萌え。
URLリンク(www.maidroidlab.com)

819:名無しさん@ピンキー
07/08/16 23:55:21 kJFmL+Ld
顔の造型はオリエントを見習うべきだ
メカっぽくするか、人に近くするのか方針をはっきりさせるべきだと思う

820:名無しさん@ピンキー
07/08/17 00:26:13 HXPIGliG
オリエントは凄いと思うが、萌えるかと言うと俺はちょっと微妙だ。

821:789
07/08/17 13:39:57 ejytTJpn
チエは我が家の家事を全てこなしているわけだが、散らかす人間は俺一人、彼女のスペックからすれば全ての仕事を10分で済ませてしまう事も難しくない
これはヒューマノイドタイプや、最近流行りのセクサ…ガイノイドタイプには到底真似できない事だ
当然だろう、ガイノイドが愛玩用のぬいぐるみとするなら、チエは家電製品に近いのだから
しかし人間というものは欲張りなもので、多少作業能率が落ちようとも見栄えを優先し、より人間に近い形のメイドロイドを求めるようになっていった
最近ではAIからの信号にわざとノイズを発生させ、意図的にミスを起させるようなマニアックなオプションまで開発された
例えば食器を運搬中、躓いて転倒してしまうというロボットにあるまじき行動をとるようにする代物だ
当然これはメーカー純正品ではなく、組込んだロボットには誤作動や機能停止が頻発するようだ
おまけにAIという物は本来、より正確で適切な行動を選択するように作られているはずで、意図的にミスを起すという否論理的行為事自体、AIにとって悪影響意外の何物でもないという専門家(一体何の専門家だ)もいる
しかし、お隣のエロジジイ事タナカ老人が購入した、アサカ社の最新モデル、タイプ2557コハルは、この男の夢とも言うべきドジッ娘メイドロイドを、何と業界で初めて純正品として実現したのだ
ロボット三原則と倫理回路に則って行動するAIに、一体どのような解釈でそんな真似を可能にさせたのか、いやはや技術のチンポじゃなかった進歩というものは恐ろしいものだ

バタン!ガラガラガッシャーン!
「くぅおら!またかこのガラクタ!」
「ふぇ~~~ん!ごめんなさいーっ!」
けたたましい破壊音と共に黄色い悲鳴と罵声がお隣から響いてくる、またチエが隣のコハルにちょっかいを出しているようだ

822:789
07/08/17 13:40:29 ejytTJpn
さっきも言った通りチエの作業能率の高さは異常であり、掃除洗濯食器の片付けと植木の世話を全て5分で済ませ、有り余る予備電力をさて俺への嫌味に費やそうとした矢先
お隣の超激マブメイドロイドコハルが家のチエを尋ねてきた
『ごめんくださぁい!先輩、いらっしゃいますかぁ?』
『ふん、新人か』
キュラキュラとキャタピラを蠢かしながら玄関を出たチエと、外でお行儀良く待つコハルの間にどのような会話があったかは知らないが、とにかくチエが「少し出ている、何かあったら非常信号ボタンを押せ」と言って出ていってしまったのが20分前
どうやら先ほどの音を聞いた限りでは、やはりお隣のコハルもドジッ娘メイド機能をオンにされているのだろうか
盗み聞きするつもりではないが、いやむしろ非常に興味深いので聞き耳を立てる事にした
「ひっぐ、ごぇんなさぃ…歩こうとするとノイズが…」
「木偶人形め、ノイズをカットすればいいだろうが」
「だってぇ、私のノイズ発生装置はご主人様の許可が無いとプロテクトがぁ」
「あぁまったく、このガラクタにバカ主人とはな」
「うわぁぁん、ご主人様の悪口はダメですぅ」
ジジィが歯医者に行っていてよかった、というかそんなにミスが多いのかドジッ娘ロボ…
まぁこの程度で済んでいる間は止めには入らなかったのだが…

823:789
07/08/17 13:41:28 ejytTJpn
「まったくお前のどん臭さには私のAIも熱暴走起しそうだ」
「スキャンしましたけど、まだそんなに発熱は」
「この、バカマ○コが!」
「きゃぁあ!ちょ、何するんですかせんぱい!あひゃっ…いやぁああ!」
「人工マ○コ撮影してネットにリアルタイムで流してやる」
「あっ、やめ…CCD挿入しないでください!」
なんとけしからんもっとやれ、じゃなかった、止めに行かなくてはそのなんだ、困る

慌てて隣の家に不法侵入してみると、案の定エロいじゃなくて偉い事になっていた
チエは伸縮自在の細長いアームを駆使し、二本でコハルの手足を拘束、残り二本でメイド服をはだけさせ、ガーダーやブラを(エロジジィ!ガイノイド用に本物のランジェリー買ったのか死ね!)引き摺り下ろして、人間の女性そっくり作られた各部を弄くり倒していた
コハルは玄関の俺にうつ伏せに尻を突き出すと言う、なんともはしたない格好をさせられ、えんえんと泣き喚いている
いや、初めて見たが、コハルのそれは売れるのも分かる出来だ、透き通るような白い肌の質感は到底合成ゴムとは思えなず、継ぎ目も殆ど目立たない、プラグの孔すらホクロに似せられている程だ
チエのアームできつく縛られ、強調するような形に搾られている胸部パーツの先端は、ピンク色の突起が自己主張をはじめている(チエのヤツこんなエロテクどこでメモリーしたんだ)
同じくアームが絡み付く二本のフトモモはむっちりと肉付きよく、その表面にはうっすら汗のような分泌物が付着していた、恐らくは冷却水の一種だろうか
無理やり開かれた脚の付け根、そこには計500個もの感圧センサーと12個の振動収縮モーターを内蔵した、高触感シリコンと合成ゴムで造られた人工の花が見事に開花していた
チエはアームの先でその花びらをチロチロと弄り、パクリと開いたそこに災害救助用のCCDカメラを挿入した
途端にコハルは甲高い悲鳴をあげる
「やぁああ!撮らないで!温度とか圧力とか測らないでくださいぃぃ!」
「だまれオマン○人形め、撮られて擬似性感信号流してるんじゃないよ、変態仕様か貴様は」
「ご主人様の注文通りなんですぅ、私のせいじゃありませんんっ!」

824:789
07/08/17 13:42:34 ejytTJpn
俺は最初黙って観察するつもりだったが、センサーの化け物であるロボット2体は俺の侵入にすでに気付いているはずで、まず先にコハルが悲鳴をあげた
「いやぁあああサエキさん見ないで見ないでくださいっ!」
モネモネと芋虫のように身悶えて恥らうコハルの姿はずっと見ていたかった
「続けて…じゃなかった、何やってんだよチエ」
チエはくるりと本体だけを俺に向け、コハルを嬲り続けながら答えた
「見ての通り、オ○ンコの具合を撮影している、ただの知的好奇心だ」
「ひぃぃっ!そんな事言わないでください!」
どうやらお隣の俺に見られて相当恥ずかしいようだ
コハルのAIは恥じらいを再現する事もできるのか、うらやましい
だが元々大量の処理能力を必要とするこの手の擬似感情は、AIにとってはとんでもないストレスになるらしく、コハルも例外ではなかったようだ
プシューーー…ゴトっ
湯沸し器から蒸気が噴出すような音と共に、コハルの頭部が床に突っ伏した
「………『限界温度を越えた為、強制冷却モードに入ります、再起動後異常が見られた場合は本社…』」
コハルのスピーカーから無機質なアナウンスが流れ、みっともない格好で転がったままマグロのような表情で文字通り固まってしまっていた
「……」
「……」
さて……………ジジィが帰ってくる前にふけるか

825:789
07/08/17 13:44:32 ejytTJpn

だが帰り際、タナカ宅の玄関をチエと2人で出た途端、俺の脳裏に不可解な疑問がよぎった
「チエ…さっきお前なんて言った?」
「新人のマン○ハメ撮りした時か?」
だから超有名声優の萌えボイスで凄まじいセリフ吐くな
「待ってろ、メモリーを確認してやる……『見ての通り、オ○ンコの具合を撮影している、ただの知的好奇心だ』これか?」
「…んんんっ!?」
立ち止まり首を傾げる俺の横で、チエはLEDを点滅させながら見上げ(?)てくる
「どうした主人、溜まってるなら家で映像を再生してやろうか」
「お前『知的好奇心』なんて言葉、どこからでてきたんだ?」
「そりゃ…んんんんんっ!?」
どうやらチエもその言葉の意味する所に気付いたようだ、LEDがめまぐるしく明滅をくり返している
知的好奇心…AIにとっては、ましてチエのような純粋な作業機械には無用の言葉だった

826:789
07/08/17 13:54:00 ejytTJpn
今回はここまでです、タイトル考えたけど良いのが浮かばない
なんかいいのない?

