触手・怪物に犯されるSS 10匹目at EROPARO
触手・怪物に犯されるSS 10匹目 - 暇つぶし2ch87:名無しさん@ピンキー
06/11/20 11:27:28 go1slAuX
別スレの埋めで投下した話だが、こっち向けっぽいので貼ってみる。

昔、「T&Tカザンの戦士たち」って言うPCゲーやってた時、メンバーに自分設定満載なキャラの名前を付けていたんだけどさ。
そのゲームはMSXとかPC88とか言ってた時代のしかも洋ゲーなだけあってさ、キャラは殆ど○とか□とかで表現されてて
キャラ萌えとかとは無縁、まさに想像力で楽しむゲームだったんだよな。(当時はこれが普通だった)

で、イベントでパーティがオークに捕らえられて、鉱山で強制労働させられる展開になったのよ。
鉱山で働きつつ脱出の機会を伺うわけだが、その途中にランダムイベントがポロポロ発生するのよ。落盤でダメ受けたりとか。
折りしもパーティには紅一点、華奢でロリな魔法使いの女キャラがいてさ、俺の脳内では「こんな時でも他のメンバーは
この女魔法使いを庇っているんだろうな。そーゆー性格設定だしな。」とか妄想しつつ楽しんでいたんだ。

それが、ある日の突発イベントで「***(女キャラ)はオーク達の怒りを買ってしまった!」とか言われてHPがガッ!ガッ!と減ったのよ。
その時の衝撃と言うか、俺のカタルシスの凄さと言ったら無かったな。大切に守っていたものを汚されたと言うか。
○とか□で表現された世界を超えて、その場面が頭の中にありありと見えたよ。
メンバーが必死に守ろうとするも、オーク達の中に引き立てられてHPが減りまくるほどに攻められる女キャラの姿が…。

それだけでしばらくは猿のように抜いてた。
俺のNTR属性や異種姦属性はその頃からだったかなあ…
今だったらきっとこのネタだけでSS100kbは書けたに違いない。

88:名無しさん@ピンキー
06/11/20 17:59:10 vm4UJxWX
じゃあ今からでも書こうよ。

89:名無しさん@ピンキー
06/11/20 18:06:47 w2tAktfo
>>87
おいらT&T好きだべ
というかあのPCゲーム買ったはいいがやれなかった。
起動できなかったorz
あのゲームのTRPGの魔法使いやってたないや男だったけど8LVまであげてマスター
の都合で中断。MMORPGなかった当時は楽しかったよ、今もそのキャラシート残ってる
と言うわけで頑張って書いてくれオークもいいがショゴスとかあれ触手モンスターだよな


90:132
06/11/20 19:52:38 FFYLZbXi
>42
 改行の仕方を、文節ごとに換えてみました。
 私としては、ちょっと分量が量りにくいのですが、これが最後なので…。

 今回でこの話も終わります。

91:【胎動】
06/11/20 19:54:07 FFYLZbXi
>36
【また、大きくなった?】
「…んぅ……もうブラ…入らないの…」
 シグフィスが問うと、ティファニアは上目遣いに彼を見ながら子供のように“こくり”と頷いた。
【今、どれくらいの大きさ?】
「…このあいだまで…Iかぁ…Jカップくらいだったからぁ……いま…JかKくらぁい…だと…おもうぅ…ん…」
【…Kって…どのくらい?】
「…Jの…つぅぎ…ぃ…ぁ…」
【…そうじゃなくて…】
 この時代、女性のブラのサイズ表記は過去と変化していない。
 つまり、トップとアンダーの差が2.5センチ大きくなるに従い、
カップもランクアップしてゆくのだ。
 7.5センチまではAAカップ、10センチまでがAカップ……Fカップは22.5センチまでで、
Kカップともなれば35センチにもなり、仮にアンダ
ーが70センチだとすれば、ティファニアの現在の乳房は105センチのKカップという事になる。
 ティファニアは同年齢の女性と比べると全体的にほっそりとしたシルエットであり、
首も腕も伸びやかでどこかたおやかな感じがする。
そんな女性の胸部に100センチオーバーのKカップがぶら下がっている光景というのは、
一歩間違えれば喜劇にしかならないだろう。
 しかも、Kカップというのは不確定なのだ。
 実際にブラを着用した場合、周囲から肉を集めて形を整えるため、1~2カップはアップする場合が多い。
 そうすると、ヌードサイズがKカップだとしても、着用サイズはLとかMカップになる事が予想される。
 人工物の注入など、人為的な豊乳手術をしない状態で107.5センチのLカップ
または110センチのMカップともなると、これはもう「異常」であった。
「…ぁ…ふあっ…んっ…」
 Kカップの具体的な大きさを尋ねるシグフィスには答えず、
もう既にティファニアは彼の指の動きに没頭してしまっていた。
“はふっ…はふっ…”と吐息を荒くして、無意識に“くねくね”と腰を揺する。
そのたびに、みっしりと身が詰まり、片方だけで3キロ近くもあるパンパンに張った乳房が
“ゆらゆら”と…いや、“だゆん”“ゆわん”と揺れ動く。
 降り注ぐ朝陽の光の中で、グラマラスな素裸の全身にたっぷりとソープを纏い、
昆虫型知的生命体に愛を求めて取り縋る、美しいブロンドの女性の姿は、ひどく背徳的な匂いがした。
【義姉(ねえ)さん…】
 数ヶ月前まで、あれほど理知的で冷静で、時に冷徹でさえあった瞳が、
今はただ自分のためにこんなにもだらしなく蕩けて、熱に浮かされたように涙を滲ませている。

92:【胎動】
06/11/20 19:54:57 FFYLZbXi
 数ヶ月前まで、何の感情も込められていなかった声は、
今では芳しい花の香りを連想させるほど甘ったるい愛の調べを奏でている。
 そして、数ヶ月前までは喉元までぴっちりと召使い服に覆われていた彼女の豊満な体は、
今ではいつもいつでも彼を迎えられるように露出の高い開放的な姿へと変わっているのだった。
「…ぁあ~~……おっぱい…おっぱいきもちいいの…いいの…きもちいぃ…」
 けれどそれは、愛を知り、性を知って奔放な性愛に埋没したからではない。
 ただひたすらに、愛しい義弟のためだけに、彼女自身が自ら意識しないまま行っていることなのだ。
「シグ…ぁあぁ~…シグ…愛してるわ…愛してる…シグ…愛してるのぉ…』
 彼女の目は彼の姿を見つめるだけに開かれ、彼女は彼の声を聞くためだけに耳を澄ます。
 彼女の紅唇は彼への甘い愛の唄だけを紡ぎ、彼女の両腕は彼を抱締めるために存在する。
 彼女の豊満な乳房も、今では幼体を宿して大きく張り出してはいるが、
かつては絞り上げたように細かったウエストも、豊かに張りながら“きゅんっ”と引き締まった尻も、
白く伸びやかな四肢も、日に透かした蜂蜜のようにきらめく金色の髪も、全てが彼のためだけに存在していた。
 シグフィスには、それがたまらなく嬉しい。
 だからその実、彼女がゆっくりと“壊れて”いっているのだということに、
彼は気付かなかったし、また気付こうともしなかったのだ。
【“欲しい”んだね?そんなに切ないの?】
 シグフィスの言葉に、ティファニアはとろけたキャンディのような、
甘ったるい…それでいてひどく淫蕩な笑みを浮かべ、無言のまま“こくこく”と何度も何度も頷いた。
 お腹の中の幼体(芋虫)に負担を掛けないように、
ティファニアは椅子からゆっくりと下りて膝立ちになり、そしてそのまま椅子に両手をついて軽く両足を開く。
むっちりとした太腿の奥、尻肉の狭間で、赤く充血して“ぱっくり”と口を開けた秘部は、
とろとろと『蜜』を滴らせながら、『花』のように陰唇を花弁として濃密なオンナの香りを立ち昇らせている。
 シグフィスは彼女の尻の後に屈み込むと長いローブの前をはだけ、後肢を肩幅に開き、
長く伸びた下腹を前へと折り曲げた。
 そして彼の、黒く光を弾く外皮に覆われた長い腹は、
獲物に毒針を突き刺す蜂の腹部さながらにゆっくりと弧を描いて、
下からティファニアの、淡い翳りが茂った股間を目指す。
「…っ…あっ…ぁあ~~…」

93:【胎動】
06/11/20 19:56:04 FFYLZbXi
 甘い期待感に震え、胸を高鳴らせていたティファニアは、
不意に子宮内で“ぐりぐり”と幼体が身じろぎし、
それが…その胎動が与える激しい痛みに、背中を丸めて椅子へと突っ伏した。
 椅子の上には、自分があそこから“とろとろ”と垂らした蜜液が水溜りのように溜まっている。
それが、“ゆさゆさ”“ぶるぶる”と揺れる豊満なKカップの乳房に垂れて、
そして朝日を受けてきらめきながら糸を引いて落ちてゆく。
【もう少し我慢して。今、あげるから】
 金色に輝く美しい髪を撫で、伏せた体からどうしようもなく重たい自重によって吊り下がった
重々しい巨大な乳房を揉み上げながら、シグフィスは愛しい義姉に囁く。
マニピュレーターの指の間からやわらかな乳肉が溢れて、白い背中に金髪を散らせた義姉は、
彼に答えるかのように身を捩りながら甘い吐息を吐いた。
 そうして彼は、黒く硬い腹の先端から黒光りした鞘を突き出すと、
麻痺毒の注入管が変化したピンク色の管を剥き出しにして、
時折“きゅっ”とすぼまりを見せる彼女の可愛らしい肛門にぴたりと狙いを定めた。
 彼女のそこは、既に塗り広げる必要が無いほど彼女自身の『蜜』でぬるぬるに濡れている。
【いくよ】
 ソープとは明らかに違うぬめりを纏わり付かせると、シグフィスはその肉筒を、
“ぬるんっ”と可愛らしい後の蕾へと挿し込んでいった。
 ほとんど、何の抵抗感も無かった。
「ふあっ…おしり……おしりがぁ………」
 もっともっと…と、義姉の尻が“くねくね”とくねり、“ひくひく”と収縮を繰り返す窄(すぼ)まりが、
“きゅ”“きゅ”“きゅ”と断続的に肉筒を締め付ける。
 そのキツイ締め付けに構わず、シグフィスが“ずぶずぶ”と直腸の奥へと肉筒を押し込むと、
「…ああっ!!…あああぁあぁっ!!…ああぁあ~~~~~~~~~~~~~~!!!」
 彼女の美しい造形の顔から頬を伝って涙がこぼれ、鼻水が漏れ、涎が顎を伝い糸を引いて床に垂れ落ちた。
【義姉さん…キモチイイ?】
「ぁうあ…ぁううぉおお…」
 “ずにゅっ…にゅっ…ずにゅっ…”と、細かな蠕動運動を繰り返しながら直腸を進み、
抜き出され、そしてまた奥まで侵入してゆく。
 ただ挿し込めばいいものではないということを、シグフィスはこの3ヶ月に学んでいた。
 ゆっくりとした小刻みなピストン運動を加える事で蕾の入り口を刺激し、
愛しく可愛いこの義姉が、ひときわ喜びに涙する事を知ったからである。

94:【胎動】
06/11/20 19:56:56 FFYLZbXi
「……んっあっ!…ぁいやっ…いやっ…いやぁっ…あ~~~…」
 人として、女として、決して愛しい人には見せたくないような無様に呆けた快楽の顔のまま、
ティファニアは“いやいや”と首を振りたくって啼いた。
 ひしりあげ、泣きむせぶように、搾り出すように、ティファニアは啼いた。
 こればかりは、何度味わっても慣れるという事が無かった。
 むしろ、彼女には身体が“馴染んだ”がために、
より的確に快美感を拾い上げて脳へと送り込んでいる気が、した。
「っ~~…あ゛っあ゛っあ゛っあ~~~…いっいぐっ…いぐのっいぐっいぐのっ…いぐぅ…いぐうぅ…」
 お尻を嬲られただけで、あっという間に高みに押し上げられ、
いつ果てるとも無い絶頂へと達してしまう。
【いいよ?イッていいよ。そうすれば痛くなんかないだろう?】
 頭を優しく撫でられながら乳を弄ばれ、それと同時に直腸内へと肉筒を差し込まれて、
そのバイヴのような蠕動運動に身も心も翻弄された時間は、あっと
いう間の出来事のようにも、果てしなく続く煉獄の責め苦のようにも彼女には感じられた。
 やがて、胎内で身じろぎしたことを詫びるかのような、幼体(芋虫)からの精製物の分泌の効果が現れ、
激しく揺さぶる快感と押し寄せる幸福感に声も無く身を震わせるティファニアの直腸へ、
今度は溢れるほどたっぷりの「シロップ」が、お腹の子の父親(シグフィス)から注がれる。

 子とその父に、同時に犯され、愛され、癒され、そして狂わされているみたいだった。

 二人とも、自分の子供でも、自分の夫でもないのが不思議なくらいだった。
 白濁し、真っ白に焼き付いた意識の中で、ティファニアは滂沱した。

95:【胎動】
06/11/20 19:59:14 FFYLZbXi
 どうしてシグフィスを「夫」と呼べず、お腹の子を「わが子」と呼べないのか。

 ――わかっている。

 それは自分が『セグネット』ではなく「人間」であり、“仮母”だからだ。
 シグフィスは昆虫型地球外知的生命体であり、
お腹の子は人間の子とは似ても似つかない芋虫の形をした幼体だからだ。

 けれどそれは他ならぬ自分自身が望んだこと。

 それでもいいからと、自分自身が望んだこと。

 愛しい人の愛が欲しかった。
 愛の結晶である赤ちゃんが欲しかった。
 でも、彼と自分では種族が違う。生物としての有りようが違う。
 なぜ神様はこんな気持ちを自分に与えたのか、彼女は神を呪った事もある。
 でも、彼女は自分で選んだのだ。
 愛しい人の愛が手に入れられないのなら、愛しい人との間に赤ちゃんが得られないのなら、
せめてお腹を痛めて産んであげることだけが、自分に出来るたった一つの『愛の形』なのだと、そう信じたから。
 そしてそうすることで、愛する人が『愛されて産まれてきた』のだと教えてあげられると、そう信じたから。
 だから。
 快楽の波に翻弄され、呑み込まれ、自分という存在さえも見失いそうになりながら、それでも彼女は。

 幸せだったのだ。

         -おわり-

■■「再会」~にくらしいあなたへ~(胎動編)■■

96:132
06/11/20 20:00:05 FFYLZbXi
 以上です。
 これで終わりです。
 お疲れ様でした。

 また、どうしようもなく書きたくなりましたら、
お世話になるかもしれません。

97:名無しさん@ピンキー
06/11/21 07:05:30 jacHFomK
>>132
GJです

98:名無しさん@ピンキー
06/11/21 08:21:22 D0U6a7vw
現在、作品を書いているのですが、
もちろん触手主体なんだけど、
問題は、やられる側が「オトコノコ」でして・・・・
他にも他スレ向きな描写もあって、そんなわけで、
触手ものだけど、ここに投稿していいものかなやんでおりますorz

99:名無しさん@ピンキー
06/11/21 09:03:17 wTUzcuQH
>>98
女性相手でない場合、スレ違いです。
過去にその件については、
何度も話し合っては荒れ
話し合っては荒れを繰り返して
いまのテンプレができました。
お察し下さい。

100:名無しさん@ピンキー
06/11/21 10:12:59 PWYgEnNF
>98
誘導

触手総合スレッドin801 二本目
スレリンク(801板)


101:名無しさん@ピンキー
06/11/21 11:19:42 yNE/WmtU
>>98
ショタならこっちに頼む
ショタ総合スレッド
スレリンク(eroparo板)

102:名無しさん@ピンキー
06/11/21 15:43:53 9dt2lmtW
特撮界最強のロリ好きの紐男爵のSS願います

103:名無しさん@ピンキー
06/11/21 15:44:36 9dt2lmtW
特撮界最強のロリ好き、紐男爵と子供(由美ちゃん)のSS願います

104:名無しさん@ピンキー
06/11/21 16:27:20 LKn3Hdmr
神楽スキー氏の幼神楽マダー?チンチン

105:名無しさん@ピンキー
06/11/21 17:47:42 RPmfhbbu
>>104 は >>80 をみるがよろしかろう
 

106:未確認生命体 ロリメデプス 本
06/11/22 07:41:24 5pEK23MX
・・・この流れは・・・

オドルナライマノウチ?

