◆◆ファンタジー世界の女兵士総合スレpart3◆◆ at EROPARO
◆◆ファンタジー世界の女兵士総合スレpart3◆◆ - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
06/11/19 16:09:50 XMHiUH1I
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3:名無しさん@ピンキー
06/11/19 16:22:05 40QNCP4j
>1
スレ立て乙

保管庫管理人さんもいつも乙です

4:名無しさん@ピンキー
06/11/19 16:26:56 /rZ+MHBi
>>1
乙。GJでした。

5:投下準備
06/11/19 17:45:07 ZGnZpJLD
>1
スレ立て乙です。

では予告どおり投下させていただきます。

前スレの131で書いたような話から作ってみました。
135の方も気に入ってくれたようなので。
設定の元ネタはゲルマン神話のアレです。

いつもの魔王モノとは百八十度違います。あの物語とは世界の繋がりはありません。
ちょっと話が長めです。
こっちの魔王はまだヘタレです。

よろしければ、そのヘタレと姫将軍の物語をどうぞ。

6:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:45:55 ZGnZpJLD
僕の指には『指輪』が嵌められている。
これはただの指輪じゃない。
かって愛の悦びを拒絶した男が大河の底に眠る黄金を掴み取り、この指輪を作り出したらしい。
指輪には絶大な魔力が秘められ、古の神々や巨人、小人、そして英雄達がそれを求めて争ったという。

そんな指輪が今僕の指に嵌められている。
これは紛れも無い事実だ。
さて、そんな巨大な力が手に入ってしまった場合、どんな事をするべきだろうか。
そりゃあ決まってる。

 世 界 征 服

しかないだろう?常識的に考えて。
やっぱり世界征服は男として生まれた以上、一度は夢見る浪漫だよね。
この指輪に秘められた叡智、魔力をもってすれば、決して不可能じゃない筈だ。
指輪の力で小人や小鬼、妖精や巨人を支配することも、
姿かたちを変化させる不思議なカブトを造る方法も分かる。
その他諸々の不思議な術を使うことも出来る。
でもどうやって征服していけばいいのか、いまいちよく分からないんだな。
………笑わないでくれよ。
しょうがないじゃないか、半年前まで田舎の村の羊飼いだったんだから。

とりあえずかき集めた軍勢で、ドガッとお城を攻め取ってしまえばいいのだろうか?
でも乗っ取った後はどうするんだろ。
『はい、ここは今日から僕の物!皆さん僕が新しい王様だよ』なんてイキナリ言っても、
すんなり従ってはくれないよね。
それから兵隊をいっぱい集めたとしても、どうやって彼らを食べさせていくのかな?
羊みたいにそこらの牧草を食べてくれればいいのに…

それに自慢じゃないが、僕は自分の名前すら読めない、書けないんだ。
もちろん法律なんて一個も知らない。
羊飼いの生活で普段やってく分には、な~んにも法律なんて知らなくていいのだ。
また、お城を乗っ取っても、それからどうすればいいのやら?
大臣や将軍はどこで雇えるんだろ? 街の酒場やギルドで探すのかな。
裁判とかはどうしよう?コインの裏表で決めちゃマズイかな。

7:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:47:08 ZGnZpJLD
いろんなことを考えると、僕の世界征服には色々教えてくれる人が必要だ。
軍隊を指揮したり、政治やなにやらのやり方を教えてくれたり、
間違ったことをやろうとした時に忠告してくれる人だ。

だから僕は、戦に強くて、政治に詳しくて、王様としての暮らし方を知ってそうな人を探した。
もちろん一介の羊飼いにそんな知り合いは全然いない。
心当たりは少なかったけど、一人だけそれに該当しそうな方が居た。
隣国のお姫様であり、高名な将軍であるクローディアさまだ。
クローディアさまが戦上手なのは僕にも分かる。
なんせ彼女の所為で、僕は一度死にかけたんだから。

僕の住んでた国とクローディアさまの国が戦争をして、僕は半年前兵役に駆り出されてしまった。
で、生まれて初めての合戦に先日参加したんだけど、それがすっごい負け戦。
大河のほとりで行われた会戦で、しばらくすると反対側に陣取ってた味方が逃げ出した。
そうこうしてるうちに味方は包囲されたらしく、気が付いたら横も後ろも殺る気満々の敵だらけ!
しょうがないから僕たちは、大河へ向かって逃げ出した。

今思えば僕たちも慌ててたんだと思う。
急流じゃないとはいえ、ただでさえ動きづらい皮鎧を着たまま河を渡ろうとしてたんだから。
敵方の矢玉に追い立てられて、僕たちは命がけの水泳大会。
山の小川で水遊びしかしたことが無かった僕は、途中で脱落、河の底。
でも聞いた話じゃ一緒に泳いだ仲間の兵士も同じような運命をたどったらしい。
こうしてクローディアさまは大勝利、戦上手の名をさらに高めることになったのだ。

えっ、なんで河の底に沈んだお前がこうして生きてるのかって?
そうそう、つまり僕はその河底でこの指輪を手に入れたんだ。
河の深みに沈んでいくのを、何とかしようと僕はもがいてた。
でもやっぱり体は沈んでく。
あのときは僕も『ああ、死んじゃうんだな』って思ったよ。
河の底まで沈みきって、文字通り藁をも掴もうと色々もがいてるうちに、気が付いたらなんか掴んでた。
それがこの指輪だった。
古の伝説どおり、指輪をめぐる様々な争いの末、指輪は元通り河の底に沈められていたらしい。
そこに同じように沈んでいった僕が、偶然それを手に入れてしまった。
指輪の力で溺れ死ななかったらしく、気が付いたら下流まで流されてたという訳だ。

8:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:48:32 ZGnZpJLD

・・・・・・・・・

「………で、この私に何をしろと」
「うーん、話が分かりづらかったかな? つまり僕の手助けを…」
「世界征服の? 貴様の? 半年前まで隣国の羊飼いだったという?」
「そう、分かってくれた?」
「 ふ ざ け る な ぁ !!! 」
「わわっ! そんな怒鳴らなくってもいいじゃないか」

うーん、怒らせちゃったかな。
こっちは真面目にお願いしてる積りなんだけど。

「いきなり私を城から攫って、魔力で動けなくした挙句、世界征服に協力しろだと!?
 怒鳴らない方がどうかしてるわっ!!」

だって夜中お城の寝室に忍び込んでこっそりお願いしようとしたんだけど、
クローディアさまは目が覚めたと同時に襲い掛かってくるんだもの。
仕方ないから魔法で動けなくして、今僕が住んでる荒れ果てた山塞へ来て貰った。

「太古の魔力を秘めた指輪だと? 世迷い言もいい加減にしろ!」
「本当なんだけどなあ」
「貴様、打ち首…いや車裂きにしてくれるっ! 私をすぐに城へ戻せ! 縛めの魔法も解け!」
「うう…車裂きは勘弁して欲しいな」

どうやら相当怒ってるみたいだ。頼み方を根本的に間違えてしまったらしい。
でも、だからこそ僕には手助けしてくれる人が必要なんだ。
こういう時はどうお願いすれば良いのか、それを助言してくれる人がいれば、
クローディアさまだってこんなに怒らなかった筈だ。

9:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:49:34 ZGnZpJLD
この状況を打開できそうな方法が無いか、僕は指輪に秘められた秘められた古代の魔法を探ってみる。
指輪は村の雑貨屋で酒飲んでいつもクダを巻いてた物知り爺さんみたいに色々な叡智を教えてくれる。
ときどき言うことが違ってたり、知らない事を聞くと機嫌を損ねたしたけど、根は悪くない爺さんだった。
指輪は間違った事を教えたり、機嫌を損ねたりすることは無いけど、
その代わり爺さんみたいに分かりやすく教えてはくれない。

(うーん………、これかな)
「何を黙ってる?!」
「ちょっと眠ってて」
「なっ……… Zuu、Zuu、」

魔法で眠らせると、僕は準備にとりかかった。
指輪から伝わる叡智によって、手順と方法は僕の頭の中に納まっている。
材料はたしか倉庫に仕舞っておいたはずだ…

「はい、起きて」
「ん、………何をする気だ?」
(いや、これからするんだけど)
「えーっと、クローディアさま、喉が渇きませんか?」
「は?」
「そんなに怒鳴られては喉が枯れますよ、お茶でもどうぞ」

僕は手に持ったコップをクローデイアさまに差し出した。

「おい、これはなんだ?」
「………お茶ですけど」
「貴様の国ではこんな毒々しい色で、おどろおどろしく泡立ち、禍々しい臭いを放つ液体を
 『お茶』と称するのか?」
「………」
「まず貴様が飲んでみろ」
「嫌ですよ」
「 自 分 も 飲 め な い 代 物 を 私 に 飲 ま す な ー っ !!」

10:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:50:26 ZGnZpJLD
マズイ、さらに怒らせちゃったかも。
でも飲んでもらわなきゃ困るし、かといってコレを自分で飲むのも嫌だ。
しょうがないなあ。

「ふぐぉ?、なにほする!」

飲んでくれそうに無いので、僕はクローディアさまの鼻を摘んで、
開いた口に無理やり『お茶』を流し込んだ。
半分以上溢されちゃったけど、量的には十分なはずだ。

「げほっ、げほっ……… 貴様!? 私に何を飲ませた!!」
(本当に効いてくれるかな)

指輪の魔法は疑うべくも無いが、実際に試すときはやっぱ心配だ。
クローディアさまは必死に『お茶』吐き出そうとしてる。
せっかく造ったんだから大人しく飲んでくれれば良いのに…

「えっと、クローディアさま?」
「何だ………… うっ?」

呼びかけに答えて僕を睨み付けたクローディアさまだが、
僕と目が合った瞬間さっきまで眉間にしわを寄せて怒ってた顔が、不意に緩んだ。
そしてなんとなく目が潤んでいるような、頬が紅に染まってきたような感じだ。

「う……、な、何だ?人の名前を突然呼んで」
「えっーと、さっきの話ですけどどうしても協力して貰えないでしょうか?」
「さっきの話、せっ世界征服とやらか……… 駄目だ駄目だ、そんな事出来るわけが無い。
 この私が見ず知らずの男に、それも隣国の元羊飼いなんかに……出来ない、出来ないぞ」
「………」
「そうだな、私の立場を考えれば、たとえやりたくても出来ない。やりたくても………
 見ず知らずの男だけど、それなりに見てくれは良さそうだけれど………」

11:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:51:26 ZGnZpJLD
だんだん効いてきたみたいだ。
さっき飲ませたのは指輪の叡智で造った魔法の惚れ薬。
飲んで最初に目が合った者に強烈な恋をする液体だ。
材料にイモリの黒焼きとか妖しい草花とか色々使ってるから、自分じゃ飲みたくないけどね。

「いや、協力を求められても……残念だが出来ない、 悪いが出来ないよ…」

うーん、大分気が変わってきてくれたみたいだけど、後一押しが足りないみたいだ。
僕みたいな隣国の平民に協力するなんて、お姫様としての矜持が許さないのかも。
こういうときどうすればいいんだろ?
………そういえば物知り爺さんが言ってたな。
『女を相手にするときにな、向こう側がこっちに気がありそうな時は、ためしに一歩引いてみな。
 男の方につれない態度を取られたら、身持ちのかてえ女も焦るからよぉ』
あの頃は子供だったから良く分からなかったけど、いまこそ爺さんの言葉に従うときじゃなかろうか?

「うーん、そんなに嫌ならいいですよ」
「えっ?」
「仕方が無いから別の人を探します。
 クローディアさまにはご迷惑をおかけしました」
「別の女を探すのか?」
(女限定って訳じゃないけど)
「いっいや、迷惑って訳じゃないが… 私にも立場があるし、それに突然こんな形で頼まれても…」
「そうですね、突然こんなこと頼まれても困りますよね。
 お城までお送りしますので…」
「まっ待て、待ってくれ!」
「どうしました?」
「城へ戻されたとして……… その、私にまた会いに来てくれるということは無いかな?」
「いえ、その時点でたぶんずっとお別れですね」
「そうなのか…」
「………」

僕たちは二人とも黙り込んでしまった。
クローディアさまはうつむいて考え込んでるし、
僕は本気でクローディアさまをお城に帰す積りはないし(だって他に心当たりが無いんだもの)、
居心地の悪い沈黙だけが流れていった。

12:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:52:13 ZGnZpJLD
「きっ、決めたっ!」
「えっ?」
「わっ私はお前に協力するっ!!」

クローディアさまは顔を上げて、そう言ってくれた。

「本当ですか?」
「ああっ、私がお前を世界の王にする」
「ありがとうございます、今後よろしくお願いしますね」
「じゃあ、まず体を動かせるようにしてくれ」
「そうですね……えいっ」

指輪が嵌った手を振るって、僕はクローディアさまにかけた魔法を解く。
と、同時に僕は床に押し倒された。
動けるようになったクローディアさまが、僕にすごい速さでタックルをかましたのだ。

(あわわっ、惚れ薬が効いてなかったのかな!?
 さっきのは効いた振りをして、魔法を解かせるための演技だったのかも!)