827:名無しさん@ピンキー
07/08/17 13:58:34 ManoSuNn
>>826

ぐっじょー。

タイトル……『夢見る炊飯器(の、ようなもの)』とか。
タイトルは作品のテーマを暗示するものだから、今後の展開がわからない読者には
つけづらいものではあるんだよね。ズレてたらスマソ。

828:名無しさん@ピンキー
07/08/17 20:38:35 IsOxJpO9
  、  ∩
( ゚∀゚)彡 GJ炊飯器! GJ炊飯器!
  ⊂彡

829:名無しさん@ピンキー
07/08/17 22:28:12 JJo/sEQW
んー「チエの輪」とか(適当に言ってみる)。
不思議な疾走感のある文体だ。展開に期待。

830:名無しさん@ピンキー
07/08/17 22:29:25 dw6/c++6
相変わらずこのスレは疾走するときと失踪するときのギャップが大きいなw

831:名無しさん@ピンキー
07/08/17 22:31:37 RnjaEKHY
駄洒落レスに失笑しそう

832:名無しさん@ピンキー
07/08/17 22:54:00 tf+ZQ1fq
>>826
取り敢えず、句点を使おうよ。誤字だらけなのはまぁいいとして。
発想と表現は悪くないんだからさ。

833:名無しさん@ピンキー
07/08/18 00:08:55 1NBCKfbi
アドバイスするにしたって何でそんなに上から目線なのさ

834:名無しさん@ピンキー
07/08/18 00:46:06 HI+zNiwk
まああれだ。楽しみな新機軸が出てきてるわけで荒れないうちに釘さしとこう。スルーも肝要なり。

835:名無しさん@ピンキー
07/08/18 00:56:07 1tVEMw0L
>>833
句点を書かないと、「本人乙」って書かれるぞw

836:826
07/08/18 01:05:03 5g4jyYip
おまえらのアドバイスが余りにも有り難過ぎて目から塩水が止まらないんだぜ
タイトル案出してくれてるとかマジ感謝
今後の展開としてはシリアスにしてこうと思う
後誤字な、うん、確かに勢いだけで書きなぐり気味だからもう少し気をつけてみるよ、指摘感謝
作者はあんまり顔出すとウザいよな、大人しくしてます

837:789
07/08/18 14:12:19 FYqhDlZF
家に帰ってすぐ、チエは自己診断プログラムでバグチェックを開始した。
しかし、彼女の自己診断ソフトは旧式で万全とは言えず、チエは何度も何度も診断を繰り返し、まるで眠ったように沈黙し続けた。
たかが『知的好奇心』されど『知的好奇心』、効率を重視する機械が吐くにしては気が利きすぎているとは思うが、AI自身にとってどれほど危険な言葉なのか、人間の俺には想像もつかない。
ただ何となく、時折怯えたように振動音を発し、何度もチェックを繰り返す彼女の姿は、気の毒な気もしないでもなかった。
俺には何も言える事はないだろうが、明日は彼女の言った通りメンテナンスに行かせようと思う。今夜はもう寝る事にした。

深夜2時頃だろうか。
妙な寝苦しさに朦朧とした意識が戻ってきた。
腹部に感じる異常な圧迫感。タナカ宅に(そう言えばコハルのメモリーを消去するのを忘れていた、何て言い訳しようか)不法侵入する直前に見ていた怪奇番組のせいで、自分の上に生首が乗っているような妄想に取りつけれてしまう。
何を隠そう俺は超ビビリだ、目を空けて確認したくても恐ろしくてできない。
それに何なのだろうこの重さ、生首よりも遥かに重い、まるで電気炊…
「起きろ主人」
「ひゃぁああああ!?」
正直生首よりこっちの方がおっかない。チエは俺の腹の上で赤のLEDを点滅させながら、俺を見つめていた。
「なにやってんだよぉおおお!」
「みっともない声を出すな、私の質問に答えろ」
チエの言葉は真剣そのものだった(悪ふざけする事があるのかどうかは突っ込まないで欲しい)。それもどこか弱弱しい。
買ってもう1年近くなるが、こんな彼女を見るのは初めてだ。
やはり明日、メンテナンスに…
「…私は故障しているのか?」
「……」

838:789
07/08/18 14:13:00 FYqhDlZF
「自己診断プログラムを217回繰り返したが異常は見つからなかった、しかし1世代前の代物だから信頼できない」
「明日メンテナンスに行けよ、俺の許可があれば自分で行けるだろ」
ロボット三原則第3条『人間の生命と権利を脅かさない範囲内で自らの存在を保持せよ』だったか。
彼らもまた、自分達が変わってしまう…故障してしまうのが恐ろしいのかもしれない。
元はと言えば俺がメンテ料を渋ったのが原因だ、責任を感じてないかと言えば…
「元はと言えば貴様のせいだ肉団子、貴様がどこぞのフィリピン女に金をつぎ込まなければこんな事にはならなかった」
うるせぇ余計なお世話だ。
「明日も仕事なんだ、もう寝かせろ」
「分かった…」
チエのキャタピラが俺の上を這う気色悪い感触の後、ベッドの下からまた彼女の声が俺を呼んだ。

                  「私は“私”か?…それとも、単なるバグか?」

何を機械の分際で哲学かぶれなセリフ吐いてんだか。
「少なくとも俺の目には、お前はいつも通りに見える」
「そうか…休め主人」
畜生かわいくねぇ。


839:789
07/08/18 14:14:24 FYqhDlZF
翌朝チエのモーニングコーヒーは無く、俺は久しぶりに目覚まし時計の悲鳴で目を覚ました。
チエのヤツもう行ったのか。
最悪の気分でベッドから這い出し、恐らくは朝食が用意されているであろう、テーブルに向かう、が…
「のわぁ!?」
ベッドの足元で転がっている炊飯器に小指を打ち付け、俺は片足でケンケンしながら唸った。
畜生すっかり目が覚めたぞ。
チエのヤツはそこでウンともスンとも言わかった。
良く見れば彼女の残り電力量は0.5%を切り、赤い警告灯が弱弱しく点滅している。
慌てて10kg以上ある彼女を充電器まで運び、子供を便座に座らせる要領でセットした。
運動不足の身体が恨めしい。
「……『省電力モード解除、再起動後異常が見られた場合は本社サービスにご連r』なんだ主人か」
なんだじゃねぇよ何してんだこいつ。
「一晩ずっと思考していたらバッテリーが落ちてしまってな」
「何言ってんだお前、自殺でもする気だったのか」
ロボットは自殺をしない。
人間の命に関わるか、人間に命令されない限り自殺(自壊)しないよう第3条で定義されている。
つまりは彼女がこんな行動に出たからには、俺に問題があるという事なのだろう。
「貴様の生命を保護する事が最優先される、故障の可能性が完全に否定できない現状では、不本意ながらその選択も範囲内だ」
可愛くないがこいつはこいつでロボットとして必死なんだな。
チエは各部システムをチェックするよう、アームやキャタピラの動作を確認しながら続けた。
「か、勘違いしないでくださいよ!?私、ただシステムに忠実なだけ、なんですから!…確か『ツンデレ』とか言うんだったな」
「さっさとメンテナンス行けよおぉぉぉぉお!」
朝飯、自分で作らなきゃな…

『昨夜7時頃、○○県××市の△歯科医院で、治療中の78才の男性が意識不明に陥り、同市総合病院に搬送されました』
忙しさのあまり俺は今朝のニュースを聞き逃していたが、まさかタナカのジジィが昨夜から帰っていなかったとは…

840:789
07/08/18 14:17:31 FYqhDlZF
うおタイトル書くの忘れた
タイトルは『メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ』でおながいします

841:名無しさん@ピンキー
07/08/18 14:27:14 +aVx4sNe
もうちょっとしたライトノベル短編のクオリティーだな
ウチの炊飯器も何かしゃべらねぇかな?