107:名無しさん@ピンキー
06/11/22 12:12:03 ttqK/MvF
女妖怪が怪物に犯されるのはあり?

108:名無しさん@ピンキー
06/11/22 13:25:44 kro6f1Cp
それは人外なようなキモす

109:名無しさん@ピンキー
06/11/22 13:52:51 qYizl6s8
神楽スキー氏の葉子がありだからイイんんじゃね
あれも妖怪だぞ

110:名無しさん@ピンキー
06/11/22 15:15:45 I94tecVQ
要は人型かどうかじゃないかな?


ところで、触手モノでも痴漢モノでも思うんだけど、抵抗の有り無しが作品の方向性を大きく占めると思うんだけど。
もちろん俺は有り派で。。

111:外伝 ◆9QlRx9nooI
06/11/22 16:14:06 9GcHE5gi
鬼神楽の座敷童陵辱を投下します
童女注意?


112:鬼神楽 座敷童陵辱
06/11/22 16:15:15 9GcHE5gi
「ガアアアアアアアァァァァァァーっ!」
 がっがっと妖怪の群れに攻められていた木島卓が不意に雄叫びを上げる。
 びりっと服が破れて体が膨れ上がり、肌が鋼色になっていく。そして頭からは一本角。
 ギン! とその瞳が紅く輝く。
鬼化した木島の姿に妖怪たちさえもが怯え、一瞬にして鬼の野太い腕に叩き殺されていった……。
 すぐ背後で『童歌』を歌っていた仲間の座敷童も、首をすくめて震えている。

 妖怪退治の最中、かんなとうづきからはぐれて、妖怪の群れに囲まれてしまった木島と座敷童。
座敷童の『童歌」の回復も間に合わず、木島は鬼化してしまった。
 天乃社神社の巫女の姉妹、天神かんなとうづきがこの場にいなかったのは幸いだったかもしれない。
 鬼と化した木島はただの暴力と性欲の塊りにすぎないのだから……。

「ぐるるるるる」
 妖怪どもを殲滅した木島はさらに獲物を求めるように周囲を探る。牙の生えた口から涎を垂れ流して。
あれ程いた妖怪たちは無惨な屍を晒していた。だがまだだ。まだ足りない。
「ぐるる?」
と、その赤い瞳が木陰に隠れて震えている小さな体を見つけた。
「ひっ……」
 瞳が合い、小さな体に比率して大きな瞳が怯えた。

 赤い着物におかっぱの黒髪の童女。人間で言えばまだまだ子供である。
 まさに日本人形のような可愛い女の子。だが彼女は人間ではない。
 座敷童。住み着いた家に繁栄ももたらすと伝えられる小さな女の子の妖怪。
 そしてこの座敷童は、仲間でありうづきの友達でもある。特に回復役として重宝していた。

「がうるる」
 鬼木島の瞳がその小さな童女を見つけて好色に輝く。
 まだ小さいが、いや小さいからこそ可愛い。
「がうっ!」
「きゃっ」
 大きな体で跳びかかり、小さな座敷童を草むらへと押し倒した。
「はな……して」
 か細く呻く。腕を掴んで引きずり倒した鬼木島は、その細さに獣欲を刺激されていた。
このまま力を込めれば折れてしまいそうな小枝のような細い手足。そして怯える大きな瞳。
 草むらに押し倒された座敷童は、すぐ上に圧倒的な存在感と荒々しい息を感じ、
瞳に涙を浮かべただただ怯えていた。
「…あ……あ……」
 妖怪である彼女だが、荒事に慣れているわけではない。物静かで大人しく無口で、
その精神は人間の少女と何ら変わりは無かった。
「いや……たすけ……」
 その小さな口がわなわなと震えると、鬼木島の手が動いた。
 赤い着物の帯を掴み、一瞬で引き千切る。ほどける、ではない。
「きゃー!」
 帯が宙に舞い、着物がはだけ、その白い肌が晒された。
 下着は身に付けていなかった。着物の下には何も着けないもの。もちろん下も。

113:鬼神楽 座敷童陵辱
06/11/22 16:16:33 9GcHE5gi
 はだけた着物から見える肌は驚くほどに白く、そして滑ら。胸はまだ膨らんでなくぺったんこ。
二つに桃色の乳首が色鮮やかに白い肌に映えている。
 もっとも妖怪である座敷童がこれから成長するかは分からないが。
 座敷童の平坦な白い胸にますます涎を垂れ流し、鬼木島は大きな舌で胸を一舐めした。
「きゃうっ」
 小さな白い胸を大きな舌が下から舐め上げ、びくっと震えてしまう。乳首も両方一緒に舐められ、「あっ」と声を出してしまった。
「ぐるるる」
 座敷童の平坦な胸はとても甘く、特に乳首は砂糖菓子のようで。鬼木島はその体を味わうように、舌でしゃぶっていった。
「きゃっ……やっ……」
 小さな胸が唾液でべちょべちょに濡れ、座敷童は気持ち悪さに顔を背けた。
ただ小さな乳首を舐められる時だけ、びりっと甘い痺れが走る。それでも乳首は陥没したまま。
彼女は見た目通り、まだ童女なのだ。
「う、ううう……」
 横を向いた瞳から大粒の涙がこぼれ、おかっぱの黒髪がさらさらと揺れる。
 まるで綿菓子のような白い胸をしゃぶっていた鬼木島は、不意に彼女の細い脚を掴んで持ち上げた.
「きゃあっ……!」
 逆さまにされ、おかっぱの黒髪も下に流れる。
「ぐるるるる」
 そしてどっかりと地面に座り込んだ鬼木島は、逆さに持ち上げた座敷童の小枝のような細い素足に噛み付いた。
「ひいっ……!」
 食べられる! と思い込み、座敷童はさっと蒼ざめる。鬼は人でも何でも食らう。
だが鬼木島は大きな口に含んだ細い脚をしゃぶって味わうだけで、そのままちゅるちゅると付け根へと口を移していった。
「はっ……」
 その先にあるのは小さな割れ目。はだけた赤い着物から、丸いお尻と股間がはっきりとこぼれていた。
「やっ……」
 脚をしゃぶりながら、鬼木島の赤い瞳がその股間に注がれる。視線を感じ、座敷童は恐怖を忘れて羞恥に紅くなった。
妖怪でも童女でも、羞恥心はある。
 座敷童のそこはあまりに小さく、まだ毛も生えていない。人間で言えば初潮前の童女の陰核そのものだ。
 その小さな割れ目にぺろっと熱い汁の爛れる舌を乗せた。
「きゃうっ!?」
 逆さにされたままの、座敷童がビクッと顔を仰け反らせる。
「あ、ああ……」
 白い肌が赤くなり、涙の流れる瞳が潤んだ。恐怖ではなく、初めて感じるもっと別の何かに。
 座敷童の割れ目とお尻は胸よりもさらに甘く、鬼木島は夢中になってしゃぶり出す。
蜜に群がる虫のように。
「ひいいっ……いいぃ……あ……」
 大きな舌が小さな丸いお尻を包むように舐め上げ、幼い筋をぺろぺろと通り過ぎる。
その度に、座敷童は白い喉を仰け反らせて鳴いた。甘く、切なく。
「はあぁ……あぁ……」
 いつしか、吐息に甘いものが含まれている。
 それは彼女が初めて感じる「濡れる」という女の悦び。

114:鬼神楽 座敷童陵辱
06/11/22 16:17:31 9GcHE5gi
「ひうっ……」
 そして逆さにされた顔を仰け反らせた座敷童は見た。真下にある鬼木島の股間。
そこから一本の棒が金棒のように延びていることに。
「えっ」
 それが何であるか気付き、座敷童はヒッと怯え、震えるお尻をきゅっと締めた。
鬼木島の股間からは金棒のように伸びているそれは、勃起した彼の性器。その大きさは座敷童の細い腕よりも大きい。脚よりも大きいかもしれなかった。
「あ、アアア……」
 初めて目の当たりにする男の象徴はあまりに強大でそして異様で。
 きゅーと肝が冷え、思わず出してしまった。
「がる?」
 陰核の奥底が蠢き、溢れる冷たい水に気付き、鬼木島は口を股間から離した。

 ぴゅー

 その顔に、無色透明の水がかかる。股間から飛んできた水。おしっこだ。
「ぐるー」
 嫌がりもせず、むしろ気持ち良さそうな顔で鬼木島はおしっこを受け止めた。
まるでシャワーでも浴びているように。
と同時、座敷童の逆さの顔のすぐ下の鬼ちんこがぴくぴくと蠢き、どぴゅっと白濁液を吐き出した。
「きゃっ」
 それはただの先走りの精液だったが、小さな可愛い顔を、下に流れる艶々の黒髪を白く染めていく。
 鬼木島の顔に座敷童のおしっこが掛かり、逆さの座敷童の顔には鬼木島の先走りの精液が掛かる。
お互いに顔を濡らし、そして止まった。
「やあぁ……」
 おしっこを出してしまい、精液を掛けられ、座敷童は白く汚された顔を赤く染めてしまう。
「がるー」
 気持ちよく顔におしっこを受け、そして射精した鬼木島は逆さにした座敷童を持ち直して、頭をちゃんと上にした。
そして小さな脚を拡げていく。抵抗なく小さな脚が開いていく。もっとも抵抗しても鬼の力の前には無力だ。
その脚の付け根のすぐ下には、いまだ固さを保ったままの鬼肉棒。
「あ……ヤメ……」
 何をされるか本能で悟り、座敷童が怯えた声を出す。
 すとんとその小さな体を下に降ろすと、唾液とおしっこで濡れた割れ目に、鬼の金棒のようなペニスが突き刺さっていった。

「ひぎいいいいいいぃぃぃぃぃぃーっ!!!」

 めりっと秘唇が限界を越えて広がされ、たちまち鮮血が溢れて、白い脚を赤く染め、醜悪な肉棒に伝っていく。
 めり、めり、と肉棒が沈んで行く度に、肉を裂く音が響き、そして血が溢れる。
「がはっ……ああぁ……」
 ぽかんと開いた口から涎が落ち、滝のように涙の流れる瞳にもう意志は残っていない。ぼんやりと前を見るだけだ。
凶悪に歪む鬼木島の顔を。
 その小さなお腹がぼこっと盛り上がっている。内側からペニスが盛り上げているのだ。
 それでも鬼木島の性器は半分もう埋まっていない。

115:鬼神楽 座敷童陵辱
06/11/22 16:18:31 9GcHE5gi
 大きな裂け目となった結合部からさらに大量の血がどぼっとこぼれる。膣を突き破り、内臓まで鬼肉棒が突いたのだ。
股関節も限界を越えて引き伸び、そして裂けられた。
「あ……あがぁ……」
 口からも涎に混じって血が流れる。
 人間の童女ならとっく死んでいたかもしれない。だが幸いというか生憎というか、妖怪はそう簡単に死なない。死ねない。
「ガアアアアアアぁぁぁぁーっ!」
 雄叫びを上げ、鬼木島は座ったままの姿勢で、貫いた座敷童の小さな体を揺り動かす。
「あがあぁ……はああぁ……」
 下から突き刺さった肉棒が内臓をゴリゴリとかき回し、お腹が内側から盛り上がったりへこんだりする。
「ぐふー」
 ペニスの先端に感じるドクンドクンと脈打つ臓器は肝臓だろうか大腸だろうか。
ひょっとしたら心臓かもしれない。
「……ああぁ……ううぅ……」
 座敷童の涙で霞んだ瞳に見えるのは、鬼の爛々とした赤い瞳のみ。
 もう全身が麻痺して痺れ、痛みも何も感じない。感じたらショックで死んでしまう。

 どぴゅうう! どぴゅうううううっ!

 不意に体の内側に勢いよく熱い液体が放たれる。
 鬼木島が膣内射精したのだ。いや内臓で。内臓射精だ。
「はぐうぅ……」
 腸を、肝臓を、白濁液が白く染めていく。そして心臓も。
 股関節が裂かれ、だらんと開かれた膣からも精液が溢れ出て、赤い血を押し流す。垂れ下がった脚にも白い白濁液が流れていき、足先の草履からポタポタとこぼれ、鬼木島の太ももにおちる。

 どぴゅぴゅぴゅぴゅ!

 内臓での射精は絶え間なく続き―
「はがあああっ!?」
 とうとう白い喉を駆け上がり、血に混じって口からも白濁液がこぼれた。
小さな鼻からも逆流した白濁液が漏れ出る。
 口の内側からも精液を垂れ流す。小さなその体の内側はもう精液でいっぱいだった。
 どばああーっ! と射精し続ける鬼ペニスがするっと結合部から抜け落ちた。
あまりの射精の勢いに抜け落ちたのだ。
「ガアアアーっ!」
 鬼木島はその小さな体を草むらに放り落とし、さらに精液をぶっかけていく。
「………」
 放心状態の虚ろな顔に精を受け、座敷童はヒクッと小刻みに震えた。
 艶々のおかっぱの黒髪も、可愛らしい顔も、小さな胸も、はだけた赤い着物も、全て白く濁った精液に染められていく……。
体の内も外も精液で満たされ、座敷童はぐったりとその身を草むらに横たえていた。
瞳は虚ろで、ぽかんと開いた口からは血と精液がこぼれている。
 そのおかっぱの前髪を掴んで顔を引きずり上げ、鬼木島はぽかんと開いた口に、まだ射精し続けるペニスの先端を叩き付ける。
 口の中に捻じ込もうというのか。だが小さな口に大きすぎる鬼肉棒は入らない。

116:鬼神楽 座敷童陵辱
06/11/22 16:19:46 9GcHE5gi
 口に押し付けられた肉棒の先端から、止まるこのない射精が顔にぶつかっていく。
そして小さな体をさらに精液で染めていった。
「……あ……ぁ……」
 白いシャワーを全身に受け、座敷童はぐったりとうな垂れる。そこで意識が途絶えた。
「がるー……」
 ようやく射精が止まり、鬼木島は座敷童がぐったりと気を失っているのに気付いた。
もう用は無いとばかり、小さな体を草むらに放り捨てる。
 そして新たな獲物を求め、徘徊していった……。

