男装少女萌え【8】at EROPARO
男装少女萌え【8】 - 暇つぶし2ch212:名無しさん@ピンキー
07/03/06 19:50:06 +0KWzhAy
個人的には家のしきたりとかで男子校に転校してきた可愛い系の男装少女が
ふとしたきっかけで学校でも指折りの不良にバレて
いじめの一環で不良達の目の前で強制的に立ちションさせられるのがイイナ♪

緊張と恐怖でなかなか尿が出なくて今にも泣きそうな男装少女に向かって
「どーしたー?はやくだせよー」とかはやしたてたり

213:名無しさん@ピンキー
07/03/06 23:11:52 TRV4c/ie
>>212
それ良い!!
もちろんそのあとは、レイプだよな!

なんかチンコ立つてきた

214:名無しさん@ピンキー
07/03/07 00:21:37 N7Gdlzwk
保管個の更新に今頃きずいた

215:名無しさん@ピンキー
07/03/12 11:34:53 NVo61qAg
このスレの作品は好きなのでまた賑わって欲しいなぁ…

216:名無しさん@ピンキー
07/03/13 03:43:18 DSWgl5s0
期待アゲ

217:名無しさん@ピンキー
07/03/13 21:40:59 9nKGtaqW
俺も期待

218:名無しさん@ピンキー
07/03/14 18:13:53 m6dlYbsi
如月涼の立ちションは萌える?

219:名無しさん@ピンキー
07/03/15 01:00:15 f8uS4HPY
萌えません。
立ちションはもう勘弁してくれ。

やるならよそでやって。

220:名無しさん@ピンキー
07/03/15 21:28:58 0IkQTuIQ
その言い方は良くない。萌える人もいるかもしれないし。
同じスレの住人でも好みはそれぞれなんだから、嫌いなモンは主張しない方がいいんじゃね

221:名無しさん@ピンキー
07/03/15 21:42:51 7fHC32IP
>>218
萌えない

222:219
07/03/16 01:17:21 uNYLfgxJ
>>220
そうか。ちょっと言い過ぎたかもしれない。
ごめんなさい。

223:名無しさん@ピンキー
07/03/16 05:32:29 n/qb+YA1
>>219
気にするな。

224:名無しさん@ピンキー
07/03/16 21:12:15 Xti/Koqx
暇だにゃ((( ⊂⌒~⊃。Д。)⊃

225: ◆aPPPu8oul.
07/03/17 12:12:05 raY4Rmlc
ならば投下しよう。
ていうか、みんな忘れてると思うけど保管庫にある「常緑」の続き
いや、書いてるほうも忘れてた

226:常緑2 ◆aPPPu8oul.
07/03/17 12:12:59 raY4Rmlc
エルヒアの館の周囲は非常に環境がいい。
木々は活き活きと葉を茂らせさわやかな風にこずえを揺らし、小鳥のさえずりに重なって耳をくすぐる。
陽射しを適度にさえぎった木陰に腰を下ろして、アルトは真っ赤に売れた果実にかぶりついた。
木の根元にはふかふかしたコケが生い茂り、本当に環境がいい。
「けど、やっぱ」
口を手の甲でぬぐって、アルトは舌打する。
「……いけ好かない。どいつもこいつもしけたツラしやがって」
せっかくの美声で呟いて、種と芯だけになった果実を投げ捨てる。
見かけるエルフたちは皆たおやかな衣を身にまとい、実に優雅に館の中を、あるいは森を歩いている。
美しいとしか形容できない彼らの所作はアルトには見慣れたものではあったが、好ましくもなかった。
僅かに口元に浮かぶ微笑や、自分の行儀の悪さに目を見開く様子、侮蔑を含むひそやかな会話。
「……フン」
慣れている。だが、それでもやはり気に障る。
立ち上がり、森の中を歩く。何か面白いものはないかと真紅の瞳が動き、とがった耳が音を拾う。
たん、と乾いた音が聞こえた。
聞き覚えのある音だ。獲物を取るための道具の音。野伏せりの生活に慣れたアルトはそう判断した。
ただしこの乾いた音は、獲物をしとめた音ではなく、そのための修練の音。
「あの見回りの奴らか? 」
自分を捕らえた武装したエルフの姿を思い出し、ちょっと冷やかしてやろうと足を向ける。
弓の扱いなら慣れているし、実践で鍛えた腕には自信がある。
髪をくくろうと頭に手をやり、昨日自分で切り落としてしまったことに気付く。
「……くそ」
そして思い出すのは、エルヒアのキザったらしい言い様。
思わず眉間に皺を寄せ、わけのわからないわだかまりを発散しようと修練所と思しきところに足を踏み入れる。
話し声は聞こえず、ただ矢を番え、放つ動作の音だけが聞こえる。
一人なのだろうか。
そう思い目をやると、そこには美しい衣の上に胸当てをつけた―
「エルヒア」
呟いたアルトの視線の先で、矢が的の中心に吸い込まれた。
吸い込まれたと、そう感じた。
「……あぁ、客人。昨夜はよく眠れたかな? 」
いつの間にこちらに気付いたのだろう、エルヒアが笑みを向けている。
「―まぁな。久方ぶりのベッドはそれなりに気持ちよかったけど」
惚けていた。その羞恥が肌に出にくい種族でよかったと、心底思う。
「けれど? 何か不満があったかな? 」
歩み寄るエルヒアに、口のはしを吊り上げてみせる。
「ホワイトローズの匂いは邪魔だな。むせるようだった。アンタの趣味か? 」
「あぁ、妹が好きなのでな。気を利かせたつもりだったのだが、気に入らなかったならすまない」
優雅なことだ、と言いかけて、アルトは話題を変えた。
「妹がいるのか? 」
「年は離れているがな。ロスエルというんだ。機会があれば会ってくれないか?」
微笑みかけるエルヒアの表情はどことなく今までとは違うようだった。
そんな顔をさせる妹を見て見たいと、思わないでもなかったが。
「……俺みたいな奴とアンタの妹じゃ、話が合わないんじゃないか?」
しり込みするアルトに、エルヒアは変らず微笑を浮べて話し続ける。
「いや。あれは外に興味があってね。君のように旅をしている人間なんかは格好の餌食だよ」
そう言われては、特に断る理由もない。
もともとあまりの待遇のよさに、少々居心地が悪くも感じていた。
一つくらい頼まれてやってもいいだろうと、手を組んでそっぽを向く。
「フン……別に、暇だし付き合ってやってもいいけど」
なら頼もう、と弓矢を片付けながらエルヒアは言い、その姿にアルトは改めて違和感を覚える。
けれどそれが何なのかはよくわからないまま、彼女は白い館の一際美しい部屋へと足を踏み入れた。

227:常緑3 ◆aPPPu8oul.
07/03/17 12:14:18 raY4Rmlc
ゆるくウェーブした腰より長いプラチナブロンドが、ベッドの上に優雅な文様を描いている。
細く長い睫毛に縁取られた鳶色の瞳はきらきらと輝いてアルトを見つめて、薄紅の唇が動く。
「それで? そのお魚はどうなさったの?」
その声はか細いソプラノで、フルートの音のように響く。
「どうって、そりゃ食ったさ。適当にコイツでさばいて、焚き火で焼いてね」
アルトが手元の使いこまれたナイフをくるりと回すと、ロスエルは大きな目をさらに大きく見開く。
「まぁ! そんな大きなお魚じゃ、一人じゃ食べきれませんでしょう?」
「余った分は塩漬けにして干物を作るんだ。いい保存食になる」
天蓋つきのベッドであぐらをかいて笑うアルトの言い様に、ロスエルは気恥ずかしそうにうつむく。
「私、本当に何も知りませんの。そういったことは全部、お話や本から知るばかりで」
「いーんだよ、それで。あんたにゃここが似合ってるし、外は危ないし」
こんなデカイ虫がでるんだぞ、と身振りを交えて脅かすように言うと、さらに目を瞬かせる。
「でもアルトは、一人で旅をしているんでしょう?」
「ま、そりゃそうだけどな」
どこか得意げなアルトに、ロスエルは心底心配そうな表情を向ける。
「危険なことがたくさんあるんじゃありませんの? 最近はオークもよく現れると聞きましたわ」
「オークねぇ……奴らの寝床はだいたい決まってるからな、近付かなければどうってことはない」
実際、アルトは長旅の中でオークの寝床がありそうな場所には近付かなかった。
相手が一人なら負ける気はしなかったが、群れに立ち向かうのは確かに危険だ。
それを避けて通らなければならない自分の弱さがはがゆく、眉間に皺がよる。
「そうですの? でしたら安心ですわね」
しかし心底ほっとした声を出して胸をなでおろすロスエルに、笑みを向けてみせる。
「あぁ。あんたのオニイサマが心配するほどたいしたことじゃない」
どこか棘のある言い様に、ロスエルは一瞬目線を落とし口を閉ざす。
オークに襲われるのではないかというエルヒアの過ぎた気遣いへの不満が声に出てしまった。
しまった、と口を開きかけたアルトより先に、ロスエルは顔を上げる。
「そう、お兄様は心配性なんです。私のことを大事にしてくださるのは嬉しいけれど……
 私が沢に下りるのさえいちいち報告させて、誰か人をつけなければ気がすまないんです」
薄紅の頬を膨らませて、弱弱しい声をほんの少し荒げて言うロスエルは。
「……ぷっ」
申し訳ないが、可愛らしい。少しも怒っている感じがしない。
「アルト! なんで笑ってますの。ひどいですわ」
「いや、悪い」
言いながらもアルトは自分の口を覆い、肩を震わせている。
頬を膨らませたままのロスエルは、視線を落とし、不機嫌そうに黙り込んだ。
それは子供の仕草のようで、アルトは一瞬エルヒアの気持ちがわかったような気がした。
彼女はどこまでも愛らしくて、子供のようで、保護欲をかきたてられるのだろう。
じっと鳶色の瞳を見つめると、ふいに見つめ返されて、たじろぐ。
「な、なんだ」
「アルトこそ。人の目をずっと見て」
「いや、怒ってるのかな、と、思って」
真紅の瞳が泳ぐ。
だが、視線を泳がせても映るのは慣れない繊細な装飾の施された部屋で、落ち着かない。
「怒ってませんわ。ただちょっと、残念に思っただけです」
今度は鳶色の瞳が泳ぐ。それを、真紅の瞳が追う。
「残念?」
「そう。アルトなら、私の気持ちをわかって、手伝ってくださると思ったのに」
横を向いてクッションを抱いたロスエルの瞳が、ちらりとアルトの様子をうかがう。
とがらせた桃色の唇は、同性から見ても充分愛らしい。
そうして、保護者の口出しに抗いたい気持ちもわかる。
「あー……手伝ってやらなくもない、ぞ。俺に出来ることならさ」


+ + + + +

以上。エロまで長いよ!一年くらい待ってくれ!

228:名無しさん@ピンキー
07/03/18 01:09:21 UYU/8qv1
おもしろいから許す

229:名無しさん@ピンキー
07/03/18 09:02:41 p5LY7ipH
任せろ、待つことにもう成れてしまった

230:名無しさん@ピンキー
07/03/18 23:26:14 Hii5jvla
気長に待ってます

231:名無しさん@ピンキー
07/03/19 21:22:20 H6m9uTPw
あなたの作品を待っていたんだ。いつまでも待ってるよ!

232:名無しさん@ピンキー
07/03/22 20:16:09 7IXQeCSi
亀レスだけどGJ!

233:名無しさん@ピンキー
07/03/25 22:28:48 y8G6bZwj
保守投下
男装少女のひとりH
内面かなり乙女入ってます

***

敏感な部分を嬲られ舐られ好きなようにされている。
「あっ…、はぁん……、やぁ、っ……」
ぼくはただ自分じゃないみたいな声を出したり時々いやいやするみたいに体を捻ったりするのがやっとで
何も考えられなくなってきている。
どうしてこんなにぼくの感じる所がわかるんだろう。
乳首もクリトリスもちょっとつつかれただけで甘く痺れてしまう。
ああ、もう恥ずかしい。えっちでいやらしい子だって思われてるかも。
「っ……、あ、んっ……!」
脚の間にある頭をどけようと掴むけれど腰に回された腕の力が強くてびくともしない。
片手で胸を弄られてまた仰け反ってしまう。
「やぁ…っ、ああん…あん……っ」
顔の下からいやらしい音が響いてそこから熱いものが何度も背中を上がってくる。
這い回る動きはもっと激しくなってぼくを追いつめてゆく。
「もぉ、だめ…、きて……ぇ」
こんなこと言って嫌われたらどうしよう、いや、恥ずかしくて死にそう。
裸にされて全部見られているだけでもどうしようもなく体の中が熱くなって気が遠くなりそうなのに
あんなことやこんなことされておかしくなってしまう。
今すぐ逃げ出したいけど……もっともっとして欲しい。
あなたでないと静まらない。
少し探っている気配があったけど、ゆっくりと侵入してきた。
ぼくの中を、あなたが埋めていく。
「俺のこと……、好き?」
根元まで入れるとそっと囁いてきた。こくこくと頷く。声が出ない。
「今、きゅっと締まったよ。中気持ちいい」
そんな恥ずかしいこと言わないで。
「…んっ、あ、っ…あぁっ……あっ、あっ…」
動かされて声が漏れる。頭も体も痺れてきて快感以外わからなくなってくる。
「すごく素敵だ。……好きだよ」
一層激しく打ち付けられて腰が揺れる。も…う、だめ……。
「あっ―っ っ!」
中でびくんと震える感覚。あ、あなたもイったなんて、嬉しい……

ぬるりと引き抜いて糸を引く指を見つめる。
「…………」
まだ火照りの残る体で深く息をつきながら思う。
……あなたの指だったら。
……あなたの唇だったら。
あなたの、……だったら……
意識し始めてから、いけないと思っていても、つい指が動いてしまう。
自分で慰めることをやめられない。
明日も顔を見たら赤くならないように気を付けないと。
絶対、絶対明かせない秘密。
だけど心のどこかで、あなたにだけは分かって欲しい、気が付いて欲しいと願ってる。
もし、受け入れてくれたなら……


***

以上です
他職人さんの降臨を待ちつつ失礼しました

234:名無しさん@ピンキー
07/03/26 01:52:56 aOo+HxLQ
ハァハァ(´Д`)

235:ひょこ ◆13unNQzqXw
07/03/26 17:59:40 Was7pqAY
とりあえず、生存報告
一年ほったらかしてたので文体がヘタれてたり、中身滅茶苦茶かもしれませんが、書き上げたら続き投下します。