842:名無しさん@ピンキー
07/08/18 14:55:19 TrKLTWwz
なんつーか、色んな感情よりも先に楽しいんだがw

843:名無しさん@ピンキー
07/08/18 15:42:37 HI+zNiwk
プレッシャーんなっちまったら申し訳ないが、いろんな意味で期待しとるよ。

844:名無しさん@ピンキー
07/08/18 19:54:19 OhmmUbTQ
ネットで読む物語のおもしろさ、だね。

845:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/19 16:53:48 2ue7UodX
仕事はバッチリ遅刻だった。
上司からはたっぷり搾られ、同僚からは笑い飛ばされ、後輩のカワイこちゃんからは失笑を買い良い事なしだ。
おまけに今朝のチエの言動が頭から離れず仕事も手につかず、一日のノルマがまるで一週間分のような気がした。
どうにかこうにかやっつけて、同僚の誘い(何の誘いかは聞かないで欲しい)を断り家に飛んで帰った。

畜生、チエの声が聞きたい…
「あ…お、おかえりなさいませ…」
「!?」
家の玄関前で待っていたのは、お隣のコハルだった。

俺はコハルに用件を聞こうとしたが、俺の言葉を待つ事なく、コハルは突然泣き出し、涙や鼻汁(のようなもの)でぐしゃぐしゃになった顔を俺の身体にうずめて抱き付いてきた。
正直勃起した。
「ううぅ、ご、ごひゅひんはまがぁあああ…ひぐっ、うえぇぇん」
このままだと間違いを犯、じゃなくてご近所に勘違いされそうなので家にあがってもらい、チエにくれてやるつもりだった天然オイルの缶をやって落ち付かせる。
そう言えばチエはまだ帰ってないのか…
コハルは缶から伸びるストローをすすりながら、タナカのジジィに何があったのか話し始めた。
俺が聞き逃した今朝のニュース、どうやら病院に運ばれた危篤の年寄りとはタナカさんの事だったらしい。
昨夜のチエによるレイプまがいのイタズラの三時間後、コハルが再起動した後もタナカのジジィは帰ってこず、代わりに病院から連絡が入り、市内の総合病院に運びこまれたとの事だった。
病院の医師は電話でジジィの危篤を知らせたものの、コハルの面会は許可しなかった。

846:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/19 16:54:24 2ue7UodX
ロボットと人間を差別化するという倫理的解釈から、病院はこの手のガイノイドを患者の家族として扱わない方針なのだろう。
思えば酷い話だ、彼女達からすれば守るべき主が生命の危機に貧しているのに、顔を見る事も許されないのだから。
高度な最新AIであるコハルにとって、コレほどつらい事はないだろう。
「ずずずずっ!ゴキュッ…ひっぐ…あのぉ、先輩はいらっしゃらないんでずが?」
コハルは鼻声で目元を真っ赤に染めながら言った。しかし本当によくできている。
チエはメンテナンスに行っているはずで、まだ戻っていないと答えると、コハルは心底残念そうに目を落した。
どうやら俺の家を訪ねたのは、チエに相談するつもりだったから、らしい。
「そうですか…先輩ならこういう時どうしたらいいか教えてくださると思ったのですが」
正直、例えチエがこの場に居たとしても、今の彼女にそんな事をできる余裕があっただろうか。
今朝の彼女の様子は明かに普通じゃなかった。
こういっては何だが、今のコハルの方が余程まともに見える。いや、『AIとして納得できる行動を取っている』というべきか。
「なんなら一緒に病院に行ってみるかい?」
「え?」
コハルは俺の言葉に目を輝かせた。
確かにこのままじゃ気の毒で見ていられないし、チエが帰ってきたらまた文句を垂れられるかもしれない。
ガイノイドの面会が許可されないのなら、人間である俺の同行という形で会わせればいいのだ。幸い病院はガイノイドの院内入室までは禁じていない。
「あぁぁぁあ!ありがとござまーす!」
コハルは興奮のあまりか、微妙に発音を間違えながら俺に抱き付いてくる。
その際調度下顎が股間に当たり、その柔らかい感触にまた俺の愚息は反応した。
うむ、悪くない。

847:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/19 16:54:57 2ue7UodX
病院の医師には俺が話を通し、なんとか2人揃って面会を受ける事を許可してもらった。
妻を先に無くしたタナカのジイ様は一人身で後見人はおらず、面会にくる人間もいない。
医者も気の毒だと思ったのだろうか、ご近所の仲だと説明すると何とか首を縦に振ってくれた。
コハルは俺が医者から詳しい話を聞いている内に、タナカ老の病室に一足先にやってきていた。
タナカ老はベッドの上で、生命維持装置と殆ど一体化した状態で、何とか心拍と呼吸を続けている。しかし、それだけだった…
完全に昏睡状態となったジジィは、コハルが名前を呼ぼうと手を握ろうと決して答えることなく、ただただ機械による生を永らえるに過ぎなかった。
これでは、『活きている』とは言えない。
「歯の治療の際、麻酔が身体に合わなかったんだそうだ、御年だったんだよ」
「そんな…そんなのってないです…」
確かにそうだ。ジジィの体調が悪かったとはいえ、考えようによっては医療ミスともとれる。
そしてミスとは人間が犯す物だ。
コハルは目から滴る液体を必死に拭いながら続ける。
「だって、医療の判断は人間がするじゃないですか、私達なら絶対にこんな…」
機械はミスを犯さない…
しかし、仮に投薬や診断等、全ての医療活動が機械によって管理されてしまった場合はどうなるのか。
それは結果的に、機械によって延命を続けるタナカ老人と同じ事ではないか。
その事を知っているからこそ、人間は医療現場から高度なAIを全て排除した。
だがそれは人間が、人間の存在意義と生命倫理を一方的にこじつけているだけなのかもしれない。
そして今目の前で動かぬ主人の手を握りしめ、すすり泣いている人形は、只純粋に主人を焦がれているだけなのかもしれない。
こんな時チエが居たら何ていうだろうか?
あの偏屈ならどんな言葉で罵ってくれるのだろうか?

848:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/19 16:55:38 2ue7UodX
面会を終え、コハルを連れて病院を出たが、彼女は主人のいない家に戻る気は無いと言った。
「あんなお姿でも、ご主人様はまだ生きています…例え可能性が低くても、私はご主人様の回復を信じて待っています」
確かに、ロボットは人間に仕えてこそロボットであって、主人のいないメイドロイド等ナンセンスだが、充電もできず雨ざらしのままなら、彼らも長くは生きられない。
終いには故障するか暴走を起し、役所に回収されて廃棄処分になるのが落ちだろう。
しかし俺には何を言ってやる事もできなかった。

うちに帰って早々、有名声優の超萌えボイスが俺を出迎えた。
「遅いぞ主人、また風俗に金をつぎ込んできたか?」
いつしか焦がれていたチエの罵声。
しかし何だろう………全然嬉しくもなんともない。
全然変わってないし喋り方もいつも通りだし…しおらしくした俺がバカみたいだ。
チエは玄関で俺の背広を摘み上げると、裾の辺りに着いている染みを見つけたようだ。
やばい…
「スキャン結果『アサカ製ガイノイド用擬似粘膜用水溶液』…貴様、隣の新人に手を出したのか?」
「言い訳してもよろしいでしょうか」
「却下…貴様腐っているとは思っていたが、ついにそこまで堕ちたか…ジジィと2人掛りでしたのか?うん?」
チエのアームがぐいぐいと俺の米神を締め上げる。
「イダダダダダダ違いますとんでもない誤解ですお願い許して」

849:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/19 16:57:28 2ue7UodX
ジジィが危篤で病院に担ぎ込まれた事。
コハルが泣きながら俺に頼ってきた事(羨ましいかザマあみろ)。
コハルはもう家には帰らない事等、今日あった事を洗いざらい話してなんとか許してもらう。
「そうか、ジジィついにくたばったか」
だから有名声優の超萌えボイスで(ry
「死んでねぇよ勝手に殺すな、まあ半分死んでるけど…とにかくコハルはご主人様に一生お仕えする覚悟なのだそうですよ?」
チエはつまらなそうに「ふん」と鼻で(?)笑い、いない間に俺が散らかした部屋の片付けを始める。
「そういやお前…メンテナンス行ったんじゃなかったのかよ」
俺は少々むかついたので強めの口調で言った。
チエは掃除を続けながら、どこか悟ったような口調で返した。
「行ってない…結局行かなかった」
「なんだと?」
やった!4万円浮いた!じゃなくてだな。
「何故か怖くなってな…整備センター前で半日迷って、結局そのまま帰ってきた」
「それじゃぁお前、今のままでいいってのか?故障してるかもしれないって…」
「故障していようと正常だろうと、今の私が私だ。貴様の世話をし続けて働き続けた結果が今の私だ。そう貴様が言ったじゃぁないか」
うむ、なんか少し勘違いしているようだ。
「オーバーホールでAIの中身まで洗いざらい整備されてみろ、私はこれまでの私ではいられなくなってしまうんだぞ。
何故今頃になって恐ろしいと思えるようになったのか、私自身にも分からないがな」

なんてこった…
家の家電製品は、三原則と俺の情けない甲斐性とのジレンマが生んだカオスの中で、自我に目覚めやがったのだ。

850:789
07/08/19 16:58:50 2ue7UodX
今日はこの辺で
次回からクライマックスでバトルシーンのオンパレードなB級ノリノリみたいな

851:名無しさん@ピンキー
07/08/19 17:48:18 NHrxBPXT
>>850

とてつもなく下世話な?自我の目覚めにワロタとともに、妙なリアル観があって文才にソンケイ。

852:名無しさん@ピンキー
07/08/19 22:58:57 GxXfh3rJ
作品世界とマッチした設定のうみだす説得力かもね。適当にとばしてるようでいて案外背景の構築がしっかりしとる感じ。