 木島が正気を取り戻したのは戦いが終わった後だった。幸い、かんなとうづきは襲われずに済んだ。

「はー……」
 天乃社神社に戻った木島は自室でため息を吐く。自己嫌悪のため息。
 鬼化した後は見境無く暴れ回り、女と見れば犯してしまうが……さすがに今回はいつも以上に罪悪感が募る。
 見た目はどう見ても童女の座敷童を犯してしまったのだ。それも徹底的に。
 人間の童女なら死んでたと葉子にも怒られてしまった。
「はあぁー……」
 夜も深け、とりあえず寝ようと木島は敷いていた布団に就く。明日、きちんと謝ろう。それで許してもらえるとは思っていないが。
「ん?」
 布団に入って気付いた。妙に暖かいモノが入っている。
 掛布団をめくって見ると、赤い着物の小さな童女がいた。艶々とした黒いおかっぱの黒髪の日本人形のような女の子。
「座敷童!?」
 さすがにビックリしてしまう。
 あれだけ激しく陵辱されながら、見た目は特に変わっていない。怪我も汚れも感じさせなかった。
さすが妖怪といったところか。
と、ビックリする木島に、座敷童はニコーと笑いかけ、そして抱きついてきた。
「お、おい……」
 小さな女の子に布団の上で抱きつかれ、木島は呆然としてしまう。手持ち無沙汰に手は宙に泳ぐ。
「……え?」
 木島の胸の中で座敷童が呟き、それははっきりと耳の届いた。
「俺に……抱いてほしい?」
 顔を上げ座敷童は小さく頷く。そしてにっこりと微笑んだ。童女の可愛い笑み。
その趣味のない木島も、ついぎゅっと抱きしめてしまう。
「あの……あの時はすまなかったな」
「ううん」と胸の中で座敷童は首を振る。
「お詫びなら……して」
「……」
 そこまで言われては仕方ない。内心、動揺とドキドキを感じながら、木島は 座敷童の小さな体を布団に横たえた。
「いいのか?」
「うん」と座敷童は頷く。
 その小さな唇にそっとキスした。
「ん……」
 口を重ね、座敷童は目を閉じる。
 その小さな体が熱くなったような気がした。
 そして……

117:鬼神楽 座敷童陵辱
06/11/22 16:20:51 9GcHE5gi
 朝。チュンチュンと雀の鳴き声で目を覚ますと、大きな瞳が目に飛び込む。
「わっ」
 そして裸の童女。自分も全裸だ。
 ニコーと微笑むおかっぱの童女に釣られ、木島もつい苦笑してしまう。
 そうか。昨日は座敷童と一夜を過ごしたんだ。
 まだ幼さの残る、というか幼い体の童女の座敷童。その小さな裸体を抱き寄せ、おかっぱの髪をよしよしと撫でてやる。
 くすくすと笑う声が聞こえた。
 そしてその可愛い顔をしっかりと見つめる。座敷童も見返してきた。
「歩……」
 ふと幼い顔に妹が重なる。
 無惨に犯され食い殺された妹。
「んー?」
 きょんと座敷童は首を傾げる。
「あ、ああ……。すまん」
 そしてまたぎゅっと抱きしめ、切り揃えたおかっぱの前髪のさらさらを胸に感じる。
「これからもよろしくな……。歩」
「うん……」
 座敷童はしっかりと頷き、自身も木島に抱きついた。

 それから、鬼と化す半人半鬼の木島の側には、常に座敷童の可愛い姿が見られた。
木島はその座敷童を「歩」と勝手に呼び、妹のように可愛がったという。

(おしまい)

118:神楽スキー
06/11/22 18:18:32 ZDLRrqtC
驚いたここで見かけるとは思わんかったな外伝氏GJです。



119:名無しさん@ピンキー
06/11/22 22:52:30 VXvB/hrX
■■「再会」~にくらしいあなたへ~(胎動編)■■

出産するところまで書いて欲しかった…

120:名無しさん@ピンキー
06/11/23 01:21:48 wMBmeWtk
>>111
GJ!妖怪×妖怪ってーのも新鮮でいいなー。

ところで河童の続編が読めるとは思わんかったよ。うれしい誤算。
天狗の続編を熱烈希望する!!>神楽スキー氏
妻という名の性奴隷となって日々過ごす七歌ハァハァ・・・。

121:名無しさん@ピンキー
06/11/23 02:15:14 NJufENeH
つーか、えらいコアなトコ来たなー

122:名無しさん@ピンキー
06/11/23 02:22:12 O6XAVkIb
>>88
ちょっとやってみるので時間をくれたまい。
展開的に超ベタで出し尽くされたネタだけど、漏れのネチネチした文章でどこまでエロく書けるか挑戦。

123:4枚切りの…
06/11/23 06:32:15 CdLgExIw
なんと、外伝さんだ
GJっす!!
座敷童とは、なかなか渋いとこ突きますね

124:名無しさん@ピンキー
06/11/23 11:14:34 C79fXUpe
>>111
GoodJob

125:てろりすとR
06/11/23 16:32:52 N6Rh1mFG
ずっと真面目な小説を書いていた。しかしその長い努力は報われなかった。

そしていつしか僕はポルノ小説に手を染めるようになっていた。
買ってくれると言う人もいたけれども結局は踏み倒されてうやむやになってしまった。
(その原稿がもう削除してしまって手元にないのは残念の極みだ)
出版社に新しい作品を送って半年たっても返事はない。だからそれを使って最後にテロをやろうと思うんだ。
僕は僕の狂気をこのスレに置いていく……


126:第一話「メッセンジャーガール」①
06/11/23 16:33:57 N6Rh1mFG
 あの日、投げかけられた投網を食いちぎろうとして暴れたことを覚えている。金属の糸はあまりに強くて網目の間に指を通して泣きながら歯を立てた。
薄い掌が擦りむけて血が滲んだけれども不思議と痛いとは思わなかった。柔軟に揺れる丈夫な檻の中で見上げた空は晴れ渡っていて白い入道雲が広がっていた。
どんなに力を込めても千切れない網の格子の向こうでお日様が笑っていた。
 周囲では迷彩の服を着た男たちが気味の悪い卑劣な笑みを浮かべてわたしを見ていた。緑のまだら模様の衣装を赤い返り血の飛沫で染めて白い歯を見せて笑っていた。
その手の中の長いライフルや鉈が無慈悲な光を照り返していたんだ。わたしになす術なんてなかった。
あれはまだ、十五にもならない頃。春の日差しが微笑む、焼け落ちた町でわたしは犯された。
埃臭い澱んだ空気に男たちの汗臭い体臭が混じって鼻を突いていた。
一人じゃない。何人も何人も何人も。入れ代わり立ち代り、何人の相手をさせられたかなんて覚えていない。
始終軋むような雑音が頭の中で鳴っていた。
 身体が裂けて壊れる、このまま死ぬんだと思った。胸やお腹にどろどろする温かいものが怖くて泣いた。
顔にかかったぬめぬめする液体の臭いが気持ち悪くて吐いてしまった。
口に突っ込まれた固くて脈打つものが喉の奥で嫌な汁を噴出してひどく咽た。
「ユルシテクダサイ、ユルシテクダサイ」
 片言のような言葉で哀願しても目の据わった男たちは許してなんかくれなかった。何も悪いことなんてしていないのに。あいつらは、笑ってた。楽しそうに笑ってた。
 お腹の中で二本の固いものが荒れ狂っていた。内臓がおかしくなると思った。生臭い臭いに混じって嗅いだ鉄さびの臭い。あれはわたしの破瓜の血だったのだろうか。
 いつしかわたしは気を失ってしまっていたようだった。わたしが再び意識を取り戻したときには男たちはいなくなっていた。
空が暗いのは雲のせいだったのだと思う。太陽は見えなかった。天から降り注ぐスコールが剥き出しになったわたしの薄い胸に打ちつけていたのを覚えている。
どしゃ降りの雨が引き裂けた服をぐしょぐしょにしてしまう。そしてぬかるみ始めた大地の泥に塗れてしまうのだ。
身体中が痛くて、目が熱かった。


 彼女はエナメルのような赤いマウンテンバイクを立ち漕ぎに駆っていった。ひび割れたアスファルトの道を無骨なスパイクで引っかいていく。
袖口の開いた白いジャケットは風に踊り、襟口から吹き込む気流が汗ばんだ肌の上を吹き抜けていく。その背中には赤い郵便のマーク。
胸にはプラスチックの名札が縫い付けてあって「菱川輝美」と見て取れる。ぴったりしたハーフパンツを穿いた腰は宙に浮き血色の良い引き締まった左右の脚には交互に体重が打ち込まれる。
 無人地区B-14。そこを抜ければじきに目的地に着くはずだった。

127:第一話「メッセンジャーガール」②
06/11/23 16:41:15 N6Rh1mFG
 公孫樹郵便局の若き局員はほとんど人の住まぬゴーストタウンを駆け抜けていく。愛機「フェニックス号」は今日も絶好調だ。
そのチェーンは上機嫌に滑らかかつ速やかな回転を示している。高速で走行するマウンテンバイクの乗り手からは二本の栗色の三つ編みが吹流しのように棚引いている。
 死んだ町の寂静の中で彼女だけがいきいきと動いているのだった。もっとも生物が他にいないわけでもあるまいが密度の低いこの地域で鉢合わせすることなどめったとない。
その代わりに頭上から照りつける晩夏の太陽が走る乙女に濃い影法師を付き添わせていた。
 眼前に迫る十字路。行き当たりのコンクリートの壁。輝美は直前で前輪を軽く持ち上げて大地にやや斜めに叩きつける。ブレーキのかかった前輪からのパワーが赤いフレームを走り抜ける。
衝撃で跳ね上がる後輪。ハンドルを胸に引きつけるようにして前輪をも持ち上げた。
それは瞬間的な出来事だ。
 フェニックス号は舞い上がり、壁の上辺と水平になって宙を舞う。まるで棒高跳びの選手みたいに。しかしそのまま飛び越える気はなかったらしい。
後輪の一点が越えつつあった壁の天辺を捉える。輝美は身を捻るようにして重心を起こし壁の上に立った。もっとも足を突いたわけではない。ただ後輪の一点のみを支えにバランスを保って揺れている。
 まったく常人離れした運動神経だった。もはや超能力じみていると言っても過言ではあるまい。実際、特殊な血統を遠く引いているらしいという話は輝美自身、幼い頃亡父に聞いたことがある。
 数年前に受けたゲリラによる暴行。本人にとっては決して幸福とはいえない最悪の事件おそらくあのときのショックが彼女の潜在能力を引き出す引き金になったのかもしれなかった。
そのことは全くの皮肉としか言いようがないのだけれども彼女は普段そのことを忘却しているのが常である。そして曲芸まがいの運動は彼女をひどく楽しませた。
「・・・っと」
 輝美は自分が乗っかっている塀の向こうを打ち眺めた。やや傾斜の全体としては下り坂の風景。丘の上から見下ろしているような形だった。
実を言えばそのためにわざわざ丘の上を通るコースを選んだのである。
一番奥の方にはそれなりに太い川が流れ、その支流の小川や水路が迸るかのようにこちらにまで延びてきている。それと交じり合うようにブロック塀の敷居が迷路のように敷かれ、
崩れたビルや腐った木造家屋が散らばっている。草に覆われている場所が多いせいかどことなく緑がかった、田園めかした雰囲気さえ漂っていた。
「あ、あれ!」
 目印を見つけて喜びの声を上げる騎乗の少女。その叫びの響きは優美でさえある。輝美のあだ名が「テルミン」であるのも単に語呂合わせではない。
その独特の美しい声が幻の電波楽器テルミンを連想させるからだ。
「もーちょっとじゃん!」
高音質で幻想的な印象さえ与えるテルミンの声が周囲の大気に染みとおっていく。古色を帯びた厚いコンクリート塀の上に揺れる彼女の姿はさながらテルミン奏者の手つきに似ていたかもしれない。
テルミンは電波の流れた空間を手先でかき混ぜて演奏するのである。

128:第一話「メッセンジャーガール」3
06/11/23 16:43:27 N6Rh1mFG
さて彼女が見つけたのはそこから目算300メートル程度の位置にある小さな赤い屋根。ソーラーパネルで半分が青っぽくなっている。となりにちゃんと井戸もあったし極め着けには風車が回っていた。
目を走らせればそのすぐそばの小川に水車が取り付けられている。
 彼女はそれが目的とする一軒家に相違いないと判断した。
「よっし!」
 程よく疲れた身体に再び力が戻ってくる。筋肉繊維の中で沸き立つエネルギーに急かされるかのように輝美は車輪を滑らせるようにして再び地面に降り立った。
 飛ぶように、跳ねるように。赤いエナメルの変則的な残像を残して疾駆するフェニックス号。もうどちらかといえば下りの道。この平野自体が緩やかな谷になっているのである。
おそらくタイヤが転がっていくのはかつて山の一部だったに違いない大地。悠久の年月に侵食された、年老いた山脈の斜面。前進を阻むものなど何もない。
カモシカが絶壁を舞うが如くまるでフラメンコでも踊るかのように駆け抜けていく。
 爽天の下、人気のない世界を絶妙な操作で走り抜けていくのだ。
やがて目の前に、まっすぐな見通しのいい下り坂が広がった。さっきの鳥瞰の際、遠目に見つけておいたルートだ。輝美はサドルに腰を下ろしペダルから足を外した。慣性で滑り出した身体は重力に委ねられる。
 胸がすくような爽快さ。流れ飛ぶ景色。滑らかなギアの回転に合わせて後方へスクロールしていく世界。途中、緩やかな弧を描いて通過しちょっとした崖の淵をなぞっていく。
そしてハンドルと重心を逆にし滑らかな赤いS字型の軌跡を引いた。
 そこから目的地に着くまでわずか数分。
 それは鉄条網を張り巡らせてガードするには貧相な住まいだった。遠目には瀟洒に見えた家屋もまたどこか寂れて見える。
「ほお、お前さんが?」
 胡麻白髪の眼鏡をかけた老人がやや相好を崩して出迎えてくれた。やや腹が出ているが局長が写真で見せてくれた人に違いない。一歩下がってメイドロイドも控えている・・・ネコミミで和風の。
割烹着に白いエプロンというシックなコスチュームである。
「はい、公孫樹郵便局長の命で受け取りに参りました、菱川輝美と申します」
「ワシは三宮銀四郎。で、後ろにおるのがカトリーヌ。ワシの優しい付き添いでよく働く家政婦で腕のいい調理人で極めて忠実な執事でずいぶんと
有能な仕事の助手で孤独な心のせめてもの慰めで並外れて淫乱な愛人でペットで・・・」
 三宮の口調が余りにナチュラルなので輝美は一瞬、彼が何を言っているのかを理解することが出来なかった。しかし0・5秒で目を皿にして顔を赤らめる。