236:名無しさん@ピンキー
07/03/27 00:07:09 mbCyUTrJ
>>235
待ってるよ

237: ◆ELbYMSfJXM
07/03/27 22:12:10 F0Jb1Bv1
鳥テスト
233です
続きめいたもの投下
双方優等生だが不器用系で


238:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/27 22:45:53 F0Jb1Bv1
「雨宿の席、いいなあ。窓際の一番後ろはベストポジションだろ?」
お調子者な―良くいえばムードメーカーの市原が茶化してくる。
「替わってやる気はないが、理由は?」
「まず寝るにも内職するにもってこいだ。次はやっぱコレだろ」
手の平サイズのデジカメを取り出す。新聞部でも無いくせに常に携帯して情報通を気取っている。
「そこの体育館に向かう女子を撮るのに絶好の場所なんだよ。
歩いていく後ろ姿!薄い汗をかいて戻ってくる正面姿!アングルも距離もバッチリなんだここ!」
俺の肩を叩きながら、からからと笑いながら言う。
当女生徒達が聞けばセクハラだと訴えられそうなものだが、悪い噂は聞かない。
「聞いたからには譲る気はゼロになったよ。いい情報をありがとう」
俺は読みかけの本を開いて続きに視線を走らせる。
「……で、本当に女の子に興味あるんか?」
「男より探求心も愛護心も持ち合わせているように見えないか?そのファインダーは曇っているんじゃないのか?」
案の定席がどうのこうのと言うのはカマかけだっだ訳だ。
「オレのカメラは真実しか映さないんだ。男とか女じゃなくてヒトに興味ないって顔してるよ」
「それなら俺の次の台詞は分るな」
「ネタになって面白ければそれでいーんだよ。フツーのヤツを映したってつまらねえ。
対象としちゃあ二本指だからなあ、オレにとってアンタ―雨宿松月と新珠燐ってのは」

新珠燐。初めて一緒のクラスになった男に今だけは同情する。
尤もこの学園で彼を知らない人間はいない。入学式の答辞に立って以来、その他人と明らかに異なった容姿と頭脳は常に人目を引いている。
被写体ならば完璧だ。そこに俺を並べるのが不思議だが拒否しても我が道を進んでくるのが明白なので面倒だ。
「邪魔しなければ好きにしろ」
「ありがてえ。サンキュ」
「おはよう。市原、君は自分の席が不満なのか?」
話題の主が奴の後ろから声を掛けた。市原が座っている俺の右斜め前の席は本来彼のものだ。
「新珠。今日も美人だな」気にもせずにやにやとシャッターを切る。
その言い草に始業式当日は反論していたが、10日間繰り返しても相手が全く堪えないので諦めて溜息をつく。
「雨宿?この男に関わるのはやめておくよう忠告するよ」
「もう遅いな。ちゃああんと許可をもらったからな」
「本当に?」
「余計な事はするなと言ってある」
以降のやり取りは無視する。授業開始までにこの章を読み切るのだ。

239:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/27 23:01:58 F0Jb1Bv1
ベルが鳴り授業が始まる。開始10秒前に読破した章に栞を挟み込み机に仕舞うと手早く準備をする。
斜め前の二人は俺が無視を決め込んでからも1分程度喋っていたが市原が笑って席に戻り新珠はまた溜息を残して決着がついた。
お前には同世代の友人が必要だと骨を折って世話をしてくれた虎尾教授には申し訳ないが、
人付き合いより勉強に興味を持つ俺に感情で友人と呼ぶ相手を作るのは無理がある。
俺に関わって愛想を尽かしていった人間は何人もいるが、市原はそれなりに切れる男という事だ。

奴に目をつけられたもう一人の可哀想な人間。
教壇に目を向けると必ず視界に入る。
成績は入学以来ほぼ首席で実技系も上級クラス、体育だけは肌が弱いという理由で屋内授業の一部のみ参加している。
すっきりと整った綺麗な顔立ちに腰まである髪を束ねて、
手足が長く華奢な体つきは宝塚の男役のような中性的魅力で女生徒(と一部男子)からは物腰の柔らかさも相まって絶大な人気があった。
その存在が誰からも好感を持たれる故に男女とも特定の相手と付き合うことはなかった。
ただ一人幼なじみという中学生でも通用する童顔眼鏡の奥丁字が弟のように一緒にいた。
俺とは反対の理由で彼は人を遠ざけていた。住む世界も反対で関係の無いことだった。

初めて会話をしたのは1年時の学園祭前の11月、図書室のことだ。
珍しく一人で書棚の最上段に手を伸ばして取り辛い格好だったので代わりに抜き出した。
シェイクスピアの十二夜。
「ありがとう」
受け取る手にはもう一冊抱えている。とりかえばや物語。
「男女入れ替わりね、」
どちらも男が女装、女が男装した結果で起こるトラブル話だ。ふと口に出すと
「古典から愛される設定だが君はどう思う?」
返ってきた。
「男だ女だと言うのは見た目の問題だろう?本質は変わらない」
くすりと彼は笑った。
「じゃあ君は、ぼくが好きだと言ったら愛してくれるかい?」
「行為なら入れるところが少しズレるだけだろう?問題は好きになるかどうかだ」
「……予想斜め上の答えだ。ふふ…ははは……。ごめん、笑ったりして。気に障ったなら謝るよ」
予想外の質問をしたのはそちらだろう。頭の良い奴は何を考えているのか判らない、不思議な男だ。
「呆れられるのは慣れているから気にするな」
「ふふ……わかった、気にしないでおくよ」
以来今日まで挨拶程度しか言葉を交わしたことはない。
たまに、ふっと抜けたような遠い目をしているのをこの席になってから知った。
後ろからだと良く判るけぶるように長い睫毛が見える。
それが?
それだけだ。

240:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/27 23:06:09 F0Jb1Bv1
休み時間にその様子にたまたま行き当たり、たまたま見ていると気が付かれて目が合った。
「ぼくも優等生で疲れることがあるのだよ。君は無い?」
台詞とは裏腹に表情は明るい。
「俺は優等生でないから葛藤は無いよ」
「自分を卑下するのは自らの価値を認めていないことだよ。ぼくのライバルは君しかいないのに」
「成績順争いだけで認められるライバルなんてお手軽で気持ち悪い。順位や優劣は他人が決めた結果の測りで俺には関係ない」
「判断材料が他にない場合、測りは重要だろう?多くの人間は自分自身に確固たる基準を持たないことも多い」
「あんたが基準を持たないとは考えられない」
「買いかぶりすぎだよ。ぼくは弱いからね」
「嘘だ」
つ、と目線をそらして一瞬寂しそうな顔をした……ように見えたかもしれないと思うほどその表情は束の間だった。
「君がそう言ってくれるなら、悪くない。……だけど、負けないよ」
そっちこそ買いかぶりすぎだ、と言おうとして微笑まれた。言葉を呑み込む。
窓からの日差しが不意に強く当たり瞳が煌めいてその笑顔を際立たせた。
時が止まる。

241:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/27 23:19:09 F0Jb1Bv1
バイトの上がり時間が押して門限間際に寮の玄関に走り込んだ。
さすがに息が切れてエレベーター内で6階に着くまで壁にもたれて休む。
突き当たりの手前の部屋にたどり着き、鍵を差し込むと心なしか入りが悪かったがくるりと回してノブを引く。
中が明るい。電気を点けて出かけたっけ?
ああ、だがもういい、早く寝たい。このまま倒れそうだ。家に着いた安心からか激烈な睡魔がやって来た。
ベッドへ倒れ込もうとして、見慣れないグリーンとベージュのアクセントに目を疑う。家具は備え付けで全部屋同じデザインだがファブリックは各部屋当然違うものだ。
エレベーターで階数を確認した記憶が無い。そういえばシャワーの音も聞こえる。
何気に本棚を見ると各教科の参考書や辞書に加え社会学や心理学、小説類が並んでいる。専門分野のものは俺も幾つか目にしたものがあった。
このレベルを読みこなす頭の人間はそう多くないと知っている。思い当たる相手など……

水音が止まった。慌てて玄関へ向かうがコートを脱ぎ捨てていたのに気が付き取り戻って出ていこうとする。
が、運悪く玄関横の浴室の扉が開いて行く手を阻まれる。部屋の主はバスタオル片手に現れ頭に巻いていたタオルを外すと長い長い髪が身体の上を舞った。
風呂上がりだから当然全裸だ。
白い肌にまだ水滴が残り所々流れている。なだらかな肩から胸の谷間、ウエストから腰、太股のいかにも美しい曲線、伝う滴がぞくりとさせる。
…………待て、
こうして考えを巡らせられるほど、お互い目を合わせたままたっぷりと固まっていた。
アーモンド型の大きな瞳、通った鼻筋、形の良い桜色の唇、下ろしているが腰まで届くサラサラの長い髪は紛れもなく同級生でクラスメイトの新珠燐だ。
男子しか居ない学年の。
だが、首から下には掌にもやや余りそうな柔らかそうで触って確かめたくなるふくらみに唇と同じ桜色の先端が付いたものがふたつ並んでいる。
内臓が入っているのか疑うほど細いくびれの下にはなだらかな丘と繁みの先には何も無い。
――――
――――
じっくりと観察してしまった後、深呼吸をして言う。
「部屋を間違えた。申し訳なかった」
平然を装い目を逸らし脇をすり抜けて玄関へ出る。ノブを回して音がした時に新珠がドアの前にするりと駆け寄って遮った。
「誰にも、言わないでほしい」
今までと変わらない意志のある瞳で俺を見据えて、言った。


242:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/27 23:32:02 F0Jb1Bv1
「言わない」
言えるか。余計な話をする相手は初めからいない。市原に話題を提供する義務も喜ばせる友情なぞも無い。
「ありがとう」
目の緊張がわずかに緩んだ。湯上がりで白い肌がうっすらと色付いて艶めかしい。呼吸をする度に胸のふくらみが上下して石鹸の匂いが立ち上る。
片手にバスタオルを持っているものの申し訳程度にしか隠れていない。
……裸を見られても声一つ上げずに冷静に対処する様は見事と言う他無いが、俺も一応、男だぞ?無防備を通り越している。
「じゃあな」
「帰るのか?」
訝しげに見上げる。まるで茶でも飲んでいかないかと言わんばかりだが自分の置かれている状況を認識してないのか?
あるいは男として見られていないか。
男装している位だ。自分が女だとの意識が薄い可能性も高い。
「……お茶を出してくれるのなら服を着てくれないか。目のやり場に困るんだが」
「ああ、すまない。……見せられるような身体じゃなかったな。もう少し肉付きも良ければ自信が持てるんだが」
自分の身体を見回して残念そうに言う。そういう問題では無いだろう?
「君はどう思う?」
聞くな。
「……男の振りをするなら、もう少し男心を勉強したほうがいい。その態度は誘っている様にしか見えないからな。重々気を付けろ」
「こんな身体でも?」
「体つきの話じゃ無い!男なら裸の女の子が目の前にいたら、思春期のアホ男子なら想像しただけでもどうしようもなくなるものなんだ。
押し倒して色々したいとかやらしいことをな。俺だって今考えてる。
……それに、その身体は……充分魅力的だから自信を持て」
何故ここまで晒さなくてはならないんだ。もう少し嫌がるとか恥じらってくれたらすぐ逃げ帰る事が出来るのに、最低だ。
手で顔を覆って視界を遮る。
「じゃあ男心を教えてくれ。ぼくの身体で、君が」
「!?」
「明日の予習もあるから早くすませてもらえると助かる」
そう言うと俺の手を取って部屋へと入っていった。


243:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/27 23:37:42 F0Jb1Bv1
何故この展開になる?
人間嫌いとは言っても別次元で欲情するのは男の悲しい性の部分だ。
さすがに無差別では無いが、その、新珠の姿は俺の理想に嵌りすぎた。
今までの俺の全てを根こそぎ持っていかれて頭の中が真っ白になった。
かろうじてそこから戻って来られたのは新珠の瞳の強い光。
薄汚い欲望を打ち消す理性の光。
……のはずなのに、止めるどころか煽って炎上させようとする。
本質が変わらなければ男も女も関係ないとほざいた癖に、女と判った途端に豹変する馬鹿に幻滅するのが筋だろう?
違った。幻滅は元々評価が高い場合に起こるものだ。俺の評価など初めからゼロだ。
「…………早くしてくれと、言ったのだが。さすがにこのままでは恥ずかしい」
ベッドに横たわった新珠が見上げる。腕を交差させて軽く胸を隠しながらうつぶせになる。絹糸のような髪が流れた。なめらかな背中が露わになる。
「無理に判ろうとしなくてもいいんだぞ」
こっちも全部脱いで上から見下ろしている状態で、この期に及んでだが、本能だけで押し切っていいのか。新珠の意志に関係無く。
「君こそ女心がわかっていない。もっと勉強することだ」
「自覚があったのか……」
「ぼくは女だぞ」
唇に指が触れる。普段の態度はどうなんだ、行動と言動が合ってない。
「……」
撫でる指が頬に移動する。かすかに震える指先から初めて見た目ほど落ち着いていないことに気が付く。
その手に俺の掌を重ね再び口元へ戻してくると手の平にゆっくりとキスをした。

244:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/27 23:39:58 F0Jb1Bv1
続きは明日の夜
申し訳ありません

245:名無しさん@ピンキー
07/03/28 11:38:51 HUnC28dm
久しぶりの新作乙であります!(≧Д≦)ゞ

246:名無しさん@ピンキー
07/03/28 14:06:56 XU8gD34M
乙!
期待age

247: ◆ELbYMSfJXM
07/03/29 02:59:47 RZjtL9Fv
遅くなりました
続き投下します

248:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/29 03:05:52 RZjtL9Fv
そのまま腕の内側に口づけながら上ってゆく。もう片方の手で胸を優しく包んでごく軽く揉む。
まだ風呂上がりの熱の残る肌はしっとりと心地よく適度に弾力があり俺を押し返してくる。
「や…、……」
平気な振りをしながら唇を噛みしめて身をよじる姿に、つい脇や胸の周りを舐め回す。石鹸の残り香が鼻孔をくすぐる。
指先で胸の突起に触れると小さく声をあげた。すぐに表情を戻すが頬が赤い。
「……後ろから、してくれるか?」
「ん?」
「見られたくない」
……要望通り後ろから抱き締めると柔らかな髪や肌がより密着する。
俺の腕の中にすっぽりと収まってしまう華奢な躰はどこをなぞっても女の子のそれで、あのむさ苦しい野郎どもの中に居たことが信じがたい。
耳朶を甘噛みしながらやや手に余る大きさの胸は掌全体で揉むと動きに合わせて呼吸が熱くなってくるのが判る。
時折先端を指先で擦るとぴくりと躰が反応するのでだんだん尖ってきた部分を指先でこねる。右手で左を、左手で右を同時に刺激すると振り向いてきた。
「やめて……あの、さ、もう、いいだろ…」
切なげに眉を寄せて至近距離で請う。胸を触られながらも背中や肩はまだ強張った感じが残っている。同時にじんわりと熱さが腕に体に伝染していくのが心地良い。
「いいって……何を?」
「入れて、早く……」
「…………」
言うか?
もう少し触らせてくれてもいいだろ? それとも濡れやすいのか。
脚の間に手を滑らすと反射的に慌てて力を入れて阻もうとするが繁みをかき分けて到達すると、僅かに指先を濡らした。
「まだ早いだろ」
「……、だって、入れたら気持ちよくなるんだろ……?早くして…、くれよ……」
「――入れてもいいけどな、今だと絶対に痛いぞ。…初めてだろ?」
「処女でもすぐ感じちゃって痛くなくなるって皆書いているよ」
「どーゆー本ばかり読んでいるんだお前」
「もう、触らなくて、いいから、さ……それより、早く…」
辛そうに目を逸らして呟く姿に、得体の知れないモノが体の中で生まれた。


249:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/29 03:13:17 RZjtL9Fv
とりあえずその要望は無視してお構い無しに体中を触る。ついでに後ろからの注文も却下して前から唇で胸を弄る。
口に含んで舌でつついてみたり、転がした後に全体を存分に舐め上げる。こりこりに固くなった所で今度は指先で摘んで擦り合わせる。
が、すぐにくすぐるような動きに戻し先端を舌先で刺激する。
自分でも判らない感覚が胸の奥に渦巻いている。最初はごく小さい染みだった濁りは流れに乗って徐々に広がってゆく。
急な責めに焦って聞いたことの無い声で抵抗する。先刻までの余裕ぶりが嘘のような狼狽ぶりだ。
「あ……、ぁんっ、だから…っ、やめ……」
「嫌なのか。まあ、そうだな。俺が初体験なんて不運極まり無い」
「ちがっ……、いや…あ……っ!」
胸元の柔らかい部分を強く吸うと紅く痕が付いた。鎖骨や首筋の辺りまで幾つも印を散らす。
「それとも……、こんな振りして何人もたらし込んでいるのか?口封じに」
「違う!そんなこと……っ」
うっすらと汗が浮かび上気した顔で息を荒げながらも、心底驚いた風に目を見開いて俺を見つめる。
「ぼくは……」
悲しげに顔をゆがめたかと思うと、自分から視線を外して目を伏せた。
その姿を見ても黒い思いは変わらない。かえって一層その濃さを増して俺を満たす。
「入れたら分るけどな。その前に散々触って弄らせてもらうから」
脚の間に膝を割り入れ脚を閉じさせないようにする。右手で膝下を持ち上げて女の部分を露わにさせると左手で何度も上下になぞる。
「…や…、触るの……っ、ぁあ…みないで……はぁぅ、」
徐々に溢れてくる愛液を上の方、繁みの辺りまで擦り付けて全体にまぶしていく。五本指で丹念に触れるように撫でていくと小刻みに震えてきた。
濡れて光りながら充血して膨らんできた部分を人差し指と薬指で挟んで剥き出しにすると腰をよじらせた。
「だめ、だ……、あ……っ、つ!」
中指でごく薄く掠めるように触り続ける。指先の動きに合わせてびくびくと体が動き声が漏れる。明らかに快感の混じる喘ぎに変わっている。
蜜はとろとろと溢れ出して脚の間を伝いシーツにいやらしく染みた。
「気持ちいい?感じてるのか?」
そんな姿を見られたくないのか俺を見たくないのか、両手で顔を覆って表情を見せまいとする様だが逆効果だ。
「もう……や、めて…ぇ…、これ以上、は……っ。だ、め……」
「まだ先は長いんだよ」
奥に指を突き入れる。くちゅりと音が立って思ったよりすんなりと第二関節まで埋まったが、取り巻く襞は締め付けて抵抗してくる。
この狭さは確実に処女だ。ゆっくりと指を折り根元まで出し入れしながらもう一本を入り口付近になじませるように刺激して広げてゆく。
汗と蜜でぬらりと熱くなった部分に顔を寄せる。濃密な女の匂いとひくつく花芯が男を誘う。すすり泣きにも聞こえる声により嗜虐心が増す。
熟れきったそこを舌で舐め上げる。舐める音と水音が新珠の耳にも響くように嬲る。唾液と愛液にまみれ艶めいた部分を更に吸い上げる。
「あっ、ぃや、ぁ…っ…あ…―っっ!」
背中を仰け反らせて下半身をがくがくと震わせた。足の指を突っ張らせてシーツに皺を寄せた後長く息を吐きながら弛緩した。
誰も見た事が無いであろう女の顔で。

250:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/29 03:21:33 RZjtL9Fv
「イったんだな。そんなに良かったか?」
「……ぁ……、」
とろけた瞳が光を取り戻し始める。だらしなく涎を垂らしてゆるく肩を上下させながら快感を全身で受け止めている。
「嫌がってても体は反応するんだよな、…そりゃ、生理反応みたいなものだから。諦めろ」
抜いた指にまとわりつく愛液を舐め取りながら目を合わせずに言い放つ。
「俺じゃなくてもこうなるんだよ。……ほら、お前の味だ」
蜜が残る俺の指を銜えさせる。泣き出す一歩手前の顔をしながらも受け入れる。
「ん…、やぁ……ちが…………、」
反発しながらも挑んでくるような舌の動きに指にもかかわらずぞくりとする。気が変わった。
「じゃ、入れるぞ。これが男のモノだ。これがあそこに入るんだ」
「…………っ!」
張りつめたものと俺の顔を交互に見比べ明らかに怯えている様子で後ずさりする。
「や…、だめ……、おおきい…」
思わずぐらりと揺れそうになったが―、そう見たこともないだろう、し、な……
「指よりは大きいな。触ってみろよ」
手を取って触れさせる。細く白く長い指がおそるおそる震えながら当ててくる動きはかえって昂ぶりを増してやばい。
「ちゃんと握れよ」
掴ませて上下に擦らせる。嫌そうに眉をしかめながらも教えられるままに両手で固く脈打つものを、俺のものを握っている。
擦り上げられるたまらない刺激に先端から透明な滴が垂れてきた。
「これ……?」
「男も気持ち良くなると出てくるんだ」
「きもちいい、のか……」
そう言って真っ赤な顔で凝視されるとちろりと舌が舐めた。嘘だろ。
「君に、されたから……、おかえし…だ……」
ぬるぬるした液体を舌で広げる。俺がしたように。指と違って熱く熱を帯びて粘質に這う動きの、あまりの良さにうっかり吐き出しそうになる。まだだ。まだ早い。
初めてなのか?これで。
「そのまま銜えて、奥まで入れるんだ…歯は立てるなよ」
ぐるりと舐め終わって先に戻ってきた所で逡巡する素振りを見せたが、そのまま従って徐々に口に含んでいく。


251:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/29 03:46:47 RZjtL9Fv
「…ん…はぁ……ちゅぶ…」
柔らかく包まれる感覚に舌や唇が触れるたびに背筋に電流が走る。フェラってこんなに気持ちいいのか。
10ヶ月前に1ヶ月、4ヶ月前に17日間1年生の女の子に告白されて付き合ったことがある。
「頭が良い先輩が好きです」とか言われたな。「先輩は私より本のほうが好きなんですね」と、あっさり振られたが。
えっちな事にも及んだが当然両手で数えられる回数しか経験は無い。今日の展開は自分でも想定外の外だ。
恥ずかしさと嫌悪感で耳まで真っ赤にしながら涙を溜めて奉仕する顔に汗で髪が一筋張り付いている。
あの、新珠燐に口でされている、たまらない征服感と優越感。快感が高まってくる。
「はむぅ…ちゅば…ん……、んんっ、っ!!」
「俺もイかせてくれ」
頭を抱えて激しく上下させて揺する。
「むぐっ…ん…んーーーっ」
無理矢理動かされて息も出来ず苦しがる様子を見下ろしながら満ちてくる
頭の中が真っ白になり欲望を吐き出した。
一瞬緩んだ俺の手と射精された振動で、銜えていたものから解放されて辛そうに咳き込んだ。
「う…、ごほっ…、嫌……っ、のどきもちわるい……」
おそらく少しは飲んでしまったに違いない、頬や喉元に垂れる白濁液と流れ落ちる涙が行為の汚さを物語っている。
最低だな、頭が冷めて罪悪感が一気に襲ってきた。
「ねぇ、…本当にこれが気持ちいいの…?」
潤んだ瞳で咎められて嘘はつけない。
「いい。男は挿入と同じ位、……口でされるほうがいいって奴もいるみたいだ」
「そうか……、あの、アイスを舐めるみたいにって読んだから……って、今時の恋愛小説でもこの位載せているからな」
照れ隠しか口調が強気な元のペースに戻っている。しかし見た目は裏腹に俺に汚されたままのギャップが堪らなくいやらしく刺激する。
現金に復活したモノにゴムをかぶせると、もう終わったかの素振りをしそうな背中を襲う。
「俺は、入れるほうがいいな」
「え…、だって、やぁ、……ふぁんっ!」
押し倒してすぐ間近で見つめ合う。
……綺麗だ。
あくまで真っ直ぐ正直に俺を見つめ返す瞳には迷いは無く、ただ俺を映している。奥底まで見透かされるような色から逃げられない。
また決意が揺らぐ。どうして抱かれようとしたんだ、どうして俺なんだ。
問おうとした時再び唇に柔らかいものが触れた。今度は指でなく、―同じ唇。
「やはり読むだけじゃだめだな。実際に経験しないと、全然違う」
「俺を巻き込むのはやめて欲しいんだが」
「ぼくのライバルは君しかいないと言っているのに」
…………
今は考えない事にする。分らないことはいずれ分る時が来る。
彼女の口腔を味わいながら切ない息遣いと交わす唾液の響きに互いの躰が再び熱くなるのを感じていた。

252:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/29 04:04:16 RZjtL9Fv
すみません
251は以下に修正

「…ん…はぁ……ちゅぶ…」
柔らかく包まれる感覚に舌や唇が触れるたびに背筋に電流が走る。フェラってこんなに気持ちいいのか。
10ヶ月前に1ヶ月、4ヶ月前に17日間1年生の女の子に告白されて付き合ったことがある。
「頭が良い先輩が好きです」とか言われたな。「先輩は私より本のほうが好きなんですね」と、あっさり振られたが。
えっちな事にも及んだが当然両手で数えられる回数しか経験は無い。今日の展開は自分でも想定外の外だ。
恥ずかしさと嫌悪感で耳まで真っ赤にしながら涙を溜めて奉仕する顔に汗で髪が一筋張り付いている。
あの、新珠燐に口でされている、たまらない征服感と優越感。快感が高まってくる。
「はむぅ…ちゅば…ん……、んんっ、っ!!」
「俺もイかせてくれ」
頭を抱えて激しく上下させて揺する。
「むぐっ…ん…んーーーっ」
無理矢理動かされて息も出来ず苦しがる様子を見下ろしながら満ちてくる思いに任せる。
頭の中が真っ白になり欲望を吐き出した。
一瞬緩んだ俺の手と射精された振動で、銜えていたものから解放されて辛そうに咳き込んだ。
「う…、ごほっ…、嫌……っ、のどきもちわるい……」
おそらく少しは飲んでしまったに違いない、頬や喉元に垂れる白濁液と流れ落ちる涙が行為の汚さを物語っている。
最低だな、頭が冷めて罪悪感が一気に襲ってきた。
「ねぇ、…本当にこれが気持ちいいの…?」
潤んだ瞳で咎められて嘘はつけない。
「いい。男は挿入と同じ位、……口でされるほうがいいって奴もいるみたいだ」
「そうか……、あの、アイスを舐めるみたいにって読んだから……って、今時の恋愛小説でもこの位載せているからな」
照れ隠しか口調が強気な元のペースに戻っている。しかし見た目は裏腹に俺に汚されたままのギャップが堪らなくいやらしく刺激する。
現金に復活したモノにゴムをかぶせると、もう終わったかの素振りをしそうな背中を襲う。
「俺は、入れるほうがいいな」
「え…、だって、やぁ、……ふぁんっ!」
押し倒してすぐ間近で見つめ合う。
……綺麗だ。
あくまで真っ直ぐ正直に俺を見つめ返す瞳には迷いは無く、ただ俺を映している。奥底まで見透かされるような色から逃げられない。
また決意が揺らぐ。どうして抱かれようとしたんだ、どうして俺なんだ。
問おうとした時再び唇に柔らかいものが触れた。今度は指でなく、―同じ唇。
「やはり読むだけじゃだめだな。実際に経験しないと、全然違う」
「俺を巻き込むのはやめて欲しいんだが」
「ぼくのライバルは君しかいないと言っているのに」
…………
今は考えない事にする。分らないことはいずれ分る時が来る。
彼女の口腔を味わいながら切ない息遣いと交わす唾液の響きに互いの躰が再び熱くなるのを感じていた。

253:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/29 04:35:30 RZjtL9Fv
「ん…、んっ、痛……っぁ、っつ……」
半分しか入ってないが背中に廻された腕は時折掴まる場所を探すようにもがいている。
気休めにしかならないが長い髪ごと肩をかき抱いて耳元にキスを続ける。
こっちも実は強く押すと折れそうでなかなか進めない。
「ま……だ、?…ぁ……っ」
滲む涙を唇でぬぐって答える。
「後少し、我慢出来るか」
「うん…だいじょ、ぶ……」
ぎゅっと抱き締め返す体を頼りに腰を掴まえて一気に押し進めた。
「―っ!」
指に力がこもって息を詰める気配の後に大きく吐く。
「は……ぁっ」
「全部入ったよ」
「―ん、そう、か……。あ、っ…これが……、ぁ…」
浅い呼吸を繰り返しながらゆっくりと確かめている。
俺は締め付けらるきつさと同時に温かさとそれまで感じたことのない妙な―敢えて言うなら安堵?充実した気分を味わっていた。
入れているだけなのに心地良い。
「気持ち良くなったか?」
「う…っ、あ、熱くて……いた、いのか……よく、わからない……っ」
真剣に悩む顔をする。何だか可笑しくて、
「じゃあ動いてみようか」
ゆっくりとぎりぎりまで抜くと再び奥まで入れる。繰り返す度に体が揺れて離れそうになる互いを逃さないように抱き留めた。
「あ、いたっ……、ぃ、あ…、やぁっ…」
やはり痛いらしい、爪を立てられるが新珠の痛みに比べられるものでは無い。
止めてやりたいが、その切ない声やしがみついてくる体の熱さ、泣き出しそうな表情に意外な程早く追いつめられていく。
「ごめん……、持ちそうにない」
細かく突く動きに変えると一層辛そうな顔をしたが繋がった部分が擦れ合う快感は増していく。
響く音も蜜や汗の匂いもより濃密に絡みついてくる。
「あ、……あまや、ど…っ」
涙を溜めて唇を求めてくる彼女を受け止めると俺の理性は完全に飛んだ―

254:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/29 04:37:56 RZjtL9Fv
身支度を整えて俺の部屋の鍵を手元で弄びながら忠告する。
「他の男が入ってくる確率があるぞ、取り替えておけよ」
「寮でこの一番奥の部屋に人が居るのは6,7Fだけだから。ぼくの部屋の隣も無人だし、その隣は奥丁字だから安心していいよ。
今月から寮に入るって言ったら父様が心配してね、家に居ると五月蠅くて集中出来ないから押し通したけど」
当然だ。年頃の娘が男集団の中に居るだけで大変なのに寮生活となれば、何かのはずみでばれてしまえば…、現にあっさりと暴露されている。
学園長が知れば半殺しに退学の道が頭に浮かぶ。もちろん拒否する気も無いしな。
「ここに居るほうが危ない。俺が言う台詞じゃ無いが、きちんと周囲に守ってもらえ」
「君が守ってくれたら問題ないじゃないか」
さも意外そうに、当たり前のように言う。
「ぼくの処女だけでは不満?」
「……新珠、お前……」
強烈な仮定が脳裏をよぎったが証明するのが怖い。
「今日ほど人心に関して勉強不足だと痛感した日は無いよ」
「学生の本分は勉強だろう?いいことだ」
「帰る……」
たかが20年も生きていない人生で何かを知った気になって浮かれている脳をぐちゃぐちゃに掻き回された一日だった。
「ひとつ聞くけど」
ドアの前で振り返って、ベッドの上で上半身をシーツで隠して座り込んでいる彼女に疑問をぶつける。
「どうして男装しているんだ?」
「内緒」
っ、突っ込む前にまたしてもあの笑顔で阻止された。
瞳も髪も存在自体が煌めく幻に錯覚させる程の純粋さ。
全てを投げ出せる覚悟を即座に決めてしまえる強制力を持った最終兵器。
ロックオンされた時期も撃墜タイムも検討するだけ無駄だ。
考えるものじゃなく、初めから落ちるものと決まっている。
「じゃあな、また明日」
金縛りから脱出して声を絞り出すと退散する。これ以上顔を見ていたら朝まで居座ってしまう。
戻っても明日は睡眠不足だな、と苦笑しながら階段を降りた。


255:月下桜園 ◆ELbYMSfJXM
07/03/29 04:47:19 RZjtL9Fv
以上です
後半時間がかかり申し訳ありません

伊集院やウテナみたいに凛々しくて真っ直ぐな男装少女が
内面は乙女なギャップが大好きだ
書いているうちに彼女の乙女度が下がって
男のヘタレ度が上がった……

また機会があれば続きでも
失礼しました

256:名無しさん@ピンキー
07/03/29 12:14:26 lBjzJZyk
GJ!