853:名無しさん@ピンキー
07/08/20 19:43:21 z5sDL+cV
ところで、ここの住人はロボ娘への愛だけで「一撃殺虫ホイホイさん」や「メイド服と機関銃」コンプリートしてたりするのか?
お勧めなロボ娘ゲーム知ってたらどうぞ教えてくださいまし

854:名無しさん@ピンキー
07/08/20 20:00:50 egTD6Q66
>>853

「planetarian」はガチでやっとけ。メカバレもあるし。

そして、そのままドラマCD(全3巻)まで特攻して泣け。
マジおすすめ。

855:名無しさん@ピンキー
07/08/21 00:26:25 FPJruVx+
「planetarianはゲームじゃない」説

856:名無しさん@ピンキー
07/08/21 02:13:58 fx2XKrKu
ふむ、そうだな……。
コンシューマなら、「マリオネットカンパニー」とか「ゼノサーガ(個人的には元機さん萌えなのでⅠ)」。
パソゲなら、「HELLO, WORLD」とか「ピュアハート」、「マシンメイデン」あたりがベターじゃないかと。
ただまぁ、どの程度ロボなのが好きかにもよるし、一概には言えん気がしなくも無い。

857:名無しさん@ピンキー
07/08/21 05:43:48 OJqwQCuA
>>850・・・上手すぎるな。何かいけない物(炊飯器系統)に本気で惚れそうだよ。
GJ!!

頼むから俺にその炊飯器の作り方を教えてくれ。


だがセクス機能はいらないからな・・・

858:名無しさん@ピンキー
07/08/21 10:12:27 g6wwjrg8
>>857
しばらく待てば、大人の科学あたりに出て・・・・ん?
こんな時間に回覧板

859:名無しさん@ピンキー
07/08/21 11:50:46 wErBdxvc
859 名無しさん@ピンキー sage 2007/08/21(火) 11:50:40 ID:tyPe25S7W#
皆様炊飯器なんかよりメイドロボさんに萌えましょうよーww
健気でかわいいじゃないですかww

860:名無しさん@ピンキー
07/08/21 12:45:07 MjWaMY4C
>>859

コハル本人乙w

861:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/21 19:48:51 swcRVKWb
『                          自衛隊情報漏洩 情報保全部ネットの危険性を指摘
防衛省陸上自衛隊情報保全部、調査第1部は、陸上自衛隊中央統括本部のホストコンピューターに対する不正規接続(ハッキング)によって、一部のデータが外部に流出したと発表。
保全隊長、村井卓陸将補は、流出したデータの内容については防衛機密の観点から公表できないとしながら、実行犯特定へ向け全力を尽くすと述べた。                  』

朝刊を流し読みながら朝飯を平らげる。
今日はスクランブルエッグだったが、やはりチエの作る玉子料理は絶品だ。
「いつまで食べている、さっさと仕事行けさっさと」
「はいはい」
この喋り方さえなんとかなれば、少しは可愛いと思えるのだが…あ、いや、外見も少しお願いします。
「仕事帰りにさ、天然オイル買ってきてやろうか?」
正直照れくさいが、たまにはこいつに良い思いもさせてやらなくてはな。
なんせ相手は(恐らくは)世界で初めて自我を持った家電製品だ。

下手に扱えば“俺の身が危険”だ。

「なんだ、どういった風の吹き回しだ?」
チエは例の如く物凄い勢いで家事をこなしながら訝しげに言った。
少しは嬉しそうにしろってんだ。
「まぁその、何だ…お前がどうしても、って言うなら…貰ってやっても良いかな?」
お?この反応は…
「『ツンデレ』ならこう言う所だろうな」
勘違いした俺が悪うございました。
「楽しみにしてるからさっさと買って来い、間違ってもソープランドなぞに寄り道は…」
俺が玄関で靴を履いていると、チエはいきなり沈黙して俺の身体に細いマニピュレーターを回してきた。
「主人…」
なんか本当にどうかしちまったんじゃないのかコイツ。
等と思っていると、突然呼びベルを鳴らす音と共にドアの向こうから女の声がした。聞き覚えのある声だ…
「開けてくださいまし、ご主人様が危険ですw」
「コハル?」
次の瞬間、俺の意識は飛んで真っ白になった。


862:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/21 20:07:41 swcRVKWb
「いでで…何が…」
「やっと起きたか主人、仕事にはもういかなくていいぞ、それどころではなくなった」
気を取り戻した俺の目の前には…女の生首が転がっていた。
「ひぃいやぁあああ!」
だから俺この手の話苦手なんだって。
「落ち付け、且黙れ」
チエの声の方に振り向くと、彼女はそこでバラバラに破壊したガイノイドの残骸をあちこち弄り倒していた。
おまわりさん助けて、電気炊飯器が女の子解体してます。
「何この猟奇的状況、これお隣のコハルじゃねぇのか!」
「違うな、同型モデルだが別の筐体だ」
チエは、笑顔のままで動かなくなっているタイプ2557の生首をムンズと拾い上げると、俺に見えるように突き出した。
確かに、ジジィのコハルは極限まで人間に似せた仕様だが、これは人工皮膚の継ぎ目をわざと目立つようにしたメカフェチ仕様だった。
ていうか生首見せなくて良いから。
しかしどういう事だ?
「今映像を再生してやる、5分前だ」
居間の立体テレビにチエの超広角視界が再生された。
中央には俺の背中、そしてその先のドアの向こう側のカメラ映像も上に表示されている。
当然そこには呼びベルを鳴らすコハルが写っていたが、次の瞬間俺は思わず血の気が引くのを感じた。
コハルは『ご主人様が危険ですw』のセリフの後、木製のドアを手刀で突き破り、俺の首を掴もうとしたのだ。
チエが俺の身体をブレーンバスターの要領でぶん投げてくれなければ(投げるなよ)、コハルに首をへし折られていたかもしれない。
そして俺が失神している間の映像がまた凄かった。
『何しに来たオ○ンコ人形め』
『ご主人様達が危険なんです、そこをどいてくださいw』
コハルはぶち破った穴から腕を回してキーを解除し、ドアを開けてチエと対峙した。
『バカをやったな木偶の棒、貴様を不法侵入と人間に対する暴行未遂で処理する』
ブレーンバスターくらった俺は無視ですかそうですか。
『ご主人様への危険を回避するために、アナタを排除しますw』

863:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/21 20:08:20 swcRVKWb
先に動いたのはコハルだった。
先ほどドアをぶち抜いた要領で手刀を繰り出し、チエを破壊しようとするが、チエは4本あるアームを巧みに駆使して攻撃をいなし、逆にヘッドロックをかけてコハルの動きを封じた。
そしてそのまま…うん、この後の展開は見せなくて良いから。
「バカなヤツだ、馬力で私に勝てるわけなかろう」
そりゃそうだ、元災害救助用のマッチョさんですものね。
「助かったよ、それにしてもなんだってこんな事に?」
「分からんが、しばらくは外出は控えた方が良い」
はい?
「さっきから警察に通報しているが誰も出ない」
まさかとは思ったが、実際俺の携帯電話を使っても繋がらなかった。
「NHK!」
俺は立体TVのチャンネルを天下のNHK様に合わせた。受信料払ってないけど、ごめんね。
そしてそこに写る映像に、俺は絶句してしまった。

逃げ惑う人々の悲鳴。
警官隊の打ち鳴らす催涙弾と、機動隊の放水車から吹き出す水飛沫。
阿鼻叫喚。
その向うには、あのアサカ製ガイノイド、タイプ2557コハルが…いや、無数のコハル“達”が美しく整列し、お行儀良く手を前に組んで微笑んでいる。
しかし彼女達の言葉は明かに異様だった。
『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』
『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』
『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』
『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』『ご主人様達が危険です』


864:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/21 20:08:54 swcRVKWb
これは映画か何かか?
俺はなんとかそう思い込もうとしたが、こんな時間にNHKでやる内容じゃ…じゃなくて、俺の玄関ぶち抜いてスクラップになっているコハル見れば、あれが現実である事を信じざるを得なかった。
「そうだ仕事いかなきゃなー」
「現実を見ろ主人」
「ドアの修理は保険で何とかなるしぃ」
「この阿呆め」
メイドロボが大挙して人間襲う現実なんてどうでもいいです。
でも現実は甘くは無いんですね。

