太臓もて王サーガでエロパロ 第二章at EROPARO
太臓もて王サーガでエロパロ 第二章 - 暇つぶし2ch691:イヌイチおまけ~雨宿り・3
07/10/20 14:11:50 vOMIQnxn
*
『~♪』
 カバンに入れっぱなしだった携帯電話から着メロが鳴ったのは、そんな時だった。曲名は『LA BOHEME』―この曲だと、相手は。
 ピッ。「…乾?」
『出るの遅せーよ一口。どうせまたあのオッサン臭い着メロ聴いてたろ』
 着信ボタンを押して早々、なぜ人の着メロにケチを付けられないといけないのだろう。
「別に中森明菜はオッサンじゃないもん。それより何よ急に」
『ん?あー…まあ、急用って訳でもないんだけどさ…』
 歯切れの悪い乾の言葉に、あたしはだんだんムカムカしてきた。何でこんな奴のことであんなに悩んでたんだろう。
「急用じゃなかったら、明日学校で話せばいいじゃん。じゃあ、切るよ」
『わーっ!待て待て!!…えーと、今日はありがとな』
「え?―…何が?」
 電話の向こうでぐっ、と息を詰まらせる音が聞こえた。
『何がって…その、色々と。…あ、ホラ、矢射子先輩絡みで踏み込んだ話できんの、オマエだけだし』
 どきん。意味は違うってわかってても、最後の言葉に心臓が強く音を立ててしまう。
 本当、勝手だなあ。自分で自分の体のコントロールもできないなんて。
『そ、そうだ!…その、アレ…内緒だからな』
「乾が全裸であたしに抱きつきながら、ボロボロ泣いてた事?」
『っ…!!それもそうだけどっ!!…ヘンな言い方すんなよな。―…先輩が阿久津とラブホ入ってった事だよ。あんなの周りに知られたら
問題じゃねーか』
 内容が内容なだけに、乾の声が小さくなる。そしてあたしはといえば、分かっていた話の筈なのに、なぜか胸に穴が開いたような、
ジェットコースターの下り始めのような、何とも表現しにくい気持ちになった。
 ああ―そうだよね。
 乾の一番好きな人も、お姉さまなんだ。
『聞いてんのか?…一口?』
「…聞いてるよ」
 あたしはあくまでも、同じ相手が好きなライバルで、同好の士とかいう類に過ぎない。
 あの時流した涙だって、お姉さまに向けられたものだった。
 断じて、あたしにじゃない。―やだなぁ。何変な勘違いしてたんだろ。
『…泣いてるのか?おい、泣くなよー』
 沈黙に、電話の向こうから乾のオロオロした声が聞こえる。
 ばか。
「―…泣いてないよ、バカ犬」
 泣く訳ないじゃない。あんたの為なんかに。
 泣くもんか。
 今さっきまで感じていた胸の高鳴りが、嘘のように引いていく。―大丈夫だ。これであたし達はまた、いつも通り。
 何も変わってない、いつもの二人になれる。
「ありがと」
 あたしはそっと目を閉じ、一言だけ礼を言った。乾には上手く伝わらなかったのか、しどろもどろな言葉が返ってきたが。

 それから、明日の小テストの範囲や近く行われる体育祭の事など、他愛もない話をしばらく続け、電話を切った。

 携帯電話のディスプレイを閉じたあとの部屋は真っ暗で、カーテンを開けっ放しにしていた窓から見える星空が、やけにはっきりと見
えた。



次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch