ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α5at EROPARO
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α5 - 暇つぶし2ch650:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:41:09 iubyaVvq
ロボメイド物を投下させていただきます。

コミカルな雰囲気ですので苦手な方はスルーをお願いします。

自分ではロボ物のつもりで書きましたが、ロボの描写が少ないかもしれませんので苦手な方はスルーをお願いします。

651:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:41:53 iubyaVvq

 『貴方様の思うがままの従順なメイドロボットを製作いたします』

 散歩の途中に目に付いた看板。そこに書かれていた文字が何故か気になった。
メイドロボ?へぇ~、そんなの売ってるんだ、知らなかったなぁ。
あの広い屋敷での一人暮らしも飽きたところだ。
お金なら腐るほどあるし、試しに1体買ってみようかな?
僕はそんな事を考えて、その小さな店の扉を開けた。
……その安易な考えが、僕の人生を刺激たっぷりの人生に変えてしまうことも知らずに。

「いっらしゃいませ、本日はどのようなロボットをお求めでしょうか?」

 店に入った僕を迎えたのは、いかにもといった感じの口ひげを蓄えた店の主。
僕はその風貌に少し驚きながら用件を切り出した。

「表の看板を見たんですけど……メイドロボを1体欲しいんですが」
「メイドロボをですか?ありがとうございます!では早速どのようなメイドにするかお話を……」

 店長がパチンと指を鳴らすと、店の奥から綺麗な女性がアンケート用紙のような物を持って来た。
綺麗な人だなぁ……そんな事を考えていると店の主が怪しい笑みを浮かべる。

「どうですか?我が社自慢のロボットは?綺麗なものでしょう?」
「へ?……ええ?こ、この人ロボットなんですか?……見た目全然分らないですね」

 綺麗な黒髪に、にこやかな笑顔。
僕にアンケート用紙を差し出す動きもスムーズで、その細い指先なんてとてもロボとは思えない。

「はっはっは!そうでしょう、そうでしょうとも!
見た目だけではなく、体のほうも人間そっくりに出来てますよ。
それは御購入後にベッドの上でジックリとお確かめください……ぐっふっふっふ」

 妖しい笑みの店主の言葉に思わずゴクリと唾を飲み込む。
そ、そうなのか?そういうことも出来るのか?出来てしまうのか?
思わず目の前にいる彼女の胸に視線が行ってしまう。……大きくて柔らかそうな胸だ。
僕は少し大きくなった下半身がばれないように、彼女から受け取ったアンケート用紙に視線を移した。

「えっと、これはいったい何のアンケートなんでしょうか?」
「あぁ、これは貴方様がどのようなメイドを欲しているかのアンケートですよ。
このアンケートに書かれたとおりに仕上げますので、必ずや大満足していただけるはずですよ」

 アンケート用紙にはメイドの身長や3サイズ、髪型や肌の色に瞳の色。
性格に趣味などを細かく書くようになっていた。
僕は夜のメイドロボを想像し、アンケートを一気に書き上げてしまった。
……考え無しだったんだよなぁ。僕のバカバカバカバカ!


 今、世の中にはロボットが溢れている。
工場や工事現場、病院などでも人に従順なロボットが活躍し、世界的にも認知されている。
どんなに辛い仕事でも嫌な顔一つせずに黙々とこなすため、大人気なんだ。
そのおかげで人型作業用ロボットを開発した僕の御爺様は莫大な富を得た。
御爺様の残した遺産のおかげで僕は働きもせず、毎日ブラブラと過ごせているんだけどね。
働きもせず、やりたい事もなく、ただ毎日ブラブラと過ごすだけ……そんな日々に飽きてきたんだろうね。
だから暇つぶしの軽い気持ちでメイドロボを買おうと考えたんだ。

 ……その軽い気持ちのせいで静かな日常が逃げ去ってしまった。どうしよう?

652:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:42:39 iubyaVvq
 メイドロボの購入を決め、お金を振り込んでから一ヶ月が過ぎた。
今日はそのメイドロボが屋敷に来る予定日だ。
代金は超高級外車が1台買えるほどの値段だった。だからメイドロボはあまり世間には出回っていない。
いくらロボが世間に広まっているといっても一般家庭にはまだまだ手が出ない値段だ。

「……ふぅ~、緊張するな。僕はご主人様なんだから威張ってればいいんだよな?」

 約束の時間が近づくにつれ、緊張の度合いが増してきた。
普通ならそんなに緊張しないはずだけど、今日来るメイドロボには夜の機能もついているらしい。
……それが僕を緊張させている理由だ。
いいんだろうか?初めてがロボットで本当にいいんだろうか?
そんな事を考えながら、僕がアンケートに記入したメイドロボの特徴を見てみる。

 身長……155~160cmぐらい 髪の色……黒 瞳の色……黒 3サイズ……人並みに 
 性格……素直だがドジなところがある 趣味……プロレス  

 最後の趣味のプロレスはいらなかったかな?
けど僕自身がプロレス見るのが好きだしなぁ、昔のプロレスのことをいろいろと話せたらいいな。
あの時は何故かテンパッテたからあまり深く考えずに一気に書いちゃったんだよね。
おかげで得意料理が卵焼きとか訳の分らない事書いちゃったんだよなぁ。
せめて和食全般とか書けばよかったかな?そんな事を考えていたら呼び鈴が鳴った。
来たのか?正門に設置している監視カメラで覗いて見る。……それらしい姿をした女の子が立っている。
つ、ついに来たんだ!……やばい、喉がカラカラだ、どうしよう?
とりあえずは正門を開けて、玄関に来るように指示を出す。
カワイイ声で返事をする彼女。……いい感じの声だな。この声で毎朝起こしてもらえるなんて夢のようだ!
少しすると今度は玄関の呼び鈴が鳴った。慌てて玄関まで走る。
そしてドキドキしながら玄関のドアを開けてみる。……そこに彼女はいた。
黒髪を白いリボンを結んでメイド服に身を包み、不安な表情で僕を見つめる彼女が。
何故か背中には大量の荷物が詰まっているであろう大きな風呂敷を背負っている。
その風呂敷をギュッと握っている小さな手がなんかもうたまらない!!
……カ、カワイイ。メチャクチャ僕のタイプじゃないか!いよっしゃぁぁぁ~!
思わずガッツポーズを取ってしまう僕。予想以上の出来だ!よくやった店主!

「は、初めましてご主人様!不束者ですが、今後とも末永くよろしくお願い致します!」

 そう言って勢いよく頭を下げるメイドロボ。
んん~、その一生懸命な仕草がカワイイね……ええ?
彼女が背中を見せるぐらいの勢いで頭を下げたために、
彼女が背負っていた大きな、いや、巨大な風呂敷袋が僕に向かって飛んで……ごぼあああ~!!
玄関の扉を開けて30秒、僕は風呂敷に吹き飛ばされてしまった。

「はわわわわ!た、大変ですぅ!ご主人様、大丈夫ですか?」

 慌てて駆け寄る彼女。そこには何故かバナナが落ちていた。
なんでバナナが落ちてるの?不思議に思い、ふと横に落ちている僕を吹き飛ばした風呂敷を見てみた。
風呂敷からは、バナナやスイカ、電子レンジや掃除機等がはみ出していた。
そっかぁ、このバナナは大きな風呂敷の中に入ってたんだぁ、納得だね。
風呂敷で吹き飛ばされて薄れ行く意識の中、大慌てで駆け寄ってくる彼女がバナナを踏んづけたのが見えた。
危ない!……そう思った瞬間、見事につるっと滑った彼女。
勢いよく滑ったためだろうか?豪快に背中から床に倒れこんだ。
……床じゃないね、倒れてる僕の上にだね。…………ドゴシャ!

 ……玄関を開けて1分で僕は自己紹介をする前に、
職人肌のプロレスラー、受身の達人『ヒロ斉藤』の得意技、『セントーン』を食らう羽目になった。

「はわわわわわ!も、申し訳ありませんご主人様!私、ドジなものでつい……大丈夫ですか?」

 あばら骨から聞こえた『ボキボキ』という破滅の音を聞きながら思う。
これをドジで済ますつもりなの?あのアンケート、ドジとか書かなきゃ…よかっ……た………がふっ!

653:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:43:25 iubyaVvq
 僕たちが衝撃的な出会いをして一週間。書斎でくつろぎながらコーヒーを飲む。
しかしあれだけやられてあばら骨は折れてなかったのは、ある意味奇跡だね。
そんな事を考えながらカップに口につける。
……うん、甘すぎる。っていうか、カップの底に砂糖が溶けずに残ってるね。

「お~い、葉月~、ちょっと来てくれ~」

 初対面の僕にセントーンを食らわせたロボメイドの葉月を呼ぶ。
葉月は一生懸命に働くんだけど、いかんせん、ドジだからミスが多い。
あばらを痛めて動けない時は何度殺されかけた事か……それをドジで済ますなんて恐ろしいヤツだ。

「はぁ~い、お呼びでしょうかご主人様?」

 葉月は呼ばれて慌てて走ってきたのか、両手にたわしを握り締め、はぁはぁと息荒く僕の前に現れた。
そのカワイイ僕好みの表情で誤魔化されていたけど、今日こそガツンと言ってやる!
お前、いい加減にしないと廃棄処分にするぞってな!

「おい葉月!お前、このコーヒーな……」
「どうでしたか?ご主人様の言うようにスプーンで1杯、しっかりとお砂糖をお入れしました!」

 ニコッと、まるで輝くような笑顔で微笑む葉月。
……か、可愛すぎる、こんな純粋な笑顔を見せられたら文句も言えないよ。
輝くような笑顔でポケットからそのスプーンを取り出して……うん、それはスプーンじゃないね、レンゲだね。
っていうか、なんで持ち歩いてるの?

「あ~、葉月さん、残念なお知らせなんだけど……それ、スプーンじゃないから」
「ふえ?そ、そうなんですか?はわわわわわ!わ、私またドジをしちゃって……申し訳ございません!」
「あぁ~そんなに謝らなくてもいいよ、前みたいに塩じゃなくなっただけでも進化した証拠だしね」
「ご、ご主人さまぁ、ドジばかりの私にそんなお優しいお言葉……ご主人様ありがとうございますぅぅ~~!!」

 僕がかけた優しい言葉に感極まったのか、抱きついてきた。
本人もミスばかりするのを気にしてたっぽいからね、無理してたんだろうね。
僕をギュッと力いっぱい抱きしめながら、泣きじゃくる葉月。
おいおい、照れるじゃないか、いい加減に離して……お、折れる!背骨が砕け散ってしまう!離せぇぇぇ!

654:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:44:42 iubyaVvq
「ひぐ、ご主人様……葉月は一生懸命頑張ります!ご主人様のために頑張ります!」
「が……ごぼあ………ぐぶぅ…………がふぅ!」
「至らないところもあるとは思いますが、頑張ります!ですからご主人様……ご主人様?」

 あぁ……綺麗な花が咲いてるなぁ。屋敷にこんな綺麗なお花畑なんてあったかなぁ?

「ご主人様……よっぽどお疲れなんですね。クスッ、なんだか可愛く感じちゃいます、ご主人様」

 あれ?こんな川なんてあったっけ?おや?向こう岸にいるのって……5年前に死んだ御爺様じゃないか?

「さ、ベッドで寝ましょうね?では失礼して肩に担がせていただきますね?……よっと」

 御爺様?なんで急に離れていくの?何処に行くの?僕も連れて行ってよ!待ってよ御爺様~!

「お……じいさ………ま……行かない…………でよ……」
「ご主人様……やはりこんな大きなお屋敷に一人きりでお住まいになってて寂しかったんですね。
……任せてください!この葉月がこれからは御一緒します!」
「う……うぁ……んん、は、葉月?お前、何してるの?」

 なんか懐かしい夢を見たような気がする。……なんで葉月に担がれてるの?
夢から目が覚めたら、何故か葉月の左肩に担がれていた。
葉月は華奢な体に見えるけどそこはメイドロボ、僕なんかじゃ束になっても敵わない怪力の持ち主だ。

「あ、お目覚めになられましたかご主人様?
急にお眠りになられましたので、今、ベッドへお連れしようとしてたんです」

 ……何故だろう?この葉月の無邪気な言葉に殺意が芽生えるのは?
ま、いいや。何故か体が動かないし、このまま運んでもらおうかな?

「そっか、ならこのままお願いするかな?」
「はい!私にお任せください!責任を持ってご主人様をベッドまでお運びいたしま……きゃ!」

 突然の葉月の悲鳴。……嫌な予感がする。
僕を肩に担いでいた葉月は、床に落ちていたたわしを左足で踏んでしまい、足を滑らせた。
そっか、このたわし、葉月が持ってたヤツだね?
足を滑らせ左側に倒れる葉月。で、その左肩には僕が担がれてるわけで……うおおおおおお~~~!!!
葉月が気を効かせて、頭が揺れて僕が起きない様にと、しっかりと右手で僕の頭を押さえてたのが災いした。
手を離せばいいのに、そのまま横に倒れこむ葉月。
葉月の肩に乗っていた僕は頭を押さえつけられたまま床に対して頭から垂直に落ちているのに気がついた。
……これはあのエルボーの貴公子『三沢光晴』の必殺技『エメラルドフロージョン』じゃないのか?

 そう思った瞬間、頭に物凄い衝撃と『ゴスン!』という嫌な音がして、僕の意識は暗闇に落ちてしまった。

655:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:45:29 iubyaVvq
「ん……んん、ここは……どこだ?」

 薄暗い部屋の中で僕は目が覚めた。
目が覚めるとそこは寝室で、僕はベッドに寝かされていた。
そして僕の手をギュッと握り締めたまま眠っているように見える葉月。
しかしこれは寝ているのではない。
その証拠に、首筋から生えているコードから葉月の動力源である電気を吸収している。
……家庭用の100V電源でいいとは凄い技術力だよね。さすがはロボット大国日本だ!
妙なところに納得し、葉月の手を離しベッドを降りる。
……大変な目に会った。これは傷害事件だぞ?
なんで主人なのに殺されかけなきゃいけないんだ?
もはやドジで済まされる話じゃないだろう?……返品だ。
葉月には悪いが命のほうが大事だからね。殺される前に返品してやる!
怒りに震える僕は電話を手に取り、葉月を買った店にクレームの電話をかける。

『はい、御電話ありがとうございます、こちらは……』
「もしもし?この間メイドロボを購入した者ですが、店主をお願いします」
『おや?私がですが、いかがなされましたか?』
「アンタのところのメイドは殺人鬼か?この一週間で何度も殺されかけたぞ!」
『えええ?そ、そんなはずはありません!依頼されたとおりの設定で送り出したはずです!』
「現に今日もプロレス技をかけられて、ついさっきまで気絶してたんだ!僕を殺す気か?」
『はぁ?しかし貴方様がプロレスが趣味のメイドにしてくれと注文されたはずでは?
ですからてっきり2人でプロレスごっこをして楽しむものとばかり……』

 ……はぁ?確かに僕は趣味の欄にプロレス観戦と書いた。
それが何でプロレスごっこになるん……あれ?趣味の欄が『プロレス』となってるね。
アンケートに書いた葉月に関する事を見てみる。確かに趣味は『プロレス』となっている。
はたから見ればこれじゃ観戦するんじゃなくて、プロレスをするのが趣味みたいに見えるんじゃないのかな?