257:名無しさん@ピンキー
07/03/29 14:15:25 QhZB2ZIL
GJ!
とりあえず勢いでやっちゃった前半、乙女部分は後半でより発揮されるのではないかと
期待しております。

ところで登場人物の名前の読み方にいまひとつ自信が持てません
主人公は「あまやどり まつづき」か「あまやどり しょうげつ」、
ヒロインは「あらたま りん」あたりでしょうか?

258:257
07/03/29 14:18:15 QhZB2ZIL
すみません。ここから後半があるのかと思って誤解しておりました。
今回はこれで完結なのですね。続編もぜひ!

259:名無しさん@ピンキー
07/03/30 00:36:24 WL8Qs154
職人さんGJです
少し鬼畜な攻めもイイ!


>>257
とりあえず雨宿のほうは新珠の台詞から姓は「あまやど」と読むのは分かるけど他はどう読むのだろう?

260: ◆ELbYMSfJXM
07/03/30 09:38:32 oimzl3bH
名前の読みは
雨宿松月(あまやど・しょうげつ)
新珠燐(あらたま・りん)
幼なじみは奥丁字衣黄(おくちょうじ・いこう)

ネーミング苦手で桜の品種名から付けた
読みは本来違うかもしれないが響きの良さで
混乱させてすみません
燐は木偏で?と書きたいのだがエロパロ板で表示可?

レスありがとうございます
続き、ヘタレ坂を転がり落ちる男の姿しか orz
SS初めて書いて楽しかったが
やはり読むのも好きだから待ってます

名無しに戻ります
失礼しました

261: ◆ELbYMSfJXM
07/03/30 09:41:22 oimzl3bH
表示無理みたいですね
重ねて失礼しました

262:名無しさん@ピンキー
07/03/30 23:12:28 y6p9HhVD
職人さんGJです。

雨宿の冷静なようで冷静じゃない態度に萌えました。
新珠の男装の理由も気になるので続編ぜひお願いします。

263:名無しさん@ピンキー
07/04/01 09:17:54 N082Uxm7
男装少女に素直クールが…まさに一粒で二度美味しいですね!!
本当にGJです( ̄ー ̄)

264:名無しさん@ピンキー
07/04/06 10:28:41 pBMag53Q
保守

265:名無しさん@ピンキー
07/04/06 20:33:42 Gknha7ve
今期のアニメで男装少女が出てくるのは
ロミオ×ジュリエットだけ?


ドナタカ情報求ム

266:名無しさん@ピンキー
07/04/06 22:47:12 oT4cvIKh
ロミジュリ結構萌えた。

今期はクレイモアくらいじゃないか
男装じゃないけど、男っぽい格好をする女の子が出てくるのは。

今期でなくて悪いけど、お伽草子にも男装出てくるんだよな。
見ようか迷ってるんだが、萌えるか?

267:名無しさん@ピンキー
07/04/08 00:41:15 UwexnJ3Y
>>265
D.C.S.S.
……すまん、聞かんかったことにしてくれ

268:月下桜園1.5 ◆ELbYMSfJXM
07/04/08 16:16:46 ueaziqfR
続き煮詰まり気味で合間話投下
エロ無し

***

窓に叩き付けられる雨音は次第に大きく強く、窓枠が時折軋み風圧でガラスが揺れている。
「帰るに帰れないな」
「様子を見よう。幸いぼく等にはすることがあるだろう、雨宿?」
担任の地学教師から準備室の掃除を押しつ…頼まれて俺と新珠は地球儀や天気図、望遠鏡やらが詰め込まれた部屋にいた。
物臭な江戸先生は出席番号1番2番で頼むなぁ~、と言い残し鍵を置いて自分は早々に帰ってしまった。
課外の半ばから降り始めた雨は準備室に辿り着いた頃から急激に勢いを増し、5月には珍しい悪天候に発展している。
幸か不幸かどちらも適当に誤魔化して済ます事を善しとしない性分で、黙々と作業を続けている。
…………
雨音に遠雷の響きが混じる。
まだ距離は離れているが外を見るとこのままでは収まりそうに無い。
新珠は入り口近くで机の上に乱雑に重ねられていたファイルを揃え棚に戻している。
稲妻が奔った。
間を置いて、落雷。
近づいて来ている。こうなると屋内のほうが安全だ。
それに、寮以外で二人きりになるのは初めての事で現在の天候と裏腹に浮かれる気持ちも確かにあった。
かと言って好かれたいとは思わない。決めるのは新珠だからだ。
変わらぬ日常を繰り返しながら、互いの領域は侵さない。
再び光。衝撃。
ぴく、とファイルを並べ掛けていた新珠の手が反応し、止まる。
瞬きもせず、表情を動かさない様子に……
―閃光・空を裂く轟音
「いやっ!」
ほろりと表情を崩した彼女の泣き出しそうな顔が見えたかと思うと束ねた後ろ髪が舞った。
飛び込んできた衝撃に2,3歩後退って背を壁に支えられる。
轟きの残響のなか、新珠は全身を震わせて俺にしがみついている。
まるで見なければ全てから逃げられるかのように頑なに目を閉じて。
握り締めた指は長い睫毛と共に絶えず揺れて必死に恐怖と戦っている。
肩を支えると短い安堵の息が漏れた。

雷光と一瞬遅れた頭から足の先まで突き抜ける衝撃音が世界を覆う。
「…、や…怖い…!いやぁ……っ」
漏れる怯えと嗚咽の息遣いが肩に当たる。
見なくてもいいように頭を抱え込んで外の景色から遠避ける。
左手で両腕ごと背中を強く引き寄せて抱き締める。
制服の上からでもこうして接すると、いかに男離れした体格であるか明白に感じ取れる。
細い肩と腰、希有な存在感、強さと脆さ、輝きと陰りが只一つの新珠燐を形作っている。
伝わってくる戦きが俺の中で温もりに変わり、また彼女に戻っていけばいい。
一千秒にも思えた時間は実際には十分の一程度だろう。
そっと頭を撫でると顔を擦り寄せて応えた。
白くなるほど襟を掴んでいた指を徐々に開くと、そろそろと確かめるように俺の背に手を回した。
僅かに乱れた呼吸を整えるように身を預けている様子から落ち着いてきたのが分かる。
急速に最高潮に達した嵐は遠ざかる雷鳴に伴われて瞬く間に止んでゆく。
砂を流すように降り落ちる水音と不規則に聞こえる雨だれが、あっけなく訪れた静寂に色を差す。

269:月下桜園1.5 ◆ELbYMSfJXM
07/04/08 16:18:23 ueaziqfR
「ありがと……」
はにかみながら体を離した新珠は、やや潤んだ瞳で視線を合わせずに呟いた。
制服姿でこんな顔をされると、いたたまれない。
「もう平気か?」
こくんと頷いて尚も照れくさそうに俯いていたが、一言。
「誰にも、言わないでほしい」
―前にも聞いた台詞だな。
「嫌いなものがあるのは恥じる事じゃない」
「じゃあ、口止め料だ」
背伸びをされてふっと視界が遮られる。触れるだけのキス。
「お釣りはいらない」
「……」
男の姿での行為は二重の意味でリスクが高いだろ。
「一人の時は呼べよ。先払いで受け取ったからな」
「呼ばないと来てくれないなんて、本当に高いと思ってる?」
「用も無いのに行くのは変だろ」
「……馬鹿」
彼女は床に散乱したファイルを拾い上げ作業を再開した。

「新珠」
「ん?」
「読みたくて探している本があるんだが、お前の部屋に並んでいたのを今思い出した。貸してくれないか?」
「ん―、どうしようかな」
口元に指を当てて検討している。
「そうか、ならいい」
「あっさり諦めるんだな」
「他の手を考える」
「読みたいんだろう。目の前にあるのにどうして遠慮する?」
「扉を閉められたよ」
「なら開けろ、と叩けばいいだろ、一度で駄目なら二度、君は執着心がなさ過ぎる」
「効率を上げているだけだ。そもそも、閉める理由は何だよ」
新珠と話していると展開に付いていけない、相手が何を求めているか判らなくなる事がままある。
執着心?
あるよ。おそらく。充分に。
「…………、あのさ、君のバイト先のお店の隣、ケーキ屋さんだよね」
言われてみればそうかも知れない。甘い物には興味が無いから気にした事が無かった。
「ああ、そうだ」
と思う。
「美味しくて結構有名なんだ。特にカスタード系が評判らしい。プリンとシュークリームは外せないかな。
 一人で入るには恥ずかしくて」
俺には一人で苦手なスイーツの店に行けと。野郎二人だともっと怪しいがな。
「でもロールケーキも好きなんだ」
ふふ、と鼻を鳴らして微笑む。見上げる瞳は明らかに悪戯好きな光が宿っていた。
最後に机を拭き上げると戸締まりをして廊下に出た。
「鍵は返しておくから。奥丁字が待っているだろ?」
「そうだね、ではお先に」
髪を翻して歩き去る後姿は平素誰もが目にする新珠燐だった。
窓の外は夕暮れ前の光を取り戻し、濃く色を増した木々の葉を照らし、残った水滴がガラス窓を伝い流れてゆく。
下校する生徒達。変わらぬ光景。
「―待ってるから、な」
誰も居ない事を確かめて振り向いた、あれから毎回何処か誤魔化されているような釈然としない、だが不思議と満たされる笑顔。
向けられるのは俺だけだと自惚れたい誘惑は叶うはずも無いからこそ密かに胸の奥に住み着いて離れない。
日常に埋もれながら時折思い出したように胸を差す。
軽く手を振って応えると今度こそ先の角に消えた。
見届けて足早に職員室に向かいながら俺は知らず知らず駆け出していた。

270: ◆ELbYMSfJXM
07/04/08 16:22:46 ueaziqfR
以上です
行数ギリギリで焦った
ショーケースの前で固まる男の姿は想像で

失礼しました

271:名無しさん@ピンキー
07/04/09 13:10:58 /2FUrCNK
>>266
お伽草子は男装してるのは前半の平安編だけ
話はつっこみどこれが多いが光さまはかわいいぞ
最後の裸ロケットは色んな意味で伝説だw
ちなみにジュリエットと中の人が同じw



272:名無しさん@ピンキー
07/04/09 19:52:59 ggrecIYB
>266
どうせなら×箱のO・TO・GI~百鬼討伐絵巻~を勧めとく。
安倍晴明が男装の麗人だぞw
昔は単独スレもあったものだが。

273:名無しさん@ピンキー
07/04/14 21:02:03 J1734Rze
>>270
GJ。続き期待してます。

274: ◆ELbYMSfJXM
07/04/17 22:44:34 eFZdeT5v
続編投下
時系列では1.5話の前
さるさん規制避けで、まず5レス投下
続き1時間後に来ます

275:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/17 22:47:27 eFZdeT5v
動き回る気配、揺れる香り、時折触れる体、想像が妄想へと発展してゆく。
柔らかいものが時々腕や背中に当たるんだが。恐る恐る聞いてみる。
「新珠……服着てるか?」
「お風呂に入るのに服を着たままだったら変だろう?」
「…………」
どうして何も見えないんだ今の俺は!!

276:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/17 22:48:15 eFZdeT5v
「ふっふっふっ」
にやついた瞳をしている市原―絶対に何かを企んでいる目だ。彼が新珠燐(あらたま・りん)……君につきまとうのは始業式の日から気を付けていた。
今までと違う様子があればすぐ飛びつきそうな危険な目だ。
『衣黄(いこう)、いつもずっと有難う。今年は最後だからなるべくぼくの自由にさせてくれないかな?君も好きにしたいだろう?
もちろん君が近くにいてもいいと言うなら構わない。父様は五月蠅いしね。だからこれはあくまで希望だけど』
男だらけの中で寮生活を始めると言い出して猛烈な反対をものともせずに押し通した彼女は何時になく強情だった。
表向きは変わらず、でも奥底で誰にも曲げられない意志の強さを感じさせてあの学園長もたじろいだ。
くれぐれも目を離さないようにと釘を刺され、もとい脅迫そのものの形相で頼み込まれた直後に
当の本人からは好きにさせてくれと遠慮がちに伏し目で言われてしまっては、体が二つ欲しくてたまらない。
(ああ、この男にだけは気付かれてはいけない)
―いつからか、彼女がふと寂しげでそれでいて優しい目をして遠くを見つめているのを知った。
3年生になりその視線が追う先を奥丁字だけは気が付いた。それはごく微かな他人とは違う変化であったから。
雨宿松月(あまやど・しょうげつ)。
入学以来新珠と順位上では常に首席を争っている相手、ただ彼女と違い運動能力はかなり低かった。
それでも背は180㎝近くて線も細め、顔も悪くない生活態度も真面目とあらば普通の女の子なら惹かれてもおかしくないが
新珠のような完璧主義の人間が興味を持つには分不相応に見えた。
……いや、だからこそ、彼女も只の女の子だったということなのか。

「なんかさあ~、七日前から変な訳よ、どっか」
それぞれ自分の席について本を読み、話題の二人は会話をしている訳でもなく接点もないように見える。
衣黄にも分からない変化を感じているのか、それとも単なる勘違いかハッタリか。
「僕は一応ずっと新珠君を見てきているんだよ。その僕が変じゃないと言ってるんだよ……」
「新珠だけじゃねぇ、雨宿も変だ。二人揃ってって、なんかあるなこりゃ」
ひゃひゃひゃと嬉しそうに嫌みたらしく笑っている。
「なんかある、んじゃなくて、君がそう思いたがっているんだろ?そーゆーの迷惑だからやめてくれよ」
「迷惑って言われてねーし」
「市原がしつこいから言わないだけだよ。だから僕は言うから! や・め・て・く・れ! 」
「なんでそーアンタがムキになってんだあ。新珠『くん』だって周りにとやかく言われたくないだろーに」
カメラをしまうと長めの前髪をかき上げて口元を歪めてにやりと笑った。そのまま二人の側へ歩いていく。
「おーい、暑いから窓開けていいか?」
「ああ」
すたすたと市原が雨宿の後ろに回り込んで窓を引くと、よどんだ教室の空気を掻き混ぜるように一気に風が吹き込んできた。
「うわわ~」
「市原君、気を付けてよっ」
しまった、という顔をして衣黄が走り寄る。
「―っ、!」
本の頁やカーテンを巻き上げた春の風はすぐに収まったが、窓の一番近くにいた雨宿は目頭を押さえている。
「埃が入った。洗ってくる」
「あいよ、行ってらっしゃいー」
「余計なことばかりするな、君は」
新珠がかすかに眉を寄せて睨んだ。

277:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/17 22:49:13 eFZdeT5v
釣った魚に餌はやらない。
いや、やっぱりここは「私の体だけが目当てだったのね」と言うべき?
あの日から一週間経ったけれど彼のぼくに対する態度は以前と変わらない。
だからといって責めるつもりもないし、外見は男同士でべたべたするのも変だし、何か違う。
「Hしたら世界が変わっちゃったv 」なんていうのは乙女なお話だけのことなんだなぁ。
次の日の腰の鈍い痛みと歩き辛さを気取られないようにすることだけがリアルで。
彼との関係が変わることを期待していなかった訳じゃないけど、ぼくにとっても事前事後の自身の有り様の変わら無さに驚いた。
最中はそれどころじゃなかったけれど……
彼の指が声が体が唇がほんの少し触れるだけでどうしようもなく胸が高鳴って息が出来なくて気が狂いそうだった。
恥ずかしくて何でもない振りをしようとしたけど、かえって勘違いされて怒らせてしまった。
元々嫌われているんだから……彼がぼくのことを何とも思っていないことくらい分かる。
男の振りをしていても、処女でなくなっても、本質は変わらない。
彼の言葉は自分の道標で、だからこそ負けたくない、恥じない人間でありたいと思い続けてきた。
同じ目標を持たなくても肩を並べて二人で前を向いて歩いていけたらそれでいい。

次の時間は移動教室なのに彼は戻ってこない。
教科書をまとめて見に行くと洗面台に手を付いてうつむいていた。
「雨宿」
「新珠? 次は実験室だったな……」
顔も水で濡れて珍しく所在なげな表情でこちらを見ている。その眼差しに胸がきゅんと締め付けられる。
「見せて」
ぼくはもう無意識のうちに彼の顔に手を寄せてのぞき込んでいた。
「……、いいから、大丈夫だ」
軽く手を払われるけど妙に慌てて本当に珍しい。
「目、赤いよ。保健室に行く?」
「そうする」
素直にうなずいた。何だか―かわいい。

「コンタクト流すなんテらしくないネ、何考えてタ?スペアや眼鏡すら作ってないとは呆れるヨ」
「毎月の生活費のやりくりがあるんですよ。今後検討します」
「相変わらず意識が希薄だナ―
 新珠くン、この子、裸眼視力かなり悪いから手伝ってやってくれヨ、病院には連絡してあるからネ」
「はい、分かりました」
「新珠?何故まだ居るんだ、授業に行かないのか?」
「君の様子を報告するために待ってるんだよ」
「松月、教授も心配していルんだからオトモダチに甘えてみるんだネ。彼を困らせたら全校生徒から恨まれるヨ?」
保険医の嶺先生は生まれも育ちも普通の人なのになぜだか面白い喋りかたをする。
……でもどうして名前で呼ぶの!?色々知ってるみたいだし?
「そういうことだ。じゃあ早く戻ろう」
「は? ……あ、新珠っ?」
ぼくは強引に彼の手を握って廊下に出た。嶺先生は大人だし眼鏡の美人だし才女だし巨乳だし当然男子人気もとても高いしそれにそれに……
「……手が痛いんだが……」
「あ、ああ、すまない」
夢中で気付かなくて少し力をゆるめたら熱っぽさが引いていった。すう、と彼との間に風が通る。
「離してくれよ」
「駄目だ。頼まれたことを途中で投げ出すことなんてぼくにはできない。
今日は―、君とずっと一緒にいる」

278:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/17 22:50:29 eFZdeT5v
新学期になって17日目、教室の隅の席にも慣れた。
朝一に誰も居ない校内の静謐さを味わいながら式を叩き込む時間、歴史に思いを馳せる午前、
昼下がりに揺れる葉桜を横目に英文スペルを繰り返す午後、知識に囲まれる図書室での至福の放課後。
入学以来変わらぬ空気とも言える日常が卒業まで続くことに何の疑問もなかった。
視界の隅の涼しげな後姿も、そこに居ることが当然の景色になっていた。
……見た目では。少なくとも頭の中では。
新珠の様子は一見変化無く見えた。整った横顔、眼差しの強さ、光の中に佇む美しさ。
成り行きとは言え最後までやった責任は俺にある。何時処分を受けても構わない。
思いやりのある人間だと人が考えるのは自分が無関係か、相手に期待をする時だけだ。
負けず嫌いの彼女は張り合おうと意地になっていただけで好意からじゃない。
勘違いするな。
目にかかる長めの前髪をそっと払ってやりたいとか、あの笑顔を守るためにどうしたらいいか、とか
考えるのも、可笑しいだろう?

「えええ、新珠先輩が男と手つないでるーーーーっいやあああっっ!!!」
「落ち着いてよ、コンタクト落として見えないから手伝ってるんだって? 優しいよねー」
「私も落とすー! 手をつないで送ってもらうのーっ」
「あんた両目とも2.0じゃなかったっけ?」
女生徒が騒いでいる、当然の反応だ。
「素晴らしいわ。美味しいわ。絵になるわ。やはり女は相応しくありませんわ」
「鷲尾学園高等部最後の男子学年に咲いた麗しい薔薇ですもの。わたくし達の心の泉」
「絵画的には相手の華の足らなさが口惜しいわ。とは言いましても燐様と並べられる存在など許さないのですわ」
「この感動を余すことなく紙の上に表現するのがわたくし達の使命です。さあ行きましょうアトリエへ!」
思考回路を分解して解明したくなる。理解は出来るが認めたくない。
この状況では新珠がどう考えているのか伺うことすら出来ず、繋がった指先だけが存在を意識させる。
正直に言うと人や物がそこにある事はわかるが表情は掴めない。何色のモノがあるか、という位だ。
それでも他の感覚器官や記憶、日常の癖で1日を乗り切るのは実際成せば成る。文字が読めない事だけが辛い。
手伝われる事そのものは有り難いが、相手は新珠だ。……調子が狂う。
「ぼくもね、他人からの評価を気にするのはやめたんだ。変わらないと分かったから」
遠ざけようとすると細い指がさりげなく、だが確かに甘く拘束する。
「新珠先輩と横の野郎のツーショット写真1枚100円!授業中のマル秘ショットもあるぜ~っ!早いモノ勝ちぃ~!」
「いーちーはーらーッ!!」
あの突っ込みは奥丁字だ。悪いが今日は完全に任せた。

279:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/17 22:51:11 eFZdeT5v
病院やあちこちに寄って寮に帰って来たら、もう8時を廻っていた。
「有難う新珠、助かった。もう慣れてきたから大丈夫だ。部屋の中は目を瞑っても分かる」
――
朝までのぼくだったら、このまま帰っていたかも知れない。
でも、自分でも不思議でしょうがないけど、何時間もそばにいて彼を見ていると―
つないだ指の余韻が残って離れたくない。
「夕食をもらってくるから、待ってて。一緒に食べよう」

食堂から二人分の食事を運んできて彼の前にトレイを置く。
壁際の勉強机は椅子がひとつしかないしテーブルもないので、床にそのままだけど仕方ない。
「部屋で食事をする事は無いし机があれば充分だ」
飾り気のないシンプルな部屋、というより必要な物だけの室内でベッドシーツの青色とカバーの白が唯一のコントラストで彼らしい。
ただ個人の趣味や思い出がわかるような写真や小物もなく、本棚も半分くらいしか埋まってなくて意外だった。
並べてある本には全部同じ色のカバーがかけられていて、タイトルはなくアルファベットや数字がマークされている。
「……手を付けないんだ、判りにくい?それとも嫌いなものがあるのか?」
「違う……、……猫舌なんだ」
ちょっと困ったように手に口を当てて照れる。
「そうなんだ。じゃあ―、」
彼の顔をじっと見つめて言う。初めて知った、気にされずにこうして見ていられるのは、嬉しい。嬉しい。嬉しいんだ。
「ふー、ふー、……大丈夫かな、うん、口開けて」
「気にするな! お前は自分の食事をしろよ」
「見張っていないとファーストフードやビタミン剤しか摂ってないように見えるんだ」
「―栄養補給出来れば充分だからな。あー……、猫舌は本当」
しまった、という顔をしてあっちを向いた。
「今日は全部食べるまで許さないからな。……それとも本当に食べさせてほしい?」

280:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/18 00:12:19 DmPZqx66
トレイを返して戻って来ると、彼はベッドにもたれてヘッドホンで何かを聴き入っている。
「教科書とノートも持ってきた。どこで勉強しても同じだからね」
気が付いて驚く所に、ぼくが先に言ってしまうと諦めて髪をかき上げる。どきりと胸が高鳴った。
机を借りて今日の復習をしながら、そっと盗み見する。
首筋も喉仏も手首や甲に浮く血管や筋も全部、ぼくには無い彼だけの表情。
節ばって背が高いのに合わせた長めの指。さっきつないでいた時にも感じたけれど、指先が触ってるだけなのに心がふわふわしてしまう。
この前はあんなに見られて触られて指どころじゃない一番恥ずかしい部分でつながってたのに、
それでもどうしてこんなに動悸が早くなるんだろう。触れられてもいないのに、つい目が追ってしまう。
この指でぼくの全部を触ったんだと思うと顔に血が昇る。
自分でした時と全然違う、指先に何かえっちな薬でもつけているんじゃないかと思うくらいに溶かされた。
どこを触られても熱くなって胸も……あそこも気持ちよくて痺れて声が出ちゃうのが恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしかった。
なのに、触れたい、触ってほしい。また。
彼が目を閉じたままなので、こっそりそばに寄ってみる。
「新珠?」
「は、はわっ、……何っ!?」
「気配が無いから帰ったのかと思った。……、いや、そろそろ寝るから。今日は本当に済まなかったな」
「お風呂も手伝うから」
「小さい子供じゃ無いからさ、もう気にするな」
「何度同じこと言わせるんだ?いい加減学習してほしいな」

281:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/18 00:13:13 DmPZqx66
離れてくれ、これ以上くっつくな、頼むから。……抱きつくな!
新珠相手だと何故またこんな展開なんだ。普通の状態なら大歓迎だが今回は間違い無く拷問だ。
7日前の出来事が生々しく甦るが脳裏にだけだ、極上の感触と最悪の視界。
全体的にスレンダーでしなやかな体つきなのに意外と胸はある。Bか、Cは確実にある。
体中の血液が頭と下半身の一部分に集中して倒れそうだ。


タオルで背中を擦りながらこっそり素手で触れる。
彼の背中、彼の腕、彼の体。直に感じる今日はちゃんと意識して覚える。
あまり見えていないと分かっていてもやっぱり恥ずかしいから、後ろから手を回すと距離が近くなる。
背中に胸が当たってつぶれる感覚。…嶺先生みたいに大きかったら、いいのになぁ。触るほうも楽しいんだろうな。
ぼくはあんなに揉まれて舐められて気が変になりそうだったのに、不公平だよね。
彼の肩に顔を寄せてそっとキスする。抱きしめるとあったかくて、こうして触れ合っていると何も不安じゃなくなる。
分かるかな? 女の子は嫌いな相手とは髪の先や服の端がちょっとかすめるだけでも嫌なんだよ。
反対にね、
「ほら、先に温まれ」
抱きついてた腕を掴まれて外される。
「ん、……雨宿、顔赤い」
「そ、りゃ、あ、風呂場の中だし熱くて赤くも、なる。きっとお前も赤いぞ。いいから、湯船に浸かっておけ」
体を離すとちょっとほっとした様子なのが見えた。
やっぱり、嫌なのかな、そうだよね、この前も今日もぼくが勝手なことしてるだけだから。
ごめんね。
でも、
最後の学年では、たった一人の前では素直になろうって決めたんだ。

282:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/18 00:14:40 DmPZqx66
恥ずかしくてちゃんとは見れないけれど、大きくなってる彼のものに手を伸ばす。
「っおい、どこ触って……!」
「黙ってっ!!」
「…………」
えーと、胸の谷間ですると気持ちいいって、読んだ。
両手で寄せて挟んでみるけど、たっぷりと埋まるほどにはならなくて恨めしい。
ちょっと痛いしやっぱり駄目かもしれない。
「あ、新珠…あの、な…………」
「ごめん、無理みたい」
ぼくは諦めて胸を離して両手で握ると先っぽにちゅっ、とキスした。
「そういう事じゃなくて……っ!」
手の中でどくんと脈打って硬くなった。うん、こっちのほうが気持ちいいんだね。
「違う、しなくて、いいから」
「文句言うと噛んじゃうよ?」
「……すみません」
指先でこすりながら軽いキスを上から下へ繰り返す。
頬ずりして今度は舌で舐めていく。なるべくゆっくりとねちっこくと、うん。
「ん…、ちゅ、っ……」
筋に沿って少しずつなぞって刺激しながら先へ戻る。
ぬるぬるしてきたから口で銜えて段のところをぐるりと舐めてから吸い上げた。
ぴくんと震えてまた熱くなった気がする。
感じて、くれてるのかな。ちらっと見上げると困ったようにやや眉をしかめて視線をさまよわせている。
その、ちょっと顔を赤くして不安そうに息を吐いているのが昼間の時みたいにかわいい。
どきどきして、また一杯キスをした。
本当はね……、ぼくも熱い。
そっと右手で脚の間を触ってみるとどうしようもないくらい濡れていて。
「は…、ぁ……」
指が勝手に動いてしまう。
太股にまで垂れてるのが分かって、すくい取って流れてきた所に押し込む。
でも全然追いつかなくて溢れては伝って手の平にまで落ちていく。
見られてたら絶対こんなことできない。もし気が付かれたら恥ずかしくて死んでしまう。
また声が出そうで彼のものを銜えて抑える。のどの奥まで入れると苦しくて息が上がってくるけど本当に辛いのか分からなくなってくる。
だって気持ちよくても息ができないから、どちらも今のぼくには変わらない。
自分でかき回しながら奥から襲ってくる快感のままに口を上下させる。
なんてひどくて恥ずかしい女なんだろう、あんなに彼にしてもらったのにまた自分に都合のいいことだけ考えてる。
舌を動かしてると濡れてるものがぼくの唾液でもっと濡れて滑って音を立てる。
ぼくの耳にはもう指の音なのか口の音なのか判らない。お風呂場の熱気の中で、どちらもいやらしく響いて頭をおかしくさせていく。
体の中も外も触れてるものも全部熱く疼いてあふれ出しそうに―
つ、と優しい指先が頬に触れて、気が付いた。
「そこまでで、いいから」
「や……、でも…」
まだ、どっちも―
「俺にも触らせて?」
――――
「だ、だめだめ駄目ぇっ!今日はぼくの言う通りにしてっ」
「俺ばかりで、悪い」
今触られたら自分でしてたってばれちゃったら死んじゃう。嫌われちゃう。だめだってば!

283:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/18 00:15:31 DmPZqx66
見えない見えない見えない……
やらしい音やたまらない感触だけが鋭敏に響いてくる。
新珠の乱れる顔も躰も認識出来ない生殺し、いっそ殺してくれ……は無しだが。
女の子に目隠しをしてえっちをする話は耳にするが、男はどう興奮しろと言うんだ。
一方的にモノだけ責められても気持ち良くなってしまうのが情けなくなるが、俺だけ中途半端にヤられてもすっきりしない。
せめて触らせてくれ。あの時を思い出すだけでは足りない。存在を、もっと確認させてくれ。
……顔にかかる吐息、しっとりと濡れた肌が覆い被さってくる、彼女の重さ、やっと俺の腕の中に。
受け止めようとした時、握られたモノの先に当たる、ぬちゃりと粘ついた音、肌より熱く柔らかい、
―っ!?


じわりと押し拡げられて中に入ってくるのはまだちょっと違和感があるけれど、あれだけ痛かったのは嘘みたいで。
彼の熱さ、硬さを今度はちゃんと感じる。直に伝わってくるよ、動いたらぼくも動く。一緒に震えてる。
これが、松月。雨宿松月。忘れたりしないから。
彼の上に腰を下ろしてしまうと前より奥まで入ってるみたいで先が、当たってる? って言うのかなこれが、くすぐったいような……
「おいっ…! な、何も付けて無いっっ、待て……っ!!」
あわてて抜こうとするので足に力を込めて首にしっかりと抱きつく。だめ、だよ?
「いい。……今日は、大丈夫。
 嫌、……?」
「まだ痛むんじゃないのか」
「平気、へい、き……、いい、…い、いっ……ぁっ!」
ほんとはどうにかなりそう、我慢してるけど声がうまく出ない、話せない……ぼうっとしてくるよ。
腰をよじったら余計に中でこすれて気持ちいい、いいって…、あ、耳舐めないで…っ。やだ。
抱きついてしまったから背中や胸をいいように触られてしまう。逃げられない。あちこちに火をつけられる。
体中がぞくぞくしておかしい。どうしていいか分からない。動いちゃ、う……っ、はずか、しいっ。
つい逃げようと体を浮かしたら少し抜けて、引っかかったところがすごく感じて一瞬飛んでしまう。
また腰を落とすけどもう一度あの感覚がほしくて繰り返す。何度も、たぶん。
声、でちゃう、もう何言ってるかわからない。何してるかわかんない。
つながった所にもう一つ心臓が出来たみたいで、そこからの鼓動が体中を駆けめぐってますます熱くなる。
最後に頭の中で何度もくり返し響いてぐらぐらしてくる。目の前がぼやけて見えなくなる。
動いて動かされてかき回してかき回されて入り口も奥も足も腕も腰も胸もあなたの感触しか要らない。
全部全部ぜんぶあなたでいっぱいにしてほしい。もっと、もっともっとほしいほしいほかはなにも

あたまのなかもそともさわってるところもさわられてるとこもあそこもあつくてとけてしまとけるとけてまっしろでしろ
のみ、こ…まれ、て……
ぜんぶはじけ、  
――――


284:月下桜園2 ◆ELbYMSfJXM
07/04/18 00:16:43 DmPZqx66
引き抜こうとした瞬間に一足早くきゅきゅっと締め付けられて限界を超えた。
只でさえ直接色々された上に、口とか生とか性質の悪い麻薬だ。経験の少ない奴が嵌ると抜け出せなくなるだろ、やばすぎる。
彼女は全身で甘く深い呼吸を繰り返す。
そのとろけた表情を堪能出来ないのが畜生何をしたって言うんだ俺が。……分っているさ解っているさ。
見えなくても感じている。濡れた唇が触る羽の様な息遣いが、藻掻きながら夢中で掴み所を探す指先が、互いの汗と石鹸の泡とで滑って擦れ合う躰が、
吐息と湯気が混ざり合って肌を濡らしていく密室の粘ついた空気が、立ち上る蠱惑的な匂いが音が、絡みついて離れない柔肉のぬめりと温さと心地良さが、
霞む視界が他の感覚を痺れさせ狂わせてゆく。
間違えない、たった一人の相手を、腕の中の、新珠燐を。
「……、あー、雨宿……?あ、の…、中で……え、と」
「抜こうと思ったけどもう一回しよう」
「ぇ、やぁんっ、あ……っ、そんなに突い、…ちゃ……、ぁあっ!」


階段の踊り場に立つと4月の夜風はちょっぴり肌寒くて、小さいくしゃみが出たので急いでぼくの部屋に帰った。
ベッドに横になる、とろりと溢れたものがゆっくりと伝って流れるのが分かった。
まだ想い……出せない、恥ずかしくて顔から火が出そう。絶対呆れられてる。明日の朝はどうしよう、いつもの振り、普段通りに。
『朝御飯持ってくるからな』
『コーヒーは飲んでる』
『胃を壊すよ?何か口に入れないと』
『……検討する』
『おやすみなさい』
『お休み』
今日は知らなかった彼のことを色々見れた気がする。もっと、もっと知りたいって、思う。昨日までと同じじゃ、足りない。
そしてもしも振り向いてくれたら、一緒に歩いていけるなら……

ぼくは嬉しさと幸せの中を漂っていて。
だから、彼の領域を侵し始めていることに全く気付いていなかった―

285: ◆ELbYMSfJXM
07/04/18 00:18:17 DmPZqx66
以上です
彼女視点、挫折
難しい

失礼しました

286:名無しさん@ピンキー
07/04/18 19:48:05 +JT+U8x/
GJです

287:名無しさん@ピンキー
07/04/18 19:49:43 +JT+U8x/
GJです

288:名無しさん@ピンキー
07/04/18 19:50:41 +JT+U8x/
二重カキコorz
スマソ

289:名無しさん@ピンキー
07/04/19 16:54:15 /YFn8Dy5
おお、投下が。良い仕事です。

290:名無しさん@ピンキー
07/04/21 00:03:09 CkwOV0wF
神が降臨するスレは此所ですか?

的な保守

暇があったら拙くて異色なSS投下するかもです……

291:名無しさん@ピンキー
07/04/21 02:30:16 G3M3Qrxr
>>285
GJです!
新珠可愛すぎだ…

292:名無しさん@ピンキー
07/04/22 03:52:49 p8FqrN1G
>>290
楽しみにしてる

293:290
07/04/23 00:24:22 T8sf6G/V
どうも、スレの発展に微力ながらもお力添えさせて頂きますm(_ _)m

※1:当方は、携帯厨なのでかなり分割しております。御容赦下さい。

※2:当方は、他の神職人の足下にも及ばぬ駄文遣いでございます。御容s(ry

※3:出来れば、当方の投下した文の要修正箇所を挙げて頂けると嬉しいです。

※4:最後に、当方の文は本格的な物ではありません。一般的な小説の枠をぶち破る表現(顔文字等)が登場する事がありますが、御(ry

294:290
07/04/23 00:25:59 T8sf6G/V
 やあ、皆さん初めまして。
 僕の名前は西園寺詩音、『しね』じゃないぞ『しおん』だぞ。
 まあ、自己紹介とかそんな事は置いといて……今、僕はとんでもない状況に立たされている。
 どんな状況かって? それは……

「で、私を妹にして頂けないかという件についてですが……」

 ……ありのまま、今の現状を話そう。
 目の前には、長い黒髪をポニーテールにした小さな女の子(多分中学生ぐらい。見た感じだが)が、ちょこんと座っているんだけど……
 その娘が突然押し掛けて来て、いきなり僕の所に来て発した第一声が『妹になりに来ました!!』なんだ。
 ははは……普通、こんな状況に遭遇する事があると思うかい?
 事実、僕は陥っているんだ、うん。

「あのね……僕に妹は必要ないし、欲しくも無いんだよ」

 このやり取りは何度目かな……もう飽きたよ。
 相手は子供だし、僕も強く出る気は無いんだけど――しつこい。
 もんのすごくしつこい。
 一体、どうしてそんなにも僕に固執するんだ?
 住所も年齢も言わないし、分かったのは『北城純』って名前だけ。
 北城……何か聞き覚えがあるな……まあいいか。

――よし、意を決しよう。

 このまま同じ問答を続けて無限回廊に突入! じゃ埒が明かない。僕は単刀直入に聞くことにした。

「で、北城さん? 君はどうして――」

「純とお呼び下さい!」

「……純さん、君は――」

「もう一越えッ!!」

「…………純、き――」

「グッジョォォブ!!」

「………………」

 親指立てながら鼻血出した。
 何だこの娘。


「コホン……で、純、君はどうして僕の妹になりたいんだ?」

 これなんだよ、何でいきなり押し掛けてまで僕の妹になりたいのか。
 ……おい、そこ、最初っから訊けよとか言うな。

295:290
07/04/23 00:28:52 T8sf6G/V
「それは勿論! 私が詩音さまLoveだからです!! あ、後お仕事でー」

 何だよその理由。
 思わず失笑してしまった。
 僕、見ず知らずの人間に慕われる程人格者だったっけ?
 違うとしても、この娘とは何の面識も認識も無いし、僕にそんな魅力があるとは――


――ああ、そうか、【財力】、か。


 遊ぶお金でも欲しい……そんな所なのかな。
 それでこんなにも僕に媚びて……成程ね。
 まあ、少しぐらいなら別に構わないな……適当に金をやれば帰ってくれるだろ。

「……それで? どれぐらい欲しいんだ?」

 もう面倒だ。さっさと引き取って貰わないと、僕が困る。
 だけど、彼女は……

「ほえ? 欲しい……? んー……そうですねー……詩音さま全身全霊の愛を頂ければ……」

 ……全く、ふざけてるのか、この娘は。
 嬉しそうに頬を赤らめて、まるでそれが本音のように言いやがる。
 演じなくても、別にいいのにさ。

「君が欲しいのはお金なんだろう? ……あげるよ」

「え……?」

 目の前の娘が、北城純が、目を丸くして素っ頓狂な声を上げた。
 そりゃそうだろうな、何もせずにお金が手に入るんだから。

「別にそんな媚びな

296:290
07/04/23 00:31:53 T8sf6G/V
 くてもさ、資産ならそれなりにあるし、一週間遊び通せるお金ぐらいは――」


「……要らないですよ」


「…………は?」

 耳を疑った。

 ....
 要らないだって?


「……いい加減にしろよ」

 段々イラついて来た。
 そもそも、何で僕はコイツの相手なんかしてるんだ?
 適当にあしらって帰してしまえば良いだけなのに……何故、出来ないんだ。

 オカシいな……。

「本気でそんな事言ってるのか? ……違うだろう。欲に生きるのは人間……いや、生物として恥ずかしい事じゃ――」

 そこで、僕は言葉を切った。
 彼女が、北城純が、僕を見つめている。
 何も言わず、僕の瞳を覗き込む。
 何だよ、僕をそんな眼で見るな。
 そんな、濁りも汚れも裏も無い様な瞳で見据えるな。

「私は、詩音さまの妹になりたい……ただそれだけなのです」

 フッと、北城純は目を僕から逸らす。
 くそっ、何なんだコイツは。
 何なんだよ、僕にどうしろっていうんだ。

「……一応、聞こう。本気か?」

「……! 本気です! 本気なのです! 『本気』と書いて『マジ』と読みます!」

「………………」

297:290
07/04/23 00:32:49 T8sf6G/V
 そうか、そうかい……面白いじゃないか。


――僕の心に、一つの遊び心が芽生えた。


「……分かったよ、妹にはしてやれないが、君を雇おう、この屋敷で。それならどうだい?」

 僕は言葉を続ける。

「ほ、ほほほほほほ、ホントですかー!? マジなのですかー!?」

「ああ、本当さ。……ただし、条件がある」

 条件? と、北城純が首を傾げた。
 その覚悟が、上っ面でないか、試してあげるよ。

「はっ! まさか、夜の相t「髪を切れ」

 何か不穏な単語が聞こえて来そうだったので、取り敢えず遮っておいた。

「髪を……ですかー?」

 きょとん、と僕を見つめる。

「ああ、そうだ。それと、一人称は『ボク』……僕だと被るからね。んでもって、着る服はスーツ。後、語尾を延ばすのも止めろ」

「ほえぇ……?」

「その『ほえ』とかも禁止だ。ついでに、僕の事は詩音『さま』じゃなくて詩音『様』と言うんだ。漢字の方が見た目厳格そうだし」

「え……えと……?」

「まあ、平たく言えばアレだよ、男装しろと言っているんだ。それで、僕専属の執事になって貰う」

「はあ……」

 ぽかーん、と僕を見つめる。一気に喋り過ぎたかな?
 まあいいや、その覚悟が本物なら、これぐらいどうって事ない筈だ。
 ほら、どうだ? さっさと音を――

「……分かりましたのですよ、詩音様!」

 上げろよ。

 本当に、マジで何なんだこの娘。

「……本気か?」

「本気っす!」

 即答。

 そして、当たり前の様に鞄から鋏を取り出して(何でそんなもん持ってるんだよ)、躊躇無く、抵抗無く、問題無く、バッサリと髪を切り裂いた。

298:290
07/04/23 00:34:32 T8sf6G/V
 唖然、としていたんだろうか、僕は。
 悉く、北城純は僕の予想をぶっ飛ばして行く。

「……予想外だ」

「はっ! ソフトバ○ク!」

「古いネタを引っ張り出すな!」

 ……思わず突っ込んでしまった。

「コホン……で、本当に良いのか? 給料も出さないんだよ?」

「はい、詩音様が望むなら!」

「家の雑務も、全部君の仕事なんだぞ?」

「はい! 花嫁修行の一環です!」

 嫌な顔一つしない。
 ここまで彼女を突き動かすのは、一体何なんだ?