さっすが姫将軍、組み打ち技も素早いなあ…って感心してる場合じゃない。
ああ、これで僕の夢も終わりか。
今からじゃ、攻撃呪文を唱える暇も無いな。
世界征服はやっぱ僕には無理だったんだ… 短い間ありがとうございました。


13:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:52:52 ZGnZpJLD

………あれ、覚悟は出来てるんだけど、クローディアさまの鉄拳が降りかかってこないな。
クローディアさまは倒れた僕の腹の上に馬乗りになって、僕を見下ろしている。
そのの顔を見ると、先程同様目は潤んで頬は紅潮していた。

「その、世界征服に協力するにあたって私からもお願いがある」
「なっ何でしょうか」
「私を抱いてくれ」
「えっ?」
「お前の、いや君の事が好きになってしまった…」
(いえ、そりゃ惚れ薬の所為ですよ)
「ほら、君の事を想う私の胸は、こんなに高鳴ってる…」

そう言うと、クローディアさまは僕の手を取って自分の胸に押し当てた。

 ぐ に ぐ に

「どうだ?」
(すごく、柔らかいです…って僕の手を押し付けるのは構わないんですが、
 おっぱいの上からじゃあ心臓の鼓動は分かりませんよ)
「ああ、今初めて分かる。愛だの恋だのを吟遊詩人が歌っていても、私にはその詩情が理解できなかった。
 でも今こそ分かるよ。胸を灼き、体を熱くする、こんな気持ちの事だったのね」

僕の手を胸に押し当ててたまま、(そんなに押し付けるとおっぱいの形が変わっちゃいますよ)
クローディアさまは僕に愛の告白をしてくれる。
うーん、困ったなあ。
『僕のことを好きになってくれれば、協力してくれるだろう』と思って惚れ薬を飲ませたのに、
こんな展開になるとは思ってなかったぞ。
クローディアさまは戦好きで色恋に興味の無い冷たいお方だって聞いてたけど、
反面こんなに情熱的で積極的な所もあるんだな。
考えてみれば女の身で戦を指揮する程なんだから、人一倍決断力、行動力は有るんだろう。

14:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:53:33 ZGnZpJLD
「……駄目か」
「いえ、駄目って訳じゃ」
「こんな女だてらに戦に出る、男勝りの姫将軍は抱く気も起こらないか?」
「そんなことは無いんですけど…」

むー、さっきとは『頼む側』と『悩む側』が逆転してしまったぞ。
実際クローディアさまは美人だ。
今僕の上で思いつめた顔をされてるけど、その憂いを含んだ顔もすっごく綺麗だ。
最初はどんな人か知らなかったので、寝室に忍び込んで寝顔を見たときビックリした。
こんな美しい顔をした女の人が有名な姫将軍だなんて、と思ったよ。
(その直後、クローディアさまは枕の下に隠された短刀を取り出して襲い掛かってきたんだけど)

「こんなことを頼んで、私もはしたないと思ってる。
 私なんかを『抱け』なんて言われても、願い下げかもしれないな…」
「とんでもないです。クローディアさまにそんな事言って貰って、嫌がる男なんて居ませんよ」
「本当か?」
「はい、僕も胸がドキドキしてます」
「ふふ、確かめてみてもいいか?」
「どっどうぞ」

クローディアさまの手が僕の胸板の上に乗せられる。
剣とか槍とか扱ってるとは思えない、長くてすらりとした綺麗な指だ。

「本当だ… 君の心臓も高鳴ってる」
「そうでしょうね」
「じゃあ、私を抱いてくれるの?」
「うっ…」

少し悩んだが、ここまで来たらしょうがないよね。

「クローディアさまさえよろしければ…」
「嬉しいっ、ちゅっ!」

あう、キスされてしまった… クローディアさまの唇はすごく柔らかいんだな。
唇だけじゃなく、頬にも鼻にも顎にも額にも、クローディアさまはキスの雨を降らせてくれる。
(うーん、僕に『抱いて』って言われたけど、これじゃあ『抱かれて』っていう方が正しいかも)
こうゆうときは男の方がリードするべきなんじゃないかと思うけど、
先月従軍娼婦のお姐さんに筆おろししてもらったばっかりな僕は、あんまりやり方に詳しくない。
初めての時も全部お姐さんに教えてもらったし…

15:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:55:32 ZGnZpJLD

「あうっ!?」
「君のここも堅くなってるね…」

僕の股間をクローディアさまの手が擦る。
でもこんな綺麗なお姫様に馬乗りになってもらい、キスされまくったし…
おまけに夜中寝室から来てもらったので、クローディアさまは絹の夜着しか着ていない。
それで顔にキスされるわけだから、その胸の膨らみが僕の胸板の上に当然乗っかってるわけで…
そりゃ男子なら堅くなるよ。

「こんな私にも魅力を感じてくれてるんだ」
「ええ、クローディアさまはとっても素敵です」
「そう言ってもらえると嬉しいよ、ちゅっ」
(クローディアさまはキスが好きだなぁ)
「あの… 私ばかり触るのも何だから、その…」
「えっ?」
「私の体も触って欲しいんだ… 君の手で」

自分から『触って欲しい』なんてクローディアさまが言い出したので、
僕は(随分大胆だな、これも惚れ薬の効果かな)って思った。
それでも触ることに対して、異議があるどころかぜひ触りたいと思ったので、
遠慮せずに僕はクローディアさまの夜着の裾に手を入れた。

「あぅんっ」
(あわわっ、変なところ触っちゃったかな?)
「すごい、初めて他人に触ってもらったけど、こんな気持ちいいなんて…」

クローディアさまはうっとりとした目でそう言った。
(良かった、どうやら間違ってはいないみたいだ)

16:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:56:56 ZGnZpJLD
ほっとした僕は緊張がほぐれて、そのままクローディアさまの股間を指で弄った。
お互いに暫く触りあっているうちに、僕は布越しじゃなく直接触って欲しくなり、
ズボンを下げて既に硬くいきり立った男根をさらけ出した。
初めて見る男性の性器を、クローディアさまはまじまじと見てくれたので、
はっきり言って僕は恥ずかしかった。
でも、『恥ずかしいから見ないで下さい』と言うのはもっと恥ずかしいので黙ってたけど。

「これが、男のモノなのか… 大きいんだな」
「いえ、普通だと思いますよ」
「そうなのか?、コレが私の中に入るんだね」
「う、うん」
「こんな感じでやるのかな… よいしょ」
(うわっ)

クローディアさまは身を翻すと、僕の上に再び馬乗りになる。
丁度股間が触れ合うような位置に乗られるので、巧くすれば入ったんだろうけど…

「んん、どうしたことだ? 入らないな」
(そりゃそうでしょう、クローディアさまは初めてだし)
「んん? 困ったな…」

どうにかして腰の位置を合わせて挿入させようとするクローディアさまだが、
そんな簡単に入るもんじゃない。
困った顔も可愛いけど、何時までもそうさせておくのは可哀想だ。
えーっと、古参兵のおじさんがこう言ってたな。
『処女とかよ、濡れにくい女を抱いちまおうってときはな、ひひっ。
 てめえのナニに唾ぁ付けて、こっち側で濡らしておけば挿れやすいんだぜ!
 おめーにも機会があったら試してみ』
あのおじさんは博打が好きで、隙あらばいつでも人の金を巻き上げようとしてたなぁ。
………逃げる途中で溺れ死んじゃったけど。

17:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:57:51 ZGnZpJLD

「あの、クローディアさま」
「なあに?」
「きっとよく濡れていないので入りにくいんだと思います」
「そうなのか?」
「はい、こういう場合は唾かなんかで僕の先を濡らしておくと入りやすくなりますよ」
「分かった」

それを聞いてクローディアさまは、その手に唾を吐き出して僕の男根の先に塗りつけてくれた。
………もちろんそれも気持ち良かったよ。
それから腰を下ろしたときに僕のがずれないように、片手をそえておくように言ってみた。
これは従軍娼婦のお姐さんがそうやってたのだ。

「んっ…あぅっ………」
「あの、クローディアさま? 無理をなさらずに…」
「いや、良いんだっ。私は、君と一つになりたいんだっ」

そう言ってもらえて、僕はホントに嬉しかった。
この指輪を作った者や指輪を僕に授けてくれた運命の女神さまたちに、幾ら感謝しても足りないくらいだ。
クローディアさまの入り口はとってもきつくて、僕の方もかなり痛かった。
だけどクローディアさまの方はもっと痛いんだろうと思えば全然我慢できた。
そして、ついに僕のモノの先が秘洞の入り口を捉え、奥深くまで突き刺さったんだ。

「あううぅん!」
「だっ大丈夫ですか?」
「うぅ、痛いけれど…大丈夫だよ。
 痛いのよりも嬉しい気持ちの方が強いから」

腰を落としてじっくり奥まで到達した男根は、体重のおかげで一番奥の突き当りまでずっしり嵌った。
でも顔をしかめてるクローディアさまを見ると、このまま続けてしまっていいのか、ちょっと不安だ。

18:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 17:59:20 ZGnZpJLD
「あんまり辛いようでしたら、今日はこれ位で…」
「まだそんなことを言うの? 私は平気だっ」
(ホントかなぁ)
「ほらっ動くよ!?」
「わぉっ!」

この期に及んで躊躇ってる僕を叱咤して、クローディアさまは腰を動かしてきた。
そうするとクローディアさまの中に入ってる僕のモノも秘肉でしごかれる訳で、
締め付けはきついけど、当然とんでもなく気持ちいい。
(さすが名高いクローディアさまの騎馬戦術、初めてなのにすごく良いです…)
腰の上で姫将軍さまに動いてもらって、僕はそんな間抜けなことを考えたりした。
だって、破瓜の痛みに耐えてつつも『こんなに激しくって良いのかな?』って僕の方が思う程、
クローディアさまの行為は激しいんだもの。
僕に出来ることといえば、クローディアさまのおっぱいや腰へ手を伸ばして、
少しでも悦んでもらおうと撫で回す事ぐらいだった。
我ながら拙い愛撫だと思うけど、でもクローディアさまも嬉しそうに微笑んでくれたので、僕も嬉しくなった。
でもそんな気持ちのいい事をされ続けて、何時までも男子が我慢できるもんじゃ無い。

「クローディアさま、僕っもう出そうです」
「ああっ、私の身体で悦んでくれてるんだね。
 いいよっ、出してくれ! 私の中にっ!!」
「ああぅ、クローディアさまぁ」

抱かれてくれた姫将軍さまの名前を呼びながら、僕は膣の中に思い切り精を放出してしまった。

19:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 18:00:02 ZGnZpJLD

「うう、分かるよ。君の精が私の中に出されているのが…」
(む~、イクときに相手の名前を叫ぶのは、普通女性の方じゃなかったかなぁ?)
「………あの、どうだったかな? 私との交媾は」
「え~っと、言葉にならない位気持ちよかったです」
「うふ、嬉しいな… こんな私でも、好きな殿方に気持ち良くなってもらえるんだから」
「あの、クローディアさま」
「なんだい?」
「クローディアさまは、姫将軍さまと呼ばれるのがお嫌なのですか?」

僕は思い切って聞いてみた。
さっきからクローディアさまは『私なんか』とか『こんな私』とか自信無さげに言うのが気にかかる。
顔も綺麗だし、こんなにいい身体をしてるのに………

「…嫌じゃないけど、周りに『男女』や『生まれぞこない』だとか『あれじゃあ嫁の貰い手も無いだろ』
 とか言われることも有ったから…
 女の子として好きな殿方とこんな事が出来るなんて自分でも思ってなかったんだ」
(う、その『好きな殿方』とやらは僕のことなんだ)
「それでも良い、私は姫将軍として戦を生きがいに生きてくのだって、昨日まではそう思ってたんだけど…」
「…」
「今は違う。こんな素敵な気持ちになれるなんて… 本当にありがとう。お礼を言うよ」

うっ、笑顔が胸に突き刺さる。
まさか今更『その気持ちは惚れ薬のせいですよ』とは言えないな…
この秘密はずっと隠しておこう。

「だから君が世界を欲するのなら、私の全てを使って協力するよ。
 君が望むのなら、世界を焼き尽くしてみせる。天の極みから海の果てまで、そして地の底までもだ」
(えーっと、とりあえず地上だけでいいです)
「そして生きとし生けるもの、死者までも君に従わせ、ありとあらゆる土地と財宝を君に捧げよう。
 でも、その代わりといっては何だが………」
「何でしょう?」
「時々で、気が向いたときでいいんだが… また私を抱いて欲しいな………」

消え入りそうな声で囁くクローディアさま、その顔は恥ずかしさで真っ赤だ。
こんなしぐさを見せられて、『お断り』できる奴はいないよね。

「えっと、いいですよ」
「いいのか?」
「はい、出来れば僕がしたくなったときもお願いします」
「ふふふ、私は君と出来るなら、何時でも何所でもどんな形でも良いんだよ……… チュッ」

そう言ってクローディアさまはもう一度キスをくれた…


・・・・・・・・・

20:ヘタレな魔王の物語
06/11/19 18:00:41 ZGnZpJLD
まあこんな感じで、僕はクローディアという無二の協力者を得ることが出来た。
(クローディア『さま』と呼ぶのは他人行儀だというので止めさせられた)
それから僕はクローディアの国へ行き、王様を退位させて僕自身が即位した。
色々反対、反発、反抗する貴族達がいたけど、
僕の魔力と魔物の軍隊とクローディアの軍略でみんな踏み潰した。
思ってた以上に世界征服って大変だ。
一つの国を征服するのにも、こんなにたくさん殺したり追放したり投獄したりしなきゃならないんだから!
やっぱ僕一人じゃきっと出来なかったと思う。

今、世間じゃ僕のことを『魔王』と呼んでいる。
地獄から蘇った魔王が姫将軍を堕落させて傀儡にし、世界を闇に包もうとしているって話だ。
世界を手に入れようとしてるのは事実だけど、別に暗黒じゃなくってもいいんだよ?
王様稼業も退屈だったり、面倒だったりするけどそれなりにやってる。
大抵の場合、クローディアが良いって言ったことは許可し、駄目って言ったことは許可しない。
(んー、『かいらい』って操られてる奴のことだぞって、物知り爺さんは言ってなかったっけ?)

冬でも毛皮のマントを着て温まることが出来たり、
豚の太り方を気にしなくて済んだり、
塩の値上がりに腹を立てずに済むのは、王様になって良かった所だ。

そして何より一人で眠らなくても良いのが、僕には一番幸せだ。
今僕の横には今日はクローディアが寝ている。
彼女は次の標的である隣国攻略の作戦を練っている。
その合間にだけど、約束どおり僕は彼女とよく交合ってる。
(たまに若い女官や小間使いの女の子に手を出したりもしてる… この辺はちょっと魔王っぽくなれたと思う)

そう、この国は夢の為の第一歩でしかないんだ。
世界は広い、げんなりするほど広い、まだまだたくさんの国や人々が僕を待ってる。
でもクローディアや他の色々な人や妖精や鬼・小人、そしてなによりこの指輪の力があれば、
きっと世界を手に入れることが出来るに違いない。
だから僕は夢と希望と決意を込めて、明日へ向かって叫ぶのだ。


僕たちの世界征服はこれからだ!


(手に入れた後でどうするかは、後で考えよ…)


  終わり

21:投下完了
06/11/19 18:01:29 ZGnZpJLD
以上、いつもの魔王とは真逆なヘタレ物語にお付き合い頂き、ありがとうございました。

現状維持で行くことになりましたが、これまで通りちょっと外しても
寛容な心で受け入れて欲しいなと思います。

22:名無しさん@ピンキー
06/11/19 18:03:19 Tq4TGRpZ
ぐっじょば
何かそのままエロゲに出来そうな話だなw

23:名無しさん@ピンキー
06/11/19 18:19:22 ZqaQfERB
GJ!ゆるい魔王ってのも乙なものですなw
楽しく読めました。

24:名無しさん@ピンキー
06/11/19 19:03:27 8Qu5Qv+P
ムカツク以上にワロタ!
自分のしている事に自覚が無い奴が一番性質が悪いといういい見本だなw
そういえば昔読んだ短編にこいつそっくりの独裁者が居てさらったお姫様に
「貴方が本当にしたい事はなんだったんですか?」って聞かれて
勝手に悩んだ挙句に火病って宝石に閉じ込めた馬鹿が居たな。

25:名無しさん@ピンキー
06/11/19 23:35:09 /rZ+MHBi
GJ!
物知り爺さんとか豚の太り方とか、細かいところで味が出ていてとても面白かった。
クローディアも可愛くていい!