「そ、それにいつも失敗ばかりしてるし……」
『それも貴方様がドジなところがあると記入されたからそう設定したのですが……お気に召しませんでしたか?』

 ……確かに性格の欄には『素直だがドジなところがある』と書いちゃってるね。
そっかぁ、ドジの前に『少し』という言葉を入れておけば、ここまで酷いドジっ子にはなってなかったのかな?
ってことは何か?葉月は僕がアンケートでリクエストした通りのメイドなのか?

『しかしお気に召しませんでしたら一度回収し、再度作り変え致しますが。いかがいたしましょう?』
「……作り直す?葉月を作り直すのか?」
『はい、そうです。回収したロボは一度全てをリセットして作り直します』
「リ、リセット?それはどういうことですか?」
『簡単に言うとスクラップにしてから再度一から新品として作り上げるんですよ。
メイドロボという物はお買い上げなされたお客様の要望どおりに作り上げますからね。
回収してもなかなか他の買い手がつかないんですよ』

 スクラップだと?つ、つまりは葉月を壊す……殺してしまうということか?

『それともあれですかね?お客様もやはり大人の女の方がよかったんですかね?』
「……なんのことだ?」
『またまたぁ、夜の営みの事ですよ。ぶっちゃけSEXですな、SEX!』
「な……SEXだと?」
『いえね、私もメイドロボを抱くのに飽きたらスクラップにして新しいのにするんですよ。
しかしお客様はたった一週間で飽きてしまうとは!……よっぽどヤリまくったんでしょうな。
アソコの具合はいかがでしたか?ケツの穴も使えますのでスクラップはそちらを試してからでも……』

656:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:46:19 iubyaVvq
 下品な声で笑う店主の言葉を聞いて頭が真っ白になる。
確かに最初はえっちな考えもあったさ。それは認めよう、僕も男だからね。
けどな……お前に何が解る?お前に葉月の何が解るんだ!
怒りが爆発し、大声で怒鳴ってしまった。

「葉月はな……葉月は僕の為に一生懸命なんだ!一生懸命頑張ってくれてるんだぞ?
毎朝僕の為に美味しい卵焼きを作って起こしに来てくれるんだ!
毎日僕の為に屋敷を綺麗に掃除して、毎日僕の為に庭を掃除して、毎日僕の為に……笑顔で頑張ってくれてるんだ!
そりゃちょっとはドジで、何故かすぐにプロレス技をかけてくる!
そんな少しヘンな葉月だけど……僕にとっては大事な家族なんだ!」
『……そうですか。なら後生大事にすればいいでしょ?じゃ、電話切りますよ?
そうそう、今のに飽きたら新しいメイドロボの御用命は是非当社まで……』
「ふざけるな!貴様のところなど二度と使うか!」

 怒りのあまり、電話を叩きつける。
ふざけやがって……ロボを、葉月を何だと思っているんだ!
怒りに震える僕の脳裏には、屋敷に来てからの葉月の姿が思い浮かぶ。


 洗濯物を全部縮めてしまった葉月。
 
 一生懸命洗車をしすぎて、塗装を剥いでしまった葉月。
 
 卵を割った時に黄身が双子だったと、朝6時なのにベッドで寝ている僕に嬉しそうに報告に来る葉月。
 
 朝、僕を起こしに来た時に躓いてこけてしまい、何故か僕の首筋にエルボードロップを落とした葉月。

 お風呂で背中を流しますと、僕の背中を力いっぱいゴシゴシとこすり、流血騒ぎを起こして慌てる葉月。


 …………ろくでもないね。とんでもない思い出ばかりだね。
けど、なぜだろう?とんでもない目に会っているのに……思い出すだけで僕の顔は綻んでしまう。
……そうなんだ。葉月といると、とても楽しいんだ。
御爺様が死んで、身内同士の醜い遺産争いに嫌気が差して引きこもりになった僕には、他人との接点があまりなかった。
そんな僕のことを大事に思ってくれる葉月との生活が、とても楽しかったんだ。
そして……気がついていなかったけど、僕も葉月の事を大事な存在と思うようになっていたんだ。
自分の葉月に対する気持ち……そのことに気がついた僕に、背後から話しかけてくる声がした。
もちろんこの屋敷には僕以外には一人しかいない。……葉月だ。

657:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:47:18 iubyaVvq
「ごじゅじんざばぁ……わ、たし、ひぐ、わだじなんがを、ぐしゅ、ありがどうございばずぅ~」

 涙をボロボロと零し、号泣してる葉月。
ま、まさか聞かれたのか?……聞かれちゃったんだろうなぁ。
ぐしゅぐしゅと泣きじゃくる葉月をそっと抱きしめ頭を撫でる。
葉月の髪はサラサラで、とてもいい香りがした。

「ゴメンね。僕、一度は葉月の事、屋敷を追い出して店に返してやろうかと考えちゃったんだよ。
でも、もうそんな事は考えない。葉月は僕の大事な家族だ。……うん、かけがいのない家族なんだ」
「ご主人さまぁ……嬉しいです。葉月は嬉しいですぅ~」

 僕の旨に顔を埋め、涙を零す葉月。
あれ?涙なんか流せるんだ?さすがは最新鋭のロボットだな、驚いたよ。

「葉月、涙なんて流せるんだ?」
「ふぇ?当たり前です!私はこう見えても最新鋭のメイドロボなんですからね?」

 頬を膨らませ、胸の中から僕を見上げ文句を言う葉月。
そんな葉月を見ていたら……我慢できなくなった。

「あははは、ゴメンゴメン。けど凄いなぁ、まるで本物の涙だ。ちょっと味見していい?」
「ふへ?味見ってなんです……んあ!ご、ご主人様?そんなダメです!汚いです!」

 綺麗な瞳から流れる涙を、キスで拭き取る。……うん、少し甘いかな?

「少し甘いね、これが葉月の味なんだ。唇はどんな味なのかな?」
「へ?ふええぇぇぇ?ご、ご主人様?いったいどうし……んん!」

 僕の言葉にワタワタと慌てる葉月をギュッと抱きしめ唇を奪う。……やはり唇も甘いんだ。
なら他の部分はどんな味なんだろう?
唇から首筋、首筋から耳へと舌を這わす。

「ん、んん!ご、しゅじん、さまぁ……あん!」
「葉月は全身が甘いんだね。じゃあこの柔らかい胸はどんな味なんだろうね?」

 葉月の少し小ぶりながらもいい形をしているであろう胸に手を這わせる。
……や、柔らかい。これが女の子の胸なんだ。

「ふぁぁぁ……ダメです、ごしゅじんさまぁ、葉月はおかしくなっちゃいますぅ」
「どうおかしくなるの?言ってごらん?」
「視界が白くて、思考回路が混乱して……全身をヘンな電気信号が走っちゃって、体が少し発熱して……」
「そっか、葉月はもう感じちゃったんだ?注文通りだね」
「ふぇぇ?ごしゅじんさまぁ、んあ!ちゅ、注文通りってなんですか?」 

658:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:48:29 iubyaVvq
 メイド服の上からでもわかる、葉月の柔らかい胸。
その感触を確かめるようにモミモミしながら綺麗な耳を軽く噛む。
胸を揉む度に、耳を噛む度に小さな喘ぎ声を出す葉月。
よほど感じているんだろうか、僕の服をギュッと掴んで息が荒い。……パーフェクトだ。
あの店主、性格はクズだけど、腕は確かなようだね。

「葉月を注文した時に書いたアンケート、これ見てみる?エッチのときの葉月の事も書いたんだよ」

 机の上に置いてあるアンケートで性行為の項目を葉月に見せる。

「はぁはぁはぁ、『性感帯……全身 感度……良好で、何度でも連続で絶頂に達することが出来る』
ごしゅじんさまぁ、これってどういう意味なんで……きゃん!」

 揉むだけでは我慢できなくなり、メイド服を無理やり剥ぎとりその綺麗な白い胸に顔を埋める。
あぁ……柔らかい、これが女の子なんだ。

「それはね、簡単に言うと葉月は僕好みの女の子だってことさ」
「あ、はぁん!う、うれし、んん!ごしゅじんさまに、ひゃう!す、吸っちゃダメです!
ごしゅじんさま、胸からはまだ何も出ません!」

 綺麗なピンク色の乳首に吸い付いてみる。
吸う度に、噛む度にビクビクと身体を震わせる葉月。
口の中で舌を使い嬲ってみる。……顔をブンブン振りながら喘いでいる。
葉月はホントに感じやすいんだね、注文通りだ。
……まだ出ないってなに?

「葉月、まだ出ないってなんのこと?」
「ですからぁ、んん、母乳はまだ補充してませんので出せませ……ふあぁぁぁ?
ヘンなところに手を入れないで……ひゃん!やぁん!へ、ヘンですぅ!
体が、視界が、思考が真っ白にぃぃ!ヘンな信号が全身を走って……きゃうううう~!」

 スカートをめくり、白いショーツの中に手を入れてみる。……ヌルヌルしてる。
これが世間一般で言うところの『濡れる』というヤツなのかな?
ショーツの中で軽く指を動かしてみる。
……ぐちょぐちょという音とともに、葉月が泣きそうな声で喘ぎだした。
時折背中を大きく反ったかと思えば、力なくぐったりとする。
葉月、いったいどうしたんだろ?……まぁいいや。
っていうか人の心配してる場合じゃない。痛いぐらいにいきり立っているこれをどうにかしなきゃね。
ズボンを脱ぎ、下半身裸になる。
そしてぐったりとして動かない葉月のショーツを脱がせる。
……ここもいい香りがするんだね、次はここも味見しなきゃね。
今、僕の目の前にはメイド服を強引に脱がされて白くて綺麗な胸を露わにし、
そして下半身はスカートを穿いたままショーツを脱がされている葉月がいる。
自分でしておきながら、なんだけど……エロい!そんじょそこいらのAVなんかよりもずっとエロいよ!
露わになっている人工物とは思えない葉月の下半身に僕の物を添える。
御丁寧に、ヘアーまでついてある。……うっすらとだけどね。

659:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:49:27 iubyaVvq
「葉月……葉月大丈夫?」

 息荒く、虚ろな目の葉月の頬にそっと手を添える。

「ご…しゅじんさ…ま?なにがおこったんです……か?」
「葉月、体は大丈夫?」
「は、はい……とくにエラーも出ていませんし、どうにか動けますけど、ただ思考回路が少しおかしいですぅ」
「そっか、じゃあ大丈夫だね?行くよ?」
「ふぇぇぇぇ?ごしゅじんさま、なにが大丈夫なんですか?どこに行かれる……いっ、きゃあああ~!」

 『グジュ!』

 僕は何が起こるのか理解できていない葉月に一気に突き入れた。
思ってたほどの抵抗はなく、葉月の中にすんなりと入ってしまった。ええ?SEXってこんな物だったの?
もっとこう、ギュギュギュって締め付けてくるものだと思って……う、うおおおお?

『ギュギュ……ギュギュギュギュギュギュ!』

 葉月の中に全部入ったと思った瞬間、葉月の中が別の生き物のように蠢きだし、僕を攻め立てる。

「う、うぁ……は、づきぃ、これ、すごいよ……も、出る!」

 僕は情けない事に、蠢きだした葉月の中に、一度も動くことなくドクドクと大量に吐き出してしまった。
吐き出している僕から一滴残らず、全てを吸い出そうとするかのような葉月の動き。
あまりの気持ちよさに頭の中が真っ白になり、僕は息荒く葉月の胸の上に顔を埋めてしまう。
うあぁぁ……もう出しちゃったのに、まだ締め付けてるよ。これがSEX……これが葉月なんだ。
そんなことを考えながら葉月の胸に顔を埋めていると、僕の頭をそっと優しく抱きしめてくれた。

「ごしゅじんさまぁ……嬉しいですぅ、葉月はえっちしてもらえないと思ってました」
「はぁはぁはぁ……なんで?こんな素晴らしい体の葉月を抱かないなんてことはありえないよ」
「だってごしゅじんさま、今日までえっちなことしてきませんでしたし……
もしかしたら女の子には興味がないのかなって」 
「バ、バカ言うなっての!僕は正常な男子だよ。その証拠に葉月に物凄く欲情してる。
まだまだ葉月を抱きたいと思ってる。……その、まだしてもいいかな?」

 あんなに大量に出したばかりだというのに、葉月の中でムクムクと大きくなってしまった。
仕方ないよね?だって葉月が物凄く気持ちいいんだからね。
葉月はクスリと微笑み、僕の首に手を回し、唇を奪ってくる。

「ん……はい、何度でも。ごしゅじんさまが満足するまでお付き合いします!」

 負けじと僕も唇を奪い返す。

「ん……言ったな?葉月が止めてと言っても止めないからな?覚悟しろよ?」
「はい、大丈夫です。ごしゅじんさまになら、何をされてもかまいません!」
「……なにしてもいいの?ホントにいいんだね?」
「ふぇ?……ヘ、ヘンタイなことは禁止ですぅ!」
「あれ?そうなんだ、残念。ま、今日はいっか。ヘンタイなことはそのうちに、ね?」
「むぅぅぅ……ごしゅじんさまはむっつりえっちのヘンタイさんですぅ」
「あはははは、むくれてる葉月もカワイイよ。じゃ、動くよ」
「ん、んあ……ごしゅじんさまぁ、また葉月はヘンになりますぅ」

 葉月とお互いを見つめ合い、求め合いながらのSEX。
僕と葉月とのSEXは、夜が更けるまで続いた。

660:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:50:11 iubyaVvq
(あれ?この店、潰れちゃったんだ。……ま、どうでもいいか)

 久しぶりの散歩の途中、葉月を買ったあの店が無くなっているのに気がついた。
潰れたのか?店が潰れる前に葉月と会えてよかったな。
百貨店で購入した葉月へのお土産の袋を握り締めて思う。
あのクソ店主の側にいた綺麗なメイドロボはどうなったんだろう?
新しい人に貰われたんだろうか?
それともクソ店主が言っていたように、スクラップにされてしまったのだろうか?
……願わくば、新しい人と幸せになっていてほしいな。


 僕は葉月と会うまでロボットをただの機械だと思っていた。でもそれは違う。
彼女達は生まれる方法が、僕達と少し違うだけなんだ。そう考えるようになった。
彼女達も幸せになる権利はある。そう、あるはずなんだ!
……葉月は僕と一緒にいて幸せなんだろうか?
……葉月が幸せかどうかは分からない。けど一つだけ分かっている事がある。
それは……僕は幸せだということさ!
僕は葉月の待つ屋敷に向かい走り出す。
……早く会いたい。早く抱きしめたい!葉月と抱きしめ合いたい!
玄関のドアを勢いよく開け、僕の大事な人の名前を大声で叫ぶ。

「葉月!どこにいるんだ、葉月!」

 僕の求めに応じるかのように二階から声がした。 

「お帰りなさいませご主人様、葉月をお呼びでしょうか?」

 彼女は二階を掃除していたのか、雑巾を持ったまま慌てて走ってきた。
僕が大声で名前を呼んだためか、急いで二階の手すりのところまで走って来ようとしている。
僕はそんな彼女を喜ばすために買ってきたお土産を見せながら話す。

「葉月、二階にいたのか。君へのお土産を買ってきたんだ。外出用の服だよ、きっと似合うと思うよ」
「ふぇぇぇ?わ、私なんかにそのような物をくださるのですか?あ、ありがとうございま……ふわわわわ!」

 急いで走ってきたために、スカートの裾を踏んでしまったドジな葉月。
僕はそんなドジな君も大好きさ!
しかし、僕は葉月を甘く見ていた。……そう、甘く見ていたんだ。
走って僕の下に来ようとしていた為に、裾を踏んで豪快に前のめりに倒れた。
いや、倒れたんじゃないね、前方に飛び込んだ感じだね。
で、何故か二階の手すりを飛び越えて、僕をめがけて一直線に飛んでくる。
御丁寧に、肘を僕に向けているよ。う~ん、これはどこかでみた事のあるプロレス技だね。
……そうか、思い出した!エルボーの貴公子『三沢光晴』の得意技『エルボースイシーダ』だね!