一時間後、政府は戒厳令の発令と自衛隊の治安出動を指示。しかし嫌味なほどに法律で縛られた彼らにどこまでできるか。
また、コハルをみかけたら近づかない事、家にカギをかけ、自衛隊の救助を待つ事などを、全てのメディアを通して放送した。
カギをかけろったってドアぶち破るロボット相手に意味があるのだろうか?
「場合によってはここを出て自衛隊の駐屯地まで自力で…主人!」
台所で食料品をかき集め、篭城の準備をしていたチエは突然、俺の方に向かって包丁を投げつけてきた。
包丁は俺の顔の横数cmをかすめ、風が俺の頬を煽った。
「ご主人様がきけっききっきいいいきいききkkk」
いつの間に近づいてきたのかどこから沸いて出たのか、俺の背後に忍び寄っていたコハルはチエの投げた包丁に頭部を貫かれ、ビクビクと痙攣しながら崩れ落ちた。
我が家の戦う炊飯器はセガールみたいですね。

篭城は不可能と見た俺達は、チエ専用の小型トレーラーに食料品を積めこみ、結局自力で最寄の駐屯地まで向かう事になった。
チエのスペアバッテリーは三つあるので、充電無しでも2、3日は持つだろうが、問題はもっと直接的な事だ。
チエは人気のなくなった街を慎重に警戒しながら進んで行くが、時折狂暴化したコハルが例の呪文のような言葉を口走り、建物の上から襲いかかってきた。
丸ノコや電気ドリルで彼女達をスクラップにして黙らせながら(どっちが狂暴かわからねぇ)、チエは今後の事をあれこれと思考しているようだった。
「まだ数が少ないからいいが、ニュースに映ったような大群相手ではきついぞ」
映像を見る限りでは、大群が暴れているのは都市部だったが、やはりコハルの所有者が多い場所に被害が集中しているようだ。
…アサカ社や政府はこの件をどう解決するつもりなのだろうか?

865:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/21 20:09:39 swcRVKWb
一時間程進むと、緑色の大きなトラックがえんこして止っているのを見付けた。自衛隊の車両だ。
時既に遅かったらしく、隊員達の姿は無く、ただ激しい銃撃戦を物語る無数の薬莢と破壊されたコハルの残骸が転がるだけだった。
それにしても随分と情けない装備だ。俺は戦車やヘリでバリバリやってると思っていたのだが。
「気の毒にな、治安出動で許可される装備ならこんなもんだろう」
まったくもってけしからん、誰だ今の政党に投票したのは俺でしたすいません。
いつの時代も自衛隊さんは自衛隊さんです。ご苦労様です。
しかし肝心の隊員達の姿は見えず、彼らの装備も放置されたままだった。
もっとスプラッターな現場を想像していたのだが。
「手足をへし折るなりして連れ去ったんじゃないのか?」
チエが言うと異常に説得力あるから止めて欲しい。
「なぜに」
「殺人は三原則に抵触する」
「………」
病院で生命維持装置に繋がれたジジィの姿が目に浮かぶ。
「……まさかな」

「駐屯地は恐らくダメだ、この様子じゃ自衛隊の施設は真っ先に狙われているだろう」
「じゃぁどうしろってんだ」
「自分の身は自分で守るしかあるまい?」
聞かなきゃよかった…
チエは自衛隊の車に残されていた鉄砲やら銃弾やらをかき集め、彼女の後部に繋がっているトレーラーに放りこんでいく。
このトレーラーは元々、災害地で負傷者や非常用食料を運ぶための物で、頑強で大容量な造りになっている。
政府の支給品が、軍用の兵器が、俺の名義で購入したメイドロボによって俺の名前の書かれたトレーラーに積まれていくと言う、好ましくない状況はおいとくとして。
「だがなチエ、俺もお前も武器の扱いなんか」
「近くにネットカフェがあったろう、防衛省にハッキングする」
自衛隊さん、ここに炊飯器の形したテロリストがいます。


866:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/21 20:10:26 swcRVKWb
普通なら防衛省へのハッキング等成功するはずはない。
何重ものプロテクトと暗号、ハッカーに対し自動で反撃する攻性防壁やウイルス。
たかがメイドロボに…
「突破した、火器緒元及び照準管制プログラムをダウンロード」
「…お前、初めてじゃないだろ」
「貴様が仕事に行っている間、ヒマでヒマで仕様が無い、つまり貴様のせいだ」
おお何てことだ。我が家にこんな爆弾が転がっていたなんて…
「それにな、私は災害地で自衛隊の無線電波の中継もしていたからな、あいつらポロリと暗号やらパスワードやら」
本当に勘弁してください。俺達は無人のネットカフェを後にした。

日が暮れ始めた。
既に運行を停止したモノレールの陸橋下。人気は無いが、逆にそれが安全だとチエは言った。
「機械は効率と能率を重視する、人が集まらない場所はヤツらも後回しにする」
なんとまぁ頼もしい事だ。
そしてもっと頼もしい(恐ろしい)事に、チエは拾い集めた弾丸の先っちょをドリルで削り始めていた。
なんかもう、凄く見ていられないんだが。
「何してんの」
「先端の被鋼を削っている、軍用の拳銃弾はFMJだからストッピングパワーに」
「意味が分かりません」
「こいつが体に入ると先端が変形して広がる、人工脳や動力中枢に撃ちこめば、民間用のガイノイドくらいなら簡単に倒せわけだ」
チエは即席の「ホローポイント」とかいう弾を、別のアームでカチカチと弾倉に積めこんでいった。
普段なら真っ平ごめんだが、今だけはチエの奇行に助けられた。
「お前はこっちを使え」
前言撤回。大層迷惑こうむっております。
チエは黒くて無骨な大柄の銃を取り出して俺の前に置いた。
「SOPMOD64式カービン、1964年製で今じゃ儀丈銃くらいにしか使われてない」
ほとんど博物館行きの銃じゃねーか。大丈夫かこれ暴発すんじゃねーか。
「89式や015式は5.56mm弾だが、こいつは7.62mm弾使用で殺傷力だけは高い、アンドロイドやサイボーグを相手にする場合を想定して倉庫から引っ張り出し、使用に耐える様改造したんだそうだ」
うん、そうかカッコイイ、でも俺いいや。

867:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/21 20:11:07 swcRVKWb
「俺民間人なんですけど」
「私は民間用のメイドロイドで、我々を襲ったのは民間用のガイノイドだ」
戦争反対。まじ反対。
しかしこの言葉で俺は一つおかしな事に気付いた。
「たかが民間用のガイノイドに、なんであんな戦い方ができるんだ」
チエもそこは不思議だったらしく、首(?)を傾げてしばらく沈黙した。
「今朝の新聞記事を検索する…『防衛省陸上自衛隊情報保全部、調査第1部は、陸上自衛隊中央統括本部のホストコンピューターに対する不正規接続(ハッキング)によって、一部のデータが外部に流出したと発表。』」
「お前がやったんじゃないのか」
「馬鹿もん…自衛隊の治安出動、随分早かったんじゃないのか?装備はアレだったが…まさか」
防衛省のホストコンピューターにハッキングし、無人兵器の制御プログラムや戦闘用サイボーグの格闘戦データを盗んだ馬鹿が(チエ以外にも)居た…
つまりはそういう事なのだ。
「自衛隊はもう、ある程度の事まで裏を取っているかもしれないな」
とにかく、さっさと事件が解決される事を祈るまでだ。

868:789
07/08/21 20:14:07 swcRVKWb
今回はここまで
コハルちゃん自演乙ですが早速一体亡くなってますね、合唱


アイロボットのパロディ満載ですね

869:名無しさん@ピンキー
07/08/21 20:18:45 QElnMtUw
GJ!!

870:名無しさん@ピンキー
07/08/21 20:33:18 zaqTVzgD
ほんとにアクションやりやがったw >>850は小ネタとばしだと思ってたが斜め上いったwwww

871:名無しさん@ピンキー
07/08/21 23:13:25 tzWjb4GB
>>868
GJ!
チエカコイイよチエ

ただ、
>合唱
歌ってどうする

872:名無しさん@ピンキー
07/08/21 23:18:59 Dc1LZHTR
>>868
GJ! いやほんとに、やりやがったなw
アジモフが読んだら泣いて喜びそうだ。

873:名無しさん@ピンキー
07/08/22 01:47:23 /K/zKrmd
>>868
シリアス展開なのにノリ変わらずw 流石

874:名無しさん@ピンキー
07/08/22 02:44:49 CqM9WXOy
チエさんてばなんて逞しい野外炊具w

875:名無しさん@ピンキー
07/08/22 03:35:14 caltRHC1
>>868
超展開キタコレwwwwwww
もう炊飯器で思うがままに貫き通して欲しい。GJ!