26:名無しさん@ピンキー
06/11/20 18:39:58 EfhdamiA
今更ながら… 前スレの131じゃなくって132でしたね。

皆様感想有難う御座います。

向こうの魔王様は神秘性を持たせるため、心情描写を排除してあるんですが、
こっちのヘタレは一人称で話を進めてくれるので、書き易かったです。
魔王様にはとても言わせられない馬鹿な言葉だろうと、こいつには使わせる事が出来るますから。

27:名無しさん@ピンキー
06/11/22 22:01:07 Wz91n50+
遅刻してしまいつつ、やべぇえよ!魔王に萌えてしまったよ。
何このヘタレっぷり。
ラスト三行の文章の輝きっぷりも合わせGJ!

28:名無しさん@ピンキー
06/11/24 00:44:04 1hh+Y8Yr
>>前スレ593
>漏れの意見は何度も言うように

匿名で自己同一性を主張するのは止めとけ。
別板で自分が似た事をした時なんか、「やっぱり自演による多人数工作か、
と思われるリスクも分からない馬鹿なら黙れ」と言われたぐらいだ。

>>前スレ590
>んじゃあテンプレを
>「・タイトルに拘らず、女剣士・騎士、冒険者、お姫さま、海賊、魔女、何でもあり。」
>↓
>「・「女兵士」に拘らず、女剣士・騎士、冒険者、将軍、海賊、魔女、
> 戦闘員の女性が出てくるなら幅広くOK」
>って感じに変更すればいいんでない。

そんな感じでいいんでない?


29:名無しさん@ピンキー
06/11/24 00:54:26 r7xysTUP
つうか、勝手に「総合スレ」と名乗るスレが立った事から始まった議論だと思うが、
この調子で似たようなスレが立つたびにスレタイ変更と内容変更と移住をやるわけか?
俺は嫌だぞ。

30:名無しさん@ピンキー
06/11/25 00:13:16 dKX4HnEy
本当に、スレタイ一つで、いろんな感じかたがあるものですね。

受け取り方は一つじゃないし、いろんな考え方があるのだなあ。

今の職人さんたちが、投下しやすくて、新しい職人さんが来易くて、
ファンタジー色が失せない、今の感じなら何でもいいやw

って言うのは無責任かもしれないけど、揉めないで欲しい・・・。

31:名無しさん@ピンキー
06/11/25 10:59:56 F/meCO+t
>>30
同意
また次スレ立てる時まで、この話は封印ってことでいいんじゃね?

このスレでも良作の投下、お待ちしてまっせー

32:名無しさん@ピンキー
06/11/26 00:13:05 w9lAZ2pm
アビゲイルの話が読みたい

33:名無しさん@ピンキー
06/11/26 00:29:29 cBUL6/Qk
>31
逆に考えるんだ
「自分が書き手になって良作の投下してやるぜ」と
考えるんだ

お待ちしてまっせー


34:名無しさん@ピンキー
06/11/26 01:13:24 ZJexb2H7
自分もアビゲイル待ってる。

35:名無しさん@ピンキー
06/11/27 00:56:23 PgbBkue/
自分もアビゲイル持ってる。

36:名無しさん@ピンキー
06/11/27 01:42:46 e9AqX345
私も待っている。

37:アビゲイル
06/11/27 14:29:44 /9c/KeRq
お待ちいただいていたみたいで・・・ありがとうございます。
今回はお話も長くなってしまいました。
しかもまだ書いてる途中なので、週1ぐらいでのんびり投下します。

38:邂逅Ⅰ 1/1
06/11/27 14:32:47 /9c/KeRq
・・・なにか、くる。
濃密な晩春の暗闇のなか、アビゲイルの磨がれた感覚が告げている。

彼女は中流階級の職業軍人の出である。父の急逝により急遽17歳で家督を継ぎ、軍務について既に1年がたった。
額に天眼を抱く魔法使い一族が治めているこの国は、北の山岳地帯と南の海、西と東の豊かな大国に地理的にも勢力的にも窮屈な小国である。
中継貿易て活況を呈し小さいながら富栄えるが故にしばしば国レベルでは大国の食指が動き、個人レベルでは略奪の対象となる、悩み多き国でもあった。
山岳民族の略奪におびえる北面の国境警備隊に属し、現在は昇格して「山の砦」を仕切るロク中隊長に替わって50人を束ねる小隊長を務めている。

アビゲイルの愛馬が主人の気配を感じ取り、耳をそばだて闇をうかがっているようだ。
揮下の兵士も勘のよいものから起き出し、同僚を起こし臨戦態勢を整えはじめた。
なにものかの気配は金属音がまじり、すぐに明確に争う人馬の衝撃音となり、鏑矢(音の出る威嚇用の矢)の後引く音が上がる
「意外と近いな・・・距離200あまり」もう20年も戦場にある叩上げの分隊長ウイがささやく。
「馬が4頭・・・いや5頭、追うもの4、追われるもの1まっすぐこっちへ来ます」

39:邂逅Ⅰ 2/5
06/11/27 14:34:49 /9c/KeRq
「凹型隊形をとり、まるごと囲い込む。追われているものが味方もしくは民間人であれば保護、略奪者であれば拿捕」りん、とアビゲイルの声が響き渡る。
「追うもののが略奪者であれば距離おいて弓で対応!頃合をみて本隊は退け。ゴト分隊長!10騎つれて後をつけろ。あとは打合せのとおり!いけっ」
指示通りに部下が散った直後、少し開けた野営地に喧騒が駆け込んできた。

数多い追撃者は大型獣の毛皮を身につけ、明らかに山岳民族のいでたちであった。

単騎追われていた者が開けた草地を待っていたかのように馬を返し、追手の一人を鮮やかに切って捨てる。
その流れるような動きは余裕さえかんじさせ、その場にいた全ての者が目を奪われ一瞬時が止まったように間があいた。
「押し包め!」アビゲイルの指示をうけて、20騎あまりが槍を掲げ押し寄せ、退路を断つように弓揃隊がまわりこみ、矢をつがえ待ち受けている。

40:邂逅Ⅰ 3/5
06/11/27 14:35:58 /9c/KeRq
思わぬ多勢の伏兵に略奪者である追手・・・今や立場は逆転しているのだが・・・は浮き足立ち、てんでに森へと馬を乗り入れ、逃走をはじめた。
「深追いするな!あとはゴトたちにまかせろ」
小隊は追われていた1騎を静かに取り囲む。山岳民族は基本的に略奪を目的に王国に進入する。
王国風の装いをしていても中身は山岳民族であることも充分考えられるのだ。
簡単に警戒を解かないあたり、アビゲイル小隊は機能的でよく鍛えられた部隊だといえる。
「所属は」
「中央監察部のタイロン=ツバイ。定期巡察使の供で北東城より北城へ移動中である。」
ヘルメットを外した顔は、先ほどの豪腕を感じさせない、茶色の髪と珍しい金の目を持つ涼やかな若者であった。
「おかげで命拾いした。礼を言う」小隊を見回し屈託なくにっこりと笑いかけた。

ウイ分隊長がアビゲイルに信用できるか、とささやいた。
アビゲイルもヘルメットを取り外す。
「問題ない。私の知り合いだ」苦虫を噛みつぶしたような表情で青年に歩み寄った。

41:邂逅Ⅰ 4/5
06/11/27 14:36:55 /9c/KeRq
「持つべきものは友だな、アビゲイル」
「友になったことなどない。単なる訓練所の同期だろう。」冷たい言葉を口にしながらも、しっかりと握手を交わす。
打ち解けた雰囲気を受け、小隊は緊張をとき、武具をおろす。「国境の外でなにやったんだ、アビゲイル」
「略奪者を追ってる」タイロンが野営の跡地を片付け、荷をまとめ始めた小隊を見回す。

「赤鬼城主と寝ないと城砦の中隊には食糧も休息もないんだって?」

部下達の作業の手が一瞬止まり、みなそれぞれタイロンの言葉などきかなかったように一層手早く作業を進めだした。
「まとまりのいい部下持ってるなぁ。上司も部下も健気だね。城主相手に持久戦かよ。10日ぐらい自給自足?」
何の屈託もなくさらりと告げる。

「・・・お前のそういうデリカシーのないところが嫌いだ」
アビゲイルの怒っている、というよりあきれているような顔つきにタイロンが笑いだす。
「まぁ、赤鬼城主が稀代の色好みなのは有名な話したし、目下のところなかなか折れない北方の女騎士にご執心なんて噂は出てたけど、本当の事だったとはなぁ」
相変わらずの情報収集能力を発揮しているが、下世話といえなくもない。
ちらり、とアビゲイルと目線を合わせる。「王都の巡察使と一緒なら赤鬼も手は出さないんじゃねーの?」
部下が一斉にタイロンを振返った。人なつっこいが、人の悪い笑顔を浮かべていた。

42:邂逅Ⅰ 5/5
06/11/27 14:37:41 /9c/KeRq
あっというまに部下となじみ、撤収の手伝いを始めたタイロンを眺めまがら、喰えない男だ、とアビゲイルは思う。
最期の一言と悪童のような笑顔で、心身ともに疲れ果てているアビゲイルの部下達を一挙に自分のモノにした。
訓練生時代から、タイロンはなぜだか人をひきつける。人蕩かしの天才だ。
そろそろ部下には気を引き締めてもらおう。
「ところでお前、一人で行動しているわけじゃないだろう?部下だか上司だかはどこに置いてきた?」
タイロンがアビゲイルの腰の水袋を取り上げ、飲み干した。
「定期巡察使の本隊はこんな境界域ではなくて、国内の街道を北城へ堂々と向かってる。俺たちは別働隊でね・・・辺境警備の実際のところを探ってたのさ」

タイロンが真顔に戻る。
「岩場と森の境に怪我人を2人隠してる。矢傷で少々厄介だ。保護を頼みたい」
「案内しろ」
「ついでに北城まで道案内をたのむ」
「承知。怪我人を回収して速やかに北城に帰投する。ゴンドレイとナレマジム、先行して北城主に状況の報告せよ」
名指しをうけた兵士が躊躇なく騎乗し、駆けはじめる。その背中にタイロンが声をかけた。
「定期巡察使どのの本隊が街道を北城へ向かってることを報告するの忘れんなよ!あのエロ親父も怯むぜ!」
小隊からはリラックスした笑い声があがる。
アビゲイルは自分自身や小隊に横たわる安堵感を感じとり、臨戦態勢に変わりはないのになぁと複雑な気分を味わいつつ、最後尾で騎上の人となったのであった。


43:邂逅Ⅰ 5/5
06/11/27 14:38:55 /9c/KeRq
あっというまに部下となじみ、撤収の手伝いを始めたタイロンを眺めまがら、喰えない男だ、とアビゲイルは思う。
最期の一言と悪童のような笑顔で、心身ともに疲れ果てているアビゲイルの部下達を一挙に自分のモノにした。
訓練生時代から、タイロンはなぜだか人をひきつける。人蕩かしの天才だ。
そろそろ部下には気を引き締めてもらおう。
「ところでお前、一人で行動しているわけじゃないだろう?部下だか上司だかはどこに置いてきた?」
タイロンがアビゲイルの腰の水袋を取り上げ、飲み干した。
「定期巡察使の本隊はこんな境界域ではなくて、国内の街道を北城へ堂々と向かってる。俺たちは別働隊でね・・・辺境警備の実際のところを探ってたのさ」

タイロンが真顔に戻る。
「岩場と森の境に怪我人を2人隠してる。矢傷で少々厄介だ。保護を頼みたい」
「案内しろ」
「ついでに北城まで道案内をたのむ」
「承知。怪我人を回収して速やかに北城に帰投する。ゴンドレイとナレマジム、先行して北城主に状況の報告せよ」
名指しをうけた兵士が躊躇なく騎乗し、駆けはじめる。その背中にタイロンが声をかけた。
「定期巡察使どのの本隊が街道を北城へ向かってることを報告するの忘れんなよ!あのエロ親父も怯むぜ!」
小隊からはリラックスした笑い声があがる。
アビゲイルは自分自身や小隊に横たわる安堵感を感じとり、臨戦態勢に変わりはないのになぁと複雑な気分を味わいつつ、最後尾で騎上の人となったのであった。


44:邂逅Ⅰ
06/11/27 14:41:48 /9c/KeRq
本日はこれで・・・
がんばって最期まで書きますので、よろしくお願いします~

45:名無しさん@ピンキー
06/11/27 17:23:55 oUi3nTDn
早速の投下、GJです!
続きをお待ちしてますよ。

46:名無しさん@ピンキー
06/11/28 00:18:25 +WKDH5+z
続きwktk

47:名無しさん@ピンキー
06/11/28 00:32:31 CGhP80FK
タイロンとの再開キタコレ。
続き期待してるよ!

48:名無しさん@ピンキー
06/11/28 04:16:17 0njqSxhM
アビゲイルキテタ!
GJGJ!
この先が楽しみです

49:名無しさん@ピンキー
06/11/28 22:56:43 Raj5wase
おお。
巡回する楽しみが再開した。

50:名無しさん@ピンキー
06/11/28 23:14:47 R+u7aSru
アビゲイルktkr
前スレ読み返しながら待ってます

他の書き手の人々も待ってますよ~


51:名無しさん@ピンキー
06/11/30 20:03:02 UYxwY4ra
ヘタレな魔王の話ですが、スレタイ・テンプレについて一悶着あったばかりにも係わらず、
性懲りも無く別スレ(お姫様スレ)に該当しそうな話を作ってしまいました。

新登場人物は王室関係者ですが戦闘職では無いので、さすがにここに投下するのもどうかと思い
今回についてはお姫様スレに投下しようと考えています。



魔王様本編の登場人物は皆何かの形で光と闇の戦争に係わってきているので、従来どおりここで書かせて頂きたいと思っています。
アデラの話をお待ちの方、もうしばらくお待ち下さい。

52:名無しさん@ピンキー
06/11/30 21:12:15 0pX0WKpx
ええええええ~~~~!!

ここに書いてよ!!

53:名無しさん@ピンキー
06/12/01 01:48:43 tJ27zFtU
とにかく見れればOK! 