129:第一話「メッセンジャーガール」4
06/11/23 16:44:29 N6Rh1mFG
「よしなに」
 ネコミミメイドのカトリーヌはにっこりと微笑んで三宮の言葉を遮るように強い調子で言った。その赤みがかった黒いショートヘアが微かに揺れている。紺色の割烹着の肩もまたプルプルと震えていた。
端整で完璧な微笑の奥に怒りの感情が見え隠れしている。
 当の三宮はと言えば照れ笑いしているのかおどけたような態度でいる。そしてそうかと思ったら唐突に口を開いた。
「コイツは耳が弱いんですよ。噛んでやったりしますとな、うわ言みたいに『堪忍やぁ、堪忍やぁ』言いますからな。背中から胸から汗が滲んでこっちに分かるぐらいに火照ってきますからな・・・」
 意表を突かれたカトリーヌは完全に面食らってしまった様子だったがすぐにこう告げた。
「わたしの性向がどうあったとしましても、それはご主人さまの設計です。それに意味のないお話は人生を無駄にするばかりかと思いますが?」
 ほとんど「冷静」と言ってもよいくらいの態度である。しかしその穏やかな表情に反して毒のある言い方であるには違いなかった。
暗に「くだらないこと言っているとヌッ殺して残りの人生消滅させるぞ」という意味が込められているようですらあった。
 三宮は楽しげにくっくと笑った。どうやらこの老人は好色漢でおまけに他人をからかう事が大好きな悪戯者らしかった。いや、むしろ変質漢とでも言うべきか。
「あ、こちら、局長から預かって参りましたお手紙です」
 輝美は事態が悪くならないうちにと上着の内ポケットから封筒を取り出した。唇の端にやや歪な固い笑みを浮かべている。常軌を逸した紹介に面食らってしまっていることが見て取れる。
しかしこの程度でビビっていてはメッセンジャーなど勤まらない。場合によってはもっとイカれた連中を相手にせねばならないこともあるのだから。
 おずおずと差し出された手紙を三宮が読んでいる間、カトリーヌは何事もなかったかのように佇んでいる。輝美にはそれがかえって恐ろしく視線のやり場に困ってしまう。
そんな気詰まりな沈黙はたっぷり一分も続いただろうか。
「ふむ! よろしい。案内しよう」
 三宮はそう言うなり家屋の中に歩いていく。カトリーヌにも促され輝美はその後を追った。
 問題のものは板張りの床の下、正確には地下の空間に収納されていた。簡素な鉄製の梯子を降りるとそこには一体の巨大な甲冑がうずくまっている。
 外観は西洋式の甲冑に似ていた。立膝を突いて座り込んでいたけれども立てば全長三メートルほどか。オレンジ色の電球の灯に照らされたそれは磨き上げられた青銅の如き輝きを放っている。
そしてその装甲には芸術的なまでに作りこまれた模様が金色の細い線で描きこまれていた。
「これが・・・?」
 輝美は半ば呆然として問いかける。
「そうだ。これが局長に頼まれていたもの、改良型のオーガノンだ」
 オーガノン、それは凶門の血を引く巫女だけが操ることが出来る機動兵器の総称である。
「改良型・・・」
「そうだ。主にコックピットの操縦系をより負担が少なく、効率的なものに作り変えた。昨今の状況は君も知ってのとおりだ。もはや今の世の中では軍も警察も当てにはならない。
自衛のためにはぜひ一機欲しいとのことでな」
 この混迷したほとんど無政府状態に近い世相では自警団や私設軍隊は決して珍しくはなかった。そして軍隊の多くが軍閥化したように各地の有力者が事実上独立した存在となることもありふれていた。
公孫樹郵便局とて例外ではない。公孫樹郵便局長は今や一個の町の支配者に等しい立場にあり、地方の政治家たちをも牛耳っているのだった。


130:第一話「メッセンジャーガール」5
06/11/23 16:45:12 N6Rh1mFG
「でもこれをどうやって運ぶんですか? 自転車ではとても・・・」
 三宮はヒヒヒと笑う。その顔にはキチガイじみた表情さえ表れている。そして告げた。
「君とて凶門の末裔だろう? たとえ傍系の傍系だとしてもな」
 その言葉に輝美は当惑した表情を浮かべる。
「確かにひょっとしたらそうなのかもしれませんけれど、確証はありません」
 凶門の血を引く異能の者たちがいつの頃、どんなふうにして現れたのかもよく分かっていない。しかし直系の血統で目覚しい能力を持った者の他にも傍系の末裔が数多くいるらしいことは知られていた。
輝美が幼い頃に死別した母親もまたそんな一人だったのだろう。
「試してみるがいいさ。動かせるなら持って帰ればいい。動かなければ前金が無駄になるだけのことさね」
 考えるまでもなかった。否応無しに輝美は頷かざるを得ない。
 三宮が目配せするとカトリーヌがオーガノンの胸部を開く。まるで自動車のボンネットが開くように音も立てず上がる胸甲板。胴体の内部がそのままコックピットになっているようだった。
「これは・・・?」
 輝美はその内部を一瞥して絶句する。
 ゼリー状の半透明のシート。身体をぴったりと沈め込めるかのような形をしていた。例えばお尻の形までが金型のように窪んで、股間の割れ目に当たる部分が浮き上がっている。
「輝美さま、これを」
 カトリーヌがいつの間にか白い布のようなものを手に携えていて輝美に差し出す。輝美がそれを広げると一枚の短い浴衣のようなものであることが分かった。
「巫女服です。まず服をみんな脱いでそれに着替えていただきます」
 輝美は眉間に皺を寄せてそれを見つめていた。見た目、ずいぶんと薄い生地のように見える。肌が透けて見えるのでないかと感じたのはあながち目算ハズレではない。
「嫌なら嫌で良いんだ。前金をタダ取りした勘定になるわけだしね」
 三宮はしゃあしゃあと告げる。輝美は少し思案して告げた。
「席を外していただけませんか?」
 輝美は一瞬、三白眼に三宮を睨んだ。
「残念だがそうするよ。ま、カトリーヌが手ほどきしてくれるさ」
 三宮はそう言って梯子を上っていき、地下室には輝美とカトリーヌ、そしてオーガノンだけが残される。
「さ、どうぞ」
 カトリーヌに促されるままに輝美は服を脱ぎ捨てた。気乗りのしない顔で下着姿になった輝美にネコミミの乙女がさらに注文をつける。
「ブラとショーツもです」
 巫女服姿は余りにもあられもないものだった。薄い生地からはお椀型の乳房の輪郭ばかりか乳首の形まで浮き出して見える。開いた襟口からは形の良い膨らみの上半分が露出していた。
その淵からは桜色の乳輪が微かに覗いているほどだ。
それに着てみてはっきりした事だが、巫女の白い肌着の丈はちょうど股下1・2ミリしかない。細く白い剥き出しの脚がすらりと伸びているのは良いとして
繊細な恥毛の端が見え隠れしているのは如何なものだろうか。

131:第一話「メッセンジャーガール」6
06/11/23 16:45:49 N6Rh1mFG
「これって・・・サイズが合ってないんじゃ?」
 しかしカトリーヌは至極取り澄まして答える。
「いいえ? それでよろしいはずですが。 とてもよくお似合いですよ?」
「でも・・・」
 輝美の抗弁はそこまでだった。突如歩を進めたカトリーヌがその柔らかい唇で素早く彼女の声を封じたからだ。
「ん、むぅぅ・・・」
 それと同時にカトリーヌのきめ細かな指先が輝美の敏感な部分を弄っていた。
「んっ、んんん!」
 やや高い、波のような悲鳴が地下室に小さくこだまする。まるで羽でくすぐられているような感覚に呻く輝美。しかしカトリーヌは手を休めはしない。肉襞を掻き分け淫裂に添った線を執拗になぞっている。
「ん! ん!」
 引っかかれたバイオリンの弦のような短く鋭い呻きが漏れる。カトリーヌの中指の第二間接が輝美の陰核の下を刷り上げたからだ。
それは決して力任せのものではなくむしろ微かに触れるようないたわるようなタッチだった。
しかし執拗な愛撫にほぐれた守りの皮が徐々に捲れ上がり秘核がはみ出してきてしまう。
「ウ、ぅゥう~ぅ、んんんぅぅ~」
 輝美の呻きが次第に甘たるい響きを帯びていく。長く尾を引くように抑揚する音色を漏らして身を揺らす輝美。こそばゆいような妙に先鋭な感覚に反応してか次第にそこが固く膨らんできている。
襞肉の鞘に納まりきらないほど。魔物のように苛む指先の感触に混じってそのことを自覚せざるを得ない。頬や首筋だけでなく充血していく秘裂全体が妙に赤みを深めていく。
(ああぁ? な、なんかで、でちゃう・・・)
 輝美は自分の深奥から何かがあふれ出してくるのを感じた。閉ざされた肉の通路を染み出すようにして伝ってくる。引っかかるような胎内の感覚に頭の中が混乱してしまう。
(あ、や、やめ・・・)
 輝美は心の中で哀願した。しかし数センチ先にあるカトリーヌの目は冷ややかだ。カトリーヌの指先はそれを促すようにひっきりなしにこね回し指の腹だけでなく滑らかな掌全体を使って秘部全体を揉みしだくようにしてくる。
 愛撫される輝美のかかとは時々宙に浮き、その膝とふくらはぎが微かに震えている。そしてカトリーヌの舌は輝美の唇を割り、その口内の粘膜を玩んでいた。混ざり合った唾液に塗れた舌がもつれるように蠢いている。
 銀紙を噛むような異様な感じが秘部に溢れ、下腹部がどこか痺れたような具合になる。輝美は震える瞼を半ば閉じるようにして口の端をわずかに歪めている。
「ぅヴ・・・?!」
 そのとき一粒の粘性の雫が輝美の肉の裂け目に溢れ出した。それは熱を帯びた恥部を潤し、感覚を倍加させる。それは今やあからさまな快感となって輝美を苛んだ。
カトリーヌの愛撫はいっそう遠慮のないものになり微かな水音さえも聞こえてくるほどだ。
 薄暗い地下の密室に二人の乙女の生々しい吐息が響いている。
 逃れよう、押し離そうとする輝美の動きは艶かしく、むしろ悶えている様子に見える。背中を汗ばませ、身をくねらせる輝美の腰をカトリーヌの細い腕が捉えて支えている。
その割烹着の袖の感触は汗ばんだ薄い衣越しに伝わり奇妙な感覚を促すかのようだった。
すでに輝美はトロトロに濡れていた。カトリーヌはやや上気した、慎ましやかにも扇情的な視線で輝美の細められた、震える眼を覗き込んでいる。


132:第一話「メッセンジャーガール」7
06/11/23 16:46:26 N6Rh1mFG
 ふいに愛撫が止む。輝美はようやく、カトリーヌの肩に手をかけて強引に引き離した。そして唇を開放されると同時に叫ぶ。
「な、何するんですか!」
 その声はどこか上ずっており、呼吸もまた荒い。その唇の端からはさっき途切れた涎の糸が付着している。しかしカトリーヌは袖口に口を拭って事も無げに答えた。
「準備体操のようなものです」
「じゅんび、たいそう?」
 輝美は半ば肩で息をして問いかける。
「はい、予めある程度の興奮状態にあったほうが良いかと。オーガノンは意識下の世界と心を繋げることで始めて起動できるのですから。」
「意識下の、世界?」
 輝美は状況が飲み込めず、思わず何度も鸚鵡返ししてしまう。
「無意識の底に沈められた、原初の生命力のようなものです。人は皆、その心の奥底でこことは違う世界に繋がっているのです。その力を解放するためにはある種の精神状態が必要なのです」
 カトリーヌは耳をピクリとだけさせて懇寧に説明する。そしてその手は輝美の透き通った液体に塗れていた。
輝美には真意が理解できず、戸惑った表情は消えない。その心中を知ってか知らずかカトリーヌは促した。
「ではシートへ」
 輝美は心底に困ったようにカトリーヌを横目に見た。
「でも、ちょっと待って・・・あの突起は・・・」
 よく見ればゼリー状のシートのお尻に当たる隆起部分が二箇所ほど隆起している。
「お掛けになれば分かります」
 カトリーヌは微笑んで次の瞬間輝美をくるりと回転させる。穏やかな表情とは裏腹に異論を挟む暇だに与えようとしない。そのままコックピットに押し込むようにして強引に掛けさせようとする。
「ちょ、ちょっと・・・!」
 輝美は抗おうとしたが不意打ちにバランスを崩して倒れこむ。それにさっきの愛撫で妙に力が抜けたようで抵抗することも困難だった。カトリーヌは上から輝美を押さえ込むようにして逃れることを許さない。
そしてその手は輝美のお尻の下で蠢いている。
 残忍なカトリーヌの手はシートの飛び出した異物の位置を調節している。もがく輝美にもそのことは分かったが如何とも抵抗しがたい。ぬるぬるしたそれがお尻に触れる度に力を込めるが体勢的にもはや如何ともしがたい。
「あ! ダメ!」
 柔らかくてぬめりを帯びた突起が会陰にさまよい先端が窪んだ穴に押し当てられる。


133:第一話「メッセンジャーガール」7
06/11/23 16:47:00 N6Rh1mFG
「そんな・・・!」
 叫んだときにはシートに深々と腰掛け、ぬめった突起が秘奥と菊座の部分にあてがわれていた。
 次の瞬間、装甲がバタンと閉まって真っ暗になる。どろどろとしたものが体中を包んでくる。
「ちょ、コレ! イヤぁ! ちょっとぉ!」
 まるでイソギンチャクに捕まった熱帯魚のようだった。体中をドロドロしたものが包み込み無数の触手が体中を嘗め回しているような感覚。異様なものが全身の毛穴に浸透してくる。
先鋭化した肌がざわめき輝美は深い湿った吐息を漏らした。
「うぁッ! あ、これ? ぁおぅ?!」
 突如として股下の隆起が膨れ上がって逃れることの出来ない彼女の二穴に強引に侵入してくる。通常は締められている筋肉をこじ開けて意思を持っているかのようにくねりながら入り込んでくるのだ。
「あぉ、うぁ、ンッ、ぅうう・・・?!」
 輝美は暗闇の中で一人悶えた。敏感な入り口を陵辱的に苛みながら奥にまで潜り込んでくるゼリーのような異物。それは彼女の下腹の奥底で疼いていた。
「ぅっ、ぅん、ぅ、ぅあ、ぁ、ぁ・・・」
 ひどく官能的な鼻声で呻き続ける輝美。普段の会話では押さえられている肉感的な響きがそのまま喉から漏れ出している。全身の毛穴から汗が噴出してきていることも分かっていた。
昼の日常とは違ったまるで夏の夜にまどろんでいるような錯覚。
どれくらい経っただろうか。一時間くらいだったのかもしれないし、ほんの数秒だったのかもしれない。狂った時間感覚の中で終わりなき快楽の中で彼女の脳裏に古い記憶が甦ってきた。
それは意識下の封印した呪わしい過去。そうだ、あれも夏の日だった。

134:てろりすとR
06/11/23 16:49:49 N6Rh1mFG
『オルガノン』1話目終了。あと三話分ストックがあります。
僕はこのスレッドという祝祭でこの作品をバタイユに捧げたい。

135:オルガノン 第二話「蠅の王」1
06/11/23 17:11:20 N6Rh1mFG
「へへっ、すぐキモチよくなるからよ・・・」
 ゲリラの男たちはまだ年端もいかない輝美を取り囲んで下劣な言葉を吐いた。
 遠くで蝉の鳴く声が聞こえていた。彼女は香ばしい土の匂いがむせ返る地面に押し付けられていた。
 おびえる輝美の両腕を二人の男が押さえつける。力の違いは歴然としていて逃げ出すことなど出来はしなかった。
無骨な指が襟を捉えそのままぐいっと引き下ろされる。薄手のシャツは音を立てて縦一文字に引き裂けてしまう。まだ薄い胸が晴天の日光に曝された。
 輝美は恐怖の余り声も出ず、涙を浮かべて喉を震わせていた。
太陽は無慈悲に照り輝いている。
 スカートの中で無遠慮に突っ込まれた手が下着にかかる。輝美が足をくねらせて抵抗する。前にかがんでいたヒゲの男は彼女に平手打ちを食らわせた。
その乾いた音と衝撃に全ての力が奪われてしまう。
 下着が引きちぎるように脱がされ、捲り上げられたスカートに彼女の秘部が露になる。夏の暖気と陽の光に熱せられることが奇妙な気分を促す。
細い産毛のような恥毛がまばらに生えたそこは下賎な男たちの劣情をよりいっそう煽った様子だった。
 無骨な指先で触ったらダメな部分を弾かれ、輝美はびくりと震えた。
「俺たちも鬼じゃあないからよお」
 ヒゲ男はポケットから一粒の白い錠剤を取り出した。そしてそれを輝美の股間のラインに繰り返し擦り付けるようにする。
「な、なに、な・・・」
 それは麻薬だった。
「な、なあぁああ?!」
 最初その意図が分からなかった輝美にもだんだん理解できてきた。徐々にソコが痺れるようになってきてだんだんと何かむずがゆいようなおかしな感覚が広がってくる。
「もったいなくねえか?」
 輝美の腕を押さえつけているスキンヘッドの男が呟く。ヒゲはしたり顔で答える。
「痛がって暴れられるよりよっぽどいいぜ? どんな顔するか見てみたいだろ? どうせ記念すべき開通式なんだからよ」
 そんな会話の間にも錠剤は秘部の皮の内側に押し込まれる。ヒゲは輝美の秘唇を両側から指で摘むようにしながら揺すぶっている。
 輝美は股間の微かな異物感だけでなく何か強烈なものが広がってくるのを感じていた。何か切ないものがこみ上げてくる。
うだるような暑さと興奮状態で体温の上がった身体に染みわたってくるかのようだった。
むしろ快感で危険な気配に鼓動が高まる。徐々に体中がざわざわしてきて落ち着かなくなってくる。微細な神経が侵されて朦朧となってくる。
背筋から熱が広がっていくようでその額には小さな汗の玉が浮き出していた。
「へえ、何か感じちゃってるみたいだぜ」
「そうだな、えらいうっとりしてる」
「やっぱ、小さくても女は女だな」