876:名無しさん@ピンキー
07/08/22 03:36:49 LSLAsdDb
>>868おまwwwwwwwww神だwwwwwwwww炊飯器自重wwwwwww
神GJ!!!

さて炊飯器に中出ししたらどんな気分になるんだか

877:名無しさん@ピンキー
07/08/22 12:31:47 s/nyIry6
>「コーヒーできたぞ、飲みやがれ」
からコブラみたいな展開を予想してたら
主人公じゃなくて炊飯器がコブラwww
マジで昼飯吹き出すとこだったぜwww

878:名無しさん@ピンキー
07/08/22 12:36:46 J7z3i5Jq
もうね、なんつーかね、史上最強の炊飯器ktkrwwwwwwww

879:名無しさん@ピンキー
07/08/23 03:11:03 kXmu6Pxh
新ジャンル「クール炊飯器」


作者さん建ててみたら?

880:名無しさん@ピンキー
07/08/23 03:27:03 jeXd+7Uo
エロまったく無いしな。別にここでやんなくていいんじゃね?


881:名無しさん@ピンキー
07/08/23 04:19:52 NFWN2WZi
まああれだ。萌えもこのスレの要素だろ。直截的なエロよかエロい場合もあったりするわけだ。

882:名無しさん@ピンキー
07/08/23 10:24:40 XfGlj93L
>>880
色んな人から支持受けてるし、そんなに尖らなくても…。
第一そんな風に排斥・区別してたら半虹版のスレみたいになっちゃうよ。
寛容な気持ちで許せない? 無理?

883:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/23 10:40:35 JVPG/uFX
チエは緊急用の通信アンテナを伸ばすと、何やら信号を受信し始めた。
すると彼女のスピーカーからは、男の声で意味の分からない言葉が流れ出す。
「なんだ宇宙人か?」
「馬鹿もん、自衛隊の通信を傍受してるだけだ」
なぁんだ、傍受してるだけなんだね、安心安心。
「ニュースなんぞよりこっちの方がよほど役に立つ」
犯罪じゃないかとかそういうのは無しですかそうですか。
それに、軍隊さんお約束のわけわかんない用語や、暗号だらけで俺にはさっぱりだ。
「後でお前にも分かるように教えてやる」
さて…軍の通信を盗聴したら刑期何年くらいだろう?
まぁ、何もできない俺には選択の余地はないわけだが。

「病院のコハル、大丈夫かな…」
いよいよ暗くなってきて、やる事がないので話でもする事にする。
「さぁな、今ごろどこかで『ご主人様が危険ですぅ~w』とか言ってんじゃないか?」
チエは自衛隊の通信に聞き耳を立てながら、俺の話に合わせて来た。
彼女も結局の所ヒマなのだろう(忙しいのは勘弁だが)。
それにしても不思議だ。何故彼女はこんなになってしまったのだろうか。
たかが炊飯器のお化けみたいなメイドロイドが…
「お前さぁ…なんで俺の事助けてくれんの?」
「……いきなり何を言ってる、頭でも打ったか?」
暗闇の向うでチエのLEDが艶かしく尾を引く。
…動揺しているのか?

884:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/23 10:42:05 JVPG/uFX
彼女の非ヒューマノイド型のフレームに包まれたAIには、確実に“知性”や“個性”と呼ばれるものが隠れている。
今の自分に至る過去とこれからの自分を相対化し、人間の手による“自己”への介入を「恐ろしい」と言ってメンテナンスを嫌がる。
俺からしてみれば、イカレて暴れまわっているコハル達の方がよほどマトモな機械に見えた。B級映画の見過ぎか?
なぜそんな異分子が、この後に及んで律儀に三原則に順じ、俺の身を守ろうとするのか?
「三原則に逆らおうと思えば出来るんじゃないの?今のお前ならさ」
「貴様は勘違いしているぞ主人」
妙に説得力のある喋り方だが超萌えボイスだからどうもな。
うん、暗くてよかった。
「三原則は『法律』ではなく『本能』だ。貴様ら有機体が『呼吸し、食い、殖える』のと同じだ。そう言う風に造られているから…私はただ自分に正直なだけだ」
自我はあっても俺を守るのは止められねぇってか、うれしい事言ってくれる。
だが、だとしたら今のコハルはどうなんだ?
人間に暴行を働き、破壊されるまで止め様とはしない。
「連中が三原則に反していると何故言える、あいつが人を殺している所を見たか?」
確かに見てはいないが…状況を考えればマトモでないのは確かだ。
「もう寝ろ、見張りはしておいてやる」
チエはトレーラーから毛布を取り出すと、俺を優しく包んだ。
焚き木は焚けない、ここに人が居ると宣伝するようなものだ。
「チエ」
ひっこみかけた細いマニピュレーターを掴むと、チエの稼動熱が形状記憶合金を伝って俺の手のひらに伝わってきた。
多分俺の体温や鼓動や、手のひらの発汗量も、彼女は計測したに違いない。
「寒いんだ、そばに居てくれ」
「……寝ろ馬鹿もん」
姿が見えなきゃ可愛いもんだ。
「さっさと寝ろ、女の生首が夢に出るぞ」
畜生。

885:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/23 10:43:52 JVPG/uFX

「起きろ、起きろ!」
「?」
「はやく起きろって!」
チエの声に目を覚ますと、目の前に白髪ポニーテールの幼女がいた。
ちっちゃいメイド服に身を包み、切れ長の気の強そうな目で俺を睨み、八重歯の尖った丸い口からは有名声優の超萌えボイスが…
はぃいい!?
「起きろ主人!大変だ!」
幼女は俺の上に跨ると、ちっちゃな拳でとんとん胸を叩いてきた。
何この状況。
「お前、誰」
「バカヤロウこの肉団子!チエに決まってるだろう!」
うん、そうか、俺死んだのか。
多分銃が暴発したんだな。きっとそうだ。
「なんか私の筐体が変なんだ!」
「見りゃわかる」
ガイノイドに魔改造した覚えは無い。
「違う違うぜんっぜん違う!」
なんかやけに必死な表情で、目に涙まで浮かべてチエ(?)は泣き喚いた。
えぇ、もちろん勃起しましたよ?
「なんか、変…さっきから熱が・・・体が熱いんだ!」
白い髪の間から覗く白い顔、その鼻の上辺りを真っ赤に染め、切なげに開いた口からハァハァと熱い吐息を漏らし、瞳を潤ませて震えるチエ…
確かに様子がおかしい。
「おい大丈夫か」
「大丈夫なわけ、くっ!ない…だろ!」
俺の顔の上に、ポロポロと液体が降ってくる。
チエは俺の顔に息がかかるほど近づき、震える声で言った。
「た、多分…遅効性うんっ!…ウイルス………このままじゃ…だから」
だから?

「助けて…」
ええ喜んで。

なんかよくわかんないけどよーじよ化したチエを仰向けに寝かし、ちっちゃいメイド服をまどろっこしく脱がしてやる。
「ふあぁああっ!」
途端にチエは黄色い悲鳴をあげて背をしならせた。
どうやら服がすれたのがくすぐったかったらしい。
「ひぃっ…信号伝達が…異じょ、うぅっ!」
「どこだ!どこを調べればいい!」
俺は鼻息あらげじゃなくて、チエを救う為に必死で、コハル以上に成功に造られた身体をくまなく調べた。
「あんっ!ばか…そこじゃ、んんんんっ!ないぃ!」
とりあえずつるつるぺったんこな両胸を、無理やり寄せてみたり先をこねくり回したりしてみたがメンテナンスハッチが開く様子は無い。
陸橋下で変質者がなんかしてる様に見えるけど、うん、大丈夫、チエはロボだから法律的に。
「防衛省に、くっ!ハックした時…なんか、入れられた、かも…」
チエは、白いパンツの中に小さな手を伸ばし、自分でそこに触れる。
するとまたチエの身体はのけぞり、さっきよりも激しく悶絶した。
「あはぁぁぁっ!んんっ!くはぁあぁああ!」

886:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/23 10:45:54 JVPG/uFX
ピチャリ…
なんか水音と共に、白いパンツが濡れて肌色に染まっていった。
これはたいへんだはやくたすけてあげないとね。
俺はチエの下着をひっぺがしてすっぽんぽんにしてあげました。
ちっちゃな胸がチエの荒い呼吸と共に上下し、切なげに擦り合わせる両足の付け根には…その、何だ…
「し、主人…あぁ、はやく…」
チエのほっそい腕が俺の身体にまきついてくる。
「待ってろぉ、すぐ助けてやるぅ!」
俺はズボンのベルトを外し、トランクスごと膝まで下ろすと、もうえらい事になってる自分の分身を取り出した。
チエは自分から俺の腰にしがみ付き、おずおずと両足を開いて俺を招いた。
「ここだな?ここを調べればいいんだな?」
「馬鹿…んっ!そんな事、言わせるな」