アデラ話も全裸で待ってます。

54:箱庭の虎
06/12/02 20:21:40 G/hphj4Q
新シリーズ・スタート ―――

世界観:
ここは中世ファンタジー世界!もうコテコテの剣と魔法の
中世ファンタジー世界だ。
エルド帝国は大陸の中央部に位置する大国。宗教を背景にして
大規模な軍事拡大を目指している。そんな中、忘れ去られたような
場所で帝国の遺産を守り続けている一団がいた。
帝国の国境に近いブレイル地方、ソルブレイル郊外…
「トゥエルブダンス神聖宝衛団」通称「箱庭の虎」。
女性だけで構成されたこの集団は、団員数わずか6人とはいえ
強固な信仰心・忠誠心と驚異的な戦闘能力をもってこの地を
守り続けている。

「箱庭の虎」のメンバーは、全員が神聖とされている法衣に身を包んでいる。
メンバーによって着こなし方はそれぞれである。

55:箱庭の虎
06/12/02 20:23:43 G/hphj4Q
キャラクター紹介

名前:フリルダ=ソールスベリー(団長)・27歳・剣士
体格:身長186cm、体重71kg、スリーサイズ108/64/96
容姿・印象:三つ編み。豊満なスタイル、普段は穏やかで丁寧な話し方をする
攻撃手段:片手剣、両手剣による剣技、他に強力な神聖魔法を使える
説明:
豊満な体をした「箱庭の虎」の団長。現在あまり人前に姿を表す事はない。
その戦闘能力は恐ろしく、帝国では五本の指に入るといわれる。
経歴はかなりのもので、少女時代に奴隷を経験しており、ある貴族の子を身篭り、
産んだと言われる。その後は傭兵時代、貴族時代を経験して今に至る。

名前:レイン=クリスチャーノ(副団長)・22歳・弓戦士
体格:身長183cm、体重66kg、スリーサイズ88/60/90
容姿・印象:長髪、尊大な口調、プライドが高い
攻撃手段:魔法の弓での遠距離攻撃、他に魔術を得意とする
説明:
「箱庭の虎」の副団長で、こちらが実質リーダー格となっている。
団長ほど影響力はないが、強気な性格で指揮力はあるほう。ツンデレ。
実は男性経験はほとんどない。

名前:フレア=ヴェレンス・17歳・弓戦士
体格:身長176cm、体重63kg、スリーサイズ97/58/83
容姿・印象:ショートヘアー、ボーイッシュ、露出が多い
攻撃手段:強力な弓での力任せの攻撃のほかに剣術、格闘術を得意とする
説明:
「箱庭の虎」で最年少。体は別としてかなり子供っぽい性格。
だが、女性としては多感な年頃でもあり、色々と敏感になっている。
弓よりも、実は殴った方が強いのではと言われている。

名前:アルルカン・25歳・軽戦士
体格:身長194cm、体重55kg、スリーサイズ79/55/83
容姿・印象:ボブカット、物凄い長身で細身、普段はだらしない性格
攻撃手段:ナイフでの攻撃の他に小道具、飛び道具など何でも武器にしてしまう
説明:「箱庭の虎」では諜報員のような役割を担っており、団長と外との連絡手段
としてもよく活躍している。普段はボケているぐらい大人しいが、任務になると
別人のようになり、泥水を飲むような戦いぶりを見せる。

名前:ナイル・34歳(外見14歳)・神官
体格:身長164cm、体重49kg、スリーサイズ83/57/84
容姿・印象:ツインテール、子供っぽい媚びた口調
攻撃手段:回復魔法の他に強力な攻撃魔法が使え、むしろこちらがメイン
説明:
子供のような外見をしているが、実際は34のおばさん。魔法の力で14歳のまま
歳を取らなくなっている。神官の癖に強大な魔力を持ち、神殿という閉鎖的な
環境を利用して研究なども行っている。他の団員と見劣りする体型を気にしている。
男性経験は意外と少ない。

名前:ミリア=ヴェレンス・19歳・神官
体格:身長178cm、体重59kg、スリーサイズ102/60/89
容姿・印象:ポニーテール、爆乳、普段は丁寧な口調だが…
攻撃手段:回復魔法を得意とする他、棒術、体術を使える
説明:
マンゴーのような乳房に桃もような尻をした、清楚な雰囲気の神官だが、
それは上辺の姿、本性を表すとメイスを振り回す凶暴な戦士となる。
フレアの姉でもあり、実は「箱庭の虎」の中でも一番男性経験が豊富である。

-----------ここまでが団員-----------------


56:箱庭の虎
06/12/02 20:28:40 G/hphj4Q
名前:サラ=リーズヒル・15歳・修道女
体格:身長171cm、体重54kg、スリーサイズ86/58/84
容姿・印象:ミディアムヘア、控えめな性格だが芯は強い
攻撃手段:剣術が少し使える程度
説明:
とあるきっかけで「箱庭の虎」に救助され、修道女として団に雇われることに
なった少女。一般兵士を一人を相手にするのがやっとだが、これから団のごたごたに
巻き込まれて強く育っていく予定。

名前:アドニス=エドモン=イェールド・24歳(男性キャラ)・貴族
体格:身長170cm、体重56kg
容姿・印象:短髪で真面目そうな青年、ひ弱そうな雰囲気
攻撃手段:剣術、魔術ともに中途半端
説明:
帝国の国境に近いブレイル地方を治める領主の次男に当たる。
一見頼りないが、彼こそが「箱庭の虎」を編成するきっかけを作った
人物である。特に団長のフリルダにとっては恩人でもあり、以降の
物語でも「箱庭の虎」と深く関わってくる。

名前:フリード・20歳(男性キャラ)・盗賊
体格:身長165cm、体重52kg
容姿・印象:子供っぽい印象の青年、野盗の仲間だった
攻撃手段:剣術、ナイフが申し訳程度に使える
説明:
「箱庭の虎」の団員を襲った一団の一人。敗北して捕らわれる。
奴隷のような扱いを受けると思っていたが、思ったよりも居心地がよかった
ため、何かしらの恩返しをしようとしている。

以上!
ちなみにこの世界では平均身長男が170cm、女が160cmぐらいです。

シリーズはまた後ほど書きます。乞うご期待!!

57:名無しさん@ピンキー
06/12/02 20:59:47 0YXLYxOM
come on!

58:名無しさん@ピンキー
06/12/02 21:01:18 IbUgldBY
>>54-56
何?「厨房にありがちな小説スレ」か何かのコピペ?

59:名無しさん@ピンキー
06/12/02 21:49:20 cKQ6KbCK
「箱庭の虎」でぐぐっちゃったよ。
キャラサロンから追い出されたのかな。
キャッシュに残ってたのを見ると、キャラを使った妄想がしたいと言ってるようだが……


60:名無しさん@ピンキー
06/12/02 22:11:19 L9cOLTXJ
オリキャラ板行ったら?
URLリンク(sakura03.bbspink.com)

61:名無しさん@ピンキー
06/12/02 22:58:58 G/hphj4Q
>この板は、オリジナルキャラを中心としたなりきりを行う板です。
>特定のキャラが不特定の参加者と受け答えをする様式のスレだけでなく、
>シチュエーションのみを指定し、参加キャラを募る様式のスレも可能です。
>また、オリキャラ専用ではなく、オリキャラと版権キャラが混在するスレも可能です。

>エロを必要としないスレはキャラネタ、なりきりネタを、
>な り き り を 行 わ な い、コテハンによる雑談はなんでもあり、ピンクのなんでもありを、


62:名無しさん@ピンキー
06/12/02 23:17:46 RLGpl8Gj
一応お約束なので

設定厨は自サイト作って好きなだけ語ってろ

63:名無しさん@ピンキー
06/12/02 23:36:30 AWmsymLT
何はともあれ、まずは一本投下汁。

漏れも重度の設定厨なので気持ちはめちゃくちゃ判るんだが、
設定はSSの中で表現するよう努めるのがSS師のあるべき姿かと。

64:名無しさん@ピンキー
06/12/02 23:45:19 3Tk6GaPB
アビゲイルの続きが投下されたと思ってwktkしちゃったよ…

65:名無しさん@ピンキー
06/12/02 23:50:11 G/hphj4Q
>>63
ありがとう!やってみる
設定厨スマソw

66:名無しさん@ピンキー
06/12/03 01:52:11 IAqOJA0b
>>65
皆大柄すぎる事が気になった以外は、とりあえず期待してみよう

67:名無しさん@ピンキー
06/12/03 07:49:48 EGbrW/6K
なんだか、
この間のスレタイのハナシから、投下に厳しくなってるような気がするんだが、
気のせいですかそうですか

68:名無しさん@ピンキー
06/12/03 11:23:22 LzehrwjN
そうですよ

69:名無しさん@ピンキー
06/12/03 14:22:17 iMpTRxf9
設定だけ投下されても、反応に困るな
というわけで

ss━━(屮゚Д゚)屮 カモーン━━ヌルポ!!!


70:名無しさん@ピンキー
06/12/03 15:58:50 EGbrW/6K
がッ

71:名無しさん@ピンキー
06/12/04 12:15:40 0o7x6ZK9
みょッ

72:アビゲイル投下します
06/12/05 14:54:59 fHu1bYFo
こそっと投下します・・・

73:邂逅Ⅱ1/8
06/12/05 15:00:52 fHu1bYFo
北城は北面の国境警備の要の城塞都市である。民間人も多くにぎやかな中心地だ。
季節は6月。雨と共に首都より遅く訪れる春の終わりを謳歌している最中である。
城主クンツ・イエはかつて豪胆をもって知られ、砂漠の国との戦線を任され「赤鬼」と二つ名で呼ばれる将軍であった。
老いて一線を退き、北城の城主となって10年あまりか。赤銅色の髪と髯と天眼を頂く齢67、現国王トトクの叔父にあたる。
余談だが、現在は過去の功名や現在の堅実な国境運営よりも、漁色家として名を馳せている。

北城の中心は巨大な広間となっており、天井が高く豪奢でこの国を治める者の富と権力を思わせる佇まいだ。
諸外国からの使者を迎え入れたり、儀式・式典の舞台となる、その場所にアビゲイルは招き入れられた。
本来、小隊長ごときの報告にこの大広間が使われることも、城主が出向くことなどありえないのだが。


74:邂逅Ⅱ2/8
06/12/05 15:04:04 fHu1bYFo
報告を聞いている者の中には、赤鬼城主クンツがご執心の女騎士が来ていると、興味本位まるだしの不届き者も混じっていた。
アビゲイルは臆することもなく経緯を説明し、ラジエント・ゴト分隊長が手はずとおりに追い込んで拿捕した略奪者を引渡した。
その声は広いホールに凛と響き渡り、冑を小脇に抱えて跪く肢体も伸びやかなのが見て取れる。
短くした明るい栗色の髪から白くのぞく項に、目を奪われているものもいた。

実はアビゲイルは既に2度ほどクンツの枕席に侍っている。
アビゲイルの上司ロクをはじめ山の砦の兵の大半は、彼女がいずれ好色な城主の目に止まるだろうと考え、その時期をできるだけ遅めようと努力をしたようだ。
しかしアビゲイルが予想以上に有能で功績を得て論功考証の対象となり、城主の前に出ざるおえなくなった。
以来、山の砦には定期連絡にアビゲイルを遣すよう指示があり、断ると露骨に物資が滞ることとなった。軍需物資を受けとるために1度。
厳しい冬が終わると、小隊ごと北城に召還され、無理難題を押し付けられる。部下の休息のために再び。
淡々と己を受け止めるだけの女の何が気に入ったものか・・・城主に怯えるそぶりも、媚びることもない女が珍しかったのか。
アビゲイルには判らない。

75:邂逅Ⅱ3/8
06/12/05 15:05:47 fHu1bYFo
城主は上機嫌でしきりとアビゲイルの功績を褒め称える。むろんアビゲイルの隣に跪く、定期巡察使の随従など眼中にない。
タイロンは殊更に目立たぬように振舞っており、普段の闊達さを微塵も感じさせないので、アビゲイルは内心不審に思っていた。
「国境の勇者、麗しの女騎士に敬意を表して、我が夕食にご招待しよう。」
立ち上がり解散しようとする城主に、さすがにまずいと思ったか、「巡察使補殿もご一緒に。」と補佐官が付け加える。
「御二方ともお疲れであろう、部屋を用意したので夕刻までゆっくり休むがよい」
結局タイロンは顔を上げることもなく、一言も物を言わず、会見は終わった。

タイロンは侍従に、アビゲイルは侍女に先導され、それぞれ準備された部屋に案内されることになるだろう。2人とも態のよい軟禁である。
アビゲイルが逃げ出さないように。タイロンが城内を勝手に出歩いたりしないように。

76:邂逅Ⅱ4/8
06/12/05 15:06:55 fHu1bYFo
アビゲイルは過去、この部屋に2度通された。
小さな中庭を有し、香木であつらえられた調度品と絹で覆われ、全体に淡い薔薇色で統一された豪奢な部屋だ。
たしか前回は深い緑色、その前はクリーム色を基調に整えられていたはずだ。
一般のご婦人ならその贅沢な設えに感激するところであろうが、アビゲイルにとっては無駄に豪奢な牢獄だ。
控えの間に通ずる扉は内側からは開かないのだ。もとよりアビゲイルは逃げ出すつもりはないが、気分のいいものではないのは確かだ。
用意された着替えに腕を通す気になれず、溜息をつきつつ2箇所ある窓を開け放って外を見る。
高台にそびえる北城の、尖塔の中腹からでも充分に眺めを楽しむことができた。
渡ってくる風に湿気を感じ、どこかそう遠くない山か森で雨が降っていることを感じさせた。


77:邂逅Ⅱ5/8
06/12/05 15:09:48 fHu1bYFo
低く高く、タカが鳴く。

アビゲイルはタカの鳴声が不自然に抑揚が突いていることに気が付いた。
斥候用の合図で眼下だ、と告げている。思い当たることがあり、身を乗り出して、下を見下ろす。
案の定、タイロンであった。
ご丁寧に保護色の砂漠色の歩兵服に着替え、金属の楔を打ちつつ、ゆっくりと確実に塔を登る。
「器用なやつ」城主の私室に進入しようなどどいう無謀な試みに頬が緩んで、タイロンのためにグラスに水を満たした。

やがて、軽々とタイロンが室内に滑り込んだ。「よ。」
普通、城壁を登るためにつける命綱など身に着けていない。驚いたことにタイロンはフリークライミングをしてのけたようだ。
「おまえは猿か」アビゲイルはグラスを渡してやり、タイロンはグラスを掲げて一息に水を飲み干した。
「とらわれの女神を助けにきたんだからさ、ロープでも投げて手助けしてくれればいいのに。」
「そりゃ有難い話だ。・・・狙いはなんだ?巡察使補殿」
「お前・・・なんてね。ひみつ」
どちらともなく口の端をゆがめて笑う。

78:邂逅Ⅱ6/8
06/12/05 15:12:19 fHu1bYFo
タイロンは遠慮なくアビゲイルのあてがわれた部屋の入口や調度品を調べた。
アビゲイルは所在なげにタイロンが入ってきた窓枠に腰をおろして、足をぶらつかせていた。
「ほんものの囚われの身なんだな。扉は内側からあかないし、窓からは墜落一直線。壁面はつるつるで手ごわい。」
「細工があろうとなかろうと私には逃れる術はないのにな・・・」アビゲイルのつぶやきがタイロンの耳に入ったかどうか。
「鍵はかかっているけど、こっちから開くな」大きな姿見を調べ終わって、タイロンが立ち上がった。ベルトから小さな工具を抜く。
アビゲイルは初めてその姿見からクンツが現れたときには驚いたものだ。「へぇ。流石だな、巡察使補殿。」
あっという間に仕掛扉を見抜いたタイロンはやはり優秀なのだ。