136:オルガノン 第二話「蠅の王」2
06/11/23 17:12:03 N6Rh1mFG
 どこか遠くで声が聞こえていた。羞恥ということを理解できないほど幼くはなかったがそのときの輝美にそんなことを考えている余裕などありはしない。
「ぅっ、ふぅうう・・・」
 半開きになった口からくぐもったような声が漏れたがそんなことは気にならなかった。どこか霞んだ視界の中でその奇妙な快楽に身を委ねていく。
「ゥッ! う、あ!」
 突如乳首に電流が走り、まだ固いホットケーキのような乳房全体にこそばゆい感覚が広がっていく。
「ミルク出るか?」
「出ねーよ」
「でもえらい顔してるよな。真っ赤になってるぜ」
「ああ、乳首ビンビンだ」
 そこを舌先で転がされ、乳房全体が啜られる。輝美は疼く胸から本当に何かを啜りだされているような錯覚に見舞われる。そして下腹部がやたら疼いて仕方がなく自分から腰を小さく振ってしまう。
「あぁぁ~~~んぅぅぅ~~~ァァ~~~」
そこからは薬の粒子で白く濁った得体のしれない、妙に生臭さを感じさせる液体が滴っている。その雫は肉裂のラインに沿って垂れていた。
毒された愛液に浸された薄ピンクの肛門はヒクヒクと弛緩と収縮を繰り返している。男たちの影の隙間から当たる陽の光さえ責め嬲るような触感を与える。
「あぁああ~~~あ~~あ~あ~~~?」
 輝美の喉から漏れる声はもはや嬌声としか言いようがない。揺らぐ意識を反映した喉は呆けたような長たらしい音ですすり泣くかのようだ。
「ほぉ~あ~あ~、ぉ~あああぁぁ~~~」
甲高くも揺れるように抑揚した艶かしい音。糸を引くような生々しい声が迸っている。彼女の定まらない視線は完全に宙を浮遊し、時折あらぬ方向にさえ流れるのだった。
忌まわしい薬はすでに秘部を完全に侵食し全身に回りつつあった。
「とォ~けるぅ~とォぉ~けぇ~るぅ~よぉぉ~、あぁ~~ああぁ~~~とぉ~けぇ~るぅぅ~~~~」
思考そのものが言葉になったが自分がそれを口にしている自覚さえも曖昧だった。実感があるのはただ男たちの腕が触れることと狂い立つような身体の感覚。
陵辱的な太陽が淫猥に強烈な光で視姦していることを思う。
「みぃてェるよぉ・・・おひさァマァがぁみてるぅよぉぉ・・・」
完全に呆けたような顔で身悶えている輝美。突如、下腹部に引き攣るような感覚がこみ上げてくる。
「んなぁ~~ぃぞう・・・がァァ!!」
内臓がヘンだ。しかしその疼きは一気に圧力を上げ激しい痙攣にまでなってしまう。彼女は激しく身を捻った。
「ぐ、ぐぅぁあううぅ・・・・」
 うめくように叫び、大きく反らしたお腹が蠢く。汗に濡れた首筋は大きく左右に触れていた。そして唇の端から流れた涎が顎を伝って首にまで流れていた。
「もうそろそろじゃねえか?」
「ああそうだな。なんだ、こいつ欲しがってんじゃないか」
「きっと生まれつきの淫乱女だよ」

137:オルガノン 第二話「蠅の王」3
06/11/23 17:12:38 N6Rh1mFG
 遠くで笑い声が聞こえた気がする。ヒゲがのしかかってくる。無骨な両手で捉えられた輝美の腰は強引に引き寄せられ、そして・・・
「あ! アアぁぁあああ~~~?!」
 肉を掻き分けて貫入してくる。太くて太くて固くて熱いものが押し入ってくる。容赦なしに押し広げてくるのだ。
「裂ァけるゥ!!!」
 このときばかりは輝美も声を甲高く絞って叫んだ。しかし拒絶の言葉を吐く暇だになくその先端が一気に子宮を突き上げ輝美は喉を反らした。
 強烈に輝くギラギラとした太陽と目が合った。それは暴力的な眼差しで生贄でも見るかのように輝美を見ていた。温かいはずのお日さまは畜生的な光を放射して満足げに頷いたかのようでさえある。
 彼女の口が何かを乞うように再びパクパクと動いたが言葉にはならなかった。その顎元へと涙が伝う。
 激しい痛みは確かにあった。しかし熱せられた呪わしい快楽が感覚を狂わせている。もはやまともな思考力は残っていなかった。
頭の中がグチャグチャになり異様な疼くような狂った快感の中で膝をもじもじと動かすのが精一杯だった。
 激しい前後運動が始まる。抜けかけては差し込まれ突っ込まれては引き出される。抉るかのようにして捏ね回される。
「う、ぅあ、あ、ア、あ、ああアァ、あ・・・」
呂律の回らない声を上げ、無意識に腕をバタつかせて状態をくねらせる。しかし彼女の下半身はがっちりと押さえ込まれて情け容赦ないピストン運動に組み込まれていた。
輝美は顔を真っ赤にしかめて喘ぐように切れ切れの言葉を吐く。そのときには視界が妙に暗くなっていた。
「死ぬ、しィぬぅ、しぃぃぃぬうぅぅ!」
 ザクザクと打ち込まれる男根は輝美の脆い部分を一方的にときほぐしていく。すでにぐしょぐしょで筋肉の弛みきっていたそこは酷くはしたない水音を立てる。
「ひィっぱぁたら・・・ゃぁ、ゃあゃぁよぉ、あ~ゃぁ~~~」
突き込まれるたび汁にぬめった股間が広がるのを感じ、引き出されるときには内臓までが引きずり出されるような気がした。妙に喉の渇いたような感覚。
もがく腕はしっかりと押さえ込まれて逃れることは許されない。
その目からは涙が伝い落ちていた。そしてその目はもう何も見てはいない。ただ翳った視界の中でさっきの無慈悲な陽の円だけが浮かび上がってくる。
「みぃなぁいでぇぇ~~~~~~~」
 彼女の麻痺した目は何も見てはいない。ただ脳裏に映った幻影の白い太陽に乞うかのように訴えた。
「あ、ぃや、ぁあぁ、あ~んんぅ~・・・い~~やぁぁ・・・」
 そのとき突如引き抜かれ、次の瞬間に顔から胸にかけて何か熱いものが飛び散った。
 引き抜かれてなお輝美はヒクヒクと痙攣している。その虚ろな目はどこかずっと遠くを見ているかのようだった。
「コイツは上玉だぜ!」
 ヒゲが悦に入ったように叫ぶ。そしてそのヒゲ面を華奢な脚の間に押し込んで麻薬の混じった愛液をむしゃぶり始める。
「ほら、イイだろう? イイって言えよ、なあ!」
 時折口を離して完全に狂った目で叫ぶヒゲ。輝美はその汗ばんだ胸を大きく起伏させて麻痺した眼を見開いている。その顎もまた大きく開きッぱなしになり金魚のように浅い切れ切れの呼吸を繰り返していた。
「お~い、感じてますかあ~」
「返事できねえくらいキちゃってるなんて、さすが生来の痴女だな!」
 押さえつけている二人の男が楽しげに言う。

138:オルガノン 第二話「蠅の王」4
06/11/23 17:13:16 N6Rh1mFG
「お~い、感じてる~?」
 再びヒゲが叫ぶように揶揄し、輝美の熱を帯びて歪んだ頬をペチペチ叩いた。
 そんな会話が輝美の耳には断片的に聞こえてくる。耳鳴りと混じって断片的な単語が認識される。
 彼女は思わず、その言葉に返事をしなくてはいけないというふうに思った。きっと舌の責め苦を免れた間だけ中途半端に理性が戻ったに違いなかった。そして彼女は切れ切れの声で応じてしまう。
「かァ、かぁ~んじぃテる! カンぅジぃ~テるぅのおぉぉぉ!」
そのとき輝美は自分の発した言葉の意味を理解していなかったと言ってよい。むしろ鸚鵡返しに近かっただろう。彼女はもう自分が何をされているのか分からなかった。
 しかし男たちはどっと笑って囃し立てる。
(空ガ、火照ッテル・・・)
 狂った感覚の中でふと視界に映る振動する「空」を認識する。紫と橙色の入り混じったようなやたらと扇情的な色合いをしていた。
「キモチイイですかァ!」
 耳元でそんな音が聞こえる。彼女はその音を反復して発声した。
「き、キぃもちいイぃですかぁ・・・」
 半ば精神と乖離した体がそんな言葉を口走った。相変わらす快感は激しかったが過度の絶頂で少し気持ち悪くさえなっていた。そして視界が揺れ、身体に激しい痙攣が走る。
目があらぬ方向に回転し真っ暗になる。輝美の口の端からとめどなく白く濁った涎が流れ落ちる。彼女はそのまま泡を吹いて気を遣った。


 急に輝美は我に返る。真っ暗だった。
(そうだ、ここ、オーガノンのコックピット・・・)
 身体中がジンジンとする。これは快楽。止めようもない快楽の波。自分の中に割り込んだゼリー状のものが肉を押し広げて激しく暴れまわり外性器もまた揉みしだかれているようだった。
(あ、暴れてる、わたしのナカで、暴れてる・・・)
 首筋を何かが伝うような感じがした。乳房もまたゼリーベルトに苛まれている。
(うァ? だめ、きちゃう・・・)
 輝美は目を潤ませる。しかしそのとき、あのゲリラたちの顔が脳裏をよぎる。そして自分を責め嬲った太陽の光の感触もまた甦ってくる。それが一瞬の精神の沈着をもたらした。
 こみ上げてきた感情は底知れぬ屈辱感だった。
 あのとき、初めてだった。それは誰か、もっと大事な相手とでなければならないはずのものだった。もっと、もっと幸せな経験でなければならなかったはずだった。
それを得体の知れない連中に奪われた。よりにもよって父さんや優しかった隣人を手にかけた連中に! ただ犯されただけでなく、陵辱の限りを尽くされたのだ。
そして薬のせいとはいえ快楽に溺れて屈辱的な台詞を何度も何度も口走りながら何回も何回も絶頂の狂態を曝した。
 そしてお日さまさえもが自分を裏切り、一緒になって自分を陵辱したのだ。


139:オルガノン 第二話「蠅の王」5
06/11/23 17:15:13 N6Rh1mFG
「ふざけんじゃない・・・」
 輝美は小さな噛み殺すような声で呟いた。溢れた涙が頬を伝って顎にまで流れていく。
 しかし意思とは関係なく身体中が快感に震え精神を侵食しようとする。そして迫ってくるもの。とどめようもなく遠慮会釈なしに近づいてくるオルガズム。
輝美は紅潮した顔で歯を食いしばった。
「ぐ!」
 それは脳髄が痺れるような衝撃だった。視界が揺れる。全身の細胞が泣き叫んでいる。脊柱を走る電撃に心臓が止まるかとさえ感じたほどだ。
 しかし彼女は耐えた。
 意識が飛びそうになる中で全身と顎に力を込めて。剥きだされた歯がギリリと音を立てる。その拳は操縦桿を握りつぶそうとでもするほどに握り締めていた。そして涙はもう止まっていた。
 次の瞬間だった。目の前に青く光るホログラムディスプレイが映し出されたのは。
《操縦者確認―パイロットデータを更新します》
《外部パワーリンク確立中》
 そのとき輝美の目の前に奇怪な幻影が浮かび上がる。まるで巨大な蠅のような青いホログラム。六枚の羽を振動させて羽音さえ立てている。その前足を擦り合わせて輝美の顔を覗き込んでいる。
 輝美は我が目を疑った。
「わ、わぁ!・・・ァ、ァ!」
 驚愕の余り、改めてイッてしまう。もっとも断続的な小さな絶頂感は先ほどから続いていたからそのせいとばかりはいえなかったかもしれない。
ついでに言えばその瞬間の彼女の意思はそれを半ば無視していた。
とにかく輝美は心身の乖離の中で目の前に現れた幻影の驚きと不快感に顔をしかめていた。青く光る複眼の一つ一つにその顔がぼんやりと映っている。
 奇怪な蠅が前足を伸ばし輝美の乳房をつつく。その硬質なざらりとした肌触りに輝美は身を固くした。どのみちこの狭いコックピットの中で逃れる術はない。
 しかしせめてその足を払いのけるくらいのことは出来るだろうと考えたがすぐにゾッとする。身体が動かなかったからだ。まるで金縛りにあったかのように指一本として動かすことが出来ない。
 そうこうするうちに蠅の幻影はその顔を輝美の乳房に近づけその乳首を舐め始める。
(い、いや、こ、こんなのって・・・)
 その舌使いは余りにも繊細で敏感になった彼女の肉体にはあまりに過剰な刺激だった。
 そしてそれ以上に驚異だったのはだんだんと乳が張ってきたことだ。輝美はゼリー状の異物が入っている膣をヒクつかせながらその感覚に耐えていた。
(う、くぅぅ!)
 乳首が焼けるように熱い。そしてクリトリスもまた爛れた感覚を示していた。
(ひっ・・・!)
 輝美は声にならない悲鳴を上げた。熱いものが自分の乳房から噴出したからだ。それは甘たるい香りを放つ母乳だった。
それはいきり立った乳頭から白い滴となって滲み出し乳房を搾る蠅の足の動きに合わせてあとからあとからあふれ出してくるのだった。


