07/03/27 17:22:26 gMue0nRh
急に抱きしめられ、千秋は勿論のこと抵抗した。
だが酔っているせいで加減をしていないのか、峰の力はかなり強い。
「おいコラ!何してんだ馬鹿!」
殴るぞ、とか、オケをクビにするぞ、と言っても、峰は千秋を抱く力を緩めない。
今だけ千秋はのだめの到来を待った。
だがのだめは今、ハリセンこと江藤先生の家で猛レッスン中だ。
ならば真澄、とも思ったが、バーでの様子を思い出し、考えを打ち消した。
「千秋・・・いい匂い・・・。」
千秋の心情も露知らず、峰はというと千秋の首に顔をうずめていた。
おまけに手は腰にあり、「細いな~~」とか言っている。
「アホかぁっ!どけ!この手放せ!」
ジタバタする内、二人の体のバランスが崩れ、床に揃って倒れてしまった。
・・・峰が千秋を押し倒す格好で。
ヤバイ。これはヤバイ。
誰かに見られたら、間違いなく変な誤解は免れない。
どかそうとするものの、峰の体重が重くて無理だ。
ふと、峰と目が合う。
さっきよりも、ほんの少しはっきりとしてきた目。
「おい、み――」
峰、といいかけた言葉は、峰が千秋に口付けたことで遮られた。
あまりにも突然のことに、千秋は目を白黒させた。
おまけにあろう事か、舌まで入れてきた。
「んっ!・・・ぅ・・ふ・・・んぅ・・・」
息が苦しい。
何とか逃れようとするものの、頭が酸欠でクラクラしてきた。
何とか退かさないと、と思う傍ら、今のコイツはのだめ以上の変態だな、とどこかで現実逃避していた。
峰がようやく唇を離し、千秋を見つめた。
千秋は何度も咳き込み、峰を睨み付ける。
「・・・・ゴラ峰。大概にしないとオケ辞めさすぞ。」
―――普段ならば。こんな状況で無いなら。
この台詞を発した千秋の後ろには、いつかのSオケの練習の時みたいに背後に
魔王様なり閻魔大王なりいるはずだ。
だが今の千秋の姿は、峰に押し倒され、顔を赤く染め、目尻に涙がついている状態。
この色っぽい姿を見て、やめられる健全男子などいない。
峰自身も、己が高ぶっていくのをはっきりと感じ取った。