79:邂逅Ⅱ7/8
06/12/05 15:14:19 fHu1bYFo
「あんた、黙って城主に抱かれてンのか」
仕掛扉の開錠に取り掛かるタイロンの唐突な問いにアビゲイルは咄嗟に言葉がでてこない。
「 あんた ほんと遠慮ないな」
「壁に楔が打ってある。千鳥足だ。暗くなってからのほうがいいな。」
タイロンが登ったルートを使って逃げろ、というのか。「・・・気持ちは有難いがね。部下にも家にも迷惑をかけたくない」
窓枠からひらり、と下りてアビゲイルは部屋を横切る。
「弟が訓練所に入ったんだ。」
ひろい寝台に腰を下ろすアビゲイルの姿が、姿見に映っている。
「アビゲイルが納得してるんなら、俺はいいんだけどね」アビゲイルとタイロンは鏡越しに視線を交わす。
「いっそのこと、交わり自体を楽しむことができれば気が楽なんだろうけど」
アビゲイルはひとつ大きな溜息をつき、淡い薔薇色のシーツの海に仰向けに転がり、タイロンの視界からは表情が見えなくなった。
「早く終われ、早く終われ、と願ってる女なんか抱いて、なにが楽しいんだろうな、城主は」
彼女の目は天井に向けられてはいるが、何も映してはいない。

80:邂逅Ⅱ8/8
06/12/05 15:16:27 fHu1bYFo
本来の扉の前に人の気配が近づいてきた。
2人とも一瞬で戦士の顔にもどる。

入口からは見えにくい寝台の影にタイロンは身を伏せた。死角はせまく、部屋に入ってこられると見つかってしまう。
アビゲイルは開いた窓に腰をかけた。
「窓の鍵はあけておく。何を探っているのか知らんが、気をつけていけよ、タイロン」ささやく声はいつかの森の中と同じ、抑えたものだった。

「失礼いたします」香木のドアがひっそりとあいた。
「湯浴みの準備が整いました」
アビゲイルはふわりと窓枠から降り立つと、窓を閉めて、カーテンをひいた。
振り向きざまにっこりと侍女に笑いかける。「ありがとう」
一見細身で少年のように見えるアビゲイルに見つめられ、侍女が顔を赤らめた。
その傍をごく自然に通りぬけ、侍女は室内を検めることもせず、部屋を後にする。
豪奢な檻の出口は開いた時と同様にひっそりと閉じた。

81:邂逅Ⅱはおしまい
06/12/05 15:21:16 fHu1bYFo
きょうはここまで~
城主とタイロン、城主とアビィ、アビィとタイロンの邂逅でした

82:名無しさん@ピンキー
06/12/05 17:03:18 8/j6+WML
お待ちしてました!!
いつもながらGJです。早く続きが読みたい…!

83:名無しさん@ピンキー
06/12/05 23:17:09 m7KKZ06Z
おや、そっちが投下されたのか?
GJ!!!

で、長身巨乳の箱庭まだ?

84:名無しさん@ピンキー
06/12/06 00:40:47 glbqx9jj
GJです。情景が目に浮かぶよう。
続きもものすごく期待してますよ。

85:名無しさん@ピンキー
06/12/06 10:50:36 KmqUxbHt
キテタ━━!
今回も良かった!
いつも強気のアビィが、このことについては諦めている感じがあるのがいいねー

86:アデラと魔王
06/12/06 22:33:41 Z0d5eOwU
夕暮れの空を覆う雲が流れ行く様を、アデラはじっと見ていた。
すでに秋も深いという段を過ぎ、もうすぐ王国に冬が来ようとしている。

『雪だ、雪さえ降れば…』

魔王軍の陣中にあって、今彼女が切望しているのは一日も早い冬の到来であった。
いくら魔王が強大な魔力を誇ったとしても、季節の巡りまで捻じ曲げることはできまい。
冬の最中に行軍を続けようとすれば、寒さと飢えが闇の軍勢を押しつぶす。
三十万を超す大軍の糧食を確保することは困難なはずだ。
現に自分に割り当てられる食料も、少しずつだが減らされてきている。
一時宮廷から排除されていた王国元帥が復帰し、従来の主張である焦土作戦を実行しつつあるのだろう。
国王や将軍達は『王侯や騎士は民を守るのが本分、民衆を苦しめる策など取れぬ』と主張し、
老元帥をその職から罷免した。
合戦の前までは、アデラも元帥の作戦が有効であるとは思いつつ、
『聖騎士として華々しく勝利したい』という気持ちを抱いていた。
だが、魔王に完膚なきまでに敗北した今となっては、
元帥の戦略眼こそが正しかったということを認めざるを得ない。

『我々のせいで、どれほどの民が家や畑を失うことか…』

先の戦で、彼女の属する光の軍勢は国境を守りきれなかったのだ。
あまつさえ、主力を失ったことにより、連合軍は闇の軍勢による蹂躙を許すまでに弱体化している。
唯一出来る事と言えば、闇の軍勢の侵攻ルートを焼き尽くし、侵略を食い止める事だけだ。
王都近郊にまで侵入される事だけは避けるため、国内の焦土化も苛烈で容赦無いものになる筈だった。
軍事に『もし』はありえないが、もしも当初から元帥の構想に従っていたならば、
ここまで王国を、そして民を追い詰める状況にまでは至らなかったであろう。
それを思うと、聖騎士としての己の不甲斐なさにアデラの心は苛まれるのだった。

「何よりも冬だ… 冬よ、早く来い…」
「アデラ様は冬がお好きなのですか?」
「いや、そう云う訳でもないよ。フィリオ」
「私は冬は嫌いです。冬場の水仕事は大変ですから」

アデラの呟きを聞いたフィリオは、何時までも空を見上げている女騎士にそう訊ねた。
風呂係の端女たちにとって、白い天幕の中に侍っているうちはいいとしても、
寒さに凍えながら水仕事をするのはなにより辛い。
彼女たちにとっては『冬よ来るな』であり、『冬よ来い』と云う言葉は本当に奇異に思えたのだった。

87:アデラと魔王
06/12/06 22:35:24 Z0d5eOwU
「風が強くなってまいりました。どうぞこちらをお召しになって下さい」
「ありがとう… でも構わないでくれ」

晩秋の風は肌に冷たい。
フィリオの差し出したローブは、魔王の所有物たることを表す黒山羊のローブであった。
それを纏うことは、自分が闇の勢力に屈するかの様に思える。
光の軍勢の聖騎士が纏うべきは白く輝く陣羽織であり、それは今でも変わらない積りである。
だがその反面、自分がそれを纏う資格があるのか、という気持ちがアデラの心にわだかまっている。

戦に敗れ生き恥を晒した挙句、魔王に身を汚され、さらに暗闇の牢獄で魔獣に襲われ、
そして敵の情けによって牢獄から出され…
運命の転変を怨むにせよ、こうまで立て続けに絶望と悲痛の淵に突き落とされると、
どう嘆けばよいのかも分から無くなりそうだ。

(ふふっ、王国…いや光の軍勢の中で最も誉れ高く、輝かしい聖騎士団の一員がこの様とは…)

己の境遇に彼女は苦笑せざるを得なかった。
何の因果か、今の自分は敵の端女に身体を気遣われる状況に陥ったのだ。

(風よ、いっそ引き裂かれる程に吹き荒れよ… そうすれば私の恥多き生涯にも終焉が訪れるというものだ!)

フィリオにはアデラの微笑みの理由がついに分からなかった。
その夜、アデラは魔王の寝所に呼び出された。

・・・・・・・・・

88:アデラと魔王
06/12/06 22:36:34 Z0d5eOwU

「うぅ………」

うなじを這う魔王の唇の感触に、アデラは喘ぎ声をあげた。
あの暗き牢獄から出されてより、幾度も彼女は魔王の褥に連れて来れられている。
初めの数回は抵抗したし、相手の行為を無視しようとも試みたが、
今ではそれが無駄な行動だということを思い知らざるを得なかった。

口惜しいが、魔王の力は自分よりも遥かに勝っており、
己の身体は肌を交えるごとに悦びを覚えるようになってきているのだ。
屈辱はそのままであっても、身体を貪られる快楽は数を重ねる度に増してきている。
痛みにならばどれだけでも耐える決意があるが、
悦楽を堪えることが非常に難しい事ということを最近になって彼女は理解するに至った。

「ひゃぁん… 止めっ、そこは駄目だ!」

下帯の奥に伸びてきた手に、アデラは抗議の声を上げる。
しかし、後になれば自分ながら無駄なことを言ったものだとまた自嘲することになるだろう。
魔王が女の拒絶に従って手を緩めるような事をする筈が無いものを…
かってフィリオに剃られた秘所の毛はまだ元のように生え揃っていない。
あれからもフィリオはアデラの体毛を剃りたがったが、かたくなに彼女は拒否してきた。
彼女の善意はありがたいが、あるべき所に生えていないとどうにも股座が涼しすぎるのだ。

「はぅん…」

その秘所を、魔王の指は蹂躙する。
以前は苦痛でしかなかったが、既に裂け目に差し込まれた指の感触すら甘い。
魔王の愛撫を受ける前から、そこはもう潤み始めていた。
そして幾度となくそこを冒してきた指は、どこを攻めればよいのかすでに熟知していた。
容赦なくかき回されていくうちに、アデラはもはや抗議の声をあげることすら出来なくなってしまった。

89:アデラと魔王
06/12/06 22:37:22 Z0d5eOwU

秘裂を弄る最中も、魔王はアデラの身体を賞味し続けた。
官能に震える乳房を吸い、鍛え上げられた筋肉がうっすらと浮かぶ腹を撫で、愛撫にわななく下腹を眺める。
その振る舞いの一つ一つが彼女を羞恥と喜悦の高みへと追いやっていく。

「あうぅっ」

胎中で曲げられた指に膣壁を引っ掻かれ、アデラは絶頂に達しそうになった。
荒く息を吐く相手を、魔王は相変わらず静かな瞳で見つめている。
魔王の視線をアデラは受け止めることが出来なかった。
肌を重ねる様になった今、見詰め合うような事をすれば否応なしに情が湧いてきそうなのだ。
少し気を抜けば、身体の疼きを静めて欲しいと魔王に求めてしまいそうになる。
彼女はそれを歯を食いしばって耐えていた。

そんな葛藤に苦しむ女騎士を、魔王はしばし鑑賞していたが、アデラの息が落ち着いてきたのを見て取ると、
すらりと伸びた脚を開かせて割り込むと、その分身を彼女の秘所に押し当てた。

「あんっ!」

押し殺せない喜悦の声が、アデラの口から零れる。
子宮の奥まで突き上げられる感触を既に何度も味わっている。
心の内では否定しても、身体はこうなることを望んでしまっていた。
こうなってしまえば、アデラにはもう抵抗する術はなかった…

・・・・・・・・・

交わりを終え、アデラは魔王の胸を枕にその身を委ねていた。
聖騎士として余りに情けない様であるが、身体は幾度となく絶頂に至り、満足に四肢に力が入らないのだ。
事が済めば、己の不甲斐なさに歯噛みしたい気持ちになる。
魔王はそのアデラの髪を指で撫で梳いていたが、不意に彼女に語りかけた。

90:アデラと魔王
06/12/06 22:38:19 Z0d5eOwU

「アデラ……… 余は一度兵を退くことにする」
「!」
「これ以上の深入りは敵を利するのみ、東方の冬営地に引き返す。
 十万ほど兵を割いて南部方面へ向かわせるが、本格的な遠征の再会は来春以降になるであろう」

突然の宣告に、アデラは言葉が無かった。
これまでの経験から、魔王が空言を言うことは有り得ない。
王国はとりあえず滅亡の危機を逃れることが出来るのだ。

「そこでアデラ、そなたはどうする?」
「?」

続けられた問い掛けの意味をアデラは掴むことが出来なかった。
自分は敵の虜囚であり、己の意に従って物事を決められる状況には無い。
どうもこうも無いではないか… そう言おうとした矢先、信じられない言葉が魔王の口から紡がれた。

「望むのなら、そなたは光の軍勢に帰陣しても構わんぞ」
「えっ!?」

アデラは思わず魔王の瞳を見つめたが、その瞳は常のように静かで冷たくすらあった。
その目から相手の思惑を探ろうとしても無駄だった。
魔王の意図は、魔王が語ろうとしない限りは余人に窺い知れるものではないのだ。

「何ゆえ… 何ゆえ私を解放する? いやっ、それより何で一度は幽閉した私を解き放った!?
 そして何故私をこうして閨に侍らせ、それをどうして今になって………」

アデラの心中にわだかまっていた疑問がついに爆発した。
(なぜ魔王は自分をこのように扱うのか)
彼女の心が定まらない訳はそこにあった。
自分を殺さない理由は、自分の武勇を愛でる故だと、かって魔王は言った。
しかしその後、自分は黒き天幕に閉じ込められた。
あの剣牙虎との出会いが無ければ、永劫に近い時間を封じられた世界で過ごすことになっていただろう。
その気があれば、魔王はまた自分をどこにでも投獄できる筈だが、
獄に繋ぐどころか手枷さえ嵌められず、側妾の一人のごとく端女をあてがわれた。
それから幾度となく褥を共にするようになった今、この自分を解放するという…
堪え切れない疑念が、アデラに魔王を問い詰めさせた。

91:アデラと魔王
06/12/06 22:39:23 Z0d5eOwU

「そなたを抱くようになったのは、聖騎士の娘は面白い応えをする故かな………」

魔王の言葉は、必ずしもアデラの疑問に答えるものでは無かったが、彼女はそれに真剣に聞き入った。

「戒律に己を縛りつつも、その身に巣くう劣情は切り離せておらぬ。
 それを実感するときには、事実を肯定するよりも、目を背けて否定しようとする……… 愚かなことだ」
「………」
「だが鍛え上げられた身体と精神を余は愛する……… ただし、近頃のそなたはすこし鈍っているようだな」
「ぐぅっ」
「身体が馴染むにつれて、研ぎ上げられた刃の様に美しかったそなたの心も曇りが出たか?
 そのような女子は何所にでも居る。あえて本国に連れて帰るほどもあるまい………
 褥を暖めるための女には、余は事欠いておらぬ」

その言葉は、アデラの心に突き刺さった。
堕落しかかった己の現状を言い当てられたと思うと、さらにその相手が己の怨敵であると思うと、
自分を許せない気持ちで胸中が張り裂けそうになった。
魔王は悔しさで震えるアデラの肩を抱き寄せて言った。

「だがアデラよ、解放しようというのはそなたの身体に飽きたゆえでは無い」
「?」
「そなたと余の間には、余にも計り切れぬ繋がりがあるやもしれぬ」
「………何だと?」
「余はそなたの戦働きを愛でて命を取らなんだ。そしてそなたは再び余に挑み、余に血を流させた…
 それが黒き天幕の牢獄においてあの虎に匂いを嗅ぎ当てさせ、あれを脱獄させた………」
「…」
「此度の出征で王都へ迫れなんだのは、あれを屈服させるのに余計な魔力を使った為ぞ。
 ………先の戦での槍働きよりも、閨での一噛みの方が高くついたわ」