140:オルガノン 第二話「蠅の王」6
06/11/23 17:16:16 N6Rh1mFG
(うそでしょ!)
 蠅は一心不乱に輝美の乳房をしゃぶっている。二本の前足で柔らかい双方の肉を寄せ乳首を無理に合わせて滴るミルクをしゃぶっている。
(げ、幻覚? やっぱり幻覚なの?)
輝美がそう思ったのも無理はない。彼女の乳房は現実ならそんな風に寄せることが出来るほどのボリュームはないはずだったからだ。
 しかしそのとき頭の中でしわがれた声が聞こえた。
『いいや、真実さ。もう一つの世界における真実さ』
 その声に彼女は動転してしまう。どうやら蠅が喋っているらしかった。脳裏に昔本で読んだ悪魔、蠅の王のことがよぎった。
『お前の乳は甘いのう』
 蠅は一心に輝美のありえない分泌物をしゃぶっている。前足で大きく張った乳房を左右から絞り、じゅるりと音を立てて吸い取った。
 輝美は微かに顔をしかめて蠅の怪物を睨む。それが精一杯の動作だった。
『怒っても垂れてきとるわ・・・』
 幻影の蠅は繊毛の生えた口で限界まで勃起した乳頭を嘗め回している。
 そのとき輝美は違和感に身を震わせる。お尻の下で、お腹の上で何か細かいものがもぞもぞと這い回っている。そして視線を下げてゾッとする。
 輝美は無数の蛆虫の中に身を浸していた。それは幻影の蠅と違って本物のように見えた。グロテスクに身をくねらせながら体中を這い回っている。
 悲鳴を上げることさえできなかった。身体が相変わらず動かないからだ。
(ひッ! ぅ、ぅあ!)
 彼女が胸の中で悲鳴を上げたのは止むを得ないことだ。股を浸した蛆が陰唇の隙間から侵入してくる。それは皮の裏側で這い回り、染み出した彼女の汁を舐めているのだろうか。
陰核にまでもそれは這っていった。
(く、くぅぁぁぁああ・・・)
そして事もあろうに開口部から彼女の胎内にまで潜り込んでくる。
(んぁア?! だ、だめ、そこは、そこだけは絶対ダメ、だァめ・・・)
 肉襞の筒にまで入り込んだ蛆虫が蠢きながら這い上がってくる。尿道や肛門にもじりじり進入を開始していた。救いようもなくむず痒いような感覚が身体の奥底にまで入り込んでくる。
(ほォぁアぁぁ~~~~~~~~~~)
 蛆虫は子宮にまで達し、卵管を伝って本当に体の中にまで入り込んでしまった。輝美の動かぬ身体のうちでその瞳だけが彼女の精神状態を示している。
(し、心臓が、しんぞうがァ・・・)
 心臓を嘗め回されているような感覚。尿意を催したが尿道は蟲で埋まっている。そのもどかしさがさらに彼女を高ぶらせていく。
その下腹の筋肉はヒクヒクと震えている。
(な、なんでこんなことに・・・)


141:オルガノン 第二話「蠅の王」7
06/11/23 17:17:57 N6Rh1mFG
 巨大な蠅が母乳を啜り蛆が胎内で踊り狂っている。蠅と蛆が共謀して彼女の肉体を玩んでいた。もはや絶頂ですらない感覚。快感を通り越した無感覚があった。
突然、彼女は言葉を発した。
「なに、コレ?」
その声は侮蔑的で挑戦的でさえある。極度の異常に感情が裏返ってしまったらしい。狂ったように揺れる目は妖艶を通り越して悪魔的な輝きさえ帯びていた。
 輝美の気配の変化に蠅の舌が一瞬動きを止める。そのとき彼女の左腕は蠅の背中に回された。そして右手は蠅の生殖器を鷲掴みにしている。
その繊細な指が硬質で繊毛の生えた器官を握り締め、その先端をひっかける。彼女の白い指はざらざらする甲皮を一気に剥き上げてしまった。そのまま露になって脈打つ蠅の肉を手先に愛撫した。
「固くしなさいよ」
 輝美は誘惑的な笑みを浮かべた。そのままグロテスクでじゅくじゅくする先端を自分の愛液と蛆に塗れた秘裂に押し当てる。彼女の目は生えの複眼を覗き込んでいた。
「ほぉら、ヰかせてアゲル」
 輝美は天上の歌い女のような声で常軌を逸して誘惑的な響きで囁く。そしてハエの背に回した左腕を一気に引き寄せた。
 蠅の器官は彼女の体内に引きずり込まれる。
「ィィ!!」
 短く鋭い歓喜の叫びを上げる輝美。彼女の形の良い胸は蠅の腹に押し当てられて柔らかく潰れていた。
「あ~~こォれぃぃ、これェぃぃいょ、ぅごいてる、びぃくびくシぃテル・・・」
 彼女は上気した面持ちで蠅に口づけした。そして粘液に塗れた蠅の口元に舌を絡めてむしゃぶる。彼女の中で無理に剥かれた蠅の生殖器がビクビクともがきまわっている。
「ねぇえ、あッたかぁいぃ? わたしのなぁか・・・なンとかぃってみなさいよォ・・・」
 輝美は両腕で下から蠅にしがみつく。そして何度も何度も腰をせり出すようにして蠅の生殖器を舐り上げた。淫液と潰れた蛆に塗れてどろどろになった秘裂が魔物のように蠅を弄り玩んだ。
 耐え切れなくなった蠅が必死になって腰を振り始める。「蠅の王」の尊厳もかなぐり捨てて彼女の肉体に溺れていた。
彼女は匂いまでさっきと違ってしまったようでオスを狂わせる芳香を惜しみ気もなく垂れ流している。
「ぅぁあ~~~きもちぃぃよぉ~~~はえちんぽぉぃいいぅょおぉぉ~~~~」
 彼女は自分も腰を回すようにして蠅ののたうつソレを貪った。狂った交合は忙しなく繰り広げられる。
「ァ~~だぁしなさぃ~~~ぜぇんぶだぁしてぇ~~~~~~~~~」
 輝美は恍惚の極みで淫魔の如き嬌声を発した。悶える蠅を汗まみれの腕で抱きしめて輝美は腰を早める。蠅はもうピストンする余裕さえなく彼女の上に身をもたせかけている。
「ぁ~~~~ぃ~~こぉれぃい~~~~」
ただの男なら声だけで果ててしまうほどに甘美な声だった。輝美の肉襞は断続的に蠅のモノを締め上げている。
「しィぼりトったゲルからぁ~~~~~だぁしちゃぃなさイぃぃ~~~~~~~」

142:オルガノン 第二話「蠅の王」8
06/11/23 17:18:38 N6Rh1mFG
 ついに耐え切れなくなった蠅が漏らしてしまう。その動きに合わせて輝美の膣が痙攣する。引き締まった肛門は入りかけの蛆虫を引きちぎった。
「はぁぁああぁあ~~~~~~~」
 戦慄を覚えるほどの「艶」を全身から滲ませて彼女は腕に思い切り力を込める。それに連動した膣肉が内側に向かって打ち震え吐き出された白濁を啜りこんでいく。
 それでも収まりきらなかった体液は結合部分から流れ出し彼女の股をぐちょぐちょにしてしまう。それは脚を伝って脹脛まで流れていく。
「もぉ~まぁだぁ~~~ィっパイでぇてるぅ~~~~~だぁしすぎだぁよぉ~~~~」
 輝美は目を炯々と光らせて蠅の複眼に頬擦りした。その華奢な肩は悩ましげに震えて満面に悦楽の表情を浮かべていた。
蠅は彼女の腕の中でぐったりとしてしまっている。しかしまだその器官は震えのたうって精液を吐き続けていた。二人(?)の足元には白濁の水溜りさえできている。
「だぁ~しすぎぃ~~~」
 輝美は終わりのない射精を体内に味わいながら蠅に再びキスをした。その頭の中で再びしゃがれた声が聞こえてくる。どこか上気した満足げな響きを帯びていた。
『数百年ぶりの悦楽だ』
 そして最後の言葉にはひどく厳かな詠嘆のような感情が篭っていた。
『汝ならば我らの呪い、解けるやも知れぬ』
 刹那、時間が静止したように感じられた。
 次の瞬間、蠅の王はかき消すように消えてしまう。蛆虫の群れも消えてゼリー状のシートに戻っていた。そして輝美は再びコックピットの闇の中に取り残された。
 ようやく彼女は我に返り自分がどうしようもなく熱くなっていることを改めて悟る。ゼリーシートに包まれた股間は自分の愛液で洪水状態だった。
(何だったの、今の・・・)
 しかしそんなことを考えている余裕はなかった。下腹部の裂け目がある種の拷問のような状態になっていたからだ。彼女は操縦桿を握り締めて額に汗を浮かべながら起動の完了を待った。
《精神系調整完了》
《起動完了まであと7秒》
 絶頂の連続は未だに止まらない。むしろ頻度が増し、予兆さえも耐え難いものになってきていた。自分でもバギナが痙攣し子宮が踊っていることが分かる。
ゼリー状のベルトの中で乳房の芯にまで届くようなものが渦巻いている。
 そのときコックピットの中が急に明るくなった。このオレンジの光はあの地下室を照らしていたのと同じもの。輝美は目の前に立っているカトリーヌの姿を認めた。
周囲を見渡せばコックピットの装甲が透けて外部の様子が丸見えになっている。
《ランスロット・起動しました》
 ホログラムのディスプレイにはそんな文字が躍っていた。
 安心したその瞬間だった。
 とてつもなく強烈な疼きが股間から背筋を駆け上がってくる。完全な不意打ちだった。
「あ、ああああ、ぁぁぁぁ・・・」
 輝美は気の抜けたような悲鳴を上げる。
 青銅の色に輝くオーガノンはその鎧の奥で赤い目を炯々と光らせて薄暗い地下室に蹲っていた。
『耐え難い異常な経験を乗り越えたとき、人は単なる人間以上のものとなる』
 外部から全てをモニターで見物していた三宮は男根を屹立させたまま、一人でそう呟いた。
 彼の持論によれば人の定義は二種類ある。一つは単なる社会的生物としての人間。そしてもう一つは限界的状況に直面して一線を越える際に現れる神的な存在者。
この半ば風化した世界ではその境界は脆い。オーガノンはその一つの現れに過ぎないのだ。
『実にいい時代になったものだ・・・』
 青白いモニターに映し出された輝美を眺めながら三宮は肩を震わせて笑った。

143:名無しさん@ピンキー
06/11/23 17:22:09 9kxNEveH
>>134
グッジョブ!!
ちょうど求めていたモノで私の股間をジャストミートしました
とても続きが気になります

144:てろりすとR
06/11/23 17:22:46 N6Rh1mFG
念のために釘刺しとくけれど
小説のマネを「リアルでやったら駄目」です

145:オーがノン 第三話「白亜の憂鬱」1
06/11/23 17:50:49 N6Rh1mFG
「アレク、きもちいぃ?」
 ドーネチカ・スズキは横たわった弟のモノをたわわな白い乳房で挟みながら少し上ずった声で問いかけた。
白い皺の寄ったシーツの上で女はひどく官能的な声で言葉をつないだ。
「ね、キモチイイでしょ、ね、ドーニャ姉さんもすごく嬉しいよ? ね、とっても固くなってる・・・」
 白い個室に流れる流行音楽の女性ボーカルの声に混じって濡れた言葉が繰り返される。
年のころ二十歳前後といったところか。淡い金色の髪をポニーテールに束ねている。髪に青い瞳、ただし右目だけは琥珀色のオッドアイ。その肌は透き通るように白く熟れはじめた肉は見るからに柔らかそうだった。
 逆に少年は痩せて肋骨が透けて見えるほどだったが、その端整な顔立ちは姉とよく似ている。
青白く痩せ細った足首を跨ぎ、一糸まとわぬ姿で奉仕を続けている。豊かな見目麗しい乳房で隆起した男根を挟み込み、その変幻自在の肉でマッサージする。
皮を被った先端から漏れた液体が絹のような肌を濡らす。彼女の細い指は熱心に自分の膨らみをこね回し押し付けている。鍵をかけた白い病室は彼女の秘めやかで蜂蜜のような体臭に満ちていた。
 ドーニャはその舌先を包皮の開口部に押し当てるようにしてゆっくりと剥いていった。唇の摩擦を上手く使って極力歯を立てないように注意しながらだったがどうしても駄目な場合はほんの少し歯で引っ掛けて甘噛みするようにしていた。
ゆっくりと剥かれて露出される裏側の敏感な部分を舌の平たい部分で被っていくようにして彼女は弟の成長しきっていない性器を喉元にまで咥え込んだ。
「ン~~、ふぅ~~~」
 くぐもった鼻声を出して口内に玩びながら頬の裏側や舌で丁寧に拭ってやる。やがて彼女はちゅるんと音を立てて一端口を離した。開放されたソレは唾液に光り彼女の眼前で揺れた。
 ドーニャは鼻から深い吐息を漏らす。その眼差しは異様なほどに愛しげだった。そして彼女はその視線をそっと揺れるものの先、アレクの顔に向ける。
姉弟はコーカソイド(白人)との混血だった。一見白人のように見えるドーネチカの肌がきめ細かなのは東洋人の血が混じっているせいなのだろう。その整った容貌もまたどこか優しさを孕んでいる。
少年のはだけられた胸を這うようにしてドーニャはゆっくりと這い上がっていく。芳香を放つような美しい肉を擦り付けるようにし、動かぬ足に白い足を絡めてアレクセイの顎にキスをした。
「ね、アレクセイ。わたし、何にも着てないよ? ほぉら、柔らかいでしょう? 分かる? わたしの乳首固くなっちゃった。コリコリしてるでしょ、こんなになってるの・・・分かるでしょ?」
 彼女は眠る弟の耳に唇を寄せ、さも愛しげに囁いた。勃起した乳頭をその物言わぬ口元に押し付けるようにして彼女は言葉をつなげた。
「ね、わたしとっても綺麗だよ? 何にも着てないの。アレクにだったら、見せてあげるよ? 何でも見せてあげる。なんでもしてあげる。ほら、見たいでしょ? わたし丸裸だよ?」
 少年の表情に変化はない。まるで蝋人形か何かのように瞼を閉ざして眠り続けている。心電と脳波を表示するモニターは相変わらず単調なパターンを刻んでいた。
ドーニャはそれを横目に睨んで再びアレクセイの横顔に視線を戻した。そして小さく溜息をついた。
 ドーネチカは舌先で弟の耳たぶをなぞりながら深い息を吹きかける。そこには言葉にならない愛情が込められていた。
 アレクセイはもう六年間も眠り続けている。あのゲリラによるホテル襲撃事件で両親は亡くなり当時八歳だったアレクセイは植物状態になったのである。
まだこの国の混迷たる内戦状態が悪化する前の話だったのでニュースでも大々的に取り上げられる騒ぎになった。ドーネチカのみは臨海学校で別の場所にいたために難を逃れた。


146:オーがノン 第三話「白亜の憂鬱」2
06/11/23 17:52:15 N6Rh1mFG
 『ひょっとしたら意識を取り戻すこともありうる』という医師の言葉だけが七年間の間ドーネチカにとって心の支えだった。幸い持ち家もあり資産もあったため治療費には困らなかった。
もっとも通常の進学を諦めなくてはならなかったがそれは士官学校に進むことで解決された。女性としては体格に優れまた成績も優秀だった彼女は創立後間もなかった軍の教育機関で比較的歓迎されたといって良い。
ローティーンで家庭を失った彼女はそれこそ毎日のように弟を病院に見舞った。士官学校に籍を置いていた時期もよほどの事情がない限り、最低でも週に一度は足を運んでいた。
 回復のきっかけになればとドーネチカは意識の戻らないアレクセイに時間が許す限り優しく語りかけた。流行の音楽を聞かせ、枕元で古い本を朗読する。まだ幼かった頃にしてあげたように。
擦り切れた童話のページを何回繰っただろうか。濡らしたタオルで身体を拭いてやり、時には看護婦の付き添いの下、車椅子で病院の隣の散髪室にも連れ出したりもした。そんな日々が何年も続いた。
 そしてあるとき彼女の愛情は一線を越えてしまった。アレクセイの股間が勃起しているときがあることにはずいぶんと昔から気が着いていた。要するにそこが弟の唯一の「起きている」部分だったわけである。
ドーニャは次第にソコの反応に一喜一憂するようになる。
 そしてある時期から来訪の度に鍵をかけた病室で眠るアレクセイを愛撫することが習慣になった。最初はオムツに手を突っ込んで弄る程度だった。脳波モニターとペニスを交互に見て反応を見る。
微かな罪悪感と背徳的な高揚を感じつつも彼女は真剣だった。皮を被った先端から浮き出した、透き通る水滴に指で触れて糸を引くの見たときには慌てて医学書に当たったくらいだ。そんなことがかれこれ二ヶ月ほど続いた。
しかしあるときドーニャは見てしまった。愛しい弟が射精するところを。手の中でソレが可愛らしく痙攣して少し黄ばんだ白いものを吐き散らした。手の中に零れた白濁は驚くほどに熱く弟がまだ生きていることを痛いほどに実感させてくれた。
その特有の臭いが鼻を突いてドーニャは切なさに少し胸が苦しくなったのを覚えている。それは今でも変わらない。そして脳波モニターに現れた確かな反応も決定的に彼女を後押しした。
(ひょっとしたら、ひょっとしたら、この子は目を覚ますかもしれない!)
彼女は泣きながら萎びれていくそれにむしゃぶりついていた。唇で陰茎の脈を感じながら、夢中になって舌先で弄った。そして生臭い汁があふれ出すごとに最後の一滴まで吸い取ろうとでもするかのように頬をすぼめて思い切り啜り上げた。
温かいそれが喉を通る感触に咽ながら弟の陰毛に涙を注いで。その日、何回も飲み干したことを彼女は今でもはっきり覚えている。そして精液に汚れた顔を上げたとき、自分の下着がぐしょぐしょになっていることに気が着いた。
 ドーネチカは赤いチェックのスカートに手を突っ込み、恐る恐る自分の秘所に指を伸ばした。ごまかしようもなく濡れていた。認めたくない事実にまた涙が止まらなくなった。自分が植物状態の弟に欲情して玩んだことなど絶対に認めたくはなかった。
しかし結局は止めることが出来なかった。白いシーツに片手を突いて身を屈め弟の命をしゃぶりながら自分の恥部を慰め続けた。流し台の鏡には彼女の突き出した形の良い尻が映っていた。
震える太股を幾筋もの愛液の雫が伝い落ちてその紺色のソックスを濡らしていった。
 ドーニャは頭の芯が痺れるような酩酊した感覚に憑かれ、互いの液体が最後の一滴まで流されるまで行為を止めようとはしなかった。
 白濁を全て出し尽くしてもなお痙攣していたアレクセイの小さなペニスがもはやピクリともしなくなりドーニャの体内から溢れ出す液体も涸れ果てて太股に乾いた跡を残していた。
やがて時が経つにつれて行為は次第に大胆になり、彼女は乳房や全身を使って弟を愛撫するようになっていった。それにつれて躊躇いもまた薄れてはいったのだが。しかしドーネチカは愛情が全てを正当化できると思えるほどにオメデタイ女ではない。
それが良くないことだとは百も承知していたしその浅ましさも理解している。


147:オーがノン 第三話「白亜の憂鬱」3
06/11/23 17:53:11 N6Rh1mFG
 持ち前の聡明さが仇となり爛れた関係に単純には浸りきることが出来ない。そしてその悩ましさがかえって陶酔を増幅させていく。それはもはや中毒といって差し支えなかった。
 ドーニャは自分が病人の世話をしつつも精神的に依存してしまっていることを自覚している。軍という組織にあっては絶対に弱みを見せることなどできはしなかった。彼女は優秀な兵士でオーガノンのパイロットだったが基本的に心根の部分は好戦的でない。
それゆえに戦闘行為やそれに伴う昇進からは意義や充実感を得ることも出来ない。ただアレクセイだの存在だけが心の拠り所だった。そして人並みの青春がなかった彼女にとっては弟との時間がその埋め合わせとなり無意識に恋人のような感情を抱いてしまっていた。
 ドーネチカは今日もまた愛しい弟との情事に悲しい慰めを求めている。もっとも本当の意味で交わることはできない。万一にも妊娠してしまえば中尉の職を失うことになりかねないからだ。
「ねぇ」
 ドーニャは弟の顔を跨ぎ、片手の指先で桜色のソコを開いてみせる。剃刀で整えられた陰毛は邪魔にはならない。開いている左手でベッドの鉄パイプの淵を捉えて身体を支えている。アレクの頭を挟んで突かれたソックスを穿いた足は踵が浮いている。
「ねぇ・・・見て・・・」
 しかし反応はない。
 ドーネチカは再び這うようにして69の姿勢をとる。弟のモノはまだいくらか固かったが半ば渇いてしまい、先端からの汁も途切れてしまっている。彼女はソレを口に含んだ。
万が一、胎内にアレクセイの生命が芽生えたとしたら降ろすことなどできはしない。今の彼女にとってほとんど切なる願いにまでなっていたがそれは現状では絶対に許されないこと。だから彼女は数え切れないほどの交情を経て未だに処女のままである。
一番欲しいものが目の前にあるというのに。彼女は毎晩そのことを思って身悶えするのだった。
公共・私企業ともに保険の破綻した今時にあっては軍務だけが収入を得る縁だ。できる限りの軍功を挙げて給与を増やすしかない。そしてそれは軍の施設内にあるこの病院での弟の扱いを良くさせることでもある。
そうやって頑張っていればいつか・・・。
 その満たされない思いだけがドーニャのモチベーションを支えていた。
 彼女は衣服を整え、病室を出た。微かに赤くなった首筋だけが行為の名残を示していたが仰々しい濃紺の軍服からはそんな気配は見えはしない。
「弟をお願い」
 帰り際にドーネチカは廊下で会った友人の看護婦に小声で告げた。
「大丈夫。お仕事頑張って」
 有馬千佳はにっこりと微笑んで応じた。そして励ますかのようにドーネチカの背中を掌でポンと叩いた。彼女はアレクセイを担当している気立ての良い看護婦だ。ドーニャと同い年だが背丈は小柄でその丸顔はドーニャの胸元の高さだ。
丸いメガネをかけた鼻の小さな顔は先ほどのドーニャとはまた別種の愛くるしさを感じさせる。
 ドーニャにとってこの友人は特別な味方だった。病院幹部の娘で姉弟に格別同情の念を寄せてくれている。
そしてアレクセイの最初の相手で専属の「慰安婦」でもある。千佳はいざとなれば自分が全ての責任を被るとまで言ってくれた。もっとも保護者であるドーネチカと共謀しているのだからいざとなっても訴えられる心配は皆無である。
幸い千佳本人の父親も「娘の素行が治まった」と喜んでくれている。千佳は看護婦になることを強制した軍医の父親への反発からか一時はずいぶんと男性関係が乱れていたのである。

 ドーニャが去ったすぐ後に看護婦・千佳はアレクセイの病室に滑り込んだ。部屋の様子を一瞥して彼女は呆れた様子で鼻から溜息を吐いた。


148:オーがノン 第三話「白亜の憂鬱」4
06/11/23 17:53:44 N6Rh1mFG
 ドーネチカの華やかな体臭が鼻を突きそれに混じって妙に生臭い臭いがする。おまけに毛布を捲るとシーツが乱れていた。ところどころ染みさえついている。一応は整えたつもりなのだろうが見る人が見れば情事の残響は一目瞭然である。特に千佳のような「猛者」にとっては。
「ったく、ドーニャったら・・・」
 千佳は苦笑して呟いた。
とりあえず金属の鍵をかけた。カーテンはもう閉まっている。
壁に立てかけてあった折りたたみ式の椅子を広げる。彼女は胸のポケットから携帯用のティッシュペーパーを取り出した。一枚をベッドの上に広げてからアレクセイの手を捉える。
 彼女の目に眠る少年の爪は麗しく見えた。スカートのポケットから爪切りを取り出して優しくあてがう。彼女の面持ちはどこか興奮している。
 パチン!
 爪を切った手応え。その弾けるような音。千佳はウットリとしてその目を細めた。・・・ほんの少し、ほんの少しだけ深爪してみる。
「うっわぁ~」
 千佳は爪と肉の間に現れた部分、微かに赤みがかった線を凝視する。それはサディスティックな感情を煽り立てたらしい。彼女は微かに首筋を上気させて両手で少年の腕を捕らえ、ゆっくりと口に近づけていく。
 夢中になって深爪の指先をしゃぶった。微かな塩味がする。しかしそれ以上にその行為自体が彼女を興奮させた。
 チュウ、チュパ、チュウ、チュウ・・・
 一分ほど経って唇を離したとき、千佳の顔は完全に痴女と化していた。その唇から指先の間に涎の線がたらりと垂れた。すでに白衣のスカートの中で下着が潤んでしまっている。
「ごめんね、アレク君・・・」
 少しすまなさそうに媚びた口調で深爪を詫びる千佳。
 すでに呼吸が荒くなっていた彼女はパイプ椅子から立ち上がり、慌しい手つきで自分のボタンに手をかけた。彼女の白い上着が滑り落ち、スカートもまた床に落ちた。そしてブラと湿りを帯びたショーツを脱ぎ捨てる。
 ためらう理由は何もない。姉のドーニャはむしろそれを奨励している。
 千佳が身に着けているのは白いハイソックスと太股までの白いタイツだけである。抑えをなくして流れた淫液がタイツの淵のレースに透き通った玉を作っている。
 その裸身はドーネチカに比べるとやや浅黒かったがより官能的な雰囲気を帯びている。軍人のドーニャに比べると筋肉が薄いことがその理由だったのかもしれない。
 彼女は思い出したようにスカートを拾い上げてポケットからピルケースを取り出した。そこからセロファンのような殺精子剤を取り出して自分の性器の中に押し込んだ。ちょっとした粘性の音を立てて沈み込んでいく指。
彼女の指の長さでは本当の奥までは届かなかったがアレク相手ならば問題あるまい。
 靴を脱いでベッドに上がる。ベッドの上に投げ打たれていた花柄の黒いブラをアレクセイの端整な顔の上に載せた。
「いい子にしてなさい・・・」
意識のない病人は顔を下着に覆われて沈黙している。
千佳はそのままパジャマのズボンを脱がして小ぶりなソレを指先に弾いた。ドーニャが戻し忘れていったのか亀頭が露出したままになっている。彼女は自分の黒い下着の湿った部分をソコにあてがって両手で愛撫した。


149:オーがノン 第三話「白亜の憂鬱」5
06/11/23 17:54:40 N6Rh1mFG
「ふふっ、もう反応しちゃって」
 千佳の手の中で少年のペニスはビクリと振るえ、ゆっくりと膨張し始める。
「ずっと寝てたって、やっぱりお年頃なのねぇ・・・」
 彼女はショーツで包んだ陰茎が完全に勃起するまで玩ぶ。そして片手で屹立したそれに跨った。そして黒い目をキラキラさせて少年の綺麗な顔を両手で挟む。
「んっふっふっ・・・」
 正確にはアレクの下腹に股を下ろし、ベッドに両脛をべったりと着いている。少年の上に身をかがめるようにして下付きの淫裂を亀頭にあてがっている。
「入れるよ」
 千佳が自分のクリトリスをアレクセイの下腹に擦りつけながらずり下がっていく。それにつれて潤った肉の裂け目が亀頭を飲み込んでいのだった。
「うふ・・・ヤワカイね、アレクの先っぽ・・・」
 千佳はコワク的な笑みを浮かべる。
「全部、頂戴?」
 彼女は眠る少年の陰茎をそのまま飲み込んでしまう。完全に埋まると彼女は身を起こした。白タイツに覆われた柔らかげな脚が少年の腰を締め付けている。
「お、当たった、当たった・・・奥までキタよ・・・うんっ! 成長してるんだね、アレク君」
 千佳は感嘆の声をあげてアレクの顔のブラを取り払う。そして再び身を屈めてその額にキスをした。
 その瞬間、脳波モニターが妙なパターンを示し始めたが千佳はそのことに気がついていない。
「あっ、ぅ、かわぃぃかわぃぃ・・・」
 千佳は身を起こして自分の腰を擦り付けるように揺すった。そして両手でアレクの乳首を優しく抓る。
「こんな刺激で起きるかな~~~」
 彼女は悪戯っぽい瞳でアレクを見つめながら運動を続けた。
「目を覚ましても、いっぱいしようね~~」
 千佳は実際のところこの少年を割りと愛していたりする。理想の彼氏でさえあったかもしれない。なぜならそれまでの男たちのように彼女に手を上げないからだ。
「う~~ん、なァかなかぁ~~」
 甘たるいふざけるような声をあげる。楽しんでいる間にも脳波モニターはありえない波形を描いている。行為に没頭している千佳はそのことに気がつかない。
「あァ~~~なんかぁ~~~くすぐったぁい~~~~~」
 千佳はアレクの眼に手を伸ばし、瞼を指で広げる。天井を向いている眼球が露になる。彼女は甘えるような声で囁いた。
「ねぇえ~~ちゃんと見てよ、せぇっかく感じてるのにぃ~~~~」
 そのときだった。突如、アレクの閉じていたもう片方の目が開き、青い双眸が千佳を見据える。
「ぇ?!」
 千佳は目を丸くした。しかし叫んだ時にはアレクの白くて細い手が彼女の胸に伸び、その乳房を鷲づかみにしている。
「痛いッ!!」
やや色素の濃い乳首が指の間で歪む。五本の指の間から柔らかい肉がはみ出すように張っていた。
 千佳はその手を外そうとしたがその握力は尋常でない。


150:オーガノン 第三話「白亜の憂鬱」6
06/11/23 17:56:29 N6Rh1mFG
「あ、アレク君・・・」
 彼女は驚愕の顔で少年の顔を見る。だがアレクセイの顔は陰険に歪んでいる。
『哀れな女だ』
 アレクセイは地の底から響くような声でそう言うと彼女の太股を両脇に抱えてベッドの上に立ち上がった。
「ちょ、ちょっと・・・!」
 千佳は悲鳴を上げる間に宙釣りになってしまう。
『強圧的な父親が嫌いで・・・』
 突然の指摘にぎくりとする。それはドーニャにさえあまり話したがらない話題なのだ。
 アレクは彼女の心を読んだかのように喋りながら腰を振った。ベッドがギシギシと軋んで点滴のチューブが揺れる。宙に浮いたまま千佳は攻め立てられた。
『男に逃げたが虐待されて・・・』
千佳は驚愕する。それはアレクが知るはずのないことだ。
「あ、あなた・・・」
 少年に問いかけても答える気配はない。それどころか蔑むような目で睨みつけられ、千佳はゾッとした。それは耐えられない視線。
『次の男もやっぱりダメで・・・』
「ぅ、ぅうう・・・」
 苦悩を馬鹿にしたように淡々と告げられ、千佳は両手で自分の顔を覆う。完全に立場が逆転していることを彼女は悟っていた。誘惑したはずの相手に一方的に犯されるようになる。いつものパターンだ。
『誰もお前を分かってくれなくて』
「ぁ、ゃッ!」
 突き上げられて千佳は呻く。その声はどこか悲痛だった。だがすぐに彼女は目を見開く。
「ゥ、ぅ~ふ、膨らんでぇェェ~~~」
 千佳に刺さった少年のモノが急激に怒張を始め、陵辱的なビートで彼女の内部を蹂躙していく。
「くっ、くうう!!」
 刹那、千佳は歯を食いしばる。
『三人目も四人目も目当ては身体だけで・・・』
「ィッ! ゥ~~ゥッ~!」
 何者かに憑かれた少年は激しく腰を振り続ける。その痩せ衰えている両腕は千佳の太股をしっかりと締め付けていた。彼女は少年にぶら下げられながら空中に身を捻り悶えた。
『でもその頃にはセックス中毒で・・・』
 肉の打ちつける音が繰り返している。時おり結合部から空気の漏れる「ごぼっ」という音が混じっていた。
「ちぃがぁうぅ・・・!」
 彼女は両手で覆った奥から嘆くように叫ぶ。自分の顔がすでにひどく淫らな表情になっていることが恥ずかしくて堪らなくて全身が熱を帯びていた。
『いいところなんか何にもなくて、ドーニャみたいに強くもなれなくて・・・』
 顔を隠して首を振る千佳と対照的に少年は至極冷静だった。しかしその身体は忙しなく彼女を苛んでいる。
「チぃガウ~~ちぃがうのぉぉ~~~~」
 指摘を必死で否定しながらも彼女の身体は敏感に反応し、その声は快楽に歪んでいる。
『最後には植物人間の子供に縋って・・・』
 そこまで言うとアレクセイでない「何者か」は鼻で笑い、精液を激しく注ぎ込んだ。
「あぁぁあああぁあぁ~~~~~!!!!」
 千佳は絶望と官能の入り混じった艶かしい声で絶頂を迎える。
もう心がズタズタだった。最後のプライドまで剥ぎ取られ、それにもかかわらず身体からの快感はごまかせない。そのことが酷く心を傷つけた。
耐え切れないあまりの出来事に彼女は意識を失ってしまう。
彼女が目を覚ましたときにはアレクはベッドで眠っており千佳は服を着たままパイプ椅子でまどろんでいた。ベッドのシーツの上にはティッシュペーパーと爪の欠片とそれに爪切りが転がっている。
あれは夢だったのだろうか?
 しかし彼女は背筋に恐怖を覚えて逃げるようにして病室を出た。

