07/02/16 20:00:35 rWrOIvZN
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あの晩から後も、もちろん私たちは親友でした。
うちの両親、家族のこととかで私が悩んでると、ユキちゃんはずっと私の話につきあってくれたし、ユキちゃんが何か困っているときには、私もせいいっぱい助けてあげるようにしてました。
そんなあの娘だったから、私は安心してすきな男の子の話もできました。
「ふうん。そうなんだあ。うまくいくといいね。私、香代と梅田君がつきあえるように応援してるからね」
ユキちゃんがいつものやわらかい、少しポワンとした笑顔でそう言うから、私は自然と、
「ね。ユキにはすきな人いないの?学校に」
と、身を乗り出してききました。
ユキちゃんは、はにかんだように下を向いて、
「えーっ。・・・うん・・・まあ、いるっていうか何ていうか・・・」
と、もじもじしていました。
「なーんだ。やっぱり、いるんじゃないの」
私がヒジでユキちゃんの体を押すと、あの娘は
「うん・・・」
と、少しだけうれしそうにうなずきました。
「誰なの?ユキのすきな人って」
「うん・・・あのね・・・」
ユキのすきな人は太田君でした。
だから、ユキちゃんが太田君のことをすきだったことは、少なくとも私は前から知っていたんです。
ユキちゃんが
「でも・・・こんな体じゃダメだよね、きっと」
と淋しそうに言うので、私は
「そんなことないよ。ユキならきっと大丈夫だよ」
と、肩を押しました。
でも・・・私はあの娘にはかわいそうだから言わなかったけど、たぶん無理だろうって思いました。
ユキちゃんがロボットだということ以前に、太田君は真面目そうに見えて、実はけっこう遊んでる人で、B組の佐藤さんといい仲らしいって噂も聞いてたから。
だけど、うつむきながら恥ずかしそうに、
「すきな人いるの・・・私も・・・あのね・・・太田君」
と小さな声で言ったときのユキちゃんを見ていたら、私も何だか応援したくなっちゃって、いつか何らかのめぐりあわせで、ユキちゃんに幸せが来たらいいなって思ったんです。
今考えると、あのときにちゃんと無理かもよって言っといてあげたほうがよかったんだけど・・・。
ちゃんと言ってあげてれば・・・。
でも・・・そのときは、私・・・ユキちゃんがあんまりかわいそうで・・・・・・。