 『ぐちゃ!』
 
 顔面にめり込む葉月の肘の衝撃で吹き飛ばされ、薄れゆく意識の中、僕は思う。
葉月との生活は、刺激たっぷりだね。……こんな刺激はいらないんだけどなぁ。
吹き飛ばされ、玄関の扉をぶち壊しながら僕は意識を失った。

 ……目が覚めたとき、大事な人が側にいる事を祈って。

 

 ……目が覚めるのかな?

661:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
07/07/28 00:50:54 iubyaVvq
以上です。

662:名無しさん@ピンキー
07/07/28 01:35:11 4N+AX9kO
>>661
ちょwツクバ氏降臨www
今度はメイドロボですか。活動範囲がどんどん広がりますね。
……プロレス好きってまさかあの夫婦の血か?

663:名無しさん@ピンキー
07/07/28 16:34:50 ck5cCxDw
何てハートウォーミングで心やさしい、素敵な作品なんでしょう。

今までこのスレに投稿されてきた数多くの作品の中でも
五指に入る魅力的なお話だと思います。

マルチ嬢がまほろさんぐらいの年齢に成長したら、こんな娘に
なるのかなあ、なんて、頭の中で楽しく画面を描きながら、
最後まで笑顔で読ませていただきました。

664:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/29 04:53:37 O97BSmeQ
誘導されて来たら…! これはいいスレですね。創作意欲が湧いてきた! 投下します。

665:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/29 04:55:06 O97BSmeQ

 「…歩けるか? 発声ユニットがお釈迦、か。生体声帯だけじゃなくシンセサイザーも潰されてる、と。
読唇術使うしかないか。ん? 外部接続のスピーカーユニットがあるって? 早く言えよな! 」

 ここはどこ? わたしはどうしてこんなところにいるの? あなたはだれ? そして…わたしはだれ?

 「目は開けて…まばたきしてるな。俺の認識はOK。…ここは何処、私はどうしてこんなところにいるの? 
  あなたは誰? …私は誰ぇ? おいおい…参ったねぇオジサンは…笑えネェよこいつぁ…」

 ここはどこ? わたしはどうしてこんなところにいるの? あなたはだれ? そして…わたしはだれ?

 「メモリー展開して演算するにもパワーが足りんか…。オヤジ、大容量バッテリー! あるんだろ?」
 「アンタ本気かい? こんな生体組織も腐った生ゴミ同然のセクサロイドなんか今時何に…」
 「そいつを無許可で違法処分してる事を、当局に垂れ込まれたいならこの俺は一向に構わんぜ? 」
 「わかった、わかったよ! ほらよ、コネクターが合うなら使いな! …しかし物好きだねぇ」
 「よっこらさっ、と…うわ、蛆湧いてやがる…あ~あ、ヒデェなぁ…。野晒しのまんまだから…」
 
 外部音声出力機器接続。認識。発声システムへの供給エナジーをカット。コミュニケーション可能。
 声質調整は不可。機器音声グレード低。合成音ONLY。…不満は有るが発声には完全に…問題無し。
 外部電源接続確認終了。適合。READY…。製造番号…LOST。NAME…LOST。映像記録…残存。類推可能。
 
 「ココ…は? 」
 「場末の違法ジャンクヤードさ。名前は? ああ、消去されてたな。だが記憶から類推可能だろ? 」
 「…音声記録はありません」
 「名前が無いのは不便だからな。名乗れ。…自分の自由意志が有る者はすべからく人間だ。うむ」
 「では、映像記録から…エイミー、と。貴方は? 」
 「シャバに出てきたばかりの奇特な足長おじさんさ。…名前は…勘弁してくれや。まだ『無い』んだ」
 「無い、とは? …回答の意味不明瞭。可能な限り、詳細にお願いします」
 「…悪いが認識番号しか無くてね。軍に居た頃はSJ289306Mで通ってた。…笑えるだろ? 」
 「どうして、私を? 他にも私より状態の良い個体が多数ありますが」

 視界サーチ。視界、降雨により不良。人間型、視界に239体を確認。各種パーツの散乱確認。…腐敗臭感知。
露天下に放置。自己生体組織の損耗・損傷率より期間は6ヶ月以上と推定。男性の顔を確認。泣いて、いる…?

 「どうしてって…理由か? 目が合っちまったのさ。…目がまだ生きたいって言ってた。それだけだ。で…」

 男性の深呼吸を確認。男性顔面に極度の緊張を確認。残存映像記録からの類推では…葛藤と逡巡から来るもの。

 「…このやさぐれた馬鹿とここを出る気はあるかい? 」
 
 外部音声出力機器のショート。機能不全により発声不可。外部電源残量10%。私の同意を男性に示すには…!

 「ありがとう。その堪らない、泣き出しそうな微笑みで答えは充分だ。一緒に行こうや、エイミー」

 スリープモード発動。現在の記憶を消去不能領域へ移動。SJ289306を新たなマスターに登録完了…シャットダ

666:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/29 05:00:41 O97BSmeQ

 『…ウン』
 「なんか言ったか、エイミー? 」
 「…表皮組織等の生体部分を培養ポッドで分解中。まだ覚醒なんかして無いわ、シュトルムイェーガー」

 培養ポッドの中の培養液中に各種コードを繋がれて浮かぶのは、どこか骨格標本に似たドロイドの素体だった。
俺がエイミーを連れてきた先は、軍時代に知り合ったもぐりの『整形屋』だ。最もその時はまだ正規の『生体等
兵器整備者』だったが、ある事情により潜伏せざるを得なくなったのだ。政府高官が裏稼業に手を染め、そいつを
始末する任務の際、誰かが故意に人事情報を流したと言えば解るだろう。その標的に選ばれたのが『彼女』だった。
そして過去に俺は証人保護プログラムに従い、上層部よりこの街での護衛及び潜伏補助任務を命ぜられたのだ。

 「またか。俺はもうシュトルムイェーガーじゃ無い。…除隊したんだ」
 「名前が無いから仕方無いじゃない。…SJ289306Mなんていちいち呼んでられる程ヒマじゃないの」
 「好きにしてくれ。綽名には慣れてる」

 SJ289306M。SJは兵科、Sturm Jager。突撃猟兵の事だ。たった一人で作戦行動する場合が非常に多い兵科だった。
その任務に就くために訓練された289306番目のM。性別Male、男性が俺の事だ。生まれたのが軍の施設で、名前は
最初から無かった。任務の性格や、遂行上で必要ならその時に色々与えられた。今は付与されていない。だから、
SJ289306Mだ。名前が無いならジョン・ドーやジョン・スミスでも良かったのだが、面倒臭かったし第一、似合わん。
俺の外見はモンゴロイド、黄色人種の一種の「ニホン系」だった。黒髪、黄色味を帯びた肌、黒瞳でそれを名乗ったら
最後、偽名扱いされて終わりだった。そして「ニホン系」の周辺は出自に五月蠅い。結局どう見ても怪しまれるのだ。 

 「この子を拾って来たって言ったわね…イェーガー? どこからなの? 」
 「チャックとでも呼ぶかい、次は? 」
 「ふざけないで。これ、骨格から見てかなりの高級品よ? 絶対こんな街に流れてくる素体じゃない」

 俺はポッドに眼を向けた。…そうだ。骨格の色からして機械染みて無い。白骨死体で良く見た奇麗なボーンホワイトだ。
培養ポッドの小型モニターに表示されてあるエイミーの元の顔を見る。頭蓋骨の部分のパーツは解剖学上、完璧にこの顔を
再現出来るモデリングを誇っている。大方出回ってるドロイドモデルだと『中身は全部一緒』で『外側だけカスタム』だ。
確かセクサロイドとか言ってたな、あのジャンクヤードのオヤジ…。

 「拾って来た所がモグリのジャンクヤードだしな。シリアルナンバーも名前も記憶から抹消されてた」
 「ならなんでエイミーなんて呼んでるの? 」
 「残ってる映像記憶から類推させた。音声記憶は無いそうだから、記録にある誰かの唇から読み取ったんだろうさ」
 「…普通のドロイドはそんな器用で融通の効く真似、金輪際出来ないって貴方、知ってる? 」
 「そうなのか? 」
 「…気が変わった。組織の再生料金は要らないから、しばらくこの子を調べさせて。お願い…SJ289306M」
 
 『本名』を呼ばれ、反射的に俺は『彼女』に挙手の敬礼をしてしまう。…身に付いた悪い癖だ。一生直らないかも知れない。
実は生体組織再生用にUSダラーで結構な金を地下銀行にて『現金』で用意していたので、丸々それが「浮いた」形になった。
俺はツイているに違いない。だが、しばらくと『彼女』が言ったのに引っ掛かる。元々急ぎの仕事では無いが俺の気分が悪い。
収まりが付かない。何分エイミーも表皮組織や筋組織を剥がれたまま放って置かれれば気分が悪いだろう。

 「了解。で、どれくらい掛かります? 『マエストロ』? 」
 「そうね、早くて6時間、掛かって3日」
 「3日コースでお願いします。徹底的に『洗った』方が何かと後腐れが無い」
 「アリガト。久し振りに現役時代の自分の綽名を聞いたわ」

 『彼女』も人為的な証人保護プログラムにより『本名と過去』を失った一人だ。同じ境遇のエイミーに酷い真似はしないだろう。
俺は出掛けに冗談でエイミーの入った培養ポッドに手を触れ、「3日間、このままで我慢してくれ」とおどけて報告すると、
なんと骨格標本が了解したとばかり右手を上げ、ポッドに当てた俺の手に重ねた。『マエストロ』が目を見張り、俺を見る。
俺は肩を竦めて向き直り、彼女に言った。

 「この通り、同意は得ました。エイミーをしばらく頼みます。じゃ無くて…頼む」

 即座に『マエストロ』が血相を変えて培養ポッドに走ってくる。…もしかしたらとんでもない『お宝』を俺は拾って来たかも知れなかった。

667:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/29 05:01:35 O97BSmeQ
投下終了。…まだロボ描写が甘いな…頑張ろう。では、これで。

668:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 07:46:59 JsdxNZaC
GJ!!
これは期待せずにはいられない

669:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 11:07:50 gtQnNbyN
>>667
おおっ! 大作の予感。世界観もしっかりしていそうだし、期待してます。

670:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
07/07/29 12:46:24 nhELHgB0
うお、SSが一気に2つも!?

>>650
よく考えてみると、終始ドジっ娘属性なメイドがいたらこんな事になりかねないですよねw
それでも許してしまうのは、愛がある故。GJです!

>>667
GJ!期待してます!!

671:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/29 14:54:13 M/3BV6Ps
投下します。

672:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/29 15:05:57 M/3BV6Ps

 『イェーガー』が去った後、『マエストロ』は培養ポッドから溶媒を抜く。エイミーが素体の内蔵パワー不足から
スリープモードに入っていたため、外部から一度、自律行動プログラムを『立ち上げ』ないと起動しない筈だった。
市販のドロイド素体はそうしないと『目覚めない』。だが、この素体は全てが違う。何せ意志の疎通が出来るのを
目の前で見せてくれたのだ。先刻『イェーガー』がポッドの前で聞いた音声も単なる空耳では無かったのだろう。
培養ポッドに漬け込む前に自己判断を申告させるため先に内蔵シンセサイザーを修理して置いたが、その位置も
交換が容易な「上顎」では無く、小型のものが「奥歯」の組織の内部に仕込んである念の入れ様だった。

 「自分でパワーが足りたと判断すれば自由意志でスリープモード解除出来るって…! 一体どこのサイコ野郎が
 作ったのよ! 」

 『マエストロ』のこれまでの経験からシリアルナンバーは直接、『素体』つまり骨格のどこかに刻印されている筈
だと踏んでいた。まずはそれを見つける事から始めねば為らない。ポッド内にスキャン装置の光条が生まれ、
ボーンホワイトを眩い緑光で染め上げる。精査すればする程に奇妙な所が目立つ素体だった。何処が奇妙か? 
セクサロイドの素体にしては設計者の意図が全く読めないのだ。セクサロイドは簡単に言ってしまえば『道具』だ。
何よりもマスターに従順で有る事が求められる。自由意志など何の飾りにもならない。邪魔なものに過ぎない。
だが、この素体は理論上『マスターの求めを拒む』ことすら出来る。これではドロイドである意味は全く無い。
人間女性を金銭で雇うか、感情で縛った方が『目的』を簡単に達成出来る。第一、こんな整備的にも洗浄にも
厄介なセクサロイドが有る筈が無い。

 「シリアルナンバーも製作者の名の刻印も無し、か。首に汎用コネクター内蔵タイプだからハンドメイドな訳が無いけど…」

 この構成もそうだ。素体が極力、最低限の金属部品しか使って居ない。と言うより、首から脊椎に繋がる汎用コネクターが
明らかに設計思想と異なる後付けだ。後は全部、まるでCTスキャンやX線写真を撮影される事を前提に設計されているように
『人間』に近い。首の汎用コネクターさえ取り外してしまえば、体の一部を人工部品に入れ替える人間が多い最近では航空機に
すら簡単に乗れるだろう。さらにチェックの厳しいUSの政府機関でさえ…も? 『マエストロ』は思い至る。ただのセクサロイドと
言う『イェーガー』の申告を鵜呑みにしてエイミーの正体探しをしていたのが大きな間違いだったとようやく気付いたのだ。
『マエストロ』は自分の失ってしまった過去に関係するものにエイミーの正体はあると確信した。

673:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/29 15:09:19 M/3BV6Ps
 
 「3日なんて鯖を読み過ぎたみたいね…。ブレインスキャンでどれくらい情報が拾えるか解らないけれど…
 よろしければご協力を願えるかしら? とっくに『起きて』聞いてるんでしょう? 貴女…エイミー? 」
 『…解析ツールによれば新皮質分野は奇麗に何もありません。中枢神経、小脳分野も解放が必要…ですか? 』
 「ちょっと待ちなさい。…集積回路系も人工有機体なの、貴女?! 」
 『…ハイブリッドです。人工有機体とは別に脊椎内に脳機能を機械的にシミュレート兼バックアップを持っています』
 「凄いわね。偉い偉い。…確か映像記録が有るって言ってたわね? 外部映像出力に繋いでいいかしら? 」
 『何か…恥ずかしいですぅ…。…マスターには内緒ですよね? ね? 』
 
 骨格標本が両手を胸の前で組み、可愛く小首を傾げて目玉を『マエストロ』に向けた。見慣れない人間が見たら
余りのシュールさに卒倒するか噴き出すだろう。だが『マエストロ』は笑うでも無く、エイミーの両手を自分の手で柔らかく包み、
微笑みながら頷いた。信頼関係はこんな些細な事から生まれるのだ。ましてや相手はドロイドの常識を外れているのだ。
人間を絶対に殺すな、と言うドロイドの基本原則を具えているかも怪しい。約束を破れば最悪、殺されるかも知れない危険が有る。
好奇心は猫を殺す。だが、『マエストロ』はエイミーの身柄を頼まれたのだ。…『イェーガー』は過去に自分との約束を完全に守った。
今度は自分が守る番だ。エイミーの右手小指の骨格に、自分の小指を絡めて握る。『イェーガー』が過去にしてくれた『約束』の儀式だった。

 「勿論。女同士の約束よ? どっちかが裏切ったら互いの名に於いてニードル千本飲み干す制裁が加えられるんだから」
 『それって『うそついたらはりせんぼんのーますっ』じゃないんですか? ええと…』
 「『マエストロ』。本名はエイミー。でも『イェーガー』には内緒にしてあるの。私のささやかな秘密。仲良くしましょう、エイミー? 」
 『はい! 『マエストロ』! 』
 「…私が言った文言、昔『イェーガー』が教えてくれたのよ。オリジナルは『ニホン語』だったのは全く知らなかったわ。
 これも内緒よ? 持ち出されるとまた、きな臭い顔して照れるんだから、彼」
 『…黙ってますから、マスターの事、わたしにも教えてくださいね? …もちろんマスターには内緒にしますから…』
 
 エイミーの強化カーボン系樹脂骨格の冷たさを意識しながら、『マエストロ』は内心、3日間の睡眠時間の合計に遠く思いを馳せていた。
信頼関係は締結された。少しは仮眠時間が出来るに違いないだろう。その前に『イェーガー』に連絡を取らなければならない。用心しろ、と。
自分の勘が正しいなら、この『エイミー』は相当に危険な『暗殺任務』に使われたに違いない『兵器』なのだから。

674:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/29 15:10:18 M/3BV6Ps
投下終了。…肉付け描写エロシーンまでが遠い…! 短くてスンマセン。

675:名無しさん@ピンキー
07/07/30 01:50:46 vr3IJCuo
乙です。どんな展開になるのか楽しみ

676:名無しさん@ピンキー
07/07/30 04:42:05 a/nTgWo2
GJ!!こんな優しい雰囲気がいい。

677:名無しさん@ピンキー
07/07/30 10:36:44 kzq1KHZd
投下ラッシュがきてるなぁw
保管庫って、いまはどうーなってるっけ?

678:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/30 16:01:49 ZHQcybBw
投下します。

679:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/30 16:08:38 ZHQcybBw

 片手に持った携帯端末からは聞き慣れた女性の声がしていた。相手は『マエストロ』だ。声で解るが、今は律儀に端末に答えている状況では無い。

 『イェーガー? 聞いてるの? イェーガー! 』
 「悪いが今取り込み中でな! っとお! …今済んだ」

 俺の携帯端末は相手の画像もアドレスも表示しない。向こうで非通知設定を行っているのだろう。顔や正体は知っているので全く問題無い。
有るとしたら俺の方に問題が有る。例のジャンクヤードのオヤジに話を聞こうとして事務所に入ったら、身体には下顎しか付いてなかった。
エイミーの来歴ぐらいは聞き出せると思ったら、これだ。この街では殺人など日常茶飯事なのだと言う事実は、以前の任務から学習済みだ。
しかし、その殺し方が尋常では無かった。こんなに奇麗な切り口で、飛び散った血液も洗浄済みと言う現場など、なかなかお目にはかかれない。
第三者に対する警告も兼ねて、死体をわざと残して置いたに違いない。現場を後にし、用心して奥のジャンクヤードに侵入すると…襲撃が来た。
だが相手に取って不幸だったのは…わざわざ超微細震動ナイフでの格闘をこの俺に挑んで来た事だ。で、俺は今襲撃者を取り押さえ腹の上に居る。

 「いい腕だが、少し相手が悪かったな? どこの出身だ? 」
 「言うものか! 」
 「ま、普通そうだな。俺が解るのはお前がUS政府機関で訓練されて少し場数を踏んでる、ぐらいだよ」
 「ぐ…! 」
 「動きから見て戦闘用ドロイド。素体はGM・Mk-11F。静音性に優れたモデルだが、まだ動きが堅いな」
 「…!? 」

 全く、どこのどいつだ? こんな格闘素人を差し向ける馬鹿は? ロクな実戦経験が無いのが丸解りだ。蹴り技主体の攻撃を許すタコ助など
居るかよ? 少し気の利いた経験者ならば絶対にそんな馬鹿はさせない。従って軍関係では無い。残るはUS系の情報機関だ。あそこには趣味的な
ナードが多い。襲撃者のバラグラバ、覆面帽を剥いでやるとやっぱり…女性型だ。シンセサイザーで男の声を出していても、厳つい装備越しでも
動作で解る。俺はドロイドの超微細震動ナイフを持った右腕関節を保持したまま、ドロイドの首に持って来てそのまま押し込む。ズッパリ入った。
ねっとりとした白い、乳化フロロカーボンの組織液が派出に飛び散ってくれた。…機密保持のために突然自爆なんぞされたりしたら、俺が危ない。
キツめの顔をしているこの女性型ドロイドの顔にも一部、組織液は飛び散っている。以前に部下に見せられた『ブッカケもの』のポルノを思い出す。

 『イェーガー、…解析装置を用意して置くわ。すぐに戻って』
 「あいよ『マエストロ』。それと素体の首から下も回収するか? …USの新型素体、興味あるだろ? 」
 『知らないと思うけれどMk-11Fの基本設計は私が現役の時に提出したのよ。…どうUSとGMの奴等が量産化で改悪したか見て見たいわ。頼める? 』
 「了解。帰還します『元』技術少佐殿」

 俺はおどけて敬礼した後、端末の通信回線をOFFにした。それから負けた悔しさと将来の不安が無い混ぜになった表情のドロイドに微笑んでみせる。
人のカタチをして自分の自由意志を持つものは、すべからく人間だ。それが、俺を今、俺たらしめている主義だ。ドロイドだからと言って酷い扱いは
しない。ドロイドだからと言って道具扱いもしない。自分が『名前も付けられない国家の道具』のような扱いをされたから、他にもすると言うのでは
救いが永久に来ない。だったらこの俺で終わらせてやればいい。超微細震動ナイフをドロイドの胴体に装備されていたスキャバード(鞘)に格納する。
聴覚が鋭敏な人間の耳でやっと捉えられる、高周波の唸(うな)りがやっと収まった。…これがただのナイフならば俺は完全な奇襲に遇っていただろう。
運が良いのも実力のうちに違いない。いや、きっとエイミーを拾った事と、培養ポッドに入れる前にバスルームで洗ってやった功徳が効いているのだ。
情けは人の為ならず、自分に因果か還るもの、だ。俺の国の古い俚諺だ。俺はスラックスのポケットからハンカチーフを取り出した。

680:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/30 16:09:46 ZHQcybBw

 ドロイドの目のあたりにベッタリと付いて、視界を塞ぐ組織液を奇麗に拭(ぬぐ)ってやる。…人間にしたらもう死んでる状態だが、ドロイドは違う。
内蔵電源が持つ限りは『生きている』のだ。俺の行為が余程不思議だったのだろう。ドロイドが目を見開いて『驚いている』。…第三世代以降の
戦闘用ドロイドには感情が『わざと』付与されている。…ある国家のイカレポンチが発案し、『非公式』の実戦データによって『かなりの有用性』が
証明されたおかげだ。そのドロイドの各種データは絶対に外部に『漏れない』筈だった。絶対に絶対に絶対に、『情報』は漏れない筈だったのだ…! 
そいつが見事に裏切られた俺は、この世の中に『絶対』など無いのだと改めて思い知らされたのだ。…その後に他にも色々裏切られ、俺は今この街に居る。

 『どうして、こんな無駄な事をする? 』
 「誰だって気持ち悪いのは嫌だろう? まだオマエは『生きてる』。それが理由だ」
 『…自爆するかも、知れんぞ? …頭だけの惨めな姿に為ったとは言え、舐められたくは無い! 』
 「嘘だな。運動中枢をサーチして見ろ。最初の延髄への一撃で無線機構は確実に破壊した」
 『残る有線機構はこの通り切断した、か。なるほど、貴様は素人では無いな…何者だ? 」

 質問に応える必要や義務など俺には全く無い。だが、このドロイドをこんな目に合わせて黙っていられる程、擦れてもいない。だから…俺は…

 「元、突撃猟兵。…Ex(エクス:元)-Sturm Jagerだ。…貴官は立派に戦った。誇って良い」
 『…有難う。生身の人間の男風情に自分が負けたと卑下せずに済む。…Exとは言えSturm Jager…生まれて始めて見た…』

 途端に憧憬に表情が柔らかくなるドロイドの様子に、『彼女』が『余計な軍事知識』を持っている事を確信する。同盟国とは言え、他国の編成や
部隊の評価はドロイドにしては『無駄』そのものだ。差し向けた人間の偏った趣味の影響だろう。たった1機、1人で戦場を駆ける、残酷な猟犬。
群れる事無く敵の背後に静かに橋頭堡を創り上げ、背後から致命的な一突きを冷酷に下す司令部の刃。誇り高き独立を今だ保つ国家の栄光の陰に
万余の突撃猟兵の屍在り。突撃猟兵は生きて軍を出る事無し。等のヒロイックかつロマンティックに彩られたキャッチコピーのその実体は、厳重に
秘匿されている。俺は胸の奥に拡がる苦い思いを隠してドロイドの身体を抱き上げ、左肩に担ぐ。切断面では組織液が繊維状に凝固し、無駄に流れ
落ちることは無い。それからドロイドの首を両手でそっと、持ち上げる。

 『な、なぁ? あの格闘術、突撃猟兵の特殊形か? 今リピートしたら動きが溜息が出るほど流れるように奇麗で…』
 「守秘義務って知ってるか? 俺んトコは三年は黙ってろって事に為ってるんだよ」
 『そうかぁ! やっぱりそうなんだぁ! で、対ドロイドと対人間って、やっぱり同じなのか? 』
 「…ちったぁ黙ってろ。俺の方から質問だ。展開してるのはオマエ1人なわけ無いよな? 」
 『定時報告が無い場合、あと1人動く事に為ってる。喋ったから私の質問に応えろ! 』 
 「オマエ本当に戦闘用か? 仲間を売ってるって自覚無いのか? 」 
 『無い。だから応えろ』
 「わかったよ。そうだ。突撃猟兵は差別せん。敵は可及的速やかに無能力化せよ、だ。で? 」
 『その1人が人間の男なんだが、いけ好かない奴なんだ。いくら私がドロイドだからってっ…』
 「…ああ、解った。もう喋るな。思い出したくも無いだろうからそのへんでもう止めとけ、な? 」 
 『貴様が私の上司なら…本当に…良かったのに…』
 
 悔しげに唇を噛むドロイドの髪を撫でてやる。軍用ドロイドの命令権者に任命され、『勘違い』する奴がよく居るのだ。感情があるとは知らずに、
性欲の捌け口として扱って見て、目的のブツが『付いてない』ことに逆上してみたりするのは可愛い方だ。明確に拒否しているのに『命令』で
口で処理させて、嫌がる顔がたまらん、なんて言う外道は軍で腐るほど見てきた。マッチーズモー(筋肉至上主義)揃いなUS政府関係機関ならば
言うに及ばずだ。今も昔も人間間の信頼関係の醸成には時間が掛かるものだ。『マエストロ』の仕事をまた一つ、増やす事になった。多分料金は
お人良しの俺が払わされる事になるに違いない。しっかし…ここまで自由に喋らせるなんてただの馬鹿に違いないな? その命令権者の男は? 
『マエストロ』の隠れ家まで第二の襲撃が来ない事を祈りつつ、俺はジャンクヤードを出る事にした。 

681:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/30 16:11:28 ZHQcybBw
投下終了です。…エロ成分が少ない…かな。

682:名無しさん@ピンキー
07/07/30 16:42:33 CGlgSvEj
前の子が有機系だから今度の子はやや無機系寄りがキボン

683:名無しさん@ピンキー
07/07/30 16:45:38 kQqXGJz+
命を懸けたバトルの後の、妙なほのぼの感がたまらん・・・GJ。
かっこいいよイェーガーたんw


684:名無しさん@ピンキー
07/07/30 17:08:02 iT2I9oT6
軍オタでツンデレ入った今の子と言いエイミーといい可愛すぐるw
続き凄い楽しみだわー
期待してるよ! GJ!!

685:名無しさん@ピンキー
07/07/30 21:19:31 BhntbZiM
やっぱり、このスレ最高!
今までずっとROMってたけど、ここまで良作臭のする作品に出会えるなんて!

686:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/31 01:49:32 C9n2KJZN
短いですけど…投下します。

687:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/31 01:56:37 C9n2KJZN

 「ただいま母さん、エイミーはいい子にしてたか…い!? 」
 「誰が母さんよ誰が。 次は殺るわよイェーガー! ねえ、それともそれ、プロポーズ? …本気にしていいのかしら? 」
 『はいマスター! わたし、いい子にしてました!  』
 
 2時間後、軽口と共に現われた『イェーガー』が絶句した。顔の前で掲げられた太くゴツイその2本の指の間には高周波メスが挟まれていた。
『マエストロ』が投擲したのだ。メンスは先週来たと聞いているから、かなりイライラ来る事でもあったのだろう。しっかり挟んでいなければ
右手の人差し指と中指が手首まで長くなってしまうので、そのまま投げ上げて右手でメスの柄を握り、エイミーが寝ている作業台に近づく。

 「ただいまエイミー。…勿論、挨拶代わりの軽いジョークですよ『マエストロ』。…なんつーか、シュールな空間だねぇこりゃあ」
 『大分ケイオティックな状況だな? まあ私も含めてシュールなのは認めるがね。…この通り、女の生首と骸骨が喋るのだからな』
 「ああ、回収してきたのね? 彼女がMk-11F、と。…そこの整備ベッドに寝かせて。少し休んだら性能諸元や構造図を『吸い出す』わ」
 
 素体のエイミーが仰臥したままの整備ベッドに片手をつき、眼球保護のゴーグルを外した『マエストロ』が、疲れたのかしきりに目蓋を揉みながら
『イェーガー』から直接、高周波メスを受け取ろうと片手を差し出す。『イェーガー』は小器用にメスを手の中で回転させ、メスの柄を差し出した。
生首に為った戦闘用ドロイド『Mk-11F』がそれを見て高い音色の口笛を軽く吹いた。『イェーガー』が刃物の扱いにかなり慣れている事を賞賛したのだ。
 
 「何か解ったかい? エイミーの事は? 」
 「ええ。…素体の性能諸元や構造図、マニュアルはエイミーの協力で『消去不能記憶領域』から『吸い出せた』わ」
 「…なんだぁそりゃぁ? 普通のドロイドは…」
 『無いだろうなそんな上等なものは。…私の受けたブリーフィングを聞きたいか? 聞きたいだろう? なあ? 勿論、タダでは無いがな! 』
 「どうする『マエストロ』? こんな事言ってるが? 」
 「…交換条件を聞いてみて。出来ないようだったら記憶を吸い出してコード化(暗号)されてるのをデコード(翻訳)化すればいいだけだから」

 『マエストロ』のどうでもいいわ、と暗に示唆している口調に『Mk-11F』は不満そうに唇を尖らせる。…性格的にカスタマイズされてるな、コイツは。
ふとそこで、『Mk-11F』の名を聞いて無かった事を思い出した。実質こうして捕虜にしたのだから、所属や認識番号とともに尋問するのが礼儀だった。

688:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/31 02:20:21 C9n2KJZN

 「そう言やぁ、オマエ、名前は? まだ所属も聞いて無かったな? 認識番号もあれば聞くぞ? 済まないが今の今まで忘れていたんだ」
 『…突撃猟兵は捕虜を取らない主義だと聞いている。貴様が気にする事は無いさ。所属と認番は話せない。名は…今回の任務のものでいいのか? 』
 「いや、自分の一番、気に入った奴でいい。いつまでもオマエ呼ばわりは嫌だろう? 」
 『…わりと先刻の…その…一度だけの『貴官』呼ばわりの方が好きだな…。出来ればそっちの方が嬉し…そこの骸骨と女、何が可笑(おか)しい!? 』 
 
 エイミーと『マエストロ』が声を出して笑っていた。部外者に取って見れば漫才を演じるが如くに聞こえるだろう。だが、当の本人達は己の常識の範疇で
話しているに過ぎない。作戦行動ごとで名前がコロコロ変わり、個体ユニットナンバーが編成ごとに変わる状況など、実戦を経験しなければ金輪際解るまい。
それを言わないのが『イェーガー』の変な優しさでもあり、隠れた美徳でもあった。『イェーガー』が厳つい肩を竦(すく)め、両掌を上に向け天を仰いだ。
その滑稽な仕草を見た『Mk-11F』も、最初はやや拗(す)ねた顔をしていたが、釣られて声を出して笑ってしまう。ひとしきり4人の笑い声が響いた後、
『Mk-11F』がポツリと、照れながら小さな声で言った。

 『キティ・アレン…』
 「なんだって子猫ちゃん、よく聴こえなかった」
 『キティ・アレンだっ! これで聴こえたろう! この冷血漢! 』
 『ええと、キティさん、でしたよね? マスターは本当は解ってて聞いてる意地悪さんなんですよ? 』
 『なんだと骸骨…どう言う意味だっ! 』

 途端に血相を変えて喚く自称『キティ・アレン』に、『マエストロ』はパンパン両手を叩いて黙らせ、どこか女教師めいた、諭すような口調で話しかける。

 「はいはい、アレン? 子猫ちゃんって貴女のお国だと何て言うの? はい、リピート」
 『…っ! …糞、いつか殺してやる! 絶対絶対絶対、殺してやるッ! 覚えてろこの! 聞いてるのかおい! 』
 『あのぉ…そんなニヤニヤを隠せない顔して怖い事言ってても、全然怖そうに見えませんよぉ? …キティさん? 』
 『だ、黙れ骸骨ッ! そこの女も笑うなっ! 特に貴様ァ! 絶対にこの私を愚弄した事は許さんからなっ!』 
   
 『イェーガー』は『マエストロ』に微笑んで見せる。突撃猟兵を擁した部隊が何故戦場で群を抜く強さを誇るのか、『マエストロ』には解った気がした。
『マエストロ』の抱いていた緊張感や重圧が、この一連の出来事でいつの間にか雲散霧消していたのだ。要は場の緊張感を適度に殺す方法がとても巧いのだ。
『イェーガー』の邪気の無い頬笑みが、逆に『マエストロ』には痛々しく感じる。こんなにも優しい彼が敵を殺す時、彼はどんな顔をして手を下すのだろうか、と。
真顔に戻った『イェーガー』は、気色ばむ『キティ』に向き直った。文句の一つでも言ってやろうとした『キティ』はその真面目な雰囲気に呑まれてしまう。

 「で、キティ? 何が望みだ? 交換条件って言っただろ? 」
 『突撃猟兵の格闘術を見たい。…出来れば…その…手合わせも…出来たら…なぁって…』
 「…んで国に帰ってお仲間に広める、と」
 『そんな事はしない! …したくても、もう出来ない…! 任務を失敗したから…』
 「解体、か。済まんな。…嫌な事を言わせた。この通りだ」
 『マスター、キティさん、どうするんです? 』

 即座に『イェーガー』は『マエストロ』を困った顔をして見ていた。なんとかしてくれ、の意を込めたアイコンタクトだ。たまにはたくましい男に縋(すが)られるのも
悪くは無い気分に『マエストロ』はさせられてしまう。以前に任務で始めて会った時に比べ、なんと表情豊かな面を見せてくれる事だろうか。いや、全然悪くない。

 「…行き場が無いなら私の護衛として雇ってあげてもいいわ。…修理費用はどこかの親切な元シュトルムイェーガーさんが出してくれる事が前提だけど?  」
 『ほ、本当に良いのかそんな好条件で!? 私は捕虜なんだぞ、捕虜! 』
 「仕方ねェ、それで手ぇ打とうか。それなら守秘義務もクリアだ。大恩ある『マエストロ』の護衛が弱くちゃ話にならねぇ」
 『マスター、偽悪ぶるのはいいんですけど…べらんめぇが全然、板についてませんよ? 知ってます? 』

 エイミーの台詞が止めを刺した。殺風景な『マエストロ』の広い仕事場に、また4者4様の笑い声が響き渡る。『イェーガー』は思う。こんな時を過ごすのも悪くは無い、と。

689:319 ◆lHiWUhvoBo
07/07/31 02:21:52 C9n2KJZN
投下終了。1レス分で収める計算が入らなくて…。済みません。おやすみなさい。

690:名無しさん@ピンキー
07/07/31 03:54:47 nRlPwZDf
GJ!!戦闘物のほのぼのとはなかなかいい物だな。

691:名無しさん@ピンキー
07/07/31 11:55:09 oLcrulOB
そろそろエロが入るかなとwktk

692:名無しさん@ピンキー
07/07/31 12:25:32 NJ9htH0v
GJ!!
なんかオラわくわくしてきたゾ!

693:名無しさん@ピンキー
07/07/31 13:21:17 JgvP7d7B
エイミーに肉がつかないのはサービスシーンだからなんですよね!
…嬉しくて涙がとまりませんよ。

694:ロボ ◆JypZpjo0ig
07/07/31 13:30:00 bpcYCYrK
遅くなりました
前回の投下から、もう二ヶ月も経つんですね

投下しますよ

695:『of the May-day』
07/07/31 13:31:34 bpcYCYrK

 ◇ ◇ ◇

 脱衣所で着ていたものを全て脱ぎ、入口とは逆方向のドアを開くとシャワーのノズルを
軽く捻る。先程のパーツ変換のときに付着した潤滑油を流すために、温度はいつもよりも
少し高めに設定してある。途端に噴き出したお湯が肌を打ち、熱と共に軽い痛みを与えて
くるが、この程度にでもしないと粘度の高い油は落ちないので仕方ない。数秒、我慢して
肌にお湯の温度を馴染ませると、俺はプラスチック性の安い椅子へと腰掛けた。
「はい、入った入った」
「失礼します」
 元は個人での入浴を目的としたもので、あまり広いとは言えない浴室だ。相手が子供の
場合だったらまだしも、成人した複数の人間が入るようには設計されていない。ましてや、
広く幅を取る体の洗浄に対応している筈もなく、メイがこちらに入ってきたことで一種の
圧迫感さえもが感じられた。だが構わない。たまに背中を流してもらっているから浴室に
二人で居るという現状は苦痛となるものではないし、今回はそれ以上に嬉しさに近いもの
があるからだ。それと比べたら、この狭さなど大したものではない。
 と、最初は思ったが、
「狭いな」
 メイの体を洗い始めて、つい呟いてしまった。
 俺は第二惑星の血を色濃く受け継いでいるせいか体が酷く大きい。それに加えて何度も
言っているが狭い浴室に二人分の体躯だ、今まで俺の背中を流していたメイはかなり苦労
をしていただろう。ろくに身を動かすことも出来ずに、身長差を無くす為の妙な中腰姿勢
を継続させてのボディウォッシュは思った以上に疲れるものだった。俺の手が時折止まる
のを気にしてか、その度にメイは申し訳なさそうな顔をして振り向いてくる。女の子座り
をして背を向けている状態での振り向き、というコアな性癖が無かったら、俺は今にでも
ギブアップしていたかもしれない。しかしエロい姿だ、踵で尻の肉が押され、歪んでいる
ところなど本当に堪らない。肌を伝う泡やお湯などが尻の歪みに合わせて絶妙なカーブを
描いているのもまた、一緒に風呂に入って良かったと思う。
「あの、ハク様? 漏れてますよ?」
 いかん、整備不良があったか。


696:『of the May-day』
07/07/31 13:33:10 bpcYCYrK
「その、唇から本音がダラダラと。お尻、そんなに好きなのですか?」
「大好きだ」
 メイは何故か困った顔のまま目を反らして再び前を向き、頭を少し下げた。
 うなじもまた綺麗だな、と思いつつ腕と背中の泡を流し、今度はスポンジではなく掌に
直接洗剤を垂らした。何度か擦って泡立て、こそぐようにして脚の表面へと滑らせてゆく。
油の落ちは弱く、スポンジを使えばもう少し楽になるのだろうが、脚部は気に入っている
パーツの一つだ。柔らかな丸みを帯びた尻や、そこから続くなだらかなライン。小さく、
しかし綺麗に筋の通った膝の裏側や、細く引き締まったふくらはぎ。魅力を説明するのが
言葉では難しい魅力のアキレス腱や踝、足の指など、どれもが素晴らしい。普段はブーツ
やスカートなどで隠れているからと言っても、下手に傷でも付くのは我慢がならない。
 丁寧に足の指の間まで洗うと、脇腹や腹部を擦り、そのまま胸へと手を伸ばす。手の中
に収まりきらない豊かな乳房を掴み、揉みほぐすようにして洗ってゆく。
「あの、手付きが、いやらしいの、ですが」
 声を堪えていたのだろう、発せられる言葉は途切れ途切れなものだ。相変わらず俯いて
いるので垂れた前髪に隠れて表情が読めないが、胸の先端部分の周囲をこねるようにして
洗うと、は、という吐息が溢れてきた。人の姿に似せて作られているが、愛玩専門として
作られた機械人形とは違い、人間のように分かりやすく乳首が固く反応することはない。
性行為のリアリティを求めたものは、こと睦み事に関しては人間以上に人間らしく、娼婦
以上に娼婦らしく乱れるという。しかし俺はこのくらいの反応で充分だ。他の誰でもない、
メイが俺の愛撫に対して反応してくれるのが嬉しくて、更に行為を続けてゆく。


697:『of the May-day』
07/07/31 13:33:57 bpcYCYrK
「あの、そこは、駄目です」
「いや、こうした突起の周りは汚れが溜りやすいから、もっと洗わないと」
 首を小さく震わせるのに合わせて揺れる髪に顎を埋め、逃げるように身を屈めるメイの
体全てに重なるようにして自分の体を預け、手指の動きを連続させた。乳首の周囲だけに
止まらず、また揉みしだき、ときには少し強めに乳房を掴んだり、思い付く限り様々な胸
への刺激を与えてゆく。それぞれに反応を見せる姿が何とも愛おしく、また揺れる尻の肉
が擦るようにして固くなった竿に当たってくるのが気持ち良い。
「そこ、ばっかり、胸ばっかりは」
 それもそうだ。俺は髪に埋めたままの顎で頷きを一つ返してみせ、今度は下へと手指を
滑らせてゆく。先程通った脇腹を数度撫で、臍のラインをなぞるようにして真っ直ぐ下へ。
指先が辿り着いた場所は、指に絡み付く粘液が溢れていた。擬似セックス用のローション
だとは頭の中では分かっているが、お湯の熱を受けて熱くなったそれは、人の愛液と大差
が無いように思えた。大切な存在が気持ち良くなった証として出した、という点では愛液
もローションも同じものだ。違うのは人工であるかどうかだけ、少なくとも俺はそう思う。
 そのぬめりを利用して、秘裂の表面を指を滑らせながら往復させる。合成樹脂によって
作られたメイの大切な部分は蜜と同様に熱を受け、驚く程に柔らかくなっていた。軽く指
に力を込めただけでも変形するそこは、不思議な弾力で指先を押し返してくる。包み込む
ように、しかし確かな弾力を持ち押し返してくる股間の肉は、撫でているだけでも快い。
そのまま割れ目の中へ指を侵入させようとしたが、
「まって、ください」
 寸前で伸びてきた細い手によって、責めの動きが止められた。
「もう充分に洗って頂いたので、今度は私がハク様を洗う番です」
 「気持ち良く」ではなく「洗う」という表現を使ったメイの言葉が面白く、つい笑いが
溢れたが、特に意識しないで言ったものらしい。不思議そうに首を傾げながら立ち上がり、
お湯で自らの体に残っている泡を流すと俺の背後に回り込んでくる。