151:オーガノン  第四話「戦闘の結末」1
06/11/23 18:08:48 N6Rh1mFG
 ドーニャが病院を出ると時間通りに迎えが来ていた。黒い魔術師服に身を固めた若い男が軍用ジープのハンドルを握っていた。実際のところ彼女よりも一つ年下である。
「おかえり」
 男は微かに愛想笑いを浮かべてそっけない口調で言った。魔術師カンパネッラ。本当の名前は知らないし出自さえも定かではなかった。そんな男が軍に籍を置くことを許されるのは魔術師という特殊な立場ゆえだ。
オーガノンを運用する上では極めて有効な存在であり、実際に彼は大尉扱いでドーニャたち第α-7特殊機甲小隊の事実上の指揮官である。
 東洋的な顔立ちと黒い髪にコバルトブルーの瞳。その視線はすぐに別の方向を向いてしまう。どこまで知っているのかは分からなかったが薄々に姉弟の爛れた関係を察しているのかもしれなかった。
それだからこういうときドーニャは一等気まずい気持ちになってしまう。
「来てくれたのね、時間通り」
 彼女はややぶっきらぼうにそう言ってジープの助手席に乗り込んだ。二人とも身長が一七〇センチ弱でほぼ同じであるため並ぶと頭の高さも大体同じになる。
「まあ、僕も暇なときは暇だから。事務は斉藤大佐がやってくださるし」
 カンパネッラは場の気まずさをそらそうとでもするかのようにそんなことを呟く。
斉藤は名義上小隊の隊長になっている七十過ぎの軍人でやや耳が遠い。オーガノン部隊の隊長は多くの場合名誉職で長老クラスの人物が就くのが恒例となっている。
とはいえこの知命を過ぎた老人はオーガノンに関しては魔術師でこそないもののこの軍閥内部では権威の一人として知られている。
 「わしも昔は若い娘さんにいろいろ酷いことさせたけどなあ」が口癖の好々爺で罪滅ぼしとでも思っているのか部下に対して優しかった。
一度部隊が危機に陥った際「わしのことはええんじゃ、若いモンを死なせたらあかん」と言って単身で銃剣突撃を試みたこともある(直後に部下に三人がかりで止められたのだが)。
 そのため十名ほどいる部下からは絶大な支持を受けており他の隊からも敬意を表されて「我らの誇りにして良心」と呼ばれている。
「あなたも少しは手伝ったら?」
 ドーネチカはドアの上辺に肘をかけて呟いた。その目は流れる景色を見ていた。
「手伝うさ。でもあの人、自分でやりたがるし。それに筆記の作業はボケ防止になるっていうでしょ」
 カンパネッラはギアを入れ替えながら苦笑する。この結界で守られた中枢基地の一箇所に緊張地域から戻った非番の部隊の宿舎がある。病院から車で五分といったところか。
「そういえば」
 話を切り出したのはドーニャのほうだった。
「何?」
「あなたが研究してる操縦系・・・異界とのリンク確立のこと。異界について何か分かったこととかある?」
 オーガノンは通常の科学技術によって動くのではなく「異界」とリンクして引き出したエネルギーを糧としている。それはロストテクノロジーによる常識を超えた力であり通常の兵器では太刀打ちすることが出来ない。
だからオーガノンに対抗できるのはオーガノンだけなのだ。
「まあ、間接的にしか調べられないからね。あなたたちや他の部隊のレポートから推測したり機体に残ってたデータを解析したり地道にやるしかないね」


152:オーガノン 第四話「戦闘の結末」2
06/11/23 18:10:10 N6Rh1mFG
「ふうん・・・」
 ドーニャは気のない返事を返した。
「そう言えば、前回見たっていうクラゲみたいなもののことで・・・他の隊のレポートに似たような話があった。もっともその調書を掻いた当の本人は話したがらなかったけれど」
 オーガノンに乗った際に見る幻影は時に奇怪で余りにもおぞましいものが多々ある。中には精神を病む者さえいる。健康な連中でさえ神経衰弱になったり一時的なヒステリーを起こすのはごく普通のことでさえある。
思い出したがらないのも道理だったし女性として話すのを憚られるようなものが多い。そういった諸々の事情がカンパネッラや他の研究者の調査を妨げている一因でもある。
「へぇ・・・」
 ドーニャもまた苦虫を噛み潰したような顔で小さく溜息をついた。そのときのことが脳裏に過ぎったからだ。
 大きな円盤状のクラゲが胸に張り付いて離れなくなった。それはドーニャの二つの乳房を包むように根元までを被った。乳頭がちょうど真ん中に当たるようになり、そこの微細な繊毛が蠢く感覚がなんともいえなかった。
クラゲは蠢動し彼女の柔らかい肉の果実を付け根から先端までしごくようにして動いていた。次第に胸が熱くなり何かが湧き出して先端から流れていくのを感じた。極端な感覚はなかったしさほど不快でもなかった。
 おそらくはあのクラゲが母乳を促しそれを飲んでいたのだろう。
 クラゲが胸に張り付いておっぱい吸ってっただけとドーニャはカンパネッラに対して無表情かつ早口に告げたものだ。
「まあ、あの程度ならかわいいものね」
 ドーニャは浮かない顔で小さく言った。実際、あの程度のものならばラッキーと言えるかもしれない。場合によってはもっと気の触れるようなおぞましい経験をする羽目になるからだ。
 宿舎が見えてくる。四階だての灰色の建物だ。カンパネッラはアスファルトの道にスピードを緩めた。
 ジープが宿舎前に止まると同時に少尉の伊藤晃が駆け寄ってくる。
「た、たいへんですぅ~」
 晃が凛々しい名前に似合わす語尾を延ばす舌足らずな口調であるのはいつものことだ。頭に二つの「栗色お団子ヘア」が左右に踊っていることからしてかなり動転していることが見て取れた。
そんなにまでしても胸が揺れないのは彼女が痩せっぽちだからだ。
「と、教団の連中がぁ~」
 教団。数年前からこの国に巣食っている宗教ゲリラだ。もっとも確認されていないだけで起源自体はもっと遡るのだろう。
「は、八番の駐屯地がぁ、こ、こ、こうげきされてますぅ~」
 両腕をバタバタとさせてどうにも幼さの残る声で晃は続ける。彼女は部隊で最年少の十六歳だった。
「で、我々は?」
 カンパネッラは極めて冷静な口調で短く促した。このまま半ば錯乱した晃にべらべらしゃべらせても要を得ないだろう。問題の焦点は「自分たちに関係があるかどうか」だった。
「り、臨戦態勢でぇ、ケージに待機するようにとさっき・・・」
 それを聞いたときにはカンパネッラはすでにジープを降りていた。
「先に行く。車を置いたらすぐに来て!」
 カンパネッラは助手席のドーニャにそう告げると駆け足で指定されているケージに向かう。すぐ隣の建物だ。
 ドーニャはギアレバーを跨いで運転席に移動するとサイドブレーキを外した。


「うっああああ!!!」
 緑色の軍用オーガノンが吹き飛び、土塁にぶつかって動かなくなる。手放された柄の長いハンマーは宙を舞い音を立てて土の地面にめり込んだ。関節からはみ出した内部部品がパチパチと火花と青白い電気を放っている。
パイロットも気絶してしまったのかもしれなかった。


153:オーガノン 第四話「戦闘の結末」3
06/11/23 18:10:53 N6Rh1mFG
 その眼前ではまるで黒い鷲のようなオーガノンが佇んでいた。その容貌は奇怪で大きなくちばしが着いている。そしてその肩からは翼のようなシールドが伸びていた。
 そのシールドが急に広がってその身を被う。次の瞬間、破裂音と金属の衝突音が立て続けに響き渡る。翼の上には鮮やかな無数の火花が狂い咲いていた。
 後方から新たなオーガノンが大型のガトリングガンを撃ちつつ、駆け足に突っ込んでくる。その銃身は滑らかに回転しつつ火の雨を浴びせかける。反対の腕には大型の斧を構えていた。
 パイロットはきっと、この黒鷲が接近戦に特化したものと見ていたのだろう。しかし飛び道具で破壊するには近寄っての至近距離攻撃しかなかった。リーチの外から集中砲火を浴びせればシールドも破壊できるに違いない。
 そんな考えが命取りになった。
 黒鷲は砂塵を巻き上げて旋回し、小型の鉄球を繰り出した。鎖付きのそれは空中に瞬時にして直線の残像を描き、背後のオーガノンの胸甲を叩く。斧で防ごうとしたがすり抜けてしまったのだ。
 後方に倒れこむ軍用オーガノン。しかし倒れる事は出来なかった。一瞬の虚を突いて距離を詰めた黒鷲の「爪」にかかったからだ。
瞬時にして接近した黒鷲はダガーでその胸を貫いた。斜め上に向かって突き上げるように滑り込む、模様入りの細身のブレード。適切な操作を失ったガトリングガンがあらぬ方向に弾丸を乱射しその手から滑り落ちた。
刃の先端はひびの入った装甲を貫きコックピットにまで達していた。短い絶叫は銃声にかき消されてしまった。だがナイフの根元に赤い血が滴り落ちる。むしろ噴出すような感じだった。
黒鷲が勢いよくナイフを引き抜く。装甲の破片と血と入り混じった肉片を撒き散らして転倒する軍用オーガノン。しかしその赤い飛沫は一瞬で淡い燐光のようになって消えていってしまう。それは「異界へと召された」ということ。
 十機以上いた駐屯地守備のオーガノンはあと二機しか残っていない。
「なんてこと・・・」
 それを確認したドーネチカは絶句した。
 駐屯地内の慎ましい建物の半分は戦火に崩れ、木立が生きたまま炎に揺れている。生木が燃える際に出す濛々たる煙で視界の三分の一が覆われていた。舗装されていない通路には破壊されたオーガノンの残骸が散らばり痛々しい姿を曝している。
「どうしますぅ?」
 ドーネチカの背後についてきていた晃が怯えた声で尋ねた。
「ここから一斉射撃。あれは普通じゃない」
 ドーネチカはコックピットの中から黒鷲を睨んでそう告げた。α-7特殊機甲小隊の白磁のような四体のオーガノンは一斉にライフルを構える。単発式の極めて貫通力の大きなものだ。
「撃て!」
 しかし四発の銃弾が捉えるのは後方の地面だった。黒鷲は凄まじい勢いで宙を舞い地面を滑るようにして急速に接近してくる。
「ひぃぃいいいいいいいい!!!」
 晃の悲鳴が聞こえてくる。きっと半泣きになっているに違いなかった。
撃っても撃っても当たってくれない。弾丸の軌跡の合間を縫うようにしてこちらに滑り込んでくる。さながら悪魔のようだ。
「下がって!」
 ドーニャは背中の長剣を抜いた。その刃は残忍に波打っている。
「トキエ、左に回りこんで! 二人は後方から援護して!」
 ドーニャは剣を構えて正面から突っ込んでいく。


154:オーガノン 第四話「戦闘の結末」4
06/11/23 18:11:39 N6Rh1mFG
 しかし黒鷲は次の瞬間、宙へと舞った。ジャンプではない。空高く舞い上がってかなりのスピードで消えていく。一応ライフルで撃ってはみたものの当たるはずもなかった。
 彼らはしばらくの間、呆然とその怪物が飛び去った空を見上げていた。
「いっ、ぃぃいいぃぃいいぃいいぃぃぃ・・・」
 突如、悲鳴が聞こえてくる。それはどこか甘美な響きさえ帯びていた。晃のオーガノンはバランスを崩して仰向けにひっくり返る。
「大丈夫かァ?」
 トキエがやや呆れたように尋ねるがまともな返事が返る気配はない。荒れた呼吸と上ずった呻き声が聞こえるばかりだ。
「いっ、いっぃぃい、い・・・」
 再び虫の鳴くような切ない声が無線からとめどなく聞こえてくる。ドーニャは急に胸騒ぎがしてベルトを外した。そして胴体の装甲を開いて外に出る。
紺のダイビングスーツのようにぴったりとした、極薄のパイロットスーツは汗に塗れている。身体のラインは余計に露になっていた。まるで全裸で外に立っているかのように風が冷ややかに感じられる。
「オイ、なんかヤバくねえか?」
 ショートカットの黒髪の端から汗の雫を滴らせてトキエもまたハッチを開ける。
 ドーニャは晃のオーガノンの脇にあるスイッチを押し、現れたパネルからコードを入力する。軋むような音を立てて開いていく装甲。
 コックピット内部の晃の有様にドーネチカは驚愕した。駆けつけてきたトキエもまた顔色が変わる。やや遅れて出てきた梨香は両手で口元を押さえて言葉に詰まった。
顔をしかめて悶える晃のお腹は三ヶ月目の妊婦のように張り出していたのだ。小ぶりな乳房も妙に膨らんでしごかれるかのような波紋が広がっている。
「ぅっ、ウうぅぅぅううぅぅ・・・・・・・」
 白目を剥いて首を振り回している晃。
「うっ、ぉおっっ、おぉっ?」
 その視線は左右バラバラになって揺れている。その身体が小刻みに震えている。
ドーニャは慌てて晃のベルトに手をかける。X字型のベルトを外し、上下から乳房を挟んでいる横二本のベルトも外す。股間に押し当てられたバイブレータもまた引き離した。
トキエの手を借りて何とかコックピットの外部に運び出す。
「ぁ、ぁぉぉ、ォ・・・」
 地面に横たわって半ば痙攣している晃。ドーネチカは首のジッパーに手をかけて一気に股間まで引き降ろす。
 はだけられた身体。小ぶりな胸に例のクラゲが張り付いて下腹部が膨れ上がっている他に異常はなさそうだった。
ドーニャはホログラムのようなクラゲを指先で引き剥がそうとしたが触れることが出来ない。それは「異界」の存在なのだ。我が物顔で晃の釣鐘型の乳房に吸い付いて搾る出すように甘い汁を貪っている。
「オッ! おおぉぉおぉおおおお~~~」
 手足をバタつかせて暴れる晃。


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