「……念の為言っておくが、君は仕事を辞めるまで、この条件で生活しなきゃならないんだぞ?」

「はい!! どんな苛めにも対応できます!! 万能型なのです!!」

「苛めって……君、僕の事何だと思ってるんだ……十八歳ですが……?」

「………………」


 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやコレはないだろ。
 どう考えても小学生か中学生です、本当にありがt(ry

 ……コホン、まあ、良いだろう、十八歳って事にしておいてやる。

 性別は、言わずもがな女……じゃなくて男。
 条件だしね、後、何かと面白いかもしれないし。

「出身は?」

「生まれは日本、育ちはフランスです!」

 へぇ……帰国子女って事なのかな。

「後は……はいコレ、ここに拇印でもサインでも、自分の証明になる物を……何で印鑑持ってるんだよ。……え? 必要な時に困るから? ……用意周到過ぎて、何らかの作為を感じるな……」

「気にしないのが一番ですよ、詩音様!」

「気にするだろ、普通……」

 ぼやきながら、書き終わった書類を二つに切り取り、半分を純へと突き出した。

「それを持ってれば、君は僕公認の執事だ。無くすんじゃないぞ」

「は……はいっ!!」

 純は心底嬉しそうにソレを受け取ると、大事に大事に折り畳み、懐へとしまい込んだ。
 そんなに喜ぶ事なのか、コレ。

299:290
07/04/23 00:35:33 T8sf6G/V
 まあいい、未成年だし、労働基準法に則って、八時間丁度ピッタリこき使ってやる。
 嫌と言うまで、辞めると言うまで、続けてやる。

 僕を、西園寺詩音を、嘗めるなよ。

「それじゃ」
「それでは」


『宜しくお願いします』


 青年は不敵に微笑み、少女は無邪気に微笑えんだ。

300:290
07/04/23 00:39:46 T8sf6G/V
以上、異常に長い投下文でしたorz

途中、分割ミスしてるのは見逃して下さい(・ω・`)

301:名無しさん@ピンキー
07/04/23 21:04:53 YQ5T9x6e
ぐっじょぶ。

話変わるけど男装について色々調べてたら最近こんな本が出てることを知った。
少女漫画の男装ヒロインににスポットを当てた本なんだけど
URLリンク(7andy.yahoo.co.jp)



302:名無しさん@ピンキー
07/04/23 23:39:38 Zl+75xw+
>>300
乙ですー
時代はメイドより執事な設定がイイ
文章は詳しくないから判りませんが、ボケとツッコミで面白く読めました
続きがあるなら気になります


>>301
リボンの騎士(アニメ)と不思議の国の千一夜が
男装萌えの原点だったなそういや

303:290
07/04/24 16:08:58 BeMeWpCK
うわぁぁぁぁぁ!!ミスってるぅぅぅぅ!!

……すいません、>>298の修正版↓に投下します

>>301 >>302
どうもです

現在第二話製作中……頑張りますよ(`・ω・´)

304:290
07/04/24 16:24:38 BeMeWpCK
 唖然、としていたんだろうか、僕は。
 悉く、北城純は僕の予想をぶっ飛ばして行く。

「……予想外だ」

「はっ! ソフトバ○ク!」

「古いネタを引っ張り出すな!」

 ……思わず突っ込んでしまった。

「コホン……で、本当に良いのか? 給料も出さないんだよ?」

「はい、詩音様が望むなら!」

「家の雑務も、全部君の仕事なんだぞ?」

「はい! 花嫁修行の一環です!」

 嫌な顔一つしない。
 ここまで彼女を突き動かすのは、一体何なんだ?

「……念の為言っておくが、君は仕事を辞めるまで、この条件で生活しなきゃならないんだぞ?」

「はい!! どんな苛めにも対応できます!! 万能型なのです!!」

「苛めって……君、僕の事何だと思ってるんだ」

 いかん…何かペースを持って行かれてる感じがする。

「とにかく、君を雇う手続きをするから質問に答えて」

「は、はいっ!!」

 何故か身構える純を取り敢えず無視しておいて、誓約書を取り出した。

305:290
07/04/24 16:26:08 BeMeWpCK
「君の名前は?(知ってるけど)」

「北城純です!」

「年齢は?」

「えーっと……今年で十八になります!」

 聞き間違いか……?

「……もう一度聞こう、年齢は?」

「えと、十八歳ですが?」

「………………」

 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやコレはないだろ。
 どう考えても小学生か中学生です、本当にありがt(ry

 ……コホン、まあ、良いだろう、十八歳って事にしておいてやる。

 性別は、言わずもがな女……じゃなくて男。
 条件だしね、後、何かと面白いかもしれないし。

「出身は?」

「生まれは日本、育ちはフランスです!」

 へぇ……帰国子女って事なのかな。

「後は……はいコレ、ここに拇印でもサインでも、自分の証明になる物を……何で印鑑持ってるんだよ。……え? 必要な時に困るから? ……用意周到過ぎて、何らかの作為を感じるな……」

「気にしないのが一番ですよ、詩音様!」

「気にするだろ、普通……」

 ぼやきながら、書き終わった書類を二つに切り取り、半分を純へと突き出した。

「それを持ってれば、君は僕公認の執事だ。無くすんじゃないぞ」

「は……はいっ!!」

 純は心底嬉しそうにソレを受け取ると、大事に大事に折り畳み、懐へとしまい込んだ。そんなに喜ぶ事なのか、コレ。

306:名無しさん@ピンキー
07/04/27 00:31:39 ox1cFA5r
ageついでに
男装といえばほのぼの板でこんなスレ見つけた
スレリンク(honobono板)
既出だったらスマソ


307: ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:15:46 a0Un3/6N
ホント下手すぎてorzですが投下します。

「通信士の歌」
青白い月影が、四角く切り取られて床に落ちていた。
飴色の木目に、長い年月を経て刻まれた大小様々な凹凸が散らばっている。
古びた長い廊下は、夜になれば行き交う人々も少ない。
突き当たりにある、オフィス兼寝室へ向かいながら、彼____クレメンス・ハインリッヒ大尉は腕時計を見た。
蛍光塗料の塗ってある短針が、ぼんやりと光って11時の数字に重なるところだ。
ほの暗い廊下に、彼の足音だけが廊下に響く。
月光に照らされたドアノブが浮かぶ彼のオフィス。
いつもならば帰るたび、窒息しそうな閉塞感にうんざりするはずだ。
だが今日は違った。
今日は――いい玩具がある。
大尉は笑いをかみ殺しながらノブを握った。
ギュッ・・・・
油の足りない、耳障りな金属音が響く。
重厚な造りの金属のドアは、いつものように軋んで大尉を出迎えた。

電気をつける。
裸電球の黄ばんだ光に照らされて、いっそう殺風景なオフィスだ。
鼠色に塗装された棚や、書類が散らばる机。
コーヒーの飲み残しが干上がって、カップのそこに茶色い輪ができている。
間続きの寝室には、パイプベッドとサイドテーブル、それにウイスキーの瓶とランプしかない。
まるで逃亡者の住居のようだった。
――うんざりするな。
檻のようなこの部屋は、通常の軍隊生活よりもさらに人間味を奪っている。
それはここが、機密の保持、防諜を目的とした建物である事に由縁していた。
買い取った古い洋館を諜報・情報戦の本部としてここに設置し、互いの任務を秘めた人間達を働かせているのだ。
壁は厚く、防音性に優れていたし、ガラス窓はごく小さい。
閉鎖的なのは建物の構造だけではない。
ここで働いている人間は、互いの仕事を詮索しないのが不文律である。
だから、隣の部署が何をしているのか大尉は知らない。
隣の部署も、大尉が何をしているのかは知らないし、詮索しないのだ。
それは楽でもあるが、同時に息苦しくもある。
特に、大尉のように通常の軍隊生活を経験した人間にとっては。


308: ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:17:12 a0Un3/6N

大尉は襟を少し広げて息を吐いた。
黒の軍服は、灰色の襟がついており、そこに階級章が縫い付けられている。
そして右胸には鷹のパッチ、ボタンは艶消しの金のもの。
膝下まである黒の長靴や、上着の上から締められた革のベルトなど、凝った意匠は兵士を精強に、スマートに見せていた。
欧州の小国でしかないこの国の、独裁政権は軍事に力を注いでいる。
その力の入れぶりが、軍服にも現れているというわけだ。
大尉は短く整えられた金髪を掻き毟り、あくびをした。
――下らない。
情報部員として働く彼は、――いや、彼らは、この国を囲む列強国がどれほど強いか知っている。
独裁者や軍部の盛んな国威掲揚が、どれほど空しいか知っているのだ。
勝つために国威高揚は必要だが、逆は必ずしも真ではない。
少なくとも彼は、この独裁者に忠誠を誓っているわけではなかった。
大尉はにんまりとする。
馬鹿真面目に仕事に没頭することはない。言われた事だけをやればいい。
それを上司も望んでいるんだ。
さて――そろそろ約束の青年が彼のオフィスを訪れるはずだった。

「失礼します」
声と、ノックの音が来訪を告げた。
「入りたまえ」
立ち上がって応える。
すうっ、とドアが開き、細身の青年が姿を現した。
「エーリッヒ・マイヤー曹長であります、大尉殿」
帽子を小脇に抱え、青年は直立不動で名乗った。
癖のあるプラチナ・ブロンドをオールバックに撫で付けた、まだ幼さの残る青年だ。
「ご苦労。まぁ、なんだ。緊張するな、掛けたまえ」
パイプ椅子を出すと、大尉は曹長に勧める。
青年は、礼を言って座った。その間も、大尉はじっと曹長を見る。


309:「通信士の歌」 ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:18:25 a0Un3/6N
「君は電信員で私の部署で働いてくれているね」
「はい」
曹長は背筋を伸ばしたまま返事をした。
彼は電信員――つまり、モールス信号による無線通信を行う通信士である。
大尉の部署を担当しているが、曹長の能力は精鋭揃いのここでも抜きん出ているとの評判だった。
その上、かなりの美青年で、ひときわ目を引く。
惜しむべくは、彼がやや小柄であることくらいだ。
磨き上げられた大理石のような肌、美しい額、すっと通った余分なもののまったくない鼻筋、左右に整った眉。
その上、緑の靄がかった灰色の瞳は切れ長で、うっとりするほど長いすだれ睫で彩られている。
顎はすっきりと造形され、唇は凛々しく締まっていた。
モールスを打つ指先までもが、長く美しいのだ。
美形過ぎて冷たい印象も受けるこの青年だが、実際のところはかなり控えめな優男である。
「君の評判は実に素晴らしいよ。君のモールス信号は美しい、まさに芸術的な正確さだ」
伏せた目をちらりと大尉に向けて曹長は答える。
「光栄であります」
感情を感じさせない口ぶり。
この青年は、今まで取り乱した事などあるのだろうか――大尉はふと思った。
「君を見込んで話があるんだ。といっても、君本来の仕事ではないのだが・・・気分を害さないでほしい」
手元の書類を見るふりをしながら、大尉はごくごく真面目な顔をし、切り出した。
「ある男を連れ出して、情報を聞き出したい。かなりの女好きなんだそうだが」
曹長はかすかに眉を顰めたが、何も聞き返さなかった。
「君が盛装して、彼の気をひいて連れ出してはくれまいか。なに、何もする必要はない。どこかの小路にでも誘い出せばいいだけだ」
大尉は、さも、本気で頼むかの様な口調で言った。
「心苦しいのだが、君なら必ず彼をおびき寄せられるはずだ」
苦笑いを浮かべながら、曹長を見る。
百戦錬磨の情報部員である大尉は、曹長の灰色の瞳にわずかに動揺が走ったのを見逃さなかった。
一瞬、指先を強く握った曹長は、それでも感情を表さない。
「・・・自分は、通信士であります。そのような仕事はお受けできません。その様な訓練も受けておりません」
平坦な口調で曹長は答える。
しかし、その瞬間、瞳は落ち着きなく周囲に視線を巡らしていた。
異常なほど発達した大尉の嗅覚――彼の諜報の武器とも言える――には、アドレナリンを含んだ汗の臭いを感知した。
「どうしても?」
「自分は美女ではありません」
伏目がちに、静かに答えた青年は少し、眉根を寄せた。
しばらく難しい顔をしていた大尉は、残念だ、と呟いてから頷く。
「そうか」
大尉は立ち上がり、手を後ろに組んで部屋の中を歩き始めた。
曹長の、抑えた不審の目が大尉を追う。
蛇のような目をしている男だ、と曹長は思った。
尖った鼻、ぎょろっとした鋭い目。情の薄そうな唇。
親愛そうな表情をしているのは欺瞞だと、皮膚で感じる。

310:「通信士の歌」 ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:18:59 a0Un3/6N
「命令ではなく、君の了承を得てから頼みたかったんだが」
大尉は息をついた。
「仕方ない。諦めるしかないだろう」
「申し訳ありません」
その答えに内心安堵した曹長はしかし、すぐにこの部屋の不穏な空気に気付いた。
大尉の足音が曹長の後ろで右往左往する。
何かがおかしい。鼓動が再び早まる。
曹長の頭の中で警報が鳴っていた。
ふと、足音が離れる。曹長はわずかに体をねじって、大尉を顧みた。
大尉は、ドアノブに手を掛けていた。しかし、ドアを開けるのではなく、――鍵を閉めた。
その顔は、影になって見えなかった。
「――何を」
・・・おかしい。
曹長がはっきりと危険を感じたときには、もう遅すぎた。
大尉は、曹長に歩み寄った。そして、肩に手を置いた。
彼の唇は歪んでいる。
「生理は、終わったのかね、エーリッヒ?」
「・・・何を、言っているんです?」
わずかに目を見開いた曹長――エーリッヒの喉が生唾を嚥下する。
「無駄な嘘をつく努力をしなくてもいい」
出口を塞ぐようにして立つ大尉の目には、蛙を狙う蛇の眼光が宿っていた。
「一昨日まで、血の匂いがしていたよ。それに、女の匂いがする。君自身のね」
一瞬、曹長の表情が固まる。そして、思わず、怯えと驚きの目で大尉を見返した。
全身の血が凍ったようだ。
ざーっ・・・と、血の失せる音がした。
そして、最悪の事態――あるいは予感が頭をよぎっていた。
「君が女なら、さぞかし美しい女だろう、と思ってはいたが――」
白く滑らかな首筋を、大尉が撫でる。
「まさか、本当に女だとは思わなかったよ。盲点だった」
曹長の、大尉が額に述べた手を追う眼球だけが動いている。
撫で付けられた、曹長の銀髪を大尉はそっと崩した。
「何を――、馬鹿なことを」
「では、その、『馬鹿みたいに当然』のことを証明できるかね?」
指先で梳かれると、細い絹糸のような髪はさらさらと崩れていく。