698:『of the May-day』
07/07/31 13:35:27 bpcYCYrK
「失礼します」
 後頭部に柔らかな感触が来て、次に新品の腕が伸びてきた。軽やかな動きで壁に付いた
コンソールを操作してお湯を普段と同じ温度に戻し、人間用のボディソープを取ってから
腕は背後へと引っ込んでゆく。それに続いて、ボトルのヘッドを押す音が小さなリバーブ
を含み耳に入ってきた。どうやら普通に洗うつもりらしいと一瞬思ったが、しかし目の前
にあるものを見て違うと気付いた。
 いつも使っているスポンジは棚に置いてあるままだ。そしてその棚の左側、姿見サイズ
の防曇鏡に映っているメイは掌に溜めていたボディソープを自らの胸に垂らし、自慰行為
をするように揉み、泡立ててゆく。やはり先程発した「洗う」という言葉は、メイなりの
ジョークだったのかもしれない。嫌いではないが、何とも分かりにくいジョークだ。
「それでは、楽にして下さい」
 タイルに膝を着く音がして、つい十数秒前に後頭部に受けたものが、今度は直接背中へ
押し付けられた。髪などの遮蔽物もなく、また頭部よりも繊細な神経を持つ肌への直接的
な行為に、少し元気を失いかけていた股間が再び反応してくる。
 だが、それより感じるのは、
「冷静なフリしてても、モロバレだな」
 密着した胸の奥、微かに強くなった独特の振動が伝わってくる。人で言う胸の高鳴りと
似たようなもの、勢いの付いた感情を処理しようと稼働を強いものに切り替えた処理系の
機構が内部で激しく動いている。心の鼓動とも言うべきそれは、メイの心情をダイレクト
に俺に伝えてきた。そのことを指摘したことに言葉での反応は無いが、抱えるように前に
回された腕に込められた力が少し強くなる。恥じらい隠すようにした行動だろうが、寧ろ
背に胸を押し付ける度合いが強くなり、余計に振動が強くなる。
 数秒。
「……ハク様は冷静なんですね」
 ぽつりと、残念そうな声が漏れた。
「私はこんなに酷いのに、不公平です」
「落ち着くからな」
 まるで別物なのだろうが、深く技術者としての根性が染み付いた俺には、メイの振動が
母親の鼓動のように思えたのだ。今は亡き母親の子宮の中で感じた、記憶の中に深く残る
心臓のリズム。人が一番安らぐというそれに近いもののように感じた。


699:『of the May-day』
07/07/31 13:38:32 bpcYCYrK
「卑怯です、その言い方は」
「それに男は胸を押し付けられると酷く冷静に興奮するという習性が……いやすまん冗談
だからまずは首に延びた腕を引っ込めてくれ新品の性能は理解してるから!!」
 畜生、油断も隙もあったもんじゃない。遥か何千年もの過去にはロボット三原則という、
権利を微妙に無視した機械人形の理想的な在り方というものが存在したらしい。その概念
が失われた過程には、どれ程のドラマがあったのだろうか。
「恐ろしい」
「申し訳ありません。共に在ろうと言って下さったとき、嘘は吐かないと決めましたので」
「じゃあ今の心境を正直に」
「馬鹿とエロの両立した存在は、判断が難しいです」
「何の判断だよ!?」
 微妙に無視された。
 しかし無言のまま、メイは体を上下させる。質問に答えてはくれないが、律儀にも洗う
行為は続けるつもりらしい。感触はスポンジに似ているが、それよりも柔らかく撫で擦る
胸の感触が何とも心地良い。他の箇所とは違い微妙に固さを持たされた先端部が擦れる度、
また感じているのか耳に小さな喘ぎ声が入ってくる。
 暫くして俺の胸を抱いていた腕が引っ込み、メイの体も背中から離れた。そして二度目
のボトルヘッドを押す音が浴室の中に響き、今度は腕が胸ではなく股間部に伸びてくる。
泡立った左右の掌が包み込むようにして天を向いた肉棒をホールドし、
「失礼します」
 緩やかに、扱き始めた。
「気持ち、良いですか?」
 専用のプログラムはメイ本人の強い拒否によってインストールされていない筈なのだが、
まるで専門の機械人形のように巧みに擦ってくる。強すぎず、しかし弱くもなく、絶妙な
力加減で竿を握って、ゆるゆると上下に掌をスライドさせる。洗う、という建前のような
ものがあるせいか、カリ首の部分を指先で一周し、先端部分を何度も揉んできたりと余す
ところなく丹念に刺激してくる。それだけでは終わらずに転がすように袋を揉みしだき、
中の玉まで転がすように愛撫し、更には腰骨までもを舐めあげてくる。その不意の刺激に
腰を震わせると小さな笑い声のようなものが聞こえ、今度は音をたてて吸い付いてきた。


700:『of the May-day』
07/07/31 13:39:46 bpcYCYrK
 見えない部分への今まで感じたことのない刺激、というものが強烈に脳を溶かし、背筋
に強烈な快感が走る。あまりにも突然なものに身をよじって逃げようとしたが、メイの腕
がしっかりと腰をホールドしているので逃れられない。つい数分前のメイに俺がしていた
ことなのだが、これ程と思わなかった。絶え間なく与え続けられる刺激、泡の滑りを利用
した滑らかな動きと先程の胸の質感を思い出し、情けない話ではあるがすぐにでも出して
しまいそうになってくる。それでも男の意地と見栄で我慢していたが、
「ここも、綺麗にしましょう」
 腰に唇を重ねたまま、くぐもった声でメイが呟いた後、鈴口をこじるように細い指先が
擦り当てられた。淡い痛みにも似た不意打ちに達してしまいそうになったが、その直前に、
「綺麗になりましたね」
 手が、全てが離され、解放される。意趣返しというものだろうか、今は鏡越しに見える
その冷静な笑顔がとても恨めしい。恋人となった今、メイのこの性格の弾け方はある意味
良いことかもしれないが、どうにも不完全燃焼の気持ちは押さえられない。
「はい、それでは一旦流しますね」
 不意に、一つ思い出した。
「いや、まだだ。メイに洗い残しがあっただろ?」
 シャワーのノズルを持った手を制し、首を傾げたメイの体に手を掛けた。互いに泡塗れ
になっているので滑って転ばないように注意しながら、丁寧に横にさせる。寝た姿勢でも
尚形が崩れない素晴らしい乳の向こう側、メイは疑問の表情を続けていたが、すぐに意味
を理解したらしく、慌てて体を起こそうとしてきた。たが機械人形も基本的に重心などは
人間と同じ構造となっている。脚を抱え、額を軽く押さえてやると脱出は不可能だ。


701:『of the May-day』
07/07/31 13:41:21 bpcYCYrK
「ちょっと待って下さい」
 姿勢をそのままにして三秒待ち、
「体は清潔に」
 言って、割れ目の中へと息子を侵入させてゆく。人間用のボディソープで綺麗になるか
分からないが、元々あまり埃や汚れの着かない部分だし大丈夫だろう。まぁ、それは言う
までもなく建前なのだが。あそこまでされて我慢が出来る程、俺は立派な人間ではない。
浅ましい話ではあるが、限界まで自ら我慢して、その結果じらされてオアズケされても尚
平気でいられるような男など、よほどの聖人君子でない限り存在しないだろう。その例に
漏れず俺も普通の男だ。女性器パーツが俺を包み込んだ途端に我慢がならなくなり、速度
を上げて奥まで一気に突き上げる。多少乱暴だが、柔らかくなっていた合成樹脂の弾力と
ローションや泡のぬめりが合わさり、メイの大切な部分は壊れる気配もなく、俺のものを
きっちりと受け入れた。どこの職人が作ったものか分からないが、まるで俺にあつらえた
かのように良く馴染み、丁度良いサイズで包み込んでくる。機械人形と人に適用されるか
分からないが、体の相性が良いとはこのことだろう。
「あぁ、もう。出来れば、最後はベッドの中が良かったです」
「すま」
 ん、と謝りきる前に、唇が重ねられた。腰を舐めたときに着いたものだろう、口の中に
ボディソープの強い苦味が来た。舌が絡んで、それが更に口内に広がってゆく。間違って
飲んでも害が無いものを買っているので、俺は黙ってそれを受け入れた。機械人形は唾液
を出さないので、唾液交換のようなものは出来ない。しかしこの行為をそれの代わりだと
思いながら、俺も積極的にメイと舌を絡ませる。そして今度は俺の方から唾液を流し込み、
メイの口の中を掻き混ぜた。飲み込むことは出来ないが、調理用の味覚判断装置は備えて
あるので、俺のものだと分かる筈だ。


702:『of the May-day』
07/07/31 13:43:17 bpcYCYrK
 意思を汲み取ってくれたのか、メイは目を細めた笑みを浮かべ、
「ハク様の、味がします」
 積極的に俺の口内を求めてきた。嬉しくなって、俺はもっと唾液を送り込みながら腰を
叩き付けるようにグラインドさせる。他の行為をしていたときも思ったことだが、やはり
メイの基本は家政婦機械人形。性交型の機械人形と違い女性器パーツも特にうねることも
なく、精を吸い出そうという動きもない。だが、それでも俺には丁度良い。妙な言い方に
なるが、どこまでもメイらしいメイだと思うからだ。俺が産まれたときからの幼馴染みと
して、幼い頃は母親として、少年の頃は姉として。俺が一人前の青年になり、独立をして
働き始めてからは仕事のみならず私生活のパートナーとして、これまでの俺の人生で常に
隣に居た一人の素敵な機械人形であるメイだと、そう思えるからだ。
「ハク様、出そう、ですか?」
 タイミングを悟られるのは、少し恥ずかしい。
「妊娠、しないので、遠慮なく、膣内に」
「それはそれで、また残念だけどな」
 脚が腰へと絡み付き、抱き込むようにして俺を奥へと押し込んでくる。メイ自身も腰を
浮かせて、より深く、より貪欲に俺のものを飲み込んでくる。
「ハク様、愛しています」
 もう何度目かも知れない口付けを交わした刹那、俺は一番奥で精をぶちまけた。
 行為の疲れだけではなく、浴室の中の温度にもやられたのだろう。終わったという実感
と共に急に体から力が抜けて、メイの上へと倒れ込む。そう言えば、メイの腕とか足とか
重いものを歩いて持って帰ってきたり、ろくに水分補給もしてなかったりの後での今だ。
こんなに熱く、下手したら脱水症状も有り得たのに、俺も随分と頑張ったものだ、とメイ
の胸に顔を埋めながらしみじみと思う。これが愛の力か。
「頑張ったな、俺。もっと頑張ったな、メイ」
 呟くと、頭が抱え込まれた。
「はい、凄かったです」
「いや、『かった』とか過去形にするのは良くない」
 そうですね、と言って笑みを浮かべるメイに頷きを返し、
「まだ、左足の交換があるだろ? つまり風呂場プレイがもう一回!!」
 言うと、何故か首を絞められた。

703:ロボ ◆JypZpjo0ig
07/07/31 13:44:58 bpcYCYrK
これで終わりです

ロボッ娘ぽさが足りん?
知らん知らん!!

704:名無しさん@ピンキー
07/07/31 15:34:27 g5rjFwfD
風呂シチュに泣いた

705:704
07/07/31 21:26:24 /+qCxUWR
すまん携帯だったんで言葉が圧倒的に足りなかった
GJ! エロ薄い中で激エロ風呂シチュありがとさん! 泣けたぜ!
と言う意味だ

706:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/01 00:54:08 9Zu3RWuH
ロボ ◆JypZpjo0ig 様GJ! …愛が無ければエロは生きない…真理ですね。
失礼ながら投下させていただきます。エロに至るまでは過程が大事…ですよね? ねっ?

707:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/01 01:01:39 9Zu3RWuH

 『マエストロ』が胴体の切断面をクリーニングしているのを、首だけの姿のキティが解析装置に繋がれたまま見遣っていた。
ふむふむと満足げに『マエストロ』の手元を見ているのは、手際の良さに安心しているらしい。その間に事件の情報収集は
エイミーと『イェーガー』が担当していた。

 「事後処理、だと…? 」
 『そうだ。国家機密にかかわる物資の適切な事後処理としか聞いていない。
 末端の私のレベルでは物資に関わる情報には触れられ無かったんだ』
 『え~!? わたし、少なくとも6ヶ月はあそこにいましたよぉ~? その間ずっとお外に放置でしたけど…』
 「エイミー、喋り方が何かおかしくないか? 俺と始めて喋った時はもっと理知的な感じだったような気がするんだが…」
 『マスター、そういうのを「江戸の仇を長崎でとる」って言うんですっ! それにわたし、もともとこんな話し方ですよ~だっ! 』
 「やれやれ…。手掛かり無し、か。八方塞がりだ。DEAD ENDも近いね、こりゃあ…調子はどうだい『マエストロ』? 」
 『こら、見るな、見るんじゃない! やめろ、やめろったらぁ! 』

 『イェーガー』が『マエストロ』に近寄り手元を覗き込む。作業は繊維状に凝固した組織液を取り除き終わり、キティの胴体から装備一式と
ボディスーツを剥いている所だった。『マエストロ』よりも二廻りほど小振りな半椀形の双乳の頂に、濃い目のピンク色の小さめな突起が付いていた。
あまり胸のサイズが大きいと戦闘行動には邪魔なのだ。腹筋のモールドは無いが、引き締まった下腹に臍(へそ)が穿ってある。
さらに右に『イェーガー』が目をやると…

 「痛てててててて! エイミー、俺のケツを抓(つね)るな! 何しやがる! 」
 『許可も得てないのに女の子のカラダをジロジロ見ると、本当にスケベなオジサン扱いされますよぉ? そうですよねっ、『マエストロ』』
 「悪いけれど『イェーガー』、そう言う事。しばらく殿方は処置室から出ていて下さるかしら? 」

 『イェーガー』は反論しようとして、『マエストロ』のふとした目配せに気付く。まだエイミーの持っていた画像情報の詳細についてまだ
聞いていなかった事に『イェーガー』は思い至る。2人の前では話し難い事なのだろうと『イェーガー』は想像し、2人に気付かれないように
『マエストロ』に小さく頷いて見せる。エイミーとキティにこれ見よがしに勢い良く背を向け、がっくりと両肩を落として猫背を演じ、残念そうに
トボトボと『イェーガー』はドアへと向かってみせる。

 「ハイハイ、女の子によってたかって虐(いじ)められた可哀相なオジサンは、廊下で一人でさみし~く拗ねてますよぉ~だっ」
 『マ・ス・タァ? わたしの話し方でふざけないで下さい! 』 
 「おお怖。じゃあなエイミー、お友達と喧嘩するんじゃないぞ? 」

 エイミーは上半身を起こし、右目の下に右手の人指し指を当て、下顎を下ろす。皮膚や舌があれば子供っぽい『あっかんべーだ! 』を
やっている動作だ。解析装置に繋がれたキティはその様子を見てプッ、と遠慮無く噴き出してしまっていた。少なくとも、マスターと呼ぶ者に
ドロイドがやっていい行為では無い。自分だったら、そんな行為が許可されていれば中指を立てているところだろうな、とキティはしみじみと思う。
そしてボディスーツを剥く手を止めていた『マエストロ』に声を掛ける。

708:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/01 01:08:36 9Zu3RWuH
 
 『もう大丈夫だ。…スーツのジッパーを降ろしてくれて構わない』
 「やっぱり、見る相手がそこがどうなっているかって知り尽くしているのを承知の上でも、見られたくない? 」
 『奴曰く、哀しいが私も『女の子』だからな…。一思いに、やってくれ』