92:アデラと魔王
06/12/06 22:41:29 Z0d5eOwU

アデラは魔王の語る言葉に聞き入ったが、彼女は知らなかった。
闇を統べる王、あらゆる暗闇の掟の執行者である魔王が、
このように誰かに語りかけるなど有りあえないという事を。
イリアも、ティラナも、フィリオも、ネリィでさえ魔王とここまで語り合った事など無かった。

「それが単なる偶然であるのか、あるいはそれ以外の物が世界に存在していたのか、余は見極めたい」
「どういう意味だ? それは」
「例えるならば『深き井戸に石を投じてその深さを測るようなもの』と思うがいい。
 深遠を見通す力を持たぬ者は、水音によって初めてその深さを知り得る」
「………」
「もし星が我らの間に繋がりを与えているのなら、ここで解き放っても再び巡り合うであろう。
 たとえどのような形であろうとな」
「……………魔王といえども、未来は計れないのか?」
「いずれ出来る様になるかも知れぬが、今はその術は持たぬ。
 可能なのは、事象が発生して後にその因果を突き止めることだけだ」

魔王が望んでいる事は何であるのか、アデラには分からなかった。
このような世界論、運命論については『光の戦士として正統な』知識しか持っていない。
それは『光と闇の勢力は戦いを繰り返し、最後の決戦を経てついに光は勝利するであろう』という教義だ。

「私にはお前の言うことが分からない………」
「無理に判かろうとしなくてもよい。余もそなたに理解できるとは思っておらん。
 先の例えで言えば、水面に石を投じたとしても、聾には意味を持たぬのだ」
「いいのか? 私を帰還させれば、また貴様の命を狙うぞ」
「当然だな」
「仮に偶然以外のものとやらが介在したとして、貴様も死ねばそれを知ることなど出来まい」
「少なくとも余を脅かす程の力を手に入れてからその言葉は吐くがよい。
 ………それに命を惜しんで真理に到達出来ようものか」

そう言った魔王の言葉は、ほんの僅かだが楽しそうな笑いが含まれているのではないか、
アデラにはそう思えた。
それとも彼女の願望がそう思わせたのだろうか?

「こうして誰かと話すのも久しく無かったが、すでに語り過ぎた感がある」

そう言うと、魔王はそれ以上アデラの問いには答えなかった。

「あとはそなた自身が決めよ……… 光の陣営に戻るもよし、戻らず余の後宮に納まるもよし。
 その決断もまた偶然以外のものの一つかも知れぬ」

手を振ってアデラに退出を促し、魔王は目を閉じた。
これから起こる運命とやらに心を向けているのであろうか?
身体を交わすようになってからも、この宿敵のことは何一つ理解できないのだった。

93:アデラと魔王
06/12/06 22:42:10 Z0d5eOwU


・・・・・・・・・


「本当に行ってしまわれるのですか?」

アデラを見送るフィリオは、今更ながらのことを言った。

「ああ、フィリオには世話になったな」
「寂しいです… もっとアデラ様のお世話を続けたいと思っておりましたのに」
「そうだな、今までありがとう… でも悲しむ必要は無いかもしない」
「へ?」
「魔王が言っていた… 誰かとの間に運命の繋がりが有るのなら、どんな形でも巡り合えると、
 ここでフィリオとは別れたとしても、再び会えないとは限らないさ」
「………そうですね、またお会いできると良いです」

フィリオの微笑みに見送られ、アデラは鞍上の人となった。
やはりどのような事があっても、自分の居るべき所は光の白き軍旗の下しかない。
そこに帰還する為ならば、魔王の思惑など知ったことではない。
己の為すべきこと、それは光の勢力の勝利のために戦い続けることなのだ。

もはや彼女に迷いは無い。
軍馬に拍車を当て、アデラは帰還を始めた闇の軍勢と反対の方向へ駆け出した。

アデラと魔王が再び合間見える宿命にあるのか否か………
それは闇の王ですら判らぬもの、余人が知りえる筈も無かった。


(第一部完)

94:投下完了
06/12/06 22:42:48 Z0d5eOwU
『アデラと魔王』でした。
魔王シリーズはここで切りが良いので第一部完です。
ジャソプ的表現で第一部完になるかもしれませんが…

95:名無しさん@ピンキー
06/12/07 01:28:37 6c7C4Bed
今回も素晴らしかったよ。
魔王の世界観とかが深くてとても面白い。
第二部も期待してるのでぜひまた書いてください。

96:名無しさん@ピンキー
06/12/07 13:49:17 giHX044z
第二部も、カモ―屮゚Д゚)屮 ――ン!

97:名無しさん@ピンキー
06/12/07 14:45:07 a6jUku/b
アリューシア書いた人です。

一番初めにこのスレ1に投下した「王女様の使い」で
薬師が作った媚薬を手に入れたマルゴット王女。
彼女が何を企んだのかを書いた話「王女様の薬」を
お姫様スレの方に投下しました(レス376より)。
主役はマルゴットではなく、そのお姉さんなのですが
王女の企みが成功したかどうか興味のある方は、よかったら読んでください。


98:名無しさん@ピンキー
06/12/07 19:45:50 J6Q/0I7i
アデラたんかっこいいよアデラたん



99:名無しさん@ピンキー
06/12/07 20:22:33 +hmdmjDq
続きくれ。

100:名無しさん@ピンキー
06/12/08 01:05:49 W2EoaYSC
>>97
読んできたよー
アリューシアの続きも楽しみに待ってます

101:名無しさん@ピンキー
06/12/11 02:11:25 QY8wouZP
魔王のひとGJ
それにしても焦土作戦とか聞くと王国元帥の顔が某新城中尉に見えるから困る


なんかこう俺も女騎士ものでエロい話書いてみたいなあ。
だがリビドーは余ってるのに文才が足りないぜorz

102:名無しさん@ピンキー
06/12/11 07:11:15 wTmYlHNG
>>101
やめろよ…俺も新城顔の王国元帥を想像しちまったじゃまいか( ゚д゚)

103:邂逅Ⅲでございます
06/12/11 11:52:48 A5++Yk+f
コソーリ投下

104:邂逅Ⅲ 1/7
06/12/11 11:55:49 A5++Yk+f
侍女三人がかりで時間をかけて身支度を整えられ、化粧を施されたアビゲイルが通されたのは、こじんまりとした品のよい小部屋であった。
円卓には既に城主クンツと側近貴族が2人、それに巡察使補が着席済みである。

淡い水色の薄い素材の女服は、最近王都ではやり始めた一枚の布を身体に巻きつけ、布端を胸で交差させて首の後ろで結ぶもので、生肌が出る両肩は、ショールがかけられている。
本来は腰帯で裾を抑えるものなのだが、アビゲイルの腰に帯はなく、裾は頼りなく身体に沿っているだけだ。
歩くと裾が割れ、引き締まった足首やふくらはぎが現れる。下手をすると両脛や白い内腿があらわになるので、アビゲイルは相当に気を使って歩いた。
そうでなくとも薄い素材はしなやかなアビゲイルの体のラインをはっきりと浮かび上がらせ、城主の側近貴族の一人は生唾を飲んだ。
明らかにその光景を楽しんでいる正面の城主と、礼装の上何食わぬ顔で席についている横のタイロンと一瞥し、アビゲイルは侍従が引いた椅子に着いた。

105:邂逅Ⅲ 2/7
06/12/11 11:56:51 A5++Yk+f
食事は豪華なものであった。
今までアビゲイルが口にしたことがないような食材。手の込んだ調理、食べもしない飾り。ピカピカに光る銀の食器。質の良い酒。
城主が時折立ち上がり、アビゲイルに自慢の葡萄酒の説明をしながら酌をする。

貴族社会の中では下層である家庭で育ち、現在も原野を生活の場にしているアビゲイルが一流のマナーを身につけているわけもなく、正面の城主の見よう見まねで食事をとる。
動きがぎこちない上に、肩のショールが滑り落ちるので、落ち着いて食べれたものではない。
同席者から注がれる胸元や肩にそそがれる無遠慮な視線に居心地の悪い思いをしていた。

106:邂逅Ⅲ 3/7
06/12/11 11:57:43 A5++Yk+f
貴族どもは、ときおり城主の薀蓄に意味のない追従を自動的に吐き出すが、視線はアビゲイルに注がれたままだ。
アビゲイルのショールの隙間から垣間見える白い肩口や、揺らめく灯りに透ける胸元に気もそぞろで食事どころではない様子だ。
彼女の不調法で口元を伝うソースにさえ欲情している。

城主は時折困惑して手を止めるアビゲイルにマナーを示し、それをたどたどしく実行する彼女を満足げに眺めている。
アビゲイルの目線が助けを求めるように城主を捕らえる瞬間を、城主は堪能した。
若い無知な娘を洗練された教養ある淑女へ・・・ここ数年、耽溺している城主の趣味である。
豊かな北城に赴任し美食と魚色の毎日を送る城主には贅肉がしっかりと覆っており、往年の精悍さは失われている。

107:邂逅Ⅲ 4/7
06/12/11 11:58:43 A5++Yk+f
タイロンはというと4人を完全に無視して供される豪勢な食事をたいらげることに専念している。
マナーなど関係ない。殻つきの海老は遠慮なく叩きつぶし、魚には頭からかぶりつく。高価なワインを水のように飲み干す。
皿と言う皿を片っ端から空にして、北城の豊饒を享受していた。
その屈託のなさに、アビゲイルはちらりと目をやり、嘆息した。

108:邂逅Ⅲ 5/7
06/12/11 11:59:25 A5++Yk+f
やがて最期の果物の皿が運ばれてアビゲイルにとっては居心地の悪い、男たちにとってはそれぞれの欲を満たした会食が終了した。
タイロンは城主に招待の礼を述べ、速やかに退席した。
アビゲイルに一瞥も加えない。自室に引き取った後、密やかな活動を開始するのだろう。

城主は2人の側近にアビゲイルを客間へ送っていくことを命じた。
2人はよだれを垂らさんばかりの面持ちで、アビゲイルの腕をとる。
彼女が酒で足元がおぼつかないと言い訳をして、両腕をしっかりと両方から絡めてきた。
2人ともぴったりと身を寄せてくるので、窮屈で歩きにくいことはなはだしい。
アビゲイルは客間までの道中を考え、暗澹たる気分になる。

109:邂逅Ⅲ 6/7
06/12/11 12:00:20 A5++Yk+f
彼らは口々に言い訳をしながら、アビゲイルの二の腕に指をはわせ、むき出しの肩に手を回す。
流石にこれから城主の相手をする女なので、薄布のなかまで手を差し伸べることはないが、ゆっくりと体の外側を撫で回す。
引き立てられていくアビゲイルは抵抗する気も失せてなすがまま、罪人か病人のような諦め顔を見せていた。
両腕を押さえられているので乱れる裾を押さえることができない。

長い廊下ではアビゲイルも歩幅を狭めて気を使っていたが、階段を登り始めるとどうしようもなくなった。
段を上がる度に裾が割れ、足の付け根まであかりの中に浮かび上がる。2人の目はアビゲイルの下肢に釘付けである。
さすがに羞恥で頬をあからめ、ぎこちなく歩を進めるアビゲイルの姿は、2人を喜ばせた。
歩みがことさら遅くなり、バランスを少しでも崩すと大きく裾が乱れて白い太ももや足の付け根が外気にさらされ、ますます2人を興奮させる。
欲望にぎらつき、股間を膨らませた貴族にあるまじき男たちの姿をあさましい、とアビゲイルは思った。
そしてこの2人など組み伏せる事は簡単であるのに、そうすることができない自分を惨めに思った。

110:邂逅Ⅲ 7/7
06/12/11 12:01:05 A5++Yk+f
永遠のような時間をかけて部屋にたどりつき、精神的な辱めから解放されたアビゲイルは、心底疲れはて広々とした寝台に倒れこんだ。
服が煩わしく感じ脱いでしまおうかと思ったが、手を動かすのも億劫だった。
開いた窓から見える夜空がきれいだ。頬をなぶる風がここちいい。蜀台の灯りが大きく揺らめき、消えてしまったが、灯しなおす気にならなかった。
・・・少々酔ったのかもしれない。城主がこの部屋に姿を現すまで、少し眠ろう。
アビゲイルは星明りのなか胎児の格好で目を閉じた。

111:邂逅Ⅲ 投下終了
06/12/11 12:03:00 A5++Yk+f
次ぎはエロで。
ここまで引っ張って申し訳ない。

112:名無しさん@ピンキー
06/12/11 13:54:29 w3wmvpXC
う、う、う…
裾を割るアビゲイルのふくらはぎが
見、見える…。

続きを…。続きをーっ!

113:名無しさん@ピンキー
06/12/11 14:25:58 wTmYlHNG
投下キタァ━(゚∀゚)━!!
エロ城主自重しろw
やっぱり夜伽の相手はエロ城主なのだろうか…
そして食事の描写をみたらお腹すいてきた。

114:名無しさん@ピンキー
06/12/11 15:00:19 ih2rUa5D
ここらでレイープ物投下してよろしげ?

115:名無しさん@ピンキー
06/12/11 16:20:49 w3wmvpXC
ゆるす
よしなに投下してたも



116:桃肉 ◆CrEK/Iu5PU
06/12/11 19:29:56 ih2rUa5D
ようがす。
超ねちっこい陵辱物注意。苦手な人はNGよろです。

元ネタは洋ゲーのOBLIVION。
あるクエストで腐敗した帝国兵の隊長を告発するんだけど、手順間違えたら
逆に無実の罪で牢獄にぶち込まれちゃう。その時の妄想エロス。
徹底した主人公視点に挑戦してみますた。

117:Quest:Imperial Corruption 第1話:1/7
06/12/11 19:30:45 ih2rUa5D
この帝国の皇帝ユリエル・セプティムが暗殺されてから1ヶ月近く経った。
巷では後継者がどうとか、異界の門が開いて西の町が壊滅したとか、不穏な噂が持ちきりで、まさにお先真っ暗、この帝国どころか、この世界そのものが先どうなることやらさっぱり判らない。
おかげで街の雰囲気も最近はピリピリしてるよ。みんな不安なんだ。
ちなみに帝国の後継者は全員暗殺者に殺されたって話だ。だとしたら、もう帝国は崩壊寸前ってことなんだけど。

でも、あたしは知っている。
皇帝はこんなこともあろうかと、子供の一人を生まれてすぐにどこかの街の修道院に預けていたんだ。
その後継者の居所を知っているのはただ一人。
皇帝直属の近衛兵集団に「ブレイド」って言うのがあって、その最高責任者のジョフレとか言う人だけが、その秘密を知っているんだって。
なんであたしがこんな重大な秘密を知っているかって?

