06/11/04 22:42:42 FxMHfPkn
暖かさの残る左手をコートのポケットに突っ込む。
一人になってようやく冷静さを取り戻した私は、今日の出来事を思い返していた。
ホントに、訳が分からない。
何であんな事したんだろ。
動揺しまくりだった私の姿は、今になって思えば滑稽その物。
あそこまで狼狽しちゃ、やましい気持ちがありますって言ってるようなもんだ。
─って事は、もしかして……。
ハタと思い当たった事に私は血の気が引くのを感じた。
─……バレた?…門田先生の事が好きだって言うの……。
愕然とした想いで電車のドアに手を突く。
漏れた溜め息に、近くに座っていたおじさんが胡散臭そうにこっちを見たけれど、私の方はそれどころじゃない。
それって滅茶苦茶気まずくない?
て言うか間違いなく気まずいし。
「……どうしよ…」
ハァ…と深い溜め息を溢した私は、いつの間にかズレた思考にも気付かなくて、自分の想いの行方だけでいっぱいいっぱい。
だから門田先生がどんな気持ちだったかなんて考える余裕もなく。
来るべき新学期が酷く憂鬱に思えて、ただただ溜め息を溢していた。