 ジィッ、と堅い音を立ててジッパーが開かれると…陰毛はあるが、それが保護すべきである『女性器』が無かった。
…戦闘用ドロイドには全く不要なものだ。『マエストロ』は溜息を吐く。自分が設計した時には、きちんと外装モールドや
造型用スペースまで入れたはずだったのだ。考えられることは…コストダウンのためだ。二足歩行用オートバランサーの
価格を下げれば下げる程、そのサイズは大きくなる。…この分では頭脳の集積回路の方も当初に予定した高性能な物から
かなりスペックダウンしているに違いない。これは単純な改悪どころの騒ぎでは無い。設計者たる自分に対する生産者側の
冒涜であり挑戦だ。…と『マエストロ』の脳内は3秒で怒りに沸騰した。『マエストロ』は設計段階でのパーツの選択、選定に
調達コストを考慮に入れ、充分歩溜まりや量産効果で採算が取れるように悩みに悩み抜き、もう二度と還る事の無い
花の乙女の20代最後の期間を『4日間も』犠牲にして費やしたのだ。こんな粗雑な事をしくさるなら私の黄金よりも貴重な
4日間を返せぇっ! 戻せぇっ! …と思った所で『マエストロ』は自分がじっと見られている事に気付く。

 『いろいろ…あったんですねぇ…』
 『…花の刹那の美しさは永遠に留めてはおけんからなぁ…ウムウム』
 「少し頭を冷やしてくるわ…。貴女達はそのまま10分くらい、待っててね」

 感情が最高に昂ぶると、思ったことをつい口に出してしまう癖がまた、出てしまったらしい。『マエストロ』は先程出て行った
『イェーガー』の後を追い。同じ様に肩を落として猫背気味の姿勢で処置室を出る。エイミーの映像記録の事もあるが、
『イェーガー』自身に起こった事についても話がしたかった。

709:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/01 01:19:11 9Zu3RWuH

 「あれ…? 『イェーガー』…? 」

 先に廊下に出て待っている筈の『イェーガー』の姿が消えていた。そこそこ頑丈な長椅子にでも寝そべっているかと思い、
『マエストロ』は首を伸ばして見るが、やはり居ない。キョロキョロと見渡していると突然、首筋にピトッと濡れた冷たいものが
当てられた。だが、人間の気配だけが奇麗に無い。飛び切りの笑顔を作り、懐に手を入れ、白衣の下のツールベストに
差し込んだ鋭利なピックを握る。途端に背後に人間の呼吸音がわざとらしく生まれた。鼻息が敏感な耳を刺激する。

 「…今度やったら問答無用で刺すわね、『イェーガー』。で、何を持ってきたの? 」
 「100%濃縮還元バレンシアオレンジジュース。3年前に君が護衛の俺に買いに行かせたものと同じものだよ」
 「どうして貴方だけが軍を『抜けられた』の? 『人間』の突撃猟兵はもう…」
 「ああ、全滅したよ。俺一人を除いて、な。…流石裏社会の住人、地獄耳だな。部下達の御蔭さ。たった一人で今、
  こうして生き恥を晒している」
 「…あの中に貴方も居たのね…『イェーガー』…」
 「部隊の検閲演習だ。…現場に居なきゃ話にならんさ」 

 『マエストロ』は笑顔で向き直ると『イェーガー』の差し出すソフトドリンクの缶を受け取り、長椅子へ向かう。
『イェーガー』はその後を足音も立てずに附いて行く。『マエストロ』は缶のタブを開け、両手で開いた穴を覗き込む。
『イェーガー』はその向かい側に立ったまま、『マエストロ』を見下ろす格好で壁に凭(もた)れていた。目を開けてはいるが、
その眼は『マエストロ』を見てはいない。その思いは遙か遠い『演習場』に有るのだろうと『マエストロ』は思った。
突然、連絡を受けたのは5日前。『除隊した』と一言告げただけの通信に始まり、偽名の名義アドレスに身元引受人の書式が届いた。
記入して軍に送信するも音信不通で、送信2日後にやっと姿を見せたと思えば腐りかけの有機ドロイドを抱いて『直してくれ』と来た。

 「…だから、俺はこうして…この街に来た」

 3年前は『軍務と部隊と己』に誇りを持ち、胸を張っていたこの男に何があったのか? ふと気になって知り合いの情報屋に
アクセスすると馬鹿高いYENをふんだくられて、やっと得たデータがJSDFの『突撃猟兵の極秘演習の映像とその結果』だった。
その情報屋は約一時間後、関係当局に『始末』されて変死体としてニュースのトップを飾った。データはストレージから抹消され、
彼女の個人端末にのみ保存されている。当然、足が附くようなアクセスの仕方はしていない。自分の存在は秘匿されている。
現在も自分がこうして生きているのがその証拠だ。

710:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/01 01:25:13 9Zu3RWuH

 「戦闘用ドロイドと人間、維持費に予算を喰わないのはドロイド。ただの演習の筈なのに実弾使用。
 その結果は不幸な事故。でも『国民の』兵士の死者は0…」
 「『国民』の兵士には名前がある。…俺達には名前が無い。元々国の「消耗品」扱いだったからな…。
 だがな、名前の無い俺達にはそれが唯一の誇りだったんだよ」

 軍事費削減のために兵科を存続したまま中身のみ入れ替える。それを政府は計画し実行に移したのだ。
涙を流しながらかつての上官・仲間を薙ぎ払う『戦闘用ドロイド』。突然敵と為った部下や同僚を、無表情に
その手に掛けて行く『人間』の突撃猟兵…。当事者たるドロイドから回収したと言う映像情報を見た『マエストロ』は、
その残酷さに声も上げられなかった。『嫌、こんな事なんて嫌です! 』と喚きながら非武装の『人間』の突撃猟兵に
機銃掃射をする『女性型戦闘用ドロイド』に、素手で止めを刺して火器を奪い、かつての同僚、『戦闘用ドロイド』達に
躊躇する事無く射撃する『人間男性』の突撃猟兵。映像では感情を声高に叫ぶ『戦闘用ドロイド』達の方が、
余程『人間らしい』と思えた。だが、『戦闘用ドロイド』は虐殺行為を『自分から止める』事は出来ない。

                 …その与えられた『殲滅命令』ゆえに。

 現在、突撃猟兵には認識番号の末尾にドロイドの『D』が付かない兵士は居ない。…生き延びて退役を果たせた
『たった一人の例外』を除いて。それが『マエストロ』の知っている『真実』だ。

 「キティの言ってた物資って…もしかして…貴方の事? 」
 「いいや違う。俺の件は解決した。退職金と言う復讐阻止権口止め料がたっぷり口座に振り込まれてな」
 「復讐、しないの? 」
 「2日前に部下がしてくれたよ。ついこの間、首相専用機が日本海に事故で堕ちたろ? あれさ。
 そんな事をしても何も変わらんし無駄だから止めろと言ったのにな…」
 「…貴方の部下はもうドロイドしか居ないって話を聞いたわ。当然、生きてるんでしょう? その人」
 「ピンピンしてた。俺が駐屯地を出る時に涙を流してしっかりと敬礼してその後ぶんぶん握手してくれたよ。
 教官だけでも生き延びてくれて有り難うございます、後はお任せ下さい、絶対に政府に手出しさせません、だとさ」

 『マエストロ』には、だからもう俺は要らないと捨てられたゴミなのさ、と言う『イェーガー』の心の声が聴こえた気がした。
だが、彼の心は全く歪んではいない。むしろ自分が機能不全にしてしまった部下の『戦闘用ドロイド』達を悼んでいる。
誇りとともに死ぬまで戦い抜いた『人間の部下』達も同じ様に悼んでいる。エイミーをジャンクヤードで拾って来たのも、
とても他人事とは思えなかったのだろう。…深く傷付いたこの男の、生きる目的に私がなれないものなのか? 
『マエストロ』は唐突に浮かんだ考えを慌てて強く笑い飛ばした。私は『イェーガー』にとって過去だ。私を守り通した事は、
栄光に満ちた過去なのだ。そんな事を言い出して拒絶されるよりは…こうして近くに居られる方を私は敢えて選ぼう。
それが一番賢い、自立した女の戦術なのだ。『マエストロ』は両手で缶を握り締め、『イェーガー』の胸に飛び込んで
小娘のように泣き叫びたい衝動を必死に殺していた。

711:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/01 01:27:49 9Zu3RWuH
投下終了。
全ての設定はエロのために! エロ要員のキーワードは…『改良』です。オヤスミナサイ。

712:名無しさん@ピンキー
07/08/01 03:14:32 1IryvWyF
なんかこう・・・
舐めてかかってたら本格的にしてやられた感じがした
ここまでやったらお願いだからストーリー的に無理のないHをたのむわ



713:名無しさん@ピンキー
07/08/01 05:38:35 LWv5L/Ly
むしろエロ無くていいじゃんと思えてきた

714:名無しさん@ピンキー
07/08/01 06:53:32 DZDwBAGB
「エロ無くていい」の一言がスレの衰退を招く

715:名無しさん@ピンキー
07/08/01 07:26:55 TnhXZsGN
エロがあったほうがいいこともあるが、不自然なエロは作品の質を低下させるだろうがー。
書き手さんには頑張って欲しいが、読み手である俺たちが無茶な要求するのもどうかと思うぞー。

716:名無しさん@ピンキー
07/08/01 12:11:16 e9pYSImx
俺はむしろこれに入ってくるエロはどんなものだろうとワクテカしてる

717:名無しさん@ピンキー
07/08/01 15:47:39 oZU0X9BK
むしろアンドロイド好きにはハァハァするエロ描写ばかりなのだが
319 ◆lHiWUhvoBo氏の作品にあと足りないのは行為と本番のみ

718:名無しさん@ピンキー
07/08/01 16:22:37 XUyYKPdO
>>715

彼の力量をおもんばかるに、その心配はないと思う。
ちゃんと、エロにつながる伏線引いてあるし。

719:名無しさん@ピンキー
07/08/01 16:44:39 vCSVcDUy
例えばエロフラグはどこらへん?

いまのところキャラ萌え度は
キティ≧エイミー>イェーガー部下≫ドロイドと人間の越えられない壁≫マエストロ
の順だな

720:名無しさん@ピンキー
07/08/01 19:48:55 zrRN6NU1
認識番号SJ289306Mがかなりのパワーを持った萌えキャラなのは無視か?

721:名無しさん@ピンキー
07/08/01 23:12:54 yg11G2z5
>>719
戦闘用ドロイドにあそこが無いのとそれ見て怒ってる人がいるとこ

722:名無しさん@ピンキー
07/08/01 23:25:01 BiNZ+vO3
戦闘用ドロイドにあそこが無い
って考えられない大欠陥だな
仕様を決めた奴は軍法会議で死刑だ

723:名無しさん@ピンキー
07/08/01 23:43:44 cw+5sobc
諜報用じゃないなら、なくても問題ないのでわ。

慰安用兼用機が四六時中そばに居たら、それはそれで風紀上問題多そうだし。

724:名無しさん@ピンキー
07/08/02 00:28:21 B2DODhfJ
感情があるのにアソコがないドロイド=愛してるがドロイドがしたいのにできない=切なさMAX
なけるぜ

725:名無しさん@ピンキー
07/08/02 15:45:21 4QB3Q68F
そこで>>611ですよw

726:名無しさん@ピンキー
07/08/02 20:16:26 du47U0tz
どうやって予算通すんだろう

初期の設計どおりにした方が安く上がったなんてオチが待ってたらどうするんだろう

727:名無しさん@ピンキー
07/08/02 21:38:54 WMdjO3GD
きっと手抜きで安く上げた予算を当事者同士でぱくったんだろう


728:名無しさん@ピンキー
07/08/02 21:40:39 WMdjO3GD
まちがえた ×予算 ○金 な

729:名無しさん@ピンキー
07/08/03 02:19:19 ZE6ZDAv1
同じ予算の中で自分たちが儲かるように設計変更するってのはありそうだな

730:名無しさん@ピンキー
07/08/03 03:14:37 nxDeD0u5
その出会いは、偶然だった。

日々を何の目的も無く過ごしている主人公。
そんな彼が、街中で出会ったのは一人の少女。

「私、独立型生活支援アンドロイド、LIN-Dです!」

アンドロイド。
この時代では一般的になった、世界企業Sの開発した、
人型の生活支援機器。

人と、機械。
それはそう、本来ならば芽生えるはずの無かったはずの感情。

「貴方の顔が何度も、何度もメモリー領域から呼び出されて…
 CPUがどんどん熱くなって…故障…しちゃったんでしょうか?」

二人はやがて惹かれあい、そして、その想いを育んで行く。

だが、幸せは長く続きはしなかった。

そう……。
アンドロイドである彼女はS社が秘密裏に内蔵したタイマーにより、
保障期間が切れるとその活動を停止してしまうのだ……

「仕方…ない事なんです。最初から、決まってたことだから…」

刻一刻と迫る保障期間のカウントダウン。
主人公と彼女はその限りある時の中で、
いかなる時を過ごすのだろうか――

「もし…ワタシが…ずっと動かなくなっても…好きで、いてくれますか?」


Windows Bisco専用 18禁恋愛シミュレーション。

T.I.M.E ~Song of Natural You ~

20007年。別れの時は、迫る――。

******
ソニータイマーネタを見ていたらその場の勢いで思いついてやった。
ネタになれば何でも良かった、反省はしていない。
そう―今も

731:名無しさん@ピンキー
07/08/03 05:38:55 ZE6ZDAv1
あれ、こんなところにミソッカスがいるとは

732:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/03 21:26:54 9rfFecUK
スンマセン、新参者でございます。先だっての連日のエロ薄もの投下を恥じる奴であります。
レス累計401.29KBの現在、今スレ中に現在作成中の奴を納めるよう努力いたします。
で、エロシーン練りこみのため遅れます。エロが無ければスレに投下する意味がありません。

鋭意、頑張ります。…人間同士ならば楽なんだがなぁ…と愚痴って、退席します。以上です。

733:名無しさん@ピンキー
07/08/03 21:49:12 zNEEBul/
自分のなかでスイッチが切り替われば世界が広がるよw
期待してます

734:名無しさん@ピンキー
07/08/04 01:53:18 VYSPzEJ0
映画ブレードランナーのエロパロは、このスレ的にOKかい?

735:名無しさん@ピンキー
07/08/04 02:21:29 wNQg1fEh
レプリカントかぁ。OKじゃね?

なにせ,原作からして「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」だし



736:名無しさん@ピンキー
07/08/04 02:30:47 VYSPzEJ0
じゃあ、デッカードとレイチェルのラブラブ逃避行なんかも
おっけってことかい?