それは、あたしが皇帝の暗殺現場に居合わせてしまったから。
信じられないけど、皇帝本人はひょんな事で会っただけのあたしを夢の中で見たとか言ってて、あたしがそこに居たのは偶然じゃないと言ってた。
皇帝の血族はドラゴンの血を引いているとかで、予知能力にも長けていると言う。
その皇帝が、息を引き取る時に代々伝わる王家のアミュレットをあたしに託して、ジョフレを訪ねて跡継ぎを探す旅に出て欲しいと頼んできたの。
ここまで言われて黙っていたら女が廃るよね!

そんなわけで、あたしは冒険者になったんだ。
つまり、言ってみれば、この帝国の未来はあたしの手にかかっていると言っても過言ではないよね?
あたしはあたしで使命感もそれなりにあったし、頑張ってはいたんだけど。あたしは…どうも要領が悪いみたい。
そのせいで、今もとんでもない寄り道をしちゃっているの。

118:Quest:Imperial Corruption 第1話:2/7
06/12/11 19:31:32 ih2rUa5D
あ、言い忘れたけど、あたしの名は【アシュレ】って言う。
皇帝暗殺騒ぎのゴタゴタの中で、急遽「戦士」のクラスに認定されたから、これでもれっきとした戦士だよ。
予想を裏切るようで悪いだけど、あたしはハッキリ言って華奢なほう。エルフだししょうがないよね?
しかもちょっと近眼。眼鏡は欠かせないよ。
長い金髪が自慢ではあったけど邪魔になるから、最近、首の辺りでバッサリと切っちゃった。
眼鏡をかけたエルフ女が鎧を着込んで剣を振り回してるって言うんだから、イメージにそぐわないことこの上ないと自分でも痛感する。
それでもレベルも2つ3つ上がってきて、ようやく戦士としてやっていく自信もついてきたってとこかな。

の、はずだったんだけど…。
今あたしが居る場所は帝都の牢獄だったりする。
情けない話なんだけど、今、あたしは囚人として尋問を受けているんだ。

どうしてこんな事になったんだろう?
判ってる。あたしはこの男の卑劣さを甘く見ていたんだ。

事の起こりはマーケット地区だった。最近仲良くなった雑貨屋で、お店のおばさんと話をしていたとき。
突然、店の外が騒がしくなって帝国兵が現れたんだ。それもただの帝国兵ではなく、隊長クラスの白銀の鎧を着ていた。
何事かと思ったけど、おばさんの様子がどうもおかしい。
帝国兵が言うには、この店で買った商品に盗品があったとかで、盗品取り扱いの罰金として金貨500枚を払えとのこと。
このおばさんが盗品売買に手を染めるわけが無いって事くらいわかる。
それに何?金貨500枚って。強盗罪に匹敵する罰金じゃない!
当然、あたしは帝国兵に食って掛かろうとした。けど、それをおばさんは止めたんだ。
なんで?って顔してるあたしに、おばさんは諦めたように顔を横に振る。

帝国兵はあたしを睨み付けたけど、おばさんからお金をもぎ取るように受け取り、ニヤニヤしながら去って行った。
おばさんは最後まではぐらかしていたけど、多分あたしを巻き込みたくなかったんだろう。
でも、あたしにはすべて理解できていた。
あいつは皇帝が死んで帝国の規律が乱れていることをいい事に、そこらの店に難癖を付けては罰金と称してゆすり行為を繰り返しているんだ。

119:Quest:Imperial Corruption 第1話:3/7
06/12/11 19:33:41 ih2rUa5D
おばさんはあたしを気遣ってくれてたけど、やっぱり許せないよ。
こう思っちゃうあたり、やっぱりあたしは冒険者なんだ。
目の前に何かのクエストがあったら、解決しないと気がすまないんだ。みんなだってそうだよね?
逆に言うと、ここであたしが見て見ぬふりをするって事は、この先に出会う事件も全部見て見ぬふりをしちゃうって事でもあるでしょ?
実感は無いけど、きっと、こう言うタイプの人達がきっと世界を少しずつ良い方向へ変えていくんだと思う。

あたしはあの帝国兵の隊長について色々と聞いて回った。
どうやらマーケット地区だけでなく、寺院地区あたりでも同じようなことを繰り返しているらしく、情報は意外に簡単に集まった。
あの隊長の名前はオーデンスと言って、マーケット地区の店だけでなく、目をつけた金持ちの家に難癖をつけてはゆすり行為を繰り返しているらしい。

あたしは奔走した。不正をしてる人を告発する方法とかも調べた。
話によれば、二人以上の証人が然るべき場所で証言すれば告発できるとの事。

あたしは店のおばさんや寺院地区の被害者を訪ねては証言してくれるように頼んでみることにした。
でも、あたしの期待をよそに、おばさんの反応は明るいものではなかったの。
実は、過去に何度か同じ事を試みた人は何人かいた。そしてその悉くが何かしらの理由で投獄されたと言う。
更にこの事件に触れて投獄された人は、牢獄に入る姿を最後にその姿を見たものは一人も居ないそうだ。
噂では牢獄で密かに殺されてるんじゃないかと言われている。

だから、今さらあたしが説得しても、オーデンスの報復を恐れるみんなは首を縦に振ってはくれなかったんだ。
手の打ちようが無くなって、落胆してマーケット地区に戻ったあたしの前にオーデンスがニヤニヤ笑いながら現れた。
どうやらこいつの手先は町のあちらこちらに居るらしくて、あたしが嗅ぎ回っていることは筒抜けだったみたい。
あたしは嫌な予感がした。

120:Quest:Imperial Corruption 第1話:4/7
06/12/11 19:34:31 ih2rUa5D
「小娘、アシュレとか言ったか?冒険者ふぜいが調子に乗りすぎたようだな。覚悟しな!」
無茶だ。いくら帝国兵の隊長とは言っても、こんな簡単に他人に死刑執行できるはずは無いよ。
あたしも今回あちこちで情報を集めて知ったことなんだけど、犯罪者を立証するためのマジックアイテムがあって、それで証拠として用意しない限りは犯罪者として扱うことはできないはず。

そんな事は意にも介さないようにオーデンスは魔法詠唱を開始した。
オーデンスの魔法は一瞬で完成し、伸ばされたオーデンスの掌に光の玉が生まれる。
あたしに狙いをつけるように手を向ける。フレアか?それともアイスボールか?

仕方なくあたしは剣を抜いた。
先制攻撃を受けてしまう事になるが、一撃くらいなら耐えられるだろうか。
オーデンスのレベルがそれほど高くないことを祈るばかりだ。あたしはせめて確実に一太刀与えようと走り寄った!
目の前が真っ白な光に包まれ、オーデンスの放った光球が直撃した事を感じる。
あたしは自分の身体のダメージも気にせず、視力が戻らないままにオーデンスに切りかかった。逃がすもんか!
どんな魔法であれ、今の一撃で仕留められなかったのがこいつの運の尽きだ。

ガキン、とあたしの剣が金属音と共に止まる。
オーデンスが盾で受け止めたのだろうか?それでもあたしは止まらない。
「やぁっ!」
盾に押し返されるのも構わず、剣に力を込めて思いっきり切り払った。
あたしのパワーアタックを受けて無様に吹っ飛び、向こう側の路地まで転がるオーデンスの姿がボンヤリと見えてきた。
まだチカチカするけど、少しずつ視力が戻ってきたみたいだ。

あたしはオーデンスを追い詰めるように剣を構えて路地に出た。
ふと、違和感を感じる。オーデンスは仮にも帝国兵の隊長、いくらなんでも弱すぎない?
あたしはぶんぶんと頭を振り、雑念を振り払ってオーデンスに向き合う。
帝国兵隊長が強かろうと弱かろうと、仮に何か企んでいようと、地面に倒れた状態では何も出来まい。

121:Quest:Imperial Corruption 第1話:5/7
06/12/11 19:35:04 ih2rUa5D
でも、あたしの活躍はここまでだった。
オーデンスが吹っ飛んだ路地はマーケット地区の門の近く、そこには常に2人の帝国兵が警備についていたんだ。
けたたましい音が響く。隊長を殺そうとしているあたしを見張りの帝国兵が発見して呼子を吹いたみたい。
駆けつけたパトロールも合わせて、合計4人の帝国兵にあたしは取り押さえられてしまった。

あたしはオーデンスに魔法で先制攻撃されたんだと言い張るけど、不思議なことにあたしの身体にはフレアによる火傷の痕も、アイスボールによる凍傷の痕も、ひとつも無かったんだ。
勝ち誇ったようにオーデンスが笑った。悔しいことにオーデンスの方も無傷らしい。

「俺はライトの魔法で顔を確かめただけだぜ?いきなり斬り付けやがって、これだけ証人がいたら言い逃れできねえぞ!」
あたしは今更ながら、声をかけた場所も、使用した魔法も、そして剣を受けた後の挙動も、全てがオーデンスの計画通りだったことに気づいた。
オーデンスの罪を暴こうとした者は、全て投獄されたと言う話が思い出される。
こいつはあたしみたいなのを何度も相手にしてきたんだろう。
そもそも世間知らずの駆け出し冒険者が簡単にどうにかできる相手じゃなかったんだ。


帝国兵に対する対人暴行罪。それが、あたしが牢獄に入れられた理由。
そして今、あたしの背中に鞭が振り下ろされていた。
オーデンスは形式通りに「なぜ帝国兵を襲ったか」と聞いていた。
もちろん理由など言うまでも無くオーデンスは知っている。

罠に嵌められたあたしにどんな言い訳ができるだろう?
魔法をいきなり受けて剣を上げてしまった、と言うのが最も正確な理由。
もちろんオーデンスは納得しなかった。
「街では散々、俺のことを嗅ぎ回っていたじゃねえか?目的があって俺を襲ったんだろうが!」
白々しいにも程がある。自分から近づいてきたんじゃないか。

122:Quest:Imperial Corruption 第1話:6/7
06/12/11 19:35:38 ih2rUa5D
結局あたしはそれ以上は何も喋らなかった。
何を言ったところで全てオーデンスが仕組んだことだし、下手にあたしが喋れば店のおばさんや寺院地区のみんなにどんな迷惑がかかるか判ったもんじゃない。

それに何よりもあたしは散々調査をしていたので、帝都の法律をまったく知らないわけではなかった。
実は対人暴行罪は相手の怪我の度合いにもよるけど、それほどの重い罪ではない。
オーデンスのように被害者がピンピンしているなら、1日牢獄で過ごすだけで釈放される。
帝国兵を襲ったと言う事実が厄介だけど「魔法をいきなり受けて、驚いて剣を上げてしまった」と言う主張を貫けば、単なる勘違いと言うことで処理するしか無いだろう。
とにかく今日だけ耐えてしまえば、自由の身なんだ。

尋問にはアーケイン大学から派遣された【見届け人】が立ち会う規則で、その人はあたしの言葉を証言として書き留める準備をしていた。
見届け人は尋問が必要の範疇を超えて行われないかなど、看守や帝国兵の歯止めとしての機能も兼ねている。
その手に持っているのは【法の筆】と呼ばれるマジックアイテム。
これはアーケイン大学の最高位の魔術師が作る法の象徴であり使い手の精神に作用して「決して嘘を書くことは出来ない」と言う特殊な機能を持っている。
これで書かれたもので無ければ、どのような証拠も証拠としての能力を持たないんだ。
しかし逆に言うと、これで書かれたことはこれ以上無いくらいに確実な証拠となってしまうって事。

だからこそ、オーデンスはあたしの口から「帝都兵を殺そうとしていた」など、より重い罪を自白させようと躍起になっていた。
オーデンスにとって、あたしみたいなのがウロウロしてると今までのようなゆすり行為がし難いと言う事なんだろう。
あんな奴の思い通りにはなるもんか。
そこに罪状を書き込まれさえしなければ、明日には放免されるはず。
だから、めちゃくちゃ痛いけど、耐えてやる。
耐え抜いて、かならずオーデンスの罪を暴いてやるんだ。

123:Quest:Imperial Corruption 第1話:7/7
06/12/11 19:37:03 ih2rUa5D
いつの間に気を失ったんだろう?そして、気を失ってからどのくらい経ったのだろう?
昼間に打たれた背中の痛みのせいで目が覚めたようだった。あたしは尋問を耐え抜いたんだ。
あたしは何とかピンチが去ったのを感じて一息ついた。
明日になれば釈放される。オーデンスの手口は思い知った。同じ手は二度と食うもんか。
そう決意して、痛いのを我慢しつつ無理やりもう一度寝ようとしたとき、物々しい足音が聞こえた。

あたしは他人事のようにその音を聞いていたけど、向かいの牢に押し込まれている3人ほどの囚人が下品な声で喋っているのが聞こえてきてしまう。
「おや、夜の尋問の時間ですかい。さっそく味見とはオーデンスの旦那もお好きですなぁ。」
「おっと、こりゃ毎度どうも。へへ…判ってますぜ。あっし等は『何も見なかった。何も聞かなかった。』ですな。ごゆっくりお楽しみくだせえ…ひっひ。」

あたしの意識は一挙に凍りついた。
えっ?何?「夜の尋問」って?
今、「毎度どうも」って言った?
何?どういう意味?
ぞくっと寒気がして、あたしの額を嫌な汗が流れた。

実のところ、帝国では例え囚人でも凶悪犯で無い限り、そこそこまとも扱われている。
あたしが明日になったら釈放されるように、犯罪者であっても刑期が過ぎれば保護するべき一般人であるからだ。
当然、看守や帝国兵が見届け人の立会い無しで私的に囚人に尋問や拷問を行うことは硬く禁じられている…はずだよね。
その規則は幾つか例外項目があるらしいんだ。

見届け人がいる、つまりアーケイン大学が稼動している間しか尋問できないんじゃ、手遅れになっちゃう事もあるよね。
だから、帝都の監獄運営基準には最後のほうにちっちゃく、こんな項目が書かれているんだって。

・重要事項の尋問である場合、アーケイン大学の閉門した後の時間帯にも尋問を行う事を認める。
・重要事項の認定については隊長以上の権限を持つ者の承認を必要とする。
・その際には看守または隊長以上の帝国兵が見届け人の代理を勤めるものとする。

あたしはまだ、それがどんな意味持つか、どんなふうに悪用できるか気づいてなかった。

124:桃肉 ◆CrEK/Iu5PU
06/12/11 19:37:51 ih2rUa5D
ここまでプロローグ。
こっからエロス。13レス。

125:Quest:Imperial Corruption 第2話:1/13
06/12/11 19:38:22 ih2rUa5D
尋問された内容は昼間と少し違った。
オーデンスはあたしの荷物から【王家のアミュレット】を見つけていたんだ。
さすがにオーデンスはそれが王家のアミュレットだとは思わなかったらしいけど、冒険者のあたしが身につけるには派手すぎる事に目をつけたらしい。
更にまずかったのは、あのアミュレットの正体が何であるか、あたしの立場としても秘密にしないといけないと言うことだった。