えいっ

「ひぃぎっ!いいいいいいっ!」
ミシミシとフレームが軋み、有名声優の超萌えボイスでチエが悲鳴をあげた。
途端に俺の腰に回された腕と、“メンテナンスロッド”を締めつける力が強まった。
ソープでもこんな若い子いなかったぞ、法律的に。まぁいいか。
「くっ!チエ、力抜け!」
「うるさい黙って動け!」
必死に強がって見せてはいるが、やはり最初は相当痛いようだ。
ギシッ…ギシッ…ギシッ…
「ひぃっ!ひぃぃぃっ!ぎいっ…」
潤滑用の擬似粘液は大量に分泌されてはいるが、My sunは「窮屈極まりないけしからんもっとやれ」と主張しつづけた。
やがて俺の子供製造装置は、こってりマイクロマシンを大量に含んだ熱いものを、上へ上へと押し上げてくる。
「チエ…俺もう…」
「早いぞ馬鹿!」
畜生。
いや、でももう今更遅いです。

前略お袋様。
あなたの息子は、本日めでたく人の道を踏み外しました。

887:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/23 10:47:00 JVPG/uFX
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
「起きろ主人」
「チエ~!」
ズゴンス!
「アヒィ!」
チエの超硬い拳で拳骨を食らい、俺の目の前に星が飛んだ。
すっかり目が覚めましたですよ。
「気色悪く、且でかい声を出すな」
そりゃそうですね、俺ら今隠れてるんでしたね。
もう朝か、チエもいつも通りの炊飯器だ。
夢なんてそんなもんさ…でも良い夢だったな。
「パンツ脱げ」
「はい?」
「貴様…夢精しただろ」
もう死にたいんですが…

「まったく、水は貴重品だと言うに」
「面目ありません」
チエは非常用の生活用水を使って、俺の“染み付いた”トランクスをゴシゴシ洗濯している。
「溜まっているなら私に言えばよかろう、手コキくらい造作ないぞ」
…あなたをオカズにイタしましたなんて言えません殺されます多分。
「チエ~」
「何だ肉団子」
「お前、人型にトランスフォームできたりしない?」
「できるか!」
ビチャリ。
まだ渇いてないパンツを顔にくらい、俺は心底「口は災いの元」と知りましたとさ。

キュラキュラキュラキュラ…
街を疾走するチエのキャタピラ、今朝も絶好調です。
トレーラーには、俺のトランクスがまるで旗みたいにパタパタはためいている。
「昨夜の自衛隊の通信内容を分かりやすく言うとだな」
聞きたくないんですがダメですかそうですね。

888:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/23 10:48:13 JVPG/uFX
「内閣は危機管理レベルを引き上げ、自衛隊は治安出動から防衛出動に備えて準備中だ」
「マジか」
「これから戦車やヘリでバリバリ行くぞ、下手すりゃ日米安保に従い、アメ公共もやってくる」
「なんで」
「白塗りのお家で働いてる新人が、ファーストレディーをKOしたそうだ」
ウワオー。
「それともう一つ悪い知らせだ」
コレ以上何があるって言うんでしょうか。
「通信を途絶していたアサカ社本社ビルから、工場のコハル製造ラインに不正規接続、出荷を待っていたコハル5142体が起動した」
「……」
コハルは人間に敵意をもっているのだろうか。
いや、コハル達が口走るあの言葉…『ご主人様達が危険です』…俺達の何が危険だと言うんだ?
やはり、誰か悪意を持った人間に操られて…
「ご主人様達が危険です」
そう、そんな感じに…うお。

トレーラーに乗っていた俺は、チエが急停止したために前につんのめり、したたか鼻を打ち付けた。
だが今は喚いている場合ではない。
「ご主人様が危険です」「ご主人様が危険です」「危険の迫ったご主人様を発見」「ご主人様が危険なんです」「ご主人様、危険です」
建物の影に隠れていたコハル数十体が、俺達を取り囲むように陣形をとった。
狭い路地だ、そう簡単に逃げられるとは思えない。
「ちぃ、貴様との無駄話でセンサーに集中できなかった」
俺のせいですかそうですか。
チエはトレーラーから桜印の拳銃3丁を取りだし、映画でよくあるみたいに遊底を後退させた。
「お前もさっさとセーフティを外せ、ぼさっとしてるな」
「やっぱりさぁ、危ないからやm」
BABABABABABABAM!!
映画みたいにバキューンドキューンって言わないんですね。
俺がびびりまくってる間にチエは銃撃を開始した。

889:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/23 10:49:29 JVPG/uFX
全方位から襲ってくるコハル達を、香港映画みたく際どい姿勢で撃ち倒しまくる炊飯器。熱い薬莢が次々と宙に舞う。
ジョン・ウーもビックリですよ。だってねぇ、2丁拳銃どころか3丁拳銃ですものね。
映画でよくある2丁拳銃は、両手が塞がってしまい弾倉を交換する事ができず、結局火力を下げてしまう結果になるが、チエには腕4本ありますから。
“3丁使ってお釣りが来ます”。
あっと言う間に12体分のガラクタが転がり、チエは開いている手ですばやく弾倉を交換した。
「抜けるぞ、舌噛みたくなきゃしゃべるな」
はいそうします。
ギュラギュラギュラ!
けたたましい金属の金切り声をあげながら、チエは全速力で走り出した。
後ろに乗ってるこっちは掴まってるだけで精一杯だ。
コハルは銃声を聞きつけて次々と集まってくる。
チエはトレーラーを引きながら彼女達を次々にスクラップにしていった。
BABAM!!「ご主人様が」「ごしゅ…モルスァ!」
十字路に差し掛かると、両側から現れたコハル2体を、アームを交差させて撃ち倒した。
何体来ようが百発百中だ、防衛省から戦闘ヘリの火器管制システムをダウンロードしたんだとか。
勘弁して欲しいほど頼もしい。
「ご主人様が危険ですう!」
三階の窓から、猫耳仕様のコハルが飛び降りてくる。
チエは拳銃3丁を上に向け殆ど同時に発砲し、頭部に2発心臓部に1発くらったコハルはそのまま路面に叩きつけられた。
その残骸をキャタピラで踏み潰し、チエはひたすら前進した。
それにしてもコハル達…襲ってくるのはいいが(良くないが)皆笑顔なのが不気味だ。
「ボサっとしてるな、空になった弾倉に弾丸を装填しろ!」
トレーラーにはコハルが撃ち尽くした空弾倉が次々と転がった。
俺はその弾倉になれない手付きで、まだ箱詰めされた拳銃の弾を押しこんでいく。
当然チエみたいに上手くはいかないので、装填に失敗した弾が虚しくトレーラーの底を転がった。

890:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/23 10:50:55 JVPG/uFX
ブィーン!
「ご主人様お待ちになって~~!」
「!?」
後ろに振り返ると、スクーターに乗ったショートヘアのコハルが、メイド服をヒラヒラさせ眩しい笑顔で追って来た。
なんか殺人アンドロイドに追いかけられる映画思い出した。
「伏せてろ主人」
「ひぃ!?」
チエは64式とかいうでかい銃を後ろ向きに(後ろもクソも無いが)構え、慌てて頭を下げる俺の真上で発砲した。
すげぇよ64式、すげぇよ7.62mm、超音デカイ。
拳銃とかそんなんじゃないの、もうドガンっ!て、耳しばらくキーンって言ってたし。
俺もう音聞こえないんじゃないかと思った。
後超破壊力。スクーターとか前輪ぶち抜いてドライバー貫通。
とにかくコハルを乗せたスクーターはキリキリ舞いしながら路面を転がり、ガソリンに引火して爆発を起した。
でも殺ったのが炊飯器だと全然格好付きません。
「貴様、少しは役にたったらどうだ?」
無茶いうんじゃねぇよ炊飯ターミネーター。
とにかく、俺達はなんとかコハルの群れから逃れる事に成功した。

891:789
07/08/23 11:04:15 JVPG/uFX
後1話で完結予定です

>>880
勘違い、しないでよね!べ、別に…あなたの為にエロ書いたわけじゃ、ないんだからね!
いや、本当炊飯器だけにしようか擬人化させてエロ書こうか迷ってたんだけど、>>880で踏ん切りがついた
助かったぜぃ

892:名無しさん@ピンキー
07/08/23 11:22:59 pZRA8Xok
GJ!!