311:「通信士の歌」 ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:19:35 a0Un3/6N

顎にかかる位の長さの銀髪が落ち、緩やかにカールした癖毛がふわりと頬を覆う。
凛々しい青年は、それだけで少年のような少女のような、不思議な雰囲気を宿した。
金縛りに遭ったように、凍ったまま動けない「彼」はようやく我に返った。
「僕に、僕に――これ以上近寄るな!!」
弾かれた様に大尉の手を払い、立ち上がって後ずさりする。
蒼白な表情で、睨みつけるその表情には氷のような冷たさがあった。
毒蛇。その言葉が曹長の脳裏をよぎる。
嫌だ、嫌だ嫌だこんな男には――相変わらず嫌な笑みを浮かべているこの男は。
薄ら笑いを浮かべてはいるが、その面の皮の下には獣性が透けて見えているではないか。
「大尉殿、あなたは――」
「そう怖がることはないよマイヤー曹長」
絡みつくような視線で、大尉はほっそりしたエーリッヒの身体を上から下まで舐め回す。
「道理で君の経歴は一切抹消されている筈だ。射撃の成績がすこぶる良かった事くらいしか記載されてなかった」
エーリッヒは無意識に、かぶりを振る。
彼の背中に、後ずさりを阻む壁の感触がした。
ああ――これが絶望の感触なのか。
彼はもはや、籠の中の小鳥と同じである。
「いい顔だ」
世界がゆっくりと崩れていく。
へたり込んだエーリッヒに、大尉はゆっくりと歩み寄った。
子供をあやすように、その滑らかな顎を撫でる。
瞬きすることを忘れた、淀んで凍結した瞳がまっすぐに彼を見返す。
何もかも嘘だ――大尉の、「女装」とやらも、真面目に考案したものとは思えない。
恐らく、こちらを出方を伺う為のブラフに違いないのだ。
エーリッヒはもう一度、ギュッと大尉を睨む。
その表情こそが、大尉を猛らせるのだと彼は知らない。
「・・・どうして」
吐き出すようなその問いは、誰に向けられたものでもない。
大尉はゆっくりと傍らにしゃがみこむ。
もはや構うことなく、その手を胸元の釦に伸ばした。
エーリッヒはその手首を掴んで抗うが、それも空しい抵抗だった。
「制服を破られたいのかね?」
ニヤニヤと笑いながら大尉はエーリッヒの手首をひねり上げ、したたか壁に打ち付けた。
「・・・っぁつ!!」
痺れる様な激痛が骨を揺さぶる。
痛みにあえぐ声が、獣をますます煽らせた。
堪えきれなくなった大尉が、エーリッヒの肩を壁に押し付ける。
「心配しなくていい、利き手とは逆の手だ」
「やめっ・・・」
そしてそのまま、大尉は、貪るように唇を奪った。
閉じられた唇を無理やりこじ開ける。
ふっくらと張った唇を甘咬みし、蛭のような舌で舐め回す。
そのまま、顎から首筋へと舌を這わせ、喉元に歯を立てた。

312:「通信士の歌」 ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:21:52 a0Un3/6N

「ひぁっ・・・や、止め、て」
哀願するような声はもはや、毒蛇を喜ばせる以外の効果はない。
エーリッヒの、首筋の脈の柔らかな鼓動を唇で楽しむ。
すすり泣きの声と、柔らかな震え。哀れな餌食の呻きだ。
その間もエーリッヒの上着の釦を外し、ベルトの金具を除く。
それが終わると、大尉はその細い腰に腕を回し、軽々と彼を担ぎあげた。
外されたベルトががちゃん、と床に落ちた。
驚きで身を固くする彼に構いなく、間続きの寝室へと入る。
「・・・やだっ!僕は・・・嫌だ」
床にぽとり、と涙が落ちた。
美しい青年だった女は、もう羽を切られたカナリヤも同然だ。
ああ、いい声で啼く小鳥だ――大尉はほくそ笑む。
パイプベッドにエーリッヒを降ろすと、そのまま彼――彼女にのしかかった。
彼女は涙に濡れて歪んだ顔で見返す。
上着ははだけて、シャツ一枚に覆われた胸は呼吸に上下している。
凛とした美青年の顔は怯えた美女に変わっていた。
「エーリッヒ・・・いや、エーディット?」
彼女は名前を呼ばれて顔を背ける。
「経歴が抹消されていても、家族の氏名から身元は割り出せるんだよ。マイヤー曹長、君の兄には弟はいない」
きつくまぶたを閉じたエーディットの横顔。
大尉はその横顔を食い入るように見つめた。
うなじや、眩しいほど白い首筋が堪らなく扇情的だ。
それだけではない。
シャツの釦を外すたびに、滑らかな蝋に覆われた皮膚がまた露になる。
繊細な鎖骨、肺のふくらみにあわせて上下する鳩尾、しなやかな腹筋に覆われた腹部、そして余分なものがそぎ取られている腰。
温かく、柔らかそうな肉はやはり期待した以上の価値はありそうだ。
慌てて襟元を寄せて、胸元を隠そうとするエーディットを、大尉は許さなかった。
息が徐々に荒げていく。非力なか細いエーディットの手首を掴み、顔を寄せる。
「いいね・・・いい抵抗だ。もがく子猫のような」
・・・や、いや、と、無意識にエーディットは呟き続ける。
その声は誰に届かない。恐らくは、彼女自身にも。
まだ痺れているはずの手首を、容赦なくひねりあげる。もう片方も、彼の腕力ではたやすい。
そのまま、彼女の両手首を、大尉は自分のベルトで締め上げた。
「何をする!・・・や、やめて!!」
顔を真っ赤にして叫ぶエーディットの耳までが熱い。
上半身を捻って抵抗する様は、尚の事大尉をそそった。

313:「通信士の歌」 ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:22:24 a0Un3/6N

エーディットのシャツを捲り上げる。
琥珀色に照らされた、しなやかな裸身が晒されて――
本当に控えめな、柔らかくて小さな膨らみが覗いた。
「――あーっ・・・うっ・・・」
思わず、声が漏れる。
今まで、全てを隠し通したのに――
エーディットは、全てが壊れていく気がして絶望のうめき声を上げた。
まさか、こんな男に陵辱されるなんて・・・
「心配するな、仕事に楽しみを与えてやる」
太い、骨ばった手指が彼女の小さな胸を押しつぶした。
指先で転がすと、柔らかなその先端が膨らみ、こりこりとするのが分かる。
何度も激しくもみ上げられると、すっかりその薄紅の蕾は屹立しきった。
「んんん・・・っ」
否応なく反応する身体が、憎くて惨めだった。
丁寧で、思いのほか優しいが、やはり執拗なその愛撫は、エーディットの精神と身体を剥離する。
上着とシャツがはだけ、ズボンとブーツを履いたままのその姿は不思議な、そして猥らな格好だった。
未だ、本当にどこか青年のような中性的な雰囲気がある。
ひどくその容姿は倒錯しているのだ。
その顔は美しく歪んで、おぞましいほどの色気があった。
熱を持ったその頬や、苦しそうに呼吸を繰り返す肉厚の唇、零れそうに潤んだ瞳。
屈辱にまみれながら、一方でその愛撫の感触を確かに感じている。
「やっ、めてぇ・・・、大尉、殿ぉ」
身を貫くほどの不快感。
そして、微弱な、快感の電気信号が全身の皮膚を這う。
脳では不快を感じながら、その蕾は刺激に快感を感じつつあるのだ。
指先で先端を弱く刺激し続けながら、大尉は首筋に吸い付いた。
刹那、エーディットの吐く息が熱く擦れた。
刺激には敏感な女であるらしい。
刺激を感じるその度、彼女はわずかに腰を浮かせる。
エーディットは、吐きそうなほどの嫌悪感に襲われながら、一方で腰が蕩ける様にむずむずとし始めたことに愕然とした。
そんなことは、認めたくなかった。
体中の血がざわざわと逆巻いている。
彼女にとっては、体験したことのない未知の感覚のはずだ。

314:「通信士の歌」 ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:25:17 a0Un3/6N
「違っ・・・!はあ・・・ぁぁん」
彼女は悶えながら、返事にならない呻き声を上げる。
ちゅ、じゅるっ・・・
わざと音を立てて、その膨らんだ蕾を吸い上げると、指がぴくぴくと震える。
むわっとする様な女の匂いを、大尉の鼻腔は捕らえた。
「そうか、縛られるのがいいのか」
「違うの、ちが、違うっ・・・!」
否定する語尾は震えて、喘ぎと混じりあっていた。
朴訥に仕事に打ち込んできたこの男装美女は、今まで身体を開いたことが無かったのだろう。
毒蛇の歯牙に掛かっても、成すすべが無いのだ。
切なそうな呻き声を上げ、潤みをたっぷりと抱いた瞳で大尉を見つめ返す。
縛られて感じる、というのもあながち間違いではなさそうだ。
ふと、大尉は、自身の痛いほどの高まりに気付く。
気付いた瞬間暑くなり、上着とシャツを毟るように脱ぎ、床に投げ捨てた。
目立つ為の筋肉というよりも、実用のために絞り上げられた褐色の肉体が現れる。
そのまま、一旦エーディットの上から退き、彼女の両脚の間に滑り込む。
彼女の長靴も乱暴に抜き、ズボンに手をかけた。
強い拒絶の意思でエーディットが叫ぶ。
「もう許して!やめて!」
脚をばたつかせるが、腰が抜けて力が入らない。
「もう?まだ何もしちゃいない、曹長」
ズボンの釦を外し、強引に引き抜く。
「いやぁぁぁ、ぁぁぁああああ!!!!」
悲鳴とともに、白く滑らかな、美しい脚が零れた。
細いだけではない、よく鍛えられた、引き締まった脚だ。
床にズボンを投げ捨てる。
大尉は舌なめずりした。残っているのは小さな下着だけだ。
飾り気の無い青の下着には、じっとりと湿った染みが広がっている。
「嫌という割には、随分気持ちいいみたいだな?」
わざと大仰に、下着の上から指先でそこを撫でる。
「っ・・・ぅん、やぁっ――」
堪えた嬌声が上がる。
下着越しにでも、そのたびに溢れてくる生ぬるいヌルつきがはっきりと感じられた。
肉の襞を何度も強くこする。
「ひ、ひぁっ」
下着とそこの間には、もはや彼女自身でも分かるほど、熱いとろみが溢れていた。
わずかな刺激に反応して、腰がびくびくと反っている。
中はさぞかし気持ちいいのだろう――大尉は生唾を飲む。

315:「通信士の歌」 ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:25:54 a0Un3/6N

慰み物にするだけのつもりだったが、こいつはしばらく手放せなるかもしれない。
あの、取り乱したことのない美青年の同僚を犯している――その背徳感が一層興奮を高めた。
普段の、冷静で無口で、冷め切った目で大尉を見ているあの青年は、どこにもいない。
あの、輝くばかりに美しく、湖のように冷たく静かで、何もかもに恵まれている、憎らしい青二才が、こうやって喘いで組み伏せられている。
その優越感、支配感は彼を酔わせた。
「君は素晴らしいよ、エーディット」
下着越しに嬲りながら、大尉は満足げな表情で呟いた。
エーディットは目の縁を赤く腫らしながら、それでも尚灰色の瞳で大尉を睨みつける。
大尉は彼女を更に絶望させたくて、力任せに、下着を引き裂いた。
ミリミリミリッ・・・と音を立てて、左腿の付け根の生地が破れる。
後は、適当にずり下げてしまえば行為の邪魔にはならない。
大尉は彼女が、絶望におぼれていくのがはっきりと分かった。
柔らかく、薄めなその繁茂に包まれた肉の襞が現れる。
エーディットは、絶望に、今度ははっきりと嗚咽した。
そっとその襞を撫で上げると、透明な蜜がとろりと指につく。
赤く色づいたそこは、彼女の意思とは裏腹に、雄を誘ってやまなかった。
「――んっ!あぁ」
嗚咽に短く喘ぎが混じる。出したくないのに声が出てしまう。
「我慢しなくていいんだ、エーディット。ここは角部屋で、隣は機械室だからね」
身体を屈め、エーディットの耳元で大尉は囁いた。
人差し指をその秘部に差し入れ、くにゅくにゅと肉を弄る。
本当はすぐにでも、中にねじ込みたかったのだが――それでは、処女の「彼」が余りに憐れだ。
大尉は見当違いな心遣いをしながら、指で中の蜜を掻き出した。
粘性の高い雫が、指を伝ってシーツに落ちる。
隠し切れない快楽の声が、悩ましくエーディットの唇から零れた。
「はぁ、はぁ、あぁぁぁん」
腰をくねらせる。
恥辱と、罪悪感と、憎悪を弾けそうなほど抱きながら、エーディットは、隷属する快楽に目覚めつつある自分に戦慄した。
肉体は、彼を迎合している。
「とんだ淫乱だな?曹長。気持ちいいんだろ?」
「い、いや、いや」
大尉は、伏して大腿の付け根に強くキスをした。
真っ白く、血管の透けるような皮膚に、赤い痣が残る。
この女に最初に踏み込んだ証だ。

316:「通信士の歌」 ◆IyF6/.3l6Y
07/04/28 00:26:29 a0Un3/6N

そのまま、舌先で蜜を舐めとる。
新たな刺激に、エーディットの脚がびくんと跳ねた。
肉の間に舌をねじ込ませると、ぎゅっとキツい圧力が彼の舌を締め付ける。
「だ・・・めぇ――やめ、てぇ」
舌先で肉壁をこねくり回すと、エーディットの両脚が行き場なく伸縮した。
粘膜同士がこすれる感触に、彼女はすでに限界近い悦楽を感じている。
腰全体から大腿までが熱く、血が逆流しているようだった。
「っ、――はぁああぁ」
上ずった声が溢れ出す。
舌先で秘部を攻める大尉の舌先に、蕩ける様な蜜が触れる。
痙攣したように、彼女の脚が硬直した。
小さな頂を迎えたのだ。
大尉は、その小造りで美しい秘部に、そっと口づけする。
そして、激しく呼吸するエーディットの腰に手を回した。
もう我慢がならなかった。
「犯してやる」
放心状態のエーディットに聞こえたか聞こえないかは分からない。
だが、そんなことにお構いなく彼はズボンと下着を下ろした。
既に我慢を重ねたそれは、痛いほど赤黒くそそり立って脈打っている。
彼は、絡みつく蛇のような手つきで、エーディットの上半身を抱え上げた。
まだ、エーディットは放心したままだが、そんなことはどうでもいい。
呼吸も荒くなり、もはや一刻の猶予もないというような風情だ。
互いに、座ったまま抱き合うような姿勢で身体を密着させる。
エーディットの腕の間に頭を通し、大尉は彼女の尻肉を掴む。
そのまま彼女の身体を持ち上げ、自身の先端でそっと襞に触れた。
「・・・・っ!」
いやいやをして、わずかに抵抗するエーディットを顧みず、彼はそこに狙いを定めて突き立てた。
肉が裂けるような、巨大な異物が割って入ってくる激痛に、思わずエーディットは悲鳴を上げる。
「は、ぁっ!い、痛い!や、めて!出して!」
その鋭い痛みで意識が戻ってきたエーディットが、身体を捩じらせて暴れる。
だが、彼女の自重は容赦なく身体を沈め、遂に全てを銜え込んでしまった。
「い、た、――ぃぃい」
新たな涙がまた溢れて零れた。
呼吸で膨らむ大尉の下腹が、粘液と交じり合った血でぬらぬらと汚れている。
「ぁああ、・・・いい子だ、エーディット」
微かに喘ぎながら、大尉は彼女の名前を呼んだ。
毒蛇の牙は、柔らかなカナリヤの身体に突き刺さり、毒は牙から回り、いまやカナリヤは全身が毒に蝕まれている。


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