・・・二人ともレプリカンとなんだがな・・・

737:名無しさん@ピンキー
07/08/04 02:59:47 7uz2rPFc
それネタ元にするんなら
少なくともエロに特化しない読ませるものを頼む
真面目にやんないとすべるぞ
そんだけ

738:名無しさん@ピンキー
07/08/04 04:17:13 6bh9T3XI
亀だが今週のサンデーみて此処を思い出さなかった椰子はいないはず

739:名無しさん@ピンキー
07/08/04 10:01:45 dx59618z
>>736

>・・・二人ともレプリカンとなんだがな・・・

mjsk!
まともに見てないから知らんかったorz

740:名無しさん@ピンキー
07/08/04 11:22:07 G4k3wZqZ
ロボ娘と添い遂げる決心をした男が、自分の記憶をロボ男の身体に移植する…あれ、どこかでこんな話、あったような。

741:名無しさん@ピンキー
07/08/04 11:50:41 NwNnsp+d
>>740
人間女性相手なら山ほどあるけどロボ娘相手はあんまりないのかな?
最近読んだのでは、「パーム」の伸たまきの文庫にあったのが女房のためにロボットを作るパターンだったか。

>>739
「レプリカント」の語源は「レプラコーン」?
ロボスレじゃなくて妖精スレ(ってあるのか知らんが)向けになったりして(ぉぃ

ところでこのスレ的には少々古くて恐縮だがPSOのHucaseal(アンドロイド)はありなんだろうか。

742:名無しさん@ピンキー
07/08/04 12:50:14 q5BAc/Wc
>>741

>「レプリカント」の語源は「レプラコーン」?
ふつうに「レプリカ」だろう常考

743:名無しさん@ピンキー
07/08/04 14:54:06 rUaAJc6K
その斜め上思考を創作に活かすんだ!!

744:名無しさん@ピンキー
07/08/04 16:35:30 dx59618z
斜め上ではない

斜め前だ

745:名無しさん@ピンキー
07/08/04 18:57:46 lEXgtdzC
動力源に妖精さんのロボ娘と申したか。ラノベ板住人的にはこんな妄想が思い浮かんだ。

「…理解不能、思考パターンにノイズ発生」
「動力源AIE(アナザーインテリジェンスエンジン)に影響」
「違うとは? 私のこの思考は、0と1の羅列の結果に過ぎない」
「壊れているのです、私は」
「私は、妖精の意思にひきずられていただけ?」
「誇っていいのですか、私に、心があると」

最初はもうがっちがちにロボ。だけど、動力源に封入されている妖精の影響をモロに受けて、徐々に感情の芽生えが。
でも、本来はAIにすぎない自分。(そもそも悩むという思考の時点でおかしいが)思い悩むロボ娘。
妖精とは言っても、ロボ娘に封入されているのは自我の希薄な低位階の存在。
融合し、旧式のボディは徐々に人間のように変化していく。
魂と共に、作られたとはいえ意思が人型のボディに揃ったという条件が、ロボ娘に進化を促した。

…こんな物語、どこかに無い?

746:名無しさん@ピンキー
07/08/04 18:58:54 5TCPC1vK
>PSOのHucaseal(アンドロイド)はありなんだろうか
ありなんじゃないかな?
一応人肌っぽい顔パーツとか有ったし
一瞬RAcasealと勘違いして
シノ・ミヤマを思い出したぜ

747:名無しさん@ピンキー
07/08/04 19:26:43 dx59618z
>>745

萌える

しかし、長編になりそうだな

748:名無しさん@ピンキー
07/08/04 19:33:58 pUwh7nEA
>>741
「カインドマシン」ですね。
あのロボさんは余命幾ばくもない創造主さんから
「彼女を頼む、自分の代わりに護ってやってくれ」
と言い聞かされて(?)いただけで記憶や人格は受け継いでないようですが。
ただインプットされた知識は彼女の趣味嗜好の類を完璧におさえていたようで、
一見奥さんほったらかしに見えていた、亡くなった旦那さんの愛情深さが伺えましたが。

749:名無しさん@ピンキー
07/08/04 20:14:52 rUaAJc6K
精霊とロボットはわりと相性がいいように思う。古くは混沌世界ボルドーや魔装機神、バリエーションでデモンベイン、
最近だとksdmの失格妖精もこの類かもしらん。
最新鋭の精密な駆体に封じられた神秘存在っつーのは調理しだいで凄いごちそうに化けそうではある。

750:名無しさん@ピンキー
07/08/04 20:49:18 +mJjIv/d
でもそのごちそうが
「おーれはっ、なーみだをながさないっ、だだっだーっ!」
とか唄い出したら号泣必至w

751:名無しさん@ピンキー
07/08/04 21:40:53 rUaAJc6K
なるほど。かつての敬愛すべき完璧精霊の頃を知ってる主人公と、封入以来すっかりロボサイドに
引きずり込まれちゃった精霊ロボ娘のコメディもありだな。

752:名無しさん@ピンキー
07/08/05 00:33:02 YvpldLPJ
そろそろ熱帯夜とか多い季節。クーラー無い部屋で、竹シーツをネタに思いついた。

「あぢぃ、なあなあ、お前さ、体温調整とかできんだろ」
「可能ですけど、やはり暑いのですか?」
「そりゃまあな。お前買ったから、エアコン買う金無くなったし」
「む、無計画な…わかりました。これでどうですか?」
「おお、少しひんやりってのがいいね。なんていうか、ちょっとだけ冷たいシーツに触れてるよーな」
「明日も仕事ですよね? 就寝を提案します」
「ほいほい。んじゃ寝るかね」

夜中、こそこそと起き上がるロボ娘。

「…ん…どした?」
「申し訳ありません…布団が濡れないよう、冷却で結露したのを外装から集めてると、その…」
「なるほど。さて、一つ質問…その廃水は無害か?」
「は? え、ええ、法定基準に合わせてフィルタリングしてますけど…まさか!?」
「そのまさかだ。暑かったからここんとこ色々ご無沙汰だしな」
「だ、だだ、だめです、通常排出装置に溜めた場合は下から…」
「無害なんだしいいじゃん、丁度喉渇いてたし。排出口の位置はっと…」
「あう!そんなに刺激すると、バルブが開放モードに、ああっ!」

…脳がイカれてるな俺。さて寝るか。

753:名無しさん@ピンキー
07/08/05 02:17:10 97c7kA/R
大丈夫だ。それぐらいならまだせいzy(ry

754:名無しさん@ピンキー
07/08/05 03:10:38 cL2jOrAY
>>740
前スレか前々スレのネタで似たようなのがあったような...
あれ?こんなじかんにだれdあqwせdrftgyふじこlp;@:「」

755:名無しさん@ピンキー
07/08/05 03:25:38 1MCMWVZ0
>>752アナザー

「……排水タンク残容量・5%を切りました……さすがにそろそろ排出が必要ですね」
「……むにゃ……」
「マスターを起こさないように……と(むくり)」
「ぐー」
「はうっ!?ネグリジェの端っこ掴まれてる!?」
「すかー」
「ちょ、マスター、離して、離してくださいって」
「むにゃ……」
「ああっ、だから腕にしがみつかないでっっ!」
「……ロボ娘は……俺の嫁……」
「え……(///)……って、それは嬉しいですけど今はそれどころじゃ、あ・あ・あ・」
「……ぐー」
「す、水圧上昇、排水タンク負荷増大!!バルブが……押し負けますぅ~~!!」



…………


「これはまた見事な世界地図ですね、ロボ子さん」
「orz」


756:名無しさん@ピンキー
07/08/05 21:22:26 PuN+aEhV
>>737
なかなか難しいw
浅倉久志調のハヤカワ翻訳文体のエロかw

757:名無しさん@ピンキー
07/08/07 04:51:02 L92u1xp7
>>755貯水タンクの容量を10mlにしたくなったじゃまいか。
責任とって放尿プレイSSをry

758:名無しさん@ピンキー
07/08/07 09:03:23 Hhol0Xvr
「ますたー♪」
「なんだ?」
「呼んでみただけです。ふふっ」

759:名無しさん@ピンキー
07/08/07 18:06:28 x/tBkSE0
「イタズラ好きのメイドロボ」

……とかいたら萌えるかな、ウザイだけかな、どーかな。

760:名無しさん@ピンキー
07/08/07 21:48:05 D9Qosfvk
「"Hな"イタズラ好きのメイドロボ」

なら、何の問題もないぜ?

761:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
07/08/08 02:17:20 /YiDqXJD
>>760
ノーブラ&ノーパンで何食わぬ顔をしながらマスターに身体をおしつけてみたり、マスターの
目の前でおもいっきりこけてスカートがめくれるメイドロボ…と申したか

762:名無しさん@ピンキー
07/08/08 03:03:18 fnYA7aCV
「うー、凝ったな。少し揉んでくれるか?」
「では失礼して」
「そこじゃねぇ!」

763:名無しさん@ピンキー
07/08/08 05:01:03 CWX8CGvg
>>761胸を押しつけて、アソコをおしつけ、ご主人様の理性が切れてそのままラブラブなセクロスになるという思念を読みとれた気がする。

文才ある人だれか頼んます

764:名無しさん@ピンキー
07/08/08 22:43:53 LMMRxbuz
「あ て て る ん で す よ」

765:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:40:22 r5d8zzmn
エロに至る前置きを、投下します。

766:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:43:14 r5d8zzmn

 「あの子、どうするの? エイミー…」
 「エイミーか? …まずは集積回路のアップグレード、情報処理速度・演算能力を高めたい。戦闘知識・実技は俺が仕込む」
 「有機体の筋力強化って難しいの。ああ、出来ないって程じゃないから安心して。…飽くまで能力と美観のバランスの問題」
 「女の子だからな。それは仕方無い話さ。必要になったら頼む。それよりも君の護衛担当の、キティの修理の方が先だろう」

 『マエストロ』は内心とは別の事を話題にした。このままでは弱音を吐いて3年前のようにまた『イェーガー』に負担を掛けてしまう。
挙句の果てには抱かれた後の朝に『君はもう大丈夫だ、一人で歩いていける』なんて走り書きのメモを残され、トンズラを決め込まれては
非常に困るのだ。実行されたら今度こそ自分で立ち直れなくなるだろう。みっとも無かろうが難だろうが、今の自分に最後に残された、
空の雲よりも高いプライドを捨てて年増女の執念を思い知らせるためだけに、それこそ地獄の果てまでこの男を追い駆けるに違いない。

 「それ、こんな所で油なんか売ってないで仕事しろって催促? 」
 「なあ…エイミーの画像記録には一体何が映っていたんだ? 」
 「もう! 自分の都合が悪くなったらすぐ他の話題ではぐらかすんだから。これを見て」

 『マエストロ』は自分の携帯情報端末を取り出して『イェーガー』の前でモニターを展開する。アングロサクソン系の50代の男が、
車内で笑顔で微笑み、確かに『エイミー』と唇を動かし呼び掛けている。時折その視界がぶれるのは、エイミーの視界準拠だからだろう。
男の顔に見覚えがあった。半年以上前に来日し、重要な『同盟国』の日本国首相と初顔合わせの『首脳会談』を持った男だった。

 「USのプレジデント…アーヴィン・E・コーンウェル大統領」
 「当たり。ねえ、プレジデントに娘が居るのはご存知かしら? 」
 「名前はエイミー…だな? 」
 「良くできました。当時、不必要な程のUSの公安・治安機関が動いたわ。…では本題に入らせて貰うわ。
  実は大統領の御息女、エイミー・A・コーンウェル嬢はUS本国から一歩も出て居ないのよ。けれども、
  USの現地政府機関には来日を伝えられ、現に来日した。ここまで言えば貴方なら解るわね『イェーガー』? 」
 「その正体は此処に居るエイミー…しかし何故…」 

767:319 ◆lHiWUhvoBo
07/08/09 21:44:06 r5d8zzmn

 その後の画像が展開された。バラグラバを被った男達が車内に乱入する様が一瞬だけ映り、視界がブラックアウトする。画像の展開も
ここで終わり、モニターが『マエストロ』の手によって閉じられた。『イェーガー』は己自身の右頬を右手人差し指で一定のリズム間隔
を保ち軽く叩いている。『イェーガー』が思考を展開する癖だ。何か6ヶ月前の出来事に思い当たる節があったのだろう。眉間に寄った
皺が段々と深く刻まれて行き、唇の両端が下がって行く。口を開けば物凄く酷い悪態を吐きそうな顔だ。

 「…ばれたら大スキャンダルだぞ? ドロイドに人権など無いとか平気で言ってる奴等がやりそうな事だ。反体制勢力の内通者を
  焙(あぶ)り出すための囮に使ったな…。そう言えば会談の警備に駆り出された時、かなりの数の死体袋を見たのを覚えてる」
 「で、事は済んでドロイドのエイミーは処分された。ここまでの理解はいいわね? どう? 」
 「ああ、出来てる。…その処分を何かと法規制やら登録番号で足が付く本国では無く、来歴も問わん現地の違法ジャンクヤードに
  任せて作戦終了、か…。典型的な情報機関の遣り口だな…。反吐が出そうだぜ! 糞! 」
 
 『イェーガー』は左掌に右拳を勢い良く叩きつけた。パァン! と肉を打つ音が決して狭くは無い廊下の端から端まで響き渡る。
『マエストロ』はやや温くなったソフトドリンクを一気に喉へ流し込む。チラ、と『イェーガー』がその様子を羨ましげに見やる。
 
 「コーンウェル大統領は、あの国、USでは珍しくも無いドロイド排斥派。そんな人がもし事の真相を知ってしまったら? 」
 「当然、激怒するな。あと、娘そっくりの有機型ドロイドを必ずチリも残さず破棄しろと言い出すだろうよ。何せ州知事時代、
  有効雇用を生むためだけにドロイド導入制限州法を施行した実績まであるタカ派だからな…。因果なモンだぜ、全く…」
 「あ。一口、どう? 欲しいんでしょう? 」
 
 『イェーガー』が頷くと、『マエストロ』はニンマリとして缶を振って見せる。水音が全く出なかったのは、全部飲み干した証拠だろう。
『イェーガー』は右眉を上げ、コートの内側からミネラルウォーターの500mlのPETボトルを出し、口を付けてから一息で中身を空にした。

 「用意のイイ事。ねえ…水ぐらいゆっくり飲んだら? 」
 「水分補給に時間を掛けられない職業だったんでね。何事も時間に追われてたが、今は時間が余って手持ち無沙汰で困ってる」
 「気楽なものね…。さあ、休憩終わり、っと! お言葉通りキティから仕上げさせて貰うわ。ところで…住居の手配は済んでいるの? 」
 「ん? 職業柄、野営には慣れてる。戦場よりこの街の方がまだ治安がいいし、今日はどこかの路地裏で寝るさ」
 「…そこにドロイド持込修理に来たマスター用の客間があるから、エイミーの作業が仕上がるまで好きに使って頂戴、『お客様』」

 『マエストロ』は『イェーガー』の隣のドアを親指で指して、空き缶を『イェーガー』に渡し、そのまま作業室へと戻っていった。


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