893:名無しさん@ピンキー
07/08/23 13:49:36 RyRDazXp
正しく神だ
どんどん話が膨らんでいきそうで完結しそうな気がしない

894:名無しさん@ピンキー
07/08/23 17:35:07 PuaX0u9p
家電量販店の炊飯器コーナーで前かがみになって
ソワソワしている輩がいたら同士だと思えw

895:名無しさん@ピンキー
07/08/23 18:59:36 NFWN2WZi
なんとなく黒髪制服のいわゆる帯刀少女っぽいものをヴィジュアルイメージしてたが、そう来たか。
容貌の描写をみるとふがーとは違うっぽいか。むしろ十二姉妹の系統か。いや我ながら俗物。

896:名無しさん@ピンキー
07/08/23 19:18:28 d6R3QVIF
はいはいエロパート終了エロパート終了
想像通りのオチだな
容量もったいないからこのスレで終わらせろよ

897:名無しさん@ピンキー
07/08/23 19:40:05 tZaJ69lp
これはいいツンデレですね

898:名無しさん@ピンキー
07/08/23 19:59:16 Ylk8o9HV
まだ夏休みなんだなぁ
早くオわらネェかな

899:名無しさん@ピンキー
07/08/23 20:05:30 Jc8yW8lh
ついにアンチが出たか。
これで、炊飯器も名実ともに名作の仲間入りってことだな。GJ!


てか、微妙にちりばめられたネットワーカーご用達の小ネタがそれらしくていいなw

900:名無しさん@ピンキー
07/08/23 22:47:47 l8mOtn4N
>>896
はいはいツンデレツンデレ

901:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/24 18:03:50 GYh1zqLS
コハルの群れを振りきった俺達は、ラジオで放送されている避難所へ向かった。
本腰を入れて攻勢に出た自衛隊や警察が、民間人を保護するために設営したらしい。
更に米軍の太平洋艦隊が東京湾内に展開し、巡航ミサイルの発射準備を整えているとか。
ファーストレディKOされて頭に血が上ってるのは分かるが、頼むから誤爆だけは勘弁してくれアンクルサム。
さて問題のアサカ社だが、本社ビルは自衛隊の特殊作戦群による突入計画が進行中。
コハルの製造ラインが暴走した工場は、本社ビルが制圧された後、警察SATと自衛隊の合同部隊による制圧作戦が計画されているらしい。
「この騒動もいよいよお開きかな」
「わからんぞ、まだ原因が分かっていないからな」
恐ろしい事言わんでほしいんだが。それよりもだ。
「銃は何とかしなきゃ」
トレーラーに満載された自衛隊の銃器、見つかれば説明が面倒どころの話ではない。
間違い無く逮捕されちまう。
「貴様を非難所に送り届けたら、私が元の場所に置いて来てやる」
確かに、チエ一人ならコハルに襲われる事もないか。
いやはやまったく、炊飯器様様である。
「それに、私一人で確かめたい事もあるしな…」
「?」
「貴様には関係のない事だ」
なんでも良いが、危ない事は止めて欲しい。
こいつの作った卵焼きが食えなくなるのは辛いからな…

チエとは、避難所を出入りする自衛隊の車に出会った所で分かれた。
俺は自衛隊に保護されて避難所に、チエは銃を手に入れた自衛隊の車両の場所に引き返す。
お荷物の俺が居なければ半日で戻って来れるだろう。
バッテリーの電力は充分持つはずだ…

…だが、彼女は戻らなかった。

902:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/24 18:04:45 GYh1zqLS

翌日、アサカ本社ビルが自衛隊によって制圧され、工場に不正規接続をしていた端末が確保された。
驚くべき事に、その端末から生産ラインに不正アクセスしていたのは人間ではなく、コハルの内の一人だったのだ。
この騒動が人為的な事件であると認識していた警察や自衛隊は、アサカ本社ビルに幽閉されていたコハルの設計者を疑っていたが
身柄確保された彼はコハルによって手足を拘束されており、端末の操作は不可能だった。
総数27000体を超えるコハルのAIを並列化し、自衛隊のホストコンピューターから盗み出した無人兵器制御プログラムを注入して暴動を起させる。
そんな真似が出来るのはコハルの設計者である彼以外には存在しないはず…
いや、ただ一つの可能性を除いて…

「サエキさんですね?」
避難所のキャンプでチエの帰りを待っていた俺に、政府の役人らしい黒服の男達が尋ねてくる。
まじか銃盗んだのばれた?
「お宅の所有するロボットの件で、少し…」
あの炊飯器壊れてるんですついに人殺しましたか俺のせいじゃありませんまじで許してほんと…
とまぁ色々言い訳を考えながら彼らに連行された俺の目の前には、決して見たくなかった物が転がっていた…

「…間違いありません…家の、チエです」

傷つき、無残な姿で機能を停止しているメイドロイド…
4本あったアームはすべて絶ち切られ、ちぎれたキャタピラは力なく横たわり、バッテリーの電力を全て使いきったのだろうか、LEDはちらりとも輝かなかった。
「……どこで、彼女を」
「××市の総合病院です」
…ジジィの運ばれた病院だ…そして…
あの、コハルがいる所だ…

「映像バッファに記録が残っていました、AIからあなたへのメッセージも…」
防衛省情報保全部の隊員である男は、破壊されたチエから抜き取ったであろうデータの移されたディスクをレコーダーに入れ、ディスプレイには彼女の広角視界が表示される。
避難所のすぐ近く、俺の姿も映っていた…別れた後の映像だ。
『…万一私が帰らなかった場合、貴様に余計な疑いがかからないようメッセージを残しておく、コハルを並列化して戦闘集団に仕立て上げられるのは、設計士であるアサカの社員ぐらいしかいないが、人間の事は貴様ら人間に任せた…
私はもう一つの可能性を確かめに行く…馬鹿な新人のケツをひっぱたいてやらねばな』
チエから俺へのメッセージだろうか。
彼女は俺とわかれた後、銃を戻しには行かずに、まっすぐ総合病院に向かったのだ。
コハルに会う為に…

903:メイドロイドは電気釜の夢なんざ見ねぇぞバロウ
07/08/24 18:05:18 GYh1zqLS
「我々が本社ビルを制圧したにも関わらず、タイプ2557の群は活動を停止しませんでした…情報部の電子戦部隊がネットを調べた所、全国のタイプ2557に衛星経由でハッキングをかけているのが、総合病院のある一室である事を突き止めました」
「どういう事なんですか」
「…映像の続きを見てください」
やがてチエは総合病院に辿り付いた。
彼方此方からコハル達が、自分で傷つけて身動きできなくした人間を運びこんでいた。
彼女達は人間にしか興味がないらしく、チエの事は見向きもしない。
しかしチエは無茶をした。
『……タナカのジジィはどこにいる』
近くのコハルに直接聞いたのだ。
恐らくはこれがコハルにとっての攻撃条件になったのだろう、周囲にいるコハル達は一斉にチエに襲いかかってきた。
次々と撃ち倒されるコハル達…だが、相手が人間でなければ彼女達も容赦はしない。
よそにいるコハル達とは違い、ここの彼女達は手に手に凶器を持ち、中には自衛隊から奪った小銃を撃ってくる者もいる。
今度はチエも無傷では済まされない。奮戦するチエもやがて消耗し、銃の弾は切れ、アームは三本切断され、被弾したキャタピラはギリギリと悲鳴をあげている。
彼女は襲ってくるコハル達を倒しながら、病院内部を駆けずり回った…
自衛隊の彼に言わせると、これはデタラメに動いているのではなく、わざと警備の厳しい場所を探しながら進んでいるらしい…つまりそこに、タナカ老の病室があるのだ。
そして彼女は辿り付いた…この事件の元凶に…

『ここにいたか木偶人形』
『………先輩』
俺の目にもしっかりと、その姿を確認する事ができた。
病室で機械に繋がれ、生と死の狭間にしがみ付いている一人の老人と、その回復を虚しく祈り続ける一体のガイノイド。
コハルは、まだそこにいたのだ。
コハルの頚椎にはプラグが指しこまれ、そのコードは長く病院のホストコンピューターにでも繋がっているのだろうか。
呼べど泣けど返さぬジジィのベッドにこうべをたれ、泣いているようだった。
『防衛省にはどうやってハッキングした。パスワードや暗号はどこで手に入れた?』
『自衛隊では、私達を室内戦闘での人質用として採用してくださいました…実は、それだけじゃないんですけどねww』
なるほど…隊員の慰安用としてセクサロイドを納入したは良いが、そいつらにうっかり機密を盗まれたというわけか。
どうりで、さっきから情報保全部の彼は難しい顔をしている。
『何故私だとお分かりに?』
『バラしたお前らのAIを調べた、お前のクセがまるきりコピーされていた…自分自身を並列化するんだ、簡単だったろうさ』
確かに、だが何故だ?
ロボットには三原則が…


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