何しろ、あれはジョフレさんを通じて帝国の後継者に渡すべきものだからだ。
表立った後継者が全て暗殺されてしまった今、帝国に後継者がいるという事実そのものを隠しておかねばならない。
少なくとも、このオーデンスのような最低の人間には絶対に知られてはいけない類の情報だって事は、あたしも充分に理解していた。

あたしがアミュレットの出所について口篭ってしまったことで、オーデンスは盗品だと思い込んでしまったらしい。
オーデンスが真実から遠のくことは望ましいと思う。でも、あたしにとってもそうであるとは、とても言えなかった。
何故なら、オーデンスはあたしを尋問するための最高の材料を手に入れて、これ以上無いくらいに嬉しそうに顔を弛緩させていたからだ。
ただの盗品疑惑、それも証拠も被害者もいない。
これのどこが監獄運営基準で言うところの「重要事項」なのか判らないけど、それを判断する権限がオーデンス本人にある以上、これを止めることができる者はいなかった。

両手を壁に預けるように手械で拘束され、鞭を受ける姿勢に固定されてしまっていた。
しかし、あたしの背中に鞭が打ち下ろされたのは、ほんの数回程度。
でも、尋問が終わったわけじゃない。むしろ、始まったばかりだった。

「くっ…ふうっ…」
オーデンスの指がいやらしく蠢き、あたしは歯を食いしばりながらも声が漏れてしまうのを抑えようとする。
向かいの牢には鉄格子越しに息を呑んで見守る囚人たち。
彼らがさっき言っていた言葉は、すべてを物語っていたんだ。

126:Quest:Imperial Corruption 第2話:2/13
06/12/11 19:39:33 ih2rUa5D
オーデンスの尋問は明らかに越権行為、と言うより犯罪行為だった。
いくらオーデンス本人や看守が見届け人の代理を許されるとは言え、そして、行き過ぎた尋問が行われないか監視する人が居ないとは言え、遅かれ早かれいずれは発覚すると思う。
だってこんなのは明らかに尋問じゃないもの。もっと、別の歪んだ目的で行われている私刑に過ぎない。
こんなことをすると、囚人か、身内か、どこかから話が漏れてしまうものだ。

帝国兵隊長と言う、牢獄での出来事が漏れるのを防ぐのに最も有利といえる立場にオーデンスは居た。
オーデンスを止めることが出来るのは、同じ帝国兵隊長以上の人間だけだ。
見届け人の代わりに【法の筆】を持ち、あたしの証言を聞き漏らすまいとしている看守も、いやらしく顔を歪めている。
きっとこいつもオーデンスに加担しているんだろう。

残るは向かいの牢の囚人達。この囚人たちが牢獄で見聞きした者を釈放後に喋って発覚する可能性が一番高いと思う。
それで、さっき聞こえたやり取り「何も見なかった。何も聞かなかった。」って事になるんだろう。
金か、食料か、とにかく何かの報酬を受け取ることで、向かいの牢で行われている尋問について口外しないと言う話が付いているのだろうと想像できた。

さっき囚人が「毎度どうも」って言ってた事から察するに、オーデンスは女の子が牢に入る度に「夜の尋問」とやらをしばしば行っていたんじゃないかな。
少なくとも、オーデンスはあたしが嗅ぎ回っている事を知った時から、こうするつもりだったんだと思う。
そう考えても不思議は無いくらいにオーデンスはあたしに夢中になっていた。
ふーっ、ふーっ、と鼻息が荒くなるのを隠そうともせずに、あたしの身体に背後からしがみ付いている。

オーデンスの着ていた白銀の鎧は、簡素な椅子の背もたれに着せるように乗せてある。
その椅子の周りにオーデンスのチュニックやパンツ等が適当に脱ぎ散らかされていた。
その中には…囚人服と、そして女性用の下着も含まれている。そう…あたしの着けていたものだよ。

127:Quest:Imperial Corruption 第2話:3/13
06/12/11 19:42:26 ih2rUa5D
あたしの背中にオーデンスのだらしなく弛んだお腹の肉が、むちっとした感触と共に押し付けられている。
オーデンスが動くたびに弛緩したお腹が、脂っぽい汗で滑りながらあたしの背中と擦れ合うのが気持ち悪い。
あたしは相変わらず壁に両手を戒められたまま、オーデンスが言うところの「尋問」を受けさせられている。

冗談じゃない!これのどこが尋問だって言うの?
あたしは顔を真っ赤にしたまま、奥歯をぎゅっと噛み締めた。
そんなあたしの反応を確かめるように、オーデンスの両手があたしのおっぱいをキュッと搾り上げた。
あたしは目をしっかりと閉じる。そうしないと挫けて涙が溢れ出しそうだから。
「はあっ…」
あたしの吐息が熱くなっている。
オーデンスと看守、そして向こうの牢獄で固唾を飲んで見守る3人の囚人。
5人もの男達に隠すことも許されずに全裸を晒してしまっていることが、あたしの羞恥心を燃え上がらせていた。

背後から抱きしめるように、あたしのおっぱいをグイグイと揉みしだくオーデンス。
その唇が、そして舌が、ナメクジのようにあたしのうなじを這い回る。
はみはみと歯を立てるでもなく唇と舌で愛撫するような動きで、羞恥に火照ったあたしから滲み出る汗を嘗め取るように蠢いていた。
「んふぅ…っ!気持ち…悪いよう…」
あたしの抗議などに耳を貸す様子も無く、夢中でうなじを嘗め回す。同時にその両手も休み無く動いている。

おっぱいの下側、お腹の方から両手で持ち上げるようにおっぱいを柔らかく包み込むと、たぷん、とあたしのおっぱいがその重さをオーデンスの両手に預けるように揺れた。
そのまま、両手であたしの胸板におっぱいを押し付けるようにきゅっと揉み潰す。
「んくっ…」
あたしがピクンと反応するのを余所に、オーデンスはおっぱいを胸板と掌の間で転がしながらこね回すように、ムニ、ムニ、と弄ぶ。

「このぉ…ヘンタイぃ…」
あたしは悔しさに耐えかねて罵声を浴びせる。もしとんそれはすぐにオーデンスの反撃となって返ってくる。
オーデンスはあたしの言葉に対するお仕置きのように、おっぱいをキリリッと強く搾りあげた。
「へっへ。生意気な事言わねえほうがいいと思うぜ?」

128:Quest:Imperial Corruption 第2話:4/13
06/12/11 19:43:16 ih2rUa5D
「ひううっ!痛っ…」
おっぱいをキリキリと搾り上げられる痛みにあたしが苦悶の声を漏らしている間に、オーデンスの唇はぬめぬめと這い回り、首筋を上ってきた。
「はううっ…やだぁ…」
不快感に嫌がるあたしの首筋をちろちろと様子を伺うように舐め回し、そのまま更に上へ。
「ひゃうっ!」
あたしは思わずビクンと跳ねるように拒絶してしまった。

何!?何?今のは?
オーデンスの舌があたしの身体を丹念に調べるように蠢き、その動きが首筋を上り耳たぶの裏に触ったとき、あたしはまるで背骨に電流を流されたような感覚を覚えたんだ。
あたしはオーデンスが特殊な道具なり魔法なりを使ったに違いないと思ったけど、そうじゃなかったみたい。
オーデンスは単に舌の先であたしの耳たぶの裏側をぺロリと舐めただけだったの。

あたしの反応を確かめるように、再びオーデンスの舌が耳たぶの裏側をペロッと舐めた。
「ふあうっ!」
あたしの背筋を、ぞくん、とした感覚が走り、ビクンと弾けるように反応しちゃう。
「ほほぉう。ここを舐めると素直になれるらしいなぁ?」
オーデンスはどれほど嬉しそうな顔をしていることだろう?
むに、むに、とおっぱいを揉みしだきながら、オーデンスは発見したあたしの弱点を責め始めた。

にちゃっ、と粘液質の唾液を纏わりつかせた舌が、あたしの首筋を這う。
「く…」
あたしは不快感に耐えながら、一生懸命オーデンスが喜ぶような反応を示すまいと頑張った。
その舌が糸を引くように、のるん、と首筋を上る。
「ふ…あ…」
あたしの微妙な反応に欲情したのだろうか?オーデンスの舌は一気に耳たぶまで移動した。
「ひゃううっ!」
ぞわぞわとした感触があたしの背筋を責める。何でここを舐められただけで困難なっちゃうんだろう?
そんな事を考える余裕は無かった。
ねちゃり、と音を立ててオーデンスの舌が耳たぶの裏を嘗め回し始めた。

129:Quest:Imperial Corruption 第2話:5/13
06/12/11 19:44:20 ih2rUa5D
「ふああっ…そ、それ…やだぁっ…ひゃうん!」
あたしはガシャガシャと両手を壁に拘束している手械を鳴らしながら、オーデンスの舌の感触に身もだえする。
じゅるり、とオーデンスの唾液が滴るように耳たぶの後ろを滴る。
それを舐め上げ、塗り広げるような動きでオーデンスの舌がニュルニュルと不快な生き物のように蠢く。
「んはあぁっ!」
あたしは思わず熱い吐息を吐き出したときに自分で発した言葉に驚いてしまった。

「ひひっ!イイ声で鳴けるじゃねえか!んむっ!」
オーデンスはあたしの反応に大いに喜びながら、耳たぶを唇に含む。
そのまま、ちゅうっと耳たぶを吸い、舌でクリクリと弄し始めた。
「んはうっ!やっ!そこは…やめてっ!んあっ!」
あたしの身体はあたしの意思に背くようにビクンビクンと突き動かされるように震えてしまう。

ちゅぽ、と耳たぶからオーデンスの口が離れる。
「へへ、お前の”ここ”、どうなってると思う?」
ここ?ここって?
そう思った直後、オーデンスは腰をクイクイと動かした。
「ふゃああんっ!」
あたしは耳たぶの裏側と同じか、それ以上の反応をしてしまった。

オーデンスはさっきからずっと、あたしの股間に自分のモノを挟むようにしていたの。
それをいきなり、じゅる、とした感触と共に動かされて、あたしは敏感に反応してしまっていた。

…え?…今あたし、じゅる、とした感触があったって言った?

あたしは信じられない、信じたくないという気持ちで自分の下半身のほうを見る。
オーデンスに激しく揉みしだかれるおっぱいの谷間の向こうに、あたしの股間がある。
それは、まるでローションでも塗ったようにトロトロの液体でぬめっていたの。

130:Quest:Imperial Corruption 第2話:6/13
06/12/11 19:46:22 ih2rUa5D
「へっへ。尋問の最中だってのに、まったくいやらしいエルフだぜ。」
オーデンスの勝ち誇ったような声が突き刺さる。
「そんな…こと、ないよ…っ!」

あたしは、なんとか絞り出すように否定するが、オーデンスは楽しそうに男根を擦り付けるようにあたしの股間の割れ目に沿って上下に動かした。
「ふああっ!やだっ!やだっ!」
スマタって言うのだろうか?
その性感帯をじわじわと刺激する感覚を打ち消そうと、あたしは慌てて頭をぶんぶん振る。
それに追い討ちをかけるように、オーデンスは再び耳たぶの裏にジュルリと舌を這わせた。

「ふああっ!それやだあっ!そこはやだぁ…ふえええんっ!」
上と下を同時に責められて、あたしは身体がビクンビクンと跳ねるように反応してしまい、どうしようもなく泣いてしまった。
それでもオーデンスは許してくれない。
執拗に、執拗に、あたしの弱いところを責め立てる。
指が、舌が、肉棒が、あたしの弱点を擦れるたびに、あたしの頭の中で何かがスパークするようにバチバチと弾ける。
こんなの、とてもじゃないが耐えられないよ。

それでもオーデンスはその行為を更に激しくしていく。
「んああっ!ふあっ、ふあぁ…やだあ…」
このままだと、あたしは、どうにかなっちゃう。どこかに行っちゃう。そんなのやだ。絶対にやだ!
あたしは何とかしてこの感覚をやり過ごせないかと頭を振って正気を保とうとするが、そうやって頭を冷却する程度では何も変わらない。

オーデンスの指はきゅうっと乳首を引っ張り、舌は激しくジュバッ、ジュバッ、と耳たぶを責め立て、同じく硬くいきり勃った肉棒はあたしの股間を激しく擦り上げる。
「ひうぅっ!…あうう…あたし…も、い…ちゃう……」
もう限界だった。
あたしの心は真っ白に塗りつぶされちゃうくらいにオーデンスに虐められる感覚でいっぱいになり、それは恥ずかしさとか、悔しさとか、そーゆーのが全部を流し去ってしまうようだった。
「くっ…あ…くぅ…―――――――っっ!!」

131:Quest:Imperial Corruption 第2話:7/13
06/12/11 19:47:05 ih2rUa5D
じんじんする頭にオーデンスの声が聞こえる。
「ひひっ!どうだいアシュレちゃんよ、派手にイキやがって!本当にエロいエルフだな!」
オーデンスに絶頂させられたと言う事実が、どうしようもない屈辱感となってあたしの心を責める。
「うっ…ひっく…ふえええ…やだって…言ったのに…」

「へっへ!これは尋問だからなあ。尋問される相手には全て包み隠さずに見せるのが筋ってもんだろ?」
何を言ってるんだろう?この変態は。ここまでやっといて何が尋問だって言うんだろう。
あたしは思わず涙に濡れたままの目でキッとオーデンスを睨む。
そんなあたしの視線をむしろ喜ぶようにオーデンスの下品な声が浴びせられた。
「アシュレちゃんのイってる顔、めちゃくちゃ可愛かったぜえ?」

「…っっ!!」
あたしの顔がカァーッと熱を帯びるのを感じた。
悔しい。悔しいよ。こんなやつにこんな事を言われるなんて。
「ひゃは!いい顔だぜ!それじゃあ今度は、もっといい顔でイって貰おうかい?」
「え…」
あたしの背筋が嫌な予感にぞくりとする。

オーデンスはあたしの反応を待たずに、再びあたしにのしかかる。
「あ…」
あたしの股間をぬるぬるとスマタしていたオーデンスの肉棒が、ちゅ、と卑猥な音を立てて然るべき場所にセットされた。
「や…もう、やだ…」
あたしは頭をふるふると振って、オーデンスに拒絶の石を示す。
それがいったいなんの役に立つだろう?もちろんあたしにもそのくらい判るよ。
オーデンスはいきり勃った肉棒をセットしたままの状態で、あたしの腰をガシッと捕まえる。
「…やめて…やめてよう…」
あたしは背後のオーデンスの方を怯えるように振り返り、必死に懇願してしまっていた。
無駄だとは判っていながらも、やらずにはいられない。

オーデンスは野獣のような荒々しさで、あたしの腰を掴む手に力を入れる。
「せいぜいイイ声で鳴いて見せろ!」
あたしはギュッと目を閉じた。


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